JP2016108265A - 持続性抗酸化剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリフェノールの効果の持続性と呈味改善を図った持続性抗酸化剤及び持続的抗酸化作用を有する経口組成物用添加剤の提供。【解決手段】黒大豆由来のポリフェノールと、食用として使用される2価の鉄イオンとの複合体を形成させて得られる、ポリフェノールの生理活性、特に抗酸化作用を長時間持続させ、さらにポリフェノール特有の強い苦味、および収斂味をほとんど呈さない持続性抗酸化剤及び持続的抗酸化作用を有する経口組成物用添加剤。【選択図】なし
Description
本発明は、経口摂取する抗酸化剤、特に黒大豆抽出物の健康効果の持続性改良および呈味改良に関する。
近年、食生活の欧米化や運動不足などによるメタボリックシンドロームの増加が問題になっており、特に、体内で発生する過剰な活性酸素が様々な疾病の誘引となることが知られている。
酸素を呼吸する生物の体内では、吸収した酸素の1〜2%が活性酸素になると言われている。その他にも我々は空気汚染や紫外線、薬物、喫煙等によっても活性酸素による酸化ストレスに晒されている。肌の老化からアルツハイマー病やガンなどの重篤な病気まで、活性酸素の影響はきわめて大きなものであり、一説には全ての疾病の85%に活性酸素が関与していると言われている。通常は、発生した活性酸素は、生体に備わる抗酸化酵素の働きによって消去されるが、抗酸化酵素の活性が弱まったり、発生する活性酸素が過剰であったりすると、消去しきれなくなった活性酸素が有害な物質として身体の様々な部位を傷害する。例えば、脂肪細胞は細胞内に脂肪を蓄積し肥大すると活性酸素を発生させ、これが代謝異常、つまりメタボリックシンドロームの原因になる。また血管の細胞に酸化ストレスが生じると、血管機能の低下を引き起こし、心血管病や脳梗塞の原因となる。そこで、過剰に発生した活性酸素を消去する物質の開発が望まれ、すでにビタミンCを始め様々な抗酸化剤が使用されている。
経口抗酸化剤としては、ビタミンC、Eの他に、植物が産生するポリフェノール類があり、化学構造中のOH基により活性酸素を捕捉することが知られている。ポリフェノール類の抗酸化作用を訴える健康食品や医薬品は数多く存在し、世界中で広く利用されている。
しかしながら、ポリフェノール類は生体吸収率が低く、また滞留時間も短いため、効果的に抗酸化作用を得るためには、頻繁かつ多量の摂取が必要となる。ポリフェノールの生理活性の効率化を図る方法としては、緑茶ポリフェノールまたは茶カテキンを乳タンパク質と反応させ、複合体を形成させることで血圧低下作用を長時間持続させる方法(特許文献1)や、タンニンとアルブミンあるいはゼラチンを反応させて生じた複合体を抗酸化剤として使用する方法(非特許文献1)、植物抽出物と1価または2価の金属イオン、およびポリフェノールを併用することで試験管内における抗酸化作用が上昇すること(特許文献2)が知られている。
Riedl, K et al.,J. Aglic. Food Chem., 49, 4917-4923 (2001)
ポリフェノールは高い抗酸化性を有する物質群であり、これらを摂取することは健康増進において非常に重要な役割を果たす。しかしながら、一般にポリフェノールの生体吸収率は非常に低く、その効果には持続性がないため、効果を得るためには頻繁かつ多量に摂取する必要がある。しかし、ポリフェノールは唾液中のタンパク質と反応し凝集することにより強い収斂味を呈するため、これらを頻繁にまたは多量に摂取するためには、食品の形状としてハードカプセルやソフトカプセル、錠剤などにされる場合が多い。高齢化や医療費の増大が懸念される今後の社会において、食生活により健康を増進する必要があり、ポリフェノールの機能性をより有効かつ利便性の高い形で活用する方法が求められている。本発明の目的は、ポリフェノールの効果の持続性を図ることと、呈味改善を図ることにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべくポリフェノール類の効果の持続性に関して検討を行なった結果、黒大豆由来のポリフェノールと、鉄イオンとの複合体を形成させることにより、ポリフェノールの生理活性を長時間持続させうること、さらにその複合体はポリフェノール特有の強い収斂味をほとんど呈さないことを見出し、本発明であるポリフェノールと鉄イオンの複合体を完成させるに至った。本発明は、下記の実施形態を有するものである。
