JP2016123142A - ロック検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロックを検出する精度を向上できるロック検出装置を提供する。【解決手段】インバータ制御部は、インバータを制御して、電機子に対する第1回転位置で界磁を停止させるための第1磁界を、電機子に発生させる。位置検出部は、第1磁界が発生した状態での電動機の回転位置たる第1回転検出位置を検出する。ロック検出部は第1回転検出位置と第1回転位置との差が所定値よりも大きいことを以て、電動機にロックが生じたことを検出する。【選択図】図3
Description
本発明は、ロック検出装置に関し、特に、電動機に生じるロックを検出する装置に関する。
従来から電動機のロックを検出する技術が提案されている。例えば電動機を駆動する電動機駆動装置を制御してロックを検出する方法が提案されている。より具体的には、電動機の第1回転位置を検出し、その第1回転位置から所定の角度で離れた停止位置で電動機を停止させるように、電動機駆動装置を制御する。その後、電動機の第2回転位置を検出し、電動機が適切に停止位置まで回転しているかどうかを判断することにより、ロックの有無を検出する。
また特許文献1には、電動機を駆動するインバータが記載されている。インバータは電動機へと交流電圧を出力している。特許文献1では、電動機の回転に寄与する基本波成分よりも十分に大きい高調波成分をインバータに出力させ、電動機に流れる電流に基づいて、電動機の回転位置を検出している。
しかしながら、インバータ1がこの交流電圧を出力していない状態でも、電動機は回転し得る。例えば電動機に外力が働くことにより、電動機が回転することがある。外力を起こさせる具体的な例としては、電動機によって駆動される圧縮機の低圧と高圧との差や、電動機によって駆動されるファンへの風の通過を挙げることができる。
このような外力が働いた状態で、例えば第1回転位置を検出すると、低い精度で第1回転位置を検出することになる。これにより、ロックを検出する精度が低下する。
そこで、本願は、ロックを検出する精度を向上できるロック検出装置を提供することを目的とする。
本発明にかかるロック検出装置の第1の態様は、電機子巻線(221)を有する電機子(21)、および、界磁(22)を有する電動機と、前記電動機を駆動するインバータ(1)とを備える電動機駆動装置において、前記電動機のロックを検出する装置(3)であって、前記インバータ(1)を制御して、前記電機子に対する第1回転位置で前記界磁を停止させるための第1磁界を、前記電機子に発生させるインバータ制御部(31)と、前記第1磁界が発生した状態での前記電動機の回転位置たる第1回転検出位置を検出する位置検出部(32)と、前記第1回転検出位置と前記第1回転位置との差が所定値よりも大きいことを以て、前記電動機にロックが生じたことを検出するロック検出部(33)とを備える。
本発明にかかるロック検出装置の第2の態様は、第1の態様にかかるロック検出装置であって、前記第1磁界は、前記電動機(2)を回転させない高調波成分を含み、前記インバータ制御部(31)は前記インバータ(1)が出力する電圧及び電流のいずれか一方を制御して前記電機子に前記第1磁界を発生させ、前記位置検出部(32)は、前記インバータ(1)が出力する前記電圧及び前記電流の他方を検出し、前記他方のベクトルが描く楕円状の軌跡の傾きに基づいて、前記第1回転位置を検出する。
本発明にかかるロック検出装置の第3の態様は、第1または請求項第2の態様にかかるロック検出装置であって、前記インバータ制御部(31)は、前記インバータ(1)を制御して、前記第1回転位置との差が前記所定値の2倍よりも大きい第2回転位置へ、前記界磁を位置させるための第2磁界を、前記電機子(22)に発生させ、前記位置検出部(32)は、前記第2磁界を発生させた状態での前記電動機の回転位置たる第2回転検出位置を検出し、前記第1回転検出位置と前記第1回転位置との差、および、前記第2回転検出位置と前記第2回転位置との差のいずれもが前記所定値よりも小さいときに、前記電動機にロックが生じていないことを検出すると判定する。
