JP2016125746A - 冷凍又は空調装置及びその制御方法 - Google Patents

冷凍又は空調装置及びその制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】近似逆エリクソンサイクルを構成する冷凍又は空調装置の熱効率を向上させる。
【解決手段】主として凝縮器による等温放熱行程と、蒸発器による等温吸熱行程と、再生熱交換器における熱交換によって行われる液領域における等圧放熱行程及び過熱蒸気領域における等圧吸熱行程を含む逆エリクソンサイクルを形成し、前記等温放熱行程のうち過熱蒸気領域で行われる部分行程が、複数段の圧縮機による複数段の断熱圧縮行程と、ガス冷却器及び凝縮器による複数段の等圧放熱行程とに置き換えられ、前記等圧吸熱行程で湿り状態の冷媒を再生熱交換器に導入し、前記等圧吸熱行程で飽和ガス冷媒が再生熱交換器に導入されたときの前記等圧放熱行程の終了点となる顕熱限界過冷却点から、第1膨張手段による断熱膨張行程の終了点が飽和冷媒液線上に位置するときの前記等圧放熱行程の終了点となる湿り限界過冷却点までの過冷却点に前記等圧放熱行程の終了点が位置するように制御する制御装置を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷凍サイクルとして逆エリクソンサイクルを用いた冷凍又は空調装置及びその制御方法に関する。
蒸気圧縮式冷凍サイクルを用いる冷凍又は空調装置は、省エネの観点から熱効率の向上が望まれており、従来から多くの提案がなされている。
元来、2つの異なる温度の熱源を用いて蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成する冷凍又は空調装置の熱効率は、サイクルが可逆サイクルであるとき理論上可能な最高値に達する。
実用的な冷凍又は空調装置の熱効率をこの理論値に近づける最良の方法の一つは、蒸気圧縮式冷凍サイクルを理論上の逆エリクソンサイクルに近づけることである。
理論上の逆エリクソンサイクルは、2つの等温過程と2つの等圧過程とからなり、これら2つの等圧過程は熱交換過程である。実用的な冷凍又は空調装置では、冷媒循環路に直列に設けられた圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器等の冷凍サイクル構成機器と共に、蒸発器出口から圧縮機入口に向かうガス冷媒と凝縮器出口から膨張弁入口に向かう液冷媒とを熱交換させる再生熱交換器とを備えることで、理論上の逆エリクソンサイクルに近似した逆エリクソンサイクルが可能になる。
特許文献1には、前述の近似した逆エリクソンサイクルを用いた冷凍又は空調装置が開示されている。この近似逆エリクソンサイクルでは、等温放熱行程の中で過熱蒸気領域で行われる等温圧縮の部分行程を多段の断熱圧縮行程と多段の等圧放熱行程で置き換え、かつ蒸発器出口から再生熱交換器入口に流入するガス冷媒の乾き度を制御することで、熱効率を向上させることができる。
特許第4726258号公報
再生熱交換器でのガス冷媒と液冷媒との熱交換においては、ガス冷媒の比熱が液冷媒と比べて小さいため、液冷媒側が過冷却不足となる傾向があり、熱効率の向上があまり見込めないという問題がある。
特許文献1に開示された冷凍又は空調装置では、蒸発器から再生熱交換器に流入するガス冷媒の乾き度(湿り度)を制御することで、熱効率を向上させようとするものであるが、蒸発器出口の冷媒状態を正確に適正湿り状態に制御することが難しい。最適な制御点は一点のみであるから、蒸発器出口の冷媒状態が湿り度過剰でも湿り度不足でもサイクルの成績係数は低下する。
本発明の少なくとも一実施形態は、前述の近似逆エリクソンサイクルを用いた冷凍又は空調装置において、熱効率のさらなる向上を可能にすることを目的とする。
本発明の少なくとも一実施形態に係る冷凍又は空調装置は、
(1)冷媒循環路に直列に設けられた複数段の圧縮機、凝縮器、第1膨張手段及び蒸発器と、
前記複数段の圧縮機で各圧縮機の出口と次段の圧縮機の入口とを結ぶ前記冷媒循環路に設けられ、各圧縮機の吐出ガス冷媒を冷却するためのガス冷却器と、
前記蒸発器より前記圧縮機に向かう低圧側ガス冷媒と前記凝縮器から前記第1膨張手段に向かう高圧側液冷媒とを熱交換させるための再生熱交換器と、を備え、
主として前記凝縮器による等温放熱行程と前記蒸発器による等温吸熱行程と、前記再生熱交換器における高圧側液冷媒による等圧放熱行程及び低圧側ガス冷媒による等圧吸熱行程から成る逆エリクソンサイクルを形成すると共に、
前記等温放熱行程のうち過熱蒸気領域で行われる等温圧縮の部分行程が、前記複数段の圧縮機による複数段の断熱圧縮行程と、前記ガス冷却器による複数段の等圧放熱行程とに置き換えられることにより近似的等温行程が形成され、
前記等圧吸熱行程開始点で湿り状態の低圧側ガス冷媒を前記再生熱交換器に導入し、前記等圧吸熱行程開始点で飽和状態の低圧側ガス冷媒が前記再生熱交換器に導入されたときの高圧側液冷媒の等圧放熱行程終了点となる顕熱限界過冷却点から前記第1膨張手段による断熱膨張行程の終了点が蒸発圧力における飽和冷媒液線上に位置するときの前記等圧放熱行程の終了点となる湿り限界過冷却点までの過冷却領域内に、前記等圧放熱行程の終了点が位置するように制御するための制御装置をさらに備えている。
