以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る道路境界線認識装置及び道路境界線認識方法について説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る道路境界線認識装置1は、車載カメラ11、車速センサ12、ヨーレートセンサ13、ECU20、ディスプレイ31及びスピーカ32を備えている。道路境界線認識装置1は、車載カメラ11による撮像画像に基づいて車両が走行する道路の路端を形成するガードレール、縁石、中央分離帯及び壁等の立体構造物と道路の路面との境界線を認識する。
以下、境界線とは、車両が走行する道路の路端を形成するガードレール、縁石、中央分離帯及び壁等の立体構造物と道路の路面とを区画する線を意味する。境界線は、必ずしも塗装された線でなくともよい。境界線は、立体構造物の表面と道路の路面との交差によって、撮像画像中に線状或いは略線状に現れる形状である。境界線は、厳密な直線部でなくとも、凹部等の立体構造物と道路の路面と境界部であればよい。例えば、境界線は、立体構造物が複数のポストにより支持されたガードレールである場合は、ポストが設置された位置を繋げた線である。
道路境界線認識装置1は、例えば、走行車線からの車両の逸脱を防止するために、境界線と車両との距離を検出し、車両のドライバーに当該距離を表示する。また、道路境界線認識装置1は、認識した境界線と車両との距離が予め設定された閾値未満になったときに、車両のドライバーに必要な警報を報知する。なお、本実施形態においては、路面の走行車線を区画する白線の検出が主目的ではないが、境界線の検出後に、検出された境界線を利用して白線を検出してもよい。或いは、本実施形態においては、検出された境界線から所定量だけ車両の側に近接した白線を模擬した仮想的な区画線を設定し、当該区画線と車両との距離が予め設定された閾値未満となったときに、車両のドライバーに必要な警報を報知してもよい。
車載カメラ11は、例えば、車両のフロントガラスの裏面に設けられた一つの撮像部を有する単眼カメラである。撮像部は、車両の前方を撮像する。車載カメラ11は、車両の前方を任意の第n1時点において第n1撮像画像として撮像し、車両の前方を第n1時点より後の任意の第n2時点において第n2撮像画像として撮像する。第n1時点と第n2時点との間隔は、例えば、50msecとすることができる。
車載カメラ11は、同様にして、第n1時点より前の第n−1時点の第n−1撮像画像を撮像し、第n−1時点と第n1時点との間の第n0時点の第n0撮像画像を撮像する。車載カメラ11は、同様にして、第n2時点より後の第n3時点の第n3撮像画像を撮像する。このようにして、車載カメラ11は、任意の自然数kについて、第n−k時点,第n−k+1時点,…第n−1時点,第n0時点,第n1時点,第n2時点,第n3時点,…,第nk−1時点,第nk時点それぞれにおける第n−k撮像画像,第n−k+1撮像画像,…第n−1撮像画像,第n0撮像画像,第n1撮像画像,第n2撮像画像,第n3撮像画像,…,第nk−1撮像画像,第nk撮像画像を例えば、50msecの周期で撮像する。車載カメラ11は、車両前方の撮像画像に関する情報をECU20へ送信する。車載カメラ11は、モノクロカメラ及びカラーカメラのいずれでもよい。また、車載カメラ11は、ステレオカメラでもよい。
車速センサ12は、車両の速度を検出するためのセンサである。車速センサ12としては、例えば、車両の車輪又は車輪と一体に回転する車軸等に対して設けられ、車輪の回転速度を信号として検出する車輪速センサが用いられる。車速センサ12は、車輪の回転速度に応じた信号をECU20に送信する。
ヨーレートセンサ13は、車両の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出することにより、車両の向きを検出するためのセンサである。ヨーレートセンサ13としては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサ13は、検出した車両のヨーレートに応じた信号を運転支援ECU2へ出力する。
ECU20は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。ECU20では、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、ECU20のハードウェアが実境界線候補抽出部21、仮想境界線候補設定部22、位置予測部23及び境界線認識部24として機能する。ECU20は、複数のECUから構成されていてもよい。
実境界線候補抽出部21は、道路を走行中の車両の前方における任意の第n1時点の第n1撮像画像について境界線の候補である実境界線候補を抽出する。実境界線候補とは、第n1撮像画像について、画像処理を行うことにより、第n1撮像画像から直接に抽出される境界線の候補である。上述したように、第n1時点の第n1撮像画像は、車載カメラ11により撮像された撮像画像である。実境界線候補抽出部21は、第n1撮像画像について、例えばエッジ処理等の画像処理を行うことによって実境界線候補を抽出する。また、実境界線候補抽出部21は、他の手法により実境界線候補を抽出してもよい。
