この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。
植物生育測定機1は、走行可能に機器を支持する走行機台である走行装置2と、側方の栽培植物の生育情報を測定する情報測定装置3と、走行装置2及び情報測定装置3を制御する制御ボックスで構成された制御装置4と、機体を移動操作するための移動ハンドル5と、電源となるバッテリー6と、測定した生育情報の収集や解析等を行う情報管理端末7と、機体の各種操作を行う操作パネル8とを備えている。尚、該情報管理端末7は、市販のパーソナルコンピュータやタブレット端末等により構成される。走行装置2の前後方向略中央の上方に情報測定装置3を配置し、走行装置2の前後方向略中央に制御装置4及びバッテリー6を配置している。これにより、重量物である情報測定装置3、制御装置4及びバッテリー6が機体の前後方向略中央に配置されるので、機体の前後重量バランスが良好になる。移動ハンドル5は、走行装置2から支持され、機体の後部に位置する。操作パネル8は、走行装置2の後部で且つ移動ハンドル5の前方に配置されている。
また、走行装置2の後部で且つ移動ハンドル5の下方には端末載置台9を設けており、該端末載置台9上に情報管理端末7が載置される。情報管理端末7は、通常は走行装置2の後部カバー10で覆われているが、作業者等が情報管理端末7の表示画面を見たいときは、後部カバー10を取り外して露出させることができる。尚、後部カバー10をフレキシブルなシート等の透明な素材で構成し、後部カバー10を装着したままで情報管理端末7の表示画面を視認できる構成としてもよい。また、前記フレキシブルなシートで構成する場合には、該シートを巻取装置で巻き取る等して後部カバー10を容易に開閉及び収納できるようにし、作業者が情報管理端末7の操作を容易に行えるようにすることが好ましい。また、後部カバー10の後側面のみ透明な構成とし、機体の後方から情報管理端末7の表示画面を視認し得る構成としてもよい。また、後部カバー10は、下部に設けた下向きの位置合わせピン等により、上側から被せるだけの簡単な装着方法で装着できる構成とすればよい。
走行装置2は、左右の作業用前輪11及び左右の作業用後輪12を備える。この左右の作業用前輪11及び左右の作業用後輪12は、植物の栽培棚の間(栽培条間)の作業通路に沿って設けられた左右の送水パイプ13上を走行する。従って、左右の送水パイプ13が、植物生育測定機1の走行装置2を走行案内する左右の走行レールとなる。尚、該送水パイプ13は、一般的に、温室内の暖房のために温水を流す温水パイプとして知られている。また、左右の作業用前輪11及び左右の作業用後輪12の各々の近傍には、これらの車輪が送水パイプ13から脱線(脱落)しないように、送水パイプ13の機体左右方向外側位置で且つ左右方向内側向きに取り付けられた案内輪14を設けている。そして、機体の前部に設けた走行用電動モータ15の駆動により、左右の作業用前輪11が駆動して機体が走行する構成となっている。
走行用電動モータ15の駆動速度は、制御装置4に設けたダイヤル式の走行速度調節装置により変更することができる。これにより、送水パイプ13の繋ぎ目の溶接部分等を作業用前輪11及び作業用後輪12が乗り越えにくいときは、走行速度を速くする等して円滑に走行させることができる。
左右の作業用前輪11及び左右の作業用後輪12は、車体の下部に取り付けられた左右の軸受部17に支持される。詳述すると、該左右の軸受部17で軸受される車軸16の両端部にスプライン18を形成し、このスプライン18部分に左右各々の車輪が左右スライド可能に取り付けられ、軸受部17と車輪11,12との間には圧縮スプリング19を設けており、車輪11,12は圧縮スプリング19により左右方向外側へ付勢されている。車軸16は、左右中央に設けた基部軸16aと、左右両側部に設けた左右各々の外側軸16bとで構成されている。基部軸16aは、パイプ状で、内周面に雌螺子溝が形成されている。外側軸16bは、機体左右方向内側となる端部の外周面に雄螺子溝20が形成されている。基部軸16aの前記雌螺子溝に外側軸16bの雄螺子溝20が螺合し、基部軸16aの左右に左右各々の外側軸16bを取り付けた構成となっている。尚、基部軸16aと外側軸16bとの間には、両軸を固定する左右各々のロックナット21を設けている。従って、ロックナット21を弛め、基部軸16aに対して外側軸16bを回転させながら左右に移動させ、車輪11,12の左右位置を変更する構成となっている。これにより、左右の送水パイプ13の間隔に合わせて車輪の左右トレッドを調節することができる。また、変形等により左右の送水パイプ13の間隔が変化するとき、圧縮スプリング19の伸縮で、車輪11,12をスプライン18に沿って左右に移動させながら送水パイプ13に追従させることができる。尚、左右の軸受部17は、左右各々の外側軸16bを軸受している。
