JP2016133335A - 分析用具および分析システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 内蔵された液体の適切な保存と流動制御とを両立可能な分析用具および分析システムを提供すること。【解決手段】 分析用具A1は、試薬8が貯蔵された貯蔵槽11と、貯蔵槽1に繋がる受容空間13と、受容空間13を塞ぎ、且つ試薬8の通過を阻止するとともに、破砕可能な破砕膜2と、破砕膜2に対して受容空間13とは反対側の外側に位置し、且つ破砕前の破砕膜2が存在する位置を超えて受容空間13内に進入するように変形可能な変形膜3と、試薬8を用いた分析を行う分析部と、を備える。【選択図】 図7
Description
本発明は、分析用具および分析システムに関する。
近年、医療分野や環境測定分野において、分析に必要な試料調製および分析処理などを1つの分析用具内において完遂する分析用具およびこの分析用具が装填される分析装置からなる分析システムが提案されている。このような分析用具は、たとえば一回の分析に必要な試薬を内蔵しており、一回の分析を終えた後には廃棄される、いわゆるディスポーザブルタイプの分析用具として構成されている。
図14および図15は、従来の分析用具の一例を示している(特許文献1参照)。同図に示す分析用具Xは、基材91、中間膜92および変形膜93を備えている。基材1には、流路94が形成されており、変形膜93には、流路95が形成されている。中間膜92には、流路94および流路95を繋ぐ開口92aが形成されている。変形膜93は、比較的弾性変形が容易な材質からなり、弁部93aを有する。
図14に示す状態においては、流路94と流路95とが開口92aを通じて繋がっており、試薬や試料などの液体が互いを流動することが許容されている。一方、図15においては、たとえば分析装置に設けられた押圧手段96によって変形膜93が図中下方に押圧されている。これにより、変形膜93が弾性変形し、弁部93aが開口92aを塞ぐ。この結果、流路94と流路95とを行き交う流動が阻止される。図14に示す状態と図15に示す状態とを適宜選択することにより、分析用具X内における液体の流動を制御することができる。
しかしながら、変形膜93を構成する弾性変形容易な材質は、微視的には多孔質体であることが一般的である。このような変形膜93は、長期的観点からは、液体を完全に封止する材質とは捉えられない。このため、たとえば、分析用具Xに内蔵された試薬などの液体が、長期間に及ぶ保存期間などにおいて、蒸発や変質を生じてしまうおそれがある。
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、内蔵された液体の適切な保存と流動制御とを両立可能な分析用具および分析システムを提供することをその課題とする。
本発明の第1の側面によって提供される分析用具は、液体が貯蔵された貯蔵槽と、前記貯蔵槽に繋がる受容空間と、前記受容空間を塞ぎ、且つ前記液体の通過を阻止するとともに、破砕可能な破砕膜と、前記破砕膜に対して前記受容空間とは反対側の外側に位置し、且つ破砕前の前記破砕膜が存在する位置を超えて前記受容空間内に進入するように変形可能な変形膜と、前記液体を用いた分析を行う分析部と、を備える。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記破砕膜および前記変形膜の間に位置し、且つ前記受容空間とは前記破砕膜によって区画された流路用空間と、前記流路用空間と前記分析部とに繋がる流路と、を備える。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記受容空間が形成され、且つ前記破砕膜が接合された基材と、前記基材および前記破砕膜の少なくとも一方に前記変形膜を接合する接合層と、をさらに備えており、前記接合層には、厚さ方向視において前記受容空間と重なる開口が設けられており、前記流路用空間は、前記破砕膜、前記変形膜および前記開口によって規定された空間によって構成されている。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記変形膜は、押圧手段によって前記受容空間に向けて延伸されることにより、前記受容空間を通じた前記液体の流動を阻止しうる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記受容空間は、前記貯蔵槽につながる連結口が設けられており、且つ前記破砕膜の厚さ方向と直角である方向において前記連絡口よりも前記貯蔵槽側に位置する部分を有する。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記受容空間は、前記破砕膜から内側に離間するほど断面形状寸法が小となる部位を有する形状であり、且つ最も内側に位置する部位に前記連結口が設けられている。
