以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部を説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
(第1実施形態)
以下、(第1実施形態)図1〜図7により、本発明の第1実施形態を説明する。庫内に貯蔵された貯蔵品45を冷蔵するトレーラの側面から見た外観を図2に示す。庫内はトレーラに搭載されたコンテナの内部である。図2において、トレーラは、運転車両10dによって牽引される。トレーラ内を冷却する冷凍装置本体10bは、運転車両10dとトレーラ上のコンテナ100との間に設けられている。冷凍装置本体10b内には電源装置20dが設けられている。運転車両を駆動するエンジン以外のサブエンジンによって電源装置20d内の発電機が回されバッテリに充電される。このバッテリの電力は、サブエンジンの起動や後述する冷却用熱交換器用ファンや放熱器用ファンの駆動に用いられる。
図1は、コンテナ100の庫内を冷却する熱交換器等の機器配置を示し、コンテナ100の側面方向から見た配置を示している。図1において、コンテナ100の庫内から戻ってきた空気は貯蔵品温度検出手段を構成する吸込み温度検出手段23となる吸込み温度サーミスタによって戻り温度が検出される。この戻り温度Treは、庫内に貯蔵された青果物等の貯蔵品45の温度を反映している。
庫内から戻ってきた矢印Y31に示す空気は、冷却用熱交換器用ファン18aに吸引されて、冷却用熱交換器18内を通過する。冷却用熱交換器18は、貯蔵品45を保管する庫内に設けられ、庫内の空気を冷却する。そのために、二組設けられた圧縮機構11、12にて冷媒が冷却用熱交換器18に流され、冷媒が蒸発することにより空気が冷却される。冷却用熱交換器18を通過した空気は、加熱用熱交換器5を構成する電気ヒータを通過する。加熱用熱交換器5は、庫内を温める。
冷却用熱交換器18に冷媒を供給する一対の圧縮機構11、12は、圧縮機用カバーに包囲されて、コンテナの庫外に設けられている。また、この圧縮機構11、12により圧縮された冷媒の熱を外気に放熱する放熱器13と、外気を放熱器13に導く放熱器用ファン13aとが庫外に設けられている。吸込み温度検出手段23は、貯蔵品45の温度を間接的に検出する貯蔵品温度検出手段を構成している。
圧縮機構11、12、冷却用熱交換器用ファン18a及び放熱器用ファン13a及び加熱用熱交換器5を制御する制御装置20(図3)が設けられている。なお、制御装置20は、庫内を加熱又は保温する加熱制御手段(ステップS52、ステップS54、ステップS56)と、加熱又は保温された庫内を冷却する冷蔵制御手段(ステップS57)とを備える。
吸込み温度検出手段23は、図1のように、冷却用熱交換器用ファン18aの吸込み側の温度を検出する。加熱用熱交換器5は、ニクロム線又はPTCヒータからなる電気ヒータから構成され、冷却用熱交換器18を通過する空気の下流側に設けられている。制御装置20は、吸込み温度検出手段23の温度に基づいて、加熱用熱交換器5となる電気ヒータの通電を制御する。
更に、図1のように加熱用熱交換器5を通過した温風を庫内に導くダクト壁41と、ダクト壁41の先端部に設けられた吹出口41aとを備え、吹出口41aに庫内に吹き出される空気の温度を検出する吹出温度検出手段42を備えている。吹出温度検出手段42は吹出口41aから吹き出される空気の温度を検出するサーミスタから構成されている。
次に、冷凍サイクルについて説明する。図3は、本実施形態の二段昇圧式冷凍サイクル10の全体構成を示す。この二段昇圧式冷凍サイクル10は、コンテナ100内の貯蔵品45を冷蔵する冷凍装置に適用されており、冷却対象空間である庫内へ送風される送風空気を−30℃〜−10℃程度の極低温となるまで冷却する機能を果たす。
まず、二段昇圧式冷凍サイクル10は、図3に示すように、高段側圧縮機11a及び低段側圧縮機12aの2つの圧縮機を備えており、サイクルを循環する冷媒を多段階に昇圧するようになっている。なお、この冷媒としては、通常のフロン系冷媒(例えば、R404A)を採用することができる。なお、冷媒としてCO2を採用しても良い。更に、冷媒には、低段側圧縮機12a及び高段側圧縮機11a内の摺動部位を潤滑するための冷凍装置油(オイル)が混入されており、冷凍装置油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
まず、低段側圧縮機構12は、低圧冷媒を中間圧冷媒となるまで圧縮して吐出する低段側圧縮機12a、及び、低段側圧縮機12aを回転駆動する低段側電動モータ12bを有する電動圧縮機である。低段側圧縮機12aは、その吐出容量V2が固定された固定容量型圧縮機で構成されており、具体的には、スクロール型圧縮機、ベーン型圧縮機、ローリングピストン型圧縮機等の各種圧縮機を採用できる。
低段側電動モータ12bは、低段側インバータ22から出力される交流電流によって、その作動(回転数)が制御される交流モータである。また、低段側インバータ22は、制御装置20から出力される制御信号に応じた周波数の交流電流を出力する。そして、この周波数制御によって低段側圧縮機12aの冷媒吐出能力が変更される。
従って、第1実施形態では、低段側電動モータ12bが、低段側圧縮機12aの吐出能力変更手段を構成している。もちろん、低段側電動モータ12bとして、直流モータを採用し、制御装置20から出力される制御電圧によって、その回転数を制御するようにしてもよい。また、低段側圧縮機12aの吐出口には、高段側圧縮機11aの吸入口側が接続されている。
高段側圧縮機構11の基本的構成は、低段側圧縮機構12と同様である。従って、高段側圧縮機11aは、低段側圧縮機12aから吐出された中間圧冷媒を高圧冷媒となるまで圧縮して吐出する。
更に、高段側圧縮機構11は、吐出容量V1が固定された固定容量型圧縮機構で構成され、高段側電動モータ11bは、高段側インバータ21から出力される交流電流によって回転数が制御される。また、第1実施形態の高段側圧縮機構11の圧縮比及び低段側圧縮機構12の圧縮比は略同等となっている。
高段側圧縮機11aの吐出口には、放熱器13となる凝縮器の冷媒入口側が接続されている。放熱器13は、高段側圧縮機11aから吐出された高圧冷媒と放熱器用ファン13aにより送風される庫外空気(外気)とを熱交換させることによって、高圧冷媒を放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。
放熱器用ファン13aは、制御装置20から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。なお、第1実施形態の二段昇圧式冷凍サイクル10では、冷媒としてフロン系冷媒を採用し、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成しているので、この第1実施形態における放熱器13は冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。