また、左右の作業用前輪11及び左右の作業用後輪12よりも左右外側には、左右の移動用前輪22及び左右の移動用後輪23を設けている。この左右の移動用前輪22及び左右の移動用後輪23の下端は、左右の作業用前輪11及び左右の作業用後輪12の下端よりも低位である。従って、測定作業前や測定作業後等に、左右の移動用前輪11及び左右の移動用後輪12を地面(路面)に接地させて作業者が移動ハンドル5を操作することにより、送水パイプ(走行レール)13が無い所でも機体を移動させることができる。尚、左右の移動用後輪23は、キャスター輪で操向自在となっており、機体を操向させながら移動させることができる。尚、左右の移動用前輪22は左右の作業用前輪11よりも後側に配置され、左右の移動用後輪23は左右の作業用後輪12よりも前側に配置されている。
尚、送水パイプ(走行レール)13上を作業用前輪11及び作業用後輪12が走行するときは、移動用前輪22及び移動用後輪23は、左右の送水パイプ(走行レール)13の左右外側で、地面から浮上して接地しない高さになる。
走行装置2の前端下部には前端センサ24を設け、走行装置2の後端下部には後端センサ25を設けている。一方、左右の送水パイプ13の間に、位置検出用部材を掛け渡して装着している。この位置検出用部材は、左右両端部が高位となるよう屈曲されたプレートにより構成され、左右両端部が左右各々の送水パイプ13上に載せて装着する構成となっている。また、位置検出用部材は、左右の送水パイプ13の一端部及び他端部(前端部及び後端部)に各々設けられている。従って、走行装置2の左右の送水パイプ13上の前進で前端センサ24が前端側の位置検出用部材に接触して該位置検出用部材を検知することにより、機体が送水パイプ13の前端部に到達したことを検出する構成となっている。同様に、走行装置2の左右の送水パイプ13上の後進で後端センサ25が後端側の位置検出用部材に接触して該位置検出用部材を検知することにより、機体が送水パイプ13の後端部に到達したことを検出する構成となっている。
情報測定装置3は、上下方向に延びるLED蛍光灯で構成された発光体26と、植物を撮影するカメラで構成される撮影装置27とを備えている。発光体26は、青色光を発する発光ダイオードであり、前後に等間隔ピッチで複数本(計4本)配列されている。この複数本の発光体26で構成される発光部の一側方、上方、下方、前方及び後方となる5方は、発光部カバー28により光が通過しないように覆われている。従って、複数本の発光体26からの光は、発光部カバー28で覆われていない栽培植物がある側へ効率良く投光される。また、前記発光部の前後中央で且つ上下中央の位置に、撮影装置27を配置している。具体的には、撮影装置27は、上下に延びる発光体26の上下中央位置の高さで、前後の発光体26の間(前から2本目と3本目の発光体26の間)に配置され、発光部カバー28で覆われていない栽培植物がある側の様子を撮影する構成となっている。
発光部カバー28は、板金で構成された金属製であり、発光部の上方となる上面部28aと発光部の下方となる下面部28bと発光部の一側方となる側面部28cとが、平板状に形成され、発光部の前方となる前面部28dと発光部の後方となる後面部28eとが、側面部28cに連続的に設けられて左右に湾曲する曲面状に形成されている。これにより、発光部カバー28の外面はボルト等の突起物がなく滑らかな形状であるので、栽培条間を移動するときに、植物が発光部カバー28に接触しても傷付きにくくなる。また、上面部28aと下面部28bとが、情報測定装置3の基部に固着して設けられ、側面部28cと前面部28dと後面部28eとが、上面部28a及び下面部28bに着脱可能に設けられている。