JP2016173473A - 液体現像剤の製造方法および液体現像剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】粒径且つ形状が均一なトナー粒子を含み、且つ性能に優れた液体現像剤の製造方法を提供する。【解決手段】液体現像剤の製造方法は、トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる液体現像剤の製造方法であって、シェル樹脂およびコア樹脂が有機溶剤に溶解されてなる第1剤を調製する工程と、第1剤および絶縁性液体を混合させて、第2剤を調製する工程と、第2剤から有機溶剤を除去して、シェル樹脂と、コア樹脂を含むコア粒子とから構成されるコア/シェル構造を有するトナー粒子を調製する工程と、を含む。【選択図】なし
Description
本発明は、液体現像剤の製造方法および液体現像剤に関する。
塗料、電子写真用液体現像剤、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インク、または電子ペーパー用インクなどに用いられる液体現像剤は、絶縁性液体と、絶縁性液体中に分散されたトナー粒子とを備える。このような液体現像剤には、様々な性能が要求されている。その中でも特に、トナー粒子の均一化、優れた低温定着性、および優れた耐熱保存安定性が、液体現像剤に要求されている。
たとえば特開平09−179354号公報(特許文献1)には、液体現像剤の性能を向上させるべく、トナー粒子の材料である樹脂を予め溶融させ、これを該樹脂の軟化点以上に加熱された無極性媒体中に機械的攪拌力によって分散させた後、この分散液を冷却する、液体現像剤の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、樹脂の溶融によって樹脂の粘度が十分に低下しなければ、微細なトナー粒子(トナー粒子には樹脂と着色剤とが含まれる)が得られない。そのため、得られるトナー粒子の粒度分布に現れるピークがシャープとならない場合がある。
また、塗料、電子写真、静電記録または静電印刷等に用いられる液体現像剤においては、着色剤などがトナー粒子の表面に露出することがある。これにより、トナー粒子の表面では樹脂の存在領域が狭くなるので、樹脂が本来有する機能の発揮が困難となる。そのため、液体現像剤の性能が設計時に比べて低下することがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、粒径且つ形状が均一なトナー粒子を含み、且つ性能に優れた液体現像剤の製造方法、およびその製造方法により製造される液体現像剤を提供することである。
本発明の液体現像剤の製造方法は、トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる液体現像剤の製造方法であって、シェル樹脂およびコア樹脂が有機溶剤に溶解されてなる第1剤を調製する工程と、第1剤および絶縁性液体を混合させて、第2剤を調製する工程と、第2剤から有機溶剤を除去して、シェル樹脂と、コア樹脂を含むコア粒子とから構成されるコア/シェル構造を有するトナー粒子を調製する工程と、を含む。
上記液体現像剤の製造方法において、シェル樹脂は、酸性基および塩基性基を有するビニル樹脂であることが好ましい。
上記液体現像剤の製造方法において、コア樹脂は、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種からなる樹脂であることが好ましい。
本発明は、上記のいずれかの液体現像剤の製造方法により製造される、トナー粒子が絶縁性液体に分散されてなる液体現像剤にも関わる。
上記液体現像剤において、トナー粒子の体積平均粒径は0.1μm以上10.0μm以下であり、トナー粒子の体積分布の変動係数は0.1%以上100%以下であり、トナー粒子の平均円形度は0.90以上1.00以下であることが好ましい。
上記液体現像剤において、トナー粒子は、シェル樹脂を含むシェル層と、コア樹脂を含むコア粒子とから構成されるコア/シェル構造を有し、シェル層によるコア粒子の被覆率は50%以上100%以下であることが好ましい。
上記によれば、粒径且つ形状が均一なトナー粒子を含み、且つ性能に優れた液体現像剤の製造方法を提供することができる。またこの製造方法により製造された液体現像剤は、粒径且つ形状が均一なトナー粒子を含み、且つ性能に優れることとなる。
以下、本発明に係る実施の形態についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において「A〜B」という形式の表記は、範囲の上限下限を意味しており、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。
[液体現像剤の製造方法]
本実施の形態の液体現像剤の製造方法は、トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる液体現像剤の製造方法であって、シェル樹脂およびコア樹脂が有機溶剤に溶解されてなる第1剤を調製する工程(第1剤調製工程)と、第1剤および絶縁性液体を混合させて、第2剤を調製する工程(第2剤調製工程)と、第2剤から有機溶剤を除去して、シェル樹脂を含むシェル層と、コア樹脂を含むコア粒子とから構成されるコア/シェル構造を有するトナー粒子を調製する工程(トナー粒子調製工程)と、を含む。
本実施の形態の液体現像剤の製造方法は、トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる液体現像剤の製造方法であって、シェル樹脂およびコア樹脂が有機溶剤に溶解されてなる第1剤を調製する工程(第1剤調製工程)と、第1剤および絶縁性液体を混合させて、第2剤を調製する工程(第2剤調製工程)と、第2剤から有機溶剤を除去して、シェル樹脂を含むシェル層と、コア樹脂を含むコア粒子とから構成されるコア/シェル構造を有するトナー粒子を調製する工程(トナー粒子調製工程)と、を含む。
上記「コア/シェル構造」とは、コア樹脂を含むコア粒子とシェル樹脂とを有する構造を意味し、シェル樹脂はコア粒子の表面の少なくとも一部に設けられ、コア樹脂とは異なる樹脂である。シェル樹脂は、コア粒子の表面においてシェル粒子として存在していてもよく、層状のシェル層として存在していてもよい。コア/シェル構造を有するトナー粒子は分散性に優れる。
製造された液体現像剤は、複写機、プリンタ、デジタル印刷機または簡易印刷機などの電子写真方式の画像形成装置(後述)において用いられる電子写真用液体現像剤、塗料、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インク、または、電子ペーパー用インクとして有用である。
<第1剤調製工程>
本工程では、シェル樹脂およびコア樹脂が有機溶剤に溶解されてなる第1剤が調製される。
本工程では、シェル樹脂およびコア樹脂が有機溶剤に溶解されてなる第1剤が調製される。
第1剤の調製方法は特に制限されず、従来公知の方法を用いることができる。たとえば、有機溶剤にシェル樹脂およびコア樹脂を投与し、この混合液を撹拌することによって第1剤を調製する方法、有機溶剤にシェル樹脂およびコア樹脂を投与して、この混合液を加熱することによって第1剤を調製する方法などが挙げられる。
第1剤を調製する際の撹拌には、バッチ式乳化機、連続式乳化機、高圧乳化機、振動式乳化機、または超音波乳化機などの分散装置を用いることができる。
バッチ式乳化機としては、IKA社製の「ホモジナイザー」、キネマティカ社製の「ポリトロン」、特殊機化工業(株)製の「TKオートホモミキサー」などが挙げられる(いずれも製品名)。連続式乳化機としては、(株)荏原製作所製の「エバラマイルダー」、特殊機化工業(株)製の「TKフィルミックス」、「TKパイプラインホモミキサー」、神鋼パンテック(株)製の「コロイドミル」、三井三池化工機(株)製の「スラッシャー」、「トリゴナル湿式微粉砕機」、ユーロテック社製の「キャピトロン」、太平洋機工(株)製の「ファインフローミル」などが挙げられる(いずれも製品名)。高圧乳化機としては、みずほ工業(株)製の「マイクロフルイダイザー」、ナノマイザー社製の「ナノマイザー」、ガウリン社製の「APVガウリン」などが挙げられる。膜乳化機としては、冷化工業(株)製の膜乳化機が挙げられる。振動式乳化機としては冷化工業(株)製の「バイブロミキサー」が挙げられる。超音波乳化機としては、ブランソン社製の「超音波ホモジナイザー」が挙げられる。
また本工程は、常圧下、10〜60℃の環境下で実施されることが好ましい。これにより、シェル樹脂およびコア樹脂の有機溶剤への溶解性を高めることができる。
第1剤におけるシェル樹脂およびコア樹脂の各含有量は特に制限されないが、第1剤の粘度が10〜100000mPa・sとなるようにこれらの樹脂の各含有量を適宜調製することが好ましい。第1剤の粘度が上記範囲外の場合、後述する工程での第1剤と絶縁性液体との混合の際に、トナーが小粒径化できないという問題が生じる場合があるためである。
本明細書において「粘度」は、B型粘度計で測定された45℃における粘度である。B型粘度計としては、回転振動式粘度計(商品名「ビスコメイトVM−10A」、東京硝子機械社製)を用いることができる。
第1剤におけるシェル樹脂(a)およびコア樹脂(b)の質量比[(a):(b)]は、好ましくは1:99〜70:30である。この場合、得られるトナー粒子の粒径および形状の均一性を向上させることができ、また液体現像剤の耐熱保存安定性を向上させることができる。一方、シェル樹脂の含有率(質量比)が上記比よりも低くなると、トナー粒子の耐ブロッキング性が低下することがあり、コア樹脂の含有率(質量比)が上記比よりも高くなると、低温定着性が低下することがある。上記比[(a):(b)]は、より好ましくは2:98〜50:50であり、さらに好ましくは3:97〜35:65である。なお、有機溶剤中における上記比率は、製造されたトナー粒子におけるシェル樹脂およびコア樹脂の質量比に一致する。
また、コア樹脂に代えてコア樹脂の前駆体を投与し、該前駆体を有機溶剤中で化学反応させてコア樹脂を生成させてもよい。この方法によっても、シェル樹脂およびコア樹脂が有機溶剤に溶解されてなる第1剤を調製することができる。
さらに、第1剤には、シェル樹脂およびコア樹脂の他、他の成分が投入されていてもよい。他の成分としては、着色剤および着色剤以外の添加剤(ワックス、充填剤、帯電防止剤、離型剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤および難燃剤等)を挙げることができる。
以下、第1剤に含まれるシェル樹脂、コア樹脂および有機溶剤について説明し、さらに第1剤に含まれ得る着色剤および上記添加剤について説明する。
(シェル樹脂)
シェル樹脂は、トナー粒子においてシェル層を構成する樹脂である。このようなシェル樹脂は、熱可塑性樹脂であっても良いし、熱硬化性樹脂であっても良い。シェル樹脂としては、たとえば、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、およびポリカーボネート樹脂などが挙げられる。シェル樹脂としては、これらの樹脂のいずれかを用いても良いし、これらの樹脂の2種以上を併用しても良い。
シェル樹脂は、トナー粒子においてシェル層を構成する樹脂である。このようなシェル樹脂は、熱可塑性樹脂であっても良いし、熱硬化性樹脂であっても良い。シェル樹脂としては、たとえば、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、およびポリカーボネート樹脂などが挙げられる。シェル樹脂としては、これらの樹脂のいずれかを用いても良いし、これらの樹脂の2種以上を併用しても良い。
小径で粒径が均一なトナー粒子が得られ易いという観点では、シェル樹脂は、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびエポキシ樹脂のうちの少なくとも1つであることが好ましく、以下に示す理由からビニル樹脂であることがより好ましい。
シェル樹脂には、絶縁性液体においてトナー粒子を分散させるという機能が要求されている。そのため、シェル樹脂は、絶縁性液体に対して高い親和性を有する部分(親オイル部)とコア樹脂に対して高い親和性を有する部分(親コア部)とを分子内に有することが好ましい。シェル樹脂がビニル樹脂であれば、ビニルモノマーの配合比率またはビニルモノマーの組成を調整することによって所望の親オイル部と親コア部とを有するシェル樹脂を設計できる。
(ア) ビニル樹脂
ビニル樹脂は、重合性二重結合を有する1種のモノマー由来の構成単位からなる重合体であっても良いし、重合性二重結合を有する2種以上のモノマー由来の構成単位を含む共重合体であっても良い。重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、下記(1)〜(9)が挙げられる。
ビニル樹脂は、重合性二重結合を有する1種のモノマー由来の構成単位からなる重合体であっても良いし、重合性二重結合を有する2種以上のモノマー由来の構成単位を含む共重合体であっても良い。重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、下記(1)〜(9)が挙げられる。
(1) 重合性二重結合を有する炭化水素
重合性二重結合を有する炭化水素としては、たとえば、下記(1−1)で示す重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素、および下記(1−2)で示す重合性二重結合を有する芳香族炭化水素などが挙げられる。
(1−1) 重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素
重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素としては、たとえば、下記(1−1−1)で示す重合性二重結合を有する鎖状炭化水素、および下記(1−1−2)で示す重合性二重結合を有する環状炭化水素などが挙げられる。
(1−1−1) 重合性二重結合を有する鎖状の脂肪族炭化水素
重合性二重結合を有する鎖状の脂肪族炭化水素としては、たとえば、炭素数が2〜30のアルケン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、およびオクタデセンなど)、および炭素数が4〜30のアルカジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、および1,7−オクタジエンなど)などが挙げられる。
重合性二重結合を有する炭化水素としては、たとえば、下記(1−1)で示す重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素、および下記(1−2)で示す重合性二重結合を有する芳香族炭化水素などが挙げられる。
(1−1) 重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素
重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素としては、たとえば、下記(1−1−1)で示す重合性二重結合を有する鎖状炭化水素、および下記(1−1−2)で示す重合性二重結合を有する環状炭化水素などが挙げられる。
(1−1−1) 重合性二重結合を有する鎖状の脂肪族炭化水素
重合性二重結合を有する鎖状の脂肪族炭化水素としては、たとえば、炭素数が2〜30のアルケン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、およびオクタデセンなど)、および炭素数が4〜30のアルカジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、および1,7−オクタジエンなど)などが挙げられる。
(1−1−2) 重合性二重結合を有する環状の脂肪族炭化水素
重合性二重結合を有する環状の脂肪族炭化水素としては、たとえば、炭素数が6〜30のモノまたはジシクロアルケン(シクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン、およびエチリデンビシクロヘプテンなど)、および炭素数が5〜30のモノまたはジシクロアルカジエン(モノシクロペンタジエン、およびジシクロペンタジエンなど)などが挙げられる。
重合性二重結合を有する環状の脂肪族炭化水素としては、たとえば、炭素数が6〜30のモノまたはジシクロアルケン(シクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン、およびエチリデンビシクロヘプテンなど)、および炭素数が5〜30のモノまたはジシクロアルカジエン(モノシクロペンタジエン、およびジシクロペンタジエンなど)などが挙げられる。
(1−2) 重合性二重結合を有する芳香族炭化水素
重合性二重結合を有する芳香族炭化水素としては、たとえば、スチレン、スチレンのハイドロカルビル(炭素数が1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル、およびアルケニル)置換体(α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、およびトリビニルベンゼンなど)、およびビニルナフタレンなどが挙げられる。
重合性二重結合を有する芳香族炭化水素としては、たとえば、スチレン、スチレンのハイドロカルビル(炭素数が1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル、およびアルケニル)置換体(α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、およびトリビニルベンゼンなど)、およびビニルナフタレンなどが挙げられる。
(2) カルボキシル基と重合性二重結合を有するモノマーおよびそれらの塩
カルボキシル基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、炭素数が3〜15の不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、または桂皮酸など]、炭素数が3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、およびメサコン酸など]、および炭素数が3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数が1〜10)エステル(マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル、およびシトラコン酸モノデシルエステルなど)などが挙げられる。
カルボキシル基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、炭素数が3〜15の不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、または桂皮酸など]、炭素数が3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、およびメサコン酸など]、および炭素数が3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数が1〜10)エステル(マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル、およびシトラコン酸モノデシルエステルなど)などが挙げられる。
なお本明細書において、「(メタ)アクリル(酸)」は、アクリル(酸)およびメタクリル(酸)のうちの少なくとも1つを意味する。
カルボキシル基と重合性二重結合を有するモノマーの塩としては、たとえば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、およびカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、およびマグネシウム塩など)、アンモニウム塩、アミン塩、および4級アンモニウム塩などが挙げられる。
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されず、たとえば、1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩、およびオクチルアミン塩など)、2級アミン塩(ジエチルアミン塩、およびジブチルアミン塩など)、3級アミン塩(トリエチルアミン塩、およびトリブチルアミン塩など)などが挙げられる。
4級アンモニウム塩としては、たとえば、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、およびトリブチルラウリルアンモニウム塩などが挙げられる。
カルボキシル基と重合性二重結合を有するモノマーの塩の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウムおよびアクリル酸アルミニウムなどが挙げられる。
(3) スルホ基と重合性二重結合とを有するモノマーおよびそれらの塩
スルホ基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、炭素数が2〜14のアルケンスルホン酸[ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸またはメチルビニルスルホン酸など]、スチレンスルホン酸およびスチレンスルホン酸のアルキル(炭素数が2〜24)誘導体(たとえば、α−メチルスチレンスルホン酸など)、炭素数が5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート[たとえば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、および3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸など]、炭素数が5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[たとえば、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、および3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸など]、アルキル(炭素数が3〜18)アリルスルホコハク酸(たとえば、プロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、および2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸など)、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(たとえば、オキシエチレン、オキシプロピレン、およびオキシブチレンなど。ポリオキシアルキレンは、オキシアルキレンの単独重合体であっても良いし、オキシアルキレンの共重合体であっても良い。ポリオキシアルキレンがオキシアルキレンの共重合体である場合には、ランダム重合体であっても良いしブロック重合体であっても良い。)、モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[たとえば、ポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル、およびポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステルなど]、および下記化学式(1)〜(3)で表される化合物などが挙げられる。
