JP2016126847A - 透明導電膜の製造方法および透明導電性積層体 - Google Patents

透明導電膜の製造方法および透明導電性積層体 Download PDF

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寛記 杉浦
Hiroki Sugiura
寛記 杉浦
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Kimiatsu Nomura
公篤 野村
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Abstract

【課題】導電性と透明性を両立した透明導電膜の製造方法、および、この製造方法で製造される透明導電性積層体を提供する。【解決手段】直径1.5〜2.5nmの単層カーボンナノチューブ(CNT)の含有量が50質量%以上のCNTと、分子量1000以下の水溶性分散剤とを水系溶剤に添加してなるCNT分散液を調製し、CNT分散液を透明なフィルム基板に塗布、乾燥してCNT薄膜を形成し、CNT薄膜をSP値が10〜20の溶剤を主成分とする洗浄液で洗浄し、洗浄したCNT薄膜を加圧することにより、この課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、タッチパネル等に用いられる透明導電膜の製造方法および透明導電膜積層体に関する。詳しくは、導電性および透明性に優れる透明導電膜の製造方法および透明導電膜積層体に関する。
タッチパネル、液晶ディスプレイなどの各種のディスプレイ、電子ペーパ等に透明導電膜を有する透明導電フィルムが利用されている。透明導電フィルムに用いられる透明導電膜には、高い導電性および透明性が要求される。
透明導電膜としては、従来から、ITO(酸化インジウム錫)膜が利用されている。しかしながら、ITO膜は、黄色の着色が避けられない、曲げると抵抗値が上がってしまう等の問題が有る。
これに対し、高い性能が期待できる透明導電膜として、カーボンナノチューブ(以下、CNTとも言う)を用いる透明導電膜が知られている。そのため、CNTを用いた透明導電膜や、CNTを用いる透明導電膜の製造方法が、各種、提案されている。
例えば、特許文献1には、CNTと溶媒とを含有する分散体を基材の表面に塗布し、溶媒を除去することでCNTを三次元網目構造にし、さらに、この上に樹脂と溶媒とを含有する分散体を塗布して、この分散体をCNTの三次元網目構造に浸透させる、CNT含有コーティングフィルムの製造方法が記載されている。
特許文献2には、CNTからなる透明導電膜を形成するためのCNT分散液として、CNTと、分散剤と、溶剤とを含み、かつ、分散剤がカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基およびスルホニル基から選択される1以上を有する、沸点が30〜150℃の有機化合物であるCNT分散液が記載されている。
特許文献3には、透過型電子顕微鏡において観察したときに、任意の100本中のCNT中、50本以上が2層CNTであること; 波長532nmのラマン分光分析で140±10cm-1、160±10cm-1、180±10cm-1、270±10cm-1、320±10cm-1にピークが観測されること; 波長633nmのラマン分光分析で220±10cm-1にピークが観測されること; および、波長532nmのラマン分光分析で190cm-1超260cm-1未満の領域にピークが観測されないことを満たすCNT集合体が分散媒に分散している分散体を基材上に塗布した、光透過率が85%以上、表面抵抗値が1×105Ω/□未満の導電性フィルムが記載されている。
さらに、特許文献4には、単層CNTを有する導電層を持つ透明導電膜において、単層CNTが導電層でバンドル状態で存在し、バンドル状態で存在する単層CNTは、長さが1.5μm以下のものと長さが1.5μmを超えるものとが存在し、長さが1.5μmを超えたバンドルの数が長さが1.5μm以下のバンドルの数よりも多い、透明導電膜が記載されている。
特許第3665969号公報 国際公開第2006/132254号 特開2009−149516号公報 特許第5004338号公報
前述のように、透明導電膜には、高い導電性と、高い透明性とが要求される。
ここで、CNTは黒色であるので、高い透明性を得るためには、CNTを用いる透明導電膜の膜厚を薄くする必要が有る。その半面、CNTを用いる透明導電膜は、高い導電性を得るためには、膜厚を厚くする方が有利である。
すなわち、CNTを用いる透明導電膜においては、導電性と透明性との関係は、トレードオフの関係になる。
ところが、近年では、透明導電膜に要求される導電性および透明性は、より高くなっている。そのため、従来のCNTを用いた透明導電膜に比して、高い導電性および高い透明性を、より好適に両立したCNTを用いる透明導電膜が望まれている。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、CNTを用いる透明導電膜であって、高い導電性および高い透明性を、良好なバランスで有する透明導電膜を製造できる製造方法、および、この製造方法で透明導電膜を形成した透明導電性積層体を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明の透明導電膜の製造方法は、直径が1.5〜2.5nmの単層カーボンナノチューブの含有量が50質量%以上のカーボンナノチューブと、分子量1000以下の水溶性分散剤とを水系溶剤に添加して、カーボンナノチューブを分散してなるカーボンナノチューブ分散液を調製する調製工程、
カーボンナノチューブ分散液を透明なフィルム基板に塗布して乾燥することにより、カーボンナノチューブ薄膜を形成する薄膜形成工程、
カーボンナノチューブ薄膜をSP値が10〜20の溶剤を主成分とする洗浄液で洗浄して、水溶性分散剤を除去する洗浄工程、
および、洗浄工程を終了したカーボンナノチューブ薄膜を加圧する加圧工程を有することを特徴とする透明導電膜の製造方法を提供する。
このような本発明の透明導電膜の製造方法において、加圧工程を、ローラ対または加圧ローラによって行うのが好ましい。
また、加圧工程における圧力が100〜500kg/cmであるのが好ましい。
また、加圧工程において、カーボンナノチューブ薄膜を加圧する部材を60〜100℃に加熱するのが好ましい。
また、洗浄液が、pKaが5以下の酸、もしくは、標準酸化電位が1V以下の無機塩を含有するのが好ましい。
また、洗浄工程は、カーボンナノチューブ薄膜中における水溶性分散剤の量が、カーボンナノチューブに対して20質量%以下になるまで水溶性分散剤を除去するものであるのが好ましい。
また、洗浄工程を終了したカーボンナノチューブ薄膜に、紫外線、可視光および赤外光のいずれかを照射した後に、加圧工程を行うのが好ましい。
また、透明なフィルム基板が、表面に接着層を有するのが好ましい。
また、接着層が、配向膜となっているのが好ましい。
さらに、薄膜形成工程の前に、接着層をラビング処理して配向膜とする工程を有するのが好ましい。
また、本発明の透明導電性積層体は、透明なフィルム状基板の上に接着層を有し、接着層の上に直径が1.5〜2.5nmの単層カーボンナノチューブの含有量が50質量%以上のカーボンナノチューブを含有する透明導電膜を有し、かつ、
カーボンナノチューブが、波長532nmのラマン分光法による1590±50cm-1のピーク強度と1350±40cm-1のピーク強度との比が100以上; アモルファスカーボンの含有量が3質量%以下; 室温から900℃までの熱重量測定において、重量減少開始温度が600℃以上で、かつ、重量減少量が90〜99質量%; および、波長532nmのラマン分光法によるRBM領域のピークにおいて、100〜120cm-1および120〜140cm-1の少なくとも一方に主ピークを有し、かつ、250cm-1以上にピークが無い; という4つの条件を、同時に満たすことを特徴とする透明導電性積層体を提供する。
