JP2016088039A - フッ素樹脂複合シート及びフッ素樹脂フィルムの接合方法 - Google Patents

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陽平 渡邊
隆浩 山本
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Abstract

【課題】フッ素樹脂フィルムを物体表面に接着剤を用いて接着するに際して、紫外線や温度変化によっても経年的な接着強度低下を極力抑えることが可能なバッキング材を備えた汎用性のあるフッ素樹脂複合シート及びフッ素樹脂フィルムの接合方法を提供する。【解決手段】溶融フッ素樹脂フィルムの裏面に、少なくとも該フィルムと同材質の溶融フッ素樹脂繊維と、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維及びポリエステル繊維のうちから選択した1種又は2種以上の基材繊維とが一体となったバッキング材を熱溶着したフッ素樹脂複合シートを用いる。バッキング材は、溶融フッ素樹脂繊維と基材繊維からなる織布又は不織布、あるいは基材繊維の織布で形成した外層材と、溶融フッ素樹脂繊維と基材繊維に熱溶着可能な熱可塑性樹脂繊維とからなる不織布で形成した中間層材を熱溶着する。【選択図】 図1

Description

本発明は、フッ素樹脂複合シート及びフッ素樹脂フィルムの接合方法に係わり、更に詳しくはフッ素樹脂フィルムを物体表面に接着するため、あるいはそれ自体をテント用シート材として使用するためのフッ素樹脂複合シートに関し、またフッ素樹脂フィルムを物体表面に接着するフッ素樹脂フィルムの接合方法に関するものである。
従来、非粘着なフッ素樹脂フィルムを他の物体表面に接着する際、化学的あるいはプラズマ照射により、フッ素樹脂フィルム表面に親水基を付与する表面改質を行ってから接着する方法が一般的であるが、紫外線の多い海洋等や日々の温度変化を繰り返す屋外においては、接着界面の変質による接着強度低下が起こり易い。ここで、化学的な表面改質には、金属ナトリウム溶液を用いた湿式エッチングによりフィルムの片面を処理する方法を用いるが、この方法は環境負荷が大き過ぎ、取り扱いが難しいという問題がある。また、プラズマ照射による表面改質は、プラズマ処理装置が大掛かりになり、装置コストが高いという欠点がある。更に、フッ素樹脂フィルムの表面改質後から接着施工までの間の保管管理が必要となり、改質面のばらつきによる接着の品質に不安があるばかりでなく、時間経過に伴い表面改質の効果が薄れるという問題もある。
特許文献1には、フッ素樹脂フィルムと、分枝を有するフッ素樹脂ステープルファイバーを含む熱融着性ウェブと、織布または編布からなる基布とがこの順で結合した複合シートであって、該フッ素樹脂フィルムと熱融着性ウェブとの結合が熱融着による結合であり、該ウェブと基布との結合がウェブ中の繊維が基布に投錨的に交絡した結合であり、かつ基布に交絡したウェブ中の繊維同士が熱融着することにより形成されている空気不透過性フッ素系複合シートが開示されている。また、分枝を有するフッ素樹脂ステープルファイバー、すなわち熱融着する前の分枝を有するフッ素樹脂ステープルファイバーとしては、半焼成PTFEのステープルファイバー、焼成または半焼成のビニルエーテル変性PTFEのステープルファイバーまたはエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)のステープルファイバーが挙げられ、熱融着前の熱融着性ウェブは、分枝を有するフッ素樹脂ステープルファイバーのみから構成されていてもよいし、分枝を有するフッ素樹脂ステープルファイバー以外のフッ素樹脂繊維および/または非フッ素樹脂繊維を含んでいてもよいとされている。また、基布を構成する繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維、ポリイミド繊維、パラアラミド繊維、メタアラミド繊維、これらを複合した複合繊維またはこれらの混合繊維が好ましいとする。
