JP2016081900A - 燃料電池用セパレータおよびその製造方法,燃料電池,導電性成形体およびその製造方法ならびに導電性成形体用不織布およびその抄造方法 - Google Patents

燃料電池用セパレータおよびその製造方法,燃料電池,導電性成形体およびその製造方法ならびに導電性成形体用不織布およびその抄造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性の確保と強度の確保とを両立することができるようにした、燃料電池用セパレータを提供する。【解決手段】マトリックス樹脂と炭素繊維とを含有し、少なくとも一方の面にガス流通用の凹部が設けられる燃料電池用セパレータであって、炭素繊維が、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とからなり、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とが混在している。【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池用セパレータおよびその製造方法,燃料電池,導電性成形体およびその製造方法ならびに導電性成形体用不織布およびその抄造方法に関するものである。
従来、マトリックス樹脂を炭素繊維などの炭素材料で強化した導電性成形体が開発されている。この導電性成形体に用いられる炭素材料としては、黒鉛,ピッチ系炭素繊維,PAN系炭素繊維などが挙げられる。これらの炭素材料は、黒鉛,ピッチ系炭素繊維,PAN系炭素繊維の順に導電性が高い傾向にある。逆に、PAN系炭素繊維,ピッチ系炭素繊維,黒鉛の順に強度が高い傾向にある。
導電性成形体はさまざまな電気電子機器に用いられるが、かかる電気電子機器のうち燃料電池に着目して説明する。燃料電池では、複数のセルが直列に接続される。各セルでは、電解質を挟む一対の電極とこれらの電極を挟む一対のセパレータとが並んで設けられる。セパレータは、電極への水素や酸素といった反応ガスの流通用に凹部が設けられており、隣接するセルを仕切る。このセパレータに、上記の導電性成形体を適用することが提案されている。
燃料電池のセパレータには、発電効率向上のため導電性が要求され、また、車両や携帯機器に燃料電池が装備されうることから強度が要求される。そこで、要求される特性に応じて種々の炭素材料を用いたセパレータが提案されている。
特許文献1,2のセパレータでは、炭素繊維が用いられ、強度が要求される部位および導電性が要求される部位の各成形パーツがそれぞれ異なる炭素繊維により形成され、これらの成形パーツが結合(バインド)されている。一方、特許文献3〜5のセパレータでは、部位ごとに成形パーツを分けることなく、黒鉛やピッチ系炭素繊維ミルドといった粉体状の炭素材料が用いられている。
特開2013−93334号公報 特開2014−22096号公報 特開2003−82247号公報 特開2006−73334号公報 特開2009−93965号公報
しかしながら、特許文献1,2に示される技術では、炭素繊維が用いられることから強度は確保されやすいものの、各成形パーツが結合されることから結合箇所の抵抗が増加することにより導電性の低下を招いてしまうおそれがある。また、特許文献3〜5に示される技術では、PAN系炭素繊維よりも導電性の高い炭素材料が用いられることから導電性は確保されやすいものの強度を確保することができないおそれがある。
このように、導電性成形体において、部位ごとに用いる炭素繊維を特定したものでは導電性を確保することが困難であり、全体的に炭素材料が混在したものでは強度を確保することが困難であるという課題がある。
本発明は、上記のような課題に鑑み創案されたもので、その目的の一つは、導電性の確保と強度の確保とを両立することができるようにした、燃料電池用セパレータおよびその製造方法,燃料電池,導電性成形体およびその製造方法ならびに導電性成形体用不織布およびその抄造方法を提供することである。なお、ここでいう目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
本願の発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ピッチ系炭素繊維とPAN系炭素繊維とが混在した燃料電池用セパレータ(導電性成形体)において導電性の確保と強度の確保とが両立されうることを見出し、本発明に至った。
(1)すなわち、本発明の燃料電池用セパレータは、マトリックス樹脂と炭素繊維とを含有し、少なくとも一方の面にガス流通用の凹部が設けられる燃料電池用セパレータであって、前記炭素繊維が、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とからなり、前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維とが混在していることを特徴としている。
(2)前記PAN系炭素繊維および前記ピッチ系炭素繊維それぞれが、前記凹部の立壁面と交差するセパレータ面に対して略平行に配向されたことが好ましい。
(3)さらに、前記PAN系炭素繊維および前記ピッチ系炭素繊維それぞれが、互いにランダムに交差することが好ましい。
(4)体積固有抵抗が12mΩ・cm以下で、曲げ強度が100MPa以上となるように、前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維との配合比が設定されたことが好ましい。
10〜70質量%の前記マトリックス樹脂を含有することが好ましい。更に言えば、20〜65質量%の前記マトリックス樹脂を含有することが好ましく、40〜60質量%の前記マトリックス樹脂を含有することがより好ましい。
(5)前記マトリックス樹脂が、ポリフェニレンサルファイド樹脂,ポリフェニルサルホン樹脂およびポリプロピレン樹脂のうち少なくとも一つを含むことが好ましい。
30〜80質量%の前記炭素繊維を含有することが好ましい。更に言えば、45〜60質量%の前記炭素繊維を含有することが好ましい。
(6)前記PAN系炭素繊維100質量部に対して前記ピッチ系炭素繊維が10〜200質量部であることが好ましい。更に言えば、前記PAN系炭素繊維100質量部に対して前記ピッチ系炭素繊維が20〜80質量部であることが好ましい。
(7)前記ピッチ系炭素繊維の弾性率が400GPa以上であることが好ましい。更に言えば、前記ピッチ系炭素繊維の弾性率が700GPa以上であることが好ましい。
(8)一方、前記PAN系炭素繊維の弾性率が300GPa以下であることが好ましい。
繊維長が3〜25mmの前記PAN系炭素繊維を用いることが好ましい。また、繊維長が3〜25mmの前記ピッチ系炭素繊維を用いることが好ましい。
繊維径が4〜10μmの前記PAN系炭素繊維を用いることが好ましい。また、繊維径が5〜12μmの前記ピッチ系炭素繊維を用いることが好ましい。
(9)体積固有抵抗が1.5〜2.0mΩ・cmの前記PAN系炭素繊維を用いることが好ましい。
(10)また、体積固有抵抗が0.1〜0.3mΩ・cmの前記ピッチ系炭素繊維を用いることが好ましい。
(11)セパレータ密度が理論密度の85%以上であることが好ましい。
(12)セパレータ厚みが0.05〜2.0mmであることが好ましい。
(13)本発明の燃料電池は、上記の燃料電池用セパレータを備えたことを特徴としている。
(14)本発明の導電性成形体は、マトリックス樹脂と炭素繊維とを含有し板状に成形された導電性成形体であって、前記炭素繊維が、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とからなり、前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維とが混在するとともに、前記PAN系炭素繊維および前記ピッチ系炭素繊維それぞれが板状の面に対して略平行に配向されたことを特徴としている。
(15)また、本発明の導電性成形体は、マトリックス樹脂と炭素繊維とを含有し板状に成形された導電性成形体であって、前記炭素繊維が、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とからなり、前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維とが混在するとともに、体積固有抵抗が12mΩ・cm以下で、曲げ強度が100MPa以上となるように、前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維との配合比が設定されたことを特徴としている。
(16)本発明の導電性成形体用不織布は、マトリックス樹脂繊維と炭素繊維とを含有する導電性成形体用不織布であって、前記炭素繊維が、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とからなり、前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維とが混在するとともに、前記PAN系炭素繊維および前記ピッチ系炭素繊維それぞれが布面に対して略平行に配向されたことを特徴としている。
(17)本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、PAN系炭素繊維,ピッチ系炭素繊維およびマトリックス樹脂繊維が混在している不織布を、前記マトリックス樹脂繊維の融点または前記マトリックス樹脂繊維のガラス転移点よりも高い温度で熱プレス加工することにより、燃料電池用セパレータを製造することを特徴としている。
(18)前記熱プレス加工は、前記マトリックス樹脂繊維の融点よりも5℃以上高い温度でまたは前記マトリックス樹脂繊維のガラス転移点よりも60℃〜170℃高い温度でなされることが好ましい。
(19)前記熱プレス加工は、8〜40Mpaの圧力でなされることが好ましい。
(20)前記不織布を前記熱プレス加工することにより、少なくとも一方の面にガス流通用の凹部が成形されることが好ましい。
(21)本発明の導電性成形体の製造方法は、PAN系炭素繊維,ピッチ系炭素繊維およびマトリックス樹脂繊維が混在している不織布を、前記マトリックス樹脂繊維の融点または前記マトリックス樹脂繊維のガラス転移点よりも高い温度で熱プレス加工することにより、板状の導電性成形体を製造することを特徴としている。
(22)本発明の導電性成形体用不織布の抄造方法は、PAN系炭素繊維,ピッチ系炭素繊維およびマトリックス樹脂繊維を含む分散液から導電性成形体用不織布を抄造する
ことを特徴としている。