このような本発明の透明導電性積層体において、透明導電膜が、pKaが5以下の酸、もしくは、標準酸化電位が1V以下の無機塩を含有するのが好ましい。
また、接着層が配向膜であるのが好ましい。
さらに、透明導電膜が分子量1000以下の水溶性分散剤を含有し、かつ、水溶性分散剤の含有量がカーボンナノチューブに対して20質量%以下であるのが好ましい。
本発明によれば、CNT(カーボンナノチューブ)を用いて、高い導電性と高い透明性とを両立した透明導電膜および透明導電性積層体を得ることができる。
本発明の透明導電性積層体の一例を概念的に示す図である。
以下、本発明の透明導電膜の製造方法および透明導電性積層体について、添付の図面に示される好適例を基に詳細に説明する。なお、本明細書中において、A〜Bとは、A以上B以下、を意味する。
図1に、本発明の製造方法で透明導電膜を形成した、本発明の透明導電性積層体の一例を概念的に示す。
図1に示す透明導電性積層体10は、基板12の上に接着層14を有し、この接着層14の上に透明導電膜16を有するものである。
基板12は、透明なフィルム状のものである。
基板12には、特に制限はなく、透明導電膜を有する公知の透明導電性積層体に利用される透明なフィルム状物(シート状物)が、各種、利用可能である。特に、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上であるフィルムまたはシート状物であれば、本発明の基板12として、好適に使用することができる。なお透過率は、JISK7361−1(ISO13468−1)に準拠した方法で測定できる。
一例として、一例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−フタレンジカルボキシレート等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)等の環状オレフィン系樹脂フィルム、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、透明ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、ポリ乳酸等のフィルムを挙げることができる。
また、0.2mm以下のフレキシブルなガラスシート、例えば、日本電気硝子株式会社製の商品名G−Leaf(登録商標)、旭硝子株式会社製の商品名Spool、コーニングインターナショナル株式会社製の製品名Willow Glass等の超薄板ガラスシートも使用できる。
中でも、可視光域の透明性、耐熱性、強度、易加工性、および原料コスト等の点から、二軸延伸されたPETフィルム、PENフィルム、COPフィルム、COCフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、TAC樹脂フィルムが好適に使用される。
基板12の厚さには、特に制限は無く、基板12の形成材料、透明導電性積層体10の大きさ、厚さ、用途、透明導電性積層体10に要求される剛性や可撓性等に応じて、適宜、設定すればよい。ここで、基板12は、厚さが薄くなるほど透明性が向上するため、基板12の厚さは、一般的に200μm以下が好ましい。
基板12の上には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施したり、接着層14を形成することができる。
表面処理は、公知の技術を使用できる。一例として、コロナ放電処理、紫外線−オゾン処理、グロー放電処理、低温大気圧プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。
接着層14は、必要な光透過性を確保できるものであれば、透明導電膜を有する公知の透明導電性積層体に利用される接着剤が、各種、利用できる。
一例として、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、および、これらの共重合体等を主成分として含有する接着剤を挙げることができる。これらの樹脂は2種以上を含有してもよい。また、強度を調節する目的で架橋剤を添加してもよい。
中でも、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ブタジエン系樹脂は好適に利用される。具体的には、スチレン−ブタジエン共重合体(以下、「SBR」とも言う)または水系ウレタン樹脂に架橋剤を含有する構成が好ましい。SBRは、スチレンとブタジエンとを主体とした共重合体であり、更に必要に応じて他の成分を共重合したものを意味する。この共重合体は、スチレンとブタジエンとの含有比率を調節することにより、様々な物性のものを得られることが知られている。SBRはラテックスであることが好ましい。具体的には、日本ゼオン株式会社製の商品名ニポール、住友ノーガタック株式会社製の商品名ノーガテックス、武田薬品工業株式会社製の商品名クロスレン、旭ダウ株式会社製の商品名旭ダウラテックス等、国内外のメーカーから販売されている市販品を用いることができる。SBRにおけるスチレン/ブタジエンの含有比率は、50/50〜80/20程度であることが好ましい。ラテックス中に含まれるSBRの割合は、固形分質量として30〜50質量%であることが好ましい。
2種の樹脂を併用する場合は、ポリウレタン系樹脂とアクリル系樹脂とは相溶性がよく、密着性と耐久性の高い材料となる。ポリウレタン樹脂の含有率は、10質量%〜99質量%であることが好ましく、15質量%〜98質量%であることがより好ましく、20質量%〜95質量%であることが更に好ましい。
接着剤に含まれる架橋剤としてはトリアジン系化合物(例えば、ジクロロ−S−トリアジン誘導体)、カルボジイミド系化合物(例えば、N,N−ジイロブチルカルボジイミド)、オキサゾリン系化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などを挙げることができ、膜強度の観点から、トリアジン系化合物、カルボジイミド化合物又はオキサゾリン化合物であることが好ましい。架橋剤の含有量は、通常、樹脂に対して1〜20質量%であることが好ましい。
接着層14の厚さには、特に制限は無く、接着層14の形成材料や要求される接着力、透明導電性積層体10の大きさ、厚さ、用途等に応じて、適宜、設定すればよい。
具体的には、接着層14の厚さは、0.005〜10μmが好ましく、0.01〜5μmがより好ましく、0.05〜1μmがさらに好ましい。
接着層14の厚さを上記範囲とすることにより、必要な接着力を好適に確保できると共に、接着層14を薄くすることで、透明導電性積層体10の平坦性や透明性が向上する等の点で好ましい。
接着層14は、接着層14の形成材料に応じて、公知の方法で形成すればよい。
例えば、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法などを用いることができる。
ここで、接着層14は、配向膜であるのが好ましい。
接着層14を、配向膜とすることにより、透明導電膜16を構成するCNT(カーボンナノチューブ)をほぐして、長手方向を溝に沿って配向することができ、透明導電膜16の面方向の導電性を向上できる。
このような配向膜は、ポリマーのラビング処理、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られているが、本発明においては、ラビング処理または光照射により形成される配向膜が好ましい。特にポリマーのラビング処理により形成する配向膜が好ましい。ラビング処理は、一般にはポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができるが、特に本発明では「液晶便覧」(丸善(株)、2000年)に記載されている方法により行うことが好ましい。