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の前記貯蔵槽およびこれらの貯蔵層に対応する複数の前記受容空間を備える。
本発明の第2の側面によって提供される分析システムは、本発明の第1の側面によって提供される前記分析用具と、前記分析用具が装填され、且つ前記変形膜を外側から押圧する押圧手段を備える分析装置と、を備える。
本発明の一態様によれば、いまだ使用前である保管状態などにおいては、前記破砕膜によって前記受容空間が塞がれている。このため、前記貯蔵槽に貯蔵された前記液体が蒸発したり浸透したりすることが、前記破砕膜によって阻止される。一方、前記押圧手段によって前記変形膜が前記受容空間に進入するように延伸されると、前記破砕膜が破砕される。この結果、前記破砕膜が破砕された後は、前記貯蔵槽の前記液体は、前記受容空間を通じて流動可能となる。したがって、内蔵された前記液体の適切な保存と流動制御とを両立可能である。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1、図2および図7は、本発明の第1実施形態に基づく分析用具および分析システムを示している。本実施形態の分析システムB1は、分析用具A1および分析装置7を備えている。
図1は、分析システムB1を示す斜視図である。図2は、分析用具A1を示す正面図である。図7は、図2のVII−VII線に沿う要部拡大断面図である。
分析システムB1は、医療分野や環境測定分野などにおける分析を行うためのシステムである。分析システムB1の分析における分析対象や分析手法は特に限定されない。一例として、医療分野における分析の場合、分析対象としては、血液、尿および汗などが挙げられ、分析手法としては、化学的分原理、電気的原理、光学的原理などを単独で用いた、あるいは組み合わせた手法を採用できる。
分析装置7は、分析用具A1が装填されることにより、上述した分析を実行するための装置である。分析用具A1における分析を行うために、分析装置7は、たとえば集中制御部、記憶部、表示部、インターフェース部などを備える(いずれも図示略)。集中制御部は、たとえばICチップであり、記憶部は、たとえばメモリチップであり、表示部は、たとえば液晶ディスプレイである。また、分析用具A1における液体の流動を発生させる動力源として、分析装置7は、たとえばポンプ(図示略)を備える。このポンプは、吐出および吸引のいずれのタイプであってもよい。また、分析装置7には、ポンプからの吐出力あるいは吸引力を分析用具A1の適所に作用させるためのノズルおよびチューブなど(いずれも図示略)が適宜実装される。ポンプは、上述した集中制御部によってその動作が制御される。
分析装置7は、押圧ロッド71を備えている。押圧ロッド71は、分析用具A1の適所を押圧する押圧手段の一例である。押圧ロッド71は、たとえば略円柱形のロッドが長手方向において進退自在とされたものである。押圧ロッド71を進退させる機構は特に限定されず、モーター、エアシリンダ、バネなどを用いた各種の機構を採用すればよい。また、後述する分析用具A1における流動制御においては、分析用具A1の複数箇所を押圧することが好ましい。これを実現すべく、押圧ロッド71の分析用具A1に対する位置を変更自在の構成としてもよいし、複数の押圧ロッド71を備える構成としてもよい。図示された構成は、複数の押圧ロッド71を備える例である。なお、分析装置7に備えられた押圧ロッド71は、破砕膜2および変形膜4を押圧する手段の具体的構成の一例であり、かかる手段の具体的構成はこれに限定されない。押圧するための手段の一部または全部が、分析用具A1に具備されていてもよい。具体的には、破砕膜2および変形膜4を押圧する部分を分析用具A1に具備し、この押圧する部分を駆動する駆動源を分析装置7に備えてもよいし、押圧する部分および駆動源の双方を分析用具A1に具備してもよい。
分析用具A1は、基材1、破砕膜2、接合層3、変形膜4および裏面封止膜5を備えている。本実施形態においては、分析用具A1は、一回の分析を行った後に廃棄されるディスポーザブルタイプの分析用具として構成されている。