図1はT−S線図における逆エリクソンサイクルの概略図であり、図2はモリエル線図における逆エリクソンサイクルの概略図である。
図1、図2中、符号xは冷媒の飽和液線、yは冷媒の飽和蒸気線、tは等温線、Tvは単段圧縮機の吐出温度、図1中の破線pは図2中の水平線b’gに対応する等圧線、図2中の破線Sは図1中の垂直線bb’に対応する等エントロピ線を示している。理論上の逆エリクソンサイクルはabgcda(実線)で示される。理論上の逆エリクソンサイクルは2つの等温行程(d→a及びb→c)と2つの等圧行程(a→b及びc→d)からなる。2つの等圧行程abおよびcdは再生熱交換器における熱交換過程である。
部分等温行程(b→g)は理論的等温圧縮行程である。実用サイクルでは断熱圧縮行程(b→b’)と等圧放熱行程(b’→g)とに置き換える必要があり、そのため、圧縮仕事Δが余分に必要となる。等圧行程b’gはガス冷却器によって行われる。
そこで、図中実線iで示すように、前記等圧放熱行程のうち過熱蒸気領域で行われる部分行程(等温行程b→g)を、複数段の圧縮機による複数段の断熱圧縮行程と、ガス冷却器及び最終段の顕熱部分を冷却する凝縮器による複数段の等圧放熱行程とに置き換えることで、等温行程(b→g)に近似できる。
前記複数段のサイクルを構成することで、圧縮仕事Δを低減でき、COP(成績係数)の向上が可能となる。
理論サイクル上の2つの等圧行程(行程ab及び行程cd)において、ガス冷媒と液冷媒の比熱が異なるため、ガス冷媒のエンタルピー差ΔHab=Hb−Haと液冷媒のエンタルピー差ΔHcd=Hc−Hdが等しくならない。両者のエンタルピー差が等しくなる液冷媒の出口点を状態点hとするとΔHab=ΔHchの関係が満足される。この液冷媒出口点hを「顕熱限界過冷却点」と定義する。なお、再生熱交換器の液冷媒出口温度が蒸発温度と等しくなる出口点dを「湿り限界過冷却点」と定義する。液出口点dまで液冷媒を過冷却させるためには、再生熱交換器のガス側吸入点を湿り状態点a’まで移動してΔHa’b=ΔHcdの関係を満足させる必要がある。ガス側吸入点をこのように移動するには第1膨張手段(例えば膨張弁)の開度を増加させて蒸発器への給液量を増加させれば良い。
図3及び図4は、単段圧縮行程および単段膨張行程を用いた逆エリクソンサイクルの再生熱交換器と成績係数の関係を示す。両図の縦軸は成績係数(COP)を示し、横軸は再生熱交換器の液冷媒出口温度(図3)およびガス冷媒出口温度(図4)を示す。グラフ線上の○、□、△、◇等の表示記号は理論計算点の位置を表示したものであり、実験結果を示すものではない。本特性は本発明の主要部を為すものであり、以下に記号Bの冷媒R600a(イソブタン)を例にして若干詳しく説明する。
図3は再生熱交換器の液側冷媒の特性を冷媒別に示したものである。液冷媒出口温度40℃線上の点c(図1及び図2の状態点c)は過冷却度が零、換言すれば再生熱交換器を使用しない状態のCOPを示す。液冷媒出口温度−40℃線上の点d(図1及び図2の状態点d)の性能は最大過冷却温度におけるCOPを示す。図3より、再生熱交換器の液冷媒の出口温度が分れば直ちにそのときのCOPを知ることができる。
液冷媒の出口温度はガス冷媒の入口温度及び湿り度により一意に決定される。例えば、ガス冷媒入口が飽和ガス状態であれば液冷媒出口は点h(図1及び図2の状態点h)となり、COPは最大となる。そのとき液温度は図3より−13℃程度である。この状態点hは前記の「顕熱限界過冷却点」である。
ガス冷媒の入口状態の湿り度を増加すると、液冷媒の過冷却温度を状態点d(−40℃)まで低下させることができる。状態点dが前記「湿り限界過冷却点」である。このときのガス冷媒の入口点(図1及び図2の状態点a’)を「湿り限界点a'」と定義する。ガス冷媒入口の湿り度を湿り限界点a'以上増加しても液冷媒出口温度は不変であり、COPは逆に低下することになる。ガス冷媒入口温度が−40℃以上の過熱温度になると、液冷媒出口状態が状態点hより高温状態となるため、図3の結果よりCOPは低下する。
図4は、再生熱交換器のガス側冷媒の特性を冷媒別に示したものである。
温度−40℃線上のCOPは再生熱交換器のガス冷媒入口が−40℃の飽和ガス状態a(図1及び図2の状態点a)であり、かつガス冷媒出口が−40℃の飽和ガス状態であるときのCOP、換言すれば、再生熱交換器を使用しない状態のCOPを示す。ガス冷媒出口温度40℃線上の点b(図1及び図2の状態点b)のCOPは、液冷媒出口温度が図1及び図2の「顕熱限界過冷却点h」となるときのCOPを示す。
図4より、再生熱交換器のガス冷媒の出口温度が分れば、直ちにそのときのCOPを知ることができる。ガス冷媒の出口温度が凝縮温度40℃から低下するほどCOPが低下する。
図3で説明したように、「顕熱限界過冷却点h」から「湿り限界過冷却点d」の区間におけるCOPは一定であることから、再生熱交換器による性能改善効果は、ガス冷媒の入口(飽和状態)と出口(過熱状態)の顕熱差を最大限利用したとき最大となることを意味する。
