JP2016125663A - 減衰領域を有するサーモスタットカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】水の供給路内に圧力サージが生じるのを回避できるサーモスタットカートリッジを提供する。
【解決手段】湯と前記水との混合比を調整するための調整体7がカートリッジハウジング2と共に水環状ギャップ11を形成し、前記水環状ギャップ11は、水調整ギャップ10に連通しており、前記水環状ギャップ11は減衰領域12を含み、前記水環状ギャップ11は前記減衰領域12において、0.05mmから0.4mmまでの第1の径方向幅13を有することを特徴とするサーモスタットカートリッジ1。
【選択図】図3
【解決手段】湯と前記水との混合比を調整するための調整体7がカートリッジハウジング2と共に水環状ギャップ11を形成し、前記水環状ギャップ11は、水調整ギャップ10に連通しており、前記水環状ギャップ11は減衰領域12を含み、前記水環状ギャップ11は前記減衰領域12において、0.05mmから0.4mmまでの第1の径方向幅13を有することを特徴とするサーモスタットカートリッジ1。
【選択図】図3
Description
本発明は、設定可能な所望の混合水温度で混合水を供給するための湯と水との混合比の調整用のサーモスタットカートリッジに関する。かかるサーモスタットカートリッジは特に、シャワー、浴槽および/または洗面台用のサニタリー装備品に用いられる。
サーモスタットカートリッジは、湯と水とを混合して、設定可能な所望の混合温度の混合水を生成する役割を有する。こうするためにサーモスタットカートリッジは、カートリッジハウジング内部に形成された混合室を有し、この混合室内にて湯と水とが混合される。湯と水との圧力比のバランスが悪い場合、たとえば、湯の圧力が1バール未満であり、かつ水の圧力が5バールを上回る場合、サーモスタットカートリッジはその原理に起因して「ホイッスル音」を鳴らす傾向にある。これは、水の供給路内にて高周波の圧力サージが生じた結果である。上述のように高い水圧により、サーモスタットカートリッジの水調整ギャップにおいて流速が速くなり、これにより圧力差が生じる。この圧力差により、カートリッジハウジングと、膨張要素によって位置調整可能な調整体とによって形成される水調整ギャップが、当該膨張要素の弾性に起因して閉じられ、水の通流がほとんど無くなると再び開放する。このように水調整ギャップが断続的に閉じることにより、水の供給路内に圧力サージが生じてしまう。
よって本発明の課題は、従来技術に関して説明した問題の少なくとも一部を解消し、特に、水の供給路内に圧力サージが生じるのを回避できるサーモスタットカートリッジを実現することである。
前記課題は、独立請求項の特徴を備えたサーモスタットカートリッジによって解決される。当該サーモスタットカートリッジの他の有利な実施形態は、従属形式の請求項に記載されている。ここで留意すべき点は、従属形式の請求項にて個別に記載された特徴は、技術的に意義ある任意の態様で互いに組み合わせることが可能であり、本発明の他の実施形態を特定するものとなることである。さらに、各請求項に記載された特徴については、明細書中にて、本発明の他の有利な実施形態を示して、詳細に具体的な説明を行っている。
本発明のサーモスタットカートリッジは、カートリッジハウジング内に形成される混合室を有し、当該カートリッジハウジングは、湯用の少なくとも1つの湯供給路と、水用の少なくとも1つの水供給路と、前記混合室から延びている、混合水用の少なくとも1つの混合水流出路とを有し、前記湯供給路および水供給路は前記混合室に連通しており、前記サーモスタットカートリッジ内には、前記湯と前記水との混合比を調整するための調整体が配置されており、前記調整体は、湯調整ギャップと水調整ギャップとの間において調整路に沿って位置調整可能であり、かつ、前記調整体は前記カートリッジハウジングと共に水環状ギャップを形成し、当該水環状ギャップは前記水調整ギャップに連通しており、前記水環状ギャップは減衰領域を含み、前記水環状ギャップは当該減衰領域では、0.05mmから0.4mmまでの第1の径方向幅を有する。
前記サーモスタットカートリッジは特にサニタリー装備品用に設けられている。このサニタリー装備品はたとえば、シャワー、浴槽または洗面台に使用可能なものである。このようなサニタリー装備品におけるサーモスタットカートリッジの役割は、湯と水とから生成される混合水が、設定可能な所望の混合温度になるように、湯と水とを所定の混合比で混合することである。こうするためにはサーモスタットカートリッジは、カートリッジハウジング内に形成される混合室を有する。このカートリッジハウジングは好適には金属から、特に真鍮から成る。好適には前記カートリッジハウジングは、実質的に筒形の形状を有する。その際には、カートリッジハウジングの外径は約2cm(センチメータ)から5cmまでであり、当該カートリッジハウジングの長手軸方向の長さは好適には3cmから5cmまでである。さらにカートリッジハウジングは、前記混合室に連通している、湯用の少なくとも1つの湯供給路と、当該混合室に連通している、水用の少なくとも1つの水供給路とを有する。好適には、水の水温度は5℃から29℃までであり、湯の湯温度は、好適には36℃から90℃までである。前記少なくとも1つの湯供給路によって混合室内に湯を導入することができ、前記少なくとも1つの水供給路によって、当該混合室内に水を導入することができる。