特許文献2には、鋼板の表面に、フッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂による下地処理層を介在させて、熱可塑性フッ素樹脂フィルムの熱融着皮膜を形成してなるフッ素樹脂フィルム被覆鋼板が開示されている。下地処理皮膜を介在させると、フッ素樹脂フィルム被覆鋼板の耐熱耐久密着性、フィルム密着性、耐摩耗性などが改善される理由は、耐熱性樹脂を構成するS=Oや−O−結合基が鋼板表面と強固な結合をもたらし、かつ上層フッ素樹脂フィルムとは、下地処理層に含有するフッ素樹脂との親和性により強固な密着性が得られるからであるとする。
特開2002−160332号公報 特開平5−162243号公報
しかしながら、特許文献1に記載のものは、ウェブと基布との結合がウェブ中の繊維が基布に投錨的に交絡した結合であるので、接合強度に問題があるとともに、経年変化によりウェブと基布とが剥離する恐れがある。また、特許文献2に記載のものは、鋼板の表面に下地としてフッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂を介在させ、その上に熱可塑性フッ素樹脂フィルムを載せて、全体を熱処理する必要があるため、鋼板が大型である場合や、立体形状である場合にはライニング作業が困難になる。
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、フッ素樹脂フィルムを物体表面に接着剤を用いて接着するに際して、紫外線や温度変化によっても経年的な接着強度低下を極力抑えることが可能なバッキング材を備えた汎用性のあるフッ素樹脂複合シート及びフッ素樹脂フィルムの接合方法を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、溶融フッ素樹脂フィルムの裏面に、少なくとも該溶融フッ素樹脂フィルムと同材質の溶融フッ素樹脂繊維と、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維及びポリエステル繊維のうちから選択した1種又は2種以上の基材繊維とが一体となったバッキング材を熱溶着してなることを特徴とするフッ素樹脂複合シートを構成した(請求項1)。尚、本発明において、「溶融フッ素樹脂繊維と基材繊維とが一体となった」とは、物理的に繊維同士が絡み合った状態を示し、溶融フッ素樹脂フィルムに溶融フッ素樹脂繊維が熱溶着した際には、基材繊維も溶融フッ素樹脂フィルムと間接的に接合されることを意味している。
ここで、前記溶融フッ素樹脂が、PFA、PVDF、FEP、ETFE、PCTFEの内から選択した1種であることが好ましい(請求項2)。
また、前記バッキング材が、溶融フッ素樹脂連続繊維と基材繊維の連続繊維からなる織布の単層又は複数層であるより好ましい(請求項3)。
そして、前記溶融フッ素樹脂連続繊維と基材繊維の連続繊維からなる織布が、溶融フッ素樹脂連続繊維と基材繊維の連続繊維を交互に配置した平織布若しくは綾織布であるとより好ましい(請求項4)。
また、前記バッキング材が、溶融フッ素樹脂長繊維と基材繊維の長繊維からなる不織布若しくは綾織布であることも好ましい(請求項5)。
更に、前記バッキング材が、中間層材と外層材とからなり、前記外層材は、基材繊維の連続繊維からなる織布の単層又は複数層であり、前記中間層材は、前記溶融フッ素樹脂フィルムと同材質の溶融フッ素樹脂長繊維と、前記基材繊維に熱溶着可能な熱可塑性樹脂長繊維とからなる不織布であり、前記溶融フッ素樹脂フィルムの裏面に前記中間層材と外層材を熱溶着してなることも好ましい(請求項6)。
