JP2016121050A - ガラス成形体およびガラス成形体の製造方法 - Google Patents

ガラス成形体およびガラス成形体の製造方法 Download PDF

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【課題】曲面部と平坦部とを有し、部位によって色差が相違しない均一な色調を備える有色ガラスよりなるガラス成形体を提供する。
【解決手段】曲面部100aと平坦部100bとを備え、平坦部100bの波長380nm〜780nmにおける吸光度の最小値が0.003以上であって、曲面部100aと平坦部100bとの色差ΔE*(L***表色系において、ΔE*={(ΔL*+(Δa*+(Δb*1/2で表される数値)が3.2以下であるガラス成形体100。
【選択図】図1

Description

本発明は、曲面部と平坦部とを備えるガラス成形体およびガラス成形体の製造方法に関する。
携帯電話等の電子機器の筐体や自動車用内装パネルは、装飾性、耐傷性、加工性、コスト等の様々な要因を考慮し、樹脂、金属等の素材から適宜のものが選択され、用いられている。
近年、従来用いられていなかったガラスを筐体の素材として用いる試みがされている(特許文献1)。特許文献1によれば、携帯電話等の電子機器において、筐体本体をガラスで形成することにより、透明感のある独特の装飾効果を発揮することができるとされている。
特開2009−61730号公報
携帯電話等の電子機器は、機器の外表面に液晶パネル等の表示装置を備えている。これら表示装置は、高精細、高輝度化の傾向にあり、それに伴い光源となるバックライトも高輝度化の傾向にある。光源からの光は、表示装置側に照射される以外に、機器内部で多重反射し外装されている筐体の裏面に到達することがある。筐体の素材として金属を用いる場合は問題にならないが、前述のような透明性を有するガラスを用いる場合、光源からの光が筐体を透過し、機器外部から認識されるおそれがある。そのため、ガラスを筐体に用いる際には、ガラスに遮光性を持たせるための塗膜等の遮光手段を筐体の裏面に形成することが行われる。
しかし、前述のとおり表示装置の光源の高輝度化に伴い、筐体の裏面(機器側)に十分な遮光性を有する塗膜を形成するには、塗膜を厚膜に形成したり、複数の層からなる膜を形成したり、する必要があり、工程数が多くコストが高くなる要因となる。また、塗膜が均一に形成されない場合、塗膜が薄い箇所のみ光が透過し、局部的に筐体が明るく認識される等の機器の美観を損ねるおそれがある。例えば、筐体が凹状に加工されている場合、凹面側全面に均一な膜を形成する必要があり、十分な遮光性を備える塗膜を均一に形成する工程は複雑であり、コストが高くなる要因となる。
その他、ガラス製の筐体を表示装置のカバー部材に用いる場合、筐体の周囲に遮光性もしくは減光性を持たせるための塗膜等の遮光、減光手段、もしくは着色化するためのフィルム付け等の着色化手段を筐体の裏面に形成することが行われる。このような表示装置は、一部が曲面を有するように曲げられた状態で用いられることがある。
これに対し、有色ガラスからなる筺体を用いることで、遮光性を備える塗膜を不要とすることが考えられる。
しかしながら、有色ガラス製の筐体に曲面部と平坦部とがある場合、筐体の部位によって光透過性が相違するという新たな課題を見出した。これは、意図的に透過光を遮光もしくは減光して用いる筺体や表示装置のカバー部材用ガラスにおいて同様の課題がある。
本発明は、曲面部と平坦部とを有し、部位によって色差が相違しない均一な色調を備える有色ガラスよりなるガラス成形体の提供を目的とする。また、このようなガラス成形体を生産性よく製造する方法を提供する。
本発明者らは、可視光の波長領域の吸光度の最小値が0.003以上の有色ガラスを用い、曲面部と平坦部との色差を一定以下とすることで上記目的を達成できることを見出した。
すなわち、本発明のガラス成形体は、曲面部と平坦部とを備え、前記平坦部の波長380nm〜780nmにおける吸光度の最小値が0.003以上であって、前記曲面部と前記平坦部との色差ΔE*(L***表色系において、ΔE*={(ΔL*+(Δa*+(Δb*1/2で表される数値)が3.2以下であることを特徴とするものである。
また、本発明のガラス成形体の製造方法は、波長380nm〜780nmにおける吸光度の最小値が0.003以上のガラス板を用意する工程と、前記ガラス板を加熱し、次いで圧力差を用いて曲げる方法によって、曲面部と平坦部との色差ΔE*(L***表色系において、ΔE*={(ΔL*+(Δa*+(Δb*1/2で表される数値)が3.2以下である曲面部および平坦部を形成する工程とを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、部位によって色差が相違しない均一な色調のガラス成形体を得られる。また、このようなガラス成形体を生産性よく製造することができる。
本願発明の実施形態に係るガラス成形体の斜視図である。 本願発明の実施形態に係るガラス成形体の断面図(一部を拡大した断面図)である。
以下、図面を参照しながら、実施形態に係るガラス成形体およびガラス成形体の製造方法について詳細に説明する。
[ガラス成形体]
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るガラス成形体100の斜視図を示したものである。図2は、ガラス成形体100の斜視図の切断線(AA矢視)のA−A断面図であり、その一部(平坦部から曲面部への変化部分)を拡大して示したものである。
図1に示すとおり、本実施形態に係るガラス成形体100は、その本体となるガラス基体からなり、このガラス基体は、一方の表面側に湾曲して形成された曲面部100aおよび平坦に形成された平坦部100bを併せて有する。