放熱器13の冷媒出口には、放熱器13から流出した冷媒の流れを分岐する分岐部14が接続されている。分岐部14は、3つの流入出口を有する三方継手構造のもので、流入出口のうち1つを冷媒流入口とし、2つを冷媒流出口としたものである。このような分岐部14は、配管を接合して構成してもよいし、金属ブロックや樹脂ブロックに複数の冷媒通路を設けて構成してもよい。
分岐部14の一方の冷媒出口には、中間圧膨張弁15vの入口側が接続され、分岐部14の他方の冷媒出口には中間熱交換器16の高圧冷媒流路16aの入口側が接続されている。中間圧膨張弁15vは、放熱器13から流出した高圧冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧膨張させる温度式膨張弁である。
より具体的には、中間圧膨張弁15vは、中間熱交換器16における中間圧冷媒流路16bの出口側に配置された感温部を有する。中間圧冷媒流路16bの出口側冷媒の温度と圧力とに基づいて中間圧冷媒流路16bの出口側冷媒の過熱度を検知している。この過熱度が予め設定された所定値となるように機械的機構により弁開度(冷媒流量)を調整するようになっている。なお、この温度式膨張弁の代わりに電子式膨張弁を使用しても良い。
また、中間圧膨張弁15vの出口側には、中間圧冷媒流路16bの入口側が接続されている。中間熱交換器16は、中間圧冷媒流路16bを流通する中間圧膨張弁15vにて減圧膨張された中間圧冷媒と、高圧冷媒流路16aを流通する分岐部14にて分岐された他方の高圧冷媒との間で熱交換を行う。
なお、高圧冷媒は減圧されることによって温度低下するので、中間熱交換器16では、中間圧冷媒流路16bを流通する中間圧冷媒が加熱され、高圧冷媒流路16aを流通する高圧冷媒が冷却されることになる。
また、中間熱交換器16の具体的構成としては、板状の伝熱プレート部材を複数枚積層配置して各伝熱プレート部材間に中間圧冷媒流路16b及び高圧冷媒流路16aを交互に形成したものを使用できる。そして、伝熱プレートを介して高圧冷媒と中間圧冷媒とを熱交換させるプレート式熱交換器を採用できる。また、高圧冷媒流路16aを形成する外側管の内側に中間圧冷媒流路16bを形成する内側管を配置する二重管方式の熱交換器構成を採用してもよい。もちろん、高圧冷媒流路16aを内側管として、中間圧冷媒流路16bを外側管としてもよい。更に、高圧冷媒流路16aと中間圧冷媒流路16bとを形成する冷媒配管同士を接合して熱交換させる構成等を採用してもよい。
なお、図3に示す中間熱交換器16では、高圧冷媒流路16aを流通する高圧冷媒の流れ方向と中間圧冷媒流路16bを流通する中間圧冷媒の流れ方向が同一となる並行流型の熱交換器を採用している。しかし、高圧冷媒流路16aを流通する高圧冷媒の流れ方向と中間圧冷媒流路16bを流通する中間圧冷媒の流れ方向が逆方向となる対向流型の熱交換器を採用してもよい。
中間熱交換器16の中間圧冷媒流路16bの出口側には、図示しない逆止弁を介して、高段側圧縮機11aの吸入口側が接続されている。従って、第1実施形態の高段側圧縮機構11では、中間圧冷媒流路16bから流出した中間圧冷媒と低段側圧縮機12aから吐出された中間圧冷媒との混合冷媒を吸入する。
一方、中間熱交換器16の高圧冷媒流路16aの出口側には、低圧膨張弁17vの入口側が接続されている。低圧膨張弁17vは、放熱器13から流出した高圧冷媒を低圧冷媒となるまで減圧膨張させる温度式膨張弁である。なお、この温度式膨張弁の代わりに制御装置20からの制御信号で作動する電子式膨張弁を使用しても良い。この低圧膨張弁17vの基本的構成は、中間圧膨張弁15vと同様である。
より具体的には、温度式膨張弁を使用した場合における低圧膨張弁17vは、後述する冷却用熱交換器18の冷媒流出口側に配置された感温部を有する。この感温部は、冷却用熱交換器18出口側冷媒の温度と圧力とに基づいて冷却用熱交換器18出口側冷媒の過熱度を検知し、この過熱度が、予め設定された所定値となるように機械的機構により弁開度を調整する。
低圧膨張弁17vの出口側には、冷却用熱交換器18の冷媒流入口側が接続されている。冷却用熱交換器18は、低圧膨張弁17vにて減圧膨張された低圧冷媒と、冷却用熱交換器用ファン18aによって庫内を循環送風される送風空気とを熱交換させることによって、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。
冷却用熱交換器用ファン18aは、制御装置20から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。更に、冷却用熱交換器18の冷媒流出口には、低段側圧縮機12aの吸入口側が接続されている。
次に、第1実施形態の制御装置について説明する。制御装置20は、CPU及びプログラムやデータ等を記憶するROM及びRAM等の記憶回路を含む周知のマイクロコンピュータを有する。また、制御装置20は、各種制御対象機器への制御信号あるいは制御電圧を出力する出力回路、各種センサの検出信号が入力される入力回路、並びに、電源回路等から構成されている。
制御装置20の出力側には、制御対象機器として低段側インバータ22、高段側インバータ21、放熱器用ファン13a、冷却用熱交換器用ファン18a等が接続され、制御装置20は、これらの制御対象機器の作動を制御する。
なお、制御装置20は、これらの制御対象機器の作動を制御する制御手段が一体に構成されたものである。制御装置20のうち、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成であるハードウェア及びソフトウェアが、それぞれの制御対象機器の制御手段を構成している。
本実施形態では、低段側インバータ22の作動を制御して低段側圧縮機構12の冷媒吐出能力を制御する構成を第1吐出能力制御部20aとしている。そして、高段側インバータ21の作動を制御して高段側圧縮機構11の冷媒吐出能力を制御する構成を第2吐出能力制御部20bとしている。
従って、低段側電動モータ12bの回転数及び高段側電動モータ11bの回転数は、それぞれ第1吐出能力制御部20a及び第2吐出能力制御部20bによって、互いに独立して制御できるようになっている。もちろん、第1、第2吐出能力制御部20a、20bを、制御装置20に対してそれぞれ別体の制御装置として構成してもよい。
一方、制御装置20の入力側には、図示しないが、放熱器13にて高圧冷媒と熱交換する庫外空気(外気)の外気温度Tamを検出する外気温度検出手段である外気温センサが設けられている。また、制御装置20の入力側には、冷却用熱交換器18にて低圧冷媒と熱交換する戻り空気の戻り温度を検出する庫内温度検出手段である吸込み温度検出手段23となる吸込み温度サーミスタ等が接続されている。これらのセンサの検出信号が制御装置20へ入力される。
更に、制御装置20の入力側には、操作パネル30が接続されている。この操作パネル30には、冷凍装置の作動要求信号あるいは停止要求信号を出力する要求信号出力手段としての作動停止スイッチが設けられている。また、操作パネル30には、庫内温度(設定温度)Tsetを設定する設定温度設定手段としての温度設定スイッチ等が設けられている。そして、これらのスイッチの操作信号が制御装置20へ入力される。操作パネル30は、図2の運転車両10dの内部の運転席又は冷凍装置本体10bに設けられる。