スルホ基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、炭素数が2〜14のアルケンスルホン酸[ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸またはメチルビニルスルホン酸など]、スチレンスルホン酸およびスチレンスルホン酸のアルキル(炭素数が2〜24)誘導体(たとえば、α−メチルスチレンスルホン酸など)、炭素数が5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート[たとえば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、および3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸など]、炭素数が5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[たとえば、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、および3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸など]、アルキル(炭素数が3〜18)アリルスルホコハク酸(たとえば、プロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、および2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸など)、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(たとえば、オキシエチレン、オキシプロピレン、およびオキシブチレンなど。ポリオキシアルキレンは、オキシアルキレンの単独重合体であっても良いし、オキシアルキレンの共重合体であっても良い。ポリオキシアルキレンがオキシアルキレンの共重合体である場合には、ランダム重合体であっても良いしブロック重合体であっても良い。)、モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[たとえば、ポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル、およびポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステルなど]、および下記化学式(1)〜(3)で表される化合物などが挙げられる。
上記化学式(1)〜(3)中、R1は炭素数が2〜4のアルキレン基を表わす。化学式(1)が2以上のR1Oを含む場合、2以上のR1Oは、同一のアルキレン基を用いて構成されても良いし、二種以上のアルキレン基が併用されて構成されても良い。二種以上のアルキレン基が併用される場合、化学式(1)におけるR1の配列はランダム配列であっても良いしブロック配列であっても良い。R2およびR3は、それぞれ独立に炭素数が1〜15のアルキル基を表わす。mおよびnは、それぞれ独立に1〜50の整数である。Arはベンゼン環を表わす。R4は、フッ素原子で置換されていても良い炭素数が1〜15のアルキル基を表わす。
なお本明細書において「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および「メタクリレート」のうちの少なくとも1つを意味し、「(メタ)アリル」は、アリルおよびメタアリルのうちの少なくとも1つを意味し、「(メタ)アクリロ」は、アクリロおよびメタクリロのうちの少なくとも1つを意味する。また、化合物名における「n」は重合度を表す。
スルホ基と重合性二重結合を有するモノマーの塩としては、たとえば、上記「(2) カルボキシル基と重合性二重結合を有するモノマーおよびそれらの塩」において列挙したものと同様に、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、および4級アンモニウム塩などが挙げられる。
(4) ホスホノ基と重合性二重結合を有するモノマー
ホスホノ基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸などが挙げられる。
ホスホノ基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸などが挙げられる。
(5) ヒドロキシル基と重合性二重結合を有するモノマー
ヒドロキシル基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテルおよびショ糖アリルエーテルなどが挙げられる。
ヒドロキシル基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテルおよびショ糖アリルエーテルなどが挙げられる。
(6) 重合性二重結合を有する含窒素モノマー
重合性二重結合を有する含窒素モノマーとしては、たとえば、下記(6−1)〜(6−4)で示すモノマーなどが挙げられる。
重合性二重結合を有する含窒素モノマーとしては、たとえば、下記(6−1)〜(6−4)で示すモノマーなどが挙げられる。
(6−1) アミノ基と重合性二重結合を有するモノマー
アミノ基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾールおよびアミノメルカプトチアゾールなどが挙げられる。
アミノ基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾールおよびアミノメルカプトチアゾールなどが挙げられる。
アミノ基と重合性二重結合を有するモノマーは、上記列挙したモノマーの塩であっても良い。上記列挙したモノマーの塩としては、たとえば、上記「(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有するモノマーおよびそれらの塩」において列挙したものと同様に、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、および4級アンモニウム塩などが挙げられる。
(6−2) アミド基と重合性二重結合を有するモノマー
アミド基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドおよびN−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
アミド基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドおよびN−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
(6−3) ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数が3〜10のモノマー
ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数が3〜10のモノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレンおよびシアノアクリレートなどが挙げられる。
ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数が3〜10のモノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレンおよびシアノアクリレートなどが挙げられる。
(6−4) ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数が8〜12のモノマー
ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数が8〜12のモノマーとしては、たとえば、ニトロスチレンなどが挙げられる。
ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数が8〜12のモノマーとしては、たとえば、ニトロスチレンなどが挙げられる。
(7) エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数が6〜18のモノマー
エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数が6〜18のモノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数が6〜18のモノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(8) ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数が2〜16のモノマー
ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数が2〜16のモノマーとしては、たとえば、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレンおよびクロロプレンなどが挙げられる。
ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数が2〜16のモノマーとしては、たとえば、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレンおよびクロロプレンなどが挙げられる。
(9) その他のモノマー
(9−1) 重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステル
重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステルとしては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数が1〜11のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、および2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(たとえば、ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタンまたはテトラメタアリロキシエタンなど)、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有するモノマー[たとえば、ポリエチレングリコール(Mn=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、(メタ)アクリレート(メチルアルコールEO10モル)付加物、および(メタ)アクリレート(ラウリルアルコールEO30モル)付加物など]、ポリ(メタ)アクリレート類{たとえば、多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート[たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]}などが挙げられる。
(9−1) 重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステル
重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステルとしては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数が1〜11のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、および2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(たとえば、ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタンまたはテトラメタアリロキシエタンなど)、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有するモノマー[たとえば、ポリエチレングリコール(Mn=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、(メタ)アクリレート(メチルアルコールEO10モル)付加物、および(メタ)アクリレート(ラウリルアルコールEO30モル)付加物など]、ポリ(メタ)アクリレート類{たとえば、多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート[たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]}などが挙げられる。
なお本明細書において、「(メタ)アリロ」は、アリロおよびメタリロの少なくともいずれか1つを意味し、「Mn」は数平均分子量を意味する。また、略語に関し、「EO」はエチレンオキサイドを意味しており、「(メタ)アクリレート(メチルアルコールEO10モル)付加物」とは、(メタ)アクリレートに対してメチルアルコールEOが10モル付加されて構成された付加物を意味する。以下このような標記に関し、同様の化合物を意味する。
(9−2) 重合性二重結合を有する炭素数が3〜16のエーテル
重合性二重結合を有する炭素数が3〜16のエーテルとしては、たとえば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレンおよびフェノキシスチレンなどが挙げられる。
重合性二重結合を有する炭素数が3〜16のエーテルとしては、たとえば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレンおよびフェノキシスチレンなどが挙げられる。
(9−3) 重合性二重結合を有する炭素数が4〜12のケトン
重合性二重結合を有する炭素数が4〜12のケトンとしては、たとえば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンおよびビニルフェニルケトンなどが挙げられる。
重合性二重結合を有する炭素数が4〜12のケトンとしては、たとえば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンおよびビニルフェニルケトンなどが挙げられる。
(9−4) 重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物
重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物としては、たとえば、ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホンおよびジビニルスルホキサイドなどが挙げられる。
重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物としては、たとえば、ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホンおよびジビニルスルホキサイドなどが挙げられる。
上記ビニル樹脂のうち共重合体の具体例としては、たとえば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体、またはスチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
ビニル樹脂は、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有するモノマーの単独重合体または共重合体であっても良く、すなわち、ビニルモノマー由来の構成単位を含む単独重合体または共重合体であっても良いし、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有するモノマーと、第1分子鎖(k)と重合性二重結合とを有するモノマー(m)とが重合されたものであっても良い。
第1分子鎖(k)は、絶縁性液体に対する親和性に優れたものを使用でき、たとえば炭素数12〜27の直鎖状の炭化水素鎖、炭素数が12〜27の分枝状の炭化水素鎖、炭素数4〜20のフルオロアルキル鎖、およびポリジメチルシロキサン鎖などを使用できる。ビニルモノマーを構成する前の第1分子鎖(k)と絶縁性液体とのSP値の差は2以下であることが好ましい。
本明細書では、「SP値」は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算された数値である。
第1分子鎖(k)と重合性二重結合とを有するモノマー(m)としては、たとえば、以下の第1〜第4モノマーなどが挙げられる。モノマー(m)としては、第1〜第4モノマーのいずれかであっても良いし、第1〜第4モノマーのうちの2種以上を併用したものであっても良い。
第1モノマー:第1モノマーは、炭素数が12〜27(好ましくは16〜25)の直鎖状炭化水素鎖と重合性二重結合とを有するモノマーであり、たとえば、不飽和モノカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステル、および不飽和ジカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルなどが挙げられる。不飽和モノカルボン酸および上記不飽和ジカルボン酸は、カルボキシル基を含み、かつ炭素数が3〜24のビニルモノマーであることが好ましく、たとえば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸およびシトラコン酸などが挙げられる。第1モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、および(メタ)アクリル酸エイコシルなどが挙げられる。
第2モノマー:第2モノマーは、炭素数が12〜27(好ましくは炭素数が16〜25)の分岐状炭化水素鎖と重合性二重結合とを有するモノマーである。たとえば、不飽和モノカルボン酸のモノ分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルおよび不飽和ジカルボン酸のモノ分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルなどが挙げられる。不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸については第1モノマーで記載したとおりである。第2モノマーの具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシルなどが挙げられる。
第3モノマー:第3モノマーは、炭素数が4〜20のフルオロアルキル鎖と重合性二重結合とを有するモノマーであり、たとえば、下記化学式(4)で表されるパーフルオロアルキル(アルキル)(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
CH2=CR−COO−(CH2)p−(CF3)q−Z ・・・化学式(4)
上記化学式(4)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、pは0〜3の整数を表し、qは2、4、6、8、10または12のいずれかを表し、Zは水素原子またはフッ素原子を表わす。
上記化学式(4)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、pは0〜3の整数を表し、qは2、4、6、8、10または12のいずれかを表し、Zは水素原子またはフッ素原子を表わす。
第3モノマーの具体例としては、たとえば、[(2−パーフルオロエチル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、[(2−パーフルオロブチル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、[(2−パーフルオロヘキシル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、[(2−パーフルオロオクチル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、[(2−パーフルオロデシル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、および[(2−パーフルオロドデシル)エチル](メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
第4モノマー:第4モノマーは、ポリジメチルシロキサン鎖と重合性二重結合とを有するモノマー(m4)であり、たとえば、下記化学式(5)で表される(メタ)アクリル変性シリコーンなどが挙げられる。
CH2=CR−COO−((CH3)2SiO)m−Si(CH3)3・・・化学式(5)
上記化学式(5)中、Rは水素原子またはメチル基を表わし、mは平均値で15〜45である。
上記化学式(5)中、Rは水素原子またはメチル基を表わし、mは平均値で15〜45である。
第4モノマーの具体例としては、たとえば、変性シリコーンオイル(たとえば、製品名「X−22−174DX」、「X−22−2426」、「X−22−2475」など、いずれも信越シリコーン(株)製)などが挙げられる。
第1〜第4モノマーのうち好ましいモノマーは、第1モノマーおよび第2モノマーであり、より好ましいモノマーは第2モノマーである。
ビニル樹脂におけるモノマー(m)の含有率は、ビニル樹脂の質量に対して10〜90質量%であることが好ましい。この場合、トナー粒子同士の合一を効果的に抑制することができる。上記含有率は、より好ましくは15〜80質量%であり、さらに好ましくは20〜60質量%である。
特に、ビニル樹脂は、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有するモノマー、上記第1モノマー、および上記第2モノマーの3成分を含む共重合体であることが好ましい。この場合、トナー粒子の粒径の均一性を高めることができ、また、記録媒体に対するトナー粒子の定着強度を高めることができる。またこの場合の第1ビニルモノマー(m1)と第2ビニルモノマー(m2)との質量比[(m1):(m2)]は、上記均一性と定着強度のさらなる向上の観点から、好ましくは90:10〜10:90であり、より好ましくは80:20〜20:80であり、さらに好ましくは70:30〜30:70である。
なかでも、シェル樹脂として好適なビニル樹脂は、酸性基および塩基性基を有するビニル樹脂である。コア樹脂のSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値と比して、シェル樹脂のSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値は大きい傾向があるため、コア樹脂と比してシェル樹脂は有機溶剤に溶解しにくい性質を有するが、シェル樹脂がこのようなビニル樹脂である場合、シェル樹脂の有機溶剤に対する溶解性を高めることができる。ビニル樹脂は、その高分子構造内に容易に酸性基と塩基性基とを導入できる点でも、シェル樹脂に適している。
ビニル樹脂に含まれる酸性基としては、エステル基、水酸基、カルボキシル基などが挙げられ、塩基性基としては、アミド基、アミノ基などが挙げられる。ビニル樹脂中の酸性基(acid)と塩基性基(basic)との含有割合[(acid):(basic)]は特に制限されないが、たとえば[1:99〜99:1]であることが好ましく、[20:80〜80:20]であることがより好ましい。この場合、ビニル樹脂はさらに有機溶剤への溶解性に優れる。
(イ) ポリエステル樹脂
ポリエステル樹脂としては、たとえば、アルコール成分と、カルボン酸成分との重縮合物などが使用できる。重縮合反応には、公知の重縮合触媒などが使用できる。
ポリエステル樹脂としては、たとえば、アルコール成分と、カルボン酸成分との重縮合物などが使用できる。重縮合反応には、公知の重縮合触媒などが使用できる。
ポリエステル樹脂において、アルコール成分とカルボン酸成分との混合比率(アルコールに由来する構成単位とカルボン酸に由来する構成単位との比率)は特に限定されない。たとえば、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が好ましくは2/1〜1/5となるように、より好ましくは1.5/1〜1/4となるように、さらに好ましくは1.3/1〜1/3となるように、ポリオールとポリカルボン酸との比率を設定することが好ましい。