具体的に説明すると、側面部28cは、上部の前後2箇所に設けたフック29を上面部28aの側面部28c側に設けた前後2箇所の側面部装着用孔30に引っ掛け、下部を下面部28bの側面部28c側に設けた前後2箇所の磁石31の磁力により固定する。前面部28d及び後面部28eは、上部に設けた各々単一のフック29を上面部28aの前後に設けた前面部装着用孔32及び後面部装着用孔33に引っ掛け、各々下部の左右に設けた突起34を下面部28bの左右に設けた下部固定用孔35に挿入して固定される。この構造により、側面部28c、前面部28d及び後面部28eの上部は孔にフック29を引っ掛けるだけなので、情報測定装置3の上下高さが高くて作業者の手が発光部カバー28の上部に届かなくても、側面部28c、前面部28d及び後面部28eを容易に装着できる。また、植物の灰汁や樹液等により側面部28c、前面部28d及び後面部28eが汚れた場合、これらを容易に取り外して洗浄することができる。
尚、前面部28d及び後面部28eも、磁石31により装着する構成とすれば、更に着脱が容易になる。また、磁石31により装着する構成とするとき、水平方向に延びる位置合わせピン36により位置を合わせて装着する構成とすれば、横方向から容易に装着できる。特に、前面部28d及び後面部28eは、機体の走行により栽培条間に伸長する植物を掻き分けるために汚れ易いので、容易に着脱できる構成とすることが望ましい。尚、前面部28d及び後面部28eを含め、発光部カバー28の外面に使い捨ての防護フィルムを貼付する構成とし、該防護フィルムを定期的に張り替えて該防護フィルムごと汚れを除去するようにすれば、発光部カバー28の洗浄作業を省略できるので、作業が容易になる。
発光体26及び撮影装置27は、機体の左右中央よりも発光部カバー28が覆う一側(測定する栽培植物とは左右方向反対側)に偏位して配置されている。これにより、作物の収量向上のために狭い栽培条間(作業通路)であっても、発光体26及び撮影装置27と測定される植物との間の必要な間隔を確保することができると共に、測定される植物に情報測定装置3が干渉することを抑えられ、測定精度の向上が図れる。
発光体26が植物へ向けて発光すると、植物の葉に有するクロロフィルが反応して蛍光する(これをクロロフィル蛍光という。)。このクロロフィル蛍光の度合を撮影装置27の撮影画像を解析して判断し、植物の光合成活性度を判定する構成となっている。尚、前記クロロフィル蛍光や前記光合成活性度等が、植物の生育情報となる。
情報測定装置3は、走行装置2から上方に延びる複数のスライド用フレーム37に昇降スライド可能に支持され、昇降用電動モータ38の駆動により上下方向に延びる複数の昇降用螺子軸(ボールネジ)が回転し、走行装置2に対して昇降し得る構成となっている。これにより、測定する植物の高さ又は植物の測定部位の高さに合わせて情報測定装置3を昇降させることができる。特に、発光体26と撮影装置27との位置関係が変わらず共に昇降するので、適正に植物を測定できる。尚、昇降用螺子軸は、撮影装置27の撮影の邪魔にならない位置に配置されている。また、後側に配置されるスライド用フレーム37の後側面には、情報測定装置3の上下高さの指標となる目盛を形成している。一方、発光部カバー28の前記後側面28eに対向する部分には、前記目盛を視認するための視認用窓39を開口している。従って、機体の後側で移動ハンドル5を把持する作業者は、視認用窓39を介して目盛を目視しながら後述する昇降操作スイッチ40を操作して情報測定装置3の高さを容易に調節できる。尚、目盛をスライド用フレーム37に支持させると共に情報測定装置3の発光部カバー28の外側に設け、発光部カバー28に目盛に対向する指示マークを設け、該指示マークが指示する目盛の位置を視認して情報測定装置3の高さを判断する構成としてもよい。
また、情報測定装置3は、昇降用螺子軸、スライド用フレーム37及び昇降用電動モータ38と共に前後方向の支点軸41を中心に左右一側方へ傾けることができる。これにより、温室の出入口等を移動するとき、機体の上端を低くでき、移動が容易になる。尚、情報測定装置3は、通常の直立姿勢で固定する固定ピン42を外して傾動させる構成であり、保持用チェーン43により傾けた状態で保持される構成となっている。
