JP2016159852A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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彰宏 市村
Akihiro Ichimura
彰宏 市村
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Abstract

【課題】センター主溝の耐摩耗性能を向上できる空気入りタイヤを提供すること。【解決手段】この空気入りタイヤ1では、トレッドゴム15が、一方のセンター陸部32を構成する第一キャップトレッド151と、他方のセンター陸部33を構成する第二キャップトレッド152と、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152の外周に配置されてトレッド面に露出する表面ゴム層153とを有する。また、第一キャップトレッド151のゴム硬度Hs1と、第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs2とが、Hs1<Hs2の関係を有する。また、第一キャップトレッド151のtanδ値T1と、第二キャップトレッド152のtanδ値T2と、センター陸部32、33の接地面における表面ゴム層153のtanδ値T3cとが、T3c<T1およびT3c<T2の関係を有する。【選択図】図3

Description

この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、センター主溝の耐摩耗性能を向上できる空気入りタイヤに関する。
モータースポーツ用のサーキットタイヤでは、路面のグリップ特性を向上させるために、小さいtanδ値を有する薄肉の表面ゴム層がキャップトレッドの外層に形成された構造が採用されている。かかる構造を採用する従来の空気入りタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
特開平1−127401号公報
一方で、サーキットタイヤでは、競技のレギュレーションの規定に基づき、センター主溝のスリップサインが早期に露出しないように、センター主溝の耐摩耗性能を高めるべき要請がある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、センター主溝の耐摩耗性能を向上できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、トレッドゴムと、トレッド部センター領域に配置されてタイヤ周方向に延在するセンター主溝と、前記センター主溝に区画された左右のセンター陸部とを備える空気入りタイヤであって、前記トレッドゴムが、一方の前記センター陸部を構成する第一キャップトレッドと、他方のセンター陸部を構成する第二キャップトレッドと、前記第一キャップトレッドおよび前記第二キャップトレッドの外周に配置されてトレッド面に露出する表面ゴム層とを有し、前記第一キャップトレッドのゴム硬度Hs1と、前記第二キャップトレッドのゴム硬度Hs2とが、Hs1<Hs2の関係を有し、且つ、前記第一キャップトレッドのtanδ値T1と、前記第二キャップトレッドのtanδ値T2と、前記センター陸部の接地面における前記表面ゴム層のtanδ値T3cとが、T3c<T1およびT3c<T2の関係を有することを特徴とする。
この発明にかかる空気入りタイヤでは、車幅方向内側の第二キャップトレッドのゴム硬度Hs2が大きい(Hs1<Hs2)ので、車幅方向内側のエッジ部の早期摩耗が抑制される。これにより、摩耗初期にて、左右のエッジ部が均一に摩耗して、車幅方向内側のエッジ部の偏摩耗が抑制される利点がある。
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。 図2は、図1に記載した空気入りタイヤのセンター陸部を示す説明図である。 図3は、図2に記載したセンター陸部のエッジ部を示す拡大図である。 図4は、図2に記載したセンター陸部のエッジ部を示す拡大図である。 図5は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図6は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図7は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図8は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、モータースポーツ用のサーキットタイヤを示している。また、符号Tは、タイヤ接地端である。
同図において、タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。また、車幅方向内側および車幅方向外側とは、タイヤを車両に装着したときの車幅方向に対する向きを示す。ここでは、タイヤ赤道面CLを境界とする左右の領域のうち、タイヤの車両装着時にて車幅方向外側にある領域を外側領域と呼び、車幅方向内側にある領域を内側領域と呼ぶ。
この空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17と、インナーライナ18とを備える(図1参照)。
一対のビードコア11、11は、複数のビードワイヤを束ねて成る環状部材であり、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を構成する。
カーカス層13は、1枚のカーカスプライから成る単層構造あるいは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13のカーカスプライは、スチールあるいは有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で70[deg]以上95[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの長手方向の傾斜角)を有する。