配向膜に用いられるポリマーは、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。本発明に用いられる配向膜は、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリアミド、ポリイミド等が好ましく用いられる。特に、疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが好ましい。また配向膜については、ディスコティック液晶に用いられている配向膜を液晶の配向膜として用いることができる。そのような配向膜としては、WO01/88574A1号パンフレットの43頁24行〜49頁8行の記載を参照することができる。このような樹脂を前述の透明基材上に塗布し、適宜架橋剤で硬化させることにより調製することができる。架橋剤としては、前記架橋剤の他、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール化合物を使用することができる。
透明導電性積層体10において、接着層14の上には透明導電膜16が形成される。
透明導電膜16は、直径が1.5〜2.5nmの単層CNTの含有量が50質量%以上のCNTおよび分子量が1000以下の水溶性分散剤を含有するものである。
CNTには、1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT、及び複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTがある。本発明においては、直径が1.5〜2.5nmの単層CNTの含有量が50質量%以上であれば、単層CNT、2層CNT、多層CNTの2種以上を併せて用いてもよい。
単層CNTは、金属性のものであっても半導体性のものであってもよく、両者の混合物でもよい。好ましくは金属性のCNTである。通常、単層CNTの合成時は、半導体性CNTと金属性CNTの混合物になるため、合成品をそのままの混合物状態で使用してもよいが、半導体CNTと金属CNTを分離し、用途に応じて含有比率を適宜調節して使用してもよい。また、CNTには金属や有機化合物等が内包されていてもよく、フラーレン等の分子が内包されたものを用いてもよい。
また、CNTとしては、CNTを修飾あるいは処理したCNTも利用可能である。修飾あるいは処理方法としては、フェロセン誘導体や窒素置換フラーレン(アザフラーレン)を内包する方法、酸や電子受容性化合物による正孔ドーピングや、電子供与性化合物による電子ドーピングによりCNTにドープする方法、真空中でCNTを加熱する方法等が例示される。
また、透明導電膜16には、単層CNTや多層CNTの他に、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、ナノグラフェン、酸化グラフェン等のナノカーボンが含まれてもよい。
本発明で用いるCNTの平均長さは特に制限は無く、透明導電性積層体の用途等に応じて適宜選択することができる。具体的には、電極間距離にもよるが、製造容易性、成膜性、導電性等の観点から、CNTの平均長さが0.01〜2000μmが好ましく、0.1〜1000μmがより好ましく、0.5〜500μmが特に好ましい。
透明導電膜16に含まれるCNTは、直径が1.5〜2.5nmの単層CNTの含有量が50質量%以上である。CNT中における直径が1.5〜2.5nmの単層CNTの含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
直径が1.5〜2.5nmの単層CNTの含有量が50質量%未満では、導電性が低い多層CNTやアモルファスカーボンの含有量が多くなり、十分な導電性が得られない。また、透明導電性積層体10の透明性を低下させる点でも問題を生じる。
また、本発明の透明導電性積層体10において、透明導電膜16を構成するCNTは、以下の特徴を満足するものである。
即ち、透明導電膜16を構成するCNTは、波長532nmのラマン分光法による1590±50cm-1に観測されるCNTのグラフェン構造の面内伸縮振動に起因するGバンドのピーク強度と、1350±40cm-1に観測されるCNTの欠陥に由来するDバンドのピーク強度との比(G/D比)が100以上であり、かつ、波長532nmのラマン分光法で、CNTの直径方向の伸縮振動に起因するRBM(Radical Breathing Mode)領域のピークにおいて、250cm-1以上にピークはなく、100〜120および120〜140の少なくとも一方に主ピークを有する。
加えて、透明導電膜16を構成するCNTは、室温から900℃までの熱重量測定(TGA)において、観測される重量減少開始温度が600℃以上で、かつ、重量減少量が9〜99質量%であり、アモルファスカーボンの含有量が3質量%以下である。
上記G/D比が高いほど、欠陥の量が少ないCNTであると推定できる。CNTのG/D比は100以上で、好ましくは150以上、より好ましくは200以上であり、このような単層CNTを透明導電膜16に、良好に分散させることで、導電性に優れる透明導電膜16が得られる。
また、CNTは、不純物としてアモルファスカーボンを含有するものが多い。本発明の透明導電性積層体10において、透明導電膜16のCNTは、アモルファスカーボンの含有量が3質量%以下であり、好ましくは1質量%以下である。
不純物であるアモルファスカーボンの含有量を3質量%以下とすることにより、CNTの分散性が良化し、導電性を低下させることなく、透明性を向上することが可能になる。
一方、熱重量測定では、アモルファスカーボンは4〜500℃程度で減量を初め、CNTは600℃以上で減量を始める。
従って、CNTを、室温から900℃までの熱重量測定において、重量減少開始温度が600℃以上で、かつ、重量減少量が90〜99質量%とすることにより、先と同様に、不純物の少ないCNTによって、導電性等に優れる透明導電膜16が得られる。
本発明の透明導電性積層体10において、透明導電膜16は、CNTは、直径が1.5〜2.5nmの単層CNTの含有量が50質量%以上である。
そのため、CNTは、波長532nmのラマン分光法によるRBM領域のピークにおいて、100〜120cm-1および/または120〜140cm-1に主ピークを有し、かつ、250cm-1以上にピークが無い。
すなわち、本発明によれば、導電性の高いCNTを用いて、薄くても十分な導電性を有する透明導電膜16を得ることができる。本発明は、これにより、通常はトレードオフの関係にある透明導電膜の導電性と透明性とを、好適に両立した透明導電膜16を実現している。
このようなCNTは、独立行政法人産業技術総合研究所で開発された改良直噴熱分解合成法(e−DIPS法(Enhanced Direct Injection Pyrolytic Synthesis)法)で作製できる。すなわち、本発明の製造方法においては、改良直噴熱分解合成法によって作製したCNTが好適に使用できる。
改良直噴熱分解合成法(e−DIPS法)は、化学気相成長法(CVD法)の浮遊流動反応法(気相流動反応)の一種に位置付けられ、鉄/コバルト系触媒(またはその前駆体)および/またはモリブデン系触媒(またはその前駆体)の溶液を、高温の反応炉にスプレー等で噴霧し、触媒のナノ粒子を発生させて気相中に浮遊させると共に、第一の炭素源となるトルエン等の芳香族炭素またはデカリンやデカン等の脂肪族炭素に加え、第2の炭素源となるエチレンやアセチレン等を、反応促進剤となるチオフェン等のイオウ化合物と共存させて、キャリアガスとなる水素ガスフローの下、上記高温の反応炉に導入することによって、気相の流動相中で単層CNTを合成する方法である。
