JP2016155699A - Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO2型構造の高結晶性化合物及びその製法、並びにその用途 - Google Patents

Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO2型構造の高結晶性化合物及びその製法、並びにその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】本願発明では、Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造を有する高結晶性の化合物並びにその製法を提供することである。
【解決手段】本願発明によれば、Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物であって、粉末X線回折法による前記結晶性化合物に帰属される(121)又は(002)結晶面での回折ピークの半値幅が0.5°未満である、結晶性化合物が与えられる。
【選択図】なし

Description

本願発明は、Zn原子とSn原子とN原子を構成成分として含むβ−NaFeO型構造を有する高結晶性の化合物及びその製法、並びにその用途に関するものであって、特にその化合物がバルク結晶であるものに関する。
Wultzite(ウルツ鉱型)の3価のサイトを2価と4価で置き換えたβ−NaFeO型構造(「Wultzite−Chalcopyrite型構造」とも称する。)を有する化合物として、例えば、ZnAN(Aは、例えば、Si、Ge、Sn)の組成式を有する結晶性化合物が知られている。そして、この組成式中のAをSi、Ge、そしてSnという順番で変えていくと、連続的にバンドギャップをチューニングできることが報告されている(非特許文献1)。中でも、ZnANの組成式を有する結晶性化合物がZn原子とSn原子とN原子のみからなるβ−NaFeO型構造の結晶性化合物である場合(即ち、上記ZnANの組成式中のAがSnである場合)には、理論的に1.65eVという1.4eV付近のバンドギャップを示すことが報告されている(非特許文献1のFigure 3)。この1.4eVという値は、理論限界変換効率とバンドギャップとの相関関係から、理想的な太陽電池用半導体のバンドギャップ値として広く知られているものである。
一方、Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造を有する結晶性化合物の合成方法に関して、Zn0.75Sn0.25ターゲットから、或いはZn元素のターゲットとSn元素のターゲットから、反応性RFマグネトロンスパッタ法を用いることによって組成式がZnSnNの結晶性化合物からなる薄膜を合成する方法(非特許文献2)や、Zn0.75Sn0.25ターゲットとGe元素のターゲットから、反応性RFマグネトロンスパッタ法を用いることによって組成式がZnSnGe1−xの結晶性化合物からなる薄膜を合成する方法(非特許文献3)が報告されている。
Punya, A., et al., "Electronic and lattice dynamical properties of II-IV-N2 semiconductors", Physica Status Solidi C8 (7-8), p.2492-2499 Lahourcade, L., et al. "Structural and optoelectronic characterization of RF sputtered ZnSnN2", Advanced Materials, 25, 18 (2013) p.2562-2566 Prineha Narang, et al. "Bandgap Tunability in Zn(Sn,Ge)N2 Semiconductor Alloys", Advanced Materials, Material Views, (2013) 201304473
Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造を有する結晶性化合物は、分解温度が低いうえ、窒化させることが極めて難しいため、その合成は非常に困難である。事実、本願発明者が現在までに知る限りでは、非特許文献2と3を除いて、Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造を有する結晶性化合物の合成方法に関する報告はない。
また、非特許文献2で報告されている組成式がZnSnNの結晶性化合物からなる薄膜は、そのXRD(X線回折)パターン(Figure 2(a))がブロードである(即ち、その結晶性化合物に帰属される結晶面での回折ピークの半値幅がいずれも非常に大きい)ことからも明らかなように、結晶性が非常に悪い。加えて、非特許文献2は、Zn0.75Sn0.25ターゲット、或いはZn元素のターゲットとSn元素のターゲットを用いてスパッタ法により薄膜を合成するものであって、薄膜とは異なるバルク結晶を合成するものではない。
非特許文献3で報告されている組成式がZnSnGe1−xの結晶性化合物からなる薄膜も、Zn0.75Sn0.25ターゲットとGe元素のターゲットを用いてスパッタ法により薄膜を合成していることからも明らかなように、非特許文献2と同様な方法で合成するものである。そのため、非特許文献3で報告されている上記結晶性化合物の結晶性も、非特許文献2で報告されているZnSnNの組成式を有する結晶性化合物と同程度であると言え、また、その合成方法も、非特許文献2と同様、薄膜とは異なるバルク結晶を合成するものではない。