例えば、図1の構成では、カーカス層13が一対のカーカスプライ131、132を積層して成る多層構造を有し、各カーカスプライ131、132がビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されている。また、一方のカーカスプライ131の巻き返し端部がベルト層14とカーカス層13の本体部との間に挟み込まれ、他方のカーカスプライ132の巻き返し端部がビード部に位置している。
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142と、ベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144とを積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で20[deg]以上55[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの長手方向の傾斜角)を有し、ベルトコードの長手方向を相互に交差させて積層される(クロスプライ構造)。ベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144は、スチールあるいは有機繊維材から成るベルトコードをコートゴムで被覆して構成され、絶対値で0[deg]以上10[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144は、1本あるいは複数本のベルトコードをコートゴムで被覆して成るストリップ材であり、このストリップ材を交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側かつタイヤ周方向に複数回かつ螺旋状に巻き付けて構成される。また、ベルトカバー143は、交差ベルト141、142の全域に渡って配置され、一対のベルトエッジカバー144は、交差ベルト141、142の左右のエッジ部にのみ配置される。
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側にそれぞれ配置されて、リムフランジに対する左右のビード部の接触面を構成する。
インナーライナ18は、タイヤ内腔面に配置されてカーカス層13を覆う空気透過防止層であり、例えば、帯状のゴムシートから構成される。このインナーライナ18は、カーカス層13の露出による酸化を抑制し、また、タイヤに充填された空気の洩れを防止する。
また、空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する複数の周方向溝21〜23と、これらの周方向溝21〜23に区画された複数の陸部31〜34とをトレッド部に備える。
例えば、図1の構成では、空気入りタイヤ1が3本の周方向溝21〜23を備え、これらの周方向溝21〜23がタイヤ赤道面CLを中心として左右対称に配置されている。また、第一の周方向溝21が、周方向細溝であり、車幅方向外側の領域に配置されている。また、第二の周方向溝22が、周方向主溝であり、タイヤ赤道面CL上に配置されている。また、第三の周方向溝23が、周方向主溝であり、車幅方向内側の領域に配置されている。また、これらの周方向溝21〜23により、4列の陸部31〜34が区画されている。また、陸部31〜34が、タイヤ周方向に連続するリブであり、また、複数の非貫通ラグ溝を備えている(図示省略)。
しかし、これに限らず、4本以上の周方向溝が配置されても良い(図示省略)。また、周方向溝がタイヤ赤道面CLを中心として左右非対称に配置されても良い(図示省略)。また、周方向主溝22が、タイヤ赤道面CLから外れた位置に配置されても良い(図示省略)。このため、陸部が、タイヤ赤道面CL上に配置され得る。
周方向主溝とは、摩耗末期を示すウェアインジケータを有する周方向溝であり、一般に、5.0[mm]以上の溝幅および7.5[mm]以上の溝深さを有する。また、ラグ溝とは、2.0[mm]以上の溝幅および3.0[mm]以上の溝深さを有する横溝をいう。
溝幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、溝開口部における左右の溝壁の距離の最大値として測定される。陸部が切欠部や面取部をエッジ部に有する構成では、溝長さ方向を法線方向とする断面視にて、トレッド踏面と溝壁の延長線との交点を基準として、溝幅が測定される。また、溝がタイヤ周方向にジグザグ状あるいは波状に延在する構成では、溝壁の振幅の中心線を基準として、溝幅が測定される。
溝深さは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、トレッド踏面から溝底までの距離の最大値として測定される。また、溝が部分的な凹凸部やサイプを溝底に有する構成では、これらを除外して溝深さが測定される。
規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
なお、この実施の形態では、タイヤ赤道面CLを中心とするタイヤ接地幅TWの20[%]の領域にある周方向主溝を、センター主溝と呼ぶ。また、センター主溝に区画された左右の陸部を、センター陸部と呼ぶ。
タイヤ接地幅TWは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を付与したときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大直線距離として測定される。
[デュアルトレッド構造]
図2は、図1に記載した空気入りタイヤのセンター陸部を示す説明図である。同図は、センター主溝22を挟んで隣り合う一対のセンター陸部32、33の拡大断面図を示している。
図1に示すように、この空気入りタイヤ1は、1本のセンター主溝22と、センター主溝22に区画された左右のセンター陸部32、33とを備える。また、トレッドゴム15が、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152を有する。
第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152は、センター主溝22を境界としてタイヤ幅方向に相互に隣接して配置される。また、第一キャップトレッド151が、車幅方向外側のセンター陸部32およびショルダー陸部31を構成し、第二キャップトレッド152が、車幅方向内側のセンター陸部33およびショルダー陸部34を構成する。また、第一キャップトレッド151と第二キャップトレッド152とが、相互に異なる物性値をもつゴム材料から成る。これにより、デュアルトレッド構造が構成される。
