JP2016104958A - 木造軸組における柱と横架材の接合構造 - Google Patents

木造軸組における柱と横架材の接合構造 Download PDF

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Abstract

【課題】 建物の中央部に主柱を基礎から屋根まで貫き、その主柱の貫穴に横架材を貫挿させて支える地震にも充分耐えられる安全で安心な建物に用いる木造軸組における柱と横架材の接合構造を提供する。【解決手段】主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、該下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成されると共に上方横架材の傾斜面と下方横架材の切欠部との間ならびに下方横架材と下方貫穴との間に横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔を打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定する。【選択図】図1

Description

本発明は、木造軸組の接合構造に関し、より詳細には柱を貫通する直角方向に互いに交差する貫穴に切欠部を設けた横架材を貫通させて柱に固定する木造軸組において、下面が長手方向に傾斜面を形成してなる横架材を用いてなる柱と横架材との接合構造に関するものである。
近年、木造家屋においては一辺が16cmに満たない主として輸入材を用い、柱に開けた透孔に繋ぎ材を設け、この繋ぎ材を介して横架材を接合し金具やボルトで補強する工法が主流となっていた。しかし、係る従来工法においては、柱と横架材とを離間する引っ張り力や捩り力に対して弱く、柱と横架材は容易に離間ないし緊締力を失い家屋倒壊の一因であるとの問題があった。また、例えば、柱の相対応する面に貫通する透孔を形成しこの透孔に肘木の両端を突出させて挿通し、この肘木に梁の端部下面に形成された凹部を嵌挿せしめて接合する例がある(特許文献1参照)。
実開昭56−100603号公報
しかし、前記の特許文献1に記載された木造軸組の接合構造は、繋ぎ部材である肘木が両側の梁(横架材)の全重量を負うこととなる。しかも、2個の肘木の交差部には垂直方向の切欠部が形成されており、この交差部が支点となり両端部に垂直方向の重力がかかるために交差部に応力が集中して破壊される可能性に問題があった。また、柱と2本の横架材を接合する場合には接合部を金具とボルトで補強する手段が講じられている。しかし、前述したとおり前記補強を講じたとしても東日本大地震級の激震に対して木造家屋の倒壊を防止することは極めて困難である。
本願発明者は長年の大工の棟梁としての経験を生かして大福柱木形組工法(だいふくばしらきなりくみほうほう)と称する木造軸組伝統工法を確立した。本願発明者は前記木造軸組伝統工法に基づく木造軸組における柱と横架材の接合構造について特許出願をし(特願2014−026777、以下「先出願」と称する)、特許を取得した(特許第5654699)。先出願に係る発明は、東日本大地震級の激震に対しても耐え得る程度の強度を有するものであるが、本願発明者は、さらなる研究と改良を積み重ねた結果、柱材は上階の荷重材軸方向に強い圧縮力をうけるため圧縮強度の高い部材を、また、横架材は材軸の垂直方向から荷重を受けるために曲げ強度の高い材料を選定することが望ましく、係る基本的な原理に叶うべく、従来の製材法では廃材として捨てられていた丸太原木の周辺部を含む木形製材法により丸太原木の形状に沿った木材を横架材として用いるのが好ましく、柱に形成した一方の貫穴を貫通する横架材は交差部に当たる部分に切欠部を形成し、該切欠部と貫穴との間隙部に他方の横架材を貫通させて両方の横架材が交差部において双方重なり合うように構成することによって強度が格段に向上することを知見して本発明に想到したものであって、本願発明の主たる目的は、前記問題点を解消し地震にも充分耐えられる安全で安心な建物に用いる木造軸組における柱と横架材の接合構造を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明は、主柱と横架材の接合構造であって、前記主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、
前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、該下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成されると共に上方横架材の傾斜面と下方横架材の切欠部との間ならびに下方横架材と下方貫穴との隙間に横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔を打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする木造軸組における柱と横架材の接合構造とする。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記木造軸組における柱と横架材の接合構造において、前記上方横架材の傾斜面側から下方横架材の切欠部の底部に向けて開口する楔係止溝を上方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けると共に前記下方横架材の傾斜面から下方の貫穴の底部に向けて開口する楔係止溝を下方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けておき、前記楔係止溝の開口部から横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔をそれぞれ打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記横架材の傾斜面の水平方向に対する勾配が0.2〜5%であり、前記楔係止溝の上面の水平方向に対する勾配が2〜8%であって該両方の勾配は互いに逆勾配となることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、主柱と横架材の接合構造であって、前記主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する下方の貫穴を横架材の縦方向の長さよりもやや大きく設け且つ上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、
前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、該下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成され、前記下方の貫穴の底部に垂直に柱中ホゾを設けるとともに該貫穴に挿通される下方横架材下面の前記柱中ホゾに対応する箇所に設けられたホゾ穴に前記柱中ホゾを嵌合させると共に上方横架材の傾斜面と下方横架材の切欠部との間に上方横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔を打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする木造軸組における柱と横架材の接合構造とする。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記木造軸組における柱と横架材の接合構造において、前記上方横架材の傾斜面側から下方横架材の切欠部の底部に向けて開口する楔係止溝を上方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けておき、前記楔係止溝の開口部から逆止楔をそれぞれ打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記横架材の傾斜面の水平方向に対する勾配が0.2〜5%であり、前記楔係止溝の上面の水平方向に対する勾配が2〜8%であって該両方の勾配は互いに逆勾配となることを特徴とする前記の何れかに記載の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記楔係止溝に代えて、下方横架材の下側の上方横架材との交差部に当たる部分に楔貫通穴を設け、該楔貫通穴と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材の両側方向から一対の不動楔をそれぞれ楔貫通穴の中央部に向けて打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記柱中ホゾ及びホゾ穴は平面視にて多角形からなることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、主柱と横架材の接合構造であって、前記主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、
前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成され、前記上方の横架材と柱との交差部に横架材と柱に連通する入れ戻し穴を設け、前記入れ戻し穴に寄せ留部材を圧入して前記横架材と柱を固定してなることを特徴とする木造軸組における柱と横架材の接合構造とする。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記主柱は截頭円錐形又は截頭角錐形に加工した木形加工材を建物の中央部に基礎から屋根まで貫き設けてなることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