(I)持続性抗酸化剤
I−1.黒大豆由来のポリフェノールと、鉄イオンの複合体を有効成分とする持続性抗酸化剤。
I−2.経口投与形態を有するものであるI−1に記載する持続性抗酸化剤。
I−3.錠剤、丸剤、カプセル剤(硬質カプセル、軟質カプセル)、散剤、顆粒剤、トロ−チ錠、液剤、及びゼリー剤から選択される製剤形態を有する、I−1またはI−2のいずれかに記載する持続性抗酸化剤。
I−4.飲食物、好ましくは水または清涼水と組み合わせて使用されるI−1〜I−3のいずれかに記載する持続性抗酸化剤。
I−1.黒大豆由来のポリフェノールと、鉄イオンの複合体を有効成分とする持続性抗酸化剤。
I−2.経口投与形態を有するものであるI−1に記載する持続性抗酸化剤。
I−3.錠剤、丸剤、カプセル剤(硬質カプセル、軟質カプセル)、散剤、顆粒剤、トロ−チ錠、液剤、及びゼリー剤から選択される製剤形態を有する、I−1またはI−2のいずれかに記載する持続性抗酸化剤。
I−4.飲食物、好ましくは水または清涼水と組み合わせて使用されるI−1〜I−3のいずれかに記載する持続性抗酸化剤。
(II)持続的抗酸化作用を有する経口組成物用添加剤
II−1.黒大豆由来のポリフェノールと、鉄イオンの複合体を有効成分とする、持続的抗酸化作用を有する経口組成物用添加剤。
II−2.飲食品用の添加剤であるII−1に記載する経口組成物用添加剤。
II−3.錠剤、丸剤、カプセル剤(硬質カプセル、軟質カプセル)、散剤、顆粒剤、トロ−チ錠、液剤、及びゼリー剤から選択される製剤形態を有する、II−1またはII−2のいずれかに記載する経口組成物用添加剤。
II−1.黒大豆由来のポリフェノールと、鉄イオンの複合体を有効成分とする、持続的抗酸化作用を有する経口組成物用添加剤。
II−2.飲食品用の添加剤であるII−1に記載する経口組成物用添加剤。
II−3.錠剤、丸剤、カプセル剤(硬質カプセル、軟質カプセル)、散剤、顆粒剤、トロ−チ錠、液剤、及びゼリー剤から選択される製剤形態を有する、II−1またはII−2のいずれかに記載する経口組成物用添加剤。
本発明の経口抗酸化剤は、鉄イオンとの複合体を形成させることにより黒大豆ポリフェノールの生理活性の持続時間を延長させることができる。また、本発明の持続的抗酸化作用を有する経口組成物用添加剤は、経口組成物に対して持続的抗酸化作用を付与または強化するために用いることができる。つまり、本発明の添加剤は、持続的抗酸化作用を有する経口組成物の調製に使用することができ、斯くして、老化やストレス、偏った食生活等によって生じる酸化ストレスを抑制するかまた改善する効果に優れた持続的抗酸化作用を有する経口組成物(経口医薬品、経口医薬部外品、飲食品)を調製することができる。さらに、本発明の持続性抗酸化剤および添加剤は、ポリフェノール特有の強い渋み、苦味を大幅に低減させることができる。
(I)持続性抗酸化剤
本発明の持続性抗酸化剤は、黒大豆の抽出物、好ましくは黒大豆種皮の抽出物と、鉄イオン、好ましくは硫酸鉄(II)、またはクエン酸鉄等の食用に利用される2価の鉄イオンの複合体を有効成分とすることを特徴とする。
本発明の持続性抗酸化剤は、黒大豆の抽出物、好ましくは黒大豆種皮の抽出物と、鉄イオン、好ましくは硫酸鉄(II)、またはクエン酸鉄等の食用に利用される2価の鉄イオンの複合体を有効成分とすることを特徴とする。
本発明において用いられる黒大豆とは、マメ科ダイズ属Glycine max(L.)Merrillに属する短日性の一年生草木の黒い種子(子実)である。黒大豆には、例えば中生光黒、トカチクロ、いわいくろ、玉大黒、丹波黒、信濃黒及び雁喰などの品種があるが、黒大豆であればどの品種の種子を使用しても良い。