すなわち、第一キャップトレッド151のゴム硬度Hs1と、第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs2とが、Hs1<Hs2の関係を有する。また、これらのゴム硬度Hs1、Hs2が、5≦Hs2−Hs1≦15の関係を有することが好ましい。また、これらのゴム硬度Hs1、Hs2が、60≦Hs1≦75および65≦Hs2≦80の範囲にあることが好ましい。これにより、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs1、Hs2が適正化される。
ゴム硬度は、JIS−K6253に準拠したJIS−A硬度として測定される。
かかる構成では、車幅方向外側の第一キャップトレッド151のゴム硬度Hs1が、車幅方向内側の第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs2よりも小さい(Hs1<Hs2)。すると、車幅方向外側のゴム硬度Hs1が小さいので、コーナリング時にて高負荷となる車幅方向外側領域のグリップ作用が増加して、ドライ路での操縦安定性能が向上する。また、車幅方向内側のゴム硬度Hs2が大きいので、車幅方向内側領域の摩耗が抑制され、溝による排水作用が確保されて、ウェット路での操縦安定性能が確保される。これにより、ドライ路およびウェット路での操縦安定性能が両立する。
また、第一キャップトレッド151のtanδ値T1と、第二キャップトレッド152のtanδ値T2とが、0.35≦T1≦0.65および0.15≦T2≦0.45の範囲にあることが好ましい。これにより、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152のtanδ値T1、T2が適正化される。
tanδ値(損失正接)は、(株)東洋精機製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、温度60[℃]、剪断歪み10[%]、振幅±0.5[%]および周波数20[Hz]の条件で測定される。
なお、図1の構成では、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152がベルト層14の外周に隣接して配置されている。しかし、これに限らず、トレッドゴム15が、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152とベルト層14との間に、例えば、アンダートレッドなどのゴム層を備えても良い(図示省略)。
また、図1の構成では、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152が、タイヤ赤道面CLから左右のトレッド端まで延在している。しかし、これに限らず、トレッドゴム15が、例えば、ウイングチップなどのゴム層を、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152のタイヤ幅方向外側の非接地領域に備えても良い(図示省略)。
また、図1の構成では、第一キャップトレッド151と第二キャップトレッド152との境界が、センター主溝22の中央に位置する。かかる構成では、第一キャップトレッド151と第二キャップトレッド152との境界を起点としたグルーブクラックの発生が抑制される点で好ましい。しかし、これに限らず、第一キャップトレッド151と第二キャップトレッド152との境界が溝壁に位置しても良い(図示省略)。
[表面ゴム層]
図2に示すように、トレッドゴム15は、表面ゴム層153を備える。表面ゴム層153は、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152の外周に配置されて、トレッド面に露出する。このため、表面ゴム層153は、トレッドゴム15の最外層を構成し、タイヤ接地時に路面に接地する。
また、表面ゴム層153は、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152と比較して、薄肉である。具体的には、センター陸部32、33の接地面における表面ゴム層153のゲージG3cが、0.5[mm]≦G3c≦1.0[mm]の範囲にあることが好ましい。
接地面における表面ゴム層153のゲージG3cは、センター陸部32、33の接地面における表面ゴム層153の厚さとして測定される。概念的には、センター陸部32、33のプロファイルと第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152の外周面との距離が、表面ゴム層153のゲージG3cとなる。ただし、例えば、センター陸部32、33のエッジ部に部分的に配置された補強用のゴム材料(例えば、後述するエッジゴム1531)、センター陸部32、33の踏面に部分的に形成された凹凸部などの配置位置は、測定点から除外される。
また、センター陸部32、33の接地面における表面ゴム層153のtanδ値T3cが、第一キャップトレッド151のtanδ値T1および第二キャップトレッド152のtanδ値T2に対して、T3c<T1およびT3c<T2の関係を有する。また、tanδ値T3cが、0.06≦T3c≦0.15の範囲にあることが好ましく、tanδ値T3cが、0.08≦T3c≦0.13の範囲にあることがより好ましい。
接地面における表面ゴム層153のtanδ値T3cは、センター陸部32、33の接地面における表面ゴム層153のtanδ値として測定される。表面ゴム層153が異なる物性をもつ複数種類のゴム材料から成る構成では、tanδ値T3cがタイヤ接地面に占める各ゴム材料の面積比を用いた平均値として算出される。ただし、例えば、センター陸部32、33のエッジ部に部分的に配置された補強用のゴム材料(例えば、後述するエッジゴム1531)、溝底部や切欠部などの非接地部に配置されたゴム材料などは、tanδ値T3cの算出から除外される。
タイヤ接地面は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を付与したときのタイヤと平板との接触面として定義される。