仮想境界線候補設定部22は、第n1撮像画像の実境界線候補に重複せずに沿った仮想境界線候補を設定する。仮想境界線候補とは、第n1撮像画像から抽出された実境界線候補に沿って、例えば、予め設定された1〜数個のピクセル数毎に実境界線候補から距離をおいて位置するように設定された境界線の候補である。本実施形態では、後述する第2実施形態と異なり、常に第n1撮像画像の実境界線候補に重複せずに沿った仮想境界線候補が設定される。本実施形態では、全ての実境界線候補に仮想境界線候補が設定されなくともよい。また、一つの実境界線候補に複数の仮想境界線候補が設定されてもよい。
位置予測部23は、第n1撮像画像の実境界線候補及び仮想境界線候補を境界線であると仮定したそれぞれの場合において、第n1撮像画像で認識される第n1マーカーについて、車両の移動情報に基づいて、第n1時点よりも後の第n2時点の第n2撮像画像における予測位置を予測する。移動情報とは、車両の移動に関する情報であり、例えば、車両の速度、向き及びヨーレート等を意味する。本実施形態では、車両の速度は車速センサ12により検出され、車両のヨーレートはヨーレートセンサ13により検出される。実境界線候補及び仮想境界線候補を境界線であると仮定するとは、例えば、境界線であると仮定した実境界線候補又は仮想境界線候補で区画される第n1撮像画像の領域の内で、車両から近い側の領域が道路の路面であると仮定し、車両から遠い側の領域が道路の路面から垂直或いは略垂直な面であると仮定することを意味する。
第n1マーカーとは、例えば、第n1撮像画像中の任意の位置を特定するための任意の画素群を意味する。第n1マーカーには、例えば、ガードレールのポスト等から認識される第n1撮像画像の縦方向に伸びる線分と、実境界線候補との交点の画素群を適用することができる。或いは、第n1マーカーには、第n1撮像画像中で認識が容易な任意の画素群を適用してもよい。第n1マーカーの画素群には、例えば、縦4ピクセル×横4ピクセル、縦8ピクセル×横8ピクセル及び縦16ピクセル×横16ピクセルの正方配置された画素群等を適用することができる。画素群の特定には画素群に含まれる画素の輝度、明度、彩度、色相等を用いることができる。予測位置とは、第n1時点の第n1撮像画像で認識される第n1マーカーについて、第n1時点よりも後の第n2時点の第n2撮像画像中において予測される位置である。
位置予測部23が第n1マーカーの予測位置を予測する際には、位置予測部23は、例えば、車両に対する車載カメラ11の位置、角度等のパラメータから、第n1撮像画像の実境界線候補及び仮想境界線候補を境界線であると仮定したそれぞれの場合において、第n1時点の第n1撮像画像中の第n1マーカーの三次元空間上の車両に対する位置を算出する。次に、位置予測部23は、車両の移動情報に基づいて、第n1時点より後の第n2時点における第n1マーカーの三次元空間上の車両に対する位置を算出する。最後に、位置予測部23は、車両に対する車載カメラ11の位置、角度等のパラメータに基づいて、第n2時点における当該第n1マーカーの三次元空間上の車両に対する位置から、第n2時点の第n2撮像画像中の第n1マーカーの予測位置を予測する。これにより、位置予測部23は、マーカーの予測位置を予測することができる。
境界線認識部24は、後述するように、位置予測部23により予測された第n1マーカーの予測位置と、第n2撮像画像から抽出された第n1マーカーの抽出位置との比較に基づいて、実境界線候補及び仮想境界線候補のいずれかを境界線として認識する。抽出位置とは、第n2撮像画像において、第n1撮像画像で認識された第n1マーカーに対応する画素群として抽出される第n1マーカーの位置を意味する。
予測位置と抽出位置との比較に基づいて実境界線候補及び仮想境界線候補のいずれかを境界線として認識するとは、例えば、第n1マーカーの予測位置と抽出位置とのずれ量が最小である実境界線候補及び仮想境界線候補のいずれかを境界線として認識することを意味する。或いは、予測位置と抽出位置との比較に基づいて実境界線候補及び仮想境界線候補のいずれかを境界線として認識するとは、例えば、第n1マーカーの予測位置と抽出位置とのずれ量が予め設定された境界線を認識するための閾値以下の実境界線候補及び仮想境界線候補のいずれかを境界線として認識することを意味する。ずれ量とは、例えば、予測位置と抽出位置との最短距離、水平方向距離、垂直方向距離等を意味する。境界線を認識するための閾値は、固定値でも変動値でもよい。
境界線認識部24は、認識した境界線の位置、境界線と車両との距離等の情報をディスプレイ31により車両のドライバーに表示する。また、境界線認識部24は、境界線と車両との距離が予め設定された閾値未満となったときは、スピーカ32により車両のドライバーに警報を報知する。
本実施形態では、実境界線候補抽出部21、仮想境界線候補設定部22、位置予測部23及び境界線認識部24は、任意の自然数kについて、第n−k時点,第n−k+1時点,…,第n−1時点,第n0時点,第n1時点,第n2時点,第n3時点,…,第nk−1時点,第nk時点それぞれにおける第n−k撮像画像,第n−k+1撮像画像,…,第n−1撮像画像,第n0撮像画像,第n1撮像画像,第n2撮像画像,第n3撮像画像,…,第nk−1撮像画像,第nk撮像画像それぞれについての処理を繰り返し実行する。
