JP2016124726A - ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子 - Google Patents

ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】希土類酸化物を含むガラスであって、熱的安定性に優れる高屈折率低分散ガラスを提供すること。【解決手段】酸化物基準のガラス組成において、B2O3、SiO2およびP2O5の合計含有量に対するSiO2含有量の質量比が0.050〜0.250、La2O3、Gd2O3、Y2O3、Yb2O3およびLu2O3の合計含有量に対するGd2O3の質量比が0.360未満、La2O3、Gd2O3、Y2O3、Yb2O3、Lu2O3およびZrO2の合計含有量に対するB2O3、SiO2およびP2O5の合計含有量の質量比が0.405以上0.460未満、La2O3、Gd2O3、Y2O3、Yb2O3、Lu2O3およびZrO2の合計含有量に対するTa2O5の質量比が0.030未満、La2O3、Gd2O3、Y2O3、Yb2O3、Lu2O3およびZrO2の合計含有量に対するNb2O5、TiO2、WO3、およびBi2O3の合計含有量の質量比が0.013未満、Gd2O3含有量が8.0質量%超、La2O3含有量が38〜48質量%、Nb2O5含有量が1.0質量%未満であり、屈折率ndが1.78〜1.80の範囲であり、かつアッベ数νdが47〜50の範囲であるガラス。【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子に関する。
高屈折低分散ガラスとして、希土類酸化物を含むガラスが知られている(特許文献1〜11参照)。
高屈折率低分散ガラスは、各種レンズなどの光学素子材料として需要が高い。例えば、高屈折率低分散性のレンズは、高屈折率高分散性のレンズと組合せることにより、コンパクトで高機能な色収差補正用の光学系を構成することができるからである。更に、高屈折率低分散性のレンズの光学機能面を非球面化することにより、各種光学系の一層の高機能化、コンパクト化を図ることができる。
特開昭61−219738号公報 特開2010−248057号公報 特開2010−265164号公報 特開2007−269584号公報 特開2009−242210号公報 特開2012−46410号公報 特開2013−107810号公報 特開昭58−069741号公報 特開2005−239544号公報 特開昭56−160340号公報 特開昭59−169952号公報
ところで、レンズなどの光学素子を作製する方法としては、光学素子の形状に近似した光学素子ブランクと呼ばれる中間製品を作り、この中間製品に研削、研磨加工を施して光学素子を製造する方法が知られている。このような中間製品の作製方法の一態様としては、適量の熔融ガラスをプレス成形して中間製品とする方法(ダイレクトプレス法という)がある。また、他の態様としては、熔融ガラスを鋳型に鋳込みガラス板に成形し、このガラス板を切断して複数個のガラス片とし、このガラス片を再加熱、軟化してプレス成形により中間製品にする方法、適量の熔融ガラスをガラスゴブと呼ばれるガラス塊に成形し、このガラス塊を再加熱、軟化してプレス成形し、中間製品を得る方法などがある。ガラスを再加熱、軟化してプレス成形する方法は、ダイレクトプレス法に対してリヒートプレス法と呼ばれる。
また、光学素子を作製する方法としては、熔融ガラスからプレス成形用ガラス素材を作製し、このプレス成形用ガラス素材を成形型により精密プレス成形することにより光学素子を得る方法(精密プレス成形法という)も知られている。精密プレス成形法では、成形型成形面形状を転写することにより、研磨、研削等の機械加工を経ることなく、光学素子の光学機能面を形成することができる。
以上記載したダイレクトプレス法、リヒートプレス法、精密プレス成形法のいずれにおいても、製造過程においてガラス中に結晶が析出してしまっては、優れた透明性を有する光学素子を得ることは困難となる。そのため、製造過程における結晶析出が抑制された、即ち熱的安定性の高いガラスが求められている。
他方、ガラス成分の中で、希土類酸化物は、分散を大きく高めることなく(アッベ数を大きく下げることなく)屈折率を高めることができるため、高屈折率低分散ガラスを作製するために有用な成分とされている。そのため特許文献1〜11に記載のガラスは、いずれも、La、Gd等の希土類酸化物の一種以上を含んでいる。しかしながら、本発明者の検討によれば、希土類酸化物を含むガラスは、一般に熱的安定性に乏しい傾向がある。
そこで本発明の一態様は、希土類酸化物を含むガラスであって、熱的安定性に優れる高屈折率低分散ガラスを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、
酸化物基準のガラス組成において、
La、Gd、Y、Yb、LuおよびZrOの合計含有量に対するNb、TiO、WO、およびBiの合計含有量の質量比[(Nb+TiO+WO+Bi)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.013未満、
La、Gd、Y、Yb、LuおよびZrOの合計含有量に対するTaの質量比[Ta/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.030未満、
La、Gd、Y、Yb、LuおよびZrOの合計含有量に対するB、SiOおよびPの合計含有量の質量比[(B+SiO+P)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.405以上0.460未満、
、SiOおよびPの合計含有量に対するSiO含有量の質量比[SiO/(B+SiO+P)]が0.050〜0.250、
