JP2016091841A - 有機発光デバイスと有機表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】隣り合う発光部同士の間の間隙領域での有機機能膜の形成不良の発生を抑制し、高い発光性能を有する有機発光デバイスおよび有機表示装置を提供する。【解決手段】表示パネルのサブピクセルでは、Z軸方向において、アノード103、ホール注入層104、ホール輸送層、有機発光層、電子輸送層、カソードが順に積層されている。表示パネルにおいて、隣り合うサブピクセル同士は、それぞれY軸方向に延伸する複数の第1バンク105と、それぞれX軸方向に延伸する複数の第2バンク115とにより規定されている。有機発光層を含む有機機能層は、隣り合う第1バンク105同士の間にライン状に形成されている。第2バンク115の表面部のフッ素濃度は、第1バンク105の表面部のフッ素濃度に対して、10%未満である。【選択図】図6

Description

本発明は、有機発光デバイスと有機表示装置に関し、特に、発光部を規定するバンクの構成に関する。
近年、有機EL(Electro Luminescence)パネルや有機EL照明などの有機発光デバイスの開発が行われている(特許文献1)。従来技術に係る有機ELパネルの構成について、図9(a)を用い説明する。
図9(a)に示すように、従来技術に係る有機ELパネルは、基板900の主面(Z軸方向上側の主面)にTFT層901および絶縁層902が順に積層されている。そして、絶縁層902上には、発光部としてのサブピクセルを単位として、アノード903およびホール注入層904が順に積層形成されている。絶縁層902上であって、Y軸方向におけるアノード903およびホール注入層904のエッジを含む間隙部分には、X軸方向に延伸する第2バンク915が形成されている。また、同じく絶縁層902上であって、第2バンク915に対して交差する状態で、Y軸方向に延伸する第1バンク905が形成されている。
隣り合う第1バンク905同士の間の溝部分には、ホール輸送層906、有機発光層907、電子輸送層908などの有機機能膜が積層形成されている。電子輸送層908上および第1バンク905の頂面部を覆うように、カソード909および封止層910が順に積層形成されている。
なお、図9(a)では図示を省略しているが、封止層910の上には、樹脂層を介してカラーフィルタパネルが積層形成されている。
特開2002−75640号公報
しかしながら、本発明者等は、従来技術に係る有機発光デバイスにおいて、第2バンク915上でホール輸送層906や有機発光層907などからなる有機機能膜の形成不良が生じる場合があることを究明した。具体的には、図9(b)に示すように、第2バンク915の表面915fの一部において、ホール輸送層906が形成されないことが生じ得ることがある。また、図示を省略しているが、有機発光層907についても同様に形成不良を生じることがある。
このような第2バンク915上における有機機能膜の形成不良は、その両側における発光部での有機機能膜(ホール輸送層906や有機発光層907など)の膜厚および膜形状の不良に繋がり、発光性能の低下をもたらすことがある。
本発明は、上記のような課題の解決を図ろうとなされたものであって、隣り合う発光部同士の間の間隙領域での有機機能膜の形成不良の発生を抑制し、高い発光性能を有する有機発光デバイスおよび有機表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る有機発光デバイスは、複数の発光部が基板の主面に沿った方向に二次元配置されてなるデバイスである。複数の発光部の各々は、基板の前記主面に沿った方向に対して交差する第1方向において、次のような部位が積層されてなる。
第1電極;基板の上方に配置されている。
有機機能層;第1電極上に配置され、少なくとも有機発光層を含んでいる。
第2電極;有機機能層上に配置されている。
また、複数の発光部の各々は、複数の第1バンクおよび複数の第2バンクを以って規定されている。
複数の第1バンクは、基板の主面に沿った方向における一の方向である第2方向にそれぞれがライン状に延伸し、且つ、第2方向に対し交差する第3方向に互いが離間して配置されている。
複数の第2バンクは、第3方向にそれぞれがライン状に延伸し、且つ、第2方向に互いが離間して配置されている。
本態様において、第1バンクおよび第2バンクは、それぞれが絶縁材料からなるとともに、少なくとも有機機能層の側の表面部にフッ素を含有し、且つ、互いの交差部分において、第1バンクが第2バンク上に積層されている。そして、第2バンクにおける有機機能層の側の表面部でのフッ素濃度は、第1バンクにおける有機機能層の側の表面部でのフッ素濃度に対して、10%未満である。
上記態様に係る有機発光デバイスでは、第2バンクにおける有機機能層の側の表面部でのフッ素濃度を、第1バンクにおける有機機能層の側の表面部でのフッ素濃度に対して、10%未満に規定しているので、第1バンクの延伸方向に沿って隣り合う発光部同士の間の間隙領域での有機機能層の形成不良の発生を抑制することができ、高い発光性能を有する。
実施の形態に係る有機EL表示装置1の概略構成を示す模式ブロック図である。 表示パネル10におけるサブピクセル10a,10b,10c、10c1,10c2の配置形態を示す模式平面図である。 図2のA−A断面を示す模式断面図である。 図2のB−B断面を示す模式断面図である。 表示パネル10における第1バンク105および第2バンク115およびアノード104の配置形態を示す模式平面図である。 表示パネル10の一部構成を抜き出して示す模式斜視図である。 (a)は、実施の形態に係る表示パネル10での第2バンク115とホール輸送層106との関係を示す模式断面図であり、(b)は、比較例に係る表示パネルでの第2バンク965とホール輸送層956との関係を示す模式断面図である。 表示パネル10の製造過程を示す工程概略図である。 (a)は、従来技術に係る表示パネルの一部構成を示す模式斜視図であり、(b)は、ホール輸送層906の形成不良の一態様を示す模式断面図である。
