JP2016098212A - 金属錯体及びガス吸着材並びにこれを用いたガス分離装置 - Google Patents

金属錯体及びガス吸着材並びにこれを用いたガス分離装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ガス吸着材としての利用が可能な新規な金属錯体と、さらにこれを用いたガス分離装置とを提供する。
【解決手段】下記式(I)の単位構造を有する金属錯体を提供する。
Cu(BF4)22 (I)
(ただし、式中、Lは下記一般式(II);
【化1】

で表される有機配位子であり、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ同一又は異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基もしくはハロゲン原子を示すか、R1とR2、R3とR4は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基もしくはアルケニレン基を示し、nは1又は2であり、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ同一又は異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基もしくはハロゲン原子を示すか、R5とR6、R7とR8は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基もしくはアルケニレン基を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属錯体に関し、さらに詳しくは、金属イオンと、対イオンと、中性有機配位子とを含む金属錯体に関する。本発明は、かかる金属錯体からなる吸着材、並びにこの吸着材を用いたガス分離装置に関する。
これまで、脱臭、排ガス処理などの分野で種々の吸着材が開発されている。活性炭はその代表例であり、活性炭の優れた吸着性能を利用して、空気浄化、脱硫、脱硝、有害物質除去など各種工業において広く使用されている。近年は半導体製造プロセスなどへ窒素の需要が増大しており、かかる窒素を製造する方法として、分子ふるい炭を使用して圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により空気から窒素を製造する方法が使用されている。また、分子ふるい炭は、メタノール分解ガスからの水素精製など各種ガス分離精製にも応用されている。
圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により混合ガスを分離する際には、一般に、分離吸着材として分子ふるい炭やゼオライトなどを使用し、その平衡吸着量又は吸着速度の差により分離を行っている。しかしながら、平衡吸着量の差によって混合ガスを分離する場合、これまでの吸着材では除去したいガスのみを選択的に吸着することができないため分離係数が小さくなり、装置の大型化は不可避であった。また、吸着速度の差によって混合ガスを分離する場合、ガスの種類によっては除去したいガスのみを吸着できるが、吸着と脱着を交互に行う必要があり、この場合も装置は依然として大型にならざるを得なかった。
一方、より優れた吸着性能を与える吸着材として、外部刺激により動的構造変化を生じる高分子金属錯体が開発されている。この新規な動的構造変化高分子金属錯体をガス吸着材として使用した場合、ある一定の圧力を境にガスの吸着、もしくは脱着が起こるという特異な現象が観測されている。また、ガスの種類によって吸脱着開始圧が異なる現象が観測されている。
この現象を、例えば圧力スイング吸着方式のガス分離装置における吸着材に応用した場合、非常に効率良いガス分離が可能となる。また、圧力変化に要する時間を短縮できることに加え、吸着材再生に必要となるエネルギーを低減できることから、ランニングコストの削減にも寄与する。さらに、ガス分離装置の小型化にも寄与し得るため、高純度ガスを製品として販売する際のコスト競争力を高めることができることは勿論、自社工場内部で高純度ガスを用いる場合であっても、高純度ガスを必要とする設備に要するコストを削減できるため、結局最終製品の製造コストを削減する効果を有する。
動的構造変化高分子金属錯体を分離材に適用した例として、(1)インターデジテイト型の集積構造を有する金属錯体、(2)二次元格子積層型の集積構造を有する金属錯体(特許文献1、特許文献2参照)、(3)相互貫入型の集積構造を有する金属錯体などが知られている。
しかしながら、実用化に際しては、分離性能のさらなる向上が必要であり、特に吸着材の吸着及び脱着開始圧を好適に制御することが求められている。例えば、上述の二次元格子積層型の集積構造を有する金属錯体の代表例として、[Cu(BF42(bpy)2]nが知られている(特許文献3参照)。しかしながら、この金属錯体は脱着開始圧が低く、吸着されたガスの回収及び吸着材の再生に要するエネルギーが大きくなるため、より常圧に近い圧力で脱着可能な金属錯体の開発が求められている。
特開2003−275531公報 特開2003−278997公報 特開2005−232222公報
本発明の目的は、新規な金属錯体を提供すること、及びこれを用いた優れた特性を有するガス吸着材を提供することを目的とする。また、本発明は前記特性を有するガス吸着材を内部に収容してなるガス分離装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