シェル樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるアルコールとしては、たとえば、ジオールまたは、3〜8価またはそれ以上の価数を有するアルコール(以下では「ポリオール」と記す)などが挙げられる。
シェル樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるジオール(以下では「第1ジオール」と記す)としては、たとえば、炭素数が2〜30のアルキレングリコール(たとえば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコールおよび2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど)、Mn=106〜10000のアルキレンエーテルグリコール(たとえばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコールなど)、炭素数が6〜24の脂環式ジオール(たとえば1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび水素添加ビスフェノールAなど)、Mn=100以上10000以下の上記脂環式ジオール(AO2〜100モル)付加物(たとえば1,4−シクロヘキサンジメタノール(EO10モル)付加物など)、炭素数が15〜30のビスフェノール類(たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSなど)(AO2〜100モル)付加物、炭素数が12〜24のポリフェノール(たとえばカテコール、ハイドロキノンおよびレゾルシンなど)(AO2〜100モル)付加物(たとえば、ビスフェノールA(EO2〜4モル)付加物、およびビスフェノールA(PO2〜4モル)付加物など)、Mw=100以上5000以下のポリラクトンジオール(たとえばポリ−ε−カプロラクトンジオールなど)、およびMwが1000以上20000以下のポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
なお本明細書において「Mw」は質量平均分子量を意味する。また、略語に関し、「AO」は炭素数が2〜4の「アルキレンオキサイド」を意味し、「PO」はプロピレンオキサイドを意味する。すなわち、「AO」には、EO、POおよびブチレンオキサイドが含まれる。たとえば「脂環式ジオール(AO2〜100モル)付加物」とは、脂環式ジオールに対してAOが2〜100モル付加されて構成された付加物を意味する。以下このような標記に関し、同様の化合物を意味する。
特に、第1ジオールは、アルキレングリコールおよびビスフェノール類のAO付加物のずれかがより好ましく、より好ましいのはビスフェノール類AO付加物、および該付加物とアルキレングリコールとの混合物である。
シェル樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるポリオール(以下「第1ポリオール」と記す)としては、たとえば、3価以上の価数を有し且つ炭素数が3〜10の脂肪族多価アルコール(たとえばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタンおよびソルビトールなど)、炭素数が25〜50のトリスフェノール(AO2〜100モル)付加物(たとえば、トリスフェノール(EO2〜4モル)付加物、およびトリスフェノールポリアミド(PO2〜4モル)付加物など)、n=3〜50のノボラック樹脂(たとえばフェノールノボラックおよびクレゾールノボラックなど)(AO2〜100モル)付加物(たとえば、フェノールノボラック(PO2モル付加物)、およびフェノールノボラック(たとえば、EO4モル付加物など))、炭素数が6〜30のポリフェノール(たとえばピロガロール、フロログルシノールおよび1,2,4−ベンゼントリオールなど)(AO2〜100モル)付加物(たとえば、ピロガロール(EO4モル)付加物など)、n=20〜2000のアクリルポリオール{たとえば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他の重合性二重結合を有するモノマー[たとえば、スチレン、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルなど]との共重合物など}などが挙げられる。第1ポリオールは、好ましくは脂肪族多価アルコールおよびノボラック樹脂AO付加物であり、より好ましいのはボラック樹脂AO付加物である。
シェル樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるカルボン酸としては、ジカルボン酸、および3価以上の価数を有するカルボン酸(以下では「ポリカルボン酸」と記す)などの他、ポリカルボン酸の酸無水物、およびカルボン酸の低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数が1〜4)などが挙げられる。
シェル樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるジカルボン酸(以下では「第1ジカルボン酸」と記す)としては、たとえば、炭素数が4〜32のアルカンジカルボン酸(たとえば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸およびオクタデカンジカルボン酸など)、炭素数が4〜32のアルケンジカルボン酸(たとえばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸およびメサコン酸など)、炭素数が8〜40の分岐アルケンジカルボン酸[たとえば、ダイマー酸およびアルケニルコハク酸(たとえば、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸もしくはオクタデセニルコハク酸など)など]、炭素数が12〜40の分岐アルカンジカルボン酸[たとえば、アルキルコハク酸(たとえば、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸およびオクタデシルコハク酸など)など]、炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸(たとえば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。第1ジカルボン酸は、好ましくはアルケンジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸であり、より好ましくは芳香族ジカルボン酸である。
シェル樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるポリカルボン酸(以下、「第1ポリカルボン酸」と記す)としては、たとえば、炭素数が9〜20の芳香族ポリカルボン酸(たとえばトリメリット酸およびピロメリット酸など)などが挙げられる。
シェル樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるポリカルボン酸の酸無水物としては、たとえば、上記の第1ジカルボン酸の酸無水物、および上記第1ポリカルボン酸の酸無水物などがある。具体的には、トリメリット酸無水物、およびピロメリット酸無水物などが挙げられる。
シェル樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるポリカルボン酸の低級アルキル(アルキル基の炭素数が1〜4)エステルとしては、たとえば、第1ジカルボン酸の低級アルキルエステル、および第1ポリカルボン酸の低級アルキルエステルなどがある。具体的には、メチルエステル、エチルエステルおよびイソプロピルエステルなどが挙げられる。
(ウ) ポリウレタン樹脂
ポリウレタン樹脂としては、たとえば、ポリイソシアネートと活性水素含有化合物{たとえば、水、アルコール[たとえば上記第1ジオール(ヒドロキシル基とは異なる官能基をさらに有するジオールを含む)および上記第1ポリオールなど]、カルボン酸(たとえば上記第1ジカルボン酸および上記第1ポリカルボン酸など)との重縮合により得られるポリエステルポリオール、炭素数6〜12のラクトンの開環重合体、ポリアミン、ポリチオール、これらの併用など}との重付加物が挙げられる。また、ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネートと上記活性水素含有化合物との反応により得られる末端イソシアネート基プレポリマーと、当該プレポリマーのイソシアネート基に対して等量の1級モノアミンおよび2級モノアミンのうちの少なくとも1つとを反応させて得られるアミノ基含有ポリウレタン樹脂を使用しても良い。ポリウレタン樹脂におけるカルボキシル基の含有率は、好ましくは0.1〜10質量%である。
ポリウレタン樹脂としては、たとえば、ポリイソシアネートと活性水素含有化合物{たとえば、水、アルコール[たとえば上記第1ジオール(ヒドロキシル基とは異なる官能基をさらに有するジオールを含む)および上記第1ポリオールなど]、カルボン酸(たとえば上記第1ジカルボン酸および上記第1ポリカルボン酸など)との重縮合により得られるポリエステルポリオール、炭素数6〜12のラクトンの開環重合体、ポリアミン、ポリチオール、これらの併用など}との重付加物が挙げられる。また、ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネートと上記活性水素含有化合物との反応により得られる末端イソシアネート基プレポリマーと、当該プレポリマーのイソシアネート基に対して等量の1級モノアミンおよび2級モノアミンのうちの少なくとも1つとを反応させて得られるアミノ基含有ポリウレタン樹脂を使用しても良い。ポリウレタン樹脂におけるカルボキシル基の含有率は、好ましくは0.1〜10質量%である。
シェル樹脂として使用可能なポリウレタン樹脂の材料となるポリイソシアネート(以下「第1ポリイソシアネート」と記す)としては、たとえば、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下「(ウ) ポリウレタン樹脂」においては同様。)が6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数が2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの変性物(たとえば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基およびオキサゾリドン基などを含有する変性物)などが挙げられる。これら2種以上を併用してもよい。
第1ポリイソシアネートの一例である芳香族ポリイソシアネートとしては、たとえば、1,3−または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(以下では「TDI」と記す。TDIはtolylene diisocyanateの略語である)、粗製TDI、m−またはp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と記す。MDIはdiphenyl methane diisocyanateの略語である)、粗製MDI{たとえば、粗製ジアミノフェニルメタン[たとえば、ホルムアルデヒドと芳香族アミン(1種であっても良いし2種以上を併用しても良い)との重縮合物、およびジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20質量%)の3以上のアミン基を有するポリアミンとの混合物など]のホスゲン化物、およびポリアリルポリイソシアネートなど}、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、およびm−またはp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。これら2種以上を併用してもよい。
第1ポリイソシアネートの一例である脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば鎖状脂肪族ポリイソシアネートおよび環状脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
第1ポリイソシアネートの一例である鎖状脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下では「HDI」と記す。HDIはHexamethylene diisocyanateの略語である)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、および2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。これら2種以上を併用してもよい。
第1ポリイソシアネートの一例である環状脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば、イソホロンジイソシアネート(以下では「IPDI」と記す。IPDIはisophorone diisocyanateの略語である)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、および2,5−または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。これら2種以上を併用してもよい。
第1ポリイソシアネートの一例であるポリイソシアネートの変性物としては、たとえば、変性MDI(たとえば、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDIまたはトリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど)、ウレタン変性TDI、これら2種以上の併用[たとえば、変性MDIとウレタン変性TDI(たとえばイソシアネート含有プレポリマーなど)との併用など]などが挙げられる。
第1ポリイソシアネートとしては、好ましくは炭素数が6〜15の芳香族ポリイソシアネートまたは炭素数が4〜15の脂肪族ポリイソシアネートの使用であり、より好ましくはTDI、MDI、HDI、水添MDIまたはIPDIの使用である。
シェル樹脂として使用可能なポリウレタン樹脂の材料となるポリアミン(以下では「第1ポリアミン」と記す)としては、たとえば炭素数が2〜18の脂肪族ポリアミン、および芳香族ポリアミン(たとえば炭素数が6〜20)などが挙げられる。
第1ポリアミンの一例である炭素数が2〜18の脂肪族ポリアミンとしては、たとえば、鎖状脂肪族ポリアミン、鎖状脂肪族ポリアミンのアルキル(炭素数が1〜4)置換体、鎖状脂肪族ポリアミンのヒドロキシアルキル(炭素数が2〜4)置換体、環状脂肪族ポリアミンなどが挙げられる。
上記鎖状脂肪族ポリアミンとしては、たとえば、炭素数が2〜12のアルキレンジアミン(たとえば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンまたはヘキサメチレンジアミンなど)、ポリアルキレン(炭素数が2〜6)ポリアミン[たとえば、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンまたはペンタエチレンヘキサミンなど]などが挙げられる。
上記鎖状脂肪族ポリアミンのアルキル(炭素数が1〜4)置換体および鎖状脂肪族ポリアミンのヒドロキシアルキル(炭素数が2〜4)置換体としては、たとえば、ジアルキル(炭素数が1〜3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなどが挙げられる。
上記環状脂肪族ポリアミンとしては、たとえば、炭素数が4〜15の脂環式ポリアミン[たとえば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど]、炭素数が4〜15の複素環式ポリアミン[たとえば、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、および1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジンなど]などが挙げられる。
第1ポリアミンの一例である芳香族ポリアミン(たとえば炭素数が6〜20)としては、たとえば、非置換芳香族ポリアミン、アルキル基(たとえば、メチル基、エチル基、n−またはイソプロピル基またはブチル基などの炭素数が1〜4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミン、電子吸引基(たとえば、Cl、Br、IまたはFなどのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、ニトロ基など)を有する芳香族ポリアミン、2級アミノ基を有する芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
上記非置換芳香族ポリアミンとしては、たとえば、1,2−、1,3−または1,4−フェニレンジアミン、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(たとえば、ポリフェニルポリメチレンポリアミンなど)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、およびナフチレンジアミンなどが挙げられる。これら2種以上を併用してもよい。
上記のアルキル基を有する芳香族ポリアミンとしては、たとえば、2,4−または2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、および3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホンなどが挙げられる。これら2種以上を併用してもよい。
上記の電子吸引基を有する芳香族ポリアミンとしては、たとえば、メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフィド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、および4−アミノフェニル−2−クロロアニリンなどが挙げられる。
上記の2級アミノ基を有する芳香族ポリアミンとしては、たとえば、上記非置換芳香族ポリアミン、上記アルキル基を有する芳香族ポリアミンおよび上記電子吸引基を有する芳香族ポリアミンにおける−NH2の一部または全部が−NH−R’(R’は、アルキル基を表し、たとえばメチル基またはエチル基などの炭素数が1〜4の低級アルキル基を表わす)で置換されたもの[たとえば、4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど]、ポリアミドポリアミン、ジカルボン酸(たとえばダイマー酸など)と過剰(ジカルボン酸1モルに対して2モル以上)のポリアミン類(たとえば上記アルキレンジアミンまたはポリアルキレンポリアミンなど)との重縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン、ポリエーテルポリアミン、ポリエーテルポリオール(たとえばポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物などが挙げられる。
シェル樹脂として使用可能なポリウレタン樹脂の材料となるポリチオール(以下では「第1ポリチオール」と記す)としては、たとえば、炭素数が2〜36のアルカンジチオール(たとえば、エタンジチオール、1,4−ブタンジチオールおよび1,6−ヘキサンジチオールなど)などが挙げられる。
シェル樹脂として使用可能なポリウレタン樹脂の材料となる1級モノアミンおよびは2級モノアミンとしては、たとえば、炭素数が2〜24のアルキルアミン(たとえば、エチルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジエチルアミン、n−ブチル−n−ドデシルアミンなど)などが挙げられる。
(エ) エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、たとえば、ポリエポキシドの開環重合物、ポリエポキシドと活性水素含有化合物(たとえば、水、上記第1ジオール、上記第1ジカルボン酸、上記第1ポリアミンまたは上記第1ポリチオールなど)との重付加物、ポリエポキシドと上記第1ジカルボン酸の酸無水物との硬化物などが挙げられる。
エポキシ樹脂としては、たとえば、ポリエポキシドの開環重合物、ポリエポキシドと活性水素含有化合物(たとえば、水、上記第1ジオール、上記第1ジカルボン酸、上記第1ポリアミンまたは上記第1ポリチオールなど)との重付加物、ポリエポキシドと上記第1ジカルボン酸の酸無水物との硬化物などが挙げられる。
シェル樹脂として使用可能なエポキシ樹脂の材料となるポリエポキシド(以下では「第1ポリエポキシド」と記す)は、2個以上のエポキシ基を分子内に有するのであれば特に限定されない。上記硬化物の機械的性質の観点から、第1ポリエポキシドとして好ましいものは分子内にエポキシ基を2個有するものである。第1ポリエポキシドのエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、好ましくは65〜1000であり、より好ましくは90〜500である。エポキシ当量が1000以下であれば、上記硬化物の架橋構造が密となり、上記硬化物の物性(耐水性、耐薬品性または機械的強度など)が向上する。一方、エポキシ当量が65未満であれば、第1ポリエポキシドの合成が困難となることがある。
第1ポリエポキシドとしては、たとえば芳香族ポリエポキシ化合物および脂肪族ポリエポキシ化合物などが挙げられる。
第1ポリエポキシドの一例である芳香族ポリエポキシ化合物としては、たとえば、多価フェノールのグリシジルエーテル体、芳香族多価カルボン酸のグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン、およびアミノフェノールのグリシジル化物などが挙げられる。
第1ポリエポキシドの一例である多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、たとえば、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−t−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノール樹脂のグリシジルエーテル体、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、2モルのビスフェノールAと3モルのエピクロロヒドリンとの反応により得られるジグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒドまたはホルムアルデヒドとの重縮合により得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、レゾルシンとアセトンとの重縮合により得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体などが挙げられる。
第1ポリエポキシドの一例である芳香族多価カルボン酸のグリシジルエステル体としては、たとえば、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、およびテレフタル酸ジグリシジルエステルなどが挙げられる。
第1ポリエポキシドの一例であるグリシジル芳香族ポリアミンとしては、たとえば、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、およびN,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミンなどが挙げられる。