ここで、前記中間層材の熱可塑性樹脂長繊維が、PET長繊維であることが好ましい(請求項7)。
また、前記外層材は、基材繊維の連続繊維からなる平織布であるとより好ましい(請求項8)。
そして本発明は、前述のフッ素樹脂複合シートを物体表面に接着剤にて接着することにより、溶融フッ素樹脂フィルムを物体表面にバッキング材を介して接着することを特徴とするフッ素樹脂フィルムの接合方法を提供する(請求項9)。
以上にしてなる本発明のフッ素樹脂複合シートは、溶融フッ素樹脂フィルムの裏面に、少なくとも該溶融フッ素樹脂フィルムと同材質の溶融フッ素樹脂繊維と、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維及びポリエステル繊維のうちから選択した1種又は2種以上の基材繊維とが一体となったバッキング材を熱溶着してなるものであるので、溶融フッ素樹脂フィルムと溶融フッ素樹脂繊維及び溶融フッ素樹脂繊維同士の接触部とが熱溶着することにより、溶融フッ素樹脂フィルムとバッキング材とは強固に一体化され、そしてバッキング材を接着剤で他の物体表面に接着した場合、基材繊維と接着剤とは相性が良いので強固に接着することができ、それにより接着性に乏しい溶融フッ素樹脂フィルムを、バッキング材を介して物体表面に良好に接着できるのである。また、溶融フッ素樹脂繊維と基材繊維で構成したバッキング材に接着剤を塗布した場合、バッキング材の内部の繊維の隙間まで接着剤が浸入するので、接着性がより向上するのである。この接着による接合方法は、エッチング処理した接着界面と違い、紫外線や温度変化による影響を受けず、また基材繊維もフッ素樹脂繊維も屋外での劣化がほぼないので、屋外や温度変化の大きい環境下においてもフッ素樹脂フィルムの接着力の低下を極力抑えることができ、耐候性に優れたものとなる。更に、基材繊維がガラス繊維、炭素繊維、金属繊維である場合には、該基材繊維の存在により、熱溶着時の収縮を抑えることができる。
また、溶融フッ素樹脂繊維と基材繊維とが物理的に絡み合った不織布あるいは織布でバッキング材を構成することにより、溶融フッ素樹脂フィルムの裏面に熱溶着した場合に、溶融フッ素樹脂フィルムと溶融フッ素樹脂繊維及び溶融フッ素樹脂繊維同士の接触部とが強固に接合するのである。そして、流体との表面摩擦抵抗低減のために、フッ素樹脂フィルム表面にリブレット状の凹凸を賦形する際に、バッキング材により凹凸形状を保持することができる。
また、前記バッキング材が、溶融フッ素樹脂連続繊維と基材繊維の連続繊維からなる織布の単層又は複数層であると、特に平織布で構成した場合、引張り強度が高くなるので、フッ素樹脂複合シート自体を引き裂き強度の高いテントフィルムとして各種構造物の幕体に使用することも可能である。また、物体表面にフッ素樹脂複合シートを接着した場合、織布からなるバッキング材のウェブによる凹凸に応じて溶融フッ素樹脂フィルムに凹凸形状が現れる。
また、前記バッキング材が、中間層材と外層材とからなり、前記外層材は、基材繊維の連続繊維からなる織布の単層又は複数層であり、前記中間層材は、前記溶融フッ素樹脂フィルムと同材質の溶融フッ素樹脂長繊維と、前記基材繊維に熱溶着可能な熱可塑性樹脂長繊維とからなる不織布であり、前記溶融フッ素樹脂フィルムの裏面に前記中間層材と外層材を熱溶着してなる場合には、溶融フッ素樹脂フィルムに中間層材と外層材を積層した状態で熱溶着することにより、溶融フッ素樹脂フィルムと中間層材の溶融フッ素樹脂繊維及び溶融フッ素樹脂繊維同士の接触部とが熱溶着すると同時に、中間層材の熱可塑性樹脂長繊維と外層材の基材繊維及び熱可塑性樹脂長繊維同士の接触部とが熱溶着するので、簡単に溶融フッ素樹脂フィルム、中間層材及び外層材を相互に溶着一体化させることができる。勿論、この場合も最外層に基材繊維が存在するので、他の物体表面に接着剤にて強固に接着することができる。
