JP2016153736A - 炎症性筋疾患鑑別マーカー及びそれを用いた炎症性筋疾患と非炎症性筋疾患の鑑別方法 - Google Patents

炎症性筋疾患鑑別マーカー及びそれを用いた炎症性筋疾患と非炎症性筋疾患の鑑別方法 Download PDF

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Abstract

【課題】筋疾患患者が炎症性筋疾患又は非炎症性筋疾患のいずれに罹患しているかを簡便かつ高精度に鑑別する方法の提供を課題とする。【解決手段】IP-10若しくはエオタキシン、又はそのペプチド断片、あるいはIP-10 mRNA若しくはエオタキシンmRNA、又はその核酸断片を炎症性筋疾患鑑別マーカーとして、試料中の当該マーカーの量に基づいて筋疾患患者が炎症性筋疾患か非炎症性筋疾患かを鑑別する。【選択図】なし

Description

本発明は、炎症性筋疾患を鑑別可能なバイオマーカー、及びそれを用いた炎症性筋疾患と非炎症性筋疾患の鑑別方法に関する。
筋肉の障害を原因とする筋疾患は、一般的には希少疾患とされているが、内科領域では比較的罹患率の高い疾患である。例えば、日本では、多発筋炎、皮膚筋炎、及び封入体筋炎等の筋疾患に罹患した新規診断者数の総計が年間約1700人と推計されており(非特許文献1及び2)、これに免疫介在性壊死性ミオパチーや各種筋疾患の疑いのある例を加算した場合には、年間5,000人を超えると推定されている。
筋疾患は、進行に伴う筋肉の萎縮や筋力の低下により患者のQOL(quality of life)を著しく障害することから、正確な診断と適切な治療又は処置を早期に行うことが良好な予後を得る上で極めて重要である。
一般に、筋疾患の診断は、臨床経過、身体診察所見、検査所見等を組み合わせて行われる。検査には血液検査、筋電図検査、骨格筋画像検査(CT/MRI)、筋病理学的検査(筋生検)等が含まれ、それらの所見を総合して診断が下されるが、筋病理の観察を行っても、なお診断がつかない場合が少なくない(非特許文献3及び4)。さらに、筋疾患には、炎症性筋疾患と非炎症性筋疾患が存在し、それぞれの疾患によって治療や処置方法が異なる。例えば、炎症性筋疾患の場合にはステロイドや免疫抑制剤等の免疫修飾療法による治療効果が期待されるが、非炎症性筋疾患の場合には極一部の疾患を除いて根本的な治療法は確立されておらず、リハビリテーション等の対症療法が行われるに過ぎない。
筋疾患患者において、炎症性筋疾患の看過は、治療の機会を逸することになり、また非炎症性筋疾患に対して治療効果のない免疫修飾療法を行うことは、患者に薬剤による有害事象等の負担を不要に与えることとなる。したがって、筋疾患が炎症性筋疾患であるか、又は非炎症性筋疾患であるかを正確に鑑別することは、適切な治療選択を行う上で重要である。健常者と筋疾患患者を鑑別し得るバイオマーカーは、これまでにもいくつかの報告があった(非特許文献5〜7)。しかし、筋疾患の罹患を鑑別できた場合であっても、それが炎症性筋疾患か非炎症性筋疾患かを正確に鑑別することは、従来の検査技術では困難であった。それ故に、臨床現場では炎症性筋疾患と非炎症性筋疾患を高い感度と特異度をもって鑑別することができるマーカーの開発が強く求められていた。
冨滿弘之.多発筋炎/皮膚筋炎の疫学調査 (2)−臨床調査個人票の解析から臨床疫学特性についての研究−.厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服事業「自己免疫疾患に関する調査研究」平成23年度総括・分担研究報告書.p46-47: 2012. 鈴木直輝 他, 2011, 臨床神経学, 51: 964-966. Benveniste O. and Romero N.B., 2011, Presse Med, 40: e249-55. Suzuki S., et al., 2012, Arch Neurol, 69(6): 728-32. Ishitobi M., et al., 2000, Neuroreport, 11(18): 4033-4035. Abdel-Salam E., et al., 2009, Acta Myol, 28(3): 94-100. Chahbouni M., et al., 2010, J Pineal Res, 48(3): 282-9.
本発明は、筋疾患における炎症性筋疾患を簡便かつ高精度に鑑別することができる炎症性筋疾患鑑別マーカーを提供することを課題とする。
また、本発明は、前記炎症性筋疾患鑑別マーカーを用いて筋疾患に罹患している被験体の筋疾患が炎症性筋疾患及び非炎症性筋疾患のいずれであるかを簡便かつ高精度に、また低侵襲性で鑑別する方法の提供を課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、炎症性筋疾患と非炎症性筋疾患の間で、発現量の異なるタンパク質因子が存在すると仮定し、侵襲性の低い血液、特に血漿の中から、そのような特徴を示すタンパク質因子を探索した。多数の炎症性筋疾患患者と非炎症性筋疾患患者の各種サイトカイン血漿濃度を比較検討した結果、両疾患間でIP-10及びエオタキシンの濃度に有意な差が見られ、筋疾患患者において炎症性筋疾患と非炎症性筋疾患を鑑別できる有用なバイオマーカーとなることを見出した。
IP-10の血清濃度が皮膚筋炎や封入体筋炎において高値となることは、既に知られていた(Szodoray P., et al. 2010, Rheumatology, 49: 1867-1877;Sanner H., et al., 2014, PLos One, 9(3): e92171;Allenbach Y., et al., 2014, PLos One, 9(3): e88788)。しかし、これらの研究は、筋疾患患者と健常対照者間の比較結果であり、筋疾患の疑いのある者に対してIP-10が筋疾患(具体的には皮膚筋炎や封入体筋炎)に罹患しているか、又はしていないか(すなわち、健常か)を鑑別するバイオマーカーとなり得る示唆にはなるものの、筋疾患を炎症性筋疾患と非炎症性筋疾患に鑑別できるバイオマーカーになり得ることは予想外の事象であった。本発明は、当該知見に基づくもので、以下を提供する。
(1)IP-10若しくはエオタキシン、又はそのペプチド断片からなり、炎症性筋疾患を鑑別することを特徴とする炎症性筋疾患鑑別マーカー。
(2)IP-10が以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質である、(1)に記載の炎症性筋疾患鑑別マーカー。
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつIP-10の活性を有するタンパク質、及び
(c)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつIP-10の活性を有するタンパク質
(3)エオタキシンが以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質である、(1)に記載の炎症性筋疾患鑑別マーカー。
(a)配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号3で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつエオタキシンの活性を有するタンパク質、及び
(c)配列番号3で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつエオタキシンの活性を有するタンパク質
(4)IP-10遺伝子若しくはエオタキシン遺伝子の転写産物、又はその核酸断片からなり、炎症性筋疾患を鑑別することを特徴とする炎症性筋疾患鑑別マーカー。
(5)IP-10遺伝子が以下の(a)〜(d)のいずれかの遺伝子である、(4)に記載の炎症性筋疾患鑑別マーカー。
(a)配列番号2で示される塩基配列からなる遺伝子、
(b)配列番号2で示される塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、かつIP-10の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(c)配列番号2で示される塩基配列に対して90%以上の塩基同一性を有する塩基配列からなり、かつIP-10の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、及び
(d)配列番号2に示す塩基配列に相補的な塩基配列の一部と高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなり、かつIP-10の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
(6)エオタキシン遺伝子が以下の(a)〜(d)のいずれかの遺伝子である、(4)に記載の炎症性筋疾患鑑別マーカー。
(a)配列番号4で示される塩基配列からなる遺伝子、
(b)配列番号4で示される塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、かつエオタキシンの活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(c)配列番号4で示される塩基配列に対して90%以上の塩基同一性を有する塩基配列からなり、かつエオタキシンの活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、及び
