JP2016078336A - 液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法、及び、液体吐出装置の制御プログラム - Google Patents

液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法、及び、液体吐出装置の制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】液体吐出装置の構成の複雑化を回避しつつインクの着弾位置のばらつきを低減させる。
【解決手段】第1の駆動信号により駆動され液体を吐出する第1の吐出部と、第2の駆動信号により駆動され液体を吐出する第2の吐出部と、複数の波形を有する共通駆動波形信号、当該複数の波形から第1の吐出部に供給すべき波形を指定する第1の指定信号、及び、当該複数の波形から第2の吐出部を供給すべき波形を指定する第2の指定信号を生成する信号生成部と、第1の指定信号及び共通駆動波形信号に基づき第1の駆動信号を生成し第1の吐出部を駆動する第1の駆動部と、第2の指定信号及び共通駆動波形信号に基づき第2の駆動信号を生成し第2の吐出部を駆動する第2の駆動部と、を備え、信号生成部は、第1の吐出部が吐出する液体及び第2の吐出部が吐出する液体が略同じタイミングで媒体に着弾するように第1の及び第2の指定信号を生成する液体吐出装置。
【選択図】図11

Description

本発明は、液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法、及び、液体吐出装置の制御プログラムに関する。
近年、記録ヘッドから液体状のインクを記録紙等の記録媒体に対して吐出することで、記録媒体上に画像を形成するインクジェットプリンター等、記録ヘッドから液体を吐出する液体吐出装置が各種提案されている。
液体吐出装置が備える記録ヘッドは、通常、液体を吐出する吐出部を備える。そして、駆動波形信号により波形が定められる駆動信号により吐出部が駆動されることで、吐出部から液体が吐出される。
ところで、液体吐出装置が、複数の記録ヘッドを備える場合がある。液体吐出装置が複数の記録ヘッドを備える場合、製造誤差や経年劣化等に起因して、複数の記録ヘッドの間で、吐出部からのインクの吐出速度にばらつきが生じることがある。吐出部からのインクの吐出速度のばらつきが存在する場合、吐出部から吐出されたインクの記録媒体における着弾位置もばらつくため、記録媒体に形成される画像の画質の劣化を招く。
このような、インクの吐出速度のばらつきに起因した画質の劣化を防止するために、記録ヘッド毎に、異なる波形を有する駆動波形信号を供給することで、記録ヘッド毎にインクの吐出タイミングを調整し、これによって、インクの着弾位置のばらつきを低減させる技術が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特開2012−000834号公報 特開2014−042995号公報
ところで、記録ヘッド毎に異なる波形の駆動波形信号を供給する場合、当該信号を供給するための配線数が増加し、また、駆動波形信号を生成するための機能が複雑化する、等の問題が生じる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、液体吐出装置の構成の複雑化を回避しつつ、インクの着弾位置のばらつきを低減させることを可能とする技術を提供することを、解決課題の一つとする。
以上の課題を解決するために、本発明に係る液体吐出装置は、吐出部から媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、前記媒体を搬送する搬送機構と、第1の駆動信号により駆動されて液体を吐出する第1の吐出部と、第2の駆動信号により駆動されて液体を吐出する第2の吐出部と、複数の波形を有する共通駆動波形信号、前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第1の吐出部に供給すべき波形を指定する第1の指定信号、及び、前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第2の吐出部を供給すべき波形を指定する第2の指定信号を生成する信号生成部と、前記第1の指定信号の指定に基づいて前記共通駆動波形信号から前記第1の駆動信号を生成し、生成した前記第1の駆動信号を前記第1の吐出部に供給することで前記第1の吐出部を駆動する第1の駆動部と、前