前記サーモスタットカートリッジはさらに、混合水を生成するための水と湯との混合比を調整するための調整体も有する。この混合水は、前記混合室内から延びている少なくとも1つの混合水流出路を通って当該混合室内から導出することができる。上述の調整体は特に、たとえばバイメタルまたはワックス膨張要素等を含む温度‐変位トランスデューサによって、湯調整ギャップと水調整ギャップとの間にて調整路に沿って位置調整可能であり、特に混合水温度が変化したときに、制御器は当該調整体の比例移動を行う。このような長さ変化により、制御器は調整体を介して前記少なくとも1つの湯供給路および/または前記少なくとも1つの水供給路を開閉する。調整体の調整路は特に、サーモスタットカートリッジの長手軸線に対して平行に延在する。調整体の位置を調整することにより、特に径方向に延在する湯調整ギャップを通流する湯の流量を調整できるように、当該湯調整ギャップの特に軸方向の幅を制御することが可能となる。また、調整体の位置を調整することにより、特に径方向に延在する水調整ギャップを通流する水の流量を調整できるように、当該水調整ギャップの特に軸方向の幅を調整することが可能となる。調整体はさらに、湯または水が混合室内に流入することがないように、湯調整ギャップまたは水調整ギャップを完全に封止することもできる。さらに、前記調整体はカートリッジハウジングと共に水環状ギャップも形成する。この水環状ギャップは特に、少なくとも部分的に前記サーモスタットカートリッジ内を環状に通って延在し、当該カートリッジハウジングの少なくとも1つの水開口から前記水調整ギャップまで連通している。水環状ギャップは減衰領域を有し、この減衰領域では当該水環状ギャップの第1の径方向幅は0.05mm(ミリメータ)から0.4mmまでであり、好適には0.1mmから0.2mmまでである。具体的にいうと、水環状ギャップは特に、減衰領域外の領域よりも、減衰領域において狭くなっている、ということになる。これにより、減衰領域における流速が速い場合の水の負圧が調整要素に径方向に作用する力を生成し、この力によって、水調整ギャップが閉じることがないので、このことにより、水の供給路内において高周波の圧力サージが生じることが無くなる。さらに前記調整体は、断面を徐々に漸減させて終端位置に到達するので、調整開始挙動におけるサーモスタットカートリッジに典型的な振動が減衰される。
さらに、前記減衰領域が、水の流れ方向でみて前記水調整ギャップより前置されていると有利である。特に前記減衰領域は、水の流れ方向で見て水調整ギャップの直前に前置されている。
また、前記減衰領域の長さが1mmから20mmまでであると有利である。この減衰領域の長さは特に、サーモスタットカートリッジの長手軸線に対して平行に測定されるものである。
さらに、減衰領域外における水環状ギャップの第2の径方向幅は0.5mmから1.5mmまでであると有利である。
さらに、減衰領域の角部が丸み付けされていると有利である。この角部は特に、水が減衰領域に流入する領域に存在するものである。この角部の丸み付けは特に、0.3mmから1.0mmまでの半径で行われる。
また、カートリッジハウジングが、前記水環状ギャップに連通している少なくとも1つの水開口を有し、当該水開口が少なくとも1つの切込部を有する構成も有利である。
以下、本発明とその技術的環境について、図面を参照して詳細に説明する。図中には本発明の特に有利な実施形態を示しているが、この有利な実施形態に限定されることはないことに留意されたい。各図中、同一の構成要素には同一の符号を付している。
図1は、サーモスタットカートリッジ1の縦断面図である。前記サーモスタットカートリッジ1は、カートリッジハウジング2内に形成される混合室3を有する。この混合室3内に制御器22が存在する。図中の実施形態では、この制御器22はワックス膨張要素である。この制御器22により、混合室3内にて湯と水とが混合して生成された混合水の混合水温度に依存して、調整体7をサーモスタットカートリッジ1の長手軸線20に対して平行方向に位置調整することができる。この混合水は、混合水流出路6を介して混合室3内から流出することができる。