液冷媒の出口温度は、ガス冷媒の入口温度及び湿り度により一意的に決定されることはすでに述べた通りである。問題は、ガス冷媒の入口湿り度の影響が図4には一切示されていないことである。その理由は、ガス冷媒入口の湿り度が図1及び図2の状態aから状態a’に移動しても入口温度は一定(蒸発温度)であるため、図4の座標上に湿り度の影響を示す方法が見当たらないことによる。
このことから、再生熱交換器のガス冷媒の入口を湿り状態に維持することは理論的性能改善に無関係であるが、COPを最大化する制御法の観点から重要な意味をもつ。これについては後述する。
図3及び図4には次の二つの理論計算結果が示されている。
(1)再生熱交換器の冷端側および温端側の出入口端面における液側とガス側の冷媒温度差零℃の時の最大COP:液冷媒とガス冷媒の温度範囲はともに−40℃から40℃となり、COP最大値は図3の水平実線部分及び図4のガス冷媒出口温度40℃におけるCOPである。(図3及び図4の黒塗り点)
(2)再生熱交換器の冷端側および温端側の出入口端面における液側とガス側の冷媒温度差が5℃のときの最大COP:図3における−35℃から40℃及び図4における−40℃から35℃の温度範囲において、COP最大値は図3の水平破線部分及び図4のガス冷媒出口温度35℃におけるCOPである。(図3及び図4の白抜き点)
前記(1)と(2)の二つの計算結果を示した理由は、再生熱交換器における冷端部及び温端部の温度差(例えば5℃)による伝熱損失が発生したとき、COPがどの程度低下するかを確認するための計算値を示すためである。最大COPを示す図3の水平部分の実線部(伝熱損失零)と水平破線部(伝熱損失を考慮)を比較することにより、伝熱損失の影響を実機のCOPの変化として実感することができる。これらの計算結果を用いて正確に実機の運転条件におけるエリクソンサイクルのCOP特性を推定することが可能となる。以下にその理由を述べる。
従来冷凍サイクルの理論成績係数をCOPtc(図3の40℃における各冷媒のCOP、及び図4の−40℃における各冷媒のCOP)、逆エリクソンサイクルの理論成績係数をCOPte(前記(1)の最大COP)、再生熱交換器の損失を考慮したときの理論成績係数をCOPteh(前記(2)の破線部COP)としたとき、同一運転条件における従来冷凍サイクルの実機成績係数をCOPpc、エリクソンサイクルの実機成績係数をCOPpeとする。エリクソンサイクルの実機成績係数COPpeは従来サイクルの実機成績係数COPpcを用いて次式より予測可能である。
Figure 2016125746
ここで、式(c)のCOPlosは再生熱交換器損失によるCOP損失量を示す。
式(a)より求めたエリクソンサイクルの実機成績係数が実験値と同程度に正確である理由は、式(b)の成績係数比Rcopは理論計算値のため無誤差であり、式(c)における再生熱交換器損失を考慮したCOPteh計算値は実用的に十分な精度で計算可能であることを考慮すると、COPlosの計算精度も十分であると考えられることによる。従って、従来サイクルの実測成績係数COPpcの測定精度が十分であれば、これを用いてエリクソンサイクルの実機成績係数は式(a)より十分な精度で予測可能である。このことは、実用条件に合わせて実験確認をすることなく性能を十分な精度で予測できることを意味する。さらに、以下に示すように、再生熱交換器損失による成績係数への影響は理論成績係数の1%以下の程度であることを考慮すると、式(a)による実機性能予測値は誤差1%を超えることはあり得ず、実験結果の精度範囲にあると考えることができる。
図3及び図4に例示された冷媒のCOP損失量COPlosを計算すると、(−0.010<COPlos<0.025)程度であり、理論成績係数COPteに対する損失Rlos(=COPlos/COPteは、−0.58%(R717)<Rlos<1.1%(R600a)となる。
例えば、図3及び図4中、冷媒R600a(イソブタン)の実線成績係数(COP)は、再生熱交換器の伝熱損失が零の場合の性能を示す。液冷媒出口温度が40℃(過冷却度0℃)でCOP=1.92であり、顕熱限界過冷却点hにおける顕熱限界過冷却温度ThとCOPはTh=−13℃、COP=2.30となる。過冷却温度が−40℃となると、湿り限界過冷却点d(温度Td)における温度とCOPはそれぞれTd=−40℃、COP=2.30である。
このことは、再生熱交換器の液冷媒出口温度が限界過冷却温度Tdと顕熱限界過冷却温度Thの温度範囲内であるとき成績係数が最大かつ一定となることを示している。
同様に、再生熱交換器の伝熱損失を考慮して、冷端側および温端側出入り口の液冷媒とガス冷媒の温度差を5℃としたときの性能を水平破線で示す。破線部以外の性能は伝熱損失の有無に無関係に同一性能となるため一本の実線で表示されている。
図3において、液側冷媒の温度範囲は−35℃から40℃であり、図4においてガス側冷媒の温度範囲は−40℃から35℃である。再生熱交換器の冷端側温度差が5℃であることから、図4の液冷媒出口温度は−35℃であり、温端温度差が5℃であるガス冷媒出口温度は35℃である。図3より明らかなように、再生熱交換器の伝熱損失の増加に合わせて「顕熱限界過冷却点」は高温側に移動して最大COPは低下していく。