記第2の指定信号の指定に基づいて前記共通駆動波形信号から前記第2の駆動信号を生成し、生成した前記第2の駆動信号を前記第2の吐出部に供給することで前記第2の吐出部を駆動する第2の駆動部と、を備え、前記信号生成部は、前記第1の吐出部が前記第1の駆動信号により駆動された場合に、前記第1の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、前記第2の吐出部が前記第2の駆動信号により駆動された場合に、前記第2の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、が略同じとなるように、前記第1の指定信号及び、前記第1の指定信号とは異なる前記第2の指定信号を生成する、ことを特徴とする。
この発明によれば、信号生成部は、第1の吐出部を駆動する第1の駆動部と、第2の吐出部を駆動する第2の駆動部と、に対して、共通駆動波形信号を共通に供給するため、第1の駆動部及び第2の駆動部に、個別に駆動波形信号を供給する場合と比較して、駆動波形信号を生成するための機能を簡素化でき、また、駆動波形信号を第1及び第2の駆動部に供給するための配線数を少なくすることができる。
また、この発明によれば、第1の指定信号及び第2の指定信号により、第1の駆動部を駆動するための第1の駆動信号の波形と、第2の駆動部を駆動するための第2の駆動信号の波形と、を個別に調整とすることで、第1の吐出部から吐出された液体の媒体への着弾タイミングと、第2の吐出部から吐出された液体の媒体への着弾タイミングと、を略同じとするように制御することができるため、着弾位置のずれによる画質の劣化を小さく抑えることができる。
また、本発明に係る液体吐出装置は、吐出部から媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、前記媒体を搬送する搬送機構と、第1の駆動信号により駆動されて液体を吐出する第1の吐出部と、第2の駆動信号により駆動されて液体を吐出する第2の吐出部と、複数の波形を有する共通駆動波形信号、前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第1の吐出部に供給すべき波形を指定する第1の指定信号、及び、前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第2の吐出部に供給すべき波形を指定する第2の指定信号を生成する信号生成部と、前記第1の指定信号の指定に基づいて前記共通駆動波形信号から前記第1の駆動信号を生成し、生成した前記第1の駆動信号を前記第1の吐出部に供給することで前記第1の吐出部を駆動する第1の駆動部と、前記第2の指定信号の指定に基づいて前記共通駆動波形信号から前記第2の駆動信号を生成し、生成した前記第2の駆動信号を前記第2の吐出部に供給することで前記第2の吐出部を駆動する第2の駆動部と、を備え、前記信号生成部は、前記第1の吐出部が前記第1の駆動信号により駆動された場合に、前記第1の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、前記第2の吐出部が前記第2の駆動信号により駆動された場合に、前記第2の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、の時間的な間隔が、前記搬送機構による前記媒体の搬送速度に応じた間隔となるように、前記第1の指定信号及び、前記第1の指定信号とは異なる前記第2の指定信号を生成する、ことを特徴とする。
この発明によれば、第1の吐出部から吐出された液体の媒体への着弾タイミングと、第2の吐出部から吐出された液体の媒体への着弾タイミングと、の間隔を、媒体の搬送速度に応じた間隔となるように制御することができるため、着弾位置のずれによる画質の劣化を小さく抑え、媒体上に画像を正確に形成することができる。
また、上述した液体吐出装置において、前記信号生成部は、前記第1の吐出部が前記第1の駆動信号により駆動された場合に、前記第1の吐出部から吐出される液体量と、前記第2の吐出部が前記第2の駆動信号により駆動された場合に、前記第2の吐出部から吐出される液体量と、が略同じとなるように、前記共通駆動波形信号、前記第1の指定信号、及び、前記第2の指定信号を生成する、ことを特徴とすることが好ましい。
この態様によれば、第1の吐出部から吐出される液体の量と、第2の吐出部から吐出される液体の量と、を略同じとするように制御することができるため、吐出部から吐出される液体量のばらつきを小さく抑え、媒体上に形成される画像の画質の劣化を小さく抑えることができる。
