JP2016148766A - 電子写真感光体、その検査方法および電子写真感光体を備えた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
次いで、露光手段から画像情報に応じて照射されるレーザ光などの光によって露光し、静電潜像を形成する。
形成されたトナー画像を、転写手段によって感光体の表面から記録紙などの転写材上に転写し、定着手段によって定着させることにより画像が形成される。
このような感光体表面の残留トナーおよび付着紙粉などの異物は、形成される画像の品質に悪影響を及ぼすので、クリーニング装置によって除去される。
この方法では、感光体表面をクリーニングした後、除電器などによって感光層表面を除電し、残っていた静電潜像が消失される。
電子写真感光体としては、無機系の光導電性材料や有機系の光導電性材料(以下、有機光導電体:Organic Photoconductor (OPC))が挙げられるが、近年の研究開発により、有機系感光体の感度および耐久性が向上したため、現在では有機系感光体がよく用いられている。
更に印画画像品質の向上のために、導電性基体と感光層の間に下引き層を設けることも行われている。
そこで本発明では、電気特性の悪化を招く分散剤を含むにもかかわらず、長期にわたって安定な感光体電気特性を有する電子写真感光体を提供することを課題とする。
該電子写真感光体の最表面層が、少なくともポリテトラフルオロエチレンエチレン粒子を含み、該最表面層の熱脱着ガスクロマトグラフィーを用いる残存溶剤量の分析による積分強度比較において、前記最表面層を形成するための塗工液に主溶剤として使用したテトラヒドロフラン含有2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールの積分強度に対して、副溶剤として用いた沸点100〜160℃を有する高沸点溶剤を合わせた積分強度比10〜70%含むことを特徴とする電子写真感光体が提供される。
このような高沸点溶剤としては、例えば、メチルイソブチルケトン、酢酸n−ブチル、酢酸s−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、シクロヘキサノン、トルエン、o−キシレン、m−キシレンおよびp−キシレン、N,N−ジメチルホルムアミドを単独で、あるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。
上記のフッ素含有共重合体としては、フッ素系主鎖にマトリックス相溶性側鎖を配したフッ素系グラフトポリマー、例えば、東亞合成社製GF-400;フッ素系セグメントと相溶性セグメントを交互に配したブロック共重合タイプ、例えば、日油社製F-200;相溶性樹脂にフッ素系樹脂がペンダントとしてぶら下がったオリゴマータイプ、例えば、大日本インキ社製F-561等が挙げられる。
したがって、前記の本発明による電子写真感光体の最表面層が含むPTFE粒子用分散剤としては、上記のフッ素含有共重合および上記の高沸点溶剤のいずれかを含有する分散剤が挙げられる。
本発明による電子写真感光体最表面層の作製時における乾燥条件が、BHTに対する高沸点溶剤の含有率の合計が10%未満となるような高温の熱処理あるいは長時間の熱処理は、感光体の他の成分劣化をも引き起こすため好ましくない。
沸点100℃未満の有機溶剤については、分散剤の、良溶媒および保存安定性の点で適当ではなく、十分な微粒子の分散性が得られない結果となる。
したがって、沸点100〜160℃を有する溶剤を更に副溶剤として、表面層用塗液として、THFとともに使用することは、上記分散剤と高沸点溶剤の親和性が優れることから、更に良好な分散性を保持するために好ましい。
また、160℃より沸点の高い溶剤の使用については、実質上の感光体乾燥温度より明らかに沸点が高温となるため、乾燥後の溶剤の残存量が甚だ多くなるため、感光体電気特性への影響が著しく悪化することとなる。
すなわち、当該分析時に設定される200℃以下で検出(脱着)される高沸点溶剤は、感光体系中である程度のクラスターサイズで含有されているものと推測される。
他方、これら溶剤には、その他に単分子状に完全に系中に溶解している溶剤成分も存在すると思われる。したがって、系に元々添加した量ではなく、本発明により規定される脱着した溶剤分子量が、感光体の電気的な安定性に寄与していると推測される。
図1は、本発明の実施の形態1に係る電子写真感光体の構成を示す模式断面図である。
この実施の形態1に係る電子写真感光体1(以下、感光体1とも称する)は、導電性材料から成る円筒状の導電性基体11上に、下引き層15、ならびに電荷発生物質を含有する電荷発生層12および電荷輸送物質を含有する電荷輸送層13がこの順で積層された感光層14から構成された積層型感光体である。
導電性基体11は、感光体1の電極としての役割を果たすとともに、その上に配置される層、すなわち下引き層15および感光層14の支持部材としても機能する。