La、Gd、Y、YbおよびLuの合計含有量に対するGdの質量比[Gd/(La+Gd+Y+Yb+Lu)]が0.360未満、
Gd含有量が8.0質量%超、
La含有量が38〜48質量%、
Nb含有量が1.0質量%未満、
であり、
屈折率ndが1.78〜1.80の範囲であり、かつアッベ数νdが47〜50の範囲であるガラス、
に関する。
上述のガラスは、希土類酸化物であるGdおよびLaをそれぞれ上記含有量で含み、かつ上記範囲の屈折率およびアッベ数を有する高屈折率低分散ガラスであって、上記各種成分の含有量・合計含有量の割合が上記範囲内であることにより、優れた熱的安定性を示すことができるガラスである。
本発明の一態様によれば、希土類酸化物を含み、高屈折率低分散特性を示し、かつ優れた熱的安定性を示すことができるガラスを提供することができる。本発明の一態様によれば、上述のガラスからなるプレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子を提供することができる。
[ガラス]
本発明の一態様にかかるガラスは、上述のガラス組成を有し、1.78〜1.80の範囲であり、かつアッベ数νdが47〜50の範囲であるガラスである。以下、上述のガラスの詳細について説明する。
なお以下において、屈折率は、特記しない限り、ヘリウムのd線(波長587.56nm)における屈折率ndをいうものとする。
また、アッベ数νdは、分散に関する性質を表す値として用いられるものであり、以下の式で表されるものとする。ここで、nFは青色水素のF線(波長486.13nm)における屈折率、nCは赤色水素のC線(656.27nm)における屈折率である。
νd=(nd−1)/nF−nC
本発明では、ガラスのガラス組成を、酸化物基準で表示する。ここで「酸化物基準のガラス組成」とは、ガラス原料が熔融時にすべて分解されてガラス中で酸化物として存在するものとして換算することにより得られるガラス組成をいうものとする。また、特記しない限り、ガラス組成は質量基準(質量%、質量比)で表示するものとする。
本発明におけるガラス組成は、例えばICP−AES(Inductively Coupled Plasma - Atomic Emission Spectrometry)などの方法により求めることができる。定量分析は、ICP−AESを用い、各元素別に行われる。その後、分析値は酸化物表記に換算される。ICP−AESによる分析値は、例えば、分析値の±5%程度の測定誤差を含んでいることがある。したがって、分析値から換算された酸化物表記の値についても、同様に±5%程度の誤差を含んでいることがある。
また、本明細書および本発明において、構成成分の含有量が0%または含まないもしくは導入しないとは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、この構成成分の含有量が不純物レベル程度以下であることを指す。
本明細書中で用いる、ガラスの熱的安定性と耐失透性とは、ともに、ガラス中における結晶の析出しにくさを意味する。ガラス中における結晶の析出しにくさには、融液状態のガラスにおける結晶の析出しにくさと、固化したガラスにおける結晶の析出しにくさ、中でも固化したガラスを再加熱したときの結晶の析出のしにくさが含まれ、熱的安定性、耐失透性ともに、相互の意味を含むが、熱的安定性は主として前者、耐失透性は主として後者を指すものとする。
以下に、上述のガラスのガラス組成について、更に詳細に説明する。
は、ガラスの熱的安定性、熔融性を改善する働きをする成分である。熔融性を改善することにより、ガラス原料の熔け残りがなく、均質なガラスを得ることができる。このような効果を得る上から、Bの含有量の好ましい下限は20%、より好ましい下限は24%、更に好ましい下限は26%である。一方、Bの含有量が多くなると、屈折率が低下する傾向を示す。ガラスの熱的安定性を維持しつつ、所望の光学特性を得る上から、Bの含有量の好ましい上限は34%、より好ましい上限は32%、更に好ましい下限は30%である。
SiOは、上述のガラスにおいて任意成分であり、その含有量は0%であってもよい。SiOは、ガラスの熱的安定性、耐失透性、化学的耐久性を改善し、熔融ガラスを成形する際の粘度の調整に有効な成分ある。このような効果を得る上から、SiOの含有量の好ましい下限は1%である。一方、SiOの含有量が多くなると、ガラスの熔融性が低下するとともに、屈折率も低下する傾向を示す。ガラスの熱的安定性、熔融性を維持しつつ、所望の光学特性を得る上から、SiOの含有量の好ましい上限は12%、より好ましい上限は9%、更に好ましい上限は7%である。
も、上述のガラスにおいて任意成分である。少量導入することで、ガラスの安定性を改善することができる。Pの含有量の好ましい上限は1%、より好ましい上限は0.8%、更に好ましい上限は0.5%である。また、同様の観点から、Pの含有量の好ましい下限は0.1%であり、0%であってもよい。
、SiOおよびPは、ともにガラスのネットワークを形成する成分である。B、SiOおよびPの合計含有量(B+SiO+P)の下限は、ガラス安定性の観点から、好ましくは25%、より好ましくは28%、更に好ましくは29%である。また、ガラスの屈折率を高める上で、B、SiOおよびPの合計含有量の上限は、好ましくは35%、より好ましくは33%、更に好ましくは32%である。
上述のガラスにおいては、ガラスの熱的安定性を向上する上で、ガラスのネットワークを形成する成分であるB、SiOおよびPの合計含有量(B+SiO+P)に対するSiO含有量の質量比[SiO/(B+SiO+P)]の下限を、0.050とする。質量比[SiO/(B+SiO+P)]の下限は、0.060以上、0.080以上、0.100以上、0.120以上の順に好ましい。また、高屈折率低分散特性を付与する上で、質量比[SiO/(B+SiO+P)]の上限は0.250以下、0.200以下、0.160以下、0.140以下の順に好ましい。
