JP2016109499A - 液滴駆動装置およびその製造方法 - Google Patents

液滴駆動装置およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016109499A
JP2016109499A JP2014245494A JP2014245494A JP2016109499A JP 2016109499 A JP2016109499 A JP 2016109499A JP 2014245494 A JP2014245494 A JP 2014245494A JP 2014245494 A JP2014245494 A JP 2014245494A JP 2016109499 A JP2016109499 A JP 2016109499A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
droplet
driving device
electrode
separator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014245494A
Other languages
English (en)
Inventor
大西 慶治
Keiji Onishi
慶治 大西
石川 貴之
Takayuki Ishikawa
貴之 石川
健司 田頭
Kenji Tagashira
健司 田頭
金子 由利子
Yuriko Kaneko
由利子 金子
篤志 表
Atsushi Omote
篤志 表
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2014245494A priority Critical patent/JP2016109499A/ja
Publication of JP2016109499A publication Critical patent/JP2016109499A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)
  • Automatic Analysis And Handling Materials Therefor (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Abstract

【課題】信頼性が高く、温度変化に対しても安定な液滴搬送を行うことができる液滴駆動装置を提供する。【解決手段】第1の基板101と、第2の基板102と、前記第2の基板102上に形成された電極103と、前記電極103の少なくとも一部を覆うように形成された絶縁膜104と、前記第1の基板101と前記第2の基板102とに狭持された枠体105と、液滴112を注入する注入孔109とを備え、前記電極103に電圧を印加することにより前記液滴112を駆動する液滴駆動装置100であって、前記枠体105で囲まれた領域において、前記第1の基板101もしくは前記第2の基板102の一方に接し、他方基板との間に空隙110を備えた、少なくとも1つ以上の分離体106を備えたことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、マイクロ流路デバイスなどに用いられる液滴駆動装置に関し、特にエレクトロウエッティングを用いた液滴駆動装置およびその製造方法に関する。
近年、マイクロ・トータル・アナリシス・システム(μTAS)またはラボ・オン・チップ(LoC;Lab−on−a−chip)と呼ばれるマイクロ流体デバイスが、遺伝子検査などの分野で広く利用されるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。
また、電界を印加することで、液体と固体との界面現象(濡れ性)を制御するエレクトロウエッティング(Electrowetting)という技術が知られている。これは、可変焦点レンズや電子ディスプレイなどへの応用が期待され、上述のマイクロ流体デバイスの微少液滴を搬送するアクチュエータとしても有用である。
図7は、エレクトロウエッティングを用いた従来の液滴駆動装置の構造を示す概略断面図である(例えば、特許文献2参照)。絶縁膜と疎水性膜が形成された第1の基板と、電極、絶縁膜、疎水性膜が形成された第2の基板とを備え、前記第1の基板と前記第2の基板との間に液滴を保持し、液滴の搬送方向に独立して電圧を印加する構成を備えている。この構成により、前記電極に順次電圧を印加することで、液滴を所望の方向に搬送する液滴駆動装置を提供することができる。
国際公開第2013/157666号 特表2006−500596号公報
