JP2016130035A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 リアリジッド車両に搭載される電動パワーステアリング装置において、車両走行時の左右後輪の上下挙動に応じて操舵アシストトルクを適正に制御するのに有効な技術を提供する。【解決手段】 本発明にかかる電動パワーステアリング装置10は、リアリジッド車両に搭載されるものであり、その制御部30は、車両走行時に後輪情報検出部20によって検出された情報に基づいて車両1の向きが変わると判定したとき、モード選択操作部21によって第1のアシスト制御モードが選択されている場合には、車両1の向きが変わる方向と同方向の操舵についてのみ操舵ハンドル11の操作によって入力された操舵トルクに基づいて決定される基本操舵アシストトルクを上回る補正操舵アシストトルクが発生するように、電動モータ15を駆動制御する。【選択図】 図1
Description
本発明は、車両に搭載される電動パワーステアリング装置に関する。
この種の電動パワーステアリング装置の一例が下記特許文献1に開示されている。この電動パワーステアリング装置(以下、「従来装置」ともいう)は、車両を操舵する操舵ハンドルの操作によって入力された操舵トルクに基づいて電動モータを駆動制御して操舵アシストトルクを発生するように構成されている。この従来装置によれば、特に操舵フィーリングを向上させるために走行時の路面状況に応じて操舵アシストトルクが制御される。この制御の特徴は、悪路等の走行時において操舵輪が路面によって動かされて操舵ハンドルが取られるような場合に、操舵ハンドルの操作時の操舵アシストトルクを減らすようにアシスト特性を変更することによって操舵ハンドルが取られ難くすることである。
ところで、左右の駆動輪である後輪が1本の固定車軸を介して連結された車軸懸架式のサスペンションを備えた車両、所謂「リアリジッド車両」が知られている。このリアリジッド車両は、左右の後輪の上下方向の動きが連動するため、駆動輪である左右の後輪のうちのいずれか一方の後輪が凸部に乗り上げたり凹部に乗り下げたりして左右の後輪の車両上下方向の高低差が大きくなったときにその車両の向きが変わり易い。具体的に説明すると、例えば右後輪が凸部に乗り上げ或いは左後輪が凹部に乗り下げて左右後輪の間の高低差が大きくなったとき、固定車軸の両端部のうち左後輪側端部の位置が右後輪側端部の位置よりも下がることによって車体の重心が左後輪側へ移動する。このとき、左後輪での接地荷重が右後輪での接地荷重を上回ることで右後輪がスリップし易くなるため、操舵ハンドルが右に取られつつ車両の向き(進行方向)が右に変わるような現象(「偏向」或いは「旋回」ともいう)が生じ得る。
このように、リアリジッド車両は、後輪が独立懸架式である車両に比べて左右後輪の上下挙動が大きくなり易い構造を有するため、悪路等の走行時に路面状況の影響を受けたときに車両の向きが変わり易い。しかしながら、上記従来装置は、路面状況の影響を受けて車両の向きが変わる場合に操舵ハンドルの操作時の操舵アシストトルクを減らしてしまうので、操舵輪の方向を車両の向きが変わる方向に一致させ難い。従って、操舵輪が車輪の駆動力を低下させてしまう向きになり易く、その結果、悪路からの速やかな脱出が阻害される虞がある。上記従来装置は、操舵ハンドルの操作時の操舵アシストトルクを減らすような制御を行うものであって、ドライバーが車両の向きが変わる方向と同方向に操舵ハンドルを操作しようとしても、その意図に反して必要以上の操舵トルクを要する。その結果、車両走行時の左右後輪の上下挙動に応じた適正なアシスト制御を実行できないという問題が生じ得る。