希土類酸化物であるLa、Gd、Y、Yb、Luは、いずれも分散を高めずに(アッベ数を低下させずに)屈折率を高める働きを有する成分である。La、Gd、Y、YbおよびLuの合計含有量(La+Gd+Y+Yb+Lu;以下において、上記希土類酸化物をREとも表記し、これらの合計含有量を「RE含有量」とも表記する)の下限は、屈折率を高める上で、好ましくは55%、より好ましくは56%、更に好ましくは57%である。ガラスの安定性、熱的安定性、耐失透性等の観点から、RE含有量の上限は、好ましくは65%、より好ましくは62%、更に好ましくは61%である。
希土類酸化物REの中で、Laは比較的多く含有させても、ガラスの熱的安定性が低下しにくい成分である。そこで、上述のガラスには、ガラスの熱的安定性を維持し、所望の光学特性を得るために、Laを38%以上、好ましくは39%以上含有させる。ガラスの安定性、耐失透性向上の上で、La含有量の上限は48%であり、好ましくは46%、より好ましくは45%である。
Gdは、上述のガラスにおいてLaと共存させることにより、熱的安定性向上に寄与する成分である。更に、Gdは、屈折率を高める成分でもある。そこで上述のガラスには、ガラスの熱的安定性を維持し、所望の光学特性を得るために、Gdを8.0%超、好ましくは8.5%以上含有させる。ガラスの安定性、耐失透性向上の上で、Gd含有量の上限は、好ましくは20%、より好ましくは18%、更に好ましくは16%である。
上述のガラスにおいては、熱的安定性向上の観点から、希土類酸化物REの含有量に対するGd含有量の質量比[Gd/(La+Gd+Y+Yb+Lu)]を0.360未満とする。質量比[Gd/(La+Gd+Y+Yb+Lu)]の上限は、0.330以下、0.300以下、0.250以下、0.230以下の順に好ましい。質量比[Gd/(La+Gd+Y+Yb+Lu)]の下限は、0.050以上、0.100以上、0.150以上、0.200以上の順に好ましい。
は、上述のガラスにおいて任意成分であり、その含有量を0%とすることもできる。ガラスの熱的安定性を維持し、所望の光学特性を得る上で、Y含有量の下限は、好ましくは2%、より好ましくは3%である。ガラスの安定性、耐失透性向上の上で、Y含有量の上限は、好ましくは14%、より好ましくは10%、更に好ましくは8%である。
Yb、Luも、上述のガラスにおいて任意成分である。ガラスの熱的安定性を維持し、所望の光学特性を得る上で、Yb、Luのそれぞれの含有量の下限は、例えば1%であり、0%とすることもできる。また、ガラスの安定性、耐失透性向上の上で、Yb、Luのそれぞれの含有量の上限は、好ましくは3%、より好ましくは2.5%である。
ZrOは、屈折率を高めるとともに、ガラスの熱的安定性の改善に有効な成分である。更に、化学的耐久性の改善にも有効な成分である。このような効果を得る上から、ZrO含有量の下限は、好ましくは6%、より好ましくは7%である。ガラスの安定性、熔解性および耐失透性を向上するうえで、ZrO含有量の上限は、好ましくは12%、より好ましくは11%である。
上述のガラスにおいては、ガラスの熱的安定性向上のために、La、Gd、Y、Yb、LuおよびZrOの合計含有量に対するB、SiOおよびPの合計含有量の質量比[(B+SiO+P)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]を、0.405以上とする。質量比[(B+SiO+P)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]の下限は、0.407以上、0.410以上、0.420以上、0.430以上の順に好ましい。質量比[(B+SiO+P)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]は、屈折率向上のうえで、0.460未満とする。質量比[(B+SiO+P)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]の上限は、好ましくは0.455、より好ましくは0.450である。熱的安定性の更なる向上の観点から、質量比[(B+SiO+P)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]は、0.420以上0.460未満であることが好ましい。更に、屈折率ndが1.780〜1.795の範囲であって、かつ質量比[(B+SiO+P)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.420以上0.460未満であることがより好ましい。
Nb含有量は、アッベ数の低下と着色の抑制の観点から、1.0%未満とする。また、Nb含有量が1.0%未満であることにより、ガラスの着色を抑えることもできる。Nb含有量の上限は、好ましくは0.9%、より好ましくは0.8%である。Nb含有量は0%であってもよい。
ZrOおよびNbの合計含有量(ZrO+Nb)は、熱的安定性の観点から、好ましくは13%以下、より好ましくは13%未満、更に好ましくは12%以下、一層好ましくは11%以下である。また、ZrOおよびNbの合計含有量(ZrO+Nb)の下限は、好ましくは6%、より好ましくは7%である。
Taは、上述のガラスにおける任意成分であり、その含有量は0%であってもよい。高価な成分であり、耐失透性を低下させる傾向もあるため、その導入を制限することが好ましい。以上の観点から、Ta含有量の上限は、好ましくは1.5%である。