なお導電性基体11の形状は、この実施形態1では円筒状であるけれども、これに限定されることなく円柱状、シート状または無端ベルト状などであってもよい。
これらの導電性材料は所定の形状に加工されて使用される。
しかしながら、導電性基体11の表面に上記のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することもできる。
導電性基体11と感光層14との間に下引き層15がない場合、導電性基体11または感光層14の欠陥に起因して微小な領域での帯電性の低下が生じ、黒ぽちなどの画像のかぶりが発生し、著しい画像欠陥を生じることがある。下引き層15を設けることによって、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止することができる。
この下引き層15には、各種樹脂材料から成る樹脂層またはアルマイト層などが用いられる。
好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、2−ナイロンおよび12−ナイロンなどの、いわゆるナイロン、ならびにN−アルコキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂などを挙げることができる。
下引き層15に前記の金属酸化物微粒子などの粒子を含有させる場合には、例えば前記の樹脂を適当な溶剤に溶解させて得られる樹脂溶液中に、酸化チタン等の金属酸化物微粒子を分散させて下引き層用塗工液を調製し、この塗工液を導電性基体11の表面に塗布することによって下引き層15を形成することができる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
また、微小空隙中に上記分散液を超高圧で通過させることによって発生する非常に強いせん断力を利用したメディアレスタイプの分散装置を利用することによってより、安定な分散塗液を製造することが可能となる。
これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、塗工液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面上に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗工液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗工液分散装置を設けてもよい。
下引き層15の膜厚が0.01μmよりも薄いと、導電性基体11の凸凹を被覆して均一な表面性を得ることができず、実質的に下引き層15として機能せず、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止できずに、感光層14の帯電性の低下が生じるので好ましくない。
したがって、下引き層15の膜厚の好適な範囲を、0.01〜20μmが好ましい。
電荷発生層12は、光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質を主成分として含有する。
上記の電荷発生物質としては、有機系顔料を含む有機系光導電性材料および無機顔料を含む無機系光導電性材料が挙げられる。
また、上記無機系光導電性材料としては、セレンおよびその合金、ヒ素-セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン、その他の無機光導電体が挙げられる。
これらの中でも、結着剤である結着樹脂を溶剤中に混合して得られる結着樹脂溶液中に、電荷発生物質を従来公知の方法によって分散して電荷発生層用塗工液を調製し、得られた塗工液を導電性基体11の表面に塗布する方法が好適に用いられる。以下、この方法について説明する。
結着樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂を結着樹脂として使用することができる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
前記比率W1/W2が10/100未満であると、感光体1の感度が低下し易い。
したがって、前記比率W1/W2の好適な範囲を、10/100〜400/100であるのが好ましい。
粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超音波分散機などを挙げることができる。
また、電荷発生物質を結着樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカー、ボールミルおよびサンドミルなどを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器および分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