本願発明に係る木造軸組における柱と横架材の接合構造において、柱を下方側が太く上方に行くに従って細くなる立木加工材、截頭円錐形、截頭角錐形に加工した木材を根元側端部を下側にして木材を直立させ、前記横架材が前記長尺截頭四角錐状の木形木材における少なくとも何れか一測面が軸方向に対して斜めに形成されてなり、図1(3)右方に示す木形木材の強度を保持する原木の外周部を含め原木に沿うように側面を斜め製材することにより、従来の製材法(同図左方に示す)による直方体状の木材に比較して曲げ強度が向上する。また、下方の貫穴を貫通する横架材は上側面交差部に当たる部分に図1(2)1工程に示す切欠部9を形成しておき、この下方横架材3aの切欠部9と上方貫穴との間隙部に上方の横架材3bを貫通させて両方の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成されることから、柱を回転軸とする曲げモーメントが横架材に作用した場合でも回転が阻止され横架材による柱の損壊を防止できる効果を奏する。更に、上方横架材の傾斜面側から下方横架材の切欠部の底部に向けて開口する楔係止溝を上方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けて該楔係止溝の開口部から逆止楔を打ち込むことにより上方及び下方の横架材をより堅固に柱に固定することが可能となる。また、柱中ホゾを下方横架材下面に設けられたホゾ穴に嵌合させる構造を併用させることによって柱を回転軸とする曲げモーメントによる回転をより強固に阻止することが可能となる。
(1)は本願実施の形態に係る二階建ての使用例の説明図であり、(2)は本願実施の形態に係る施工手順の説明図であり、(3)は従来の製材法と実施例に用いる長尺截頭四角錐状からなる木形(きなり)木材の製材法の比較説明図である。 本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造の説明図である。 本願実施の形態に係る三階建ての使用例の説明図である。 本願実施の形態に係る五階建ての使用例の説明図である。 本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造の説明図である。 (1)は図5(1)のA−A線縦断面図であり、(2)は同図のB−B線 縦断面図である。 本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造の説明図である。 (1)は図7(1)のA−A線縦断面図であり、(2)は同図のB−B線 縦断面図である。 本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造の説明図である。 (1)は図9(1)のA−A線縦断面図であり、(2)は同図のB−B線 縦断面図である。
本願実施の形態において、建物の中央等に例えば直径40〜50cm程度の主柱を基礎から屋根まで貫き、その主柱の貫穴に横架材を貫挿させて支える構造となっており、特に限定されるものではないが、主柱の長さに応じて平屋建てをはじめ二階建てから五階建ての建物に充分に対応が可能である(図1(1)、図3、図4参照)。図1(1)の破線で囲んだ部分が本願実施の形態に係る接合構造部である。ここで、図4に示すように主柱を建物の中央寄りに2本、奥行き方向に図示しない複数本設け、更に最上階に屋上を設けてもよい。この主柱は図1(1)に示すように下方側が太く上方に行くに従って細くなる立木加工材、截頭円錐形や截頭角錐形に加工したものを含み、強度を保持するかぎり立木加工材には原木丸太状のものが含まれると共に直方体状の木材も含まれる。また、木造軸組の接合構造の加工は熟練を要することなく基礎的な技術があれば簡単にできることから若い技能者の育成にも役立つものである。更に、実施の形態の柱と横架材の接合構造は前述のとおり地震の揺れに充分に耐えうる強度を有することからシェルター等の地震避難用の空間を確保する手段として応用が可能である。使用する木材も特に限定はなく例えば千葉県の山武杉のように全国の木材を地産地消に有効利用することが望ましい。これらの主柱や横架材の加工は、ノミ或いはチェーンソーなどで加工してもよい。よって、先出願に係る発明のように横架材と貫穴の隙間に楔を打ち込む手間が省けるだけでなく、組み立て作業がより簡単であり、且つ強度も向上する。
次に、本願実施の形態について説明する。請求項1記載の発明を含む本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造1は、図5及び図6に示すように、前記主柱2の反対向する面に渡って水平方向に貫通する上方と下方一対の貫穴(5b,5a)の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、対向する左右二面が長手方向に対して互いに平行に形成され、下面が長手方向に対して木形方向、つまり立木の木形面の如く斜めに形成され、上面が長手方向に対して水平に形成されてなり、前記横架材は平行に対向する左右面を前記貫穴の側面に向け、且つ下方の貫穴を貫通する下方横架材3aは上面交差部に当たる部分に、上方横架材3bを貫通する凹状切欠部9を、上方横架材3bの下面と同勾配を有して形成し、この下方横架材の凹状切欠部9と上方貫穴5bとの間隙部に上方横架材3bを貫通させて両方の横架材が前記交差部において相互に係合し、上方横架材の傾斜面と下方横架材の切欠部との間ならびに下方横架材と下方貫穴との間に設けた隙間(図示せず)に横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔を打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなるように構成される。
更に、上方横架材3bの傾斜面側から下方横架材3aの凹状切欠部9の底部に向けて開口する楔係止溝41bを上方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けておき、該楔係止溝41bの開口部42bから逆止楔43bを打ち込んで上方横架材3b及び下方横架材3aを互いに主柱2に固定してなることを特徴とする。主柱2に形成する貫穴は、柱の強度を損なわない程度の大きさに形成することが好ましい。特に限定するものではないが、主柱2の貫穴形成箇所の断面における貫穴以外の残存面積が通常の管柱と同程度以上の面積を保持することが好ましい。また、楔上部面積が横架材の柱設置面の約50%前後になるように設定することが好ましい。楔の使用材種は柱や横架材等の接合部材よりも堅い材種が好ましく、通常、堅木と称される、例えば、樫、楢、ブナ、欅、黒檀、紫檀、櫻、南洋櫻等が用いられる。
請求項2記載の発明を含む本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造1は、前記下方横架材3aの傾斜面から下方貫穴5aの底部に向けて開口する楔係止溝41aを下方横架材3aの傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けておき、前記楔係止溝41aの開口部42aから逆止楔43aを打ち込んで上方横架材3b及び下方横架材3aを互いに柱に固定してなることを特徴とする。前記横架材3は丸太原木の周辺部を含む木形製材法により丸太原木の形状に沿った前記截頭四角錐状の木形木材(図1(3)右方に示す)の如く下面が長手方向に対して木形方向、つまり立木の木形面の如く斜めに形成され、これに対して上面が長手方向に対して平行に形成される。
請求項3記載の発明を含む本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造1は、前記横架材3の傾斜面の水平方向に対する勾配が0.2〜5%好ましくは0.5〜3%とし、前記楔係止溝の上面の水平方向に対する勾配が2〜8%好ましくは3〜6%として、該両方の勾配は互いに逆勾配とすることが好ましい。前記傾斜面の勾配からなる木形製材法により得られる木材は高強度を保有することによる。また、前記楔係止溝41の勾配を横架材の傾斜面と逆勾配とすることによって横架材3をより抜け難くする。
請求項4記載の発明を含む本願実施の形態においては、前記逆止楔43aを打ち込んで上方横架材3bと下方横架材3aを柱に固定する構成に代えて、図7及び図8に示すように、柱中ホゾ6とホゾ穴7を設けるとともに下方の貫穴を下方横架材3aの縦方向の長さよりも柱中ホゾ6の高さ分やや大きく設け、下方横架材3aを柱2に固定する以外は前記請求項1記載の発明と同様である。このように柱中ホゾ6とホゾ穴7を嵌合させて固定する構成を併用することによって柱を回転軸とする曲げモーメントによる回転をより強固に阻止することが可能となる。また、請求項6記載の発明を含む本願実施の形態においては、前記楔係止溝41に代えて、上方横架材3bの下側の下方横架材3aとの交差部に当たる部分に楔貫通穴45を設け、該楔貫通穴45と上方貫穴5bを貫通する間隙部に上方横架材3bの両側方向から一対の楔(44a,44b)をそれぞれ楔貫通穴45の中央部に向けて打ち込むことによって上方及び下方の横架材を互いに柱に強固に固定できる。
請求項9記載の発明を含む本願実施の形態においては、図2に示すように、上方横架材が柱の貫穴に貫通した状態で上方横架材の先細側と主柱との交差部に前記横架材と柱に連通する入れ戻し穴11を設け、前記入れ戻し穴11に寄せ留部材12を圧入するとともに前記寄せ留部材を接着剤ないしビス止めなどで柱に固定することによって横架材は柱に強固に固着され、横架材の抜けを完全に防止できる。前記寄せ留部材12の材質は特に限定されないが堅め木材が好ましく、例えば、前記楔と同様の材種の他に収縮性の極小な構造材料等樹脂製部材や金属部材等でもよい。更に、横架材の下方側に挿入限界段差13を設けて寄せ留部材と共に横架材の移動を阻止するように構成してもよい。