本発明の方法によって抄造される導電性成形体用不織布は、PAN系炭素繊維,ピッチ系炭素繊維およびマトリックス樹脂繊維を含む分散液から抄造される。このため、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とマトリックス樹脂とが混在している導電性成形体用不織布を抄造することができる。このように、本発明の導電性成形体用不織布は、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とマトリックス樹脂とが混在している。さらに、本導電性成形体用不織布は、例えば連続的に湿式抄造され、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維それぞれが布面に対して略平行に配向される。
本発明の方法によって製造される導電性成形体あるいは燃料電池用セパレータは、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とマトリックス樹脂とが混在している導電性成形体用不織布をマトリックス樹脂の融点または前記マトリックス樹脂繊維のガラス転移点よりも高い温度で熱プレス加工される。このため、本発明の導電性成形体あるいは燃料電池用セパレータは、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とが混在している。さらに、本導電性成形体あるいは本燃料電池用セパレータは、PAN系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維それぞれが板状の面あるいはセパレータ面に対して略平行に配向される。
上記の導電性成形体およびその製造方法は、本発明の燃料電池用セパレータおよびその製造方法に、同様にして適用することができる。
導電性成形体あるいは燃料電池用セパレータにおいて、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とが混在しているため、導電性の確保と強度の確保とを両立することができる。
また、導電性成形体あるいは燃料電池用セパレータにおいて、PAN系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維それぞれが板状の面あるいはセパレータ面に略平行に配向されていれば、曲げ強度を確保することができる。さらに、導電性成形体あるいは燃料電池用セパレータにおいて、PAN系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維それぞれが互いにランダムに交差していれば、特定の方向に作用する負荷に限らず強度を確保することができる。
また、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維との配合比を所要のものに設定することで、体積固有抵抗が12mΩ・cm以下で、曲げ強度が100MPa以上の導電性成形体あるいは燃料電池用セパレータを得ることができる。
本発明の燃料電池は、その一部に上述の燃料電池用セパレータを用いるため、本発明の燃料電池用セパレータと同様の効果を得ることができる。さらに、燃料電池の出力を向上させることができ、また、燃料電池を小型化あるいは軽量化することができる。
上記の燃料電池用セパレータにかかる各パラメータは、燃料電池用セパレータの製造方法に適用することができる。
本発明の一実施形態にかかる燃料電池を模式的に示し、(a)は要部を示す斜視図であり、(b)は燃料電池のセルを取り出して示す分解斜視図である。 本発明の一実施形態にかかる燃料電池用セパレータについて積層方向に沿う断面の一部を拡大して示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる燃料電池用セパレータについて積層方向から視た一部を拡大して示す平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態は、導電性を有する成形体(以下、「導電性成形体」という)に関するものである。以下の説明では、導電性成形体として、燃料電池に用いるセパレータ(以下、単に「セパレータ」または「燃料電池用セパレータ」という)を例に挙げて説明する。
〔一実施形態〕
[1.構成]
[1−1.燃料電池]
まず、図1を参照して、本セパレータが用いられる燃料電池について説明する。
燃料電池は、水素と酸素との電気化学的な反応(水の電気分解の逆反応)により発電する装置である。燃料電池としては、固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte 〈Membrane〉Fuel Cell),りん酸型燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell),溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell),固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)といった種々の形式のものが開発されており、自動車や携帯機器のための小型のものから定置発電装置のための中大型のものまで多岐にわたる用途のものが提案されている。ここでは、小型のものに採用されることが多い固体高分子型の燃料電池を例示して説明する。
図1(a)に示すように、燃料電池1は、複数のセル1A,1B,1C(一部のみに符号を付す)を有する。セル1A,1B,1Cそれぞれが発電ユニットをなしている。これらのセル1A,1B,1Cは、電気的に直列に接続されるとともに構造的に積層(スタック)されている。なお、以下の説明では、セル1A,1B,1Cが積層された方向を「積層方向」という。
各セル1A,1B,1Cは同様に構成されている。そこで、セル1Bに着目して説明する。
図1(b)に示すように、セル1Bは、一対のセパレータ10A,10Bと、一対のセパレータ10A,10Bに挟まれた膜電極接合体(以下、「MEA」という,Membrane Electrode Assembly)20とを有する。図1(a)に示すように、セパレータ10A,10Bは、隣接するセル1A,1B,1Cどうしを仕切る。
ここでは、一方のセパレータ10Aがセル1Bとこれに隣接するセル1Aとを仕切り、同様に、他方のセパレータ10Bがセル1Bとこれに隣接するセル1Cとを仕切る。このため、一方のセパレータ10Aはセル1Aおよびセル1Bで兼用され、同様に、他方のセパレータ10Bはセル1Bおよびセル1Cで兼用される。
図1(b)に示すように、MEA20は、電解質(「固体高分子膜」とも称される)21が一対の電極22A,22Bに挟まれて設けられる。電極22A,22Bのそれぞれには、電解質21側に触媒22a,22bが担持されている。電解質21としては、スルホン酸をもつフッ素系ポリマを用いることができる。また、触媒22a,22bとしては、カーボンブラック担体に白金触媒を担持させたものを用いることができる。
セル1Bでは、セパレータ10A,電極22A,触媒22a,電解質21,触媒22b,電極22B,セパレータ10Bの順に並んで設けられている。
電極22Aは、水素が供給される燃料極(アノード)である。この電極22Aに隣接して設けられるセパレータ10Aには、一方(電極22A側)の面11a(板状の面)に、水素(ガス)流通用の凹部12A(一部のみに符号を付す)が設けられている。
また、電極22Bは、酸素を含む空気が供給される空気極(カソード)である。この電極22Bに隣接して設けられるセパレータ10Bには、他方(電極22B側)の面11b(板状の面)に酸素(ガス)流通用の凹部12B(一部のみに符号を付す)が設けられている。
セル1Aに着目してセパレータ10Aをみれば、他方の面に酸素が流通する凹部が設けられ、また、セル1Cに着目してセパレータ10Bをみれば、一方の面に水素が流通する凹部が設けられている。すなわち、セパレータ10Aの他方の面はセパレータ10Bの他方の面11bと同様に構成され、また、セパレータ10Bの一方の面はセパレータ10Aの一方の面11aと同様に構成されている。このように、セパレータ10A,10Bは、配置箇所が異なるのを除いて同様に構成されている。
以下の説明では、一つのセパレータに着目する場合には単にセパレータ10という。このセパレータ10において、水素が流通する凹部を第一凹部12Aといい、第一凹部12Aが設けられる面を第一面11aといい、また、酸素が流通する凹部を第二凹部12Bといい、第二凹部12Bが設けられる面を第二面11bという。
[1−2.セパレータ]
以下、セパレータ10に着目して説明する。
[1−2−1.基本構造]
はじめに、セパレータ10の基本構造について説明する。
セパレータ10は、板状に成形されている。具体的に言えば、セパレータ10は、積層方向に直交して延在する板状の部材である。ここでは、積層方向から視たセパレータ10は矩形をなす。なお、以下の説明では、積層方向に直交する方向を「面方向」という。
セパレータ10には、第一面11aに複数の第一凹部12Aが並んで設けられ、同様に、第二面11bに複数の第二凹部12Bが並んで設けられている。第一凹部12Aおよび第二凹部12Bは、何れも面方向に沿って延びて設けられている。ここでは、第一凹部12Aと第二凹部12Bとが面方向において同方向に延びて設けられたものを例示する。ただし、第一凹部12Aと第二凹部12Bとが面方向において交差(直交)するようにそれぞれ延在して設けられていてもよい。
第一凹部12Aと第二凹部12Bとは、配設箇所が異なるだけで、同様に構成されている。以下の説明では、第一凹部12Aの一つに着目して説明する。
図2に示すように、セパレータ10の第一面11aは、第一凹部12Aを囲む底面(セパレータ面)111および一対の立壁面112と積層方向の端面(セパレータ面)113とを有する。この端面113は、第一凹部12Aの開口と一部が重複して延在する仮想的な平面(以下、「基準面」という)110(一部を一点鎖線で示す,板面)と同一平面をなしている。底面111および端面113は立壁面112に対して交差(ここでは直交)している。底面111および端面113は面方向に沿っており、立壁面112はそれぞれ積層方向に沿っている。
第一凹部12Aは、基準面110に対して凹んで成形されている。基準面110に対して最も凹んだ箇所に底面111が位置する。
図2および図3に示すように、セパレータ10は、積層方向から視て、隣接する第一凹部12Aの間に第二凹部12Bが設けられ、同様に、隣接する第二凹部12Bの間に第二凹部12Aが設けられている。このような千鳥状配置により、凹部12A,12Bが効率よく配置され、燃料電池1(図1参照)の小型化や軽量化に寄与する。このようにセパレータ10が薄く成形されると、特に積層方向の導電性を向上させることができる。ただし、セパレータ10を肉薄化するためには、強度を確保することが必要である。