本発明にかかるロック検出装置の第1の態様によれば、高い精度でロックを検出できる。
本発明にかかるロック検出装置の第2の態様によれば、第1磁界を印加した状態の第1回転位置の検出を実現できる。
本発明にかかるロック検出装置の第3の態様によれば、ロックでないことを検出できる。
図1は電動機2のロックを検出するロック検出装置3の一例を概略的に示している。図1の例示では、電動機2と、この電動機2へと交流電圧を出力するインバータ1とを有する電動機駆動装置も示されている。インバータ1には直流電圧が入力されており、このインバータ1は、入力された直流電圧を交流電圧に変換して電動機2へと出力する。
図2はインバータ1の内部構成の一例を概略的に示す図である。例えばインバータ1は三相のインバータであって、三相交流電圧を出力端Pu,Pv,Pwから出力する。これらの出力端Pu,Pv,Pwは電動機2に接続される。インバータ1は例えばスイッチング素子Sup,Sunと,Svp,Svn,Swp,SwnとダイオードDup,Dun,Dvp,Dvn,Dwp,Dwnとを備えている。なお各構成を示す符号に含まれる「u」、「v」、「w」は、その構成がそれぞれU相、V相、W相に属していることを示している。例えばスイッチング素子Sup,SupとダイオードDup,Dunと出力端PuはU相に属している。
スイッチング素子Sxp,Sxn(xはu,v,rを代表する、以下、同様)は、直流電圧が印加される直流線LH,LLの間において、互いに直列に接続されている。スイッチング素子Sxpは直流線LHと出力端Pxとの間に接続され、その導通/非導通によって直流線LHから出力端Pxへ向かって電流が流れることの許否を制御する。スイッチング素子Sxnは直流線LLと出力端Pxとの間に接続され、その導通/非導通によってから出力端Pxから直流線LLへ向かって電流が流れることの許否を制御する。ダイオードDxp,Dxnはそれぞれスイッチング素子Sxp,Sxnに並列に接続されており、これらの順方向はいずれも直流線LLから直流線LHに向かう方向である。
スイッチング素子Sxp,Sxnが適切に制御されることにより、インバータ1は直流電圧を交流電圧に変換して出力することができる。
図1を参照して、電動機2は例えば磁石埋込型の電動機であり、界磁21と電機子22とを有している。界磁21は、例えばコア(図示省略)と、当該コアに埋設される永久磁石(図示省略)を有している。永久磁石は、電機子巻線221へと鎖交する界磁磁束を供給する。電機子22は例えばU相、V相およびW相の電機子巻線221を有しており、これらは、それぞれ対応するインバータ1の出力端Pu,Pu,Pwに接続される。インバータ1からの三相交流電圧が三相の電機子巻線221に印加されることにより、電機子22は当該三相交流電圧に応じた回転磁界を界磁21へと印加する。界磁21は当該回転磁界に応じて電機子22に対して回転する。
ロック検出装置3は、例えばインバータ制御部31と、位置検出部32と、ロック検出部33とを備えている。
またここでは、ロック検出装置3はマイクロコンピュータと記憶装置を含んで構成される。マイクロコンピュータは、プログラムに記述された各処理ステップ(換言すれば手順)を実行する。上記記憶装置は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、書き換え可能な不揮発性メモリ(EPROM(Erasable Programmable ROM)等)、ハードディスク装置などの各種記憶装置の1つ又は複数で構成可能である。当該記憶装置は、各種の情報やデータ等を格納し、またマイクロコンピュータが実行するプログラムを格納し、また、プログラムを実行するための作業領域を提供する。なお、マイクロコンピュータは、プログラムに記述された各処理ステップに対応する各種手段として機能するとも把握でき、あるいは、各処理ステップに対応する各種機能を実現するとも把握できる。また、ロック検出装置3はこれに限らず、ロック検出装置3によって実行される各種手順、あるいは実現される各種手段又は各種機能の一部又は全部をハードウェアで実現しても構わない。