しかしながら、前記従来の液滴駆動装置では、外部からの機械的な衝撃や、局所的な温度変化による熱応力の影響を受けるため、液滴駆動の正確性や装置の機械的信頼性に課題を有していた。また、液滴の駆動に伴い、液滴駆動装置に充填されている気体や液体の対流の影響を受けるため、精密な液滴駆動が阻害されるという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、様々な環境下において、正確な液滴駆動と信頼性の高い液滴駆動装置、液滴駆動装置の製造方法を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の液滴駆動装置は、第1の基板と、第2の基板と、前記第2の基板上に形成された電極と、前記電極の少なくとも一部を覆うように形成された絶縁膜と、前記第1の基板と前記第2の基板とに狭持された枠体と、液滴を注入する注入孔とを備え、前記電極に電圧を印加することにより前記液滴を駆動する液滴駆動装置であって、前記枠体で囲まれた領域において、前記第1の基板もしくは前記第2の基板の一方に接し、他方基板との間に空隙を備えた、少なくとも1つ以上の分離体を備えたことを特徴としている。
また、前記液滴が、前記第1の基板と、前記第2の基板とに接して移動することを特徴としている。
また、前記第2の基板に、さらに加熱装置または/および冷却装置を備え、前記液滴駆動装置の一部領域が、局所的に加熱または/および冷却されることを特徴としている。
また、前記空隙が、前記分離体と、前記第2の基板との間に形成されたことを特徴としている。
また、前記枠体で囲まれた領域が、前記液滴の動粘度より小さい動粘度を有する液体で充填されたことを特徴としている。
また、前記空隙の高さは、前記分離体の高さよりも小さく、特に、前記分離体高さの20%以下であることを特徴としている。
前記従来の課題を解決するために、本発明の液滴駆動装置の製造方法は、少なくとも、第1の基板または、電極および絶縁膜が形成された第2の基板と、枠体および分離体とを一体化する工程と、前記枠体を前記第2の基板または前記第1の基板と接合するとともに、分離体の少なくとも一部が、前記第2の基板または前記第1の基板と接しないように空隙を形成する工程とを備えたことを特徴としている。
また、前記第1の基板または、電極および絶縁膜が形成された前記第2の基板と、前記枠体および分離体を一体化する工程において、前記第1の基板または前記第2の基板と、第3の基板とを基板接合し、前記第3の基板をエッチング加工することにより、前記枠体および分離体を一体に形成する工程とを備えている。
以上のように、本発明の液滴駆動装置によれば、正確な液滴駆動が可能となり、低電圧で、精密な液滴分注および液滴搬送、液滴混合などの操作が可能となる。また、外部からの機械的応力や内部で発生する熱応力が加わった際にも、枠体うあ分離体、その他の構造体を破損することのない信頼性に優れた液滴駆動装置を提供することができる。
また、擬似的に密閉された流路内で液滴を搬送する際にも、流路内に充填された気体または液体が空隙部を通じて流動するため、前記液滴の搬送路前方および後方の動粘度の差、粘性抵抗の差異を極小化することができ、液滴の正確な搬送が可能となる。特に、前記空隙の高さは、前記分離体の高さよりも小さくすることにより、正確な液滴駆動が可能となる。さらに、前記枠体および前記分離体と、前記第1の基板または第2の基板とを一体に成型することにより、より信頼性の高い液滴駆動装置を提供することができる。
本発明の実施の形態1における液滴駆動装置の断面模式図 本発明の実施の形態1における他の液滴駆動装置の断面模式図 本発明の実施の形態1における流路の形状を示す上面模式図 本発明の実施の形態1における他の液滴駆動装置の断面模式図 本発明の実施の形態2における液滴駆動装置の断面模式図 本発明の実施の形態3における液滴駆動装置の断面模式図 従来の液滴駆動装置の断面模式図
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における液滴駆動装置の断面模式図を示したものである。図1に示す液滴駆動装置100は、第1の基板101と、前記第1の基板101に接着層107を介して接合された枠体105および分離体106と、第2の基板102と、前記第2の基板102上に形成された電極103(駆動電極103aおよび外部電極103b)と、前記電極103の少なくとも一部を覆うように形成された絶縁膜104と、液滴112を注入する注入孔109とを備え、流路111内にある前記分離体106の少なくとも一部が、前記第2の基板102と直接または間接的に接しないように空隙110を備えている。
<第1の基板>
第1の基板101は、例えば、ガラスやサファイア、ポリカーボネートなど、公知の無機材料および有機材料からなる絶縁性材料を用いることができる。また、導電性を有する材料、若しくは、シリコン又は金属を含む半導体材料の上に、酸化膜や窒化膜、高分子材料などの絶縁性材料を被覆した基板を用いてもよい。
<注入孔>
前記第1の基板101には、搬送する液滴や流路内を充填する溶剤を注入する注入孔109が形成されている。第1の基板がガラスやサファイア、シリコンの場合は、ドリルなどの機械加工や、ウエットエッチングやドライエッチングなどの化学加工が適用できる。