次に、上記構成における本実施形態の二段昇圧式冷凍サイクル10の庫内冷却時の一般的な作動を、図4に基づいて説明する。図4に基づいて、制御装置20が実行する庫内冷却運転の制御を説明する。この制御処理は、操作パネル30の作動停止スイッチが投入(ON)されて作動要求信号が出力されるとスタートする。
まず、図4のステップS1では、フラグ及びタイマ等の初期化がなされる。次のステップS2で、外気温センサ及び吸込み温度検出手段23となる吸込み温度サーミスタ等により検出された検出信号及び操作パネル30の温度設定スイッチ等の操作信号を読み込む。そして、温度設定スイッチによって設定されたTsetに応じて運転モードを決定する。具体的には、設定温度Tsetが−10℃以上であれば生鮮食品などの鮮度の低下を抑制に適した温度での冷蔵を行う冷蔵モードとし、設定温度Tsetが−10℃よりも低温であれば冷凍を行う冷凍モードとする。
続いて、図4のステップS3へ進み、制御モードを判定する。なお、制御モードは、チルドモード、フローズンモードとも共通であるため、運転モードごとでの説明は省略する。なお制御モードは、設定温度に関わらず相や信号や制御信号で直接指定することができる。
具体的には、ステップS3では、ステップS2で読み込んだ吸込み温度検出手段23の検出温度である戻り温度Treから、温度設定スイッチにて設定された設定温度Tsetを減算した値である温度偏差ΔTが用いられる。この温度偏差ΔTが、予め定めた基準温度偏差ΔKTより大きいときは、大能力が必要であると判定する。また、温度偏差ΔTが、予め定めた基準温度偏差ΔKT以下となっているときは、庫内温度が設定温度Tsetに近づいた状態であり、細かな能力制御が必要な状態になっていると判定する。
なお、ほとんどの場合、冷凍装置の起動直後には、冷却対象空間である庫内温度が設定温度Tsetよりも高くなっている。そのため、第1実施形態では、温度偏差ΔTとして、戻り温度Treから設定温度Tsetを減算した値を採用しているが、もちろん、温度偏差ΔTとして、設定温度Tsetから貯蔵品温度を代表する戻り温度Treを減算した値の絶対値を採用してもよい。
ステップS3にて、大能力が必要であると判定された場合は、ステップS4へ進み、クールダウンモードでの運転を行う。ステップS4では、低段側圧縮機12aの冷媒吐出能力及び高段側圧縮機構11の冷媒吐出能力が略最大となる高段側電動モータ11b及び低段側電動モータ12bの回転数が決定される。
続くステップS5では、冷凍装置のクールダウンモードにおけるその他の制御対象機器の制御状態を決定する。例えば、放熱器用ファン13a及び冷却用熱交換器用ファン18aについては、その送風能力が略最大となるように回転数が決定されて、ステップS9へ進む。
一方、ステップS3にて、冷凍装置の細かな能力制御が必要と判定された場合は、ステップS6へ進み、能力制御モードでの運転を行う。ステップS6では、今回ステップS2で読み込んだ検出信号及び操作信号に基づいて、低段側圧縮機12aの冷媒吐出能力を決定する。
より具体的には、ステップS6では、温度偏差、積分、微分の要素に基づいて、低段側電動モータ12bの回転数、すなわち低段側圧縮機構12の回転数N2を決定する。続くステップS7では、ステップS6にて決定された低段側圧縮機12aの冷媒吐出能力に基づいて、高段側圧縮機構11の冷媒吐出能力を決定する。
具体的には、ステップS7では、下記数式F1によって定義される実効容積比が、下記数式F2に示す予め定めた基準範囲内の値となるように高段側圧縮機11aの回転数N1を決定する。
実効容積比=N2×V2/N1×V1…(F1)
1≦N2×V2/N1×V1≦3…(F2)
なお、V1は高段側圧縮機11aの吐出容量である。また、N1は高段側圧縮機11aの回転数であり、V2は低段側圧縮機構12の吐出容量であり、N2は低段側圧縮機構12の回転数である。
続くステップS8では、その他の制御対象機器の制御状態を決定する。例えば、放熱器用ファン13a及び冷却用熱交換器用ファン18aについては、ステップS6にて決定された低段側圧縮機構12の回転数N2の増加に伴って、その送風能力が増加するように回転数が決定されて、ステップS9へ進む。
次に、ステップS9では、ステップS4〜S8にて決定された制御状態が得られるように、制御装置20から、その出力側に接続された制御対象機器に対して制御信号が出力されてステップS10へ進む。
ステップS10では、操作パネル30からの停止要求信号が制御装置20へ出力されている場合は、各制御対象機器の作動を停止させて、冷凍装置のシステム全体を停止させる。一方、停止要求信号が出力されていない場合は、予め定めた制御周期τの経過を待って、ステップS2に戻る。
操作パネル30の作動停止スイッチが作動側に投入される。そうすると、図3の二段昇圧式冷凍サイクル10では、混合冷媒を吸入する。具体的には、高段側圧縮機11aが、低段側圧縮機12aから吐出された中間圧冷媒と中間熱交換器16の中間圧冷媒流路16bから流出した中間圧冷媒との混合冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。
そして、高段側圧縮機11aから吐出された高温高圧冷媒が、放熱器13へ流入し、放熱器用ファン13aにより送風された庫外空気と熱交換して冷却される。放熱器13から流出した高圧冷媒の流れは、分岐部14にて分岐される。そして、分岐部14から中間圧膨張弁15vへ流入した高圧冷媒は、中間圧冷媒となるまで減圧膨張される。
この際、中間圧膨張弁15vの絞り開度は、中間熱交換器16の中間圧冷媒流路16b出口側冷媒の過熱度が予め定めた所定値となるように調整される。更に、中間圧膨張弁15vにて減圧された中間圧冷媒は、中間熱交換器16の中間圧冷媒流路16bへ流入して、分岐部14から中間熱交換器16の高圧冷媒流路16aへ流入した高圧冷媒と熱交換して加熱され、高段側圧縮機11aに吸入される。
一方、分岐部14から中間熱交換器16の高圧冷媒流路16aへ流入した高圧冷媒は、中間熱交換器16にて冷却される。高圧冷媒流路16aから流出した高圧冷媒は、低圧膨張弁17vへ流入して、低圧冷媒となるまで減圧膨張される。この際、低圧膨張弁17vの絞り開度は、冷却用熱交換器18出口側冷媒の過熱度が予め定めた所定値となるように調整される。
更に、低圧膨張弁17vにて減圧された低圧冷媒は、冷却用熱交換器18へ流入して、冷却用熱交換器用ファン18aによって循環送風された送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、冷却対象空間である庫内に送風される送風空気が冷却される。冷却用熱交換器18から流出した冷媒は、低段側圧縮機12aに吸入される。
第1実施形態の二段昇圧式冷凍サイクル10は、上記の如く作動するので、エコノマイザ式冷凍サイクルを構成して、高段側圧縮機構の圧縮効率を向上させることができる。なお、エコノマイザサイクルとは、一度圧縮された高温高圧の冷媒の一部を中間圧力まで減圧し、再度圧縮機に戻すことにより、小さな動力でも大きな冷凍能力を引き出すことができるサイクルである。
次に、庫内の貯蔵品45である例えば青果物のヒートショック処理を行う場合の制御について説明する。図5と、図6とに基づいて、第1実施形態におけるヒートショック処理を説明する。