本発明は、上述の問題に対処するために成されたものである。即ち、本発明の目的の1つは、リアリジッド車両に搭載される電動パワーステアリング装置において、車両走行時の左右後輪の上下挙動に応じて操舵アシストトルクを適正に制御するのに有効な技術を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る電動パワーステアリング装置(10)は、左右の駆動輪である後輪(RW1,RW2)が1本の固定車軸(41)を介して連結されたリジッドサスペンション(40)を備えた車両(1)に搭載されるものである。この電動パワーステアリング装置(10)は、車両(1)を操舵する操舵ハンドル(11)の操作によって入力された操舵トルク(Tr)に基づいて電動モータ(15)を駆動制御して操舵アシストトルク(Ta)を発生する。この電動パワーステアリング装置(10)は、後輪情報検出部(20)及び制御部(30)を含む。後輪情報検出部(20)は、左右の後輪の車両上下方向の高低差(後輪高低差)に関する情報を検出する。制御部(30)は、車両走行時に後輪情報検出部(20)によって検出された情報に基づいて車両(1)の向きが変わると判定したとき、所定のアシスト制御モードが選択されている場合には、車両(1)の向きが変わる方向と同方向の操舵についてのみ操舵ハンドル(11)の操作によって入力された操舵トルクに基づいて決定される基本操舵アシストトルク(Ta1,Ta3)を上回る補正操舵アシストトルク(Ta2,Ta4)が発生するように電動モータ(15)を駆動制御する。これにより、車両(1)の向きが変わる方向と同方向への操舵ハンドルの操作については、悪路からの脱出を優先したいというドライバーの意図に沿った適正なアシスト制御が可能になる。
尚、上記の説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
以下、本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。当該図面では、車両前後方向をX軸によって、車両左右方向をY軸によって、車両上下方向をZ軸によって示している。
図1に示されるように、車両1に搭載された車両制御システム2は、電動パワーステアリング装置10を含む。この電動パワーステアリング装置10は、車両1を操舵するために回転操作される操舵ハンドル11と、操舵ハンドル11による車両1の操舵をアシストするための操舵アシスト用の電動モータ15と、電動モータ15を制御する制御部30と、を備えている。この電動パワーステアリング装置10の機能は、概して操舵ハンドル11の操作によって入力された操舵トルクに基づいて電動モータ15を駆動制御して操舵アシストトルクを発生させることである。この電動パワーステアリング装置10を、電動モータ15の駆動によって操舵ハンドル11の操作をアシストする「ステアリング制御装置」ということもできる。
操舵ハンドル11には、当該操舵ハンドル11と一体回転する長軸状のステアリングシャフト12が固定されている。ステアリングシャフト12のうち操舵ハンドル11に固定された軸端部とは反対側の軸端部にピニオンギヤ13が設けられている。ピニオンギヤ13は、長軸状のラックバー14に形成されたラック歯と噛み合ってラックアンドピニオン機構を構成する。ラックバー14の左右両端には、タイロッド及びナックルアーム(いずれも図示省略)を介して左右の前輪FW1,FW2が転舵可能に接続されている。従って、左右の前輪FW1,FW2は、ステアリングシャフト12の軸線回りの回転に伴うラックバー14の軸線方向(左右方向)の変位に応じて左右に転舵する。
電動モータ15は、操舵ハンドル11の回転操作時に生じる操舵トルクをアシストする操舵アシストトルクを発生させる。この電動モータ15の回転軸は、ボールねじ機構16を介してラックバー14に動力伝達可能に接続されている。ボールねじ機構16は、電動モータ15の回転運動を減速状態で直線運動に変換してラックバー14に伝達する。従って、電動モータ15の回転軸が回転することによって、車両1の操舵(左右の前輪FW1,FW2の転舵)がアシストされる。ここでいう電動モータ15が本発明の「電動モータ」に相当する。