第1ポリエポキシドの一例である芳香族ポリエポキシ化合物としては、上記列挙した化合物以外に、アミノフェノールのグリシジル化物(たとえばp−アミノフェノールのトリグリシジルエーテルなど)、TDIまたはジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールとの反応により得られるジグリシジルウレタン化合物、TDIまたはMDIとグリシドールとポリオールとの反応により得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマー、ビスフェノールAに対してAOが付加されて構成された付加物のジグリシジルエーテル体などが挙げられる。
第1ポリエポキシドの一例である脂肪族ポリエポキシ化合物としては、たとえば、鎖状脂肪族ポリエポキシ化合物、環状脂肪族ポリエポキシ化合物、およびジグリシジルエーテルとグリシジル(メタ)アクリレートとの共重合体などが挙げられる。
第1ポリエポキシドの一例である鎖状脂肪族ポリエポキシ化合物としては、たとえば、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体、およびグリシジル脂肪族アミンなどが挙げられる。
第1ポリエポキシドの一例である多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、たとえば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、およびポリグリセロールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
第1ポリエポキシドの一例である多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、たとえば、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、およびジグリシジルピメレートなどが挙げられる。
第1ポリエポキシドの一例であるグリシジル脂肪族アミンとしては、たとえばN,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。
第1ポリエポキシドの一例である環状脂肪族ポリエポキシ化合物としては、たとえば、トリスグリシジルメラミン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン、およびダイマー酸ジグリシジルエステルなどが挙げられる。また、第1ポリエポキシドの一例である環状脂肪族ポリエポキシ化合物としては、第1ポリエポキシドの一例である芳香族ポリエポキシ化合物の水添化物を挙げることもできる。
(オ) ポリアミド樹脂
ポリアミド樹脂としては、たとえば、ラクタムの開環重合体、アミノカルボン酸の重縮合物、または、ポリカルボン酸とポリアミンとの重縮合物などが挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、たとえば、ラクタムの開環重合体、アミノカルボン酸の重縮合物、または、ポリカルボン酸とポリアミンとの重縮合物などが挙げられる。
(カ) ポリイミド樹脂
ポリイミド樹脂としては、たとえば、脂肪族ポリイミド樹脂(たとえば脂肪族カルボン酸二無水物と脂肪族ジアミンとの反応により得られる重縮合物など)、および芳香族ポリイミド樹脂(たとえば芳香族カルボン酸二無水物と脂肪族ジアミまたは芳香族ジアミンとの反応により得られる重縮合物など)などが挙げられる。
ポリイミド樹脂としては、たとえば、脂肪族ポリイミド樹脂(たとえば脂肪族カルボン酸二無水物と脂肪族ジアミンとの反応により得られる重縮合物など)、および芳香族ポリイミド樹脂(たとえば芳香族カルボン酸二無水物と脂肪族ジアミまたは芳香族ジアミンとの反応により得られる重縮合物など)などが挙げられる。
(キ) ケイ素樹脂
ケイ素樹脂としては、たとえば、分子内に、ケイ素−ケイ素結合、ケイ素−炭素結合、シロキサン結合およびケイ素−窒素結合などのうちの少なくとも1つを有する化合物(たとえば、ポリシロキサン、ポリカルボシランおよびポリシラザンなど)などが挙げられる。
ケイ素樹脂としては、たとえば、分子内に、ケイ素−ケイ素結合、ケイ素−炭素結合、シロキサン結合およびケイ素−窒素結合などのうちの少なくとも1つを有する化合物(たとえば、ポリシロキサン、ポリカルボシランおよびポリシラザンなど)などが挙げられる。
(ク) フェノール樹脂
フェノール樹脂としては、たとえば、フェノール類(たとえば、フェノール、クレゾール、ノニルフェノール、リグニン、レゾルシンおよびカテコールなど)とアルデヒド類(たとえば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドおよびフルフラールなど)との反応により得られる重縮合物などが挙げられる。
フェノール樹脂としては、たとえば、フェノール類(たとえば、フェノール、クレゾール、ノニルフェノール、リグニン、レゾルシンおよびカテコールなど)とアルデヒド類(たとえば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドおよびフルフラールなど)との反応により得られる重縮合物などが挙げられる。
(ケ) メラミン樹脂
メラミン樹脂としては、たとえばメラミンとホルムアルデヒドとの反応より得られる重縮合物などが挙げられる。
メラミン樹脂としては、たとえばメラミンとホルムアルデヒドとの反応より得られる重縮合物などが挙げられる。
(コ) ユリア樹脂
ユリア樹脂としては、たとえば尿素とホルムアルデヒドとの反応により得られる重縮合物などをなどが挙げられる。
ユリア樹脂としては、たとえば尿素とホルムアルデヒドとの反応により得られる重縮合物などをなどが挙げられる。
(サ) アニリン樹脂
アニリン樹脂としては、たとえばアニリンとアルデヒド類とを酸性下で反応して得られるものなどが挙げられる。
アニリン樹脂としては、たとえばアニリンとアルデヒド類とを酸性下で反応して得られるものなどが挙げられる。
(シ) アイオノマー樹脂
アイオノマー樹脂としては、たとえば、重合性二重結合を有するモノマー(たとえば、α−オレフィン系モノマー、スチレン系モノマーなど)とα,β−不飽和カルボン酸(たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸およびマレイン酸モノエチルエステルなど)との共重合体で当該共重合体中のカルボン酸の一部または全部がカルボン酸塩(たとえば、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩など)などが挙げられる。
アイオノマー樹脂としては、たとえば、重合性二重結合を有するモノマー(たとえば、α−オレフィン系モノマー、スチレン系モノマーなど)とα,β−不飽和カルボン酸(たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸およびマレイン酸モノエチルエステルなど)との共重合体で当該共重合体中のカルボン酸の一部または全部がカルボン酸塩(たとえば、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩など)などが挙げられる。
(ス) ポリカーボネート樹脂
ポリカーボネート樹脂としては、たとえば、ビスフェノール類(たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSなど)とホスゲンまたは炭酸ジエステルなどとの重縮合物などを使用できる。
ポリカーボネート樹脂としては、たとえば、ビスフェノール類(たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSなど)とホスゲンまたは炭酸ジエステルなどとの重縮合物などを使用できる。
(シェル樹脂の結晶性)
シェル樹脂は、結晶性樹脂であっても良いし、非晶性樹脂であっても良いし、結晶性樹脂と非晶性樹脂との混合物であっても良い。トナー粒子の定着性の観点から、シェル樹脂は結晶性樹脂であることが好ましい。
シェル樹脂は、結晶性樹脂であっても良いし、非晶性樹脂であっても良いし、結晶性樹脂と非晶性樹脂との混合物であっても良い。トナー粒子の定着性の観点から、シェル樹脂は結晶性樹脂であることが好ましい。
本明細書において「結晶性」とは、樹脂の軟化点(以下「Tm」と記す)と樹脂の融解熱の最大ピーク温度(以下「Ta」と記す)との比(Tm/Ta)が0.8〜1.55であることを意味し、示差走査熱量測定(DSC(Differential Scanning Calorimetry))により得られた結果が階段状の吸熱量変化を示すのではなく明確な吸熱ピークを有することを意味する。また「非晶性」とは、TmとTaとの比(Tm/Ta)が1.55より大きいことを意味する。TmおよびTaは以下の方法で測定することができる。
高化式フローテスター(たとえば株式会社島津製作所製の品番「CFT−500D」)を用いてTmを測定することができる。具体的には、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーにより上記測定試料に1.96MPaの荷重を与え、直径1mmおよび長さ1mmのノズルから上記測定試料を押し出す。そして、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」との関係をグラフに描く。プランジャーの降下量が当該降下量の最大値の1/2であるときの温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分がノズルから押し出されたときの温度)をTmとする。
示差走査熱量計(たとえばセイコーインスツル株式会社製の品番「DSC210」)を用いてTaを測定することができる。具体的には、まず、Taを測定するために用いる試料に対して前処理を行なう。試料を、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分の速度で降温させ、その後、70℃から10℃まで0.5℃/分の速度で降温させる。次に、DSC法により、試料を昇温速度20℃/分で昇温させて当該試料の吸発熱変化を測定し、「吸発熱量」と「温度」との関係をグラフに描く。このとき、20〜100℃に観測される吸熱ピークの温度をTa’とする。吸熱ピークが複数ある場合には最も吸熱量が大きいピークの温度をTa’とする。そして、試料を、(Ta’−10)℃で6時間保管した後、(Ta’−15)℃で6時間保管する。
試料に対する前処理が終了したら、DSC法により、上記前処理が施された試料を降温速度10℃/分で0℃まで冷却してから昇温速度20℃/分で昇温させる。このようにして測定された吸発熱変化から、「吸発熱量」と「温度」との関係をグラフに描く。そして、吸熱量が最大値をとったときの温度を融解熱の最大ピーク温度(Ta)とする。
(シェル樹脂の融解熱)
シェル樹脂において、好ましくは、DSC法により測定されたシェル樹脂の溶融熱が下記数式(1)および(2)を満たす。
5≦H1≦70・・・数式(1)
0.2≦H2/H1≦1.0・・・数式(2)
上記数式(1)および(2)において、H1は、DSC法による初回昇温時の融解熱(J/g)を表し、H2は、DSC法による2回目昇温時の融解熱(J/g)を表す。
シェル樹脂において、好ましくは、DSC法により測定されたシェル樹脂の溶融熱が下記数式(1)および(2)を満たす。
5≦H1≦70・・・数式(1)
0.2≦H2/H1≦1.0・・・数式(2)
上記数式(1)および(2)において、H1は、DSC法による初回昇温時の融解熱(J/g)を表し、H2は、DSC法による2回目昇温時の融解熱(J/g)を表す。
H1は、シェル樹脂の溶融速度の指標である。一般に、融解熱を有する樹脂は、シャープメルト性を有するため、少ないエネルギーで溶融する。シェル樹脂のH1が70を超えると、定着エネルギーの低減を図ることが難しい。そのため、トナー粒子の定着性の低下を招く。一方、シェル樹脂のH1が5未満であれば、定着エネルギーが少なくなり過ぎるため、ドキュメントオフセットが発生し易くなる。しかし、シェル樹脂のH1が上記数式(1)を満たせば、ドキュメントオフセットの発生を防止でき、また、トナー粒子の定着性の低下を防止できる。好ましくは6≦H1≦65であり、より好ましくは7≦H1≦65である。
上記数式(2)におけるH2/H1は、シェル樹脂の結晶化速度の指標である。一般に、樹脂からなる粒子(樹脂粒子)を溶融させた後に冷却して使用する場合、当該樹脂粒子中の結晶成分に結晶化されていない部分が存在していれば、当該樹脂粒子の抵抗値が下がる、または、当該樹脂粒子が可塑化されるなどという不具合が生じる。このような不具合が発生すると、冷却により得られた樹脂粒子の性能が当初設計した性能と異なることがある。以上のことから、樹脂粒子中の結晶成分を速やかに結晶化させ、樹脂粒子の性能に影響を与えないようにする必要がある。H2/H1は、より好ましくは0.3以上であり、更に好ましくは0.4以上である。また、シェル樹脂の結晶化速度が速ければ、H2/H1は1.0に近づくため、H2/H1は、1.0に近い値を取ることが好ましい。
なお、上記数式(2)におけるH2/H1は、理論的には1.0を超えないが、DSC法による実測値では1.0を超えることがある。DSC法による実測値(H2/H1)が1.0を超えた場合も、上記数式(2)を満たすものとする。
H1およびH2は、JIS−K7122(1987)「プラスチックの転移熱測定方法」に準拠して測定することができる。具体的には、まず、シェル樹脂を5mg採取して、アルミパンに入れる。示差走査熱量測定装置(たとえば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の品番「RDC220」またはセイコーインスツル株式会社製の品番「DSC20」など)を用いて、昇温速度を毎分10℃として、溶融によるシェル樹脂の吸熱ピークにおける温度(融点)を測定し、吸熱ピークの面積S1を求める。そして、求められた吸熱ピークの面積S1から、H1を算出することができる。H1を算出してから、冷却速度を90℃/分として0℃まで冷却した後、昇温速度を毎分10℃として、溶融によるシェル樹脂の吸熱ピークにおける温度(融点)を測定し、吸熱ピークの面積S2を求める。そして、求められた吸熱ピークの面積S2から、H2を算出することができる。
H1およびH2は、示差走査熱量計(たとえばセイコーインスツル株式会社製の品番「DSC210」)を用いて、以下に示す方法にしたがって測定することもできる。まず、0℃から180℃まで10℃/分の速度で標準試料とシェル樹脂とを加熱し、標準試料の熱量とシェル樹脂の熱量との差を測定する。測定された熱量の差がシェル樹脂のDSC法による溶融熱H1である。その後、冷却速度を90℃/分として0℃まで冷却した後、0℃から180℃まで10℃/分の速度で標準試料とシェル樹脂とを加熱し、標準試料の熱量とシェル樹脂の熱量との差を測定する。測定された熱量の差がシェル樹脂のDSC法による溶融熱H2である。
(シェル樹脂の融点またはガラス転移点)
シェル樹脂の融点またはガラス転移点は、好ましくは0℃以上220℃以下であり、より好ましくは30℃以上200℃以下であり、さらに好ましくは40℃以上80℃以下である。トナー粒子の粒度分布、液体現像剤の粉体流動性、液体現像剤の耐熱保存安定性および液体現像剤の耐ストレス性などの観点から、シェル樹脂の融点は液体現像剤を製造するときの温度以上であることが好ましい。シェル樹脂の融点またはガラス転移点が液体現像剤を製造するときの温度よりも低ければ、トナー粒子同士の合一を防止し難くなることがあり、また、トナー粒子の***を防止し難くなることがある。さらに、トナー粒子の粒度分布に現れるピークがシャープになり難くなることがあり、つまりトナー粒子の粒径のバラツキが大きくなることがある。
シェル樹脂の融点またはガラス転移点は、好ましくは0℃以上220℃以下であり、より好ましくは30℃以上200℃以下であり、さらに好ましくは40℃以上80℃以下である。トナー粒子の粒度分布、液体現像剤の粉体流動性、液体現像剤の耐熱保存安定性および液体現像剤の耐ストレス性などの観点から、シェル樹脂の融点は液体現像剤を製造するときの温度以上であることが好ましい。シェル樹脂の融点またはガラス転移点が液体現像剤を製造するときの温度よりも低ければ、トナー粒子同士の合一を防止し難くなることがあり、また、トナー粒子の***を防止し難くなることがある。さらに、トナー粒子の粒度分布に現れるピークがシャープになり難くなることがあり、つまりトナー粒子の粒径のバラツキが大きくなることがある。
本明細書では、融点およびガラス転移点は、示差走査熱量測定装置(セイコーインスツル株式会社製の製品名「DSC20」または製品名「SSC/580」)を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法に準拠して、測定されたものである。
(シェル樹脂のMnおよびMw)
シェル樹脂のMnは、好ましくは100〜5000000であり、好ましくは200〜5000000であり、より好ましくは500〜500000である。この場合、製造されるトナー粒子の表面の平滑性を向上させることができる。これに対し、シェル樹脂のMnが大きすぎると、表面にザラつきのあるトナー粒子が得られやすく、シェル樹脂のMnが小さすぎると、トナー粒子の造粒が困難となる傾向がある。
シェル樹脂のMnは、好ましくは100〜5000000であり、好ましくは200〜5000000であり、より好ましくは500〜500000である。この場合、製造されるトナー粒子の表面の平滑性を向上させることができる。これに対し、シェル樹脂のMnが大きすぎると、表面にザラつきのあるトナー粒子が得られやすく、シェル樹脂のMnが小さすぎると、トナー粒子の造粒が困難となる傾向がある。
シェル樹脂のMwは、好ましくは100〜1000000であり、より好ましくは1000〜500000であり、さらに好ましくは2000〜200000であり、特に好ましくは3000〜100000である。この場合、製造されるトナー粒子の表面の平滑性を向上させることができる。これに対し、シェル樹脂のMwが大きすぎると、表面にザラつきのあるトナー粒子が得られやすく、シェル樹脂のMwが小さすぎると、トナー粒子の造粒が困難となる傾向がある。
本明細書において、樹脂(ポリウレタン樹脂を除く)のMnおよびMwは、テトラヒドロフラン(以下では「THF」と記す。THFはtetrahydrofuranの略語である)の可溶分について、GPCを用いて、以下の条件で測定されたものである。
測定装置:東ソー株式会社製の品番「HLC−8120」
カラム:東ソー株式会社製の品番「TSKgelGMHXL」(2本)と東ソー株式会社製の品番「TSKgelMultiporeHXL−M」(1本)
試料溶液:0.25質量%のTHF溶液
カラムへのTHF溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン(東ソー株式会社製の品番「TSK standard PОLYSTYRENE」12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000))。
測定装置:東ソー株式会社製の品番「HLC−8120」
カラム:東ソー株式会社製の品番「TSKgelGMHXL」(2本)と東ソー株式会社製の品番「TSKgelMultiporeHXL−M」(1本)
試料溶液:0.25質量%のTHF溶液
カラムへのTHF溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン(東ソー株式会社製の品番「TSK standard PОLYSTYRENE」12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000))。
本明細書において、ポリウレタン樹脂のMnおよびMwは、GPCを用いて、以下の条件で測定されたものである。
測定装置:東ソー株式会社製の品番「HLC−8220GPC」
カラム:「Guardcоlumn α」(1本)と「TSKgel α―M」(1本)
試料溶液:0.125質量%のジメチルホルムアミド溶液
カラムへのジメチルホルムアミド溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン(東ソー株式会社製の品番「TSK standard PОLYSTYRENE」12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000))。
測定装置:東ソー株式会社製の品番「HLC−8220GPC」
カラム:「Guardcоlumn α」(1本)と「TSKgel α―M」(1本)
試料溶液:0.125質量%のジメチルホルムアミド溶液
カラムへのジメチルホルムアミド溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン(東ソー株式会社製の品番「TSK standard PОLYSTYRENE」12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000))。
(シェル樹脂のSP値)
シェル樹脂のSP値は、好ましくは7〜18(cal/cm3)1/2であり、より好ましくは8〜14(cal/cm3)1/2以下である。
シェル樹脂のSP値は、好ましくは7〜18(cal/cm3)1/2であり、より好ましくは8〜14(cal/cm3)1/2以下である。
またシェル樹脂のSP値と後述するコア樹脂のSP値との差の絶対値は、好ましくは0.01〜5.0であり、より好ましくは0.1〜3.0であり、さらに好ましくは0.2〜2.0である。この場合、製造されるトナー粒子の表面の平滑性を向上させることができる。これに対し、上記差の絶対値が小さすぎると、表面が平滑であっても形状が歪なトナー粒子が得られやすく、上記差の絶対値が大きすぎると、形状は球形であっても表面にザラつきのあるトナー粒子が得られやすい。
(コア樹脂)
コア樹脂は、トナー粒子においてコア粒子を構成する樹脂である。このようなコア樹脂には、従来公知の樹脂を特に限定されることなく使用できるが、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびビニル樹脂のうちの少なくとも1つを使用することが好ましく、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂のうちの少なくとも1つを使用することがより好ましい。
コア樹脂は、トナー粒子においてコア粒子を構成する樹脂である。このようなコア樹脂には、従来公知の樹脂を特に限定されることなく使用できるが、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびビニル樹脂のうちの少なくとも1つを使用することが好ましく、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂のうちの少なくとも1つを使用することがより好ましい。
(セ) ポリエステル樹脂
ポリエステル樹脂としては、たとえば、アルコールと、カルボン酸、カルボン酸の酸無水物またはカルボン酸の低級アルキルエステルとの重縮合物、または、これらの重縮合物の金属塩などが挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、たとえば、アルコールと、カルボン酸、カルボン酸の酸無水物またはカルボン酸の低級アルキルエステルとの重縮合物、または、これらの重縮合物の金属塩などが挙げられる。
ポリエステル樹脂において、アルコールとカルボン酸との混合比率は特に限定されない。たとえば、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、好ましくは2/1〜1/5となるように、より好ましくは1.5/1〜1/4となるように、さらに好ましくは1.3/1〜1/3となるように、アルコールとカルボン酸との混合比率を設定することが好ましい。
コア樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるアルコールとしては、たとえば、ジオールまたは、3〜8価またはそれ以上の価数を有するアルコール(以下では「ポリオール」と記す)などが挙げられる。