尚、実境界線候補抽出部21、仮想境界線候補設定部22、位置予測部23は、任意の自然数jについて、第n−2j+1時点,…,第n−1時点,第n1時点,第n3時点,…,第n2j+1時点それぞれにおける第n−2j+1撮像画像,…,第n−1撮像画像,第n1撮像画像,第n3撮像画像,…,第n2j+1撮像画像それぞれについての処理をおこなえばよく、必ずしも、第n−2j時点,…,第n0時点,第n2時点,…,第n2j時点それぞれにおける第n−2j撮像画像,…,第n0撮像画像,第n2撮像画像,…,第n2j撮像画像それぞれについての処理を行う必要は無い。
ディスプレイ31は、ECU20の境界線認識部24からの指令信号により、境界線認識部24が認識した境界線の位置、境界線と車両との距離等の情報を車両のドライバーに表示する。スピーカ32は、境界線と車両との距離が予め設定された閾値未満となったときは、境界線認識部24からの指令信号により、車両のドライバーに警報を報知する。
以下、本実施形態の道路境界線認識装置1の動作について説明する。図2に示すように、第n1撮像画像取得工程として、道路境界線認識装置1の車載カメラ11により、道路を走行中の車両の前方における任意の第n1時点の第n1撮像画像が取得される(S101)。
第n1撮像画像取得工程では、例えば、図3に示すような第n1撮像画像Fn1が取得される。第n1撮像画像Fn1には、車両が走行する道路100の路面101と、道路100の路端を形成する立体構造物であるガードレール104とが写っている。路面101には、道路100の走行車線を区画する白線102が設けられている。ガードレール104は、路面101から垂直方向に直立した複数のポスト106により、支持されている。
第n1撮像画像Fn1には、ガードレール104と路面101との境界線Bが写っている。境界線Bの一部は、植木、自生植物及び土等の遮蔽物120により遮蔽されている。第n1撮像画像Fn1において、境界線B、白線102及びガードレール104の道路100の進行方向に沿った輪郭線は、消失点VPに向かって伸びている。消失点VPとは、第n1撮像画像Fn1において、遠近法により、現実の物体の輪郭線等では平行線になっている線が第n1撮像画像Fn1内では平行ではない線であるように写される場合に、その線が交わる点である。
図2に示すように、第n1実境界線候補抽出工程として、道路境界線認識装置1の実境界線候補抽出部21により、道路100を走行中の車両の前方における第n1時点の第n1撮像画像Fn1について、境界線Bの候補である実境界線候補が抽出される(S102)。
第n1実境界線候補抽出工程では、例えば、図4に示すように、境界線B、ガードレール104及び白線102の輪郭線であって、道路100の進行方向に沿い、消失点VPに向かって伸びる線分がエッジ処理により複数の実境界線候補R1〜R4として抽出される。エッジ処理においては、各線分について複数のエッジ点eが検出され、当該エッジ点eを通り、消失点VPに向かって伸びる線分が実境界線候補R1〜R4として抽出される。消失点VPを抽出する手法は、オプティカルフロー等の既知の種々の手法を適用することができる。
図4の例では、境界線Bは遮蔽物120により遮蔽されているために検出されるエッジ点eが少ない。そのため、境界線Bについては、実境界線候補は抽出されない。そこで、このように境界線Bが遮蔽物120により遮蔽されている場合を考慮し、本実施形態の道路境界線認識装置1では、常に以下の処理がなされる。
図2に示すように、第n1仮想境界線候補設定工程として、道路境界線認識装置1の仮想境界線候補設定部22により、第n1撮像画像Fn1の実境界線候補R1〜R4に重複せずに沿った仮想境界線候補が設定される(S103)。
第n1仮想境界線候補設定工程では、例えば、図5に示すように、実境界線候補R1〜R4から第n1撮像画像Fn1の周縁で1〜数ピクセルずつ距離を隔てて互いに重複せずに隣接し、且つ消失点VPに向かって伸びる複数の仮想境界線候補V1〜V3が設定される。実境界線候補R1〜R4からの仮想境界線候補V1〜V3の距離は任意に変更することができる。図3の例では、仮想境界線候補V2は、境界線Bにほぼ一致する位置に設定される。
図2に示すように、マーカー認識工程として、道路境界線認識装置1の位置予測部23により、第n1撮像画像Fn1で第n1マーカーが認識される(S104)。マーカー認識工程では、例えば、図6に示すように、第n1時点Tn1の第n1撮像画像Fn1における第n1マーカーM(Tn1)として、ポスト106の垂直方向の輪郭線を含む線分と実境界線候補R1との交点にその中心が位置する正方形の領域の画素群が認識される。
このように、位置予測部23は、第n1撮像画像Fn1において認識し易く、第n1撮像画像Fn1における位置を特定し易い任意の画素群を第n1マーカーM(Tn1)として認識することができる。第n1撮像画像Fn1において、第n1マーカーM(Tn1)は、実境界線候補R1〜R4又は仮想境界線候補V1〜V3の位置で認識されてもよく、実境界線候補R1〜R4又は仮想境界線候補V1〜V3以外の位置で認識されてもよい。