また、Zn原子とSn原子とN原子のみからなるβ−NaFeO型構造の結晶性化合物(具体的には、組成式がZnSnNの結晶性化合物)だけでなく、Zn原子とSn原子とN原子以外にも他の原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物も、バンドギャップのチューニングや電気特性制御等の観点から極めて重要なものである。
そこで、本願発明では、Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造を有する高結晶性の化合物及びその製法、並びにその用途を提供することを目的とする。Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造を有する結晶性化合物に関して、具体的には、既存のものよりも結晶性が高いものを提供することを目的とする。
また、本願発明では、Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造を有する結晶性化合物をバルク結晶として提供することを目的とする。
なお、本願では、Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造を有する結晶性化合物を、便宜上「ZnSnN系の結晶性化合物」とも称する。
また、本願において、「Zn原子とSn原子とN原子のみからなる」という記載は、本願発明の目的に影響を与えない程度の微量な酸素等の不純物(例えば、製造過程等で混入してしまう可能性のある酸素等の不可避な微量の不純物)は含んでもよいという意味で使用される。
本願発明者は鋭意研究した結果、複分解反応を利用することにより、非特許文献2や3で報告されているような原料となるターゲットからスパッタ法によって薄膜として合成する方法とは全く異なる方法によって既存のZnSnN系の結晶性化合物よりも結晶性が高いZnSnN系の結晶性化合物として合成できることやZnSnN系の結晶性化合物をバルク結晶として合成できること等を見出し、本願発明を完成するに至った。
本願発明は、具体的には以下の構成を有する。
(1) 本願発明の一側面によれば、Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物であって、その粉末X線回折法による前記結晶性化合物に帰属される(121)又は(002)結晶面での回折ピークの半値幅が0.5°未満である結晶性化合物が与えられる。
(2) ここで、前記結晶性化合物は、Zn原子とSn原子以外の2価及び/又は4価の原子価を有する原子を更に含むものであってもよい。
(3) 或いは、前記結晶性化合物は、Ge原子、Si原子、Pb原子、及びTi原子からなる群から選択される少なくとも一以上の原子を更に含むものであってもよい。
(4) 本願発明の他の側面によれば、亜鉛のハロゲン化物と、スズのハロゲン化物と、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の窒化物を混合するか、又は、亜鉛のハロゲン化物と、スズのハロゲン化物と、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアジ化物を混合することにより、Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物を製造する方法が与えられる。
(5) 本願発明の他の側面によれば、亜鉛のハロゲン化物と、スズのハロゲン化物と、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の窒化物を含む混合物を3GPa以上で加圧するか、又は、亜鉛のハロゲン化物と、スズのハロゲン化物と、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアジ化物を含む混合物を3GPa以上で加圧することを含む、Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物を製造する方法が与えられる。
(6) ここで、前記のいずれかのZn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物を製造する方法において、亜鉛のハロゲン化物と、スズのハロゲン化物と、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の窒化物に対して、更にアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物を混合させるものであってもよい。
(7) また、前記のいずれかのZn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物を製造する方法において、亜鉛のハロゲン化物とスズのハロゲン化物がいずれもフッ化物であってよく、また、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物を更に混合する場合には前記アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物もフッ化物であってもよい。
(8) また、前記のいずれかのZn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物を製造する方法において、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の窒化物として窒化リチウムを使用するものであってもよい。