かかる構成では、タイヤ接地面に露出する表面ゴム層153のtanδ値T3cが、下層にある第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152のtanδ値T1、T2よりも小さい(T3c<T1およびT3c<T2)ので、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152がタイヤ接地面に露出する構成と比較して、摩耗初期におけるタイヤの転がり抵抗が低減される。
また、センター陸部32、33の接地面における表面ゴム層153のゴム硬度Hs3cが、第一キャップトレッド151のゴム硬度Hs1および第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs2に対して、Hs3c<Hs1<Hs2の関係を有する。また、ゴム硬度Hs1、Hs3cが、1≦Hs1−Hs3c≦10の関係を有することが好ましい。また、ゴム硬度Hs3cが、45≦Hs3c≦60の範囲にあることが好ましく、50≦Hs3c≦55の範囲にあることがより好ましい。
接地面における表面ゴム層153のゴム硬度Hs3cは、センター陸部32、33の接地面における表面ゴム層153のゴム硬度として測定される。表面ゴム層153が異なる物性をもつ複数種類のゴム材料から成る構成では、ゴム硬度Hs3cがタイヤ接地面に占める各ゴム材料の面積比を用いた平均値として算出される。ただし、例えば、センター陸部32、33のエッジ部に部分的に配置された補強用のゴム材料(例えば、後述するエッジゴム1531)、溝底部や切欠部などの非接地部に配置されたゴム材料などは、ゴム硬度Hs3cの算出から除外される。
かかる構成では、表面ゴム層153のゴム硬度Hs3cが、下層にある第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs1、Hs2よりも小さく設定される。これにより、タイヤ接地時におけるトレッド面の路面に対する追従性が向上して、グリップ力が増加する。これにより、ドライ路面での操縦安定性能が向上する。
[表面ゴム層のエッジゴム]
図2の構成では、表面ゴム層153が、2種類のゴム部材1531、1532から成る。具体的には、グリーンタイヤの成形工程にて、2種類のゴム部材1531、1532が押出加工により一体成型されて、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152の外周に巻き付けられる。その後に、グリーンタイヤがタイヤ加硫モールド(図示省略)に充填され、グリーンタイヤが加熱されてタイヤが加硫される。このとき、タイヤ成形金型の形状がグリーンタイヤのトレッド面に転写されて、トレッド部の周方向溝21〜23および陸部31〜34が成形される。
ここで、表面ゴム層153のゴム部材1531、1532のうち、車幅方向内側のセンター陸部33のセンター主溝22側のエッジ部に配置されたゴム部材1531を、エッジゴムと呼ぶ。図中では、ハッチングがエッジゴム1531に付されている。エッジゴム1531の具体的な構成については、後述する。
また、表面ゴム層153のエッジゴム1531以外の部分を、便宜的に符号1532で示す。この表面ゴム層153の他の部分1532は、単一のゴム材料から構成されても良いし、複数のゴム材料から構成されても良い。
図3および図4は、図2に記載したセンター陸部のエッジ部を示す拡大図である。これらの図において、図3は、隣り合う一対のセンター陸部32、33のセンター主溝22側のエッジ部の拡大断面図を示し、図4は、車幅方向内側にあるセンター陸部33のエッジ部の拡大図断面を示している。
図3において、表面ゴム層153では、車幅方向内側のセンター陸部33のエッジ部におけるエッジゴム1531のゴム硬度Hs3eと、車幅方向外側のセンター陸部32のエッジ部における表面ゴム層153の部分1532のゴム硬度Hs3e’とが、Hs3e’<Hs3eの関係を有する。また、これらのゴム硬度Hs3e、Hs3e’が、1≦Hs3e−Hs3e’≦15の関係を有することが好ましい。また、エッジゴム1531のゴム硬度Hs3eが、60≦Hs3e≦75の範囲にあることが好ましく、64≦Hs3e≦71の範囲にあることがより好ましい。また、接地面における表面ゴム層153の部分1532のゴム硬度Hs3e’が、45≦Hs3e’≦60の範囲にあることが好ましく、50≦Hs3e’≦55の範囲にあることがより好ましい。
また、車幅方向内側のセンター陸部33の踏面におけるエッジゴム1531の幅Weが、5[mm]≦We≦15[mm]の範囲にあることが好ましく、8[mm]≦We≦12[mm]の範囲にあることがより好ましい。また、エッジゴム1531の幅Weと、センター陸部33の踏面の幅Wr(図2参照)とが、0.1≦We/Wr≦0.4の関係を有することが好ましく、0.2≦We/Wr≦0.3の関係を有することがより好ましい。
エッジゴム1531の幅Weは、センター陸部33のエッジ部と、センター陸部33の踏面におけるエッジゴム1531の端部とのタイヤ幅方向の距離であり、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。また、図4のように、センター陸部33のエッジ部が面取部を有する場合には、タイヤ子午線方向の断面視におけるセンター陸部33の踏面の延長線とセンター主溝22の溝壁の延長線との交点Pを基準として、エッジゴム1531の幅Weが測定される。
センター陸部33の踏面の幅Wrは、センター陸部33の左右のエッジ部のタイヤ幅方向の距離であり、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。また、図4のように、センター陸部33のエッジ部が面取部を有する場合には、上記した交点Pを基準として、センター陸部33の踏面の幅Wrが測定される。
上記の構成では、車幅方向内側のセンター陸部33のエッジ部のゴム硬度Hs3eが、車幅方向外側のセンター陸部32のエッジ部のゴム硬度Hs3e’よりも高い(Hs3e’<Hs3e)ので、車幅方向内側のエッジ部の早期摩耗が抑制される。これにより、摩耗初期にて、左右のエッジ部が均一に摩耗して、車幅方向内側のエッジ部の偏摩耗が抑制される。
