JP2016166160A - ポルフィリン化合物及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体内の活性酸素種(ROS)の高い場所のみに高い抗酸化能を示すことができる抗酸化剤、及びドラッグデリバリー組成物として有用な、ポルフィリン化合物の提供。
【解決手段】図1中の、本ポルフィリン化合物Aは高い脂溶性をもつため、血液脳関門や、細胞膜を透過することができる。細胞内は活性酸素種が豊富なため、スルフィド基が酸化され、抗酸化力の高いスルホキシドBとなる。スルホキシドBは脂溶性が低下しているため、細胞内に留まるため、その結果、ROSが豊富で抗酸化力を必要とする場所に、抗酸化剤としての本ポルフィリン化合物が留まることになる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポルフィリン化合物及びその用途に関する。
酸化ストレスは、癌、心臓病、動脈硬化、神経変性疾患(アルツハイマー等)等の様々な疾病の原因となる。前記酸化ストレスは、活性酸素種(ROS)が、タンパク質、DNA、脂質等の生体分子を損傷することにより発生する。前記ROSとしては、例えば、スーパーオキシド(O ・−)、過酸化水素(H)、ペルオキシ亜硝酸(ONOO)、ヒドロキシルラジカル(OH)等が挙げられる。前記スーパーオキシドは、ミトコンドリア内膜上の電子伝達系から近傍の溶存酸素分子に不意に電子移動が起こることにより発生する。また、前記スーパーオキシドは、炎症部位等で、白血球のNADPHオキシダーゼが、病原菌等の有害な細菌を攻撃するために生産される。前記スーパーオキシドは、代謝分解、不意の反応により他のROSへと変化するため、他のROSの原料ともなる。
これに対し、生体内のスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)は、前記スーパーオキシドに対し、抗酸化(消去)活性を示す。しかしながら、老化に伴い、抗酸化活性が衰えるため、前記酸化ストレスが体内で蓄積されることになり、様々な疫病が発生する。一方、老化を伴わなくとも、前記酸化ストレスは、体内で徐々に蓄積されうる。このため、前記ROSを消去することができる抗酸化剤は、様々な酸化ストレス関連疾患の治療又は予防薬として期待できる。
前記抗酸化剤として、例えば、マンガンポルフィリンが、前記スーパーオキシドを触媒的に分解することができ、SOD類似活性があることが知られている(非特許文献1等)。また、前記マンガンポルフィリンは、前記ROSの一つである過酸化水素の分解活性や前記ROSの一つであるペルオキシ亜硝酸の分解活性があることも知られている(非特許文献2)。
Batinic−Haberle, I. et al. Antioxid. Redox Signaling, 13 (2010) 877−918. I.Fridovich et al., J.Biol. Chem. 269, 23471 (1996)
一方、前記ROSが細胞の抗酸化機構を活性化することも知られている。そして、前記抗酸化剤がむやみに前記ROSを除去すると本来の抗酸化力を損ねる結果となる。そのため、例えば、生体内の前記ROSの濃度が高い場所のみに、高い抗酸化能を示すことにより、細胞本来の抗酸化力を損ねない機能性抗酸化剤が要求される。前記機能性抗酸化剤としては、例えば、生体内の環境に応答して、抗酸化活性が変化する抗酸化剤等が考えられる。
しかしながら、生体内の環境に応答して、抗酸化活性がさらに向上する抗酸化剤はこれまでにない。
そこで、本発明は、前記ROSと反応することにより、生体内の環境に応答して、抗酸化活性がさらに向上可能なポルフィリン化合物、抗酸化剤、及びドラッグデリバリー組成物の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のポルフィリン化合物は、
下記式(1)で表されるポルフィリン化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、又はそれらの塩である。
前記式(1)中、
Mは、錯体を形成するための金属若しくは金属ハロゲン化物を表すか、またはピロール環の窒素原子に結合した2個の水素原子であり、
は、置換基であり、1でも複数でも存在しなくてもよく、複数の場合は、各Rは、同一でも異なっていてもよく、
は、下記式(2)で表される原子団、芳香族基、又は窒素含有複素環式芳香族基であり、各Rは、同一でも異なっていてもよいが、Rの少なくとも一つが下記式(2)で表される原子団であり、
前記式(2)中、
Arは、置換若しくは無置換の芳香族基を表し、
Yは、水素又は置換基を示し、
及びZは、それぞれ、酸素原子であるか、又は存在しない。
本発明の抗酸化剤は、活性酸素種(ROS)を分解する抗酸化剤であって、前記抗酸化剤が、本発明の前記ポルフィリン化合物、その互変異生体若しくは立体異性体、又はそれらの塩を含むことを特徴とする。
本発明のドラッグデリバリー組成物は、本発明の前記ポルフィリン化合物又は本発明の前記抗酸化剤を含むことを特徴とする。
本発明によれば、前記ROSと反応することにより、生体内の環境に応答して、抗酸化活性がさらに向上可能なポルフィリン化合物、抗酸化剤、及びドラッグデリバリー組成物を提供可能である。
図1は、本発明のポルフィリン化合物のR−スルファニル基、R−スルホキシド基、及びR−スルホン基のHammett則における置換定数σを示す説明図である。 図2は、スーパーオキシドの不均化分解反応の説明図である。 図3は、酸化還元電位とSOD活性の関係を示すグラフである。 図4は、実施例のポルフィリン化合物1aのH NMRの測定結果を示す。 図5は、実施例のポルフィリン化合物2aのH NMRの測定結果を示す。 図6は、実施例のポルフィリン化合物2bのH NMRの測定結果を示す。 図7は、実施例のポルフィリン化合物2a´のH NMRの測定結果を示す。 図8は、実施例のポルフィリン化合物2b´のH NMRの測定結果を示す。 図9は、実施例のポルフィリン化合物1のUV−visスペクトルによる測定結果を示す。 図10は、実施例のポルフィリン化合物2のUV−visスペクトルによる測定結果を示す。 図11は、実施例のポルフィリン化合物2´のUV−visスペクトルによる測定結果を示す。 図12は、実施例のポルフィリン化合物3a´及び3´のUV−visスペクトルによる測定結果を示す。 図13(a)は、実施例のポルフィリン化合物2のMn(II/III)酸化還元電位の測定図を示し、図13(b)は、実施例のポルフィリン化合物2´のMn(II/III)酸化還元電位の測定図を示し、図13(c)は、図13(a)及び(b)を重ね合せた図を示す。
以下、本発明について、例を挙げて説明する。但し、本発明は以下の説明により限定されない。