そこで、セパレータ10に要求される導電性および強度の両立を図るため、次に説明する製造方法と成形材料のパラメータとが特定される。
[1−2−2.製造方法]
セパレータ10は、抄造工程とその後の熱プレス工程とを経て製造される。
抄造工程では、成形材料から不織布を抄造する。また、熱プレス工程では、抄造工程で得られた不織布を熱プレス加工してセパレータ10を成形する。
〔1−2−2−1.抄造工程〕
抄造工程では、成形材料および分散溶媒を用いる。抄造工程としては湿式抄造を採用することができる。湿式抄造とは、分散溶媒に成形材料を分散あるいは浮遊させた分散液を抄くことである。例えば長網式の抄造装置を用いて連続的に不織布が抄造される。ただし、抄造工程として、バッチ式の湿式抄造や乾式抄造を採用してもよい。
〈分散溶媒〉
分散溶媒としては、水を用いた水系のものや、アルコールなどの有機溶媒を用いた有機溶媒系のものを用いることができる。例えば、水系の分散溶媒は安価で管理の容易なことから好適である。水系の分散溶媒は、少なくとも水を含むものであればよく、水のみからなってもよいし、水以外の溶剤や界面活性剤等を含んでもよい。
〈成形材料〉
成形材料としては、マトリックス樹脂繊維および炭素繊維を少なくとも用いる。さらに、マトリックス樹脂繊維と炭素繊維とを結合するバインダー樹脂を用いてもよい。
なお、ここではマトリックス樹脂繊維とバインダー樹脂とを区別しており、バインダー樹脂はマトリックス樹脂に含まれないものとして扱う。バインダー樹脂としては、アクリル樹脂エマルジョン,スチレン−アクリル樹脂エマルジョン,PVA,熱可塑性樹脂等の湿紙機不織布の製造に一般的に使用されるものを使用することができる。添加方法は、PET−変性PET芯鞘構造繊維,ポリプロピレン−ポリエチレン芯鞘構造バインダー繊維等の熱可塑性樹脂,またはPVA繊維やPVA樹脂等を強化繊維等と共に分散させて添加することができ、PVA溶液,アクリル樹脂エマルジョン,スチレン・アクリル樹脂エマルジョン等の液状バインダーを、乾燥パートの上流側でスプレーやディッピングによって添加することもできる。
はじめに、成形材料に用いる樹脂について説明する。
マトリックス樹脂繊維およびバインダー樹脂は、熱可塑性樹脂を含んでおり、好ましくは熱可塑性樹脂のみで構成され、本実施形態では熱可塑性樹脂のみで構成されている。ただし、マトリックス樹脂繊維および/またはバインダー樹脂として、熱硬化性を有するものを用いてもよい。
マトリックス樹脂繊維としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS:polyphenylenesulfide)樹脂,ポリフェニルサルホン(PPSU:polyphenylsulfone)樹脂,ポリプロピレン(PP:polypropylene)樹脂,ポリカーボネート(PC:polycarbonate)樹脂,ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyetheretherketone)樹脂,ポリアミドイミド(PAI: polyamide imide)樹脂,ポリエーテルイミド(PEI:polyetherimide)樹脂,ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK: polyetheretherketoneketone)樹脂などを用いることができる。例示される上記の樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらマトリックス樹脂としてのなかでも、高強度の繊維強化プラスチック成形体を得るために、ポリカーボネート,ポリアミド(ナイロン),ポリプロピレンを用いてもよい。また、耐熱性,耐薬品性、強度の観点からは、マトリックス樹脂として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂,ポリエーテルイミド,ポリフェニルサルホン(PPSU)樹脂,ポリプロピレン(PP)樹脂などを用いることが好ましい。これらの樹脂をマトリックス樹脂繊維に用いることで、良好に熱プレス加工することができ、炭素繊維どうしを結合することができ、優れた耐薬品性をもたせることができる。燃料電池用セパレータに要求される特性の一つとして耐薬品性が挙げられるが、先に例示された樹脂を含むマトリックス樹脂繊維を燃料電池用セパレータに用いることで、燃料電池用セパレータの耐薬品性を確保あるいは向上させることができる。
なお、マトリックス樹脂繊維として、黒鉛やカーボンブラックなど(以下、「黒鉛等」という)の炭素粉末が溶融混練されたものを用いてもよい。なおまた、マトリックス樹脂繊維に非晶性のものを用いてもよい。もちろんマトリックス樹脂繊維に黒鉛等の炭素粉末が含まれていなくもよい。
また、バインダー樹脂としては、ポリプロピレン(PP:polypropylene)樹脂やポリエチレン(PE: polyethylene)樹脂を用いることができる。これらの樹脂をバインダー樹脂に用いることで、不織布において炭素繊維どうしを適切に結合させることができる。
次に、炭素繊維について説明する。
炭素繊維としては、PAN系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維(以下、これらをまとめて「炭素繊維」という)の2種を少なくとも用いる。言い換えれば、成形材料に、異なる系の炭素繊維を用いている。PAN系炭素繊維はポリアクリロニトリル(PAN:polyacrylonitrile)繊維を焼成されて製造され、また、ピッチ系炭素繊維はピッチ(石油精製あるいは石炭乾留の副産物)から製造される。
なお、炭素繊維は、所定の長さの繊維(例えばチョップドストランドを解繊したもの)である。
一般に、PAN系炭素繊維はピッチ系炭素繊維よりも、弾性率が低い傾向にあり、強度が高い傾向にあり、導電性が低い傾向にある。このことから、炭素繊維には、弾性率が低くなると、熱プレス加工時に炭素繊維が分断されにくくなり、成形体の強度を確保することができるのに対し、弾性率が高いほど導電性を確保することができるという傾向があるものといえる。
ピッチ系炭素繊維は、PAN系炭素繊維よりも弾性率(引っ張り)が高いことから、粉砕しやすい(もろい)。そのため、ピッチ系炭素繊維は詳細を後述する熱プレス加工時に分断されやすい。よって、成形材料に繊維長の長いピッチ系炭素繊維を用いたとしても、また、不織布に繊維長の長いピッチ系炭素繊維が混在していたとしても、熱プレス加工時にピッチ系炭素繊維は粉砕或いは分断されやすい。つまり、セパレータ10におけるピッチ系炭素繊維の繊維長は、不織布におけるピッチ系炭素繊維の繊維長よりも短くなりやすい。言い換えれば、PAN系炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維よりも弾性率が低いため、製造工程時に粉砕されにくく、その結果、繊維長を確保することができる。そのため、ピッチ系炭素繊維に加えて繊維長が確保されやすいPAN系炭素繊維を用いることで、セパレータ10の強度確保が図られる。
このように、この成形材料では、弾性率,強度または導電性が異なる炭素繊維を併用している。なお、所定量(詳細は後述)のPAN系炭素繊維を用いるため、強度に影響のない範囲(要求される強度を達成する範囲)内で、例えば導電性を向上させる目的で黒鉛やカーボンブラックなどの炭素粉末をさらに併用してもよい。すなわち、成形材料(延いては不織布、更に延いては燃料電池用セパレータ)に黒鉛やカーボンブラックなどの炭素粉末が含まれていてもよい。
〈不織布〉
以下、抄造工程で得られた不織布について説明する。
不織布では、PAN系炭素繊維,ピッチ系炭素繊維およびマトリックス樹脂繊維(以下、これらをまとめて「不織布繊維」という)が混在している。「混在」とは、全体(本実施形態では不織布あるいはセパレータ10)の領域にかかわらず入り混じって存在することを意味する。なお、不織布の何れの領域においても、不織布繊維をなすPAN系炭素繊維,ピッチ系炭素繊維およびマトリックス樹脂繊維の混合比が均された状態となっていることが好ましい。
不織布が連続的に湿式抄造されれば、不織布では不織布繊維が布面に対して略平行に配向される。ここでは、不織布の布面に沿って不織布繊維が配向されている。このような配向において、不織布繊維は互いにランダムに交差している。更に言えば、抄造工程における抄速を調整するなど抄造方法を制御することにより、不織布繊維を例えば抄造方向(いわゆるマシンディレクション)などの布面に沿う方向のなかで特定の方向に配向させることも可能である。
なお、成形材料にバインダー樹脂が用いられていられれば、不織布では、バインダー樹脂が溶融して不織布繊維どうしを結合(バインド)する。
〔1−2−2−2.熱プレス工程〕
熱プレス工程では、上述の抄造工程で得られた不織布を熱プレス加工してセパレータ10を成形する。この熱プレス工程では、ひろげられた一枚の不織布のもの、一枚の不織布を折り畳んで積層した状態のもの、または、複数枚の不織布をひろげてもしくは折り畳んで積層した状態のものを熱プレス加工してもよい。不織布を積層された状態とすることで、熱プレス加工前の不織布の嵩(厚み)を確保することができる。
熱プレス加工では、熱を作用させることでマトリックス樹脂を溶融させ、圧力(プレス)を作用させることで炭素繊維の繊維間距離を縮めるとともに繊維間に溶融したマトリックス樹脂が充填される。ここでは、0.5〜100mmの厚み(不織布厚み)を有する不織布が例えば0.05〜2.0mmの厚み(セパレータ厚み,成形体厚み)のセパレータ10に熱プレス加工される。ここでいうセパレータ10の厚みは、第一面11aの底面111と第二面11bの端面113との距離を意味する。このような厚みに圧縮されたセパレータ10は、炭素繊維どうしが交絡或いは接触することにより、強度および導電性が向上する。なお、セパレータ10の厚みは、0.05mmよりも小さければセパレータ10の導電性は確保することができるものの強度を確保することができないおそれがあり、2.0mmよりも大きければセパレータ10の強度は確保することができるものの導電性を確保することができないおそれがある。
ここでは、セパレータ10に対応した形状(雌型)の金型を用いて熱プレス加工している。このため、熱プレス加工によって、不織布が導電性成形体に成形されるのはもちろん、この成形時に凹部12A,12Bがセパレータ10に形成される。なお、熱プレス加工で平板状の導電性成形体を成形し、この導電性成形体を例えば切削して凹部12A,12Bを設けることでセパレータ10を製造してもよい。
