(A)第1の実施形態
以下、本発明による取引装置及びプログラムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の取引装置を、ATMに適用した例について説明する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、この実施形態のATM1の全体構成を示すブロック図である。また、図2は、ATM1の外観斜視図である。
ATM1は、制御部10、データ記憶部20、ユーザインタフェース部30、カードリーダ40、プリンタ50、紙幣処理部60及び硬貨処理部70を有している。
以下では、ATM1を操作するユーザは顧客であるものとして説明するが、ATM1を操作するユーザは、例えば、金融機関の係員等顧客に限定されないものである。
制御部10は、ATM1内の各部の動作制御や情報処理を行う機能を担っているものであり、取引処理部110、及び通信部120を有している。また、データ記憶部20は、制御部10が情報処理を行うために必要な各種情報等を格納するデータ記憶手段であり、例えば、各種メモリ等により構成することができる。
制御部10は、例えば、プロセッサ等を含むプログラムの実施構成(コンピュータ)に実施形態の取引プログラム(取引処理部110の処理構成を含むプログラム)等をインストールすることにより実現することができる。上述の取引プログラムは、例えば、データ記憶部20に記憶しておき、ATM1が起動したときに、制御部10が読み込んで実行するようにしても良い。
通信部120は、図示しないホストコンピュータと接続するためのネットワークインタフェースである。なお、通信部120については、既存のATM等と同様のものを適用することができるため、詳しい説明は省略する。
取引処理部110は、顧客との取引を行うための情報処理(顧客への情報の提示や操作受付に伴う処理を含む)や取引処理に伴ってATM1内の各構成要素の制御等を行うものである。
ユーザインタフェース部30は、当該ATM1のユーザインタフェース機能を担っている。
この実施形態のユーザインタフェース部30は、ユーザインタフェースのデバイスとして、操作表示部31を搭載しているものとする。
操作表示部31は、タッチパネルディスプレイ等を用いて、顧客に操作画面を提示し、顧客への情報出力や、顧客からの操作受付(メニュー選択や金額入力、番号入力等)を行うことが可能なデバイスである。
カードリーダ40は、顧客からカード挿入排出口401に挿入されたキャッシュカードのデータ読取を行うものである。なお、カードリーダ40は、既存のATM等と同様のものを適用することができるため、詳しい説明は省略する。
プリンタ50は、取引内容を印字した明細書等を印刷して伝票排出部501から排出するものである。なお、プリンタ50自体は、既存のATM等と同様のものを適用することができるため、詳しい説明は省略する。
紙幣処理部60及び硬貨処理部70は、制御部10の制御に応じて顧客から投入(入金)された現金(紙幣又は硬貨)を計数して収納する機能と、収納されている現金を顧客に出金する機能を担っている。
紙幣処理部60では、図2に示す紙幣入出金口61から紙幣の入出金を行うことが可能である。なお、紙幣処理部60(紙幣入出金口61)としては、既存のATMと同様の構成を適用することができるため、詳しい説明については省略する。
硬貨処理部70では、図2に示す硬貨入出金口71から紙幣の入出金を行うことが可能である。
次に、硬貨処理部70の詳細について説明する。
図3は、硬貨入出金口71の外観斜視図である。
図3に示すように、顧客から硬貨の投入を受け入れる硬貨受け部711を有している。
そして、硬貨受け部711には、顧客に一括して硬貨を投入させることが可能な硬貨一括投入口716として機能する開口部が設けられている。
そして、硬貨一括投入口716(開口部)には、開閉体としての硬貨一括投入口シャッタ712が設けられている。
図3は、硬貨一括投入口シャッタ712を開状態とした場合の斜視図となっている。そして、硬貨一括投入口シャッタ712は、図3に示す状態(開状態)から図3の矢印Aの方向にスライドすると、図4に示すように閉状態となる。そして、硬貨一括投入口シャッタ712は、図4に示す状態(閉状態)から矢印Aと逆の方向にスライドすると、図3に示す開状態となる。硬貨一括投入口シャッタ712は、図示しない駆動源(例えば、モータやソレノイド等)により開閉動作を行うことが可能となっている。また、硬貨一括投入口シャッタ712は、制御部10の制御に応じて、開閉動作を行い、開状態又は閉状態となる。