次に、本願実施の形態に係る木造軸組の柱と横架材の接合施工手順について説明する。
(1)請求項1〜3を含む発明の場合、(図1(2)、図5、6参照)に示すとおり、
施工手順は以下の通りである。
主柱2を基礎天上に束石を添えてその上に設置する。施工はクレーンで材料をつり上げて行う(以下同様)。
第1工程:イ)主柱2を立てる。ロ)桁3aを柱の貫穴に挿通し挿入限界線46まで打ち 込む。
第2工程:イ)梁3bを柱の貫穴に挿通し挿入限界線46まで打ち込む。
第3工程:イ)楔係止溝(41b,41a)に逆止楔(43b,43a)を打ち込んで固定する。
(2)請求項4、7、8を含む発明の場合(図7、8参照)、
施工手順は以下の通りである。
第1工程:イ)主柱2を立てる。ロ)桁3aを柱の貫穴5aに挿通し挿入限界線46まで 打ち込む。ハ)柱中ホゾ6を桁3aのホゾ穴7に入れる。
第2工程:イ)梁3bを柱の貫穴5bに挿通し挿入限界線46まで打ち込む。
第3工程:イ)貫穴5a及び梁3bの楔貫通穴45に両側から一対の楔(44a,
44b)をそれぞれ打ち込んで固定する。
(3)請求項4、5、6、8を含む発明の場合(図9、図10参照)、
施工手順は以下の通りである。
第1工程:イ)主柱2を立てる。ロ)桁3aを柱の貫穴5aに挿通し挿入限界線46まで 打ち込む。ハ)柱中ホゾ6を桁3aのホゾ穴7に入れる。
第2工程:イ)梁3bを柱の貫穴5bに挿通し挿入限界線46まで打ち込む。
第3工程:イ)楔係止溝41bに逆止楔43bを打ち込んで固定する。
(4)請求項9記載を含む発明の場合(図1(2)、図2参照)、
施工手順は以下の通りである。
第1工程:イ)主柱2を立てる。ロ)桁3aを柱の貫穴に挿通し挿入限界線まで打ち込む。
第2工程:イ)梁3bを柱の貫穴に挿通し挿入限界線まで打ち込む。
第3工程:イ)入れ戻し穴11に寄せ留部材12を圧入する。ロ)寄せ留部材を接着剤な いしビス止めして柱に固定する。
次に、本願実施の形態に係る木造軸組の接合構造について図に基づいて説明する。図1(1)は本願実施の形態に係る二階建ての使用例の説明図であり、主柱2は図1(3)右方に示す本工法の製材法により原木丸太状及び原木丸太を斜めないし直方体状に製材した立木加工材、截頭角錐状ないし截頭円錐状等に加工した木形(きなり)木材を根元側端部を下側にして土台に直立させてなり、この主柱2の天井と二階に相当する箇所に互いに交差する上方及び下方の貫穴(5b,5a)を形成し、該貫穴に上方横架材の梁3bと下方横架材の桁(図示せず)をそれぞれ貫通させ、本願実施の形態に係る接合構造により柱と横架材を接続してなる。ここで、天井と二階の横架材の梁(3b,3b)は根元部と先端部をそれぞれ左右互い違に組み合わせることにより、地震発生時に横架材が柱から抜け難く且つ加わる応力負荷のバランスをとり得るように工夫されている。図1(2)は本願実施の形態に係る横架材の施工手順の説明図であり、1工程と2工程に示す横架材は截頭四角錐状の木形木材における垂直方向の対向する二側面が長手方向に対して互いに平行に形成され、他の二側面のうちの下面が長手方向に対して斜めに勾配を有して形成され残りの上面が長手方向に対して水平に形成されている。そして、長手方向に平行な面を上側に向け勾配面を下側に向けて設けることにより、横架材の水平面上に天井ないし床材を水平に配設し得る。横架材の施工手順は最初に下方横架材3aを圧挿させた後、下方横架材の凹状切欠部9と上方貫穴5bとの間隙部に上方横架材3bを圧挿させて柱に固定する。なお、本願出願人は本願発明に係る木造軸組のミニチュア模型を作成しており地震等の揺れに対しても耐久性を有するものと判断される。
本願発明に係る木造軸組における柱と横架材の接合構造によれば地震にも充分耐えられる安全で安心な建物をリーズナブルな価格で提供でき、且つ国産の材木を使用することにより全国の林業並びに建築業の活性化にも大いに貢献する。
1:柱と横架材の接合構造
2:主柱
3:横架材
3a:桁(下方横架材)
3b:梁(上方横架材)
41a:楔係止溝(下方横架材)
41b:楔係止溝(上方横架材)
42a:開口部(下方横架材)
42b:開口部(上方横架材)
43a:逆止楔(下方横架材)
43b:逆止楔(上方横架材)
44a,44b:一対の楔
45:楔貫通穴
46:挿入限界線
5:貫穴
5a:下方貫穴
5b:上方貫穴
6:柱中ホゾ
7:ホゾ穴
9:凹状の切欠部
11:入れ戻し穴
12:寄せ留部材
13:段差
14:ビス
本発明は、木造軸組の接合構造に関し、より詳細には柱を貫通する直角方向に互いに交差する貫穴に切欠部を設けた横架材を貫通させて柱に固定する木造軸組において、下面が長手方向に傾斜面を形成してなる横架材を用いてなる柱と横架材との接合構造に関するものである。
近年、木造家屋においては一辺が16cmに満たない主として輸入材を用い、柱に開けた透孔に繋ぎ材を設け、この繋ぎ材を介して横架材を接合し金具やボルトで補強する工法が主流となっていた。しかし、係る従来工法においては、柱と横架材とを離間する引っ張り力や捩り力に対して弱く、柱と横架材は容易に離間ないし緊締力を失い家屋倒壊の一因であるとの問題があった。また、例えば、柱の相対応する面に貫通する透孔を形成しこの透孔に肘木の両端を突出させて挿通し、この肘木に梁の端部下面に形成された凹部を嵌挿せしめて接合する例がある(特許文献1参照)。
実開昭56−100603号公報
しかし、前記の特許文献1に記載された木造軸組の接合構造は、繋ぎ部材である肘木が両側の梁(横架材)の全重量を負うこととなる。しかも、2個の肘木の交差部には垂直方向の切欠部が形成されており、この交差部が支点となり両端部に垂直方向の重力がかかるために交差部に応力が集中して破壊される可能性に問題があった。また、柱と2本の横架材を接合する場合には接合部を金具とボルトで補強する手段が講じられている。しかし、前述したとおり前記補強を講じたとしても東日本大地震級の激震に対して木造家屋の倒壊を防止することは極めて困難である。
本願発明者は長年の大工の棟梁としての経験を生かして大福柱木形組工法(だいふくばしらきなりくみこうほう)と称する木造軸組伝統工法を確立した。本願発明者は前記木造軸組伝統工法に基づく木造軸組における柱と横架材の接合構造について特許出願をし(特願2014−026777、以下「先出願」と称する)、特許を取得した(特許第5654699)。先出願に係る発明は、東日本大地震級の激震に対しても耐え得る程度の強度を有するものであるが、本願発明者は、さらなる研究と改良を積み重ねた結果、柱材は上階の荷重材軸方向に強い圧縮力をうけるため圧縮強度の高い部材を、また、横架材は材軸の垂直方向から荷重を受けるために曲げ強度の高い材料を選定することが望ましく、係る基本的な原理に叶うべく、従来の製材法では廃材として捨てられていた丸太原木の周辺部を含む木形製材法により丸太原木の形状に沿った木材を横架材として用いるのが好ましく、柱に形成した一方の貫穴を貫通する横架材は交差部に当たる部分に切欠部を形成し、該切欠部と貫穴との間隙部に他方の横架材を貫通させて両方の横架材が交差部において双方重なり合うように構成することによって強度が格段に向上することを知見して本発明に想到したものであって、本願発明の主たる目的は、前記問題点を解消し地震にも充分耐えられる安全で安心な建物に用いる木造軸組における柱と横架材の接合構造を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明は、主柱と横架材の接合構造であって、前記主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、
前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、該下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成されると共に上方横架材の傾斜面と下方横架材の切欠部との間ならびに下方横架材と下方貫穴との隙間に横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔を打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする木造軸組における柱と横架材の接合構造とする。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記木造軸組における柱と横架材の接合構造において、前記上方横架材の傾斜面側から下方横架材の切欠部の底部に向けて開口する楔係止溝を上方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けると共に前記下方横架材の傾斜面から下方の貫穴の底部に向けて開口する楔係止溝を下方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けておき、前記楔係止溝の開口部から横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔をそれぞれ打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記横架材の傾斜面の水平方向に対する勾配が0.2〜5%であり、前記楔係止溝の上面の水平方向に対する勾配が2〜8%であって該両方の勾配は互いに逆勾配となることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、主柱と横架材の接合構造であって、前記主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する下方の貫穴を横架材の縦方向の長さよりもやや大きく設け且つ上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、