以下、セパレータ10における炭素繊維の配向について説明する。
不織布が熱プレス加工されることにより成形されたセパレータ10では、不織布において不織布繊維が布面に対して略平行に配向されることから、図2に示すように、炭素繊維(これらの一部を模式的に示す)それぞれが底面111および端面113に対して略平行に配向されている。
セパレータ10は、セパレータ10に対応した形状(雌型)の金型を用いて熱プレス加工して製造されるため、炭素繊維は、セパレータ10の形状に沿って配向される。具体的には、凹部12A,12Bの周辺においても、凹部12A,12Bの形状に沿って炭素繊維が配向される。
不織布繊維は互いにランダムに交差することから、図3に示すように積層方向から視て、セパレータ10では、炭素繊維(これらの一部を模式的に示す)それぞれが、互いにランダムに交差している。
また、不織布繊維が混在した不織布が熱プレス加工されることから、セパレータ10においても炭素繊維が混在している。ただし、ピッチ系炭素繊維のほうがPAN系炭素繊維よりも粉砕しやすい。このため、セパレータ10では、PAN系炭素繊維よりもピッチ系炭素繊維のほうが粉砕された状態にある。
次に、熱プレス加工にかかる各パラメータについて説明する。
熱プレス加工は、通常、マトリックス樹脂繊維の融点または前記マトリックス樹脂繊維のガラス転移点よりも高い温度でなされる。具体的には、マトリックス樹脂が結晶性樹脂である場合には、不織布がマトリックス樹脂繊維の融点(以下、「樹脂融点」という)よりも5℃以上高い温度で熱プレス加工されることが好ましく、樹脂融点よりも10℃以上高い温度で熱プレス加工されることがより好ましく、樹脂融点よりも15℃以上高い温度で熱プレス加工されることが更により好ましい。一方、マトリックス樹脂が非結晶性樹脂である場合には、少なくとも当該マトリックス樹脂のガラス転移点(以下、「マトリックス樹脂繊維Tg」という)よりも60℃〜170℃高い温度で不織布を熱プレス加工することが好ましく、マトリックス樹脂繊維Tgよりも80℃〜150℃高い温度で不織布を熱プレス加工することがより好ましい。これらの温度条件下で熱プレス加工を行うことにより、マトリックス樹脂繊維が溶融されるため、セパレータ10を良好に成形することができる。ここでいう樹脂融点とは、結晶性のマトリックス樹脂繊維が融解する温度を意味し、マトリックス樹脂繊維が非晶性の場合にはガラス転移点の温度をも意味する。なお、樹脂融点に対して5℃高い温度よりも低い温度で熱プレス加工されれば、あるいは、マトリックス樹脂繊維Tgに対して60℃高い温度よりも低い温度で熱プレス加工されれば、マトリックス樹脂繊維を溶融させることができず、成形性を確保することができないおそれがある。なお、熱プレスの加工時間は、その方式やその制御によって種々の時間(例えば50秒,5分)に設定することができる。
また、熱プレス加工は、所定の圧力範囲内でなされる。具体的には、不織布が8〜40MPaの範囲の圧力で熱プレス加工されることが好ましい。さらに、不織布が10〜30MPaの範囲の圧力で熱プレス加工されることがより好ましい。熱プレス加工における圧力(以下、「プレス圧力」という)が8MPaよりも小さければ、不織布が金型に十分に密着せずに成形性の低下を招くおそれがあり、また、炭素繊維の繊維間距離を十分に縮めることができず、強度や炭素繊維どうしの接点の数を確保することができないおそれがある。一方、プレス圧力が40MPaよりも大きければ、炭素繊維が粉砕されやすくなり、セパレータ10における炭素繊維の繊維長を確保することができず、また、炭素繊維どうしの接点の数を確保することができないおそれがある。これらより、不織布が8〜40MPaの範囲の圧力で熱プレス加工されることで、強度,導電性,成形性の確保されたセパレータ10を得ることができる。
[1−2−3.パラメータ]
次に、セパレータ10について、樹脂,炭素繊維,セパレータ10の順に各パラメータを説明する。なお、不織布とこれを熱プレス加工したセパレータ10とでは、質量%および質量部にかかるパラメータが同等である。質量%とは、不織布またはセパレータ10全体を100質量%としたときの比較対象とされる材料(成形材料)の質量割合を意味する。
〈樹脂〉
マトリックス樹脂は、セパレータ10の質量に対して所定割合の質量となるように配合される。具体的には、セパレータ10が、10〜70質量%のマトリックス樹脂を含有することが好ましく、20〜65質量%のマトリックス樹脂を含有することがより好ましく、40〜60質量%のマトリックス樹脂を含有することがより更に好ましい。このようなマトリックス樹脂の質量%とすることで、炭素繊維がマトリックス樹脂により結合されるとともに炭素繊維どうしの接点の数が確保され、セパレータ10において強度の確保と導電性の確保とを両立することができる。
セパレータ10のマトリックス樹脂が10質量%よりも小さければ、炭素繊維どうしを十分に結合することができず、セパレータ10の成形性,強度または導電性を確保することができないおそれがある。また、セパレータ10のマトリックス樹脂が70質量%よりも大きければ、相対的に炭素繊維が少なくなるため、セパレータ10の強度または導電性を確保することができないおそれがある。
バインダー樹脂が用いられる場合には、セパレータ10に対して1〜10質量%のバインダー樹脂を含有することが好ましい。このようなバインダー樹脂の質量%とすることで、上述した不織布における不織布繊維の結合力を確保することができ、セパレータ10の強度が寄与しうる。セパレータ10のバインダー樹脂は、2質量%よりも小さければ不織布繊維の生産効率が低下し、10質量%よりも大きければ耐薬品性のうち特に耐酸性を確保することができないおそれがある。なお、一般的には、バインダー樹脂が含有されるよりも含有されていないほうがセパレータ10の強度は向上する傾向にある。
なお、不織布またはセパレータ10は、マトリックス樹脂および上記2種の炭素繊維を少なくとも含有する不織布繊維から構成されるため、100質量%から樹脂の質量%(バインダー樹脂が用いられなければマトリックス樹脂の質量%のみ,バインダー樹脂が用いられればマトリックス樹脂の質量%とバインダー樹脂の質量%との合計)を減算した質量%が、次に説明する炭素繊維の質量%の最大含量となる。
〈炭素繊維〉
炭素繊維は、セパレータ10の質量に対して所定割合の質量となるように配合される。具体的には、セパレータ10が、30〜80質量%の炭素繊維を含有することが好ましく、45〜60質量%の炭素繊維を含有することがより好ましい。このような炭素繊維の質量%とすることで、セパレータ10において強度の確保と導電性の確保とを両立することができる。なお、セパレータ10の炭素繊維が30質量%よりも小さいまたは80質量%よりも大きければ、セパレータ10において強度の確保と導電性の確保とを両立することができないおそれがある。
以下、炭素繊維それぞれにかかるパラメータについて説明する。
〈質量比〉
PAN系炭素繊維の質量に対してピッチ系炭素繊維の質量が所定の割合となるように配合される。具体的には、PAN系炭素繊維100質量部に対して、ピッチ系炭素繊維が10〜200質量部であることが好ましく、ピッチ系炭素繊維が20〜80質量部であることがより好ましい。炭素繊維をこのような質量割合にすることで、セパレータ10において強度の確保と導電性の確保とを両立することができる。なお、PAN系炭素繊維100質量部に対して、ピッチ系炭素繊維が10質量部よりも小さいまたは200質量部よりも大きければ、セパレータ10において強度の確保と導電性の確保とを両立することができないおそれがある。
〈弾性率〉
PAN系炭素繊維の弾性率は、300GPa以下であることが好ましい。一方、ピッチ系炭素繊維の弾性率は、400GPa以上であることが好ましく、700GPa以上であることがより好ましい。このように、いわゆる高弾性率のピッチ系炭素繊維と比較的弾性率の低いPAN系炭素繊維とが用いられることで、セパレータ10において強度の確保と導電性の確保とを両立することができる。ここでいう弾性率は、引っ張り弾性率を意味する。なお、PAN系炭素繊維の弾性率が300GPaよりも大きければ熱プレス加工時に粉砕されやすくなりセパレータ10の強度を確保することができないおそれがある。なおまた、ピッチ系炭素繊維の弾性率が400GPaよりも小さければ、セパレータ10において導電性を確保することができないおそれがある。
〈繊維長〉
PAN系炭素繊維には、繊維長が3〜25mmのものを用いることが好ましい。また、ピッチ系炭素繊維には、繊維長が3〜25mmのものを用いることが好ましい。敷衍して言えば、炭素繊維の繊維長は、セパレータ10の厚み(例えば0.05〜2.0mm)よりも大きいことが好ましい。このような繊維長の炭素繊維を用いることにより、セパレータ10の形状に沿って炭素繊維をセパレータ10の面内方向に配向させやすくなる。
一般的に、セパレータ10に含まれる炭素繊維の繊維長が長いほど、強度を向上させることができ、繊維どうしの接点の数が確保されることにより導電性を向上させることができる。また、上述したように、PAN系炭素繊維はピッチ系炭素繊維よりも強度が高いものの導電性が低い傾向があり、逆に、ピッチ系炭素繊維はPAN系炭素繊維よりも導電性が高いものの強度が低い傾向にある。
このため、セパレータ10では、比較的弾性率が低い(粉砕しにくい)PAN系炭素繊維の繊維長が確保されることで、強度および導電性を確保することができる。また、比較的導電性のよいピッチ系炭素繊維によって導電性を確保することができる。さらに、PAN系炭素繊維どうしの空間に比較的導電性の高いピッチ系炭素繊維が分断されて充填されることで両炭素繊維の接点の数が確保されることにより、強度と導電性の向上が促進される。また、ピッチ系炭素繊維は、不織布では、粉砕されて粉々にならず所定の繊維長を有するので、不織布において混在することができ、領域によって炭素繊維の配合比が不均一になることを抑えることができる。
このように、繊維長が3〜25mmのPAN系炭素繊維が用いられ、また、繊維長が3〜25mmのピッチ系炭素繊維が用いられることにより、強度および導電性を確保したセパレータ10を再現性よく簡便に得ることができる。
なお、PAN系炭素繊維の繊維長が3mmよりも短ければ、セパレータ10において強度を確保することができないおそれがある。また、ピッチ系炭素繊維の繊維長が3mmよりも短ければ、ピッチ系炭素繊維がPAN系炭素繊維に絡み付きにくくなり、不織布においてピッチ系炭素繊維が偏って混在してしまうおそれがある。