また、図4等に示すように、硬貨一括投入口シャッタ712のほぼ中央位置に硬貨を1枚若しくは数枚ずつ投入できる大きさの硬貨逐次投入口713(スリット)が設けられている。さらに、硬貨一括投入口シャッタ712には、硬貨逐次投入口713の全部を閉状態とする位置(スリット塞ぐ位置)と、硬貨逐次投入口713を開状態とする位置(スリットを開ける位置)との間をスライド移動する硬貨逐次投入口シャッタ714が、硬貨一括投入口シャッタ712の内部に設けられている。
すなわち、硬貨一括投入口シャッタ712の内部には、硬貨逐次投入口シャッタ714を収容してスライドさせることが可能な収容部(中空)が設けられている。言い換えると、硬貨逐次投入口シャッタ714は、当該収容部(中空)に沿ってスライド移動することが可能となっている。
そして、図4は、硬貨逐次投入口シャッタ714を閉状態とした場合の斜視図となっている。そして、硬貨逐次投入口シャッタ714は、図4に示す状態(開状態)から図4の矢印Bの方向にスライドすると、図5に示すように開状態となる。なお、図3、図5では、硬貨逐次投入口713(スリット)が、硬貨逐次投入口シャッタ714により閉じられた部分にハッチ(斜線)を付して図示している。
そして、硬貨逐次投入口シャッタ714は、図5に示す状態(開状態)から矢印Bと逆の方向にスライドすると、図4に示す閉状態となる。硬貨逐次投入口シャッタ714は、図示しない駆動源(例えば、ソレノイド等)により開閉動作を行うことが可能となっている。また、硬貨逐次投入口シャッタ714は、制御部10の制御に応じて、開閉動作を行い、開状態又は閉状態となる。
以上の通り、硬貨入出金口71では、媒体投入口制御手段としても機能する制御部10の制御により、硬貨一括投入口シャッタ712及び硬貨逐次投入口シャッタ714が開閉動作を行う。具体的には、硬貨入出金口71では、硬貨逐次投入口シャッタ714だけを開状態(図5の状態)とすることで、顧客から硬貨の逐次投入を受け付けることができる。また、硬貨入出金口71では、硬貨一括投入口シャッタ712を開状態(図3の状態)とすることで、顧客から硬貨の一括投入を受け付ける(逐次投入で一度に投入可能な枚数よりも多くの枚数の硬貨の投入を一括して受け付ける)ことができる。
また、硬貨受け部711の開口部(硬貨一括投入口716)には、硬貨を検知するためのセンサ715が設けられる。センサ715は、例えば図3に示すように一対の光センサであってもよい。よって、センサ715は、硬貨逐次投入口713に投入した硬貨が通過する箇所に光軸を形成し、通過する硬貨により光軸が遮断されることで硬貨を検知して、硬貨の枚数をカウントすることが可能となっている。また、硬貨受け部711の最下端部(底部)には、図示しない搬送路が設けられ、硬貨受け部711に投入された硬貨は、かかる搬送路から硬貨処理部70内に常時搬送される。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態のATM1の動作を説明する。
図6、図7は、ATM1において、硬貨の入金を伴う取引が行われる場合の動作について示したシーケンス図である。図6、図7では、ATM1で預入の取引が行われる場合の例について説明している。
まず、ATM1の操作表示部31に表示された、顧客に取引内容を選択させるための画面(以下、「取引選択画面」と呼ぶ)から、顧客により預入取引が選択されたものとする(S101)。
図8は、操作表示部31の画面上に表示される取引選択画面の構成例について示した説明図である。図8に示すように、当該顧客の口座から出金する出金取引を開始するためのボタンB101(「出金」と表示されたボタン)と、当該顧客の口座に入金(預金)する預入取引を開始するためのボタンB102(「預入」と表示されたボタン)と、当該顧客の口座の残高を照会する残高照会の取引を開始するためのボタンB103(「残高照会」と表示されたボタン)とが配置されている。ここでは、顧客により、預入の取引を開始するためのボタンB102が押下されたものとする。
そして、取引選択画面で、預入取引を開始するためのボタンが押下されるとATM1の制御部10は、顧客に対して、キャッシュカードの挿入を促す画面(以下、「カード挿入要求画面」と呼ぶ)を、操作表示部31に表示させる(S102)。