前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、該下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成され、前記下方の貫穴の底部に垂直に柱中ホゾを設けるとともに該貫穴に挿通される下方横架材下面の前記柱中ホゾに対応する箇所に設けられたホゾ穴に前記柱中ホゾを嵌合させると共に上方横架材の傾斜面と下方横架材の切欠部との間に上方横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔を打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする木造軸組における柱と横架材の接合構造とする。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記木造軸組における柱と横架材の接合構造において、前記上方横架材の傾斜面側から下方横架材の切欠部の底部に向けて開口する楔係止溝を上方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けておき、前記楔係止溝の開口部から逆止楔を打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記横架材の傾斜面の水平方向に対する勾配が0.2〜5%であり、前記楔係止溝の上面の水平方向に対する勾配が2〜8%であって該両方の勾配は互いに逆勾配となることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、主柱と横架材の接合構造であって、前記主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する下方の貫穴を横架材の縦方向の長さよりもやや大きく設け且つ上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、
前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、該下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成され、前記下方の貫穴の底部に垂直に柱中ホゾを設けるとともに該貫穴に挿通される下方横架材下面の前記柱中ホゾに対応する箇所に設けられたホゾ穴に前記柱中ホゾを嵌合させると共に下方横架材の下側の上方横架材との交差部に当たる部分に楔貫通穴を設け、該楔貫通穴と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材の両側方向から一対の楔をそれぞれ楔貫通穴の中央部に向けて打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする木造軸組における柱と横架材の接合構造とする。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記柱中ホゾ及びホゾ穴は平面視にて多角形からなることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、主柱と横架材の接合構造であって、前記主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、
前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成され、前記上方の横架材と柱との交差部に横架材と柱に連通する入れ戻し穴を設け、前記入れ戻し穴に寄せ留部材を圧入して前記横架材と柱を固定してなることを特徴とする木造軸組における柱と横架材の接合構造とする。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記主柱は截頭円錐形又は截頭角錐形に加工した木形加工材を建物の中央部に基礎から屋根まで貫き設けてなることを特徴とする前記の何れかに記載の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
本願発明に係る木造軸組における柱と横架材の接合構造において、柱を下方側が太く上方に行くに従って細くなる立木加工材、截頭円錐形、截頭角錐形に加工した木材を根元側端部を下側にして木材を直立させ、前記横架材が前記長尺截頭四角錐状の木形木材における少なくとも何れか一測面が軸方向に対して斜めに形成されてなり、図1(3)右方に示す木形木材の強度を保持する原木の外周部を含め原木に沿うように側面を斜め製材することにより、従来の製材法(同図左方に示す)による直方体状の木材に比較して曲げ強度が向上する。また、下方の貫穴を貫通する横架材は上側面交差部に当たる部分に図1(2)1工程に示す切欠部9を形成しておき、この下方横架材3aの切欠部9と上方貫穴との間隙部に上方の横架材3bを貫通させて両方の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成されることから、柱を回転軸とする曲げモーメントが横架材に作用した場合でも回転が阻止され横架材による柱の損壊を防止できる効果を奏する。更に、上方横架材の傾斜面側から下方横架材の切欠部の底部に向けて開口する楔係止溝を上方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けて該楔係止溝の開口部から逆止楔を打ち込むことにより上方及び下方の横架材をより堅固に柱に固定することが可能となる。また、柱中ホゾを下方横架材下面に設けられたホゾ穴に嵌合させる構造を併用させることによって柱を回転軸とする曲げモーメントによる回転をより強固に阻止することが可能となる。
(1)は本願実施の形態に係る二階建ての使用例の説明図であり、(2)は本願実施の形態に係る施工手順の説明図であり、(3)は従来の製材法と実施例に用いる長尺截頭四角錐状からなる木形(きなり)木材の製材法の比較説明図である。 本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造の説明図である。 本願実施の形態に係る三階建ての使用例の説明図である。 本願実施の形態に係る五階建ての使用例の説明図である。 本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造の説明図である。 (1)は図5(1)のA−A線縦断面図であり、(2)は同図のB−B線 縦断面図である。 本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造の説明図である。 (1)は図7(1)のA−A線縦断面図であり、(2)は同図のB−B線 縦断面図である。 本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造の説明図である。 (1)は図9(1)のA−A線縦断面図であり、(2)は同図のB−B線 縦断面図である。
本願実施の形態において、建物の中央等に例えば直径40〜50cm程度の主柱を基礎から屋根まで貫き、その主柱の貫穴に横架材を貫挿させて支える構造となっており、特に限定されるものではないが、主柱の長さに応じて平屋建てをはじめ二階建てから五階建ての建物に充分に対応が可能である(図1(1)、図3、図4参照)。図1(1)の破線で囲んだ部分が本願実施の形態に係る接合構造部である。ここで、図4に示すように主柱を建物の中央寄りに2本、奥行き方向に図示しない複数本設け、更に最上階に屋上を設けてもよい。この主柱は図1(1)に示すように下方側が太く上方に行くに従って細くなる立木加工材、截頭円錐形や截頭角錐形に加工したものを含み、強度を保持するかぎり立木加工材には原木丸太状のものが含まれると共に直方体状の木材も含まれる。また、木造軸組の接合構造の加工は熟練を要することなく基礎的な技術があれば簡単にできることから若い技能者の育成にも役立つものである。更に、実施の形態の柱と横架材の接合構造は前述のとおり地震の揺れに充分に耐えうる強度を有することからシェルター等の地震避難用の空間を確保する手段として応用が可能である。使用する木材も特に限定はなく例えば千葉県の山武杉のように全国の木材を地産地消に有効利用することが望ましい。これらの主柱や横架材の加工は、ノミ或いはチェーンソーなどで加工してもよい。よって、先出願に係る発明のように横架材と貫穴の隙間に楔を打ち込む手間が省けるだけでなく、組み立て作業がより簡単であり、且つ強度も向上する。
次に、本願実施の形態について説明する。請求項1記載の発明を含む本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造1は、図5及び図6に示すように、前記主柱2の反対向する面に渡って水平方向に貫通する上方と下方一対の貫穴(5b,5a)の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、対向する左右二面が長手方向に対して互いに平行に形成され、下面が長手方向に対して木形方向、つまり立木の木形面の如く斜めに形成され、上面が長手方向に対して水平に形成されてなり、前記横架材は平行に対向する左右面を前記貫穴の側面に向け、且つ下方の貫穴を貫通する下方横架材3aは上面交差部に当たる部分に、上方横架材3bを貫通する凹状切欠部9を、上方横架材3bの下面と同勾配を有して形成し、この下方横架材の凹状切欠部9と上方貫穴5bとの間隙部に上方横架材3bを貫通させて両方の横架材が前記交差部において相互に係合し、上方横架材の傾斜面と下方横架材の切欠部との間ならびに下方横架材と下方貫穴との間に設けた隙間(図示せず)に横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔を打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなるように構成される。