また、上述した液体吐出装置は、前記第1の吐出部及び前記第2の吐出部を含む複数の吐出部を具備するヘッドユニットを備え、前記搬送機構は、前記媒体を第1方向に搬送し、前記複数の吐出部は、前記ヘッドユニットのうち、前記第1の方向と交差する第2方向に延在する吐出部形成領域に設けられる、ことを特徴とすることが好ましい。
一般的にラインプリンターは、シリアルプリンターに比べて、吐出部に対する媒体の相対的な移動速度が速い。このため、吐出部からの液体の吐出速度のばらつきが、媒体上の液体の着弾位置のばらつきとして顕在化し、媒体上に形成される画像の画質の劣化を招く可能性が高い。
これに対して、本態様によれば、第1の指定信号及び第2の指定信号により、第1の駆動部を駆動するための第1の駆動信号の波形と、第2の駆動部を駆動するための第2の駆動信号の波形と、を個別に調整とすることで、第1の吐出部から吐出された液体の媒体への着弾タイミングと、第2の吐出部から吐出された液体の媒体への着弾タイミングと、を制御するため、着弾位置のずれによる画質の劣化を小さく抑えることができる。
また、上述した液体吐出装置は、前記吐出部の製造履歴及び使用履歴のうち少なくとも一方を示す識別情報を記憶する記憶部を備え、前記信号生成部は、前記識別情報に基づいて、前記第1の指定信号及び前記第2の指定信号を生成する、ことを特徴とすることが好ましい。
製造誤差や、経時劣化等に起因して、複数の吐出部の間で、吐出部からの液体の吐出速度や、液体の吐出量等の吐出特性がばらつくことがある。この場合、媒体上に形成される画像の画質の劣化を招く可能性が高い。
これに対して、本態様によれば、吐出部の識別情報に基づいて、第1の指定信号及び第2の指定信号を生成することで、第1の駆動部を駆動するための第1の駆動信号の波形と、第2の駆動部を駆動するための第2の駆動信号の波形と、を個別に調整とするため、着弾位置のずれによる画質の劣化を小さく抑えることができる。
また、上述した液体吐出装置において、前記信号生成部は、前記第1の駆動信号が前記第1の吐出部に供給され且つ前記第2の駆動信号が前記第2の吐出部に供給される期間である単位期間を規定するための単位期間規定信号を生成し、前記第1の駆動部は、前記単位期間規定信号に基づいて、前記単位期間に前記第1の駆動信号を前記第1の吐出部に供給し、前記第2の駆動部は、前記単位期間規定信号に基づいて、前記単位期間に前記第2の駆動信号を前記第2の吐出部に供給する、ことを特徴とすることが好ましい。
この態様によれば、第1の駆動部及び第2の駆動部に対して、単位期間規定信号が共通に供給される。このため、第1の駆動部及び第2の駆動部に対して、単位期間規定信号が別個に供給される場合と比較して、単位期間規定信号を生成するための機能を簡素化でき、また、単位期間規定信号を第1及び第2の駆動部に供給するための配線数を少なくすることができる。
また、上述した液体吐出装置において、前記信号生成部は、共通クロック信号を生成し、前記共通クロック信号に同期させて前記第1の指定信号を前記第1の駆動部に供給し、前記共通クロック信号に同期させて前記第2の指定信号を前記第2の駆動部に供給する、ことを特徴とすることが好ましい。
この態様によれば、第1の駆動部及び第2の駆動部に対して、共通クロック信号が共通に供給される。このため、第1の駆動部及び第2の駆動部に対して、クロック信号が別個に供給される場合と比較して、クロック信号を生成するための機能を簡素化でき、また、クロック信号を第1及び第2の駆動部に供給するための配線数を少なくすることができる。
また、本発明に係る液体吐出装置の制御方法は、第1の駆動信号により駆動されて液体を媒体に対して吐出する第1の吐出部と、第2の駆動信号により駆動されて液体を前記媒体に対して吐出する第2の吐出部と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、複数の波形を有する共通駆動波形信号、前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第1の吐出部に供給すべき波形を指定する第1の指定信号、及び、前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第2の吐出部に供給すべき波形を指定する第2の指定信号を生成し、前記第1の指定信号の指定に基づき前記共通駆動波形信号から前記第1の駆動信号を生成し、生成した前記第1の駆動信号を前記第1