図3はロック検出装置3の動作の一例を示すフローチャートである。この一連の動作は、インバータ1が電動機2を駆動していない状態、即ち、電動機2を回転させるための交流電圧を出力していない状態で、開始される。ただし、既述のように、インバータ1がこの交流電圧を出力していない状態でも、例えば電動機2に外力が発生することにより、電動機2が回転することがある。
ステップS1において、インバータ制御部31は、インバータ1を制御して、界磁21を所定の第1回転位置で停止させるための第1停止磁界を、電機子22に発生させる。この第1停止磁界は、時間の経過に依らず実質的に一方向を向く磁界である。第1停止磁界は界磁21に印加される。電動機2にロックが生じていなければ、第1停止磁界の印加によって、界磁21の磁極中心が第1回転位置に略一致するまで界磁21が回転し、その状態で停止する。一方で、電動機2にロックが生じていれば、第1停止磁界の印加にもかかわらず、界磁21は回転しない。あるいは、第1停止磁界が印加される前の界磁21の位置が、偶然に第1回転位置と一致している場合にも、界磁21は回転しない。
このような第1停止磁界を発生させる制御は公知であるものの、その一例について概説する。まず各相のスイッチング素子Sxp,Sxnは相互に排他的に導通するように制御される。これは、直流線LH,LLが短絡することを回避するためである。スイッチング素子Sxpが導通/非導通することをそれぞれ「1」「0」で示し、各相を並べて表すと、例えば(000)(001)(010)(011)(100)(101)(110)(111)の8つのスイッチングパターンを採用することができる。
以下では、(000)および(111)で表されるスイッチングパターンを零スイッチングパターンと呼ぶ。この零スイッチングパターンでは、出力端Pu,Pv,Pwが互いに短絡するので、インバータ1は電圧を出力することができない。よって第1停止磁界を印加させる制御においては、零スイッチングパターンを採用する必要はない。
一例として、スイッチングパターン(110)を一つ採用する場合を説明する。つまり、スイッチング素子Sup,Svpを導通させ、スイッチング素子Swnを導通させる。これにより、このスイッチングパターン(110)に対応する電流経路で、U相、V相、W相の電機子巻線221にそれぞれ電流Iu,Iv,Iwが流れる。より具体的には、出力端Pu,PvからそれぞれU相,V相の電機子巻線221へと電流Iu,Ivが流れ、これらが合流して、W相の電機子巻線221を介して出力端Pwへと電流Iwが流れる。
かかる電流Iu,Iv,Iwによって、各相の電機子巻線221には磁界が生じる。そして、これらの磁界を合成した磁界(以下、電機子磁界とも呼ぶ)が、電機子22の全体に発生することとなる。各電機子巻線221に生じる磁界は、スイッチングパターンに対応した電流Iu,Iv,Iwによって発生するので、電機子22の電機子磁界の向きは、スイッチングパターンに依存することになる。
なお、ここでいう電機子磁界は、第1停止磁界および回転磁界を含む概念である。第1停止磁界は、この電機子磁界の方向が実質的に一方向を維持する磁界を意味し、上記回転磁界は、この電機子磁界が実質的に時間の経過と共に回転する磁界を意味する。
例えば、このスイッチングパターン(110)を一つ採用し続ければ、そのスイッチングパターン(110)によって決まる方向の電機子磁界(第1停止磁界)が発生し続けることになる。電動機2にロックが生じておらず、かつ、第1停止磁界が印加される前の界磁21の磁極中心と第1回転位置とが偶然に一致する場合を除き、この第1停止磁界の印加により、界磁21の磁極中心が第1回転位置と略一致するまで、界磁21が回転する。