図9は、操作表示部31の画面上に表示されるカード挿入要求画面の構成例について示した説明図である。図9のカード挿入要求画面では、顧客にキャッシュカードの挿入を促すメッセージ(図9では「キャッシュカードを挿入してください」というメッセージ)と、取引中止を受け付けるための取引中止ボタンB201とが配置されている。ここでは、顧客により、カードリーダ40にキャッシュカードが挿入され、当該キャッシュカードに記録されたデータが読み込まれたものとする。
顧客により、キャッシュカードが挿入されると、ATM1の制御部10は、硬貨処理部70を制御して、硬貨の逐次投入の受け入れを開始する。具体的には、硬貨逐次投入口シャッタ714だけをオープンして、硬貨逐次投入口713を開状態とする。さらに、顧客による硬貨の投入状況を監視する等を行う処理(以下、「投入状況監視処理」と呼ぶ)を開始する(S104)。
また、顧客により、キャッシュカードが挿入されると、ATM1の制御部10は、紙幣処理部60を制御して、紙幣の受け入れを開始する。具体的には、紙幣入出金口61のシャッタを開状態として一括投入受付可能な状態とする(S105)。
さらに、ATM1の制御部10は、操作表示部31に、現金(紙幣及び硬貨)投入を促すための画面(以下、「現金投入要求画面」と呼ぶ)を表示させる(S106)。
図10は、操作表示部31の画面上に表示される現金投入要求画面の構成例について示した説明図である。図10に示すように、顧客に現金の投入を要求するメッセージ(図10では、「預入する紙幣、硬貨を投入して、「入金確認」ボタンを押してください」というメッセージ)と、現金投入後に入金確認を受け付けるためのボタンB301(「入金確認」と表示されたボタン)と、取引中止を受け付けるための取引中止ボタンB302とが配置されている。
そして、制御部10は、現金の投入受入れを開始してから(上述のステップS104〜S106の処理が実行されてから)、現金投入要求画面の入金確認のボタンB301が押下された場合、又は、所定のタイムアウト時間(以下、「タイムアウト時間T1」と呼ぶ)が経過した場合には、投入された現金の計数処理を、紙幣処理部60及び硬貨処理部70に実行させる(S107、S108)。そして、紙幣処理部60及び硬貨処理部70では、現金投入受入れを終了して(すべてのシャッタを閉状態として)、投入された現金を取り込んで計数する処理が行われ、計数された結果が制御部10に報告される。
タイムアウト時間T1の長さは限定されないものであるが、例えば、20秒程度とするようにしてもよい。
そして、制御部10は、計数結果に基づいて、今回入金(投入)された現金の額を顧客に確認させるための画面(以下、「入金金額確認画面」と呼ぶ)を、操作表示部31に表示させる(S109)。
図11は、入金金額確認画面の構成例について示した説明図である。図11に示すように、入金金額確認画面では、預入取引に係る口座の情報(口座番号等)を表示するためのフィールドF401と、当該口座に預入(入金)される金額(ステップS108で計数された金額)を表示するためのフィールドF402と、顧客から入金金額の確認したことを受け付けるための入金確認ボタンB401(「入金確認」と表示されたボタン)と、取引を中止するための取引中止ボタンB402とが配置されている。そして、ここでは、入金金額確認画面において、顧客により入金確認ボタンB401が押下されたものとする。
そして、入金金額確認画面において、顧客から入金確認ボタンB401が押下されると、制御部10は、図示しないホストコンピュータとの間で、取引処理(預入取引のトランザクション処理)を行う(S110)。そして、ここでは、制御部10において、預入取引のトランザクション処理が成功したものとする。
そして、ATM1は、図示しないホストコンピュータからトランザクション処理成功という処理結果を得ると、制御部10は、プリンタ50により取引内容を印字した伝票を排出し、カードリーダ40からのキャッシュカード排出を行って(S111)、今回の取引処理を終了する。
図7は、上述のステップS104により開始される、投入状況監視処理について示している。制御部10では、硬貨の逐次投入受入れを開始してから(上述のステップS104〜S106の処理が実行されてから)、現金投入要求画面の入金確認のボタンB301が押下されるまで、又は、タイムアウト時間T1が経過するまでの間、並行して図7のフローチャートの処理が行われる。したがって、図7に示すフローチャートの処理は、現金投入要求画面の入金確認のボタンB301が押下された場合、又は、タイムアウト時間T1が経過した場合には、途中で終了することになる。
