JP2016090715A - 光学部材および画像表示装置 - Google Patents

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大助 柏木
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道夫 永井
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Abstract

【課題】波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域における、波長選択反射部の反射率と下地層の反射率との比であるSignal/Noise比が高い光学部材の提供。
【解決手段】支持体と、下地層と、波長選択反射部と、をこの順で有し、前述の波長選択反射部は、波長選択反射性を有し、前述の波長選択反射部は、コレステリック構造を有し、前述のコレステリック構造は走査型電子顕微鏡にて観測される前述の波長選択反射部の断面図において明部と暗部との縞模様を与え、前述の下地層は非可視光を吸収し、前述の波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域と前述の下地層の吸収する非可視光の波長領域とが重なる、光学部材;画像表示装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学部材および画像表示装置に関する。より詳しくは、波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域における、波長選択反射部の反射率と下地層の反射率との比であるSignal/Noise比が高い光学部材と、この光学部材を用いた画像表示装置に関する。
コレステリック構造を有する材料は、波長選択反射性を有し、その特性を生かして様々な光学部材の構成材料として使用されている。
例えば特許文献1には、基板の表面に非可視光線反射性の透明パターンが印刷されてなり、透明パターンを構成するインキが非可視光線反射材料を含み、非可視光線反射材料が、非可視光線領域の波長に対して波長選択反射性を持つ材料であり、透明パターンの断面を走査型電子顕微鏡で観察した場合に、一定の繰返し周期からなる多層構造を含むように形成されており、かつ透明パターンが、入射光に対して所望の回転方向の円偏光成分のみを反射するパターン印刷シートが記載されている。特許文献1では、一定の繰返し周期からなる多層構造が、固定化されたコレステリック構造を有する液晶材料により形成されていることも記載されている。特許文献1には、これらの構成により、ディスプレイ装置の画面に直接手書きするタイプのデータ入力システムに適用できる、座標検知手段を提供する部材であって、軽量で、価格が安く、大面積化が容易で、量産可能なパターン印刷シートを提供することが記載されている。
特許文献2には、可視光を透過し、赤外線又は紫外線を拡散反射する基材上に、赤外線又は紫外線を吸収する層がパターン印刷されてなる光学フィルムが記載されている。特許文献2では、赤外線又は紫外線を拡散反射する基材が、透明基板上に、赤外線又は紫外線を拡散反射するコレステリック構造を有する液晶材料からなる湾曲した層が設けられ、その上に赤外線又は紫外線を吸収する層がパターン印刷されてなることも記載されている。特許文献2には、これらの構成により、ディスプレイ装置の画面に直接手書きするタイプのデータ入力システムに適用でき、座標検知手段を提供する光学フィルムであって、軽量で、価格が安く、大面積化が容易で、量産可能で、かつ広い読取角度を有する読取性能に優れる光学フィルムを提供することが記載されている。
特開2008−108236号公報 特開2008−209598号公報
しかしながら、本発明者らが、特許文献1および2に記載の材料について、波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域における、波長選択反射部の反射率と下地層の反射率との比であるSignal/Noise比(以下、S/N比とも言う)を検討したところ、S/N比が低く検知精度が高まらないという問題があることがわかった。具体的には、特許文献1では、評価用ベタ塗工面での反射波長と強度、および円偏光選択性を評価しているのみであり、位置検出のために必要となるS/N比が低いという問題があった。特許文献2には読み取り可能角度が向上したとの記載があるが、位置検出のために必要なS/N比は低いという問題があった。
本発明で解決しようとする課題は、波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域における、波長選択反射部の反射率と下地層の反射率との比であるSignal/Noise比が高い光学部材を提供することである。
本発明者らが上記状況に鑑み鋭意検討した結果、波長選択反射部の基板の下地に任意の波長の非可視光の光線を吸収する下地層を設置し、その下地層の上に任意の波長を選択反射するコレステリック構造を有する波長選択反射部を設ける事によって、下地部分と波長選択反射部との反射率の強度比(S/N比)を飛躍的に高める事ができることを見出した。
上記課題を解決するための具体的な手段である本発明と、本発明の好ましい範囲は以下のとおりである。
[1] 支持体と、下地層と、波長選択反射部と、をこの順で有し、
前述の波長選択反射部は、波長選択反射性を有し、
前述の波長選択反射部は、コレステリック構造を有し、
前述のコレステリック構造は走査型電子顕微鏡にて観測される前述の波長選択反射部の断面図において明部と暗部との縞模様を与え、
前述の下地層は非可視光を吸収し、
前述の波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域と前述の下地層の吸収する非可視光の波長領域とが重なる、
光学部材。
[2] [1]に記載の光学部材は、前述のコレステリック構造が、コレステリック液晶構造を有する液晶材料を含むことが好ましい。
[3] [2]に記載の光学部材は、前述の液晶材料が界面活性剤を含むことが好ましい。
[4] [3]に記載の光学部材は、前述の界面活性剤がフッ素系界面活性剤であることが好ましい。
[5] [3]または[4]に記載の光学部材は、前述の液晶材料が液晶化合物、キラル剤および前述の界面活性剤を含む液晶組成物を硬化して得られる材料であることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一つに記載の光学部材は、前述の下地層の表面に前述の波長選択反射部の複数をパターン状に有することが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれか一つに記載の光学部材は、前述の波長選択反射部がドットであることが好ましい。
[8] [7]に記載の光学部材は、前述のドットは、前述のドットの端部から中心に向かう方向で最大高さまで連続的に増加する高さを有する部位を含み、
前述の部位において、前述の下地層と反対側の前述のドットの表面から1本目の前述の暗部がなす線の法線と前述の表面とのなす角度は70°〜90°の範囲であることが好ましい。
[9] [7]または[8]に記載の光学部材は、前述のドットの直径が20〜200μmであることが好ましい。
[10] [7]または[8]に記載の光学部材は、前述のドットの直径が30〜120μmであることが好ましい。
[11] [7]〜[10]のいずれか一つに記載の光学部材は、前述の最大高さを前述のドットの直径で割った値が0.13〜0.30であることが好ましい。
[12] [7]〜[11]のいずれか一つに記載の光学部材は、前述のドットの端部において、前述の下地層とは反対側の前述のドットの表面と前述の下地層の表面とのなす角度が27°〜62°であることが好ましい。
[13] [7]〜[12]のいずれか一つに記載の光学部材は、前述の光学部材が、非可視光の照射及び検知が可能な入力端末を用いて、前述のパターン状の波長選択反射部の反射パターンを読み取ることで、前述の光学部材上における入力端末の位置に関する情報を提供可能であることが好ましい。
[14] [1]〜[13]のいずれか一つに記載の光学部材は、前述の下地層が、760nm〜1200nmに極大吸収を有する化合物を含むことが好ましい。
[15] [1]〜[14]のいずれか一つに記載の光学部材は、前述の波長選択反射部が赤外光領域に中心波長を有する波長選択反射性を有することが好ましい。
[16] [15]に記載の光学部材は、前述の波長選択反射部が波長800〜950nmに中心波長を有する波長選択反射性を有することが好ましい。
[17] [1]〜[16]のいずれか一つに記載の光学部材は、可視光領域において透明であることが好ましい。
[18] [1]〜[17]のいずれか一つに記載の光学部材を有する画像表示装置。
本発明により、新規な光学部材が提供される。本発明の光学部材は、波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域における、波長選択反射部の反射率と下地層の反射率との比であるSignal/Noise比が高い。
本発明の光学部材の一例の断面図を模式的に示す図である。 実施例で作製した光学部材のドットの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)観察した画像を示す図である。 図3は、本発明の光学部材を、画像表示装置(画像表示可能なディスプレイ装置)の表面または前方に装着されるシートとして用いたシステムの概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、例えば、「45°」、「平行」、「垂直」あるいは「直交」等の角度は、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5度未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4度未満であることが好ましく、3度未満であることがより好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
本明細書において、「同一」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」または「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
可視光は電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380nm〜780nmの波長域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長域または780nmを超える波長域の光である。
赤外光のうち、近赤外光は780nm〜2500nmの波長域の電磁波である。紫外光は波長10〜380nmの範囲の光である。
本明細書において再帰反射は任意の面に入射した光が入射方向に反射される反射を意味する。再帰反射は、ある面に対してその面の法線方向から入射した光が入射方向に正反射(鏡面反射)される反射も含む。
本明細書において、「ヘイズ」は、日本電色工業株式会社製のヘーズメーターNDH−2000を用いて測定される値を用いる。
理論上は、ヘイズは、以下式で表される値を意味する。
(380〜780nmの自然光の散乱透過率)/(380〜780nmの自然光の散乱透過率+自然光の直透過率)×100%
散乱透過率は分光光度計と積分球ユニットを用いて、得られる全方位透過率から直透過率を差し引いて算出することができる値である。直透過率は、積分球ユニットを用いて測定した値に基づく場合、0°での透過率である。
[光学部材]
本発明の光学部材は、支持体と、下地層と、波長選択反射部と、をこの順で有し、
前述の波長選択反射部は、波長選択反射性を有し、
前述の波長選択反射部は、コレステリック構造を有し、
前述のコレステリック構造は走査型電子顕微鏡にて観測される前述の波長選択反射部の断面図において明部と暗部との縞模様を与え、
前述の下地層は非可視光を吸収し、
前述の波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域と前述の下地層の吸収する非可視光の波長領域とが重なる。