上述の例では、スイッチングパターンの一つを採用し続けたが、必ずしもこれに限らない。例えば所定周期において、複数のスイッチングパターンを所定の時比率でそれぞれ採用してもよい。つまり、所定周期における電機子磁界の時間平均で示される磁界の方向を一方向に維持するのである。例えばスイッチングパターン(100),(110)をそれぞれ0.5の時比率で採用する場合、スイッチングパターン(100),(110)に対応する電機子磁界の方向を二等分する方向に、平均的な電機子磁界を発生させることができ、その平均的な電機子磁界が第1停止磁界として機能する。
したがって、スイッチングパターンおよびその時比率を適宜に調整することで、任意の第1回転位置で界磁21を停止させるための第1停止磁界を発生させることができる。
図4は、電流ベクトルIを示す図である。電流ベクトルIはインバータ1が出力する電流Iu,Iv,Iwのベクトルの合成であり、その方向は電機子磁界を示すベクトルの方向と一致する。
図4の例示では、α−β座標系とd−q座標系とも示されている。α−β座標系は固定子(例えば電機子22)に固定された座標系である。α軸は例えばU相の電流Iuによって発生するU相の磁束と同相に設定され、β軸はα軸に対して位相が90度進む。d−q座標系は回転子(例えば界磁21)に固定された座標系である。d軸は界磁21の界磁磁束と同相に設定され、q軸はd軸に対して90度位相が進む。電動機2が回転することによって、d−q座標系は界磁21と同期して回転することとなる。本実施の形態ではd軸の回転位置を電動機2の回転位置として把握する。なおd軸は磁極中心を通るので、磁極中心を用いた上記説明は以下の説明と矛盾しない。
図4の電流ベクトルIの方向は第1停止磁界を示すベクトルの方向と一致する。界磁21に第1停止磁界が印加されることにより、電動機2にロックが生じておらず、かつ、第1停止磁界が印加される前の界磁21の磁極中心と第1回転位置とが偶然に一致する場合を除き、界磁21は第1停止磁界の方向に沿うように回転し、図5に示すように、d軸は第1停止磁界(電流ベクトルIの方向)の方向に沿うように回転する。つまり、この第1停止磁界の方向によって決定される第1回転位置で、界磁21が停止する。なお、実際には、電動機2の負荷トルク等によって、d軸と第1停止磁界の方向との間にはずれが生じ得る。
他方、電動機2にロックが生じていれば、或いは、第1停止磁界が印加される前の界磁21の磁極中心と第1回転位置とが偶然に一致していれば、界磁21は回転しないので、d軸は例えば図4の状態を維持する。
インバータ制御部31は、第1停止磁界を発生させる制御を開始したことを位置検出部32へと通知する(図1参照)。
図3を参照して、ステップS2にて、当該通知を受けた位置検出部32は、第1停止磁界を発生させた状態で、電動機2の回転位置たる第1回転検出位置を検出する。なおこの検出は、第1停止磁界を発生させる制御の開始から、所定時間が経過したときに行われる。この所定時間は、ロックが生じていない界磁21が第1回転位置まで回転するのに十分な時間である。
第1停止磁界を発生させた状態では、たとえ電動機2に外力が生じても、界磁21はほぼ回転せずに実質的に停止を維持する。よってステップS2によれば、電動機2を停止させた状態で検出を行うことができ、ひいては、第1回転検出位置の検出精度を向上することができる。つまり、外力の発生によって電動機2が回転すれば、その第1回転検出位置の検出精度が低下するものの、本実施の形態では、かかる事態の発生を回避あるいは抑制しているのである。
なお回転位置の検出方法は任意であるものの、その一例について説明する。ここでは、第1停止磁界に、回転位置検出用の高調波成分の磁界(以下、検出磁界とも呼ぶ)を重畳させる。この検出磁界は、回転磁界と同様に回転するものの、その回転速度は電動機2を回転させない程度に速い。言い換えると、この検出磁界の基となる電機子巻線221の磁界の大きさは、例えば三相の正弦波を呈しており、その周波数は、電動機2を回転させない程度に高い。
検出磁界は回転するので、時間平均(例えばその1回転における平均)を考慮すれば、実質的な方向を有さない。よって、検出磁界を第1停止磁界に重畳させた場合にも、電機子22が発生する磁界の平均的な方向は、第1停止磁界の方向に略一致する。つまり、検出磁界は第1停止磁界の方向に実質的な影響を与えない。よって、かかる磁界が界磁21に印加された場合にも、ロックが生じていない界磁21は第1回転位置での停止を維持することになる。
