JP2016169285A - 処理顔料の製造方法 - Google Patents

処理顔料の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016169285A
JP2016169285A JP2015049464A JP2015049464A JP2016169285A JP 2016169285 A JP2016169285 A JP 2016169285A JP 2015049464 A JP2015049464 A JP 2015049464A JP 2015049464 A JP2015049464 A JP 2015049464A JP 2016169285 A JP2016169285 A JP 2016169285A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
pigment
inorganic salt
organic solvent
soluble inorganic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015049464A
Other languages
English (en)
Inventor
尚一 保立
Shoichi Hotate
尚一 保立
大湊 弘之
Hiroyuki Ominato
弘之 大湊
岡田 真一
Shinichi Okada
真一 岡田
勝部 浩史
Hiroshi Katsube
浩史 勝部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
DIC Corp
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DIC Corp, Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical DIC Corp
Priority to JP2015049464A priority Critical patent/JP2016169285A/ja
Publication of JP2016169285A publication Critical patent/JP2016169285A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】 高解像度のインクジェットヘッドを搭載したプリンタにも適用可能な、粗大粒子が低減処理された有機顔料の製造方法を提供する。【解決手段】 粗顔料、水溶性無機塩、及び該水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤とを混練する工程1と、前記水溶性無機塩、前記水溶性有機溶剤及びアクリル系樹脂を追加する工程2と、前記水溶性無機塩と前記水溶性有機溶剤とを除去する工程3とを有し、前記工程1と前記工程2との関係が、式(1)を満たし、且つ、前記工程2を経た後の前記アクリル系樹脂の添加量が、粗顔料に対して3〜10質量%の範囲である処理顔料の製造方法。【数1】(1)【選択図】 なし

Description

本発明は、処理顔料の製造方法に関する。
色材として有機顔料を使用した顔料組成物は、有機顔料が有する優れた耐光性を利用して、屋内外問わず、自動車や建材用の塗料分野や、オフセットインキ、グラビアインキ、フレキソインキ、シルクスクリーンインキ等の印刷インキ分野、あるいはインクジェット記録用インク分野やカラーフィルタ用カラーレジスト等様々な用途に使用されている。特にインクジェット記録用インク分野やカラーフィルタ用カラーレジストのような高機能用途に用いられる有機顔料は、塗料や印刷インキの着色に用いられる汎用有機顔料に比べて、高精彩な印刷が要求されることから、より微細な顔料が求められている。
微細な有機顔料を得る方法として、例えば、粗顔料を、室温で固体かつ水不溶性の合成樹脂、食塩等の水溶性無機塩、及び前記合成樹脂を少なくとも一部溶解する水溶性有機溶剤と共に、ニーダー等で機械的に混練した後(以下、粗顔料、水溶性無機塩、及び水溶性有機溶剤を含む混合物を混練することをソルトミリングと呼ぶ)、水洗により、水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する方法がある(例えば、特許文献1〜3参照。)。この方法では、粗顔料の一次粒子の粉砕と結晶成長が並行して起こるため、最終的に粒度分布が狭く、平均粒径が小さいわりに表面積の小さい有機顔料が得られる。
前記方法は微細な有機顔料を得られるすぐれた方法であるが、時として粗大粒子が多く発生する場合があった。粗大粒子は特に用途がインクジェット記録用インクの場合に問題となり、インクジェットヘッドのノズル目詰まりを引き起こす。特に近年のインクジェットプリンタの高解像度化に伴いインクジェットヘッドのノズルの高密度化及び液滴の微細化、即ちインクを吐出するノズル径の微細化、高集積化が進んでいる(例えば特許文献4参照)。ノズル径の微細化が進むと許容できる異物の大きさも小さくなるため、ノズルの目詰まりが増加し、即ち従来のインクジェットプリンタに適用できていたインクが、新たに開発された高解像度のインクジェットヘッドを搭載したプリンタには使用できないという問題が生じる。
特開平05−043704号公報 特開平7−13016号公報 特開2009−144126号公報 特開2013−993号公報
本発明の課題は、高解像度のインクジェットヘッドを搭載したプリンタにも適用可能な、粗大粒子が低減処理された有機顔料の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、ソルトミリング工程において、使用する合成樹脂が粗大粒子の発生に影響することを見出し、使用する合成樹脂の種類とその添加量、及び添加するタイミングを特定することで、前記課題を解決した。
即ち本発明は、粗顔料、水溶性無機塩、及び該水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤とを混練する工程1と、
前記水溶性無機塩、前記水溶性有機溶剤及びアクリル系樹脂を追加する工程2と、
前記水溶性無機塩と前記水溶性有機溶剤とを除去する工程3とを有し、
前記工程1と前記工程2との関係が、式(1)を満たし、且つ 、
前記工程2を経た後の前記アクリル系樹脂の添加量が、粗顔料に対して3〜10質量%の範囲である処理顔料の製造方法を提供する。
Figure 2016169285