基材1は、分析用具A1の土台となるものであり、板状の部材である。基材1の材質は特に限定されないが、液体の浸透を妨げる材質が好ましく、一例としてたとえばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)などの樹脂が挙げられる。基材1は、表面1aおよび裏面1bを有する。表面1aおよび裏面1bは、基材1の厚さ方向において互いに反対側を向く。なお、図3は、基材1を示す正面図である。
基材1には、貯蔵槽11、連絡流路12、受容空間13、供給流路15、集合流路16、分析部17および排出槽18が形成されている。また、本実施形態においては、1つの基材1(分析用具A1)に複数の貯蔵槽11と、これらに対応する複数の連絡流路12、複数の受容空間13および複数の供給流路15が設けられている。複数の貯蔵槽11には、異なる種類の試薬8が貯蔵されてもよいし、試薬8以外の液体であるたとえば希釈液や洗浄液が貯蔵されてもよい。
貯蔵槽11は、分析用具A1内において分析に用いられる液体を貯蔵する槽である。このような液体としては、試薬、希釈液および洗浄液などが挙げられる。本実施形態においては、貯蔵槽11は、分析用具A1が分析装置7に装填された状態において鉛直方向上方に位置する箇所に設けられている。貯蔵槽11は、基材1の裏面1bから凹む凹部によって構成されている。本実施形態においては、貯蔵槽11には、液体の一例に相当する試薬8が貯蔵されている。この試薬8の貯蔵量は、分析システムB1における一回の分析に必要となる量程度である。
連絡流路12は、貯蔵槽11と受容空間13とを繋ぐ流路である。図示された例においては、連絡流路12は、基材1の裏面1bから凹む溝によって構成されている。なお、連絡流路12の構成は特に限定されず、たとえば接合層3またはこれと類似の要素に設けられた切欠きまたは溝と、破砕膜2またはこれと類似の要素とによって構成されてもよい。
受容空間13は、後述する変形膜4の基材1内方への延伸を受容する空間である。また、本実施形態においては、さらに、受容空間13の内壁と延伸された接合層3とが当接することにより、弁機能を果たす部位となっている。受容空間13の形状は、係る機能を果たす形状であれば特に限定されないが、本実施形態においては、受容空間13は、円柱部131、円錐部132および連絡口133を有している。
円柱部131は、基材1の表面1aから凹む凹部であり、基材1の厚さ方向視において円形状である。円錐部132は、円柱部131に対して内方から繋がっており、基材1の厚さ方向において円柱部131から離間するほど断面形状が小となる円錐形状である。すなわち、円錐部132は、破砕膜2から厚さ方向において内側に離間するほど断面形状寸法が小となる部位の一例に相当する。
連絡口133は、受容空間13と連絡流路12とが繋がる部位である。本実施形態においては、連絡口133は、円錐部132の底部に設けられている。これにより、連絡口133は、基材1の厚さ方向視において受容空間13の略中央に位置している。また、このような構成の受容空間13は、基材1の厚さ方向(後述する破砕膜2の厚さ方向)と直角である方向である図中上下方向において連絡口133よりも貯蔵槽11側に位置する部分を有する構成となっている。
供給流路15は、貯蔵槽11からの試薬8などの液体を分析部17に供給するための流路である。本実施形態においては、供給流路15は、基材1の表面1aから凹む溝によって構成されている。さらに、本実施形態においては、供給流路15は、受容空間13から貯蔵槽11とは反対側の図中下方に向けて延びている。集合流路16は、複数の供給流路15が合流する流路である。本実施形態においては、集合流路16は、基材1の表面1aから凹む溝によって構成されている。
分析部17は、分析対象の分析を行うための場となるものである。分析部17の構成は、分析手法が依拠する原理に応じて、種々の構成とされる。たとえば、分析対象としての血液と貯蔵槽11に貯蔵された試薬8との化学的な反応を利用した手法を採用した場合、分析部17は、外部から血液の導入が可能な開口などを有し、また、集合流路16から試薬8が供給可能な構成とされる。
排出槽18は、分析部17に対して下流側に配置されており、分析を実行するために使用された分析対象、試薬、希釈液、洗浄液などが排出される槽である。