ガラス成形体100は、可視領域の光を一定以上吸収し所望の色調を呈するよう波長380nm〜780nmにおける吸光度の最小値が0.003以上となるように着色性のガラスを用いて形成される。波長380nm〜780nmにおける吸光度の最小値が0.003以上であれば、所望の色調のガラス成形体を得ることができる。
ガラス成形体100の波長380nm〜780nmにおける吸光度の最小値が0.003未満である場合、ガラス成形体100の可視領域の波長の透過率が高く、所望の色調のガラス成形体100を得ることが難しくなるおそれがある。吸光度は、0.02以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.8以上が特に好ましく、1.0が最も好ましい。また、ガラス成形体100の波長380nm〜780nmにおける吸光度の最大値は、8以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい。
本発明における吸光度の算出方法は、以下のとおりである。ガラス体の両面を鏡面研磨し、厚さtを測定する。このガラス体の分光透過率Tを測定する(例えば、日本分光株式会社製、紫外可視近赤外分光光度計V−570を用いる)。そして、吸光度AをA=−log10Tの関係式を用いて算出する。
ガラス成形体100の波長380nm〜780nmにおける吸光度の最小値を0.003以上とするため、このガラス成形体100を構成するガラス中の着色成分としてMpOq(但し、ここにおいて、Mは、Fe、Se、Co、Cu、V、Cr、Pr、Ce、Bi、Eu、Mn、Er、Ni、Nd、W、Rb、Sn、およびAgから選ばれる少なくとも1種であり、pとqはMとOの原子比である)を、酸化物基準のモル百分率表示で、0.001〜10%含有するガラスを用いることが好ましい。なお、この含有量は、複数の着色成分を用いた場合は、それらの合計量を示すものである。これら着色成分は、ガラスに対し所望の色を着ける成分であり、前述の可視域の波長の光を吸収する作用を備えるものを用いる。ガラス中の着色成分が、0.001%未満であると、ガラスの可視領域の波長の透過率が高く、所望の色調のガラスを得ること難しくなるおそれがある。好ましくは、0.2%以上、典型的には1.0%以上、好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは2%以上である。また、着色成分が10%を超えるとガラスが不安定となるおそれがある。好ましくは、6%以下、典型的には4%以下、好ましくは3%以下である。
また、ガラス中の着色成分は、酸化物基準のモル百分率表示で、Feを0.01〜6%、Coを0〜6%、NiOを0〜6%、MnOを0〜6%、CuOを0〜6%、CuOを0〜6%、Crを0〜6%、Vを0〜6%、Biを0〜6%からなることが好ましい。さらに、Feを必須成分とし、Co、NiO、MnO、Cr、Vから選ばれる適宜の成分を組み合わせて用いてもよい。Feが0.01%未満であると、所望の遮光性が得られないおそれがある。またFeが6%超であると、ガラスが不安定となるおそれがある。また、その他の成分について、それぞれの含有量が6%超であるとガラスが不安定となるおそれがある。
なお、本明細書において、着色成分の含有量は、ガラス中に存在する各成分が表示された酸化物で存在すると仮定した場合の換算含有量をモル百分率表示で示す。たとえば、「Feを0.01〜6%含有する」とは、ガラス中に存在するFeがすべてFeの形で存在するとした場合のFe含有量、すなわちFeのFe換算含有量、が0.01〜6%である、の意である。これは、後述するその他のガラス成分においても同様である。
ガラス成形体100は、曲面部100aおよび平坦部100bを備える。曲面部100aは、ガラス成形体100が所望の形状に成形される際に生じた、成形体表面が曲面形状となっている部分である。また、平坦部100bは、曲面部以外の部位をいうものである。
本実施形態のガラス成形体100は、曲面部100aと平坦部100bとの色調が類似するよう両者の色差ΔE*(L***表色系において、ΔE*={(ΔL*+(Δa*+(Δb*1/2で表される数値)が3.2以下である。なお、曲面部の形成方法については、後述するガラス成形体の製造方法にて詳細に説明する。
ガラス成形体100は、前述のとおり曲面部100aと平坦部100bとの色差ΔE*(L***表色系において、ΔE*={(ΔL*+(Δa*+(Δb*1/2で表される数値)が3.2以下である。L***表色系は、国際照明委員会(CIE)で規格化されたCIE 1976(L***)色空間(CIELAB)である。本願においては、F2光源における明度(L*)、F2光源における反射光の色度(a*、b*)をいう。そして、ΔE*は、以下の各項を用い、前述の数式にて求めることができる。
ΔL*とは、下記(1)式で定義される曲面部のL*と平坦部のL*との差をいう
ΔL*=L*(曲面部)−L*(平坦部) ・・・(1)
Δa*とは、下記(2)式で定義される曲面部のa*と平坦部のa*との差をいう
Δa*=a*(曲面部)−a*(平坦部) ・・・(2)
Δb*とは、下記(3)式で定義される曲面部のb*と平坦部のb*との差をいう
Δb*=b*(曲面部)−b*(平坦部) ・・・(3)
ガラス成形体100は、曲面部100aと平坦部100bとの色差ΔE*が、3.2以下であることで、両者の色調が類似する。そのため、特に裏面側に光源を備え、その光がガラス成形体100を透過する場合、曲面部100aと平坦部100bとで色調に相違がなく、特定の部位のみ色が違うという現象が発生するのを抑制できる。曲面部100aと平坦部100bとの色差ΔE*が、3.2超であると、曲面部100aと平坦部100bとが異なる色調として認識されるため好ましくない。曲面部100aと平坦部100bとの色差ΔE*は、2.4以下が好ましく、1.6以下がより好ましく、0.8以下が特に好ましい。