の吐出部に供給して前記第1の吐出部を駆動し、前記第2の指定信号の指定に基づき前記共通駆動波形信号から前記第2の駆動信号を生成し、生成した前記第2の駆動信号を前記第2の吐出部に供給して前記第2の吐出部を駆動し、前記第1の吐出部が前記第1の駆動信号により駆動された場合に、前記第1の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、前記第2の吐出部が前記第2の駆動信号により駆動された場合に、前記第2の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、が略同じとなるように、前記第1の指定信号及び、前記第1の指定信号とは異なる前記第2の指定信号を生成する、ことを特徴とする。
この発明によれば、第1の指定信号及び第2の指定信号により、第1の駆動部を駆動するための第1の駆動信号の波形と、第2の駆動部を駆動するための第2の駆動信号の波形と、を個別に調整とすることで、第1の吐出部から吐出された液体の媒体への着弾タイミングと、第2の吐出部から吐出された液体の媒体への着弾タイミングと、を略同じとするように制御することができるため、着弾位置のずれによる画質の劣化を小さく抑えることができる。
また、本発明に係る液体吐出装置の制御プログラムは、第1の駆動信号により駆動されて液体を媒体に対して吐出する第1の吐出部と、第2の駆動信号により駆動されて液体を前記媒体に対して吐出する第2の吐出部と、前記第1の駆動信号を生成し、生成した前記第1の駆動信号を前記第1の吐出部に供給することで前記第1の吐出部を駆動する第1の駆動部と、前記第2の駆動信号を生成し、生成した前記第2の駆動信号を前記第2の吐出部に供給することで前記第2の吐出部を駆動する第2の駆動部と、コンピュータと、を備える液体吐出装置の制御プログラムであって、前記コンピュータを、複数の波形を有する共通駆動波形信号、前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第1の吐出部に供給すべき波形を指定する第1の指定信号、及び、前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第2の吐出部に供給すべき波形を指定する第2の指定信号を生成する信号生成部と、して機能させ、前記第1の駆動部は、前記第1の指定信号の指定に基づいて前記共通駆動波形信号から前記第1の駆動信号を生成し、前記第2の駆動部は、前記第2の指定信号の指定に基づいて前記共通駆動波形信号から前記第2の駆動信号を生成し、前記信号生成部は、前記第1の吐出部が前記第1の駆動信号により駆動された場合に、前記第1の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、前記第2の吐出部が前記第2の駆動信号により駆動された場合に、前記第2の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、が略同じとなるように、前記第1の指定信号及び、前記第1の指定信号とは異なる前記第2の指定信号を生成する、ことを特徴とする。
この発明によれば、第1の指定信号及び第2の指定信号により、第1の駆動部を駆動するための第1の駆動信号の波形と、第2の駆動部を駆動するための第2の駆動信号の波形と、を個別に調整とすることで、第1の吐出部から吐出された液体の媒体への着弾タイミングと、第2の吐出部から吐出された液体の媒体への着弾タイミングと、を略同じとするように制御することができるため、着弾位置のずれによる画質の劣化を小さく抑えることができる。
本発明に係るインクジェットプリンター1の構成を示すブロック図である。 インクジェットプリンター1の概略的な断面図である。 記録ヘッドHDの概略的な断面図である。 駆動信号Vinの供給時における吐出部Dの動作を説明するための説明図である。 ヘッド部5におけるノズルNの配置例を示す平面図である。 ヘッドドライバーDRの構成を示すブロック図である。 パルス選択パターン信号SPの内容を示す説明図である。 パルス選択パターン信号SP及び選択信号Selの内容を示す説明図である。 駆動波形信号Comの波形を表すタイミングチャートである。 吐出部Dから吐出されるインクの着弾位置を説明するための説明図である。 吐出部Dから吐出されるインクの着弾位置を説明するための説明図である。 変形例3に係る駆動波形信号Comの波形を表すタイミングチャートである。 変形例7に係る目標着弾位置を説明するための説明図である。 変形例7に係る目標着弾位置を説明するための説明図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<A.実施形態>