ステアリングシャフト12には、操舵トルクセンサ17が設けられている。この操舵トルクセンサ17は、操舵ハンドル11からステアリングシャフト12に入力された操舵トルクTrを検出する。操舵トルクTrの正負の値によって、操舵ハンドル11の操舵方向が識別される。例えば、操舵ハンドル11の操作による車両1の右方向への操舵時の操舵トルクTrが正の値で示され、操舵ハンドル11の操作による左方向への操舵時の操舵トルクTrが負の値で示される。
制御部30は、公知のCPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを主要構成部品とし、且つ電動モータ15を駆動するための駆動回路(図示省略)を備えた電子制御ユニットとして構成されている。また、この制御部30は、後輪情報検出部20、モード選択操作部21、VSC(vehicle stability control)22、AVS(adaptive variable suspension system)23、KDSS(kinetic dynamic suspension system)24、車速センサ25及び車両向き変化センサ26のそれぞれと電気的に接続されている。この場合、特に図示しないものの、VSC22、AVS23及びKDSS24は、コントローラエリアネットワーク(CAN)等のシステム間通信手段によって互いにデータ通信可能に接続されるのが好ましい。また、これらVSC22、AVS23及びKDSS24のうちの1又は複数は、制御部30の機能の全部或いは一部を担うように構成されてもよい。ここでいう制御部30が本発明の「制御部」に相当する。
後輪情報検出部20は、ロールセンサ20a、車高センサ20b、上下加速度センサ20c、シリンダ内圧センサ20dを含む複数のセンシング要素によって構成されている。ロールセンサ20aは、車両1のロール(X軸まわりの回転)に関する情報(回転量、回転角速度など)を検出する。車高センサ20bは、車両1の右側領域及び左側領域のそれぞれの車高を検出する。上下加速度センサ20cは、車両1の右側領域及び左側領域のそれぞれに作用する上下方向加速度を検出する。シリンダ内圧センサ20dは、左右の後輪RW1,RW2のそれぞれのダンパーのシリンダ内圧を検出する。この後輪情報検出部20によれば、1又は複数のセンシング要素を使用することによって、左右の後輪RW1,RW2の車両上下方向の高低差に関する情報が検出される。ここでいう後輪情報検出部20が本発明の「後輪情報検出部」に相当する。
モード選択操作部21は、車両乗員(典型的にはドライバー)が手動で操作可能なモードセレクター(スイッチ或いはレバー)として構成されている。このモード選択操作部21の操作によって、電動パワーステアリング装置10のアシスト制御モードとして、複数のアシスト制御モード(本実施の形態では、第1のアシスト制御モード及び第2のアシスト制御モードの2つのアシスト制御モード)のうちのいずれか1つのアシスト制御モードが選択される。
第1のアシスト制御モードは、路面凹凸が激しい悪路から速やかに脱出するのに適したモード(走破性重視モード)である。このため、この第1のアシスト制御モードが選択されている場合には、操舵ハンドル11による車両1の操舵のアシスト時に、走行のための駆動力をなるべく低下させないようなアシスト制御が実行される。これに対して、第2のアシスト制御モードは、変化した車両1の向きを元に戻すのに適したモードである。このため、この第2のアシスト制御モードが選択されている場合には、操舵ハンドル11による車両1の操舵のアシスト時に、変化した車両1の向きを元に戻し易いようなアシスト制御が実行される。
VSC22は、車両の横滑りが発生したときに、四輪各々に作用する制動力とエンジン出力を制御することによって車両の安定性を確保するシステムを構成している。このシステムによれば、例えばオーバースピードで操舵ハンドル11を操作しても車両1が曲がらない場合、所謂「アンダーステア」の場合、車両1を曲がろうとするカーブの内側に向けるような制御が行われる。