ガラス成形体100は、曲面部100aの板厚t1と平坦部100bの板厚t2の差Δt(Δt=|((t2−t1)/t2)×100|)が5%以下であることが好ましい。好ましくは、4%以下、さらに好ましくは3%以下である。
このようにすることで、曲面部と平坦部との板厚の差が小さく、両者の色差ΔE*を小さくすることができる。よって、曲面部と平坦部との色調を略同一として認識することができる。
なお、平坦部の板厚t1は、0.5〜5mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい。曲面部の板厚t2は、0.5〜5mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい。
また、ガラス成形体100は、曲面部100aの板厚t1とは、ガラス成形体100の曲面部100aの表面における法線方向の板厚の最小値をいうものである。
ガラス成形体100の曲面部100aは、その曲率半径が1mm〜700mmであることが好ましい。このようにすることで、車載品のように曲面形状が多い部材に対して、ガラス成形体を自然な形で馴染ませることができる。曲面部の曲率半径は、好ましくは、300mm以下であり、より好ましくは100mm以下であり、更に好ましくは30mm以下であり、特に好ましくは10mm以下である。また、曲面部の曲率半径は、1mm未満であると加工の難易度が高い。そのため、曲面部の曲率半径は、好ましくは、2mm以上であり、より好ましくは3mm以上である。
なお、ガラス成形体100の曲面部100aの曲率半径とは、面内における全ての曲面半径の最小曲率半径をいうものである。ガラス成形体100の曲面部100aの曲率半径は、2次元や3次元の形状を測定可能な変位計を用いて測定、算出することができる。
ガラス成形体100は、logη=5.8となる温度で1分間保持した時に、ガラス内部に粒径が50μm以上の結晶が析出しないことが好ましい。このようにすることで、ガラス成形体100の表面に曲面部を成形する際、ガラスに結晶が析出することを抑制することができる。この評価におけるガラス成形体100の冷却速度は、logη=5.8となる温度から室温までを10分以下で降温した場合をいうものである。なお、ガラス成形体100の表面に結晶が析出しても適宜除去できるため、結晶の析出の有無は問わない。また、結晶の粒径とは、不定形状や棒状の場合は、観察される形状の最大長の部分を結晶の粒径と見なす。本明細書において、ηはガラス成形体の素材となるガラスの粘度を示し、logηは粘度ηの自然対数をとった値である。
本発明のガラス成形体100は、ガラスとして、ガラス中に分相や結晶が生じている、いわゆる分相ガラスや結晶化ガラスで形成されていてもよい。着色成分を含有する分相ガラスや結晶化ガラスを用いることで、所望の色調を備えるガラス成形体を得ることができる。また、分相ガラスや結晶化ガラスを前述の化学強化処理することで、高い機械的強度を備えた化学強化ガラス製のガラス成形体を得ることもできる。なお、分相ガラスや結晶化ガラスは、ガラス中の分相や結晶により光が拡散される。そのため、本願発明において分相ガラスや結晶化ガラスを用いる場合、得られるガラス成形体100の波長380nm〜780nmにおける全光透過率が30〜80%であることが好ましい。
結晶化ガラスは、数nmから数μm大の結晶相がガラスマトリックス中に分布しており、母体ガラスの組成を選択することや製造条件、熱処理条件を制御することで、析出する結晶の種類や大きさを変え、所望の色調を備えるガラスを得ることができる。
分相ガラスは、組成の異なる2つ以上のガラス相が分布する。2つの相が連続的に分布するスピノーダルと1つの相がマトリクス中に粒子状に分布するバイノーダルがあり、それぞれの相は1μm以下の大きさである。分相ガラスは、適当な分相領域を求める組成制御と分相処理を行う熱処理条件にて所望の色調を備えるガラスを得ることができる。
ガラス成形体100を形成するガラスとしては、例えば、下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを55〜80%、Alを0.5〜16%、Bを0〜12%、NaOを5〜18%、KOを0〜15%、MgOを0〜15%、CaOを0〜15%、ΣRO(Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)を0〜25%含有するものが挙げられる。
SiOは、ガラスの骨格を構成する成分であり必須である。55%未満ではガラスとしての安定性が低下する、または耐候性が低下する。好ましくは60%以上である。より好ましくは65%以上である。SiOが80%超ではガラスの粘性が増大し溶融性が著しく低下する。好ましくは75%以下、典型的には70%以下である。
Alは、ガラスの耐候性および化学強化特性を向上させる成分であり、必須である。0.5%未満では耐候性が低下する。好ましくは0.7%以上、典型的には1%以上である。
Alが16%超ではガラスの粘性が高くなり均質な溶融が困難になる。好ましくは14%以下、典型的には12%以下である。
化学強化処理によりガラスの表面に高い表面圧縮応力を形成する場合は、Alは5〜16%(ただし、5%を含まない)とすることが好ましい。また、ガラスの溶融性を高め、安価に製造する場合は、Alは0.5〜5%とすることが好ましい。
は、ガラスの耐候性を向上させる成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。Bを含有する場合、4%未満では耐候性向上について有意な効果が得られないおそれがある。好ましくは5%以上であり、典型的には6%以上である。