また、第1の基板がポリカーボネートなどのプラスチック材料の場合は、後述のように枠体および分離体と併せて、射出成型などの方法により一体成型することも可能である。なお、本実施の形態では注入孔を第1の基板に形成しているが、使用上問題ない場合には、枠体や第2の基板に形成しても良い。なお、注入孔の形状、サイズ、配置に特に制約はなく、例えば直径1mmから5mm程度の垂直加工穴やテーパ付貫通孔などが使用できる。
<撥水膜(図示せず)>
また、特に水溶液系の液滴を駆動する場合には、第1の基板表面に撥水膜(図示せず)を形成し、疎水性処理をすることが好ましい。通常のエレクトロウエッティングを用いた液滴駆動装置の場合は、少なくとも液滴の流路にあたる領域は撥水処理がなされている。以降、特に断りが無い限り、第1の基板に関わらず、液滴の流路にあたる絶縁膜あるいは絶縁材料の表面は撥水膜が形成されているものとする。なお、撥水膜の膜厚に特に制限はないが、均一な撥水効果を得るためには10nmから2μm程度の膜厚が好ましい。もちろん、撥水膜を薄くすれば、より厳密には後述の絶縁膜の厚さとの総和が薄ければ、より低電圧での液滴駆動が可能となることは言うまでもない。
撥水膜の材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene:PTFE)やAF1600(デュポン社製)などのフルオロアルキル鎖を有する化合物を使用することができる。一般的に、撥水膜は、フルオロアルキル鎖を有することにより高い撥水性能を発現する。具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルトリメトキシシラン、パーフルオロデシルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルトリクロロシラン、パーフルオロデシルトリクロロシラン、サイトップ(登録商標)(旭ガラス株式会社製)、又はオプツール(変性パーフルオロポリエーテル)(ダイキン工業株式会社製)などが使用できるが、特に材料を制限するものではない。
また、撥水膜と同様の機能を発現するものとして、フッ化アルキルシラン(FAS)などの自己組織化単分子膜(SAM:Self−Assmbled Monolayer)を使用することも可能であり、この場合には厚さはおよそ1nm程度で、同様の撥水機能を実現できる。
<枠体・分離体>
枠体105および分離体106は、第1の基板101同様に、公知の絶縁性材料や、絶縁性材料を表面被覆した半導体材料や導電性材料を用いることができる。前記第1の基板と、前記枠体および分離体とを構成する材料種は特に同一である必要は無く、液滴駆動装置の目的に応じて選択することができる。また、少なくとも、流路111内に設置される分離体(流路を分割、分離するための構造体)106の表面は、第1の基板表面同様、撥水膜を形成することが好ましい(図示せず)。枠体105および分離体106は、接着層107により第1の基板101と接合されている。接着層にはエポキシ系の紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂などを用いることができるが、特に材料や接着方法を制限するものではない。接着層107の厚さに特に規定はなく、一般の接着剤を用いる場合には、1μmから20μm程度で強固に接着することができる。
枠体および分離体の高さは、液滴のサイズを規定する大きな要因である。より微少な液滴を駆動するためには、枠体の高さを低くする必要があり、例えば数nlから数百nlの液滴を扱うには、枠体の高さが50μmから300μm程度が好ましい。微少な液滴を駆動することで、生体検査などに使用される希少な検体、検査薬を最小限に抑えることができ、被験者の負担低減や検査コスト自体の低減を実現することができる。
このような加工精度の高い液滴駆動装置を得るために、パターン加工された枠体および分離体を、前記第1の基板に接合する工法の他に、後工程で枠体および分離体を形成する第3の基板を、予め第1の基板と接合し、前記第3の基板をウエットエッチングやドライエッチングなどの工法によりパターン形成し、枠体および分離体を形成することも可能である。第3の基板にシリコンを用いる場合には、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)で広く使用されるSi深堀りエッチング手法により、垂直形状の分離体を形成することができ、より微少な液滴を精密に搬送することが可能となる。
図2は、本発明の実施の形態1における他の液滴駆動装置の断面模式図であり、前記MEMSプロセスを用いている。例えば、約500μm厚さのガラスからなる第1の基板101に、約600μm厚さのシリコンからなる第3の基板を、高温下で電圧を印加することにより、ウエハ形状のまま陽極接合する。接合方法に特に制約はなく、表面活性化接合など、通常のウエハ接合技術を用いることができる。このようなウエハ接合技術を用いることで、第1の基板と第3の基板とを原子レベルで接合することができ、強固で信頼性の高い接合体を得ることができる。