後述するように、第n1撮像画像Fn1において第n1マーカーM(Tn1)が現実の路面101の位置で認識された場合には、実境界線候補R1〜R4及び仮想境界線候補V1〜V3が境界線であるとの仮定が実際には正しくなくとも、第n1マーカーM(Tn1)の予測位置と抽出位置とが一致し、当該仮定が正しいか否かが判定できない場合がある。そのため、位置予測部23は、例えば、第n1撮像画像Fn1において可能な限り車両(路面101)から距離が遠いと思われる位置で第n1マーカーM(Tn1)を認識することができる。或いは、例えば、図6の例に示すように、位置予測部23は、第n1撮像画像Fn1において車両(路面101)から距離が最も遠いと思われる位置にある実境界線候補R1上で第n1マーカーM(Tn1)を認識することができる。
図2に示すように、位置予測工程として、道路境界線認識装置1の位置予測部23により、第n1撮像画像Fn1の実境界線候補R1〜R4及び仮想境界線候補V1〜V3を境界線であると仮定したそれぞれの場合において、車両の移動情報に基づいて、第n1時点Tn1より後の第n2時点Tn2の第n2撮像画像における第n1マーカーM(Tn1)の予測位置が予測される(S105)。
位置予測工程では、例えば、図7に示すように、第n1撮像画像Fn1の実境界線候補R2を境界線であると仮定した場合において、車両に対する車載カメラ11の位置、角度等のパラメータから第n1時点Tn1の第n1撮像画像Fn1中の第n1マーカーM(Tn1)の三次元空間上の車両に対する位置が算出される。
この場合、例えば、実境界線候補R2で区画される第n1撮像画像Fn1の車両から近い側の領域は、路面101であると仮定される。一方、例えば、実境界線候補R2で区画される第n1撮像画像Fn1の車両から遠い側の領域は、実境界線候補R2を交線として路面101と垂直に交差する平面であると仮定される。図7の例では、第n1マーカーM(Tn1)は、実境界線候補R2を交線としつつ路面101と垂直に交差する平面上に存在すると仮定される。車両に対する車載カメラ11の位置、角度等のパラメータから、実境界線候補R2を交線としつつ路面101と垂直に交差する平面及び当該平面上における第n1マーカーM(Tn1)の三次元空間上の車両に対する位置を算出することができる。
次に、車速センサ12及びヨーレートセンサ13により検出された車両の移動情報に基づいて、位置予測部23により、第n1時点Tn1より後の第n2時点Tn2における第n1マーカーM(Tn1)の三次元空間上の車両に対する位置が算出される。最後に、位置予測部23により、車両に対する車載カメラ11の位置、角度等のパラメータに基づいて、第n2時点Tn2における第n1マーカーM(Tn1)の三次元空間上の車両に対する位置から、第n2時点Tn2の第n2撮像画像中の第n1マーカーM(Tn1)の予測位置mR2(Tn2)が予測される。これにより、位置予測部23は、第n1撮像画像Fn1の実境界線候補R2を境界線であると仮定した場合において、第n1マーカーMR2(Tn1)の予測位置mR2(Tn2)を予測することができる。
同様にして、図8に示すように、第n1撮像画像Fn1の仮想境界線候補V2を境界線であると仮定した場合において、第n2時点Tn2の第n2撮像画像における第n1マーカーM(Tn1)の予測位置mV2(Tn2)が予測される。また、同様にして、図9に示すように、第n1撮像画像Fn1の実境界線候補R3を境界線であると仮定した場合において、第n2時点Tn2の第n2撮像画像における第n1マーカーM(Tn1)の予測位置mR3(Tn2)が予測される。
図7に示すように、第n1撮像画像Fn1において、現実の境界線Bよりも車両から遠い実境界線候補R2がガードレール104と路面101との境界線であると仮定した場合には、第n1マーカーM(Tn1)の予測位置mR2(Tn2)までの移動距離は現実の移動距離よりも長くなる。また、図8に示すように、第n1撮像画像Fn1において、現実の境界線Bとほぼ一致する仮想境界線候補V2がガードレール104と路面101との境界線であると仮定した場合には、第n1マーカーM(Tn1)の予測位置mV2(Tn2)までの移動距離は現実の移動距離とほぼ一致する。また、図9に示すように、第n1撮像画像Fn1において、現実の境界線Bよりも車両から近い実境界線候補R3がガードレール104と路面101との境界線であると仮定した場合には、第n1マーカーM(Tn1)の予測位置mR3(Tn2)までの移動距離は現実の移動距離よりも短くなる。
図2に示すように、第n2撮像画像取得工程として、道路境界線認識装置1の車載カメラ11により、道路を走行中の車両の前方における第n1時点Tn1より後の任意の第n2時点Tn2の第n2撮像画像が取得される(S106)。第n2撮像画像取得工程では、例えば、図10に示すような第n2撮像画像Fn2が取得される。図10に示すように、第n2時点Tn2の第n2撮像画像Fn2では、第n1時点Tn1の第n1撮像画像Fn1に比べて、ポスト106や遮蔽物120が車両の手前側の位置に写っている。
図2及び図11に示すように、第n2実境界線候補抽出工程として、道路境界線認識装置1の実境界線候補抽出部21により、道路100を走行中の車両の前方における第n2時点Tn2の第n2撮像画像Fn2について、境界線Bの候補である実境界線候補R1〜R4が、上述した第n1実境界線候補抽出工程と同様にして抽出される(S107)。第n2仮想境界線候補設定工程として、道路境界線認識装置1の仮想境界線候補設定部22により、第n2撮像画像Fn2の実境界線候補R1〜R4に沿って仮想境界線候補V1〜V3が、上述した第n1仮想境界線候補設定工程と同様にして設定される(S108)。尚、上述したように、第n2実境界線候補抽出工程及び第n2仮想境界線候補設定工程は必須ではなく、省略することができる。