これらの塗布方法のうちから、塗布の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を選択することができる。
これらの塗布方法の中でも、特に前記の下引き層の塗布方法で述べた浸漬塗布法が好ましい。
電荷発生層12の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収による電荷発生効率が低下し、感光体1の感度が低下する。
逆に、電荷発生層12の膜厚が5μmを超えると、光の吸収効率が低下する上に、電荷発生層12内部での電荷移動が感光層14の表面電荷を消去する過程の律速段階となり、感光体1の感度が低下する。
したがって、電荷発生層12の膜厚の好適な範囲を、0.05〜5μmが好ましい。
電荷発生層12上には電荷輸送層13が設けられる。電荷輸送層13は、電荷発生層12に含まれる電荷発生物質が発生した電荷を受入れ、これを輸送する電荷輸送物質と、電荷輸送物質を結着させる結着樹脂とを含んで構成される。
その他に、第2成分として、例えばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂およびこれらを構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、ならびにポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂およびフェノール樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂は単独で使用してもよく、また、2種以上の混合物を使用してもよい。
なお、上記の主成分とは、ポリカーボネート樹脂の重量%が、電荷輸送層を構成する総結着樹脂中で最も高い割合を占めることを意味し、より好ましくは50〜90重量%の範囲であることを意味する。
また、電荷輸送層における電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、重量比で10/18〜10/10の範囲が好ましい。
フィラー粒子には、大別して、有機系フィラー粒子と金属酸化物を中心とする無機系フィラー粒子がある。
電荷輸送層13の耐摩耗性を向上させるための機械的特性の観点からは、フィラー粒子として硬度が比較的高い金属酸化物を用いるほうが有利である場合が多い。
すなわち、電荷輸送層13内での比誘電率が、有機感光体の平均的な比誘電率(εr)≒3より著しく大きい(たとえば、εr>10)フィラー粒子を用いると、電荷輸送層13における誘電率が不均一となって電気特性に弊害が生じると考えられる。
よって、電荷輸送層13に添加するフィラー粒子としては、有機系フィラー粒子の方が、一般に比誘電率が高い金属酸化物より有利である。
また、感光体の最外層に潤滑性を付与することを目的とする場合には、フッ素微粒子のような材料の選択が有利となる。
フィラー粒子の添加量が1wt%未満の場合は、フィラーとしての機能を果たさず耐刷性の向上がみられない。
また40wt%を超える場合は、絶縁性のフィラー微粒子の添加による弊害として、感光体としての電気特性が悪化し、十分な画像濃度を得られず、また、画質欠陥が発生し、実使用上問題となる。
また、微小空隙中に上記分散液を超高圧で通過させることによって発生する非常に強いせん断力を利用したメディアレスタイプの分散装置を利用することによってより、安定な分散塗液を製造することもできる。
また、上記レベリング剤としては、たとえばシリコーン系レベリング剤などを挙げることができる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
電荷輸送層13の膜厚が5μm未満であると、帯電保持能が低下し、鮮明な画像が得られ難くなるので好ましくない。
また、電荷輸送層13の膜厚が40μmを超えると、感光体1の解像度が低下する。
したがって、電荷輸送層13の膜厚の好適な範囲は、5〜40μmである。
また感光層14の各層12および13には、酸化防止剤または紫外線吸収剤などを添加してもよい。特に電荷輸送層13には、酸化防止剤または紫外線吸収剤などを添加することが好ましく、各層を塗布によって形成する際の塗工液の安定性を高めることができる。さらに、電荷輸送層13には、酸化防止剤を添加するのが特に好ましい。この酸化防止剤の電荷輸送層への添加により、オゾン、窒素酸化物などの酸化性ガスに対する感光層の劣化を低減することができる。
また、必要に応じて、表面保護層を設ける場合もある。
上記の実施の形態1では、感光層14が電荷発生層12と電荷輸送層13とで構成される積層型感光層の形態を説明したが、図2に示すように、感光層14が、電荷発生物質および電荷輸送層の両方を含む単一層、すなわち単層型感光層の形態であってもよい。