(1)
本発明の製造方法により得た顔料は、特に水性媒体に分散させた後も粗大粒子が低減されており、高解像度のインクジェットヘッドを搭載したプリンタにも適用可能なインクに好適に使用することができる。
(粗顔料)
本発明において粗顔料とは、一般に色材として使用される有機顔料よりも一次粒子径が大きく、色材としては適さないような粒子を指す。例えば比表面積等は有機顔料より著しく小さい値をとる。
ワイラー法やフタロニトリル法で合成したフタロシアニンは、そのままでは一次粒子径が大きく色材として適さず粗顔料と称される。または粗製クルード、または単にクルードとも呼ばれている。該粗顔料と水溶性無機塩、及び該水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤とで混練することにより、該粗顔料は色材として適用できる程に微細化できる。本願においては、前記粗顔料を水溶性無機塩及び水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤とで混練して、色材として適用できる程に微細化されたものを混練顔料と称す。
そして、混練顔料をそれぞれの用途に応じた適性を付与するために表面処理を施した顔料を処理顔料と称す。本発明の顔料は混練時に用途適性付与の表面処理を同時に実施したことが特徴となっている。
本発明で使用する粗顔料は特に限定はなく、水性インクジェット記録用インク用の有機顔料として使用されているものが使用できる。具体的には、水や水溶性有機溶剤に分散可能な公知の有機顔料が使用できる。具体的にはアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
例えばイエローインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、174、180、185等が挙げられる。
また、マゼンタインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、146、168、176、184、185、202、209、等が挙げられる。
また、シアンインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、16、22、60、63、66等が挙げられる。
本発明において粗顔料は、どの様な粒子径のものであっても良いが、乾燥粉体において、一次粒子の平均粒子径100nm以下であると、より鮮明な着色物を得られやすいので好ましい。
なお一次粒子の平均粒子径とは、次の様に測定される。まず、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡で視野内の粒子を撮影する。そして、二次元画像上の、凝集体を構成する一次粒子の50個につき、個々の粒子の内径の最長の長さ(最大長)を求める。個々の粒子の最大長の平均値を一次粒子の平均粒子径とする。
(水溶性無機塩)
本発明で使用する水溶性無機塩としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を用いることが好ましい。また、平均粒子径0.5〜50μmの無機塩を用いることがより好ましい。この様な無機塩は、通常の無機塩を微粉砕することにより容易に得られる。
(該水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤)
本発明で使用する該水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤(以下単に「水溶性有機溶剤」と称する場合がある」としては、有機顔料の結晶成長を抑制し得るものが好適に使用でき、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1−メトキシ−2−プロパノール等を用いることができるが、エチレングリコール又はジエチレングリコールが好ましい。
(アクリル系樹脂)
本発明で使用するアクリル系樹脂は、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体等の、スチレン系モノマー、及び(メタ)アクリル酸を原料モノマーとして含むスチレン−アクリル酸系共重合体が挙げられる。なお、本発明において「スチレン−アクリル酸系共重合体」とは、前述の通り「スチレン系モノマー、及び(メタ)アクリル酸を原料モノマーとして含む共重合体」と定義するものとする。従って、スチレン系モノマー、及び(メタ)アクリル酸以外の汎用のモノマーを共重合させてあってもよい。
スチレン−アクリル酸系共重合体の原料であるスチレン系モノマーの使用比率は50〜90質量%であることがより好ましく、中でも70〜90質量%であることが特に好ましい。
前記スチレン−アクリル酸系共重合体はスチレン系モノマー、アクリル酸モノマー及びメタクリル酸モノマーの少なくとも一方の共重合によって得られるが、アクリル酸とメタクリル酸を併用することが好ましい。その理由は、樹脂合成時の共重合性が向上して、樹脂の均一性が良くなり、その結果、顔料分散液の保存安定性が良好となり、且つより微粒子化された顔料分散液が得られる傾向があるためである。
前記スチレン−アクリル酸系共重合体においてスチレン系モノマーとアクリル酸モノマーとメタクリル酸モノマーの共重合時の総和は、全モノマー成分に対して95質量%以上であることが好ましい。