破砕膜2は、受容空間13を塞ぎ、且つ液体の通過を阻止するとともに、破砕可能な膜である。なお、本発明において破砕可能であるとは、受容空間13を塞ぎ、且つ液体の通過を阻止する破砕前の状態から、液体の通過を許容する状態に変態可能であることをいう。このような破砕を実現する手法としては、たとえば押圧などの外力、熱応力などの内力、加熱による溶解および焼失、化学反応による溶解などを用いたものが挙げられる。以降の実施形態においては、外力を利用した場合について説明する。具体的には、図7に示すように、破砕膜2は、基材1の表面1aに接合されている。破砕膜2の接合は、たとえば接着剤によってなされる。この接着剤は、極薄い層となり、図中においては省略されている。破砕膜2は、少なくとも受容空間13を塞ぐように設けられていればよく、基材1の表面1aの一部が破砕膜2から露出していてもよい。破砕膜2の材質としては、液体の通過を阻止するとともに、破砕可能なものであればよく、本実施形態においてはアルミなどの金属からなる薄膜が用いられる。
図4は、破砕膜2を示す正面図である。図4および図7に示すように、破砕膜2には、開口21が形成されている。開口21は、破砕膜2を貫通しており、基材1の厚さ方向視において、受容空間13から退避した位置に設けられており、供給流路15の端部に重なっている。本実施形態においては、複数の貯蔵槽11に対応して複数の供給流路15が設けられている。破砕膜2には、複数の供給流路15に対応した複数の開口21が設けられている。
接合層3は、変形膜4を基材1および破砕膜2の少なくとも一方に接合する層である。本実施形態においては、接合層3は、変形膜4の大部分を破砕膜2に接合している。なお、本実施形態とは異なり、破砕膜2が基材1の表面1aの一部を露出させている場合、接合層3は、変形膜4を基材1の表面1aに接合してもよい。また、接合層3は、上述した破砕膜2を基材1に接合する接着剤と比べて肉厚の層であり、たとえば100μm程度である。
図5は、接合層3を示す正面図である。図1,図5および図7に示すように、接合層3は、複数の開口31を有している。開口31は、接合層3を貫通しており、基材1の厚さ方向視において基材1の受容空間13および破砕膜2の開口21に重なっている。開口31の形状は特に限定されないが、相対的に大サイズの受容空間13と相対的に小サイズの開口21とに重なる形状として、涙型とされている。
変形膜4は、破砕膜2に対して基材1の受容空間13とは反対側の外側に位置し、且つ破砕前の破砕膜2が存在する位置を超えて受容空間13内に進入するように変形可能である。このような変形を実現しうる変形膜4として、本実施形態においては、弾性変形可能な変形膜4を例に説明するが、変形膜4の具体的構成はこれに限定されない。たとえば、破砕膜2よりも顕著に破砕し難く、且つ屈曲変形が可能な材質からなる変形膜4を採用してもよい。この場合、変形膜4は、受容空間13内に進入することが可能な大きさとされており、受容空間13に進入しない通常時は、たとえば弛んだ状態で受容空間13の外方に待機可能であればよい。図6は、変形膜4を示す正面図である。図1、図4および図7に示すように、本実施形態においては、変形膜4は、少なくとも受容空間13や開口31に重なる位置においてなんら開口などが設けられていない。また、変形膜4は、全面にわたって厚さが一定とされている。なお、変形膜4の形状や厚さ分布は、特に限定されない。また、後述する分析用具A1を用いた分析システムB1の分析を達成可能であれば、変形膜4は、基材1の一部に相当する領域のみに設けられていてもよい。
本実施形態の変形膜4は、押圧ロッド71によって押圧されることにより、破砕膜2を破砕する程度に受容空間13に進入すべく弾性変形可能な材質が選定され、さらに本実施形態においては、受容空間13の内面に密着する程度に弾性変形可能な材質が選定される。このような材質としては、シリコーン樹脂またはゴム、エラストマなどが挙げられる。
また、分析用具A1は、流路用空間14を有する。流路用空間14は、破砕膜2および変形膜4の間に位置し、且つ受容空間13とは破砕膜2によって区画されている。さらに、本実施形態においては、流路用空間14は、破砕膜2、変形膜4および開口31によって規定された空間によって構成されている。図7に示した状態において、流路用空間14は、破砕膜2によって受容空間13と区画されている一方、破砕膜2の開口21を通じて供給流路15と繋がっている。
裏面封止膜5は、基材1の裏面1bに接合されており、基材1に形成された貯蔵槽11、連絡流路12などを塞ぐ機能を果たす。裏面封止膜5の材質は、試薬8などの液体を長期間にわたって通過させない材質であればよく、樹脂、金属などが適宜用いられる。
次いで、図7〜図11を参照しつつ、分析用具A1および分析システムB1による分析方法の一例について説明する。