特に、モータースポーツ用のサーキットタイヤでは、車幅方向内側のセンター陸部33のセンター主溝22側のエッジ部が、車幅方向外側のセンター陸部32のエッジ部と比較して、顕著に摩耗し易いという課題がある。この点において、上記の構成では、車幅方向内側の第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs2が大きい(Hs1<Hs2)ので、車幅方向内側のエッジ部の早期摩耗が抑制される。これにより、摩耗初期にて、左右のエッジ部が均一に摩耗して、車幅方向内側のエッジ部の偏摩耗が抑制される。
また、図3の構成では、車幅方向内側のセンター陸部33のセンター主溝22側のエッジ部における表面ゴム層153のゲージG3eと、車幅方向外側のセンター陸部32のセンター主溝22側のエッジ部における表面ゴム層153のゲージG3e’とが、G3e’<G3eの関係を有する。また、ゲージG3e、G3e’が、0.3[mm]≦G3e−G3e’≦2.0[mm]の関係を有することが好ましい。また、車幅方向内側のエッジ部のゲージG3eが、1.0[mm]≦G3e≦1.5[mm]の範囲にあることが好ましい。また、車幅方向外側のエッジ部のゲージG3e’が、0.5[mm]≦G3e’≦1.0[mm]の範囲にあることが好ましい。
表面ゴム層153のゲージG3e(G3e’)は、センター陸部33(32)のエッジ部から第二キャップトレッド152(第一キャップトレッド151)に下ろした垂線上における表面ゴム層153の厚さであり、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。また、センター陸部33(32)のエッジ部が面取部を有する場合には、上記した交点Pから第二キャップトレッド152(第一キャップトレッド151)に下ろした垂線上における表面ゴム層153の厚さが、表面ゴム層153のゲージG3e(G3e’)として測定される。
例えば、図3の構成では、タイヤ子午線方向の断面視にて、センター主溝22が、溝中心線に対して左右対称な構造を有している。一方で、車幅方向内側にある第二キャップトレッド152のセンター主溝22側のエッジ部に形成されたC面取部1521が、車幅方向外側にある第一キャップトレッド151のセンター主溝22側のエッジ部に形成されたR面取部1511よりも大きい。このため、車幅方向内側のセンター陸部33のエッジ部における表面ゴム層153のゲージG3eが、車幅方向外側のセンター陸部32のエッジ部における表面ゴム層153のゲージG3e’よりも厚くなっている。
また、図3の構成では、センター主溝22の溝底における表面ゴム層153のゲージG3bと、センター陸部32、33の接地面における表面ゴム層153のゲージG3cとが、G3c<G3bの関係を有する。また、ゲージG3b、G3cが、0.5[mm]≦G3b−G3c≦3.0[mm]の関係を有することが好ましい。溝底のゲージG3bが、1.0[mm]≦G3b≦2.0[mm]の範囲にあることが好ましい。
溝底のゲージG3bは、センター主溝22の最大溝深さ位置における表面ゴム層153の厚さであり、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。
例えば、図3の構成では、エッジゴム1531のゲージが、表面ゴム層153の他の部分1532のゲージよりも厚い。具体的には、エッジゴム1531のゲージが、車幅方向内側のセンター陸部33の接地面における表面ゴム層153の部分1532、車幅方向外側のセンター陸部32のエッジ部および接地面の表面ゴム層153の部分1532のゲージよりも厚い。また、エッジゴム1531が、車幅方向内側のセンター陸部33のエッジ部からセンター主溝22の溝底まで延在している。これにより、センター陸部33のエッジ部およびセンター主溝22の溝底における表面ゴム層153のゲージG3e、G3bが、厚く設定されている。
[変形例]
図5〜図7は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図は、隣り合う一対のセンター陸部32、33のセンター主溝22側のエッジ部の拡大断面図を示している。
図3の構成では、車幅方向内側のセンター陸部33のエッジ部のゴム硬度Hs3eが、車幅方向外側のセンター陸部32のエッジ部のゴム硬度Hs3e’よりも高く(Hs3e’<Hs3e)、且つ、車幅方向内側のセンター陸部33のエッジ部における表面ゴム層153のゴムゲージG3eが、車幅方向外側のセンター陸部32のエッジ部における表面ゴム層153のゴムゲージG3e’よりも厚い(G3e’<G3e)。かかる構成では、車幅方向内側のエッジ部の早期摩耗が効果的に抑制され、車幅方向内側のエッジ部の偏摩耗が抑制される点で好ましい。
これに対して、図5の構成では、車幅方向内側のセンター陸部33のエッジ部のゴム硬度Hs3eが、車幅方向外側のセンター陸部32のエッジ部のゴム硬度Hs3e’よりも高く(Hs3e’<Hs3e)、且つ、センター主溝22の左右のエッジ部における表面ゴム層153のゲージが等しい。具体的には、表面ゴム層153のエッジゴム1531と他の部分1532とが同一のゲージを有することにより、表面ゴム層153の全体が一定のゲージを有している。かかる構成としても、センター主溝22の車幅方向内側のエッジ部のゴム硬度Hs3eが大きいので、車幅方向内側のエッジ部の早期摩耗が効果的に抑制される。
図6の構成では、図5の構成において、エッジゴム1531が、表面ゴム層153の他の部分1532と同一のゲージを有し、また、センター主溝22を横断して左右のセンター陸部32、33のエッジ部に跨って配置されている。このため、センター主溝22の左右のエッジ部における表面ゴム層153のゴム硬度が等しく、且つ、センター主溝22の左右のエッジ部における表面ゴム層153のゲージが等しい。かかる構成としても、車幅方向外側の第一キャップトレッド151のゴム硬度Hs1が車幅方向内側の第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs2よりも小さい(Hs1<Hs2)ので、車幅方向内側のエッジ部の早期摩耗が抑制されて、車幅方向内側のエッジ部の偏摩耗が抑制される。また、図6の構成は、図5の構成と比較して、製造容易である。