が12%超では揮散による脈理が発生し、歩留まりが低下するおそれがある。好ましくは11%以下、典型的には10%以下である。
NaOは、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、またイオン交換により表面圧縮応力層を形成させるため、必須である。5%未満では溶融性が悪く、またイオン交換により所望の表面圧縮応力層を形成することが困難となる。好ましくは6%以上、典型的には7%以上である。
NaOが18%超では耐候性が低下する。好ましくは17%以下、典型的には16%以下である。
Oは、ガラスの溶融性を向上させる成分であるとともに、化学強化におけるイオン交換速度を大きくする作用があるため、必須ではないが含有することが好ましい成分である。KOを含有する場合、0.01%未満では溶融性向上について有意な効果が得られない、またはイオン交換速度向上について有意な効果が得られないおそれがある。典型的には0.3%以上である。KOが15%超では耐候性が低下する。好ましくは13%以下、典型的には10%以下である。
RO(Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す)は、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、必須ではないが必要に応じていずれか1種以上を含有することができる。その場合ROの含有量の合計ΣRO(ΣROは、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOを表す)が1%未満では溶融性が低下するおそれがある。好ましくは3%以上、典型的には5%以上である。ΣROが25%超では耐候性が低下する。好ましくは20%以下、より好ましくは18%以下、典型的には15%以下である。
MgOは、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。MgOを含有する場合、3%未満では溶融性向上について有意な効果が得られないおそれがある。典型的には4%以上である。MgOが15%超では耐候性が低下する。好ましくは13%以下、典型的には12%以下である。
CaOは、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。CaOを含有する場合、0.01%未満では溶融性向上について有意な効果が得られない。典型的には0.1%以上である。CaOが15%超では化学強化特性が低下する。好ましくは12%以下、典型的には10%以下である。また、ガラスの化学強化特性を高くする場合は、実質的に含有しないことが好ましい。
化学強化処理によりガラスの表面に高い表面圧縮応力を形成する場合は、CaOは0〜5%(ただし、5%を含まない)とすることが好ましい。また、ガラスの溶融性を高め、安価に製造する場合は、CaOは5〜15%とすることが好ましい。
SrOは、溶融性を向上させるための成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。SrOを含有する場合、1%未満では溶融性向上について有意な効果が得られないおそれがある。好ましくは3%以上であり、典型的には6%以上である。SrOが15%超では耐候性や化学強化特性が低下するおそれがある。好ましくは12%以下、典型的には9%以下である。
BaOは、溶融性を向上させるための成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。BaOを含有する場合、1%未満では溶融性向上について有意な効果が得られないおそれがある。好ましくは3%以上であり、典型的には6%以上である。BaOが15%超では耐候性や化学強化特性が低下するおそれがある。好ましくは12%以下、典型的には9%以下である。
ZrOは、イオン交換速度を大きくする成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。ZrOを含有する場合、5%以下の範囲が好ましく、4%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。ZrOが5%超では溶融性が悪化して未溶融物としてガラス中に残る場合が起こるおそれがある。典型的にはZrOは含有しない。
ZnOは、溶融性を向上させるための成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。ZnOを含有する場合、1%未満では溶融性向上について有意な効果が得られないおそれがある。好ましくは3%以上であり、典型的には6%以上である。ZnOが15%超では耐候性が低下するおそれがある。好ましくは12%以下、典型的には9%以下である。
上記成分以外にも下記の成分をガラス組成中に導入してもよい。
SOは、清澄剤として作用する成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。SOを含有する場合0.005%未満では期待する清澄作用が得られない。好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上である。0.03%以上がもっとも好ましい。また0.5%超では逆に泡の発生源となり、ガラスの溶け落ちが遅くなったり、泡個数が増加したり、するおそれがある。好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%以下である。0.1%以下がもっとも好ましい。