このような構成により、本発明の光学部材は、波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域における、波長選択反射部の反射率と下地層の反射率との比であるSignal/Noise比が高い。いかなる理論に拘泥するものでもないが、前述の波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域と前述の下地層の吸収する非可視光の波長領域とが重なることで、予測以上にS/N比を高めることができる。
本明細書中、波長選択反射部と非可視光を吸収する下地層の区別は、積層順によって定めることができるが、両者の非可視光の反射率の相対的な高さによって定めてもよい。すなわち、「波長選択反射部」とは、「非可視光を吸収する下地層」よりも非可視光の反射率が高い部分であることが好ましい。具体的には波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域にいて、非可視光を吸収する下地層の反射率が1.1倍(好ましい範囲は、後述の波長選択反射部の反射率の、下地層の反射率に対する比であるSignal/Noise比の好ましい範囲と同様)以上の反射率である部分が、「波長選択反射部」であることが好ましい。
以下、本発明の光学部材の好ましい態様について説明する。
<形状>
光学部材の形状は特に限定されず、例えば、フィルム状、シート状、または板状であればよい。図1に本発明の光学部材の一例の断面図を模式的に示す。図1に示した光学部材は、支持体3および下地層4からなる基板2の下地層4側の表面にドット形状の波長選択反射部1が形成されている。以下、支持体および下地層の積層体のことを基板ともいう。なお、支持体と下地層は一体化していない方が製造の容易性の観点から好ましいが、支持体と下地層が一体化していてもよい。
本発明の光学部材は、前述の下地層の表面に前述の波長選択反射部の複数をパターン状に有することが好ましい。図1に示した光学部材では、下地層4の表面に、波長選択反射部1の複数をパターン状に有している。
本発明の光学部材は、前述の波長選択反射部がドットであることが好ましい。図1に示した光学部材では、波長選択反射部1がドットである。
図1に示した光学部材では、さらにドット形状の波長選択反射部1を覆うように基板のドット形成面側にオーバーコート層5が設けられているが、オーバーコート層5は設けなくてもよい。
<特性>
本発明におけるS/N比とは、波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域における、波長選択反射部の反射率をS、下地層の反射率をNとおいた際の反射率の強度比を表わす。かかる値は、入力読み取り装置の仕様にもよるため一概には決まらないが、1.5以上であることが好ましく、その値の性質により当然上限値はなく、高ければ高いほどよい。S/N比は2.0以上であることがより好ましく、3.0以上であることが特に好ましく、4.0以上であることがより特に好ましい。
本発明の光学部材は、用途に応じて、可視光領域において、透明であっても透明でなくてもよいが、透明であることが好ましい。
本明細書において透明というとき、具体的には波長380〜780nmの非偏光透過率(全方位透過率)が50%以上であればよく、70%以上であればよく、85%以上であることが好ましい。
本発明の光学部材のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、2%以下であることが特に好ましい。
<支持体>
本発明の光学部材は、支持体を有する。
本発明の光学部材に含まれる支持体は、下地層の表面に波長選択反射部を形成するための基材として機能する。
支持体は、波長選択反射部が光を反射する波長において、光の反射率が低いことが好ましく、波長選択反射部が光を反射する波長において光を反射する材料を含んでいないことが好ましい。
また、支持体は可視光領域において、透明であることが好ましい。また、支持体は、着色していてもよいが、着色していないか、着色が少ないことが好ましい。さらに支持体は屈折率が1.2〜2.0程度であることが好ましく、1.4〜1.8程度であることがより好ましい。いずれも、例えば、光学部材がディスプレイの前面で用いられる用途の光学部材などにおいて、ディスプレイに表示される画像の視認性を低下させないようにするためである。
支持体の厚みは用途に応じて選択すればよく、特に限定されないが、5μm〜1000μm程度であればよく、好ましくは10μm〜250μmであり、より好ましくは15μm〜150μmである。
支持体は単層であっても、多層であってもよく、単層である場合の支持体の例としては、ガラス、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリオレフィン等が挙げられる。
<下地層>
本発明の光学部材は、非可視光を吸収する下地層を少なくとも有し、前述の波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域と前述の下地層の吸収する非可視光の波長領域とが重なる。なお、非可視光を吸収する下地層以外の他の下地層を、支持体と非可視光を吸収する下地層の間や非可視光を吸収する下地層と波長選択反射部の間に有していてもよい。
本発明の光学部材は、支持体と、下地層と、波長選択反射部と、をこの順で有するため、下地層は、支持体と波長選択反射部の間に設けられる。
下地層は樹脂層であることが好ましく、透明樹脂層であることが特に好ましい。下地層を構成するバインダー樹脂成分は特に限定されないが、下地層に好ましく用いられるバインダー樹脂としては、特開2010−191146号公報の0042〜0043段落に記載の材料を挙げることができ(この公報の内容は本発明に組み込まれる)、その中でもベンジルメタクリレート/メタクリル酸の共重合体などのベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体が好ましい。
下地層を構成する樹脂成分は、支持体表面に塗布された重合性化合物を含む組成物の硬化により得られた熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂であることも好ましい。重合性化合物の例としては、(メタ)アクリレートモノマー、ウレタンモノマーなどの非液晶性の化合物が挙げられる。下地層に好ましく用いられる重合性化合物としては、特開2010−191146号公報の0044〜0045段落に記載の材料を挙げることができ(この公報の内容は本発明に組み込まれる)、その中でもジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)等の多官能アクリレートが好ましい。
非可視光を吸収する下地層は、非可視光を吸収する以外の機能を奏さない層であってもよく、非可視光を吸収する以外の機能を奏する層であってもよい。他の機能を奏する下地層の例としては、ドットを形成する際の表面形状を調整するための層、ドットとの接着特性を改善するための層、ドット形成の際の重合性液晶化合物の配向を調整するための配向層などが挙げられる。
下地層は非可視光を吸収し、380nm未満の波長域または780nmを超える波長域の光を少なくとも吸収することが好ましく、780nmを超える波長域の光を少なくとも吸収することがより好ましく、赤外光を吸収することが特に好ましく、近赤外光を吸収することがより特に好ましく、波長800〜950nmに中心波長を有する光を吸収することがさらにより特に好ましい。下地層は、波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域である非可視光における吸収率(例えば、波長850nmでの吸収率)が15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、25%以上であることが特に好ましい。
なお、下地層は可視光を吸収してもよいが、可視光を吸収しないことが好ましく、すなわち下地層は透明であることが好ましい。
また、下地層は、波長選択反射部が光を反射する波長において、光の反射率が低いことが好ましく、波長選択反射部が光を反射する波長において光を反射する材料を含んでいないことが好ましい。
さらに下地層は屈折率が1.2〜2.0程度であることが好ましく、1.4〜1.8程度であることがより好ましい。
表面が波長選択反射部の形成面となる下地層は、再帰反射性を示すドットを形成しない場合は特に、フッ素系、シリコーン系、アクリル酸共重合物系の界面活性剤の含有量が少ないことが好ましい。界面活性剤の含有量は、下地層の全体に対して0.001〜1質量%であることが好ましく、0.001〜0.1質量%であることがより好ましく、0.001〜0.05質量%であることが特に好ましい。下地層に好ましく用いられる界面活性剤としては、特開2010−191146号公報の0050段落に記載の材料を挙げることができ(この公報の内容は本発明に組み込まれる)、その中でもフッ素系かつ共重合物系の界面活性剤が好ましい。
非可視光を吸収する下地層の厚みは、特に限定されないが、0.01〜50μmであることが好ましく、0.05〜20μmであることがさらに好ましい。
(赤外線吸収剤)
非可視光として赤外線を用いる場合、非可視光を吸収する下地層は、赤外線吸収剤を含むことが好ましく、760nm〜1200nmに極大吸収を持つ化合物を含むことがより好ましい。
赤外線吸収剤の添加量は、非可視光を吸収する下地層の全固形分に対し、通常0.001〜50質量%、好ましくは0.005〜30質量%、特に好ましくは0.01〜10質量%である。この範囲内で、膜強度に好ましくない影響を与えることなく、高いS/N比を実現する吸収強度を実現する事ができる。
赤外線吸収剤は、赤外線吸収染料又は顔料であることが好ましい。
非可視光を吸収する下地層に供される染料としては、例えば、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、ジイモニウム、クアテリレン、ジチオールNi錯体、アミノアントラキノン、インドアニリン、ナフタロシアニン、オキソノール、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等の公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等の公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号の公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
その他の具体例として、「ケミカルレビューズ(Chenmical Reviews)」 1992年発行 92巻 No.6 1197〜1226ページや「JOEMハンドブック2 ダイオードレーザーに対する染料の吸収スペクトル(Absorption Spectra Of Dyes for Diode Lasers JOEM Handbook 2)」(ぶんしん出版社、1990年発行)や「光ディスク用赤外吸収色素の開発」ファインケミカル 23巻 No.3 1999年発行に記載の、前述の波長領域に吸収極大波長(別の観点から言い換えると、最大吸収波長)を有する色素が挙げられる。
具体例として、
ジイモニウム色素:特開2008−069260号公報[0072]〜[0115]
シアニン色素:特開2009−108267号公報[0020]〜[0051]
フタロシアニン色素:、特開2013−182028号公報[0010]〜[0019]が挙げられる。
これらの公報に記載の内容は、本発明に組み込まれる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。
シアニン色素としては、下記一般式(1)で示されるシアニン色素が好適に用いられる。