[本発明者等の検討事項]
本発明者等が本発明の各態様を推考するに当たり検討した事項について、引き続き図9(b)を用い説明する。
第2バンク915は、隣り合うアノード903同士の短絡を防止し、また、アノード903におけるエッジ部分での電界発光を防止する役割を担う。
しかしながら、図9(b)に示すように、従来技術に係る有機ELパネル(有機発光デバイス)では、第2バンク915の表面915fの一部でホール輸送層(有機層)906が形成されない、所謂、未濡れが発生する場合がある。これについて、本発明者等は、未濡れの発生原因として、第1バンク905の表面部の接触角に対する、第2バンク915の表面部の接触角の関係に大きく影響を受けるものであるとの結論に至った。より具体的には、第2バンク915の表面部でのフッ素濃度と第1バンク905の表面部でのフッ素濃度との関係が重要であることを見出した。
[本発明の各態様]
本発明の一態様に係る有機発光デバイスは、複数の発光部が基板の主面に沿った方向に二次元配置されてなるデバイスである。複数の発光部の各々は、基板の前記主面に沿った方向に対して交差する第1方向において、次のような部位が積層されてなる。
第1電極;基板の上方に配置されている。
有機機能層;第1電極上に配置され、少なくとも有機発光層を含んでいる。
第2電極;有機機能層上に配置されている。
また、複数の発光部の各々は、複数の第1バンクおよび複数の第2バンクを以って規定されている。
複数の第1バンクは、基板の主面に沿った方向における一の方向である第2方向にそれぞれがライン状に延伸し、且つ、第2方向に対し交差する第3方向に互いが離間して配置されている。
複数の第2バンクは、第3方向にそれぞれがライン状に延伸し、且つ、第2方向に互いが離間して配置されている。
本態様において、第1バンクおよび第2バンクは、それぞれが絶縁材料からなるとともに、少なくとも有機機能層の側の表面部にフッ素を含有し、且つ、互いの交差部分において、第1バンクが第2バンク上に積層されている。そして、第2バンクにおける有機機能層の側の表面部でのフッ素濃度は、第1バンクにおける有機機能層の側の表面部でのフッ素濃度に対して、10%未満である。
この態様に係る有機発光デバイスでは、第2バンクにおける有機機能層の側の表面部でのフッ素濃度を、第1バンクにおける有機機能層の側の表面部でのフッ素濃度に対して、10%未満に規定しているので、第1バンクの延伸方向に沿って隣り合う発光部同士の間の間隙領域での有機機能層の形成不良の発生を抑制することができ、高い発光性能を有する。
また、本発明の別態様に係る有機発光デバイスでは、上記態様に係る構成において、第2バンクにおける有機機能層の側の表面部でのフッ素濃度が、第1バンクにおける有機機能層の側の表面部でのフッ素含濃度に対して、7.5%未満である。このように、第2バンクにおける有機機能層の側の表面部でのフッ素濃度を、第1バンクにおける有機機能層の側の表面部でのフッ素濃度に対して、7.5%未満に規定することによって、第1バンクの延伸方向に沿って隣り合う発光部同士の間の間隙領域での有機機能層の形成不良の発生をさらに効果的に抑制することができ、より高い発光性能を有する。
また、本発明の別態様に係る有機発光デバイスでは、上記態様に係る構成において、複数の発光部の各々において、第1電極と有機機能層との間に電荷注入層が配置されており、当該電荷注入層が有機機能層と接触している構成を有する。そして、第2バンクにおける有機機能層の側の表面部でのフッ素濃度が、電荷注入層における有機機能層の側の表面部に存在するフッ素の濃度に対して、400%未満である。換言すると、第2バンクにおける上記表面部でのフッ素濃度に対する、電荷注入層における上記表面部に存在するフッ素の濃度の比率が、1/4よりも大きい。
このように、電荷注入層の上記表面部でのフッ素濃度と、第2バンクの上記表面部でのフッ素濃度との関係を規定することにより、電荷注入層および第2バンクの上に対して連続的に有機膜を形成する際のインクの未濡れ発生を防止することができ、また、電荷注入層上と第2バンク上との相対的な有機膜の形態の違い発生を抑制することができる。これより、隣り合う発光部間での有機膜の膜厚を含む膜形態の均一性を確保する上で優れる。
また、本発明の別態様に係る有機発光デバイスでは、上記態様に係る構成において、第2バンクが有機材料からなり、第2バンクと有機機能層および第1バンクとの間の少なくとも一部には、無機材料からなり、第2バンクおよび有機機能層および第1バンクに接触する無機層が配置されている。即ち、第2バンクの表面部の少なくとも一部が、無機層により被覆されている。このように、第2バンクの表面部の少なくとも一部を無機層で被覆してなる構成を採用すれば、第1バンクの形成に際して、第2バンクに含まれるフッ素が第2バンク同士の間に露出する下地層(第1電極あるいは電荷注入層)の表面部に拡散して(染み出して)しまうことを防止できる。よって、この構成を採用する場合には、有機機能層の形成に際して、下地層の表面部におけるインクの未濡れを防止でき、下地層上における有機機能層の形成もさらに良好に行うことができる。
また、本発明の別態様に係る有機発光デバイスでは、上記態様に係る構成において、無機層の構成材料として、シリコン酸化物またはシリコン窒化物またはシリコン酸窒化物を採用することができる。
また、本発明の別態様に係る有機発光デバイスでは、上記態様に係る構成において、第2バンクの厚みが0.80μm以下である。このように、第2バンクの厚みを0.80μm以下に規定することにより、有機機能層の形成時におけるインクの未濡れの発生を効果的に抑制することができる。
また、本発明の別態様に係る有機発光デバイスでは、上記態様に係る構成において、第1バンクの高さが第2バンクよりも高く、且つ、0.50μm以上1.1μm以下である。これにより、有機機能層の高い層厚均一性を確保することができる。