本発明では黒大豆をそのまま加工原料として使用できる。またそれを粉砕、破砕等により粉末状にしたものであっても良い。さらに、黒大豆を、例えば分別機等に供することで種皮と胚(子葉および胚軸)とに分別することができる。本発明では当該分別により得られる黒大豆の種皮を加工原料として使用することができる。加工処理に際して、黒大豆の種皮は、分別したそのままの状態(生または乾燥物)のものであっても、またそれを破砕若しくは粉砕した状態のもの(破砕物、粉砕物、及び粉末状物を含む)であってもよい。
黒大豆または黒大豆種皮からの抽出方法としては、一般に用いられる方法を利用することができる。制限はされないが、例えば水溶性溶媒中に生または乾燥処理した黒大豆種皮(そのままの形状、若しくは粗末、細切、破砕、粉砕状)を浸漬する方法;必要に応じて攪拌しながら抽出する方法;またはパーコレーション法等を挙げることができる。抽出に使用する温度条件は、特に制限されず、低温、常温、加温条件(高温を含む)のいずれの条件でもよいが、好ましくは加温条件(高温を含む)である。より具体的には、後述の含水低級アルコールで抽出する場合は30℃以上、好ましくは40℃〜60℃の範囲であり、制限されないものの、かかる温度条件での抽出を60分以上、好ましくは90分〜120分程度行なう。また、水で抽出する場合は、50℃以上、好ましくは50〜100℃の範囲であり、制限されないものの、かかる温度条件での抽出を10分以上、好ましくは20分〜120分程度行う。
抽出に使用する水溶性溶媒としては、特に制限されないが、水、低級アルコール、またはこれらの混合物を挙げることができる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコールを例示することができる。低級アルコールとして好ましくはエタノールを挙げることができる。水溶性溶媒として好ましくは、水、または含水低級アルコール(特に含水エタノール)であり、より好ましくは水である。尚、含水低級アルコールを溶媒として使用する場合、それに含まれる低級アルコール量は80容量%以下であることが好ましい。
本発明の効果を奏することを限度として、得られた抽出液に対し、必要に応じて、さらにろ過、共沈または遠心分離による固形物の除去、抽出処理、吸着処理等の精製処理を行ってもよい。
斯くして調製される黒大豆抽出物に含まれるポリフェノールと、鉄イオンとの複合体を形成させるためには、黒大豆抽出物と鉄イオン(硫酸鉄またはクエン酸鉄)を水に溶解させ、放置することによって発生する沈殿物を複合体として回収する。この際、炭酸水素ナトリウムによりpHを7以上、さらに好ましくは8以上に調整してもよい。また、反応を促進するために加熱してもよい。混合する比率としては、黒大豆ポリフェノール100部に対し、硫酸鉄(II)・7水和物を0.1〜50部を混合し、さらに好ましくは、1〜20部を混合して調製する。混合にはミキサーやスターラーなどの攪拌できるものを用いればよく、さらにこの溶液には何らかの添加物を加えてもよい。
本発明の効果を奏することを限度として、さらに必要に応じて、UHT殺菌、レトルト殺菌処理といった公知の方法による殺菌処理を行ってもよい。
本発明の持続性抗酸化剤は、経口投与形態であれば、その形態を特に問わない。また経口投与(経口摂取)形態を有するものである限り、その用途の別(医薬品、医薬部外品、飲食物[特定保健用食品や栄養機能性食品などの保健機能性食品やサプリメントを含む])は、特に制限されるものではない。
経口投与形態として、具体的には、上記抽出方法により調製される抽出液を液剤(エキス形態やシロップを含む)またはゼリー剤の形態に調製したもの;抽出液を常法により粉末状または顆粒状に製剤化した散剤、細粒剤、または顆粒剤;液剤や散剤または顆粒剤をカプセルに充填したカプセル剤(硬質カプセル剤、軟質カプセル剤);または粉末または顆粒をさらに打錠して錠剤形態としたものなどを挙げることができる(固形製剤)。
本発明の持続性抗酸化剤は、上記黒大豆抽出物と薬学的にまたは食品として許容される従来公知の可食性の担体、賦形剤等を組み合わせて各種剤型(経口投与形態)に調製することもできる。
本発明の持続性抗酸化剤を液状製剤の形態とする場合、凍結保存することもでき、また凍結乾燥等により水分を除去して保存してもよい。凍結乾燥製剤やドライシロップ等は、使用時に滅菌水等を加え、再度溶解して使用される。