(d)配列番号4に示す塩基配列に相補的な塩基配列の一部と高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなり、かつエオタキシンの活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
(7)(1)〜(3)のいずれかに記載の炎症性筋疾患鑑別マーカーを特異的に認識する抗体を少なくとも一つ含む炎症性筋疾患鑑別キット。
(8)炎症性筋疾患を鑑別する方法であって、筋疾患に罹患している被験体から採取された試料の単位量あたりに含まれる炎症性筋疾患鑑別マーカーの量を測定してその測定値を得る測定工程、前記測定工程で得られた被験体の測定値を、非炎症性筋疾患の個体群から採取された試料の単位量あたりに含まれる前記炎症性筋疾患鑑別マーカーの測定値と比較したときに、(A)被験体の測定値が前記個体群の測定値よりも統計学的に有意に高い場合、又は(B)被験体の測定値が前記個体群の測定値におけるカットオフ値よりも高い場合に被験体は炎症性筋疾患に罹患していると判定する比較判定工程を含み、前記炎症性筋疾患鑑別マーカーがIP-10若しくはエオタキシン、又はそのペプチド断片からなる、前記炎症性筋疾患の鑑別方法。
(9)IP-10が以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質である、(8)に記載の炎症性筋疾患の鑑別方法。
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつIP-10の活性を有するタンパク質、及び
(c)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつIP-10の活性を有するタンパク質
(10)エオタキシンが以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質である、(8)に記載の炎症性筋疾患の鑑別方法。
(a)配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号3で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつエオタキシンの活性を有するタンパク質、及び
(c)配列番号3で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつエオタキシンの活性を有するタンパク質
(11)前記カットオフ値が90パーセンタイルである、(8)〜(10)のいずれかに記載の炎症性筋疾患の鑑別方法。
(12)前記試料が血漿である、(8)〜(11)のいずれかに記載の炎症性筋疾患の鑑別方法。
本発明の炎症性筋疾患鑑別マーカーを本発明の炎症性筋疾患の鑑別方法に使用することで炎症性筋疾患を鑑別でき、また従来技術では困難であった筋疾患における炎症性筋疾患と非炎症性筋疾患を識別することができる。
炎症性筋疾患患者及び非炎症性筋疾患である遺伝性筋疾患(hMD)患者における炎症性筋疾患鑑別マーカーIP-10の血漿濃度の測定値分布図を示す。図中、PMは多発筋炎を、DMは皮膚筋炎を、ASSは抗合成酵素症候群(抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体症候群)を、iNMは免疫介在性壊死性ミオパチーを、そしてIBMは封入体筋炎を示す。各疾患プロット群における横直線は、そのプロット群における中央値を示す。破線(90%)は、非炎症性筋疾患群における90パーセンタイルのカットオフ値である。本図では650pg/mLに相当する。図中、***は、hMDとの比較でP<0.001を示す。 炎症性筋疾患患者及び非炎症性筋疾患である遺伝性筋疾患(hMD)患者における炎症性筋疾患鑑別マーカーエオタキシンの血漿濃度の測定値分布図を示す。図中、PMは多発筋炎を、DMは皮膚筋炎を、ASSは抗合成酵素症候群(抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体症候群)を、iNMは免疫介在性壊死性ミオパチーを、そしてIBMは封入体筋炎を示す。各疾患プロット群における横直線は、そのプロット群における中央値を示す。破線(90%)は、非炎症性筋疾患群における90パーセンタイルのカットオフ値である。本図では75 pg/mLに相当する。図中、***は、hMDとの比較でP<0.001を、また**は、hMDとの比較でP<0.01を示す。 IP-10のROC曲線を示す。 エオタキシンのROC曲線を示す。
1.炎症性筋疾患鑑別マーカー
1−1.概要
本発明の第1の態様は炎症性筋疾患鑑別マーカーである。本発明の炎症性筋疾患鑑別マーカーは、筋疾患に罹患している被験体において炎症性筋疾患を鑑別することができるバイオマーカーである。本発明の炎症性筋疾患鑑別マーカーによれば、従来困難であった炎症性筋疾患と非炎症性筋疾患の罹患の鑑別が可能となる。それによって、それぞれの疾患に対する適切な治療薬の処方又は処置が可能になる。
1−2.定義
「筋疾患」は、骨格筋に生じる異常により筋力低下等の筋症状を呈する筋原性疾患である。筋断裂等の物理的な要因による筋傷害は含まれないが、本明細書においても「筋疾患」は、筋原性疾患のみを意味する狭義の疾患とする。筋疾患は、病因によって炎症性筋疾患と非炎症性筋疾患に大別することができる。
「炎症性筋疾患」とは、自己免疫性の炎症性筋疾患であり、主に四肢筋や体幹筋、頸筋、咽頭筋等の筋力低下をきたす。炎症性筋疾患の具体例として、多発筋炎(polymyositis:PM)、皮膚筋炎(dermatomyositis:DM)、封入体筋炎(inclusion body myositis: IBM)、抗合成酵素症候群(anti-synthetase syndrome: ASS)、及び免疫介在性壊死性ミオパチー(筋症)(Immune-mediated necrotizing myopathy:iNM)が挙げられる。
また、「非炎症性筋疾患」とは、非自己免疫性の炎症性筋疾患であり、そのほとんどは遺伝的な変異を原因とする先天性筋疾患(遺伝性筋疾患(hMD):hereditary/genetic muscle disease)である。非炎症性筋疾患の具体例として、壊死及び再生が病態の主体である筋ジストロフィー(デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、顔面肩甲骨上腕型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィーを含む)、及び壊死及び再生を伴わずに変性する遺伝性ミオパチー(遠位型ミオパチーを含む)が挙げられる。
本明細書において「炎症性筋疾患鑑別マーカー」とは、炎症性筋疾患の罹患を鑑別することのできるバイオマーカーをいう。
本明細書において「罹患(を)鑑別(する)」とは、被験体において疾患の罹患の有無を判別することをいう。
1−3.構成
本発明の炎症性筋疾患鑑別マーカーは、IP-10若しくはエオタキシン、又はそのペプチド断片、あるいはIP-10遺伝子若しくはエオタキシン遺伝子の転写産物、又はその核酸断片からなる。
(1)IP-10
「IP-10(インターフェロンγ誘導タンパク質10:Interferon Gamma Inducible Protein 10)」は、CXCL10とも呼ばれる炎症性サイトカインの一種である。IP-10は、IFNγ又はその他の炎症性サイトカインや刺激に応答して単球、上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞等の細胞から誘導され、単球・マクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞、樹状細胞に対する化学誘導、T細胞の内皮細胞への接着、抗ガン活性、及び血管新生の阻害等において機能する。
本発明の炎症性筋疾患鑑別マーカーとなり得るIP-10は、原則として筋疾患に罹患している被験体の内在遺伝子に由来するIP-10又はその遺伝子転写産物である。例えば、前記被験体がヒトであれば、IP-10は、ヒトIP-10遺伝子に由来するヒトIP-10及びヒトIP-10 mRNAが炎症性筋疾患鑑別マーカーとなり得る。
IP-10の具体例として、配列番号1で示される98残基のアミノ酸配列からなるヒト由来のIP-10(ヒトIP-10)が挙げられる。
また、配列番号1で示されるIP-10と機能的に同等の活性を有するIP-10バリアントや他生物種のIP-10オルソログも該当する。具体的には、配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列、あるいは配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%、95%以上、97%以上、98%以上又は99%以上のアミノ酸同一性を有するIP-10が包含される。