前記スチレン−アクリル酸系共重合体の製造方法としては、通常の重合方法を採ることが可能で、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等、重合触媒の存在下に重合反応を行う方法が挙げられる。重合触媒としては、例えば、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられ、その使用量はビニルモノマー成分の0.1〜10.0質量%が好ましい。
また、前記スチレン−アクリル酸系共重合体はランダム共重合体でもよいが、グラフト共重合体であっても良い。グラフト共重合体としてはポリスチレンあるいはスチレンと共重合可能な非イオン性モノマーとスチレンとの共重合体が幹又は枝となり、アクリル酸、メタクリル酸とスチレンを含む他のモノマーとの共重合体を枝又は幹とするグラフト共重合体をその一例として示すことができる。スチレン−アクリル酸系共重合体は、このグラフト共重合体とランダム共重合体の混合物であってもよい。
本発明において、アニオン性基を有するアクリル系共重合体の重量平均分子量は5000〜20000の範囲内であることが好ましい。例えば前記スチレン−アクリル酸系共重合体を使用する場合も、その重量平均分子量は5000〜20000の範囲内であることが好ましく、5000〜18000の範囲内にあることがより好ましい。中でも、5500〜15000範囲内にあることが特に好ましい。ここで重量平均分子量とはGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法で測定される値であり、標準物質として使用するポリスチレンの分子量に換算した値である。
本発明で使用するスチレン−アクリル酸系共重合体の場合、アクリル酸モノマー及びメタクリル酸モノマー由来のカルボキシル基を有するが、その酸価は50〜300(mgKOH/g)であることが好ましく、60〜200(mgKOH/g)であることがさらに好ましい。
ここでいう酸価とは、日本工業規格「K0070:1992.化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法」に従って測定された数値であり、樹脂1gを完全に中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)である。本発明においては、具体的には以下のように測定した酸価とする。
(酸価の測定方法)
メタノールとトルエンの7:3の混合溶媒に試料0.1gを溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として、0.1M水酸化カリウムアルコール溶液で滴定することにより、樹脂の酸価を求めた。
酸価が低すぎる場合には顔料分散や保存安定性が低下し、また後記するインクジェット記録用水性インクを調製した場合に、印字安定性が悪くなるので好ましくない。酸価が高すぎる場合には、着色記録画像の耐水性が低下するのでやはり好ましくない。共重合体を該酸価の範囲内とするには、(メタ)アクリル酸を、前記酸価の範囲内となる様に含めて共重合すれば良い。
(塩基性化合物)
前記アクリル系樹脂は、塩基性化合物で中和されていることが好ましい。塩基性化合物としては公知のものを使用でき、例えばカリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属などの炭酸塩;水酸化アンモニウム等の無機系塩基性化合物や、トリエタノールアミン、N,N−ジメタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N−N−ブチルジエタノールアミンなどのアミノアルコール類、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどのモルホリン類、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ピペラジンヘキサハイドレートなどのピペラジン等の有機系塩基性化合物が挙げられる。中でも、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムに代表されるアルカリ金属水酸化物が好ましく、特に水酸化カリウムが好ましい。
これらを使用した前記アニオン性基の中和率は特に限定はないが、一般に50〜200%となる範囲で行うことが多い。なお本発明において、中和率とは塩基性化合物の配合量が前記アニオン性基含有有機高分子化合物中の全てのカルボキシル基の中和に必要な量に対して何%かを示す数値であり、以下の式で計算される。
Figure 2016169285
(製造方法)
本発明の製造方法は、粗顔料、水溶性無機塩、及び該水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤とを混練する工程1と、
前記水溶性無機塩、前記水溶性有機溶剤及びアクリル系樹脂を追加する工程2と、
前記水溶性無機塩と前記水溶性有機溶剤とを除去する工程3とを有し、
前記工程1と前記工程2との関係が、式(1)を満たし、且つ 、
前記工程2を経た後の前記アクリル系樹脂の添加量が、粗顔料に対して3〜10質量%の範囲であることが特徴である。
Figure 2016169285