本発明の持続性抗酸化剤を固形剤の形態とする場合、例えば、錠剤の場合であれば、担体として当該分野で従来公知のものを広く使用することができる。このような担体としては、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、アルギン酸ナトリウム等の結合剤;乾燥デンプン、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、クロスポビドン、ポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤;ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン等の保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。さらに錠剤は、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。また、前記有効成分を含有する組成物を、ゼラチン、プルラン、デンプン、アラビアガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等を原料とする従来公知のカプセルに充填して、カプセル剤とすることができる。
また、丸剤の形態とする場合、担体として当該分野で従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
上記以外に、添加剤として、例えば、界面活性剤、吸収促進剤、吸着剤、充填剤、防腐剤、安定剤、乳化剤、可溶化剤など、製剤の形態に応じて適宜選択し使用することができる。
これらの形態はいずれも当該分野における通常の方法を用いて調製でき、例えば、錠剤は、上記有効成分とその他錠剤を得るために必要な賦形剤等を適宜添加し、よく混合分散させたのち打錠して得ることができる。また、散剤は、上記有効成分とその他散剤を得る為に必要な賦形剤等を適宜添加し、好適な方法にて混合、粉体化して得ることができる。
本発明の持続性抗酸化剤は、上記の複合体を含有するもので、投与量としては、対象者の年齢、病状等によって異なるため一概には言えないが、ポリフェノール量として1回投与量が20〜100mg程度となるよう調整することが好ましい。本発明の経口抗酸化剤は、通常製剤の形で用いられる。製剤の担体や助剤としては、製剤分野において常用され、かつ経口抗酸化剤と反応しない物質が用いられる。
(II)持続的抗酸化作用を有する経口組成物用添加剤
本発明の持続的抗酸化作用を有する経口組成物用添加剤は、黒大豆抽出物、好ましくは黒大豆種皮由来のポリフェノールと、鉄イオンとの複合体を有効成分とすることを特徴とする。
本発明の持続的抗酸化作用を有する経口組成物用添加剤は、黒大豆抽出物、好ましくは黒大豆種皮由来のポリフェノールと、鉄イオンとの複合体を有効成分とすることを特徴とする。
当該本発明の添加剤は、その有効成分である黒大豆由来のポリフェノールと、鉄イオンの複合体が有する持続的抗酸化作用に基づいて、対象とする経口組成物に持続的抗酸化作用を付与するために用いられる添加剤である。また本発明の添加剤は、抗酸化作用を有する経口組成物に対して、その作用をさらに強化するためにも用いることができる。
ここで、本発明が対象とする経口組成物には、人に対して経口的に投与する組成物または人が摂取する組成物、具体的には経口医薬品組成物、経口医薬部外品組成物、及び食品組成物(飲料を含む。以下、同じ)が含まれる。好ましくは食品組成物である。
本発明の添加剤の原料として使用する黒大豆の種類、黒大豆種皮の取得方法、黒大豆抽出物または特に好適な黒大豆種皮抽出物の調製方法は、上記(I)で説明した通りであり、本欄(II)において援用することができる。