本明細書において「複数個」とは、例えば、2〜20個、2〜15個、2〜10個、2〜7個、2〜5個、2〜4個又は2〜3個をいう。また、アミノ酸の置換は、保存的アミノ酸置換が望ましい。「保存的アミノ酸置換」とは、電荷、側鎖、極性、芳香族性等の性質の類似するアミノ酸間の置換をいう。性質の類似するアミノ酸は、例えば、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン、ヒスチジン)、酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性アミノ酸(グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン)、無極性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、アラニン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン)、分枝鎖アミノ酸(ロイシン、バリン、イソロイシン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン)等に分類することができる。
本明細書において「アミノ酸同一性」とは、二つのアミノ酸配列を整列(アラインメント)し、必要に応じてギャップを導入して、両者のアミノ酸一致度が最も高くなるようにしたときに、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるIP-10の全アミノ酸残基に対する二つのアミノ酸配列間で同一アミノ酸残基の割合(%)をいう。アミノ酸同一性は、BLASTやFASTAによるタンパク質の検索システムを用いて算出することができる。
「IP-10遺伝子」は、前記IP-10をコードする遺伝子である。IP-10遺伝子の具体例として、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるヒトIP-10をコードするヒトIP-10遺伝子が挙げられる。より具体的には、配列番号2で示される塩基配列からなる遺伝子である。
また、配列番号2で示されるIP-10遺伝子がコードするIP-10と機能的に同等の活性を有するIP-10バリアントや他生物種のIP-10オルソログをコードするIP-10遺伝子も包含する。具体的には、配列番号2で示される塩基配列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列、あるいは配列番号2で示される塩基配列に対して90%、95%以上、97%以上、98%以上又は99%以上の塩基同一性を有するIP-10遺伝子が包含される。さらに、配列番号2で示される塩基配列に対して相補的な塩基配列の一部からなる核酸断片と高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなり、かつIP-10と機能的に同等の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が包含される。
本明細書において「塩基同一性」とは、二つの塩基配列を整列(アラインメント)し、必要に応じてギャップを導入して、両者の塩基一致度が最も高くなるようにしたときに、配列番号2で示される塩基配列からなるIP-10の全塩基に対する二つの塩基配列間で同一塩基の割合(%)をいう。
本明細書において「高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズ(する)」とは、低塩濃度及び/又は高温の条件下でハイブリダイゼーションと洗浄を行うことをいう。例えば、6×SSC、5×Denhardt試薬、0.5% SDS、100μg/mL変性断片化サケ***DNA中で65℃〜68℃にてプローブと共にインキュベートし、その後、2×SSC、0.1%SDSの洗浄液中で室温から開始して、洗浄液中の塩濃度を0.1×SSCまで下げ、かつ温度を68℃まで上げて、バックグラウンドシグナルが検出されなくなるまで洗浄することが例示される。高ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件については、Green, M.R. and Sambrook, J., 2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual Fourth Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkに記載されているので参考にすることができる。
このようなIP-10遺伝子の塩基配列情報は、公共のデータベース(GenBank、EMBL、DDBJ)より検索可能である。例えば、配列番号2で示されるIP-10遺伝子の既知塩基配列情報に基づいて、塩基同一性の高い遺伝子をデータベースから検索し、入手することができる。
「IP-10遺伝子の転写産物」とは、IP-10 mRNAを意味する。mRNAは、mRNA前駆体(pre-mRNA)及び成熟mRNA(mature mRNA)を問わない。通常、mRNA前駆体は、核内において直ちにスプライシングされて、成熟mRNA成熟体となることから、実質的に本発明の炎症性筋疾患鑑別マーカーとなるIP-10遺伝子の転写産物は、IP-10 成熟mRNAである。
(2)エオタキシン
「エオタキシン(Eotaxin:Eotaxin-1)」は、CCL11とも呼ばれるCCケモカインの一種である。エオタキシンは、線維芽細胞、血管内皮細胞、上皮細胞から産生され、好酸球の細胞表面に発現するCCケモカイン受容体CCR3に特異的に結合し、好酸球の遊走を誘導することによりアレルギー反応に関与することが知られている。
本発明の炎症性筋疾患鑑別マーカーとなり得るエオタキシンは、原則として筋疾患に罹患している被験体の内在遺伝子に由来するエオタキシン又はその遺伝子転写産物である。例えば、前記被験体がヒトであれば、エオタキシンは、ヒトエオタキシン遺伝子に由来するヒトエオタキシン及びヒトエオタキシン mRNAが炎症性筋疾患鑑別マーカーとなり得る。
エオタキシンの具体例として、配列番号3で示される97残基のアミノ酸配列からなるヒト由来のエオタキシン(ヒトエオタキシン)が挙げられる。
また、配列番号3で示されるエオタキシンと機能的に同等の活性を有するエオタキシンバリアントや他生物種のエオタキシンオルソログも該当する。具体的には、配列番号3で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列、あるいは配列番号3で示されるアミノ酸配列に対して90%、95%以上、97%以上、98%以上又は99%以上のアミノ酸同一性を有するエオタキシンが包含される。
「エオタキシン遺伝子」は、前記エオタキシンをコードする遺伝子である。エオタキシン遺伝子の具体例として、配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるヒトエオタキシンをコードするヒトエオタキシン遺伝子が挙げられる。より具体的には、配列番号4で示される塩基配列からなる遺伝子である。
また、配列番号4で示されるエオタキシン遺伝子がコードするエオタキシンと機能的に同等の活性を有するエオタキシンバリアントや他生物種のエオタキシンオルソログをコードするエオタキシン遺伝子も包含する。具体的には、配列番号4で示される塩基配列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列、あるいは配列番号4で示される塩基配列に対して90%、95%以上、97%以上、98%以上又は99%以上の塩基同一性を有するエオタキシン遺伝子が包含される。さらに、配列番号4で示される塩基配列に対して相補的な塩基配列の一部からなる核酸断片と高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなり、かつエオタキシンと機能的に同等の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が包含される。
「エオタキシン遺伝子の転写産物」とは、エオタキシン mRNAを意味する。mRNAは、mRNA前駆体(pre-mRNA)及び成熟mRNA(mature mRNA)を問わない。通常、mRNA前駆体は、核内において直ちにスプライシングされて、成熟mRNA成熟体となることから、実質的に本発明の炎症性筋疾患鑑別マーカーとなるエオタキシン遺伝子の転写産物は、エオタキシン成熟mRNAである。
本明細書において「ペプチド断片」とは、IP-10又はエオタキシンを構成するアミノ酸配列の一部からなるペプチド断片であって、その断片を構成するアミノ酸配列からIP-10又はエオタキシンの断片であることを同定することができるものをいう。通常は、IP-10又はエオタキシンの全長アミノ酸配列のうちの20個以上80個以下、30個以上70個以下、35個以上60個以下、又は40個以上50個以下の連続するアミノ酸残基からなるペプチドであればよい。
本明細書において「核酸断片」とは、IP-10 mRNA又はエオタキシンmRNAを構成する塩基配列の一部からなる核酸断片であって、その断片を構成する塩基配列からIP-10 mRNA又はエオタキシンmRNAの断片であることを同定することができるものをいう。通常は、IP-10 mRNA又はエオタキシンmRNAの全長塩基配列のうちの40個以上180個以下、50個以上150個以下、55個以上120個以下、又は60個以上90個以下の連続する塩基からなるペプチドであればよい。
2.炎症性筋疾患鑑別方法
2−1.概要
本発明の第2の態様は、炎症性筋疾患鑑別方法である。本発明は、第1態様に記載の炎症性筋疾患鑑別マーカーを用いて、筋疾患に罹患した被験体における炎症性筋疾患の罹患を鑑別することができる。それによって、被験体が炎症性筋疾患罹患個体であるか非炎症性筋疾患罹患個体であるかの診断を補助することが可能となる。本発明の鑑別方法を用いることで、被験体を、その被験体が罹患している筋疾患に適した治療法で処置することができる。