本発明のポルフィリン化合物は、前記式(1)中、Rの少なくとも一つが、前記式(2)中のS(Z)Yで表される置換基を前記ROSとの反応部位として含む。本発明者は、前記反応部位中の硫黄(S)原子が前記ROSにより酸化されることにより、スーパーオキシドの不均化分解活性が向上することを見出した。
従来、ROS検出技術として、ROSの反応により含硫黄化合物が切断されることを利用した遺伝子デリバリーの研究例が知られている(例えば、Wilson, D. S. et al. Nature Mater. 9 (2010) 923−928.)。また、ROSの反応により炭素−ホウ素結合やカルボニル−カルボニル結合(-CO-CO-)やアミド結合(-NH-CO-)が切断されることを利用した蛍光プローブの研究例が知られている。(例えば、Chang, J. et al. J. Am. Chem. Soc., 127 (2005) 16652-16659.))しかしながら、これまで、酸化された含硫黄化合物の性質を抗酸化活性変化に結びつけた例はない。
本発明者は、この知見に基づき、抗酸化作用を示すマンガンポルフィリンの分子設計コンセプトとして、酸化されやすい硫黄原子をもつR−スルファニル基(−SR)を組み合わせることを試みた。そして、本発明者は、R−スルファニル基が、前記ROSと反応することにより、R−スルファニル基が酸化され、R−スルホキシド基(−S(O)R)へと変換し、さらに、R−スルホン基(−S(O)R)へと変換されることにより、ポルフィリン環に対する電子吸引性が高まることを見出した。すなわち、まず、本発明者は、図1に示す本発明のポルフィリン化合物Aを合成し、ポルフィリン化合物A、ポルフィリン化合物Aが硫黄酸化されスルホキシド基へ変換した状態の化合物B、及び化合物Bがスルホン基へ変換した状態の化合物Cについて、Hammett則における置換定数σを調査した。そして、その結果、ポルフィリン化合物Aのスルファニル基(−SCH)では、σ=+0.10であり、ポルフィリン化合物Bのスルホキシド基(−SOCH)では、σ=+0.52であり、ポルフィリン化合物Cのスルホン基(−S(O)R)では、σ=+0.60であり、前記R−スルファニル基が段階的に酸化されることにより、電子吸引性が高まることを確認した。
本発明者は、さらに、前記電子吸引性が高まることにより、ポルフィリン化合物AのMnの酸化還元電位が正側にシフトすることを見出した。すなわち、本発明者は、ポルフィリン化合物Bを合成し、ポルフィリン化合物BのMnの酸化還元電位を測定したところ、正側にシフトすることを確認した。本発明者は、Mnの酸化還元電位が正である方が、高い抗酸化活性を示すことを見出している。
すなわち、まず、前記スーパーオキシドの不均化分解反応では、マンガンポルフィリン抗酸化剤は、スーパーオキシドから電子を受け取る反応(図2に示す反応式(1))及びスーパーオキシドに電子を与える反応(図2に示す反応式(2))を行うことにより、スーパーオキシド分子間の電子授受を仲介する。例えば、図2に示すように、マンガンポルフィリン抗酸化剤と同じ原理でスーパーオキシドを触媒的に分解することが知られていて、マンガンを含有する代表的な抗酸化酵素であるスーパーオキシドディスムターゼ存在下のスーパーオキシドの不均化分解反応は、抗酸化酵素が非存在下である場合と比較して、反応速度が、約2000倍に加速する。
マンガンポルフィリン抗酸化剤は、反応式(1)及び反応式(2)を交互に繰り返すため、全体の反応(図2に示す反応式(3))の速度は、反応式(1)及び反応式(2)の遅い方に制限される。本発明者は、図3に示すマンガンポルフィリン抗酸化剤の酸化還元電位と抗酸化活性の関係を示すグラフ(Batinic−Haberle,I.,et al. Antioxid.Red.Signal.13(2010)877−918より引用)に基づき、前記酸化還元電位は、図2に示すグラフの左半分の右上がりの領域に収まることに着目した。そして、本発明者は、酸化還元電位が正にシフトするほど(右にシフトするほど)、スーパーオキシドの不均化分解活性が向上することを見出した。
以上より、本発明者は、ROS存在下において、本発明のポルフィリン化合物は、硫黄酸化されることにより、抗酸化活性がさらに向上可能であることを見出した。本発明のポルフィリン化合物は、例えば、生体の前記ROSの濃度が高い場所で、高い抗酸化活性を示すため、前記抗酸化剤がむやみに前記ROSを除去することがないため、前記ROSによる本来の抗酸化力を損ねることもない。
本発明のポルフィリン化合物は、前述の通り、前記反応部位中の硫黄(S)原子が前記ROSにより酸化される。これにより、前記反応部位の極性が変化するため、例えば、溶解度が脂溶性から水溶性へと変化する。すなわち、本発明のポルフィリン化合物は、前記ROSと応答することによって、水への溶解性が変化する。本発明のポルフィリン化合物は、例えば、ROSとの反応前は、脂溶性を高くすることにより、血液脳関門(BBB)透過又は細胞膜透過等に有利に作用する。その後、前記ポルフィリン化合物は、炎症部位に到達した際に、前記炎症部位に存在するROSと反応することにより水溶性を高めることができる。このため、前記ポルフィリン化合物は、抗酸化剤として機能するとともに、細胞内に蓄積されることがない。
抗酸化作用を示すマンガンポルフィリンを用いたドラッグデリバリーシステム(DDS)の研究では、前記BBB透過又は細胞膜の透過性の向上の観点から脂溶性制御するために、前記マンガンポルフィリンの分子設計が試みられている。しかしながら、脂溶性の高い置換基を前記マンガンポルフィリンに組み合わせることにより、代謝されにくく、細胞内に蓄積するため、副作用が発生するという問題がある。これに対し、本発明のポルフィリン化合物は、脂溶性を有する置換基を有していても、前記ROSと応答することにより、脂溶性から水溶性へと変化するため、代謝されやすくなり、細胞内に蓄積されにくいため、副作用が発生するという問題がない。このため、本発明のポルフィリン化合物は、例えば、脂溶性及び非蓄積性を両立可能であるため、ドラッグデリバリー組成物として有用である。
[ポルフィリン化合物]
以下、本発明のポルフィリン化合物について説明する。
本発明のポルフィリン化合物は、前述の通り、下記式(1)で表されることを特徴とするポルフィリン化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、又はそれらの塩である。
本発明において、前記式(1)中のMは、錯体を形成するための金属若しくは金属ハロゲン化物を表すか、またはピロール環の窒素原子に結合した2個の水素原子であり、前記Mが、ピロール環の窒素原子に結合した2個の水素原子である場合は、前記式(1)は、下記式(1a)で表される。
前記金属としては、例えば、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)等が挙げられ、前記金属ハロゲン化物としては、例えば、FeCl(II)等の鉄ハロゲン化物、CuCl(II)等の銅ハロゲン化物、MnCl(II)等のマンガンハロゲン化物が挙げられる。これらの中でも、前記金属として、マンガン(Mn)であり、前記金属ハロゲン化物として、MnCl(II)であることが好ましい。