(1)
(工程1)
工程1において、前記粗顔料と水溶性無機塩、及び該水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤とは、ぞれぞれ粗顔料1部に対し、前記水溶性無機塩は、質量換算で4〜20部とするのが好ましく6〜15部とするのがより好ましく、前記水溶性有機溶剤は質量換算で0.01〜5部とするのが好ましく0.1〜3部とするのがより好ましい。
また、使用する混練機としては、公知慣用の混練機でよく、具体的には例えば、ニーダー、ミックスマーラー、特開2007−100008公報に記載のプラネタリー型ミキサーである井上製作所株式会社製のトリミックス(商標名)や、特開平4−122778号公報に記載の連続式二軸押出機や、特開2006−306996号公報に記載の連続式一軸混練機である浅田鉄工株式会社製のミラクルKCK等を用いることができる。
混練時の温度は10℃〜150℃が好ましく、30℃〜120℃がより好ましく、最適には70℃〜110℃が好ましい。150℃以上で微粒化を行うと、粒子の成長速度が微粒化速度に勝り、微粒化が進みにくくなることがある。また、10℃以下で微粒化を行うことは微粒化時の発熱により、制御が困難となり、製造安定性に齟齬を来たすため、好ましくない。全混練時間は、目的の粒径が得られる任意の時間行うことができるが、通常は2時間〜24時間であり、生産性を考慮すると2時間〜15時間が好ましい。なお本発明においては、全混練時間は、工程1の所要時間と工程2の所要時間の和である。
(工程2)
混練の途中で、前記水溶性無機塩、前記水溶性有機溶剤及びアクリル系樹脂を追加する。混練の途中で高分子化合物を添加してもよいことは公知であり、例えば特許文献3の段落0068に記載されている。しかしながら本発明においては、前記式(1)を満たすようなタイミングで添加することが特徴である。
前記式(1)は全混練時間における前記水溶性無機塩、前記水溶性有機溶剤及びアクリル系樹脂を追加するタイミングを特定した式である。この式を満たさない場合、いずれも得られる処理顔料の粗大粒子は増大する傾向にある。
また、式(1)を満たすタイミングで添加するアクリル系樹脂の量は粗顔料に対して3〜10質量%の範囲であることも特徴であり、この範囲内において得られる処理顔料の粗大粒子は低減する。該量はなかでも3〜8質量%の範囲であることがなお好ましく、4〜7質量%の範囲であることが最も好ましい。
また、前記水溶性無機塩及び前記水溶性有機溶剤は、それぞれ粗顔料1部に対し、前記水溶性無機塩は、質量換算で0.1〜10部とするのが好ましく0.5〜5部とするのがより好ましく、前記水溶性有機溶剤は質量換算で0.01〜5部とするのが好ましく0.1〜1部とするのがより好ましい。工程2において前記水溶性無機塩を追加する目的は、混練時の磨砕度を工程1と同程度に保つことであり、前記水溶性有機溶剤を追加する目的は、混練時のシェアを工程1と同程度に保つことである。
なお、工程1と工程2を経た段階で、前記水溶性無機塩の全量は粗顔料1部に対し20部を超えないことが好ましく、前記水溶性有機溶剤の全量は粗顔料1部に対し10部を超えないことが好ましい。
前記条件において、得られる処理顔料の粗大粒子が低減する理由は、以下のように推定している。すなわちある程度磨砕が進むと顔料は均一に小粒径化し、顔料粒子の粒度分布がシャープになる。しかし磨砕された顔料粒子の表面エネルギーが高く、活性であるため、顔料粒子同士を引き寄せ、強い凝集体が形成される。このとき樹脂を共存させることで、磨砕による顔料粒子活性表面のエネルギーを抑えて、凝集を抑えることが可能になり、乾燥凝集も抑え、顔料分散液の易分散を可能にし、処理顔料の粗大粒子を低減することができる。