図7の構成では、表面ゴム層153がエッジゴム1531を備えておらず、トレッド部センター領域にて一定のゴム硬度およびゲージを有している。このため、センター主溝22の左右のエッジ部における表面ゴム層153のゴム硬度が等しく、且つ、センター主溝22の左右のエッジ部における表面ゴム層153のゲージが等しい。かかる構成としても、車幅方向外側の第一キャップトレッド151のゴム硬度Hs1が車幅方向内側の第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs2よりも小さい(Hs1<Hs2)ので、車幅方向内側のエッジ部の早期摩耗が抑制されて、車幅方向内側のエッジ部の偏摩耗が抑制される。また、図7の構成は、図5の構成と比較して、製造容易である。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、トレッドゴム15と、トレッド部センター領域に配置されてタイヤ周方向に延在するセンター主溝22と、センター主溝22に区画された左右のセンター陸部32、33とを備える(図1参照)。また、トレッドゴム15が、一方のセンター陸部32を構成する第一キャップトレッド151と、他方のセンター陸部33を構成する第二キャップトレッド152と、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152の外周に配置されてトレッド面に露出する表面ゴム層153とを有する(図2参照)。また、第一キャップトレッド151のゴム硬度Hs1と、第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs2とが、Hs1<Hs2の関係を有する(デュアルトレッド構造)。また、第一キャップトレッド151のtanδ値T1と、第二キャップトレッド152のtanδ値T2と、センター陸部32、33の接地面における表面ゴム層153のtanδ値T3cとが、T3c<T1およびT3c<T2の関係を有する。
かかる構成では、(1)タイヤが他方のセンター陸部33側を車幅方向内側にして車両に装着された状態にて、車幅方向外側の第一キャップトレッド151のゴム硬度Hs1が、車幅方向内側の第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs2よりも小さい(Hs1<Hs2)ので、ドライ路およびウェット路での操縦安定性能が両立する利点がある。
(2)特に、モータースポーツ用のサーキットタイヤでは、競技のレギュレーションの規定に基づき、センター主溝22のスリップサインが早期に露出しないように、センター主溝22の耐摩耗性能を高めるべき要請がある。具体的には、車幅方向内側のセンター陸部33のセンター主溝22側のエッジ部が車幅方向外側のセンター陸部32のエッジ部と比較して顕著に摩耗し易いため、このセンター主溝22の偏摩耗を抑制すべき課題がある。この点において、上記の構成では、車幅方向内側の第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs2が大きい(Hs1<Hs2)ので、車幅方向内側のエッジ部の早期摩耗が抑制される。これにより、摩耗初期にて、左右のエッジ部が均一に摩耗して、車幅方向内側のエッジ部の偏摩耗が抑制される利点がある。
また、(3)タイヤ接地面に露出する表面ゴム層153のtanδ値T3cが、下層にある第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152のtanδ値T1、T2よりも小さい(T3c<T1およびT3c<T2)ので、摩耗初期におけるタイヤの転がり抵抗が低減される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、センター陸部32、33の接地面における表面ゴム層153のゲージG3cが、0.5[mm]≦G3c≦1.0[mm]の範囲にある。かかる構成では、接地面における表面ゴム層153のゲージG3cが適正化されるので、表面ゴム層153の機能が適正に確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、表面ゴム層153のtanδ値T3cが、0.06≦T3c≦0.15の範囲にある。これにより、表面ゴム層153のtanδ値T3cが適正化されて、表面ゴム層153の機能が適正化される利点がある。具体的には、タイヤの転がり抵抗を低減できる。
また、この空気入りタイヤ1では、第一キャップトレッド151のゴム硬度Hs1と、第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs2と、センター陸部32、33の接地面における表面ゴム層153のゴム硬度Hs3cとが、Hs3c<Hs1<Hs2の関係を有する。かかる構成では、表面ゴム層153のゴム硬度Hs3cが、下層にある第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs1、Hs2よりも小さく設定される。これにより、ドライ路面での操縦安定性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、表面ゴム層153のゴム硬度Hs3cが、45≦Hs3c≦60の範囲にある。これにより、表面ゴム層153のゴム硬度Hs3cが適正化される利点がある。すなわち、45≦Hs3cであることにより、表面ゴム層153のゴム硬度Hs3cが確保されて、初期摩耗に伴う摩耗促進を低減する。また、Hs3c≦60であることにより、表面ゴム層153が摩耗初期にて適正に摩耗する。