すなわち、感光体1が、導電性材料から成る円筒状の導電性基体11と、導電性基体11の外周面上に積層される層であって電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する感光層14で形成されてもよい。
また、図3に示すように、電荷輸送層13が複数の層で形成されてもよい。
すなわち、電荷輸送層が、異なる電荷輸送層13Aおよび13Bらなる2層が積層されて形成され、ポリテトラフルオロエチレン粒子が、最表面の電荷輸送層13Bに添加された形態を示している。つまり、図3では、電荷輸送層13は、第1電荷輸送層13Aと第2電荷輸送層13Bとで構成され、第1電荷輸送層13Aの電荷輸送物質の含有量と第2電荷輸送層13Bの含有量とが異なるように形成され、第2電荷輸送層13Bがポリテトラフルオロエチレン粒子を含有する形態が示されている。
このように、複数の層が積層されて電荷輸送層13が構成される場合、電荷輸送層13の表面側の層にポリテトラフルオロエチレン粒子が含有されるとよい。
図4は、本発明による画像形成装置30の構成を示す模式断面図である。
本発明による画像形成装置は、図4に示す画像形成装置の構成に限定されるものではなく、本発明による感光体を使用することができるものであれば、モノクロ、カラーを問わず、電子写真プロセスを利用する種々のプリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機などであり得る。
以下図4を参照して本発明の実施の形態1の感光体1を搭載するレーザプリンタ30の構成および画像形成動作について説明する。
なお図4に記載のレーザプリンタ30は、本発明の画像形成装置の1つの例示であり、以下の記載内容によって本発明の画像形成装置が限定されるものではない。
なお、上記の半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34およびミラー35は、露光手段49を構成する。
また、コロナ帯電器36は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられ、感光体1の表面を均一に帯電させる。したがって、レーザビーム33が、均一に帯電された感光体1表面を露光することにより、レーザビーム33によって露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯電量とに差異が生じて前記の静電潜像が形成される。
中間層の作製
酸化チタン(商品名:タイベークTTO−D−1、石原産業株式会社製)3重量部および市販のポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製)2重量部を、メチルアルコール25重量部に加え、ペイントシェーカーにて8時間分散処理し、中間層形成用塗工液3Kgを調製した。得られた中間層用塗工液を塗布槽に満たし、導電性支持体として直径30mm、長さ357mmのアルミニウム製のドラム状支持体を浸漬した後引き上げ、膜厚1μmの中間層を形成した。
次いで、電荷発生物質としてCuKα 1.541ÅのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が、27.3°に主要なピークを示すX線回折スペクトルを有するチタニルフタロシアニン1重量部およびバインダ樹脂としてブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−2、積水化学工業株式会社製)1重量部をメチルエチルケトン98重量部に混合し、ペイントシェーカーにて8時間分散処理して電荷発生層形成用塗工液3リットルを調製した。
得られた電荷発生層形成用塗工液を、下引き層形成の場合と同様の方法で先に設けた下引き層表面に塗布し、自然乾燥して膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
この電荷輸送層形成用塗工液を浸漬法により、先に設けた電荷発生層表面に塗布し、130℃で1時間乾燥して膜厚28μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、図1に示す積層型感光体を作製した。
実施例1と同様に、中間層、および電荷発生層を作成した。その後、同電荷輸送層形成用塗工液用の溶剤として、テトラヒドロフラン934重量部およびトルエン233重量部、すなわち、24重量%のトルエン含有テトラヒドロフラン溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2の感光体を作成した。
実施例1と同様に、中間層、および電荷発生層を作成した。その後、同電荷輸送層形成用塗工液用の溶剤として、テトラヒドロフラン1050重量部およびトルエン117重量部、すなわち、11重量%のトルエン含有テトラヒドロフラン溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3の感光体を作成した。