2−2.鑑別方法
本発明の鑑別方法は、測定工程及び比較判定工程を含む。以下、各工程について具体的に説明をする。
2−2−1.測定工程
「測定工程」とは、筋疾患に罹患している被験体から採取された試料の単位量あたりに含まれる第1態様に記載の炎症性筋疾患鑑別マーカーを定量するため、その量を測定して測定値を得る工程である。
(1)定義
本明細書において「被験体」とは、本発明の鑑別方法に供される動物個体をいう。ここでいう動物は、哺乳動物又は鳥類が該当する。本発明の鑑別方法に供される哺乳動物には、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ウサギ、フェレット、ハムスター、マウス等が挙げられる。好ましくはヒト、イヌ、ネコ、及びウマであり、より好ましくはヒトである。 本明細書において「筋疾患に罹患している被験体」とは、筋疾患の症状を呈する被験体であって、原則として医師又は獣医師により筋疾患と診断された個体をいう。被験体がヒトの場合は、筋疾患患者が該当する。筋疾患の診断は、主として問診、臨床経過、身体診察所見、及び筋病理所見等を組み合わせて行われる。本明細書における筋疾患に罹患している被検体は、健常体ではなく、炎症性筋疾患又は非炎症性筋疾患に罹患していることを前提とする。いずれに罹患しているかは明らかでなくともよい。なお、本明細書では、「筋疾患に罹患している被験体」をしばしば単に「被験体」として表記する。
本明細書において「試料」とは、炎症性筋疾患鑑別マーカーであるIP-10若しくはエオタキシン、又はそのペプチド断片、あるいはIP-10 mRNA若しくはエオタキシンmRNA、又はその核酸断片を含み得る生物学的試料をいう。例えば、体液又は筋細胞が該当する。
「体液」とは、個体から直接採取される液体状の生体試料をいう。例えば、血液(血清、血漿及び間質液を含む)、リンパ液、脳脊髄液、神経根周囲液、滑液、涙液、鼻汁、唾液、尿、汗、乳、膣液、***、胸水、腹水等が該当する。
「筋細胞」とは、筋組織を構成する収縮能を有する細胞をいう。実質的に筋線維と同義であるが、本発明においては筋細胞に分化する前の筋芽細胞及び筋細胞を破砕又は溶解して得られる細胞抽出液も包含する。筋組織は、骨格筋と内臓筋に分類されるが、本発明では特に限定はしない。好ましくは骨格筋である。
本明細書において「採取された試料」とは、被検体及び後述する非炎症性筋疾患罹患個体群のそれぞれから採取された試料をいう。採取方法は、既知の方法であればよく、特に限定はしない。試料が体液の場合、採取は、当該分野の公知の方法に基づいて行なえばよい。例えば、血液やリンパ液であれば、公知の採血方法に従えばよい。具体的には、末梢血であれば末梢部の静脈等に注射をして採取すればよい。試料は、採取後、速やかに本発明の判定方法で使用することもできるが、採取後、直ちに氷冷し、遠心により得られた血漿を超低温槽で保存したものを解凍し使用してもよい。また、必要に応じて希釈若しくは濃縮、又はヘパリンのような血液凝固阻止剤を添加することもできる。試料が脳脊髄液の場合、腰椎穿刺により採取すればよい。腰椎穿刺は、事前に市販の局所麻酔薬を用いることで、痛みを採血以下にすることが可能であり、また無外傷性針を用いることで、副作用を軽減できることから侵襲性を抑えながら採取することができる。
「単位量」は、容量又は重量の所定の単位であって、例えば、マイクロリットル(μL)、ミリリットル(mL)、マイクログラム(μg)、ミリグラム(mg)、グラム(g)等が挙げられる。
本明細書において「測定値」とは、本工程で測定される炎症性筋疾患鑑別マーカーの量を示す値である。測定値は、容量又は重量のような絶対値であってもよく、また濃度、イオン強度、吸光度又は蛍光強度のような相対値であってもよい。
本工程では、被験体由来の試料(本明細書では、しばしば「被験体試料」と表記する)に含まれる炎症性筋疾患鑑別マーカーの量を測定する。
本方法で測定すべき炎症性筋疾患鑑別マーカーは、ペプチド由来のIP-10若しくはエオタキシン、又はそのペプチド断片、及び核酸由来のIP-10 mRNA若しくはエオタキシンmRNA、又はその核酸断片のいずれであってもよい。
炎症性筋疾患鑑別マーカーがIP-10若しくはエオタキシン又はそのペプチド断片であれば、試料として血液、滑液又は筋細胞が好ましく、血漿がより好ましい。また、炎症性筋疾患鑑別マーカーがIP-10 mRNA若しくはエオタキシンmRNA又はその核酸断片であれば、試料として筋細胞が好ましく細胞抽出液がより好ましい。本発明の炎症性筋疾患鑑別方法に供する上で必要な試料の量は、体液を用いる場合には、少なくとも0.1 mL、好ましくは0.5 mLあればよい。また、試料として筋細胞を用いる場合には、少なくとも2 mg、好ましくは5 mgあればよい。
(2)測定方法
炎症性筋疾患鑑別マーカーがIP-10若しくはエオタキシン、又はそのペプチド断片の場合、その測定方法は、公知のペプチド定量方法であればよく、特に限定はしない。例えば、免疫学的検出法、アプタマー解析法、又は質量分析法が挙げられる。また、炎症性筋疾患鑑別マーカーがIP-10 mRNA若しくはエオタキシンmRNA、又はその核酸断片の場合、その測定方法は、公知の核酸定量方法であればよく、特に限定はしない。例えば、核酸増幅法、ハイブリダイゼーション法、又はRNaseプロテクション法が挙げられる。以下、各測定方法について説明をする。
(2−1)免疫学的検出法
「免疫学的検出法」は、抗原である標的分子と特異的に結合する抗体又は抗体断片を用いて、標的分子を定量する方法である。本発明では、炎症性筋疾患鑑別マーカーであるIP-10若しくはエオタキシン、又はそのペプチド断片が標的分子に該当する。
抗体は、哺乳動物及び鳥を含めたいずれの動物由来とすることができる。例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ロバ、ヒツジ、ラクダ、ウマ、ニワトリ又はヒト等が挙げられる。
免疫学的検出法で使用する抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、及び合成抗体のいずれを使用してもよい。
本明細書において「モノクローナル抗体」とは、単一免疫グロブリンのクローン群をいう。モノクローナル抗体を構成する各免疫グロブリンは、共通するフレームワーク領域(Frame work region:以下、「FR」と表記する)及び共通する相補性決定領域(Complementarity determining region:以下、「CDR」と表記する)を含み、同一抗原の同一エピトープを認識し、それに結合することができる。モノクローナル抗体は、単一細胞由来のハイブリドーマから得ることができる。
本明細書において「ポリクローナル抗体」とは、同一抗原の異なるエピトープを認識し結合する複数種の免疫グロブリン群をいう。ポリクローナル抗体は、標的分子を抗原として動物に免疫後、その動物の血清から得ることができる。
典型的な免疫グロブリン分子は、重鎖及び軽鎖と呼ばれる2本のポリペプチド鎖一組がジスルフィド結合によって2組相互接続された四量体として構成される。重鎖は、N末端側の重鎖可変領域(H鎖V領域:以下、「VH」と表記する)とC末端側の重鎖定常領域(H鎖C領域:以下、「CH」と表記する)からなり、軽鎖は、N末端側の軽鎖可変領域(L鎖V領域:以下、「VL」と表記する)とC末端側の軽鎖定常領域(L鎖C領域:以下、「CL」と表記する)からなる。このうち、VH及びVLは、抗体の結合特異性に関与する点で特に重要である。このVH及びVLは、いずれも約110個のアミノ酸残基からなり、その内部に抗原との結合特異性に直接関与する3つのCDR(CDR1、CDR2、CDR3)と、可変領域の骨格構造として機能する4つのFR(FR1、FR2、FR3、FR4)を有している。CDRは、抗原分子と相補的な立体構造を形成し、抗体の特異性を決定することで知られている(E.A.Kabat et al、1991、Sequences of proteins of immunological interest、Vol.1、eds.5、NIH publication)。可変領域において、前記CDRとFRは、N末端からC末端方向にFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配列されている。免疫グロブリン分子内においてVL及びVHは、相対して二量体を形成することによって抗原結合部位を形成している。
抗体がポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の場合、免疫グロブリン分子には、IgG、IgM、IgA、IgE、及びIgDの各クラスが知られているが、本発明の抗体は、いずれのクラスであってもよい。好ましくはIgGである。
IP-10若しくはエオタキシン、又はそのペプチド断片を認識し結合するポリクローナル抗体、又はモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製する方法は、IP-10若しくはエオタキシン、又はそのペプチド断片を抗原として当該分野で公知の抗体作製方法に準じて行えばよい。