上述のガラスにおいては、ガラスに低分散特性を付与する上で、La、Gd、Y、Yb、LuおよびZrOの合計含有量に対するTaの質量比[Ta/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]を、0.030未満とする。質量比[Ta/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]の上限は、0.020以下、0.015以下、0.010以下、0.005以下の順に好ましい。上述のガラスは、Ta含有量が0%であってもよいため、質量比[Ta/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]は、0であってもよい。
TiOも、ガラスの屈折率を高める働きをする成分である。ガラスの低分散特性、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、着色の抑制の観点から、TiOの含有量の好ましい範囲は0〜2%、より好ましい範囲は0〜1%であり、0%にすることもできる。
WOも、ガラスの屈折率を高める働きを有する成分である。ガラスの熱的安定性、着色の抑制の観点から、WO含有量は好ましくは0%以上1%未満である。WO含有量は、より好ましくは0.5%以下であり、0%としてもよい。
Biは、屈折率を高めるとともにガラスの熱的安定性を改善する働きをする。ただし、Biはガラスの透過率を低下させる成分である。Biの含有量の好ましい範囲は0〜3%、より好ましい範囲は0〜1%、更に好ましい範囲は0〜0.5%であり、一層好ましい範囲は0〜0.1%である。Biの含有量を0%にすることもできる。
上述のガラスにおいては、低分散特性を得る上で、La、Gd、Y、Yb、LuおよびZrOの合計含有量に対するNb、TiO、WO、およびBiの合計含有量の質量比[(Nb+TiO+WO+Bi)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]を0.013未満とする。質量比[(Nb+TiO+WO+Bi)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]の上限は、0.012以下、0.010以下、0.08以下、0.06以下の順に好ましい。質量比[(Nb+TiO+WO+Bi)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]は、0であってもよい。
Alは、少量であればガラスの熱的安定性および化学的耐久性を改善する働きをするが、過剰の導入により、ガラスの安定性や熱的安定性が悪化する傾向がある。以上の点から、Alの含有量の好ましい範囲は0〜2%である、Alの含有量を0%にすることもできる。
LiO、NaO、KO、CsOは、いずれも上述のガラスにおける任意成分である。LiO、NaO、KO、CsOは、ガラスの熔融性を改善する働きを有する。また、ガラス転移温度を低下させる働きも有する。所望の屈折率、良好な熱的安定性および化学的耐久性を得る上で、LiO、NaO、KOおよびCsOの合計(LiO+NaO+KO+CsO)は、0〜5%の範囲とすることが好ましく、より好ましい範囲は0〜3%、更に好ましい範囲は0〜1%であり、0%としてもよい。
GeOは、網目形成酸化物、すなわち、ガラスのネットワーク形成成分であり、屈折率を高める働きもする。そのため、ガラスの熱的安定性を維持しつつ屈折率を高めることができる成分である。しかし、GeOは非常に高価な成分であるため、その含有量を控えることが望まれる成分である。GeOの含有量の好ましい範囲は0〜3%である。GeOの含有量を0%にすることもできる。
MgO、CaO、SrO、BaOは、ガラスの熔融性を改善する働きを有するが、MgO、CaO、SrOおよびBaOの各成分の含有量の合計(MgO+CaO+SrO+BaO)が5%を超えると、屈折率が低下し、所望の光学特性を得ることが容易でなくなるとともに、ガラスの熱的安定性が低下する傾向を示す。したがって、上述のガラスにおいて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量(MgO+CaO+SrO+BaO)の範囲は、0〜5%とすることが好ましい。上記合計含有量の範囲は0〜3%とすることがより好ましく、0〜1%とすることが更に好ましく、0%としてもよい。
ZnOは、ガラスの熔融性、熱的安定性を改善する働きを有する成分である。所望の光学特性を実現する上から、ZnO含有量の上限は、好ましくは2%、より好ましくは1.5%、更に好ましくは1.3%である、ZnO含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、0%であってもよい。
Fは、熔融時のガラスの揮発性を著しく高める。したがって、一態様では、上述のガラスはFを含有しないことが好ましい。他方、Fはガラスの安定性を高める働きを有するため、Fを導入することで希土類酸化物REの含有量を高めてもガラスが安定化しやすくなる。そのため他の一態様では、上述のガラスはFを含有することもできる。
本明細書および本発明において、Fの含有量は、F含有量として示すものとする。F含有量の上限は、好ましくは5%であり、より好ましくは3%であり、更に好ましくは1%であり、一層好ましくは0.5%未満であり、より一層好ましくは0.4%以下であり、更に一層好ましくは0.3%以下である。上記の通り、F含有量は0%でもよい。
Sbは、清澄剤として添加可能であり、少量の添加でFeなどの不純物混入による光線透過率の低下を抑える働きもするが、Sbの添加量を多くすると、Sb自身の光吸収によってガラスの着色が増大傾向を示す。以上の点から、Sbの添加量は、外割りで0〜1%の範囲であることが好ましい。なお外割りによるSb含有量とは、Sb以外のガラス成分の含有量の合計を100質量%としたときの質量%表示によるSbの含有量を意味する。後述の表1中のSb含有量も、外割によるSb含有量である。
上述のガラスは、環境影響に配慮し、Pbを実質的に含まないことが好ましい。Pbを実質的に含まないとは、PbOに換算し、PbOの含有量が0.05%よりも少ないことを意味し、0%であってもよい。