尚、上述では情報測定装置3を前後方向の支点軸を中心に左右一側方へ傾ける構成としたが、左右方向の支点軸を中心に左右一側方へ傾ける構成としてもよい。このときは、通常の直立姿勢で固定する固定フックを、前記支点軸から離れた機体前部側(前側のスライド用フレーム37及び情報測定装置3の前端の近傍)に配置することが望ましい。そして、上述の保持用チェーン43を設けず、機体後部の移動ハンドル5上に情報測定装置3を載せて後側へ傾けた状態で保持する構成とすればよい。情報測定装置3が機体の左右一方側へ偏位しているので、移動ハンドル5上に情報測定装置3を載せて保持しても、移動ハンドル5の左右他方側部分には作業者が把持する把持部分が露出した状態となる。尚、情報測定装置3を載せる移動ハンドル5の一部分にスポンジ等の緩衝材を設け、情報測定装置3を載せる際の衝撃を和らげる構成としてもよい。
また、左右方向の支点軸を情報測定装置3の上下略中央位置に配置してもよい。これにより、情報測定装置3の傾動による機体の前後左右の重心位置の変化を抑えることができて機体の重心バランスを良好に維持でき、上下に長い情報測定装置3を効率良く低位に配置できる。
操作パネル8には、右側から順に、主電源を入切する主電源スイッチ44、機体の自動走行と手動走行とを切り替える走行モード切替スイッチ45、撮影装置27の作動を入切する撮影入切スイッチ46、及び情報測定装置3を昇降させる昇降操作具となる昇降操作スイッチ40を設けている。主電源スイッチ44は、押すたびに主電源の入切を交互に切り替える押しボタン式のスイッチであり、主電源が入の状態では当該スイッチ44に設けたランプが点灯する構成となっている。昇降操作スイッチ40は、昇降中立位置から上昇操作位置と下降操作位置とに操作する構成となっており、上昇操作位置又は下降操作位置に操作している間だけ情報測定装置3が上昇又は下降し、放すと昇降中立位置に戻って上昇又は下降を停止する構成となっている。また、上記した各種スイッチの下側には、バッテリー6の残量を表示するバッテリーチェッカ47を設けている。バッテリーチェッカ47は、左右に配列される複数(計6個)の表示ランプで構成され、複数の表示ランプのうち点灯する表示ランプの位置でバッテリー6の残量を表示する構成となっている。配列の一端側の表示ランプ(右端側2個の表示ランプ)は青色であり、配列の中央の表示ランプ(左右中央2個の表示ランプ)は黄色であり、配列の他端側の表示ランプ(左端側2個の表示ランプ)は赤色であり、点灯する表示ランプの位置が配列の他端側であるほど、バッテリー6の残量が少ないことを示す。
また、移動ハンドル5の把持部近傍には、作業者が簡易的に操作可能な簡易操作パネル48を設けている。該簡易操作パネル48には、右側から順に、機体の前進及び後進の操作を行う前後進スイッチ49と、機体を緊急停止させる緊急停止ボタン50とを設けている。前後進スイッチ49は、走行中立位置から前進操作位置と後進操作位置とに操作する構成となっており、前進操作位置又は後進操作位置に操作している間だけ機体が前進又は後進し、放すと走行中立位置に戻って走行を停止する構成となっている。緊急停止ボタン50は、押し操作することにより主電源を断ち、機体の全ての作動を停止する構成となっている。
操作パネル8及び簡易操作パネル48は、機体の後向きに設けられているので、作業者は、機体の後方から何れのパネル上の操作が行え、機体の側方に移動する必要が無い。従って、機体と植物との間の狭い空間に作業者が身をのり入れる必要が無く、操作性が向上する。
測定作業の開始にあたり、作業者は、移動ハンドル5を操作して移動用前輪11及び移動用後輪12で機体を走行させ、栽培条間の端部(送水パイプ(走行レール)13の端部)へ機体を移動させ、左右の送水パイプ(走行レール)13上に左右の作業用前輪11及び左右の作業用後輪12を載せる。測定において外光等の影響を受けないようにするべく、測定作業は夜間に行う必要があるので、機体の送水パイプ13上への移動は、夕方に行うことが望ましい。そして、作業者が、主電源スイッチ44を入操作し、撮影入切スイッチ46を入操作にして撮影装置27を撮影する状態にし、昇降操作スイッチ40を操作して昇降用電動モータ38を駆動させて情報測定装置3を所望の測定高さに昇降させる。