なお、R717(NH)の場合は、液側過冷却による冷凍能力の増加よりもガス側で圧縮機吐出温度の上昇による圧縮仕事Δの増加の影響のほうが大きいためCOPの傾向が逆になる。但し、圧縮機の段数を増加すれば各圧縮機の吐出温度を低下でき圧縮損失が改善できるので、COPを向上できる。
冷媒A(R717:アンモニア)は、単段圧縮行程および単段膨張行程を持つ逆エリクソンサイクルにおいて他の例示冷媒と著しく異なるサイクル性能を持つ。即ち、再生熱交換器による液冷媒の過冷却により性能は急速に低下する。本発明の主旨からはずれるため説明は省略するが、圧縮段数および膨張段数を増加することにより、冷媒R717といえども冷媒R600aと同程度に性能を改善させることが可能である。
幾つかの実施形態では、前記構成(1)において、
(2)前記凝縮器における冷媒の凝縮圧力をPcとし、前記蒸発器における冷媒の蒸発圧力をPeとし、前記複数段の圧縮機の段数をnとしたとき、前記複数段の断熱圧縮行程において前記複数段の圧縮機間の圧縮比rを(Pc/Pe)1/nとし、
前記制御装置は、前記ガス冷却器による前記複数段の等圧放熱行程において、入口ガス冷媒(凝縮温度+α)を凝縮温度近傍まで冷却するものである。ここでαは各段圧縮機の吸入ガスの圧縮による昇温幅であり、段数を増やすことによりαは低下させることができる。このため、圧縮機の機械的な使用温度範囲や多段化による性能改善を考慮して、αを選定するのがよい。
前記構成(2)によれば、前記複数段の断熱圧縮行程において、前記複数段の圧縮機間の圧縮比rを(Pc/Pe)1/nとしたことで、前記複数段の圧縮機におけるガス冷媒の吐出圧力及び吐出温度をほぼ同等にでき、一部の圧縮機で吐出圧力及び吐出温度が突出するのを抑えることができる。これによって、潤滑油の劣化やパッキン材などの焼損を抑制できる。
幾つかの実施形態では、前記構成(1)又は(2)において、
(3)前記再生熱交換器と前記第1膨張手段との間の前記冷媒循環路に設けられた第1液ガス分離器と、
前記第1液ガス分離器の入口側の前記冷媒循環路に設けられた第2膨張手段と、
前記第1液ガス分離器のガス冷媒を前記複数段の圧縮機のうちの低段側圧縮機の出口と次段の圧縮機の入口に接続された冷媒路に供給する中間ガスラインと、を有する中間冷却装置をさらに備えている。
前記構成(3)によれば、前記中間冷却装置を設けることでエンタルピ差が増加し、それに対応した全圧縮仕事の変化が起こるが、結果としてCOPが向上する。従って、冷凍又は空調装置のCOPをさらに向上できる。
幾つかの実施形態では、前記構成(1)〜(3)の何れかにおいて、
(4)前記再生熱交換器と前記第1膨張手段との間の前記冷媒循環路に設けられた第2液ガス分離器と、
前記第2液ガス分離器の入口側の前記冷媒循環路に設けられた第3膨張手段と、
前記第2液ガス分離器のガス冷媒を前記複数段の圧縮機のうちの低段側圧縮機の中間圧領域に供給するエコノマイザガスラインと、を有するエコノマイザ装置をさらに備えている。
前記構成(4)によれば、前記エコノマイザ装置を設けることで、エンタルピ差が増加し、それに対応した全圧縮仕事の変化が起こるが、結果としてCOPが向上する。従って、冷凍又は空調装置のCOPをさらに向上できる。
幾つかの実施形態では、前記構成(1)〜(4)の何れかにおいて、
(5)前記複数段の圧縮機の段数が2段又は3段である。
前記複数段の圧縮機の段数が4以上になると、設備費の増加の割にCOP向上に寄与しないので、2段又は3段が実用的な段数となる。
本発明の少なくとも一実施形態に係る冷凍又は空調装置の制御方法は、
(6)冷媒循環路に直列に設けられた複数段の圧縮機、凝縮器、第1膨張手段及び蒸発器と、
前記複数段の圧縮機で各圧縮機の出口と次段の圧縮機の入口と結ぶ前記冷媒循環路に設けられ、各圧縮機の吐出ガス冷媒を冷却するためのガス冷却器と、
前記蒸発器より前記圧縮機に向かうガス冷媒と前記凝縮器から前記第1膨張手段に向かう液冷媒とを熱交換させるための再生熱交換器と、を備えた冷凍又は空調装置の制御方法において、
主として前記凝縮器による等温放熱行程と、前記蒸発器による等温吸熱行程と、前記再生熱交換器における熱交換によって行われる液領域における等圧放熱行程及び過熱蒸気領域における等圧吸熱行程を含む逆エリクソンサイクルを形成すると共に、
前記等温放熱行程のうち過熱蒸気領域で行われる部分行程が、前記複数段の圧縮機による複数段の断熱圧縮行程と、前記ガス冷却器及び前記凝縮器による複数段の等圧放熱行程とに置き換えた第1行程と、
前記等圧吸熱行程で湿り状態の冷媒を前記再生熱交換器に導入し、前記等圧吸熱行程で飽和ガス冷媒が前記再生熱交換器に導入されたときの前記等温放熱行程の終了点となる顕熱限界過冷却点から、前記第1膨張手段による断熱膨張行程の終了点が飽和冷媒液線上に位置するときの前記等温放熱行程の終了点となる湿り限界過冷却点までの領域の過冷却点に前記等温放熱行程の終了点が位置するように制御する第2行程と、を含んでいる。
前記構成(6)によれば、前記第1行程により、実用サイクルを理論上の逆エリクソンサイクルに近づけることができるので、COPを向上できると共に、ガス冷媒の温度上昇を抑制できるため、冷媒に含まれる潤滑油の劣化を防止できると共に、パッキン材などを構成するエラストマの焼損を防止できる。