本発明のフッ素樹脂複合シートを、船舶等の海水浸漬構造物の表面に接着した場合、フジツボ等の水生生物の付着を抑制することができ、また水生生物が付着しても容易に剥がすことができるのでメンテナンス性も向上する。更に、鋼材の表面にフッ素樹脂複合シートを接着することにより、該鋼材の腐食を防止することができる。
本発明のフッ素樹脂複合シートを示し、(a)は溶融フッ素樹脂フィルムとバッキング材とを積層した基本形態の断面図、(b)はバッキング材が中間層材と外層材とからなる形態の断面図である。 本発明のフッ素樹脂フィルムの接合方法を示し、(a)は図1(a)のフッ素樹脂複合シートを被接着物に接着した状態の部分断面図、(b)は図1(b)のフッ素樹脂複合シートを被接着物に接着した状態の部分断面図である。 実施例1のフッ素樹脂複合シートの製造方法を示す簡略説明図である。 溶融フッ素樹脂連続繊維とガラス連続繊維からなる織布の例を模式的に示した平面図である。 実施例1のフッ素樹脂複合シートを模式的に示した断面図である。 実施例2のフッ素樹脂複合シートの製造方法を示す簡略説明図である。 比較例のフッ素樹脂複合シートの製造方法を示す簡略説明図である。 フッ素樹脂フィルムに織布2層からなるバッキング材を熱溶着したフッ素樹脂複合シートを、被接着物に接着剤にて接着した状態を模式的に示した部分断面図である。
本発明は接着性に乏しいフッ素樹脂フィルムを他の物体表面に良好に接着することを可能にする接合技術である。本発明のフッ素樹脂複合シートAは、図1(a)に示すように、溶融フッ素樹脂フィルム1の裏面に、少なくとも該溶融フッ素樹脂フィルム1と同材質の溶融フッ素樹脂繊維と、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維及びポリエステル繊維のうちから選択した1種又は2種以上の基材繊維とが一体となったバッキング材2を熱溶着した構造である。本実施形態では、前記基材繊維としてガラス繊維を用いたが、他の炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維又はポリエステル繊維を単独で、あるいはそれらを組み合わせて若しくは混紡して用いても良い。
ここで、前記溶融フッ素樹脂が、PFA(溶融タイプの四フッ化エチレン樹脂)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン樹脂)、FEP(四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンの共重合体)、ETFE(四フッ化エチレンとエチレンの共重合体)、PCTFE(ポリクロロ三フッ化エチレン樹脂)の内から選択した1種であると良好に使用できる。融点は、PFAが310℃、PVDFが151〜178℃、FEPが260℃、ETFEが270℃、PCTFEが220℃である。
前記溶融フッ素樹脂フィルム1の裏面にバッキング材2を積層し、上下から加圧しながら溶融フッ素樹脂の融点以上の温度に加熱することにより、溶融フッ素樹脂フィルム1とバッキング材2中の溶融フッ素樹脂繊維とが熱溶着するとともに、バッキング材2中の溶融フッ素樹脂繊維同士の接触部も熱溶着してフッ素樹脂複合シートAを製造する。この溶着による接合は、エッチング処理した接着界面とは異なり、紫外線や温度変化による影響を受けない。また、フッ素樹脂繊維もガラス繊維も屋外での劣化がほぼ無い素材であるため、耐候性に優れたものとなる。ここで、フッ素樹脂複合シートAにおけるバッキング材2中のガラス繊維は、裏面に部分的に露出した形態となり、ガラス繊維が他の物体表面に接着するためのアンカーとなるのである。ガラス繊維は、接着に非常に適した材料であり、通常の各種の接着剤が使用できる。ここで、フッ素樹脂複合シートAを接着する他の物体表面(被接着物)は、鋼材等の鉄系材料以外にも、接着剤にて接着可能なその他金属材料、コンクリート、木材等であっても構わない。