AVS23及びKDSS24はいずれも、サスペンション制御にかかるシステムを構成している。AVS23は、ダンパーの減衰力を最適に制御するシステムとして構成されている。KDSS24は、車体1aの傾き(ロール)を防ぐスタビライザーの作動・非作動を、オイルダンパーを用いて制御するシステムを構成している。このシステムによれば、カーブではスタビライザーを作動させることでロールの発生を防止することができ、直線時やラフロードではスタビライザーを非作動にすることで車輪のホイールストロークを稼いで乗り心地の良さや路面の追従性を高めることができる。
車速センサ25は、車両1の速度(車速)を検出する。車両向き変化センサ26には、車両1のヨー(Z軸まわりの回転)に関する情報(回転量、回転角速度など)を検出するヨーセンサや、車両1の横方向に作用する重力を検出する横加速後センサが含まれる。この車両向き変化センサ26を用いれば、車両1の向きが変化したか否かを検出することができる。
本実施の形態の車両1は、前後の車輪の全てが駆動される四輪駆動車(全輪駆動車)である。即ち、左右の前輪FW1,FW2は操舵輪且つ駆動輪であり、左右の後輪RW1,RW2は駆動輪である。図2に示されるように、この車両1では、左右の後輪RW1,RW2に車軸懸架式のリジッドサスペンション40が割り当てられている。このリジッドサスペンション40は、1本の固定車軸(リジッドアクスル)41と、左右の支持機構42,43と、を備えている。固定車軸41は、一方の軸端部41aにおいて左後輪RW1に連結され、且つ他方の軸端部41bにおいて右後輪RW2に連結されている。また、この固定車軸41は、いずれもスプリング及びダンパーを含む左右の支持機構42,43を介して車体1aに取付けられている。この場合、リジッドサスペンション40を備える車両1を「リアリジッド車両」ということもできる。ここでいうリジッドサスペンション40が本発明の「リジッドサスペンション」に相当する。
ところで、上記の車両1では、左右の後輪RW1,RW2が1本の固定車軸41を介して互いに連結された構造ゆえ、左右の後輪RW1,RW2の上下方向の動きが連動する。従って、例えば悪路走行時に、左右の後輪RW1,RW2のうちの一方の後輪が凸部に乗り上げた場合には、固定車軸41が左右に傾くことによって左右の後輪RW1,RW2のそれぞれに作用する接地荷重のバランスが変わり、車両1の向き(進行方向)が変わるような現象(「偏向」或いは「旋回」ともいう)が生じ得る。この現象を図3及び図4を参照しつつ具体的に説明する。
図3に示されるように、車両1が路面凹凸の激しい悪路を低速で走行する際、例えば右後輪RW2が凸部Aに乗り上げ、或いは左後輪RW1が凹部Bに乗り下げる場合が想定される。左右の後輪RW1,RW2の高低差が大きい場合、リジッドサスペンション40の固定車軸41は、右後輪RW2側の軸端部41bの方が左後輪RW1側の軸端部41aよりも高所に位置するように傾く。このとき、左右の後輪RW1,RW2のそれぞれに作用する接地荷重は、走行路面が平坦である場合に比べて変化する。即ち、車体1aの重心Gが例えば図3中の矢印方向に移動することによって右後輪RW2に作用する接地荷重Wbが下がり、左後輪RW1に作用する接地荷重Wcが上がる。その結果、接地荷重Wcが接地荷重Wbを上回るように、左後輪RW1と右後輪RW2との間で接地荷重バランスが変化する(図3中の白抜き矢印参照)。
この接地荷重バランスの変化によって右後輪RW2がスリップすると、図4に示されるように、操舵ハンドル11が右に取られつつ車両1は車体1aの重心を中心に矢印D方向に旋回する結果、車両1の向きが右へと変化する。この変化に応じてドライバーが操舵ハンドル11を左方向或いは右方向に操作したとき、電動パワーステアリング装置10は、モード選択操作部21によって既に選択されているアシスト制御モードの選択状況に応じたアシスト制御を実行する。以下、このアシスト制御の一実施形態について図5〜図10を参照しつつ説明する。尚、このアシスト制御は、制御主体である制御部30によって実行されるものであるが、以下の説明ではこの制御主体の記載を省略している。