本発明において、前記式(1)中、Rは、置換基であり、1でも複数でも存在しなくてもよく、複数の場合は、各Rは、同一でも異なっていてもよい。前記置換基としては、例えば、置換若しくは無置換のアルキル基等が挙げられ、前記置換若しくは無置換のアルキル基は、直鎖状でも分枝状でも環状でもよく、前記置換アルキル基において、置換基は1でも複数でもよく、複数の場合は同一でも異なっていてもよい。
本発明において、前記式(1)中、Rは、下記式(2)で表される原子団、芳香族基、又は窒素含有複素環式芳香族基であり、各Rは、同一でも異なっていてもよいが、Rの少なくとも一つが下記式(2)で表される原子団である。
前記式(2)中、Arは、置換若しくは無置換の芳香族基を表す。前記置換若しくは無置換の芳香族基としては、特に制限されず、置換若しくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基、又は置換若しくは無置換のピレニル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のフェニル基であることが好ましい。置換基を有する場合、1でも複数でも存在しなくてもよく、複数の場合は、同一でも異なっていてもよい。前記置換基としてはRで例示した置換基が挙げられる。Arが、置換若しくは無置換基のフェニル基である場合、Rは、下記式(2a)〜下記式(2c)で表される原子団である。
前記式(2a)〜前記式(2c)中、
は、置換基であり、1でも複数でも存在しなくてもよく、複数の場合は、各Rは、同一でも異なっていていもよく、Y、Z及びZは、前記式(2)と同一である。
前記式(2)中、Yは、脂溶性基を表す。前記脂溶性基としては、例えば、水素よりも脂溶性を高めることができる置換基が挙げられ、例えば、疎水基等が挙げられ、直鎖若しくは分枝アルキル基、芳香族基、ポリエーテル基等が挙げられる。これらは、置換基を有してもよく有していなくてもよく、置換基を有する場合は、1でも複数でもよく、複数の場合は、各置換基は同一でも異なっていてもよい。これにより、本発明のポルフィリン化合物をドラッグデリバリー組成物として使用した場合に、前記BBB透過又は細胞膜の透過性が向上可能である。
前記Yとしては、例えば、下記式(2−1)、下記式(2−2)、又は下記式(2−3)で表される置換基が挙げられ、例えば、メチル基である。
前記式(2−1)中、
21は、水素、メチル基、又はエチル基であり、
mは、1〜20である。
前記式(2−2)中、nは、1〜20である。
前記式(2−3)中、Rは、置換基であり、1でも複数でも存在しなくてもよく、複数の場合は、各Rは、同一でも異なっていてもよい。Rとしては、例えば、前記Rで例示した置換基等が挙げられる。
前記式(2)中、Z及びZは、例えば、硫黄原子に配位されることを示す。Z及びZは、それぞれ、酸素原子であるか、又は存在しない。
前記式(2)で表される原子団は、下記式(21)〜下記式(23)で表される原子団であることが好ましい。
尚、本発明のポルフィリン化合物は、前述の通り、各Rは、同一でも異なっていていもよい。例えば、前記式(1)中、Rの2つ以上が、前記式(2)で表される原子団である場合、前記式(21)〜前記式(23)で表される原子団を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上を任意の数ずつ含んでもよい。より具体的には、前記式(1)中、一つのRが、前記式(21)で表される原子団であり、他方の1以上のRが、前記式(22)又は前記式(23)で表される原子団であってもよい。尚、後述の化学式(1−1a)〜(1−3a)及び(1−1b)〜(1−3b)で表される化合物についても同様に、1以上のメチルスルフィド基(−SCH)が、メチルスルホキシド基(−S(O)CH)又はメチルスルホン基(−S(O)CH)に変換されていてもよい。
前述の通り、前記式(1)中、Rは、芳香族基であってもよい。前記芳香族基としては、特に制限されず、例えば、置換若しくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基、又は置換若しくは無置換のピレニル基等が挙げられる。
前記窒素含有複素環式芳香族基は、置換基を有していても有していなくてもよく、単環であっても縮合環であってもよい。前記窒素含有複素環式芳香族基としては、カチオン性を有してもよく、有していなくてもよいが、水溶性を向上する観点からカチオン性を有することが好ましい。
前記カチオン性を有さない窒素含有複素環式芳香族基としては、例えば、下記式(3−1)〜下記式(3−4)で表される原子団が挙げられる。
前記式(3−1)〜(3−4)中、Rは、置換基であり、1でも複数でも存在しなくてもよく、複数の場合は、各Rは、同一でも異なってもよい。Rとしては、例えば、前記Rで例示した置換基等が挙げられる。前記式(3−4)中、Rは、置換基又は水素であり、前記置換基としては、例えば、前記Rで例示した置換基等が挙げられる。
前記カチオン性を有する窒素含有複素環式芳香族基としては、例えば、下記式(3−5)〜下記式(3−8)で表される原子団が挙げられる。
前記式(3−5)〜前記式(3−8)中、Rは、置換基であり、1でも複数でも存在しなくてもよく、複数の場合は、各Rは、同一でも異なってもよい。Rとしては、例えば、前記Rで例示した置換基等が挙げられる。前記式(3−8)中、Rは、置換基又は水素であり、前記置換基としては、例えば、前記Rで例示した置換基等が挙げられる。前記式(3−5)〜前記式(3−8)中、Xは、水素又は置換基を示す。前記置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
前記窒素含有複素環式芳香族基としては、例えば、下記式(31)〜(38)で表される原子団が挙げられる。
本発明において、前記式(1)で表されるポルフィリン化合物は、例えば、下記式(1−1a)〜下記式(1−15a)及び下記式(1−1b)〜下記式(1〜15b)で表される化合物が挙げられ、好ましくは、下記式(1−1a)、下記式(1−2a)、下記式(1−5a)、下記式(1−6a)、下記式(1−9a)、又は下記式(1−10a)で表される化合物であり、より好ましくは、下記式(1−2a)又は下記式(1−6a)で表される化合物である。
尚、下記化学式(1−1a)〜(1−3a)及び(1−1b)〜(1−3b)で表される化合物は、例えば、複数あるメチルスルフィド基の内、1以上のメチルスルフィド基(−SCH)が、それぞれ、メチルスルホキシド基(−S(O)CH)又はメチルスルホン基(−S(O)CH)に変換されていてもよい。尚、複数あるメチルスルフィド基の全てが、メチルスルホキシド基に変換された化合物が、下記式(1−5a)〜下記式(1−7a)及び下記式(1−5b)〜下記式(1−7b)で表される化合物であり、複数あるメチルスルフィド基の全てが、メチルスルホン基に変換された化合物が、下記式(1−9a)〜(1−11a)及び下記式(1−9b)〜(1−11b)で表される化合物である。