この磁界(第1停止磁界と検出磁界とを含む磁界)を発生させるには、次で説明する電圧をインバータ1に出力させればよい。例えば検出磁界に対応した三相の交流電圧成分を、第1停止磁界に対応した三相の電圧成分へと重畳させた電圧を、インバータ1から出力させる。この三相の交流電圧成分は、電動機2を回転させない程度に高い周波数を有していればよい。また、第1停止磁界に対応した三相の電圧成分は、採用するスイッチングパターンに基づいて把握することができ、例えばスイッチングパターンの一つのみを採用する場合には、そのスイッチングパターンに対応する直流成分で表される。
かかる制御を行うべく、例えばインバータ1が出力する三相の交流電圧についての電圧指令値を導入する。この電圧指令値は、上記交流電圧成分と上記電圧成分とを重畳した電圧である。インバータ制御部31は、この電圧指令値に基づいてスイッチング素子Sxp,Sxnのスイッチング信号Sを生成し、これを出力する。このようなスイッチング信号Sの生成は周知であるものの、例えば電圧指令値と三角波との比較に基づいて行うことができる。
図6は、一つの出力端Pxに流れる電流Ixの一例を示している。ここではスイッチングパターンの一つのみを採用して、第1停止磁界を発生させることを想定する。よって図6の例示では、電流Ixは、第1停止磁界に対応する電流としての直流成分を含んでいる。また電流Ixは検出磁界に対応する交流成分も含んでいる。
なお図6の例示では、時点t1よりも前には、電流Ixは実質的に直流成分のみを有している。これは、時点t1よりも前ではステップS1が実行されていることを意味し、時点t1よりも後ではステップS2が実行されていることを示している。しかるにステップS1において、第1停止磁界と検出磁界をと含む磁界を発生させてもよい。これによっても当該磁界に含まれる第1停止磁界によって、ロックが生じていない界磁21を停止させることができるからである。つまり、ステップS1,S2を同時に開始してもよい。
図7は、出力端Pu,Pv,Pwに流れる電流の電流ベクトルの軌跡を示している。図7に示すように、当該軌跡は、α−β座標系の原点とは異なる点を中心とした楕円を形成する。以下では、この軌跡について、電流Iu,Iv,Iwの直流成分によるベクトルと電流Iu,Iv,Iwの交流成分によるベクトルとに大別して説明する。まず交流成分のベクトルのみを考慮すると、そのベクトルの軌跡は、周知のように、α−β座標系の原点を中心とした楕円を呈し、その長軸がd軸に平行になる(図8も参照)。一方、直流成分のベクトルI’(図7)は所定の大きさと所定の方向を時間によらず維持するベクトルである。よって、これらのベクトルを合成した電流Iu,Iv,Iwの電流ベクトルの軌跡は、図8の軌跡をベクトルI’で平行移動して表されることになる。よって図7に示す通り、当該軌跡はベクトルI’で示される点を中心とした楕円を呈することになるのである。この場合であっても、楕円の長軸はd軸に平行である。
したがって、位置検出部32は、電流ベクトルの楕円状の軌跡の傾斜に基づいて、回転位置を検出することができる。よって図1の例示では、電動機2を流れる交流電流を検出する電流検出部4が設けられている。検出された交流電流は位置検出部32へと出力される。位置検出部32は、検出された交流電流に基づいて、電流ベクトルを算出し、その電流ベクトルが描く楕円の傾斜(例えば長軸の方向)を算出する。これにより、特許文献1と同様に、界磁21の回転位置を検出することができる。検出した回転位置はロック検出部33へと出力される。
上述の検出方法によれば、第1停止磁界を発生させつつ、電動機2に流れる電流に基づいて回転位置を検出できる。また電流検出部4は、電動機2の通常の制御(回転運転のための制御)にも用いることができる。よって、電動機2の回転位置を検出するための別のセンサを設ける場合に比べて、製造コストを低減できる。