その後、制御装置4により、走行モード切替スイッチ45を自動走行位置に設定していれば、主電源スイッチ44を入操作してから夜間となる作業開始用の所定時間後(例えば6時間後)に、走行用電動モータ15が駆動を開始して前進走行を開始すると共に、撮影装置27が撮影を開始する。この前進走行開始から走行用の所定時間後(例えば50秒後)に、走行用電動モータ15の駆動を停止して走行停止する。走行停止してから発光用の所定時間後(例えば10秒後)に、発光体26が発光設定時間の間(例えば60秒間)発光し、発光体26を消灯する。発光体26を消灯してから走行開始用の所定時間後(例えば5秒後)に、走行用電動モータ15が再度駆動を開始して前進走行を開始する。そして、前進走行開始から走行用の所定時間後に、上述と同様に走行用電動モータ15の駆動を停止して走行停止する。以降は、上述と同様の作動を繰り返すことにより、所定の走行距離ごとに測定する構成となっている。尚、発光体26が発光している間の撮影装置27の撮影画像に基づいて、植物のクロロフィル蛍光を測定する構成となっている。
これにより、所定の走行距離ごとに測定するので、栽培条における複数の箇所の植物について測定できる。また、走行停止してから発光用の所定時間後に、発光体26が発光してクロロフィル蛍光を測定する構成であるので、走行停止時の機体の揺れが納まって機体が安定した状態で測定でき、測定精度の向上が図れる。更には、発光体26を消灯してから走行開始用の所定時間後に、前進走行を開始する構成であるので、前進走行開始時の機体の揺れが測定に確実に影響しないようにでき、測定精度の向上が図れる。
尚、前記した作業開始用の所定時間、走行用の所定時間、発光用の所定時間、発光設定時間及び走行開始用の所定時間は、適宜調節できる構成とすればよい。特に、栽培条(送水パイプ13)の長さに応じて、走行用の所定時間すなわち1回あたりの走行距離を調節すれば、所望の測定数で測定することができる。尚、走行用の所定時間は、所望の走行距離を走行するべく、走行速度調節装置による走行用電動モータ15の駆動速度の変更に基づいて補正される構成となっている。尚、作業開始用の所定時間は、様々な設定時刻を考慮して0時間〜10時間の範囲で設定できる構成となっている。発光用の所定時間及び走行開始用の所定時間は、消費電力の低減を考慮すれば、無闇に長い時間に設定しない方が好ましい。
そして、機体の前進で、前端センサ24により送水パイプ13の前端部に機体が到達したことを検知すると、前進走行を停止する。この前進走行停止から後進開始用の所定時間後(例えば6秒後)に、走行用電動モータ15を逆方向に駆動して機体を後進させる。機体の後進で、後端センサ25により送水パイプ13の後端部に機体が到達したことを検知すると、後進走行を停止する。以上により、一連の測定作業が終了する。また、後進走行停止時に併せて、情報測定装置3を下限まで自動的に下降させる構成としている。これにより、測定作業後に機体を移動させる際、情報測定装置3が照明、送風ファン及び出入口等の温室内の構造物に干渉することを防止できる。尚、上述の情報測定装置3の自動的な下降は、前進走行停止時や後進走行中に行ってもよい。尚、消費電力の低減のため、後進走行停止時に併せて、主電源を切状態に制御する構成としてもよい。
尚、後進を開始してから後進用の所定時間(例えば10〜15分)を経過しても後端センサ25が検知しないとき、作業用前輪11又は作業用後輪12の脱輪等、何らかの異常が発生していると判断し、後進走行を停止させる構成としている。これにより、安全性が向上すると共に、無駄な電力消費を防止することができる。
また、走行モード切替スイッチ45を手動走行位置に設定していれば、作業者が前後進スイッチ49を操作して機体を適宜前後進させ、走行停止位置で情報測定装置3が測定することになる。また、測定せずに単に送水パイプ13上で機体を走行させる場合は、走行モード切替スイッチ45を手動走行位置にし、前後進スイッチ49を操作して走行させる。