その他、環境に影響を及ぼすAs、U、Th、Cdも導入しないことが好ましい。
Teも環境に影響を及ぼすため、多量のTeを導入することは好ましくない。TeOの含有量の好ましい範囲は0〜1%、より好ましい範囲は0〜0.5%、更に好ましい範囲は0〜0.1%であり、TeOを含有しなくてもよい。
さらに、ガラスの優れた光線透過性を活かす上から、Cu、Cr、V、Fe、Ni、Coなどの着色の要因となる物質を導入しないことが好ましい。
上述のガラスは、高屈折率・低分散ガラスであり、着色が少ないガラスとなり得るものであり、光学ガラスとして好適である。
以上、上述のガラスのガラス組成について説明した。次に、上述のガラスのガラス特性について説明する。
<ガラス物性>
上述の光学ガラスは高屈折率ガラスである。屈折率ndは、1.78〜1.80の範囲である。屈折率ndの上限は、1.795以下、1.793以下の順に好ましい。屈折率ndの下限は1.783以上、1.785以上の順に好ましい。一態様では、屈折率ndは、1.780〜1.795の範囲であることが好ましい。
上述のガラスは、先に記載した高屈折率とともに低分散特性を有する高屈折率低分散ガラスであり、そのアッベ数νdは47以上、好ましくは47.5以上、より好ましくは48以上である。ただし、アッベ数νdは50以下である。
上述のガラスは、高屈折率低分散特性を有するとともに、優れた耐失透性を示すこともできる。耐失透性、中でもリヒートプレス時の結晶の析出しにくさについては、ガラス転移温度Tgに対して結晶化温度Tcが十分高いほど、耐失透性に優れる光学ガラスと言うことができる。これは、リヒートプレス時の加熱は、ガラス転移温度近傍で行われることが多いためである。この耐失透性に関して、上述の光学ガラスは、下記(1)式を満たす耐失透性を示すことができる。
90℃≦(Tc−Tg) …(1)
下記(1)式は、好ましくは下記(2)式であり、より好ましくは下記(3)式である。
95℃≦(Tc−Tg) …(2)
100℃≦(Tc−Tg) …(3)
ガラス転移温度Tgについては、ガラス転移温度Tgが低すぎると、研削や研磨などの機械加工における加工性が低下傾向を示す。したがって、加工性を維持する上から、ガラス転移温度Tgを645℃以上にすることが好ましく、650℃以上にすることがより好ましい。
アニール温度、プレス成形時のガラスの温度が高くなり過ぎると、アニール炉やプレス成形型の消耗を招く。アニール炉やプレス成形型への熱的負荷を軽減する上から、ガラス転移温度Tgは720℃以下であることが好ましく、700℃以下であることがより好ましい。
以上説明した本発明の一態様にかかるガラスは、屈折率ndおよびアッベ数νdが大きく、光学ガラスとして有用である。
<ガラスの製造方法>
上述のガラスは、目的のガラス組成が得られるように、原料であるリン酸塩、フッ化物、酸化物などを秤量、調合し、十分に混合して混合バッチとし、熔融容器内で加熱、熔融し、脱泡、攪拌を行い均質かつ泡を含まない熔融ガラスを作り、これを成形することによって得ることができる。具体的には公知の熔融法を用いて作ることができる。
[プレス成型用ガラス素材、光学素子ブランク、およびそれらの製造方法]
本発明の他の一態様は、
上述のガラスからなるプレス成形用ガラス素材;
上述のガラスからなる光学素子ブランク;
上述のガラスをプレス成形用ガラス素材に成形する工程を備えるプレス成形用ガラス素材の製造方法;および、
上述のプレス成形用ガラス素材を、プレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製する工程を備える光学素子ブランクの製造方法、
に関する。
光学素子ブランクとは、目的とする光学素子の形状に近似し、光学素子の形状に研削、研磨しろを加えた光学素子母材である。光学素子ブランクの表面を研削、研磨することにより、光学素子が仕上げられる。上述の光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材を加熱により軟化した状態で、プレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製することができる。
プレス成形用ガラス素材のプレス成形は、加熱して軟化した状態にあるプレス成形用ガラス素材をプレス成形型でプレスすることにより行うことができる。加熱、プレス成形は、ともに大気中で行うことができる。プレス成形用ガラス素材の表面に、窒化ホウ素などの粉末状離型剤を均一に塗布し、加熱、プレス成形すると、ガラスと成形型の融着を確実に防止できる他、プレス成形型の成形面に沿ってガラスをスムーズに延ばすことができる。プレス成形後にアニールしてガラス内部の歪を低減することにより、均質な光学素子ブランクを得ることができる。
一方、プレス成形用ガラス素材とは、プリフォームとも呼ばれ、そのままの状態でプレス成形に供されるものに加え、切断、研削、研磨などの機械加工を施すことによりプレス成形に供されるものも含む。切断方法としては、ガラス板の表面の切断したい部分にスクライビングと呼ばれる方法で溝を形成し、溝が形成された面の裏面から溝の部分に局所的な圧力を加えて、溝の部分でガラス板を割る方法や、切断刃によってガラス板をカットする方法などがある。また、研削方法としてはカーブジェネレーターを用いた球面加工やスムージング加工などが挙げられる。研磨方法としては、酸化セリウムや酸化ジルコニウム等の砥粒を用いた研磨が挙げられる。
[光学素子およびその製造方法]
本発明の他の一態様は、
上述の光学ガラスからなる光学素子;
上述の光学素子ブランクを研削および/または研磨することにより光学素子を作製する工程を備える光学素子の製造方法(以下、「方法A」という);