本実施形態では、液体吐出装置として、インク(「液体」の一例)を吐出して記録媒体Pに画像を形成するインクジェットプリンターを例示して説明する。
<1.インクジェットプリンターの構成>
以下、図1及び図2を参照しつつ、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成について説明する。
図1は、インクジェットプリンター1の構成を示す機能ブロック図である。インクジェットプリンター1は、パーソナルコンピューターやデジタルカメラ等のホストコンピューター(図示省略)から、インクジェットプリンター1において形成(印刷)すべき画像を示す印刷データImgが供給されると、当該印刷データImgの示す画像を記録媒体Pに形成する印刷処理を実行する。なお、本実施形態では、インクジェットプリンター1がラインプリンターである場合を例示して説明する。
図1に示すように、インクジェットプリンター1は、インクを吐出する吐出部Dを具備するヘッドユニットHUが設けられたヘッド部5と、ヘッド部5に対する記録媒体Pの相対位置を変化させるための搬送機構7と、インクジェットプリンター1の制御プログラムやその他の各種情報を記憶する記憶部62と、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御する制御部6と、を備える。
図2は、インクジェットプリンター1の内部構成の概略を示す断面図である。
図2に示すように、インクジェットプリンター1は、ヘッド部5を搭載するキャリッジ32を備える。キャリッジ32には、ヘッド部5の他に、4個のインクカートリッジ31が搭載されている。
4個のインクカートリッジ31は、ブラック(BK)、シアン(CY)、マゼンタ(MG)、及び、イエロー(YL)の、4色(CMYK)と1対1に対応して設けられたものであり、各インクカートリッジ31には、当該インクカートリッジ31に対応する色のインクが充填されている。なお、各インクカートリッジ31は、キャリッジ32に搭載される代わりに、インクジェットプリンター1の別の場所に設けられるものであってもよい。
図1に示すように、搬送機構7は、記録媒体Pを搬送するための駆動源となる搬送モーター71と、搬送モーター71を駆動するためのモータードライバー72と、を備える。
また、搬送機構7は、図2に示すように、キャリッジ32の下側(図2において−Z方向)に設けられるプラテン74と、搬送モーター71の作動により回転する搬送ローラー73と、図2においてY軸回りに回転自在に設けられたガイドローラー75と、記録媒体Pをロール状に巻き取った状態で収納するための収納部76と、を備える。
搬送機構7は、インクジェットプリンター1が印刷処理を実行する場合に、記録媒体Pを、収納部76から繰り出して、ガイドローラー75、プラテン74、及び、搬送ローラー73により規定される搬送経路に沿って、図において+X方向(上流側から下流側へ向かう方向)に対して搬送速度Mvで搬送する。なお、+X方向は、「第1方向」の一例である。
記憶部62は、ホストコンピューターから供給される印刷データImgを格納する不揮発性半導体メモリーの一種であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)と、印刷処理等の各種処理を実行する際に必要なデータを一時的に格納し、あるいは印刷処理等の各種処理が実行されるようにインクジェットプリンター1の各部を制御するための制御プログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)と、制御プログラムを格納する不揮発性半導体メモリーの一種であるPROMと、を備える。
なお、記憶部62は、上述した制御プログラム等の他に、ヘッドユニットHUの識別情報を記憶している。ヘッドユニットHUの識別情報は、製造履歴及び使用履歴を含む情報である。
詳細は後述するが、ヘッドユニットHUの製造履歴とは、ヘッドユニットHUの製造時期、製造場所、及び、ヘッドユニットHUの製造時における動作テストの結果を含む情報である。また、ヘッドユニットHUの動作テストとは、ヘッドユニットHUに設けられた吐出部Dからのインクの吐出速度やインクの吐出量等の、ヘッドユニットHUにおけるインクの吐出特性を示すデータを得るための試験である。