(9) また、前記のいずれかのZn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物を製造する方法において、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアジ化物としてアジ化ナトリウムを使用するものであってもよい。
(10) 本願発明の他の側面によれば、前記いずれかのZn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物を含む、半導体組成物が与えられる。
(11) 本願発明の他の側面によれば、前記半導体組成物を含む、太陽電池が与えられる。
(12) 本願発明の他の側面によれば、前記いずれかのZn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物を含む、光触媒が与えられる。
(13) 本願発明の他の側面によれば、前記いずれかのZn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物を含む、スパッタリング用ターゲット材が与えられる。
本願発明により、既存のZnSnN系の結晶性化合物よりも結晶性が高いZnSnN系の結晶性化合物及びその製法を提供することができる。そのため、従来に無い新規な半導体を提供することが可能である。例えば、光起電力効果を利用する半導体として従来に無い半導体を新たに提供することが可能である。本願発明によれば、太陽電池用半導体として理想的なバンドギャップを有するZnSnN系の結晶性化合物に関して、既存のZnSnN系の結晶性化合物よりも高結晶性のものを提供することができるため、これを太陽電池用半導体として用いることにより、従来に無い太陽電池を新たに提供することが可能である。その他にも、既存のZnSnN系の結晶性化合物よりも結晶性が高い本願発明のZnSnN系の結晶性化合物を光触媒として利用することにより、従来に無い光触媒を新たに提供することが可能である。
また、本願発明によれば、バンドギャップのチューニング用の原子(例えば、Ge原子)や電気特性を制御するために、適宜、Zn原子とSn原子とN原子以外の原子を導入したZnSnN系の結晶性化合物を提供することも可能である。そのため、ZnSnN系の結晶性化合物をデバイスとして利用するにあたり、用途に応じたデバイス設計を容易に行うことが可能である。
また、本願発明により、ZnSnN系の結晶性化合物をバルク結晶として提供することができる。そのため、薄膜よりもサイズの大きな結晶形態で使用することが所望されている分野での利用も可能である。また、このバルク結晶は、例えば、スパッタ法による薄膜合成の際に用いられるターゲット材(即ち、スパッタリング用ターゲット材)として利用することも可能である。
本願の実施例で使用した高圧セル及びベルト型高圧装置の構成を示す概略図である。 (a)本願の実施例で得られた試料1の粉末X線回折パターンを示す図である。(b)本願の実施例で得られた試料1の粉末X線回折パターンにおける(121)結晶面での回折ピークを拡大した図である。(c)本願の実施例で得られた試料1の粉末X線回折パターンにおける(002)結晶面での回折ピークを拡大した図である。 本願の実施例で得られた試料1の走査型電子顕微鏡(SEM)による写真を示す図である。 非特許文献2のFigure 2(a)を引用した図である。 (a)本願の実施例で得られた試料2の粉末X線回折パターンを示す図である。(b)本願の実施例で得られた試料2の粉末X線回折パターンにおける(121)結晶面での回折ピークを拡大した図である。(c)本願の実施例で得られた試料2の粉末X線回折パターンにおける(002)結晶面での回折ピークを拡大した図である。 本願の実施例で得られた試料2の走査型電子顕微鏡(SEM)による写真を示す図である。 本願の実施例で得られた試料2の拡散反射スペクトルを示す図である。 本願の実施例で得られた試料3の粉末X線回折パターンを示す図である。 本願の実施例で得られた試料3の拡散反射スペクトルを示す図である。
以下、本願発明を実施するための形態について詳細に説明する。尚、本願発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができることに留意すべきである。
本願において、Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物(ZnSnN系の結晶性化合物)とは、Wultzite(ウルツ鉱型)の結晶構造において、カチオンが位置する3価のサイトが、2価のZn原子と4価のSn原子によって置き換えられた結晶構造を有する化合物のことであるが、この2価のZn原子又はこの4価のSn原子の一部を、Zn原子とSn原子とN原子以外の他の原子で置き換えたβ−NaFeO型構造の結晶性化合物も含まれる。この場合、置き換えられる他の原子の種類は、本願発明の目的を達成する限り、特に制限はない。置き換えられる他の原子は、本願発明の目的を達成する限り、電気特性制御やバンドギャップのチューニング等の用途に応じて、適宜選択すればよい。因みに、バンドギャップをチューニングするという観点から言えば、置き換えられる他の原子は、2価及び/又は4価の原子価を有する原子が挙げられ、特に、Ge原子、Si原子、Pb原子、及びTi原子からなる群から選択される少なくとも一以上の原子が好ましい。また、β−NaFeO型構造のZn原子サイトの一部をSnが占有する、もしくはSn原子サイトの一部をZnが占有する場合も上述の原子の置き換えに相当する。