上述のプレス成形用ガラス素材を、プレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子を作製する工程を備える光学素子の製造方法(以下、「方法B」という)、
に関する。
方法Aにおいて、研削、研磨は公知の方法を適用すればよく、加工後に光学素子表面を十分洗浄、乾燥させるなどすることにより、内部品質および表面品質の高い光学素子を得ることができる。方法Aは、各種球面レンズ、プリズムなどの光学素子を製造する方法として好適である。
方法Bにおけるプレス成形は、光学素子の光学機能面をプレス成形型の成形面を転写することにより形成する精密プレス成形法(モールドオプティクス成形とも呼ばれる。)により行うことができる。ここで、光学素子の光線を透過したり、屈折させたり、回折させたり、反射させたりする面を光学機能面と呼ぶ。例えばレンズを例にとると、非球面レンズの非球面や球面レンズの球面などのレンズ面が光学機能面に相当する。精密プレス成形法は、プレス成形型の成形面を精密にガラスに転写することにより、プレス成形で光学機能面を形成する方法である。つまり光学機能面を仕上げるために研削や研磨などの機械加工を加える必要がない。精密プレス成形法は、レンズ、レンズアレイ、回折格子、プリズムなどの光学素子の製造に好適であり、特に非球面レンズを高生産性のもとに製造する方法として最適である。
精密プレス成形法の一実施態様では、表面が清浄状態のプリフォームを、プリフォームを構成するガラスの粘度が105〜1011Pa・sの範囲を示すように再加熱し、再加熱されたプリフォームを上型、下型を備えた成形型によってプレス成形する。成形型の成形面には必要に応じて離型膜を設けてもよい。なお、プレス成形は、成形型の成形面の酸化を防止する上から、窒素ガスや不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。プレス成形品は成形型より取り出され、必要に応じて徐冷される。成形品がレンズなどの光学素子の場合には、必要に応じて表面に光学薄膜をコートしてもよい。
このようにして、レンズ、レンズアレイ、回折格子、プリズムなどの光学素子を製造することができる。
以下、本発明を実施例に基づき更に説明する。ただし、本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。
1.ガラスNo.1〜32の作製および評価
表1に示す組成のガラスが得られるように、各ガラス成分に対応するリン酸塩、フッ化物、酸化物等のガラス原料を所定の割合に50〜300g秤量し、十分に混合して調合バッチとした。これを白金ルツボに入れ、蓋をして、1150〜1400℃で攪拌しながら空気中または窒素雰囲気中で1〜3時間、熔解を行った。熔解後、ガラス融液を40×70×15mmのカーボンの金型に流し、ガラス転移温度まで放冷してから直ちにアニール炉に入れ、ガラスの転移温度範囲で約1時間アニールして炉内で室温まで放冷することにより、No.1〜No.32の組成を有する各ガラスを得た。
下記方法により、各ガラスの屈折率、アッベ数、ガラス転移温度Tg、結晶化温度Tcを測定した。
作製したガラスは、いずれも結晶の析出、泡、脈理、原料の熔け残りは認められなかった。このようにして、均質性の高いガラスを作ることができた。
測定方法
表1、表2に示すガラス組成および物性は、以下の方法により求めた。
(1)屈折率(nd)およびアッべ数(νd)
徐冷降温速度を−30℃/時にして得られた光学ガラスについて、最小偏角法により測定した。
(2)ガラス転移温度Tg
示差走査熱量計(DSC(Differential Scanning Calorimetry))により、昇温速度10℃/分にして測定した。
(3)結晶化温度Tc
示差走査熱量計(DSC(Differential Scanning Calorimetry))により、昇温速度10℃/分にして測定した。なお、ガラス試料を昇温していくと、DSC曲線に現れる最初の発熱ピークの温度を結晶化温度Tcとする。
(4)ガラス組成
誘導結合プラズマ原子発光法(ICP−AES法)、またはイオンクロマトグラフフィー法により各成分の含有量を求めた。
熱的安定性の評価
表1に示す各組成を有するガラスが得られるよう、ガラス原料を調合し、白金坩堝中に各調合原料150gを入れて1350℃で120分間、加熱、熔融した後、熔融物を冷却して固化物を得た。固化物を観察したところ、結晶は析出しなかった。更に、ガラスを1100℃で120分間、保持しても結晶は析出せず、保持温度を1060℃に下げて保持したが、結晶は析出しなかった。
以上の結果から、表1に示すガラスが、高い熱的安定性を有することが確認された。
2.比較例1、2のガラスの作製および評価
表3に示す組成のガラスが得られるように、各ガラス成分に対応するリン酸塩、フッ化物、酸化物等のガラス原料を用いた点以外、ガラスNo.1〜32と同様の方法でガラスを作製した。
比較例1および比較例2では、いずれも得られたガラスに多数の結晶が析出し、屈折率およびアッベ数を測定することができなかった。
以上のように、比較例1、2のガラスは、いずれも熱的安定性に劣るものであった。
3.光学素子ブランクおよび光学素子の作製
No.1〜32の各ガラスが得られる清澄、均質化した熔融ガラスを用意し、白金製パイプから一定流量で連続して流出し、パイプ下方に水平に配置した一側壁が開口した鋳型に流し込み、一定の幅および一定の厚みを有するガラス板に成形しつつ、鋳型の開口部から成形したガラス板を引き出した。引き出されたガラス板を、アニール炉内でアニール処理し、歪を低減し、脈理や異物がなく、着色の少ない上記各ガラスからなるガラス板を得た。
次に、これら各ガラス板を縦横に切断し、同一寸法を有する直方体形状のガラス片を複数個得た。更に複数個のガラス片をバレル研磨して、目的とするプレス成形品の重量にあわせ、プレス成形用ガラスゴブとした。