本発明の添加剤は、黒大豆由来のポリフェノールと、鉄イオンの複合体そのものであってもよいし、また複合体に薬学的にまた食品として許容される従来公知の可食性の担体、賦形剤等を組み合わせて調製されたものであってもよい。本発明の添加剤は、上記経口医薬品、経口医薬部外品、及び/又は飲食物に添加配合して、持続的抗酸化作用を有する組成物(経口組成物)を調製するために用いられる。このため、その限りにおいて、その形態を特に問わず、液剤(エキス形態やシロップを含む)やゼリー剤の形態を有していても、また当該液剤を常法により粉末状または顆粒状に製剤化した散剤、細粒剤、顆粒剤;液剤や散剤または顆粒剤をカプセルに充填したカプセル剤(硬質カプセル剤、軟質カプセル剤)、または粉末または顆粒をさらに打錠して錠剤形態としたものを使用してもよい(固形製剤)。
経口医薬品、経口医薬部外品、及び/又は飲食物に添加配合して用いられる本発明の添加剤の量は、本発明の添加剤を配合することで調製される持続的抗酸化作用を有する経口組成物の一日投与(摂取)が、黒大豆種皮由来のポリフェノールの量に換算して、通常20〜100mg程度になるよう割合を挙げることができる。
なお、本発明の添加剤は、上記経口組成物(経口医薬品、経口医薬部外品、及び/又は飲食物)を調製する工程で他の原料とともに原料の一つとして使用されるか、或いは経口組成物を服用(投与または摂取)する際に、当該経口組成物に用事配合して使用することができる。
次に実例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、生理活性については血中抗酸化性について示したが、これのみに限定されるものではない。
実験例1 黒大豆種皮抽出物(含水エタノール抽出物)と鉄イオンの複合体の抗酸化作用
ICRマウスを被験動物として、黒大豆由来のポリフェノールと鉄の複合体(実施例1)、黒大豆種皮抽出物(含水エタノール抽出物)(比較例1)、硫酸鉄(比較例2)、および生理食塩水(比較例3)のそれぞれについて血中抗酸化作用を評価した。
ICRマウスを被験動物として、黒大豆由来のポリフェノールと鉄の複合体(実施例1)、黒大豆種皮抽出物(含水エタノール抽出物)(比較例1)、硫酸鉄(比較例2)、および生理食塩水(比較例3)のそれぞれについて血中抗酸化作用を評価した。
(1)被験試料の調製
(a)黒大豆種皮抽出物の調製
40%エタノール1Lに、黒大豆種皮50gを投入し、40℃に加熱しながら90分攪拌抽出を行なった。遠心分離により不純物を除去し、濃縮、噴霧乾燥を経て黒大豆種皮の粗抽出物を得た。
(a)黒大豆種皮抽出物の調製
40%エタノール1Lに、黒大豆種皮50gを投入し、40℃に加熱しながら90分攪拌抽出を行なった。遠心分離により不純物を除去し、濃縮、噴霧乾燥を経て黒大豆種皮の粗抽出物を得た。
(b)黒大豆由来のポリフェノールと、鉄イオンの複合体の調製
上記の粗抽出物100gを、水10Lに溶解させ、硫酸鉄(II)10gを添加した。よく攪拌して混合させた後、静置した。生じた沈殿を分離・回収し、乾燥させてポリフェノール-鉄複合体を得た。これを生理食塩水に分散させ、被験試料(実施例1)とした。また、黒大豆種皮の粗抽出物を生理食塩水に溶解させたものを比較例1とした。さらに、硫酸鉄(II)・7水和物のみを生理食塩水に溶解させたものを比較例2、生理食塩水のみを比較例3とした。
上記の粗抽出物100gを、水10Lに溶解させ、硫酸鉄(II)10gを添加した。よく攪拌して混合させた後、静置した。生じた沈殿を分離・回収し、乾燥させてポリフェノール-鉄複合体を得た。これを生理食塩水に分散させ、被験試料(実施例1)とした。また、黒大豆種皮の粗抽出物を生理食塩水に溶解させたものを比較例1とした。さらに、硫酸鉄(II)・7水和物のみを生理食塩水に溶解させたものを比較例2、生理食塩水のみを比較例3とした。
(2)実験方法
馴化飼育したICRマウス(オス11週齢)を試験の前日より12時間の絶食をかけた。実施例1と比較例1については、生理食塩水に分散させたものを、ポリフェノールとして120mg/kgとなるよう、また比較例2については10mg/kg体重となるよう投与量を調製し、ゾンデを使用して経口投与した。その後、経時的に尾静脈より採血を行なった(投与4時間後まで)。得られた血液から血漿を調製し、AAPH-TBARS法を用いて、血液の抗酸化性を測定した。なお、AAPHはAzobis-amidopropane hydrochlorideであり、TBARSはチオバルビツール酸反応性基質である。