次に、前記第3の基板を所定の厚さ、例えば100μmになるまで、化学機械研磨(CMP)により薄板化する。次に、薄板化された前記第3の基板を所定の形状になるように、Si深堀エッチングによりエッチング加工し、枠体および分離体を形成し、第1の基板と一体化する。このような工程を利用することで、接着層なしに第1の基板と、枠体および分離体とを一体成型でき、高精度で、高精細な液滴駆動装置を提供することができる。
図3は、本発明の実施の形態1における流路の形状を示す上面模式図であり、前記分離体のパターンによって規定される流路パターンを模式的に示したものである。ここで、液滴を駆動するための電極は図示していないが、通常の液滴駆動装置同様の電極配置をとることができる。図3に示すように、流路を規定する壁部のレイアウトにより、液滴の流路を他の流路と分離し、液滴駆動装置に充填された気体や液体の対流の影響を防止することができ、前記第1の基板が外圧により撓んだ場合の支柱205としても機能させることができる。
例えば、注入孔に対応する液浴201aに検体となる液体を注入し、液浴201bにはバッファ溶液を注入する。それぞれの液浴から、必要分量の微少液滴を分注し、流路202に形成された電極により、混合部203に双方の液滴を搬送し混合する。その後、試薬が入れられた液浴204に混合液体を分注、搬送することで検体の試験を行うことができる。なお、分離体により閉空間を形成する必要ななく、随所に開口部(分離体が連続していない部分)があっても良い。分離体は、液滴の周囲に充填された気体や液体の流れの影響を回避することができるため、必要に応じて配置される。図2は、本実施の形態を説明するための模式図であり、実際のレイアウトや機能を制限するものではない。
また、混合部などの流路の一部にヒーターを配置することも可能であり、DNA(Deoxyribonuceleic Acid)の増幅などに広く利用されるPCR(Polymerase Chain Reaction)機能を併せ持たせることができる。さらに、MEMSプロセスにより微細なピラー(支柱)を密に配置すれば、フィルターとしての機能を実現することもできる。
<第2の基板>
第2の基板102は、第1の基板101同様、公知の絶縁性材料や、絶縁性材料を表面被覆した半導体材料や導電性材料を用いることができる。前記第1の基板と、あるいは前記枠体および分離体と、前記第2の基板の種類は特に同一である必要は無く、液滴駆動装置の目的に応じて選択することができる。
<電極>
第2の基板上には、液滴を駆動するための駆動電極103aおよび外部との電気的導通を図るための外部電極103bが形成されている。電極103には、電気伝導性を有する公知の材料を用いることができる。例えば、電極を金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、チタニウム(Ti)、クロム(Cr)などの金属単層膜、合金膜あるいは積層膜で形成することができる。もちろん、光透過性が必要な用途などでは、電極103として、ITO(Indium Tin Oxide)やZnOを含む透明導電性材料を用いることができる。電極の形成方法にも特に制約はなく、真空蒸着法やスパッタ法、めっき法などの公知の成膜方法を用いることができ、通常のフォトリソグラフィ手法により容易にパターン形成できる。また、第2の基板として、ガラスエポキシ基板などの汎用の回路基板を用いることができ、この場合には、電極として銅箔を用いても本発明の効果を損なうことはない。
電極103の厚みは、100nm(0.1μm)から10μm程度が好ましく、後述の絶縁膜で表面段差が平坦化されるのであれば、これより厚くてもよい。また、電極上に絶縁膜を形成した後、ケミカル・メカニカル・ポリッシング(CMP)などの手法で平坦化する場合も、電極の厚みはこの範囲で制約されるものではない。
一方で、電極膜厚が薄いほど、絶縁膜を形成した後の液滴搬送路表面の平坦性を保てる。特に、ナノリットル(nl)オーダーの微少液滴を扱う場合には、電極膜厚を100nmから1μmの厚さにすることが好ましい。特に、半導体プロセスを用いて電極を形成、パターニングする場合には、この範囲の厚みが好ましい。また、隣あった駆動電極105aは、それぞれの電極幅よりも小さい空隙をもって配置され、その電極幅は搬送する液滴の大きさによって規定される。これら、駆動電極に外部より制御電圧を印加することにより、液滴を駆動することができる。なお、駆動する電極極数が多い場合には、配線の複雑性を回避するため、多層配線構造としてもよいことは言うまでもない。
<絶縁膜>