また、本発明の別態様に係る有機発光デバイスでは、上記態様に係る構成において、第1電極では、その各発光部の端縁領域の一部において、基板の主面に沿う平面に対して沿った平坦領域を有し、第2バンクは第1電極における平坦領域の上方も覆っており、第2バンクの厚みが、第1電極における平坦領域の上方部分での厚みである。このように、第2バンクの厚みを規定する領域を明確化することができる。
また、本発明の一態様に係る有機表示装置は、表示パネルと、これに接続された制御駆動回路部とを備え、表示パネルとして、上記の内の何れかの態様に係る有機発光デバイスのデバイス構造を採用することができる。これにより、本態様に係る有機表示装置では、上記態様に係る有機発光デバイスが奏する効果をそのまま奏することができる。
[実施の形態]
以下では、図面を参酌しながら、実施の形態に係る有機EL表示装置1の構成について説明する。
1.装置の概略構成
本実施の形態に係る有機EL表示装置1の概略構成について、図1および図2を用い説明する。なお、本実施の形態では、有機EL表示装置1を、有機表示装置の一例として採用している。
図1に示すように、本実施の形態に係る有機EL表示装置1は、表示パネル10と、これに接続された駆動・制御回路部20とを備えている。表示パネル10は、有機発光デバイスの一種であって、有機材料の電界発光現象を利用した有機ELパネルである。
図2に示すように、表示パネル10では、複数のサブピクセル(副画素部)10a,10b,10c,10c1,10c2,・・が、X軸方向およびY軸方向に二次元配置されている。本実施の形態では、一例として、サブピクセル10aが赤色光(R光)を出射する発光部であり、サブピクセル10bが緑色光(G光)を出射する発光部であり、サブピクセル10c,10c1,10c2が青色光(B光)を出射する発光部である。そして、X軸方向に隣接する3つのサブピクセル10a,10b,10cの組み合わせを以って1つのピクセル(画素部)が構成されている。
図1に戻って、有機EL表示装置1における駆動・制御回路部20は、4つの駆動回路21〜24と1つの制御回路25とから構成されている。なお、有機EL表示装置1における表示パネル10と駆動・制御回路部20との配置関係については、図1に示す形態に限定されない。
また、ピクセルの構成については、図2に示すような3つのサブピクセル10a,10b,10cの組み合わせからなる形態に限定されず、4つ以上のサブピクセルの組み合わせを以って1つのピクセルが構成されることとしてもよい。
2.表示パネル10の構成
本実施の形態において、有機発光デバイスの一例として採用する表示パネル10の構成について、図3および図4を用い説明する。
図3に示すように、表示パネル10は、2枚の基板100,114と、その間に形成された複数の層101〜113などから構成されている。
先ず、Z軸方向下側に配された基板100の主面上には、TFT(Thin Film Transistor)層101が形成されている。図3などでは、詳細な図示を省略しているが、公知の構成を有するTFT層であって、1つのサブピクセル10a,10b,10c,10c1,10c2当たり、1つあるいは2つ以上のトランジスタ素子部が形成されている。
TFT層101上には、絶縁層102を介してアノード103およびホール注入層104がZ軸方向下方から順に積層形成されている。アノード103およびホール注入層104は、サブピクセル10a,10b,10c,10c1,10c2単位で形成されている。
図4に示すように、Y軸方向に隣り合うサブピクセル10c1,10c2間の非発光領域においては、その一方のサブピクセル(図4では、サブピクセル10c2)におけるアノード103とTFT層101のソースまたはドレインとの接続のためのコンタクトホール102aが絶縁層102に開けられている。アノード103とTFT層の上部電極(ソースまたはドレインに接続された電極)とは、コンタクトホール102aの底部分で、互いに接続されている。
図3に戻って、絶縁層102上およびホール注入層104のX軸方向両縁部を覆うように、第1バンク105が形成されている。第1バンク105は、紙面に垂直な方向(Y軸方向)にそれぞれが延伸し、X軸方向において、サブピクセル10a,10b,10c,10c1,10c2を規定する。
図4に示すように、Y軸方向に隣り合うサブピクセル10c1,10c2間の非発光領域においては、アノード103およびホール注入層104のY軸方向両縁部を覆うように、第2バンク115が形成されている。図4に示すように、第2バンク115は、その一部がコンタクトホール102aの内方にも埋め込まれた状態となっている。
再度、図3に戻って、第1バンク105によりX軸方向の両側が規定された開口内には、Z軸方向下方から順に、ホール輸送層106、有機発光層107、電子輸送層108が積層形成されている。本実施の形態では、ホール輸送層106、有機発光層107、および電子輸送層108が、有機機能層として形成されており、図4に示すように、第2バンク115の上を跨ぐ状態で、第1バンク105に沿ってY軸方向に連続的に形成されている。
なお、有機発光層107と電子輸送層108との間に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のフッ化物(例えば、NaF)からなる薄層(例えば、4nm)と、当該層におけるアルカリ金属またはアルカリ土類金属とフッ素との結合を切断する機能を有するアルカリ金属またはアルカリ土類金属(例えばBa)からなる薄層(例えば、1nm)とを介挿させてもよい。
電子輸送層108上および第1バンク105の頂面上を覆うように、Z軸方向下方から順に、カソード109および封止層110が積層形成されている。なお、カソード109および封止層110は、表示パネル10の画素領域全体で連続的に形成されている。