一般式(1)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−N(L12、X2−L1又は以下に示す基を表す。X2は、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環基又はヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を表す。ここでヘテロ原子とは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子又はセレン原子を表す。以下に示す基において、Xa -は、後述するZa -と同義であり、Raは、水素原子又はアルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基及びハロゲン原子より選択される置換基を表す。視認性向上の観点から、X1は、−NPh2であることが好ましい。
一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を表す。画像形成層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合して、5員環又は6員環を形成していることが好ましい。視認性向上の観点から、5員環を形成していることが特に好ましい。
一般式(1)中、Ar1及びAr2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環基又はナフタレン環基が挙げられる。好ましい置換基としては、炭素原子数12以下の炭化水素基、ハロゲン原子又は炭素原子数12以下のアルコキシ基が挙げられる。視認性向上の観点から、電子供与性基であることが好ましく、具体的には炭素数12以下のアルコキシ基又は炭素数12以下のアルキル基であることがより好ましい。Y1及びY2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12以下のジアルキルメチレン基を表す。R3及びR4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20以下の炭化水素基を表す。好ましい置換基としては、炭素原子数12以下のアルコキシ基、カルボキシル基又はスルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12以下の炭化水素基を表す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。
一般式(1)中、Za -は、対アニオンを表す。ただし、一般式(1)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa -は必要ない。画像形成層塗布液の保存安定性から、Za -で表される対アニオンとしては、好ましくは、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、スルホン酸イオン又はテトラフェニルボレートイオンなどの有機ボレートイオンなどであり、より好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン又はアリールスルホン酸イオンである。
シアニン色素のより好ましい例としては、下記一般式(2)で表される色素が挙げられる。
一般式(2)中、L1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2又は−Y3−L2を表す。Y3は酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を表し、L2は、アルキル基、アリール基、ヘテロ芳香環基(ヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子又はセレン原子を示す)又はヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を表す。
1およびX2はそれぞれ独立に、硫黄原子、酸素原子又は炭素原子数12以下のジアルキルメチレン基を表す。Z1及びZ2は、それぞれ独立に、芳香環基またはヘテロ芳香環基を表す。
1及びR2は、それぞれ独立に、炭化水素基を表す。R3、R4、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数12以下の炭化水素基を表す。R5及びR6は、それぞれ独立に、炭化水素基を表すか、R5とR6とが互いに連結して5員環または6員環を形成してもよい。A-は、対アニオンを表し、前述の一般式(1)中のZa -と同義であり、好ましい例も同様である。
上記各置換基又は環構造は、さらに置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリールオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホニル基又はシリル基などが挙げられる。
シアニン色素の更に好ましい例としては、下記一般式(3)で表される色素が挙げられる。
一般式(3)中、Z1及びZ2は、それぞれ独立に芳香環またはヘテロ芳香環を表す。R1及びR2は、それぞれ独立に、炭化水素基を表す。A-は、対アニオンを表し、前述の一般式(1)中のZa -と同義であり、好ましい例も同様である。
上記各置換基又は環構造は、さらに置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリールオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホニル基又はシリル基などが挙げられる。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(1)で表されるシアニン色素の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において使用される赤外線吸収顔料としては、市販の顔料並びにカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)などに記載されている顔料が挙げられる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が挙げられる。表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に詳細に記載されている。
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲が好ましく、0.05μm〜1μmの範囲がより好ましく、0.1μm〜1μmの範囲が特に好ましい。この範囲で、顔料分散物の画像形成層塗布液中での良好な安定性と画像形成層の良好な均一性が得られる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
(下地層の形成方法)
下地層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
下地層の製造方法としては、例えば、前述の支持体などの下層の表面上に、前述の下地層の材料を有する下地層の形成用組成物(溶液であっても分散液であってもよい)を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法が挙げられ、バーコーターにより塗布する方法が好ましい。また、下地層は各種印刷手段によって形成されてなることや、塗布により形成されてなることが好ましい。
支持体などの下層の表面上に適用後の下地層の形成用組成物は必要に応じて乾燥または加熱され、その後硬化されることが好ましい。乾燥または加熱の工程で下地層の形成用組成物中の重合性化合物が配向していればよい。加熱を行う場合、加熱温度は、60℃以上200℃以下が好ましく、80℃以上130℃以下がより好ましい。
配向させた重合性化合物は、更に重合させればよい。重合は、熱重合、光照射による光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2が好ましく、100mJ/cm2〜1,500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射紫外線波長は350nm〜430nmが好ましい。重合反応率は安定性の観点から、高いことが好ましく70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
重合反応率は、重合性の官能基の消費割合を、IR吸収スペクトルを用いて決定することができる。
<波長選択反射部>
本発明の光学部材は波長選択反射部を有し、
前述の波長選択反射部は、波長選択反射性を有し、前述の波長選択反射部は、コレステリック構造を有し、前述のコレステリック構造は走査型電子顕微鏡にて観測される前述の波長選択反射部の断面図において明部と暗部との縞模様を与え、
前述の波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域と前述の下地層の吸収する非可視光の波長領域とが重なる。
波長選択反射部が形成される表面は基板の両面であっても片面であってもよいが、片面であることが好ましい。
本発明の光学部材は、前述の波長選択反射部がドットであることが好ましい。以下、前述の波長選択反射部がドットである場合を説明することがあるが、本発明は前述の波長選択反射部がドット以外の形状であってもよい。
波長選択反射部は基板表面に1つまたは2つ以上形成されていればよい。2つ以上の波長選択反射部は基板表面で互いに近接して多数形成されて、波長選択反射部の総表面積が基板の波長選択反射部形成側表面の面積の50%以上、60%以上、70%以上等となっていてもよい。この場合などにおいて、波長選択反射部の選択反射性などの光学特性は、実質的に光学部材全体、特に波長選択反射部形成表面全面の光学特性となっていてもよい。一方、2つ以上の波長選択反射部は基板表面で互いに離れて多数形成されて、波長選択反射部の総表面積が基板のドット形成側表面の面積の50%未満、30%以下、10%以下等となっていてもよい。この場合などにおいて、光学部材の波長選択反射部形成表面側の光学特性は、基板の光学特性と波長選択反射部の光学特性とのコントラストとして確認できるものであってもよい。
本発明の光学部材は、前述の下地層の表面に前述の波長選択反射部(好ましくはドット)の複数をパターン状に有することが好ましい。複数の波長選択反射部は、パターン状に形成され、情報を提示する機能を有していてもよい。例えばシート状に形成された光学部材における位置情報を提供できるように形成されることにより、光学部材はディスプレイに装着して、データ入力することができるシートとして用いることができる。
波長選択反射部がパターン状に形成されているときであって、例えば、直径が20〜200μmのドットが複数形成される場合、基板面のいずれかの2mm四方の正方形内に、平均10個〜100個、好ましくは15〜50個、さらに好ましくは20〜40個のドットが含まれていればよい。
基板表面に波長選択反射部が複数ある場合、波長選択反射部の直径、形状はすべて同一であってもよく、互いに異なるものが含まれていてもよいが、同一であることが好ましい。例えば、同一の直径および形状の波長選択反射部形成を意図して、同条件で形成された波長選択反射部であることが好ましい。
本明細書において、波長選択反射部について説明されるとき、その説明は、本発明の光学部材中のすべての波長選択反射部について適用できるが、説明される波長選択反射部を含む本発明の光学部材が、本技術分野で許容される誤差やエラーなどにより同説明に該当しない波長選択反射部を含むことを許容するものとする、
(波長選択反射部の形状)
ドット以外の波長選択反射部の形状としては、例えば赤外線反射パターンとして公知の形状を挙げることができ、例えばバーコード形状や、2次元バーコード形状や、縦横に配置した罫線の太さを変えて所定範囲内の前記罫線の重なり部分の大きさの組み合わせをパターン化したようなものや、任意の文字や数字の形状を挙げることができる。
波長選択反射部がドットである場合、ドット形状は隣接するドットと容易に区別できれば特に制限はなく、通常は、平面視形状が、円、楕円、多角形などの形状が用いられる。またドットの立体形状についても特に制限はなく、通常円盤状であるが、半球状や凹面状であっても良い。ドットは、基板法線方向から見たとき円形であることが好ましい。円形は正円でなくてもよく、略円形であればよい。ドットについて中心というときは、中心または重心を意味する。基板表面にドットが複数ある場合、ドットの平均的形状が円形であることが好ましく、一部に円形に該当しない形状のドットが含まれていてもよい。
