従って、構造上製造時に確実に通気性を得られるようにする優れた通気性特性を持つ靴を提供することが本発明の目的である。また、可変的な製造方法を許容する通気性靴を提供することも、本発明の目的である。このような状況において、優れた通気性特性を有する通気性靴の製造を単純化できるようにするソール組立体など靴の半製品を提供することも、本発明の目的である。
本発明の第一形態によれば、請求項1の特徴に従った靴が提供される。
特に、本発明の1つの形態において、足を取り囲む外側材料を有する上側部分と少なくとも1つの通気性層を有する下側部分とを備える上側組立体と、底部と換気コンテナ要素の内部空間を形成するように前記底部を取り囲む側壁とを有する換気コンテナ要素と換気コンテナ要素の内部空間の中に配置された空気の流れの通過を許容するフィラー構造体または材料とを備えるソールと、を備える靴が提供される。換気コンテナ要素は、上側組立体の下方に配置され、これに取り付けられる。
本発明に係わる靴は、靴内部から靴外部への水蒸気の効果的移転を許容する。フィラー構造体または材料(本明細書においてはフィラーとも呼ぶ)は、空気がフィラー構造体を通過して流れるようにし、従って、足の裏面から上側組立体の下側部分の通気性層を通過して換気コンテナ要素への水蒸気の排出を容易にする。水蒸気は、換気コンテナ要素を通過して外へ導かれる。従って、特に静止環境例えば座っているときまたは立っているときフィラー構造体または材料において空気の流れが可能なので、高度な水蒸気排出が得られる。この流れは、着用者が歩行またはランニングしているとき靴の動きによって強化できる。歩行またはランニング時には2つの有利な効果が生じ、各々が、主に足取りサイクル(gait cycle)の2つの相すなわち実際の立脚相(actual stance phase)と実際のステップの間の靴スイング相(shoes swing phase)の一方と結びつく。靴のスイング相において、換気コンテナ要素の中へまたは外へフィラー構造体または材料を通過する空気の流れが生じる。歩行またはランニング時のソールの曲がり及びこれに加えて立脚相における換気コンテナ要素及びフィラー構造体または材料に対する着用者の体重加重も、フィラー構造体または材料内部の空気の流れを生じさせる。換気コンテナ要素から押し出された空気は、空気と一緒に靴の内部から水蒸気を持ち去る。換気コンテナ要素の中へ戻ってくる周囲空気は水蒸気を再びチャージできる。
さらに、換気コンテナ要素は、多様な方法で靴の製造に役立つ。換気コンテナ要素は、さらなるソール要素及び上側組立体を取り付けることができる構造を確立するという点で、靴の要となる。換気コンテナ要素は、ソール並びに上側組立体の多様な実施形態を組み合わせて靴を形成できるようにする。その結合構造体が換気コンテナ要素の結合構造体に適合する限り、換気コンテナ要素の周りに多様な実施形態を製造できる。換気コンテナ要素は、フィラー構造体または材料を含めて、靴の下側部分の通気性のコアを提供する。さらなるソール要素を容易にかつ最小限の制約で追加できる。さらなるソール要素が換気コンテナ要素と靴の外部との間の空気の流通を許容する限り、高度な通気性特性を持つ靴を簡単に製造できる。また、換気コンテナ要素は、靴のソールの実質的に一部または全部を形成できる。
さらなる利点は、換気コンテナ要素が靴にとって本来的に安定したコア構造を形成し、これによって、フィラー構造体または材料並びに換気コンテナ要素が埋め込まれるさらなるソール要素の安定性要件並びに上側組立体の安定性要件が減少する。従って、例えば1つまたはそれ以上のさらなるソール要素を、地面との静止摩擦がより大きく安定性の小さい材料で作ることができる。
さらなる利点は、換気コンテナ要素が明瞭な輪郭の内部空間を与えることである。従って、換気コンテナ要素の寸法に合致しかつ空気の流れの通過を許容する多様なフィラー構造体または材料を選択または設計できる。この多様な設計は、様々な安定性またはクッション性または通気すなわち空気の流れの要件など様々な靴の要件に適合でき、靴の残りの構造を変更することなく通気性の靴に含めることができる。従って、空気の流れの通過を許容するフィラー構造体または材料のコンテナとして換気コンテナ要素を設置することによって、製造における高い柔軟性が確保される。フィラー構造体または材料は不連続とすることができ、これを保持するハウジングまたはコンテナが必要である。換気コンテナ要素は、さらに、鋭い突出物など外部の影響からフィラー構造体または材料を保護する。換気コンテナ要素が換気コンテナ要素に付けて成形されたさらなるソール要素で取り囲まれる場合、または換気コンテナ要素が換気コンテナ要素に付けて成形された材料を介して靴の上側組立体に取り付けられた場合、換気コンテナ要素は、成形材料の浸透からフィラー構造体または材料を保護する役割も果たせる。
上側組立体の下側部分は、概して靴の使用時に着用者の足の周りに配される構造体の下側部分を意味する。外側材料など特定の靴要素と上側組立体の上側部分または下側部分との関連付けは、これらの特定の要素の延長範囲によって下側部分及び上側部分の延長範囲を定義することを意図しない。上側部分及び下側部分と言う用語は使用者の足の周りの袋の部分を意味するものであり、下側部分は必ずしも上側組立体の最も下の要素とは解釈されない。
ソールは、完成体とするか、または上側組立体及び/または換気コンテナ要素への取付け時に例えば射出成形によって形成できる。
通気性材料と言う用語は、水蒸気透過性の材料を意味する。また空気透過性でもありうる。特定の実施形態において、上側組立体の下側部分の通気性層は防水性かつ通気性であるが、空気透過性ではない。通気性層を、薄膜または機能層とすることができ、これらの用語は本明細書において交換可能に使用される。
換気コンテナ要素と言う用語は、換気コンテナ要素が靴の換気のための能動的、自己推進的機構を備えることを示唆するものではない。換気コンテナ要素の構造は、静止環境において及び特に靴の使用時の着用者の運動によって換気コンテナ要素及びその内部の通風または換気を許容する。従って、換気コンテナ要素は、換気されるコンテナ要素とも呼べる。ただし、本発明は、本発明の特定の構造に加えて自己推進ポンプなど能動的機構の存在を除外するものではないことを明白に指摘しておく。
コンテナ要素は、空気の流れの通過を許容するフィラー構造体または材料を受け入れるための槽を形成する。フィラー構造体または材料の寸法は、実質的に換気コンテナ要素の内部空間の寸法に一致できる。フィラー構造体または材料は、取付けなしに換気コンテナ要素の中に配置できる。すなわち、換気コンテナ要素の中へ固定せずに納めることができる。ただし、フィラー構造体または材料を例えば点状糊付けによって換気コンテナ要素に取り付けることも可能である。換気コンテナ要素とフィラー構造体または材料は、元来は別個の実体であり、一緒に、空気の流れの通過を許容する靴の通気性下側部分を形成する。
さらなる実施形態によれば、換気コンテナ要素は、少なくともその一部において特に少なくともその最上部において、上側組立体の下側部分より小さい外周を有する。特定の実施形態において、換気コンテナ要素は、その垂直延長範囲全体に沿って、上側組立体の下側部分より小さい外周を有する。この構造は、換気コンテナ要素とソールとの間の効率の良い機能分布を許容する。換気コンテナ要素は、主に、靴の通気性及び空気の流れの要件及びたぶん安定性の要件を中心にして設計され、換気コンテナ要素の周りに配置される周囲ソール要素は、靴の外面について与えられる摩滅要件及び/または安定性に従って設計できる。
靴は三次元物体なので、換気コンテナ要素は、フィラー構造体または材料を保持する槽または桶として見ることもできる三次元コンテナを形成する。換気コンテナ要素の側壁は、下から見ると実質的に着用者の足底の輪郭に沿うが、足底の輪郭より多少小さくすることができる。ただし、換気コンテナ要素は、着用者の足底の下面の一部のみに延在することもできる。特定の靴の特定の要件に従って、換気コンテナ要素の底部及び側壁は、地面に対して一定ではない高さで配置できる。側壁は、その外周に沿って一定ではない高さを持つこともできる。例えば、着用者の踵を着用者の足先より高い位置に定めて、換気コンテナ要素の側壁が足先エリアより踵エリアにおいてより大きい高さを持つようにすることができる。
別の実施形態によれば、換気コンテナ要素は、接着剤によって上側組立体に取り付けられる。特に、換気コンテナ要素は、上側組立体に糊付けできる。または、換気コンテナ要素を特にシュトローベルまたはジグザグ縫いで上側組立体に縫い付けることができる。特に、換気コンテナ要素は、上側組立体の下側部分だけに取り付けることができる。糊付けまたは縫い付けによって、換気コンテナ要素と上側組立体の間の信頼できる取付け及び固定が得られる。従って、その後の製造のために取り扱いの便利な半製品が単一ピースとして与えられる。
別の実施形態によれば、換気コンテナ要素は、上側組立体及び換気コンテナ要素の部品に付けて成形された材料によって上側組立体に取り付けられる。成形は、射出成形または鋳造が可能である。成形と言う用語は、射出成形、鋳造などを含むものとする。また、射出成形と言う用語が使用される場合、鋳造も同様に選択できる。特定の製造作業の特定の要件に応じてこれらの及び他の形成方法のいずれでも使用できることが当業者には明らかであろう。成形によって、換気コンテナ要素と上側組立体との間特に換気コンテナ要素と上側組立体の下側部分との間に強力な取付けが与えられる。このような成形は、上側組立体の下側部分と換気コンテナ要素内部との間にシールを与え、かつ/または上側組立体のさらなる要素の間特に後に述べるように底部機能層ラミネートと甲部機能層ラミネート(upper functional layer laminate)との間にシールを与えることができる。靴の内部と換気コンテナ要素の内部との間の水蒸気透過性特性を保護するために処置を講じる必要なく、さらなる成形ステップにおいて、周囲ソール要素を付けることができる。ただし、糊付け/縫い付けによってまた型内での与圧配置によって上側組立体の要素と換気コンテナ要素を相互に対して固定位置に維持して、単一成形ステップを使用して、周囲ソール要素を換気コンテナ要素及び上側組立体に取り付けて、周囲ソール要素を同時に形成することも可能である。
別の実施形態によれば、換気コンテナ要素は、さらに、換気コンテナ要素の外周上縁付近に配置されたカラーを備える。好ましくは、このカラーは、換気コンテナ要素から上向きすなわち垂直(これを含む)と側方外向きすなわち水平(これを含む)との間の方法に突出する。特定の実施形態によれば、換気コンテナ要素は、側壁の上端部に配置され実質的に側壁から側方外向きへ延びるカラーを備える。カラーは、換気コンテナ要素を上側組立体に取り付けるための手段を提供する。この取付けは、上側組立体と換気コンテナ要素を工場内で1つの製造ステーションから次のステーションへ簡単に移送できる1つのユニットとして取り扱うので、靴の製造時に有利である。さらに/または、カラーは、周囲ソール材または糊に対するバリアを与える。このようにして、例えば周囲ソール要素の射出成形時にこの周囲ソール材を所定の位置に維持するか、または糊が換気コンテナ要素内部に浸透しないようにできる。カラーは、特にシュトローベル縫いまたはジグザグ縫いで上側組立体の下側部分に縫い付けできる。カラーは、上側組立体の下側部分に糊付けまたは射出成形することもできる。
別の実施形態において、換気コンテナ要素は、カラー区分を備える。これらのカラー区分は、部分的取付け及び/またはシールのために設置できる。カラー区分は、カラーに関して上に説明したように換気コンテナ要素に配置できる。特定の実施形態において、換気コンテナ要素は、踵エリアの外周上縁付近に第一カラー区分を、また足先エリアの外周上縁付近に第二カラー区分を備える。第一カラー区分及び第二カラー区分は、換気コンテナ要素の上面から垂直に上向きに延びることができる。
別の実施形態によれば、上側組立体は、上側組立体の上側部分及び下側部分を覆って延びる防水・通気性機能層配列体を備える。機能層配列体は、1つ、2つまたはそれ以上の機能層ピース(薄膜ピースとも呼ぶ)から構成できる。2つまたはそれ以上の薄膜ピースが存在する場合、薄膜ピースは並べて(ある程度の重なりを持つことが考えられる)配列され、接合され、一緒にシールされて、防水・通気性機能層配列体を形成する。機能層配列体は、着用者の足を取り囲む上側組立体の内部形状と実質的に同様の形状を持つ。薄膜ピースは、各々、1つまたはそれ以上の布地層と積層して、機能層配列体を1つ、2つまたはそれ以上の機能層ラミネートの配列体とすることができる。
特定の実施形態によれば、上側組立体の上側部分は、防水・通気性甲部機能層ラミネートと接合された通気性外側材料を備える。特定の実施形態において、上側組立体の下側部分は、防水・通気性底部機能層ラミネートを備え、このラミネートは、前記通気性層を備え、底部機能層ラミネートの側面端部エリアと甲部機能層ラミネートの下端部エリアは相互に接合され、この接合部において防水シールが与えられる。底部機能層ラミネートと甲部機能層ラミネートは、防水・通気性機能層配列体を形成する。この防水・通気性上側組立体は、足を収容する靴の内部への水の進入に対して優れた保護を与えながら、上側組立体並びに換気コンテナ要素の高い通気性を保証する。接続部が防水式にシールされた甲部機能層ラミネートと底部機能層ラミネートから成る防水性上側組立体は、外部から靴の中へ水が進入しないようにするので、着用者は、どのような湿った条件でも例えば雨、ぬかるみまたは雪の環境においても足を濡らさない。上側組立体は、着用者の足の周りの防水性袋を形成して、着用者の足を360度防水する。すなわち、着用者の足を完全に(当然着用者の足を受け入れる靴の開口部を除いて)取り囲む。特に、防水・通気性甲部機能層ラミネートは、水が外側材料を通過して外部から靴の中へ進入しないようにする。同時に、上側部分が通気性であり、従って、靴内部から外部へ水蒸気を移送するのを助ける。水蒸気は、上側組立体の上側部分並びに上側組立体の下側部分を介して換気コンテナ要素を通過して上側組立体の外へ効果的に運び去ることができる。従って、高度な水蒸気排出が得られる。
別の実施形態によれば、底部機能層ラミネートの側面端部エリアと甲部機能層ラミネートの下端部エリアは、縫い付けによって相互に接合される。
特定の実施形態において、前記防水シールは、少なくとも接合部において上側組立体に成形または射出された材料によって与えられるか、防水シールはソールを上側組立体に取り付けるために塗布された糊によって与えられるか、または防水シールは、シームテープによって与えられる。防水シールを与えるこれらの選択肢の各々及びこれらの選択肢の任意の組み合わせは、2つのラミネートの間を密封できるようにしかつ全体的に防水性の上側組立品を提供できるようにする。特定の実施形態において、射出材料をソール材料とすることができる。
特定の実施形態において、換気コンテナ要素は、靴の外周に対して底部機能層ラミネートの側面端部エリアと甲部機能層ラミネートの下端部エリアとの間の接続部の内側に配置できる。言い換えると、換気コンテナ要素は、接続部から靴の中央へ向かってある程度の距離を置いて配置される。この実施形態は、射出または成形された材料が機能層ラミネートの間の接続部に達して、これをシールするようにする。ラミネートの間の接続部と換気コンテナ要素の側壁との間に2.5mm特に3mmの距離がある場合、容認できるシールが得られる。
甲部機能層ラミネート及び底部機能層ラミネートの寸法は、上側組立体の上側部分及び下側部分の寸法と別個のものとすることができる。例えば、甲部機能層ラミネートは着用者の足底に関連する上側組立体の実質的に水平部分まで延びるのに対して、上側組立体の下側部分は靴の側壁まで延びることができる。言い換えると、上側組立体の下側部分は、上側組立体の下側領域に位置する任意の部分である。
別の実施形態において、水蒸気透過性薄膜または機能層は、上側組立体の下側部分の一部とせずに、換気コンテナ要素の上に配置できる。このような薄膜は、例えば接着剤を用いて換気コンテナ要素に取り付け、かつ/または例えばシュトローベルステッチに含めることによって換気コンテナ要素と一緒に上側組立体に取り付けることができる。薄膜は、換気コンテナ要素に直接隣接する必要はない。すなわち、その間に1つまたは数個の層を配置できる。