図5において、ヒートショック処理開始ボタンをON操作するか、又は、運転モードの選択モードにおいてディスプレイにヒートショック処理モードを表示させ決定ボタンを押すと、ステップS50のヒートショック処理が開始される。次にステップS51において、吸込み温度検出手段23のサーミスタで検出した戻り温度Treと第1所定温度とを比較する。貯蔵品45の温度を直接検出することは比較的難しいため、吸込み温度検出手段23で検出した戻り温度Treが、貯蔵品45の温度を代表している。第1所定温度は、貯蔵品45の種類によって変えることができるが、イチゴの場合は、例えば25℃に設定される。
戻り温度Treと第1所定温度とを比較した結果、戻り温度Treが第1所定温度以上であった場合(YESの場合)は、次のステップS53に進む。一方、戻り温度Treが第1所定温度以上でない場合(NOの場合)は、ステップS52の吹出し温度加熱制御を実行する。つまり庫内から戻ってくる温度を監視しながら第1段目となる第1所定温度まで一気に温めず、吹出温度検出手段42で温度を管理しながら加熱する。これは第1所定温度まで戻り温度が上がるまでは品温が冷たく一気に温めると貯蔵品の表面だけ温まってしまう可能性があるため、吹出し温度が所定温度を超えないように監視しながら、緩やかない温度上昇勾配で加熱する。
このステップS52の場合、図1の加熱用熱交換器5となる電気ヒータに通電して所定温度勾配で加熱する。ステップS52の後にステップS51に戻る。戻り温度Treが第1所定温度の25℃に達すると、ステップS53において、戻り温度Treを高温の第2所定温度と比較する。イチゴの場合、第2所定温度は例えば40℃である。
ステップS53において戻り温度Treを第2所定温度と比較した結果、戻り温度Treが、第2所定温度以上でない場合(NOの場合)は、ステップS54に進む。ステップS54においては吸込み温度を監視しながら、貯蔵品45を菌の繁殖を防ぐ目的で、できるだけ一気に温度を上昇する吸込み温度加熱制御を実行する。なお、この場合の温度上昇勾配は、上記ステップS52の所定温度勾配より急にする。(図7参照)
図5のステップS54の詳細は図6に示される。図6において、ステップS54cの後に、ステップS53に戻り、戻り温度Treが第2所定温度以上になるまで、ステップS54cの吸込み温度加熱制御を継続する。ステップS54aにおいては、第2所定温度への上昇速度が所定の速度より遅い場合は、何らかの異常があると判断してステップS54bにて制御を異常終了する。次に、ステップS55では、ステップS56の吹出し温度加熱制御が開始されてから所定時間継続しているか(経過しているか)どうかを判定する。所定時間継続していない場合は、ステップS56における吹出し温度加熱制御を継続する。
ステップS53において、戻り温度Treを第2所定温度と比較した結果、戻り温度Treが、第2所定温度以上と判断された場合は、ステップS55に進む。このステップS55においてはステップS56によるヒートショック処理のための高温加熱制御が所定時間経過したか否かを判断する。所定時間は例えば4時間に設定される。ヒートショック処理のための高温加熱が所定時間経過したかどうかを判断した結果、所定時間経過したと判断されるとステップS57に進み、冷蔵運転を開始し、イチゴの本来の冷蔵温度を維持する通常の冷凍用コンテナの冷却制御(図4)に移る。ステップS56では、図1の吹出口41aに設けられ庫内に吹き出される空気の温度を検出する吹出温度検出手段42が検出した吹きだし温度を監視しながら、庫内温度を所定の温度である加温設定温度に維持する。
ステップS57においては、例えば、イチゴが、凍結手前の温度である+1℃からマイナス1℃の冷蔵温度を維持する冷凍用コンテナの制御を行う。冷蔵制御の停止指令が発せられるとステップS58において図5のヒートショック処理を終了する。
なお、ステップS55において、ステップS56のヒートショック処理のための高温加熱制御が所定時間経過したか否かを判断する。その結果、所定時間経過していないと判定された場合は、ステップS56の吹出し温度加熱制御を継続し、例えばイチゴの場合は、40℃を保持する。
上記制御において、温度の変化特性の一例を図7に示している。なお、図7において加温設定温度と第2所定温度が同じ温度でも良い。庫内で貯蔵品45のヒートショックを行うために、加熱運転を行っている。戻り温度が第1所定温度まで上がるまでは貯蔵品温が冷たく、一気に高温で暖めると表面だけが温まってしまう可能性がある。そのため、まず、ステップS52の吹出し温度加熱制御にて加熱している。つまり、吹出温度検出手段42が検出した吹出し温度を監視して加熱制御している。第1所定温度から第2所定温度の間は、菌の繁殖等を防ぐ目的で、できるだけ一気に温度を上げる。かつ、貯蔵品45を加熱しすぎないように、吸込み温度(戻り温度)を吸込み温度検出手段23で監視しながら、吸込み温度加熱制御をステップS54にて実行している。
次に、菌の繁殖できる温度である第2所定温度を過ぎたら、高温での貯蔵品45へダメージを与えることを防ぐために、吹出温度検出手段42で温度を監視しながら吹出し温度制御をステップS56でしばらく継続して、例えば40℃をキープしている。そしてこの高温でのヒートショック処理が所定時間継続したら、ステップS57の冷蔵運転に自動的に移行している。
なお、第1所定温度は、10℃ないし30℃であり、第2所定温度は、30℃ないし50℃である。
(第1実施形態の作用効果)
第1実施形態によれば、貯蔵品45の温度を検出する貯蔵品温度検出手段となる吸込み温度検出手段23の検出値に基づいて所定温度になるまで庫内を加熱するから、庫内の貯蔵品45の温度をより正確に反映した温度制御が可能になり貯蔵品45の加熱できる。よって、貯蔵品45に対するヒートショック処理において、高温処理の温度が適切に管理できる。
また、制御装置は、貯蔵品温度検出手段の温度が所定温度になるまで庫内を一気に温めない先のステージと、一気に温め菌の繁殖を防ぐ後のステージとの少なくとも二ステージに分けて加熱するから、貯蔵品が表面のみ温まってしまうのを防止できる。また一気に温めて菌の繁殖を防ぐことができる。なお、一気に温めないステージとは、貯蔵品の温度上昇率が小さいステージであり、一気に温めるステージとは、貯蔵品の温度上昇率が先のステージよりも大きいステージである。
貯蔵品温度検出手段となる吸込み温度検出手段23は、冷却用熱交換器用ファン18aの吸込み側の温度を検出して戻り温度を検出する吸込み温度検出手段23にて構成されている。これによれば、冷却用熱交換器18に庫内からの空気を吸い込んで冷却用熱交換器18を通過させる冷却用熱交換器用ファン18aの吸込み側の温度を検出するから、冷却用熱交換器18の吸込み部分の温度よりも貯蔵品45に近い位置で温度を検出できる。
また、コンテナ100にて運ばれる貯蔵品45のヒートショック処理を行うことができ、コンテナ100の庫内に保管された貯蔵品45の温度管理を正確に行うことができる。
更に、第1実施形態によれば、二段昇圧冷凍サイクルを使用して大出力又は高効率な庫内の冷却が可能になる。また、加熱用熱交換器5を構成する電気ヒータへの通電を制御することで、庫内に吹き出される空気の温度を正確に制御できる。