(1)下記式(I)の単位構造を有する金属錯体。
Cu(BF4)22 (I)
(ただし、式中、Lは下記一般式(II);
で表される有機配位子であり、
1、R2、R3及びR4はそれぞれ同一又は異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基もしくはハロゲン原子を示すか、R1とR2、R3とR4は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基もしくはアルケニレン基を示し、
nは1又は2であり、
5、R6、R7及びR8はそれぞれ同一又は異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基もしくはハロゲン原子を示すか、R5とR6、R7とR8は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基もしくはアルケニレン基を示す。)
(2)前記有機配位子Lが1,2−ビス(4−ピリジル)エチン又は1,4−ビス(4−ピリジル)ブタジインである(1)に記載の金属錯体。
(3)前記有機配位子Lが1,2−ビス(4−ピリジル)エチンである(1)又は(2)に記載の金属錯体。
(4)(1)〜(3)のいずれか一項に記載の金属錯体からなる吸着材。
(5)該吸着材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気又は有機蒸気を吸着するための吸着材である(4)に記載の吸着材。
(6)(4)又は(5)に記載のガス吸着材を用いてなる圧力スイング式ガス分離装置。
本発明により、より常圧に近い圧力で脱着可能な金属錯体を提供することができる。また本発明の金属錯体からなるガス吸着材を内部に収容してなるガス分離装置を製造することが可能になる。
本発明の金属錯体はガス吸脱着に関する特殊な性質を活用して各種用途に適用することができる。例えば圧力スイング吸着方式のガス分離装置における吸着材に応用した場合、本発明のガス吸着材の特性を活かして、非常に効率良いガス分離が可能である。また、圧力変化に要する時間を短縮できることに加え、吸着材再生に必要となるエネルギーを低減できることから、ランニングコストの削減にも寄与する。さらに、ガス分離装置の小型化にも寄与し得るため、高純度ガスを製品として販売する際のコスト競争力を高めることができることは勿論、自社工場内部で高純度ガスを用いる場合であっても、高純度ガスを必要とする設備に要するコストを削減できるため、結局最終製品の製造コストを削減する効果を有する。
合成例1で得た金属錯体の粉末X線回折パターンである。なお、横軸は回折角(2θ)及び縦軸はcps(Counts per Second)で示す回折強度(Intensity)である。 合成例1で得た金属錯体及び比較例1で得た金属錯体について、容量法で測定した二酸化炭素の−5℃における吸脱着等温線である。
本発明の金属錯体は、下記式(I)で表される単位構造を有する化合物である。
Cu(BF4)22 (I)
(ただし、式中、Lは下記一般式(II);
で表される有機配位子であり、
1、R2、R3及びR4はそれぞれ同一又は異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基もしくはハロゲン原子を示すか、R1とR2、R3とR4は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基もしくはアルケニレン基を示し、
nは1又は2であり、
5、R6、R7及びR8はそれぞれ同一又は異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基もしくはハロゲン原子を示すか、R5とR6、R7とR8は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基もしくはアルケニレン基を示す。)
式(I)で表される化合物を合成するための原料を例示する。
原料の1つは、銅(II)塩であり、銅(II)イオンの対イオンとしては1価の陰イオンが例示できるが、BF4 -を有するものが好ましい。
式(I)中の有機配位子Lは下記一般式(II);
で表される。
式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ同一又は異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基もしくはハロゲン原子を示すか、R1とR2、R3とR4は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基もしくはアルケニレン基を示し;
nは1又は2であり;
5、R6、R7及びR8はそれぞれ同一又は異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基もしくはハロゲン原子を示すか、R5とR6、R7とR8は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基もしくはアルケニレン基を示す。
上記アルキル基の炭素原子数は1〜5が好ましい。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などの直鎖又は分岐を有するアルキル基が、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が、それぞれ挙げられる。また、該アルキル基が有していてもよい置換基の例としては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基、アシロキシ基(アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基など)、カルボン酸無水物基(−CO−O−CO−R基)(Rは炭素数1〜5のアルキル基である)などが挙げられる。アルキル基に置換基を有する場合、その数は、1〜3個が好ましく、1個がより好ましい。