制御部10は、硬貨の逐次投入受入れを開始すると、顧客から硬貨逐次投入口713に逐次投入される硬貨の枚数のカウントを開始する(S201)。制御部10が、硬貨逐次投入口713に投入される硬貨の数をリアルタイムにカウントする方法については、硬貨入出金口71の機構的構成に応じた方法を適用することができる。この実施形態の硬貨入出金口71では、硬貨受け部711にセンサ715がつけられているため、制御部10は、センサ715の検知状況に応じて、逐次投入された硬貨の数を把握することができる。
そして、制御部10は、逐次投入された硬貨のカウント数が、所定の数(以下、「閾値C1」と呼ぶ)以上となったか否かを確認する(S202)。硬貨のカウント数が、閾値C1より少なかった場合には、制御部10は、逐次投入される硬貨のカウントを継続してステップS202の処理を繰り返す。一方、硬貨のカウント数が、閾値C1以上となった場合には、制御部10は、硬貨一括投入口シャッタ712をオープンして開状態とし、硬貨投一括入口716から硬貨の一括投入を受入れ可能な状態とする(S203)。その際、硬貨逐次投入口シャッタ714については、閉状態とするようにしてもよい。
なお、閾値C1の値は限定されないものであるが、例えば、15枚程度に設定するようにしてもよい。
また、硬貨のカウント数が、閾値C1以上となった場合、制御部10は、操作表示部31に硬貨の一括投入を行うか否かを顧客に選択させるための画面(以下、「一括投入選択画面」と呼ぶ)を表示させるようにしてもよい。そして、制御部10は、一括投入選択画面表示中の顧客の操作に応じて、硬貨一括投入口シャッタ712をオープンして開状態とし、硬貨投一括入口716から硬貨の一括投入を受入れ可能な状態とするようにしてもよい。
図16は、一括投入選択画面の構成例について示した説明図である。図16に示す一括投入選択画面では、硬貨の一括投入受入れに移行するためのボタンB501(「硬貨一括投入」と表示されたボタン)と、硬貨の逐次投入受入れを継続するためのボタンB502(「このまま継続」と表示されたボタン)とが配置されている。また、図16に示す一括投入選択画面では、顧客に一括投入を行うか否かの選択を促すためのメッセージ(図16では「硬貨の一括投入を行う場合は、「硬貨一括投入」ボタンを押してください。硬貨の一括投入を行わない場合は「このまま継続」のボタンを押してください。」というメッセージ)が配置されている。
そして、一括投入選択画面において、顧客によりボタンB501(「硬貨一括投入」ボタン)が押下されると、制御部10は、硬貨一括投入口シャッタ712をオープンして開状態とし、さらに、操作表示部31を制御して元の画面(上述の図10に示す現金投入要求画面)を表示させる。一方、一括投入選択画面において、顧客によりボタンB502(「このまま継続」ボタン)が押下されると、制御部10は、硬貨の逐次投入受入れ可能な状態を維持(硬貨一括投入口シャッタ712を閉状態に維持)し、さらに、操作表示部31を制御して元の画面(上述の図10に示す現金投入要求画面)を表示させる。
以上のような処理により、制御部10は、硬貨逐次投入口713への硬貨の逐次投入枚数を監視し、投入枚数が閾値C1以上となった場合に、硬貨一括投入口シャッタ712を開状態として、硬貨一括投入口716からの一括投入を受け入れる処理を行う。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
ATM1では、顧客から硬貨の投入を受け入れる際、最初は逐次投入により硬貨を受入れ、硬貨の投入状況に応じて、一括投入受入れに切替える。つまり、硬貨一括投入口シャッタ712を開状態として、硬貨一括投入口716から硬貨を受け入れる。これにより、硬貨の一括投入を可能とする頻度を低減するため、硬貨入出金口71に異物が投入されることを抑制している。また、所定以上の数の硬貨の投入を行う顧客に対しては、硬貨一括投入口716から一括投入受入れを行うことが可能であるので、硬貨逐次投入口713からの逐次投入受入れだけを行う場合と比較して、顧客の操作時間(硬貨の投入に要する時間)を短縮して利便性を向上(利便性の低下を抑制)させることができる。