透明導電膜16におけるCNTの含有量は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
透明導電膜16におけるCNTの含有量を50質量%以上とすることにより、導電性と透明性とを両立した透明導電膜16が得られる点で好ましい。
透明導電膜16には、このようなCNTに加え、分子量が1000以下の水溶性分散剤を含有する。
水溶性分散剤に関しては、後に詳述する。
透明導電膜16の厚さには、特に制限はなく、透明導電性積層体10の大きさや厚さ、透明導電性積層体10の用途、要求される透明性、導電性等に応じて、適宜、設定すればよい。
具体的には、透明導電膜16の厚さは、0.003〜0.5μmが好ましく、0.01〜0.3μmがより好ましい。
透明導電膜16の厚さ0.003μm以上とすることにより、良好な導電性得ることができる等の点で好ましい。
また、透明導電膜16の厚さを0.5μm以下とすることにより、良好な透明性を得られる、透明導電性積層体10の厚さを薄くできる等の点で好ましい。
すなわち、透明導電膜16の厚さを0.003〜0.5μmとすることにより、より好適に高い導電性と高い透明性とをバランス良く得ることができる。
以下、透明導電膜16の製造方法を説明する。
まず、直径が1.5〜2.5nmの単層CNTの含有量が50質量%以上のCNTと、分子量1000以下の水溶性分散剤とを、水系溶媒に添加してCNT分散液を調製する。
前述のように、CNTは、改良直噴熱分解合成法で作製された、波長532nmのラマン分光法による1590±50cm-1のピーク強度と1350±40cm-1のピーク強度との比が100以上; アモルファスカーボンの含有量が3質量%以下; 室温から900℃までの熱重量測定において、重量減少開始温度が600℃以上で、かつ、重量減少量が90〜99質量%; および、波長532nmのラマン分光法によるRBM領域のピークにおいて、100〜120cm-1および12〜140cm-1の少なくとも一方に主ピークを有し、かつ、250cm-1以上にピークを有さない; という4つの条件を、全て満たす物を用いるのが好ましい。
水系溶剤とは、具体的には、水溶性の溶剤である。
水系溶剤としては、一例として、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、アセトン、2−ブタノン、1−メトキシ−2−プロパノール、ジメチルスルホキシド、ブタノール、sec−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブタノール、グリセリン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、メチルカルビトール、ブチルカルビトール等が例示される。
なお、水系溶媒は、二種以上の混合溶媒であってもよい。
CNT分散液は、水系溶剤に好適にCNTを分散させるため、分子量が1000以下の水溶性分散剤を含む。
本発明の製造方法においては、分子量が1000以下の水溶性分散剤を用いることにより、後述する洗浄工程における水溶性分散剤の除去を容易にしている。
水溶性分散剤は、分子量が1000以下で、CNTを分散させる機能を有するものであれば、公知の水溶性分散剤を使用することができる。より具体的には、水溶性分散剤は、水、極性溶媒、水と極性溶媒との混合物に溶解し、CNTに対する吸着性を有するものであれば、各種の水溶性分散剤が利用可能である。
例えば、イオン性水溶性分散剤(アニオン性水溶性分散剤、カチオン性水溶性分散剤、両性水溶性分散剤)、非イオン性水溶性分散剤(ノニオン性水溶性分散剤)などが挙げられる。CNTの分散性が良好で、洗浄による除去が容易という観点から、イオン性水溶性分散剤が好ましく、アニオン性水溶性分散剤がより好ましい。
アニオン性水溶性分散剤としては、例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、芳香族スルホン酸系水溶性分散剤、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類、芳香族スルホン酸塩類、芳香族置換ポリオキシエチレンスルホン酸塩類、モノソープ系アニオン性水溶性分散剤、エーテルサルフェート系水溶性分散剤、フォスフェート系水溶性分散剤およびカルボン酸系水溶性分散剤、脂肪酸塩等が挙げられる。
より具体的には、オクチルベンゼンスルホン酸塩、ノニルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、モノイソプロピルナフタレンスルホン酸塩、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸塩、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸塩、ジブチルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、コール酸ナトリウム、コール酸カリウム、デオキシコール酸ナトリウム、デオキシコール酸カリウム、グリココール酸ナトリウム、リトコール酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
カチオン性水溶性分散剤としては、例えば、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
両性水溶性分散剤としては、例えば、アルキルベタイン系水溶性分散剤、アミンオキサイド系水溶性分散剤がある。
非イオン性水溶性分散剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの糖エステル系水溶性分散剤、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエチルなどの脂肪酸エステル系水溶性分散剤、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリプロピレングリコールなどのエーテル系水溶性分散剤、ポリオキシアルキレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルジブチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルビスフェニルエーテル、ポリオキシアルキルクミルフェニルエーテル等の芳香族系非イオン性水溶性分散剤が挙げられる。
以下に、使用可能な水溶性分散剤の具体例を例示する。
このような水溶性分散剤の中でも、イオン性水溶性分散剤が好ましく、アニオン系水溶性分散剤がより好ましい。その中でも、コール酸塩およびデオキシコール酸塩は、より好適に利用される。
イオン性水溶性分散剤、特に、水溶性分散剤としてコール酸塩およびデオキシコール酸塩を用いることにより、CNT分散液において、CNTを良好に分散することができる。その結果、長く、欠陥が少ないCNTを多く含有する透明導電膜16を形成でき、より高い導電性が得られる。
CNT分散液は、例えば、ホモジナイザー、高速旋回薄膜分散機、超音波ホモジナイザー、ビーズミル、ボールミル、ロールミル、ジェットミル、超高圧加工機等を用いて、公知の方法で調製すればよい。
CNT分散液において、CNTの含有量は、0.01〜2質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。
CNT分散液におけるCNTの含有量を0.01質量%以上とすることにより、導電パスとなるCNT鎖の緻密なネットッワークが形成され、導電性が向上する点で好ましい。
また、CNT分散液におけるCNTの含有量を2質量%以下とすることにより、CNTの分散性が良好になり、透明導電膜16の透明性が向上する点で好ましい。