更に、ステップS52とステップS54とから成る加熱制御手段は、庫内を二ステージに分けて昇温する。これにより、貯蔵品45の芯まで加熱できヒートショック効果を高めることができる。
具体的には、戻り温度が第1所定温度まで上がるまでは貯蔵品45の温度が冷たく、一気に暖めると表面だけが温まってしまう可能性がある。そのため、まず、第1所定温度まで昇温させ、第2ステージとして第1所定温度よりも高温の第2所定温度まで一気に昇温している。これにより、表面だけ温まってしまうことが無く、菌の繁殖等を防ぐ目的で、できるだけ貯蔵品45全体の温度を上げることができる。
また、戻り温度が第1所定温度まで上がり、菌の繁殖できる温度を過ぎたら、高温での貯蔵品45へダメージを与えることを防ぐために、吸込み温度制御により吸込み温度を監視しながら、第1所定温度よりも高温の第2所定温度まで一気に昇温している。よって、菌の繁殖等を防ぐことができる。
次に、ステップS53で第2所定温度に達せず、第2所定温度への上昇速度が遅く、時間がかかりすぎると、ステップS54aで判定された場合、ステップS54bにて加熱処理を中止して異常終了している。これにより、高温でのヒートショックが充分行われずに逆に品質低下を招くことを防ぐことができる。この異常終了は、温度の上昇速度が所定の速度(1分ないし10分/1℃上昇)より遅い場合にヒートショックが充分に行われず、逆に貯蔵品45の品質低下を招くおそれをなくす。この異常終了により加熱処理を中止し、図5のステップS57における冷蔵運転に移行する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上記した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。なお、第2実施形態以下については、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明が援用される。
コンテナ内を側面より見た図8を用いて、本発明の第2実施形態における庫内の機器の配置を説明する。第2実施形態においては、冷却用熱交換器18の下流側に冷却用熱交換器18と近接して加熱用熱交換器5となる電気ヒータを設けている。また、第2加熱用熱交換器46となる第2の電気ヒータを例えばコンテナの床面に固定している。この第2加熱用熱交換器46は、制御装置によって通電を制御され、送風機が内部に装備されたものとしている。第2加熱用熱交換器46は加熱用熱交換器5よりも貯蔵品に近い位置に設置されている。
(第2実施形態の作用効果)
第2実施形態によれば、冷却用熱交換器18に近接した加熱用熱交換器5の設置位置よりも貯蔵品45に近い位置に、第2加熱用熱交換器46を設けたから、庫内の貯蔵品45をより素早く昇温させることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第1実施形態においては、貯蔵品45を収容する庫内の容積は一定として制御した。しかし、加熱や冷蔵の効率を上げるために貯蔵品45が置かれた空間と、それ以外の空間との間に、カーテン等の間仕切り装置47を設置し、加熱又は冷蔵する空間の容積を小さくしても良い。このような間仕切り装置47は、周知のものを使用できるが、概要を述べると以下の通りである。
図9は、第3実施形態におけるコンテナ100の庫内の機器配置を示す。図9において、天井の中央に取付けられた移動用レール48を有する。その移動用レール48内を移動する移動手段である間仕切り用カーテンレール49を有する。この間仕切り用カーテンレール49の移動に伴い間仕切り装置47となるカーテンが移動する。このカーテンがコンテナ100内を仕切っている。移動用レール48と間仕切り用カーテンレール49とは十字形にクロスして配置されている。そして、間仕切り用カーテンレール49内においてカーテンを吊下げたカーテン吊り具が滑動するように構成されている。なお、移動用レール48はコンテナ100天井部の両サイドに対向して設けられていても良い。
(第3実施形態の作用効果)
第3実施形態においてはコンテナ100の庫内は、間仕切り装置47となるカーテンによって区画され、この区画された庫内の一つが、加熱用熱交換器5又は第2加熱用熱交換器46により加熱される。これによれば、庫内を間仕切り装置47となるカーテンによって区画して、加熱する空間の体積を減少させ、温度制御する範囲を狭くすることができるから、より素早く加熱及び冷却が可能になる。特にコンテナ100の場合は、種々の貯蔵品45が混載されることがあり、庫内容積が大きい。そのため間仕切り装置47となるカーテンによって区画され、この区画された庫内の一つが、加熱又は冷却される。これによれば、加熱又は冷却される空間の体積を減少させ、温度を制御する範囲を狭くすることができるから、より効果的な温度制御が可能になる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図10は第4実施形態の庫内の機器配置を示す。図10において、貯蔵品45の内部又は貯蔵品45に対して近接した位置に設置されて、貯蔵品45の温度を検出する貯蔵品間温度検出手段231を使用して庫内の温度を制御している。つまり貯蔵品間温度検出手段231は、貯蔵品45に少なくとも隣接して設置されて、貯蔵品45の温度を直接検出する温度検出手段である。
これによれば、貯蔵品45の温度を、正確に検出できる。図11は、貯蔵品45の内部又は近接した位置に設置されて貯蔵品50の温度を検出する貯蔵品間温度検出手段231の詳細を示す。貯蔵品50となる青果物の中又は貯蔵品50相互間にシース熱電対から成る貯蔵品間温度検出手段231を刺し込んでいる。シース熱電対とは、極細の耐熱金属保護管(シース)内にマグネシウム等の安定したセラミックを高圧充填した特殊熱電対である。この熱電対は、外径が非常に細く柔軟性に富み、かつ、断線のおそれがない。また、機密度が極めて高く、金属ガスや雰囲気ガスによる熱電対線への浸蝕を防ぐため寿命が長く、高温、高圧に耐える。更に、温度変化に対する応答が速い。よって青果物の温度を直接検出して正確な温度管理が実現できる。
(第4実施形態の作用効果)
第4実施形態によれば、貯蔵品45の内部又は隣接して設置されて貯蔵品45の温度を検出する例えばシース熱電対から成る貯蔵品間温度検出手段231に基づいて、貯蔵品45の温度をより正確に検出できる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。先の第1実施形態においては、庫内の加熱を加熱用熱交換器5となる電気ヒータで加熱したが、この第5実施形態はヒートポンプサイクルの放熱器13(凝縮器)となる利用側熱交換器15の熱で庫内を加熱するものである。このヒートポンプサイクルは例えば特許文献2のものを使用できる。
図12に基づいて、第5実施形態のヒートポンプサイクルの特に庫内を加熱する暖房モードについて説明する。図12は、第5実施形態のヒートポンプサイクル10hの全体構成を示す。このヒートポンプサイクル10hは、空調対象空間であるコンテナ100の庫内へ送風される送風空気を加熱する暖房運転モード(加熱運転モード)での運転と、送風空気を冷却する冷却運転モード(冷蔵運転モード)での運転とを切り替えることができる。