前記電極103を含む前記第2の基板102の少なくとも一部には、絶縁膜104が形成されている。絶縁膜104には、公知の誘電体材料を用いることができ、高分子化合物、無機化合物の各種酸化物、複合酸化物、又は窒化物などの絶縁材料が使用できる。電極103に電圧を印加し液滴を駆動する場合、低電圧液滴駆動のためには、絶縁膜(誘電体)104は、大きい静電容量を有すると同時に、電極103へのカバレッジ性、十分な絶縁耐圧を備えることが好ましい。これらのことから、誘電体の厚さは100nmから2μmの厚みで、特に、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの比誘電率の高い無機酸化膜材料を用いることが好ましい。
絶縁体を高分子化合物で構成する場合には、ディッピング法、スプレーコート法、又はスピンコート法などの公知の成膜方法を用いることができる。また、絶縁体を無機化合物で構成する場合には、スパッタ法、原子層堆積方(ALD)法、化学気相成長(CVD)法など、公知の様々な成膜方法を使用することができる。
<空隙>
枠体105および分離体106が一体形成され、撥水処理された第1の基板101と、電極103および絶縁体104(および撥水膜)が形成された第2の基板102とは、接着層108を介して接合される。接着層108には、接着層107と同様に、エポキシ系の紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂などを用いることができるが、特に材料や接着方法を制限するものではない。枠体と分離体との高さを同等にしておけば、分離体と第2の基板上(に形成された絶縁体)との間に、接着層108と同等の厚みを持つ空隙110を形成することができる。
通常、液滴は第1の基板と、第2の基板とに狭持され搬送される。なお、図1では球形に近い液滴を示しているが、実際にはもう少し押しつぶされた形状(太鼓型に近い形状)で搬送される。したがって、液滴駆動装置の流路に沿って液滴を駆動する場合、流路を充填している気体や液体の対流によって、液滴に外力が加わるため、動作電圧の変動など液滴駆動に正確性に影響を及ぼすことがある。このような不安定な液滴挙動を回避するために、適宜分離体を配置することが望ましい。しかしながら、分離体により局所的な閉鎖空間で液滴を駆動する際でも、特に、複数の液滴を同一の流路を駆動させる場合や、液滴駆動装置が局所的に過熱または冷却される場合、流路の幅が一様でない場合などおいて、液滴の駆動方向前後で、前記装置内に充填された気体や液体から受ける粘性抵抗に差異が生じ、安定かつ精密な液滴駆動が困難となる。
ここで、液滴駆動装置に充填する気体としては、通常は大気(空気)である。また、充填する液体としては、2cSt程度の低動粘度のシリコーンオイルなどを用いることができる。なお、充填する気体および液体には、特に制約はない。
分離体と第2の基板との間に空隙110を設けることで、前記充填された気体や液体は、前記空隙110を通じて流動し、液滴の駆動方向前後での粘性抵抗の差を極小化することができ、精密で安定した液滴駆動を実現することができる。また、複数の液滴を同時に駆動する場合においても、互いの液滴への影響を極小化することができ、液滴の搬送密度を高めることができ、高速で正確な液滴駆動装置提供することができる。
なお、駆動される液滴(通常、水溶液であることが多い)に比べて、充填される液体の粘度は小さいことが好ましい。充填された気体や液体が前記空隙110を通じて対流し、駆動すべき液滴が前記空隙110には浸透しないようにするため、前記空隙の高さは、1μmから20μm程度が好ましい。さらに、分離体の高さ(液滴の高さにほぼ等しい)に対しては、空隙の高さはその10%以下であることが好ましい。
また、局所的に加熱または冷却される機構がある場合、前記空隙により熱応力が開放されるため、分離体が破壊されるなどの不具合がなく、信頼性の高い液滴駆動装置を提供することができる。加熱・冷却機構は、第2の基板102上に、例えば、図3における混合部203の領域などに、ヒーターやペルチェ素子などを配置することで実現できる(図示せず)。液滴駆動装置は、PCRのように昇降温が繰返し行われる場合や、高温部と低温部が隣接して配置される場合など、液滴駆動装置内に大きな温度勾配が生じる状態で使用されることがある。このような場合、第1の基板と第2の基板、あるいは分離体と第2の基板との材料種が異なる場合でも、空隙により熱応力が発生することなく、分離体の破壊などが生じることがなく、信頼性の高い液滴駆動装置を得ることができる。特に、加熱・冷却機構が形成された基板側に空隙を備えることで、その効果はより一層顕著となる。
<上部に電極>