コア樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるジオール(以下では「第2ジオールと記す」)としては、たとえば、炭素数2〜36のアルキレングリコール(たとえば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコールおよび2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど)、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(たとえば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールなど)、炭素数4〜36の脂環式ジオール(たとえば1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび水素添加ビスフェノールAなど)、上記アルキレングリコール(AO1〜120モル)付加物、上記脂環式ジオール(AO1〜120モル)付加物、ビスフェノール類(たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSなど)(AO2〜30モル)付加物、ポリラクトンジオール(たとえばポリε−カプロラクトンジオールなど)、およびポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
第2ジオールとしては、ヒドロキシル基以外の官能基を有さないジオールに限定されず、ヒドロキシル基とは異なる官能基をさらに有するジオールを用いてもよい。このようなジオールとしては、たとえば、カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基を有するジオール、スルファミン酸基を有するジオール、およびこれらの塩などが挙げられる。
カルボキシル基を有するジオールとしては、たとえば、ジアルキロールアルカン酸[炭素数が6〜24であるジアルキロールアルカン酸(たとえば、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA(dimethylolpropionic acid))、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸および2,2−ジメチロールオクタン酸など]などが挙げられる。
スルホン酸基またはスルファミン酸基を有するジオールとしては、たとえば、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸、スルホイソフタル酸ジ(エチレングリコール)エステル、スルファミン酸ジオール{N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)または当該スルファミン酸ジオールに対してAOが1〜6モル付加されて構成された付加物[たとえば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸(PO2モル)付加物など]}、およびビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。
これらの塩としては、たとえば、炭素数が3〜30の3級アミン(たとえばトリエチルアミンなど)およびアルカリ金属(たとえばナトリウム塩など)などが挙げられる。
第2ジオールは、好ましくは、炭素数が2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、およびビスフェノール類(AO)付加物のうちの少なくとも1つの使用である。
コア樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるポリオール(以下では「第2ポリオール」と記す)としては、たとえば、炭素数3〜36の脂肪族ポリオール[たとえば、アルカンポリオール、アルカンポリオールの分子内脱水物、およびアルカンポリオールの分子間脱水物(たとえば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン、および糖類またはその誘導体(たとえばショ糖またはメチルグルコシドなど)など]、脂肪族ポリオール(AO2〜120モル)付加物、トリスフェノール類(たとえばトリスフェノールPAなど)(AO2〜30モル)付加物、ノボラック樹脂(たとえばフェノールノボラックまたはクレゾールノボラックなど)(AO2〜30モル)付加物、アクリルポリオール[たとえばヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニルモノマーとの共重合体など]などが挙げられる。好ましくは脂肪族ポリオールまたはノボラック樹脂(AO)付加物の使用であり、より好ましくはノボラック樹脂(AO)付加物の使用である。
コア樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるカルボン酸としては、ジカルボン酸、および3価以上の価数を有するカルボン酸(以下では「ポリカルボン酸」と記す)などの他、ポリカルボン酸の酸無水物、およびカルボン酸の低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数が1〜4)などが挙げられる。
コア樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるジカルボン酸(以下では「第2ジカルボン酸」と記す)としては、たとえば、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(たとえば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸およびデシルコハク酸など)、アルケニルコハク酸(たとえば、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸およびオクタデセニルコハク酸など)、炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸[たとえばダイマー酸(2量化リノール酸)など]、炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(たとえばマレイン酸、フマール酸およびシトラコン酸など)、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(たとえばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。好ましくは、炭素数4〜20のアルケンジカルボン酸または炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸の使用である。
コア樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるポリカルボン酸(以下では「第2ポリカルボン酸」と記す)としては、たとえば炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(たとえばトリメリット酸およびピロメリット酸など)などが挙げられる。
コア樹脂として使用可能なポリエステル樹脂の材料となるカルボン酸としては、上記材料の酸無水物を使用しても良いし、上記材料の低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(たとえば、上記材料のメチルエステル、上記材料のエチルエステルまたは上記材料のイソプロピルエステルなど)を使用しても良い。
コア樹脂として使用可能なポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂の製造方法として従来公知の方法にしたがって製造されたものであっても良い。たとえば、不活性ガス(たとえば窒素ガス等)雰囲気下で、所定の反応温度(たとえば150〜280℃)で、所定の反応時間(たとえば30分以上)、反応させることにより得られたものであっても良い。
このようなポリエステル樹脂の製造時には、エステル化触媒を必要に応じて使用できる。エステル化触媒としては、たとえば、スズ含有触媒(たとえばジブチルスズオキシドなど)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[たとえば、チタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒(たとえば、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、または、これらの分子内重縮合物など)、特開2007−11307号公報に記載の触媒(たとえば、チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、または、チタンジイソプロポキシジテレフタレートなど)]、ジルコニウム含有触媒(たとえば酢酸ジルコニルなど)、または、酢酸亜鉛等を使用できる。
(ソ) ポリウレタン樹脂
ポリウレタン樹脂としては、たとえば、ポリイソシアネートと活性水素含有化合物{たとえば、水、アルコール[たとえば上記第2ジオール(ヒドロキシル基とは異なる官能基をさらに有するジオールを含む)または上記第2ポリオールなど]、カルボン酸[たとえば上記第2ジカルボン酸または上記第2ポリカルボン酸など]との重縮合により得られるポリエステルポリオール、炭素数6〜12のラクトンの開環重合体、ポリアミン、ポリチオール、これらの併用など}との重付加物などを挙げることができる。また、ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネートと上記活性水素含有化合物との反応により得られる末端イソシアネート基プレポリマーと、当該プレポリマーのイソシアネート基に対して等量の1級モノアミンおよび2級モノアミンのうちの少なくとも1つとを反応させて得られるアミノ基含有ポリウレタン樹脂を使用しても良い。ポリウレタン樹脂におけるカルボキシル基の含有率は、好ましくは0.1〜10質量%である。
ポリウレタン樹脂としては、たとえば、ポリイソシアネートと活性水素含有化合物{たとえば、水、アルコール[たとえば上記第2ジオール(ヒドロキシル基とは異なる官能基をさらに有するジオールを含む)または上記第2ポリオールなど]、カルボン酸[たとえば上記第2ジカルボン酸または上記第2ポリカルボン酸など]との重縮合により得られるポリエステルポリオール、炭素数6〜12のラクトンの開環重合体、ポリアミン、ポリチオール、これらの併用など}との重付加物などを挙げることができる。また、ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネートと上記活性水素含有化合物との反応により得られる末端イソシアネート基プレポリマーと、当該プレポリマーのイソシアネート基に対して等量の1級モノアミンおよび2級モノアミンのうちの少なくとも1つとを反応させて得られるアミノ基含有ポリウレタン樹脂を使用しても良い。ポリウレタン樹脂におけるカルボキシル基の含有率は、好ましくは0.1〜10質量%である。
コア樹脂として使用可能なポリウレタン樹脂の材料となるポリイソシアネート(以下では「第2ポリイソシアネート」と記す)としては、たとえば、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下「(ソ) ポリウレタン樹脂」において同様)が6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数が2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数が4〜15の脂環式ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの変性物(たとえば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基およびオキサゾリドン基などを含有する変性物)などを挙げることができる。これらの2種以上を併用してもよい。
第2ポリイソシアネートの一例である芳香族ポリイソシアネートとしては、たとえば、1,3−または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−または2,6−TDI、粗製TDI、2,4’−または4,4’−MDI、粗製MDI{たとえば、粗製ジアミノフェニルメタン[たとえば、ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との重縮合物、ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20質量%)の3以上のアミン基を有するポリアミンとの混合物など]のホスゲン化物、およびポリアリルポリイソシアネート(PAPI)など]}、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−またはp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどを挙げることができる。好ましくは、m−またはp−キシリレンジイソシアネート(xylylene diisocyanate)またはα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(tetramethyl xylylene diisocyanate)の使用である。
第2ポリイソシアネートの一例である脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、HDI、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、および2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどを挙げることができる。
第2ポリイソシアネートの一例である脂環式ポリイソシアネートとしては、たとえば、IPDI、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、および2,5−または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどを挙げることができる。
第2ポリイソシアネートの一例であるポリイソシアネートの変性物としては、たとえば、変性MDI(たとえば、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDIおよびトリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど)、ポリイソシアネートの変性物(たとえばウレタン変性TDIなど)、およびこれらの2種以上の混合物[たとえば、変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]などを挙げることができる。
第2ポリイソシアネートとしては、好ましくは、炭素数6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート、または、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートの使用であり、より好ましくは、TDI、MDI、HDI、水添MDIまたはIPDIの使用である。
コア樹脂として使用可能なポリウレタン樹脂の材料となるポリアミン(以下では「第2ポリアミン」と記す)としては、たとえば脂肪族ポリアミン類(炭素数が2〜18)および芳香族ポリアミン類(炭素数が6〜20)などを挙げることができる。脂肪族ポリアミン類(炭素数が2〜18)としては、たとえば下記〔a〕〜〔d〕を使用でき、芳香族ポリアミン類(炭素数が6〜20)としては、たとえば下記〔e〕〜〔h〕を使用できる。
〔a〕 脂肪族ポリアミン
たとえば、炭素数が2〜6のアルキレンジアミン(たとえば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、およびヘキサメチレンジアミンなど)、およびポリアルキレン(炭素数が2〜6)ポリアミン(たとえば、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、およびペンタエチレンヘキサミンなど)。
たとえば、炭素数が2〜6のアルキレンジアミン(たとえば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、およびヘキサメチレンジアミンなど)、およびポリアルキレン(炭素数が2〜6)ポリアミン(たとえば、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、およびペンタエチレンヘキサミンなど)。
〔b〕 上記〔a〕に記載の脂肪族ポリアミンのアルキル(炭素数が1〜4)またはヒドロキシアルキル(炭素数が2〜4)置換体
たとえば、ジアルキル(炭素数が1〜3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、およびメチルイミノビスプロピルアミンなど。
たとえば、ジアルキル(炭素数が1〜3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、およびメチルイミノビスプロピルアミンなど。
〔c〕 脂環式ポリアミンまたは複素環を含む脂肪族ポリアミン
たとえば、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど。
たとえば、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど。
〔d〕 芳香環を含む脂肪族アミン類
たとえば、炭素数が8〜15の当該アミン類(たとえばキシリレンジアミンおよびテトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)、脂環式ポリアミン(炭素数4〜15)[たとえば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、および4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など]、および複素環式ポリアミン(炭素数4〜15)[たとえば、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、および1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジンなど]。
たとえば、炭素数が8〜15の当該アミン類(たとえばキシリレンジアミンおよびテトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)、脂環式ポリアミン(炭素数4〜15)[たとえば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、および4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など]、および複素環式ポリアミン(炭素数4〜15)[たとえば、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、および1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジンなど]。
〔e〕 非置換芳香族ポリアミン
たとえば、1,2−、1,3−または1,4−フェニレンジアミン、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、およびナフチレンジアミンなど。
たとえば、1,2−、1,3−または1,4−フェニレンジアミン、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、およびナフチレンジアミンなど。
〔f〕 核置換アルキル基[たとえば炭素数が1〜4のアルキル基(たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、およびブチル基)など]を有する芳香族ポリアミン
たとえば、2,4−または2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、および3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン。これらのうちの少なくとも1つとその異性体とが種々の割合で混合されたものであっても良い。
たとえば、2,4−または2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、および3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン。これらのうちの少なくとも1つとその異性体とが種々の割合で混合されたものであっても良い。
〔g〕 核置換電子吸引基(たとえば、Cl,Br,IおよびFなどのハロゲン基、メトキシおよびエトキシなどのアルコキシ基、ニトロ基など)を有する芳香族ポリアミン
メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、および4−アミノフェニル−2−クロロアニリンなど。
メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、および4−アミノフェニル−2−クロロアニリンなど。
〔h〕 2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン
たとえば、上記〔e〕〜〔g〕で列挙された芳香族ポリアミンにおける−NH2の一部または全部が−NH−R’(R’は、アルキル基を表し、たとえばメチル基またはエチル基などの炭素数が1〜4の低級アルキル基を表わす)で置換されたもの[たとえば4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、および1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど]、ポリアミドポリアミン、ジカルボン酸(たとえばダイマー酸など)と過剰(ジカルボン酸1モルに対して2モル以上)のポリアミン類(たとえば上記アルキレンジアミンまたはポリアルキレンポリアミンなど)との重縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン、ポリエーテルポリアミン、ポリエーテルポリオール(たとえばポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など。
たとえば、上記〔e〕〜〔g〕で列挙された芳香族ポリアミンにおける−NH2の一部または全部が−NH−R’(R’は、アルキル基を表し、たとえばメチル基またはエチル基などの炭素数が1〜4の低級アルキル基を表わす)で置換されたもの[たとえば4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、および1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど]、ポリアミドポリアミン、ジカルボン酸(たとえばダイマー酸など)と過剰(ジカルボン酸1モルに対して2モル以上)のポリアミン類(たとえば上記アルキレンジアミンまたはポリアルキレンポリアミンなど)との重縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン、ポリエーテルポリアミン、ポリエーテルポリオール(たとえばポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など。
コア樹脂として使用可能なポリウレタン樹脂の材料となるポリチオール(以下では「第2ポリチオール」と記す)としては、たとえば、炭素数2〜36のアルカンジチオール(たとえば、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオールおよび1,6−ヘキサンジチオールなど)などを挙げることができる。