別の実施形態によれば、換気コンテナ要素は、その側壁及び/または底部に開口部を備える。このようにして、換気コンテナ要素は、フィラー構造体または材料と換気コンテナ要素外部との間の空気の流通を許容する。言い換えると、換気コンテナ要素の内部と外部との間の空気の流通が得られる。開口部は、フィラー構造体または材料と靴の外部すなわち周囲空気との間の空気の流通を確立するように、周囲ソール構造体の通路に合わせて作ることができる。従って、靴の内部から環境への水蒸気排出が、空気の排出と一緒に行われる。開口部は、レーザー、穿孔または例えば熱い針による穿刺または壁材料のその他の熱による除去によって作ることができる。また、開口部は、換気コンテナ要素を成形する際に型のピンによって成形できる。このような空気流通用の開口部は、当然可能であるが、予製造換気コンテナ要素において存在する必要はない。開口部は、その後の製造ステップにおいて穿孔、レーザー加工または穿刺及び/または例えば換気コンテナ要素の壁を貫通して熱い針をフィラー構造体または材料の中まで刺すことによって溶融できる。周囲ソール要素の通路についても、同じ製造の選択肢が適用される。
さらに/または、換気コンテナ要素は、少なくとも部分的に、空気の流れの通過を許容する材料例えば多孔性材料で作ることができる。
別の実施形態によれば、フィラー構造体または材料は不連続である。別の実施形態によれば、フィラーは、球形の多数のフィラー要素例えばフィラーボールを備える。このようなフィラー要素は、コンテナ要素によって受け入れられる。フィラー要素自体は、空気の流れまたは水蒸気の通過を許容しない材料で作ることができる。しかし、フィラー要素がその間に空隙を持つと、空気の流れの通過を従って水蒸気の移送を許容する全体的構造が形成できる。フィラー要素は、その安定性及び快適さ特性に基づいて選択できる。フィラー構造体を通過する空気の流れは、フィラー要素のサイズを調節することによって調節できる。
別の実施形態によれば、フィラー構造体または材料は、開放性または多孔性であり、特に、三次元スペーサとして形成される。三次元スペーサは、フィラー構造体または材料がその下及びその上に位置する層の間特に上側組立体の下側部分と換気コンテナ要素の底との間の間隔を維持するように構成できる。このようにして、フィラー構造体または材料を通過する空気の流れが保持される。特に、このようなスペーサ構造体または材料は、空気の流れの抵抗を非常に小さくしながら、換気コンテナ要素とスペーサ構造体または材料の結合体の安定性を保証できる。別の実施形態において、スペーサ構造体または材料は、少なくとも部分的に弾性であるように作られる。これにより、スペーサ構造体または材料がクッション性及び足取りサイクルの立脚相におけるより容易なローリングプロセスを可能にするので、靴の歩行の快適さが増す。別の実施形態において、スペーサ構造体または材料は、対応する靴のサイズに対応する靴使用者の予想最大重量による最大応力のとき、スペーサ構造体がたとえ最大応力時でもスペーサ構造体または材料の空気の流れのかなりの部分が保持される範囲でしか弾性的に降伏しないように、設計される。スペーサは、例えばポリエステル、ポリオレフィンまたはポリアミドなどの材料で作ることができる。
別の実施形態において、空気透過性スペーサは、第一支持面を形成するフラット構造体と、フラット構造体から直角及び/または0〜90°の角度に延びる多数のスペーサ要素とを有する。フラット構造体から離れたスペーサ要素の終端部は、一緒に1つの表面を形成し、これによって、フラット構造体の反対側を向く第二支持面を形成できる。別の実施形態において、スペーサのスペーサ要素はノブとして設計され、ノブの自由端は一緒に上記の第二支持面を形成する。別の実施形態において、スペーサは、相互に平行に配列された2つのフラット構造体を有し、2つのフラット構造体は、これを通過するまたはその間の空気の流れを許容しにかつフラット構造体を相互に離間して保持するように、スペーサ要素を介して相互に接合される。フラット構造体の各々は、スペーサの2つの支持面の一方を形成する。全てのスペーサ要素は、スペーサ構造体の表面全体に亘って2つの支持面を等間隔にするために同じ長さである必要はない。特殊な応用の場合、解剖学的に足に適合する表面を形成するように、スペーサがその表面に沿って異なるゾーンまたは異なる場所において異なる厚みを持つことが有利な可能性がある。スペーサ要素は、別個にすなわち2つの支持面の間で相互に接合せずに形成できる。ただし、スペーサ要素を2つの支持面の間で当接させる可能性、及び例えば接着剤によってまたは加熱によって接着性になる材料など相互に溶接できる材料からスペーサ要素を構成することによって当接部の少なくともいくつかにおいてスペーサ要素を接合することも可能である。スペーサ要素を、より複雑な構造例えばトラスまたは格子のロッド形またはねじ形の個々の要素または区分とすることができる。スペーサ要素は、ジグザグにまたは二次元格子形に相互に接続することもできる。別の実施形態において、スペーサ構造体または材料は、実質的に相互に平行に配列された2つの空気透過性フラット構造体によって形成され、2つの構造体は、相互に接合され、これを通過する及びその間の空気の流れを許容するようにモノフィラメントまたはマルチフィラメントによって相互に離間される。
別の実施形態によれば、フィラー構造体は、少なくともその一部において、流路構造体を備える。流路構造体は、換気コンテナ要素の開口部の少なくとも1つと流通する。特に、換気コンテナ要素の全ての開口部は、流路構造体と空気を流通できる。流路構造体は、上側組立体の下側部分の下面と換気コンテナ要素の側壁及び/または底部の少なくとも一部との間の分散的空気接続を許容する。水蒸気は、靴内部から上側組立体の下側部分の通気性層を通過して換気コンテナ要素の内部に設置された流路構造体へ流動できる。フィラーの流路構造体と換気コンテナ要素の外部との間の空気の流通は、換気コンテナ要素の開口部を介してまたは換気コンテナ要素の材料によって確立されて、水蒸気は、換気コンテナ要素から出る空気の流れと一緒に外部へすなわち上側組立体の下側部分を取り囲む環境へ流動できる。流路構造体を備えるフィラーは、水蒸気透過性のまたは水蒸気透過性ではない材料で形成できる。流路構造体は、少なくともフィラーの上面に形成できる。
別の実施形態によれば、前記流路構造体は前記フィラーの中に形成され、前記フィラーは側壁を備え、流路構造体は複数の流路を備える。流路は、横断方向または長手方向の流路である。流路の少なくともいくつかは、空気及び湿気排出口を備える。流路の少なくとも1つは、周辺流路、すなわちフィラーの周辺または外周に(ただし側壁内部に)ある流路である。この周辺流路は複数の他の流路と交差する。流路及び側壁は機能柱を形成する。機能柱の上面表面積(Ap)対流路構造体の流路の上面表面積(Ac)の比は、0.5〜5.0である。
周辺流路は、閉鎖的すなわちフィラーの外周全体に沿って走る必要はない。第一の種類の機能柱は、流路によって例えば2本の横断流路及び周辺流路の左部分及び右部分によってまたは2本の横断流路、1本の長手流路及び1本の周辺流路によってまたは2本の横断流路及び2本の長手流路によって完全に取り囲まれる。第二の種類の機能柱は、側壁の内側端によって及び側壁の内側端に最も近接する流路部分によって取り囲まれたフィラーのそれぞれの上側部分によって形成される。この第二の種類の機能柱は、例えば、靴の長手方向へ2本の隣り合う横断流路の間で靴の長手方向へ、及び側壁の内側端と周辺流路の隣接する部分との間で横断方向へ延びることができる。側壁は、側壁の外面と、側壁の外面に最も近接する流路壁または流路端または流路口の間に引かれた想像上の線との間に延びる。側壁は、厚みを持つまたは耐荷性である必要はない。側壁は換気コンテナ要素に対するフィラーの境界線を与える。
流路構造体は、フィラーの上または上部に、すなわち上側組立体の下側部分に面する上面から始まってフィラーの中へある程度下へ延びるように形成できる。流路構造体は、フィラー全体にまたはフィラーのその他の任意の部分に形成することもできる。
空気及び湿気排出口は、フィラーの側壁を貫通する開口部によってフィラーの外部に接続されるので、空気は、フィラーの流路構造体からフィラーの外部へまたはその逆に通過できる。また、開口部は、換気コンテナ要素の開口部を介してまたは換気コンテナ要素の多孔性材料を介して換気コンテナ要素の外部と空気を流通できる。
流路構造体によって形成される機能柱は、足の裏面によってフィラー構造体に加えられる圧力を適切に配分すると言う第一の目的、及び機能柱の周りに効率の良い空気及び湿気収集及び移送流路構造体を形成してより良く換気できるようにするという第二の目的に役立つ。
さらに、上述のような流路構造体を有するフィラーは、優れた屈曲特性及び耐磨耗性を有する。フィラーは、特に1回の成形ステップで簡単に製造でき、フィラーの中に流路構造体を含むフィラーの外側形状を型によって形成できる。フィラーは鋳造、射出成形または加硫加工できる。
柱の上面表面積対流路の上面表面積の比を0.8〜5.0にすることによって、快適さ、耐久性、支持及び圧力分散特性と換気効果との間の優れた妥協が得られる。
流路網に関する多くの形態及び実施形態について以上においても以下においてもフィラー構造体に関連して説明するが、本明細書において説明する実施形態及び利点は、換気コンテナ要素と流路網を有するフィラーの組み合わせに同様に関係する。この場合、フィラー構造体の「側壁」は、換気コンテナ要素の側壁によって実現できる。
別の実施形態によれば、機能柱の上面表面積対流路の上面表面積の比は、1.0〜3.0、特に1.4〜2.2である。
発明者は、着用者にとって優れた快適さを導く支持及び圧力分布特性と換気との間の特に優れた妥協は、柱によって形成された上面表面積が流路によって形成された上面表面積に等しいかこれより大きいときに得られることを発見した。特に優れた妥協は、この比率が1.0〜3.0、特に1.4〜2.2のときに得られる。
この関係は、極端な例を見るとよりよく理解できる。快適さの点から見ると、フィラー構造体にまったく流路がないのが望ましい。換気の観点から見ると、流路構造体によって生成されるフィラー構造体の中の開放空間ができる限り大きくなければならない。
他方、流路の幅は任意ではない。流路が狭すぎると空気及び湿気を充分に収集して移送できないので、狭すぎる流路は適切ではない。広すぎる流路の場合、着用者が柱の縁を感じるので、快適ではない。流路が広くなればなるほど、その縁はその上の層特に機能層に痕跡を与える。
これらのことを全て考慮に入れて、本出願の発明者は、上述の比率が特に有利であることを発見した。
本発明の別の実施形態によれば、機能柱は、4ミリの最小上縁長さを有する。全ての縁は、長手方向にも横断方向にも少なくとも4ミリの長さを持たなければならない。
本発明の別の実施形態によれば、前記流路の側面端部の少なくともいくつかは、空気及び湿気排出口として形成される。
流路はフィラーの形状に従うことができる。横断流路の少なくとも底面は、横断流路の主方向においてみたとき、実質的に水平とすることができる。この場合、流路の深さは、フィラー全体で変動する。別の実施形態において、横断流路の底面は、フィラーの中心へ向かって下向きに傾斜する。流路は、フィラーの外部へ向かって下向きに傾斜することも可能である。
本発明の別の実施形態によれば、フィラー構造体の上面における流路の幅は、2〜5ミリメートル、特に2〜3.5ミリメートルである。
本発明の別の実施形態によれば、流路構造体は、第一流路幅を持つ第一部分と、第二流路幅を持つ第二部分とを有する。異なる流路幅を持つ部分を備えることによって、これらの部分に生じる異なる屈曲条件に合わせることができる。
本発明の別の実施形態において、異なる流路幅を有するこれらの部分を足の踵部分及び/または足先部分特に足先の指丘部分の下に配置できる。
本発明の1つの実施形態によれば、このような特殊な部分における流路幅は、流路構造体の他の部分における流路幅より小さくできる。
本発明の別の実施形態によれば、能動的に空気及び湿気を外部へ移動させる効果を高めるために、足先部における隣り合う横断流路の間の距離は踵部におけるより小さくできる。フィラー構造体の足先部分において生じる屈曲は踵部分より大きい。さらに、足は、例えば踵領域におけるより足先部分においてより多くの汗を発する。屈曲によって流路の断面は減少し、再び広がって、それによって流路から空気を押し出す。足先部分により高い横断流路密度を与えることによって、このような能動的効果を増大でき、それによってさらに換気効果を改良できる。
流路の形状は様々な種類にすることができる。本発明の別の実施形態によれば、流路は流路壁と流路底を備え、流路壁間の距離は、断面図で見て、上向きに増大する。このような流路形式は、優れた空気及び湿気の収集及び移送機能を与える。
本発明の別の実施形態によれば、流路底は、実質的に水平平面として形成される。このような特徴を備えることによって、流路は、断面図で見て、基本的に二等辺台形特に二等辺台形の形状を持つ。
本発明の別の実施形態によれば、実質的に水平の流路底と流路壁との間に、傾斜した底部移行面が設置される。
本発明の別の実施形態において、断面図で見たとき、流路底は丸味のある凹形を持ち、流路にU字形を与える。
流路は、鋭角を有する角または縁など鋭い角及び/または縁を持たないように形成できる。流路底の実施形態において90度の角度がないため、空気及び湿気は、長方形の流路の場合のように、空気/湿気の移動が行えないどの角においても空気及び湿気をトラップすると言うことはない。
上述の流路形式はどれも、例えばV字形流路の場合のように例えば破損など機械的故障を生じにくい。さらに、単純なV字形チャネルに比較した流路底の幅によって、ずっと多くの空気及び湿気を取り込むことができる。
鋭い縁は、生成された摩擦及び乱流のために空気の流れを減少し、ソールのクラック及び故障を誘発する。これは、特に、流路の交差部において言える。好ましい実施形態において、流路の少なくとも垂直縁は丸められ、好ましくは、0.25〜5mmの半径を持つ。
別の実施形態において、流路/柱最上部の水平縁を丸めて、好ましくは0.5〜5mmの半径を持つことができる。これによって、フィラーの上方の靴の層への痕跡を小さくし、着用者にとってより快適にする。
本発明の別の実施形態によれば、フィラー構造体の前部から後部へ延びる1つの連続的周辺流路が設置される。このような単一の連続的周辺流路によって、空気及び湿気の優れた収集及び移送が得られる。
別の実施形態によれば、フィラー構造体の異なる部分に延びる少なくとも2つの連続的周辺流路が設置される。この周辺流路は、相互に交差するかまたは相互に分離して形成できる。少なくとも2つの周辺流路を備えることによって、同様に、空気及び湿気の優れた収集及び移送機能が得られる。
本発明の別の実施形態によれば、周辺流路は、フィラー構造体の前部から後部へ見て、ジグザグに走る。このようにジグザグ形の周辺流路を使用することによって、空気及び湿気排出口への空気及び湿気の特に効率の良い移送が得られる。
周辺流路のジグザグ形は、空気及び湿気排出口のすぐ内側の位置において、ジグザグ周辺流路の外側点が、端部が空気及び湿気排出口として形成される横断流路と交差できるようにする。
相互に異なる流路の配列体である流路構造体は、全体として、好ましい実施形態において、フィラー構造体の内部から最も近い空気及び湿気排出口まで水の分子が移動しなければならない最大長さが60mmであるようなものである。
本発明の別の実施形態によれば、空気及び湿気排出口は、他の流路部に比べてより大きな深さを持ち、さらに/代わりにより広くすることができる。従って、空気及び湿気排出口は充分な空気及び湿気を受け取って、これをさらに外へ向かって移動できる。
換気コンテナ要素の側壁の空気流通開口部を例えば穿孔またはレーザー加工または穿刺及び/または例えば熱い針による溶融によって製造する際、口の深さの増大または拡大は、開口部を換気コンテナ要素の流路網に接続する工程をもっとずっと信頼でき、安全で、容易なものにし、特に薄膜またはラミネートが流路構造体の上方に配置される場合より安全にする。
本発明の別の実施形態によれば、フィラー構造体の上面は、支持される足の裏面を収容するように、前部が低く及び後部が高い湾曲形である。フィラー構造体の形状は、解剖学的靴型の形状に従う。靴型は、人間工学的にフィラー構造体によって支持される足に合わせて設計される。