さらに、前記第2行程により、冷凍又は空調装置のCOPを最大に維持できると共に、最適制御条件が点設定でなく範囲設定となるため制御が極めて容易である。
幾つかの実施形態では、前記構成(6)において、
(7)前記第2行程は、少なくとも前記複数段の圧縮機を駆動するモータの回転数制御と、前記第1膨張手段の制御とで行われる。
前記構成(7)によれば、従来から行われている簡単な制御でCOPを向上できる。
(8)幾つかの実施形態では、前記構成(6)又は(7)において、
前記第2行程は、
前記凝縮器から前記第1膨張手段に向かう液冷媒の前記再生熱交換器出口における温度を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出した温度検出値を、前記顕熱限界過冷却点における冷媒温度から前記蒸発器における冷媒の蒸発温度までの間の温度に制御する第2ステップと、を含んでいる。
前記構成(8)によれば、前記温度検出値は蒸発器や再生熱交換器に設けた温度センサの検出値から、顕熱限界過冷却点や湿り限界過冷却点を容易に求めることができる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、近似逆エリクソンサイクルを用いた冷凍又は空調装置において、熱効率のさらなる向上が可能になる。
近似逆エリクソンサイクルのT−S線図である。 近似逆エリクソンサイクルのモリエル線図である。 再生熱交換器の液冷媒出口温度とCOPの関係を示す線図である。 再生熱交換器のガス冷媒出口温度とCOPの関係を示す線図である。 一実施形態に係る冷凍装置の系統図である。 図5に示す冷凍装置の近似逆エリクソンサイクルを示すT−S線図である。 一実施形態に係る冷凍装置の系統図である。 図7に示す冷凍装置の近似逆エリクソンサイクルを示すT−S線図である。 図7に示す冷凍装置の近似逆エリクソンサイクルを示すモリエル線図である。 一実施形態に係る冷凍装置の系統図である。 図10に示す冷凍装置の近似逆エリクソンサイクルを示すT−S線図である。 一実施形態に係る冷凍装置の系統図である。 一実施形態に係る冷凍装置の系統図である。 図13に示す冷凍装置が構成する近似逆エリクソンサイクルを示すT−S線図である。 前記実施形態に係る冷凍装置のCOP(計算値)を示す図表である。 近似逆エリクソンサイクル及び従来冷凍サイクルのCOPを示す線図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載され又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
(実施形態1)
図5〜図12は、本発明に係る冷凍又は空調装置の幾つかの実施形態を示している。このうち、図5は3段圧縮3段膨張を行う冷凍装置10Aを示し、図6は冷凍装置10Aが構成する近似逆エリクソンサイクルのT−S線図である。
図7は3段圧縮2段膨張を行う冷凍装置10Bを示し、図8は冷凍装置10Bが構成する近似逆エリクソンサイクルのT−S線図であり、図9は該近似逆エリクソンサイクルのモリエル線図である。
図10は3段圧縮単段膨張を行う冷凍装置10Cを示し、図11は冷凍装置10Cが構成する近似逆エリクソンサイクルのT−S線図である。
図12は3段圧縮2段膨張を行う冷凍装置10Dを示している。
図5〜図12に示す冷凍装置10A〜10Dは、冷媒循環路12に冷凍サイクルを構成する複数段(3段)の圧縮機13a、13b及び13c、凝縮器16、第1膨張弁18及び蒸発器20が直列に設けられている。各圧縮機は夫々電動モータ14a、14b及び14cによって回転駆動される。前記圧縮機は、例えばスクリュー圧縮機などの容積型圧縮機が用いられる。但し、運転条件の変動が少ない用途にターボ式圧縮機が使われることもある。
各圧縮機の出口と入口とを接続するガス冷媒路12a及び12bに、冷却水などの冷却媒体で圧縮機13a又は13bから吐出されたガス冷媒を冷却するガス冷却器22a及び22bを備えている。
さらに、蒸発器20より圧縮機13aに向かうガス冷媒と凝縮器16から出た液冷媒とを熱交換させるための再生熱交換器24を備えている。
冷凍装置10A及び10Bの例示的な構成として、再生熱交換器24と第1膨張弁18との間の冷媒循環路12に設けられた第1液ガス分離器28と、第1液ガス分離器28の入口側の冷媒循環路12に設けられた第2膨張弁30と、第1液ガス分離器28で液冷媒と分離されたガス冷媒を第1段圧縮機13aの出口と第2段圧縮機13bの入口とに接続された冷媒路12aに供給する中間ガス路32とを有する中間冷却装置26をさらに備えている。中間ガス路32はガス冷却器22aの下流側で冷媒路12aに接続されている。
冷凍装置10A及び10Dの例示的な構成として、再生熱交換器24と第1膨張弁18との間の冷媒循環路12に設けられた第2液ガス分離器36と、第2液ガス分離器36の入口側の冷媒循環路12に設けられた第3膨張弁38と、第2液ガス分離器36のガス冷媒を第1段圧縮機13aの中間圧領域に供給するエコノマイザガス路40とを有するエコノマイザ装置34をさらに備えている。