CNT分散液において、水溶性分散剤の含有量は、0.05〜3質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。
CNT分散液における水溶性分散剤の含有量を0.05質量%以上とすることにより、CNTを好適に分散でき、均一な透明導電膜16を形成できる点で好ましい。
また、CNT分散液における水溶性分散剤の含有量を3質量%以下とすることにより、後述する洗浄工程において、容易に水溶性分散剤の量をCNTの20質量%以下にでき、導電性を高位に発現できる点で好ましい。
また、CNT分散液は、必要に応じて、水系溶剤、CNTおよび水溶性分散剤以外にも、分散助剤、CNTのp型またはn型のドーピング剤、分散液の粘度調節剤、塗膜面上の改良剤としての界面活性剤等を含有してもよい。また、ドーピング剤として、後述するpKa値が5以下の酸、もしくは、標準酸化電位が1V以下の無機塩を含有してもよい。
CNT分散液を調製したら、基板12の表面に、CNT塗布液を塗布して、乾燥することにより、CNT薄膜を形成する。
好ましくは、図1に示すように、基板12に形成した接着層14に、CNT塗布液を塗布して、乾燥することにより、CNT薄膜を形成する。より好ましくは、接着層14にラビング布やラビングローラを用いるラビング処理を行ない、接着層14を配向膜とした後に、CNT塗布液を塗布して、乾燥することにより、CNT薄膜を形成する。
本発明の透明導電膜の製造方法において、CNT分散液の塗布方法には、特に制限はなく、従来公知の塗布法や印刷法なと、一般的な液相成膜法が広く利用できる。
CNT分散液の塗布方法は、ダイコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ブレードコート法、ドクターコート法、カーテンコート法、バーコート法、ローラーコート法、スプレーコート法、スピンコーティング法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法等の公知の塗料の塗布方法が、全て利用可能である。
また、印刷法としては、例えば、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法などの印刷法を利用し塗膜を形成することができる。
なお、CNT分散液の塗膜厚は、CNT分散液におけるCNTの濃度等に応じて、目的とする膜厚の透明導電膜16を得られる塗膜厚を、適宜、設定すればよい。
また、CNT分散液の乾燥も、ヒータによる加熱、ホットプレートを用いる方法、温風乾燥等の公知の乾燥方法が、全て利用可能である。
CNT分散液を塗布、乾燥してCNT薄膜を形成したら、次いで、CNT薄膜を、SP値が10〜20の溶剤を主成分とする洗浄液で洗浄する。この洗浄によって、CNT薄膜から水溶性分散剤を除去する。
なお、洗浄液において、『SP値が10〜20の溶剤を主成分とする』とは、洗浄液中におけるSP値が10〜20の溶剤の含有量が50質量%以上であることを示す。
水溶性分散剤は、通常、絶縁体であり、透明導電膜16に水溶性分散剤が含まれると、透明導電膜16の導電性が低くなってしまう。
これに対し、本発明においては、洗浄工程を行って、CNT薄膜から水溶性分散剤を除去することにより、良好な導電性を有する透明導電膜16を形成できる。
本発明においては、洗浄工程において、SP値が10〜20の溶剤を主成分とする洗浄液を用いることにより、水溶性分散剤との相溶性が向上し、相互作用が高まることで、水溶性分散剤を良好に除去することが可能になる。
SP値が10〜20の溶剤としては、具体的には、1〜3価のアルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アリルアルコール、1,3−プロパンジオール、メチルグリコール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、n−ペンタノール、アミルアルコール、ネオペンチルグリコール、フルフリルアルコール、n−ヘキサノール、2−エチルブタノール、2−メチルペンタン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルブタンジオール、ジアセトンアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリンなど、ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど、アミド類、例えばメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、2−メチルピロリドンなど、この他、1,4−ジオキサン、モルホリン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、テトラメチルウレア等が例示される。
中でも、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アリルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、アセトニトリルなど、分子量が小さく、沸点が比較的低いもの、特に沸点が120℃以下のものが、塗膜の乾燥性が良好な点で好適に利用される。
SP値が10〜20の溶剤は、複数を併用してもよい。また、洗浄液には、50質量%未満で水を含有させても良い。
ここで、洗浄液は、酸性度の指標であるpKa値が5以下の酸、もしくは、標準酸化電位が1V以下の無機塩を含有するのが好ましい。
洗浄液が、このような酸または無機塩を含有することで、洗浄工程において、これらの成分をCNT薄膜に含有させることができる。すなわち、本発明の透明導電性積層体10において、透明導電膜16は、pKa値が5以下の酸、もしくは、標準酸化電位が1V以下の無機塩を含有するのが好ましい。
pKa値が5以下の酸、もしくは、標準酸化電位が1V以下の無機塩は、CNTに対して、p型のドーパントとして作用する。従って、洗浄液が、このような酸や無機塩を含有することにより、CNTにドーパントを付与して、より導電性の良好な透明導電膜16を得ることができる。
pKa値が5以下の酸は、公知の各種のものが利用可能である。具体的には、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、過ヨウ素酸、酢酸、クロロ酢酸、フルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、安息香酸、p−クロロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸等が例示される。
また、標準酸化電位が1V以下の無機塩も、公知の各種のものが利用可能である。具体的には、塩化第一鉄、水酸化第一鉄、酢酸第一鉄等の第一鉄塩、塩化第二鉄、水酸化第二鉄、酢酸第二鉄等の第二鉄塩、塩化第一銅、酢酸第一銅、塩化第二銅、酢酸第二銅等の銅塩、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛塩等が例示される。
洗浄液におけるpKa値が5以下の酸、もしくは、標準酸化電位が1V以下の無機塩の含有量は、使用するSP値が10〜20の溶剤、pKaが5以下の酸や標準酸化電位が1V以下の無機塩の種類等に応じて、適宜、設定すればよい。
具体的には、洗浄液における、このような酸や無機塩の含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
洗浄液における酸等の含有量を0.1質量%以上とすることにより、CNTに十分にドーピングできる点で好ましい。
また、洗浄液における酸等の含有量を5質量%以下とすることにより、水溶性分散剤の除去を効率よく行うことができる点で好ましい。
なお、洗浄液は、SP値が10〜20の溶剤、pKa値が5以下の酸もしくは標準酸化電位が1V以下の無機塩以外にも、必要に応じて、カチオン系、アニオン系、またはノニオン系の界面活性剤を含有してもよい。