なおまた、PAN系炭素繊維の繊維長が25mmよりも長ければ、あるいは、ピッチ系炭素繊維が25mmよりも長ければ、不織布を抄造する際に炭素繊維の分散性が低下し、炭素繊維どうしの絡みつきを招き、不織布の領域によって炭素繊維の配合比や密度にばらつきが発生してしまうおそれがある。これにより、セパレータ10の領域によって強度や導電性にばらつきを招き、要求される特性を満たすことができないおそれがある。
〈繊維径〉
PAN系炭素繊維には、繊維径が4〜10μmのものを用いることが好ましい。また、ピッチ系炭素繊維には、繊維径が5〜12μmのものを用いることが好ましい。
一般的に、セパレータ10に含まれる炭素繊維の繊維径が小さくなるほど、同質量あたりの数(本数)が増加、即ち、密度が高まる。これにより、セパレータ10の強度および導電性が確保される傾向にある。ただし、繊維径の小さい炭素繊維は、高コストであり、開発途上にある。よって、PAN系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維に上記した繊維径範囲のものを用いることが好ましい。
なお、PAN系炭素繊維の繊維径が4μmよりも小さい、あるいは、ピッチ系炭素繊維の繊維径が5μmよりも小さければ、セパレータ10のコスト上昇を抑制することができないおそれがある。一方、PAN系炭素繊維の繊維径が10μmよりも大きければ、あるいは、ピッチ系炭素繊維の繊維径が12μmよりも大きければ、セパレータ10の強度および導電性を確保することができないおそれがある。
〈体積固有抵抗〉
PAN系炭素繊維には、体積固有抵抗が1.5〜2.0mΩ・cmのものを用いることが好ましい。また、ピッチ系炭素繊維には、体積固有抵抗が0.1〜0.3mΩ・cmのものを用いることが好ましい。このような体積固有抵抗の範囲のものを用いることで、強度および導電性を両立したセパレータ10が再現性よく簡便に得られる傾向にある。
〈セパレータ〉
上述したように成形材料のパラメータをそれぞれ特定することで、セパレータ10の実際の密度(セパレータ密度,成形体密度)が理論密度の85%以上となることが好ましい。ここでいう理論密度とは、セパレータ10に全く空隙がないと仮定したときの密度を意味する。
また、セパレータ10の体積固有抵抗が12mΩ・cm以下であって曲げ強度が100MPa以上となるように、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維との配合比が所要のものに設定されることが好ましい。このようにして、セパレータ10において曲げ強度の確保と導電性の確保とを両立することができる。
逆に言えば、セパレータ10の体積固有抵抗が12mΩ・cmよりも大きければ導電性が確保されておらず、曲げ強度が100MPaよりも小さければ強度が確保されていない。また、セパレータ10の密度が理論密度の85%よりも小さくなるようにPAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維との配合比が所要のものに設定されていれば、セパレータ10において曲げ強度の確保と導電性の確保とを両立することができないおそれがある。
[2.作用および効果]
本発明の一実施形態にかかる燃料電池用セパレータ(導電性成形体)は、上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。
セパレータ10によれば、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とが混在しているため、導電性の確保と強度の確保とを両立することができる。その理由を次の通りである。
ピッチ系炭素繊維は、PAN系炭素繊維よりも強度が低い、即ち、粉砕しやすい(もろい)。このため、ピッチ系炭素繊維は、不織布からセパレータ10を成形する際の熱プレス加工時に分断されやすい。よって、セパレータ10には、繊維長が確保されたPAN系炭素繊維と繊維が分断あるいは粉砕されたピッチ系炭素繊維とが混在している。いわば、分断されたピッチ系炭素繊維がなす短繊維と繊維長が確保されたPAN系炭素繊維がなす長繊維とがセパレータ10に入り混じっている。
このように、セパレータ10においてPAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とが混在しているため、製造工程時に比較的に分断あるいは粉砕されにくいPAN系炭素繊維によって、セパレータ10の強度を確保することができる。また、PAN系炭素繊維がなす長繊維の間にピッチ系炭素繊維がなす短繊維が充填されることで炭素繊維どうしの接点の数が確保され、これによってもセパレータ10の強度と導電性を向上させることができる。この短繊維の充填は、セパレータ10の強度を確保するうえでも有効である。
そして、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とが混在したセパレータ10は、PAN系炭素繊維,ピッチ系炭素繊維,マトリックス樹脂繊維が混在した不織布を樹脂融点または樹脂ガラス転移点よりも高い温度で熱プレス加工することにより製造することができる。このため、導電性の確保と強度の確保とを両立するセパレータ10を再現性よく簡便に製造することができる。
ここで、炭素繊維それぞれが底面111および端面113に対して略平行に配向されていると、曲げ強度がより高められる傾向にある。特に、板状のセパレータ10を曲げる力に対する抗力を確保することができる。しかも、炭素繊維それぞれがランダムに交差していることにより、セパレータ10を曲げる力が何れの方向から作用したとしても抗力を確保することができ、特定の方向に作用する負荷に限らず、曲げ強度を確保することができる。
なお、不織布繊維が特定の方向に配向された不織布を用いて成形されたセパレータ10では、特定の方向に対応する方向への曲げ強度を向上させることができる。以下、その例を説明する。セパレータ10では、凹部12A,12Bがいわゆるリブとして機能し、凹部12A,12Bの延在方向への曲げ抗力は確保されている。例えば、面方向において凹部12A,12Bの延在方向に直交する方向に、不織布繊維の配向を対応させてセパレータ10を成形すれば、凹部12A,12Bの延在方向に直交する方向への曲げ抗力を確保することができる。
このようなセパレータ10を用いた燃料電池においても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。さらに、燃料電池の出力を向上させることができ、また、燃料電池を小型化あるいは軽量化することができる。
ところで、熱プレス加工で平板状の導電性成形体を成形し、この導電性成形体の表面を例えば切削して凹部12A,12Bを設ける場合、特に長繊維を用いる場合には、平板に沿う方向(面方向)に炭素繊維を配向させることは比較的に容易であるものの、凹部12A,12Bの周辺の形状に沿う方向に炭素繊維を配向させることは困難である。そのため、かかる成型方法によれば、導電性成形体の部位によっては、凹部12A,12Bの立面部112に対して略直交して配向されることになる。
これに対し、不織布を熱プレス加工することにより凹部12A,12Bを成形する場合には、炭素繊維は、セパレータ10の形状、具体的には凹部12A,12Bの形状に沿って、配向される。よって、この成型方法によれば、セパレータ10において応力が集中しやすい凹部12A,12Bの周辺の強度を、より一層高めることができる。
以下、本発明の実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
ここでは、下記の表1を参照して、実施例1〜3および比較例1〜3について説明する。
Figure 2016081900
なお、表1にカッコ付きで示す数値は推定値であり、「−」は数値が得られていないことを示す。
表1に示すとおり、実施例1〜3では、強度(機械的強度)については曲げ強度を測定し、導電性については体積固有抵抗(体積抵抗値)をそれぞれ測定した。曲げ強度はJIS−K7074(炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法)の3点曲げ(A法)に準拠し、体積抵抗値はJIS−K7194(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)に則り、4端子4探針法により三菱化学アナリテック社製ロレスタGP MCP-T610を用いて測定した。
実施例1〜3では、共通の成形材料を用いている。具体的には、PAN系炭素繊維として「台湾プラスチック社製チョップドカーボンファイバーCS−815 繊維径7μm,繊維長12mm」を用い、ピッチ系炭素繊維として「三菱樹脂株式会社製チョップドカーボンファイバー ダイアリードK223HE 繊維径11μm,繊維長6mm」を用いている。また、樹脂(マトリックス樹脂)として「東洋紡株式会社製PPS繊維,繊維長5mm」を用いている。この樹脂は、融点が285℃である。
また、実施例1〜3では、熱プレス加工にかかるプレス条件も共通である。具体的には、温度300℃で時間10分にわたりプレス圧力15MPaで熱プレス加工している。
なお、実施例1〜3のセパレータは、凹部が設けられていない真っ平らなものを用いている。このようなセパレータを用いたとしても、凹部12A,12Bが設けられたセパレータ10と同様の特性が示されるものと推測される。
〈実施例1〜3〉
まず、実施例1〜3について説明する。
実施例1〜3では、50〜60質量%の炭素繊維を含有(即ち40〜50質量%の樹脂を含有)し、PAN系炭素繊維100質量部に対してピッチ系炭素繊維が30〜80質量部である。このような配合比を用いることで、体積固有抵抗が10mΩ・cm以下で曲げ強度100MPa(ここでは150GPa)以上のセパレータを得ている。逆に言えば、実施例1〜3では、体積固有抵抗が10mΩ・cm以下で曲げ強度100MPa以上となるように炭素繊維の配合比が所要のものに設定されている。
実施例1および2よりも実施例3のほうが、全体に占めるピッチ系炭素繊維の配合比が高く、PAN系炭素繊維に対するピッチ系炭素繊維の割合も多い。このことから、体積固有抵抗が低い、即ち、導電性が高い。なお、実施例3では、実施例1および2に対する強度の低さも抑えられている。
〈比較例1〜3〉
次に、実施例1〜3に対する比較例1〜3について説明する。
〈比較例1〉
比較例1は、PAN系炭素繊維については実施例1〜3と共通のものを用いているが、ピッチ系炭素繊維の弾性率が低く体積固有抵抗が低いものを用いている。また、比較例1は、実施例1〜3に対して、全体に占めるピッチ系炭素繊維の配合比が高く、PAN系炭素繊維に対するピッチ系炭素繊維の割合も多い。