SnOは、清澄剤として作用する成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。SnOを含有する場合、0.005%未満では期待する清澄作用が得られない。好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上である。また1%超では逆に泡の発生源となり、ガラスの溶け落ちが遅くなったり、泡個数が増加したり、するおそれがある。好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.5%以下である。0.3%以下がもっとも好ましい。
ガラスの溶融の際の清澄剤として、前述したSO、SnO以外に、塩化物やフッ化物を適宜含有してもよい。
LiOは、溶融性を向上させるための成分であり、必須ではないが必要に応じて含有することができる。LiOを含有する場合、1%未満では溶融性向上について有意な効果が得られないおそれがある。好ましくは3%以上であり、典型的には6%以上である。LiOが15%超では耐候性が低下するおそれがある。好ましくは10%以下、典型的には5%以下である。
ガラス成形体100は、その成形体の表面に表面圧縮応力層を有していてもよい。これにより、機械的強度の高いガラス成形体を得ることができる。ガラス成形体の表面に形成される表面圧縮応力層の深さ(以下、DOLということがある)は、5μm以上、10μm以上、20μm以上、30μm以上となるように強化処理されていることが好ましい。ガラス成形体を電子機器の外装部材等に用いる場合、ガラス成形体の表面に接触傷がつく確率が高く、その機械的強度が低下することがある。そこで、DOLを大きくすれば、ガラス成形体の表面に傷がついても、割れ難くなる。一方、強化処理後にガラス成形体を切断加工しやすくするために、DOLを70μm以下とすることが好ましい。
ガラス成形体100は、ガラス表面に形成される表面圧縮応力(以下、CSということがある)が、300MPa以上、500MPa以上、700MPa以上、900MPa以上となるように強化処理されていることが好ましい。CSが高くなることで強化ガラスの機械的強度が高くなる。一方、CSが高くなりすぎるとガラス内部の引張応力が極端に高くなるおそれがあるため、CSは1400MPa以下とすることが好ましく、1300MPa以下とすることがより好ましい。
ガラス成形体100は、曲面部の凸形状に成形された側を意匠面としてもよいし、曲面部の凹形状に成形された側を意匠面としてもよい。
なお、意匠面とは、ガラス成形体100を外装部材等に用いた場合に、外部に面している側、つまり製品として外部から視認される面をいう。言い換えれば、機器等に面する側の反対面をいうものである。
(その他の実施形態)
その他の実施形態として、曲面部として片面に凸形状と凹形状の両者を備えてもよい。なお、本明細書における曲面部と平坦部の色差ΔE*は、両者の相違が最も大きくなる部分を測定対象とする。また、ガラス成形体を電子機器の筺体として用いる際に、外部から視認される部分を測定対象とし、他の部材によって隠ぺいされる部分は、測定対象から外すべきである。
[ガラス成形体の製造方法]
次いで、本発明のガラス成形体の製造方法について説明する。
本発明のガラス成形体の製造方法は、波長380nm〜780nmにおける吸光度の最小値が0.003以上のガラス板を用意する工程と、前記ガラス板を加熱し、次いで圧力差を用いて曲げる方法によって、曲面部と平坦部との色差ΔE*(L***表色系において、ΔE*={(ΔL*+(Δa*+(Δb*1/2で表される数値)が3.2以下である曲面部および平坦部を形成する工程とを備える。
波長380nm〜780nmにおける吸光度の最小値が0.003以上のガラス板を用意する工程は、所望の色調のガラス成形体が得られるよう、波長380nm〜780nmにおける吸光度の最小値が0.003以上のガラス板とする。波長380nm〜780nmにおける吸光度の最小値が0.003以上であれば、無色透明以外の所望の色調のガラス成形体を得ることができる。
ガラス板の波長380nm〜780nmにおける吸光度の最小値が0.003未満である場合、ガラス成形体の可視領域の波長の透過率が高く、所望の色調のガラスを得ることが難しくなるおそれがある。吸光度は、0.02以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.8以上が特に好ましく、1.0以上が最も好ましい。
また、この工程で用意するガラス板は、平坦面を備える板状ガラスである。ここでいう平坦面とは、真っ平らな形状のみを意味するものではなく、曲率半径が大きい形状(例えば、曲率半径が700mm超)を備えるガラス板をも含むものである。
これらガラス板を成形する方法は、特に限定されないが、たとえば種々の原料を適量調合し、約1500〜1600℃に加熱し溶融した後、脱泡、撹拌などにより均質化し、周知の、ダウンドロー法、プレス法などによって板状等に成形するか、またはキャストしてブロック状に成形する。そして、徐冷後所望のサイズに切断し、必要に応じ研磨加工を施して製造される。
曲面部および平坦部を形成する工程は、前述のガラス板を用意する工程で用意したガラス板を加熱し、次いで圧力差(大気圧−真空等)を用いて曲げる方法によって、平坦部と曲面部との色差ΔE*(L***表色系において、ΔE*={(ΔL*+(Δa*+(Δb*1/2で表される数値)が3.2以下となるよう両者を形成するものである。
この工程において形成される曲面部は、所望の形状や模様等の任意の形状のものである。そして、曲面部と平坦部との色調が均一となるよう両者の色差ΔE*(L***表色系において、ΔE*={(ΔL*+(Δa*+(Δb*1/2で表される数値)が3.2以下となるように成形する。なお、平坦部とは、必ずしも真っ平らのみを意味するものではなく、曲率半径が大きい形状(例えば、曲率半径が700mm超)も概念として含まれる。