このような洗浄液を用いるCNT薄膜の洗浄は、洗浄液にCNT薄膜を曝せる方法が、各種、利用可能である。
一例として、CNT薄膜を形成した基板12(基板12および接着層14)を、洗浄液に浸漬する方法が例示される。また、浸漬中には、洗浄液を攪拌あるいは循環してもよく、超音波による振動を付与してもよく、洗浄液を加熱あるいは冷却してもよい。
別の方法として、CNT薄膜を洗浄液でリンス処置することによって、CNT薄膜を洗浄してもよい。
ここで、CNT薄膜から水溶性分散剤を除去する洗浄工程は、CNT薄膜が含有する水溶性分散剤の量が、CNTに対して20質量%以下となるように、浸漬処理やリンス処理の時間、洗浄液温度を調節して行うのが好ましい。
すなわち、本発明の透明導電性積層体10において、透明導電膜16が含有する水溶性分散剤は、CNTに対して20質量%であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましく、5質量%以下であるのがさらに好ましい。
前述のように、水溶性分散剤は、通常、絶縁体であり、水溶性分散剤の量が多いほど、導電性が低くなる。
洗浄工程を、CNT薄膜が含有する水溶性分散剤の量が、CNTに対して20質量%以下となるまで行うことにより、導電性が良好な透明導電膜を得られる点で好ましい。
なお、CNT薄膜におけるCNTに対する水溶性分散剤の含有量は、例えば、熱重量・示差熱分析法(TG/DTA)、顕微赤外分光法等の公知の方法を利用して測定することができる。
CNT薄膜の洗浄を終了したら、CNT薄膜を乾燥した後に、CNT薄膜を加圧して圧縮する加圧工程を行って、透明導電膜16を作製して、透明導電性積層体10とする。
本発明の製造方法では、洗浄によって水溶性分散剤を除去したCNT薄膜を、加圧して圧縮することにより、CNT同士の接触点を多くして、より導電性の高い透明導電膜16を得ることができる。また、加圧工程を行うことで、透明導電膜16の膜厚を薄く、均一に平滑化できるため、透明性を向上できる。
加圧は、シート状物を加圧して圧縮する、公知の方法が、各種、利用可能である。
具体的には、いわゆる、カレンダー処理が有効であり、以下のカレンダー処理ロール、カレンダー処理条件で行うとよい。
カレンダー処理ロールとしては、エポキシ、ポリエステル、ナイロン、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチック弾性ロール(カーボン、金属やその他の無機化合物が練り込まれているものでもよい)と金属ロールの組み合わせを使用する。また、金属ロール同士で処理することが、より平坦な透明導電層表面が得られるので好ましい。透明導電層表面と接する側には、より平坦な表面を得るために金属ロールを配置する。支持体表面と接する側には、通常、プラスチック弾性ロールを配置するが、金属ロールを配置することが好ましい。
カレンダー処理条件は、特開2009−96798号公報に記載の磁気記録材料に適応される条件が使用できる。
具体的には、カレンダーロールの温度、即ちカレンダー温度は60〜100℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲である。
カレンダー処理の圧力は、CNT薄膜の厚さ、CNT薄膜におけるCNTの含有量、目的とする透明導電膜16の厚さ等に応じて、適宜設定されるが、好ましくは100〜500kg/cm2の範囲、より好ましくは200〜450kg/cm2の範囲であり、特に300〜400kg/cm2の範囲の条件が好ましい。
カレンダー処理の処理速度は10〜900m/分の範囲であるのが好ましい。
加圧工程におけるカレンダー処理の圧力を100kg/cm2以上とすることにより、加圧よってCNT薄膜を好適に圧縮して、より導電性や透明性に優れる透明導電膜16が得られる点で好ましい。また、加圧工程における圧力を500kg/cm2以下とすることにより、CNTの切断や損傷を好適に防止できる点で好ましい。
加圧工程でカレンダーロールの温度を60℃以上に加熱することで、効果的にCNT鎖の接点が形成され、導電性向上の点で好ましい。また、カレンダーロールの温度が高すぎると、CNT鎖の接点に欠陥が生じる、透明導電膜フィルムの搬送性が低下する等の不都合が生じる可能性が有るが、100℃以下とすることで、このような問題も回避できる。
カレンダー処理の指標としては、WYKO社製の光干渉式表面粗さ計HD−2000型を用いてカットオフ値0.25mmの条件で測定250μm×250μm面積において測定される透明導電層表面の中心面平均表面粗さRaの変化量(低下量)ΔRaを用いることができる。
ここで、本発明の製造方法では、このような加圧工程を行う前に、洗浄工程を終了したCNT薄膜に、紫外線、可視光および赤外線のいずれかを照射し、その後、加圧工程を行うのが好ましい。
理由は不明ではあるが、CNT薄膜に、紫外線、可視光および赤外線のいずれかを照射した後に、加圧工程を行うことにより、加圧処理に薄膜化、均一化がより効果的に進み、導電性がいっそう向上する点で好ましい。
紫外線、可視光および赤外線のいずれかの照射量は、光源のエネルギーにもよるが、好ましくは100mJ/cm2〜5J/cm2、より好ましくは200mJ/cm2〜2J/cm2、特に300mJ/cm2〜1J/cm2の範囲が好ましい。照射量が100mJ/cm2未満では上記効果が認められず、5J/cm2より大きい照射量では透明導電膜の着色の問題が生じる。
以上、本発明の透明導電膜の製造方法および透明導電性積層体について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げて、本発明について、より詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<CNTの物性評価>
単層CNTとして、e−DIPS法による単層CNT(株式会社名城ナノカーボン社製、商品名EC)、および、e−DIPS法ではない製造方法による2種の単層CNT((KH Chemical社製、商品名HP)および(Hanwha-chemical社製、商品名ASP−100F))を用意した。
これらの単層CNTのG/D比、直径、100〜120cm-1および/または120〜140cm-1のRBM吸収のピーク、250cm-1以上のRBM吸収、アモルファスカーボン量、および、TG/DTAにおける重量減少開始温度および600〜900℃の重量減少率を測定した。
<<単層CNTのラマン吸収スペクトルの測定>>
顕微レーザラマン分光装置(株式会社堀場製作所製、商品名LabRam HR-800 Evolution)を用いて、単層CNTの532nm励起光でのラマンスペクトルを測定を行った。得られたラマンスペクトルを測定結果から、G/D比、直径、100〜120cm-1および/または120〜140cm-1のRBM吸収の主ピークの有無、250cm-1以上のRBM吸収の有無を調べた。
なお、単層CNTのG/D比および直径は、下記により求めた。
<<<CNTのG/D比の算出>>>
532nmの励起光にてラマンスペクトルを測定し、各単層CNTのGバンド(1590cm-1周辺、グラフェン面内振動)とDバンド(1350cm-1周辺、sp2炭素ネットワークの欠陥由来)の強度比G/D比を算出した。この強度比G/D比が大きいと、カーボンナノチューブの欠陥が少ないことを示す。
<<<カーボンナノチューブの環サイズの算出>>>
ラジアルブリージング(RBM)モードのシフトω(RBM)(cm-1)より、下記式を用いて、直径を算出した。
式: 直径(nm)=248/ω(RBM)
<<CNTの熱分析測定>>
熱重量・示差熱分析計(SIIテクノロジー株式会社製、商品名TG/DTA 6200 AST−2)を用い、単層CNTに対し、昇温速度10℃/分、室温〜900℃の温度範囲で熱重量変化を測定した。