したがって、Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造を有する結晶性化合物には、既に述べた通り、Zn原子とSn原子とN原子のみからなるβ−NaFeO型構造の結晶性化合物(具体的には、組成式がZnSnNの結晶性化合物)だけでなく、Zn原子とSn原子とN原子以外にも他の原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物(例えば、組成式がZnSnGe1−x(0<x<1)の結晶性化合物)も含まれる。
本願において、「高結晶性」の判断は、一般的な指標である、粉末X線回折法によって測定したX線回折パターンの回折ピークの半値幅又は拡散反射スペクトル測定によるバンドギャップの値を用いて適宜行う。
粉末X線回折法による場合、粉末X線回折法で測定することによって得られるX線回折パターンのうち、その結晶性化合物に帰属される回折ピークの半値幅が小さければ小さい程、その結晶性は高くなることが知られている。したがって、この半値幅は、高結晶性という観点から、小さいことが好ましい。そのため、本願発明のZnSnN系の結晶性化合物では、その粉末X線回折法で測定することによって得られるX線回折パターンのうち、その結晶性化合物に帰属される回折ピークの半値幅は、既存のZnSnN系の結晶性化合物のものよりも小さい。
本願発明のZnSnN系の結晶性化合物では、高結晶性という観点から、その粉末X線回折法で測定することによって得られるX線回折パターンのうち、その結晶性化合物に帰属される(121)又は(002)結晶面での回折ピークの半値幅は、0.5°未満であることが特に好ましく、0.25°未満であることが更に好ましい。
因みに、図4にも示す通り、非特許文献2で報告されている組成式がZnSnNの結晶性化合物の粉末X線回折法によるX線回折パターン(Figure 2(a))のうち、その結晶性化合物に帰属される(121)又は(002)結晶面での回折ピークの半値幅は、少なくとも1°はあると認められる程非常に大きい。一方、本願発明の組成式がZnSnNの結晶性化合物の粉末X線回折法による(121)又は(002)結晶面での回折ピークの半値幅は、本願の実施例で示す図2や5からも明らかなように、0.25°未満と非常に小さい。
拡散反射スペクトル測定による場合、拡散反射スペクトル測定によるバンドギャップの値が理論値(本願では、「予想値」とも称する。)に近ければ近い程、その結晶性は高くなることを示す。
したがって、本願発明のZnSnN系の結晶性化合物では、高結晶性という観点から、拡散反射スペクトル測定によるバンドギャップの値がその理論値に近いことが好ましい。
組成式がZnSnNの結晶性化合物では、その拡散反射スペクトル測定によるバンドギャップの値の範囲は、本願発明の目的を達成することが出来れば、特に制限はないが、その理論値(1.4eV付近)並びに製造過程等で混入してしまう可能性のある酸素のような不可避な不純物の存在等を考慮すると、1.0eV以上1.8eV以下であることが好ましい。
本願発明のZn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物(ZnSnN系の結晶性化合物)の製造方法について、固体窒素源としてアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の窒化物を使用する場合の一実施態様を以下に示す。
本願発明のZnSnN系の結晶性化合物は、例えば、亜鉛のハロゲン化物と、スズのハロゲン化物と、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の窒化物を原料とし、これらを混合して製造する。
ここで、亜鉛のハロゲン化物をZnL(Lはハロゲン元素で、例えば、F、Cl、Br又はI)、スズのハロゲン化物をSnL(Lはハロゲン元素で、例えば、F、Cl、Br又はI)、アルカリ金属の窒化物をMN(Mはアルカリ金属元素で、例えば、Li、Na、又はK)と、アルカリ金属のハロゲン化物をML(Mはアルカリ金属元素(例えば、Li、Na、又はK)で、Lはハロゲン元素(例えば、F、Cl、Br又はI))と表記し、これらの化合物を使用して組成式がZnSnNの結晶性化合物(即ち、Zn原子とSn原子とN原子のみからなるβ−NaFeO型構造の結晶性化合物)を製造する際の化学反応式を以下に示す。

(化1)
ZnL + SnL + 2MN + 3ML → ZnSnN + 9ML
(ここで、Lはハロゲン元素(例えば、F、Cl、Br又はI)で、Mはアルカリ金属元素(例えば、Li、Na、又はK)である。)

Nで表されるアルカリ金属の窒化物の代わりに、アルカリ土類金属の窒化物を使用することも可能である。このアルカリ土類金属の窒化物としては、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、又はBaが挙げられる。