ガラス板に曲面部と平坦部とを形成する工程において、前述のとおり曲面部と平坦部との色差ΔE*(L***表色系において、ΔE*={(ΔL*+(Δa*+(Δb*1/2で表される数値)が3.2以下である。L***表色系は、国際照明委員会(CIE)で規格化されたものである。本願においては、F2光源における明度(L*)、F2光源における反射光の色度(a*、b*)をいう。そして、ΔE*は、以下の各項を用い、前述の数式にて求めることができる。
ΔL*とは、下記(4)式で定義される曲面部のL*と平坦部のL*との差をいう。
ΔL*=L*(曲面部)−L*(平坦部) ・・・(4)
Δa*とは、下記(5)式で定義される曲面部のa*と平坦部のa*との差をいう。
Δa*=a*(曲面部)−a*(平坦部) ・・・(5)
Δb*とは、下記(6)式で定義される曲面部のb*と平坦部のb*との差をいう。
Δb*=b*(曲面部)−b*(平坦部) ・・・(6)
ガラス成形体は、曲面部と平坦部との色差ΔE*が、3.2以下であることで、両者の色調が略均一なものとして認識することができる。これにより、例えばガラス成形体の裏面側から光を照射し、透過光を認識させる場合において、ガラス成形体の色が曲面部や平坦部の部位によって相違することがなく、均一な色調のガラス成形体として認識できる。また、例えば、ガラス成形体により電子機器の内部からの光を遮蔽したい場合、部位によって光の漏れが発生することがない。曲面部と平坦部との色差ΔE*が、3.2超であると、曲面部と平坦部との色調が区別して認識することができるため好ましくない。曲面部と平坦部との色差ΔE*は、2.4以下が好ましく、1.6以下がより好ましく、0.8以下が特に好ましい。
ガラス板に曲面部と平坦部とを形成する工程は、ガラス板を加熱し、次いで圧力差を用いて曲げる方法により行う。圧力差を用いて曲げる方法とは、平坦なガラス板を歪点以上軟化点未満に加熱し、ガラス板の片面に金型を接触させ、ガラス板の片面と金型との間の空間を真空引き等により減圧させることで、金型で押圧することなくガラス板を所望の形状に変形させる方法が挙げられる。このように、ガラス板の成形において、金型接触面と非接触面とを同時に設けてガラス板の一方の面と他方の面に圧力差を加えることで変形させ、金型形状を転写させることで、所望の形状を有したガラス成形体を成形する手法である。形状を有した金型に接触する面がガラス片面となることから、もう一方のガラス表面は非接触で成形することができ、表面粗さなどのガラス表面品質を高く保つことが出来ることを特徴としている。また、曲率半径の小さい曲面部を形成することができる。また、複雑な形状の曲面部を形成する場合であっても、1つの金型で形成することができる。
また、ガラス板に曲面部と平坦部とを形成する工程は、前述の圧力差を用いる方法以外に、以下の圧力差を用いない方法を用いてもよい。
平坦なガラス板を歪点以上軟化点未満に加熱し、ガラス板の自重による変形に加えて、一組の金型で挟みこむことで、所望の形状を有したガラス成形体を成形する方法もある。金型により挟み込む力を最小限に制御することで、成形したガラス表面の品質を高く保つことができる。
また、棒状もしくは塊状のガラス材料を軟化点以上に加熱し、凹凸を有した一組の金型でプレス加工することにより、所望の形状を有したガラス成形体を成形する方法もある。軟化点以上の温度でガラス材料を流動させることで、複雑な形状を有したガラス成形体が成形できる。
また、平坦なガラス板を歪点以上軟化点未満に加熱し、ガラスの自重による変形を利用して、金型に接触させることで、所望の形状を有したガラス成形体を成形する方法もある。圧力差を用いずにガラスの自重のみを駆動力にしているため、金型との接触圧力を低く保つことが出来、金型との接触面の表面品質を高く保つことができる。
また、本発明のガラス成形体の製造方法は、ガラス板に曲面部と平坦部とを形成する工程に次いで、曲面部と平坦部とが形成されたガラス成形体の表面を強化処理によって深さが5μm以上、表面圧縮応力が300MPa以上である表面圧縮応力層を形成する工程を備えてもよい。
ガラス成形体の表面に表面圧縮応力層を形成することで、高い強度を備えるガラス成形体を得ることができる。
ガラス表面に表面圧縮応力層を形成させる手法としては、風冷強化法(物理強化法)や化学強化法を用いることができる。風冷強化法(物理強化法)は、軟化点付近まで加熱したガラス板表面を風冷などにより急速に冷却して行う手法である。また、化学強化法は、ガラス転移点以下の温度で、イオン交換により、ガラス板表面に存在するイオン半径が小さいアルカリ金属イオン(典型的にはLiイオン、Naイオン)を、イオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的にはLiイオンに対してはNaイオンまたはKイオンであり、Naイオンに対してはKイオンである。)に交換する手法である。
化学強化法としては、ガラス表層のNaOと溶融塩中のKOとをイオン交換できるものであれば、特に限定されない。たとえば、加熱された硝酸カリウム(KNO)溶融塩にガラスを浸漬する方法が挙げられる。所望の表面圧縮応力を有する化学強化層(表面圧縮応力層)を、ガラス表面に形成するための条件は、ガラスの厚さによっても異なるが、400〜550℃のKNO溶融塩に、ガラスを2〜20時間浸漬させることが典型的である。また、このKNO溶融塩としては、KNO以外に、例えばNaNOを5%程度以下含有するものであってもよい。
表面圧縮応力層を形成する工程において、ガラスの強化処理によって生じる表面圧縮応力層の深さは、5μm以上とされる。その理由は、以下のとおりである。
ガラス成形体の製造においては、ガラス表面を研磨することがあり、その最終段階の研磨に使用される研磨砥粒の粒径は2〜6μmが典型的である。