AAPH-TBARS法は、以下の通り実施した。また、比較例1〜3についても同様に行なった。
・ 血漿20μLに250mM AAPH水溶液を10μL加え、37℃で60分インキュベートした。
そこに以下の試薬を順番に加え、攪拌後、5℃で60分インキュベートした。
・8.1%SDS 水溶液 20uL
・酢酸buf 150uL(20%酢酸を10N NaOHでpH3.5に調整したもの)
・0.8%BHT酢酸溶液 5uL
・0.8%TBA水溶液 150uL(TBA:チオバルビツール酸)
・蒸留水 50uL
100℃で60minインキュベートした。
却後、100μLのdH2Oと300μLのブタノール-ピリジン混液を加えて撹拌した。
3000rpm-10min遠心分離し、上清液を96穴プレートに200μLずつ分注した。
532nmの吸光度を測定した。
※血清を含まない対照液(水)についても同様に行ない、A0を測定した。
※マロンジアルデヒド(MDA)をスタンダードとし、検量線を作成した。
この試験により、AAPHによる酸化で生じた血清中の過酸化脂質(TBARS)量を測定し、血液の抗酸化性を評価した。
馴化飼育したICRマウス(オス11週齢)を試験の前日より12時間の絶食をかけた。実施例1と比較例1については、生理食塩水に分散させたものを、ポリフェノールとして120mg/kgとなるよう、また比較例2については10mg/kg体重となるよう投与量を調製し、ゾンデを使用して経口投与した。その後、経時的に尾静脈より採血を行なった(投与4時間後まで)。得られた血液から血漿を調製し、AAPH-TBARS法を用いて、血液の抗酸化性を測定した。なお、AAPHはAzobis-amidopropane hydrochlorideであり、TBARSはチオバルビツール酸反応性基質である。
AAPH-TBARS法は、以下の通り実施した。また、比較例1〜3についても同様に行なった。
・ 血漿20μLに250mM AAPH水溶液を10μL加え、37℃で60分インキュベートした。
そこに以下の試薬を順番に加え、攪拌後、5℃で60分インキュベートした。
・8.1%SDS 水溶液 20uL
・酢酸buf 150uL(20%酢酸を10N NaOHでpH3.5に調整したもの)
・0.8%BHT酢酸溶液 5uL
・0.8%TBA水溶液 150uL(TBA:チオバルビツール酸)
・蒸留水 50uL
100℃で60minインキュベートした。
却後、100μLのdH2Oと300μLのブタノール-ピリジン混液を加えて撹拌した。
3000rpm-10min遠心分離し、上清液を96穴プレートに200μLずつ分注した。
532nmの吸光度を測定した。
※血清を含まない対照液(水)についても同様に行ない、A0を測定した。
※マロンジアルデヒド(MDA)をスタンダードとし、検量線を作成した。
この試験により、AAPHによる酸化で生じた血清中の過酸化脂質(TBARS)量を測定し、血液の抗酸化性を評価した。
(3)実験結果
図1に実施例1および比較例1〜3を投与した際の血中過酸化脂質の量を示す。
図1に実施例1および比較例1〜3を投与した際の血中過酸化脂質の量を示す。
実施例1の黒大豆由来のポリフェノールと鉄イオンの複合体投与群では、投与後緩やかに血漿中の過酸化脂質が減少、つまり抗酸化性が上昇し、投与後4時間においても過酸化脂質が有意に低値を示しており、長時間持続する抗酸化作用が示された。一方、比較例1の黒大豆種皮抽出物の単独投与群では投与後1時間で一過性の抗酸化性のピークに達し、その後速やかにもとの値まで上昇した。また、比較例2である硫酸鉄(II)・7水和物単独投与群では、有意な変化は認められなかった。このことから、黒大豆由来のポリフェノールと鉄イオンの複合体の持続的な抗酸化作用は、黒大豆由来のポリフェノールと鉄イオンの単純な相加作用ではなく、相乗作用によるものと考えられる。本発明においてこのような特異な作用を生じる原因については、いまだ全てが解明されているわけではないが、黒大豆ポリフェノールと鉄イオンの複合体として投与した場合には、体内、特に胃における低いpHが作用して、黒大豆ポリフェノールが徐々に放出されることによるのではないかと考えられる。