図5に示されるように、このアシスト制御では、先ずステップS101によって、左右の後輪RW1,RW2の高低差に関する情報を、後輪情報検出部20を構成する1又は複数のセンシング要素によって検出する。ロールセンサ20aを用いれば、車両1のロール(X軸まわりの回転)に関する情報から、左右の後輪RW1,RW2の高低差を直接的に導出することができる。また、車高センサ20bを用いれば、左後輪RW1の高さと右後輪RW2の高さとの差から、左右の後輪RW1,RW2の高低差を間接的に導出することができる。また、上下加速度センサ20cを用いれば、車両1の左右の上下方向加速度から、左右の後輪RW1,RW2の高低差を間接的に導出することができる。また、シリンダ内圧センサ20dを用いれば、左後輪RW1のダンパーのシリンダ内圧と、右後輪RW2のダンパーのシリンダ内圧との圧力差から、左右の後輪RW1,RW2の高低差を間接的に導出することができる。この後輪情報検出部20による情報の検出は、連続的或いは一定時間毎に実行され得る。
ステップS102では、ステップS101で検出された情報に基づいて、左右の後輪RW1,RW2のうちのいずれか一方の後輪の凸部への乗り上げ、或いは凹部への乗り下げ(以下、「対象現象」ともいう)が発生したか否かを判定する。具体的には、後輪情報検出部20の検出情報に基づいて、左右の後輪RW1,RW2の高低差(以下、「後輪高低差」ともいう)が予め設定された閾値に達した場合に、上記の対象現象が発生したと判定する。この場合、所定の高さ寸法を超える形状の凸部や凹部が存在する悪路の走行については後輪高低差が閾値以上となり、且つ細かなうねり等によって形成される凹凸面が存在する平坦路の走行については後輪高低差が閾値を下回るように、閾値が設定されるのが好ましい。尚、このステップS102を、必要に応じて、単に後輪高低差が閾値を上回ったか否かを判定するステップに置き換えることもできる。
ステップS102で上記の対象現象が発生したと判定した場合(ステップS102のYesの場合)にステップS103にすすむ。一方で、ステップS102で上記の対象現象が発生していないと判定した場合(ステップS102のNoの場合)にステップS101に戻る。
ステップS103では、ステップS102の判定結果に基づいて、即ち後輪情報検出部20の検出情報を用いることによって、車両1の向きが変わる方向を特定する。一般的に上記の対象現象が発生すると左右の後輪RW1,RW2のうち高所に位置するほうの後輪側に車両1の向きが変わる。例えば、右後輪RW2が凸部に乗り上げると車両1の向きが右に変化する。従って、ステップS102の判定結果から車両1の向きが変わる方向を推定によって特定できる。この場合、更に車両向き変化センサ26の検出情報を用いれば、車両1の向きの実際の変化がわかるため、車両1の向きが変わる方向を高い確度で特定できる。
ステップS104では、モード選択操作部21によって既に選択されているアシスト制御モードが第1のアシスト制御モードであるか否かを判定する。第1のアシスト制御モードが選択されている場合(ステップS104のYesの場合)にステップS105にすすみ、そうでない場合(ステップS104のNoの場合)、即ち第2のアシスト制御モードが選択されている場合にステップS105にすすむ。ここでいう第1のアシスト制御モードが本発明の「所定のアシスト制御モード」に相当する。
ステップS105では、電動パワーステアリング装置10による第1のアシスト制御を実行する。一方で、ステップS106では、電動パワーステアリング装置10による第2のアシスト制御を実行する。
図6に示される例は、上記の対象現象の発生によって車両1の向きが右に変わる場合(図中の白抜き矢印参照)を想定している。車両走行時に車両1の向きが右に変わると判定したとき、モード選択操作部21によって第1のアシスト制御モードが選択されている場合には、車両1の向きが変わる方向(図6中の右方向)、即ち操舵ハンドル11が取られる方向の操舵についてのみ操舵アシストトルクを増やすよう補正する。この場合、車両1の向きが変わる方向に車両1を操舵し易くなり、そのときの走行方向を維持し易くなるため、アシスト時に走行のための駆動力が低下するのを抑えることができる。その結果、車両1を悪路から脱出させるのに必要な駆動力を確保するのに有効である。