しかしながら、ピッチ系炭素繊維はPAN系炭素繊維よりも導電性がよい傾向にあるにもかかわらず、比較例1では、実施例1〜3に対して体積固有抵抗が高い。これは、比較例1においては、粉砕されたピッチ系炭素繊維が多く、これらを接続する繊維長の長い炭素繊維(PAN系炭素繊維)が少ないため、炭素繊維どうしの接点を確保できないからと推測することができる。
〈比較例2〉
比較例2は、成形材料としての炭素繊維にピッチ系炭素繊維のみを用いている。
この比較例2では、実施例1〜3に比較して強度が確保されていない。これは、PAN系炭素繊維よりも強度の低い傾向にあるピッチ系炭素繊維のみを用いるためと推測される。一方、比較例2では、実施例1〜3に対して体積固有抵抗が高い。これは、粉砕されたピッチ系炭素繊維どうしを接続するこれらを接続する繊維長の長い炭素繊維(PAN系炭素繊維)が混在されていないため、炭素繊維どうしの接点を確保できないためと推測される。
〈比較例3〉
比較例3は、比較例2よりもピッチ系炭素繊維の配合比を高めたものである。
この比較例3では、比較例2および実施例1〜3に対して体積固有抵抗が低い。これは、ピッチ系炭素繊維の配合比を高くすることで、粉砕されたピッチ系炭素繊維どうしの接点を増加させ、導電性を向上させているためと推測することができる。一方、比較例3では、実施例1〜3に対して強度が低い。これは、比較例2と同様に、繊維長の長い炭素繊維(PAN系炭素繊維)が混在されていないためと推測される。
〔その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した一実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、セパレータ10の第一面11aおよび第二面11bのそれぞれに凹部12A,12bが設けられたものを説明したが、セパレータの少なくとも一方に凹部が設けられていればよい。かかるセパレータを燃料電池に用いる場合には、セパレータは凹部が形成されていない面を積層方向端部に向けて配置され、この凹部の形成されていない面どうしを対向させる。この場合、セパレータを隣接するセルで兼用されないため、コストの上昇を招きうるものの、強度やメンテナンス性を向上させることができる。
また、上述の実施形態では、導電性成形体として燃料電池用セパレータを例示したが、これに限らず、平板状の電極など種々のものに導電性成形体を適用しうる。
上述の一実施形態では、燃料電池用セパレータに関する各パラメータの範囲を挙げたが、燃料電池用セパレータに限らず他の導電性成形体に関して上述した各パラメータの範囲は用いることができる。そして、この導電性成形体に関する各パラメータの範囲の作用ないし効果は、上述の燃料電池用セパレータについてのものと同様である。例えば燃料電池用セパレータには凹部が設けられるのに対し、導電性成形体には凹部が設けられるとは限らないことから、燃料電池用セパレータと導電性成形体とで同様のパラメータを用いることができるといえる。ただし、導電性成形体に関する各パラメータは、上述した各パラメータの範囲に限られるものではない。
〔付記〕
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
〈付記1〉
マトリックス樹脂と炭素繊維とを含有し板状に成形された導電性成形体であって、
前記炭素繊維が、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とからなり、
前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維とが混在している
ことを特徴とする、導電性成形体。
〈付記2〉
前記PAN系炭素繊維および前記ピッチ系炭素繊維それぞれが、板面に対して略平行に配向された
ことを特徴とする、付記1に記載の導電性成形体。
〈付記3〉
前記PAN系炭素繊維および前記ピッチ系炭素繊維それぞれが、互いにランダムに交差する
ことを特徴とする、付記2に記載の導電性成形体。
〈付記4〉
体積固有抵抗が12mΩ・cm以下で、曲げ強度が100MPa以上となるように、前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維との配合比が設定された
ことを特徴とする、付記1〜3の何れか1項に導電性成形体。
〈付記5〉
10〜70質量%の前記マトリックス樹脂を含有する
ことを特徴とする、付記1〜4の何れか1項に記載の導電性成形体。
〈付記6〉
20〜65質量%の前記マトリックス樹脂を含有する
ことを特徴とする、付記5に記載の導電性成形体。
〈付記7〉
40〜60質量%の前記マトリックス樹脂を含有する
ことを特徴とする、付記6に記載の導電性成形体。
〈付記8〉
前記マトリックス樹脂が、ポリフェニレンサルファイド樹脂,ポリフェニルサルホン樹脂およびポリプロピレン樹脂のうち少なくとも一つを含む
ことを特徴とする、付記1〜7の何れか1項に記載の導電性成形体。
〈付記9〉
30〜80質量%の前記炭素繊維を含有する
ことを特徴とする、付記1〜8の何れか1項に記載の導電性成形体。
〈付記10〉
45〜60質量%の前記炭素繊維を含有する
ことを特徴とする、付記9に記載の導電性成形体。
〈付記11〉
前記PAN系炭素繊維100質量部に対して前記ピッチ系炭素繊維が10〜200質量部である
ことを特徴とする、付記1〜10の何れか1項に記載の導電性成形体。
〈付記12〉
前記PAN系炭素繊維100質量部に対して前記ピッチ系炭素繊維が20〜80質量部である
ことを特徴とする、付記11に記載の導電性成形体。
〈付記13〉
前記ピッチ系炭素繊維の弾性率が400GPa以上である
ことを特徴とする、付記1〜12の何れか1項に記載の導電性成形体。
〈付記14〉
前記ピッチ系炭素繊維の弾性率が700GPa以上である
ことを特徴とする、付記13に記載の導電性成形体。
〈付記15〉
前記PAN系炭素繊維の弾性率が300GPa以下である
ことを特徴とする、付記1〜14の何れか1項に記載の導電性成形体。
〈付記16〉
繊維長が3〜25mmの前記PAN系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記1〜15の何れか1項に記載の導電性成形体。
〈付記17〉
繊維長が3〜25mmの前記ピッチ系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記1〜16の何れか1項に記載の導電性成形体。
〈付記18〉
繊維径が4〜10μmの前記PAN系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記1〜17の何れか1項に記載の導電性成形体。
〈付記19〉
繊維径が5〜12μmの前記ピッチ系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記1〜18の何れか1項に記載の導電性成形体。
〈付記20〉
体積固有抵抗が1.5〜2.0mΩ・cmの前記PAN系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記1〜19の何れか1項に記載の導電性成形体。
〈付記21〉
体積固有抵抗が0.1〜0.3mΩ・cmの前記ピッチ系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記1〜20の何れか1項に記載の導電性成形体。
〈付記22〉
成形体密度が理論密度の85%以上である
ことを特徴とする、付記1〜21の何れか1項に記載の導電性成形体。
〈付記23〉
成形体厚みが0.05〜2.0mmである
ことを特徴とする、付記1〜22の何れか1項に記載の導電性成形体。
〈付記24〉
燃料電池用セパレータに適用される
ことを特徴とする、導電性成形体。
〈付記25〉
マトリックス樹脂繊維と炭素繊維とを含有する導電性成形体用不織布であって、
前記炭素繊維が、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とからなり、
前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維とが混在しているとともに、
前記PAN系炭素繊維および前記ピッチ系炭素繊維それぞれが布面に対して略平行に配向された
ことを特徴とする、導電性成形体用不織布。
〈付記26〉
前記PAN系炭素繊維および前記ピッチ系炭素繊維それぞれが、互いにランダムに交差する
ことを特徴とする、付記25に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記27〉
10〜70質量%の前記マトリックス樹脂を含有する
ことを特徴とする、付記25または26に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記28〉
20〜65質量%の前記マトリックス樹脂を含有する
ことを特徴とする、付記27に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記29〉
40〜60質量%の前記マトリックス樹脂を含有する
ことを特徴とする、付記28に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記30〉
前記マトリックス樹脂が、ポリフェニレンサルファイド樹脂,ポリフェニルサルホン樹脂およびポリプロピレン樹脂のうち少なくとも一つを含む
ことを特徴とする、付記25〜30の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記31〉
30〜80質量%の前記炭素繊維を含有する
ことを特徴とする、付記25〜30の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記32〉
45〜60質量%の前記炭素繊維を含有する
ことを特徴とする、付記31に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記33〉
前記PAN系炭素繊維100質量部に対して前記ピッチ系炭素繊維が10〜200質量部である
ことを特徴とする、付記25〜32の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記34〉
前記PAN系炭素繊維100質量部に対して前記ピッチ系炭素繊維が20〜80質量部である
ことを特徴とする、付記33に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記35〉