尚、本発明のポルフィリン化合物に、互変異性体若しくは立体異性体(例:cis/transの幾何異性体)が存在する場合は、いずれの異性体も本発明の化合物に含まれる。例えば、前記式(1−3a)、(1−7a)、(1−11a)、(1−3b)、(1−7b)、及び(1−11b)で表される化合物について、各trans体、すなわち(1−3a´)、(1−7a´)、(1−11a´)、(1−3b´)、(1−7b´)、及び(1−11b´)で表される化合物も本発明に含まれる。
[本発明のポルフィリン化合物の製造方法]
本発明のポルフィリン化合物の製造方法は、特に限定されず、どのような製造方法でもよいが、例えば、以下のとおりである。
以下では、前記式(1)中、Rの3つが、前記式(2a)で表される原子団であり、Rの1つが、前記式(3−5)で表される原子団である本発明のポリフィリン化合物の製造方法の一例について説明する。但し、本発明のポルフィリン化合物の製造方法は、これに限定されない。
下記スキーム1(s1)は、化合物[1]、化合物[2]、及び化合物[3]を原料とするポルフィリン化合物[4]の合成スキームを示す。下記s1により、ポルフィリン化合物[4]を合成する。
s1は、例えば、A.D.Adler, et al. J. Org Chem., 32 (1967) 476−476等に記載のRothemund合成に準じて行うことができる。本発明の製造方法において、s1の後、さらにカラムクロマトグラフィ等の分離手段により、分離することによりポルフィリン化合物[4]を得ることができる。
下記スキーム2(s2)は、s1により合成されたポルフィリン化合物[4]のピリジル−Py基をPy−X基へ四級化することにより、ポルフィリン化合物[5]を合成する反応を示す。下記s2によりポルフィリン化合物[5]を合成する。
s2は、第三級アミンを四級化する公知の合成方法により行うことができる。具体的には、例えば、1,2−ジクロロエタン等の極性溶媒下において、ポルフィリン化合物[4]とヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル等のアルキル化剤でカチオン化することにより、ポルフィリン化合物[5]を得ることできる。
下記スキーム3(s3)は、s2により合成されたポルフィリン化合物[5]からポルフィリン化合物[6]を合成する反応を示す。
s3は、例えば、I. Batinic−Haberle, et al. J. Biol. Chem., 273(1998)24523−24528等に記載の方法に準じて、例えば、金属ハロゲン化物、金属酢酸塩等の金属化合物を用いて金属錯体とすることで、ポルフィリン化合物[6]を得ることができる。さらに、前記スキーム3により合成されたポルフィリン化合物[6]に公知の方法でカウンターアニオン交換を行ってもよい。
以下では、ポルフィリン化合物[6]のR−スルファニル(−SR)基が、R−スルホキシド基(−S(O)R)へ変換した本発明のポルフィリン化合物の製造方法の一例について説明する。但し、本発明のポルフィリン化合物の製造方法は、これに限定されない。
まず、s1と同様にしてポルフィリン化合物4を合成する。
下記スキーム4(s4)は、前記スキーム1により合成されたポルフィリン化合物[4]からR−スルホキシド基を有するポルフィリン化合物[7]を合成する反応を示す。下記s4によりポルフィリン化合物[7]を合成する。
s4は、R−スルファニル(−SR)基を酸化させて、R−スルホキシド基(−S(O)R)へと変換する方法の一例としては、例えば、K.S.Ravikumar et al., Org. Syn., Coll. Vol.11(2009)135−138.等で開示された文献を改変してトリフルオロエタノール(TFE)−クロロホルム混合溶媒下にて、過酸化水素で酸化する方法等が挙げられる。さらに、R−スルホキシシド基(−S(O)R)からR−スルホン基(−S(O2)R)へと変換する方法についても、同様の方法により行うことができる。
下記スキーム5(s5)は、s4により合成されたポルフィリン化合物[7]のピリジル−Py基をPy−X基へ四級化することにより、ポルフィリン化合物[8]を合成する反応を示す。下記s5によりポルフィリン化合物[8]を合成する。下記s5は、s2と同様の方法で行うことができる。
下記スキーム6(s6)は、s5により合成されたポルフィリン化合物[8]からポルフィリン化合物[9]を合成する反応を示す。下記s6は、s3と同様にして行うことができる。さらに、下記スキーム6により合成されたポルフィリン化合物[9]に公知の方法でカウンターアニオン交換を行ってもよい。
以上、本発明のポルフィリン化合物の製造方法について具体例を用いて説明したが、本発明のポルフィリン化合物の製造法は、前述した具体例に限定されない。
[抗酸化剤]
以下、本発明の抗酸化剤について説明する。本発明の抗酸化剤は、ROSを分解する抗酸化剤であって、前記抗酸化剤が、本発明の前記ポルフィリン化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、又はそれらの塩を含むことを特徴とする。
前記ROSとしては、特に制限されず、例えば、スーパーオキシド(O ・−)、過酸化水素(H)、ペルオキシ亜硝酸(ONOO)、ヒドロキシルラジカル(OH)等が挙げられる。
本発明の抗酸化剤は、例えば、前述の通り、ドラッグデリバリーシステム用抗酸化剤として適用できる。前記ドラッグデリバリーシステムとしては、例えば、副作用が現れる薬物をプロドラッグ化することにより使用の改善を図るシステム等が挙げられる。
[ドラッグデリバリー組成物]
本発明のドラッグデリバリー組成物は、本発明の前記ポルフィリン化合物又は本発明の前記抗酸化剤を含む。
前記ドラッグデリバリーシステムとしては、例えば、副作用が現れる薬物をプロドラッグ化することにより使用の改善を図るシステム等が挙げられる。前述の通り、本発明のポルフィリン化合物は、スルフィド基が酸化されることにより、脂溶性が大きく低下し、水溶性に変化する。このため、高い脂溶性をもつ本発明のポルフィリン化合物を、血液脳関門、細胞膜透過において有利なプロドラッグとして利用可能である。その後、ROSが豊富な細胞内にてスルフィド基が酸化されると脂溶性が低下する。その結果、前記ROSが豊富で抗酸化力を必要とする細胞内では、抗酸化活性が向上した状態のスルホキシド基に変換された本化合物が留まってプロドラッグとしての効果を発揮する。
本発明のドラッグデリバリー組成物は、例えば、生体内の内、前記ROS濃度が高い場所でのみ、抗酸化活性を向上させるドラッグデリバリーシステムに適用できる。前述の通り、前記ROSが細胞の抗酸化機構を活性化することも知られており、抗酸化剤が必要以上に前記ROSを分解消去すると本来の抗酸化力を損ねる問題がある。これに対し、本発明の前記抗酸化剤を前記ROS濃度が高い場所でのみ活性化させることができれば、必要以上に前記ROSを分解消去することがないので前記問題を生じることがない。