これに対して、車両走行時に車両1の向きが右に変わると判定したとき、モード選択操作部21によって第2のアシスト制御モードが選択されている場合には、車両1の向きが変わる方向と逆方向(図6中の左方向)、即ち操舵ハンドル11が取られる方向と逆方向の操舵についてのみ操舵アシストトルクを増やすよう補正する。この場合、変化した車両1の向きを元の状態に戻そうとするドライバーの意思を優先することができる。
上記の操舵アシストトルクの補正について具体的には図7〜図10が参照される。
車両1の向きが右に変わるときに第1のアシスト制御モードが選択されている場合には、例えば図7に示される補正操舵アシストトルク曲線C1に基づいて、操舵ハンドル11による左右方向の操舵をアシストすることができる。ここで補正操舵アシストトルク曲線C1は、基本操舵アシストトルク曲線C0の補正曲線であり、補正操舵アシストトルクを表す曲線である。基本操舵アシストトルク曲線C0は、操舵トルクセンサ17によって検出された操舵トルクTrと車速センサ25によって検出された車速とに基づいて決定される基本操舵アシストトルクを表す曲線である。従って、補正操舵アシストトルク曲線C1を用いた制御によれば、操舵ハンドル11による車両1の右方向(車両1の向きが変わる方向と同方向)の操舵についてのみ、基本操舵アシストトルク曲線C0によって定められる基本操舵アシストトルクよりも操舵アシストトルクTaを増やすようなトルク補正がなされる。
例えば、右方向についての操舵トルクTrが第1の操舵トルクTr1であるとき、操舵アシストトルクTaを基本操舵アシストトルクTa1から補正操舵アシストトルクTa2へと増やすよう補正する。この場合、補正操舵アシストトルクTa2が基本操舵アシストトルクTa1を上回る。その結果、ドライバーが車両1の向きの変化にしたがって操舵ハンドル11を右に操作したときの操舵アシストトルクTaが通常時よりも増えることになり、車両1の走行方向が維持されて車両1が悪路から脱出し易くなる。即ち、悪路からの脱出を優先したいというドライバーの意図に沿った適正なアシスト制御が可能になる。
また、車両1の向きが右に変わるときに第2のアシスト制御モードが選択されている場合には、例えば図8に示される補正操舵アシストトルク曲線C2(基本操舵アシストトルク曲線C0の補正曲線)に基づいて、操舵ハンドル11による左右方向の操舵をアシストすることができる。従って、補正操舵アシストトルク曲線C2を用いた制御によれば、操舵ハンドル11による車両1の右方向(車両1の向きが変わる方向と逆方向)の操舵についてのみ、基本操舵アシストトルク曲線C0によって定められる基本操舵アシストトルクよりも操舵アシストトルクTaを増やすようなトルク補正がなされる。
例えば、左方向についての操舵トルクTrが第2の操舵トルクTr2であるとき、操舵アシストトルクTaを基本操舵アシストトルクTa3から補正操舵アシストトルクTa4へと増やすよう補正する(|Ta3|<|Ta4|)。その結果、ドライバーが車両1の向きを戻すように操舵ハンドル11を左に操作したときの操舵アシストトルクTaが通常時よりも増えることになり、車両1の向きを元の状態に戻し易くなる。
これに対して、車両1の向きが左に変わるときに第1のアシスト制御モードが選択されている場合には、例えば図9に示される補正操舵アシストトルク曲線C3に基づいて、操舵ハンドル11による左右方向の操舵をアシストすることができる。この補正操舵アシストトルク曲線C3として、図8中の補正操舵アシストトルク曲線C2と同様の形状の曲線を用いることができる。従って、補正操舵アシストトルク曲線C3を用いた制御によれば、操舵ハンドル11による車両1の左方向(車両1の向きが変わる方向と同方向)の操舵についてのみ、基本操舵アシストトルク曲線C0によって定められる基本操舵アシストトルクよりも操舵アシストトルクTaを増やすようなトルク補正がなされる。その結果、補正操舵アシストトルク曲線C2を用いる場合と同様の作用効果を奏する。