更に、上方横架材3bの傾斜面側から下方横架材3aの凹状切欠部9の底部に向けて開口する楔係止溝41bを上方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けておき、該楔係止溝41bの開口部42bから逆止楔43bを打ち込んで上方横架材3b及び下方横架材3aを互いに主柱2に固定してなることを特徴とする。主柱2に形成する貫穴は、柱の強度を損なわない程度の大きさに形成することが好ましい。特に限定するものではないが、主柱2の貫穴形成箇所の断面における貫穴以外の残存面積が通常の管柱と同程度以上の面積を保持することが好ましい。また、楔上部面積が横架材の柱設置面の約50%前後になるように設定することが好ましい。楔の使用材種は柱や横架材等の接合部材よりも堅い材種が好ましく、通常、堅木と称される、例えば、樫、楢、ブナ、欅、黒檀、紫檀、櫻、南洋櫻等が用いられる。
請求項2記載の発明を含む本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造1は、前記下方横架材3aの傾斜面から下方貫穴5aの底部に向けて開口する楔係止溝41aを下方横架材3aの傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けておき、前記楔係止溝41aの開口部42aから逆止楔43aを打ち込んで上方横架材3b及び下方横架材3aを互いに柱に固定してなることを特徴とする。前記横架材3は丸太原木の周辺部を含む木形製材法により丸太原木の形状に沿った前記截頭四角錐状の木形木材(図1(3)右方に示す)の如く下面が長手方向に対して木形方向、つまり立木の木形面の如く斜めに形成され、これに対して上面が長手方向に対して平行に形成される。
請求項3記載の発明を含む本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造1は、前記横架材3の傾斜面の水平方向に対する勾配が0.2〜5%好ましくは0.5〜3%とし、前記楔係止溝の上面の水平方向に対する勾配が2〜8%好ましくは3〜6%として、該両方の勾配は互いに逆勾配とすることが好ましい。前記傾斜面の勾配からなる木形製材法により得られる木材は高強度を保有することによる。また、前記楔係止溝41の勾配を横架材の傾斜面と逆勾配とすることによって横架材3をより抜け難くする。
請求項4記載の発明を含む本願実施の形態においては、前記逆止楔43aを打ち込んで上方横架材3bと下方横架材3aを柱に固定する構成に代えて、図7及び図8に示すように、柱中ホゾ6とホゾ穴7を設けるとともに下方の貫穴を下方横架材3aの縦方向の長さよりも柱中ホゾ6の高さ分やや大きく設け、下方横架材3aを柱2に固定する以外は前記請求項1記載の発明と同様である。このように柱中ホゾ6とホゾ穴7を嵌合させて固定する構成を併用することによって柱を回転軸とする曲げモーメントによる回転をより強固に阻止することが可能となる。また、請求項6記載の発明を含む本願実施の形態においては、前記楔係止溝41に代えて、上方横架材3bの下側の下方横架材3aとの交差部に当たる部分に楔貫通穴45を設け、該楔貫通穴45と上方貫穴5bを貫通する間隙部に上方横架材3bの両側方向から一対の楔(44a,44b)をそれぞれ楔貫通穴45の中央部に向けて打ち込むことによって上方及び下方の横架材を互いに柱に強固に固定できる。
請求項9記載の発明を含む本願実施の形態においては、図2に示すように、上方横架材が柱の貫穴に貫通した状態で上方横架材の先細側と主柱との交差部に前記横架材と柱に連通する入れ戻し穴11を設け、前記入れ戻し穴11に寄せ留部材12を圧入するとともに前記寄せ留部材を接着剤ないしビス止めなどで柱に固定することによって横架材は柱に強固に固着され、横架材の抜けを完全に防止できる。前記寄せ留部材12の材質は特に限定されないが堅め木材が好ましく、例えば、前記楔と同様の材種の他に収縮性の極小な構造材料等樹脂製部材や金属部材等でもよい。更に、横架材の下方側に挿入限界段差13を設けて寄せ留部材と共に横架材の移動を阻止するように構成してもよい。
次に、本願実施の形態に係る木造軸組の柱と横架材の接合施工手順について説明する。
(1)請求項1〜3を含む発明の場合、(図1(2)、図5、6参照)に示すとおり、
施工手順は以下の通りである。
主柱2を基礎天上に束石を添えてその上に設置する。施工はクレーンで材料をつり上げて行う(以下同様)。
第1工程:イ)主柱2を立てる。ロ)桁3aを柱の貫穴に挿通し挿入限界線46まで打ち 込む。
第2工程:イ)梁3bを柱の貫穴に挿通し挿入限界線46まで打ち込む。
第3工程:イ)楔係止溝(41b,41a)に逆止楔(43b,43a)を打ち込んで固定する。
(2)請求項4、7、8を含む発明の場合(図7、8参照)、
施工手順は以下の通りである。
第1工程:イ)主柱2を立てる。ロ)桁3aを柱の貫穴5aに挿通し挿入限界線46まで 打ち込む。ハ)柱中ホゾ6を桁3aのホゾ穴7に入れる。
第2工程:イ)梁3bを柱の貫穴5bに挿通し挿入限界線46まで打ち込む。
第3工程:イ)貫穴5a及び梁3bの楔貫通穴45に両側から一対の楔(44a,
44b)をそれぞれ打ち込んで固定する。
(3)請求項4、5、6、8を含む発明の場合(図9、図10参照)、
施工手順は以下の通りである。
第1工程:イ)主柱2を立てる。ロ)桁3aを柱の貫穴5aに挿通し挿入限界線46まで 打ち込む。ハ)柱中ホゾ6を桁3aのホゾ穴7に入れる。
第2工程:イ)梁3bを柱の貫穴5bに挿通し挿入限界線46まで打ち込む。
第3工程:イ)楔係止溝41bに逆止楔43bを打ち込んで固定する。
(4)請求項9記載を含む発明の場合(図1(2)、図2参照)、
施工手順は以下の通りである。
第1工程:イ)主柱2を立てる。ロ)桁3aを柱の貫穴に挿通し挿入限界線まで打ち込む。
第2工程:イ)梁3bを柱の貫穴に挿通し挿入限界線まで打ち込む。
第3工程:イ)入れ戻し穴11に寄せ留部材12を圧入する。ロ)寄せ留部材を接着剤な いしビス止めして柱に固定する。
次に、本願実施の形態に係る木造軸組の接合構造について図に基づいて説明する。図1(1)は本願実施の形態に係る二階建ての使用例の説明図であり、主柱2は図1(3)右方に示す本工法の製材法により原木丸太状及び原木丸太を斜めないし直方体状に製材した立木加工材、截頭角錐状ないし截頭円錐状等に加工した木形(きなり)木材を根元側端部を下側にして土台に直立させてなり、この主柱2の天井と二階に相当する箇所に互いに交差する上方及び下方の貫穴(5b,5a)を形成し、該貫穴に上方横架材の梁3bと下方横架材の桁(図示せず)をそれぞれ貫通させ、本願実施の形態に係る接合構造により柱と横架材を接続してなる。ここで、天井と二階の横架材の梁(3b,3b)は根元部と先端部をそれぞれ左右互い違に組み合わせることにより、地震発生時に横架材が柱から抜け難く且つ加わる応力負荷のバランスをとり得るように工夫されている。図1(2)は本願実施の形態に係る横架材の施工手順の説明図であり、1工程と2工程に示す横架材は截頭四角錐状の木形木材における垂直方向の対向する二側面が長手方向に対して互いに平行に形成され、他の二側面のうちの下面が長手方向に対して斜めに勾配を有して形成され残りの上面が長手方向に対して水平に形成されている。そして、長手方向に平行な面を上側に向け勾配面を下側に向けて設けることにより、横架材の水平面上に天井ないし床材を水平に配設し得る。横架材の施工手順は最初に下方横架材3aを圧挿させた後、下方横架材の凹状切欠部9と上方貫穴5bとの間隙部に上方横架材3bを圧挿させて柱に固定する。なお、本願出願人は本願発明に係る木造軸組のミニチュア模型を作成しており地震等の揺れに対しても耐久性を有するものと判断される。
本願発明に係る木造軸組における柱と横架材の接合構造によれば地震にも充分耐えられる安全で安心な建物をリーズナブルな価格で提供でき、且つ国産の材木を使用することにより全国の林業並びに建築業の活性化にも大いに貢献する。
1:柱と横架材の接合構造
2:主柱
3:横架材
3a:桁(下方横架材)
3b:梁(上方横架材)
41a:楔係止溝(下方横架材)
41b:楔係止溝(上方横架材)
42a:開口部(下方横架材)
42b:開口部(上方横架材)
43a:逆止楔(下方横架材)
43b:逆止楔(上方横架材)
44a,44b:一対の楔
45:楔貫通穴
46:挿入限界線
5:貫穴
5a:下方貫穴
5b:上方貫穴
6:柱中ホゾ
7:ホゾ穴
9:凹状の切欠部
11:入れ戻し穴
12:寄せ留部材
13:段差
14:ビス
本発明は、木造軸組の接合構造に関し、より詳細には柱を貫通する直角方向に互いに交差する貫穴に切欠部を設けた横架材を貫通させて柱に固定する木造軸組において、下面が長手方向に傾斜面を形成してなる横架材を用いてなる柱と横架材との接合構造に関するものである。