また、この空気入りタイヤ1では、センター主溝22の溝中心線が、タイヤ赤道面CLを中心とするタイヤ接地幅TWの20[%]の領域にある(図1参照)。これにより、第一キャップトレッド151と第二キャップトレッド152との境界となるセンター主溝22の位置が適正化されて、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152から成るデュアルトレッド構造の作用が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、表面ゴム層153が、他方のセンター陸部33のセンター主溝22側のエッジ部に配置されたエッジゴム1531を備える(図3参照)。また、エッジゴム1531のゴム硬度Hs3eと、一方のセンター陸部32のセンター主溝22側のエッジ部における表面ゴム層153の部分1532のゴム硬度Hs3e’とが、Hs3e’<Hs3eの関係を有する。かかる構成では、タイヤが他方のセンター陸部33側を車幅方向内側にして車両に装着された状態にて、車幅方向内側のセンター陸部33のエッジ部のゴム硬度Hs3eが、車幅方向外側のセンター陸部32のエッジ部のゴム硬度Hs3e’よりも高い(Hs3e’<Hs3e)。すると、車幅方向内側のエッジ部の早期摩耗が抑制され、摩耗初期にて、左右のエッジ部が均一に摩耗する。これにより、車幅方向内側のエッジ部の偏摩耗が抑制される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、第一キャップトレッド151のゴム硬度Hs1と、第二キャップトレッド152のゴム硬度Hs2と、エッジゴム1531のゴム硬度Hs3eと、一方のセンター陸部32のエッジ部における表面ゴム層153の部分1532のゴム硬度Hs3e’とが、Hs3e’<Hs1<Hs2<Hs3eの関係を有する(図3参照)。これにより、センター主溝22の左右のエッジ部における表面ゴム層153のゴム硬度Hs3e、Hs3e’と、左右のキャップトレッド151、152のゴム硬度Hs1、ゴム硬度Hs2との関係が適正化されて、車幅方向内側のエッジ部の偏摩耗が抑制され、また、ドライ路およびウェット路での操縦安定性能が両立する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、他方のセンター陸部33の踏面におけるエッジゴム1531の幅Weが、5[mm]≦We≦15[mm]の範囲にある(図4参照)。これにより、エッジゴム1531の幅Weが適正化される利点がある。すなわち、5[mm]≦Weであることにより、エッジゴム1531の機能が確保されて、車幅方向内側のエッジ部の早期摩耗が抑制される。また、We≦15[mm]であることにより、エッジゴム1531が過大となることに起因する偏摩耗が抑制される。
また、この空気入りタイヤ1では、他方のセンター陸部33のセンター主溝22側のエッジ部における表面ゴム層153のゲージG3eと、一方のセンター陸部32のセンター主溝22側のエッジ部における表面ゴム層153のゲージG3e’とが、G3e’<G3eの関係を有する(図3参照)。かかる構成では、タイヤが他方のセンター陸部33側を車幅方向内側にして車両に装着された状態にて、車幅方向内側のセンター陸部33のゲージG3eが、車幅方向外側のセンター陸部32のエッジ部のゲージG3e’よりも厚い(G3e’<G3e)。これにより、車幅方向内側のエッジ部の早期摩耗が抑制され、摩耗初期にて、左右のエッジ部が均一に摩耗する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、第二キャップトレッド152のセンター主溝22側のエッジ部に形成された面取部1521が、第一キャップトレッド151のセンター主溝22側のエッジ部に形成された面取部1511よりも大きい(図3参照)。かかる構成では、センター主溝22の左右のエッジ部の形状を維持しつつ、車幅方向内側のエッジ部における表面ゴム層153のゲージG3eを厚くできる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、センター主溝22の溝底における表面ゴム層153のゲージG3bと、センター陸部32、33の接地面における表面ゴム層153のゲージG3cとが、G3c<G3bの関係を有する(図3および図4参照)。これにより、センター主溝22の溝底におけるグルーブクラックの発生が抑制される利点がある。
[車両装着方向の表示]
また、この空気入りタイヤ1は、車両に対する装着方向を示す装着方向表示部(図示省略)を有する。装着方向表示部は、例えば、タイヤのサイドウォール部に付されたマークや凹凸によって構成される。例えば、ECER30(欧州経済委員会規則第30条)が、車両装着状態にて車幅方向外側となるサイドウォール部に装着方向表示部を設けることを義務付けている。
図8は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
この性能試験では、複数種類の試験タイヤについて、(1)ドライ操縦安定性能、(2)ウェット操縦安定性能、(3)耐摩耗性能および(4)転がり抵抗に関する評価が行われた。また、タイヤサイズ205/55R16の試験タイヤがリムサイズ16×7.0Jのリムに組み付けられ、この試験タイヤにJATMA規定の最高空気圧および最大負荷が付与される。
(1)ドライ操縦安定性能に関する評価では、試験タイヤを装着した試験車両がドライ路面のテストコースを走行し、専門のテストドライバーがレーンチェンジ性能やコーナリング性能などに関してフィーリング評価を行う。この評価は、従来例1を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
(2)ウェット操縦安定性能に関する評価では、試験タイヤを装着した試験車両が水深1[mm]で散水したアスファルト路を速度40[km/h]で走行し、テストドライバーが操縦安定性に関する官能評価を行う。この評価は、従来例を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
(3)耐摩耗性能に関する評価では、試験タイヤを装着した試験車両が一般舗装路を5000[km]走行した後に、センター主溝の残溝量および偏摩耗が観察される。この評価は、従来例を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
(4)転がり抵抗に関する評価では、ドラム径854[mm]のドラム試験機が用いられ、空気圧210[kPa]、荷重4.82[kN]および速度80[km/h]にて30分の予備走行が行われ、その後に抵抗力が測定されて評価が行われる。この評価は、従来例を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