図2及び図11に示すように、位置抽出工程として、道路境界線認識装置1の境界線認識部24により、第n2撮像画像Fn2から第n1マーカーM(Tn1)の抽出位置M(Tn2)が抽出される(S109)。抽出位置M(Tn2)の抽出は、第n1マーカーM(Tn1)の画素群に対応する画素群を第n2撮像画像Fn2から抽出することにより行われる。
第n1マーカーM(Tn1)は、第n1撮像画像Fn1の実境界線候補R1上で認識されているため、第n2撮像画像Fn2上の抽出位置M(Tn2)も実境界線候補R1上になると考えられる。そこで、第n1マーカーM(Tn1)の画素群に対応する画素群を第n2撮像画像Fn2から抽出するために、例えば、第n2撮像画像Fn2上に実境界線候補R1に沿った領域が設定される。当該領域内において、マッチング処理により、第n1マーカーM(Tn1)の画素群に対応する画素群を位置をずらしながら、当該位置における当該第n1マーカーM(Tn1)の画素群に対応する画素群と第n2撮像画像Fn2の画素群との相関値が算出される。当該相関値が最大となる第n2撮像画像Fn2上の位置が、第n1マーカーM(Tn1)の抽出位置M(Tn2)に決定される。
図2に示すように、境界線認識工程として、道路境界線認識装置1の境界線認識部24により、予測位置mR2(Tn2),mV2(Tn2),mR3(Tn2)等と、抽出位置M(Tn2)との比較に基づいて、実境界線候補R1〜R4及び仮想境界線候補V1〜V3のいずれかが境界線Bとして認識される(S110)。
境界線認識工程では、例えば、図12に示すように、実境界線候補R2が境界線であると仮定した場合における第n1マーカーM(Tn1)の予測位置mR2(Tn2)と抽出位置M(Tn2)とが比較される。上述したように、現実の境界線Bよりも車両から遠い実境界線候補R2がガードレール104と路面101との境界線であると仮定した場合には、第n1マーカーM(Tn1)の予測位置mR2(Tn2)までの移動距離は現実よりも長くなる。そのため、予測位置mR2(Tn2)は抽出位置M(Tn2)よりも、ずれ量gだけ車両の手前側となり、予測位置mR2(Tn2)と抽出位置M(Tn2)とは一致しない。
また、境界線認識工程では、例えば、図13に示すように、仮想境界線候補V2が境界線であると仮定した場合における第n1マーカーM(Tn1)の予測位置mV2(Tn2)と抽出位置M(Tn2)とが比較される。上述したように、現実の境界線Bとほぼ一致する仮想境界線候補V2がガードレール104と路面101との境界線であると仮定した場合には、第n1マーカーM(Tn1)の予測位置mV2(Tn2)までの移動距離は現実とほぼ一致する。そのため、予測位置mV2(Tn2)は抽出位置M(Tn2)とはほぼ一致する。
また、境界線認識工程では、例えば、図14に示すように、実境界線候補R3が境界線であると仮定した場合における第n1マーカーM(Tn1)の予測位置mR3(Tn2)と抽出位置M(Tn2)とが比較される。上述したように、現実の境界線Bよりも車両から近い実境界線候補R3がガードレール104と路面101との境界線であると仮定した場合には、第n1マーカーM(Tn1)の予測位置mR3(Tn2)までの移動距離は現実よりも短くなる。そのため、予測位置mR3(Tn2)は抽出位置M(Tn2)よりも、ずれ量gだけ車両の奥側となり、予測位置mR3(Tn2)と抽出位置M(Tn2)とは一致しない。
境界線認識工程では、境界線認識部24は、例えば、実境界線候補R1〜R4及び仮想境界線候補V1〜V3を境界線であると仮定したそれぞれの場合において、予測位置mV2(Tn2)と抽出位置M(Tn2)とのずれ量gが最小である仮想境界線候補V2を境界線Bとして認識する。
尚、第n1マーカーM(Tn1)が現実の路面101において認識された場合には、実境界線候補R1〜R4及び仮想境界線候補V1〜V3の中で第n1マーカーM(Tn1)よりも車両から遠い側に位置する実境界線候補及び仮想境界線候補それぞれについては、それらの実境界線候補及び仮想境界線候補が境界線であるとの仮定が正しいか否かに関わらず、第n1マーカーM(Tn1)の予測位置と抽出位置M(Tn2)とが一致し、ずれ量gが0となり、当該仮定が正しいか否かが判定できない。
このような場合には、境界線認識部24は、例えば、実境界線候補及び仮想境界線候補のそれぞれが境界線であると仮定した場合にずれ量gが0となる実境界線候補及び仮想境界線候補のいずれかの中で、車両から最も近い実境界線候補又は仮想境界線候補を境界線Bとして認識することができる。
また、上記のように実境界線候補及び仮想境界線候補のそれぞれが境界線であると仮定した場合にずれ量gが0となる実境界線候補又は仮想境界線候補が複数ある場合や、ずれ量gが予め設定された境界線を認識するための閾値を超えている場合は、境界線認識部24は、境界線Bを認識することが不可能である旨又は境界線Bの認識を保留する旨を出力してもよい。