近年、木造家屋においては一辺が16cmに満たない主として輸入材を用い、柱に開けた透孔に繋ぎ材を設け、この繋ぎ材を介して横架材を接合し金具やボルトで補強する工法が主流となっていた。しかし、係る従来工法においては、柱と横架材とを離間する引っ張り力や捩り力に対して弱く、柱と横架材は容易に離間ないし緊締力を失い家屋倒壊の一因であるとの問題があった。また、例えば、柱の相対応する面に貫通する透孔を形成しこの透孔に肘木の両端を突出させて挿通し、この肘木に梁の端部下面に形成された凹部を嵌挿せしめて接合する例がある(特許文献1参照)。
実開昭56−100603号公報
しかし、前記の特許文献1に記載された木造軸組の接合構造は、繋ぎ部材である肘木が両側の梁(横架材)の全重量を負うこととなる。しかも、2個の肘木の交差部には垂直方向の切欠部が形成されており、この交差部が支点となり両端部に垂直方向の重力がかかるために交差部に応力が集中して破壊される可能性に問題があった。また、柱と2本の横架材を接合する場合には接合部を金具とボルトで補強する手段が講じられている。しかし、前述したとおり前記補強を講じたとしても東日本大地震級の激震に対して木造家屋の倒壊を防止することは極めて困難である。
本願発明者は長年の大工の棟梁としての経験を生かして大福柱木形組工法(だいふくばしらきなりくみこうほう)と称する木造軸組伝統工法を確立した。本願発明者は前記木造軸組伝統工法に基づく木造軸組における柱と横架材の接合構造について特許出願をし(特願2014−026777、以下「先出願」と称する)、特許を取得した(特許第5654699)。先出願に係る発明は、東日本大地震級の激震に対しても耐え得る程度の強度を有するものであるが、本願発明者は、さらなる研究と改良を積み重ねた結果、柱材は上階の荷重材軸方向に強い圧縮力をうけるため圧縮強度の高い部材を、また、横架材は材軸の垂直方向から荷重を受けるために曲げ強度の高い材料を選定することが望ましく、係る基本的な原理に叶うべく、従来の製材法では廃材として捨てられていた丸太原木の周辺部を含む木形製材法により丸太原木の形状に沿った木材を横架材として用いるのが好ましく、柱に形成した一方の貫穴を貫通する横架材は交差部に当たる部分に切欠部を形成し、該切欠部と貫穴との間隙部に他方の横架材を貫通させて両方の横架材が交差部において双方重なり合うように構成することによって強度が格段に向上することを知見して本発明に想到したものであって、本願発明の主たる目的は、前記問題点を解消し地震にも充分耐えられる安全で安心な建物に用いる木造軸組における柱と横架材の接合構造を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明は、主柱と横架材の接合構造であって、前記主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、
前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、該下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成されると共に上方横架材の傾斜面と下方横架材の切欠部との間ならびに下方横架材と下方貫穴との隙間に横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔を打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする木造軸組における柱と横架材の接合構造とする。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記木造軸組における柱と横架材の接合構造において、前記上方横架材の傾斜面側から下方横架材の切欠部の底部に向けて開口する楔係止溝を上方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けると共に前記下方横架材の傾斜面から下方の貫穴の底部に向けて開口する楔係止溝を下方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けておき、前記楔係止溝の開口部から横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔をそれぞれ打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記横架材の傾斜面の水平方向に対する勾配が0.2〜5%であり、前記楔係止溝の上面の水平方向に対する勾配が2〜8%であって該両方の勾配は互いに逆勾配となることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、主柱と横架材の接合構造であって、前記主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する下方の貫穴を横架材の縦方向の長さよりもやや大きく設け且つ上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、
前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、該下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成され、前記下方の貫穴の底部に垂直に柱中ホゾを設けるとともに該貫穴に挿通される下方横架材下面の前記柱中ホゾに対応する箇所に設けられたホゾ穴に前記柱中ホゾを嵌合させると共に上方横架材の傾斜面と下方横架材の切欠部との間に上方横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔を打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする木造軸組における柱と横架材の接合構造とする。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記木造軸組における柱と横架材の接合構造において、前記上方横架材の傾斜面側から下方横架材の切欠部の底部に向けて開口する楔係止溝を上方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けておき、前記楔係止溝の開口部から逆止楔を打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記横架材の傾斜面の水平方向に対する勾配が0.2〜5%であり、前記楔係止溝の上面の水平方向に対する勾配が2〜8%であって該両方の勾配は互いに逆勾配となることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、主柱と横架材の接合構造であって、前記主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する下方の貫穴を横架材の縦方向の長さよりもやや大きく設け且つ上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、
前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、該下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成され、前記下方の貫穴の底部に垂直に柱中ホゾを設けるとともに該貫穴に挿通される下方横架材下面の前記柱中ホゾに対応する箇所に設けられたホゾ穴に前記柱中ホゾを嵌合させると共に上方横架材の下側の下方横架材との交差部に当たる部分に楔貫通穴を設け、該楔貫通穴と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材の両側方向から一対の楔をそれぞれ楔貫通穴の中央部に向けて打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする木造軸組における柱と横架材の接合構造とする。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記柱中ホゾ及びホゾ穴は平面視にて多角形からなることを特徴とする前記の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、主柱と横架材の接合構造であって、前記主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、
前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成され、前記上方の横架材と柱との交差部に横架材と柱に連通する入れ戻し穴を設け、前記入れ戻し穴に寄せ留部材を圧入して前記横架材と柱を固定してなることを特徴とする木造軸組における柱と横架材の接合構造とする。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記主柱は截頭円錐形又は截頭角錐形に加工した木形加工材を建物の中央部に基礎から屋根まで貫き設けてなることを特徴とする前記の何れかに記載の木造軸組における柱と横架材の接合構造とすることが好ましい。