ドットは直径が20〜200μmであることが好ましく、30〜120μmであることがより好ましい。
ドットの直径は、レーザー顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)などの顕微鏡で得られる画像において、端部(ドットのへりまたは境界部)から端部までの直線であってドットの中心を通る直線の長さを測定することにより得ることができる。なお、ドットの数、ドット間距離もレーザー顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)などの顕微鏡画像で確認できる。
ドットは、ドットの端部から中心に向かう方向で最大高さまで連続的に増加する高さを有する部位を含む。すなわち、ドットは、ドットの端部から中心に向かって高さが増加する傾斜部または曲面部等を含む。本明細書において、上記部位を傾斜部または曲面部ということがある。傾斜部または曲面部は、断面図におけるドット表面の、連続的に増加し始める点から最大高さを示す点までのドット表面の部位と、それらの点と基板とを最短距離で結ぶ直線と、基板と、で囲まれる部位を示す。
なお、本明細書において、ドットについて、「高さ」というときは、「基板と反対側のドットの表面の点から基板のドット形成側表面までの最短距離」を意味する。このとき、ドットの表面は他の層との界面であってもよい。また、基板に凹凸がある場合は、ドットの端部における基板面の延長を上記ドット形成側表面とする。最大高さは、上記高さの最大値であり、例えば、ドットの頂点から基板のドット形成側表面までの最短距離である。ドットの高さは、レーザー顕微鏡による焦点位置スキャン、または、SEMもしくはTEMなどの顕微鏡を用いて得られるドットの断面図から確認することができる。
上記傾斜部または曲面部は、トッドの中心からみて一部の方向の端部にあってもよく、全部にあってもよい。例えばドットが円形であるとき、端部は円周に対応するが、円周の一部(例えば円周の30%以上、50%以上、70%以上であって、90%以下の長さに対応する部分)の方向の端部にあってもよく、円周の全部(円周の90%以上、95%以上または、99%以上)の方向の端部にあってもよい。ドットの端部は、全部であることが好ましい。すなわち、ドットの中心から円周に向かう方向の高さの変化はいずれの方向でも同一であることが好ましい。また後述の再帰反射性などの光学的性質、断面図で説明される性質も中心から円周に向かういずれの方向においても同一であることが好ましい。
傾斜部または曲面部は、ドットの端部(円周のヘリまたは境界部)から始まって中心までは到達しない一定距離にあってもよく、ドットの端部から始まって中心までにあってもよく、ドットの円周部のヘリ(境界部)から一定距離の部位から始まって中心までは到達しない一定距離にあってもよく、ドットの端部から一定距離の部位から始まって中心までにあってもよい。
上記の傾斜部または曲面部を含む構造は、例えば、基板側を平面とした半球形状、この半球形状の上部を基板と略平行に切断し平坦化した形状(球台形状)、基板側を底面とした円錐形状、この円錐形状の上部を基板と略平行に切断し平坦化した形状(円錐台形形状)などが挙げられる。これらのうち、基板側を平面とした半球形状、この半球形状の上部を基板と略平行に切断し平坦化した形状、基板側を底面とした円錐形状の上部を基板と略平行に切断し平坦化した形状が好ましい。なお上記半球形状は球の中心を含む面を平面とする半球の形状のみでなく、球を任意に2つに切断して得られる球欠形状のいずれか(好ましくは球の中心を含まない球欠形状)の形状を含むものとする。
ドットの最大高さを与えるドット表面の点は、半球形状または円錐形状の頂点にあるか、上記のように基板と略平行に切断し平坦化した面にあればよい。平坦化した面状の点全部がドットの最大高さを与えていることも好ましい。ドットの中心が最大高さを与えていることも好ましい。
ドットは、最大高さをドットの直径で割った値(最大高さ/直径)が0.13〜0.30であることが好ましい。特に基板側を平面とした半球形状、この半球形状の上部を基板と略平行に切断し平坦化した形状、基板側を底面とした円錐形状の上部を基板と略平行に切断し平坦化した形状など、ドットの高さがドットの端部から連続的に増加して、最大高さになっており、かつ、中心が最大高さを示す形状において、上記を満たすことが好ましい。最大高さ/直径は0.16〜0.28であることがより好ましい。
また、基板と反対側のドットの表面と上記基板(基板のドット形成側表面)とのなす角度(例えば平均値)は27°〜62°であることが好ましく、29°〜60°であることがより好ましい。このような角度であることにより、後述の光学部材の用途に適した光の入射角で高い再帰反射性を示すドットとすることができる。
上記角度はレーザー顕微鏡による焦点位置スキャン、または、SEMもしくはTEMなどの顕微鏡を用いて得られるドットの断面図から確認することができるが、本明細書においては、ドットの中心を含み基板に垂直な面での断面図のSEM画像で基板とドット表面との接触部分の角度を測定したものとする。
(波長選択反射部の光学的性質)
波長選択反射部は波長選択反射性を有する。波長選択反射部が選択反射性を示す光は前述の波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域と前述の下地層の吸収する非可視光の波長領域とが重なる限りは特に限定されず、例えば、赤外光、可視光、紫外光などいずれであってもよい。例えば、光学部材をディスプレイに貼り付けて、ディスプレイ装置に直接手書きしてデータ入力するための光学部材として使用する場合などにおいて、波長選択反射部が選択反射性を示す光は、ディスプレイ画像に影響がないように、非可視光であることが好ましく、赤外光であることがより好ましく、近赤外光であることが特に好ましい。本発明の光学部材は、例えば、波長選択反射部からの反射スペクトルにおいて、前述の波長選択反射部が赤外光領域に中心波長を有する波長選択反射性を有することが好ましく、近赤外光領域に中心波長を有する波長選択反射性を有することがより好ましく、750〜2000nmの範囲に中心波長を有する波長選択反射性を有することが特に好ましく、800〜1500nmの範囲に中心波長を有する波長選択反射性を有することがより特に好ましく、波長800〜950nmに中心波長を有する波長選択反射性を有することがさらにより特に好ましい。上記反射波長は、組み合わせて用いられる光源から照射される光の波長や撮像素子(センサー)が感知する光の波長に従って選択されていることも好ましい。
波長選択反射部は、コレステリック構造を有し、コレステリック液晶構造を有する液晶材料を含むことが好ましく、コレステリック液晶構造を有する液晶材料からなることがより好ましい。波長選択反射部が選択反射性を示す光の波長は上記のように波長選択反射部を形成するコレステリック構造における螺旋ピッチを調整することにより行うことができる。また、本発明の好ましい態様では、本発明の光学部材における波長選択反射部を形成する材料は、後述のようにコレステリック構造の螺旋軸方向が制御されていることが好ましく、様々な方向から入射する光に対する再帰反射性が高いことが好ましい。
波長選択反射部は可視光領域で透明であることが好ましい。また、波長選択反射部は着色していてもよいが、着色していないか、着色が少ないことが好ましい。いずれも、例えば、光学部材がディスプレイの前面で用いられる場合に、ディスプレイに表示される画像の視認性を低下させないようにするためである。
(コレステリック構造)
コレステリック構造は特定の波長において、選択反射性を示すことが知られている。選択反射の中心波長λは、コレステリック構造における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、この螺旋構造のピッチを調節することによって、選択反射波長を調節することができる。コレステリック構造のピッチは、波長選択反射部の形成の際、重合性液晶化合物とともに用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調整することによって所望のピッチを得ることができる。なお、ピッチの調製については富士フイルム研究報告No.50(2005年)p.60−63に詳細な記載がある。螺旋のセンスやピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
コレステリック構造は走査型電子顕微鏡(SEM)にて観測される上記波長選択反射部の断面図において明部と暗部との縞模様を与える。この明部と暗部の繰り返し2回分(明部2つおよび暗部2つ)が螺旋1ピッチ分に相当する。このことからピッチは、SEM断面図から測定することができる。上記縞模様の各線の法線が螺旋軸方向となる。
なお、コレステリック構造の反射光は円偏光である。すなわち、本発明の光学部材における波長選択反射部の反射光は円偏光となる。本発明の光学部材は、この円偏光選択反射性を考慮して、用途を選択することができる。反射光が右円偏光であるか、または左円偏光であるかコレステリック構造は螺旋の捩れ方向による。例えば、コレステリック液晶による選択反射は、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右の場合は右円偏光を反射し、螺旋の捩れ方向が左の場合は左円偏光を反射する。
また選択反射を示す選択反射帯(円偏光反射帯)の半値幅Δλ(nm)は、Δλが液晶化合物の複屈折Δnと上記ピッチPに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯の幅の制御は、Δnを調整して行うことができる。Δnの調整は重合性液晶化合物の種類やその混合比率を調整したり、配向固定時の温度を制御したりすることで行うことができる。反射波長帯域の半値幅は本発明の光学部材の用途に応じて調整され、例えば50〜500nmであればよく、好ましくは100〜300nmであればよい。
(ドット中のコレステリック構造)
ドットは上記の傾斜部または曲面部を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観測される断面図で確認した際、基板と反対側のドットの表面から1本目の暗部がなす線の法線と上記表面とのなす角度は70°〜90°の範囲であることが好ましい。このとき、上記の傾斜部または曲面部の全部の点において、基板と反対側のドットの表面から1本目の暗部がなす線の法線方向と上記表面とのなす角度が70°〜90°の範囲であることが好ましい。すなわち、傾斜部または曲面部の一部において上記角度を満たすもの、例えば、傾斜部または曲面部の一部において断続的に上記角度を満たすものでなく、連続的に上記角度を満たすものであればよい。なお、断面図において表面が曲線であるときは、表面とのなす角度は表面の接線からの角度を意味する。また、上記角度は鋭角で示されており、法線と上記表面とのなす角度を0°〜180°の角度で表すときの、70°〜110°の範囲を意味する。断面図においては、基板と反対側のドットの表面から2本目までの暗部がなす線がいずれもその法線と上記表面とのなす角度が70°〜90°の範囲であることが好ましく、基板と反対側のドットの表面から3〜4本目までの暗部がなす線がいずれもその法線と上記表面とのなす角度が70°〜90°の範囲であることがより好ましく、基板と反対側のドットの表面から5〜12本目以上の暗部がなす線がいずれもその法線と上記表面とのなす角度が70°〜90°の範囲であることがさらに好ましい。
上記角度は80°〜90°の範囲であることが好ましく、85°〜90°の範囲であることが好ましい。
上記SEMが与える断面図は、上記の傾斜部または曲面部のドットの表面において、コレステリック構造の螺旋軸が表面と70°〜90°の範囲の角度をなすことを示している。このような構造により、ドットに入射する光は基板の法線方向から角度をなす方向から入射する光を、上記傾斜部または曲面部において、コレステリック構造の螺旋軸方向と平行に近い角度で入射させることができる。そのため、ドットは基板の法線方向に対して角度をなす様々な方向で入射する光に対して高い再帰反射性を示すことができる。例えば、ドットの形状に従い、基板の法線に対する角度(本明細書において、「極角」ということがある)が60°〜0°の範囲でドットに入射する光に対して高い再帰反射性を示すことができる。特に45°〜0°の範囲の極角でドットに入射する光に対して高い再帰反射性を示すことができることが好ましい。