以下、実施例により、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(1.ポルフィリン化合物1a及び1の製造)
下記スキームに従い、ポルフィリン化合物1a及び1を製造した。以下、詳細に説明する。
(1−1.ポルフィリン化合物1aの製造)
ナス形フラスコに、溶媒のプロピオン酸750mLと原料の4-メチルチオベンズアルデヒド25.9g及びピロール14.0gを入れ、油浴170℃で30分間加熱還流させた。反応液は一晩かけて室温まで放冷した。ろ別した固体をメタノールでよく洗浄し、真空乾燥して粗生成物8.42gを得た。前記粗生成物0.702gをカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン)によって精製した。得られた固体をジクロロメタン50mLに溶解し、ヘキサン300mLに加えて再沈殿させた。その後、固体を真空乾燥した。前記真空乾燥した固体の量は、0.182gであった。前記固体のうち0.1gをジクロロメタン15mLで抽出し、酢酸エチル150mLに滴下して再沈殿させた。その後、前記再沈殿させた固体を真空乾燥した。これにより、ポルフィリン化合物1aを製造した。収量は、0.004gであった。
(1−2.ポルフィリン化合物1の製造)
二つ口フラスコにポルフィリン化合物1a0.50g(0.63mmol)と酢酸マンガン4水和物3.08g(12.5mmol;ポルフィリン:マンガン=1:50)と溶媒の脱水DMF13mLを入れて空気下、90℃の油浴温で、反応液をサンプリングしてUV-visスペクトルが変化しなくなるまで、1.7時間反応させた。溶媒留去後、前記反応により生成した生成物をクロロホルムで抽出してエバポレーターで濃縮し、メタノール1Lに加えてから濾液をエバポレーターで濃縮した。これをジエチルエーテル500mLとヘキサン500mLの混合溶液に加えて再沈殿させ、固体をろ別し、真空乾燥した。これにより、ポルフィリン化合物1を製造した。収量は、0.152gであり、収率は、26.5%であった。
(2.ポルフィリン化合物2a、2b、2、2a´、2b´、及び2´の製造)
下記スキームに従い、ポルフィリン化合物2a、2b、2、2a´、2b´、及び2´を製造した。以下、詳細に説明する。
(2−1.ポルフィリン化合物2aの製造)
1L二口ナス型フラスコにプロピオン酸750mLと4-ピリジンカルバルデヒド5.36g、4-メチルチオベンズアルデヒド22.8g及びピロール13.4gをいれ、油浴温度170℃で30分間加熱還流して反応させ、室温まで放冷した。前記放冷により析出した固体を濾過し、メタノールで洗浄し、真空乾燥した。また、濾液は冷凍庫で冷却し、固体を析出させ、析出した固体を濾過・洗浄し、真空乾燥した。前記真空乾燥した固体を合わせてクロロホルムに溶解し、分液ロート中で水酸化ナトリウム2/3M水溶液(150mL)により洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム及び硫酸マグネシウムで乾燥したのち、ロータリーエバポレーターでクロロホルムを留去し、真空乾燥した(粗収量8.4g)。得られた固体のうち51mgをとって10mLのクロロホルムに溶解し、分取液体クロマトグラフィー(Biotage社製、Isolera One)を用いて精製した。担体はシリカゲル、溶出溶媒はクロロホルム:メタノールを用い、混合比を100:0から80:20の範囲で変化させた。これにより、ポルフィリン化合物2aを製造した。収量は、0.013gであり、収率は、25%であった。
(2−2.ポルフィリン化合物2bの製造)
ポルフィリン化合物2a 62mg(0.082mmol)、1,2−ジクロロエタン15mL、ヨウ化メチル0.45mL(7.2mmol)を50mLナスフラスコに加え、油浴94℃で100分加熱還流させた。前記加熱還流した反応液を室温まで放冷し、エバポレーターで揮発分を留去した。得られた固体を少量のクロロホルムに溶解し、300mLのペンタンに加えて再沈殿し、溶液を濾過し、固体を真空乾燥させた。これにより、ポルフィリン化合物2bを製造した。収量は、61mgであり、収率は、83%であった。
(2−3.ポルフィリン化合物2の製造)
化合物2b 51mg(0.057mmol)と酢酸マンガン4水和物275mg(1.1mmol;ポルフィリン:マンガン比1:20)と溶媒の脱水DMF5mLを入れて空気下、90℃の油浴温で加熱した。反応液をサンプリングしてUV-visスペクトルが変化しなくなるまで、1.5時間反応させた。得られた生成物をクロロホルムに溶解し、抽出した。溶媒をエバポレーターで留去し、真空乾燥した。少量のクロロホルムに溶解し、ジエチルエーテル300mLに加えて再沈殿させ、得られた固体をろ別し、真空乾燥して粗生成物487mgを得た。次に、イオン交換樹脂(DEAE樹脂;弱塩基性)を充填したガラスカラムに、NaCl水溶液を流し、純水で洗浄した。その後、純水20mLに溶解した前記粗生成物47.6mgを展着し、純水で溶離した。溶出液はエバポレーターで溶媒除去後、真空乾燥した。固体を少量のクロロホルムに溶解し、ペンタンに注いで再沈殿し、得られた固体を真空乾燥した。これにより、ポルフィリン化合物2を製造した。収量は、3.9mgであった。
(2−4.ポルフィリン化合物2a´の製造)
ポルフィリン化合物2b 204mg(0.270mmol)、クロロホルム4mL、2,2,2-トリフルオロエタノール10mLを50mLナスフラスコに加え、その混合物を撹拌して氷浴で冷やした。640mLの過酸化水素水を30分かけて滴下した。滴下後、室温で42時間撹拌した。亜硫酸ナトリウム0.161gを過剰な過酸化水素水を分解するために加え、50℃の水浴で10分加熱した。エバポレーターで溶媒を除去した。固体を少量のアセトンに溶解し、分取液体クロマトグラフィー(シリカゲル,アセトン:メタノール=7:3)で分取し、溶出液をエバポレーターで留去し、固体を真空乾燥した。これにより、ポルフィリン化合物2a´を製造した。収量は、0.115gであり、収率は53.1%であった。
(2−5.ポルフィリン化合物2b´の製造)
ポルフィリン化合物2a’ 115mg(0.143mmol)、1,2−ジクロロエタン29mL、ヨウ化メチル0.86mL(13.9mmol)を100mLナスフラスコに加え、油浴95℃で反応液をTLC(アルミナ、クロロホルム:メタノール=9:1)で追跡しながら200分加熱還流させた。反応液は室温まで放冷し、エバポレーターで留去した。得られた固体を少量のクロロホルム(約10mL)に溶解し、分取液体クロマトグラフィー(アルミナ、クロロホルム:メタノール=95:5〜50:50)で分取した。得られた溶出液をエバポレーターで留去し、固体を真空乾燥した。これにより、ポルフィリン化合物2b´を製造した。収量は、0.117gであり、収率は、86.2%であった。