図4は、本発明の実施の形態1における他の液滴駆動装置の断面模式図を示したものである。図1では第2の基板に形成された電極により液滴を駆動しているが、図4に示すように、第1の基板101にも電極103aを配置し、液滴の上下(天地)間に電圧を印加することで液滴を駆動しても同様の効果が得られる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における他の液滴駆動装置の断面模式図を示したものである。図5に示す液滴駆動装置100は、第1の基板101と、第2の基板102と、前記第2の基板102上に形成された電極103(駆動電極103aおよび外部電極103b)と、前記電極103の少なくとも一部を覆うように形成された絶縁膜104と、前記絶縁膜104に接着層108を介して接合された枠体105および分離体106と、液滴112を注入する注入孔109とを備え、流路111内にある前記分離体106の少なくとも一部が、前記第1の基板101と直接または間接的に接しないように空隙110を備えている。
本実施の形態では、枠体および分離体を絶縁膜上に接合しているが、絶縁性の接合材料であれば、電極103(103b)上に接合しても良い。このような構造を備えることにより、前記第1の実施の形態同様、複数の液滴駆動や、局所加熱などが行われる場合においても、低電圧で、正確な液滴駆動が可能となり、熱衝撃や機械衝撃に対して信頼性の高い液滴駆動装置を提供することができる。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における他の液滴駆動装置の断面模式図を示したものである。図6に示す液滴駆動装置100は、第1の基板101と、前記第1の基板101に直接接合された枠体105および分離体106と、第2の基板102と、前記第2の基板102上に形成された電極103(駆動電極103aおよび外部電極103b)と、前記電極103の少なくとも一部を覆うように形成された絶縁膜104と、液滴112を注入する注入孔109とを備え、流路111内にある前記分離体106の少なくとも一部が、前記第1の基板104と直接または間接的に接しないように空隙110を備えている。
予め、第1の基板と、枠体および分離体を構成する第3の基板(図示せず)とを、陽極接合や表面活性化接合などのウエハ接合技術により一体化し、第3の基板をエッチング加工することにより、枠体および分離体が一体化された第1の基板を得ることができる。
第2の基板に形成された絶縁膜は、通常のエッチング加工により、流路111の部分に凹部が形成されており、絶縁膜の未エッチング領域で前記第1の基板と、前記枠体が接合されている。接合は陽極接合が好ましく、これにより気密性の高い液滴駆動装置を提供することができる。
以上の様に、接着層を介さない接合方法を用いる場合には、予め絶縁体に凹部加工を施すことにより、微少な空隙110を形成することができる。
このような構造を備えることにより、前記第1の実施の形態同様、低電圧で、正確な液滴駆動が可能となり、熱衝撃や機械衝撃に対しても信頼性の高い液滴駆動装置を提供することができる。
本発明に係る液滴駆動装置は、第1の基板と、前記第1の基板に接合された壁部と、第2の基板と、前記第2の基板上に形成された電極と、前記電極の少なくとも一部を覆うように形成された絶縁膜と、液滴を注入する注入孔とを備え、前記電極で規定された流路に沿って前記液滴を搬送する液滴駆動装置であって、前記流路内にある前記壁部の少なくとも一部が、前記第1の基板と接しないように空隙を設けた構成となっているため、信頼性の高い液滴駆動装置を提供することができる。
また、少なくとも、第1の基板と、流路を仕切るための壁部を一体化する工程と、第2の基板上に、電極および絶縁膜を形成する工程と、前記壁部の周縁部を前記第2の基板と接合するとともに、前記流路内にある前記壁部の少なくとも一部が、前記第1の基板と接しないようにする空隙を形成する工程とを備えることにより、信頼性の高い液滴駆動装置の製造方法を提供することができる。
100 液滴駆動装置
101 第1の基板
102 第2の基板
103a 電極
103b 電極
104 絶縁膜
105 枠体
106 分離体
107 接合層
108 接合層
109 注入孔
110 空隙
111 流路
112 液滴

Claims (8)

  1. 第1の基板と、第2の基板と、前記第2の基板上に形成された電極と、前記電極の少なくとも一部を覆うように形成された絶縁膜と、前記第1の基板と前記第2の基板とに狭持された枠体と、液滴を注入する注入孔とを備え、前記電極に電圧を印加することにより前記液滴を駆動する液滴駆動装置であって、前記枠体で囲まれた領域において、前記第1の基板もしくは前記第2の基板の一方に接し、他方基板との間に空隙を備えた、少なくとも1つ以上の分離体を備えたことを特徴とする液滴駆動装置。
  2. 前記液滴が、前記第1の基板と、前記第2の基板とに接して移動することを特徴とする請求項1記載の液滴駆動装置。
  3. 前記第2の基板に、さらに加熱装置または/および冷却装置を備え、前記液滴駆動装置の一部領域が、局所的に加熱または/および冷却されることを特徴とする請求項1記載の液滴駆動装置。
  4. 前記空隙が、前記分離体と、前記第2の基板との間に形成されたことを特徴とする請求項1記載の液滴駆動装置。