また、代表的な実施形態では、前記バッキング材2が、溶融フッ素樹脂連続繊維とガラス連続繊維からなる織布の単層又は複数層である。ここで、前記溶融フッ素樹脂連続繊維とガラス連続繊維からなる織布が、溶融フッ素樹脂連続繊維とガラス連続繊維を交互に配置した平織布であるとより好ましい。織布とすることにより、溶融フッ素樹脂繊維とガラス繊維が物理的に絡まった形態となり、接着剤による接着効果を更に高めるとともに、接着剤が繊維間の隙間に浸入するので、更に接着力が高まる。また、平織りの他に、綾織りやその他の織物でも良いが、表面に露出する溶融フッ素樹脂繊維とガラス繊維の比率が1対1になるようにすることが望ましい。
他の実施形態では、前記バッキング材2が、溶融フッ素樹脂長繊維とガラス長繊維からなる不織布であることも好ましい。不織布は厚さの調整が容易であり、熱溶着によって不織布中の溶融フッ素樹脂長繊維同士の接触部が溶着するので、比較的強度的も高く、他の物体表面に接着した後には、ガラス繊維に対する直接的な接着に加えて接着剤が繊維間にも浸入するので、不織布を介して溶融フッ素樹脂フィルム1を確実に接着することができる。
更に、図1(b)に示すように、前記バッキング材2が、中間層材3と外層材4とからなり、前記外層材4は、ガラス連続繊維からなる織布の単層又は複数層であり、前記中間層材3は、前記溶融フッ素樹脂フィルムと同材質の溶融フッ素樹脂長繊維と、前記ガラス繊維に熱溶着可能な熱可塑性樹脂長繊維とからなる不織布であり、前記溶融フッ素樹脂フィルム1の裏面に前記中間層材3と外層材4を熱溶着してフッ素樹脂複合シートBを製造する。
この場合も前記同様に、前記溶融フッ素樹脂フィルム1の裏面にバッキング材2として中間層材3と外層材4を積層し、上下から加圧しながら溶融フッ素樹脂の融点以上且つ熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱することにより、溶融フッ素樹脂フィルム1と中間層材3の溶融フッ素樹脂繊維及び溶融フッ素樹脂繊維同士の接触部とが熱溶着すると同時に、中間層材3の熱可塑性樹脂長繊維と外層材4のガラス繊維及び熱可塑性樹脂長繊維同士の接触部とが熱溶着して、前記溶融フッ素樹脂フィルム1、中間層材3及び外層材4を相互に溶着一体化した前記フッ素樹脂複合シートAを製造する。この場合、溶融フッ素樹脂と熱可塑性樹脂の融点が近い組み合わせが好ましい。
ここで、前記中間層材の熱可塑性樹脂長繊維が、PET(ポリエチレンテレフタレート)長繊維であることが好ましい。尚、PET樹脂の融点は264℃である。PET樹脂は、耐候性に非常に優れていることから特に好ましいが、溶融フッ素樹脂の融点に応じて他の熱可塑性樹脂でも良い。
また、前記外層材4は、ガラス連続繊維からなる平織布であるとより好ましい。ガラス連続繊維からなる平織布は、熱溶着の際に前記溶融フッ素樹脂フィルム1の収縮を抑制し、引き裂き強度も高く、耐候性にも優れている。
そして、本発明のフッ素樹脂フィルムの接合方法は、図2に示すように、前述のフッ素樹脂複合シートA又はBを被接着物5(物体表面)に接着剤にて接着することにより、溶融フッ素樹脂フィルム1を被接着物5にバッキング材2を介して接着することを特徴としている。図2(a)は図1(a)のフッ素樹脂複合シートAを被接着物5に接着した状態を示し、図2(b)は図1(b)のフッ素樹脂複合シートBを被接着物5に接着した状態を示している。
このように、溶融フッ素樹脂フィルム1の裏面にバッキング材2を熱溶着して構成したフッ素樹脂複合シートは、引張強度、引き裂き強度が高く、それ自体で単独のテントフィルムとして使用可能である。