また、後述する透明導電性積層体の製造工程において、リンス処理または浸漬処理を行った後のCNT塗布膜に対し、同様に熱重量変化を測定した。
さらに、リンス処理または浸漬処理を行ったCNT塗布膜を取り出し、残存分散剤量に関し、窒素気流下、昇温速度10℃/分、室温〜500℃の温度範囲で熱重量変化にて測定した。
加えて、300〜500℃の重量減少率から、単層CNT中のアモルファスカーボン量(AC量)を測定した。
結果は、後述する表2に示す。
[実施例1〜9]
<CNT分散液の作製>
e−DIPS法による単層CNT(株式会社名城ナノカーボン製、商品名EC)2gを濃硝酸(60質量%、関東化学株式会社製)500mlに加え、120℃で20時間加熱還流した。加熱還流後、CNTを含む硝酸溶液をイオン交換水で3倍に希釈し濾過した。イオン交換水で濾物の懸濁液が中性となるまで水洗後濾別し、水を含んだCNTのウェット体を得た。
得られたウェット状態のCNT(乾燥重量100mg)に、水溶性分散剤としてデオキシコール酸ナトリウム(分子量414.55)0.3gおよびイオン交換水を加え、固形分濃度を1.0w/v%とした後、メカニカルホモジナイザー(IKA社製、商品名T10basic)を用いて、20℃で15分間混合して、CNTの予備混合物を得た。
次いで、この予備混合物を、薄膜旋回型高速ミキサー(プライミクス株式会社製、商品名フィルミックス40−40型)を用いて、25℃の恒温層中、周速40m/秒で10分間高速旋回薄膜分散法にて分散処理し、CNTペーストを調製した。なお、分散処理は、「フィルミックス40−40型」の管状外套の内周面と撹拌羽根の外周面との間隔を2mmに調整して行った。
次に、このCNTペーストをCNTの濃度が0.15質量%となるようにイオン交換水で希釈した。なお、実施例2〜9においては、ドーピング剤として酸または無機塩を0.5g、添加した。得られた液を高速遠心分離機(株式会社トミー精工製、商品名MX−300)にて10,000G、15分遠心処理し、CNT分散液を得た。
その後、水を添加して終濃度でCNT集合体の濃度が0.10質量%となるように調製してCNT塗布液とした。
<接着層14を有する基板12の作製>
PETフィルムを縦方向および横方向の各々に3.3倍に延伸する2軸延伸を行った後に、PETフィルムを240℃で20秒間熱固定後、これと同じ温度で横方向に約4%緩和させた。この後、テンターのチャック部をスリット処理したあと、両端にナール加工を行い、巻き取った。このようにして、厚さ180μmのロール状のPET基板を得た。
次に、作製したPET基板をシート状に切断して、基板12とした。
この基板12を、ソリッドステートコロナ処理機(ピラー株式会社製、商品名6KVAモデル)を用い、室温下において、基板12の表面を送り速度20m/分で処理した。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ローラとのギャップクリアランスは1.6mmであり、電流および電圧の読み取り値から、基板には0.375kV・A・分/m2の処理がなされた。
処理した基板12上に、下記組成の易接着液を6ml/m2塗布し、185℃で5分間乾燥して、厚さ0.10μmの接着層14を形成した。
<<易接着液の組成>>
・ブタジエン−スチレン共重合ラテックス(固形分43質量%、ブタジエン/スチレン質量比=32/68):13ml
・2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩8質量%水溶液:7ml
・ポリスチレン粒子(平均粒子径:1.8μm)2質量%水溶液:0.5ml
・イオン交換水:79.5ml
<CNT塗膜の作製>
作製したCNT塗布液を、エクストルージョンタイプの塗布ヘッドを用いたダイコータを使用し、接着層14を設けた基板12上に塗布した。次いで、塗膜を80℃の乾燥機内で1分間乾燥させて、CNT塗膜を固定化した。
なお、光透過率はCNT塗布液の塗布量によって変化するので、塗布液のCNT濃度に合わせて、基板12に塗布するCNT塗布液の塗布量を調節した。
<リンス処理または浸漬処理の実施>
接着層14およびCNT塗膜を形成した基板12に対し、過剰の水溶性分散剤を除去するため、エタノール液にてCNT塗膜を3分間リンス処理し、または、エタノール液中に30秒間浸漬処理した。
リンス処理または浸漬処理後、フィルムに付着した液滴をエアダスターで除去し、その後60℃で乾燥させた。
<加熱加圧処理の実施>
金属ロールの表面温度80℃で、ニップロール間に250kg/cm2で圧力をかけながら、接着層14およびCNT層を形成した基板12を、ロール間を通すことにより加熱加圧処理を(カレンダー処理)行い、CNTを基板に圧着して、透明導電膜16を形成し、図1に示すような透明導電性積層体10を作製した。
[比較例1]
単層CNTとして、e−DIPS法では無い製造方法による単層CNT(KH Chemical社製、商品名HP)を用いた以外は、実施例1と同様に透明導電性積層体を作製した。
[比較例2]
単層CNTとして、e−DIPS法では無い製造方法による単層CNT(KH Chemical社製、商品名HP)を用いた以外は、実施例2と同様に透明導電性積層体を作製した。
[比較例3]
単層CNTとして、e−DIPS法では無い製造方法による単層CNT(Hanwha-chemical社製、商品名ASP−100F)を用いた以外は、実施例2と同様に透明導電性積層体を作製した。
[比較例4]
浸漬処理を行わない以外は、実施例3と同様に透明導電性積層体を作製した。
[比較例5]
リンス処理を行った後に、加熱加圧処理を行わない以外は、実施例5と同様に透明導電性積層体を作製した。
[評価]
作製した実施例1〜9および比較例1〜5の透明導電性積層体10について、以下のようにして、表面抵抗値および光透過率を測定した。
<表面抵抗値>
表面抵抗値[Ω/□]は、5cm×10cmにサンプリングした透明導電性積層体10に対し、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、商品名ロレスターGPまたは商品名ハイレスターUX)を用い、透明導電性積層体10の透明導電膜16側の中央部に4探針プローブを密着させて、4端子法により室温下で測定した。
<光透過率>
光透過率は、透明導電性積層体10を分光光度計(株式会社島津製作所製、商品名UV−3150)にて、透明導電膜16側から光を入射させて波長550nmにおける光透過率[%]を測定した。
結果を表1に示す。
また、前述の各単層CNTの物性の測定結果を表2に示す。

前述のように、EC(商品名)は、株式会社名城ナノカーボン製のe−DIPS法による単層CNTである。
また、HP(商品名)は、KH Chemical社製のe−DIPS法ではない製造方法による単層CNTである。さらに、ASP−100F(商品名)は、Hanwha-chemical社製のe−DIPS法ではない製造方法による単層CNTである。
また、各単層CNTについて、CNTの50質量%以上が単層CNTであり、かつ直径が1.5〜2.5nmの範囲内であるか否かについては、高分解能透過型電子顕微鏡(FEI社製、Titan型、加速電圧80keV)の観察において、100万倍、150nm2の視野の中で視野面積の10%以上がCNTである視野中から任意に抽出した100本のCNTについて評価することで確認した。
この測定は、視野を変えて5回実施し、最大値・最小値を除いた3回の平均値とした。
なお、一つの視野中で100本の測定ができない場合は、100本になるまで複数の視野から測定した。このとき、視野中でCNTの一部が観察できれば1本と計上し、必ずしも両端が見えている必要はない。また、視野中で2本と認識されても視野外でつながって1本となっていることもあり得るが、2本と判断した。