コア樹脂として使用可能なポリウレタン樹脂の材料となる1級モノアミンおよび2級モノアミンとしては、たとえば、炭素数2〜24のアルキルアミン(たとえば、エチルアミン、n−ブチルアミンおよびイソブチルアミンなど)などを挙げることができる。
(タ) エポキシ樹脂
コア樹脂として使用可能なエポキシ樹脂としては、たとえば、ポリエポキシドの開環重合物、ポリエポキシドと活性水素基含有化合物(たとえば、水、上記第2ジオール、上記第2ポリオール、上記第2ジカルボン酸、上記第2ポリカルボン酸、上記第2ポリアミンおよび上記第2ポリチオールなど])との重付加物、ポリエポキシドと上記第2ジカルボン酸の酸無水物、および上記第2ポリカルボン酸の酸無水物との硬化物などを挙げることができる。
コア樹脂として使用可能なエポキシ樹脂としては、たとえば、ポリエポキシドの開環重合物、ポリエポキシドと活性水素基含有化合物(たとえば、水、上記第2ジオール、上記第2ポリオール、上記第2ジカルボン酸、上記第2ポリカルボン酸、上記第2ポリアミンおよび上記第2ポリチオールなど])との重付加物、ポリエポキシドと上記第2ジカルボン酸の酸無水物、および上記第2ポリカルボン酸の酸無水物との硬化物などを挙げることができる。
コア樹脂として使用可能なエポキシ樹脂の材料となるポリエポキシド(以下では「第2ポリエポキシド」と記す)は、2個以上のエポキシ基を分子内に有するのであれば特に限定されない。上記硬化物の機械的性質の観点から、第2ポリエポキシドとして好ましいものは分子内にエポキシ基を2〜6個有するものである。第2ポリエポキシドのエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、好ましくは65〜1000であり、より好ましくは90〜500である。エポキシ当量が1000以下であれば、上記硬化物の架橋構造が密となり、上記硬化物の物性(耐水性、耐薬品性または機械的強度など)が向上する。一方、エポキシ当量が65未満であれば、第2ポリエポキシドの合成が困難となることがある。
第2ポリエポキシドとしては、たとえば、芳香族ポリエポキシ化合物、複素環ポリエポキシ化合物、脂環族ポリエポキシ化合物、および脂肪族ポリエポキシ化合物などが挙げられる。
第2ポリエポキシドの一例である芳香族ポリエポキシ化合物としては、たとえば、多価フェノールのグリシジルエーテル体、多価フェノールのグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン、およびアミノフェノールのグリシジル化物などを挙げることができる。
第2ポリエポキシドの一例である多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、たとえば、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−tret−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノール樹脂のグリシジルエーテル体、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、2モルのビスフェノールAと3モルのエピクロロヒドリンとの反応により得られるジグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒドまたはホルムアルデヒドとの重縮合により得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、および、レゾルシンとアセトンとの重縮合により得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体などを挙げることができる。
第2ポリエポキシドの一例である多価フェノールのグリシジルエステル体としては、たとえば、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、およびテレフタル酸ジグリシジルエステルなどを挙げることができる。
第2ポリエポキシドの一例であるグリシジル芳香族ポリアミンとしては、たとえば、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、または、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミンなどを挙げることができる。
第2ポリエポキシドの一例である芳香族ポリエポキシ化合物としては、上記列挙した化合物以外に、p−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、トリレンジイソシアネート、およびジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールとの付加反応により得られるジグリシジルウレタン化合物、かかるジグリシジルウレタン化合物にポリオールを反応させることにより得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマー、および、ビスフェノールAに対してAO(たとえばEOまたはPOなど)が付加されて構成された付加物のジグリシジルエーテル体なども含まれる。
第2ポリエポキシドの一例である複素環ポリエポキシ化合物としては、たとえばトリスグリシジルメラミンなどを挙げることができる。
第2ポリエポキシドの一例である脂環族ポリエポキシ化合物としては、たとえば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエール、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン、およびダイマー酸ジグリシジルエステルなどを挙げることができる。脂環族ポリエポキシ化合物には、第2ポリエポキシドの一例である芳香族ポリエポキシ化合物の核水添化物も含まれる。
第2ポリエポキシドの一例である脂肪族ポリエポキシ化合物としては、たとえば、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体、およびグリシジル脂肪族アミンなどを挙げることができる。
第2ポリエポキシドの一例である多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、たとえば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、およびポリグリセロールポリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
第2ポリエポキシドの一例である多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、たとえば、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、およびジグリシジルピメレートなどを挙げることができる。
第2ポリエポキシドの一例であるグリシジル脂肪族アミンとしては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミンなどを挙げることができる。第2ポリエポキシドの一例である脂肪族ポリエポキシ化合物には、たとえばジグリシジルエーテルまたはグリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体なども含まれる。
第2ポリエポキシドは、好ましくは、芳香族ポリエポキシ化合物または脂肪族ポリエポキシ化合物である。第2ポリエポキシドとしては2種以上を併用しても良い。
(チ) ビニル樹脂
ビニル樹脂としては、たとえば、シェル樹脂として使用可能なビニル樹脂を特に限定されることなく使用できる。なお、コア樹脂として使用可能なビニル樹脂は、第1分子鎖(k)と重合性二重結合とを有するモノマーに由来する構成単位を含んでいても良いし、かかる構成単位を含んでいなくても良い。
ビニル樹脂としては、たとえば、シェル樹脂として使用可能なビニル樹脂を特に限定されることなく使用できる。なお、コア樹脂として使用可能なビニル樹脂は、第1分子鎖(k)と重合性二重結合とを有するモノマーに由来する構成単位を含んでいても良いし、かかる構成単位を含んでいなくても良い。
コア樹脂として使用可能なビニル樹脂としては、たとえば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、および、これらの共重合体の塩などを挙げることができる。
(コア樹脂の前駆体)
コア樹脂の前駆体としては、化学反応によりコア樹脂になり得るものであれば特に限定されない。コア樹脂が縮合系樹脂(たとえば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂またはビニル樹脂など)である場合は、プレポリマー(α)と硬化剤(β)とからなる前駆体を有機溶剤中に投入し、これらを化学反応させてコア樹脂を生成させることが好ましい。このような化学反応は、これらが投入された有機溶剤を加熱することによって引き起こされることが好ましい。
コア樹脂の前駆体としては、化学反応によりコア樹脂になり得るものであれば特に限定されない。コア樹脂が縮合系樹脂(たとえば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂またはビニル樹脂など)である場合は、プレポリマー(α)と硬化剤(β)とからなる前駆体を有機溶剤中に投入し、これらを化学反応させてコア樹脂を生成させることが好ましい。このような化学反応は、これらが投入された有機溶剤を加熱することによって引き起こされることが好ましい。
本明細書において「プレポリマー」とは、硬化剤と反応可能な基(以下「反応性基」と記す)を有しており、硬化剤と化学反応することによってコア樹脂となることのできる化合物を意味する。また「硬化剤」とは、プレポリマーの反応性基と化学反応することによってコア樹脂となることのできる化合物を意味する。
前駆体および硬化剤の組み合わせとしては、たとえば以下〔i〕および〔j〕がある。
〔i〕 プレポリマー(α)は、活性水素化合物と反応可能な反応性基を側鎖に有する第1プレポリマー(α1)であり、硬化剤(β)は、活性水素基を含有する第1化合物(β1)である。
〔j〕 プレポリマー(α)は、反応性基として活性水素含有基を側鎖に有する第2プレポリマー(α2)であり、硬化剤(β)は、活性水素含有基と反応可能な官能基を有する第2化合物(β2)である。
〔i〕 プレポリマー(α)は、活性水素化合物と反応可能な反応性基を側鎖に有する第1プレポリマー(α1)であり、硬化剤(β)は、活性水素基を含有する第1化合物(β1)である。
〔j〕 プレポリマー(α)は、反応性基として活性水素含有基を側鎖に有する第2プレポリマー(α2)であり、硬化剤(β)は、活性水素含有基と反応可能な官能基を有する第2化合物(β2)である。
上記〔i〕の方法に関し、第1プレポリマー(α1)が有する「活性水素化合物と反応可能な反応性基」としては、たとえば、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、エポキシ基、酸無水物基、または酸ハライド基などが挙げられる。好ましくは、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基またはエポキシ基であり、より好ましくは、イソシアネート基またはブロック化イソシアネート基である。
上記「ブロック化イソシアネート基」とは、ブロック化剤によりブロックされたイソシアネート基のことをいう。ブロック化剤としては、たとえば、オキシム類(たとえば、アセトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ジエチルケトオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシムおよびメチルエチルケトオキシムなど)、ラクタム類(たとえば、γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタムおよびγ−バレロラクタムなど)、炭素数が1〜20の脂肪族アルコール類(たとえば、エタノール、メタノールおよびオクタノールなど)、フェノール類(たとえば、フェノール、m−クレゾール、キシレノールおよびノニルフェノールなど)、活性メチレン化合物(たとえば、アセチルアセトン、マロン酸エチルおよびアセト酢酸エチルなど)、塩基性窒素含有化合物(たとえば、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシピリジン、ピリジンN−オキサイドおよび2−メルカプトピリジンなど)、これらの併用などが挙げられる。これらのうちブロック化イソシアネート基として好ましいのはオキシム類によってブロック化されたものであり、より好ましいのはメチルエチルケトオキシム基である。
第1プレポリマー(α1)の主鎖は、たとえば、ポリエーテル、ポリエステル、エポキシ樹脂またはポリウレタンなどであることが好ましい。より好ましくは、ポリエステル、エポキシ樹脂、またはポリウレタンであり、より好ましくは、ポリエステルまたはポリウレタンである。
第1プレポリマー(α1)の主鎖の一例であるポリエーテルとしては、たとえば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイドおよびポリテトラメチレンオキサイドなどが挙げられる。
第1プレポリマー(α1)の主鎖の一例であるポリエステルとしては、たとえば、上記第2ジオールと上記第2ジカルボン酸との重縮合物、およびポリラクトン(たとえばε−カプロラクトンの開環重合物など)などが挙げられる。
第1プレポリマー(α1)の主鎖の一例であるエポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノール類(たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSなど)とエピクロルヒドリンとの付加縮合物などが挙げられる。
第1プレポリマー(α1)の主鎖の一例であるポリウレタンとしては、たとえば、上記第2ジオールと上記第2ポリイソシアネートとの重付加物、および、第1プレポリマー(α1)の主鎖の一例であるポリエステルと第2ポリイソシアネートとの重付加物などが挙げられる。
第1プレポリマー(α1)の主鎖に、活性水素化合物と反応可能な反応性基を導入する方法としては、以下〔I〕および〔II〕の2通りの方法が挙げられる。
〔I〕 2以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで、過剰に用いたほうの構成成分が有する官能基を第1プレポリマー(α1)の末端に残存させる方法。
〔II〕 上記のようにして末端に残存された官能基と、該官能基と反応可能な官能基、または該官能基と反応可能な官能基を有する化合物とを反応させる方法。
〔I〕 2以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで、過剰に用いたほうの構成成分が有する官能基を第1プレポリマー(α1)の末端に残存させる方法。
〔II〕 上記のようにして末端に残存された官能基と、該官能基と反応可能な官能基、または該官能基と反応可能な官能基を有する化合物とを反応させる方法。
上記〔I〕の方法によれば、プレポリマー(α1)として、水酸基含有ポリエステル、カルボキシル基含有ポリエス、酸ハライド基含有ポリエステル、水酸基含有エポキシ樹脂、エポキシ基含有エポキシ樹脂、水酸基含有ポリウレタン、またはイソシアネート基含有ポリウレタンなどを容易に得ることができる。
たとえば水酸基含有ポリエステルであるプレポリマー(α1)を得る場合、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が好ましくは2/1〜1/1となるように、より好ましくは1.5/1〜1/1となるように、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1となるように、アルコール成分とカルボン酸成分との比率を設定すればよい。
上記〔II〕の方法によれば、たとえば上記〔I〕の方法で得られたプレポリマー(α1)に対し、ポリイソシアネート、ブロック化ポリイソシアネート、ポリエポキシド、またはポリ酸無水物を反応させることにより、イソシアネート基含有プレポリマー(α1)、ブロック化イソシアネート基含有プレポリマー(α1)、エポキシ基含有プレポリマー(α1)、または酸無水物基含有プレポリマー(α1)が得られる。
たとえば水酸基含有ポリエステルプレポリマーにポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを得る場合、イソシアネート基[NCO]と水酸基含有ポリエステルの水酸基[OH]との当量比([NCO]/[OH])が、好ましくは5/1〜1/1となるように、より好ましくは4/1〜1.2/1となるように、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1となるように、水酸基含有ポリエステルプレポリマーに対するポリイソシアネートの比率を設定すればよい。
プレポリマー(α1)の1分子当たりに含まれる反応性基の個数は、好ましくは1個以上であり、より好ましくは平均1.5〜3個であり、さらに好ましくは平均1.8〜2.5個ある。プレポリマー(α1)の1分子当たりに含まれる反応性基の個数が上記範囲内であれば、硬化剤(β1)と反応させて得られる硬化物の分子量を大きくすることができる。
プレポリマー(α1)のMnは、好ましくは500〜30000であり、より好ましくは1000〜20000であり、さらに好ましくは2000〜10000である。またプレポリマー(α1)のMwは、好ましくは1000〜50000であり、より好ましくは2000〜40000であり、さらに好ましくは4000〜20000である。
プレポリマー(α1)の100℃における粘度は、好ましくは200Pa・s以下であり、より好ましくは100Pa・s以下である。プレポリマー(α)の100℃における粘度を200Pa・s以下にすることにより、粒度分布における分布幅の狭いコア粒子が得られる。
第1化合物(β1)としては、たとえば、ポリアミン(脱離可能な化合物でブロック化されていてもよい)、ジオール、ポリオール、ポリメルカプタン(β1c)、および水などが挙げられる。好ましくは、ポリアミンまたは水であり、さらに好ましくはブロック化されたポリアミンまたは水である。
第1化合物(β1)に好ましいアミンとしては、たとえば、第2ポリアミンを挙げることができ、より好ましくは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、およびこれらの混合物などを挙げることができる。ポリアミンが脱離可能な化合物でブロック化されたポリアミンである場合には、当該ブロック化されたポリアミンとしては、たとえば、上記ポリアミン類と炭素数が3〜8のケトン類(たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、およびメチルイソブチルケトンなど)とから得られるケチミン化合物、上記ポリアミン類と炭素数が2〜8のアルデヒド化合物(たとえば、ホルムアルデヒド、およびアセトアルデヒドなど)とから得られるアルジミン化合物、エナミン化合物、およびオキサゾリジン化合物などが好ましい。
第1化合物(β1)に好ましいジオールおよびポリオールとしては、たとえば、上記第2ジオールおよび上記第2ポリオールを挙げることができる。より好ましくは、第2ジオール単体、または第2ジオールと少量の第2ポリオールとの混合物である。
第1化合物(β1)に好ましいポリメルカプタンとしては、たとえば、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオールおよび1,6−ヘキサンジチオールなどが挙げられる。
プレポリマー(α1)および第1化合物(β1)の化学反応に関し、必要に応じて反応停止剤を用いることができる。第1化合物(β1)に対し一定の比率で反応停止剤を用いることにより、コア樹脂の分子量を所定の値に調整することが可能である。
反応停止剤としては、たとえば、モノアミン(たとえば、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミンなど)、モノアミンをブロックしたもの(たとえばケチミン化合物など)、モノオール(たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールおよびフェノールなど)、モノメルカプタン(たとえば、ブチルメルカプタンおよびラウリルメルカプタンなど)、モノイソシアネート(たとえば、ラウリルイソシアネートおよびフェニルイソシアネートなど)、モノエポキシド(たとえばブチルグリシジルエーテルなど)などを使用することができる。
上記〔j〕の方法に関し、第2プレポリマー(α2)が有する活性水素含有基としては、たとえば、アミノ基、水酸基(たとえば、アルコール性水酸基またはフェノール性水酸基など)、メルカプト基、カルボキシル基、または、それらが脱離可能な化合物でブロック化された有機基などが挙げられる。好ましくは、アミノ基、水酸基または有機基であり、より好ましくは水酸基である。
上記有機基としては、アミノ基が脱離可能な化合物でブロックされた有機基が好ましく、具体的には、第2ポリアミンを挙げることができる。より好ましくは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンまたはこれらの混合物である。
第2化合物(β2)としては、たとえば、第2ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート、第2ポリエポキシドなどのポリエポキシ度、第2ジカルボン酸などのジカルボン酸、第2ポリカルボン酸などのポリカルボン酸、ピロメリット酸無水物などのポリ酸無水物、第2ジカルボン酸の酸ハライド、および第2ポリカルボン酸の酸ハライドが挙げられる。より好ましくは、ポリイソシアネート、およびポリエポキシドであり、さらに好ましくはポリイソシアネートである。酸ハライドとしては、酸クロライド、酸ブロマイドおよび酸アイオダイドなどが挙げられる。
第2プレポリマー(α2)および第2化合物(β2)の化学反応に関し、必要に応じて反応停止剤を用いることができる。第2化合物(β2)に対し一定の比率で反応停止剤を用いることにより、コア樹脂の分子量を所定の値に調整することが可能である。好ましい反応停止剤の種類は、上述と同様である。
有機溶剤に投入されるプレポリマー(α)および硬化剤(β)の比率は特に限定されない。たとえば、プレポリマー(α)中の反応性基の当量[αα]と硬化剤(β)中の活性水素含有基(または活性水素含有基と反応可能な官能基)の当量[ββ]との比([αα]/[ββ])が、好ましくは1/2〜2/1となるように、より好ましくは1.5/1〜1/1.5となるように、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2となるように上記比率を設定すればよい。なお、硬化剤(β)が水である場合には、水は2価の活性水素化合物として取り扱われる。
(コア樹脂の結晶性)
コア樹脂は、結晶性樹脂であっても良いし、非晶性樹脂であっても良いし、結晶性樹脂と非晶性樹脂との混合物であっても良い。トナー粒子の定着性の観点から、コア樹脂は結晶性樹脂であることが好ましい。
コア樹脂は、結晶性樹脂であっても良いし、非晶性樹脂であっても良いし、結晶性樹脂と非晶性樹脂との混合物であっても良い。トナー粒子の定着性の観点から、コア樹脂は結晶性樹脂であることが好ましい。
(コア樹脂の融点またはガラス転移点)
コア樹脂の融点またはガラス転移点は、液体現像剤の用途に応じて適宜調製されることが好ましい。たとえば、本実施形態の液体現像剤を電子写真、静電記録または静電印刷などに使用される液体現像剤として使用する場合には、コア樹脂の融点は、好ましくは20℃〜300℃であり、より好ましくは80℃〜250℃であり、コア樹脂のガラス転移点Tgは、好ましくは20℃〜200℃であり、より好ましくは40℃〜150℃である。