また、主電源スイッチ44が入状態で、バッテリーチェッカ47によりバッテリー6の残量が所定以下(例えば10V以下)であることを表示しているとき(このときは、バッテリーチェッカ47の全ての表示ランプが点滅する。)、制御装置4により、走行モード切替スイッチ45を自動走行位置に設定していても、前述の自動走行を行わず、発光体26による発光及び撮影装置27による撮影も行わず、測定作業を規制する構成となっている。この状態で、走行モード切替スイッチ45を手動走行位置に設定すれば、前後進スイッチ49の操作により、機体を移動するための前進及び後進が行える。尚、自動走行による測定作業中に、バッテリーチェッカ47によりバッテリー6の残量が所定以下(例えば10V以下)であることを表示した場合は、機体の走行をその場で停止させ、発光体26による発光及び撮影装置27による撮影も行わず、測定作業を規制する。これにより、バッテリー6の残量が少ない状態で自動走行による測定作業を実施することにより、栽培条全域に対して測定作業が行えなかったり、測定データが不適正になったりする不具合を防止する。
尚、走行モード切替スイッチ45を手動走行位置に操作した状態で、撮影装置27による撮影を継続し、前後進スイッチ49を放して機体の走行を停止すると自動的に発光体26による発光が行われて植物のクロロフィル蛍光を測定する構成としてもよい。この構成によれば、作業者が任意の位置で走行停止させて植物を測定することができる。
また、前端センサ24が故障したとき、バッテリーチェッカ47の表示ランプのうちの任意(右から3番目)の表示ランプが点滅すると共に、上述と同様に、自動走行を行わず又は中止し、発光体26による発光及び撮影装置27による撮影も行わず、測定作業を規制する構成となっている。尚、自動走行の途中で走行を中止した場合は、自動的に後進し、後端センサ25の検知に基づいて元の位置で停止する。これにより、前端センサ24が故障状態で自動走行による測定作業を実施することにより、機体が送水パイプ13の端部で走行停止せずに機体や温室が破損することを防止する。
また、後端センサ25が故障したとき、バッテリーチェッカ47の表示ランプのうちの任意(右から4番目)の表示ランプが点滅すると共に、上述と同様に、自動走行を行わず又は中止し、発光体26による発光及び撮影装置27による撮影も行わず、測定作業を規制する構成となっている。これにより、後端センサ25が故障状態で自動走行による測定作業を実施することにより、機体が送水パイプ13の端部で走行停止せずに機体や温室が破損することを防止する。
また、走行モード切替スイッチ45を自動走行位置に設定し、主電源スイッチ44を入操作してから夜間となる作業開始用の所定時間後(例えば6時間後)に、走行用電動モータ15が駆動を開始して前進走行を開始し、この前進走行を開始してから後進して元の位置に復帰するまで(測定作業が完了するまで)に必要な時間(例えば、2時間)以上経過したにも拘らず、後進で機体が元の位置に復帰したことを後端センサ25が検知しないとき、機体の走行制御に不具合が発生していると判断し、バッテリーチェッカ47の複数の表示ランプを一方側(右側)から順に点灯して消灯して告知する。尚、この状態でも、前後進スイッチ49の操作により、機体を移動するための前進及び後進が行える。尚、前記状態で、走行モード切替スイッチ45を手動走行位置に操作すれば、前後進スイッチ49の操作により、機体を移動するための前進及び後進が行える。
また、昇降用電動モータ38の駆動による情報測定装置3の昇降において、該情報測定装置3が昇降の上限に到達したことを検出する情報測定装置上限センサと、該情報測定装置3が昇降の下限に到達したことを検出する情報測定装置下限センサとを設け、制御装置4は、情報測定装置上限センサ又は情報測定装置下限センサの検知に基づいて昇降用電動モータ38の駆動を停止する構成となっている。しかしながら、昇降操作スイッチ40を情報測定装置3の昇降範囲全域にわたって昇降させるのに必要な時間(例えば、1分)以上上昇操作位置に操作し続けたにも拘らず、情報測定装置上限センサが検知しないとき、情報測定装置上限センサが故障していると判断し、バッテリーチェッカ47の任意(右から1番目)の表示ランプを点滅させて告知する。同様に、昇降操作スイッチ40を前記必要な時間以上下降操作位置に操作し続けたにも拘らず、情報測定装置下限センサが検知しないとき、情報測定装置下限センサが故障していると判断し、バッテリーチェッカ47の任意(右から2番目)の表示ランプを点滅させて告知する。
以上説明したように、バッテリーチェッカ47の表示ランプを各種の情報告知用の表示ランプとして兼用することにより、表示ランプの低減が図れ、コストダウンになる。