その結果、ECは、直径が1.5〜2.5nmの単層カーボンナノチューブの含有量が50質量%以上であるCNTであり、HPおよびASP−100Fは、直径が1.5〜2.5nmの単層カーボンナノチューブの含有量が50質量%以上であるCNTではないことを確認した。
表1および表2の結果から、本発明の製造方法で透明導電膜を製造した本発明の透明導電性積層体10は、従来の透明導電性積層体に比して、表面抵抗値が低く、優れた光透過率を示すことが判る。
[実施例10〜14、比較例6および7]
ドーピング剤(酸または無機塩)をCNT分散液に添加する代わりに、リンス処理液もしくは浸漬処理液にドーピング剤5mmol/L(リットル)を添加した以外は、実施例2(実施例10)、実施例3(実施例11)、実施例4(実施例12)、実施例5(実施例13)、実施例6(実施例14)、比較例2(比較例6)、および、比較例3(比較例7)と同様に透明導電性積層体10を作製した。
作製した透明導電性積層体10に関して、実施例1等と同様に表面抵抗値および光透過率を測定した。
結果を表3に示す。

表3から、本発明の製造方法では、塗布液にドーピング剤を添加せずに、リンス処理液や浸漬処理液にドーピング剤を添加して処理を行っても、得られる透明導電性積層体10は、良好な表面抵抗値と光透過率を示すことが判る。
[実施例15〜17]
リンス処理もしくは浸漬処理を行う前に、CNT塗布膜に紫外線照射を行った以外は、実施例2(実施例15)、実施例3(実施例16)、および、実施例4(実施例17)と同様に透明導電性積層体10を作製した。
紫外線照射は、紫外線照射機(アイグラフィックス株式会社製、商品名ECS−401GX)を用い、紫外線照射量(光量)は300mJ/cm2とした。
作製した透明導電性積層体10に関して、実施例1等と同様に表面抵抗値および光透過率を測定した。
結果を下記の表4に示す。

表4から、本発明の製造方法では、水溶性分散剤を除去する前にCNT塗布膜に紫外線照射処理を行うことにより、得られる透明導電性積層体10の表面抵抗値がさらに低く、良好になることが判る。
[実施例18および19]
接着層14を配向膜に代え、さらに、CNT塗布膜を形成する前にラビング処理を行った以外は、実施例1(実施例18)および実施例2(実施例19)と同様に透明導電性積層体10を作製した。
接着層14の形成およびラビング処理は、以下のように行った。
まず、ソリッドステートコロナ処理機(ピラー株式会社製、商品名6KVAモデル)を用い、基板12の表面を室温下において20m/分の送り速度で処理した。次いで、基板12に接着層14(配向膜)として、アルキル変性ポバール(クラレ株式会社製、商品名MP203)を1μm厚となるように塗布して、乾燥した。
次に、ラビング処理機を用い、ラビングロール外径80mm、搬送速度100m/分、ラビングロール回転周速度250m/分、フイルム基板張力1kgf/cm基板巾、ラップ角360°、ラビングロール傾き角α=45°の条件で接着層14のラビング処理を行った。
作製した透明導電性積層体10に関して、実施例1等と同様に表面抵抗値および光透過率を測定した。
結果を下記の表5に示す。

表5から、接着層14を配向膜としてラビング処理した基板12に透明導電膜16を形成した透明導電性積層体10は、CNTの配向が促進されるためか、表面抵抗値がさらに低く、良好になることが判る。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
タッチパネル、各種のディスプレイ、電子ペーパ等に、好適に利用可能である。
10 透明導電性積層体
12 基板
14 接着層
16 透明導電膜

Claims (14)

  1. 直径が1.5〜2.5nmの単層カーボンナノチューブの含有量が50質量%以上のカーボンナノチューブと、分子量1000以下の水溶性分散剤とを水系溶剤に添加して、前記カーボンナノチューブを分散してなるカーボンナノチューブ分散液を調製する調製工程、
    前記カーボンナノチューブ分散液を透明なフィルム基板に塗布して乾燥することにより、カーボンナノチューブ薄膜を形成する薄膜形成工程、
    前記カーボンナノチューブ薄膜をSP値が10〜20の溶剤を主成分とする洗浄液で洗浄して、前記水溶性分散剤を除去する洗浄工程、
    および、前記洗浄工程を終了したカーボンナノチューブ薄膜を加圧する加圧工程を有することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  2. 前記加圧工程を、ローラ対または加圧ローラによって行う請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  3. 前記加圧工程における圧力が100〜500kg/cmである請求項2に記載の透明導電膜の製造方法。
  4. 前記加圧工程において、前記カーボンナノチューブ薄膜を加圧する部材を60〜100℃に加熱する請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電膜の製造方法。
  5. 前記洗浄液が、pKaが5以下の酸、もしくは、標準酸化電位が1V以下の無機塩を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電膜の製造方法。
  6. 前記洗浄工程は、前記カーボンナノチューブ薄膜中における水溶性分散剤の量が、前記カーボンナノチューブに対して20質量%以下になるまで水溶性分散剤を除去するものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明導電膜の製造方法。
  7. 前記洗浄工程を終了したカーボンナノチューブ薄膜に、紫外線、可視光および赤外光のいずれかを照射した後に、前記加圧工程を行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明導電膜の製造方法。
  8. 前記透明なフィルム基板が、表面に接着層を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の透明導電膜の製造方法。
  9. 前記接着層が、配向膜となっている請求項8に記載の透明導電膜の製造方法。
  10. 前記薄膜形成工程の前に、前記接着層をラビング処理して配向膜とする工程を有する請求項9に記載の透明導電膜の製造方法。
  11. 透明なフィルム状基板の上に接着層を有し、前記接着層の上に直径が1.5〜2.5nmの単層カーボンナノチューブの含有量が50質量%以上のカーボンナノチューブを含有する透明導電膜を有し、かつ、
    前記カーボンナノチューブが、波長532nmのラマン分光法による1590±50cm-1のピーク強度と1350±40cm-1のピーク強度との比が100以上; アモルファスカーボンの含有量が3質量%以下; 室温から900℃までの熱重量測定において、重量減少開始温度が600℃以上で、かつ、重量減少量が90〜99質量%; および、波長532nmのラマン分光法によるRBM領域のピークにおいて、100〜120cm-1および120〜140cm-1の少なくとも一方に主ピークを有し、かつ、250cm-1以上にピークが無い; という4つの条件を、同時に満たすことを特徴とする透明導電性積層体。
  12. 前記透明導電膜が、pKaが5以下の酸、もしくは、標準酸化電位が1V以下の無機塩を含有する請求項11に記載の透明導電性積層体。
  13. 前記接着層が配向膜である請求項11または12に記載の透明導電性積層体。
  14. 前記透明導電膜が分子量1000以下の水溶性分散剤を含有し、かつ、前記水溶性分散剤の含有量がカーボンナノチューブに対して20質量%以下である請求項11〜13のいずれか1項に記載の透明導電性積層体。
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