上記の傾斜部または曲面部のドットの表面において、コレステリック構造の螺旋軸が表面と70°〜90°の範囲の角度をなすことにより、表面から1本目の暗部がなす線の法線方向と基板の法線方向とのなす角度は、上記高さが連続的に増加するにしたがって連続的に減少していることが好ましい。
なお、断面図は、ドットの端部から中心に向かう方向で最大高さまで連続的に増加する高さを有する部位を含む任意の方向の断面図であり、典型的にはドットの中心を含み基板に垂直な任意の面の断面図であればよい。
(コレステリック構造の作製方法)
コレステリック構造は、コレステリック液晶相を固定した構造であることが好ましい。コレステリック構造は、コレステリック液晶相を固定して得ることができる。コレステリック液晶相を固定した構造は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した構造であればよい。なお、コレステリック液晶相を固定した構造においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、液晶化合物はもはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
−材料−
コレステリック構造の形成に用いる材料としては、液晶化合物を含む液晶組成物などが挙げられ、重合性液晶化合物を含む液晶組成物が好ましい。
重合性液晶化合物を含む液晶組成物はさらに界面活性剤を含むことが好ましい。液晶組成物は、さらにキラル剤、重合開始剤を含んでいてもよい。
−−液晶化合物−−
液晶化合物は、重合性液晶化合物であることが好ましい。
液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
コレステリック液晶層を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
本発明で用いることができるネマチック液晶分子(液晶性モノマー)としては、例えば下記式(1)〜(11)に示す化合物が挙げられる。ここに例示した化合物はアクリレート構造を有し、紫外線照射等により重合させることが可能である。
また、前述の重合性オリゴマーとしては、特開昭57−165480号公報に開示されているようなコレステリック相を有する環式オルガノポリシロキサン化合物等を用いることができる。
さらに、前述の液晶ポリマーとしては、液晶を呈するメソゲン基を主鎖、側鎖、あるいは主鎖及び側鎖の両方の位置に導入した高分子、コレステリル基を側鎖に導入した高分子コレステリック液晶、特開平9−133810号公報に開示されているような液晶性高分子、特開平11−293252号公報に開示されているような液晶性高分子等を用いることができる。
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、75〜99.9質量%であることが好ましく、80〜99質量%であることがより好ましく、85〜90質量%であることが特に好ましい。
−−界面活性剤−−
本発明者らは、ドットを形成する際に用いる液晶組成物に界面活性剤を加えることにより、ドット形成時に重合性液晶化合物が空気界面側で水平に配向し、螺旋軸方向が上述のように制御されたドットが得られることを見出した。一般的に、ドットの形成のためには、印刷の際の液滴形状を保つため、表面張力を低下させない必要がある。そのため界面活性剤を加えてもドットの形成が可能であり、かつ、多方向からの再帰反射性の高いドットが得られたことは驚くべきことであった。後述の実施例において、界面活性剤を用いた本発明の光学部材では、ドット端部でドット表面と基板とがなす角度が27°〜62°であるドットが形成されていることが示されている。すなわち、本発明の光学部材においては、電子ペンなどの入力手段と組み合わせて用いる入力媒体としての用途などで必要となり得る光の入射角で高い再帰反射性を示すことのできるドット形状が得られることがわかる。
界面活性剤は、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック構造とするために寄与する配向制御剤として機能できる化合物が好ましい。界面活性剤としては、例えば、シリコ−ン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の具体例としては、特開2014−119605の[0082]〜[0090]に記載の化合物、特開2012−203237号公報の段落〔0031〕〜〔0034〕に記載の化合物、特開2005−99248号公報の[0092]及び[0093]中に例示されている化合物、特開2002−129162号公報の[0076]〜[0078]及び[0082]〜[0085]中に例示されている化合物、特開2007−272185号公報の段落〔0018〕〜〔0043〕等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、などが挙げられる。
なお、水平配向剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤として、特開2014−119605の[0082]〜[0090]に記載の下記一般式(I)で表される化合物が特に好ましい。
一般式(I)において、L11、L12、L13、L14、L15、L16はおのおの独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−NRCO−、−CONR−(一般式(I)中におけるRは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基を表す)を表し、−NRCO−、−CONR−は溶解性を減ずる効果があり、波長選択反射部の作製時にヘイズが上昇する傾向があることからより好ましくは−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−であり、化合物の安定性の観点からさらに好ましくは−O−、−CO−、−COO−、−OCO−である。上記のRがとりうるアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。炭素数は1〜3であることがより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基を例示することができる。
Sp11、Sp12、Sp13、Sp14はそれぞれ独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレン基を表し、より好ましくは単結合または炭素数1〜7のアルキレン基であり、さらに好ましくは単結合または炭素数1〜4のアルキレン基である。但し、アルキレン基の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。アルキレン基には、分枝があっても無くてもよいが、好ましいのは分枝がない直鎖のアルキレン基である。合成上の観点からは、Sp11とSp14が同一であり、かつ、Sp12とSp13が同一であることが好ましい。
11、A12は1〜4価の芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基の炭素数は6〜22であることが好ましく、6〜14であることがより好ましく、6〜10であることがさらに好ましく、6であることがさらにより好ましい。A11、A12で表される芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。そのような置換基の例として、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはエステル基を挙げることができる。これらの基の説明と好ましい範囲については、下記のTの対応する記載を参照することができる。A11、A12で表される芳香族炭化水素基に対する置換基としては、例えばメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、臭素原子、塩素原子、シアノ基などを挙げることができる。パーフルオロアルキル部分を分子内に多く有する分子は、少ない添加量で液晶を配向させることができ、ヘイズ低下につながることから、分子内にパーフルオロアルキル基を多く有するようにA11、A12は4価であることが好ましい。合成上の観点からは、A11とA12は同一であることが好ましい。
11
で表される二価の基または二価の芳香族複素環基を表す(上記T11中に含まれるXは炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはエステル基を表し、Ya、Yb、Yc、Ydはおのおの独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す)ことが好ましく、より好ましくは
であり、さらに好ましくは
であり、よりさらに好ましくは、
である。
上記T11中に含まれるXがとりうるアルキル基の炭素数は1〜8であり、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。アルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分枝状であることが好ましい。好ましいアルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などを例示することができ、その中でもメチル基が好ましい。上記T11中に含まれるXがとりうるアルコキシ基のアルキル部分については、上記T11中に含まれるXがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。上記T11中に含まれるXがとりうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、臭素原子が好ましい。上記T11中に含まれるXがとりうるエステル基としては、R’COO−で表される基を例示することができる。R’としては炭素数1〜8のアルキル基を挙げることができる。R’がとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲については、上記T11中に含まれるXがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。エステルの具体例として、CH3COO−、C25COO−を挙げることができる。Ya、Yb、Yc、Ydがとりうる炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などを例示することができる。
二価の芳香族複素環基は、5員、6員または7員の複素環を有することが好ましい。5員環または6員環がさらに好ましく、6員環が最も好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましい。複素環は、芳香族性複素環であることが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和複素環である。最多二重結合を有する不飽和複素環がさらに好ましい。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環およびトリアジン環が含まれる。二価の複素環基は置換基を有していてもよい。そのような置換基の例の説明と好ましい範囲については、上記のA1とA2の1〜4価の芳香族炭化水素が取り得る置換基に関する説明と記載を参照することができる。
Hb11は炭素数2〜30のパーフルオロアルキル基を表し、より好ましくは炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは3〜10のパーフルオロアルキル基である。パーフルオロアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状または分枝状であるものが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