次に、図3に基づき本発明の実施例1を説明する。表1に使用する材料と加圧・加熱条件を示している。溶融フッ素樹脂フィルム1として、厚さ50μmのFEPフィルムを用いた。バッキング材2は、FEP連続繊維6(50wt%)とガラス連続繊維7(50wt%)を交互に配置して平織布としたものである。バッキング材2とする平織布は、縦・横の繊維密度が共に25.4本/インチ、目付け重量は82.3g/mである。図4には、FEP連続繊維6とガラス連続繊維7の平織布からなるバッキング材2の模式的に示している。
Figure 2016088039
そして、図3に示すように、前記FEPフィルム1の裏面にバッキング材2を積層し、その上下に離型用化粧板(SUS製)8,8を配置し、盤面温度を270℃に加熱したプレス機9,9で2.5MPa、10min挟み込んで、FEPフィルム1とバッキング材2を熱溶着してフッ素樹脂複合シートAを製造する。図5は、このように製造したフッ素樹脂複合シートAを模式的に示した断面図である。
次に、図6に基づき本発明の実施例2を説明する。表2に使用する材料と加圧・加熱条件を示している。溶融フッ素樹脂フィルム1として、厚さ50μmのFEPフィルムを用いた。バッキング材2は、中間層材3と外層材4とからなる。中間層材3は、FEP長繊維(50wt%)とPET長繊維(50wt%)とからなる不織布である。外層材4は、ガラス連続繊維からなる平織布であり、縦・横の繊維密度が縦18本/25mm、横10本/25mm、目付け重量は707g/mである。
Figure 2016088039
そして、図6に示すように、前記FEPフィルム1の裏面にバッキング材2として中間層材3と外層材4を積層し、その上下に離型用化粧板(SUS製)8,8を配置し、盤面温度を270℃に加熱したプレス機9,9で2.5MPa、10min挟み込んで、FEPフィルム1と中間層材3及び中間層材3と外層材4を熱溶着してフッ素樹脂複合シートBを製造する。
<比較例>
また、図7に基づき比較例を説明する。表3に使用する材料と加圧・加熱条件を示している。溶融フッ素樹脂フィルム1として、厚さ50μmのFEPフィルムを用いた。バッキング材2は、ガラス連続繊維からなる平織布であり、その基材に熱硬化性エポキシ樹脂を含浸させたプレプレグである。ガラス繊維織物は、縦・横の繊維密度が縦44本/25mm、横22本/25mm、目付け重量は240g/mである。FEPフィルムは、片面をコロナ放電処理法にて表面を改質したものを用いた。
Figure 2016088039
そして、図7に示すように、前記FEPフィルム1の裏面にバッキング材2(プレプレグ)を積層し、その上下に離型用化粧板(SUS製)8,8を配置し、盤面温度を160℃に加熱したプレス機9,9で5MPa、10min挟み込んで、FEPフィルム1とバッキング材2を接着してフッ素樹脂複合シートCを製造する。
<評価試験>
これら実施例1,2及び比較例のフッ素樹脂複合シートに対して耐候性試験を行った。測定機器はサンシャインウエザーメーター(スガ試験機械株式会社製、WEL−SUN−HCH−B型)を用いた。試験時間は500時間、試験条件はブラックパネル温度63℃±3℃、降雨条件(1)降雨時間率12min/60min、(2)降雨量2100ml±100mlである。各フッ素樹脂複合シートの評価材寸法は100mm×300mmで、それぞれ3枚用いた。
評価項目は、外観、汚染、剥離接着強さ、付着性である。
外観は、目視にて試験前後の変化を観察した。
汚染は、汚染用グレースケールにて試験前後の変化を判定した(JIS L 0805準拠)。表4に汚染の判定基準を示す。
Figure 2016088039
剥離接着強さは、T型はく離試験片にて試験前後のフッ素樹脂フィルムの接着強さを確認した(JIS K 6854準拠)。評価方法は、接着していない端部を試験機のつかみ部でつかみ、接着面の90度の方向に10mm/minの速度で引張り、接着面の引き裂かれた時の荷重を求めることによる。試験片寸法は、長さ300mm(接着部225mm)×幅25mmであり、前記耐候性試験に用いた評価材から各5枚切り出した。