この方法は、特に顔料としてフタロシアニン顔料を使用したとき、顕著な効果が得られる。フタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、16、22、60、63、66等が挙げられる。
(工程3)
前記水溶性無機塩と前記水溶性有機溶剤とを除去する工程3は、公知の方法でおこなえばよい。一般的には、冷却し、そこから水溶性無機塩と前記水溶性有機溶剤とを酸洗浄により除去することができる。得られたウエットケーキは必要に応じて、更に水洗浄、濾過、乾燥、粉砕等を行うことで、処理顔料を得ることができる。
洗浄としては、水洗、湯洗のいずれも採用できる。洗浄回数は、例えば1〜5回の範囲で繰り返すことも出来る。洗浄することで、有機顔料に吸着していないアクリル系樹脂を除去することが可能である。必要であれば、顔料の結晶状態を変化させない様に、酸洗浄、アルカリ洗浄、溶剤洗浄を行ってもよい。
上記した濾別、洗浄後の乾燥としては、例えば、乾燥機に設置した加熱源による80〜120℃の加熱等により、顔料の脱水及び/又は脱溶剤をする回分式あるいは連続式の乾燥等が挙げられ、このとき使用する乾燥機は例えば箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライアー等が挙げられる。特にスプレードライ乾燥はペースト作成時に容易に分散可能な顔料が得られるため好ましい。また乾燥後の粉砕は、比表面積を大きくし、一次粒子の平均粒子径を小さくするための操作ではなく、例えば箱型乾燥機、バンド乾燥機を用いた乾燥の場合のように顔料がランプ状等の塊となった際に顔料を解して粉末化するために行うものであり、例えば、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等による粉砕等が挙げられる。
本発明で得られる処理顔料の、遊離金属、遊離金属イオン等の不純物を低減する目的で、酸類で洗浄することは効果的である。このとき使用する酸類は、例えば、濃度0.3%〜10%の塩酸、硝酸や硫酸等の酸類が好ましい。また、洗浄時の温度は、50〜90℃が好ましい。また、水を用いて洗浄してもよい。
以下、本発明の実施例を示して詳しく説明する。
なお、特に断りがない限り「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
また、本実施例、比較例において用いた樹脂は以下のとおりのものである。
(合成例1 アクリル酸系樹脂(A−1)の製造方法)
撹拌装置、滴下装置、還流装置を有する反応容器にメチルエチルケトン100部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら加温し、メチルエチルケトン還流状態とした後、滴下装置からスチレン72部、アクリル酸12部、メタクリル酸16部及び重合触媒(和光純薬工業社製/「V−59」)8部の混合液を2時間かけて滴下した。なお滴下の途中より、反応系の温度を80℃に保った。 滴下終了後、同温度でさらに25時間反応を続けた。なお、反応の途中において、原料の消費状況を確認しながら、適宜、重合触媒を追加した。反応終了後、メチルエチルケトンを減圧下で留去し、得られた固体を粉砕して、アクリル酸系樹脂(A−1)の粉体を得た。
以上により、スチレン/アクリル酸/メタアクリル酸=72/12/16(重量%)であり、重量平均分子量9000、酸価180mgKOH/gであるアクリル酸系樹脂(A−1)が得られた。