また、ヘッドユニットHUの使用履歴とは、ヘッドユニットHUの使用期間、ヘッドユニットHUが印刷処理の実行の用に供した回数、及び、ヘッドユニットHUに設けられた吐出部Dからのインクの吐出回数を含む情報である。
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(field-programmable gate array)等を含んで構成され、当該CPU等が記憶部62に記憶されている制御プログラムに従って動作することで、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御する。
制御部6は、ホストコンピューターから供給される印刷データImg等に基づいて、ヘッド部5及び搬送機構7を制御することにより、記録媒体Pに印刷データImgに応じた画像を形成する印刷処理の実行を制御する。
具体的には、制御部6は、まず、ホストコンピューターから供給される印刷データImgを記憶部62に格納する。次に、制御部6は、印刷データImg等の記憶部62に格納されている各種データに基づいて、ヘッド部5の動作を制御して吐出部Dを駆動させるための各種信号を生成する。また、制御部6は、印刷データImg等の記憶部62に格納されている各種データに基づいて、モータードライバー72の動作を制御するための信号を生成し、これら生成した各種信号を出力する。
そして、制御部6は、モータードライバー72の制御を介して、記録媒体Pを+X方向に搬送するように搬送モーター71を駆動し、また、ヘッド部5の制御を介して、吐出部Dからのインクの吐出の有無、インクの吐出量、及び、インクの吐出タイミング等を制御する。これにより、制御部6は、記録媒体Pに吐出されたインクにより形成されるドットサイズ及びドット配置を調整し、印刷データImgに対応する画像を記録媒体Pに形成する印刷処理の実行を制御する。
図1に示すように、ヘッド部5は、Q個のヘッドユニットHU(HU[1]〜HU[Q])を備える(Qは、2以上の自然数)。q番目のヘッドユニットHU[q]は、ヘッドドライバーDR[q](「駆動部」の一例)と記録ヘッドHD[q]とを備える(qは、1≦q≦Qを満たす自然数)。記録ヘッドHD[q]は、M個の吐出部Dを備える。
以下では、記録ヘッドHD[q]に設けられるM個の吐出部Dの各々を区別するために、順番に、1段、2段、…、M段と称することがある。また、以下では、記録ヘッドHD[q]に設けられる吐出部Dのうちm段の吐出部Dを、吐出部D[q][m]と表現する場合がある(変数mは、1≦m≦Mを満たす自然数)。
上述のとおり制御部6は、印刷データImg等の記憶部62に格納されている各種データに基づいて、ヘッド部5の動作を制御して吐出部Dを駆動させるための各種信号を生成する。
具体的には、図1に示すように、制御部6は、Q個のヘッドユニットHU[1]〜HU[Q]に対して、共通に、駆動波形信号Com(「共通駆動波形信号」の一例)、クロック信号CL(「共通クロック信号」の一例)、チェンジ信号CH、及び、ラッチ信号LAT(「単位期間規定信号」の一例)を供給する。また、制御部6は、Q個のヘッドユニットHU[1]〜HU[Q]のそれぞれに対して、個別に、印刷信号SI、及び、パルス選択パターン信号SPを供給する。以下、制御部6が、ヘッドユニットHU[q]に供給する印刷信号SIを符号SI[q]で表し、ヘッドユニットHU[q]に供給するパルス選択パターン信号SPを符号SP[q]で表す。
なお、詳細は後述するが、駆動波形信号Comとは、吐出部Dを駆動するための複数の波形を有するアナログの信号である。例えば、制御部6は、図示省略したDA変換回路を含み、制御部6が備えるCPU等が生成するデジタルの駆動波形信号を、アナログの駆動波形信号Comに変換したうえで、出力する。
また、印刷信号SI[q]は、吐出部D[q][1]〜D[q][M]に1対1に対応する印刷信号SI[q][1]〜SI[q][M]を含む。印刷信号SI[q][m]は、吐出部D[q][m]から吐出すべきインク量を指定する信号である。
また、パルス選択パターン信号SP[q]は、印刷信号SI[q]により、吐出部D[q][1]〜D[q][M]からのインクの吐出量が指定された場合において、駆動波形信号Comの有する複数の波形の中から、吐出部D[q][1]〜D[q][M]に対して供給すべき波形を指定するための信号である。すなわち、吐出部D[q][m]に対して供給される駆動波形信号Comの波形は、印刷信号SI[q][m]及びパルス選択パターン信号SP[q]により定められる。