(2−6.ポルフィリン化合物2´の製造)
100mlナスフラスコにポルフィリン化合物2b´ 116.4mg(0.123mmol)と酢酸マンガン4水和物604.5mg(2.5mmol)と溶媒の脱水DMF 7mLを入れて空気下、94℃の油浴で、1.5時間加熱した(ポルフィリン:マンガン比1:20)。反応液をサンプリングしてUV-visスペクトルが変化しなくなるまで、1.5時間反応させた。得られた生成物をクロロホルムに溶解し、抽出した。溶媒をエバポレーターで留去し、真空乾燥した。少量のクロロホルムに溶解し、ジエチルエーテル500mLに加えて再沈殿させ、得られた固体をろ別し、真空乾燥して粗生成物103mgを得た。次に、イオン交換樹脂(DEAE樹脂;弱塩基性)を充填したガラスカラムに、NaCl水溶液を流し、純水で洗浄した。その後、純水に溶解した粗生成物を展着し、純水で溶離した。溶出液はエバポレーターで溶媒除去後、真空乾燥した。固体を少量のクロロホルムに溶解し、ペンタンに注いで再沈殿し、得られた固体を真空乾燥した。これにより、ポルフィリン化合物2´を製造した。収量は、6.3mgであった。
(3.ポルフィリン化合物3a、3a´、及び3´の製造)
下記スキームに従い、ポルフィリン化合物3a、3a´、及び3´を製造した。以下、詳細に説明する。
(3−1.ポルフィリン化合物3aの製造)
100 mLナス形フラスコに、溶媒のプロピオン酸40 mLと原料のベンズアルデヒド0.795 g、4-メチルチオベンズアルデヒド0.331 g及びピロール0.69 mLをいれ、油浴170 ℃で加熱還流させた。反応は、TLC(シリカゲル、ジクロロメタン:ヘキサン=1:1 )で反応が終了するまで30分間還流した。 反応液を室温まで冷却した後、氷浴につけ、析出した固体をメタノールで洗浄しながら濾過し、減圧乾燥した。濾液は冷蔵庫で2晩冷却し、濾過して減圧乾燥した。これにより、ポルフィリン化合物3aを製造した。収量は、0.084gであり、収率は、6%であった。
(3−2.ポルフィリン化合物3a´の製造)
10 mLのナス型フラスコに、ポルフィリン化合物3a 0.060gとCHCl:TFE=2:5の混合溶媒を4.8mLを入れて溶解させた。3%Haq.1.12mLを30分かけて加えた後、室温で12時間攪拌を続け、再び3%Haq.1.12mLを30分かけて加えた後、室温で39時間反応させた。亜硫酸ナトリウムNaSO 1.733g(13mmol)を加え、30分間50℃の温浴中で温め、過酸化物テスト(ヨウ化カリウムーデンプン試験紙)でHの消失を確認した。硫酸マグネシウム乾燥後、エバポレーターで溶媒留去した。分取液体クロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム:メタノール=19:1〜5:1)で精製した。これにより、ポルフィリン化合物3a´を製造した。収量は、26mgであり、収率は、42%であった。
(3−3.ポルフィリン化合物3´の製造)
5 mLのナスフラスコにポルフィリン化合物3a’ 0.018gと酢酸マンガン4水和物0.142gと溶媒の脱水DMF1.5mLを入れて空気下、91℃の油浴で16時間加熱した。(ポルフィリン:マンガン比1:20)。反応容器に塩化リチウム0.062g入れ、10分攪拌後、室温に冷却した。生成物をクロロホルムに溶解し、抽出した後、エバポレーター、減圧乾燥を経て溶媒を留去した。これにより、ポルフィリン化合物3´を製造した。収量は、14mgであり、収率は、69%であった。
(ポルフィリン化合物1a、2a、2b、2a´、及び2b´のH−NMRによる同定)
ポルフィリン化合物1a、2a、2b、2a´、及び2b´の構造を、H−NMRにより同定した。H−NMRの測定条件は、下記の通りである。
<測定条件>
機器:製品名「日本電子製 JMN-ECP300」
観測核:1H
観測周波数:300.52965592 Hz
観測範囲:6.0132291 Hz
データポイント数:16384
パルス幅:5.7 μsec
待ち時間:4 sec
積算回数:256
測定温度:40℃
測定溶媒:重水素化クロロホルム
試料濃度:約3 mg/ml
(ポルフィリン化合物1aの同定)
ポルフィリン化合物1aのH NMRの測定結果を図4に示す。

H NMR:(CDCl、300MHz)δ -2.8(ピロールNH)、2.75(SC )、7.60-7.64(SCHの付いたベンゼン環)、8.11−8.14(SCHの付いたベンゼン環)、8.9(ピロールCH)。
(ポルフィリン化合物2aの同定)
ポルフィリン化合物2aのH NMRの測定結果を図5に示す。

H NMR(CDCl,300MHz)δ -2.8(ピロールNH)、2.75(SC )、7.6(SCHの付いたベンゼン環)、8.1−8.2(SCHの付いたベンゼン環とピリジン環)、8.8−8.9(ピロールCH)、9.0(ピリジン環)。
(ポルフィリン化合物2bの同定)
ポルフィリン化合物2bのH NMRの測定結果を図6に示す。

H NMR(CDCl,300MHz)δ -2.8(ピロールNH)、2.7(SC )、5.0(ピリジン環上のC )、7.6-8.1(SCHの付いたベンゼン環)、8.8-9.4(ピロールCHとピリジン環)。
(ポルフィリン化合物2a´の同定)
ポルフィリン化合物2a´のH NMRの測定結果を図7に示す。

H NMR:(CDCl、300MHz)δ -2.8(ピロールNH)、3.07(SOC )、8.06-8.09(SOCHの付いたベンゼン環)、8.15-8.17(ピリジン環)、8.37-8.40(SOCHの付いたベンゼン環)、8.83-8.85(ピロールCH)、9.04-9.06(SOCHの付いたベンゼン環)。
(ポルフィリン化合物2b´の同定)
ポルフィリン化合物2b´の1H NMRの測定結果を図8に示す。

H NMR:(CDCl、300MHz)δ -2.9(ピロールNH)、2.9(SOC )、3.1(SOC )、5.0(ピリジン環上のC )、7.6-9.6(ベンゼン環、ピリジン環、ピロールCH)。
(ポルフィリン化合物3a、3a´、及び3´のH−NMRによる同定)
ポルフィリン化合物3a、3a´、及び3´の構造を、H−NMRにより同定した。H−NMRの測定条件は、下記の通りである。
<測定条件>
機器:製品名「日本電子製 JMN-ECP300」
観測核:1H
観測周波数:300.52965592 Hz
観測範囲:6.0132291 Hz
データポイント数:16384
パルス幅:5.7 μsec
待ち時間:4 sec
積算回数:256
測定温度:40℃
測定溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
試料濃度:約3 mg/ml
(ポルフィリン化合物3aの同定)