m11、n11はそれぞれ独立に0から3であり、かつm11+n11≧1である。このとき複数存在する括弧内の構造は互いに同一であっても異なっていてもよいが、互いに同一であることが好ましい。一般式(I)のm11、n11は、A11、A12の価数によって定まり、好ましい範囲もA11、A12の価数の好ましい範囲によって定まる。
11中に含まれるoおよびpはそれぞれ独立に0以上の整数であり、oおよびpが2以上であるとき複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよい。T11中に含まれるoは1または2であることが好ましい。T11中に含まれるpは1〜4のいずれかの整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、分子構造が対称性を有するものであってもよいし、対称性を有しないものであってもよい。なお、ここでいう対称性とは、点対称、線対称、回転対称のいずれかひとつに少なくとも該当するものを意味し、非対称とは点対称、線対称、回転対称のいずれにも該当しないものを意味する。
一般式(I)で表される化合物は、以上述べたパーフルオロアルキル基(Hb11)、連結基−(−Sp11−L11−Sp12−L12m11−A11−L13−および−L14−A12−(L15−Sp13−L16−Sp14−)n11−、ならびに好ましくは排除体積効果を持つ2価の基であるTを組み合わせた化合物である。分子内に2つ存在するパーフルオロアルキル基(Hb11)は互いに同一であることが好ましく、分子内に存在する連結基−(−Sp11−L11−Sp12−L12m11−A11−L13−および−L14−A12−(L15−Sp13−L16−Sp14−)n11−も互いに同一であることが好ましい。末端のHb11−Sp11−L11−Sp12−および−Sp13−L16−Sp14−Hb11は、以下のいずれかの一般式で表される基であることが好ましい。
(Ca2a+1)−(Cb2b)−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−O−(Cr2r)−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−(Cr2r)−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−OCO−(Cr2r)−
上式において、aは2〜30であることが好ましく、3〜20であることがより好ましく、3〜10であることがさらに好ましい。bは0〜20であることが好ましく、0〜10であることがより好ましく、0〜5であることがさらに好ましい。a+bは3〜30である。rは1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
また、一般式(I)の末端のHb11−Sp11−L11−Sp12−L12−および−L15−Sp13−L16−Sp14−Hb11は、以下のいずれかの一般式で表される基であることが好ましい。
(Ca2a+1)−(Cb2b)−O−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−O−(Cr2r)−O−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−(Cr2r)−COO−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−OCO−(Cr2r)−COO−
上式におけるa、bおよびrの定義は直上の定義と同じである。
液晶組成物中における、界面活性剤の添加量は、重合性液晶化合物の全質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましく、0.02質量%〜1質量%が特に好ましい。
−−キラル剤(光学活性化合物)−−
キラル剤(カイラル剤と言われることもある)はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル化合物は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、イソマンニド誘導体を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ、アゾキシ、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002−80478号公報、特開2002−80851号公報、特開2002−179668号公報、特開2002−179669号公報、特開2002−179670号公報、特開2002−179681号公報、特開2002−179682号公報、特開2002−338575号公報、特開2002−338668号公報、特開2003−313189号公報、特開2003−313292号公報に記載の化合物を用いることができる。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶性化合物量の0.01モル%〜200モル%が好ましく、1モル%〜30モル%がより好ましい。
本発明で用いることがキラル剤は、不斉炭素原子を有し、ネマチック液晶と混合することでカイラルネマチック相を形成する材料であって、重合性を有するものであってもよい。式(12)に例示するような、アクリレート構造を有する材料は、紫外線照射により重合可能であるため好ましい。
−−重合開始剤−−
液晶組成物に重合性化合物を含む場合は、重合開始剤を含有していることが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。
−−架橋剤−−
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、3質量%〜20質量%が好ましく、5質量%〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が、3質量%未満であると、架橋密度向上の効果が得られないことがあり、20質量%を超えると、コレステリック液晶層の安定性を低下させてしまうことがある。
−−その他の添加剤−−
その他、液晶組成物は、(好ましくは非液晶性の)重合性モノマーを含有していてもよい。波長選択反射部(好ましくはドット)形成方法として、後述のインクジェット法を用いる場合には、一般的に求められるインク物性を得るために、単官能重合性モノマーを使用してもよい。単官能重合性モノマーとしては、2−メトキシエチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリレート、オクチル/デシルアクリレート等が挙げられる。
また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学的性能等を低下させない範囲で添加することができる。
−−溶媒−−
液晶組成物は、波長選択反射部形成の際は、液体として用いられることが好ましい。
液晶組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。上述の単官能重合性モノマーなどの上述の成分が溶媒として機能していてもよい。
−波長選択反射部の形成−
液晶組成物は、基板上に適用されて、その後硬化され波長選択反射部を形成することが好ましい。基板上への液晶組成物の適用は、好ましくは打滴により行われる。複数(通常多数)の波長選択反射部を基板上に適用する際には、液晶組成物をインクとした印刷を行えばよい。印刷法としては特に限定されず、インクジェット法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などを用いることができるが、インクジェット法が特に好ましい。波長選択反射部のパターン形成も、公知の印刷技術を応用して形成することができる。
基板上に適用後の液晶組成物は必要に応じて乾燥または加熱され、その後硬化されることが好ましい。乾燥または加熱の工程で液晶組成物中の重合性液晶化合物が配向していればよい。加熱を行う場合、加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
配向させた液晶化合物は、更に重合させればよい。重合は、熱重合、光照射による光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2が好ましく、100mJ/cm2〜1,500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射紫外線波長は250nm〜430nmが好ましい。重合反応率は安定性の観点から、高いことが好ましく70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
重合反応率は、重合性の官能基の消費割合を、IR吸収スペクトルを用いて決定することができる。
<オーバーコート層>
光学部材はオーバーコート層を含んでいてもよい。オーバーコート層は基板の波長選択反射部が形成された面側に設けられていればよく、光学部材の表面を平坦化していることが好ましい。
オーバーコート層は特に限定されないが、屈折率が1.4〜1.8程度の樹脂層であることが好ましい。液晶材料からなる波長選択反射部の屈折率は1.6程度であり、この値に近い屈折率を有するオーバーコート層を用いることによって、波長選択反射部に実際に入射する光の法線からの角度(極角)を小さくすることができる。例えば屈折率が1.6のオーバーコート層を用い、極角45°で光学部材に光を入射させたとき、波長選択反射部に実際に入射する極角は27°程度とすることができる。そのため、オーバーコート層を用いることによっては光学部材が再帰反射性を示す光の極角を広げることが可能であり、前述の基板と反対側の前述の波長選択反射部と前述の基板とのなす角度が小さい波長選択反射部においても、より広い範囲で、高い再帰反射性を得ることができる。また、オーバーコート層は、反射防止層、粘着剤層、接着剤層、ハードコート層としての機能を有していてもよい。
オーバーコート層の例としては、モノマーを含む組成物を基板(基板を構成する下地層)の波長選択反射部が形成された面側に塗布、その後塗布膜を硬化して得られる樹脂層などが挙げられる。樹脂は、特に限定されず、基板(基板を構成する下地層)や波長選択反射部を形成する液晶材料への密着性などを考慮して選択すればよい。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。耐久性、耐溶剤性等の点からは、架橋により硬化するタイプの樹脂が好ましく、特に、短時間での硬化が可能である紫外線硬化性樹脂が好ましい。オーバーコート層の形成に用いることができるモノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
オーバーコート層の厚みは、特に限定されず、波長選択反射部の最大高さを考慮して決定すればよく、5μm〜100μm程度であればよく、好ましくは10μm〜50μmであり、より好ましくは20μm〜40μmである。厚みは、波長選択反射部が無い部分の基板の波長選択反射部形成表面から対向する面にあるオーバーコート層表面までの距離である。
<光学部材の用途>
本発明の光学部材の用途としては特に限定されず、各種反射部材として用いることができる。本発明の光学部材の用途としては特開2008−108236号公報の[0021]〜[0032]に記載の用途を挙げることができ、この公報に記載の内容は本発明に組み込まれる。例えば本発明の光学部材は、ディスプレイに貼り付けて、ディスプレイ装置に直接ペンなどにより手書きしてデータ入力するための光学部材として使用することができる。
特にパターン状に波長選択反射部(例えばドット)を有する光学部材は、例えば、パターンを位置情報を与えるコード化されたドットパターンとして形成することにより、手書き情報をデジタル化して情報処理装置に入力する電子ペンなどの入力手段と組み合わせて用いる入力媒体とすることができる。使用の際は入力手段から照射される光の波長が、波長選択反射部が反射を示す波長となるように、波長選択反射部を形成する材料を調製して用いられる。具体的にはコレステリック構造の螺旋ピッチを上述の方法で調整すればよい。