本明細書において「組換え抗体」は、キメラ抗体、ヒト化抗体、又は多重特異性抗体を含む。「キメラ抗体」とは、異なる動物由来の抗体のアミノ酸配列を組み合わせて作製される抗体で、ある抗体のV領域を他の抗体のV領域で置換した抗体をいう。例えば、第1態様に記載のいずれかの炎症性筋疾患鑑別マーカーに特異的に結合するマウスモノクローナル抗体のV領域をヒト抗体のV領域と置き換え、V領域がマウス由来、C領域がヒト由来となった抗体が該当する。「ヒト化抗体」とは、ヒト以外の哺乳動物、例えば、第1態様に記載のいずれかの炎症性筋疾患鑑別マーカーと特異的に結合するマウス抗体のV領域におけるCDR(CDR1、CDR2、CDR3)をヒトモノクローナル抗体のCDRとを置換したグラフト抗体が該当する。「多重特異性抗体」は、多価抗体、すなわち抗原結合部位を一分子内に複数有する抗体において、それぞれの抗原結合部位が異なるエピトープと結合する抗体をいう。例えば、IgGのように2つの抗原結合部位を有する抗体であれば、それぞれの抗原結合部位が第1態様に記載の同一の又は異なる炎症性筋疾患鑑別マーカーと特異的に結合する二重特異性抗体(Bispecific抗体)が挙げられる。
本明細書において「合成抗体」とは、化学的方法又は組換えDNA法を用いることによって合成した抗体をいう。例えば、適当な長さと配列を有するリンカーペプチド等を介して、特定の抗体の一以上のVL及び一以上のVHを人工的に連結させた一量体ポリペプチド分子、又はその多量体ポリペプチドが該当する。このようなポリペプチドの具体例としては、一本鎖Fv(scFv :single chain Fragment of variable region)(Pierce Catalog and Handbook, 1994-1995, Pierce Chemical Co., Rockford, IL参照)、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)又はテトラボディ(tetrabody)等が挙げられる。免疫グロブリン分子において、VL及びVHは、通常別々のポリペプチド鎖(L鎖とH鎖)上に位置する。「一本鎖Fv」は、これら2つのポリペプチド鎖上のV領域を十分な長さの柔軟性リンカーによって連結し、1本のポリペプチド鎖に包含した構造を有する合成抗体断片である。一本鎖Fv内において両V領域は、互いに自己集合して1つの機能的な抗原結合部位を形成することができる。一本鎖Fvは、それをコードする組換えDNAを、公知技術を用いてファージゲノムに組み込み、発現させることで得ることができる。「ダイアボディ」は、一本鎖Fvの二量体構造をベースとし、2つの機能的な抗原結合部位を有する分子である(Holliger et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448)。例えば、上記リンカーの長さが約12アミノ酸残基よりも短い場合、一本鎖Fv内の2つの可変部位は構造的に自己集合化できない。しかし、ダイアボディを形成させて、2つの一本鎖Fvを互いに相互作用させることにより、一方のFv鎖のVLが他方のFv鎖のVHと集合可能となり、2つの機能的な抗原結合部位を形成することができる(Marvin et al., 2005, Acta Pharmacol. Sin. 26:649-658)。さらに、一本鎖FvのC末端にシステイン残基を付加させることにより、2本のFv鎖同士のジスルフィド結合が可能となり、安定的なダイアボディを形成させることもできる(Olafsen et al., 2004, Prot. Engr. Des. Sel. 17:21-27)。このようにダイアボディは二価の抗体断片であるが、それぞれの抗原結合部位は、同一エピトープと結合する必要はなく、それぞれが異なるエピトープを認識し、特異的に結合する二重特異性を有していてもよい。「トリアボディ」、及び「テトラボディ」は、ダイアボディと同様に一本鎖Fv構造を基本としたその三量体、及び四量体構造を有する。それぞれ、三価、及び四価の抗体断片であり、多重特異性抗体であってもよい。
本明細書において「抗体断片」とは、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の部分断片であって、該抗体が有する抗原特異的結合活性と実質的に同等の活性を有するポリペプチド鎖又はその複合体をいう。例えば、抗原結合部位を少なくとも1つ包含する抗体部分、すなわち、少なくとも1組のVLとVHを有するポリペプチド鎖、又はその複合体が該当する。具体例としては、免疫グロブリンを様々なペプチダーゼで切断することによって生じる多数の十分に特徴付けられた抗体断片等が挙げられる。より具体的な例としては、Fab、F(ab’)2、Fab’等が挙げられる。Fabは、パパインによりIgG分子がヒンジ部のジスルフィド結合よりもN末端側で切断されることによって生じる断片であって、VH及びCHを構成する3つのドメイン(CH1、CH2、CH3)のうちVHに隣接するCH1からなるポリペプチドと、軽鎖から構成される。F(ab’)2は、ペプシンによりIgG分子がヒンジ部のジスルフィド結合よりもC末端側で切断されることによって生じるFab’の二量体である。Fab’は、Fabよりもヒンジ部を含む分だけH鎖が若干長いが実質的にはFabと同等の構造を有する(Fundamental Immunology、Paul ed.、3d ed.、1993)。Fab’は、F(ab’)2をマイルドな条件下で還元し、ヒンジ領域のジスルフィド連結を切断することによって得ることができる。これらの抗体断片は、いずれも抗原結合部位を包含しており、抗原である標的分子と特異的に結合する能力を有している。
免疫学的検出法には、例えば、酵素免疫測定法(ELISA法、EIA法を含む)、蛍光免疫測定法、発光免疫測定法、放射免疫測定(RIA)法、表面プラズモン共鳴(SPR)法、水晶振動子マイクロバランス(QCM)法、免疫比濁法、ラテックス凝集免疫測定法、ラテックス比濁法、赤血球凝集反応、粒子凝集反応法、金コロイド法、キャピラリー電気泳動法、ウェスタンブロット法又は免疫組織化学法(免疫染色法)が挙げられる。
「酵素免疫測定法」は、標的分子と結合した一次抗体を、酵素標識された介在物質である二次抗体等を介して、当該酵素の作用により発色物質、若しくは蛍光物質を生じさせて、その発色濃度や蛍光強度によって標的分子を定量する方法である。
「表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)法」は、金属薄膜へ照射したレーザー光の入射角度を変化させると特定の入射角度(共鳴角)において反射光強度が著しく減衰するという表面プラズモン共鳴現象を利用して、金属薄膜表面上の吸着物を高感度に検出、定量する方法である。本発明においては、例えば、金属薄膜表面に標的分子に対する抗体、又は標的核酸の塩基配列に相補的な配列を有する核酸プローブを固定化し、その他の金属薄膜表面部分をブロッキング処理した後、試料を金属薄膜表面に流通させることによってサンプル流通前後の測定値の差異から標的分子又は標的核酸を検出、定量することができる。表面プラズモン共鳴法による検出、定量は、例えば、Biacore社で市販されるSPRセンサを利用して行なうことができる。
「水晶振動子マイクロバランス(QCM: Quarts Crystal Microbalance)法」とは、水晶振動子に取り付けた電極表面に物質が吸着するとその質量に応じて水晶振動子の共振周波数が減少する現象を利用して、共振周波数の変化量によって極微量な吸着物を定量的に捕らえる質量測定法である。本方法による検出、定量も、SPR法と同様に市販のQCMセンサを利用して、例えば、電極表面に固定した標的分子に対する抗体と試料中の標的分子との抗原抗体反応や標的核酸の塩基配列に相補的な配列を有する核酸プローブと試料中の標的核酸との塩基対合によって、標的分子や標的核酸を検出、定量することができる。
(2−2)アプタマー解析法
「アプタマー解析法」は、アプタマーを用いて、標的分子を定量する方法である。アプタマーは、立体構造によって標的物質と強固、かつ特異的に結合し、標的物質の機能を特異的に抑制する能力を持つリガンド分子であり、その分子の種類により、核酸アプタマーとペプチドアプタマーに大別することができるが、いずれのアプタマーであってもよい。好ましくは核酸アプタマーである。本発明では、炎症性筋疾患鑑別マーカーであるIP-10若しくはエオタキシン、又はそのペプチド断片がアプタマーの標的分子となる。
「核酸アプタマー」は、核酸で構成されるアプタマーをいう。核酸アプタマーを構成する核酸は、DNA、RNA又はそれらの組合せのいずれであってもよい。必要に応じて、PNA、LNA/BNA、メチルホスホネート型DNA、ホスホロチオエート型DNA、2'-O-メチル型RNA等の化学修飾核酸を含むこともできる。
核酸アプタマーは、第1態様に記載のいずれかの炎症性筋疾患鑑別マーカーを標的分子として、当該分野で公知の方法により作製することができる。例えば、RNAアプタマーであれば、SELEX(systematic evolution of ligands by exponential enrichment)法を用いて試験管内選別により作製することができる。SELEX法とは、ランダム配列領域とその両端にプライマー結合領域を有する多数のRNA分子によって構成されるRNAプールから標的分子である炎症性筋疾患鑑別マーカーに結合したRNA分子を選択し、回収後にRT-PCR反応によって増幅した後、得られたcDNA分子を鋳型として転写を行い、それを次のラウンドのRNAプールにするという一連のサイクルを数〜数十ラウンド繰り返して、炎症性筋疾患鑑別マーカーに対して、より結合力の強いRNAを選択する方法である。ランダム配列領域とプライマー結合領域の塩基配列長は特に限定はしない。一般的にランダム配列領域は、20〜80塩基、プライマー結合領域は、それぞれ15〜40塩基の範囲である。以上の方法によって最終的に得られたRNA分子を炎症性筋疾患鑑別マーカー結合性RNAアプタマーとして利用する。なお、SELEX法は、公知の方法であり、具体的な方法は、例えば、Panら(Proc. Natl. Acad. Sci. 1995, U.S.A.92: 11509-11513)に準じて行えばよい。