また、MLで表されるアルカリ金属のハロゲン化物は、ZnLで表される亜鉛のハロゲン化物とSnLで表されるスズのハロゲン化物とMNで表されるアルカリ金属の窒化物(但し、MNの代わりにアルカリ土類金属の窒化物を使用した場合には、このアルカリ土類金属の窒化物)を原料として混合し、反応させたときに生じる爆発的な発熱反応を抑制することによって反応をより安全で簡易に行うための反応抑制剤として用いる。固体窒素源としてアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の窒化物を使用する本実施態様においては、原料を混合して反応させる場合、通常、爆発的な発熱反応を生じ易いため、安全性や反応の簡易な制御等に鑑みて、上記反応抑制剤を使用することが好ましい。但し、この反応抑制剤は、原料を混合して反応させても反応条件(例えば、使用する原料の種類や量等の条件)によっては爆発的な発熱反応を生じないこともあり得るため、必ずしも必要ではない。
上記反応抑制剤を使用する場合、その使用量は、本願発明の目的を達成できる限り、特に制限はなく、必要に応じて任意に決めればよい。つまり、上記(化1)に示す化学反応式に鑑みれば、この反応抑制剤の使用量は、ZnLで表される亜鉛のハロゲン化物やSnLで表されるスズのハロゲン化物に対するモル比で理論上3が好ましいことになるが、本願発明の目的を達成できる限り、3未満の場合も3超の場合もあり得る。
Nで表される使用可能なアルカリ金属の窒化物としては、LiN、NaN、又はKNが挙げられる。窒化物の安定性に鑑みれば、LiNが好ましい。
製造物であるZnSnNの結晶性化合物に関して、本願発明の目的に影響を与えない程度の微量な酸素等の不純物は含んでもよい。
原料を混合して反応させる際、製造物であるZnSnNの結晶性化合物の収率やその結晶性等に鑑みて、加圧及び/又は加熱することが好ましい。
加圧する圧力としては、3GPa以上が好ましい。
加熱する温度としては、500℃以上1000℃以下が好ましく、700℃以上900℃以下がより好ましい。
Zn原子とSn原子とN原子以外にも他の原子(例えば、Ge原子、Si原子、Pb原子、及びTi原子からなる群から選択される少なくとも一以上の原子)を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物の製法としては、上記方法によって製造されるZn原子とSn原子とN原子のみからなるZnSnNの結晶性化合物の原料として使用されるハロゲン化物(即ち、亜鉛のハロゲン化物とスズのハロゲン化物)に対して更に上記他の原子のハロゲン化物も混合させて製造する方法、或いは、上記方法によって製造されるZn原子とSn原子とN原子のみからなるZnSnNの結晶性化合物の固体窒素源として使用されるアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の窒化物の代わりに上記他の原子を含む窒化物を使用して製造する方法が挙げられる。
上記他の原子のハロゲン化物としては、固体として安定性の高いものが好ましい。かかる観点から、例えば、ヨウ化物(Ge原子を例にとるとGeI)が好ましい。
上記他の原子を含む窒化物としては、Ge原子を例にとると、Geが挙げられる。
Zn原子とSn原子とN原子以外にも他の原子(例えば、Ge原子、Si原子、Pb原子、及びTi原子からなる群から選択される少なくとも一以上の原子)を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物の製法としては、上記方法によって製造されるZn原子とSn原子とN原子のみからなるZnSnNの結晶性化合物の原料として使用されるハロゲン化物(即ち、亜鉛のハロゲン化物とスズのハロゲン化物)に対して更に上記他の原子のハロゲン化物も混合させて製造する方法の一例を挙げると、ZnF粉末とSnF粉末とGeI粉末を原料とし、更に固体窒素源としてLiN粉末、そして反応抑制剤としてLiF粉末を混合して製造する方法が挙げられる。
また、これらの製法以外にも、例えば、ターゲットとして、固体窒素源としてアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の窒化物を使用する上記方法によって製造したZnSnNの結晶性化合物からなるターゲットと導入したい他の原子(例えば、Ge原子、Si原子、Pb原子、及びTi原子からなる群から選択される少なくとも一以上の原子)からなるターゲットを使用して、スパッタ法により、Zn原子とSn原子とN原子以外にも上記他の原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物を製造する方法が挙げられる。
次に、本願発明のZn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物(ZnSnN系の結晶性化合物)の製造方法について、固体窒素源としてアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアジ化物を使用する場合の一実施態様を以下に示す。
本願発明のZnSnN系の結晶性化合物は、亜鉛のハロゲン化物と、スズのハロゲン化物と、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアジ化物を原料とし、これらを混合して製造する。
ここで、亜鉛のハロゲン化物をZnLZnL(Lはハロゲン元素で、例えば、F、Cl、Br又はI)、スズのハロゲン化物をSnLZnL(Lはハロゲン元素で、例えば、F、Cl、Br又はI)、アルカリ金属のアジ化物をMN(Mはアルカリ金属元素で、例えば、Li、Na、K、Rb、又はCs)と表記し、これらの化合物を使用して組成式がZnSnNの結晶性化合物(即ち、Zn原子とSn原子とN原子のみからなるβ−NaFeO型構造の結晶性化合物)を製造する際の化学反応式を以下に示す。

(化2)
ZnL + SnL + 6MN → ZnSnN + 6ML + 8N