ATM1では、硬貨入出金口71で、硬貨一括投入口シャッタ712をオープンして開状態とする場合(一括投入により硬貨を受入れ可能な状態に遷移する場合)には、一括投入選択画面を表示して、顧客に、硬貨の一括投入を行うか否かを選択させている。これにより、ATM1では、硬貨の一括投入を希望しない顧客については、硬貨の一括投入を行わないため、硬貨の一括投入を可能とする頻度を低減することができる。また、これにより、ATM1では、顧客の操作に応じたタイミングで、硬貨一括投入口シャッタ712をオープンさせるため、顧客の手が硬貨一括投入口シャッタ712の周辺に存在する状態でオープンさせることを抑制できる。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による取引装置及びプログラムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の取引装置を、ATMに適用した例について説明する。
第2の実施形態のATM1の構成も、第1の実施形態と同様に上述の図1〜図5により示すことができる。以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との差異を説明する。
第1の実施形態のATM1では、顧客から硬貨の投入を受け入れる際、最初は逐次投入受入れを行い、硬貨の投入状況に応じて、一括投入受入れに切替える構成となっている。
以下では、硬貨逐次投入シャッタ714を開状態として硬貨逐次投入口713から硬貨の逐次投入を受け入れる方式を「逐次投入方式」と呼ぶものとする。また、硬貨一括投入口シャッタ712を開状態として硬貨一括投入口716から硬貨の一括投入を受け入れる方式を「一括投入方式」と呼ぶものとする。また、第1の実施形態のように、逐次投入方式と、一括投入方式を併用する方式を「併用投入方式」と呼ぶものとする。
そして、第2の実施形態のATM1では、日時や時間帯等のスケジュールに応じて、硬貨の投入方式を切替えることが可能な構成となっているとなっている。具体的には、第2の実施形態の制御部10では、データ記憶部20に、硬貨投入方式の設定スケジュール(時間帯ごとに適用する硬貨投入方式を定義した情報)を記憶して、顧客から硬貨の投入を受け入れる際に、データ記憶部20の設定スケジュールに従った投入方式を適用するものとする。
データ記憶部20に記憶する設定スケジュールの構成は限定されないものであるが、例えば、図12に示すような構成としてもよい。
図12に示す設定スケジュールは、投入方式ごと(一括投入方式、逐次投入方式)に、対応する時間帯を定義するものとなっている。図12に示す設定スケジュールでは、「平日」(例えば、月曜日から金曜日まで)の「9:00〜17:00」の時間帯は一括投入方式を適用する。それ以外の時間帯は逐次投入方式を適用することについて定義している。図12に示す設定スケジュールでは、説明を簡易にするために概念的な定義内容を記しているが、実際には、詳細な時間帯を表記するようにしてもよい。
データ記憶部20に図12に示す設定スケジュールが記憶された場合、制御部10は、硬貨の投入受入れを開始する際に、設定スケジュールに従った方式で硬貨の受入れを行う。例えば、上述の図6に示すフローチャートのステップS104の処理で、制御部10は、データ記憶部20の設定スケジュールを参照して、設定スケジュールに従った投入方式で硬貨の投入受入れを開始する。なお、この場合併用投入方式は採用されていないので、硬貨の投入状況監視処理(上述の図7のフローチャートの処理)は行われない。
図12に示す設定スケジュールでは、適用する硬貨投入方式は、一括投入方式又は逐次投入方式のいずれかとなっているが、さらに、第1の実施形態のような併用投入方式についても適用可能な構成としてもよい。具体的には、例えば、図13に示すように、設定スケジュールとして、一括投入方式、逐次投入方式、及び併用投入方式のそれぞれについて定義可能な構成としてもよい。図13に示す設定スケジュールでは、一括投入方式については「なし」(利用しない)、逐次投入方式については「併用投入方式で指定された時間帯以外の時間帯」、併用投入方式については「平日9:00〜17:00」となっている。
データ記憶部20に設定する設定スケジュールを、例えば、図12や図13のように構成することで、ATM1が適用する硬貨の投入方式を、設置店舗の都合等により自由に設定することが可能となる。例えば、ATM1が設置されている店舗の営業時間内であれば、硬貨一括投入口716から硬貨の一括投入を受け入れる際に、硬貨受け部711に異物の混入等の問題があったとしても、すぐに係員により異物の除去等の対処を行うことができる。また、ATM1では、ATM1が設置されている店舗の営業時間外(係員が常駐していない時間帯)については、一括投入を無効とし、逐次投入方式だけを適用することが可能であるので、営業時間外における異物の混入を防ぐことができる。