なお、図12は、ヒートポンプサイクル10hの暖房運転モード時における冷媒回路を示し、この運転モードにおける冷媒の流れを矢印で示している。この実施形態のヒートポンプサイクル10hでは、冷媒として、通常のフロン系冷媒(例えば、R134a、R407c)を採用しており、いずれの運転モードにおいてもサイクルの高圧側冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。更に、冷媒には、圧縮機11a、12a内の摺動部位を潤滑するための冷凍装置油(オイル)が混入されており、冷凍装置油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
ヒートポンプサイクル10hは、図12に示すように、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機として、低段側圧縮機12a及び高段側圧縮機11aを備えている。これらの圧縮機11a、12aの基本的構成は同一である。具体的には、高段側圧縮機11aは、固定容量型の圧縮機構11を高段側電動モータ11bにて駆動する電動圧縮機である。低段側圧縮機12aは、固定容量型の圧縮機構12を低段側電動モータ12bにて駆動する電動圧縮機である。
これらの圧縮機構11、12としては、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構、ローリングピストン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用できる。また、高段側電動モータ11b、低段側電動モータ12bは、それぞれ図示しない専用のインバータから出力される交流電流によって、その作動(回転数)が制御される交流モータである。これらのインバータは、制御装置20から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
そして、これらのインバータが高段側電動モータ11b、低段側電動モータ12bの回転数を制御することによって、圧縮機構11、12の冷媒吐出能力が変更される。もちろん、高段側電動モータ11b、低段側電動モータ12bとして直流モータを採用してもよい。
また、低段側圧縮機12aの冷媒吐出口には、冷却運転モードの冷媒回路と暖房運転モードの冷媒回路とを切り替える冷媒回路切替手段としての第1四方弁131vが接続されている。高段側圧縮機11aの冷媒吐出口には、同様の冷媒回路切替手段としての第2四方弁141vが接続されている。
第1四方弁131vは、暖房運転モード用の冷媒回路(図12の矢印で示す回路)と、冷却運転モード用の冷媒回路とを切り替える。第2四方弁141vは、暖房運転モード用の冷媒回路と、冷却運転モード用の冷媒回路とを切り替える機能を果たす。なお、第1四方弁131v、第2四方弁141vは、いずれも制御装置から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
暖房モードにおいて放熱器として庫内の加熱に利用される利用側熱交換器15は、利用側熱交換器用ファン15aによって車室内へ向けて送風される送風空気の空気通路を形成する。そして利用側熱交換器15の内部を流通する冷媒と送風空気とを熱交換させるものである。利用側熱交換器15は凝縮器として作用し、図1の加熱用熱交換器5の代わりに庫内を加熱するために用いられる。勿論、凝縮器として作用する利用側熱交換器15と加熱用熱交換器5とを併用しても良い。
具体的には、利用側熱交換器15は、暖房運転モードでは、高段側圧縮機11aから吐出された冷媒を送風空気と熱交換させて放熱させる放熱器として機能して庫内を加熱する。利用側熱交換器15は、冷却運転モードでは、圧縮機11a、12aの双方へ吸入される冷媒を送風空気と熱交換させて蒸発させる冷却用熱交換器として機能する。利用側熱交換器用ファン15aは、制御装置から出力される制御電圧によって、その作動が制御される電動送風機である。
暖房運転モード時における利用側熱交換器15の出口側には、利用側熱交換器15から流出した冷媒の流れを分岐する第1分岐部141の1つの冷媒出入口が接続されている。第1分岐部141は、3つの冷媒出入口を有する三方継手構造のものである。このような第1分岐部141は、配管を接合して構成してもよいし、金属ブロックや樹脂ブロックに複数の冷媒通路を設けて構成してもよい。
第1分岐部141の別の冷媒出入口には中間圧膨張弁15vを介して中間熱交換器16の中間圧冷媒流路16bが接続され、更に別の冷媒出入口には中間熱交換器16の高圧冷媒流路16aが接続されている。
中間圧膨張弁15vは、暖房運転モード時に利用側熱交換器15から流出した高圧冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧させる減圧手段(第1減圧手段)である。具体的には、中間圧膨張弁15vは、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータからなる電動アクチュエータとを有して構成された電気式膨張弁である。中間圧膨張弁15vは、制御装置から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
更に、中間圧膨張弁15vは、その絞り開度を全閉とすることで、第1分岐部141から中間圧冷媒流路16bの入口側へ至る冷媒通路における冷媒の流れを遮断して、冷媒回路を切り替えることができる。
従って、本実施形態の中間圧膨張弁15vは、減圧手段としての機能を果たすとともに、冷媒回路切替手段としての機能も果たす。なお、本実施形態では、冷却運転モード時に中間圧膨張弁15vの絞り開度を全閉としている。
中間熱交換器16は、暖房運転モード時に中間圧冷媒流路16bを流通する中間圧膨張弁15vにて減圧された中間圧冷媒と、高圧冷媒流路16aを流通する第1分岐部141にて分岐された高圧冷媒とを熱交換させるものである。なお、高圧冷媒は減圧されることによって温度低下するので、中間熱交換器16では、中間圧冷媒流路16bを流通する中間圧冷媒が加熱され、高圧冷媒流路16aを流通する高圧冷媒が冷却される。
暖房運転モード時における中間熱交換器16の中間圧冷媒流路16bの出口側には、第1合流部19gの1つの冷媒出入口が接続されている。第1合流部19gの基本的構成は、第1分岐部141と同様で、第1合流部19gの別の冷媒出入口には、第1四方弁131vの1つの冷媒出入口が接続され、更に別の冷媒出入口には、高段側圧縮機11aの吸入口側が接続されている。
これにより、暖房運転モード時には、中間圧冷媒流路16bから流出した中間圧冷媒が第1合流部19gへ流入するとともに、低段側圧縮機12aから吐出された中間圧冷媒が第1合流部19gへ流入して、高段側圧縮機11aの吸入口側へ流出していく。一方、冷却運転モード時には、アキュムレータ23aから流出した低圧冷媒が、第1四方弁131vを介して第1合流部19gへ流入して、高段側圧縮機11aの吸入口側へ流出していく。