(ここで、Lはハロゲン元素(例えば、F、Cl、Br又はI)で、Mはアルカリ金属元素(例えば、Li、Na、K、Rb、又はCs)である。)

MNで表されるアルカリ金属のアジ化物の代わりに、アルカリ土類金属のアジ化物を使用することも可能である。このアルカリ土類金属のアジ化物としては、例えば、Be(N、Mg(N、Ca(N、Sr(N、又はBa(Nが挙げられる。
固体窒素源としてアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアジ化物を使用する上記製造方法では、爆発的な発熱反応を抑制するために使用する反応抑制剤は特に必要ない。上記製造方法では、反応性が小さく、爆発的な発熱反応を避けることが可能だからである。但し、必要に応じて、反応抑制剤を適宜使用することは可能である。反応抑制剤としては、例えば、LiF等のアルカリ金属のハロゲン化物が挙げられる。
製造される組成式がZnSnNの結晶性化合物に関して、本願発明の目的に影響を与えない程度の微量な酸素等の不純物は含んでもよい。
原料を混合して反応させる際、製造物であるZnSnNの結晶性化合物の収率やその結晶性等に鑑みて、加圧及び/又は加熱することが好ましい。
加圧する圧力としては、3GPa以上が好ましい。
加熱する温度としては、500℃以上1000℃以下が好ましく、700℃以上900℃以下がより好ましい。
Zn原子とSn原子とN原子以外にも他の原子(例えば、Ge原子、Si原子、Pb原子、及びTi原子からなる群から選択される少なくとも一以上の原子)を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物の製法としては、上記方法によって製造されるZn原子とSn原子とN原子のみからなるZnSnNの結晶性化合物の原料として使用されるハロゲン化物(即ち、亜鉛のハロゲン化物とスズのハロゲン化物)に対して更に上記他の原子のハロゲン化物も混合させて製造する方法、或いは、上記方法によって製造されるZn原子とSn原子とN原子のみからなるZnSnNの結晶性化合物の固体窒素源として使用されるアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアジ化物の代わりに上記他の原子を含むアジ化物を使用して製造する方法が挙げられる。
上記他の原子のハロゲン化物としては、固体として安定性の高いものが好ましい。例えば、ヨウ化物(Ge原子を例にとるとGeI)が好ましい。
上記他の原子を含むアジ化物としては、Pb原子を例にとると、Pb(Nが挙げられる。
Zn原子とSn原子とN原子以外にも他の原子(例えば、Ge原子、Si原子、Pb原子、及びTi原子からなる群から選択される少なくとも一以上の原子)を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物の製法としては、上記方法によって製造されるZn原子とSn原子とN原子のみからなるZnSnNの結晶性化合物の原料として使用されるハロゲン化物(即ち、亜鉛のハロゲン化物とスズのハロゲン化物)に対して更に上記他の原子のハロゲン化物も混合させて製造する方法の一例を挙げると、ZnF粉末とSnF粉末とGeI粉末を原料とし、更に固体窒素源としてNaN粉末を混合して製造する方法が挙げられる。
また、これらの製法以外にも、例えば、ターゲットとして、固体窒素源としてアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアジ化物を使用する上記方法によって製造したZnSnNの結晶性化合物からなるターゲットと導入したい他の原子(例えば、Ge原子、Si原子、Pb原子、及びTi原子からなる群から選択される少なくとも一以上の原子)からなるターゲットを使用して、スパッタ法により、Zn原子とSn原子とN原子以外にも上記他の原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物を製造する方法が挙げられる。
その他の条件については、本願発明の目的を達成できれば、本願において定めがない限り、特に制限はない。
次に、実施例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[試料製造]
図1は、本実施例で用いた高圧セル及びベルト型高圧装置の構成を示す概略図である。なお、図中に示されているガスケットは高圧セルを覆う部材である。
図1に示す通り、高圧セルには、円筒状のパイロフィライトと、前記パイロフィライトの筒内に、筒内壁面上部側と下部側に接するように配置された2つのスティールリングと、これらのスティールリングの中心軸側に配置された円筒状のカーボンヒーターと、前記カーボンヒーターの内部に配置されたタングステン(W)製カプセルと、前記カプセルの内部に充填された原料粉末と、を有するものを使用した。
パイロフィライトとカーボンヒーターの間の隙間には、充填用粉末(NaCl)を、そして、カーボンヒーターとタングステン製カプセルの間の隙間には、充填用粉末(NaCl+10wt%ZrO)を充填した。
原料粉末は、ZnF粉末(104mg)と、SnF粉末(193mg)と、LiN粉末(70mg)と、LiF粉末(75mg)を均一に混合したものを使用した。
次に、ベルト型高圧装置(KOBELCO製)にこの高圧セルをガスケットの形態でセットして、高圧セル中のタングステン製カプセルに対して圧力を7.7GPaまで加圧し、温度を1000℃として、60分間保持した。
その後、高圧セルからタングステン製カプセルを取り出して開封し、試料1を製造した。