なお、上述の方法とは別に、熔融ガラスを一定流速で白金製ノズルから流出し、このノズルの下方に多数の受け型を次々と移送して所定質量の熔融ガラス塊を次々と受け、これら熔融ガラス塊を球または回転体形状に成形し、アニール処理してから研削、研磨加工を施して目的とするプレス成形品の質量にあわせ、プレス成形用ガラスゴブとしてもよい。
上述各ガラスゴブの全表面に粉末状の離型剤、例えば窒化ホウ素粉末を塗布し、ヒーターで加熱、軟化してから上型および下型を備えたプレス成形型内に投入し、プレス成形型で加圧して目的とするレンズ形状に研削、研磨による取り代を加えたレンズに近似した形状の各レンズブランクを成形した。
続いて、各レンズブランクをアニール処理して歪を低減した。冷却したレンズブランクに研削、研磨加工を施して、目的とするレンズに仕上げた。なお、一連の工程は大気中で行った。得られた各レンズとも優れた光透過性を備えていた。レンズには必要に応じて反射防止膜などの光学多層膜をコートすることもできる。
このようなレンズにより、良好な撮像光学系を構成することができる。
なお、プレス成形型の形状、ガラスゴブの体積を適宜設定することにより、プリズム等その他の光学素子を製造することもできる。
4.精密プレス成形用プリフォームの作製
No.1〜32の各ガラスが得られる高品質かつ均質化された熔融ガラスを白金合金製のパイプから連続流出させた。流出する熔融ガラスをパイプ流出口から滴下させ、複数のプリフォーム成形型で次々と受け、浮上成形法により複数個の球状のプリフォームを成形した。
No.1〜32の各ガラスから得られたプリフォームは、顕微鏡で観察できる結晶はなく、透明かつ均質であった。これらのプリフォームはいずれも失透しておらず、高い質量精度のものが得られた。
No.1〜32の各ガラスから、滴下法に変えて降下切断法を用いてプリフォームを作製した。降下切断法により得られたプリフォームにも同様に失透が認められず、高質量精度のプリフォームが得られた。また、滴下法、降下切断法ともプリフォームに分離の際の痕跡は認められなかった。白金製パイプを使用しても、白金合金製パイプと同様、熔融ガラスの流出によってパイプが破損することはなかった。
5.光学素子の作製
上述のプリフォームの表面に必要に応じてコーティングを施し、成形面に炭素系離型膜を設けたSiC製の上下型および胴型を含むプレス成形型内に導入し、窒素雰囲気中で成形型とプリフォームを一緒に加熱してプリフォームを軟化し、精密プレス成形して上記各種ガラスからなる非球面凸メニスカスレンズ、非球面凹メニスカスレンズ、非球面両凸レンズ、非球面両凹レンズの各種レンズを作製した。なお、精密プレス成形の各条件は前述の範囲で調整した。
このようにして作製した各種レンズを観察したところ、レンズ表面に傷、クモリ、破損は全く認められなかった。
こうしたプロセスを繰り返し行い、各種レンズの量産テストを行ったが、ガラスとプレス成形型の融着などの不具合は発生せず、表面および内部ともに高品質のレンズを高精度に生産することができた。このようにして得たレンズの表面には反射防止膜をコートしてもよい。
次いで、上述のプリフォームと同様のものを加熱、軟化し、別途、予熱したプレス成形型に導入し、精密プレス成形して上記各種ガラスからなる非球面凸メニスカスレンズ、非球面凹メニスカスレンズ、非球面両凸レンズ、非球面両凹レンズの各種レンズを作製した。なお、精密プレス成形の各条件は前述の範囲で調整した。
このようにして作製した各種レンズを観察したところ、分相による白濁等は認められず、レンズ表面に傷、クモリ、破損は全く認められなかった。
こうしたプロセスを繰り返し行い、各種レンズの量産テストを行ったが、ガラスとプレス成形型の融着などの不具合は発生せず、表面および内部ともに高品質のレンズを高精度に生産することができた。このようにして得たレンズの表面には反射防止膜をコートしてもよい。
プレス成形型の成形面の形状を適宜、変更し、プリズム、マイクロレンズ、レンズアレイなどの各種光学素子を作製することもできる。
最後に、前述の各態様を総括する。
一態様によれば、酸化物基準のガラス組成において、La、Gd、Y、Yb、LuおよびZrOの合計含有量に対するNb、TiO、WO、およびBiの合計含有量の質量比[(Nb+TiO+WO+Bi)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.013未満、La、Gd、Y、Yb、LuおよびZrOの合計含有量に対するTaの質量比[Ta/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.030未満、La、Gd、Y、Yb、LuおよびZrOの合計含有量に対するB、SiOおよびPの合計含有量の質量比[(B+SiO+P)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.405以上0.460未満、B、SiOおよびPの合計含有量に対するSiO含有量の質量比[SiO/(B+SiO+P)]が0.050〜0.250、La、Gd、Y、YbおよびLuの合計含有量に対するGdの質量比[Gd/(La+Gd+Y+Yb+Lu)]が0.360未満、Gd含有量が8.0質量%超、La含有量が38〜48質量%、Nb含有量が1.0質量%未満、であり、屈折率ndが1.78〜1.80の範囲であり、かつアッベ数νdが47〜50の範囲であるガラスを提供することができる。
上述のガラスは、先に記載した組成調整を行うことにより、優れた熱的安定性とともに、屈折率ndおよびアッベ数νdがそれぞれ上記範囲である高屈折率低分散特性を示すことができる。
上述のガラスは、熱的安定性の更なる向上の観点から、質量比[(B+SiO+P)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.420以上0.460未満であることが好ましい。