なお本発明における重量平均分子量は、GPC(ゲル・浸透・クロマトグラフィー)法で測定し、標準物質として使用するポリスチレンの分子量に換算した値である。なお、測定は以下の装置及び条件により実施した。
送液ポンプ:LC−9A
システムコントローラー:SCL−6B
オートインジェクター:SIL−6B
検出器:RID−6A
以上島津製作所社製。
データ処理ソフト:Sic480IIデータステーション(システムインスツルメンツ社製)。
カラム:GL−R400(ガードカラム)+GL−R440+GL−R450+GL−R400M(日立化成工業社製)
溶出溶媒:THF
溶出流量:2ml/min
(実施例1)
(処理顔料の製造方法:工程1)
フタロシアニン粗顔料75部、ジエチレングリコール90部、塩化ナトリウム563部、キシレン1.57部、水酸化ナトリウム0.87部を双腕式ニーダー(吉田製作所製)に入れ、90℃〜95℃で5時間混練した。
(処理顔料の製造方法:工程2)
工程1後、合成例1で得たアクリル酸系樹脂(A−1)3.75部、ジエチレングリコール40部、塩化ナトリウム188部、を添加しさらに2時間混練した。
(処理顔料の製造方法:工程3)
工程2後、内容物を0.4%塩酸で洗浄、ろ過、70℃の温湯で洗浄、ろ過後、90℃で乾燥して顔料組成物を得た。
(水性顔料分散液 製造方法)
実施例1で得た顔料組成物を50部、合成例1で得たアクリル酸系樹脂(A−1)15部、トリエチレングリコール20部、8N水酸化カリウム7.99部を容量0.4LのプラネタリミキサーACM−0.4LVT(株式会社愛工舎製作所)に仕込み、ジャケットを80度に加温し、回転数80rpmにて1時間混練を行った。続いて、撹拌層内の混練物に、撹拌を継続しながらイオン交換水150部を徐々に加え、更に1時間撹拌した後に全量取り出した。この分散液に、トリエチレングリコールとイオン交換水を加え、顔料濃度15.45%に調整した。
(比較例1)
実施例1の(処理顔料の製造方法:工程1)において、混練時間を7時間に変更し、(処理顔料の製造方法:工程2)を行わないことに変更した以外は、実施例1と同様にして顔料組成物、及び水性顔料分散液を得た。
(比較例2)
実施例1(処理顔料の製造方法:工程1)において、混練を開始すると同時に(処理顔料の製造方法:工程2)を開始することに変更した以外は、実施例1と同様にして顔料組成物、及び水性顔料分散液を得た。
(比較例3)
実施例1(処理顔料の製造方法:工程1)において、混練時間を6.5時間に変更し、(処理顔料の製造方法:工程2)で混練時間を0.5時間に変更した以外は、実施例1と同様にして顔料組成物、及び水性顔料分散液を得た。
(比較例4)
実施例1(処理顔料の製造方法:工程2)において、合成例1で得たアクリル酸系樹脂(A−1)の添加量「3.75部」を「2.25部」に変更した以外は、実施例1と同様にして顔料組成物、及び水性顔料分散液を得た。
(比較例5)
実施例1(処理顔料の製造方法:工程2)において合成例1で得たアクリル酸系樹脂(A−1)の添加量「3.75部」を「7.5部」に変更した以外は、実施例1と同様にして顔料組成物、及び水性顔料分散液を得た。
(評価方法)
上記実施例1、及び比較例1〜5で作製した水性顔料分散体に対して以下の項目を測定して評価を行った。
<作製直後の粗大粒子数>
実施例1、及び比較例1〜5で作製した水性顔料分散液を2000倍に希釈し、アキュサイザー780APS(インターナショナル・ビジネス社製)にて測定を行った。粗大粒子数は顔料濃度14.5%水性顔料分散液1ml当たりの粒子数に換算した。
なお、評価基準は表1の通りとした。
Figure 2016169285
以上の結果を表2に示す。
Figure 2016169285