一方、Z軸方向上方に配置された基板114のZ軸方向下側の主面には、カラーフィルタ層113およびブラックマトリクス層112が形成されている。封止層110とカラーフィルタ層113およびブラックマトリクス層112との間は、樹脂層111が介挿されており、封止層110と樹脂層111との間、およびカラーフィルタ層113およびブラックマトリクス層112と樹脂層111との間は、空隙なく密に接触している。
なお、表示パネル10における他のサブピクセル10b,10c,10c1,10c2についても、上記同様の構成を有する。
本実施の形態に係る表示パネル10は、図3に示すように、光が基板114を透過して出射されるトップエミッション型のパネルである。
3.表示パネル10の構成材料
(1)基板100
基板100は、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素基などの半導体基板、プラスチック基板等を用い形成されている。
プラスチック基板としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルベンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオ共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、プリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、変形ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうち1種、または2種以上を積層した積層体を用いることができる。
(2)TFT層101
TFT層101は、各サブピクセル毎に1または複数のトランジスタ素子部を備え、各トランジスタ素子部は、ゲート、ソース、ドレインの3電極と、半導体層、パッシベーション膜などを含み構成されている。
(3)絶縁層102
絶縁層102は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル系樹脂材料などの有機化合物を用い形成されている。ここで、絶縁層102は、有機溶剤耐性を有することが好ましい。
また、絶縁層102は、製造工程中において、エッチング処理、ベーク処理等が施されることがあるので、それらの処理に対して過度に変形や変質などを生じない高い耐性を有する材料を用い形成されることが望ましい。
(4)アノード103
アノード103は、銀(Ag)またはアルミニウム(Al)を含む金属材料から構成されている。トップエミッション型の本実施の形態に係る表示パネル10の場合には、その表面部が高い反射性を有することが好ましい。
なお、アノード103については、上記のような金属材料からなる単層構造だけではなく、金属層と透明導電層との積層体を採用することもできる。透明導電層の構成材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用いることができる。
(5)ホール注入層104
ホール注入層104は、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる層である。
なお、ホール注入層104の構成材料として金属酸化物を用いる場合には、PEDOTなどの導電性ポリマー材料を用いる場合に比べて、ホールを安定的に、またはホールの生成を補助して、有機発光層107に対しホールを注入する機能を有し、大きな仕事関数を有する。
ここで、ホール注入層104を遷移金属酸化物から構成する場合には、複数の酸化数をとるためこれにより複数の準位をとることができ、その結果、ホール注入が容易になり駆動電圧を低減することができる。特に、タングステン酸化物(WOX)を用いることが、ホールを安定的に注入し、且つ、ホールの生成を補助するという機能を有するという観点から望ましい。
(6)第1バンク105
第1バンク105は、樹脂等の有機材料を用い形成されており絶縁性を有する。第1バンク105の形成に用いる有機材料の例としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等があげられる。第1バンク105は、表面に撥液性をもたせるために、表面をフッ素処理することもできる。
さらに、第1バンク105の構造については、図3および図4に示すような一層構造だけでなく、二層以上の多層構造を採用することもできる。この場合には、層毎に上記材料を組み合わせることもできるし、層毎に無機材料と有機材料とを用いることもできる。
(7)第2バンク115
第2バンク115は、例えば、有機絶縁材料などを用い形成することができる。有機絶縁材料の具体例としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂などが挙げられる。
なお、第2バンク115の構成材料として、シリコン酸化物やシリコン窒化物、シリコン酸窒化物などの無機絶縁材料を用いることも可能である。
(8)ホール輸送層106
ホール輸送層106は、親水基を備えない高分子化合物を用い形成されている。例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物であって、親水基を備えないものなどを用いることができる。
(9)有機発光層107
有機発光層107は、ホールと電子とが注入され再結合されることにより励起状態が生成され発光する機能を有する。有機発光層107の形成に用いる材料は、インクジェット法などの湿式印刷法を用い成膜できる発光性の有機材料を用いることが必要である。
具体的には、例えば、特許公開公報(日本国・特開平5−163488号公報)に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
(10)電子輸送層108
電子輸送層108は、カソード109から注入された電子を有機発光層107へ輸送する機能を有し、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などを用い形成されている。