図7は、保管されていた分析用具A1が分析を行うために分析装置7に装填された状態を示している。同図に示すように、分析用具A1は、受容空間13に対して貯蔵槽11が鉛直方向上方に位置するように装填されている。このような配置により、図示された例においては、受容空間13のすべてが試薬8によって満たされているが、受容空間13の一部または全部に空気などの気体が滞留する場合も有り得る。本実施形態においては、分析装置7に装填された分析用具A1の複数の受容空間13それぞれの正面に、押圧ロッド71が位置する構成である場合を例に説明する。
図8は、図示された貯蔵槽11に貯蔵された試薬8を分析方法の一処理に用いる際の工程を示している。図示された押圧ロッド71を図中左方に移動させることにより、変形膜4のうち基材1の厚さ方向において受容空間13と重なる部位を押圧する。この押圧によって変形膜4は、受容空間13に進入するように延伸される。この延伸された変形膜4によって、破砕膜2が破砕される。この結果、押圧ロッド71を図中右方に退避させると、破砕膜2による受容空間13の封止が解かれる。
次いで、図9および図10に示すように、試薬8を貯蔵槽11から分析部17へと送る。この送液には、分析装置7の上述したポンプの吐出力または吸引力を利用する。ポンプの吸引力を利用する場合、たとえば、貯蔵槽11と排出槽18または排出槽18の下流側部分とに、開口(図示略)を設ける。貯蔵槽11側の開口は、大気開放とする。排出槽18側の開口には、ポンプに繋がるノズル等を固定する。そして、ポンプを駆動させると、おそれによって生じる圧力差によって、試薬8が貯蔵槽11から連絡流路12、受容空間13、流路用空間14、供給流路15、集合流路16を通じて分析部17へと送られる。
次いで、図10に示す複数の11のうち、いまだ封止状態である受容空間13に繋がる貯蔵槽11に貯蔵された試薬8などの液体のみを分析部17に送る工程を説明する。この工程においては、図8において封止が解除された受容空間13からは試薬8を送るべきでない。このため、図11に示すように、押圧ロッド71によって、変形膜4を再び押圧する。図8に示した押圧は、破砕膜2を破砕可能であれば十分であるが、本工程における押圧は、変形膜4を延伸させ、受容空間13の内面に確実に密着する程度とする。これにより、受容空間13が延伸された変形膜4によって塞がれることとなる。したがって、ポンプからの吸引力が図中の供給流路15や流路用空間14に及んでいても、図示された貯蔵槽11の試薬8は、送液されない。この結果、他の貯蔵槽11に貯蔵された試薬8などのみを分析部17へと送液することができる。
以降は、複数の貯蔵槽11に貯蔵された試薬8などの液体のうち分析に必要とされる液体を個別にあるいは混合して分析部17に順次送液することにより、分析用具A1を用いた分析システムB1による分析が完了する。
次に、分析用具A1および分析システムB1の作用について説明する。
本実施形態によれば、いまだ使用前である保管状態などにおいては、破砕膜2によって受容空間13が塞がれている。このため、貯蔵槽11に貯蔵された試薬8などの液体が蒸発したり浸透したりすることが、破砕膜2によって阻止される。一方、押圧ロッド71などの押圧手段によって変形膜4が受容空間13に進入するように延伸されると、破砕膜2が破砕される。この結果、破砕膜2が破砕された後は、貯蔵槽11の試薬8などの液体は、受容空間13を通じて流動可能となる。したがって、内蔵された試薬8などの液体の適切な保存と流動制御とを両立可能である。
また、破砕膜2と変形膜4との間には、流路用空間14が設けられている。流路用空間14は、破砕膜2がいまだ破砕されていない状態においては、受容空間13とは区画されている。このため、貯蔵槽11に貯蔵された試薬8などの液体は、流路用空間14に流れない。一方、破砕膜2が延伸した変形膜4によって破砕されると、受容空間13と流路用空間14とは、ただちに繋がる。これにより、貯蔵槽11に貯蔵された試薬8などの液体を、受容空間13から流路用空間14を通じて供給流路15へと速やかに送液する事ができる。
本実施形態においては、流路用空間14は、接合層3の開口31を破砕膜2および変形膜4によって塞ぐことによって構成されている。接合層3が設けられる主目的は、変形膜4を破砕膜2に接合することである。この接合層3に開口31を形成することにより、所望の位置に所望の形状および大きさの流路用空間14を配置することができる。また、流路用空間14を設けるための専用の部材を設ける必要がないという利点がある。