また、車両1の向きが左に変わるときに第2のアシスト制御モードが選択されている場合には、例えば図10に示される補正操舵アシストトルク曲線C4に基づいて、操舵ハンドル11による左右方向の操舵をアシストすることができる。この補正操舵アシストトルク曲線C4として、図7中の補正操舵アシストトルク曲線C1と同様の形状の曲線を用いることができる。従って、補正操舵アシストトルク曲線C4を用いた制御によれば、操舵ハンドル11による車両1の左方向(車両1の向きが変わる方向と逆方向)の操舵についてのみ、基本操舵アシストトルク曲線C0によって定められる基本操舵アシストトルクよりも操舵アシストトルクTaを増やすようなトルク補正がなされる。その結果、補正操舵アシストトルク曲線C1を用いる場合と同様の作用効果を奏する。
尚、操舵アシストトルクの補正を行う場合、上記の基本操舵アシストトルク曲線C0及び補正操舵アシストトルク曲線C1〜C4を含むマッピングデータを予め準備しておいて、そのマッピングデータの中から適正な補正操舵アシストトルク曲線を選択してもよいし、或いは操舵トルクTrに応じて予め定められた補正値を基本操舵アシストトルクに加算してもよい。
上述のように、本実施の形態の電動パワーステアリング装置10によれば、車両走行時の左右の後輪RW1,RW2の上下方向の挙動に応じて操舵アシストトルクを適正に制御することが可能になる。
本発明は、上記の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上記の実施形態では、第1のアシスト制御モード及び第2のアシスト制御モードの2つのアシスト制御モードを設定する場合について記載したが、本発明では、これら2つのアシスト制御モードに加え、別のロジックに基づいて車両の操舵をアシストする1又は複数のアシスト制御モードを設定することもできる。また、本発明では、第1のアシスト制御モードのみを設定し、この第1のアシスト制御モードを実施するか否かをモード選択操作部の操作によって選択するようにしてもよい。
1…車両、1a…車体、2…車両制御システム、10…電動パワーステアリング装置、11…操舵ハンドル、12…ステアリングシャフト、13…ピニオンギヤ、14…ラックバー、15…電動モータ、16…ボールねじ機構、17…操舵トルクセンサ、20…後輪情報検出部、21…モード選択操作部、25…車速センサ25、26…車両向き変化センサ、30…制御部、40…リジッドサスペンション、41…固定車軸、42,43…支持機構、FW1,FW2…前輪、RW1,RW2…後輪、Ta…操舵アシストトルク、Ta1,Ta3…基本操舵アシストトルク、Ta2,Ta4…補正操舵アシストトルク、Tr,Tr1,Tr2…操舵トルク
Claims (1)
- 左右の駆動輪である後輪が1本の固定車軸を介して連結されたリジッドサスペンションを備えた車両に搭載され、前記車両を操舵する操舵ハンドルの操作によって入力された操舵トルクに基づいて電動モータを駆動制御して操舵アシストトルクを発生させる電動パワーステアリング装置であって、
前記左右の後輪の車両上下方向の高低差に関する情報を検出する後輪情報検出部と、
車両走行時に前記後輪情報検出部によって検出された情報に基づいて前記車両の向きが変わると判定したとき、所定のアシスト制御モードが選択されている場合には、前記車両の向きが変わる方向と同方向の操舵についてのみ前記操舵ハンドルの操作によって入力された操舵トルクに基づいて決定される基本操舵アシストトルクを上回る補正操舵アシストトルクが発生するように、前記電動モータを駆動制御する制御部と、
を含む、電動パワーステアリング装置。
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KR102523442B1 (ko) | 2016-09-19 | 2023-04-19 | 에이치엘만도 주식회사 | 조향제어장치 및 조향제어방법 |
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