実験例2 黒大豆種皮抽出物と他の金属イオンとの混合物の抗酸化作用
実験例1と同様に、ICRマウスを被験動物として、黒大豆種皮抽出物(含水エタノール抽出物)(比較例4)、黒大豆種皮抽出物と鉄イオンの混合液中において複合体を形成しなかった上清の部分(比較例5)、鉄以外の金属イオンとしてのカルシウムとの混合物(比較例6)またはマグネシウムイオン(比較例7)の血中抗酸化作用を評価した。
実験例1と同様に、ICRマウスを被験動物として、黒大豆種皮抽出物(含水エタノール抽出物)(比較例4)、黒大豆種皮抽出物と鉄イオンの混合液中において複合体を形成しなかった上清の部分(比較例5)、鉄以外の金属イオンとしてのカルシウムとの混合物(比較例6)またはマグネシウムイオン(比較例7)の血中抗酸化作用を評価した。
(1)試料の調製
実験例1で使用した黒大豆種皮抽出物(比較例1)を再び用い、比較例5とした。黒大豆種皮抽出物100部に、硫酸カルシウム、または硫酸マグネシウムが10部となるよう混合し、生理食塩水に溶解させた(それぞれ比較例6、比較例7)。また、黒大豆由来のポリフェノールと鉄イオンとの複合体の調製過程で生じた混合液の上清(複合体を形成しなかった部分)を比較例8とした。
実験例1で使用した黒大豆種皮抽出物(比較例1)を再び用い、比較例5とした。黒大豆種皮抽出物100部に、硫酸カルシウム、または硫酸マグネシウムが10部となるよう混合し、生理食塩水に溶解させた(それぞれ比較例6、比較例7)。また、黒大豆由来のポリフェノールと鉄イオンとの複合体の調製過程で生じた混合液の上清(複合体を形成しなかった部分)を比較例8とした。
(2)実験方法
実験例1(2)に記載する方法に従って、比較例4〜7について、血中抗酸化作用を評価した。なお、いずれの群においてもポリフェノールとして120mg/kg体重となるよう投与量を調整した。
実験例1(2)に記載する方法に従って、比較例4〜7について、血中抗酸化作用を評価した。なお、いずれの群においてもポリフェノールとして120mg/kg体重となるよう投与量を調整した。
(3)実験結果
図2に比較例5〜8を投与した際の血中過酸化脂質の量を示す。
図2に比較例5〜8を投与した際の血中過酸化脂質の量を示す。
鉄以外の金属イオンであるカルシウム(比較例6)およびマグネシウム(比較例7)では、黒大豆由来のポリフェノールと複合体(沈殿)を形成せず、血中の抗酸化作用としてはポリフェノール単独(比較例5)で投与した場合と同様の傾向を示し、持続性が付与されることはなかった。したがって、黒大豆ポリフェノールの抗酸化作用に持続性を与えるのは鉄イオンだけであることが示された。また、黒大豆種皮由来のポリフェノールと鉄イオンの混合液のうち、複合体(沈殿)を形成しなかった上清の部分(比較例8)を投与した群では、ポリフェノール単独と比較して抗酸化作用の現れ方に若干の変化が見られたものの、持続性は認められなかった。これらの結果から、本発明の所望の持続的な抗酸化作用を得るためには、黒大豆由来のポリフェノールと、鉄イオンとの複合体を形成させることが必要であると言える。
Claims (2)
- 黒大豆由来のポリフェノールと、鉄イオンの複合体を有効成分とする持続性抗酸化剤
- 黒大豆由来のポリフェノールと、鉄イオンの複合体を有効成分とする、持続的抗酸化作用を有する経口組成物用添加剤
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JP2016183136A (ja) * | 2015-03-26 | 2016-10-20 | フジッコ株式会社 | 抗酸化剤 |
JP2020158448A (ja) * | 2019-03-27 | 2020-10-01 | 保土谷化学工業株式会社 | 鉄−ポリフェノール複合材の製造方法 |
-
2014
- 2014-12-04 JP JP2014246242A patent/JP2016108265A/ja active Pending
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