受容空間13に進入するように変形膜4を延伸することにより、図8に示す破砕膜2の破砕だけでなく、図11に示す受容空間13を通じた送液の阻止を行うことができる。すなわち、本実施形態においては、受容空間13は、破砕膜2を破砕するために必要な空間を確保するだけでなく、送液を制御する弁機能を実現する一部として利用される。これにより、より多様な送液制御をよりコンパクトな構成で達成することができる。
円錐部132を有する受容空間13は、受容空間13を塞ぐために押圧ロッド71を受容空間13に進入させた際に、基材1の厚さ方向視における受容空間13の中心に押圧ロッド71を位置させるセンタリング機能が期待できる。
複数の貯蔵槽11、連絡流路12、受容空間13、流路用空間14および供給流路15を有する構成とすることにより、試薬8をはじめとする異なる種類の液体を分析用具A1に貯蔵しておくことができる。そして、これらの液体のそれぞれを独立して所望のタイミングで分析部17へと送液することができる。これは、より複雑な分析を行うのに適している。
図12および図13は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図12は、本発明の第2実施形態に基づく分析用具および分析システムを示している。本実施形態の分析システムB2に用いられる分析用具A2は、流路用空間14の具体的構成が上述した分析用具A1と異なっている。
分析用具A2においては、変形膜4に凹部41が形成されている。凹部41は、変形膜4のうち破砕膜2側に位置する面から凹んでいる。基材1の厚さ方向における凹部41の形状および位置は、たとえば分析用具A1における開口31と同様である。本実施形態においては、流路用空間14は、凹部41と破砕膜2および変形膜4とによって規定された空間によって構成されている。なお、本実施形態においては、変形膜4は、極薄い層をなす接着剤などによって破砕膜2に接合されていればよい。あるいは、図示された構成に加えて、分析用具A1における接合層3をさらに備えてもよい。この場合、流路用空間14は、接合層3の開口31および変形膜4の凹部41と破砕膜2および変形膜4とによって規定された空間によって構成される。
このような実施形態によっても、内蔵された試薬8などの液体の適切な保存と流動制御とを両立可能である。
図13は、本発明の第3実施形態に基づく分析システムに用いられる分析用具を示している。本実施形態の分析システムB3に用いられる分析用具A3は、流路用空間14の具体的構成が上述した実施形態と異なっている。
分析用具A3においては、基材1に凹部19が形成されている。凹部19は、基材1の裏面1bから凹んでいる。この凹部19のさらに内側に受容空間13が設けられている。図示された例においては、受容空間13は、円柱部131を有しておらず円錐部132のみからなる。また基材1の厚さ方向視における凹部19の寸法は、受容空間13よりも大とされている。凹部19(流路用空間14)の図中下端には、供給流路15が繋がっている。
凹部19の底部には、破砕膜2が接合されている。この破砕膜2は、受容空間13を塞ぐように凹部19内のみに接合されており、基材1の裏面1bは覆っていない。また、変形膜4は、破砕膜2を介することなく、基材1の裏面1bに直接接合されている。この接合は、極薄い層をなす接着剤などによってなされてもよいし、上述した開口31を有する接合層3によってなされてもよい。
分析用具A3においては、押圧ロッド71が凹部19を超えて受容空間13に進入するように変形膜4を押圧することにより、延伸された変形膜4によって破砕膜2が破砕される。また、押圧ロッド71をさらに前進させることにより、受容空間13を塞ぐ弁機能を実現することができる。
このような実施形態によっても、内蔵された試薬8などの液体の適切な保存と流動制御とを両立可能である。
本発明に係る分析用具および分析システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る分析用具および分析システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
A1〜A3 分析用具
B1〜B3 分析システム
1 基材
1a 表面
1b 裏面
11 貯蔵槽
12 連絡流路
13 受容空間
131 円柱部
132 円錐部
133 連絡口
14 流路用空間
15 供給流路
16 集合流路
17 分析部
18 排出槽
19 凹部
2 破砕膜
21 開口
3 接合層
31 開口
4 変形膜
41 凹部
5 裏面封止膜
7 分析装置
71 押圧ロッド