  5. 前記枠体で囲まれた領域が、前記液滴の動粘度より小さい動粘度を有する液体で充填されたことを特徴とする請求項1記載の液滴駆動装置。
  6. 前記空隙の高さは、前記分離体の高さよりも小さく、特に、前記分離体高さの20%以下であることを特徴とする請求項1記載の液滴駆動装置。
  7. 少なくとも、第1の基板または、電極および絶縁膜が形成された第2の基板と、枠体および分離体とを一体化する工程と、前記枠体を前記第2の基板または前記第1の基板と接合するとともに、分離体の少なくとも一部が、前記第2の基板または前記第1の基板と接しないように空隙を形成する工程とを備えたことを特徴とする液滴駆動装置の製造方法。
  8. 前記第1の基板または、電極および絶縁膜が形成された前記第2の基板と、前記枠体および分離体を一体化する工程において、前記第1の基板または前記第2の基板と、第3の基板とを基板接合し、前記第3の基板をエッチング加工することにより、前記枠体および分離体を一体に形成する工程とを備えたことを特徴とする請求項7記載の液滴駆動装置の製造方法。
JP2014245494A 2014-12-04 2014-12-04 液滴駆動装置およびその製造方法 Pending JP2016109499A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014245494A JP2016109499A (ja) 2014-12-04 2014-12-04 液滴駆動装置およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014245494A JP2016109499A (ja) 2014-12-04 2014-12-04 液滴駆動装置およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016109499A true JP2016109499A (ja) 2016-06-20

Family

ID=56123714

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014245494A Pending JP2016109499A (ja) 2014-12-04 2014-12-04 液滴駆動装置およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016109499A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018049399A1 (en) * 2016-09-12 2018-03-15 Commscope Technologies Llc Active optical switch system with anti-wetting coating
WO2019026812A1 (ja) * 2017-08-03 2019-02-07 シャープ株式会社 アクティブマトリクス基板、それを備えた微小流体装置およびそれらの製造方法
WO2020079767A1 (ja) * 2018-10-17 2020-04-23 株式会社日立ハイテクノロジーズ 生化学用カートリッジ及び生化学分析装置
CN113056436A (zh) * 2018-11-20 2021-06-29 国立研究开发法人产业技术综合研究所 液体操作装置

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018049399A1 (en) * 2016-09-12 2018-03-15 Commscope Technologies Llc Active optical switch system with anti-wetting coating
US11360271B2 (en) 2016-09-12 2022-06-14 Commscope Technologies Llc Active optical switch system with anti-wetting coating
WO2019026812A1 (ja) * 2017-08-03 2019-02-07 シャープ株式会社 アクティブマトリクス基板、それを備えた微小流体装置およびそれらの製造方法
WO2020079767A1 (ja) * 2018-10-17 2020-04-23 株式会社日立ハイテクノロジーズ 生化学用カートリッジ及び生化学分析装置
CN112585475A (zh) * 2018-10-17 2021-03-30 株式会社日立高新技术 生物化学用盒和生物化学分析装置
GB2591369A (en) * 2018-10-17 2021-07-28 Hitachi High Tech Corp Biochemical cartridge and biochemical analysis device