このような砥粒によって、ガラス表面には、最終的に最大5μmのマイクロクラックが形成されると考えられる。化学強化処理による強度向上効果を有効なものとするためには、ガラス表面に形成されるマイクロクラックより深い表面圧縮応力層が形成されていることが必要である。このため、化学強化処理によって生じる表面圧縮応力層の深さは5μm以上とされる。また、使用時に表面圧縮応力層の深さを超える傷がつくと、ガラスの破壊につながるため、表面圧縮応力層は厚い方が好ましい。このため、表面圧縮応力層は、より好ましくは8μm以上、さらに好ましくは10μm以上、典型的には13μm以上である。
一方、表面圧縮応力層が深すぎると、内部引張応力が大きくなり、破壊時の衝撃が大きくなる。すなわち、内部引張応力が大きいと、破壊時にガラスが細片となって粉々に飛散する傾向があり、危険性が高まることが知られている。本発明者らによる実験の結果、厚さ2mm以下のガラスでは、表面圧縮応力層の深さが70μmを超えると、破壊時のガラス細片の飛散が顕著となることが判明した。したがって、本発明の化学強化用ガラスにおいては表面圧縮応力層の深さは70μm以下とされる。装飾用ガラスとして用いる場合、その用途にもよるが、たとえば、AV機器・OA機器等の載置型の機器の操作パネルに適用する場合に較べて、表面に接触傷がつく確率が高い携帯用機器等の用途等に適用する場合には、安全をみて表面圧縮応力層の深さを薄くしておくことも考えられる。この場合には、表面圧縮応力層の深さは、より好ましくは60μm以下、さらに好ましくは50μm以下、典型的には40μm以下である。
また、表面圧縮応力層を形成する工程において、ガラス成形体の強化処理によって生じる表面圧縮応力層の表面圧縮応力は300MPa以上であることが好ましく、500MPa以上であることがより好ましく、700MPa以上であることがさらに好ましい。また、表面圧縮応力層の表面圧縮応力は、典型的には1200MPa以下である。
また、曲面部および平坦部を形成する工程は、少なくとも2軸方向以上に曲げる工程を含んでもよい。このような工程を備えることで、複雑な形状のガラス成形体を得ることができる。
以上、本願発明のガラス成形体について一例を挙げて説明したが、本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じて適宜構成を変更することができる。
本願発明のガラス成形体は、例えば、携帯型電子機器に好適に用いることができる。携帯型電子機器とは、携帯して使用可能な通信機器や情報機器を包含する概念である。例えば、通信機器としては、通信端末として、携帯電話、PHS(Personal Handy−phone System)、スマートフォン、PDA(Personal Data Assistance)、PND(Portable Navigation Device、携帯型カーナビゲーションシステム)があり、放送受信機として携帯ラジオ、携帯テレビ、ワンセグ受信機等が挙げられる。また、情報機器として、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯音楽プレーヤー、サウンドレコーダー、ポータブルDVDプレーヤー、携帯ゲーム機、ノートパソコン、タブレットPC、電子辞書、電子手帳、電子書籍リーダー、携帯プリンター、携帯スキャナ等が挙げられる。
その他、自動車用内装部材や家電製品の意匠部材として用いることができる。
なお、これらの例示に限定されるものではない。
以下、本発明の実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
後述する実施例、比較例で用いるガラスA、ガラスBについて説明する。
表1中にモル百分率表示で示す組成になるように、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等一般に使用されているガラス原料を適宜選択し、ガラスとして100mlとなるように秤量した。なお、表1に記載のSOは、ガラス原料にボウ硝(NaSO)を添加し、ボウ硝分解後にガラス中に残る残存SOであり、計算値である。
ついで、この原料混合物を白金製るつぼに入れ、1500〜1600℃の抵抗加熱式電気炉に投入し、約0.5時間で原料が溶け落ちた後、1時間溶融し、脱泡した。その後、溶融した原料をおよそ300℃に予熱した縦約50mm×横約100mm×高さ約20mmの型材に流し込み、約1℃/分の速度で徐冷し、ガラスブロックを得た。このガラスブロックからサイズが40mm×40mm(厚みは表1に記載のとおり)になるように切断、研削し、最後に両面を鏡面に研磨加工し、真っ平らな平坦面を有する板状のガラスを得た。
得られた板状のガラスについて、波長380nm〜780nmの吸光度の最小値、logη=5.8となる温度で1分間保持した時の結晶析出の有無を表1に併記する。
Figure 2016121050
波長380nm〜780nmの吸光度の最小値は、前述のとおりガラスの分光透過率および板厚を用いて算出した。ガラスA、B共に、波長380nmにおける吸光度が最小値であった。
logη=5.8となる温度で1分間保持した時の結晶析出の有無は、以下の方法により確認した。ガラスAもしくはガラスBのカレットを白金皿に載せ、電気炉に入れる。電気炉の炉内温度を各ガラスがlogη=5.8となる温度まで昇温し、1分間保持した後に降温する。電気炉からカレットを取り出し、ガラス表面に結晶析出の発生有無を確認した。
ガラスAおよびガラスBを用いて、以下の方法でガラスの曲げ成形を行った。
例1〜例3は、板状のガラスを加熱し、次いで圧力差を用いて曲げる方法を用いた。
また、例4および例5は、塊状のガラスを軟化点以上に加熱し、凹凸形状の一組の金型でプレス加工する方法を用いた。