上記アルキレン基の炭素数は、3〜6が好ましく、3〜4がより好ましい。アルキレン基の炭素数が3〜6の場合、R1とR2、R3とR4、R5とR6、R7とR8はそれらが結合している炭素原子と一緒になって5〜8員環(シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン)を示す。
上記オキシアルキレン基の炭素と酸素の合計の原子数は、3〜6が好ましく、3〜4がより好ましい。アルキレン基の炭素と酸素の合計の原子数が3〜6の場合、オキシアルキレン基として、−O−CH2−O−、−CH2−O−CH2−、−O−CH2−CH2−O−、−O−CH2−CH2−CH2−、−CH2−O−CH2−CH2−、−O−CH2−CH2−CH2−CH2−、−O−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−などが挙げられる。
上記アルケニレン基の炭素数は、3〜6が好ましく、3〜4がより好ましい。アルキレン基の炭素数が3〜6の場合、R1とR2、R3とR4、R5とR6、R7とR8はそれらが結合している炭素原子と一緒になって5〜8員環(シクロペンテン、シクロヘキセン(1つの二重結合を有する場合)あるいはベンゼン(2つの二重結合を有する場合)、シクロヘプタン、シクロオクタン)を示す。
また、該アルキレン基、オキシアルキレン基、アルケニレン基が有していてもよい置換基の例としては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基、アシロキシ基(アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基など)、カルボン酸無水物基(−CO−O−CO−R基)(Rは炭素数1〜5のアルキル基である)などが挙げられる。
有機配位子(II)としては、1,2−ビス(4−ピリジル)エチン又は1,4−ビス(4−ピリジル)ブタジインが好ましく、1,2−ビス(4−ピリジル)エチンがより好ましい。
本発明の金属錯体の製造工程は、式(I)で表される化合物を製造するために、銅塩と有機配位子とを溶媒に溶かして、溶液状態で行うことが好ましい。銅塩を溶かす溶媒としては、水やアルコール等のプロトン系溶媒を利用すると良好な結果が得られる。水やアルコール等のプロトン系溶媒は、銅塩をよく溶解し、さらに銅イオンやBF4-に配位結合や水素結合することで銅塩を安定化し、配位子との急速な反応を抑制することで、副反応を抑制する。アルコールの例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等の脂肪族系1価アルコール及びエチレングリコール等の脂肪族系2価アルコール類を例示できる。安価でかつ銅塩の溶解性が高いと言う点で、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコールが好ましい。また、これらのアルコールは、単独で用いてもよいし、複数を混合使用してもよい。
溶媒として、水と前記のアルコール類とを混合して使用することも好ましい。水とアルコール類の混合比率は1:100〜100:1(体積比)で任意である。配位子の溶解性を向上させる観点からアルコール類の混合比率を全溶媒中の30%以上(体積比)にすることが好ましい。
また、水、アルコール、又は水−アルコールの混合溶媒に、さらにアルコール以外の有機溶媒を混合して使用することも可能である。混合する有機溶媒としては、水と混和する溶媒であり、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、アセトン、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等である。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中では、アセトニトリル、アセトン、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、及びジメチルスルホキシドがよい結果を与える。有機溶媒の混合比率は全溶媒中の50%以下、好ましくは30%以下である。
一方、有機配位子を溶かす溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、エーテル、テトラヒドロフラン等の非環状、環状の脂肪族エーテル、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、アセトニトリル等の脂肪族ニトリル類、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族溶媒、ジメチルホルムアミド等のホルムアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類を広く例示することができる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。コスト的かつ溶解度的に、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトニトリル、アセトン等が好ましい。