付着性は、碁盤目テープ法にて試験前後のフッ素フィルムの付着性を評価した(JIS K 5400準拠)。表5に付着性の判定基準を示す。
Figure 2016088039
これらの評価項目に対する評価結果を表6に示す。
Figure 2016088039
実施例1及び実施例2のフッ素樹脂複合シートは、接合方法がフッ素樹脂の熱溶着であるため、耐侯性試験前後で変化はなく接合は維持されていることがわかる。比較例のフッ素樹脂複合シートは、フッ素樹脂フィルムの片面にプラズマ処理法やコロナ放電処理法、薬液処理にて表面を改質したとしても、耐侯性試験にて、紫外線によりエポキシ樹脂が劣化し、フィルム接着部にて剥がれが生じる。実施例1及び実施例2のフッ素樹脂複合シートは、耐候性試験後にも外観は変化せず、また汚染もほとんど認められず、勿論、剥離接着強さも十分強く、付着性も最も高い評価であった。
図8は、本発明の他の実施形態を示し、溶融フッ素樹脂フィルム1の裏面に、溶融フッ素樹脂連続繊維とガラス連続繊維からなる織布を2層積層したバッキング材2を熱溶着したフッ素樹脂複合シートAを、被接着物5の表面に接着剤10にて接着した状態を模式的に示した部分断面図である。
A,B フッ素樹脂複合シート
1 溶融フッ素樹脂フィルム
2 バッキング材
3 中間層材
4 外層材
5 物体
6 FEP連続繊維
7 ガラス連続繊維
8 離型用化粧板
9 プレス機

Claims (9)

  1. 溶融フッ素樹脂フィルムの裏面に、少なくとも該溶融フッ素樹脂フィルムと同材質の溶融フッ素樹脂繊維と、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維及びポリエステル繊維のうちから選択した1種又は2種以上の基材繊維とが一体となったバッキング材を熱溶着してなることを特徴とするフッ素樹脂複合シート。
  2. 前記溶融フッ素樹脂が、PFA、PVDF、FEP、ETFE、PCTFEの内から選択した1種である請求項1記載のフッ素樹脂複合シート。
  3. 前記バッキング材が、溶融フッ素樹脂連続繊維と基材繊維の連続繊維からなる織布の単層又は複数層である請求項1又は2記載のフッ素樹脂複合シート。
  4. 前記溶融フッ素樹脂連続繊維と基材繊維の連続繊維からなる織布が、溶融フッ素樹脂連続繊維とガラス連続繊維を交互に配置した平織布若しくは綾織布である請求項3記載のフッ素樹脂複合シート。
  5. 前記バッキング材が、溶融フッ素樹脂長繊維と基材繊維の長繊維からなる不織布である請求項1又は2記載のフッ素樹脂複合シート。
  6. 前記バッキング材が、中間層材と外層材とからなり、前記外層材は、基材繊維の連続繊維からなる織布の単層又は複数層であり、前記中間層材は、前記溶融フッ素樹脂フィルムと同材質の溶融フッ素樹脂長繊維と、前記基材繊維に熱溶着可能な熱可塑性樹脂長繊維とからなる不織布であり、前記溶融フッ素樹脂フィルムの裏面に前記中間層材と外層材を熱溶着してなる請求項1又は2記載のフッ素樹脂複合シート。
  7. 前記中間層材の熱可塑性樹脂長繊維が、PET長繊維である請求項6記載のフッ素樹脂複合シート。
  8. 前記外層材は、基材繊維の連続繊維からなる平織布若しくは綾織布である請求項6又は7記載のフッ素樹脂複合シート。
  9. 請求項1〜8何れか1項に記載のフッ素樹脂複合シートを物体表面に接着剤にて接着することにより、溶融フッ素樹脂フィルムを物体表面にバッキング材を介して接着することを特徴とするフッ素樹脂フィルムの接合方法。
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