上記のS101〜S110の処理は、道路境界線認識装置1により所定の周期で繰り返し実行される。そのため、任意の自然数kについて、第n−k時点,第n−k+1時点,…,第n−1時点,第n0時点,第n1時点,第n2時点,第n3時点,…,第nk−1時点,第nk時点それぞれにおける第n−k撮像画像,第n−k+1撮像画像,…,第n−1撮像画像,第n0撮像画像,第n1撮像画像,第n2撮像画像,第n3撮像画像,…,第nk−1撮像画像,第nk撮像画像それぞれについての処理が繰り返し実行される。
例えば、任意の自然数jについて、第n−2j+1時点,…,第n−1時点,第n1時点,第n3時点,…,第n2j+1時点それぞれにおける第n−2j+1撮像画像,…,第n−1撮像画像,第n1撮像画像,第n3撮像画像,…,第n2j+1撮像画像それぞれについて、上述した第n1撮像画像取得工程、第n1実境界線候補抽出工程、第n1仮想境界線候補抽出工程、マーカー認識工程及び位置予測工程と同様の処理が実行され、第n−2j時点,…,第n0時点,第n2時点,…,第n2j時点それぞれにおける第n−2j撮像画像,…,第n0撮像画像,第n2撮像画像,…,第n2j撮像画像それぞれについて、上述した第n2撮像画像取得工程、第n2実境界線候補抽出工程、第n2仮想境界線候補抽出工程、位置抽出工程及び境界線認識工程と同様の処理が実行されてもよい。
また、任意の自然数kについて、第n−k時点,第n−k+1時点,…,第n−1時点,第n0時点,第n1時点,第n2時点,第n3時点,…,第nk−1時点,第nk時点それぞれにおける第n−k撮像画像,第n−k+1撮像画像,…,第n−1撮像画像,第n0撮像画像,第n1撮像画像,第n2撮像画像,第n3撮像画像,…,第nk−1撮像画像,第nk撮像画像それぞれについて、上述した第n1撮像画像取得工程、第n1実境界線候補抽出工程、第n1仮想境界線候補抽出工程、マーカー認識工程及び位置予測工程と同様の処理が実行されるとともに、これらの前の時点である第n−k−1時点,第n−k時点,…,第n−2時点,第n−1時点,第n0時点,第n1時点,第n2時点,…,第nk−2時点,第nk−1時点それぞれにおける第n−k−1撮像画像,第n−k撮像画像,…,第n−2撮像画像,第n−1撮像画像,第n0撮像画像,第n1撮像画像,第n2撮像画像,…,第nk−2撮像画像,第nk−1撮像画像それぞれについて実行されたマーカー認識工程及び位置予測工程の結果に基づいて、上述した第n2撮像画像取得工程、第n2実境界線候補抽出工程、第n2仮想境界線候補抽出工程、位置抽出工程及び境界線認識工程と同様の処理が実行されてもよい。
本実施形態では、仮想境界線候補設定部22により、第n1撮像画像Fn1の実境界線候補R2等に重複せずに沿った仮想境界線候補V2等が設定される。また、位置予測部23により、第n1撮像画像Fn1の実境界線候補R2等及び仮想境界線候補V2等を境界線であると仮定したそれぞれの場合において、第n1撮像画像Fn1で認識される第n1マーカーM(Tn1)について、車両の移動情報に基づいて、第n2撮像画像Fn2における予測位置mV2(Tn2)が予測され、境界線認識部24により、予測された第n1マーカーM(Tn1)の予測位置mV2(Tn2)等と、第n2撮像画像から抽出された第n1マーカーM(Tn1)の抽出位置M(Tn2)との比較に基づいて、実境界線候補R2等及び仮想境界線候補V2等のいずれかが境界線Bとして認識される。そのため、立体構造物と道路の路面との現実の境界線が遮蔽物によって遮蔽されているために、現実の境界線そのものを撮像画像から直接に認識できず、実境界線候補上に現実の境界線が含まれていない場合であっても、仮想境界線候補が実境界線候補を補うことができるため、現実の境界線から大幅に乖離した境界線候補を誤って境界線と認識する可能性を低減させることができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、上記第1実施形態のように常に仮想境界線候補が設定されるのではなく、仮想境界線候補を設定する条件が規定されている。図15に示すように、上記第1実施形態の第n1撮像画像取得工程と同様に、第n−1撮像画像取得工程として、道路境界線認識装置1の車載カメラ11により、道路を走行中の車両の前方における第n1時点よりも前の第n−1時点の第n−1撮像画像が取得される(S201)。
上記第1実施形態の第n1実境界線候補抽出工程と同様に、第n−1実境界線候補抽出工程として、道路境界線認識装置1の実境界線候補抽出部21により、道路100を走行中の車両の前方における第n1時点よりも前の第n−1時点の第n−1撮像画像について、境界線Bの候補である実境界線候補が抽出される(S202)。
上記第1実施形態と同様に、マーカー認識工程として、道路境界線認識装置1の位置予測部23により、第n−1撮像画像で第n−1マーカーが認識される(S203)。上記第1実施形態と同様に、位置予測工程として、道路境界線認識装置1の位置予測部23により、第n−1撮像画像の実境界線候補を境界線であると仮定した場合において、車両の移動情報に基づいて、第n−1撮像画像で認識される第n−1マーカーの第n−1時点と第n1時点との間の第n0時点の第n0撮像画像における予測位置が予測される(S204)。本実施形態では、この時点では、まだ仮想境界線候補は設定されていないため、第n−1撮像画像の仮想境界線候補を境界線であると仮定した場合における第n−1マーカーの第n0撮像画像における予測位置の予測は行われない。