なお、冷凍装置10Aでは、第1液ガス分離器28の液冷媒を冷媒循環路12を通して第2液ガス分離器36に供給し、冷凍装置10Bでは再生熱交換器24から冷媒循環路12を介して第1液ガス分離器28に液冷媒を供給している。
図中、符号Pは圧力センサの配置を示し、Tは温度センサの配置を示し、Gは冷媒液面のレベルセンサの配置を示している。冷凍装置10A〜10Dの各所に設けられた前記温度センサ、前記圧力センサ及び前記レベルセンサ、駆動モータ14a、14b及び14cに設けられた回転数センサ44a、44b及び44c等の検出値はすべて制御装置42に入力される。
制御装置42は、これらの検出値に基づいて、第1膨張弁18、第2膨張弁30及び第3膨張弁38の開度、及び電動モータ14a、14b及び14cの回転数、中間ガスライン32に設けられた流量調整弁46の開度及びエコノマイザガス路40に設けられた流量調整弁48の開度等を制御する。
かかる構成において、冷凍装置10A〜10Dは理論上の逆エリクソンサイクルに近似した前述の実用的逆エリクソンサイクルを構成する。冷凍装置10A〜10Dが構成する近似逆エリクソンサイクルは、図6、図8及び図11のT−S線図、及び図9のモリエル線図に示される。
冷凍装置10A〜10Dの近似逆エリクソンサイクルは、主として凝縮器16による等温放熱行程(b→c)と、蒸発器20による等温吸熱行程(f→a)と、再生熱交換器24によって行われる液領域の等圧放熱行程(c→h)及び過熱蒸気領域の等圧吸熱行程(a→b)を含んでいる。
また、等温放熱行程(b→c)のうち過熱蒸気領域で行われる部分行程が、複数段の圧縮機13a、13b及び13cによる複数段の断熱圧縮行程(b→b’)と、ガス冷却器22a及び22b及び凝縮器16による複数段の等圧放熱行程(b’→b)及び凝縮器16による1段の等圧放熱行程(b’→g)とに置き換えられる(第1行程)。
冷凍装置10A〜10Dの例示的な構成では、凝縮器16における凝縮圧力をPc、蒸発器20における蒸発圧力をPe、複数段の圧縮機の段数をnとしたとき、各圧縮機間の圧縮比を(Pc/Pe)1/nとする。冷凍装置10A〜10Dは3段の圧縮機13a、13b及び13cを有するので、各圧縮機間の圧縮比は(Pc/Pe)1/3となる。
また、ガス冷却器22a及び22bによる2段の等圧放熱行程において、吐出ガス冷媒温度を(凝縮温度+α)として、各段の等圧放熱工程でα分を冷却することで、一部の圧縮機での吐出温度の突出を抑制して均質な圧縮と放熱を実現する。
制御装置42は、再生熱交換器24の液側出口温度Tloutが過冷却液出口温度の設定値Tsetとなるように、蒸発器20の入口に直結された第1膨張弁18の開度を制御する。このときの蒸発器出口の湿り度は状態点(a’〜a)の湿り度となるように制御される。再生熱交換器24のガス側入口状態が状態点(a’〜a)であるとき再生熱交換器液側出口温度Tloutは顕熱限界過冷却点hと湿り限界過冷却点dの温度範囲内に設定された設定温度Tsetと等しくなる。
制御装置42による例示的な制御方法として、前記第2行程は、電動モータ14a、14b及び14cの回転数制御と第1膨張弁18の開度制御とを併用すればよい。
再生熱交換器24の出口の液冷媒路12cに温度センサ50が設けられ、蒸発器20の出口の冷媒路12に圧力センサ52及び温度センサ54が設けられている。
制御装置42による例示的な制御方法は、まず、凝縮器16から第1膨張弁18に向かう液冷媒の再生熱交換器24の出口における温度を検出する(第1ステップ)。
次に、検出した温度を顕熱限界過冷却点hの冷媒温度Thから温度センサ54で検出した蒸発器20における冷媒の蒸発温度までの間の温度に制御する(第2ステップ)。
図6及び図8、9において、1段圧縮機13a及び2段圧縮機13bの吐出ガス冷媒(凝縮温度+α)はガス冷却器22a及び22bにより凝縮温度近傍まで冷却される。3段圧縮機13cの吐出ガス冷媒は凝縮器16に送られる。
液ガス分離器28の冷媒温度は膨張弁入口温度Thから膨張弁出口温度Tk’まで低下し、第1膨張弁18を経て蒸発温度Teとなり、蒸発器20に供給される。この多段の圧縮・膨張法によりΔHkfのエンタルピが増加分に対応した全圧縮仕事の変化が起こるが、結果としてCOPが向上する。
図6の近似逆エリクソンサイクルでは、エコノマイザ装置34のガス冷媒を1段圧縮機13aのエコノマイザポートに吸入させることで、第3膨張弁入口温度Tk’から膨張弁出口温度Tl’に低下させ、さらにΔHlkのエンタルピが増加し、結果としてCOPを向上できる。
なお、顕熱限界過冷却点hの冷媒温度Thは例えば−10℃前後になるため、膨張弁出口に付設された中間ガス路32及びエコノマイザガス路40は、顕熱限界過冷却点hのガス冷媒圧力より低い低段側圧縮機に接続する必要がある。即ち、図6、図8及び図11等で破線mより低圧の領域である。
また、圧縮機の段数を増加するほど吐出温度Tvが低下し、圧縮機の動力を低減できるが、圧縮機段数を増加するほど設備費が増加するので、2段又は3段が適当である。
冷凍装置10A〜10Dによれば、過熱蒸気領域で行われる部分行程(等温行程b→g)を、複数段の圧縮機13a、13b及び13cによる複数段の断熱圧縮行程と、ガス冷却器22a、22b及び凝縮器16による複数段の等圧放熱行程とに置き換えることで、圧縮仕事Δを低減でき、COPを向上できる。