流路は、フィラー構造体の形状に従うか、または横断流路の少なくとも底面を実質的に平行にできる。この場合、流路深さはフィラー構造体全体で変動する。別の実施形態において、横断流路の底面はフィラー構造体の中心へ向かって下向きに傾斜する。
靴を軽量にするために、低密度例えば0.35g/cm3の密度のポリウレタン(PU)をフィラー構造体に使用することが好ましい。
さらに、フィラー構造体にポリエチレン(PE)ベースでPUを使用することが好ましい。
さらに、緩衝のためにフィラー構造体に硬すぎない材料を使用することが好ましい。従って、ショアA硬度38〜45のポリウレタン材料が、フィラー材料として好ましい。ショア硬度は、硬度計テストによって測定する。ポリウレタンの一点に力を加え、それによって力が窪みを作る。窪みが消えるまでの時間を測定する。
本発明の別の実施形態おいて、流路の深さは20mm未満、好ましくは3〜10mmである。これによって、靴の着用者が歩行する際ローリング運動を体験しないようにする。ローリング運動は、着用者が感じる快適さに悪影響があり、また機能柱に対する傾斜トルクを生じて、時間を経過すると機能柱の破損を生じる可能性がある。
流路構造体によって形成された機能柱は、様々なサイズ、特に長さ、深さ及び表面積を持つことができ、このサイズは、フィラー構造体の表面全体に亘って変動しうる。
機能柱は、また、平面図で見て様々な形状例えば長方形、三角形または丸い形状を持つことができる。
発明者は、流路の深さと上方の上側組立体に面する機能柱の表面積との間には関係があることを発見した。流路の深さが小さければそれだけ表面積を小さくできる。機能柱の表面積の典型的値は0.6〜1cm2である。
別の実施形態によれば、ソールは、少なくとも1つのさらなるソール要素を備える。さらなるソール要素の例は、周囲ソール要素(その実施形態については下に詳細に説明する)、アウトソール(表底)要素(その実施形態についても下に詳細に説明する)、ソールコンフォート層などである。概して、ソールは、換気コンテナ要素及びフィラー構造体または材料からのみ構成するか、またはこれら2つの要素以外の要素を備えることができる。
別の実施形態によれば、前記少なくとも1つのさらなるソール要素は、前記換気コンテナ要素を少なくとも側面において取り囲む周囲ソール要素を備え、周囲ソール要素は、換気コンテナ要素とソールの外部すなわち周囲空気との間の空気の流通を許容する少なくとも1つの通路を有する。このようにして、周囲ソール要素は、任意の所望の形状及び寸法に例えば換気コンテナ要素を完全に取り囲むように設計でき、ソールの中の空気の流れは維持される。言い換えると、周囲ソール要素に少なくとも1つの通路を設置することによって、ソールが周囲空気と換気コンテナ要素の内部すなわちフィラー構造体または材料との間の空気の流通及び空気の流れを可能にするために、換気コンテナ要素のどの部分も環境に対して露出させる必要がない。このような通路は、ソールの型の中のピンによりまたはレーザー加工、穿孔、例えば熱い針による穿刺またはソール材料のその他の熱による除去により生成できる。別の実施形態において、周囲ソール要素は、空気の流れの通過を許容するように、多孔性とすることができる。周囲ソール要素は、換気コンテナ要素及び上側組立体に取り付けできる。
特定の実施形態において、前記周囲ソール要素は、換気コンテナ要素の側壁全体の周りに形成できる。ただし、前記集イコール要素を、換気コンテナ要素の側壁の一部の周りにのみ形成することも可能である。または/さらに、ソールは、換気コンテナ要素の底部の下に1つの層を形成できる。特定の実施形態において、前記周囲ソール要素は、前記換気コンテナ要素を少なくとも側面において取り囲み、前記上側組立体及び前記換気コンテナ要素の側壁に取り付けられる。
靴は、換気コンテナ要素及び周囲ソール要素を通過して水蒸気を排出できるように、着用者の足の下に通気性部分を配置できるようにする。
靴は、上述のように上側組立体、換気コンテナ要素及びフィラー構造体または材料を備える半製品から、少ない数の加工ステップで製造できる。換気コンテナ要素及びこれに収容されたフィラー構造体が提供される場合、通気性に関する構造的要件及びこれに取り付けられるさらなるソール要素の安定性に関する材料要件は、最小限に抑えられる。
別の実施形態によれば、周囲ソール要素の少なくとも1つの通路は、換気コンテナ要素の側壁及び/または底部の開口部と流通する。特定の実施形態において、各通路は、換気コンテナ要素の側壁及び/または底部のそれぞれの開口部と流通する。
別の実施形態によれば、周囲ソール要素の中の少なくとも1つの通路は、少なくとも1つの側面通路特に複数の側面通路を備える。特に静止環境において例えば座っているときまたは立っているとき側面通路及び換気コンテナ要素において空気の流れを生じることができるので、高度な水蒸気排出が得られる。この流れは茶羽陽者が歩いているときまたは走っているとき靴の動きによって強化される。歩行またはランニング運動(各々、主に足取りサイクルの2つの相すなわち実際の立脚相及び実際のステップの間の靴スイング相の一方と関連する)において2つの有利な効果が生じる。靴スイング相において、少なくとも1つの側面通路を通過して換気コンテナ要素を出入りする空気の流れが発生する。側面通路は、このような空気の流れを中で発生させるのに非常に適する。これは、特に、歩行運動の全ての相において側面通路の外側端部が環境と空気を流通でき、常に空気排出と一緒に水蒸気排出できるからである。歩行またはランニング運動時のソールの屈曲及び立脚相において換気コンテナ要素(フィラー構造体または材料を備える)に対して加えられる着用者の体重は、換気コンテナ要素及び前記少なくとも1つの通路内において空気の流れを生じさせる。換気コンテナ要素から押し出された空気は、一緒に靴の内部から水蒸気を運ぶ。換気コンテナ要素へ戻ってくる周囲空気にその後水蒸気を再びチャージできる。
側面通路は、ソールのどこにでも配置できる。特に、ソール後部(踵部)及び/または前部(爪先部)に配置できる。これによって、歩行時のソールのローリング運動によって、水蒸気を含んだ空気をより簡単にフィラー構造体を通過して側面通路から外へ押し出すことができる。
別の実施形態によれば、換気コンテナ要素は、その底部に開口部を備えない。同様に、別の実施形態によれば、周囲ソール要素は、換気コンテナ要素の下方に延びる場合、周囲ソール要素の底面から周囲ソール要素を通過して換気コンテナ要素の底部まで延びる垂直通路を備えない。垂直通路も換気コンテナ要素の底部の開口部も持たないことによって、ソール設計が高い柔軟性を持つことができ、特に、足裏面全体にわたって安定した防水性及び水蒸気非透過性ソール層を提供できる。これによって、ソールの耐荷をソールの面積全体に配分でき、より堅くない材料を使用できるので、着用者に優れた快適さを与えることができる。このようなソールは垂直孔を持つソールより均等に感じられるので、使用者にとってより快適である。さらなる利点は、ソール下面へのごみ/土/泥/砂の蓄積が、靴の水蒸気排出能力を損なわないことである。側面通路は、多様な使用状況において特に非常に不利な使用環境において、靴の通気性を保証する。ただし、空気の流れを生じるために、ソールが少なくとも1つの側面通路に加えてまたはその代わりに少なくとも1つの垂直通路を備えることも可能である。垂直通路は、換気コンテナ要素下方の周囲ソール要素にまたは換気コンテナ要素下方に設置されたアウトソール要素に設置できる。
別の実施形態によれば、換気コンテナ要素とフィラー構造体の結合体の上面は、支持される足の裏面を収容するように、解剖学的形状を持ち、前部が低く、後部が高い。
別の実施形態によれば、水蒸気透過性コンフォート層が、前記換気コンテナ要素と前記フィラー構造体または材料の結合体の少なくとも一部の上に設置される。特に、コンフォート層は、フィラー構造体または材料の上にのみ設置できる。また、前記換気コンテナ要素の上に設置して、換気コンテナ要素の側壁の間のフィラー構造体または材料の上面を被覆できる。
特定の実施形態によれば、コンフォート層は、フィラー構造体または材料より大きい側方延長範囲を有し、特にフィラー構造体または材料から0.5mm〜2mm突出し、特にフィラー構造体または材料から約1mm突出する。コンフォート層は、換気コンテナ要素及び/またはその中に配置されたフィラー構造体の凸凹の上面を補正するために設置できる。フィラー構造体または材料は空気の流れの通過を許容するので、フィラー構造体または材料及び/または換気コンテナ要素とフィラー構造体または材料の結合体は、異質のまたはむらのある構造を持つ可能性がある。特に、流路網または流路格子は、フィラー構造体の表面に交互に空隙とソリッド材料の部分を生じる可能性がある。コンフォート層は、これらの非等質の部分によって靴の着用者に生じる可能性のある不快さを大幅に減少するかこれを防止できる。水蒸気透過性コンフォート層は、着用者に非常に快適でかつ使用時にこれに加えられる荷重及び力に耐えることができる任意の適切な材料で作ることができる。代表的な材料は連続気泡ポリウレタンである。例えば、材料は、中国のJin Chen Plastic社のPOLIPORT(商標)である。1つの実施形態によれば、フィラー構造体の上にコンポート層を組み立てる前に、コンポート層の材料に機械的圧力を与えて、例えば2mmから1mmの厚さへ圧迫する。これは、材料をよりコンパクトにし、それによって、吸収される水の量を減少するために行われる。これは、材料が真菌などの成長を促すスポンジとして作用するのを防止する。
水蒸気透過性コンポート層は、前記換気コンテナ要素及び/または前記フィラー構造体または材料の上に、特に点状または外周糊付けによってまたは通気性接着剤による表面全体の糊付けによって、取り付けることができる。フィラー構造体の上面に囲繞された流路を形成できるので、フィラー構造体の空気の流れ特性は、点状糊付けまたは表面全体の糊付けによって強化できる。
別の実施形態によれば、前記コンフォート層は、軟質の上側表面/上面と換気コンテナ要素に面する硬質の下側表面/下面とを有する。硬質の下面は、不織布合成繊維から作り、上面は発泡ポリウレタンから作ることができる。コンポート層は2つの別個の層で構成できる。また、コンフォート層を軟質の上面と堅いまたは曲げ剛性の下面とを持つ単一の積層コンフォート層とすることができる。下層は比較的堅いまたは硬いので、コンフォート層がフィラー構造体の流路構造体の中へ1mmを超えて押し入れられるのを防止できる。堅さまたは曲げ剛性は、例えば、布地に関するドイツ規格DIN53864において定義される。このようにして、コンフォート層特性は、所望のとおりに保持され、コンフォート層は、靴の使用期間において非常に耐久性がある。軟質の上側層は、着用者の足に対して非常に快適なソールの感覚を与えることができる。本発明の1つの実施形態において、軟質の上側層は、山と谷との間の距離が0.1mm以下の滑らかな方面を持つ。
特定の実施形態において、コンフォート層の上側層と下側層の両方は、ポリエステルで作られる。上側層と下側層はホットメルト接着剤で接合できる。特定の実施形態において、上側層及び下側層の材料特性は以下のとおりである。堅い下側層は以下の特性を有する。すなわち、400N/5cm〜700N/5cm(UNI EN 29073/3)特に500N/5cm〜600N/5cmの長さ方向の引っ張り強さ及び500N/5cm〜800N/5cm(UNI EN 29073/3)特に600N/5cm〜700N/5cmの横引っ張り強さ。軟質の上側層は以下の特性を有する。すなわち、50N/5cm〜200N/5cm(UNI EN 29073/3)特に100N/5cm〜150N/5cmの長さ方向及び横方向の引っ張り強さ。
別の実施形態において、コンフォート層は、2.0mm以下の厚み、重量で45%未満の水吸収力及び5000g/m2/24時超え好ましくは約8000g/qm/24時の透湿度(MVTR)を有する。1つの実施形態において、コンフォート層の上に通気性防水層特に機能層または薄膜を設置できる。コンフォート層と薄膜の結合体は、2000g/m2/24時超え好ましくは約4500g/m2/24時のMVTRを有する。MVTRは、DIN EN ISO 15496において説明される酢酸カリウムテストに従って測定した。
別の実施形態によれば、前記換気コンテナ要素の下面は、アウトソールの少なくとも一部を形成する。特に、前記周囲ソール要素及び前記換気コンテナ要素の下面は、アウトソールの少なくとも一部を形成できる。前記換気コンテナ要素の下面は、周囲ソール要素の下面に比べて高い位置に配置できる。
別の実施形態によれば、周囲ソール要素は、第一ポリウレタンで構成され、フィラー構造体または材料は第二ポリウレタンで構成され、第二ポリウレタンは第一ポリウレタンより軟らかい。特に、前記第二ポリウレタンは、ショアA値35〜45を有する。このようにして、フィラー構造体または材料は硬すぎることなく、優れた緩衝特性を与えることができる。周囲ソール要素及びフィラー構造体または材料を同じポリウレタンで構成することも可能である。ショア硬度は硬度計テストによって測定される。ポリウレタンの一点に力が加えられ、それによって力は窪みを形成する。その後、窪みが消えるまでの時間を測定する。
別の実施形態によれば、前記少なくとも1つのさらなるソール要素は、アウトソールの少なくとも一部を形成するアウトソール要素を備え、前記アウトソール要素は、少なくとも前記換気コンテナ要素の下方に配置される。付加的なソール要素は、必ずしも換気コンテナ要素に直接隣接して配置されない。例えば、付加的ソールコンフォート層などさらなる層を間に配置できる。アウトソール要素は、前記周囲ソール要素及び前記換気コンテナ要素の下方に配置できる。
別の実施形態によれば、前記周囲ソール要素は、前記換気コンテナ要素の下方に延びる。特に、前記周囲ソール要素は、アウトソールの少なくとも一部を形成できる。または/さらに、前記少なくとも1つのさらなるソール要素は、アウトソールの少なくとも一部を形成しかつ前記周囲ソール要素の下方に配置されるアウトソール要素を備える。アウトソール要素は、必ずしも周囲ソール要素に直接隣接して配置されない。例えば、付加的ソールコンフォート層などさらなる層を間に配置できる。
別の実施形態によれば、前記換気コンテナ要素の下方の前記周囲ソール要素の部分において支持部材が形成される。支持部材は、前記周囲ソール要素を通過して実質的に垂直に延びる。また、支持部材は、前記換気コンテナ要素の下方に配置されたアウトソール要素にも形成できる。
別の実施形態によれば、前記ソールは、接着剤によって上側組立体に取り付けられる。すなわち上側組立体に糊付けされる。または前記ソールは上側組立体に対して成形または射出成形される。特定の実施形態によれば、ソールと上側組立体の間の取付けは、周囲ソール要素を少なくとも換気コンテナ要素及び上側組立体に付けて成形することによって行われる。
本発明の第二形態によれば、請求項38に記載のソール組立体が提供される。
特に、本発明の1つの形態によれば、底部と換気コンテナ要素の内部空間を形成するように前記底部を取り囲む側壁とを有する換気コンテナ要素と、換気コンテナ要素の内部空間に配置された空気の流れの通過を許容するフィラー構造体または材料と、を備える靴用のソール組立体が提供される。
本発明に係わるソール組立体は、前記ソール組立体を備える靴の外へ効果的に水蒸気を移送できるようにする。フィラー構造体または材料は、空気がこれを通過して流れられるようにし、従って、足の裏面から靴のソールを通過する水蒸気の排出を容易にする。靴の上側組立体が通気性下側部分を備えることを前提条件として、水蒸気は、靴内部から、通気性下側部分を通過し、フィラー構造体または材料を通過し、換気コンテナ要素を通過して、かつ存在する場合には周囲ソール要素を通過して排出される。上述の空気の流れ及び水蒸気排出に関する詳細は、同様にソール組立体に適用される。従って、ソール組立体は、通気性の靴を提供できるようにする。