上述のガラスは、より一層の熱的安定性向上の観点から、質量比[(B+SiO+P)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.420以上0.460未満であって、かつ屈折率ndが1.780〜1.795の範囲であることが好ましい。
上述のガラスは、下記の1つ以上を満たすことも好ましい。
・質量比[SiO/(B+SiO+P)]が0.060〜0.200の範囲である。
・質量比[Gd/(La+Gd+Y+Yb+Lu)]が0.330以下である。
・質量比[Ta/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.020以下である。
・質量比[(Nb+TiO+WO+Bi)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.012以下である。
上述のガラスは、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子を得るためのガラスとして好適である。
即ち、他の態様によれば、上述のガラスからなるプレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子が提供される。
また、他の態様によれば、上述のガラスをプレス成形用ガラス素材に成形する工程を備えるプレス成形用ガラス素材の製造方法が提供される。
また、他の態様によれば、上述のプレス成形用ガラス素材を、プレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製する工程を備える光学素子ブランクの製造方法も提供される。
更に他の態様によれば、上述の光学素子ブランクを研削および/または研磨することにより光学素子を作製する工程を備える光学素子の製造方法も提供される。
更に別の態様によれば、上述のプレス成形用ガラス素材を、プレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子を作製する工程を備える光学素子の製造方法も提供される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上述の例示されたガラス組成に対し、明細書に記載の組成調整を行うことにより、本発明の一態様にかかる光学ガラスを得ることができる。
また、明細書に例示または好ましい範囲として記載した事項の2つ以上を任意に組合せることは、もちろん可能である。
本発明は、ガラスレンズ、レンズアレイ、回折格子、プリズムなどの各種光学素子の製造分野において有用である。

Claims (10)

  1. 酸化物基準のガラス組成において、
    、SiOおよびPの合計含有量に対するSiO含有量の質量比[SiO/(B+SiO+P)]が0.050〜0.250、
    La、Gd、Y、YbおよびLuの合計含有量に対するGdの質量比[Gd/(La+Gd+Y+Yb+Lu)]が0.360未満、
    La、Gd、Y、Yb、LuおよびZrOの合計含有量に対するB、SiOおよびPの合計含有量の質量比[(B+SiO+P)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.405以上0.460未満、
    La、Gd、Y、Yb、LuおよびZrOの合計含有量に対するTaの質量比[Ta/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.030未満、
    La、Gd、Y、Yb、LuおよびZrOの合計含有量に対するNb、TiO、WO、およびBiの合計含有量の質量比[(Nb+TiO+WO+Bi)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.013未満、
    Gd含有量が8.0質量%超、
    La含有量が38〜48質量%、
    Nb含有量が1.0質量%未満、
    であり、
    屈折率ndが1.78〜1.80の範囲であり、かつアッベ数νdが47〜50の範囲であるガラス。
  2. 質量比[(B+SiO+P)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.420以上0.460未満である請求項1に記載のガラス。
  3. 屈折率ndが1.780〜1.795の範囲である請求項2に記載のガラス。
  4. 質量比[SiO/(B+SiO+P)]が0.060〜0.200の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス。
  5. 質量比[Gd/(La+Gd+Y+Yb+Lu)]が0.330以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス。
  6. 質量比[Ta/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.020以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス。
  7. 質量比[(Nb+TiO+WO+Bi)/(La+Gd+Y+Yb+Lu+ZrO)]が0.012以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラスからなるプレス成形用ガラス素材。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラスからなる光学素子ブランク。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラスからなる光学素子。
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