また、制御装置42により、蒸発器20から湿り状態の冷媒を再生熱交換器24のガス側入口に導入し、該再生熱交換器の液側出口における等温放熱行程の終了点が顕熱限界過冷却点hから湿り限界過冷却点dまでの領域の過冷却点に位置するように制御することで、冷凍装置10A〜10DのCOPを最大に維持できる。また、顕熱限界過冷却点hと湿り限界過冷却点dとの間の広い範囲で制御すればよいので、制御が容易になる。
また、前記複数段の等圧放熱行程では、(凝縮温度+α)の吐出ガス冷媒を凝縮温度近傍まで冷却することで、一部の圧縮機での吐出温度の突出を抑制して均質な圧縮と放熱を実現する。
また、過熱蒸気領域における複数段の等圧放熱行程(b’→b)及び(b’→g)によりガス冷媒の温度を低下できるため、冷媒に含まれる潤滑油の劣化及びパッキン材などを構成するエラストマの焼損を防止できる。例えば、凝縮温度40℃、蒸発温度−40℃で圧縮機の吸入ガス冷媒温度が40℃の条件で、比熱比の高い冷媒のR717(NH)の場合は、単段圧縮では約380℃、2段圧縮で約180℃、3段圧縮では約120℃程度となり、昇温幅αは単段で340℃、2段圧縮機で140℃、3段圧縮機で80℃となり、段数が増えることにより冷媒ガス温度の降下が期待できる。
特に、前記複数段の断熱圧縮行程において3段圧縮の場合、圧縮機間の圧縮比を(凝縮圧力Pc/蒸発圧力Pe)1/3としたことで、各圧縮機のガス冷媒の吐出温度をほぼ同等に制御できるため、一部の圧縮機での吐出温度の突出を抑制できる。
また、幾つかの実施形態によれば、中間冷却装置26又はエコノマイザ装置34を設けたことで、圧縮機から吐出するガス冷媒の吐出圧力及び吐出温度を低減でき、これによって、圧縮機動力を低減でき、冷凍装置のCOPをさらに向上できる。
また、制御装置42による前記制御は、複数段の圧縮機13a、13b及び13cを駆動する電動モータ14a、14b及び14cの回転数制御と、第1膨張弁18の開度制御とで行う簡易な制御で容易に行うことができる。
さらに、顕熱限界過冷却点hや湿り限界過冷却点dの検出は、蒸発器20の出口や再生熱交換器24の出口に設けられた温度センサ50、54及び圧力センサ52の検出値から容易に求めることができる。
図13は、他の実施形態として2段圧縮2段膨張を行う冷凍装置10Eを示し、図14は冷凍装置10Eが構成する近似逆エリクソンサイクルを示している。
前述のように、複数段の圧縮機の段数を2段又は3段とすることで、設備費の増加を抑えつつCOPを向上できる。
図15は近似逆エリクソンサイクル及び従来冷凍サイクルのCOPを示す線図である。図15は中間冷却装置やエコノマイザ装置を付設しない場合を示す。本発明の各実施形態で得られるCOPは従来の冷凍サイクルより向上していることがわかる。
図15において、冷媒がR717(NH)で2段圧縮の場合、従来冷凍サイクルよりCOPが下回っているが、圧縮段数を増加するに従い、各圧縮機からのガス冷媒の吐出温度が低下し、圧縮機動力を低減できる。そのため、圧縮損失を改善でき、従来冷凍サイクルよりCOPを向上できる。
また、図15から、圧縮機の段数が4段以上となってもCOPの増加はあまり見込めないことがわかる。
図16は、図5〜図12に示す前記幾つかの実施形態に係る冷凍装置のCOP(計算値)を示す図表である。そのうち、図16比較例No.05および本発明No.04は図15に示す単段圧縮、3段圧縮の近似逆エリクソンサイクルのCOPと同じ値である。
本発明では、中間冷却装置やエコノマイザ装置をさらに備えて顕熱限界過冷却点hを下回る冷媒液を、膨張弁を用いて冷媒温度ThからTk’またはTl’に低下させることにより、ΔHkf(=ΔHf−ΔHk)、又はΔHlf (=ΔHf−ΔHl)のエンタルピ差が増加し結果としてCOPが向上することになり、図16No.1〜No.3の組合せによって更なる性能改善効果が期待できる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、近似逆エリクソンサイクルを用いた冷凍又は空調装置において、熱効率のさらなる向上が可能になる。
10A、10B、10C、10D、10E 冷凍装置
12 冷媒循環路
12a、12b ガス冷媒路
13a、13b、13c 圧縮機
14a、14b、14c 電動モータ
16 凝縮器
18 第1膨張弁
20 蒸発器
22a、22b ガス冷却器
24 再生熱交換器
26 中間冷却装置
28、36 液ガス分離器
30 第2膨張弁
32 中間ガス路
34 エコノマイザ装置
38 第3膨張弁
40 エコノマイザガス路
42 制御装置
44a、44b、44c 回転数センサ
46、48 流量調整弁
50、54 温度センサ
52 圧力センサ
Tv 圧縮機吐出温度
d 湿り限界過冷却点
h 顕熱限界過冷却点
p 等圧線
t 等温線
x 飽和液線
y 飽和蒸気線
Δ 圧縮仕事

Claims (8)

  1. 冷媒循環路に直列に設けられた複数段の圧縮機、凝縮器、第1膨張手段及び蒸発器と、
    前記複数段の圧縮機で各圧縮機の出口と次段の圧縮機の入口とを結ぶ前記冷媒循環路に設けられ、各圧縮機の吐出ガス冷媒を冷却するためのガス冷却器と、