[材料分析]
得られた試料1の粉末X線回折(RIGAKU製RINT2200V)によるX線回折(XRD)パターンを図2に示す。この測定は、操作軸は2θ/θ、装置出力は40kV−40mA、発散スリットは1°、発散縦制限スリットは1.2mm、散乱スリットは0.3mm、受光スリットは0.3mm、モノクロ受光スリットは無し、θオフセットは0°の条件下で行った。
また、得られた試料1の走査型電子顕微鏡(JEOL製JSM−5410)によるSEM写真を図3に示す。
図2(a)に示すX線回折パターンより、製造した試料1が結晶性のZnSnN化合物であることを確認した。因みに、このX線回折パターンには、金属スズや金属亜鉛に帰属される回折ピークも認められるが、これは、原料に使用したZnF粉末やSnF粉末のうち未反応だったものや製造したZnSnN化合物が分解したことによって生じたものと推察している。
また、このX線回折パターンでは、ZnSnN化合物に帰属される結晶面の回折ピークはいずれも半値幅が非常に小さくシャープであり、非特許文献2のFigure 2(a)で報告されているようなブロードではないことを確認した。図2(b)は、この中のZnSnN化合物に帰属される(121)又は(002)結晶面での回折ピークを拡大した図であり、このピークの半値幅は、(121)結晶面で0.20°そして(002)結晶面で0.18°であり、いずれも0.25°未満の非常に小さな値であった。これらのことから、結晶性が非常に高いZnSnN化合物が製造できたことを確認した。
図3に示すSEM写真より、製造された試料1のZnSnN化合物はバルク結晶であること、また、その結晶は不定形の形状であり、サブミクロンサイズの凝集体結晶であることを確認した。
<実施例2>
[試料製造]
原料粉末として、ZnF粉末(104mg)と、SnF粉末(193mg)と、NaN粉末(195mg)を均一に混合したものを使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で試料2を製造した。
[材料分析]
得られた試料2の粉末X線回折(RIGAKU製RINT2200V)によるX線回折(XRD)パターンを図5(a)に示す。この測定も実施例1と同じ条件下で行った。
また、得られた試料2の走査型電子顕微鏡(JEOL製JSM−5410)によるSEM写真を図6に示す。
図5(a)に示すX線回折パターンより、製造した試料2が結晶性のZnSnN化合物であることを確認した。因みに、このX線回折パターンには、金属スズや金属亜鉛に帰属される回折ピークも認められるが、これは、原料に使用したZnF粉末やSnF粉末のうち未反応だったものや製造したZnSnN化合物が分解したことによって生じたものと推察している。
また、このX線回折パターンでは、ZnSnN化合物に帰属される結晶面の回折ピークはいずれも半値幅が非常に小さくシャープであり、非特許文献2のFigure 2(a)で報告されているようなブロードではないことを確認した。図5(b)は、この中のZnSnN化合物に帰属される(121)又は(002)結晶面での回折ピークを拡大した図であり、このピークの半値幅は、(121)結晶面で0.22°そして(002)結晶面で0.17°であり、いずれも0.25°未満の非常に小さな値であった。これらのことから、結晶性が非常に高いZnSnN化合物が製造できたことを確認した。
図6に示すSEM写真より、製造された試料2のZnSnN化合物はバルク結晶であること、また、その結晶は不定形の形状であり、サブミクロンサイズの凝集体結晶であることを確認した。
更に、得られた試料2の結晶性のZnSnN化合物について、拡散反射測定装置(紫外可視分光光度計、日本分光製、V−570型)を用いて拡散反射スペクトルを測定した。得られた拡散反射スペクトルを図7に示す。この図から、バンドギャップは1.35eV付近にあり、1.4eV付近という理論値に近いことを確認できた。そのため、この測定値からも、得られた試料2のZnSnN化合物は高い結晶性を有していることが確認できた。
<実施例3>
[試料製造]
原料粉末として、ZnF粉末(104mg)と、SnF粉末(146mg)と、GeI粉末(145mg)と、LiN粉末(70mg)と、LiF粉末(75mg)を均一に混合したものを使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で試料3を製造した。
[材料分析]
得られた試料3の粉末X線回折(RIGAKU製RINT2200V)によるX線回折(XRD)パターンを図8に示す。得られた試料3の粉末X線回折(RIGAKU製RINT2200V)によるX線回折(XRD)パターンを図8に示す。この測定も実施例1と同じ条件下、即ち、操作軸は2θ/θ、装置出力は40kV−40mA、発散スリットは1°、発散縦制限スリットは1.2mm、散乱スリットは0.3mm、受光スリットは0.3mm、モノクロ受光スリットは無し、θオフセットは0°の条件下で行った。
図8に示すX線回折パターンより、ゲルマニウムのハロゲン化物を更に用いて製造する場合もZn原子、Sn原子、N原子を含むβ−NaFeO型構造を有する結晶性化合物(図8では、これをZnSnN系の結晶性化合物と称する。)が製造できたことを確認した。また、このZnSnN系の結晶性化合物の(121)結晶面と(002)結晶面での回折ピークの半値幅は、それぞれ0.22°と0.20°であり、高い結晶性を有することを確認した。