銅塩の溶液及び有機配位子の系溶液の混合方法は、銅塩溶液に配位子溶液を添加しても、その逆でもよい。また、混合に際しては必ずしも溶液で行う必要はなく、例えば、銅塩溶液に固体の配位子を投入し、同時に溶媒を入れる方法や、反応容器に銅塩を装填した後に、配位子の固体又は溶液を注入し、さらに銅塩を溶かすための溶液を注入する等、最終的に反応が実質的に溶媒中で起こる方法であれば、種々の方法が可能である。ただし、銅塩の溶液と配位子の溶液を滴下混合する方法が、工業的には最も操作が簡便であり、好ましい。
溶液の濃度は、銅塩溶液は40mmol/L〜4mol/L、好ましくは40mmol/L〜2mol/Lであり、配位子の有機溶液は40mmol/L〜3mol/L、好ましくは80mmol/L〜1.8mol/Lである。これより低い濃度で反応を行っても、目的物は得られるが、製造効率が低下する虞がある。また、これより高い濃度では、吸着能が低下する虞がある。
反応温度は−20〜120℃、好ましくは25〜90℃である。これ以下の低温で行うと、原料の溶解度が下がる虞がある。オートクレーブ等を用いて、より高温で反応を行うことも可能であるが、加熱等のエネルギーコストの割には、収率は向上しにくい。
本発明の反応で用いられる銅塩と有機配位子の混合比率は、3:1〜1:5のモル比、好ましくは1.5:1〜1:3のモル比の範囲内である。これ以外の範囲では、目的物の収率が低下し、また、未反応の原料が残留して、目的物の取り出しが困難となる。
反応は、通常のガラスライニングのSUS製の反応容器及び機械式攪拌機を使用して行うことができる。反応終了後は濾過、乾燥を行うことで目的物質と原料の分離を行い、純度の高い目的物質を製造することが可能である。
以上のようにして得られる本発明の金属錯体は、銅イオンに有機配位子が配位してなる二次元格子が積層し、その層間にBF4 -が存在する二次元格子集積型の三次元構造を形成する。
本発明の金属錯体における三次元構造は、合成後の結晶においても変化できるため、その変化に伴って、細孔の構造や大きさも変化する。この構造が変化する条件は、吸着される物質の種類、吸着圧力、吸着温度に依存する。すなわち、細孔表面と物質の相互作用の差に加え(相互作用の強さは物質のLennard−Jonesポテンシャルの大きさに比例)、吸着する物質により構造変化の程度が異なるため、吸着される物質の種類によって吸着開始圧が異なり、高い選択性が発現する。また、吸着の開始圧力は吸着温度により異なる。吸着された物質が脱着した後は、元の構造に戻るので、細孔の大きさも元に戻る。
前記の吸着メカニズムは推定ではあるが、例え前記メカニズムに従っていない場合でも、本発明で規定する要件を満足するのであれば、本発明の技術的範囲に包含される。
本発明の金属錯体は、吸着される物質の種類、吸着圧力又は吸着温度により、金属錯体の集積構造が変化すると共に細孔の大きさが変化するので、一定の圧力になると急に吸着が始まり、瞬時に最大吸着量に達する。吸着の開始圧力は、吸着される物質の種類又は吸着温度により異なる。
吸着されるガスとしては各種ガスが挙げられるが、例えば、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素(メタン、エタン、エチレン、アセチレンなど)、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなど)、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン(ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなど)、水蒸気又は有機蒸気などを挙げることができる。有機蒸気とは、常温、常圧で液体状の有機物質の気化ガスを意味する。このような有機物質としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;トリメチルアミンなどのアミン類;アセトアルデヒドなどのアルデヒド類;炭素数5〜16の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;塩化メチル、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
さらに、本発明の金属錯体は、吸着圧力を制御することで各種ガスを選択的に吸着することができるので、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素(メタン、エタン、エチレン、アセチレンなど)、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなど)、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン(ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなど)、水蒸気又は有機蒸気などを分離するための分離材としても好ましく、特に、メタンと二酸化炭素、水素と二酸化炭素、窒素と二酸化炭素又は空気中の二酸化炭素などを、圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により分離するのに適している。有機蒸気とは、常温、常圧で液体状の有機物質の気化ガスを意味する。このような有機物質としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;トリメチルアミンなどのアミン類;アセトアルデヒドなどのアルデヒド類;炭素数5〜16の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;塩化メチル、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例における分析、評価は次のようにして行った。