本発明に係わるソール組立体は、多様な方法で靴を製造するのに役立つ換気コンテナ要素を持つ明瞭な輪郭の半製品を提供できるようにする。換気コンテナ要素を含むソール組立体は、靴の完成品を得るために多くの選択肢を許容しながら高度に通気性の靴を得るための上側組立体の要件を低く抑える構造上の土台として使用できる。上述のように、換気コンテナ要素は、ソール組立体の残り部分及び上側組立体が取り付けられる構造を確立すると言う点で靴の要である。換気コンテナ要素は、ソール要素並びに上側組立体の様々な実施形態を組み合わせて靴を形成できるようにする。ソール組立体において換気コンテナ要素及び空気の流れの通過を許容するフィラー構造体または材料を結合することは、高い安定性を保証し、厳しい安定性基準を満たす必要なく多様な上側組立体をこのソール組立体と組み合わせることができる。ソール組立体は様々な高度に通気性の靴を製造できるようにする土台を形成する。
前記換気コンテナ要素は、靴のソールの側方延長全体を横切ってまたはその部分を横切って延在できる。
特定の実施形態において、ソール組立体は、さらに、前記換気コンテナ要素を少なくとも側面において取り囲む周囲ソール要素を備え、周囲ソール要素は、換気コンテナ要素とソール外部との間の空気の流通を許容する少なくとも1つの通路を持つか、または前記周囲ソール要素は多孔性である。
別の実施形態において、ソール組立体は、さらに前記フィラー構造体または材料の上に設置された水蒸気透過性コンフォート層を備える。
別の実施形態において、ソール組立体は、さらに、前記フィラー構造体または材料の上方特に前記コンフォート層の上に設置された通気性防水層を備える。
換気コンテナ要素及び靴全体に関して上に説明した修正及び利点は、同様に、ソール組立体に設置される換気コンテナ要素及びソール組立体に適用できる。
本発明の第三形態によれば、請求項42に記載の半製品が提供される。
特に、本発明の1つの形態において、足を取り囲む外側材料を有する上側部分と少なくとも1つの通気性層を有する下側部分とを備える上側組立体と、底部と換気コンテナ要素の内部空間を形成するように底部を取り囲む側壁とを有する換気コンテナ要素と、換気コンテナ要素の内部空間の中に配置された空気の流れの通過を許容するフィラー構造体または材料と、を備える靴用の半製品が提供される。
本発明に係わる半製品は、上述の有利な特性を有する通気性の高い靴を産出するために数少ない製造ステップで完成できる扱い易いユニットを提供できるようにする。靴及びソール組立体に関して上に述べた利点及び修正は、靴用の半製品にも同様に適用できる。
本発明の第四形態によれば、請求項43に記載のソール組立体を製造する方法が提供される。
特に、本発明の1つの形態において、底部と換気コンテナ要素の内部空間を形成するように底部を取り囲む側壁とを有する換気コンテナ要素を用意するステップと、空気の流れの通過を許容するフィラー構造体または材料を換気コンテナ要素の内部空間の中に配置するステップと、を含むソール組立体を製造する方法が提供される。換気コンテナ要素は、その側壁及び/または底部に開口部を持つか、または多孔性であり、フィラー構造体または材料と換気コンテナ要素の外部との間の空気の流通を許容する。
別の実施形態によれば、ソール組立体を製造する方法は、周囲ソール要素を換気コンテナ要素に取り付けるステップを含む。周囲ソール要素は、換気コンテナ要素を少なくとも側面において取り囲み、少なくとも1つの通路を持つか、多孔性であり、換気コンテナ要素とソール組立体の外部との間で空気の流通を許容する。
別の実施形態によれば、ソール組立体を製造する方法は、換気コンテナ要素を型に入れるステップと、型を閉鎖するステップと、射出成形して前記周囲ソール要素を形成するステップとを含む。
本発明の別の形態によれば、請求項45及び46に記載の靴を製造する方法が提供される。
特に、本発明の1つの形態において、上述のようにソール組立体を製造するステップと、足を取り囲むための外側材料を有する上側部分と少なくとも1つの通気性層を有する下側部分とを備える上側組立体に前記ソール組立体を取り付けるステップと、を含む靴を製造する方法が提供される。
特に、本発明の1つの形態において、足を取り囲むための外側材料を有する上側部分と少なくとも1つの通気性層を持つ下側部分とを備える上側組立体を用意するステップと、底部と換気コンテナ要素の内部空間を形成するように底部を取り囲む側壁とを有する換気コンテナ要素を用意するステップと、空気の流れの通過を許容するフィラー構造体または材料を換気コンテナの内部空間の中へ配置するステップと、換気コンテナ要素の側壁と上側組立体との間に取付け部を与えるステップと、を含む、靴を製造する方法が提供される。
別の実施形態において、換気コンテナ要素の側壁と上側組立体との間に取付け部を与えるステップは、特に周囲ソール要素の射出成形によって周囲ソール要素を上側組立体及び換気コンテナ要素に取り付けるステップを含む。周囲ソール要素は、換気コンテナ要素を少なくとも側面において取り囲み、少なくとも1つの通路を持つかまたは多孔性であり、換気コンテナ要素と靴の外部との間の空気の流通を許容する。
別の実施形態において、換気コンテナ要素の側壁と上側組立体との間に取付け部を与えるステップは、第一射出成形ステップにおいて実施され、方法は、さらに第二射出成形ステップにおいて上側組立体及び換気コンテナ要素に周囲ソール要素を形成するステップを含む。周囲ソール要素は、換気コンテナ要素を少なくとも側面において取り囲み、少なくとも1つの通路を持つかまたは多孔性であり、換気コンテナと靴の外部との間の空気の流通を許容する。
別の実施形態において、靴を製造する方法は、防水・通気性の靴を製造する方法である。第一射出成形ステップにおいて生成された換気コンテナ要素の側壁と上側組立体との間の取付け部は、同時に靴の防水・通気性上側組立体の防水・通気性甲部機能層ラミネートと防水・通気性底部機能層ラミネートとの間のシールとして作用する。方法は、型に取り外し可能な挿入物を置くステップと、前記換気コンテナ要素を取り外し可能挿入物の上に置くステップと、型の中に靴型に嵌めた上側組立体を置いて、上側組立体の下側部分を換気コンテナ要素の上に乗せるステップと、型を閉鎖するステップと、第一射出成形ステップを実施するステップと、を含む。周囲ソール要素を取り付けるステップは、型を開けるステップと、靴型に嵌めた上側組立体を持ち上げるステップと、取り外し可能挿入物を取り除くステップと、型の中へ靴型に嵌めた上側組立体を下ろすステップと、型を閉鎖するステップと、第二射出成形ステップを実施するステップとを含む。このようにして、第一と第二射出ステップに同じ型を使用でき、取り外し可能挿入物は、第一射出成形ステップにおいてシールのみが行われるようにする。このようにして、非常に正確なシールが、第一射出成形ステップにおいて少ない量の射出材料を用いて得られ、シールは第二射出成形ステップにおいて大量の射出材料が通気性エリアに侵入するのを効果的に防止する。
ソール組立体及び靴を製造する方法は、ソール組立体及び靴に関して上に論じる修正に対応して修正できる。言い換えると、付加的なソール組立体/靴要素/特徴に対応する製造ステップを製造方法に含めることができる。上記の本発明の形態に従った靴またはソール組立体を製造する方法に関して説明した取付けのステップは、唯一の取付けステップとすることができる。ただし、所与の要素の間の付加的取付けも存在する可能性がある。
以下に、本発明の原理に従った靴の代表的実施形態について説明する。それぞれの靴の構造の特定の必要に応じて適切な限り様々な変更または改造を加えられることが、当業者には分かるだろう。
図1は、本発明の1つの実施形態に従った靴300の主要部品の分解斜視図である。靴の部品は、分解図において下から上へ、アウトソール90、シャンク(土踏まず)172、内部にフィラー構造体60が配置された換気コンテナ要素113、コンフォート層40、周囲ソール要素80及び上側組立体8であり、上側組立体の外側材料が見える。
図1の主な目的は、以下の図面の背景を示すことである。水平線Y−Yを含む垂直平面の位置が、以下の図面に示す断面平面の位置に相当する。以下の図面の実施形態は靴300とは異なるが、それぞれの垂直断面平面の位置及び視線の方向は、線Y−Y及び関連する矢印(視線の方向を表す)から推定できる。
アウトソール90は、歩行時の靴のグリップ特性を改良するために、下面に踏面または波形構造を備える。シャンク172は、付加的安定性を与えるために靴300に設置される。シャンク172は、金属またはその他の適切な材料で作ることができる。シャンク172は、図示するように換気コンテナ要素の下方に配置するか、またはフィラー構造体60内に配置することができる。シャンク172は、任意の部品であり、ほとんどの実施形態においては図示しない。換気コンテナ要素113は、内部にフィラー構造体60が配置され、その上側面縁にカラー101を備える。換気コンテナ要素113は、その側壁102に複数の開口部114を備える。開口部は周囲ソール要素80に設置された複数の側面通路50との間で空気を流通できる。周囲ソール要素80は、その外周全体で変動する高さを有し、側面通路50は異なる高さに配置される。側面通路50の位置は、内側の換気コンテナ要素113の不均等の表面構造によるものであり、不均等の表面構造は、着用者の歩行時の足及びその位置を考慮している。
フィラー構造体60は、その上面に流路構造体特に流路格子を備える。流路構造体は、換気コンテナ要素113の開口部114との間で空気を流通できる。流路構造体は、参照番号181で示される横断流路を備える。流路184は横断流路181と交差する。流路184のうち最も外側の流路は、フィラー構造体の外周部分に配置されるので、これを周辺流路と呼ぶことができる。図1の特定の実施形態において、周辺流路はフィラー構造体の周辺部の周りのループを形成する。他の流路184を、長手流路と呼ぶ。図2〜7の断面図を示して様々な靴の構造を説明する際単純化のために、流路184を概略的に長手流路と呼ぶが、図示する流路の断面図の1つまたはそれ以上は、1つまたはそれ以上の周辺流路に属する可能性がある。
部品の代表的実施形態について下に詳しく説明する。図2〜7は、本発明の実施形態に従った靴の断面の部分を示す。断面図は概略図であり、U字型の靴部分を示す。靴は特に足先部において上面が閉鎖していることは、当業者には明らかである。
図2aは、本発明の実施形態に従った靴301aの概略断面図である。靴301aは、上側部分10と下側部分20とを有する上側組立体と、換気コンテナ要素113と、空気の流れの通過を許容するフィラー構造体61とを備える。
上側組立体の下側部分は、図2〜7の実施例に示すように、上側組立体の上側部分の下端部エリアの間に延在する。特に、下側部分は、縫い目(これについては下で述べる)の間に延在する上側組立体の下側部として見ることができる。ただし、原則として、上側組立体の下側部分は、上側組立体の下側領域にある上側組立体の任意の部分として見ることができる。下側部分は、縫い目を含みこれを越えて延びることもできる。従って、下側部分は上側組立体の側面部の部分も含むことができる。言い換えると、上側組立体の上側部分と上側組立体の下側部分との間の境界は、必ずしも図全体において示すように接続部30によって定められない。上側組立体の下側部分は、上側組立体の下側部特に着用者の足の踵に関連する実質的に水平部分及び実質的に水平部分に隣接する上側部分の側壁の下側部分である。本発明の用語において、図2〜7の代表的実施形態の周囲ソール要素は、要素10にのみ取り付けられるまたは両方の要素10及び20に取り付けられるが(図の説明全体において明らかである)、上側組立体の下側部分に取り付けられるものと見ることができる。
上側部分10は、外側から内側へ向かって、通気性外側材料11(甲材料(upper material)とも呼ばれる)と、メッシュ12と、甲部薄膜13と、布地ライニング14とを備える。メッシュ12、甲部薄膜13及び布地ライニング14は、ラミネート17(甲部機能層ラミネート17とも呼ばれる)として設置される。甲部薄膜は通気性でかつ防水性である。甲材料11、メッシュ12及び布地ライニングは全て通気性、すなわち水蒸気透過性であるので、上側部分10は全体として通気性でかつ防水性である。
甲材料11は、皮革、スエード、布地または人工繊維など靴の外面を形成するために適する任意の通気性材料とすることができる。
甲部機能層ラミネート17は、W.L.Gore & Associatesから市販されるGORE−TEX(登録商標)など任意の適切な防水・通気性ラミネートとすることができる。
外側材料11の下側部分は、ネットバンド15から成る。ネットバンド15は、例えば縫い付けまたは糊付けなど適切な任意の接続方法によって外側材料11の残り部分に取り付けできる。図2aの代表的実施形態において、ネットバンド15は、接続線によって図解されるようにステッチ16によって外側材料の残り部分に取り付けられる。ネットバンドと言う言葉が示唆するように、外側材料のこの部分は、連続的材料ではなく、流体ソール材料の浸透を許容する材料の空隙を含む(これについては、後に説明する)。ネットバンドを設置する代わりに、外側材料の下側部分は、甲材料の残り部分と同じ材料から構成されて、外側材料の下側部分を穿刺または穿孔することによって空隙が生成されるか、または少なくとも下側部分は、接着剤または成形材料が浸透できる材料から作られる。
下側部分20は、下から上へ、底部薄膜21と支持布地22とを備える。布地は、織布、不織布またはニット例えばCambrelle(登録商標)とすることができる。底部薄膜21及び支持布地22は、ラミネート24(底部機能層ラミネート24とも呼ぶ)として設置される。底部薄膜21は、防水性かつ通気性である。支持布地22が通気性なので、全体的に通気性かつ防水性の底部機能層ラミネート24が提供される。底部機能層ラミネート24は、任意の適切なラミネート例えばW.L.Gore & Associatesから市販されるGORE−TEX(登録商標)とすることができる。
上側部分10と下側部分20は、それぞれの端部エリアにおいて相互に接続される。特に、甲部機能層ラミネート17の下端部エリアは底部機能層ラミネート24の側面端部エリアに接続される。図2aの実施形態において、この接続部30は、ネットバンド15の端部エリアを甲部機能層ラミネート17及び底部機能層ラミネート24にも接続する。底部機能層ラミネート24、甲部機能層ラミネート17及びネットバンド15は、例えばシュトローベル縫いまたはジグザグ縫いによって、一緒に縫い合わされる。従って、底部機能層ラミネート24、甲材料11のネットバンド及び甲部機能層ラミネート17を接続する縫い目の形の接続部30が形成される。この縫い目30は、後に説明するように、ソール材料によって防水的にシールされるので、上側部分10及び下側部分20によって防水構造が形成される。
甲部機能層ラミネート17と底部機能層ラミネート24は、図2aに示すように、接続されて一緒にシールされる前に、端と端を接して配置できる。両方のラミネートは、ラミネートの上面のそれぞれの部分が相互に隣接するように下向きに曲げることもできる。このように異なる位置において、ラミネートを、例えば図示するようにステッチで接続し、接続部をシールできる。接続部30がネットバンド15を底部機能層ラミネート24及び甲部機能層ラミネート17に接続するように、外側材料11のネットバンド15を甲部機能層ラミネート17に対応して、すなわち底部機能層ラミネート24に対して端と端同士または重ねまたは曲げ関係に配置できる。ネットバンド15は、接続部30を貫通することもできる。これは、その多孔性構造ゆえに重大ではない。底部機能層ラミネート及び甲部機能層ラミネートをシールする他の方法は、防水シールを形成するように一緒に溶接するまたは重なり部分を加熱して充分な力で相互に押し付けるなどを含む。接続部30を形成するためのこれらの選択肢は、本明細書において説明する全ての実施形態に適用できる。
図2aの実施形態において、甲部機能層ラミネート17と底部機能層ラミネート24との間の接続部30は、靴301aの内部の実質的に水平部分に位置する。この部分は着用者の足の裏面を支持するための部分である。図2aの断面平面において、接続部は、前記実質的に水平部分の側面端部に近接する。すなわち、足の重量を支持するための部分が靴の側壁へ移行する点に近接する。靴301aの性質上、底部機能層ラミネート24は実質的に足形の構造であり、甲部機能層ラミネート17は底部機能層ラミネートにその外周において接続される。水平及び垂直と言う用語は、平らな地面の上に靴底が乗るように靴を置いたときの水平方向及び垂直方向を意味する。より理解しやすいように、靴は、図面全体を通じてこの向きで示される。