また、得られた試料3のZnSnN系の結晶性化合物(具体的には、Zn原子、Sn原子、N原子を含むβ−NaFeO型構造を有する結晶性化合物であってGe原子を更に含む化合物)について、拡散反射測定装置(紫外可視分光光度計、日本分光製、V−570型)を用いて拡散反射スペクトルを測定した。得られた拡散反射スペクトルを図9に示す。この図から、Ge原子を含む試料3のバンドギャップは1.48eV付近にあり、Ge原子を含まない試料2の測定値よりもバンドギャップが拡大していることを確認した。この測定値は、Snの原子位置がGe原子によって置き換えられた時に起こると予想される値(予想値)であった。そのため、この測定値からも、得られた試料3の化合物は高い結晶性を有していることが確認できた。
本願発明は、ZnSnN系の結晶性化合物に関して、既存のZnSnN系の結晶性化合物よりも結晶性が高いものが所望されている分野であれば、産業分野の種類を問わず、利用可能である。そのため、半導体や触媒等の多種多様な分野での利用や応用が可能である。特に、太陽電池用半導体として理想的なバンドギャップを有するZnSnN系の結晶性化合物に関して、既存のZnSnN系の結晶性化合物よりも高結晶性のものを提供することができるので、太陽電池の分野での利用及び実用化が大いに期待される。また、光触媒としての利用及び実用化も期待される。また、本願発明によれば、デバイスの用途に応じて、バンドギャップのチューニング用の原子(例えば、Ge原子)や電気特性を制御するための原子を導入したZnSnN系の結晶性化合物を提供することもできるので、様々なデバイスに利用することが可能である。また、本願発明によれば、ZnSnN系の結晶性化合物をバルク結晶として提供することができるので、薄膜よりもサイズの大きな結晶形態で使用することが所望される分野での利用も可能である。また、このバルク結晶は、例えば、スパッタ法により薄膜を合成する際に用いられるターゲット材として利用することも可能であるので、薄膜を利用する分野等においても、利用可能である。

Claims (13)

  1. Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物であって、粉末X線回折法による前記結晶性化合物に帰属される(121)又は(002)結晶面での回折ピークの半値幅が0.5°未満である、前記結晶性化合物。
  2. Zn原子とSn原子以外の2価及び/又は4価の原子価を有する原子を更に含む、請求項1に記載の結晶性化合物。
  3. Ge原子、Si原子、Pb原子、及びTi原子からなる群から選択される少なくとも一以上の原子を更に含む、請求項1に記載の結晶性化合物。
  4. 亜鉛のハロゲン化物と、スズのハロゲン化物と、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の窒化物を混合するか、又は、亜鉛のハロゲン化物と、スズのハロゲン化物と、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアジ化物を混合することによって、Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物を製造する方法。
  5. 亜鉛のハロゲン化物と、スズのハロゲン化物と、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の窒化物を含む混合物を3GPa以上で加圧するか、又は、亜鉛のハロゲン化物と、スズのハロゲン化物と、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアジ化物を含む混合物を3GPa以上で加圧することを含む、Zn原子とSn原子とN原子を含むβ−NaFeO型構造の結晶性化合物の製造方法。
  6. 亜鉛のハロゲン化物と、スズのハロゲン化物と、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の窒化物に、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物を更に混合する、請求項4又は5に記載の製造方法。
  7. 亜鉛のハロゲン化物とスズのハロゲン化物がいずれもフッ化物であって、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物を更に混合する場合には前記アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のハロゲン化物もフッ化物である、請求項4から6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の窒化物として窒化リチウムを使用する、請求項4から7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアジ化物としてアジ化ナトリウムを使用する、請求項4から8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶性化合物を含む、半導体組成物。
  11. 請求項10に記載の半導体組成物を含む、太陽電池。
  12. 請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶性化合物を含む、光触媒。
  13. 請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶性化合物を含む、スパッタリング用ターゲット材。
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