また、大量の硬貨を一括して受け入れることが可能な一括投入方式を適用することにより、硬貨処理部70の収納容量を超える硬貨の投入があった場合、ATM1では、それ以上硬貨の投入を受け入れることができなくなってしまうことになる。しかし、ATM1では、設置されている店舗の営業時間外については、一括投入を無効とし、逐次投入方式だけを適用することが可能であるので、顧客による硬貨の投入量を抑制させ、硬貨処理部70に収納される硬貨の枚数を抑制することができる。ATM1において、逐次投入方式だけが適用されている場合、硬貨の投入に時間がかかるため、顧客は、代わりに紙幣やより高額な硬貨の投入を行う場合があると考えられるからである。
(C)第3の実施形態
以下、本発明による取引装置及びプログラムの第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の取引装置を、ATMに適用した例について説明する。
第3の実施形態のATM1の構成も、第1の実施形態と同様に上述の図1〜図5により示すことができる。以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との差異を説明する。
第1の実施形態のATM1では、硬貨の投入状況監視処理(上述の図7のフローチャートの処理)により、現金の逐次投入受入れを開始してから、タイムアウト時間T1が経過するまでの間に投入された硬貨の枚数が閾値C1以上となった場合に、硬貨一括投入口シャッタ712を開状態とし、硬貨一括投入口716から硬貨の一括投入受入れを行っている。
これに対して第3の実施形態のATM1(制御部10)では、現金の逐次投入受入れを開始してから、一括投入受入れに変更するか否かを判定するためのタイムアウト時間T2(T2<T1)が経過するまで、硬貨が連続して投入され続けた場合に、硬貨一括投入口シャッタ712を開状態とし、硬貨一括投入口716から硬貨の一括投入受入れを行うものとする。硬貨の連続投入が継続しているか否かを判定する方法は限定されないものであるが、ここでは、センサ715の検知状況により、制御部10は硬貨が投入される時間の間隔を算出する。硬貨が投入された時間の間隔(以下、「硬貨投入間隔」と呼ぶ)がタイムアウト時間T3(T3<T2)以下の状態が継続している場合、制御部10は、硬貨の連続投入が継続しているものと判断するものとする。
なお、タイムアウト時間T2、T3の長さは限定されないものであるが、例えば、タイムアウト時間T2を10秒、タイムアウト時間T3を1秒とするようにしてもよい。
図14は、第3の実施形態ATM1(制御部10)が行う投入状況監視処理について示したフローチャートである。
制御部10は、硬貨の逐次投入受入れを開始し、センサ715により硬貨の投入を検知(S301)すると、前回硬貨が投入されてから、今回硬貨が投入されるまでの硬貨投入間隔がタイムアウト時間T3以下であるか否かを判定する(S302)。なお、最初に硬貨が投入された時点では、制御部10は、硬貨投入間隔の計時はできないことから、硬貨投入間隔がタイムアウト時間T3以下であるものとして処理するものとする。
硬貨投入間隔がタイムアウト時間T3を超える場合、制御部10は、顧客による硬貨の連続投入が終了したと判断し、制御部10は、逐次投入受入れ可能な状態を維持するする(S305)。そして、制御部10は、タイムアウト時間T1の経過、又は現金投入要求画面の入金確認のボタンB301が押下されるまでの間、硬貨の逐次投入受入れを行う。
一方、硬貨投入間隔がタイムアウト時間T3以下の場合、制御部10は、硬貨の投入状況監視処理を開始してから(図14のフローチャートの処理を開始してから)タイムアウト時間T2が経過したか否かを判定し(S303)、タイムアウト時間T2を経過していないと判定した場合には、上述のステップS301から動作する。タイムアウト時間T2を経過したと判定した場合には後述するステップS304の処理に移行する。
上述のステップS303で、タイムアウト時間T2を経過したと判定された場合には、制御部10は、所定時間以上(タイムアウト時間T2以上)、硬貨の連続投入が行われたと判定し、硬貨一括投入口シャッタ712をオープンして開状態とし、硬貨投入口716から硬貨の一括投入受入れを開始する(S304)。そして、制御部10は、タイムアウト時間T1の経過、又は現金投入要求画面の入金確認のボタンB301が押下されるまでの間、硬貨の一括投入受入れを行う。