Claims (3)

  1. 粗顔料、水溶性無機塩、及び該水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤とを混練する工程1と、
    前記水溶性無機塩、前記水溶性有機溶剤及びアクリル系樹脂を追加する工程2と、
    前記水溶性無機塩と前記水溶性有機溶剤とを除去する工程3とを有し、
    前記工程1と前記工程2との関係が、式(1)を満たし、且つ 、
    前記工程2を経た後の前記アクリル系樹脂の添加量が、粗顔料に対して3〜10質量%の範囲であることを特徴とする処理顔料の製造方法。
    Figure 2016169285


    (1)
  2. 前記アクリル系樹脂が、酸価50〜300mgKOH/gであり中和率50〜200%の範囲で中和されている請求項1に記載の処理顔料の製造方法。
  3. 前記粗顔料がフタロシアニン顔料である請求項1または2に記載の処理顔料の製造方法。
JP2015049464A 2015-03-12 2015-03-12 処理顔料の製造方法 Pending JP2016169285A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015049464A JP2016169285A (ja) 2015-03-12 2015-03-12 処理顔料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015049464A JP2016169285A (ja) 2015-03-12 2015-03-12 処理顔料の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016169285A true JP2016169285A (ja) 2016-09-23

Family

ID=56982170

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015049464A Pending JP2016169285A (ja) 2015-03-12 2015-03-12 処理顔料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016169285A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004051777A (ja) * 2002-07-19 2004-02-19 Dainippon Ink & Chem Inc 水性フタロシアニンブルー顔料分散液用混練物およびこれを用いた水性フタロシアニンブルー顔料分散液とインク組成物の製造方法
JP2007297483A (ja) * 2006-04-28 2007-11-15 Toyo Ink Mfg Co Ltd 顔料の微細化方法、および該方法で得られる微細顔料を用いた着色組成物
JP2009144126A (ja) * 2007-12-18 2009-07-02 Fujifilm Corp 処理顔料、処理顔料の製造方法、顔料分散組成物、着色感光性組成物、カラーフィルタ、及びカラーフィルタの製造方法
WO2011118557A1 (ja) * 2010-03-24 2011-09-29 大日精化工業株式会社 樹脂処理顔料、該顔料の製造方法及び顔料分散体
JP2012198438A (ja) * 2011-03-23 2012-10-18 Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd カラートナー用顔料組成物、それを含有してなるカラートナー用着色樹脂組成物及びカラートナー

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004051777A (ja) * 2002-07-19 2004-02-19 Dainippon Ink & Chem Inc 水性フタロシアニンブルー顔料分散液用混練物およびこれを用いた水性フタロシアニンブルー顔料分散液とインク組成物の製造方法
JP2007297483A (ja) * 2006-04-28 2007-11-15 Toyo Ink Mfg Co Ltd 顔料の微細化方法、および該方法で得られる微細顔料を用いた着色組成物
JP2009144126A (ja) * 2007-12-18 2009-07-02 Fujifilm Corp 処理顔料、処理顔料の製造方法、顔料分散組成物、着色感光性組成物、カラーフィルタ、及びカラーフィルタの製造方法
WO2011118557A1 (ja) * 2010-03-24 2011-09-29 大日精化工業株式会社 樹脂処理顔料、該顔料の製造方法及び顔料分散体
JP2012198438A (ja) * 2011-03-23 2012-10-18 Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd カラートナー用顔料組成物、それを含有してなるカラートナー用着色樹脂組成物及びカラートナー

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5678519B2 (ja) 微細黄色顔料組成物及び該微細黄色顔料組成物を含む顔料分散体、並びに前記微細黄色顔料組成物の製造方法
JP6393257B2 (ja) 微細有機顔料の製造方法
WO2014185475A1 (ja) 微細有機顔料の製造方法
JP5490980B2 (ja) 微細化顔料の製造方法および顔料着色剤
JP2011153211A (ja) インクジェット記録用水性顔料分散液の製造方法
JP6519835B2 (ja) 水性顔料分散体及び水性顔料分散体の製造方法
WO2005012443A1 (ja) インクジェット記録用水性顔料分散液、インクジェット記録用インク組成物およびその製造方法
JP4835798B2 (ja) 水性顔料分散液およびインクジェット記録用水性インクの製造方法
JP7129011B2 (ja) 微細有機顔料の製造方法
JP7318278B2 (ja) 水性顔料分散体及びその製造方法
JP2017226857A (ja) カラーフィルタ用表面処理有機顔料、その製造方法及びカラーフィルタ
JP6402098B2 (ja) 微細有機顔料の製造方法
WO2020105441A1 (ja) 水性顔料分散体の製造方法
JP4984125B2 (ja) 水性顔料分散液及びインクジェット記録用インク
JP2016169285A (ja) 処理顔料の製造方法
JP7346803B2 (ja) 水性顔料分散体及び水性顔料分散体の製造方法
JP6944401B2 (ja) 微細樹脂処理有機顔料の製造方法、微細樹脂処理有機顔料、着色分散液、着色樹脂組成物、成品及び着色樹脂成形体
JP2011213999A (ja) 超易分散顔料分散体およびその製造方法
JP7363290B2 (ja) 水性顔料分散体及び水性顔料分散体の製造方法
JP2004051963A (ja) 水性顔料分散体の製造方法及び水性顔料記録液の製造方法
JP7404830B2 (ja) 水性顔料分散体及び水性顔料分散体の製造方法
WO2021100468A1 (ja) 顔料組成物の製造方法
JP6769513B2 (ja) 水性顔料分散体の製造方法
JP2018002764A (ja) 顔料組成物及び易分散顔料
JP2017105934A (ja) 顔料の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20180220

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180306

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190319

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190409

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190531

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190620

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190905