    前記蒸発器より前記圧縮機に向かうガス冷媒と前記凝縮器から前記第1膨張手段に向かう液冷媒とを熱交換させるための再生熱交換器と、を備え、
    主として前記凝縮器による等温放熱行程と、前記蒸発器による等温吸熱行程と、前記再生熱交換器における熱交換によって行われる液領域における等圧放熱行程及び過熱蒸気領域における等圧吸熱行程とを含む逆エリクソンサイクルを形成すると共に、
    前記等温放熱行程のうち過熱蒸気領域で行われる部分行程が、前記複数段の圧縮機による複数段の断熱圧縮行程と、前記ガス冷却器及び前記凝縮器による複数段の等圧放熱行程とに置き換えられ、
    前記等圧吸熱行程で湿り状態の冷媒を前記再生熱交換器に導入し、前記等圧吸熱行程で飽和ガス冷媒が前記再生熱交換器に導入されたときの前記等圧放熱行程の終了点となる顕熱限界過冷却点から、前記第1膨張手段による断熱膨張行程の終了点が飽和冷媒液線上に位置するときの前記等圧放熱行程の終了点となる湿り限界過冷却点までの過冷却点に前記等圧放熱行程の終了点が位置するように制御するための制御装置をさらに備えていることを特徴とする冷凍又は空調装置。
  2. 前記凝縮器における冷媒の凝縮圧力をPcとし、前記蒸発器における冷媒の蒸発圧力をPeとし、前記複数段の圧縮機の段数をnとしたとき、前記複数段の断熱圧縮行程において前記複数段の圧縮機間の圧縮比rを(Pc/Pe)1/nとし、
    前記制御装置は、前記ガス冷却器による前記複数段の等圧放熱行程において、各段の吐出ガス冷媒(凝縮温度+α)を凝縮温度近傍まで冷却するものであることを特徴とする請求項1に記載の冷凍又は空調装置。
  3. 前記再生熱交換器と前記第1膨張手段との間の前記冷媒循環路に設けられた第1液ガス分離器と、
    前記第1液ガス分離器の入口側の前記冷媒循環路に設けられた第2膨張手段と、
    前記第1液ガス分離器のガス冷媒を前記複数段の圧縮機のうちの低段側圧縮機の出口と次段の圧縮機の入口に接続された冷媒路に供給する中間ガス路と、を有する中間冷却装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍又は空調装置。
  4. 前記再生熱交換器と前記第1膨張手段との間の前記冷媒循環路に設けられた第2液ガス分離器と、
    前記第2液ガス分離器の入口側の前記冷媒循環路に設けられた第3膨張手段と、
    前記第2液ガス分離器のガス冷媒を前記複数段の圧縮機のうちの低段側圧縮機の中間圧領域に供給するエコノマイザガス路と、を有するエコノマイザ装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の冷凍又は空調装置。
  5. 前記複数段の圧縮機の段数が2段又は3段であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の冷凍又は空調装置。
  6. 冷媒循環路に直列に設けられた複数段の圧縮機、凝縮器、第1膨張手段及び蒸発器と、
    前記複数段の圧縮機で各圧縮機の出口と次段の圧縮機の入口と結ぶ前記冷媒循環路に設けられ、各圧縮機の吐出ガス冷媒を冷却するためのガス冷却器と、
    前記蒸発器より前記圧縮機に向かうガス冷媒と前記凝縮器から前記第1膨張手段に向かう液冷媒とを熱交換させるための再生熱交換器と、を備えた冷凍又は空調装置の制御方法において、
    主として前記凝縮器による等温放熱行程と、前記蒸発器による等温吸熱行程と、前記再生熱交換器における熱交換によって行われる液領域における等圧放熱行程及び過熱蒸気領域における等圧吸熱行程を含む逆エリクソンサイクルを形成すると共に、
    前記等温放熱行程のうち過熱蒸気領域で行われる部分行程が、前記複数段の圧縮機による複数段の断熱圧縮行程と、前記ガス冷却器及び前記凝縮器による複数段の等圧放熱行程とに置き換えた第1行程と、
    前記等圧吸熱行程で湿り状態の冷媒を前記再生熱交換器に導入し、前記等圧吸熱行程で飽和ガス冷媒が前記再生熱交換器に導入されたときの前記等温放熱行程の終了点となる顕熱限界過冷却点から、前記第1膨張手段による断熱膨張行程の終了点が飽和冷媒液線上に位置するときの前記等温放熱行程の終了点となる湿り限界過冷却点までの領域の過冷却点に前記等温放熱行程の終了点が位置するように制御する第2行程と、を含むことを特徴とする冷凍又は空調装置の制御方法。
  7. 前記第2行程は、少なくとも前記複数段の圧縮機を駆動するモータの回転数制御と、前記第1膨張手段の制御とで行われることを特徴とする請求項6に記載の冷凍又は空調装置の制御方法。
  8. 前記第2行程は、
    前記凝縮器から前記第1膨張手段に向かう液冷媒の前記再生熱交換器出口における温度を検出する第1ステップと、
    前記第1ステップで検出した温度検出値を、前記顕熱限界過冷却点における冷媒温度から前記蒸発器における冷媒の蒸発温度までの間の温度に制御する第2ステップと、を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の冷凍又は空調装置の制御方法。
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