なお図7の例示では、ベクトルI’の方向(第1停止磁界の方向)がd軸(=楕円の長軸の方向)と平行である。一方で図9の例示では、ベクトルI’の方向がd軸の方向と平行ではなく、交差している。つまり図9は、第1停止磁界が印加されているにも拘わらず、電動機2にロックが生じて界磁21が第1回転位置まで回転していない場合を示している。要するに、ロックが生じていると、第1回転検出位置(d軸の方向)が第1回転位置(ベクトルI’の方向)とずれるのである。
そこで、ステップS3において、ロック検出部33は第1回転検出位置と第1回転位置との差が所定の所定値(例えば数度程度以内)よりも大きいか否かを判定する。そして肯定的な判定がなされると、ステップS4において、ロック検出部33は、電動機2にロックが生じていることを検出する。
以上のように、本ロック検出装置3によれば、ステップS3の判定で用いられる第1回転検出位置を、ステップS2において第1停止磁界が印加された状態で、検出する。よって、この第1回転検出位置の検出精度を向上することができ、ステップS3の判定精度を向上することができる。ひいては、より高い精度でロックを検出することができる。
比較例として、第1停止磁界を印加しない状態で、第1回転検出位置を検出することを考える。この場合、第1停止磁界の消失により、電動機2への外力の発生に伴って界磁21が回転することがある。かかる回転によって、第1回転検出位置と第1回転位置との差が大きくなり、ステップS3の判定において肯定的な判定がなされ得る。この場合、ステップS4においてロックを誤検出することになる。しかるに、本実施の形態では、このような事態を回避あるいはその発生頻度を抑制することができるのである。
また図3の例示では、ステップS3において否定的な判定がなされたときに、ステップS5以降の処理を実行して、ロックの有無を検出する。つまり図3の例示では、第1回転検出位置と第1回転位置との差が所定値よりも小さいからといって、これのみでは、ロックが生じていないとは判断しないのである。なぜなら、たまたま界磁21が第1回転位置で停止した状態でロックが生じている場合には、ロックが生じているにも関わらず、ステップS3において否定的な判定がなされるからである。
ステップS3において否定的な判定がなされると、ロック検出部33はその判定結果をインバータ制御部31へと通知する。ステップS5において、当該通知を受けたインバータ制御部31は、インバータ1を制御して、所定の第2回転位置で界磁21を停止させるための第2停止磁界を、電機子22に発生させる。第2回転位置は、第1回転位置との差が上記所定値よりも大きくなるように設定される。例えば当該差として90度を採用することができる。
第2停止磁界を生じさせる制御は、第1停止磁界を生じさせる制御と同様であるので、繰り返しの説明を避ける。インバータ制御部31は、第2停止磁界を発生させる制御を開始したことを位置検出部32へと通知する。
ステップS6において、当該通知を受けた位置検出部32は、第2停止磁界を生じさせた状態で、電動機2の回転位置たる第2回転検出位置を検出する。なおステップS2と同様に、この検出は、第2停止磁界を発生させる制御の開始から所定時間が経過したときに行われる。第2停止磁界が印加された状態で第2回転検出位置を検出するので、ステップS2と同様に、高い精度で第2回転検出位置を検出することができる。検出された第2回転検出位置はロック検出部33へと出力される。
次にステップS7において、ロック検出部33は、第2回転検出位置と第2回転位置との差が所定の所定値よりも大きいか否かを判定する。肯定的な判定がなされた場合には、ステップS8において、ロック検出部33は、電動機2にロックが生じていることを検出する。
ステップS7にて否定的な判定がなされると、ステップS9において、ロック検出部33は、電動機2にロックが生じていないことを検出する。つまり、第1回転検出位置と第1回転位置との差、および、第2回転検出位置と第2回転位置との差のいずれもが所定値よりも小さいときに、電動機2にロックが生じていないことを検出するのである。