ポルフィリン化合物3aの1H NMRの測定結果を下記に示す。

H NMR(300MHz、DMSO-d):δ -2.8(ピロールNH)、2.76(-SCH)、7.63(-SCHを持つベンゼン環)、7.71-7.77(-SCHを持たないベンゼン環)、8.13(-SCHを持つベンゼン環)、8.21(-SCHを持たないベンゼン環)、8.84-8.88(ピロールNH)。
(ポルフィリン化合物3a´の同定)
ポルフィリン化合物3a´の1H NMRの測定結果を下記に示す。

H NMR(300MHz、DMSO-d):δ -2.8(ピロールNH)、3.05(-SOCH)、7.7-7.8(-SCHを持たないベンゼン環)、8.0(-SCHを持つベンゼン環)、8.2(-SCHを持つベンゼン環)、8.2(-SCHを持たないベンゼン環)、8.4(-SCHを持たないベンゼン環)、8.8-8.9(ピロールNH)
(ポルフィリン化合物3´の同定)
ポルフィリン化合物3´の1H NMRの測定結果を下記に示す。

H NMR(300MHz、DMSO-d):δ -2.8(ピロールNH)、2.76(-SCH)、7.63(-SCHを持つベンゼン環)、7.71-7.77(-SCHを持たないベンゼン環)、8.13(-SCHを持つベンゼン環)、8.21(-SCHを持たないベンゼン環)、8.84-8.88(ピロールNH)。
(ポルフィリン化合物1、2a、2、2a´、2b´、2´、及び3´のESI−MSによる同定)
また、ポルフィリン化合物1a、2a、2、2a´、2b´、2´、及び3´の構造は、ESI−MSによる測定結果からも確認した。ESI−MSの測定条件は、下記の通りである。
<測定条件>
機器:製品名「日本電子製 JMS−T100LP質量分析計」
イオン化モード:ポジティブ
収集範囲:50−2000 m/z
脱溶媒室温度:250 ℃
オリフィス1温度:80 ℃
ニードル電圧:2000 V
データ収集間隔:0.5 nS
試料量:1 mL
ポルフィリン化合物1a、2a、2、2a´、2b´、2´、及び3´のESI−MSによる測定結果をそれぞれ、下記に示す。
(ポルフィリン化合物1a)
ESI-MS:m/z 799(錯体イオンピーク、計算値[M]=799)
(ポルフィリン化合物2a)
ESI-MS:m/z 754(錯体イオンピーク、計算値[M]=754)
(ポルフィリン化合物2)
ESI-MS:m/z 856(錯体イオンピーク、計算値[M]=856)
(ポルフィリン化合物2a´)
ESI-MS:m/z 803(錯体イオンピーク、計算値[M]=803)
(ポルフィリン化合物2b´)
ESI-MS:m/z 816(錯体イオンピーク、計算値[M]=816)
(ポルフィリン化合物2´)
ESI-MS:m/z 904(錯体イオンピーク、計算値[M]=904)
(ポルフィリン化合物3´)
ESI-MS:m/z 729(錯体カチオンピーク、計算値[M-Cl-=729)
(3.ポルフィリン化合物1、2、2´、3a´、及び3´のUV−visスペクトルによる同定)
ポルフィリン化合物1、2、2´、3a´、及び3´の同定は、UV−visスペクトルによる測定結果からも確認した。UV−visスペクトルの測定条件は下記の通りであり、測定結果をそれぞれ、図9〜12に示す。各図に示すように、いずれにおいても、445nm付近にSoret帯、さらに500〜700nm付近にQ帯の金属導入を示す吸収パターンが見られた。
<測定条件>
機器:製品名「日立製作所製 U−3010形分光光度計」
測定モード:波長スキャン
測定波長域:300−700 nm
スキャンスピード:300 nm/分
光源切替波長:340 nm
スリット:2 nm
測定溶媒:N、N−ジメチルホルムアミド
セル長:10 mm
(ポルフィリン化合物1)
λmax = 442nm(Soret帯)、575nm(Q帯)、616nm(Q帯)
(ポルフィリン化合物2)
λmax=447nm(Soret帯)、467nm(sh、Soret帯)、578nm(Q帯)、621nm(Q帯)
(ポルフィリン化合物2´)
λmax=446nm(sh、Soret帯)、465nm(Soret帯)、579nm(Q帯)、619nm(Q帯)
(ポルフィリン化合物3a´)
λmax = 400nm(sh、Soret帯)、418nm(Soret帯)、517nm(Q帯)、551nm(Q帯)、593nm(Q帯)、649nm(Q帯)
(ポルフィリン化合物3´)
λmax=442nm(Soret帯)、465nm(Soret帯)、529nm(Q帯)、577nm(Q帯)、617nm(Q帯)
[実施例2]
(4.ポルフィリン化合物2及びポルフィリン化合物2´のSOD活性評価)
実施例1で合成したポルフィリン化合物2及びポルフィリン化合物2´のSOD活性評価の指標として、サイクリックボルタンメトリー法によるMn(II/III)酸化還元電位を測定した。体内の状態に近い条件での測定とするために、塩化ナトリウム(NaCl)を支持電解質として用い、ポルフィリン化合物2及びポルフィリン化合物2´のMn(II/III)酸化還元電位を測定した。測定結果を図13に示す。
測定の結果、図13(a)〜(c)に示すように、ポルフィリン化合物(2)のMn(II/III)酸化還元電位E1/2=−0.14VvsNHEであり、ポルフィリン化合物(2´)のMn(II/III)酸化還元電位E1/2=0.06VvsNHEであった。すなわち、ポルフィリン化合物(10)のR−スルファニル基(−SR)が酸化されてR−スルホキシド基(−S(O)R)へ変換することにより、Mn(II/III)の酸化還元電位が正側にシフトする結果が得られた。この測定結果の範囲において、Mn(II/III)酸化還元電位とスーパーオキシド分解活性が相関することは、前述の通り、非特許文献1で明らかにされており、前記Mn(II/III)の酸化還元電位が正側にシフトするほど、スーパーオキシド分解活性は向上する。このため、ポルフィリン化合物(2)が前記ROSと応答し、酸化されることによって、スーパーオキシド分解活性が向上する結果が得られた。
[実施例3]
(5.ポルフィリン化合物2及び2´の脂溶性評価)
TLC(薄層クロマトグラフィー)測定(固定相:シリカゲル、移動相:アセトニトリル/飽和硝酸カリウム水溶液/水=8/1/1)のRf値(移動割合)が水ーオクタノール分配比log(Pow)に比例することが一般的に知られている(Kos, I. et al. Free Radical Biology & Medicine, 47 (2009) 72−78.)。この知見に基づいて、ポルフィリン化合物2及び2´のRf値を測定することにより、ポルフィリン化合物2及び2´の脂溶性評価を行った。その結果、ポルフィリン化合物2のRf値は、0.70であり、ポルフィリン化合物2´のRf値は、0.33であった。この結果から、ポルフィリン化合物2が、ポルフィリン化合物2´へ変換されるに従い、脂溶性が大きく低下する結果を得た。この結果によれば、本発明のポルフィリン化合物2は、ROSとの反応前は、脂溶性を高くすることにより、血液脳関門(BBB)透過又は細胞膜透過等に有利に作用し、その後、前記ポルフィリン化合物は、例えば、前記ROSと反応することにより水溶性を高めることができるため、脂溶性及び非蓄積性を両立可能である。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