換気コンテナ要素113は、上側組立体の下側部分20の下方に設置される。図2aの断面図において、換気コンテナ要素113の底部103及び側壁102は、長方形の内部空間を形成し、空気の流れの通過を許容するフィラー構造体または材料61がこの中に配置される。靴は三次元物体なので、コンテナ要素113は、フィラー構造体61を保持する三次元コンテナを形成する。これは、槽または桶と見ることもできる。換気コンテナ要素の側壁は、底から見たとき実質的に着用者の足底の輪郭に従うことができるが、足底の輪郭より多少小さくすることができる。ただし、換気コンテナ要素は、着用者の足底の下面の一部にのみ延在することもできる。特定の靴の特定の要件に応じて、換気コンテナ要素の底部も側壁も、地面に対して一定ではない高さで配置できる。側壁も、その外周に沿って一定ではない高さを持つこともできる。例えば、着用者の踵を着用者の足先より高くするように、換気コンテナ要素の側壁を足先エリアより踵エリアにおいて高くすることができる。フィラー構造体または材料は、換気コンテナ要素に準じた形状を持つことができる。
換気コンテナ要素113は、その側壁102に開口部114を備える。そのうち2つを図2aの断面図に示す。この開口部は、換気コンテナ要素113の内部特にフィラー構造体61と換気コンテナ要素の外部及び最終的には周囲空気との間の空気の流通を許容する寸法を持つ。
換気コンテナ要素に使用される代表的材料は、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)、ポリエステル(PES)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレン塩化ビニル(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)またはゴムなど、成形可能な重合体である。
フィラー構造体61は、フィラー構造体61の上面と換気コンテナ要素113の側壁102に設置された開口部114との間の空気の流通を許容する流路構造体または流路網160を備える。図2aの実施形態の流路網160は、靴301aの長手方向に配列された複数の長手流路184と、靴301aの横断方向すなわち靴の長手方向に直交する方向に配列された複数の横断流路181とを備える。
図2〜7の断面図は、図1の水平線Y−Yに沿って流路構造体160の横断流路181を切断する。従って、断面切断線は開放流路を通過するので、フィラー構造体61の横断流路181は陰影線で示されない。逆に、流路構造体160の下方のフィラー構造体61の部分、換気コンテナ要素113、周囲ソール要素81(これについては下で説明する)及びさらなる要素は陰影線で示されて、図2aの断面図が、断面平面においてこれらの靴要素をスライスすることを示す。
図2aの断面図において、長手流路184は、その断面形状で示されて、フィラー構造体61の上面からフィラー構造体61のほぼ中央まで達するU字形である。長手流路の間にあるフィラー構造体61の部分は、図2aの断面平面において材料が切断されないので、陰影線で示されない。図2aの断面で切断される横断流路184は、切断平面の背後にある長手流路181の間の部分の表面を境界とする。従って図示する横断流路184は、図2aの断面平面の背後に長手方向に延在し、U字形の長手流路を取り囲むフィラー構造体61の非陰影部分が横断流路境界を形成する。U字形長手流路184のみが図2aの断面平面の前後にあるその他の横断流路との間の長手方向の空気接続を形成する。
長手流路184及び横断流路181のU字形は、流体の流通のために充分な流路体積を与えることと、着用者の足を支持し着用者の体重を地面及び/または周囲ソール要素81へ移転するための強力なフィラー構造体を与えることとの間の適切な妥協点となる。また、丸みのある流路側壁は、成形作業後にフィラー構造体61と型を容易に分離できるようにするので、U字形流路は、特に射出成形フィラー構造体61の場合簡単かつ迅速に製造できる。さらに、この流路の形状は、特に耐久性のある流路構造体を与える。
フィラー構造体61の流路は、空気及びそれと一緒に水蒸気をフィラー構造体61上面から換気コンテナ要素113の側壁102の開口部114への効率的な移転を許容する適切な任意の断面を持つことができる。同時に、換気コンテナ要素113とフィラー構造体61の結合体は、靴のコアとしての役割を果たすための安定した構造を与えるはずである。流路は、所望の特性を持つ流路網を形成するためにその長さに沿って変化する断面を持つことができる。
図2aの代表的実施形態は、フィラー構造体61の幅全体に均等に配分された5本の長手流路184を備える。長手流路は変化する幅を持ちかつ/またはフィラー構造体61の幅全体に不均等に配分されることも可能である。さらに、任意の適切な流路構造体160を形成するように、これらの流路が靴301aの長手方向に対して角度を成すことも可能である。外側長手流路を例えば爪先及び踵エリアにおいて接続して、少なくとも1本の周囲または外周流路を形成できる。
横断流路181は、長手流路184を、相互に及び換気コンテナ要素113の側壁102の開口部114に接続する。その側面端部において、横断流路は、空気・湿気排出口182を備える。空気・湿気排出口182は、最も側面よりの長手流路より側方外側に配置される。特に、空気・湿気排出口182は、換気コンテナ要素113の側壁102にすぐ隣接して配置される。空気・湿気排出口182は、横断流路181の床の凹部によって形成される。言い換えると、横断流路181の床は、空気・湿気排出口182の領域において、横断流路181の残り部分よりフィラー構造体61の中へ深く下へ延びる。空気・湿気排出口182は、靴内部から湿気/水蒸気を効率よく収集できるようにし、ここから、開口部114及び側面通路50を通過して効果的に水蒸気を運び去ることができる。横断流路の全部がまたは部分集合のみが空気及び湿気排出口を持つことができる。図2aに示される実施形態のみが、空気・湿気排出口を持つが、他の実施形態の流路網の流路も空気・湿気排出口を備えることができる。
全ての横断流路がまたはその部分集合のみが、換気コンテナ要素113の側壁102の開口部114との間の接続を持つことができる。換気コンテナ要素113の開口部114と空気流通せず、行き止まりの横断流路が存在する可能性もある。フィラー構造体61の横断流路181(そのうち1本を図2aに示す)は、フィラー構造体61の流路網113と換気コンテナ要素113の外部との間の空気の流通を許容する。底部機能層ラミネート24は通気性なので、靴の内部から換気コンテナ要素113(水蒸気を含んだ空気の通過を許容する)を通過して上側組立体の下方側面外部(すなわち周囲空気)への水蒸気の移送が保証される。
横断流路181は、長手流路184と同じまたはこれより小さいまたは大きい高さを持つことができる。横断流路は、フィラー構造体61の最上部からフィラー構造体の内部へ達していて、溝または堀と見ることもできる。横断流路は、フィラー構造体61の一部の下方にあって、フィラー構造体61の上からは容易に見えないことも可能である。また、長手流路を、図示するような溝、またはフィラー構造体61の上面によって隠された流路とすることができる。
本実施形態において、フィラー構造体61の流路網は、流路格子である。流路格子の流路は、フィラー構造体61の最上部からその内部へ延びる。流路を、その間で空気が流通できるように交差する長手流路と横断流路とすることができる。また、流路は、フィラー構造体の上から見たとき斜めの流路とすることができる。概して、この種の流路格子は、長手、横断及び斜め流路の任意の組み合わせを持つことができる。靴の残り部分の他の全ての構造体に、特に他の全てのソール構造体及び上側組立体の残り部分に関する他の全ての構造体との組み合わせにおいて、任意の流路構造体を埋め込める。
また、換気コンテナ要素113は、カラーまたは環状リップ101を備える。カラー101は、換気コンテナ要素113の側面上端にある換気コンテナ要素113の一部である。換気コンテナ要素113は三次元構造体なので、カラー101は、その外周上端を取り囲む。言い換えると、カラー101は、換気コンテナ要素113の上側面部の周囲に配置される。従って、環状という用語は円形を意味するものとしない。また、カラーと言う用語は円形を示唆するものとしない。この用語は、内部空間を取り囲む構造体を意味するものとしてまたはループ構造体を意味するものとして理解される。ただし、この用語は、閉鎖リップまたはカラー構造体を要求するものとしない。カラーは、換気コンテナ要素113の外周の連続的カラーとすることができるが、換気コンテナ要素113の外周の周りに配置された複数の離間したリップ区分またはカラー区分で作ることもできる。また、カラーを、換気コンテナ要素113の側面上縁において換気コンテナ要素113の残り部分に取り付ける必要はない。また、換気コンテナ要素113の側壁102またはその上面に取り付けることもできる。しかし、下に述べるように、換気コンテナ要素の外周上縁付近の設置位置が有利であろう。
カラー101は、下に説明する機能の1つまたはそれ以上を果たすことができる。図2aに示すように、カラー101は、接続部30の位置まで延びる。カラーは、水平方向に比べてわずかに上向きに傾斜する。接続部30は、接続部が上側部分10、下側部分20並びにフィラー構造体61を収容する換気コンテナ要素113を接続するように、カラー101を含む。特に、シュトローベルステッチ30は、甲部機能層ラミネート24、甲材料11のネットバンド15、底部機能層ラミネート24及び換気コンテナ要素113のカラー101を接続する。従って、一体型の上側組立体(その要素は相互に固定位置にある)が形成されるように、カラー101は、換気コンテナ要素113を上側組立体の残り部分に取り付けできるようにする。この取り付けは、周囲ソール要素81を介する上側組立体の下側部分への換気コンテナ要素113の取付け(これについては下に説明する)とは別個のものである。上側部分10、下側部分20、コンフォート層40(これについては下に説明する)を備える上側組立体及びフィラー構造体を含む換気コンテナ要素113の明瞭な輪郭の半製品は、換気コンテナ要素113を上側組立体に取り付けることによって形成される。
換気コンテナ要素113及びカラー101は、一体型でまたは多ピースで作ることができる。言い換えると、カラー101を、換気コンテナ要素113の構成部分とするか、または別個の製造ステップにおいて、換気コンテナ要素61の残り部分に取り付けられた部分とすることができる。特に、換気コンテナ要素113は、カラー101を含めて、例えば射出成形によって1回の製造ステップで製造できる。このようにして、カラー101と換気コンテナ要素113の残り部分との間の強力な接続が保証される。その結果、換気コンテナ要素113全体が上側組立体の下側部分へ強力に取り付けられる。
また、カラー101を備える換気コンテナ要素113を、上側組立体の下側部分へのカラー101の糊付けによってまたはカラー101の領域における特にカラー101領域のみにおける局所的射出成形作業によってカラー101と上側組立体の下側部分との間の取付けを行うことによって、上側組立体の下側部分に取り付けることが可能である。
カラー101は、換気コンテナ要素113の外部へ向かって側方(すなわち、水平方向)と換気コンテナ要素113から上向きに垂直方向(両方の方向を含めて)との間の任意の方向に延びることができる。
靴301aは、さらに、コンフォート層40を備える。コンフォート層40は、換気コンテナ要素113及びフィラー構造体61の上方に配置される。コンフォート層40は、靴をさらに製造する前に、コンフォート層40を固定せずに前記の位置に配置するか、またはこれに取り付けできる。靴の内部からフィラー構造体61への水蒸気の流れが妨げられないように、この取付けは、点状糊付けまたは外周糊付けによって、または通気性接着剤を用いた糊付けによって実施できる。また、フィラー構造体61の全表面を糊付けし、糊が流路に進入しないようにするために高揺変性糊を使用すべきである。コンフォート層40は、使用者にとって柔らかな歩行感触を増大するために特に使用者がフィラー構造体61の流路網160によって煩わしさを感じないようにするために挿入される。靴301aの代表的形態において、コンフォート層は、フィラー構造体61の流路網160より大きい側方延長範囲を有し、カラー101の上方に多少延びる。しかし、コンフォート層40は、カラー101の側面縁までは延びない。この位置で、カラーは上側組立体の下側部分20に取り付けられる。概して、コンフォート層は、換気コンテナ要素とフィラー構造体の結合体と同じまたはこれより小さい側方寸法を持つことができる。特に、コンフォート層は、フィラー構造体と同じ側方寸法を持つことができる。
靴301aのソールは、周囲ソール要素81を備える。周囲ソール要素81は、靴の使用時に靴301aと地面との間の接点を確立する。周囲ソール要素は、換気コンテナ要素113を側面において取り囲み、これより大きい垂直延長範囲を有する。周囲要素は、換気コンテナ要素113より低く延びかつ換気コンテナ要素113より高く延びる。周囲ソール要素81の上側部分は、換気コンテナ要素113のカラー101より上方において、ネットバンドを備えない甲材料11の下側部分に隣接して、水平方向に並びにこれより下の部分において垂直方向において上側組立体の上側部分10の薄膜13に隣接して、及び底部薄膜21に隣接して、配置される。周囲ソール要素18の材料は、射出成形時に、ネットバンド及びメッシュ材料12を通過した後これらの位置に及び縫い目30に及びその上に達する。言い換えると、周囲ソール要素81は、上側組立体のコーナーの周りを包む。コーナーにおいて、靴の内部は着用者の足に合う形に作られる。周囲ソール要素81は、地面から上側組立体の上側部分10の下側側面まで延びる。周囲ソール要素は、換気コンテナ要素113の側壁102と上側組立体の上側部分10の下側領域の両方に取り付けられる。この取付けによって、さらに、接続部30を介して換気コンテナ要素113と上側組立体との間の取付けが行われるので、全体的に非常に安定した靴の構造が与えられる。
靴301aの周囲ソール要素81は、換気コンテナ要素113と靴301aの側面外部との間の空気の流通を許容する側面通路50を有する。図2aの代表的実施形態において、側面通路50は、水平の横断通路として示される。しかし、側面通路と言う要素は、このように限定的には解釈されない。側面通路は、換気コンテナ要素113の側壁102と周囲ソール要素81の側面外部すなわち靴301aの下面ではない周囲ソール要素81の外部との間の空気の流通を許容するどのような通路でもよい。特に、側面通路50は、水平方向に対して、特に側面通路の外側端を内側端より低くして傾斜できる。この傾斜は、フィラー構造体61/周囲ソール要素81の内部から水分を容易に排出できると言う利点を有する。ただし、水平側面通路は、特に周囲ソール要素の右側から周囲ソール要素の左側へまたはその逆に連続的な通路が換気コンテナ要素113及びフィラー構造体61を通過して存在する場合、空気及び水蒸気の流れの有利な経路を提供すると言う利点を有する。側面通路50は、側面通路の内側端より外側端を高くなるように傾斜させることもできる。これによって、底部機能層ラミネート24の損傷しやすい薄膜21を損傷する危険なしに、例えば穿孔またはレーザー加工によって側面通路を生成できる。さらに、着用者の体温によって暖かくなった空気及び水蒸気は、煙突のようにこの傾斜した側面通路を通過して効果的に外に出ることができる。
靴の底から見たとき、側面通路は、靴の長手方向、横断方向またはその間の任意の方向を向くことができる。例えば、靴の前部または後部において、側面通路は実質的に靴の長手方向を向くことができる。側面通路50に関して述べた方向の選択肢は、説明する全ての実施形態に適用できる。
靴301aは、数段階の工程で製造される。第一ステップにおいて、フィラー構造体61が、例えば対応する形状の型へのポリウレタンの射出成形または鋳造によって、製造される。ポリウレタンはフィラー構造体61及びその中の流路構造体160を形成するために使用できる複数の適切な材料の1つである。このようなポリウレタンのフィラー構造体は、歩行時など使用時に使用者の体重の少なくとも一部を支持/移転するための高い安定性を有し、かつ歩行時の着用者の快適さを強化するためにある程度の柔軟性を有する。靴の好ましい使用に応じて、適切な材料を選択できる。このような材料の例は、Elastogran Gmbh(独国)社のElastollan(商標)である。この材料は、その低密度故に好ましい。または、フィラー要素61を射出成形するために、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、EVA(酢酸エチルビニル)、PVC(ポリ塩化ビニル)またはTR(熱可塑性ゴム)などを使用できる。