実施例1〜9の試験タイヤは、図1〜図4の構造を基礎として、トレッドゴム15が第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152から成るデュアルトレッドと、表面ゴム層153とを備える。ただし、実施例1では、表面ゴム層153がエッジゴム1531を有していない(図7参照)。また、実施例2〜4では、エッジゴム1531が薄肉であり、表面ゴム層153が一定のゲージを有している。また、第一キャップトレッド151および第二キャップトレッド152のtanδ値T1、T2が、T1=0.55、T2=0.30であり、表面ゴム層153のエッジゴム1531のtanδ値T3eおよび他の部分1532のtanδ値T3cが、T3e=0.25、T3c=0.10である。
従来例1の試験タイヤは、図1の構成において、トレッドゴムが、単一のキャップトレッドから成るシングルトレッド構造を有し、また、表面ゴム層153を備えていない。従来例2の試験タイヤは、実施例1と同じ図7の構成において、表面ゴム層153が下層のキャップトレッドよりも高いゴム硬度を有している。
試験結果に示すように、実施例1〜9の試験タイヤでは、従来例と比較して、ドライ操縦安定性能、ウェット操縦安定性能、耐摩耗性能および転がり抵抗が向上することが分かる。
1:空気入りタイヤ、11:ビードコア、12:ビードフィラー、13:カーカス層、131、132:カーカスプライ、14:ベルト層、141、142:交差ベルト、143:ベルトカバー、144:ベルトエッジカバー、15:トレッドゴム、151:第一キャップトレッド、152:第二キャップトレッド、153:表面ゴム層、1511:面取部、1521:面取部、1531:エッジゴム、16:サイドウォールゴム、17:リムクッションゴム、18:インナーライナ、21〜23:周方向溝、31、34:ショルダー陸部、32、33:センター陸部

Claims (13)

  1. トレッドゴムと、トレッド部センター領域に配置されてタイヤ周方向に延在するセンター主溝と、前記センター主溝に区画された左右のセンター陸部とを備える空気入りタイヤであって、
    前記トレッドゴムが、一方の前記センター陸部を構成する第一キャップトレッドと、他方のセンター陸部を構成する第二キャップトレッドと、前記第一キャップトレッドおよび前記第二キャップトレッドの外周に配置されてトレッド面に露出する表面ゴム層とを有し、
    前記第一キャップトレッドのゴム硬度Hs1と、前記第二キャップトレッドのゴム硬度Hs2とが、Hs1<Hs2の関係を有し、且つ、
    前記第一キャップトレッドのtanδ値T1と、前記第二キャップトレッドのtanδ値T2と、前記センター陸部の接地面における前記表面ゴム層のtanδ値T3cとが、T3c<T1およびT3c<T2の関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記センター陸部の接地面における前記表面ゴム層のゲージG3cが、0.5[mm]≦G3c≦1.0[mm]の範囲にある請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記表面ゴム層のtanδ値T3cが、0.06≦T3c≦0.15の範囲にある請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記第一キャップトレッドのゴム硬度Hs1と、前記第二キャップトレッドのゴム硬度Hs2と、前記センター陸部の接地面における前記表面ゴム層のゴム硬度Hs3cとが、Hs3c<Hs1<Hs2の関係を有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記表面ゴム層のゴム硬度Hs3cが、45≦Hs3c≦60の範囲にある請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記センター主溝の溝中心線が、タイヤ赤道面を中心とするタイヤ接地幅の20[%]の領域にある請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記表面ゴム層が、前記他方のセンター陸部の前記センター主溝側のエッジ部に配置されたエッジゴムを備え、且つ、
    前記エッジゴムのゴム硬度Hs3eと、前記一方のセンター陸部の前記センター主溝側のエッジ部における前記表面ゴム層の部分のゴム硬度Hs3e’とが、Hs3e’<Hs3eの関係を有する請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記第一キャップトレッドのゴム硬度Hs1と、前記第二キャップトレッドのゴム硬度Hs2と、前記エッジゴムのゴム硬度Hs3eと、前記一方のセンター陸部のエッジ部における前記表面ゴム層の部分のゴム硬度Hs3e’とが、Hs3e’<Hs1<Hs2<Hs3eの関係を有する請求項7に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記他方のセンター陸部の踏面における前記エッジゴムの幅Weが、5[mm]≦We≦15[mm]の範囲にある請求項7または8に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記他方のセンター陸部の前記センター主溝側のエッジ部における前記表面ゴム層のゲージG3eと、前記一方のセンター陸部の前記センター主溝側のエッジ部における前記表面ゴム層のゲージG3e’とが、G3e’<G3eの関係を有する請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記第二キャップトレッドの前記センター主溝側のエッジ部に形成された面取部が、前記第一キャップトレッドの前記センター主溝側のエッジ部に形成された面取部よりも大きい請求項10に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記センター主溝の溝底における前記表面ゴム層のゲージG3bと、前記センター陸部の接地面における前記表面ゴム層のゲージG3cとが、G3c<G3bの関係を有する請求項1〜11のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記他方のセンター陸部側を車幅方向内側にして車両に装着することを指定する装着方向表示部を備える請求項1〜12のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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