前記ピッチ系炭素繊維の弾性率が400GPa以上である
ことを特徴とする、付記25〜34の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記36〉
前記ピッチ系炭素繊維の弾性率が700GPa以上である
ことを特徴とする、付記35に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記37〉
前記PAN系炭素繊維の弾性率が300GPa以下である
ことを特徴とする、付記25〜36の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記38〉
繊維長が3〜25mmの前記PAN系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記25〜37の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記39〉
繊維長が3〜25mmの前記ピッチ系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記25〜38の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記40〉
繊維径が4〜10μmの前記PAN系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記25〜39の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記41〉
繊維径が5〜12μmの前記ピッチ系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記25〜40の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記42〉
体積固有抵抗が1.5〜2.0mΩ・cmの前記PAN系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記25〜41の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記43〉
体積固有抵抗が0.1〜0.3mΩ・cmの前記ピッチ系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記25〜42の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記44〉
不織布厚みが2〜100mmである
ことを特徴とする、付記25〜43の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布。
〈付記45〉
PAN系炭素繊維,ピッチ系炭素繊維およびマトリックス樹脂繊維が混在している不織布を、前記マトリックス樹脂繊維の融点または前記マトリックス樹脂繊維のガラス転移点よりも高い温度で熱プレス加工することにより、板状の導電性成形体を製造する
ことを特徴とする、導電性成形体の製造方法。
〈付記46〉
前記熱プレス加工は、前記マトリックス樹脂繊維の融点よりも5℃以上高い温度でまたは前記マトリックス樹脂繊維のガラス転移点よりも60℃〜170℃高い温度でなされる
ことを特徴とする、付記45に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記47〉
前記熱プレス加工は、8〜40MPaの圧力でなされる
ことを特徴とする、付記45または46に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記48〉
前記熱プレス加工は、5分以上なされる
ことを特徴とする、付記45〜27の何れか1項に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記49〉
10〜70質量%の前記マトリックス樹脂を用いる
ことを特徴とする、付記45〜48の何れか1項に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記50〉
20〜65質量%の前記マトリックス樹脂を用いる
ことを特徴とする、付記49に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記51〉
40〜60質量%の前記マトリックス樹脂を用いる
ことを特徴とする、付記50に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記52〉
前記マトリックス樹脂が、ポリフェニレンサルファイド樹脂,ポリフェニルサルホン樹脂およびポリプロピレン樹脂のうち少なくとも一つを含む
ことを特徴とする、付記45〜51の何れか1項に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記53〉
30〜80質量%の前記炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記45〜52の何れか1項に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記54〉
45〜60質量%の前記炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記53に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記55〉
前記PAN系炭素繊維100質量部に対して前記ピッチ系炭素繊維が10〜200質量部である
ことを特徴とする、付記45〜54の何れか1項に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記56〉
前記PAN系炭素繊維100質量部に対して前記ピッチ系炭素繊維が20〜80質量部である
ことを特徴とする、付記55に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記57〉
前記ピッチ系炭素繊維の弾性率が400GPa以上である
ことを特徴とする、付記45〜56の何れか1項に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記58〉
前記ピッチ系炭素繊維の弾性率が700GPa以上である
ことを特徴とする、付記57に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記59〉
前記PAN系炭素繊維の弾性率が300GPa以下である
ことを特徴とする、付記45〜58の何れか1項に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記60〉
繊維長が3〜25mmの前記PAN系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記45〜59の何れか1項に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記61〉
繊維長が3〜25mmの前記ピッチ系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記45〜60の何れか1項に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記62〉
繊維径が4〜10μmの前記PAN系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記45〜61の何れか1項に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記63〉
繊維径が5〜12μmの前記ピッチ系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記45〜62の何れか1項に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記64〉
体積固有抵抗が1.5〜2.0mΩ・cmの前記PAN系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記45〜63の何れか1項に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記65〉
体積固有抵抗が0.1〜0.3mΩ・cmの前記ピッチ系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付45〜64の何れか1項に記載の導電性成形体の製造方法。
〈付記66〉
PAN系炭素繊維,ピッチ系炭素繊維およびマトリックス樹脂繊維を含む分散液から導電性成形体用不織布を抄造する
ことを特徴とする、導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記67〉
10〜70質量%の前記マトリックス樹脂を用いる
ことを特徴とする、付記66に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記68〉
20〜65質量%の前記マトリックス樹脂を用いる
ことを特徴とする、付記67に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記69〉
40〜60質量%の前記マトリックス樹脂を用いる
ことを特徴とする、付記68に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記70〉
前記マトリックス樹脂が、ポリフェニレンサルファイド樹脂,ポリフェニルサルホン樹脂およびポリプロピレン樹脂のうち少なくとも一つを含む
ことを特徴とする、付記66〜69の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記71〉
30〜80質量%の前記炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記66〜70の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記72〉
45〜60質量%の前記炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記71に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記73〉
前記PAN系炭素繊維100質量部に対して前記ピッチ系炭素繊維が10〜200質量部である