以上により、植物生育測定機は、走行装置(2)と、植物の生育情報を測定する情報測定装置(3)と、操作パネル(8)とを備え、情報測定装置(3)は、植物に向けて発光する発光体(26)と、植物を撮影する撮影装置(27)とを備え、操作パネル(8)は、自動走行と手動走行とを切り替える走行モード切替スイッチ(45)及び撮影装置(27)の作動を入切する撮影入切スイッチ(46)を備え、走行モード切替スイッチ(45)及び撮影入切スイッチ(46)の一側に主電源スイッチ(44)を備え、走行モード切替スイッチ(45)及び撮影入切スイッチ(46)の他側に、情報測定装置(3)を昇降させる昇降操作具(40)を備えている。
よって、走行モード切替スイッチ(45)及び撮影入切スイッチ(46)の一側に主電源スイッチ(44)を配置したので、主電源スイッチ(44)を操作し易い。走行モード切替スイッチ(45)、撮影入切スイッチ(46)及び昇降操作具(40)のうち、最も使用頻度の高い昇降操作具(40)を、走行モード切替スイッチ(45)及び撮影入切スイッチ(46)の他側に配置したので、操作性が向上する。そして、昇降操作具(40)の操作により、植物の高さに合わせて情報測定装置(3)を昇降させて植物の生育情報を適正に得ることができる。
尚、前述では機体の後進時には植物の測定を行わない形態について説明したが、後進時にも発光体26を発光させながら撮影装置27により撮影して測定してもよい。このとき、植物のクロロフィル蛍光を高精度で測定するには、前進時と同様に走行停止させて測定することが望ましい。後進時には、撮影装置27の撮影で得られる植物の大きさに基づいて植物の生育度合いを生育情報として測定したいときは、連続的に後進で走行しながら栽培条全体を測定すればよい。
尚、発光体26の発光強度を調節する調節具(調節ダイヤル等)を設けてもよい。これにより、周囲の環境により異なる明暗の違いで適正に測定されないような不具合を防止でき、撮影装置27が所望の明るさで撮影でき、測定精度が向上する。
尚、発光体26の発光強度を検出する照度センサを情報測定装置3の上部に設け、制御装置4により、照度センサの検出に基づいて所望の照度となるよう発光体26の発光強度を制御する構成としてもよい。また、照度センサが所望の照度でないことを検出したとき、自動走行を中止して測定作業を中止し、不適正な測定データが得られることを防止する構成としてもよい。このとき、自動走行における走行開始直前に発光体26を試験的に発光させ、照度センサにより照度を検出して測定作業を中止するか否かを決定する制御を行えばよい。尚、操作パネルに、照度センサで検出した照度を表示する照度表示ランプ等の表示具を設けてもよい。
また、前述では走行用の所定時間の設定により所定の走行距離ごとに測定する構成について説明したが、前記走行用の所定時間に代えて、1回当たりの走行距離すなわち所定走行距離を設定する構成としてもよい。このときは、作業用前輪11又は作業用後輪12の回転数を検出する車輪回転センサを設け、制御装置4により、車輪回転センサの検出に基づく走行距離が前記所定走行距離に達するごとに走行を停止させる構成となる。また、前記所定走行距離を設定する構成に代えて、栽培条(送水パイプ13)の全長と測定回数とを設定する構成とし、制御装置4により、前記全長と前記測定回数とから所定走行距離を演算し、演算された該所定走行距離に基づいて走行制御する構成としてもよい。このとき、所定走行距離を演算する演算式は、所定走行距離をA、全長をB、測定回数をCとすると、A=B/(C+1)となる。加えて、栽培条での最初の測定及び最後の測定における栽培条端からの距離(送水パイプ13端からの距離。以下、端部走行距離という。)を設定可能な構成としてもよい。具体的に説明すると、先ず、栽培条端(送水パイプ13端)からの機体の走行距離が前記端部走行距離に到達すると走行停止して測定し、以降は所定走行距離を走行する度に走行停止して測定していく。このとき、所定走行距離を演算する演算式は、所定走行距離をA、全長をB、測定回数をC、端部走行距離をDとすると、A=(B−2D)/(C−1)となる。尚、端部走行距離を0に設定すると、栽培条の両端で測定することになる。