次に、暖房運転モード時における中間熱交換器16の高圧冷媒流路16aの出口側には、低圧膨張弁17vの入口側が接続されている。低圧膨張弁17vは、暖房運転モード時には高圧冷媒流路16aから流出した高圧冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させ、冷却運転モード時には、室外熱交換器210から流出した高圧冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる減圧手段(第2減圧手段)である。
低圧膨張弁17vの基本的構成は、中間圧膨張弁15vと同様である。従って、低圧膨張弁17vは、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させる電動アクチュエータとを有して構成され、制御装置20から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
暖房運転モード時における低圧膨張弁17vの出口側には、室外熱交換器210が接続されている。室外熱交換器210は、庫外に配置されて、その内部を流通する冷媒と庫外の室外熱交換器用ファン21aによって送風される室外空気(外気)とを熱交換させるものである。
具体的には、室外熱交換器210は、暖房運転モードでは、低段側圧縮機12aへ吸入される冷媒を外気と熱交換させて蒸発させる蒸発器として機能する冷却用熱交換器として機能する。室外熱交換器210は、冷却運転モードでは、第圧縮機11a、12aの双方から吐出された冷媒を外気と熱交換させて放熱させる放熱器として機能する。室外熱交換器用ファン21aは、制御装置から出力される制御電圧によって、その作動が制御される電動送風機である。
更に、暖房運転モード時における室外熱交換器210の出口側には、第2合流部22gの1つの冷媒出入口が接続されている。第2合流部22gの基本的構成は、第1合流部19gと同様である。第2合流部22gの別の冷媒出入口には、第2四方弁141vの1つの冷媒出入口が接続され、更に別の冷媒出入口には、逆止弁25を介して第1四方弁131vの1つの冷媒出入口が接続されている。
これにより、暖房運転モード時には、室外熱交換器210から流出した低圧冷媒が第2合流部22gへ流入して、第2四方弁141vを介してアキュムレータ23a側へ流出する。また、冷却運転モード時には、低段側圧縮機12aから吐出された高圧冷媒が第1四方弁131vを介して第2合流部22gへ流入する。それとともに、低段側圧縮機12aから吐出された高圧冷媒が第2四方弁141vを介して第2合流部22gへ流入して、室外熱交換器210側へ流出していく。
アキュムレータ23aは、その内部へ流入した冷媒の気液を分離する気液分離手段である。アキュムレータ23aの気相冷媒出口側には、第2分岐部141bの1つの冷媒出入口が接続されている。第2分岐部141bの基本的構成は、第1分岐部141と同様で、第2分岐部141bの別の冷媒出入口には、低段側圧縮機12aの冷媒吸入口側が接続され、更に別の冷媒出入口には、逆止弁25の上流側が接続されている。
逆止弁25は、第1四方弁131vの1つの冷媒流出口側(上流側)からアキュムレータ23aの冷媒入口側及び室外熱交換器210側(下流側)へ冷媒が流れることを許容する弁手段である。これにより、暖房運転モード時には、室外熱交換器210から流出した冷媒が、第1四方弁131vを介してアキュムレータ23aの気相冷媒出口側へ流入してしまうことが防止される。冷却運転モード時には、低段側圧縮機12aから吐出された冷媒が、第1四方弁131vを介して室外熱交換器210側へ流出することが許容される。
次に、第5実施形態の制御装置20について説明する。制御装置20は周知のマイクロコンピュータ、出力回路、各種センサの検出信号が入力される入力回路、及び、電源回路等から構成されている。
制御装置20の出力側には、圧縮機11a、12a用の各インバータ、第1四方弁131v、第2四方弁141v、利用側熱交換器用ファン15a、中間圧膨張弁15v、低圧膨張弁17v、室外熱交換器用ファン21a等が接続されている。制御装置20は、これらの制御対象機器の作動を制御する。なお、制御装置20と制御対象機器との配線の一部は省略して図示している。
高段側電動モータ11b用のインバータの作動を制御して圧縮機構11の冷媒吐出能力を制御する構成が第1吐出能力制御手段を構成している。低段側電動モータ12b用のインバータの作動を制御して圧縮機構12の冷媒吐出能力を制御する構成が、第2吐出能力制御手段を構成している。
従って、高段側電動モータ11b、低段側電動モータ12bの回転数、すなわち圧縮機構11、12の冷媒吐出能力は、それぞれ第1吐出能力制御手段及び第2吐出能力制御手段によって、互いに独立して制御できるようになっている。
更に、第1四方弁131v、第2四方弁141v及び中間圧膨張弁15vの作動を制御して暖房運転モード時における冷媒回路と冷却運転モード時における冷媒回路とを切替制御する構成が冷媒回路切替制御手段を構成している。もちろん、第1、第2吐出能力制御手段及び冷媒回路切替制御手段を、制御装置20に対してそれぞれ別体の制御装置として構成してもよい。
更に、制御装置20の入力側には、運転席に設けられた操作パネル30(図2)が接続されている。この操作パネル30には、制御装置20への作動要求信号あるいは停止要求信号を出力する作動停止スイッチ、庫内の設定温度Tsetを設定する設定温度設定スイッチ等が設けられ、これらのスイッチの操作信号が制御装置20へ入力される。
また、第5実施形態のヒートポンプサイクル10hは、前述の如く、暖房運転モードでの運転と冷却運転モードでの運転を切り替えることができる。暖房運転モードでの運転は、庫内を加熱する際に実行される。
具体的には、暖房運転モードでは、制御装置20が、低段側圧縮機12aの冷媒吐出口側と高段側圧縮機11aの冷媒吸入口側との間及びアキュムレータ23aの気相冷媒出口側と逆止弁25の上流側との間を同時に接続する。具体的には、第1四方弁131vの作動を制御する。また、高段側圧縮機11aの冷媒吐出口側と利用側熱交換器15との間及び室外熱交換器210とアキュムレータ23aの冷媒入口側との間を同時に接続するように第2四方弁141vの作動を制御する。
更に、制御装置20は、それぞれの絞り開度が予め定めた所定開度となるように中間圧膨張弁15v及び低圧膨張弁17vの作動を制御する。これにより、図12の実線矢印に示すように冷媒が流れる冷媒回路に切り替えられる。
暖房運転モードでは、低段側圧縮機12a及び高段側圧縮機11aを直列的に接続して冷媒を多段階に昇圧する。そして、中間圧膨張弁15vにて減圧された中間圧冷媒が、低段側圧縮機12aから吐出された冷媒と合流されて高段側圧縮機11aへ吸入される。これにより、いわゆるエコノマイザ式冷凍サイクルが構成され、庫内の暖房が実現される。
次に、冷却運転モードでの運転は、庫内を冷蔵する際に実行される。具体的には、冷却運転モードでは、制御装置20が、低段側圧縮機12aの冷媒吐出口側と逆止弁25の上流側との間及びアキュムレータ23aの気相冷媒出口側と高段側圧縮機11aの冷媒吸入口側との間を同時に接続する。このために、第1四方弁131vの作動を制御し、高段側圧縮機11aの冷媒吐出口側と室外熱交換器210との間及び利用側熱交換器15とアキュムレータ23aの冷媒入口側との間を同時に接続する。そのために、第2四方弁141vの作動を制御する。