以上、説明したとおり、本発明のポルフィリン化合物は、前記ROSと反応することにより、抗酸化活性がさらに向上可能であり、優れた抗酸化剤として使用する。さらに、本発明のポルフィリン化合物は、例えば、脂溶性及び非蓄積性を両立可能であるため、ドラッグデリバリーシステム組成物として使用可能である。

Claims (14)

  1. 下記式(1)で表されるポルフィリン化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、又はそれらの塩。
    前記式(1)中、
    Mは、錯体を形成するための金属若しくは金属ハロゲン化物を表すか、またはピロール環の窒素原子に結合した2個の水素原子であり、
    は、置換基であり、1でも複数でも存在しなくてもよく、複数の場合は、各Rは、同一でも異なっていてもよく、
    は、下記式(2)で表される原子団、芳香族基、又は窒素含有複素環式芳香族基であり、各Rは、同一でも異なっていてもよいが、Rの少なくとも一つが下記式(2)で表される原子団であり、
    前記式(2)中、
    Arは、置換若しくは無置換の芳香族基を表し、
    Yは、水素又は置換基を示し、
    及びZは、それぞれ、酸素原子であるか、又は存在しない。
  2. 前記式(1)中、
    は、下記式(2a)〜下記式(2c)で表される原子団である、請求項1記載のポルフィリン化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、又はそれらの塩。
    前記式(2a)〜前記式(2c)中、
    は、置換基であり、1でも複数でも存在しなくてもよく、複数の場合は、各Rは、同一でも異なっていていもよく、
    Y、Z及びZは、前記式(2)と同じである。
  3. 前記式(1)中、Rの少なくとも一つが前記窒素含有複素環式芳香族基である、請求項1又は2記載のポルフィリン化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、又はそれらの塩。
  4. 前記式(1)中、Mは、Mn又はMnCl(II)である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポルフィリン化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、又はそれらの塩。
  5. 前記式(2)中、
    Yは、脂溶性基を表す、請求項1から4のいずれか一項に記載のポルフィリン化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、又はそれらの塩。
  6. 前記式(2)中、
    Yは、直鎖若しくは分枝アルキル基、芳香族基、又はポリエーテル基であり、置換基を有してもよく有していなくてもよく、置換基を有する場合は、1でも複数でもよく、複数の場合は、各置換基は同一でも異なっていてもよい、請求項5記載のポルフィリン化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、又はそれらの塩。
  7. 前記式(2)中、
    Yは、下記式(2−1)、下記式(2−2)、又は下記式(2−3)で表される置換基である、請求項6記載のポルフィリン化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、又はそれらの塩。
    前記式(2−1)中、
    21は、水素、メチル基、又はエチル基であり、
    mは、1〜20であり、
    前記式(2−2)中、
    nは、1〜20であり、
    前記式(2−3)中、
    Rは、置換基であり、1でも複数でも存在しなくてもよく、複数の場合は、各Rは、同一でも異なっていてもよい。
  8. 前記式(2)中、
    Yは、メチル基である、請求項7記載のポルフィリン化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、又はそれらの塩。
  9. 前記式(1)中、Rの少なくとも一つが、前記窒素含有複素環式芳香族基であり、
    前記窒素含有複素環式芳香族基は、それぞれ、下記式(3−1)〜下記式(3−8)のいずれかで表される原子団である、請求項1から8のいずれか一項に記載のポルフィリン化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、又はそれらの塩。
    前記式(3−1)〜(3−8)中、
    は、置換基であり、1でも複数でも存在しなくてもよく、複数の場合は、各Rは、同一でも異なっていてもよく、
    前記式(3−4)及び前記式(3−8)中、Rは、水素又は置換基であり、
    前記式(3−5)〜(3−8)中、Xは、水素又は置換基を示す。
  10. 前記式(3−5)〜前記式(3−8)中、
    Xは、メチル基である、請求項9記載のポルフィリン化合物、その互変異性若しくは立体異性体又はそれらの塩。
  11. 前記式(1)で表されるポルフィリン化合物が、
    下記式(1−1)、下記式(1−2)、下記式(1−5)、下記式(1−6)、下記式(1−9)、又は下記式(1−10)で表される化合物である、請求項1記載のポルフィリン化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、又はそれらの塩。
  12. 前記式(1)で表されるポルフィリン化合物が、
    前記式(1−2)又は前記式(1−6)で表される化合物である、請求項11記載のポルフィリン化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、又はそれらの塩。
  13. 活性酸素種を分解する抗酸化剤であって、
    前記抗酸化剤が、請求項1から12のいずれか一項に記載のポルフィリン化合物、その互変異生体若しくは立体異性体、又はそれらの塩を含むことを特徴とする抗酸化剤。
  14. 請求項1から12のいずれか一項に記載のポルフィリン化合物又は請求項13記載の抗酸化剤を含む、ドラッグデリバリー組成物。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110251485A (zh) * 2019-07-16 2019-09-20 东南大学 一种氧化敏感药物组合物及其制备和应用

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