本発明の光学部材は、光学部材を液晶ディスプレイなどのディスプレイ表面で入力シートなどの入力媒体として用いることもできる。このとき、光学部材は透明であることが好ましい。光学部材はディスプレイ表面に直接、または他のフィルム等を介して接着され、ディスプレイと一体化されていてもよく、ディスプレイ表面に例えば脱着可能に装着されてもよい。このとき、本発明の光学部材における波長選択反射部(例えばドット)が選択反射を示す光の波長域はディスプレイが発する光の波長域とは異なっていることが好ましい。すなわち、波長選択反射部(例えばドット)は非可視光領域で選択反射性を有し、かつディスプレイは、検出装置で誤検知がないように、非可視光を発していないことが好ましい。
手書き情報をデジタル化して情報処理装置に入力する手書き入力システムについては、特開2014−67398号公報、特開2014−98943号公報、特開2008−165385号公報、特開2008−108236号公報の[0021]〜[0032]または特開2008−077451号公報等を参照できる。
本発明の光学部材は、画像表示可能なディスプレイ装置の表面または前方に装着されるシートであることが好ましい。画像表示可能なディスプレイ装置の表面または前方に装着されるシートの好ましい態様としては、特許第4725417号公報の[0024]〜[0031]に記載の態様を挙げることができる。
本発明の光学部材を、画像表示可能なディスプレイ装置の表面または前方に装着されるシートとして用いたシステムの概略図を図3に示す。
図3において、赤外線iを発し、前述のパターンの反射光rを検知できるものであれば特に限定されず公知のセンサーを用いれば良く、例えば、ペン型の入力端末106が読取データ処理装置107も具備する例として、特開2003−256137号公報に開示されている、インキや黒鉛等を備えないペン先、赤外線照射部を備えたCMOSカメラ、プロセッサ、メモリ、Bluetooth(登録商標)技術等を利用したワイヤレストランシーバ等の通信インタフェース、及びバッテリ等を内蔵しているものなどが挙げられる。
ペン型の入力端末106の動作としては、例えば、ペン先を本発明の光学部材100の前面に接触させてなぞるように描画すると、ペン型の入力端末106がペン先に加わった筆圧を検知し、CMOSカメラが作動して、ペン先近傍の所定範囲を赤外線照射部から発する所定波長の赤外線で照射するとともに、パターンを撮像する(パターンの撮像は、例えば、1秒間に数10から100回程度行われる)。ペン型の入力端末106が読取データ処理装置107を具備する場合には、撮像したパターンをプロセッサで解析することにより手書き時のペン先の移動に伴う入力軌跡を数値化・データ化して入力軌跡データを生成し、その入力軌跡データを情報処理装置へ送信する。
なお、プロセッサ、メモリ、Bluetooth(登録商標)技術等を利用したワイヤレストランシーバ等の通信インタフェース、及びバッテリ等の部材は、図3に示すように、読取データ処理装置107として、ペン型の入力端末106の外部に有っても良い。この場合には、ペン型の入力端末106は読取データ処理装置107にコード108で接続されていても、電波、赤外線等を用い無線で読取データを送信しても良い。
この他、入力端末106は、特開2001−243006号公報に記載された読取器のようなものであっても良い。
本発明において適用できる読取データ処理装置107は、入力端末106で読み取った連続的な撮像データから位置情報を算出し、それを時間情報と組み合わせ、情報処理装置で扱える入力軌跡データとして提供する機能を有するものであれば特に限定されず、プロセッサ、メモリ、通信インタフェース及びバッテリ等の部材を具備していれば良い。
また、読取データ処理装置107は、特開2003−256137号公報のように入力端末106に内蔵されていても良く、また、ディスプレイ装置を備える情報処理装置に内蔵されていても良い。また、読取データ処理装置107は、ディスプレイ装置を備える情報処理装置に無線で位置情報を送信しても良く、コード等で接続された有線接続で送信しても良い。
ディスプレイ装置105に接続された情報処理装置は、読取データ処理装置107から送信されてきた軌跡情報に基づき、ディスプレイ装置105に表示する画像を順次更新することによって、入力端末106で手書き入力した軌跡を、紙の上にペンで書いたかのようにディスプレイ装置上に表示することが出来る。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の光学部材を有する。
画像表示装置の画像表示面または画像表示面の前方に本発明の光学部材が装着された画像表示装置であることが好ましい。画像表示装置の好ましい態様は、上記の光学部材の用途の項目に記載した。
なお、画像表示装置の画像表示面または画像表示面の前方に本発明の光学部材が装着された画像表示装置を含むシステムも、本明細書に開示された発明に含まれる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
[下地層1を有する基板の作製]
下地層1を形成するための下地層溶液1は、温度25℃(±2℃)で混合して150RPM(Round Per Minuites)で10分間攪拌しながら、下記表1に記載の量のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを量り取り、次いでバインダー2、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1をこの順に添加して、最後に下記の極大吸収波長830nmのシアニン色素である赤外線吸収色素を投入し、60分撹拌して調製した。なお、下記表1に記載の各成分の量は質量%基準である。各成分の組成は詳しくは以下の組成となっている。
<バインダー2>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比
のランダム共重合物、分子量3.8万) 27質量%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73質量%
<DPHA液>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHAと省略することがある)
(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) 76質量%
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 24質量%
<界面活性剤1>
・下記構造物1 30質量%
・メチルイソブチルケトン 70質量%
<赤外線吸収色素>
上記で調製した下地層溶液1を、95μm厚の透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)支持体に、バーコーターを用いて3mL/m2の塗布量で塗布した。その後、膜面温度が90℃になるように加熱し、120秒間乾燥した。その後に、酸素濃度100ppm以下の窒素パージ下で、紫外線照射装置により、700mJ/cm2の紫外線を照射し、架橋反応を進行させ、支持体と下地層1の積層体である基板を作製した。
[下地層2を有する基板の作製]
下記に示す各成分を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、下地層2を形成するための下地層溶液2を調製した。
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下地層溶液2
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プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 67.8質量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) 5.0質量%
メガファックRS−90 (DIC株式会社製) 26.7質量%
IRGACURE 819 (BASF製) 0.5質量%
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上記で調製した下地層溶液2を、100μm厚の透明なPET(ポリエチレンテレフタレート、東洋紡株式会社製、コスモシャインA4100)支持体に、バーコーターを用いて3mL/m2の塗布量で塗布した。その後、膜面温度が90℃になるように加熱し、120秒間乾燥した。その後に、酸素濃度100ppm以下の窒素パージ下で、紫外線照射装置により、700mJ/cm2の紫外線を照射し、架橋反応を進行させ、支持体と下地層2の積層体である基板を作製した。
[下地層1および2を有する基板の作製]
上記で調製した下地層溶液2を、上記で調製した支持体と下地層1の積層体である基板の下地層1上に、バーコーターを用いて3mL/m2の塗布量で塗布した。その後、膜面温度が90℃になるように加熱し、120秒間乾燥した。その後に、酸素濃度100ppm以下の窒素パージ下で、紫外線照射装置により、700mJ/cm2の紫外線を照射し、架橋反応を進行させ、支持体と下地層1と下地層2の積層体である基板を作製した。
[コレステリック液晶インク液1の作製]
両末端に重合可能なアクリレート、中央部にメソゲン、アクリレートとの間にスペーサーを有し、ネマチック−アイソトロピック転移温度が110℃付近であるモノマー(前述の化合物(11)で示され、化合物(11)中のX1が2である分子構造を有するもの)100質量部と、両末端に重合可能なアクリロイル基を有するキラル剤(上記化学式(12)で示され、化合物(12)中のXが2である分子構造を有するもの)3.3質量部とをアノンに溶解させたシクロヘキサノン(以下、アノンと略称)溶液を調製した。なお、このアノン溶液には、4質量部の光重合開始剤(ビーエーエスエフジャパン株式会社製、ルシリン(登録商標)TPO)を添加した。
得られたアノン溶液をコレステリック液晶インク液1とした。
[コレステリック液晶インク液2の作製]
下記に示す組成物を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、コレステリック液晶インク液2を調製した。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
コレステリック液晶インク液2
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
メトキシエチルアクリレート 145.0質量部
下記構造の棒状液晶化合物の混合物 100.0質量部
IRGACURE 819 (BASF製) 10.0質量部
下記構造のキラル剤 3.8質量部
下記構造のフッ素系界面活性剤 0.08質量部
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
棒状液晶化合物
数値は質量%である。また、Rで表される基は右下に示す部分構造であり、この部分構造の酸素原子の箇所で結合している。
キラル剤
界面活性剤
(コレステリック液晶インク液3および4の作製)
コレステリック液晶インク2の作製において、キラル剤量を3.8質量部から4.1質量部に、3.8質量部から3.2質量部にそれぞれ変更した以外は全て同様に、コレステリック液晶インク3および4を作製した。
[実施例1〜8、比較例1、2]
下記表2に示す組み合わせで、下地層とコレステリック液晶インク液を組み合わせ、コレステリック液晶ドットパターンを得た。
なお、下地層1と2が組み合わさるときは、PET支持体よりこの順に積層されることを表す。詳細を以下に記載する。
実施例1〜8および比較例2では、上記で調製したコレステリック液晶インク液1〜4を、上記で作製したPET支持体と下地層1および/または2の積層体である基板の下地層上に、インクジェットプリンター(DMP−2831、FUJIFILM Dimatix社製)にて、ドット中心間距離300μm、ドット直径50μm、ドット最大高さ8μm(最大高さをドットの直径で割った値が0.16)となるように50×50mm領域全面に打滴し、95℃、30秒間乾燥した。その後に、紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線を照射して、コレステリック液晶ドットパターンを波長選択反射部として有する光学部材を作製した。