上記第1実施形態の第n2撮像画像取得工程と同様に、第n0撮像画像取得工程として、道路境界線認識装置1の車載カメラ11により、道路を走行中の車両の前方における第n0時点の第n0撮像画像が取得される(S205)。上記第1実施形態の第n2実境界線候補抽出工程と同様に、第n0実境界線候補抽出工程として、道路境界線認識装置1の実境界線候補抽出部21により、道路100を走行中の車両の前方における第n0時点の第n0撮像画像について、境界線Bの候補である実境界線候補が抽出される(S206)。尚、上記第1実施形態と同様に、第n0実境界線候補抽出工程は必須ではなく、省略することができる。
上記第1実施形態と同様に、位置抽出工程として、道路境界線認識装置1の境界線認識部24により、第n0撮像画像の第n−1マーカーの抽出位置が抽出される(S207)。本実施形態では、第n−1マーカーの予測位置と第n0撮像画像から抽出された第n−1マーカーの抽出位置とのずれ量gが第1閾値以下である場合は(S208)、境界線認識工程として、道路境界線認識装置1の境界線認識部24により、実境界線候補を境界線であると仮定した場合において、ずれ量gが第1閾値以下である実境界線候補の中で、ずれ量gが最小である実境界線候補が境界線として認識される(S209)。第1閾値は、固定値でも変動値でもよい。また、第1閾値は、上述した境界線を認識するための閾値と同じ値であっても、異なる値でもよい。
一方、本実施形態では、第n−1マーカーの予測位置と第n0撮像画像から抽出された第n−1マーカーの抽出位置とのずれ量gが第1閾値を超えている場合は(S208)、図16に示すように、上記第1実施形態の図2のS101〜S110と同様の第n1撮像画像取得工程(S210)、第n1実境界線候補抽出工程(S211)、第n1仮想境界線候補抽出工程(S212)、マーカー認識工程(S213)、位置予測工程(S214)、第n2撮像画像取得工程(S215)、第n2実境界線候補抽出工程(S216)、第n2仮想境界線候補抽出工程(S217)、位置抽出工程(S218)及び境界線認識工程(S219)が実行される。すなわち、仮想境界線候補設定部22は、第n−1マーカーの予測位置と第n0撮像画像から抽出された第n−1マーカーの抽出位置とのずれ量gが第1閾値を超えている場合に、第n1撮像画像の実境界線候補に重複せずに沿った仮想境界線候補を設定する。
本実施形態によれば、第n−1マーカーの予測位置と、第n0撮像画像から抽出された第n−1マーカーの抽出位置とのずれ量gが第1閾値を超えている場合に、仮想境界線候補設定部22によって、第n1撮像画像の実境界線候補に重複せずに沿った仮想境界線候補が設定される。このため、常に仮想境界線候補が設定される場合に比べて、道路境界線認識装置1の演算負荷を低減することができる。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、ずれ量gが予め設定された第2閾値を超えている場合には、設定される仮想境界線候補の数が増加させられる。図17に示すように、上記第1実施形態の図2のS101〜S109と同様の第n1撮像画像取得工程(S301)、第n1実境界線候補抽出工程(S302)、第n1仮想境界線候補抽出工程(S303)、マーカー認識工程(S304)、位置予測工程(S305)、第n2撮像画像取得工程(S306)、第n2実境界線候補抽出工程(S307)、第n2仮想境界線候補抽出工程(S308)及び位置抽出工程(S309)が実行される。
実境界線候補及び仮想境界線候補を境界線であると仮定したそれぞれの場合において、位置予測部23により予測された第n1マーカーの抽出位置と、第n2撮像画像から抽出された第n1マーカーの抽出位置とのずれ量gが第2閾値以下の実境界線候補又は仮想境界線候補が有る場合には(S310)、境界線認識工程として、道路境界線認識装置1の境界線認識部24により、第n1マーカーの予測位置と、第n2撮像画像から抽出された第n1マーカーの抽出位置とのずれ量gが境界線を認識するための閾値以下の実境界線候補及び仮想境界線候補のいずれかが境界線として認識される(S311)。尚、本実施形態では、第2閾値を上述した境界線を認識するための閾値と同じ値としているが、第2閾値は境界線を認識するための閾値と異なる値であってもよい。また、第2閾値は、固定値でも変動値でもよい。
一方、実境界線候補及び仮想境界線候補を境界線であると仮定したそれぞれの場合において、位置予測部23により予測された第n1マーカーの予測位置と、第n2撮像画像から抽出された第n1マーカーの抽出位置とのずれ量gが第2閾値以下の実境界線候補又は仮想境界線候補が無い場合には(S310)、図18に示すように、第n2時点よりも後の第n3時点の第n3撮像画像について、上記第1実施形態の図2のS101及びS102と同様の第n3撮像画像取得工程(S312)及び第n3実境界線候補抽出工程(S313)が実行される。
第n3仮想境界線候補設定工程として、仮想境界線候補設定部22により、第n2時点よりも後の第n3時点の第n3撮像画像について実境界線候補抽出部21により抽出された実境界線候補に重複せずに沿い、第n1仮想境界線候補抽出工程(S303)で第n1撮像画像に設定した仮想境界線候補よりも数が多い仮想境界線候補が設定される(S314)。