実施例1と同様に、中間層、および電荷発生層を作成した。その後、同電荷輸送層形成用塗工液用の溶剤として、テトラヒドロフラン1167重量部のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の感光体を作成した。
実施例1と同様に、中間層、および電荷発生層を作成した。その後、同電荷輸送層形成用塗工液用の溶剤として、テトラヒドロフラン1120重量部およびトルエン47重量部、すなわち、4重量%のトルエン含有テトラヒドロフラン溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例5の感光体を作成した。
実施例1と同様に、中間層、および電荷発生層を作成した。その後、同電荷輸送層形成用塗工液用の溶剤として、テトラヒドロフラン700重量部およびトルエン467重量部、すなわち、40重量%のトルエン含有テトラヒドロフラン溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例6の感光体を作成した。
電荷輸送層中にPTFE微粒子および分散剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして感光体を作成した。
実施例1と同様に、中間層、および電荷発生層を作成した。その後、同電荷輸送層形成用塗工液用の溶剤として、テトラヒドロフラン584重量部、トルエン583重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例2の感光体を作成した。
実施例1と同様に、中間層、および電荷発生層を作成した。その後、同電荷輸送層形成用塗工液を浸漬法により、先に設けた電荷発生層表面に塗布し、110℃で1時間乾燥して膜厚28μmの電荷輸送層を形成した。
実施例1と同様に、中間層、および電荷発生層を作成した。その後、同電荷輸送層形成用塗工液を浸漬法により、先に設けた電荷発生層表面に塗布し、150℃で1時間乾燥して膜厚28μmの電荷輸送層を形成した。
実施例4と同様に、中間層、および電荷発生層を作成した。その後、同電荷輸送層形成用塗工液を浸漬法により、先に設けた電荷発生層表面に塗布し、150℃で1時間乾燥して膜厚28μmの電荷輸送層を形成した。
1.高沸点溶剤残留量評価
本発明における熱脱着ガスクロマトグラフィーは、基準物質となるBHTの沸点以下であり、かつ、高沸点溶剤の沸点以上での熱脱着条件を選定した。すなわち、感光層から剥離し切り取った表面層を試料とし、フロンティアラボ社製EGA−PY 3030Dを用いて昇温条件を180℃〜200℃に設定して熱脱着した後、一旦液体窒素温度(-193℃)でトラップし、その後段に配した40℃〜180℃昇温条件に設定したアジレントテクノロジー社製7890A GCシステムおよび5975Cマス検出システムにて残留高沸点溶剤およびBHTを検出・解析した。
得られた感光体に対して、デジタル複写機(商品名:MX−2600、シャープ株式会社製)を改造した試験用複写機に実施例/比較例で作成した感光体を搭載し、画像形成工程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(TRECJAPAN社製、model344)を設けて、各感光体の電気特性および画質を評価した。尚、光源は、波長780nmのレーザ光を使用した。
VG: 初期VLが−100V以上であり100k枚実写後の変動幅ΔVLが20V以下である。
G:初期VLが−100V以上であり100k枚実写後の変動幅ΔVLが20Vより大きく40V以下である。
NB:初期VLが−100V以上であり100k枚実写後の変動幅ΔVLが40Vより大きく70V以下である。
B:初期VLが−100未満である、または100k枚実写後の変動幅ΔVLが70Vより大きい。
感光体を100k枚実写後、無地画像を10枚プリントし、そのハードコピーA3版1枚当たりの、黒ポチ発生の周期性が感光体の周期と一致し、かつ目視可能な直径0.4mm以上の黒ポチの個数を計測し、その結果を次の基準で判定した。
VG:全てのハードコピーで画像欠陥の発生頻度が3個/枚以下で良好。
G:全てのハードコピーで画像欠陥の発生頻度が4〜7個/枚であるが実用上問題なし。
NB:全てのハードコピーで画像欠陥の発生頻度が8〜10個/枚であるが実用可能なレベル。
B:画像欠陥の発生頻度が11個/枚以上のハードコピーが1枚以上あり、実用上問題あり。
実写評価前および、100k枚実写後の感光体膜厚の変化を、渦電流式膜厚計(フィッシャー社製)を用いて測定し、複写機上の感光体100k回転あたりの膜べり量に換算して評価した。
VG:改良レベル非常に良好(膜べり量が0.5μm/100k回転未満)
G:改良レベル良好(膜べり量が0.5以上0.8μm/100k回転未満)
NB:改良が見られる(膜べり量が0.8以上1.0μm/100k回未満)