しかも、ステップS7の判定で用いられる第2回転検出位置は、ステップS6にて第2停止磁界が生じた状態で検出される。よって第2回転検出位置の検出精度を向上でき、ステップS7の判定精度を向上できる。ひいてはロックの有無を検出する精度を向上することができる。
なお上述の具体例では、ステップS2,S6において、インバータ制御部31は、インバータ1が出力する出力電圧を制御し、位置検出部32は、検出された電流に基づいて回転位置を検出した。しかるに、制御対象と検出対象とが逆であってもよい。即ち、インバータ制御部31は、インバータ1が出力する出力電流を制御し、インバータ1の出力電圧を検出する電圧検出部を設けて、位置検出部32が当該電圧に基づいて回転位置を検出してもよい。この場合、出力電流には、回転位置検出用の交流成分と、停止磁界用の成分とを含める。この交流成分の周波数は電動機2を始動できない程度に高い。このとき検出された電圧のベクトルの軌跡は楕円を呈し、その長軸がd軸と対応することになる。
また、本発明は、その発明の範囲内において、相互に矛盾しない限り、上記の種々の実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 インバータ
3 ロック検出装置
31 インバータ制御部
32 位置検出部
33 ロック検出部
3 ロック検出装置
31 インバータ制御部
32 位置検出部
33 ロック検出部
Claims (3)
- 電機子巻線(221)を有する電機子(21)、および、界磁(22)を有する電動機と、前記電動機を駆動するインバータ(1)とを備える電動機駆動装置において、前記電動機のロックを検出する装置(3)であって、
前記インバータ(1)を制御して、前記電機子に対する第1回転位置で前記界磁を停止させるための第1磁界を、前記電機子に発生させるインバータ制御部(31)と、
前記第1磁界が発生した状態での前記電動機の回転位置たる第1回転検出位置を検出する位置検出部(32)と、
前記第1回転検出位置と前記第1回転位置との差が所定値よりも大きいことを以て、前記電動機にロックが生じたことを検出するロック検出部(33)と
を備える、ロック検出装置。 - 前記第1磁界は、前記電動機(2)を回転させない高調波成分を含み、
前記インバータ制御部(31)は前記インバータ(1)が出力する電圧及び電流のいずれか一方を制御して前記電機子に前記第1磁界を発生させ、
前記位置検出部(32)は、前記インバータ(1)が出力する前記電圧及び前記電流の他方を検出し、前記他方のベクトルが描く楕円状の軌跡の傾きに基づいて、前記第1回転位置を検出する、請求項1に記載のロック検出装置。 - 前記インバータ制御部(31)は、前記インバータ(1)を制御して、前記第1回転位置との差が前記所定値よりも大きい第2回転位置へ、前記界磁を位置させるための第2磁界を、前記電機子(22)に発生させ、
前記位置検出部(32)は、前記第2磁界を発生させた状態での前記電動機の回転位置たる第2回転検出位置を検出し、
前記第1回転検出位置と前記第1回転位置との差、および、前記第2回転検出位置と前記第2回転位置との差のいずれもが前記所定値よりも小さいときに、前記電動機にロックが生じていないことを検出する、請求項1または請求項2に記載のロック検出装置。
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JP2014259972A JP2016123142A (ja) | 2014-12-24 | 2014-12-24 | ロック検出装置 |
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JP2014259972A Pending JP2016123142A (ja) | 2014-12-24 | 2014-12-24 | ロック検出装置 |
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