その後は、第n3撮像画像について、上記第1実施形態の図2のS104及びS105と同様のマーカー認識工程(S315)及び位置予測工程(S316)が実行される。また、第n3時点よりも後の第n4時点の第n4撮像画像について、上記第1実施形態の図2のS106〜S110と同様の第n4撮像画像取得工程(S317)、第n4実境界線候補抽出工程(S318)、第n4仮想境界線候補抽出工程(S319)、位置抽出工程(S320)及び境界線認識工程(S321)が実行される。
尚、本実施形態では、仮想境界線候補設定部22は、任意の自然数mについて、第n3時点、第n7時点、第n10時点、…、第n3(m−1)+4時点、第n3m+4時点の第n3撮像画像、第n7撮像画像、第n10撮像画像、…、第n3(m−1)+4撮像画像、第n3m+4撮像画像について、上記の第n3仮想境界線候補設定工程と同様の処理を行ない、設定する仮想境界線候補の数が任意の上限数に達するまでは、設定する仮想境界線候補の数を段階的に増加させてもよい。
本実施形態によれば、第n1マーカーの予測位置と抽出位置とのずれ量gが第2閾値以下である現実の境界線に十分に近い実境界線候補又は仮想境界線候補を認識できない場合には、設定される仮想境界線候補の数を多くするので、第n2時点の後の第n3時点において現実の境界線に十分に近い仮想境界線候補を認識することができる可能性を増大させることができる。
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、ずれ量gが予め設定された第3閾値を超えている場合には、設定される仮想境界線候補の位置が変更させられる。図19に示すように、上記第1実施形態の図2のS101〜S109と同様の第n1撮像画像取得工程(S401)、第n1実境界線候補抽出工程(S402)、第n1仮想境界線候補抽出工程(S403)、マーカー認識工程(S404)、位置予測工程(S405)、第n2撮像画像取得工程(S406)、第n2実境界線候補抽出工程(S407)、第n2仮想境界線候補抽出工程(S408)及び位置抽出工程(S409)が実行される。
実境界線候補及び仮想境界線候補を境界線であると仮定したそれぞれの場合において、位置予測部23により予測された第n1マーカーの抽出位置と、第n2撮像画像から抽出された第n1マーカーの抽出位置とのずれ量gが第3閾値以下の実境界線候補又は仮想境界線候補が有る場合には(S410)、境界線認識工程として、道路境界線認識装置1の境界線認識部24により、第n1マーカーの予測位置と、第n2撮像画像から抽出された第n1マーカーの抽出位置とのずれ量gが第3閾値以下の実境界線候補及び仮想境界線候補のいずれかが境界線として認識される(S411)。尚、本実施形態では、第3閾値を上述した境界線を認識するための閾値と同じ値としているが、第3閾値は境界線を認識するための閾値と異なる値であってもよい。また、第3閾値は、固定値でも変動値でもよい。
一方、実境界線候補及び仮想境界線候補を境界線であると仮定したそれぞれの場合において、位置予測部23により予測された第n1マーカーの予測位置と、第n2撮像画像から抽出された第n1マーカーの抽出位置とのずれ量gが第3閾値以下の実境界線候補又は仮想境界線候補が無い場合には(S410)、図20に示すように、第n2時点よりも後の第n3時点の第n3撮像画像について、上記第1実施形態の図2のS101及びS102と同様の第n3撮像画像取得工程(S412)及び第n3実境界線候補抽出工程(S413)が実行される。
第n3仮想境界線候補設定工程として、仮想境界線候補設定部22により、第n2時点よりも後の第n3時点の第n3撮像画像について実境界線候補抽出部21により抽出された実境界線候補に重複せずに沿い、第n1仮想境界線候補抽出工程(S403)で第n1撮像画像に設定した仮想境界線候補とは位置が異なる仮想境界線候補が設定される(S414)。
その後は、第n3撮像画像について、上記第1実施形態の図2のS104及びS105と同様のマーカー認識工程(S415)及び位置予測工程(S416)が実行される。また、第n3時点よりも後の第n4時点の第n4撮像画像について、上記第1実施形態の図2のS106〜S110と同様の第n4撮像画像取得工程(S417)、第n4実境界線候補抽出工程(S418)、第n4仮想境界線候補抽出工程(S419)、位置抽出工程(S420)及び境界線認識工程(S421)が実行される。
本実施形態によれば、第n1マーカーの予測位置と抽出位置とのずれ量gが第3閾値以下である現実の境界線に十分に近い実境界線候補又は仮想境界線候補を認識できない場合には、設定される仮想境界線候補の位置を変更するので、第n2時点の後の第n3時点において現実の境界線に十分に近い仮想境界線候補を認識することができる可能性を増大させることができる。
尚、本発明の実施形態の道路境界線認識装置及び道路境界線認識方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の実施形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上述した第2〜第4実施形態の中の2つの実施形態又は3つの実施形態は互いに組み合わせた態様で実施されてもよい。この場合において、上記第1閾値〜第3閾値はそれぞれ同じ値であっても異なる値であってもよい。