「ペプチドアプタマー」とは、アミノ酸で構成されるアプタマーで、抗体と同様に、特定の標的分子の表面構造を認識して、特異的に結合する1〜6kDのペプチド分子である。ファージディスプレイ法や細胞表層ディスプレイ法を用いて製造することができる。ペプチドアプタマーの製造法は、当該分野で公知の方法に基づいて作製すればよい。例えば、Whaley, S.R., et al., 2000, Nature, 405, 665-668を参照することができる。
上記抗体又はアプタマーは、必要に応じて標識されていてもよい。標識は、当該分野で公知の標識物質を利用すればよい。抗体及びペプチドアプタマーの場合、例えば、蛍光色素(フルオレセイン、FITC、ローダミン、テキサスレッド、Cy3、Cy5)、蛍光タンパク質(例えば、PE、APC、GFP)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼ)、放射性同位元素(例えば、3H、14C、35S)又はビオチン若しくは(ストレプト)アビジンにより標識することができる。また、核酸アプタマーの場合、例えば、放射性同位元素(例えば、32P、3H、14C)、DIG、ビオチン、蛍光色素(例えば、FITC、Texas、cy3、cy5、cy7、FAM、HEX、VIC、JOE、Rox、TET、Bodipy493、NBD、TAMRA)、又は発光物質(例えば、アクリジニウムエスター)が挙げられる。標識物質で標識された抗体やアプタマーは、標的タンパク質と結合したアプタマーを検出する際に有用なツールとなり得る。
(2−3)質量分析方法
「質量分析法(Mass Spectrometry)」は、試料を高真空下でイオン化し、そのイオンを電磁的に分離して試料中の物質を分析する方法である。試料中の検出すべき標的分子が明らかな場合、その標的分子を標品とした質量スペクトルと試料の質量スペクトルを比較することにより、視聴中の標的分子の検出及び定量を行うことができる。本発明では、炎症性筋疾患鑑別マーカーであるIP-10若しくはエオタキシン、又はそのペプチド断片が標的分子に該当する。
「質量分析法」には、高速液体クロマトグラフ質量分析法(LC-MS)、高速液体クロマトグラフタンデム質量分析法(LC-MS/MS)、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC-MS)、ガスクロマトグラフタンデム質量分析法(GC-MS/MS)、キャピラリー電気泳動質量分析法(CE-MS)及びICP質量分析法(ICP-MS)が挙げられる。
(2−4)核酸増幅方法
「核酸増幅法」は、フォワード/リバースプライマーセット用いて、標的核酸の特定の領域を核酸ポリメラーゼによって増幅させる方法をいう。例えば、PCR法(RT-PCR法を含む)、NASBA法、ICAN法、LAMP(登録商標)法(RT-LAMP法を含む)が挙げられる。好ましくはPCR法である。本方法で用いる炎症性筋疾患鑑別マーカーは、IP-10 mRNA若しくはエオタキシン mRNA又はその核酸断片であることから、通常は、逆転写反応(RT反応)を介した核酸増幅法、例えば、RT-PCR法又はRT-LAMP法が採用される。特に本発明では、筋細胞等の試料中に存在する炎症性筋疾患鑑別マーカー量を測定する必要があるため、リアルタイムRT-PCR法のような定量的核酸増幅法を用いることが好ましい。
リアルタイムPCRの反応条件は、一般に、公知のPCR法を基礎として、増幅する核酸断片の塩基長及び鋳型用核酸の量、並びに使用するプライマーの塩基長及びTm値、使用する核酸ポリメラーゼの至適反応温度及び至適pH等により変動するため、これらの条件に応じて適宜定めればよい。一例として、通常、変性反応を94〜95℃で5秒〜5分間、アニーリング反応を50〜70℃で10秒〜1分間、伸長反応を68〜72℃で30秒〜3分間行い、これを1サイクルとして15〜40サイクルほど繰り返し、最後に68〜72℃で30秒〜10分間の伸長反応を行うことができる。前記メーカー市販のキットを使用する場合には、原則としてキットに添付のプロトコルに従って行えばよい。
リアルタイムPCRで用いられる核酸ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼ、特に熱耐性DNAポリメラーゼである。このような核酸ポリメラーゼは、様々な種類のものが市販されており、それらを利用することもできる。例えば、前記Applied Biosystems TaqMan MicroRNA Assays Kit(Life Technologies社)に添付のTaq DNAポリメラーゼが挙げられる。特にこのような市販のキットには、添付のDNAポリメラーゼの活性に最適化されたバッファ等が添付されているので有用である。
(2−5)ハイブリダイゼーション法
「ハイブリダイゼーション法」は、検出すべき標的核酸の塩基配列の全部又は一部に相補的な塩基配列を有する核酸断片をプローブとして用い、その核酸と該プローブ間の塩基対合を利用して、標的核酸若しくはその断片を検出、定量する方法である。ハイブリダイゼーション法には、検出手段の異なるいくつかの方法が知られているが、本発明では、標的核酸がmRNAであることから、例えば、ノザンハイブリダイゼーション法(ノザンブロットハイブリダイゼーション法)、RNAマイクロアレイ法、表面プラズモン共鳴法又は水晶振動子マイクロバランス法が好ましい。表面プラズモン共鳴法又は水晶振動子マイクロバランス法については、前述のとおりである。
「ノザンハイブリダイゼーション法」は、遺伝子の発現を解析する最も一般的な方法で、試料より調製したRNAを変性条件下でアガロースゲル若しくはポリアクリルアミドゲル等による電気泳動によって分離し、フィルターに転写(ブロッティング)した後に、標的核酸に特異的な塩基配列を有するプローブを用いて、そのRNAを検出する方法である。プローブを蛍光色素や放射性同位元素のような適当なマーカーで標識することで、例えば、ケミルミ(化学発光)撮影解析装置(例えば、ライトキャプチャー;アトー社)、シンチレーションカウンター、イメージングアナライザー(例えば、FUJIFILM社:BASシリーズ)等の測定装置を用いて標的核酸を定量することも可能である。ノザンハイブリダイゼーション法は、当該分野において周知著名な技術であり、例えば、Green, M.R. and Sambrook, J., 2012(前述)を参照すればよい。
ハイブリダイゼーション法で用いるプローブは、配列番号2又は4で示す塩基配列の全部又は一部に相補的な塩基配列を有する核酸断片を用いればよい。プローブの塩基長は、8塩基以上、好ましくは10塩基以上、より好ましくは12塩基以上、さらに好ましくは15塩基以上、又は全長以下である。プローブを構成する核酸は、通常、低コストで合成でき、かつ安定性高いDNAでよいが、必要に応じて全部又は一部にPNA(Peptide Nucleic Acid)、LNA(Locked Nucleic Acid;登録商標)、メチルホスホネート型DNA、ホスホロチオエート型DNA、2'-O-メチル型RNA等の化学修飾核酸や擬似核酸又はそれらの組み合わせを含むこともできる。また、ハイブリダイゼーション法で用いるプローブは、蛍光色素(例えば、フルオレサミン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、FITC、cy3、cy5、FAM、HEX、VIC)、クエンチャー物質(TAMRA、DABCYL、BHQ-1、BHQ-2、又はBHQ-3)、ビオチン若しくは(ストレプト)アビジン、又は磁気ビーズ等の修飾物質、あるいは放射性同位元素(例えば、32P、33P、35S)等を用いて修飾又は標識することができる。ハイブリダイゼーションは、非特異的にハイブリダイズする目的外の核酸を排除するためストリンジェントな条件で行うことが好ましい。低塩濃度かつ高温下の高ストリンジェントな条件がより好ましい。
「RNAマイクロアレイ法」は、DNAマイクロアレイ法をRNAに応用した方法である。基板上に標的とする核酸の塩基配列の全部若しくは一部に相補的な核酸断片をプローブとして小スポット状に高密度で配置、固相化し、これに標的核酸を含む試料を反応させて、基板上のスポットにハイブリダイズした核酸を蛍光等によって検出、定量する方法である。検出、定量には、標的核酸等のハイブリダイゼーションに基づく蛍光等をマイクロプレートリーダーやスキャナーにより検出、測定することによって達成できる。RNAマイクロアレイ法も当該分野において周知の技術である。例えば、DNAマイクロアレイ法(DNAマイクロアレイと最新PCR法(2000年)村松正明、那波宏之監修、秀潤社)等を参照されたい。
「RNAプロテクション法」とは、標的RNAに相補的な塩基配列を有するプローブを用いて、標的RNAとプローブとのハイブリダイゼーションを行い、その後のRNase処理による分解を免れたハイブリダイズしたRNAを電気泳動によって分離、検出することで、標的RNAを検出、定量する方法である。電気泳動による分離及び検出の方法については基本的に前記ハイブリダイゼーション法と同様である。