コア樹脂の融点またはガラス転移点は、液体現像剤の用途に応じて適宜調製されることが好ましい。たとえば、本実施形態の液体現像剤を電子写真、静電記録または静電印刷などに使用される液体現像剤として使用する場合には、コア樹脂の融点は、好ましくは20℃〜300℃であり、より好ましくは80℃〜250℃であり、コア樹脂のガラス転移点Tgは、好ましくは20℃〜200℃であり、より好ましくは40℃〜150℃である。
(コア樹脂のMnおよびMw)
コア樹脂のMnおよびMwは、液体現像剤の用途に応じて適宜調製されることが好ましい。たとえば、本実施形態の液体現像剤を電子写真、静電記録または静電印刷などに使用される液体現像剤として使用する場合には、コア樹脂のMnは、好ましくは1000〜500万であり、より好ましくは2000〜50万である。
コア樹脂のMnおよびMwは、液体現像剤の用途に応じて適宜調製されることが好ましい。たとえば、本実施形態の液体現像剤を電子写真、静電記録または静電印刷などに使用される液体現像剤として使用する場合には、コア樹脂のMnは、好ましくは1000〜500万であり、より好ましくは2000〜50万である。
(コア樹脂のSP値)
コア樹脂のSP値は、液体現像剤の用途に応じて適宜調製されることが好ましい。たとえば、本実施形態の液体現像剤を電子写真、静電記録または静電印刷などに使用される液体現像剤として使用する場合には、コア樹脂のSP値は、好ましくは8〜16であり、より好ましくは9〜14である。
コア樹脂のSP値は、液体現像剤の用途に応じて適宜調製されることが好ましい。たとえば、本実施形態の液体現像剤を電子写真、静電記録または静電印刷などに使用される液体現像剤として使用する場合には、コア樹脂のSP値は、好ましくは8〜16であり、より好ましくは9〜14である。
(有機溶剤)
有機溶剤は、投与されるシェル樹脂、コア樹脂、コア樹脂の前駆体を、常温または加熱下で溶解し得る溶剤であれば特に限定されないが、有機溶剤のSP値は、好ましくは8.5〜20(cal/cm3)1/2であり、より好ましくは9〜19(cal/cm3)1/2である。有機溶剤として混合溶剤を使用する場合、加成性が成立すると仮定して各々の溶剤のSP値から計算したSP値の加重平均値が上記範囲内にあれば良い。有機溶剤のSP値が上記範囲外であれば、投与される樹脂の全てにおいて適切な溶解性を維持することが難しくなる傾向がある。
有機溶剤は、投与されるシェル樹脂、コア樹脂、コア樹脂の前駆体を、常温または加熱下で溶解し得る溶剤であれば特に限定されないが、有機溶剤のSP値は、好ましくは8.5〜20(cal/cm3)1/2であり、より好ましくは9〜19(cal/cm3)1/2である。有機溶剤として混合溶剤を使用する場合、加成性が成立すると仮定して各々の溶剤のSP値から計算したSP値の加重平均値が上記範囲内にあれば良い。有機溶剤のSP値が上記範囲外であれば、投与される樹脂の全てにおいて適切な溶解性を維持することが難しくなる傾向がある。
有機溶剤としては、たとえば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンおよびテトラリンなどの芳香族炭化水素系溶剤、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリットおよびシクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式炭化水素系溶剤、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレンおよびパークロロエチレンなどのハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテートおよびエチルセロソルブアセテートなどのエステル系またはエステルエーテル系溶剤、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコールおよびベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、N−メチルピロリドンなどの複素環式化合物系溶剤、上記溶剤のうちの2種以上が混合された混合溶剤などが挙げられる。
特に、シェル樹脂としてビニル樹脂を選択し、コア樹脂としてポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂を選択した場合、有機溶媒は、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンおよびこれら2種以上の混合溶剤であることが好ましい。これらの樹脂の溶解性に優れるためである。
臭気の観点および留去のし易さという観点から、有機溶剤の沸点は、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは90℃以下である。
<その他の工程>
トナー粒子は、シェル樹脂およびコア樹脂の他、着色剤、着色剤以外の添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。これらの他の成分は、シェル層およびコア粒子のいずれに含まれていてもよい。他の成分をトナー粒子中に含有させるためには、第1剤および第2剤の少なくとも一方に投与することができる。トナー粒子の分散性の向上の観点から、第1剤に投入されることが好ましい。着色剤の投入方法は特に限定されず、たとえば所定の有機溶剤に他の成分を分散させ、この分散液を第1剤および/または第2剤に投与することができる。また、第1剤および/または第2剤に直接投与することもできる。
トナー粒子は、シェル樹脂およびコア樹脂の他、着色剤、着色剤以外の添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。これらの他の成分は、シェル層およびコア粒子のいずれに含まれていてもよい。他の成分をトナー粒子中に含有させるためには、第1剤および第2剤の少なくとも一方に投与することができる。トナー粒子の分散性の向上の観点から、第1剤に投入されることが好ましい。着色剤の投入方法は特に限定されず、たとえば所定の有機溶剤に他の成分を分散させ、この分散液を第1剤および/または第2剤に投与することができる。また、第1剤および/または第2剤に直接投与することもできる。
(着色剤)
着色剤としては、従来公知の顔料等を特に限定されることなく使用できるが、コスト、耐光性、及び、着色性等の観点から顔料を選択することが好ましい。なお、色彩構成上、顔料は、通常、ブラック顔料とイエロー顔料とマゼンタ顔料とシアン顔料とに分類される。基本的には、ブラック以外の色彩(カラー画像)は、イエロー顔料、マゼンタ顔料又はシアン顔料の減法混色により調色される。着色剤として、1種の顔料を単独で用いても良いし、必要に応じて2種以上の顔料を併用して用いても良い。
着色剤としては、従来公知の顔料等を特に限定されることなく使用できるが、コスト、耐光性、及び、着色性等の観点から顔料を選択することが好ましい。なお、色彩構成上、顔料は、通常、ブラック顔料とイエロー顔料とマゼンタ顔料とシアン顔料とに分類される。基本的には、ブラック以外の色彩(カラー画像)は、イエロー顔料、マゼンタ顔料又はシアン顔料の減法混色により調色される。着色剤として、1種の顔料を単独で用いても良いし、必要に応じて2種以上の顔料を併用して用いても良い。
着色剤は、後述する第2剤調製工程の際に第2剤中に投入してもよい。ただし、シェル樹脂の物性に起因するトナー粒子の分散性を維持するためには、着色剤はコア粒子中に多く含まれることが好ましい。このため、着色剤は第1剤に投入されることが好ましい。第1剤に着色剤を投入することにより、着色剤のトナー粒子中での分散性をよくし、着色剤を均一に分散することができるためである。
(添加剤)
添加剤としては、ワックス、充填剤、帯電防止剤、離型剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤および難燃剤などを挙げることができる。
添加剤としては、ワックス、充填剤、帯電防止剤、離型剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤および難燃剤などを挙げることができる。
なかでもトナー粒子は、コア粒子中にワックスおよび変性ワックスのうちの少なくとも1つをさらに含むことが好ましい。コア粒子中にワックスが存在することにより、液体現像剤の耐熱保存安定性をさらに高めることができる。このため、ワックスおよび/または変性ワックスは第1剤に投入されることが好ましい。第1剤にワックスおよび/または変性ワックスを投入することにより、ワックスおよび/または変性ワックスをトナー粒子中に均一に分散できるためである。
上記「変性ワックス」とは、ビニルポリマー鎖がワックスにグラフト重合されて構成されたものを意味する。なお、シェル粒子がワックスおよび変性ワックスのうちの少なくとも1つをさらに含んでいても良い。
コア粒子におけるワックスの含有率は、コア粒子の質量に対し、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは1〜15質量%以下である。コア粒子における変性ワックスの含有率は、コア粒子の質量に対し、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは0.5〜8質量%である。コア粒子がワックスと変性ワックスとの両方を含む場合には、コア粒子におけるワックスの含有率と変性ワックスの含有率との合計は、コア粒子の質量に対して、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは1〜20質量%である。
ワックスとしては、たとえば、合成ワックス(たとえばポリオレフィンワックスなど)、天然ワックス(たとえばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、カルボニル基含有ワックスまたはこれらの併用など)などを使用できる。好ましくは、パラフィンワックスおよびカルナウバワックスのうちの少なくとも1つの使用である。パラフィンワックスとしては、たとえば、融点が50〜90℃であり炭素数が20〜36である直鎖状飽和炭化水素を主成分とする石油系ワックスなどを使用できる。カルナウバワックスとしては、たとえば、融点が50〜90℃であり炭素数が16〜36である動植物ワックスなどを使用できる。
<第2剤を調製する工程>
本工程では、上記工程で調製された第1剤および絶縁性液体を混合されてなる第2剤が調製される。第2剤において、第1樹脂および第2樹脂は、有機溶剤および絶縁性液体からなる混合溶剤中に溶解せず、かつ、それぞれの樹脂は合一することなく、樹脂毎に分散している状態となる。なお混合溶剤において、有機溶剤と絶縁性期待とは相溶している。
本工程では、上記工程で調製された第1剤および絶縁性液体を混合されてなる第2剤が調製される。第2剤において、第1樹脂および第2樹脂は、有機溶剤および絶縁性液体からなる混合溶剤中に溶解せず、かつ、それぞれの樹脂は合一することなく、樹脂毎に分散している状態となる。なお混合溶剤において、有機溶剤と絶縁性期待とは相溶している。
第2剤の調整方法は特に制限されず、従来公知の混合方法を用いることができ、たとえば、分散装置を用いて混合することができる。分散装置としては、上記に列挙した分散装置を用いることができる。これらのうちトナー粒子の粒度分布の観点から好ましいのは、「APVガウリン」、「ホモジナイザー」、「TKオートホモミキサー」、「エバラマイルダー」、「TKフィルミックス」および「TKパイプラインホモミキサー」である。
また本工程は、加圧下(0.05〜0.5MPa)、0℃〜150℃の環境下で実施されることが好ましく、より好ましくは5〜98℃である。これにより、第2剤中でのコア樹脂およびシェル樹脂の分散性を高めることができる。また第2剤の粘度が高い場合には、本工程を実施する環境温度を上記範囲内で適宜高めることによって、第2剤の粘度を好ましい範囲にまで低下させることが好ましい。第2剤の粘度の好ましい範囲とは、10〜50000mPa・s以下である。この場合に、形成されるトナー粒子の粒度分布がシャープとなるためである。
第1剤と絶縁性液体の混合割合は特に制限されないが、絶縁性液体中と第1剤とが相溶することなく、絶縁性液体中に第1剤が分散するように混合割合を適宜調整することが好ましい。ただし、液体現像剤に含まれるトナー粒子の含有量から、絶縁性液体と第1剤との混合割合を決定する必要がある。絶縁性液体に第1剤が分散しているかどうかは、目視により確認することができ、またレーザ回折式粒度分布測定装置による観察によっても確認することができる。
(絶縁性液体)
絶縁性液体としては、たとえば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、および、ポリシロキサンのうちの少なくとも1つを使用できる。具体的には、絶縁性液体としては、たとえば、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびメシチレンのうちの少なくとも1つを使用できる。
絶縁性液体としては、たとえば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、および、ポリシロキサンのうちの少なくとも1つを使用できる。具体的には、絶縁性液体としては、たとえば、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびメシチレンのうちの少なくとも1つを使用できる。
より具体的には、絶縁性液体としては、たとえば、商品名「アイソパーE」、商品名「アイソパーG」、商品名「アイソパーH」または商品名「アイソパーL」(いずれもエクソンモービル製の商品)を使用でき、商品名「シェルゾール70」または商品名「シェルゾール71」(シェルケミカルズジャパン株式会社製の商品)を使用でき、商品名「アムスコOMS」または商品名「アムスコ460」(スピリッツ社製の商品)を使用でき、商品名「IPソルベント2028」(出光興産株式会社製の商品)を使用できる。シリコーンオイルまたは流動パラフィンなどを使用しても良い。絶縁性液体としては、これらを単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
絶縁性液体として低臭気な有機溶媒を使用するという観点では、沸点が100℃以上の有機溶媒の使用が好ましい。より好ましくは、炭素数が10以上の炭化水素系溶媒(たとえば、ドデカン、イソドデカンまたは流動パラフィンなど)またはシリコーンオイルの使用であり、さらに好ましくは流動パラフィンの使用である。
<トナー粒子を調製する工程>
本工程では、上記工程で調製された第2剤から有機溶剤が除去され、これにより、トナー粒子が調製される。このトナー粒子は、シェル樹脂を含むシェル層と、コア樹脂を含むコア粒子とから構成されており、かつ絶縁性液体中に分散している。このため、本工程により、トナー粒子が絶縁性液体に分散された液体現像剤が製造されることとなる。
本工程では、上記工程で調製された第2剤から有機溶剤が除去され、これにより、トナー粒子が調製される。このトナー粒子は、シェル樹脂を含むシェル層と、コア樹脂を含むコア粒子とから構成されており、かつ絶縁性液体中に分散している。このため、本工程により、トナー粒子が絶縁性液体に分散された液体現像剤が製造されることとなる。
第2剤から有機溶剤を除去する方法としては、たとえば0.02〜0.066MPaの減圧下、20℃以上かつ有機溶剤の沸点以下の温度で、当該有機溶剤を留去させる方法が好ましい。本工程後の第2剤(液体現像剤に相当)における有機溶剤の含有率は、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下である。なお、有機溶剤と共に絶縁性液体の一部(たとえば絶縁性液体のうち低沸点成分)が、有機溶剤と共に留去されても良い。
本工程において、有機溶剤が除去される際に、コア樹脂が粒子化してコア粒子となるとともに、シェル樹脂がコア粒子の表面に移行する。これにより、絶縁性液体中において、上記のようなトナー粒子が形成される。有機溶剤が除去される際にこのような挙動が起こる理由は、次のように推察される。
すなわち、有機溶剤が除去される前においては、有機溶剤が存在することでコア樹脂とシェル樹脂とが第2剤中で均一に混合されているが、有機溶剤が除去されると、各樹脂のSP値が異なるために各樹脂が相分離する。この際、コア樹脂と比して絶縁性液体に対する高い親和性を有するシェル樹脂が絶縁性液体側、すなわちコア粒子の表面に移行する。
また、本工程は、シェル樹脂を溶融させ得る温度で実施されることが好ましい。この場合シェル樹脂をコア粒子の表面上で溶融させた状態でトナー粒子を造粒することができ、これにより、表面がより平滑なトナー粒子を得ることができる。具体的には、本工程の温度は、シェル樹脂の融点またはガラス転移点以上であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。加熱温度がシェル樹脂の融点またはガラス転移点未満であれば、加熱により得られる効果(つまり、トナー粒子の表面がさらに平滑となるという効果)が得られないことがある。一方、加熱温度が80℃を越えると、シェル層がコア粒子から剥がれることがある。
[液体現像剤の構成]
上述の製造方法により製造される、トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる液体現像剤は、電子写真方式の画像形成装置(たとえば複写機、プリンタ、デジタル印刷機あるいは簡易印刷機等)に用いられる現像剤として有用である。こうした液体現像剤は、用途に応じて、電子写真用液体現像剤、塗料、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インク、電子ペーパー用インク等と呼称されることもある。
上述の製造方法により製造される、トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる液体現像剤は、電子写真方式の画像形成装置(たとえば複写機、プリンタ、デジタル印刷機あるいは簡易印刷機等)に用いられる現像剤として有用である。こうした液体現像剤は、用途に応じて、電子写真用液体現像剤、塗料、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インク、電子ペーパー用インク等と呼称されることもある。
液体現像剤は、トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる。液体現像剤は、絶縁性液体とトナー粒子とを含む限り、他の任意の成分を含むことができる。他の成分としては、荷電制御剤、増粘剤、トナー粒子分散剤等を挙げることができる。液体現像剤においてトナー粒子と絶縁性液体との配合割合は、たとえばトナー粒子を10〜50質量%程度、絶縁性液体を50〜90質量%程度とすることができる。
(トナー粒子の体積平均粒径)
トナー粒子の体積平均粒径は、液体現像剤の用途により適宜決定されることが好ましく、たとえば0.01μm以上100μm以下であることが好ましい。トナー粒子(C)の体積平均粒径の上限は、より好ましくは40μmであり、さらに好ましくは30μmであり、特に好ましくは10μmである。トナー粒子(C)の体積平均粒径の下限は、0.1μmであり、より好ましくは0.3μmであり、さらに好ましくは0.5μmである。
トナー粒子の体積平均粒径は、液体現像剤の用途により適宜決定されることが好ましく、たとえば0.01μm以上100μm以下であることが好ましい。トナー粒子(C)の体積平均粒径の上限は、より好ましくは40μmであり、さらに好ましくは30μmであり、特に好ましくは10μmである。トナー粒子(C)の体積平均粒径の下限は、0.1μmであり、より好ましくは0.3μmであり、さらに好ましくは0.5μmである。
なかでも、トナー粒子の体積平均粒径は0.1〜10.0μmであることが好ましい。これにより、画像の解像度を高めることができる。上述の製造方法によれば、この体積平均粒径を満たすトナー粒子を製造することが可能となる。
本明細書において、トナー粒子の体積平均粒径、体積基準の粒径分布の変動係数(後述)および平均円形度(後述)は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製の品番「FPIA−3000S」)を用い、以下に示す測定条件で測定されたものである。この分析装置では、溶剤(本実施形態では絶縁性液体)をそのまま分散媒体として使用することが可能である。よって、この分析装置を用いれば、水系で測定するよりも実際の分散状態に近い状態におけるトナー粒子の状態を計測できる。
測定モード:HPF
トータルカウント数:36000
繰り返し測定数:1回
測定中超音波:なし
攪拌モード:する
攪拌回転数:目標値:300rpm
回転数監視範囲:100rpm。
測定モード:HPF
トータルカウント数:36000
繰り返し測定数:1回
測定中超音波:なし
攪拌モード:する
攪拌回転数:目標値:300rpm
回転数監視範囲:100rpm。
なおトナー粒子の体積平均粒径の制御の観点から、コア粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.1〜300μmであり、より好ましくは0.5〜250μmであり、さらに好ましくは1〜200μmである。
(トナー粒子の体積分布の変動係数)
トナー粒子の体積分布の変動係数は、トナー粒子の粒径均一性の観点から、好ましくは1%以上100%以下であり、より好ましくは1%以上50%以下であり、さらに好ましくは1%以上30%以下であり、最も好ましくは1%以上25%以下である。上述の製造方法によれば、このような体積平均粒径を満たすトナー粒子を製造することが可能となる。
トナー粒子の体積分布の変動係数は、トナー粒子の粒径均一性の観点から、好ましくは1%以上100%以下であり、より好ましくは1%以上50%以下であり、さらに好ましくは1%以上30%以下であり、最も好ましくは1%以上25%以下である。上述の製造方法によれば、このような体積平均粒径を満たすトナー粒子を製造することが可能となる。
ここで「トナー粒子の体積分布の変動係数」は、トナー粒子の体積平均粒径に対するトナー粒子の体積平均粒径の標準偏差の割合(%)を意味する。つまり、トナー粒子の体積基準の粒径分布の変動係数が小さいほど、トナー粒子の粒径が均一であると言える。そのため、トナー粒子の体積基準の粒径分布の変動係数が0.1%以上100%以下であれば、トナー粒子の粒径が均一となる(つまり、トナー粒子の粒度分布に現れるピークがシャープになる)ので、画質に優れた画像を得ることができる。
(トナー粒子の平均円形度)
トナー粒子の形状は、液体現像剤の流動性およびその溶融レベリング性などの観点から、好ましくは球状である。具体的には、トナー粒子の円形度の平均値(平均円形度)は、好ましくは0.90〜1.00であり、より好ましくは0.97〜1.00であり、さらに好ましくは0.98〜1.00である。トナー粒子の平均円形度が1.00に近ければ近いほど、トナー粒子は球状に近い形状を有することとなる。上述の製造方法によれば、このような体積平均粒径を満たすトナー粒子を製造することが可能となる。なお、コア粒子の形状が球形であればトナー粒子の形状が球形となり易いので、コア粒子の形状は球形であることが好ましい。
トナー粒子の形状は、液体現像剤の流動性およびその溶融レベリング性などの観点から、好ましくは球状である。具体的には、トナー粒子の円形度の平均値(平均円形度)は、好ましくは0.90〜1.00であり、より好ましくは0.97〜1.00であり、さらに好ましくは0.98〜1.00である。トナー粒子の平均円形度が1.00に近ければ近いほど、トナー粒子は球状に近い形状を有することとなる。上述の製造方法によれば、このような体積平均粒径を満たすトナー粒子を製造することが可能となる。なお、コア粒子の形状が球形であればトナー粒子の形状が球形となり易いので、コア粒子の形状は球形であることが好ましい。
トナー粒子の平均円形度は、トナー粒子を光学的に検知し、トナー粒子の投影面積と等しい面積を有する円の周囲長を検知されたトナー粒子の周囲長さで除した値である。具体的には、まず、所定の容器に、あらかじめ不純固形物を除去した水(100〜150ml)を入れ、分散剤として界面活性剤(たとえば、製品名:「ドライウエル」、富士写真フイルム(株)製)(0.1〜0.5ml)を加え、測定試料(0.1〜9.5g程度)をさらに加える。