ことを特徴とする、付記66〜72の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記74〉
前記PAN系炭素繊維100質量部に対して前記ピッチ系炭素繊維が20〜80質量部である
ことを特徴とする、付記73に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記75〉
前記ピッチ系炭素繊維の弾性率が400GPa以上である
ことを特徴とする、付記66〜74の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記76〉
前記ピッチ系炭素繊維の弾性率が700GPa以上である
ことを特徴とする、付記75に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記77〉
前記PAN系炭素繊維の弾性率が300GPa以下である
ことを特徴とする、付記66〜76の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記78〉
繊維長が3〜25mmの前記PAN系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記66〜77の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記79〉
繊維長が3〜25mmの前記ピッチ系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記66〜78の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記80〉
繊維径が4〜10μmの前記PAN系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記66〜79の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記81〉
繊維径が5〜12μmの前記ピッチ系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記66〜80の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記82〉
体積固有抵抗が1.5〜2.0mΩ・cmの前記PAN系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記66〜81の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
〈付記83〉
体積固有抵抗が0.1〜0.3mΩ・cmの前記ピッチ系炭素繊維を用いる
ことを特徴とする、付記66〜82の何れか1項に記載の導電性成形体用不織布の抄造方法。
1 燃料電池
1A,1B,1C セル
10(10A,10B) セパレータ(燃料電池用セパレータ,導電性成形体)
11a 第一面(一方の面)
110 基準面(板面)
111 底面(セパレータ面)
112 立壁面
113 端面(セパレータ面)
11b 第二面(他方の面)
12A 第一凹部
12B 第二凹部
20 MEA(膜電極接合体)
21 電解質
22A,22B 電極
22a,22b 触媒

Claims (22)

  1. マトリックス樹脂と炭素繊維とを含有し、少なくとも一方の面にガス流通用の凹部が設けられる燃料電池用セパレータであって、
    前記炭素繊維が、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とからなり、
    前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維とが混在している
    ことを特徴とする、燃料電池用セパレータ。
  2. 前記PAN系炭素繊維および前記ピッチ系炭素繊維それぞれが、前記凹部の立壁面と交差するセパレータ面に対して略平行に配向された
    ことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。
  3. 前記PAN系炭素繊維および前記ピッチ系炭素繊維それぞれが、互いにランダムに交差する
    ことを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池用セパレータ。
  4. 体積固有抵抗が12mΩ・cm以下で、曲げ強度が100MPa以上となるように、前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維との配合比が設定された
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に燃料電池用セパレータ。
  5. 前記マトリックス樹脂が、ポリフェニレンサルファイド樹脂,ポリフェニルサルホン樹脂およびポリプロピレン樹脂のうち少なくとも一つを含む
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
  6. 前記PAN系炭素繊維100質量部に対して前記ピッチ系炭素繊維が10〜200質量部である
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
  7. 前記ピッチ系炭素繊維の弾性率が400GPa以上である
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
  8. 前記PAN系炭素繊維の弾性率が300GPa以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
  9. 体積固有抵抗が1.5〜2.0mΩ・cmの前記PAN系炭素繊維を用いる
    ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
  10. 体積固有抵抗が0.1〜0.3mΩ・cmの前記ピッチ系炭素繊維を用いる
    ことを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
  11. セパレータ密度が理論密度の85%以上である
    ことを特徴とする、請求項1〜10の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
  12. セパレータ厚みが0.05〜2.0mmである
    ことを特徴とする、請求項1〜11の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
  13. 請求項1〜12の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータを備えた
    ことを特徴とする、燃料電池。
  14. マトリックス樹脂と炭素繊維とを含有し板状に成形された導電性成形体であって、
    前記炭素繊維が、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とからなり、
    前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維とが混在するとともに、
    前記PAN系炭素繊維および前記ピッチ系炭素繊維それぞれが板状の面に対して略平行に配向された
    ことを特徴とする、導電性成形体。
  15. マトリックス樹脂と炭素繊維とを含有し板状に成形された導電性成形体であって、
    前記炭素繊維が、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とからなり、
    前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維とが混在するとともに、
    体積固有抵抗が12mΩ・cm以下で、曲げ強度が100MPa以上となるように、前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維との配合比が設定された
    ことを特徴とする、導電性成形体。
  16. マトリックス樹脂繊維と炭素繊維とを含有する導電性成形体用不織布であって、
    前記炭素繊維が、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とからなり、
    前記PAN系炭素繊維と前記ピッチ系炭素繊維とが混在するとともに、
    前記PAN系炭素繊維および前記ピッチ系炭素繊維それぞれが布面に対して略平行に配向された
    ことを特徴とする、導電性成形体用不織布。
  17. PAN系炭素繊維,ピッチ系炭素繊維およびマトリックス樹脂繊維が混在している不織布を、前記マトリックス樹脂繊維の融点または前記マトリックス樹脂繊維のガラス転移点よりも高い温度で熱プレス加工することにより、燃料電池用セパレータを製造する
    ことを特徴とする、燃料電池用セパレータの製造方法。
  18. 前記熱プレス加工は、前記マトリックス樹脂繊維の融点よりも5℃以上高い温度でまたは前記マトリックス樹脂繊維のガラス転移点よりも60℃〜170℃高い温度でなされる
    ことを特徴とする、請求項17に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  19. 前記熱プレス加工は、8〜40Mpaの圧力でなされる
    ことを特徴とする、請求項17または18に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  20. 前記不織布を前記熱プレス加工することにより、少なくとも一方の面にガス流通用の凹部が成形される
    ことを特徴とする、請求項17〜19の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  21. PAN系炭素繊維,ピッチ系炭素繊維およびマトリックス樹脂繊維が混在している不織布を、前記マトリックス樹脂繊維の融点または前記マトリックス樹脂繊維のガラス転移点よりも高い温度で熱プレス加工することにより、板状の導電性成形体を製造する
    ことを特徴とする、導電性成形体の製造方法。
  22. PAN系炭素繊維,ピッチ系炭素繊維およびマトリックス樹脂繊維を含む分散液から導電性成形体用不織布を抄造する
    ことを特徴とする、導電性成形体用不織布の抄造方法。
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