フィラー構造体61は、予形成された換気コンテナ要素113の中へ置かれる。次に、コンフォート層40をフィラー構造体61及び換気コンテナ要素113の上に置き、接着剤を用いてこれに取り付ける。底部機能層ラミネート24、甲部機能層ラミネート17及び外側材料10を、換気コンテナ要素113、フィラー構造体61及びコンフォート層40に対して所望の位置に配置する。これらの要素を、接続部30を介して相対的位置に固定する。接続部は、底部機能層ラミネート24、甲部機能層ラミネート17、外側材料11のネットバンド15及び換気コンテナ要素のカラー101を接続する。接続部30は、図2aの代表的実施形態においてはシュトローベルステッチである。また、これらの要素の部分集合の間に複数の接続部を設置することも可能である。例えば、底部機能層ラミネート24、甲部機能層ラミネート17及び外側材料をシュトローベルステッチ30によって接続し、換気コンテナ要素113を、局所的射出成形によって上側組立体の下側部分に取り付けることができる。いずれの場合にも、元来別個の複数の要素を備える1つの半製品が形成される。これらの要素の全ては接合されて、さらなる加工のために単一の複合部品を形成する。
この半製品が、型の所望の位置に配置された靴型の上に置かれる。型の中で、周囲ソール要素材料が上側組立体の上に射出成形される。このようにして、周囲ソール要素81は、上側組立体の上側部分10及び換気コンテナ要素113に付着するので、周囲ソール要素81のソール材料を介して、これらの要素の持続的な一体的な接合が得られる。周囲ソール要素に適する材料は、ポリウレタン、EVA(酢酸エチルビニル)、TR(熱可塑性ゴム)またはTPU(熱可塑性ポリウレタン)である。
周囲ソール要素81のソール材料は、ネットバンド15を通過し、シュトローベルステッチ30を通過し、メッシュ12を通過し、甲材料11まで、甲部薄膜13まで、カラー101の少なくとも一部の周りに、及び底部薄膜21まで浸透する。この浸透したソール材料は、一方でシュトローベルステッチ30を防水式にシールし、他方で、換気コンテナ要素113と上側組立体の残り部分との間の取り付けを行う。シールは、完全に防水性の上側組立体を与える。防水特性は、甲部機能層ラミネート17及び底部機能層ラミネート24が靴の内部領域を取り囲み、相互に防水式にシールされることによって得られる。周囲ソール材料は、接続部30を通過して底部機能層ラミネート24及び甲部機能層ラミネート17の上面まで浸透する。特に、周囲ソール材料は、2つのラミネートの間の空間を通過して上向きに浸透する。また、周囲ソール材料は、カラー101と底部機能層ラミネート24との間にも多少浸透する。このようにして、シュトローベルステッチ30の全領域に周囲ソール材料が浸透するので、シュトローベルステッチ作業において甲部薄膜13及び底部薄膜21に作られた全ての開口が周囲ソール材料によって確実にシールされる。
少量の周囲ソール材料が、シールのためにカラー101と底部機能層ラミネート24との間に浸透するが、カラー101は、周囲ソール要素81の射出成形時に周囲ソール要素のソール材料に対するバリアを与える機能も持つことができる。カラー101は、周囲ソール要素81の多少のソール材料のみがカラー101の最上点を通過するが、コンフォート層40及び/またはフィラー構造体61の上面まではソール材料が浸透しないように、配置できる。言い換えると、カラー101は、過剰なソール材料がフィラー構造体61と底部機能層ラミネート24との間のエリアに浸透するのを防止できる。このようにして、底部機能層ラミネート24の大きな面積の水蒸気透過性が保証され、上側組立体の通気性が保証される。
換気コンテナ要素113は、カラー101が周囲ソール要素81の射出成形時にバリア機能を果たせるように、適切な圧力/固定を加えて、型の中に配置できる。特に、ピストンは換気コンテナ要素113に対して圧力を加えることができ、上側組立体が靴型で満たされているとき換気コンテナ要素を介して上側組立体の下側部分10を圧迫できる。上側組立体の下側部分10と換気コンテナ要素との間の圧力は、所望の量のソール材料がその間に浸透するように調節できる。他の実施形態において、特に換気コンテナ要素の側方延長範囲が接続部30へ達しない場合、カラー101は、ソール材料が換気コンテナ要素113と上側組立体の下側部分20との間に一切浸透しないようにできる。カラーは、上側組立体の下側部分20に押し付けることができ、この工程において、その後の射出成形ステップのためのしっかりしたバリアを形成するように、突出したリップ/カラーの変形を生じることができる。
図2aの実施形態において、ネットバンド15は、上側部分10のコーナー、すなわち甲部機能層ラミネート17及び甲材料11のネットバンドが実質的に水平方向から実質的に垂直方向へ折り曲げられる上側部分10の部分の周りを包む。実質的に垂直方向を持つ部分は、着用者の足のための側壁を形成する。従って、周囲ソール要素81のソール材料は、ネットバンド15を通過して、下面から及び側面から甲部薄膜まで浸透する。このようにして、周囲ソール要素81と甲部機能層ラミネート17との間に強力な多方向結合が得られ、ラミネート17、24の間に優れたシールも与えられる。
甲材料11、メッシュ12、甲部薄膜13及び布地ライニング14は、図2aの実施形態並びに本明細書において説明する他の実施形態において、4層ラミネートとして形成される。
図2bは、別の実施形態に従った靴301bの断面図である。靴301bの多くの要素が図2aに示す靴301aの対応する要素と同一である。同様の要素は同様の参照番号で示され、簡潔化のために同様の要素については説明を省略する。
この場合にも、甲材料11、メッシュ12、甲部薄膜13、布地ライニング14、底部薄膜21、支持布地22、コンフォート層40、換気コンテナ要素113、フィラー構造体61及び周囲ソール要素81を横断方向に通過する断面を示す。
靴301bのフィラー構造体61は、靴301aのフィラー構造体61と異なる。靴301bのフィラー構造体61は、フィラー構造体61の上面からフィラー構造体61の下面まで延びる長手流路184及び横断流路181を備える。言い換えると、フィラー構造体61の流路は、フィラー構造体61の高さ全体に沿って延びる。このようにして、水蒸気は、底部機能層ラミネート24下面から換気コンテナ要素113の側壁102の他に換気コンテナ要素113の底部103まで通過できる。換気コンテナ要素113は、その底部103並びにその側壁102に開口部114を有する。底部103の開口部114の位置は、長手流路184の設置位置に対応し、側壁102の開口部114の位置は、横断流路181の設置位置に対応する。このようにして、開口部114は、フィラー構造体61の流路網160と換気コンテナ要素113の外部との間の空気の流通を許容する。換気コンテナ要素113の下方にはソール部分が配置されないので、換気コンテナ要素113の底部103の開口部114は、環境との間の直接的な空気の流通及び環境への水蒸気の排出を許容する。換気コンテナ要素113の側壁102の開口部114は、周囲ソール要素81の側面通路50との間で空気を流通できるので、ソールの側面への空気の流れが確立される。従って、靴の内部から換気コンテナ要素113のあらゆる方向へ水蒸気を排出できる。
図2bの断面図は、靴301bのフィラー構造体61の流路網160の横断流路181を切断する。靴301bの内部からフィラー構造体61へ進入する水蒸気は、部分的に流路構造体160の長手流路184及び横断流路181を介して靴の下面から出て行き、部分的に側面通路50を通過して出て行く。横断流路181は、フィラー構造体61の流路網160と側面通路50との間の空気の流通を許容する。この場合にも、横断流路及び/または長手流路は、フィラー構造体61の高さの任意の部分に亘って延びることができ、特に、高さ全体またはフィラー構造体の上面からフィラー構造体の内部まで延びる高さの部分に亘って延びることができる。また、フィラー構造体の中の流路は、上または下から見たとき、靴301bの長手方向から横断方向までの任意の方向を持つことができる。言い換えると、流路は、靴底を切断する水平断面で見たとき、フィラー構造体61において任意の方向を向くことができる。
また、水蒸気排出が完全に換気コンテナ要素113の底部103の開口部を介して行われるように、靴301bの換気コンテナ要素113がその側壁102に開口部を備えないことも可能である。この場合、周囲ソール要素81の側面通路無しで済ますことができる。すなわち、周囲ソール要素81をソリッド構造にすることができる。
フィラー構造体61の個々の長手ブロックを、個別に換気コンテナ要素113に取り付けできる。換気コンテナ要素113の中へ簡単に配置できる一体型フィラー構造体61が得られるように、長手ブロックの間に横断リブを設置することも可能である。この場合、横断リブは、流路の水蒸気排出能力を損なわないように、流路の長手長さ全体に延びない。
換気コンテナ要素113のカラー101は、接続部30から見たとき靴の中心に向けて配置される。カラーは、周囲ソール要素81の射出成形時に周囲ソール材料がフィラー構造体61に面するカラーの側と底部薄膜21との間に浸透しないように底部薄膜21に近接して配置される。従って、フィラー構造体61/コンフォート層40の上面全体が周囲ソール材料に触れないようにするので、水蒸気排出のための無傷のエリアが最大限与えられる。
図3aは、別の実施形態に従った靴302aの断面図である。靴302aの多くの部品が図2aに示す靴301aの対応する部品と同様または同一である。従って、簡潔化のために前記の部品の説明を省略する。
靴302aのソールは、周囲ソール要素82の他にアウトソール92を備える。靴302aの換気コンテナ要素113は、周囲ソール要素82の側壁の間に延びる。換気コンテナ要素113及び周囲ソール要素82の下面は、同じ高さに配置される。アウトソール92は、靴302aのソールの幅全体を横切って延びる。アウトソールは、換気コンテナ要素113と周囲ソール要素82の両方の下面を被覆する。アウトソール92は、平坦な表面において靴302aを通常に使用する際地面と接触する靴302aの唯一の要素である。この設計は、換気コンテナ要素113及び周囲ソール要素82の要件に関係なくアウトソールに特に適する材料を選択できると言う利点を有する。また、使用時にソールが地面に連続的に接触することによるソールの摩滅を心配する必要なく、換気コンテナ要素113、フィラー構造体及び周囲ソール要素82の材料を、純粋に使用者の快適さ、ソールの安定性、靴302aの製造時の接着特性などの要因に基づいて選択できる。
アウトソール92は、使用時に靴のグリップにとって有利な踏面構造を有する。特に、アウトソール92は、靴302aの歩行特性を改良するために突出部と後退部を持つパターンを備える。踏面要素は、説明する全ての実施形態においてソールの下面に設置できる。
靴302aの換気コンテナ要素113は、カラー101が水平である点で、靴301aの換気コンテナ要素113と異なる。カラー101は、換気コンテナ要素113の側壁102から接続部30まで水平に延び、接続部において、シュトローベルステッチを介して外側材料10のネットバンド、甲部機能層ラミネート17及び底部機能層ラミネート24と接合される。カラーは水平を向くので、カラー101は、底部薄膜22に沿って細長い水平寸法を有し、接続部30をシールするためにカラー101の上面に沿って周囲ソール材料を浸透させることと、コンフォート層40まで及び/または流路網160の中へ及び/または流路網160の上方の底部薄膜21まで周囲ソール材料が浸透することに対するバリアを形成することとの間の優れた妥協が得られる。
また、靴302aのフィラー構造体62は、靴301aのフィラー構造体61とは異なる。フィラー構造体62は、図に示される断面平面において長方形断面を持つ4本の長手流路184を備える。長手流路184は、フィラー構造体62の上面からフィラー構造体62の中へ約30〜40%延びる。靴302aの長手流路184は、横断流路181によって相互にかつ換気コンテナ要素113の側壁102の開口部114に接続される。横断流路181(このうち1つが図3aの断面平面に配置され、図に示される)は、長手流路184を相互に接続し、長手流路184と同じ垂直寸法を有する。横断流路181は、図示する実施形態においては、空気・湿気排出口を持たない。ただし、上述のように空気・湿気排出口を備えることもできる。概して、フィラー構造体の上面と換気コンテナ要素113特にその開口部114との間の流体の流通を行うために、多くの他の流路構造体が考えられる。
靴302aのコンフォート層40は、フィラー構造体62の側方延長範囲全体を横切って延びる。ただし、フィラー構造体62の幅全体及びコンフォート層62に隣接する換気コンテナ要素113の上面の少なくとも一部に延在することもできる。このようにして、フィラー構造体62と換気コンテナ要素113との間の不連続があっても(特定のカラー設計など特定の設計のためにまたは製造工程の不備のために存在する可能性がある)、これらの不連続性が着用者の快適さを損なわないように、コンフォート層40で被覆できる。他の実施形態においては、コンフォート層もまた、フィラー構造体を越えて延在する。
図3bは、別の実施形態に従った靴302bの断面図である。靴302bの多くの要素は、図3aに示す靴302aの対応する要素と同一であるかまたは非常に似ているので、簡潔化のためにこれらの要素の説明を省略する。
靴302bの上側組立体の下側部分20の底部機能層ラミネート24は、3層ラミネートであり、下から上へ、メッシュ23、底部防水・通気性薄膜21及び支持布地22を備える。メッシュ23は、底部機能層ラミネート24に強化された安定性を与えることができる。他の実施形態の底部機能層ラミネートも、靴302bのように3層ラミネートとすることができる。
図3cは、別の実施形態に従った靴302cの断面図である。靴302c多くの要素は、図3aに示す靴302aの対応する要素と同一であるかまたは非常に似ているので、簡潔化のためにこれらの要素の説明を省略する。
靴302aの換気コンテナ要素113は、周囲ソール要素82の垂直延長範囲の上部において周囲ソール要素82の間に延びる。換気コンテナ要素113の高さは、換気コンテナ要素113に隣接する部分における周囲ソール要素82の高さの約半分である。従って、靴302cのフィラー構造体62は、靴302aのフィラー構造体62の約半分の高さである。靴302cのフィラー構造体62の流路網は、図3aに示す靴302aのフィラー構造体62の流路網160と同様であるが、側方延長範囲がより大きい。
換気コンテナ要素113の下方には、ソールコンフォート層122(中底122とも呼ばれる)が設置される。ソールコンフォート層122は、側方寸法において換気コンテナ要素113と同じ広がりを持つ。ソールコンフォート層は、図3cに示す実施形態において空気流通路を備えないが、他の実施形態において空気流通路を備えることもできる。換気コンテナ要素113下方のソールの2層設計すなわち、上下のソールコンフォート層122とアウトソール92の配列は、特定の役割に非常に適する複数の材料を選択できるようにする。特に、アウトソール92の材料は、そのグリップ及び摩滅特性に基づいて選択し、ソールコンフォート層122の材料は、その快適さ及びクッション能力に基づいて選択できる。これらのソール要素は、靴の下側部分の複数の役割を果たすので、換気コンテナ要素11とフィラー構造体62の結合体の材料は、空気の流れのために設置される流路構造体を持ちながら安定性を与える能力に基づいて選択できる。上述の要素は、糊付け、射出成形またはその他の適切な技術によって相互に取り付けできる。
換気コンテナ要素113の開口部114は、これを通過する効果的な空気の流れを与えるために隣接する側面通路50と対応する寸法をもつ必要はない。ただし、対応する寸法が有利である。