また、従動輪である作業用後輪12の回転数を検出する車輪回転センサを設けた場合、制御装置4から走行用電動モータ15へ走行指令の信号が出力されているにも拘らず、車輪回転センサが作業用後輪12の回転を検出しないときは、送水パイプ13の繋ぎ目の溶接部分等を作業用前輪11又は作業用後輪12が乗り越えることができずに駆動輪である作業用前輪11が空転していると判断し、前後進のうち所望の走行方向とは逆方向(例えば、前進走行中であれば後進)に所定時間又は所定距離だけ走行し、再度所望の走行方向へ走行する構成とすればよい。これにより、送水パイプ13の繋ぎ目の溶接部分等を乗り越えるようにする。この逆方向走行後の再度の走行を所定回数(例えば、3回)繰り返しても、車輪回転センサの検出に基づいて駆動輪である作業用前輪11が空転していると判断されるときは、走行が不可能であると判断し、走行を停止する。これにより、再度の走行を繰り返すことによりかえって作業用前輪11又は作業用後輪12が送水パイプ13上から脱輪する等の危険の発生を防止でき、安全性が向上する。尚、この再度の走行の制御は、所望の走行方向が前進側でも後進側でも実行されるようにすればよい。
尚、情報測定装置3に、梯子51を設けてもよい。この梯子51は、折りたたみ収納式であり、情報測定装置3が偏位する一側方がわに展開されて端部が地面に接地する構成とすればよい。作業者は、梯子51に上って発光体26や撮影装置27のメンテナンスを行うことができる。これにより、高位となる情報測定装置3のメンテナンスを容易に行える。尚、折りたたみ収納された梯子51が情報測定装置3の左右幅内又は該情報測定装置3の内部に収まる構成とすれば、測定作業時に梯子51で植物を傷付けることを防止できる。
尚、前述ではバッテリーチェッカ47の表示ランプによりバッテリー6の残量を知らせる構成について説明したが、主電源スイッチ44のランプを点滅させることによりバッテリー6の残量が少なくなっていることを知らせる構成としてもよい。
尚、前端センサ24とは別に、機体の前方に障害物があることを検出する前方センサを設けてもよい。これにより、送水パイプ13に沿う走行経路上に障害物があるとき、前方センサの検知に基づいて機体の前進を停止させることができる。また、前端センサ24が故障していても前方センサが温室の側壁等の障害物を検知することで、機体の前進を停止させることができる。また、作業用前輪11又は作業用後輪12が送水パイプ13から脱輪したときに、前方センサが前方の温室の側壁や栽培ベッド等の障害物を検知することで、機体の前進を停止させることができる。また、前端センサ24が送水パイプ13の端部に到達したことを検知し且つ前方センサが障害物(温室の側壁等)を検知したときにのみ、後進する構成とすれば、作業用前輪11又は作業用後輪12が送水パイプ13から脱輪したままで後進させることを防止でき、安全性が向上する。
尚、前述では昇降用電動モータ38の駆動により昇降用螺子軸を回転させて情報測定装置3を昇降させる構成について説明したが、昇降用螺子軸の下端に設けた昇降用ハンドルを回転させて昇降用螺子軸を回転させ、情報測定装置3を手動で昇降させる構成としてもよい。
また、走行装置2に対して情報測定装置3を左右方向に移動調節可能な構成としてもよい。これにより、発光体26から植物が受光する受光強度や撮影装置27が撮影する所望の撮影範囲に応じて、情報測定装置3と測定する植物との距離を変更調節でき、測定精度の向上が図れる。また、情報測定装置3の基部フレームに、前後方向に延びる左右調節用螺子軸と左右スライドガイドとを設け、左右調節用螺子軸及び左右スライドガイドを介して撮影装置27を装着してもよい。これにより、左右調節用螺子軸の回動により、左右スライドガイドに案内されながら、発光体26の左右位置を変えずに撮影装置27の左右位置を調節することができ、撮影装置27が撮影する撮影範囲を調節することができる。尚、左右調節用螺子軸の回動は、電動モータにより行っても手動により行ってもよい。
尚、情報測定装置3の下部に、下方へ向けて照射する作業灯を設けてもよい。これにより、夜間の手動作業に対応できると共に、メンテナンス性も向上する。
また、他の測定器具等も使用できるように、該他の測定器具等の電源端子を接続する電源端子装着口(電源コンセント)を機体に設けてもよい。電源端子装着口(電源コンセント)は、各種の器具へ電源を供給することを考慮して、交流100V用、直流24V用及び直流12V用等、各種備えておくことが望ましい。