上述の各測定法は、いずれも当該分野に公知の技術である。したがって、具体的な測定方法については、公知の方法に準じて行えばよい。例えば、Green, M.R. and Sambrook, J., 2012(前述);Christopher J., et al., 2005, Chemical Review,105:1103-1169;Iijima Y. et al., 2008,.The Plant Journal, 54,949-962;Hirai M. et al.,2004, Proc Natl Acad Sci USA, 101(27) 10205-10210;Sato S, et al., 2004,,The Plant Journal, 40(1)151-163;Shimizu M. et al., 2005, Proteomics, 5,3919-3931に記載の方法を参考にすることができる。また、各メーカーから各種核酸又はペプチド定量キットが市販されており、それらを利用することもできる。例えば、IP-10やエオタキシン等のサイトカインの免疫測定であれば、Bio-Rad社のBio-Plex Pro Human Cytokine Group I Panel 27-Plex in Bio-Plex 200 system等を利用することができる。これらのキットの具体的な使用方法については、キットに添付のプロトコルに従って行えばよい。
本工程では、被験体の測定値と、非炎症性筋疾患の個体群における測定値を補正するために、単位量あたりの試料において量的差異のないことが期待される公知のタンパク質や核酸を内在性コントロールとして測定してもよい。このような内在性コントロール用として、タンパク質であれば、例えばアルブミンが、核酸であれば、例えば、β-Actin mRNA、GAPDH mRNA、β-glucronidase(GUS) mRNAが挙げられる。
(3)比較判定工程
「比較判定工程」とは、前記測定工程で得られた被験体の測定値と、非炎症性筋疾患の個体群における測定値を比較して、その結果に基づいて、筋疾患に罹患している被検体が炎症性筋疾患に罹患していることを判定する工程である。
「非炎症性筋疾患の個体」は、非炎症性筋疾患に罹患している個体である。原則として、医師又は獣医師により非炎症性筋疾患であると診断された個体をいう。「非炎症性筋疾患の個体群」は、非炎症性筋疾患に罹患している同種複数個体からなる一群をいう。個体数は、複数であれば特に限定しないが、好ましくは5人以上、より好ましくは10人以上、さらに好ましくは15人以上である。この個体群は、同一の非炎症性筋疾患罹患個体からなる群であってもよいし、異なる非炎症性筋疾患罹患個体からなる群であってもよい。非炎症性筋疾患の個体群を構成する各個体は、同性で、年齢(週齢、月齢)、身長(体長)、及び体重等の各種身体的条件が筋疾患に罹患している被験体と同一又は近似であることが好ましい。
「非炎症性筋疾患の個体群における測定値」(本明細書では、しばしば「個体群の測定値」と表記する)とは、非炎症性筋疾患の個体群から採取された試料の単位量あたりに含まれる炎症性筋疾患鑑別マーカーの量を測定して得られる測定値である。この測定値は、原則として前記測定工程において、筋疾患に罹患している被験体の測定値を得た方法と同種の試料を用いて、同じ炎症性筋疾患鑑別マーカーを同じ測定方法で得られた測定値である。
非炎症性筋疾患の個体群における測定値は、予め試料中の各炎症性筋疾患鑑別マーカー量を各測定方法で測定したときの測定値をデータベース化したものを使用してもよい。
本工程では、被検体の測定値と個体群における測定値を比較して、統計学的な有意差に基づいて、又はカットオフ値に基づいて、被験体が炎症性筋疾患に罹患していると判定する。各判定方法について、以下で具体的に説明をする。
統計学的な有意差に基づく判定方法は、被験体の測定値が前記個体群の測定値よりも統計学的に有意に高い場合に、その被験体は炎症性筋疾患に罹患していると判定する方法である。
本明細書において「統計学的に有意」とは、得られた値の危険率(有意水準)が小さい場合、具体的には、p<0.05(5%未満)、p<0.01(1%未満)又はp<0.001(0.1%未満)の場合が挙げられる。ここで、「p(値)」とは、統計学的検定において、統計量が仮定した分布の中で、仮定が偶然正しくなる確率を示す。したがって、p値が小さいほど、仮定が真に近いことを意味する。「統計学的に有意に差がある」とは、被験体の測定値と個体群の測定値の差異を統計学的に処理したときに両者間に有意に差があることをいう。つまり、本工程では被検体の測定値が、個体群の測定値との比較において、統計学的に有意に差がある場合、その被験体は炎症性筋疾患に罹患していると判定する。統計学的処理の検定方法は、有意性の有無を判断可能な公知の検定方法を適宜使用すればよく、特に限定しない。例えば、スチューデントt検定法、多重比較検定法を用いることができる。
本明細書で統計学的な有意差に基づいて炎症性筋疾患の罹患を判定する場合、被験体における炎症性筋疾患鑑別マーカーの測定値が非炎症性筋疾患の個体群におけるその測定値よりも有意に大きい場合、その被検体は炎症性筋疾患に罹患している可能性が高いと判定する。一方、被験体における炎症性筋疾患鑑別マーカーの測定値と非炎症性筋疾患の個体群におけるその測定値の間に有意差がない場合には、その被検体は非炎症性筋疾患に罹患している可能性が高いと判定する。
カットオフ値に基づく判定方法は、被験体の測定値が非炎症性筋疾患の個体群における測定値における所定のカットオフ値による判定方法である。
本明細書において「カットオフ値」とは、測定値を陽性、陰性に分類するための境界値をいう。ここでいう陽性とは、炎症性筋疾患に罹患している可能性が高いことを、また陰性とは非炎症性筋疾患に罹患している可能性が高いことを、それぞれ示す。カットオフ値の設定法は特に限定しない。例えば、非炎症性筋疾患の個体群における測定値をパーセンタイルで分類し、その分類に用いたパーセンタイル値をカットオフ値とすることができる。具体的には、個体群の測定値の90パーセンタイルで被検体の測定値の陽性又は陰性を分類した場合、90パーセンタイルがカットオフ値となる。
本明細書でパーセンタイル値をカットオフ値として用いる場合、90パーセンタイルを用い、90パーセンタイルより大の場合を陽性、90パーセンタイル以下の場合を陰性とする。
陽性に分類された場合、その被験体は炎症性筋疾患に罹患している可能性が高いと判定する。例えば、被検体におけるIP-10の測定値が非炎症性筋疾患の個体群の測定値の90パーセンタイルより大きい値を示した場合、その被検体は、炎症性疾患に罹患している可能性が高いと判定する。一方、90パーセンタイル以下の値を示した場合、その被検体は、非炎症性疾患に罹患している可能性が高いと判定する。他にも、Akobeng AKActa, 2007, Paediatr, 96:644-647に記載の算出方法に基づいて設定することができる。
2−2−2.組み合わせ
本態様の判定方法では、前記測定工程において、第1態様に記載の炎症性筋疾患鑑別マーカーのいずれか1つを使用すればよいが、2つ以上を組み合わせて測定することもできる。複数の炎症性筋疾患鑑別マーカーを組み合わせて測定することによって、炎症性筋疾患の鑑別精度を一層高めることができる。
3.炎症性筋疾患鑑別キット
3−1.概要
本発明の第3の態様は、炎症性筋疾患鑑別キットである。本発明のキットは、筋疾患に罹患している被験体が炎症性筋疾患又は非炎症性筋疾患のいずれに罹患しているかを、医師や獣医師の手を介することなく、簡便かつ高精度に鑑別することができる。
3−2.構成
本発明の炎症性筋疾患鑑別キットは、必須の構成物として第1態様に記載の炎症性筋疾患鑑別マーカーの少なくとも一つを検出するための試薬を含む。
本明細書において「炎症性筋疾患鑑別キット」とは、被験体における炎症性筋疾患の罹患の有無、それに基づき炎症性筋疾患又は非炎症性筋疾患のいずれに罹患しているかを評価し、鑑別するために直接又は間接的に利用されるものをいう。
本態様のキットは、その構成物として、炎症性筋疾患への罹患に関連して、体液中、特に血漿中の発現が増大するIP-10又はエオタキシンを特異的に認識し、結合できる物質が包含される。具体的には、例えば、抗IP-10抗体若しくは抗エオタキシン抗体、その抗体断片又はそれらの化学修飾誘導体が含まれる。これらの抗体は、固相担体に結合されていてもよい。例えば、検査用ストリップに固定された形態が挙げられる。その他、例えば、標識二次抗体、さらには標識の検出に必要な基質、担体、洗浄バッファ、試料希釈液、酵素基質、反応停止液、使用説明書等を含んでいてもよい。
本態様のキットは、上記構成物に加えて、又は上記構成物とは独立して、炎症性筋疾患への罹患に関連して、筋細胞中で発現が増大するIP-10mRNA又はエオタキシンmRNAを特異的に検出できる物質が包含される。具体的には、例えば、IP-10遺伝子若しくはエオタキシン遺伝子の増幅プライマーセット、又は化学修飾された、IP-10若しくはエオタキシン検出用プローブが含まれる。これらのプライマーやプローブは、固相担体に結合されていてもよい。例えば、基板上に固定されたマイクロアレイ形態が挙げられる。その他、例えば、cDNA合成用の逆転写酵素、核酸増幅用DNAポリメラーゼ、標識の検出に必要な基質、担体、洗浄バッファ、試料希釈液、及び使用説明書等を含んでいてもよい。