なお、電子輸送層108として、上記のような有機材料に対して、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属(例えば、Ba)がドープされた層を採用することなどもできる。
(11)カソード109
カソード109は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)若しくは酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用い形成される。本実施の形態のように、トップエミッション型の本実施の形態に係る表示パネル10の場合においては、光透過性の材料で形成されることが必要となる。光透過性については、透過率が80[%]以上とすることが好ましい。
また、カソード109を構成する材料として、銀(Ag)やマンガン銀(MgAg)、あるいはその積層体などを採用することもできる。これにより、キャビティ設計に起因して光取り出し効率を高めることもできる。
(12)封止層110
封止層110は、有機発光層106などの有機層が水分に晒されたり、空気に晒されたりすることを抑制する機能を有し、例えば、シリコン窒化物(SiN)、シリコン酸窒化物(SiON)などの材料を用い形成される。また、シリコン窒化物(SiN)、シリコン酸窒化物(SiON)などの材料を用い形成された層の上に、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
さらに、シリコン酸化物(SiO2)、シリコン窒化物(SiN)、シリコン酸化物(SiO2)の順で積層されてなる積層体を封止層110として採用することなどもできる。
封止層110は、トップエミッション型である本実施の形態に係る表示パネル10の場合においては、光透過性の材料で形成されることが必要となる。
(13)樹脂層111
樹脂層111は、透明樹脂材料、例えば、エポキシ系樹脂材料から形成されている。ただし、構成材料としては、これ以外にもシリコーン系樹脂などを用いることもできる。
(14)ブラックマトリクス層112
ブラックマトリクス層112は、例えば、光吸収性および遮光性に優れる黒色顔料を含む紫外線硬化樹脂材料から構成されている。具体的な紫外線硬化樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂等がある。
(15)カラーフィルタ層113
カラーフィルタ層113としては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の波長域の可視光を選択的に透過する、公知の材料から構成される。例えば、アクリル樹脂をベースに形成されている。
(16)基板114
基板114は、上記基板100と同様に、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素基などの半導体基板、プラスチック基板等を用い形成されている。基板114についても、プラスチック基板を採用する場合には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の何れの樹脂を用いてもよい。
4.第1バンク105および第2バンク115の形態
第1バンク105および第2バンク115の形態について、図5および図6を用い説明する。
図5に示すように、複数の第1バンク105は、各々がY軸方向に延伸し、互いがX軸方向に離間した状態で形成されている。
一方、複数の第2バンク115は、各々がX軸方向に延伸し、互いがY軸方向に離間した状態で形成されている。そして、図6に示すように、第2バンク115は、第1バンク105との各交差部分において、第1バンク105の下を通過している。言い換えると、第1バンク105は、各交差部分において、第2バンク115上に積層されている。
図5に戻って、第1バンク105は、X軸方向において隣り合うホール注入層104およびその下のアノード103(図5では図示を省略。)の互いの間の隙間部分に介挿し、各端縁部分を覆う状態で形成されている。第2バンク115は、Y軸方向において隣り合うホール注入層104およびその下のアノード103(図5では図示を省略。)の互いの間の隙間部分に介挿し、各端縁部分を覆う状態で形成されている。
図5に示すように、複数の第1バンク105と複数の第2バンク115とは格子状を成し、各格子内部がサブピクセルに相当する。
第1バンク105および第2バンク115は、上述のように、絶縁性の有機材料から形成されており、図6に示すように、少なくとも各表面部105f,115fにフッ素を含有する。また、本実施の形態では、ホール注入層104の表面部104fにも僅かにフッ素が存在している。
ここで、第1バンク105の表面部105fにおけるフッ素濃度をDf105とし、第2バンク115の表面部115fにおけるフッ素濃度をDf115とするとき、本実施の形態では、次の関係を満足する。
[数1]Df115<Df105×0.10
また、ホール注入層104の表面部104fに存在するフッ素の濃度をDf104とするとき、次の関係を満足する。
[数2]Df115/Df104<4.00
なお、図6では図示を省略しているが、隣り合う第1バンク105で規定される開口部105aに対しては、ホール輸送層106、有機発光層107、電子輸送層108が充填形成される。これについては、図3および図4に示すとおりである。ここで、有機機能層を構成するホール輸送層106、有機発光層107、電子輸送層108は、第2バンク115の上にも積層され、Y軸方向に途切れることなく連続して形成される。
5.第2バンク115の表面部115fのフッ素濃度Df115と有機層の形成良否
第2バンク115の表面部115fのフッ素濃度Df115と有機層(ホール輸送層106)の形成良否について、図7を用い説明する。図7(a)は本実施の形態、図7(b)は比較例を示す。