本願発明に係る木造軸組における柱と横架材の接合構造において、柱を下方側が太く上方に行くに従って細くなる立木加工材、截頭円錐形、截頭角錐形に加工した木材を根元側端部を下側にして木材を直立させ、前記横架材が前記長尺截頭四角錐状の木形木材における少なくとも何れか一測面が軸方向に対して斜めに形成されてなり、図1(3)右方に示す木形木材の強度を保持する原木の外周部を含め原木に沿うように側面を斜め製材することにより、従来の製材法(同図左方に示す)による直方体状の木材に比較して曲げ強度が向上する。また、下方の貫穴を貫通する横架材は上側面交差部に当たる部分に図1(2)1工程に示す切欠部9を形成しておき、この下方横架材3aの切欠部9と上方貫穴との間隙部に上方の横架材3bを貫通させて両方の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成されることから、柱を回転軸とする曲げモーメントが横架材に作用した場合でも回転が阻止され横架材による柱の損壊を防止できる効果を奏する。更に、上方横架材の傾斜面側から下方横架材の切欠部の底部に向けて開口する楔係止溝を上方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けて該楔係止溝の開口部から逆止楔を打ち込むことにより上方及び下方の横架材をより堅固に柱に固定することが可能となる。また、柱中ホゾを下方横架材下面に設けられたホゾ穴に嵌合させる構造を併用させることによって柱を回転軸とする曲げモーメントによる回転をより強固に阻止することが可能となる。
(1)は本願実施の形態に係る二階建ての使用例の説明図であり、(2)は本願実施の形態に係る施工手順の説明図であり、(3)は従来の製材法と実施例に用いる長尺截頭四角錐状からなる木形(きなり)木材の製材法の比較説明図である。 本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造の説明図である。 本願実施の形態に係る三階建ての使用例の説明図である。 本願実施の形態に係る五階建ての使用例の説明図である。 本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造の説明図である。 (1)は図5(1)のA−A線縦断面図であり、(2)は同図のB−B線 縦断面図である。 本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造の説明図である。 (1)は図7(1)のA−A線縦断面図であり、(2)は同図のB−B線 縦断面図である。 本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造の説明図である。 (1)は図9(1)のA−A線縦断面図であり、(2)は同図のB−B線 縦断面図である。
本願実施の形態において、建物の中央等に例えば直径40〜50cm程度の主柱を基礎から屋根まで貫き、その主柱の貫穴に横架材を貫挿させて支える構造となっており、特に限定されるものではないが、主柱の長さに応じて平屋建てをはじめ二階建てから五階建ての建物に充分に対応が可能である(図1(1)、図3、図4参照)。図1(1)の破線で囲んだ部分が本願実施の形態に係る接合構造部である。ここで、図4に示すように主柱を建物の中央寄りに2本、奥行き方向に図示しない複数本設け、更に最上階に屋上を設けてもよい。この主柱は図1(1)に示すように下方側が太く上方に行くに従って細くなる立木加工材、截頭円錐形や截頭角錐形に加工したものを含み、強度を保持するかぎり立木加工材には原木丸太状のものが含まれると共に直方体状の木材も含まれる。また、木造軸組の接合構造の加工は熟練を要することなく基礎的な技術があれば簡単にできることから若い技能者の育成にも役立つものである。更に、実施の形態の柱と横架材の接合構造は前述のとおり地震の揺れに充分に耐えうる強度を有することからシェルター等の地震避難用の空間を確保する手段として応用が可能である。使用する木材も特に限定はなく例えば千葉県の山武杉のように全国の木材を地産地消に有効利用することが望ましい。これらの主柱や横架材の加工は、ノミ或いはチェーンソーなどで加工してもよい。よって、先出願に係る発明のように横架材と貫穴の隙間に楔を打ち込む手間が省けるだけでなく、組み立て作業がより簡単であり、且つ強度も向上する。
次に、本願実施の形態について説明する。請求項1記載の発明を含む本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造1は、図5及び図6に示すように、前記主柱2の反対向する面に渡って水平方向に貫通する上方と下方一対の貫穴(5b,5a)の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、対向する左右二面が長手方向に対して互いに平行に形成され、下面が長手方向に対して木形方向、つまり立木の木形面の如く斜めに形成され、上面が長手方向に対して水平に形成されてなり、前記横架材は平行に対向する左右面を前記貫穴の側面に向け、且つ下方の貫穴を貫通する下方横架材3aは上面交差部に当たる部分に、上方横架材3bを貫通する凹状切欠部9を、上方横架材3bの下面と同勾配を有して形成し、この下方横架材の凹状切欠部9と上方貫穴5bとの間隙部に上方横架材3bを貫通させて両方の横架材が前記交差部において相互に係合し、上方横架材の傾斜面と下方横架材の切欠部との間ならびに下方横架材と下方貫穴との間に設けた隙間(図示せず)に横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔を打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなるように構成される。
更に、上方横架材3bの傾斜面側から下方横架材3aの凹状切欠部9の底部に向けて開口する楔係止溝41bを上方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けておき、該楔係止溝41bの開口部42bから逆止楔43bを打ち込んで上方横架材3b及び下方横架材3aを互いに主柱2に固定してなることを特徴とする。主柱2に形成する貫穴は、柱の強度を損なわない程度の大きさに形成することが好ましい。特に限定するものではないが、主柱2の貫穴形成箇所の断面における貫穴以外の残存面積が通常の管柱と同程度以上の面積を保持することが好ましい。また、楔上部面積が横架材の柱設置面の約50%前後になるように設定することが好ましい。楔の使用材種は柱や横架材等の接合部材よりも堅い材種が好ましく、通常、堅木と称される、例えば、樫、楢、ブナ、欅、黒檀、紫檀、櫻、南洋櫻等が用いられる。
請求項2記載の発明を含む本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造1は、前記下方横架材3aの傾斜面から下方貫穴5aの底部に向けて開口する楔係止溝41aを下方横架材3aの傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けておき、前記楔係止溝41aの開口部42aから逆止楔43aを打ち込んで上方横架材3b及び下方横架材3aを互いに柱に固定してなることを特徴とする。前記横架材3は丸太原木の周辺部を含む木形製材法により丸太原木の形状に沿った前記截頭四角錐状の木形木材(図1(3)右方に示す)の如く下面が長手方向に対して木形方向、つまり立木の木形面の如く斜めに形成され、これに対して上面が長手方向に対して平行に形成される。
請求項3記載の発明を含む本願実施の形態に係る柱と横架材の接合構造1は、前記横架材3の傾斜面の水平方向に対する勾配が0.2〜5%好ましくは0.5〜3%とし、前記楔係止溝の上面の水平方向に対する勾配が2〜8%好ましくは3〜6%として、該両方の勾配は互いに逆勾配とすることが好ましい。前記傾斜面の勾配からなる木形製材法により得られる木材は高強度を保有することによる。また、前記楔係止溝41の勾配を横架材の傾斜面と逆勾配とすることによって横架材3をより抜け難くする。
請求項4記載の発明を含む本願実施の形態においては、前記逆止楔43aを打ち込んで上方横架材3bと下方横架材3aを柱に固定する構成に代えて、図7及び図8に示すように、柱中ホゾ6とホゾ穴7を設けるとともに下方の貫穴を下方横架材3aの縦方向の長さよりも柱中ホゾ6の高さ分やや大きく設け、下方横架材3aを柱2に固定する以外は前記請求項1記載の発明と同様である。このように柱中ホゾ6とホゾ穴7を嵌合させて固定する構成を併用することによって柱を回転軸とする曲げモーメントによる回転をより強固に阻止することが可能となる。また、請求項6記載の発明を含む本願実施の形態においては、前記楔係止溝41に代えて、上方横架材3bの下側の下方横架材3aとの交差部に当たる部分に楔貫通穴45を設け、該楔貫通穴45と上方貫穴5bを貫通する間隙部に上方横架材3bの両側方向から一対の楔(44a,44b)をそれぞれ楔貫通穴45の中央部に向けて打ち込むことによって上方及び下方の横架材を互いに柱に強固に固定できる。
請求項9記載の発明を含む本願実施の形態においては、図2に示すように、上方横架材が柱の貫穴に貫通した状態で上方横架材の先細側と主柱との交差部に前記横架材と柱に連通する入れ戻し穴11を設け、前記入れ戻し穴11に寄せ留部材12を圧入するとともに前記寄せ留部材を接着剤ないしビス止めなどで柱に固定することによって横架材は柱に強固に固着され、横架材の抜けを完全に防止できる。前記寄せ留部材12の材質は特に限定されないが堅め木材が好ましく、例えば、前記楔と同様の材種の他に収縮性の極小な構造材料等樹脂製部材や金属部材等でもよい。更に、横架材の下方側に挿入限界段差13を設けて寄せ留部材と共に横架材の移動を阻止するように構成してもよい。
次に、本願実施の形態に係る木造軸組の柱と横架材の接合施工手順について説明する。
(1)請求項1〜3を含む発明の場合、(図1(2)、図5、6参照)に示すとおり、
施工手順は以下の通りである。
主柱2を基礎天上に束石を添えてその上に設置する。施工はクレーンで材料をつり上げて行う(以下同様)。
第1工程:イ)主柱2を立てる。ロ)桁3aを柱の貫穴に挿通し挿入限界線46まで打ち 込む。
第2工程:イ)梁3bを柱の貫穴に挿通し挿入限界線46まで打ち込む。