図2は、図1中にて円により示した、サーモスタットカートリッジ1の領域の拡大図である。カートリッジハウジング2は湯供給路4と水供給路5とを有する。同図中、湯供給路4は実線の矢印によって概略的に示されており、水供給路5は破線の矢印によって概略的に示されている。湯はこの湯供給路4を通って湯調整ギャップ9内に流入し、この湯調整ギャップ9から混合室3内に流入する。水は水供給路5を介して、カートリッジハウジング2と調整体7とによって形成された水環状ギャップ11内に流入し、この水環状ギャップ11内から水調整ギャップ10を介して混合室3内に流入する。湯と水との混合比を調整するため、制御器22により、湯調整ギャップ9と水調整ギャップ10との間にて調整路8に沿って調整体7を位置調整することができる。
図3は、図2中にて円により示した、サーモスタットカートリッジ1の領域の拡大図である。同図では特に、調整体7とカートリッジハウジング2とによって形成された水環状ギャップ11が示されているのが分かる。この水環状ギャップ11は水調整ギャップ10に連通しており、かつ減衰領域12を有する。この減衰領域12において、水環状ギャップ11は第1の径方向幅13を有する。減衰領域12はさらに、図1中に示された、サーモスタットカートリッジ1の長手軸線20に対して平行方向に測定されるものである長さ15も有する。また減衰領域12は、水の流れ方向14でみて水調整ギャップ10の直前に設けられている。さらに、減衰領域12は丸み付けされた角部17も有する。水の流れ方向14でみて減衰領域12より前方では、前記水環状ギャップ11は第2の径方向幅16を有するように構成されている。
図4は、サーモスタットカートリッジ1の一部を示す斜視図である。サーモスタットカートリッジ1のカートリッジハウジング2は、水開口18と湯開口21とを有し、当該水開口18は多数の切込部19を含む。
本発明のサーモスタットカートリッジにより、特に、水の供給路内にて高周波の圧力サージが生じるのを回避することができる。
1 サーモスタットカートリッジ
2 カートリッジハウジング
3 混合室
4 湯供給路
5 水供給路
6 混合水流出路
7 調整体
8 調整路
9 湯調整ギャップ
10 水調整ギャップ
11 水環状ギャップ
12 減衰領域
13 第1の径方向幅
14 流れ方向
15 長さ
16 第2の径方向幅
17 角部
18 水開口
19 切込部
20 長手軸線
21 湯開口
22 制御器
2 カートリッジハウジング
3 混合室
4 湯供給路
5 水供給路
6 混合水流出路
7 調整体
8 調整路
9 湯調整ギャップ
10 水調整ギャップ
11 水環状ギャップ
12 減衰領域
13 第1の径方向幅
14 流れ方向
15 長さ
16 第2の径方向幅
17 角部
18 水開口
19 切込部
20 長手軸線
21 湯開口
22 制御器
Claims (6)
- カートリッジハウジング(2)内に形成される混合室(3)を有するサーモスタットカートリッジ(1)であって、
前記カートリッジハウジング(2)は、
前記混合室(3)に連通している、湯用の少なくとも1つの湯供給路(4)と、
前記混合室(3)に連通している、水用の少なくとも1つの水供給路(5)と、
前記混合室(3)から延びている、混合水用の少なくとも1つの混合水流出路(6)と
を有し、
前記サーモスタットカートリッジ(1)内には、前記湯と前記水との混合比を調整するための調整体(7)が配置されており、
前記調整体(7)は、湯調整ギャップ(9)と水調整ギャップ(10)との間にて調整路(8)に沿って位置調整可能であり、
前記調整体(7)は前記カートリッジハウジング(2)と共に、水環状ギャップ(11)を形成し、
前記水環状ギャップ(11)は、前記水調整ギャップ(10)に連通しており、
前記水環状ギャップ(11)は減衰領域(12)を含み、
前記水環状ギャップ(11)は前記減衰領域(12)において、0.05mmから0.4mmまでの第1の径方向幅(13)を有する
ことを特徴とするサーモスタットカートリッジ(1)。 - 前記減衰領域(12)は、前記水の流れ方向(14)でみて前記水調整ギャップ(10)に前置されている、
請求項1記載のサーモスタットカートリッジ(1)。 - 前記減衰領域(12)の長さ(15)は1mmから20mmまでである、
請求項1または2記載のサーモスタットカートリッジ(1)。 - 前記水環状ギャップ(11)は前記減衰領域(12)外において、0.5mmから1.5mmまでの第2の径方向幅(16)を有する、
請求項1から3までのいずれか1項記載のサーモスタットカートリッジ(1)。 - 前記減衰領域(12)の角部(17)は丸み付けされている、
請求項1から4までのいずれか1項記載のサーモスタットカートリッジ(1)。 - 前記カートリッジハウジング(2)は、前記水環状ギャップ(11)に連通している少なくとも1つの水開口(18)を有し、
前記水開口(18)は、少なくとも1つの切込部(19)を有する、
請求項1から5までのいずれか1項記載のサーモスタットカートリッジ(1)。
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