(1)粉末X線回折パターンの測定
X線回折装置を用いて、回折角(2θ)=5〜50°の範囲を走査速度1°/分で走査し、対称反射法で測定した。測定条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社リガク製RINT2400
X線源:CuKα(λ=1.5418Å)40kV200mA
ゴニオメーター:縦型ゴニオメーター
検出器:シンチレーションカウンター
ステップ幅:0.02°
スリット:発散スリット=0.5°
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5°
(2)吸脱着等温線の測定
高圧ガス吸着量測定装置を用いて容量法で測定を行った。測定条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:日本ベル株式会社製BELSORP−HP
平衡待ち時間:500秒
<合成例1>
窒素雰囲気下でテトラフルオロホウ酸銅(II)の水溶液100mL(40mmol/L)を調整し、60℃で撹拌しながら、1,2−ビス(4−ピリジル)エチンのメタノール溶液100mL(80mmol/L)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、吸引濾過によって微量の粉体を濾取することで濾液を得た。この濾液を濃縮し、析出した紛体を吸引濾過により収集した後、100℃、50Paで8時間乾燥し、目的の金属錯体0.937g(収率39%)を得た。
得られた金属錯体の粉末X線回折パターンを測定した結果を図1に示す。
<実施例1>
合成例1で得た金属錯体について、二酸化炭素の−5℃における吸脱着等温線を容量法により測定した。測定に先立って、試料を100℃で5時間真空乾燥して、微量残存している可能性がある溶媒分子等を除去した。結果を図2に示す。
<比較例1>
[Cu(BF42(bpy)2]nの−5℃における吸脱着等温線を容量法により測定した。測定には[Cu(BF42(bpy)2]nの前駆体である[Cu(BF42(bpy)2(H2O)2]n(東京化成工業株式会社)を170℃で8時間真空乾燥し、金属に配位して存在する水分を除去したものを供した。結果を図2に示す。
図2より本発明の金属錯体は従来の材料よりも高い圧力から脱着が開始されることが分かる。この特徴を利用することにより、従来の材料を吸着材として用いる場合に比べて吸着ガスの回収及び吸着材の再生に要するエネルギーを低減することが可能である。
本発明の金属錯体は、従来よりも高い圧力で吸着及び脱着が開始されるため、省エネルギーで吸着ガスを回収できると共に吸着材を再生でき、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気又は有機蒸気などを吸着するための吸着材としても好ましい。さらに、本発明の金属錯体は、吸着圧力を制御することで各種ガスを選択的に吸着することができるので、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気又は有機蒸気などを分離するための分離材としても好ましく、ガス分離装置の小型化に貢献できる。特に、メタンと二酸化炭素、水素と二酸化炭素、窒素と二酸化炭素又は空気中の二酸化炭素などの分離材として好ましい。

Claims (6)

  1. 下記式(I)の単位構造を有する金属錯体。
    Cu(BF4)22 (I)
    (ただし、式中、Lは下記一般式(II);
    で表される有機配位子であり、
    1、R2、R3及びR4はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基もしくはハロゲン原子を示すか、R1とR2、R3とR4は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基もしくはアルケニレン基を示し、
    nは1または2であり、
    5、R6、R7及びR8はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基もしくはハロゲン原子を示すか、R5とR6、R7とR8は一緒になって置換基を有していてもよいアルキレン基、オキシアルキレン基もしくはアルケニレン基を示す。)
  2. 前記有機配位子Lが1,2−ビス(4−ピリジル)エチンまたは1,4−ビス(4−ピリジル)ブタジインである請求項1に記載の金属錯体。
  3. 前記有機配位子Lが1,2−ビス(4−ピリジル)エチンである請求項1又は2に記載の金属錯体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属錯体からなる吸着材。
  5. 該吸着材が、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気又は有機蒸気を吸着するための吸着材である請求項4に記載の吸着材。
  6. 請求項4又は5に記載のガス吸着材を用いてなる圧力スイング式ガス分離装置。
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