更に、制御装置20は、中間圧膨張弁15vを全閉状態とし、低圧膨張弁17vの絞り開度が予め定めた所定開度となるように低圧膨張弁17vの作動を制御する。そして、低段側圧縮機12aにて高圧冷媒となるまで圧縮された冷媒が、第1四方弁131v及び逆止弁25を介して第2合流部22gへ流入する。更に高段側圧縮機11aにて高圧冷媒となるまで圧縮された冷媒が第2四方弁141vを介して第2合流部22gへ流入する。更に双方の圧縮機11a、12aから吐出された冷媒が第2合流部22gにて合流する。
第2合流部22gにて合流した高圧冷媒は室外熱交換器210へ流入して、室外熱交換器用ファン21aによって送風された外気と熱交換して放熱する。室外熱交換器210から流出した高圧冷媒は、低圧膨張弁17vにて低圧冷媒となるまで減圧されて中間熱交換器16の高圧冷媒流路16aへ流入する。
ここで、冷却運転モードでは、中間圧膨張弁15vが全閉状態となっているので、中間熱交換器16の中間圧冷媒流路16bには冷媒が流入しない。従って、冷却運転モード時の中間熱交換器16では冷媒同士の熱交換は行われず、高圧冷媒流路16aは単なる冷媒通路として機能する。
更に、中間熱交換器16の高圧冷媒流路16aから流出した低圧冷媒の流れは第1分岐部141にて分岐されることなく、利用側熱交換器15へ流入する。利用側熱交換器15へ流入した低圧冷媒は、利用側熱交換器用ファン15aから送風された送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、送風空気が冷却されて、庫内の冷却が実現される。
利用側熱交換器15から流出した低圧冷媒は、第2四方弁141vを介してアキュムレータ23aへ流入して気液分離される。アキュムレータ23aの気相冷媒出口から流出した低圧冷媒の流れは、第2分岐部141bにて分岐される。分岐された一方の低圧冷媒は低段側圧縮機12aへ吸入されて再び圧縮され、分岐された他方の低圧冷媒は第1四方弁131vを介して高段側圧縮機11aへ吸入されて再び圧縮される。
この第5実施形態のヒートポンプサイクル10hによれば、冷却運転モードでは、低段側圧縮機12a及び高段側圧縮機11aを並列的に接続した通常の冷凍サイクルが構成され、庫内の冷却が実現される。
従って、いずれの運転モード時にも、高段側圧縮機11a、低段側圧縮機12aの2つの圧縮機に冷媒吐出能力を発揮させることができる。これにより、1つの圧縮機に冷媒吐出能力を発揮させる場合に対して、熱交換対象流体である車室内へ送風される送風空気を効率的に加熱あるいは冷却することができる。
更に、暖房運転モード時には、中間熱交換器16を用いたエコノマイザ式冷凍サイクルが構成される。よって、冷凍サイクル10に高いサイクル効率(COP)を発揮させることができる。それとともに、中間圧膨張弁15vにて減圧された中間圧冷媒を加熱気化させることができ、高段側圧縮機11aの液圧縮の防止できる。
また、冷却運転モードでは、2つの圧縮機11a、12aが並列的に接続されている。そのため、2つの圧縮機11a、12aが直列的に接続される場合に対して、利用側熱交換器15を流通する冷媒流量Grを増加させて、利用側熱交換器15における冷媒の吸熱能力(送風空気の冷却能力)の低下を抑制することができる。
また、このヒートポンプサイクル10hでは、暖房運転モード時に、圧縮機11a、12aを直列的に接続して冷媒を多段階に圧縮するエコノマイザ式冷凍サイクルに切り替える。よって、圧縮機11a、12aの圧縮比を低下させることによるサイクル効率向上効果を効率的に得ることができる。
(第5実施形態の作用効果)
第5実施形態において庫内を加熱する加熱用熱交換器は、ヒートポンプサイクルで発熱する利用側熱交換器15を構成する放熱器13から構成されている。制御装置20は、貯蔵品温度検出手段の戻り温度、又は吹出温度検出手段42の吹出し温度に基づいてヒートポンプサイクルを構成する圧縮機11a、12aを制御する。また庫内を冷却するときは、利用側熱交換器15を構成する蒸発器18を利用する。
これによれば、ヒートポンプによって庫内を加熱し、貯蔵品45の温度を反映又は予測した温度に基づいてヒートポンプサイクルの放熱器の発熱を制御し、庫内を効率よく加熱できる。
(第6実施形態)
上記実施形態においては二段昇圧式冷凍サイクルを使用したが、単一の圧縮機を使用する通常の冷凍サイクルを2つ使用して庫内を暖房又は冷却しても良い。図13は第6実施形態の冷凍サイクルの構成を示している。制御装置20は、第1冷凍サイクル101の圧縮機構11と第2冷凍サイクル102の圧縮機構12とを制御する。庫内を冷却するときは第1冷凍サイクル101の冷却用熱交換器18に庫内空気を流通させて冷却する。庫内を加熱するときは第2冷凍サイクル102の放熱器13となる凝縮器に庫内空気を流通させて庫内を加熱する。第2冷凍サイクル102は加熱専用であり、第1冷凍サイクル101は冷却専用である。第2冷凍サイクルの冷却用熱交換器18は室外熱交換器として庫外を冷却し庫外の外気からの熱を汲み上げる。
(他の実施形態)
上記の実施形態では、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に、特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
上記の実施形態では、中間熱交換器16を採用したサイクル構成について説明したが、本発明の二段昇圧式冷凍装置のサイクル構成は、これに限定されない。例えば、中間熱交換器16を廃止して、副膨張弁から流出した冷媒の気液を分離する中間気液分離器を設けてもよい。
そして、中間気液分離器にて分離された気相冷媒を高段側圧縮機11aへ吸入させるようにしてもよい。この場合は、副(中間圧)膨張弁を廃止して、代わりに、固定絞り又は固定絞りを通る冷媒通路を選択する電磁弁回路を採用してもよい。従って、本発明で副膨張弁というときは、これらの代替手段を含む。
更に、分岐部141を廃止して、中間気液分離器にて分離された液相冷媒を低圧膨張弁17vへ流入させるようにして、エコノマイザ式冷凍装置として構成してもよい。
上記の実施形態では、それぞれの圧縮機11a、12aに対して、別々の駆動手段を採用したが、1つの電動モータを駆動手段として、高段側圧縮機11a及び低段側圧縮機12aの双方を駆動してもよい。また、駆動手段としてエンジン(内燃機関)を採用してもよい。また電動圧縮機の圧縮機を回転させるモータは誘導電動機のほかに、効率を更に高めるために直流ブラシレスモータを使用しても良い。
また2ステージで加熱したが、3ステージ以上に分けて制御しても良い。要は芯まで加熱し、菌の繁殖を抑えるため速やかに更に温度を上げ、上げた温度をキープできれば良い。
更に、第1実施形態では、トレーラにコンテナ用冷凍装置を搭載したが、これは一例であって、本発明の適用は、トレーラに搭載するコンテナ用冷凍装置に限らない。コンテナ単体を定位置に置くコンテナ用冷凍装置に適用しても良いし、コンテナ船に搭載されているコンテナ用冷等装置に本発明を適用しても良い。なお冷凍装置本体はトレーラ内の電源に限らず外部からの電源で作動しても良いことは勿論である。例えばコンテナ船上であれば船内の配電盤から電源が供給される。