図3dは、別の実施形態に従った靴302dの断面図である。靴302dの多くの要素は、図3cに示す靴302cの対応する要素と同一であるかまたは非常に似ているので、簡潔化のためにこれらの要素の説明を省略する。
靴302dの換気コンテナ要素113には、多孔性材料などこれを空気の流れの通過を許容するフィラー材料112が充填される。フィラー材料112は、換気コンテナ要素113の全体積を貫通する。フィラー材料は、底部機能層ラミネート24の下面と換気コンテナ要素113の側壁102の開口部114との間の空気の流通を許容する。
概して、フィラー材料または構造体112は、空気の流通を許容するため及び靴の使用時に着用者の体重の所望の部分を支持するために適する任意の材料または構造体とすることができる。代表的構造体は、フィラー要素の間の空隙において空気が流れるように、コンテナ要素113の中に置かれた多数のフィラー要素から構成できる。このような要素の例は球形である。要素は、多孔性または非多孔性の材料で作ることができる。水もフィラー要素の間の空隙を通過できる。
または、フィラー材料または構造体112は、スペーサなど生来の空気透過性特性を有する連続的な三次元形成された開放性または多孔性材料または構造体である。このような材料の例は、Kun Huang Enterprises Co.,Ltd.(台湾)から市販されている発泡ポリウレタンPoliYou(登録商標)またはPoliSport(登録商標)である。
他の実施形態のフィラー構造体がフィラー材料または構造体112に代わることもできる。
さらに、換気コンテナ要素113の側壁102及び/または底部103は、換気コンテナ要素113の内部空間とその外部との間で空気の流れが生じるように、空気の流れの通過を許容する材料例えば開放性または多孔性材料で作られることも可能である。この場合、その底部103及び/またはその側壁102には開口部を設置する必要はない。空気の流れの通過を許容する材料で形成されたこのような換気コンテナ要素の設置は、ここで論じる他の全ての実施形態にも適用できる。
靴302dは、フィラー材料112の上にコンフォート層を備えない。ただし、上述のように、靴302dの実施形態において、フィラー材料112の上方おそらく換気コンテナ要素113のカラー101の少なくとも一部の上方にコンフォート層を配置することもできる。また、コンフォート層は、他の実施形態において無くてもよい。
図3eは、別の実施形態に従ったソール組立体202aの断面図である。ソール組立体202aは、アウトソール92と、側面通路50を備える周囲ソール要素82と、その中に内部空間を形成する底部103と側壁102を有する換気コンテナ要素113と、換気コンテナ要素113の内部空間の中に配置され流路構造体160を有するフィラー構造体62と、コンフォート層40とを備える。ソール組立体202aの要素は、図3aの靴302aのそれぞれの要素に合致する。従って、簡潔化のために詳細な説明を省略する。ただし、ソール組立体202aの要素は、靴の明瞭な輪郭の半製品が形成されるように、図示する配列で接合できる。前記の半製品は、通気性ソール構造体を持つ靴を形成するように、多様な上側組立体と容易に組み合わせできる。上側組立体は、靴内部から流路構造体160及び側面通路50を通過してソール外部への水蒸気の排出が保証されるように、通気性下面または下側部分を持つと言う要件さえ満たせばよい。ソール組立体202aと上側組立体との間の取付けは、糊付け、射出成形またはその他の適切な取付け技術によって行うことができる。
図4は、別の実施形態に従った靴303の断面図である。上側組立体の上側部分10、上側組立体の下側部分20及びその接続部30、コンフォート層40及びフィラー構造体63は、図3cの靴302cの対応する要素と同一であるかまたは非常に似通っている。簡潔化のためにこれらの要素の説明を省略する。
靴303の換気コンテナ要素113は、カラーを備えない。換気コンテナ要素113は、フィラー構造体63及び図4の代表的実施形態においてはコンフォート層40を受け入れるための内部空間を形成する底部103及び側壁102からのみ構成される。言い換えると、換気コンテナ要素113は、フィラー構造体63の単なる容器であり、付加的特徴を持たずに壁/底でフィラー構造体62を取り囲む。
換気コンテナ要素113は、周囲ソール要素83を形成するための射出成形ステップにおいてまたは換気コンテナ要素113と下側部分20との間の局所的取付け部を形成する別個の射出成形ステップにおいてまたは上側組立体への縫い付けまたは糊付けによって、上側組立体の下側部分20に取り付けできる。
周囲ソール要素83は、換気コンテナ要素113を側面において取り囲み、換気コンテナ要素113の下を通過する。言い換えると、周囲ソール要素83は、換気コンテナ要素113の底部103及び側壁102の外面を取り囲む。換気コンテナ要素113は、周囲ソール要素83の中へ埋め込まれる。また、周囲ソール要素83は、換気コンテナ要素113の側面に隣接する上側組立体の実質的に水平の部分の下方及び着用者の足を受け入れる上側組立体の側壁の下側領域の周りの側面に配置される。これは、図において、周囲ソール要素83が上側組立体の下側部分に取り付けられていることで示される。下側部分は、着用者の足を受け入れるための上側組立体の部分の下側領域を説明する一般的用語として使用する。
この場合にも、周囲ソール要素83は、フィラー構造体63から換気コンテナ要素113を通過し側面通路50を通過して靴303のソールの側面外部へ空気の排出と一緒に水蒸気を排出するための側面通路50を備える。
周囲ソール要素83は、支持部材133を備える。支持部材133は、周囲ソール要素83を貫通して垂直に延びる。支持部材は、換気コンテナ要素113の下方に配置される。この実施形態において、周囲ソール要素83は、換気コンテナ要素113の下方に均等な間隔で配置された4つの支持部材133を備える。靴303の長手方向における支持部材の延長範囲に応じて、支持部材133は、リブまたは支柱となる。言い換えると、支持部材133は、図4に示すようにその横断延長範囲と実質的に等しい長手延長範囲を持つか、またはその横断延長範囲より実質的に大きい長手延長範囲を持つことができる。別の実施形態において、支持部材は横断リブとして形成できる。
支持部材133は下記のように製造できる。支持部材133は、換気コンテナ要素113と同じ材料から作ることができる。この場合、換気コンテナ要素113と支持部材133を1回の射出成形ステップで一体的に射出成形できる。従って、その後の射出成形ステップにおいて、換気コンテナ要素113及び支持部材133の周りに周囲ソール要素83を射出成形できる。支持部材133を別個に製造することも可能である。この場合、周囲ソール要素83を射出成形する前に、支持部材を換気コンテナ要素113に取り付けるか、または型の中で支持部材を換気コンテナ要素113に対して固定位置に維持する。
支持部材133は、射出成形時に周囲ソール要素材料83が換気コンテナ要素63の下に流れられるように換気コンテナ要素113を高い位置に維持する。
図5aは、別の実施形態に従った靴304aの断面図である。靴304aの多くの要素は靴303のそれぞれの要素と同一なので、簡潔化のためにこれらの要素の説明を省略する。
靴304aの換気コンテナ要素113は、その上端から下端まで変動する側方延長範囲を有する。その上端において、換気コンテナ要素113は、図に示す横断方向において靴304aの幅の約60〜70%に延びる。この側方延長範囲は換気コンテナ要素113の高さのほぼ上半分において不変である。その下方、すなわち換気コンテナ要素113の高さの下半分において、換気コンテナ要素113は、靴304aのほぼ横断延長範囲全体を横切って延びる。従って、換気コンテナ要素113の側壁102は、階段状の形状を有する。
フィラー構造体64は、換気コンテナ要素113によって与えられた内部空間全体を満たす。フィラー構造体64の流路構造体160は、図3bに示す靴302bの流路構造体160と同様である。換気コンテナ要素113は、フィラー材料でまたは複数のフィラー要素で満たすこともできる。フィラー材料または要素を換気コンテナ要素113の中へ注ぎ込むと、材料または要素は、側壁の形状に沿って換気コンテナ要素113に設置された下側側面ポケットの中へ進む。換気コンテナ要素113を図に示すようにフィラー構造体64で満たすことも可能であり、フィラー構造体の下側のより広い部分は下側の側面ポケットの中へ押し込まれる。これは、フィラー構造体64が弾性であるため可能である。
周囲ソール要素84は、換気コンテナ要素113のより広い部分の側壁102を取り囲むソール要素を形成する。周囲ソール要素は、換気コンテナ要素113の底部103の外部も被覆し、それによって、靴304aの地面との接面を形成する。周囲ソール要素84は、換気コンテナ要素113と上側組立体の上側部分10/下側部分20との間の側面ポケットも満たし、それによって、これらの部品の間の強力な取付け及び上側組立体の上側部分10と下側部分20との間の防水シールを生じる。
周囲ソール要素84は、フィラー構造体64の流路網160との間で空気を流通できる側面通路50を有する。側面通路50は、換気コンテナ要素113の側方延長範囲の変化点の多少上方に配置される。
周囲ソール要素84は、換気コンテナ要素113の下方に配置された支持部材134を備える。周囲ソール要素84は踏面構造を備える。
靴304aの設計においては、フィラー構造体64のクッション性及び快適さを大きな面積に亘って利用できる一方で、周囲ソール要素84によって換気コンテナ要素113が完全に取り囲まれることによって靴の均等な外観が得られ、かつソールの外壁全体に亘って耐久性のある外側材料を設置できる。
さらに、靴304aの設計は、周囲ソール要素84に必要なソール材料を少量にできる。大量の換気コンテナ要素113が別個に製造され、周囲ソール要素84は、その後の迅速な制御された射出成形ステップにおいて生産できる。このステップを、靴製造を仕上げる最終ステップとすることができる。
図5bは、別の実施形態に従った靴304bの断面図である。多くの要素がこれまでの実施形態に関連して説明したそれぞれの要素と同一または同様なので、簡潔化のためにこれらの要素に関する説明を省略する。
靴304bの上側組立体は、甲材料11と甲部機能層ラミネート17とを備える上側部分10と、底部機能層ラミネート24を備える下側部分20と、換気コンテナ要素113と、換気コンテナ要素113の中に配置されたフィラー構造体64と、フィラー構造体64の上に配置されたコンフォート層40とを備える。
底部機能層ラミネート24は、着用者の足裏に関連する上側組立体の水平部分全体に亘って延びる。また、着用者の足の側面部分に関連する上側組立体の側壁を多少上に延びる。甲部機能層ラミネート17は、前記側壁から前記水平部分への移行部まで完全に延びない。甲材料11のネットバンド15は、甲部機能層ラミネート17と同じ程度下まで延びるか、または甲部機能層ラミネート17より下まで延びる。図5bの代表的実施形態において、ネットバンド15は、着用者の足の側面部分に関連する側壁の下端まで下に延びる。甲部機能層ラミネート17及び底部機能層ラミネート24は、それぞれの縁が近接し、図5bの代表的実施形態において、シュトローベルステッチ30がこれらの部品を接続する。また、シュトローベルステッチ30は、ネットバンド15をこれらの部品に取り付ける。
換気コンテナ要素113は、底部機能層ラミネート24及びコンフォート層40の下方に配置され、底部機能層ラミネート24の水平部分のほとんどを横切って延びる。このようにして、接続部30が上側組立体の側壁に配置されることによって得られる付加的空間を利用できる。
換気コンテナ要素113は、垂直方向に対してわずかな角度を成して上向きに延びるカラー101を有する。カラー101は、換気コンテナ要素113の側壁に対して外向きに角度を成す。このようにして、カラーは射出成形時に周囲ソール要素84の材料の進入に対する非常に効果的なバリアを提供する。さらに、カラー101が外向きに傾斜することによって、換気コンテナ要素113の内部空間の断面がコンテナ要素の上部において多少増大する。従って、靴304bの内部から換気コンテナ要素113の中に配置されたフィラー構造体64への水蒸気排出に寄与する底部機能層ラミネート24の面積が最大限に大きくなる。フィラー構造体64及びコンフォート層40は、その上部における換気コンテナ要素113の断面の増大に合わせて作られる。換気コンテナ要素113の断面の増大は、靴304bの全ての断面において存在するか、またはその部分集合においてのみ存在する。言い換えると、換気コンテナ要素113の断面寸法は、他の断面においてその高さ全体で一定とすることができる。
さらに概略的に言うと、換気コンテナ要素113の断面寸法は、その垂直延長範囲に沿って変動することができる。この変動は断面によって異なる可能性がある。
靴304bのフィラー構造体64の流路構造体160は、実質的に図5aの靴304aのフィラー構造体64の流路構造体160に一致する。靴304aの側方寸法のほとんどに亘って換気コンテナ要素113を設置することは、底部機能層ラミネート24の高い水蒸気排出能力を大きな面積に亘って利用できると言う利点がある。
周囲ソール要素84は、換気コンテナ要素113の側壁並びに底部機能層ラミネート24の下面の一部並びに甲部機能層ラミネート17及び外側材料11の下端を取り囲む。周囲ソール要素84のソール材料は、ネットバンド15を通過し、シュトローベルステッチ30を通過して浸透し、それによって、上側組立体の上側部分10と下側部分20との間の接続領域をシールする。
換気コンテナ要素113及び周囲ソール要素84の下にアウトソール94が設置される。
図6aは、別の実施形態に従った靴305aの断面図である。外側材料11、甲部機能層ラミネート17、底部機能層ラミネート24及びこれらの要素の接続部30は靴304bのそれぞれの要素とほとんど同じなので、簡潔化のためにこれらの要素の説明を省略する。
しかし、靴305a並びに図6b、7a及び7bに示す305b、306a及び306bは、換気コンテナ要素113が側面において周囲ソール要素によって取り囲まれず、靴のこの下側領域において靴の側方延長範囲全体を横切って延びるので、これまでに説明した靴と非常に異なる。
換気コンテナ要素113は、その側壁102に開口部114を備える。開口部114は、環境と、特に靴305aの下部分の側面外部と直接空気を流通できる。このようにして、靴の内部から換気コンテナ要素114を通過して非常に効果的に水蒸気を排出できる。
靴305aは、アウトソール95を備え、アウトソールは、換気コンテナ要素113の下方に配置され、側方延長範囲において換気コンテナ要素と同じ広がりを持ち、その下側領域において靴305aの側方延長範囲全体を横切って延びる。任意の要素として、アウトソールは、踏面構造を備える。
フィラー構造体65は、換気コンテナ要素113の底部103及び側壁102によって形成された換気コンテナ要素113の内部空間の中に配置される。フィラー構造体65は、流路網160を備え、靴305aの内部から底部機能層ラミネート24を通過して流路網へ水蒸気が排出される。底部機能層ラミネート24及びフィラー構造体65の流路構造体160は実質的に靴の内部の水平部分全体を横切って延びるので、靴の内部からの水蒸気の排出は、実質的にこの水平部分全体に亘って生じる。
コンフォート層40は、底部機能層ラミネート24とフィラー構造体65との間に配置される。
周囲接続要素85は、靴305aの上側組立体の下側部分/領域を取り囲み、換気コンテナ要素113の上面の側面端部を被覆する。周囲接続要素85は、上側組立体と換気コンテナ要素113の上面の前記側面端部の両方に取り付けられる。このようにして、上側組立体と換気コンテナ要素113との間の取付けは周囲接続要素85によって行われる。周囲接続要素85は、換気コンテナ要素113に付けて射出成形できる。周囲接続要素85を、上側組立体と換気コンテナ要素113との間の唯一の取付け形体とすることができる。しかし、これに加えて、たぶんコンフォート層40を含めた換気コンテナ要素113を上側組立体に糊付けまたは別の方法で取り付けできる。
周囲接続要素85の材料は、ネットバンド15を通過して靴305aの上側組立体の上側部分10と下側部分20との間の接続領域30まで浸透する。このようにして、周囲接続要素85は、接続領域30特にシュトローベルステッチ30において防水シールを形成する。