第3工程:イ)楔係止溝(41b,41a)に逆止楔(43b,43a)を打ち込んで固定する。
(2)請求項4、7、8を含む発明の場合(図7、8参照)、
施工手順は以下の通りである。
第1工程:イ)主柱2を立てる。ロ)桁3aを柱の貫穴5aに挿通し挿入限界線46まで 打ち込む。ハ)柱中ホゾ6を桁3aのホゾ穴7に入れる。
第2工程:イ)梁3bを柱の貫穴5bに挿通し挿入限界線46まで打ち込む。
第3工程:イ)貫穴5a及び梁3bの楔貫通穴45に両側から一対の楔(44a,
44b)をそれぞれ打ち込んで固定する。
(3)請求項4、5、6、8を含む発明の場合(図9、図10参照)、
施工手順は以下の通りである。
第1工程:イ)主柱2を立てる。ロ)桁3aを柱の貫穴5aに挿通し挿入限界線46まで 打ち込む。ハ)柱中ホゾ6を桁3aのホゾ穴7に入れる。
第2工程:イ)梁3bを柱の貫穴5bに挿通し挿入限界線46まで打ち込む。
第3工程:イ)楔係止溝41bに逆止楔43bを打ち込んで固定する。
(4)請求項9記載を含む発明の場合(図1(2)、図2参照)、
施工手順は以下の通りである。
第1工程:イ)主柱2を立てる。ロ)桁3aを柱の貫穴に挿通し挿入限界線まで打ち込む。
第2工程:イ)梁3bを柱の貫穴に挿通し挿入限界線まで打ち込む。
第3工程:イ)入れ戻し穴11に寄せ留部材12を圧入する。ロ)寄せ留部材を接着剤な いしビス止めして柱に固定する。
次に、本願実施の形態に係る木造軸組の接合構造について図に基づいて説明する。図1(1)は本願実施の形態に係る二階建ての使用例の説明図であり、主柱2は図1(3)右方に示す本工法の製材法により原木丸太状及び原木丸太を斜めないし直方体状に製材した立木加工材、截頭角錐状ないし截頭円錐状等に加工した木形(きなり)木材を根元側端部を下側にして土台に直立させてなり、この主柱2の天井と二階に相当する箇所に互いに交差する上方及び下方の貫穴(5b,5a)を形成し、該貫穴に上方横架材の梁3bと下方横架材の桁(図示せず)をそれぞれ貫通させ、本願実施の形態に係る接合構造により柱と横架材を接続してなる。ここで、天井と二階の横架材の梁(3b,3b)は根元部と先端部をそれぞれ左右互い違に組み合わせることにより、地震発生時に横架材が柱から抜け難く且つ加わる応力負荷のバランスをとり得るように工夫されている。図1(2)は本願実施の形態に係る横架材の施工手順の説明図であり、1工程と2工程に示す横架材は截頭四角錐状の木形木材における垂直方向の対向する二側面が長手方向に対して互いに平行に形成され、他の二側面のうちの下面が長手方向に対して斜めに勾配を有して形成され残りの上面が長手方向に対して水平に形成されている。そして、長手方向に平行な面を上側に向け勾配面を下側に向けて設けることにより、横架材の水平面上に天井ないし床材を水平に配設し得る。横架材の施工手順は最初に下方横架材3aを圧挿させた後、下方横架材の凹状切欠部9と上方貫穴5bとの間隙部に上方横架材3bを圧挿させて柱に固定する。なお、本願出願人は本願発明に係る木造軸組のミニチュア模型を作成しており地震等の揺れに対しても耐久性を有するものと判断される。
本願発明に係る木造軸組における柱と横架材の接合構造によれば地震にも充分耐えられる安全で安心な建物をリーズナブルな価格で提供でき、且つ国産の材木を使用することにより全国の林業並びに建築業の活性化にも大いに貢献する。
1:柱と横架材の接合構造
2:主柱
3:横架材
3a:桁(下方横架材)
3b:梁(上方横架材)
41a:楔係止溝(下方横架材)
41b:楔係止溝(上方横架材)
42a:開口部(下方横架材)
42b:開口部(上方横架材)
43a:逆止楔(下方横架材)
43b:逆止楔(上方横架材)
44a,44b:一対の楔
45:楔貫通穴
46:挿入限界線
5:貫穴
5a:下方貫穴
5b:上方貫穴
6:柱中ホゾ
7:ホゾ穴
9:凹状の切欠部
11:入れ戻し穴
12:寄せ留部材
13:段差
14:ビス

Claims (10)

  1. 主柱と横架材の接合構造であって、前記主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、
    前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、該下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成されると共に上方横架材の傾斜面と下方横架材の切欠部との間ならびに下方横架材と下方貫穴との隙間に横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔を打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする木造軸組における柱と横架材の接合構造。
  2. 前記木造軸組における柱と横架材の接合構造において、前記上方横架材の傾斜面側から下方横架材の切欠部の底部に向けて開口する楔係止溝を上方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けると共に前記下方横架材の傾斜面から下方の貫穴の底部に向けて開口する楔係止溝を下方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けておき、前記楔係止溝の開口部から横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔をそれぞれ打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする請求項1記載の木造軸組における柱と横架材の接合構造。
  3. 前記横架材の傾斜面の水平方向に対する勾配が0.2〜5%であり、前記楔係止溝の上面の水平方向に対する勾配が2〜8%であって該両方の勾配は互いに逆勾配となることを特徴とする請求項1又は2記載の木造軸組における柱と横架材の接合構造。
  4. 主柱と横架材の接合構造であって、前記主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する下方の貫穴を横架材の縦方向の長さよりもやや大きく設け且つ上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、
    前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、該下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成され、前記下方の貫穴の底部に垂直に柱中ホゾを設けるとともに該貫穴に挿通される下方横架材下面の前記柱中ホゾに対応する箇所に設けられたホゾ穴に前記柱中ホゾを嵌合させると共に上方横架材の傾斜面と下方横架材の切欠部との間に上方横架材の挿入方向と逆方向に逆止楔を打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする木造軸組における柱と横架材の接合構造。
  5. 前記木造軸組における柱と横架材の接合構造において、前記上方横架材の傾斜面側から下方横架材の切欠部の底部に向けて開口する楔係止溝を上方横架材の傾斜面の勾配と逆勾配になるように設けておき、前記楔係止溝の開口部から逆止楔をそれぞれ打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする請求項4記載の木造軸組における柱と横架材の接合構造。
  6. 前記横架材の傾斜面の水平方向に対する勾配が0.2〜5%であり、前記楔係止溝の上面の水平方向に対する勾配が2〜8%であって該両方の勾配は互いに逆勾配となることを特徴とする請求項4又は5の何れかに記載の木造軸組における柱と横架材の接合構造。
  7. 前記楔係止溝に代えて、下方横架材の下側の上方横架材との交差部に当たる部分に楔貫通穴を設け、該楔貫通穴と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材の両側方向から一対の不動楔をそれぞれ楔貫通穴の中央部に向けて打ち込んで上方及び下方の横架材を互いに柱に固定してなることを特徴とする請求項4〜6記載の何れかに木造軸組における柱と横架材の接合構造。
  8. 前記柱中ホゾ及びホゾ穴は平面視にて多角形からなることを特徴とする請求項4〜7の何れかに記載の木造軸組における柱と横架材の接合構造。
  9. 主柱と横架材の接合構造であって、前記主柱の反対向する面に渡って水平方向に貫通する上方と下方一対の貫穴の一部が直角方向に互いに交差してなり、前記上方と下方一対の貫穴に上方横架材と下方横架材をそれぞれ貫通させて前記柱に固定する木造軸組における柱と横架材の接合構造において、
    前記横架材は上面が長手方向に水平をなし且つ下面が長手方向に傾斜してなり、下方の貫穴を貫通する下方横架材の水平面には上方の貫穴を貫通する上方横架材との交差部に当たる部分に切欠部を形成し、下方横架材の切欠部と上方貫穴を貫通する間隙部に上方横架材を貫通させて上下の横架材が前記交差部において相互に係合するように構成され、前記上方の横架材と柱との交差部に横架材と柱に連通する入れ戻し穴を設け、前記入れ戻し穴に寄せ留部材を圧入して前記横架材と柱を固定してなることを特徴とする木造軸組における柱と横架材の接合構造。
  10. 前記主柱は截頭円錐形又は截頭角錐形に加工した木形加工材を建物の中央部に基礎から屋根まで貫き設けてなることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の木造軸組における柱と横架材の接合構造。
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