B:改良が見られない(膜べり量が1.0μm以上)
実施例1〜6および比較例2〜5について、用いた電荷輸送層用の塗工液中の4フッ化エチレン樹脂粒子の分散状態の安定性(分散安定性)を、レーザ回折式粒度分布測定装置(マイクロトラックMT−3000II、日機装社製)を用いて評価した。
具体的には、各塗工液を分散終了後、直ちにサンプル管(50ml)中に40ml移しとり、恒温保管庫(20℃)で3ヶ月静置保管後の凝集粒子の凝集粒子径(メジアン径;D50)を測定した。
VG:非常に良好である(凝集粒子径<0.8μm)。
G:良好である(0.8≦凝集粒子径<1.5μm)。
NB:実使用可能なレベルである(1.5≦凝集粒子径<4.0μm)。
B:実使用不可である(4.0μm≦凝集粒子径)。
以上の“2”から“4”の項目を総合評価して下記のとおりに分類した。
VG:各項目とも悪くてもGであり、実使用上全く問題なく非常に良好。
G:1項目が悪くてもNBであり、実使用上問題なく良好。
NB:2項目以上のNBがあるがBはなく、実使用可能。
B:1項目以上のBがあり、実使用が困難。
すなわち、熱脱着クロマトグラフィーのBHTに対する高沸点溶剤を合計した積分強度比が、10〜70%の範囲にある実施例1〜6で得られた感光体は、評価試験において安定した電気特性の推移を示した。またその中でも、BHTに対する積分強度比が40%以下である実施例2、更には20%以下である実施例3についてはより安定した推移を示した。
また、塗液としての分散安定性に着目すると、高沸点溶剤の添加量に依存して、分散粒子が比較的安定な小粒子径を維持できていることが確認された。
11 導電性基体
12 電荷発生層
13,13A,13B 電荷輸送層
14 感光層
15 下引き層(中間層)
30 レーザプリンタ(画像形成装置)
31 半導体レーザ
32 回転多面鏡
34 結像レンズ
35 ミラー
36 コロナ帯電器
37 現像器
38 転写紙カセット
39 給紙ローラ
40 レジストローラ
41 転写帯電器
42 分離帯電器
43 搬送ベルト
44 定着器
45 排紙トレイ
46 クリーナ
47 矢符
48 転写紙
49 露光手段
50 除電器
Claims (7)
- 導電性基体上に、少なくとも電荷発生物質を含む電荷発生層および電荷輸送物質を含む電荷輸送層がこの順で積層された積層型感光層、または導電性基体上に電荷発生物質および電荷輸送物質を含む単層型感光層が積層された電子写真感光体であって、
該電子写真感光体の最表面層が、少なくともポリテトラフルオロエチレンエチレン粒子を含み、該最表面層の、熱脱着ガスクロマトグラフィーを用いる残存溶剤量の分析による積分強度比較において、前記最表面層を形成するための塗工液に主溶剤として使用したテトラヒドロフラン含有2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールの積分強度に対して、副溶剤として用いた沸点100〜160℃を有する高沸点溶剤を合わせた積分強度比10〜70%含むことを特徴とする電子写真感光体。 - 前記熱脱着ガスクロマトグラフィーによる残存溶剤量の分析が、熱脱着温度200℃以下による残存溶剤量の積分強度比較による分析である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記熱脱着ガスクロマトグラフィーによる残存溶剤量の分析において、前記最表面層が、高沸点溶剤を合わせた積分強度比10〜40%を含む請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 前記熱脱着ガスクロマトグラフィーによる残存溶剤量の分析において、前記最表面層が、高沸点溶剤を合わせた積分強度比10〜20%を含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
- 電荷輸送物質、結着樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤および0〜45重量%のトルエン含有テトラヒドロフラン溶液を含むことを特徴とする前記請求項1〜4のいずれか1つに記載の高沸点溶剤を含有する電子写真感光体を製造するための電荷輸送層用塗工液。
- 電荷輸送物質、結着樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤および0〜45重量%のトルエン含有テトラヒドロフラン溶液を含む電荷輸送層用塗工液を用いることを特徴とする、前記請求項1〜4のいずれか1つに記載の高沸点溶剤を含有する電子写真感光体の製造方法。
- 前記請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着する定着手段を備える画像形成装置。
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