このようにして測定試料が分散された懸濁液に対して、超音波分散器(たとえば、製品名:「ウルトラソニッククリーナ モデル VS−150」、ウエルボクリア社製)を用いて、約1〜3分間、分散処理を行なう。これにより、分散濃度を3000個/μL以上10000個/μL以下にする。そして、分散処理後の試料溶液を、フロー式粒子像分析装置(製品名:「FPIA−3000」、シスメックス(株)製)に供して、トナー粒子の平均円形度を測定する。
(トナー粒子の算術平均粗さ(Ra))
トナー粒子の算術平均粗さ(Ra)は、0.01〜0.8μmであることが好ましい。これにより、トナー粒子の表面が平滑化されることによって、液体現像剤の流動性を高めることができるため、定着性を向上させることができる。
トナー粒子の算術平均粗さ(Ra)は、0.01〜0.8μmであることが好ましい。これにより、トナー粒子の表面が平滑化されることによって、液体現像剤の流動性を高めることができるため、定着性を向上させることができる。
トナー粒子の表面平均中心線粗さ(Ra)は、粗さ曲線と当該粗さ曲線の中心線との偏差の絶対値を算術平均して得られた値であり、走査型プローブ顕微鏡システム(たとえば、東陽テクニカ(株)製)などを用いて測定される。
(トナー粒子の表面被覆率)
トナー粒子の表面被覆率、シェル樹脂(シェル層/シェル粒子)によるコア樹脂(コア粒子)の表面被覆率は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは80%以上である。これにより、トナー粒子間により大きな反発力がはたらくため、トナー粒子の耐熱保存安定性を高めることができる。上述の製造方法によれば、このような体積平均粒径を満たすトナー粒子を製造することが可能となる。
トナー粒子の表面被覆率、シェル樹脂(シェル層/シェル粒子)によるコア樹脂(コア粒子)の表面被覆率は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは80%以上である。これにより、トナー粒子間により大きな反発力がはたらくため、トナー粒子の耐熱保存安定性を高めることができる。上述の製造方法によれば、このような体積平均粒径を満たすトナー粒子を製造することが可能となる。
表面被覆率は、たとえば、走査型電子顕微鏡(SEM)で得られる像の画像解析から下記数式(3)に基づいて求めることができる。なお、本明細書において、表面被覆率は、トナー粒子50個について測定した結果の平均値とする。
表面被覆率(%)={S1/(S1+S2)}×100・・・数式(3)
上記数式(3)において、S1はシェル層に覆われているコア粒子の面積を示し、S2はシェル層が付着または被覆していないコア粒子の面積を示す。
表面被覆率(%)={S1/(S1+S2)}×100・・・数式(3)
上記数式(3)において、S1はシェル層に覆われているコア粒子の面積を示し、S2はシェル層が付着または被覆していないコア粒子の面積を示す。
また上記数式(3)で求められる表面被覆率を制御ことにより、トナー粒子の耐凝集性を高めることができる。特に、トナー粒子の表面被覆率を50〜100%に制御することにより、トナー粒子の耐凝集性をより高めることができる。
本実施の形態に係る液体現像剤(X)に含まれる溶剤としては、実質的に絶縁性液体(L)のみであることが好ましいが、液体現像剤は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下の範囲で他の有機溶剤を含有しても良い。
[画像形成]
本実施の形態の液体現像剤は、画像形成装置に適用されることによって画像を形成することができる。画像形成装置の構成は、特に限定されず、たとえば、単色の液体現像剤が感光体から中間転写体へ一次転写後に記録媒体に二次転写される単色画像形成装置、単色の液体現像剤が感光体から記録媒体に直接転写される画像形成装置、または、複数種の液体現像剤を重ね合わせてカラー画像を形成する多色画像形成装置などであることが好ましい。
図1は、本実施の形態の液体現像剤が用いられる画像形成装置の一例の構成を示す模式図である。図1に示す画像形成装置では、現像槽5に液体現像剤6が入れられる。液体現像剤6はアニロックスローラ22によって汲み上げられ、ならしローラ21へと送られる。アニロックスローラ22の表面において余分な液体現像剤6は、ならしローラ21に達する前にアニロックス規制ブレード23によってかき取られ、ならしローラ21の表面では液体現像剤が均等な層厚を持つように調整される。その後液体現像剤は、ならしローラ21から現像剤担持体24へと転移する。
本実施の形態の液体現像剤は、画像形成装置に適用されることによって画像を形成することができる。画像形成装置の構成は、特に限定されず、たとえば、単色の液体現像剤が感光体から中間転写体へ一次転写後に記録媒体に二次転写される単色画像形成装置、単色の液体現像剤が感光体から記録媒体に直接転写される画像形成装置、または、複数種の液体現像剤を重ね合わせてカラー画像を形成する多色画像形成装置などであることが好ましい。
図1は、本実施の形態の液体現像剤が用いられる画像形成装置の一例の構成を示す模式図である。図1に示す画像形成装置では、現像槽5に液体現像剤6が入れられる。液体現像剤6はアニロックスローラ22によって汲み上げられ、ならしローラ21へと送られる。アニロックスローラ22の表面において余分な液体現像剤6は、ならしローラ21に達する前にアニロックス規制ブレード23によってかき取られ、ならしローラ21の表面では液体現像剤が均等な層厚を持つように調整される。その後液体現像剤は、ならしローラ21から現像剤担持体24へと転移する。
感光体1は帯電部14で帯電させられ、露光部15において感光体1上に潜像が形成される。液体現像剤に含まれるトナー粒子は、現像チャージャー26で帯電させられる。帯電させられたトナー粒子は感光体1上の潜像に対応して、現像剤担持体24から感光体1へと転移し、現像が行われることとなる。このとき感光体1に転移しなかった液体現像剤は、現像部の下流に設置されているクリーニングブレード25によって回収される。
感光体1に現像された液体現像剤は、一次転写部13で中間転写体16に静電一次転写させられる。中間転写体16に転写されずに感光体1に残留した液体現像剤は、像担持体クリーニング部のクリーニングブレード12によって回収される。
中間転写体16に担持された液体現像剤6は、二次転写部11においてメディア40(たとえば紙)に静電二次転写させられる。図1中の方向Aは、メディア40の搬送方向を示している。メディア40に転写させられた液体現像剤は、図示しない熱ローラ定着装置で定着させられる。こうしてプリントアウトされた画像が完成する。メディア40に転写されずに中間転写体16に残留した液体現像剤は、中間転写体クリーニング部のクリーニングブレード19によって回収される。感光体1は再び帯電、露光、現像のサイクルを繰り返し、プリント動作が続行される。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各樹脂のMn、Mwは上述の方法により測定した。
<液体現像剤の製造>
(製造例1)シェル樹脂(a1)の製造
ガラス製ビーカーに、メタクリル酸2−デシルテトラデシル(50質量部)、アクリルアミド(28質量部)、マクロモノマー(商品名:「AA−6」、東亞合成工業(株))(20質量部)、アクリル酸(2質量部)およびアゾビスメトキシジメチルバレロニトリル(0.1質量部)の混合液を投入し、20℃で撹拌により混合した。これにより、単量体溶液(モノマー溶液)を得た。
(製造例1)シェル樹脂(a1)の製造
ガラス製ビーカーに、メタクリル酸2−デシルテトラデシル(50質量部)、アクリルアミド(28質量部)、マクロモノマー(商品名:「AA−6」、東亞合成工業(株))(20質量部)、アクリル酸(2質量部)およびアゾビスメトキシジメチルバレロニトリル(0.1質量部)の混合液を投入し、20℃で撹拌により混合した。これにより、単量体溶液(モノマー溶液)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、脱溶剤装置および窒素導入管の付いた反応容器を準備した。この反応容器内にTHF100質量部を入れ、さらに滴下ロートの部分に上記単量体溶液を入れた。反応容器の気相部を窒素で置換した後、密閉下70℃で1時間かけて単量体溶液をTHFに滴下した。単量体溶液の滴下終了から3時間後、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル(0.05質量部)とTHF(5質量部)との混合物を単量体溶液に添加し、70℃で3時間反応させた後、室温まで冷却した。これにより、共重合体溶液を得た。
得られた共重合体溶液を0.039MPaの減圧下、40℃でTHFを留去して、シェル樹脂(a1)を得た。シェル樹脂(a1)は、アクリル酸に由来する酸性基と、アクリルアミドに由来する塩基性基とを有するビニル樹脂であり、そのMwは100000であった。
(製造例2)コア樹脂(b1)の製造
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール(701質量部)、テレフタル酸ジメチルエステル(716質量部)、アジピン酸(180質量部)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3質量部を投入し、180℃で、窒素気流下、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール(701質量部)、テレフタル酸ジメチルエステル(716質量部)、アジピン酸(180質量部)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3質量部を投入し、180℃で、窒素気流下、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。
次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下、生成するプロピレングリコールおよび水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.007〜0.026MPaの減圧下で1時間反応させ、コア樹脂(b1)を得た。コア樹脂(b1)は脂肪族ポリエステル樹脂であり、そのMnは8000であった。
(製造例3)コア樹脂(b2)の製造
まず、次のようにしてビスフェノールAに対してプロピレンオキサイドを付加させた付加物(ビスA−PO付加物)を合成した。撹拌および温度調整機能を備えたオートクレープに、ビスフェノールA(228質量部)と、水酸化カリウム(2質量部)とを入れ、135℃まで昇温した後、0.1〜0.4MPaの圧力条件下でプロピレンオキサイド(139質量部)を導入し、その後3時間に亘って反応させた。こうして得られた反応生成物に吸着剤(製品名「キョーワード600」、協和化学工業社製)(16質量部)を投入し、90℃に保持しながら30分に亘って撹拌し熟成させた。その後ろ過を行い、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を得た。このプロピレンオキサイド付加物は、下記化学式(6)中のmとnとの和(m+n)が2であるものと3であるものとの混合物であった。
まず、次のようにしてビスフェノールAに対してプロピレンオキサイドを付加させた付加物(ビスA−PO付加物)を合成した。撹拌および温度調整機能を備えたオートクレープに、ビスフェノールA(228質量部)と、水酸化カリウム(2質量部)とを入れ、135℃まで昇温した後、0.1〜0.4MPaの圧力条件下でプロピレンオキサイド(139質量部)を導入し、その後3時間に亘って反応させた。こうして得られた反応生成物に吸着剤(製品名「キョーワード600」、協和化学工業社製)(16質量部)を投入し、90℃に保持しながら30分に亘って撹拌し熟成させた。その後ろ過を行い、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を得た。このプロピレンオキサイド付加物は、下記化学式(6)中のmとnとの和(m+n)が2であるものと3であるものとの混合物であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、上記ビスA−PO付加物(756質量部)と、イソフタル酸(272質量部)と、縮合触媒としてのテトラブトキシチタネート(3質量部)とを投入し、180℃で、窒素気流下、生成する水を留去しながら8時間反応させた。
次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.007〜0.026MPaの減圧下で1時間反応させ、コア樹脂(b2)を得た。コア樹脂(b2)は芳香族ポリエステル樹脂であり、そのMnは3500であった。
(製造例4)コア樹脂(b3)の製造
製造例3で得られたポリエステル樹脂(324質量部)にIPD(20質量部)を投入し、80℃で6時間に亘って反応させた。NCO価が0(ゼロ)になった時点で樹脂を取り出し、コア樹脂(b3)を得た。コア樹脂(b3)は、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂であり、そのMnは25000であり、Mwは45000であった。
製造例3で得られたポリエステル樹脂(324質量部)にIPD(20質量部)を投入し、80℃で6時間に亘って反応させた。NCO価が0(ゼロ)になった時点で樹脂を取り出し、コア樹脂(b3)を得た。コア樹脂(b3)は、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂であり、そのMnは25000であり、Mwは45000であった。
(製造例5)着色剤分散液の製造
ビーカーに、銅フタロシアニン(商品名「FASTOGEN Blue FDB−14」、DIC社製)(20質量部)と、着色剤分散剤(商品名「アジスパーPB−821」、味の素ファインテクノ社製)(5質量部)と、アセトン(75質量部)とを投入し、撹拌して均一に分散させた。さらにビーズミルを用いて銅フタロシアニンを微分散させることにより、着色剤分散液を得た。この着色剤分散液において着色剤(銅フタロシアニン)の体積平均粒径は0.2μmであった。
ビーカーに、銅フタロシアニン(商品名「FASTOGEN Blue FDB−14」、DIC社製)(20質量部)と、着色剤分散剤(商品名「アジスパーPB−821」、味の素ファインテクノ社製)(5質量部)と、アセトン(75質量部)とを投入し、撹拌して均一に分散させた。さらにビーズミルを用いて銅フタロシアニンを微分散させることにより、着色剤分散液を得た。この着色剤分散液において着色剤(銅フタロシアニン)の体積平均粒径は0.2μmであった。
(実施例1)
製造例1で得られたシェル樹脂(a1)(7.5質量部)と、製造例2で得られたコア樹脂(b1)(75質量部)と、アセトン(200質量部)とを混合させることにより、第1剤を調製した。次に、ビーカーに、第1剤(280質量部)と、製造例5で得られた着色剤分散液(100)質量部とを投入し、25℃でTKオートホモミクサー(プライミクス社製)を用いて8000rpmで攪拌し、均一に分散させた(第1剤調製工程)。
製造例1で得られたシェル樹脂(a1)(7.5質量部)と、製造例2で得られたコア樹脂(b1)(75質量部)と、アセトン(200質量部)とを混合させることにより、第1剤を調製した。次に、ビーカーに、第1剤(280質量部)と、製造例5で得られた着色剤分散液(100)質量部とを投入し、25℃でTKオートホモミクサー(プライミクス社製)を用いて8000rpmで攪拌し、均一に分散させた(第1剤調製工程)。
次に、別のビーカーに絶縁性液体(商品名「IPソルベント2028」、出光興産社製)(465質量部)を投入し、これをTKオートホモミクサーを用いて10000rpmで攪拌しながら、着色剤を分散させた第1剤(380質量部)を投入して2分間攪拌して第2剤を得た(第2剤調製工程)。
次に、得られた第2剤を、攪拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に投入し、35℃に昇温し、同温度を保持しながら0.039MPaの減圧下、アセトンの濃度が0.5質量%以下となるまでアセトンを留去させた。なおアセトンの濃度は、水素炎イオン検出器を備えるガスクロマトグラフィー(製品名:「GC2010」、(株)島津製作所製)で定量した。こうして実施例1に係る液体現像剤を得た。
(実施例2および比較例1)
用いたシェル樹脂およびコア樹脂の種類を下記表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、各液体現像剤を得た。
用いたシェル樹脂およびコア樹脂の種類を下記表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、各液体現像剤を得た。
<トナー粒子の形状評価>
実施例1、2および比較例1の各液体現像剤に関し、前述方法に従って、トナー粒子の体積平均粒径(μm)、体積分布の変動係数(%)、平均円形度、表面被覆率を算出した。その結果を表1に示す。
実施例1、2および比較例1の各液体現像剤に関し、前述方法に従って、トナー粒子の体積平均粒径(μm)、体積分布の変動係数(%)、平均円形度、表面被覆率を算出した。その結果を表1に示す。
<定着性評価1:コールドオフセットの発生温度>
各液体現像剤を紙面上に垂らし、バーコーター(第一理化株式会社製の品番「Nо.10」、間隙:22.9μm)を用いて液体現像剤を紙面に均一に塗布した後、加圧ローラを用いて定着を行った。定着速度(加熱ローラ周速)は213mm/sec(一定)であり、定着圧力(加圧ローラ圧)は10kg/cm2(一定)であったが、定着温度を種々変更して複数種の定着画像を得た。
各液体現像剤を紙面上に垂らし、バーコーター(第一理化株式会社製の品番「Nо.10」、間隙:22.9μm)を用いて液体現像剤を紙面に均一に塗布した後、加圧ローラを用いて定着を行った。定着速度(加熱ローラ周速)は213mm/sec(一定)であり、定着圧力(加圧ローラ圧)は10kg/cm2(一定)であったが、定着温度を種々変更して複数種の定着画像を得た。
得られた画像を目視によって観察し、定着時における画像の剥離の有無を確認した。剥離が確認された画像を形成したときの定着温度を確認し、そのうちの最も低い温度をコールドオフセットの発生温度と認定した。結果を表1に示す。コールドオフセットの発生温度が高い方が、コールドオフセットの発生が抑制されていると言えるので、低温での定着が実現されていると言える。
<定着性評価2:テープによる剥離発生の温度>
上記<コールドオフセットの発生温度の推定>で記載の方法にしたがって、複数種の定着画像を得た。得られた画像の測定対象部位にテープ(商品名「スコッチメンディングテープ」、住友3M社製)を貼り付けた後、そのテープを剥離させた。
上記<コールドオフセットの発生温度の推定>で記載の方法にしたがって、複数種の定着画像を得た。得られた画像の測定対象部位にテープ(商品名「スコッチメンディングテープ」、住友3M社製)を貼り付けた後、そのテープを剥離させた。
テープの粘着面を目視によって観察し、画像の一部がテープの粘着面に付着しているか否かを確認した。画像の一部がテープの粘着面に付着した画像を形成したときの定着温度を確認し、そのうちの最も低い温度をテープによる剥離発生の温度と認定した。結果を表1に示す。テープによる剥離発生の温度が高い方が、画像の定着強度が高いと言えるので、低温での定着が実現されていると言える。
<耐熱保存安定性>
まず、トナー粒子の体積平均粒径の測定方法(前述)にしたがってトナー粒子の粒度分布を測定した。次に、液体現像剤を、50℃に設定された恒温槽に入れて24時間静置した後、その恒温槽から取り出した。その後、前述の方法にしたがってトナー粒子の粒度分布を測定した。恒温槽での保存の前後のトナー粒子の変化に関し、以下の3水準で評価した。結果を表1に示す。
A:粒度分布が変わらない。
B:粒度分布が変わるが、超音波分散(20kHz、200W、1分間)により元の粒度分布に戻る。
C:粒度分布が変わり、超音波分散によっても元の粒度分布に戻らない。
まず、トナー粒子の体積平均粒径の測定方法(前述)にしたがってトナー粒子の粒度分布を測定した。次に、液体現像剤を、50℃に設定された恒温槽に入れて24時間静置した後、その恒温槽から取り出した。その後、前述の方法にしたがってトナー粒子の粒度分布を測定した。恒温槽での保存の前後のトナー粒子の変化に関し、以下の3水準で評価した。結果を表1に示す。
A:粒度分布が変わらない。
B:粒度分布が変わるが、超音波分散(20kHz、200W、1分間)により元の粒度分布に戻る。
C:粒度分布が変わり、超音波分散によっても元の粒度分布に戻らない。
<結果と考察>
表1より、比較例1ではトナー粒子の造粒ができなかったのに対し、実施例1および実施例2では、トナー粒子の造粒が可能であり、かつ、その体積平均粒径は小さく、体積分布の変動係数は低く、平均円形度は1に近似するものであった。
表1より、比較例1ではトナー粒子の造粒ができなかったのに対し、実施例1および実施例2では、トナー粒子の造粒が可能であり、かつ、その体積平均粒径は小さく、体積分布の変動係数は低く、平均円形度は1に近似するものであった。
また、定着性評価1および定着性評価2の結果から、実施例1および実施例2の液体現像剤が低温定着性に優れることが分かった。さらに、耐熱保存安定性の結果から、実施例1および実施例2の液体現像剤が耐熱保存安定性に優れることが分かった。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 感光体、5 現像槽、6 液体現像剤、11 二次転写部、12,19,25 クリーニングブレード、13 一次転写部、14 帯電部、15 露光部、16 中間転写体、21 ローラ、22 アニロックスローラ、23 アニロックス規制ブレード、24 現像剤担持体、26 現像チャージャー、30 転写ローラ、40 メディア、100 画像形成装置。
Claims (6)
- トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる液体現像剤の製造方法であって、
シェル樹脂およびコア樹脂が有機溶剤に溶解されてなる第1剤を調製する工程と、
前記第1剤および前記絶縁性液体を混合させて、第2剤を調製する工程と、
前記第2剤から前記有機溶剤を除去して、前記シェル樹脂と、前記コア樹脂を含むコア粒子とから構成されるコア/シェル構造を有する前記トナー粒子を調製する工程と、を含む、液体現像剤の製造方法。 - 前記シェル樹脂は、酸性基および塩基性基を有するビニル樹脂である、請求項1に記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記コア樹脂は、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種からなる樹脂である、請求項1または請求項2に記載の液体現像剤の製造方法。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された液体現像剤の製造方法により製造される、トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる液体現像剤。
- 前記トナー粒子の体積平均粒径は0.1μm以上10.0μm以下であり、
前記トナー粒子の体積分布の変動係数は0.1%以上100%以下であり、
前記トナー粒子の平均円形度は0.90以上1.00以下である、請求項4に記載の液体現像剤。 - 前記トナー粒子は、前記シェル樹脂を含むシェル層と、前記コア樹脂を含むコア粒子とから構成されるコア/シェル構造を有し、
前記シェル層による前記コア粒子の被覆率は50%以上100%以下である、請求項4または請求項5に記載の液体現像剤。
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