図7(a)に示すように、本実施の形態では、第2バンク115における表面部115fのフッ素濃度Df115を上記(数1)のように規定しているので、第2バンク115のZ軸方向上方でも有機層(ホール輸送層106)が途切れることなく良好な状態で形成される。即ち、製造時において、ホール輸送層106用のインクが、第2バンク115の表面部115fで“未濡れ”の状態とならない。
一方、図7(b)に示すように、比較例では、第1バンク955の表面部におけるフッ素濃度をDf955とし、第2バンク965の表面部965fにおけるフッ素濃度をDf965とするとき、次の関係となっている。
[数3]Df965≧Df955×0.10
(図3)の関係を有する比較例では、図7(b)に示すように、第2バンク965のZ軸方向上方で有機層(ホール輸送層956)が途切れる場合が生じ得る。即ち、製造時において、ホール輸送層956用のインクが、第2バンク965の表面部で“未濡れ”の状態となる場合がある。
ここで、本実施の形態における第1バンク105の表面部105fのフッ素濃度Df105と、第2バンク115の表面部115fのフッ素濃度Df115とについての測定結果を次表に示す。
Figure 2016091841
(表1)の結果は、次の装置および方法を用いて測定によるものである。
《TOF−SIMS測定条件》
装置/TRIFT2(PHI社製)
一次イオン/Ga+,18kV
分析エリア/150μm×150μm
中和銃/Flood Gun ON
また、本実施の形態における第2バンク115の表面部115fのフッ素濃度Df115と、ホール注入層104の表面部104fに存在するフッ素の濃度Df104とについての測定結果を次表に示す。なお、測定装置および方法は、上記同様である。
Figure 2016091841
(表1)に示すように、本実施の形態では、上記(数1)の関係を満足していることが分かる。本実施の形態では、(表1)に示すように、次の関係を満足している。
[数4]Df115<Df105×0.075
また、(表2)に示すように、本実施の形態では、上記(数2)の関係を満足していることが分かる。
6.第1バンク105の高さと第2バンク115の厚み
第1バンク105の高さおよび第2バンク115の厚みと、有機層(ホール輸送層106、有機発光層107など)の形成良否との関係について、図3および図4を用い説明する。
図3に示すように、絶縁層102のZ軸方向上面から第1バンク105の頂面までの高さをH105とする。
また、図4に示すように、第2バンク115の厚みをH115とする。なお、図4に示すように、第2バンク115の厚みH115については、ホール注入層104の上面における端縁領域の平坦な領域(基板100の上面に沿った平坦領域)の上での厚みである。
(i)第1バンク105の高さH105
第1バンク105の高さH105については、次式を満足する範囲であることが望ましい。
[数5]0.50μm≦H105≦1.1μm
なお、図6などに示すように、第1バンク105の高さH105については、第2バンク115の厚みH115よりも高いことが前提となる。
高さH105の下限値(0.50μm)については、第1バンク105の製造時における膜厚均一性を確保するための限界値であることを本発明者等は確認した。具体的には、ロールコータ法により第1バンク105形成用の有機膜を形成する際、0.50μm未満では、膜厚均一性を確保することが困難となる。
一方、第1バンク105の高さH105の上限値(1.1μm)については、これを超える場合に、有機層(特に、有機発光層107)の膜厚均一性を確保することが困難となる。本発明者等の確認では、第1バンク105の高さH105が、1.5μmあるいは2.0μmの場合には、有機発光層107の膜厚均一性を確保できない。
(ii)第2バンク115の厚みH115
第2バンク115の厚みH115については、次式を満足す範囲であることが望ましい。
[数6]H115≦0.8μm
本発明者等の確認では、第2バンク115の厚みH115が上限値(0.80μm)である場合には、第2バンク115上に若干の“未濡れ”発生があったものの、発光特性に影響を及ぼすものではなかった。これより、第2バンク115の厚みH115の上限値は、0.80μmである。
また、第2バンク115の厚みH115が0.50μmの場合には、第2バンク115上でのインクの“未濡れ“発生はなく、良好であった。これに対して、第2バンク115の厚みH115が上限値(0.80μm)を超える1.0μmとした場合には、”未濡れ“が多数発生し、発光特性の観点から許容できるものではなかった。
7.表示パネル10の製造方法
本実施の形態に係る表示パネル10の製造方法について、図8を用い説明する。
図8に示すように、表示パネル10の製造においては、先ず、TFT基板を準備する(ステップS1)。TFT基板は、基板100の上面にTFT層101を形成したものであり、公知の技術を用い作製される。
次に、TFT基板上に絶縁層102を形成する(ステップS2)。絶縁層102の形成は、例えば、TFT層101におけるパッシベーション膜上に対し有機材料を塗布し、その平面を平坦化して固化した後、コンタクトホール102a(図4を参照。)を開けることによりなされる。
次に、絶縁層102上に対して、アノード103およびホール注入層104を形成する(ステップS3、ステップS4)。アノード103の形成は、例えば、スパッタリング法もしくは真空蒸着法などを用いて金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いてパターニングすることによりなされる。なお、図4などに示すように、形成されたアノード103は、絶縁層102に開けられたコンタクトホール102aによりTFT層101の上部電極(ソースまたはドレインと接続された電極)に接続されることになる。
ホール注入層104の形成は、例えば、スパッタリング法を用いて金属酸化物(例えば、酸化タングステン;WOx)からなる膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いて各サブピクセル10a,10b,10c,10c1,10c2単位にパターニングすることによりなされる。