<炎症性筋疾患鑑別マーカーの単離>
1.検体の収集と試料の採取
本発明の炎症性筋疾患鑑別マーカーを選択するための検体は、研究目的での使用に書面で同意が得られ、国立精神・神経医療研究センター(東京、日本)に送られた炎症性筋疾患患者100名及び非炎症性筋疾患患者50名の血液から得られた凍結保存血漿を対象にした。表1に筋疾患患者150例についての検体情報を示す。
Figure 2016153736
2.炎症性筋疾患鑑別マーカーの単離
各炎症性筋疾患患者と非炎症性筋疾患患者の血漿について、Bio-Plex Pro Human Cytokine Group I Panel 27-Plex in Bio-Plex 200 system(Bio-Rad社)を用いて27種類のサイトカイン濃度を測定した。測定方法については、添付のプロトコルに従った。具体的には、既定の希釈液で血漿を4倍希釈し、ウェル内で各種サイトカインに対する抗体と結合したビーズ(2種の蛍光色素とその量比によって識別可能)と反応させた。その後、ビオチン標識検出用抗体、次いで蛍光標識ストレプトビオチンと反応させレポーターとした。赤色レーザー(635 nm)によってビーズを標識している蛍光色素を励起させ、それを検出することでサイトカインの種類を識別し、また緑色レーザー(525 nm)によって励起させたレポーターの蛍光強度を測定し、検量線(標準曲線)をもとに各サイトカインの濃度を算定した。ここでは一検体に対し二重測定を行い、その平均値を解析した。
3.結果
表2、図1及び図2に示すように、IP-10及びエオタキシンの血漿中濃度が各炎症性筋疾患において非炎症性筋疾患群より統計学的に有意に高値を示した(P<0.01)。
Figure 2016153736
**=P<0.01、***=P<0.001(hMDとの比較)
単位pg/mL.中央値.()内は10パーセンタイル及び90パーセンタイル.
IP-10及びエオタキシンについて炎症性筋疾患を識別するマーカーとしての有用性をROC曲線で評価すると、ROC曲線下面積は、IP-10では0.96(95%信頼区間: 0.92-0.99, P < 0.0001)、エオタキシンでは0.88(95%信頼区間: 0.81-0.94, P < 0.0001)といずれも高水準であった(図3及び図4)。IP-10は、感度91%、特異度90%(カットオフ値: 650 pg/ml)であり、エオタキシンは、感度75%、特異度90%であった(カットオフ値: 75 pg/ml)。

Claims (12)

  1. インターフェロンγ誘導タンパク質10若しくはエオタキシン、又はそのペプチド断片からなり、炎症性筋疾患を鑑別することを特徴とする炎症性筋疾患鑑別マーカー。
  2. インターフェロンγ誘導タンパク質10が以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質である、請求項1に記載の炎症性筋疾患鑑別マーカー。
    (a)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつインターフェロンγ誘導タンパク質10の活性を有するタンパク質、及び
    (c)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインターフェロンγ誘導タンパク質10の活性を有するタンパク質
  3. エオタキシンが以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質である、請求項1に記載の炎症性筋疾患鑑別マーカー。
    (a)配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b)配列番号3で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつエオタキシンの活性を有するタンパク質、及び
    (c)配列番号3で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつエオタキシンの活性を有するタンパク質
  4. インターフェロンγ誘導タンパク質10遺伝子若しくはエオタキシン遺伝子の転写産物、又はその核酸断片からなり、炎症性筋疾患を鑑別することを特徴とする炎症性筋疾患鑑別マーカー。
  5. インターフェロンγ誘導タンパク質10遺伝子が以下の(a)〜(d)のいずれかの遺伝子である、請求項4に記載の炎症性筋疾患鑑別マーカー。
    (a)配列番号2で示される塩基配列からなる遺伝子、
    (b)配列番号2で示される塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、かつインターフェロンγ誘導タンパク質10の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
    (c)配列番号2で示される塩基配列に対して90%以上の塩基同一性を有する塩基配列からなり、かつインターフェロンγ誘導タンパク質10の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、及び
    (d)配列番号2に示す塩基配列に相補的な塩基配列の一部と高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなり、かつインターフェロンγ誘導タンパク質10の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
  6. エオタキシン遺伝子が以下の(a)〜(d)のいずれかの遺伝子である、請求項4に記載の炎症性筋疾患鑑別マーカー。
    (a)配列番号4で示される塩基配列からなる遺伝子、
    (b)配列番号4で示される塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、かつエオタキシンの活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
    (c)配列番号4で示される塩基配列に対して90%以上の塩基同一性を有する塩基配列からなり、かつエオタキシンの活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、及び
    (d)配列番号4に示す塩基配列に相補的な塩基配列の一部と高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなり、かつエオタキシンの活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の炎症性筋疾患鑑別マーカーを特異的に認識する抗体を少なくとも一つ含む炎症性筋疾患鑑別キット。
  8. 炎症性筋疾患を鑑別する方法であって、
    筋疾患に罹患している被験体から採取された試料の単位量あたりに含まれる炎症性筋疾患鑑別マーカーの量を測定してその測定値を得る測定工程、
    前記測定工程で得られた被験体の測定値を、非炎症性筋疾患の個体群から採取された試料の単位量あたりに含まれる前記炎症性筋疾患鑑別マーカーの測定値と比較したときに、
    (1)被験体の測定値が前記個体群の測定値よりも統計学的に有意に高い場合、又は
    (2)被験体の測定値が前記個体群の測定値におけるカットオフ値よりも高い場合に
    被験体は炎症性筋疾患に罹患していると判定する比較判定工程を含み、
    前記炎症性筋疾患鑑別マーカーがインターフェロンγ誘導タンパク質10若しくはエオタキシン、又はそのペプチド断片からなる、前記炎症性筋疾患の鑑別方法。
  9. インターフェロンγ誘導タンパク質10が以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質である、請求項8に記載の炎症性筋疾患の鑑別方法。
    (a)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつインターフェロンγ誘導タンパク質10の活性を有するタンパク質、及び
    (c)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインターフェロンγ誘導タンパク質10の活性を有するタンパク質
  10. エオタキシンが以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質である、請求項8に記載の炎症性筋疾患の鑑別方法。
    (a)配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b)配列番号3で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつエオタキシンの活性を有するタンパク質、及び
    (c)配列番号3で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつエオタキシンの活性を有するタンパク質
  11. 前記カットオフ値が90パーセンタイルである、請求項8〜10のいずれか一項に記載の炎症性筋疾患の鑑別方法。
  12. 前記試料が血漿である、請求項8〜11のいずれか一項に記載の炎症性筋疾患の鑑別方法。
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