なお、所定時間以上(タイムアウト時間T2以上)、硬貨の連続投入が行われたと判定した場合には、制御部10は、硬貨の一括投入を行うか否かを顧客に選択させるために、一括投入選択画面(第1の実施形態と同様の画面、上述の図16参照)を操作表示部31に表示させるようにしてもよい。そして、制御部10は、顧客がボタンB501(硬貨一括投入ボタン)を押下げたときに、硬貨一括投入口シャッタ712をオープンして開状態とし、硬貨投一括入口716から硬貨の一括投入を受入れ可能な状態とするようにしてもよい。
以上のように第3の実施形態のATM1(制御部10)では、現金の逐次投入受付を開始してから、一括投入受入れに変更するか否かを判定するタイムアウト時間T2(T2<T1)が経過するまで、硬貨が連続して投入され続けた場合に、硬貨一括投入口シャッタ712を開状態とし、硬貨投入口716から硬貨の一括投入受入れを行う。これにより、第3の実施形態のATM1(制御部10)では、多数の硬貨の投入を行おうとする顧客に対してのみ、硬貨の一括投入受入れを行い、それ以外の顧客については逐次投入受入れを行う。したがって、第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に、硬貨入出金口71に異物が投入されることを抑制しつつ、顧客の利便性の低減を抑制している。
(D)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(D−1)上記の各実施形態では、本発明の取引装置をATMに適用する例について説明したが、その他の取引装置に適用するようにしても良い。例えば、取引の際に現金の投入を受ける装置(例えば、交通機関の券売機や、ICカードへのチャージの処理等を行う取引を行う装置)や、自動販売機等に対して本発明の取引装置を適用するようにしても良い。
(D−2)上記の各実施形態において、ATM1が備える硬貨入出金口71は、硬貨の逐次投入を受け入れる場合と、硬貨の一括投入を受け入れる場合で共用されるものであるが、完全に別個独立した入出金口(投入口)を設けるようにしてもよい。
例えば、図15に示すように、ATM1に、硬貨の逐次投入を受け入れることが可能な硬貨入金口71aと、硬貨の一括投入及び出金を行うことが可能な硬貨入出金口71bとを設けるようにしてもよい。硬貨の逐次投入を受け入れることが可能な硬貨入金口71aとしては、例えば、既存のATM、券売機等で用いられる硬貨入金口を適用することができる。なお、図15に示す硬貨入金口71aは、硬貨の入金(投入)のみを受け入れ、出金はできない構成であるものとする。また、硬貨入出金口71bとしては、既存のATM等で用いられる硬貨入出金口を適用することができる。
(D−3)上記の各実施形態では、ATM1では、硬貨入出金口71を用いて硬貨の入金及び出金も行っているが、硬貨の入金のみを受け付ける硬貨入金口として構成するようにしてもよい。その場合、別途硬貨出金口を設けるようにしてもよい。
(D−4)上記の各実施形態のATM1では、硬貨についてのみ、逐次投入又は一括投入を切替えることが可能な構成としているが、紙幣についても同様に逐次投入又は一括投入を切替えることが可能な構成とするようにしてもよい。例えば、紙幣については、上述の図15に示す硬貨入出金の構成と同様に、紙幣の逐次投入を受け入れることが可能な紙幣入金口と、紙幣の一括投入及び出金を行うことが可能な紙幣入出金口とを設けるようにしてもよい。以上のように、本発明の取引装置で投入を受け入れる媒体の種類については限定されないものであり、硬貨、紙幣以外にも、小切手、商品券、交通機関の乗車券等の種々の媒体を適用することができる。
(D−5)第1の実施形態のATM1において、図6に取引動作の一例についてフローチャートで示したが、各種情報入力や、キャッシュカード、現金の投入等の順序については、上述の図6の順番に限定されないものである。例えば、ATM1において、取引選択よりも先にキャッシュカードの入力を要求するようにしてもよい。
(D−6)上記の各実施形態のATM1において、図16に示す一括投入選択画面を表示しているが、例えば、図17に示すように、一括投入選択画面から、ボタンB502(「このまま継続」と表示されたボタン)、及び、ボタンB502に関連するメッセージは省略するようにしてもよい。すなわち、図17に示す操作画面は、顧客に対して、硬貨一括投入口シャッタ712をオープンさせるための操作を要求するだけの内容となっている。
ATM1において、図16に示す一括投入選択画面を、図17に示す操作画面に置き換えた場合でも、顧客の操作に応じたタイミングで、硬貨一括投入口シャッタ712をオープンさせることは可能である。