次に、第2バンク115の形成を行う(ステップS5)。第2バンク115の形成は、例えば、スピンコート法などを用いて第2バンク115の構成用材料(例えば、感光性のアクリル系樹脂材料)からなる膜を成膜する。そして、この樹脂膜を露光・現像することによりパターニングし、焼成(ベーク)を行うことによりなされる。
同様にして、第1バンク105の形成を行う(ステップS6)。第1バンク105の形成は、例えば、スピンコート法やロールコート法などを用いて第2バンク115を含む基板100の上方全体を覆うように、第1バンク105の構成材料(例えば、感光性の樹脂材料)からなる膜を成膜し、露光・現像することによりパターンニングした後、焼成(ベーク)を行うことによりなされる。
なお、図8では図示を省略しているが、形成した第1バンク105および第2バンク115に対して、UV(紫外線)照射処理およびベーク処理を行う。UV照射処理は、例えば、150sec.〜200sec.行い、ベーク処理は、例えば、150℃〜230℃の温度で10min.〜20min.行う。
次に、図5に示すような隣り合う2条の第1バンク105で規定された溝部分(図6の開口部105a)に対し、ホール輸送層106の形成を行う(ステップS7)。ホール輸送層106の形成は、例えば、インクジェット装置などを用いた印刷法で行うものであって、ホール輸送層106用の構成材料を含むインクを隣り合う2条の第1バンク105間で規定された溝部分に塗布し、乾燥させることでなされる。
同様に、隣り合う2条の第1バンク105で規定された溝部分に対し、有機発光層107および電子輸送層108を順に形成する(ステップS8、ステップS9)。有機発光層107および電子輸送層108の形成についても、上記ホール輸送層106の形成と同様に、各構成材料を含むインクを塗布した後、乾燥させることでなされる。
次に、電子輸送層108および第1バンク105の頂面部を被覆するように、カソード109および封止層110を順に形成する(ステップS10、ステップS11)。カソード109および封止層110の形成は、例えば、スパッタリング法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用い行うことができる。
この後、基板114にカラーフィルタ層113およびブラックマトリクス層112が形成されてなるCF基板を貼り合わせることにより、表示パネル10が完成する(ステップS12)。なお、貼り合せは、間に樹脂材料を塗布し、これを固化させることで行うことができる。間に塗布した樹脂材料の固化により、樹脂層111が形成される。
[変形例]
変形例に係る有機EL表示装置および表示パネルの構成について説明する。
本変形例に係る有機EL表示装置の概略構成については、上記実施の形態と同様であり、上記実施の形態との差異点は、表示パネルにおける第2バンクとホール輸送層および第1バンクとの間の部分の構成にある。具体的には、本変形例に係る表示パネルにおいては、第2バンクの表面部の少なくとも一部領域(望ましくは、全領域)が、無機層で被覆されている。ホール輸送層および第1バンクは、無機層を挟んだ状態で第2バンク上に積層形成されている。
ここで、無機層は、無機材料から構成されているものであって、絶縁性材料からなることが望ましい。具体例としては、シリコン酸化物やシリコン窒化物、あるいはシリコン酸窒化物などを採用することができる。
本変形例に係る表示パネルでは、第2バンクの表面部の少なくとも一部を無機層で被覆することにより、第1バンクの形成に際して、第2バンクに含まれるフッ素成分がホール注入層の表面部に拡散する(染み出す)ことを抑制することができる。
例えば、有機材料からなる第2バンクを形成した後、第1バンクを形成するために有機膜を成膜した場合、第2バンクを構成する有機材料と成膜した有機膜の有機材料とが接触することで、第2バンクに含まれるフッ素成分の一部がホール注入層の表面部に染み出すことが考えられる。
しかしながら、本変形例のように第2バンクの表面部の少なくとも一部を無機層で被覆することにより、第1バンクの形成に際して、少なくとも無機層で被覆した部分からのフッ素成分の染み出しを抑制することが可能となる。
なお、上述のように、無機層の構成材料については、絶縁性の材料を用いることが望ましいが、第2バンクの表面部の一部だけを被覆する場合には、導電性を有する材料を採用することも可能である。
また、無機層の厚みに関しては、フッ素成分の染み出しを抑制できれば、特に限定はないが、例えば、1nm〜10nm程度とすることができる。
[その他の事項]
上記実施の形態および変形例では、有機発光デバイスの一例として有機ELディスプレイパネルを採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、有機EL照明などに本発明の構成を適用することでも上記同様の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態では、アクティブマトリクス型の表示パネルを採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、パッシブマトリクス型の表示パネルに対して本発明の構成を適用することでも上記同様の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態では、一例として、第2バンク115における表面部115fでのフッ素濃度Df115を、第1バンク105の表面部105fのフッ素濃度Df105に対して7.5%未満であることとしたが、フッ素濃度の比率については、10%未満とすることで上記効果を得ることができる。