8 試薬
B1〜B3 分析システム
1 基材
1a 表面
1b 裏面
11 貯蔵槽
12 連絡流路
13 受容空間
131 円柱部
132 円錐部
133 連絡口
14 流路用空間
15 供給流路
16 集合流路
17 分析部
18 排出槽
19 凹部
2 破砕膜
21 開口
3 接合層
31 開口
4 変形膜
41 凹部
5 裏面封止膜
7 分析装置
71 押圧ロッド
8 試薬
Claims (8)
- 液体が貯蔵された貯蔵槽と、
前記貯蔵槽に繋がる受容空間と、
前記受容空間を塞ぎ、且つ前記液体の通過を阻止するとともに、破砕可能な破砕膜と、
前記破砕膜に対して前記受容空間とは反対側の外側に位置し、且つ破砕前の前記破砕膜が存在する位置を超えて前記受容空間内に進入するように変形可能な変形膜と、
前記液体を用いた分析を行う分析部と、
を備える分析用具。 - 前記破砕膜および前記変形膜の間に位置し、且つ前記受容空間とは前記破砕膜によって区画された流路用空間と、
前記流路用空間と前記分析部とに繋がる流路と、を備える、請求項1に記載の分析用具。 - 前記受容空間が形成され、且つ前記破砕膜が接合された基材と、
前記基材および前記破砕膜の少なくとも一方に前記変形膜を接合する接合層と、をさらに備えており、
前記接合層には、厚さ方向視において前記受容空間と重なる開口が設けられており、
前記流路用空間は、前記破砕膜、前記変形膜および前記開口によって規定された空間によって構成されている、請求項2に記載の分析用具。 - 前記変形膜は、押圧手段によって前記受容空間に向けて延伸されることにより、前記受容空間を通じた前記液体の流動を阻止しうる、請求項1ないし3のいずれかに記載の分析用具。
- 前記受容空間は、前記貯蔵槽につながる連結口が設けられており、且つ前記破砕膜の厚さ方向と直角である方向において前記連絡口よりも前記貯蔵槽側に位置する部分を有する、請求項4に記載の分析用具。
- 前記受容空間は、前記破砕膜から内側に離間するほど断面形状寸法が小となる部位を有する形状であり、且つ最も内側に位置する部位に前記連結口が設けられている、請求項5に記載の分析用具。
- 複数の前記貯蔵槽およびこれらの貯蔵層に対応する複数の前記受容空間を備える、請求項1ないし6のいずれかに記載の分析用具。
- 請求項1ないし7に記載の分析用具と、
前記分析用具が装填され、且つ前記変形膜を外側から押圧する押圧手段を備える分析装置と、
を備える、分析システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015006582A JP2016133335A (ja) | 2015-01-16 | 2015-01-16 | 分析用具および分析システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015006582A JP2016133335A (ja) | 2015-01-16 | 2015-01-16 | 分析用具および分析システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016133335A true JP2016133335A (ja) | 2016-07-25 |
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ID=56437870
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2016133335A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114834724A (zh) * | 2022-06-01 | 2022-08-02 | 常州市万弘包装有限公司 | 一种省材型组装式包装盒 |
-
2015
- 2015-01-16 JP JP2015006582A patent/JP2016133335A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN114834724A (zh) * | 2022-06-01 | 2022-08-02 | 常州市万弘包装有限公司 | 一种省材型组装式包装盒 |
CN114834724B (zh) * | 2022-06-01 | 2024-05-14 | 常州市万弘包装有限公司 | 一种省材型组装式包装盒 |
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