比較例1では下地層を設けずにPET支持体の上に直接上記で調製したコレステリック液晶インク液1を打滴した。
得られたコレステリック液晶ドットパターンを有する光学部材を、各実施例および比較例の光学部材とした。
なお、各実施例および比較例の光学部材にはオーバーコート層を設けていないが、適宜オーバーコート層を設けることができる。
[比較例3]
特開2008−209598号公報の実施例1の光学フィルムの作製方法にしたがって、PET支持体に赤外線反射インキを塗工した赤外線拡散反射基材の上に、赤外線吸収インキをドット状にパターン印刷したドットパターンを形成した。
得られたドットパターンを有する光学フィルムを、比較例3の光学部材とした。
[評価]
<S/N比>
各実施例および比較例の光学部材の波長選択反射部(ドットパターンを構成する各ドット部分)と、下地層部分の850nm反射率を鏡面反射率計(日本分光製V−550)にて測定した。具体的には、光学部材の支持体および下地層の法線方向を0°、光学部材の支持体および下地層の表面方向を90°、赤外線の照射方向の角度を+(正)とした場合に、+20°方向から各実施例および比較例の光学部材に向けて波長850nmの赤外線を照射したときに、+15°〜+25°方向(およそ再帰反射方向)に設置された赤外線受光部への反射光の量を測定した。
ドット部分について、測定アパーチャ内に含まれるドット面積より反射率を算出し、下地層部分の反射率で除したものをSignal/Noise比(S/N比とも言う)とした。
得られた結果を下記表2に記載した。
<波長選択反射部の形状、コレステリック構造の評価>
実施例1〜8の光学部材の有する波長選択反射部(ドットパターンを構成する各ドット)を走査型電子顕微鏡(日本電子社製、商品名JSM−6510)にて観測したところ、観測されるドットの断面図において明部と暗部との縞模様を有するものであった。
上記で得られた光学部材のドットのうち、無作為に10個を選択し、ドットの形状をレーザー顕微鏡(キーエンス社製)にて観察したところ、ドットは平均直径50μm、平均最大高さ8μm、ドット端部のドット表面と下地層表面とが両者の接触部でなす角度は平均36度であり、ドット端部から中心に向かう方向で、連続的に高さが増加していた。
上記で得られた光学部材の中央に位置する1つのドットについてドット中心を含む面で、PET支持体に垂直に切削し、断面を上記の走査型電子顕微鏡で観察した。実施例3〜8の光学部材の有するドットは、ドットの端部から中心に向かう方向で最大高さまで連続的に増加する高さを有する部位を含み、この部位において、下地層と反対側のドットの表面から1本目の暗部がなす線の法線と表面とのなす角度は70°〜90°の範囲であることを上記の走査型電子顕微鏡によって確認した。また、実施例3〜8の光学部材の有するドットは、ドットの端部において、下地層とは反対側のドットの表面と下地層の表面とのなす角度が27°〜62°であることを上記の走査型電子顕微鏡によって確認した。実施例1〜8の光学部材の走査型電子顕微鏡の観察結果のうち、代表例として実施例4のドットを走査型電子顕微鏡で観察した際に観測された像を図2に示す。ドット内部に明部と暗部の縞模様が確認され、図2に示すような断面図が得られた(なお、図2は実施例4の光学部材の断面図であり、断面図の右側の半円上形状の外側にある部位は、切削の際に出たバリである)。
断面図から、ドットの空気界面側の表面から1本目の暗線がなす線の法線方向と、空気界面側の表面のなす角度を測定したところ、ドット端部、ドット端部と中央の間、ドット中央の順に90度、89度、90度であった。さらに、暗線がなす線の法線方向と、PET支持体の法線方向がなす角度は、ドット端部、ドット端部と中央の間、ドット中央の順に、35度、18度、0度と、連続的に減少していた。
<波長選択反射部の性能評価>
上記にて作製した実施例3の光学部材の透過率、ヘイズをヘイズメーター(日本電色工業株式会社製)で測定したところ、波長380〜780nmの非偏光透過率(全方位透過率)は89.0%、ヘイズは0.4%であった。同様に他の実施例の光学部材の透過率を測定したところ、いずれも550nm透過率は88%以上であった。同様に他の実施例および比較例の光学部材のヘイズを測定したところ、いずれも2%以下であった。
また、オーシャンオプティクス社製の可視−近赤外照射用光源(HL−2000)、超高分解能ファイバマルチチャンネル分光器(HR4000)、2分岐光ファイバを用いて直径2mm視野、無作為に5箇所を実施例3および4の光学部材の波長選択反射性を計測したところ、いずれの箇所の視野でも反射ピーク波長は850nmであり、中心波長を850nmに有する波長選択反射性を有することがわかった。同様に他の実施例の光学部材の波長選択反射性を測定したところ、実施例1〜6の光学部材の選択反射波長は830〜880nmであり、実施例7の光学部材は中心波長を800nmに有する波長選択反射性を有し、実施例8の光学部材は中心波長を860nmに有する波長選択反射性を有することがわかった。
また、実施例3〜8の光学部材では、光学部材の法線を0度として、極角0〜50度の範囲で確認したとき常に、全てのドットから再帰反射が確認された。
<下地層の評価>
また、波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域である非可視光における吸収率(本実施例では具体的には波長850nmでの吸収率)を、850nm反射率と同様の装置を用いて測定した波長850nmでの透過率を用いて求めたところ、PET支持体の850nm吸収率は10%、赤外線吸収色素を含む下地層1の850nm吸収率は30%、赤外線吸収色素を含まない下地層2の850nm吸収率は10%であった。非可視光を吸収する下地層は、特定の波長の非可視光の吸収率が10%を超えることが好ましく、15%を超えることがより好ましく、20%を超えることが特に好ましく、25%を超えることがより特に好ましい。なお、特定の波長の非可視光の吸収率が10%以下である層は、実質的に非可視光を吸収しないとみなすことができる。そのため、下地層1は非可視光を吸収する下地層に該当し、PET支持体および下地層2は実質的に非可視光を吸収しないことがわかった。
上記表2より、本発明の光学部材は、波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域における、波長選択反射部の反射率と下地層の反射率との比であるSignal/Noise比が高いことがわかった。なお、本発明の光学部材でも下地層1と下地層2を併用すると、下地層1によってドットパターンの基板接触角(基板と反対側のドットの表面と、基板(基板のドット形成側表面)とのなす角度)が向上することによるSignal強度向上効果によりさらにS/N比が向上することもわかった。
比較例1より、PET支持体上に下地層を有さない場合は、Signal/Noise比が低いことがわかった。
比較例2より、下地層を有していても下地層が非可視光を吸収しない場合は、Signal/Noise比が低いことがわかった。
比較例3より、下地層が非可視光を吸収せずに赤外線拡散反射をし、ドットパターンが非可視光を反射せずに赤外線を吸収する場合は、Signal/Noise比が低いことがわかった。
本発明の光学部材を用いた赤外線反射パターン形成体は、画像表示装置の画面に直接手書きするタイプのデータ入力システムに適用できる赤外線反射パターンが施されたディスプレイ前面に装着されるシートにおいて、赤外線の照射及び検知が可能な入力端末を用いて赤外線反射パターンを読み取ることで、透明シート上における入力端末の位置に関する情報が提供可能となる赤外線反射パターン印刷透明シートにおいても、使用する際赤外反射パターンを気にすることなく、よりディスプレイ画面そのものに近い画像を得ることができる。このため、本発明の光学部材は、手軽に使用することができ、実用性能が高く、携帯電話、PDA等の各種携帯端末や、パーソナルコンピュータ、テレビ電話、相互通信機能を備えたテレビジョン、インターネット端末などの種々の情報処理装置に用いることが出来る。
また、本発明の光学部材の好ましい態様によれば、可視域で非常に目立ちにくい赤外線反射パターンが可能となるため、例えばIDカードの真偽判定システムの情報媒体として、よりIR反射パターン部位が目立ちにくく防犯の観点で有利であったり、カードのデザイン自由度が増したりする利点が考えられる。
1 波長選択反射部
2 基板
3 支持体
4 下地層
5 オーバーコート層
100 光学部材
105 ディスプレイ装置
106 ペン型の入力端末
107 読取データ処理装置
108 コード

Claims (18)

  1. 支持体と、下地層と、波長選択反射部と、をこの順で有し、
    前記波長選択反射部は、波長選択反射性を有し、
    前記波長選択反射部は、コレステリック構造を有し、
    前記コレステリック構造は走査型電子顕微鏡にて観測される前記波長選択反射部の断面図において明部と暗部との縞模様を与え、
    前記下地層は非可視光を吸収し、
    前記波長選択反射部の選択反射性を有する波長領域と前記下地層の吸収する非可視光の波長領域とが重なる、
    光学部材。
  2. 前記コレステリック構造が、コレステリック液晶構造を有する液晶材料を含む請求項1に記載の光学部材。
  3. 前記液晶材料が界面活性剤を含む請求項2に記載の光学部材。
  4. 前記界面活性剤がフッ素系界面活性剤である請求項3に記載の光学部材。
  5. 前記液晶材料が液晶化合物、キラル剤および前記界面活性剤を含む液晶組成物を硬化して得られる材料である請求項3または4に記載の光学部材。
  6. 前記下地層の表面に前記波長選択反射部の複数をパターン状に有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学部材。
  7. 前記波長選択反射部がドットである請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学部材。
  8. 前記ドットは、前記ドットの端部から中心に向かう方向で最大高さまで連続的に増加する高さを有する部位を含み、
    前記部位において、前記下地層と反対側の前記ドットの表面から1本目の前記暗部がなす線の法線と前記表面とのなす角度は70°〜90°の範囲である請求項7に記載の光学部材。
  9. 前記ドットの直径が20〜200μmである請求項7または8に記載の光学部材。
  10. 前記ドットの直径が30〜120μmである請求項7または8に記載の光学部材。
  11. 前記最大高さを前記ドットの直径で割った値が0.13〜0.30である請求項7〜10のいずれか一項に記載の光学部材。
  12. 前記ドットの端部において、前記下地層とは反対側の前記ドットの表面と前記下地層の表面とのなす角度が27°〜62°である請求項7〜11のいずれか一項に記載の光学部材。
  13. 前記光学部材が、非可視光の照射及び検知が可能な入力端末を用いて、前記パターン状の前記波長選択反射部の反射パターンを読み取ることで、前記光学部材上における入力端末の位置に関する情報を提供可能である請求項7〜12のいずれか一項に記載の光学部材。
  14. 前記下地層が、760nm〜1200nmに極大吸収を有する化合物を含む請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学部材。
  15. 前記波長選択反射部が赤外光領域に中心波長を有する波長選択反射性を有する請求項1〜14のいずれか一項に記載の光学部材。
  16. 前記波長選択反射部が波長800〜950nmに中心波長を有する波長選択反射性を有する請求項15に記載の光学部材。
  17. 可視光領域において透明である請求項1〜16のいずれか一項に記載の光学部材。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の光学部材を有する画像表示装置。
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