また、図2などに示すように、上記実施の形態では、それぞれが平面視矩形状をした3つのサブピクセル10a,10b,10cの組み合わせを以って1ピクセルを構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、各サブピクセルの平面視形状については、三角形や六角形、あるいは八角形などとすることもできるし、全体としてハニカム形状とすることもできる。1ピクセルを構成するサブピクセル数については、4つのサブピクセルとすることもできるし、それ以上とすることもできる。その場合には、1ピクセルを構成するサブピクセルが互いに異なる発光色であるとすることもできるし、一部が同色の発光を行うものとすることもできる。
また、上記実施の形態では、第1バンク105と第2バンク115とで、互いの表面部105f,115fのフッ素濃度を変える具体的な方法については言及しなかったが、形成材料におけるフッ素濃度を互いに変えることや、形成後におけるUV光(紫外線)の照射強度や照射時間などを互いに変えることなどで実現することができる。
また、上記実施の形態では、第1バンク105および第2バンク115を、ともに有機材料を用い形成することとしたが、少なくとも一方を無機材料から形成することも可能である。この場合においても、表面部におけるフッ素濃度を上記の関係を充足するようにしておけば、上記効果を得ることができる。
また、上記実施の形態および変形例では、ホール注入層104を無機物からなる層として第1バンク105および第2バンク115の下に形成することとしたが、有機層として形成する場合には、隣り合う第1バンク105間で規定された溝内に形成することができる。この場合には、第2バンク115の下地層は、アノード103の端縁部分および絶縁層102の露出部分ということになる。
また、上記実施の形態では、トップエミッション型の表示パネル10を一例として採用したが、ボトムエミッション型の表示パネルに対して本発明の構成を採用することとしても、上記同様の効果を得ることができる。
本発明は、高い発光性能を有する有機発光デバイスおよび有機発光装置を実現する上で有用である。
1.有機EL表示装置
10.表示パネル
10a〜10c,10c1,10c2.サブピクセル
20.駆動・制御回路部
21〜24.駆動回路
25.制御回路
100,114.基板
101.TFT層
102.絶縁層
103.アノード
104.ホール注入層
105.第1バンク
106.ホール輸送層
107.有機発光層
108.電子輸送層
109.カソード
110.封止層
111.樹脂層
112.ブラックマトリクス層
113.カラーフィルタ層
115.第2バンク

Claims (9)

  1. 複数の発光部が基板の主面に沿った方向に二次元配置されてなる有機発光デバイスであって、
    前記複数の発光部の各々は、前記基板の前記主面に沿った方向に対して交差する第1方向において、
    前記基板の上方に配置された第1電極と、
    前記第1電極上に配置され、少なくとも有機発光層を含む有機機能層と、
    前記有機機能層上に配置された第2電極と、
    を有し構成されており、
    前記複数の発光部の各々は、
    前記基板の前記主面に沿った方向における一の方向である第2方向にそれぞれがライン状に延伸し、且つ、前記第2方向に対し交差する第3方向に互いが離間して配置された複数の第1バンクと、
    前記第3方向にそれぞれがライン状に延伸し、且つ、前記第2方向に互いが離間して配置された複数の第2バンクと、
    により規定されており、
    前記第1バンクおよび前記第2バンクは、それぞれが絶縁材料からなるとともに、少なくとも前記有機機能層の側の表面部にフッ素を含有し、且つ、互いの交差部分において、前記第1バンクが前記第2バンク上に積層されており、
    前記第2バンクにおける前記表面部でのフッ素濃度は、前記第1バンクにおける前記表面部でのフッ素濃度に対して、10%未満である
    ことを特徴とする有機発光デバイス。
  2. 前記第2バンクにおける前記表面部でのフッ素濃度は、前記第1バンクにおける前記表面部でのフッ素含濃度に対して、7.5%未満である
    請求項1記載の有機発光デバイス。
  3. 前記複数の発光部の各々において、前記第1電極と前記有機機能層との間には、電荷注入層が配置されており、当該電荷注入層が前記有機機能層と接触しており、
    前記第2バンクにおける前記表面部でのフッ素濃度は、前記電荷注入層における前記有機機能層の側の表面部に存在するフッ素の濃度に対して、400%未満である
    請求項1または請求項2記載の有機発光デバイス。
  4. 前記第2バンクは、有機材料からなり、
    前記第2バンクと前記有機機能層および前記第1バンクとの間の少なくとも一部には、無機材料からなり、前記第2バンクおよび前記有機機能層および前記第1バンクに接触する無機層が配置されている
    請求項1から請求項3の何れか記載の有機発光デバイス。
  5. 前記無機層は、シリコン酸化物またはシリコン窒化物またはシリコン酸窒化物からなる
    請求項4記載の有機発光デバイス。
  6. 前記第2バンクの厚みは、0.80μm以下である
    請求項1から請求項5の何れか記載の有機発光デバイス。
  7. 前記第1バンクの高さは、前記第2バンクよりも高く、0.50μm以上1.1μm以下である
    請求項6記載の有機発光デバイス。
  8. 前記第1電極は、各発光部の端縁領域の一部において、前記基板の前記主面に沿う平面に対して沿った平坦領域を有し、
    前記第2バンクは、前記第1電極における前記平坦領域の上方も覆っており、
    前記第2バンクの厚みは、前記第1電極における前記平坦領域の上方部分での厚みである
    請求項6または請求項7記載の有機発光デバイス。
  9. 表示パネルと、
    前記表示パネルに接続された制御駆動回路部と、
    を備え、
    前記表示パネルとして、請求項1から請求項8の何れかのデバイス構造が採用されている
    ことを特徴とする有機表示装置。
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