周囲接続要素85は、換気コンテナ要素113の側方延長範囲を越えて延びる側方突起部を有する。この付加的なソール材料は、使用時に周囲接続要素85の中に誘発される応力を引き受けるのに役立つので、非常に耐久性のある構造が得られる。
底部機能層ラミネート24と甲部機能層ラミネート17との間の接続部30を別の方法例えばシールテープでシールすることも可能である。この場合、周囲接続要素は、単に換気コンテナ要素113を上側組立体に取り付ける目的で射出成形される。
図6bは、別の実施形態に従った靴305bの断面図である。靴305bは、周囲接続要素85を除けば、靴305aと同じである。靴305bの周囲接続要素85は、換気コンテナ要素113の外周上縁を被覆し、換気コンテナ要素113上面の側面端部及び換気コンテナ要素113の側壁102の開口部上方にある換気コンテナ要素113の側壁部分を被覆する。このようにして、上側組立体の下側部分と換気コンテナ要素113との間に強力な他方向の取付けが得られる。靴305bの換気コンテナ要素113は、靴のアウトソールを形成する。この実施形態においては、別個のアウトソールは設置されない。ただし、別個のアウトソールを設置することも可能である。
図7aは、別の実施形態に従った靴306aの断面図である。
靴306aの上側組立体は、上述のように甲材料11と甲部機能層ラミネート17とを有する上側部分10と、通気性または穿孔インソール25と底部機能層ラミネート24とを有する下側部分20とを備える。底部機能層ラミネート24は、上から下へ、防水・通気性底部薄膜21と支持布地22とを備える。甲部機能層ラミネート17は、シュトローベルステッチ30を介してインソール25に接続される。底部機能層ラミネート24は、底から防水性接着シーラント28を介して甲部機能層ラミネート17に糊付けされる。防水性接着シーラント28は、メッシュ12に浸透して、防水性接着シーラント28を介して底部薄膜21と甲部薄膜13との間の防水シールが生じる。このようにして、防水・通気性上側組立体が形成される。底部機能層ラミネート24を、底部薄膜21の上にメッシュを有する3層ラミネートとすることもでき、防水性接着シーラント28がこのメッシュに浸透して、2つの薄膜の間に防水シールを与える。また、底部機能層ラミネート24は、底部薄膜21の上に配置された支持布地22を持つことができ、支持布地は防水性接着シーラント28が浸透するように作られる。甲材料11は甲材料11の重なり部分が底部機能層ラミネート24の下方に位置するように、底部機能層ラミネート24の下面にラスティング糊26で糊付けされる。
インソール25を省略して、例えば防水性シーラントを使用してまたはシール材が縫い目の中及びその周りに浸透するようにシール材をラミネート間の接続領域に射出してまたは防水性のシームテープを使用してラミネート間の接続領域が防水式にシールされるように甲部機能層ラミネート17を底部機能層ラミネート24に縫い付けまたは糊付けできる。または、インソールは、防水式に接続された2つのラミネートの下方に配置できる。
靴306aは、さらに換気コンテナ要素113とアウトソール96とを備える。アウトソール96は、換気コンテナ要素113の下方に実質的に換気コンテナ要素113の側方延長範囲全体を横切って配置される。換気コンテナ要素113は、空気の流れの通過を許容するフィラー材料112を備える。フィラー材料112の代わりに、上述のような流路網を有するフィラー構造体を設置することもできる。換気コンテナ要素113は、その側壁102に開口部114を備え、これを通過して、フィラー材料112と換気コンテナ要素113の外部との間の空気の流通が確立される。換気コンテナ要素は靴306aの側方延長範囲全体に延びるので、換気コンテナ要素113の側壁102の開口部114は、フィラー材料112と靴306aの側面環境との間の空気の流れを許容する。靴内部からインソール25を通過し、底部機能層ラミネート24を通過し、フィラー構造体112を通過し、換気コンテナ要素113の側壁102の開口部114を通過する水蒸気排出経路が形成される。
換気コンテナ要素113は、ソール接着剤またはセメント27を介して上側組立体に糊付けされる。ソール接着剤は、換気コンテナ要素113の上外周部すなわち側壁102に近接する換気コンテナ要素113の上面の部分と、靴型が嵌められた甲材料11の部分との間に配置される。
図7bは、別の実施形態に従った靴306bの断面図である。換気コンテナ要素113、フィラー材料112及びアウトソール96は、図7aの靴306aと同じである。
ただし、靴306bの上側組立体は、靴306aの上側組立体とは異なる。靴306bの上側組立体は、上側組立体の内面全体を覆って配置される防水・通気性薄膜18を備える。薄膜18は、着用者の足の周りに防水・通気性袋を形成する三次元薄膜/機能層である。薄膜18は、上側組立体の上側部分10並びに下側部分20を覆って延びる。特に、薄膜は、上側組立体の側面部分並びに着用者の足の裏面に関連する上側組立体の実質的に水平部分を覆って延びる。薄膜18は、接着剤28でインソール25に糊付けされる。インソールは、上側組立体の実質的に水平部分において薄膜18の下方に配置される。接着剤28は図7bに示すように外周に使用されるか、または点状にまたはインソール25の延長範囲全体に使用できる。ただし、通気性接着剤を使用する。上側組立体は、甲材料11を備える。甲材料は、インソール25の側面端部を被覆して靴型に嵌められ、ラスティング糊26を介してインソールの側面端部に糊付けされる。この場合にも、換気コンテナ要素113は、ソール接着剤27を介して上側組立体に糊付けされる。
薄膜18の代わりに、防水・通気性薄膜及び支持布地及び/またはメッシュを備える機能層ラミネートを使用できる。
図7bの実施形態において、上側組立体の上側部分10及び下側部分20を覆って延びる機能層配列体は、1つの機能層(または1つの機能層ラミネート)のみで構成される。前に説明した実施形態において、機能層配列体は、甲部薄膜13と底部薄膜21とによって、特に甲部機能層ラミネート17と底部機能層ラミネート24とによって形成される。
以上に説明した実施形態において、当業者には明らかなように、多くの修正を加えることができる。
例えば、上側組立体は、本発明に係わる靴の通気性下側部分の有利な効果を得るために防水性である必要はない。防水性ではない靴にも、周囲ソール要素またはその他のソール要素を持つまたは持たない換気コンテナ要素を応用できる。
修正の別の実施例として、射出成形の代わりに、上述の実施形態のソール要素を製造するために他の技術を使用できる。例えば、鋳造工程において、型の中へ流路網を有するフィラー構造体を注入できる。加硫は、もう1つの周知のソール製造工程である。
別の代表的修正は、既述の2層底部機能層ラミネートに関係する。また、底部薄膜の下方または上方に第三の層を有する3層底部機能層ラミネートを設置することも可能である。ソール要素または取付け手段が射出成形される場合、第三層を薄膜の下方に配置することができ、第三層は、底部薄膜と甲部薄膜との間のシールを生じるように、射出成形時に材料が浸透できるようにするメッシュまたは別の適切な材料を備えることができる。底部薄膜の下方または上方にメッシュの代わりの支持布地と一緒に2層底部機能層ラミネートを設置することも可能である。支持布地は、2つの機能層の間に防水性シールが得られるように、射出成形時にシーリング/取付け材料がまたは甲部ラミネートと底部ラミネートを糊付けするとき接着剤またはシーラントが浸透するように作られる。
また、靴の固有の安定性要件に応じて、換気コンテナ要素の厚み及び材料を選択できる。1つの極端な例において、換気コンテナ要素は、着用者の体重に対する耐荷構造体である。他の極端な例において、換気コンテナ要素は、換気コンテナ要素とその外部との間の機能上の明確な分離のための単なる境界である。また、フィラー構造体または材料は、靴のコアとなるこの部分の安定性に関して役割を果たすので、換気コンテナ要素に選択される厚み及び材料は、それぞれのフィラー構造体または材料に応じて選択できる。
また、本発明に係わる上側組立体/ソール組立体/靴の製造には多くの変形方法がある。代表的方法は下記のとおりである。
フィラー構造体は、別個の工程で予備製造される。フィラー構造体は、換気流路を持つ独立気泡ポリウレタン格子とすることができる。いわゆるPUブロッカは、型のボトムピストンの上に置かれるか、またはPUブロッカの代わりに特殊なボトムピストンが使用される。PUブロッカは、型内部において所望の領域へのポリウレタンの流れを制御する道具、より正確にはプレースホルダである。中にフィラー構造体が配置された換気コンテナ要素は、PUブロッカの上に配置される。上側組立体の残り部分と一緒に靴型が型の中へ下げられ、型が閉鎖される。ポリウレタンを用いた第一射出成形ステップにおいて、換気コンテナ要素がポリウレタンによって上側組立体の残り部分に付着される。ポリウレタンは、ポリウレタンの換気コンテナ要素のカラーを2層ラミネート及び/またはネットバンドにシール/固定する。上から見ると、第一射出ステップから得られたポリウレタンシールは、換気コンテナ要素の周りのカラーの形状に合致する細長いO型を描く。換気コンテナ要素は、第一射出ステップによってポリウレタンの中に完全に埋め込まれず、カラーのみがポリウレタンによって被覆される。代表的実施形態において、ネットバンドは8ミリメートルの幅であり、第一射出ステップによるポリウレタンは、そのうち4ミリメートルを被覆する。別の形態において、ポリウレタンは、カラーと底部2層ラミネートの間のみをシールする。次に、型を開いて、上側組立体と一緒に靴型を持ち上げる。換気コンテナ要素は、上側組立体の残り部分に付着している。従って、この時点で上側組立体は完成する。PUブロッカが型から取り外される。ゴムのアウトソールが型の中でボトムピストンの上に置かれる。上側組立体と一緒に靴型が下げられ、側面フレームのピンを持つ型が再び閉鎖され、第二のPU射出が実施され、周囲ソール要素が生成される。側面通路及び換気コンテナ要素の開口部を通過する空気の流れの導管は、レーザーによって、またはロボットが熱い針または換気コンテナ要素の壁から材料を熱的に除去するその他の手段を保持して機械的に、生成または精製される。
別の代表的変形において、開口及び/または少なくとも1つの側面通路は、最初の使用前に取り除くことができる挿入物を備えることができる。特に、挿入物は、開口部または側面通路の周りの材料特に換気コンテナ要素及び/または周囲ソール要素に接続できる。ただし、着用者が手で挿入物を取り外せるように、この種の取付けは弱くすることができ、例えば、取付けは局所的な取付け点しか持たない。このようにして、開口部または側面通路が出荷及び販売の過程において埃が入らないようにしながら、開口部または側面通路を使用者が簡単に完成できるようにする。このように取り付けられた挿入物は、例えば、周囲ソール要素を成形するための型に中空ピンを備えることによって得ることができる。ピンは、後に形成される靴の側面通路の長さ全体に延びない。このようにして、その内側端において周囲ソール要素に接続される挿入物が形成される。取付け領域すなわち、ピンの長さと側面通路の延長との間のデルタは、使用者が挿入物を引っ張ることによってこの取付け部を破壊できるように選択できる。このような取付けピンを製造する別の方法においては、中実のすなわち開口部または側面通路を持たない通気コンテナ要素及び/または周囲ソール要素を形成し、通気コンテナ要素及び/または周囲ソール要素の中へ開口部及び/または側面通路の外周に沿って切削しながら、後に形成される開口部または側面通路の内側領域の材料を取り除かない。外周に沿った切削は、使用者が開口部または側面通路の中の残留材料をほとんど苦労なしに取り除くことができるように、行われる。
機能層/薄膜の定義− 機能層は例えば薄膜または対応する処理または仕上げの材料例えばプラズマ加工を施した布地の形式の水蒸気透過性かつ防水性の層である。底部機能層(底部薄膜とも呼ぶ)と甲部機能層(甲部薄膜とも呼ぶ)の両方は、多層の、概して2層、3層または4層ラミネートの一部となることができる。底部機能層及び甲部機能層は、ソール側のシャフト配列の下部エリアにおいて防水であるようにシールされる。底部機能層と甲部機能層は、1つの材料から形成できる。
防水性・水蒸気透過性機能層に適する材料は、特に、US−A−4725418号及びUS−A−4493870号において記述されるような、ポリエーテルエステル及びそのラミネートを含めたポリエステル、ポリウレタン及びポリオレフィンである。1つの変形において、機能層は、例えばUS−A3953566号及びUS−A−4187390号において記述される微小孔延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)及び親水性含浸剤及び/または親水層を備える延伸ポリテトラフルオロエチレン(例えば、US−A−4194041号)で構成される。微小孔性機能層は、その平均有効孔径が約0.1〜約2μm、好ましくは0.2μm〜0.3μmである機能層を意味するものとする。
ラミネートの定義− ラミネートは、概して相互糊付けまたはシーリングによって永久的に接合された数層から成る複合材料である。機能層ラミネートにおいて、防水性かつ/または水蒸気透過性機能層は少なくとも1つの布地層を備える。本明細書においては、2層ラミネートについて述べる。3層ラミネートにおいては、2つの布地層に防水・水蒸気透過性機能層が埋め込まれる。機能層と少なくとも1つの布地層との間の接続は、不連続の糊または接着剤層によってまたは水蒸気透過性糊の連続層によって得られる。1つの実施形態において、糊は、機能層と布地層の一方または両方との間に点状に塗布できる。水蒸気透過性ではない糊を表面全体の層とすると、機能層の水蒸気透過性を妨害するので、糊は点状または不連続に塗布される。
防水性の定義− 機能層/機能層ラミネート/薄膜は、機能層/機能層ラミネートに与えられた縫い目を任意に含めて、少なくとも1×104Paの水進入圧力を保証する場合、「防水性」とみなされる。機能層材料は、1×105Pa超えの水進入圧力に耐えることが好ましい。水進入圧力は、20±2℃の蒸留水を100cm2の機能層サンプルに圧力を上げながら与えるというテスト方法に従って測定される。水の圧力増大は60±3cmH2O/分である。水進入圧力は、水がサンプルの反対側に最初に現れた圧力に相当する。手順の詳細は、1981年からのISO規格0811において規定される。
靴が防水性か否かは、例えばUS−A−5329807号において説明されるタイプの遠心配列を用いてテストできる。
水蒸気透過性/通気性の定義− 機能層/機能層ラミネートは、150m2×Pa×W-1未満の水蒸気透過性数Retを持つ場合、「水蒸気透過性」とみなされる。水蒸気透過性はホーエンシュテイン皮膚モデルに従ってテストされる。このテスト方法は、DIN EN 31092(02/94)及びISO 11092(1993)において説明される。
空気の流れ/空気の流通を許容するの定義− 空気の流れは、圧力勾配、温度勾配及び水蒸気濃度の勾配によって変化する。「空気の流れの通過を許容する」及び「空気の流通」と言う用語は、最小限の圧力差(<1000Pa、特に<100Pa、さらに<10Paで、1Pa以上)で、例えば最小限の風により、足の運動によりまたは歩行運動により大量の空気の移動が生じることを意味する。流路構造体、スペーサ材料または離散的フィラー要素の間の空隙は、空気の流れの通過を許容する構造/材料である。これに対して、ほとんどの材料は、高圧のとき空気の流れの通過を許容し、これは空気の流れの通過を許容することを意味しない。水蒸気は、低圧で、微小多孔性材料または空気など特定の材料を通過して拡散するかも知れない。しかし、この種の拡散は、それ自体で、本発明の意味するところでフィラー構造体または材料を通過する排出に寄与するのに充分ではない。水蒸気を靴の外まで一緒に運ぶ空気の流れが必要とされる。また、フィラー構造体または材料の中に水蒸気を吸収してこれを靴の外部へ運び出すことができる「未装てん(unloaded)」の空気が靴の中へ流れ込む。フィラー構造体または材料を通過する水蒸気の拡散は有利であるかも知れないが、本発明の意味する空気の流れを確立するには不十分である。