JPWO2020079767A1 (ja) * 2018-10-17 2021-09-02 株式会社日立ハイテク 生化学用カートリッジ及び生化学分析装置
JP7022844B2 (ja) 2018-10-17 2022-02-18 株式会社日立ハイテク 生化学用カートリッジ及び生化学分析装置
GB2591369B (en) * 2018-10-17 2022-09-21 Hitachi High Tech Corp Biochemical cartridge and biochemical analysis device
CN113056436A (zh) * 2018-11-20 2021-06-29 国立研究开发法人产业技术综合研究所 液体操作装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8883014B2 (en) Monolithically formed EWOD device and method of making the same
US11123729B2 (en) Directing motion of droplets using differential wetting
Gong et al. Direct-referencing two-dimensional-array digital microfluidics using multilayer printed circuit board
JP5964881B2 (ja) プリント回路基板上の液滴操作装置及び方法
Fan et al. Droplet-on-a-wristband: Chip-to-chip digital microfluidic interfaces between replaceable and flexible electrowetting modules
JP2016109499A (ja) 液滴駆動装置およびその製造方法
US20080210558A1 (en) Electrowetting Pumping Device And Use For Measuring Electrical Activity
US8679423B2 (en) Method for producing reconfigurable microchannels
US7591936B2 (en) Microfluidic device wherein the liquid/fluid interface is stabilized
JP2016153725A (ja) 液滴輸送装置の駆動方法
JP5103614B2 (ja) 微量液体分取デバイス
US20070171257A1 (en) Thermo-buckled micro actuation unit made of polymer of high thermal expansion coefficient
WO2017164253A1 (ja) エレクトロウェッティング装置及びエレクトロウェッティング装置の製造方法
US10379075B2 (en) Sample collection device and manufacturing method thereof
Lee et al. Microelectromechanical systems and packaging
US11992837B2 (en) Fluidic cavities for on-chip layering and sealing of separation arrays
JP2005257569A (ja) 電気的制御可能な微量液滴輸送デバイス
WO2020186360A1 (en) Foldable digital microfluidic (dmf) device using flexible electronic platform and methods of making same
JP2018048950A (ja) 分析チップ
KR101208303B1 (ko) 미세 토출기 및 이의 제조방법
CN108195805B (zh) 微流体感测元件及其制作方法
Liu et al. A chip scale nanofluidic pump using electrically controllable hydrophobicity
US11110455B2 (en) Microfluidic device for electrically activated passive capillary stop valve
JP2006142242A (ja) マイクロ液体制御デバイス
Zhang Integration of a polarizable interface for electrophoretic separation in a microfluidic device

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20160520