例1〜例3の板状のガラスを圧力差で曲げる方法の詳細は以下のとおりである。図1に示すような周囲が持ち上がったトレイ形状を備えるガラス成形体を作成した。まず、内部に貫通孔を備えるトレイのような形状を備える金型を用意する。次いで、板状のガラスと金型との間の空間が密閉状態となるよう板状のガラスを金型上に載置する。次いで、以下の条件(例1:温度695℃、時間:20分、圧力:70kPa、例2:温度735℃、時間:20分、圧力:70kPa、例3:温度735℃、時間:10分、圧力:50kPa)で板状ガラスおよび金型を加熱しながら板状のガラスと金型との間の空間を減圧状態とし、所定時間保持した。このような成形方法により、表2に記載の平坦部および曲面部を備えるガラス成形体を得た。
また、例4、例5の塊状のガラスを加熱し、凹凸形状を有する一組の金型でプレス加工する方法の詳細は以下のとおりである。図1および図2に示す凸部を備えるガラス成形体を作成するため、まず凹凸形状を有する一組の金型を用意する。次いで、塊状(円柱形状)のガラスを予熱炉(350℃、5分間)で加熱する。次いで、加熱炉(1200℃、10分間)で加熱し、ガラスの温度を軟化点以上としてから凹凸形状を有する一組の金型で挟む込みプレスした。このような成形方法により、表2に記載の平坦部および曲面部を備えるガラス成形体を得た。
得られたガラス成形体の平坦部および曲面部について、板厚、色度(L***表色系)を測定した。また、曲面部の曲率半径は、成形に用いた金型の曲率半径を記載した。
板厚は、マイクロメータを用いて測定した。曲面部の板厚は、曲率半径が一番小さい箇所を測定対象とした。
色度は、色差色度計(X−LITE社製、Color i7)を用い、F2光源の反射光により測定した。なお、曲面部の色度は測定ができないため、同一の組成および板厚の平板状ガラスを用いて色度を測定し、曲面部の色度とした。
例1、例2、例4はガラスAを用いた結果であり、例3、例5はガラスBを用いた結果である。なお、例1〜例3は本願発明の実施例であり、例4、例5は比較例である。
表2に各例の詳細結果をまとめて記載する。
なお、曲面部の色度は、板厚が同一の平板状のガラス(例1、例2、例4はガラスA、例3、例5はガラスB)を用意し、そのガラスを測定した結果である。
Figure 2016121050
各例のガラス成形体について、ガラス成形体の凹部側から高輝度光源を照射し、凸部側からガラス成形体の平坦部と曲面部の色見が相違するかを目視で確認した。
結果として、例1、例2、例3は、ΔEが3.2以下であって、肉眼で平坦部と曲面部との色調の相違は感じられなかった。これに対し、例4、例5は、平坦部と曲面部との色調に相違があると感じられた。
100…ガラス成形体、100a…曲面部、100b…平坦部

Claims (10)

  1. 曲面部と平坦部とを備え、前記平坦部の波長380nm〜780nmにおける吸光度の最小値が0.003以上であって、前記曲面部と前記平坦部との色差ΔE*(L***表色系において、ΔE*={(ΔL*+(Δa*+(Δb*1/2で表される数値)が3.2以下であることを特徴とするガラス成形体。
  2. 前記曲面部の板厚t1と前記平坦部の板厚t2の差Δt(Δt=|((t2−t1)/t2)×100|)が5%以下であることを特徴とする請求項1に記載のガラス成形体。
  3. 前記ガラス成形体を構成するガラスは、酸化物基準のモル%表示で、着色成分としてMpOq(但し、ここにおいて、Mは、Fe,Se,Co、Cu、V、Cr、Pr、Ce、Bi、Eu、Mn、Er、Ni、Nd、W、Rb、Sn、およびAgから選ばれる少なくとも1種であり、pとqはMとOの原子比である)を0.001〜10%含有することを特徴とする請求項1または2に記載のガラス成形体。
  4. 前記曲面部は、曲率半径が1mm〜700mmであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガラス成形体。
  5. 前記ガラス成形体を構成するガラスは、logη=5.8となる温度で1分間保持した時に、ガラス内部に粒径が50μm以上の結晶が析出しないことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のガラス成形体。
  6. 前記ガラス成形体を構成するガラスは、酸化物基準のモル%表示で、SiOを55〜80%、Alを0.5〜16%、Bを0〜12%、NaOを5〜18%、KOを0〜15%、MgOを0〜15%、CaOを0〜15%、ΣRO(RはMg、Ca、Sr、Ba、Zn)を0〜25%含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガラス成形体。
  7. 前記ガラス成形体は、深さが5μm以上、表面圧縮応力が300MPa以上である表面圧縮応力層を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のガラス成形体。
  8. 波長380nm〜780nmにおける吸光度の最小値が0.003以上のガラス板を用意する工程と、
    前記ガラス板を加熱し、次いで圧力差を用いて曲げる方法によって、曲面部と平坦部との色差ΔE*(L***表色系において、ΔE*={(ΔL*+(Δa*+(Δb*1/2で表される数値)が3.2以下である曲面部および平坦部を形成する工程とを備えることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  9. 前記曲面部および平坦部が形成されたガラス成形体を強化処理によって深さが5μm以上、表面圧縮応力が300MPa以上である表面圧縮応力層を形成する工程を備えることを特徴とする請求項8に記載のガラス成形体の製造方法。
  10. 前記曲面部および平坦部を形成する工程は、少なくとも2軸方向以上に曲げる工程を含むことを特徴とする請求項8または9に記載のガラス成形体の製造方法。
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