以下では、印刷信号SI及びパルス選択パターン信号SPを、「指定信号」と総称する場合がある。
上述のとおり、ヘッドユニットHU[q]は、ヘッドドライバーDR[q]と、記録ヘッドHD[q]と、を備える。
ヘッドドライバーDR[q]は、制御部6から供給される駆動波形信号Com、印刷信号SI[q]、及び、パルス選択パターン信号SP[q]等の各種信号に基づいて、記録ヘッドHD[q]が備える吐出部D[q][1]〜D[q][M]のそれぞれを駆動するための駆動信号Vinを生成する。以下、ヘッドドライバーDR[q]が生成する駆動信号Vinのうち、吐出部D[q][m]を駆動するための駆動信号Vinを符号Vin[q][m]で表現する場合がある。
<2.記録ヘッドの構成>
図3及び図4を参照しつつ、記録ヘッドHD[q]と、記録ヘッドHD[q]に設けられる吐出部Dと、について説明する。
図3は、記録ヘッドHD[q]の、概略的な一部断面図の一例である。なお、この図では、図示の都合上、記録ヘッドHD[q]のうち、当該記録ヘッドHD[q]が有するM個の吐出部D[q][1]〜D[q][M]の中の1個の吐出部Dと、当該1個の吐出部Dにインク供給口360を介して連通するリザーバ350と、インクカートリッジ31からリザーバ350にインクを供給するためのインク取り入れ口370と、を示している。
図3に示すように、吐出部Dは、圧電素子300と、内部にインクが充填されたキャビティ320と、キャビティ320に連通するノズルNと、振動板310と、を備える。吐出部Dは、圧電素子300が駆動信号Vinにより駆動されることにより、キャビティ320内のインクをノズルNから吐出させる。吐出部Dのキャビティ320は、凹部を有するような所定の形状に成形されたキャビティプレート340と、ノズルNが形成されたノズルプレート330と、振動板310と、により区画される空間である。キャビティ320は、インク供給口360を介してリザーバ350と連通している。リザーバ350は、インク取り入れ口370を介して1個のインクカートリッジ31と連通している。
本実施形態では、圧電素子300として、例えば、図3に示すようなユニモルフ(モノモルフ)型を採用する。なお、圧電素子300は、ユニモルフ型に限らず、バイモルフ型や積層型など、圧電素子300を変形させてインク等の液体を吐出させることができるものであれば良い。
圧電素子300は、下部電極301と、上部電極302と、下部電極301及び上部電極302の間に設けられた圧電体303と、を有する。そして、下部電極301の電位が所定の基準電位VSSに設定され、上部電極302に駆動信号Vinが供給されることで、下部電極301及び上部電極302の間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子300が図において上下方向に撓み(変位し)、その結果、圧電素子300が振動する。
キャビティプレート340の上面開口部には、振動板310が設置され、振動板310には、下部電極301が接合されている。このため、圧電素子300が駆動信号Vinにより振動すると、振動板310も振動する。そして、振動板310の振動によりキャビティ320の容積(キャビティ320内の圧力)が変化し、キャビティ320内に充填されたインクがノズルNより吐出される。インクの吐出によりキャビティ320内のインクが減少した場合、リザーバ350からインクが供給される。また、リザーバ350へは、インクカートリッジ31からインク取り入れ口370を介してインクが供給される。
図4は、吐出部Dからのインク吐出動作を説明するための説明図である。
図4(a)に示す状態において、吐出部Dが備える圧電素子300に対してヘッドドライバーDRから駆動信号Vinが供給されると、当該圧電素子300において、電極間に印加された電界に応じた歪が発生し、当該吐出部Dの振動板310は図において上方向へ撓む。これにより、図4(a)に示す初期状態と比較して、図4(b)に示すように、当該吐出部Dのキャビティ320の容積が拡大する。図4(b)に示す状態において、駆動信号Vinの示す電位を変化させると、振動板310は、その弾性復元力によって復元し、初期状態における振動板310の位置を越えて図において下方向に移動し、図4(c)に示すようにキャビティ320の容積が急激に収縮する。このときキャビティ320内に発生する圧縮圧力により、キャビティ320を満たすインクの一部が、このキャビティ320に連通しているノズルNからインク滴として吐出される。
図5は、+Z方向または−Z方向からインクジェットプリンター1を平面視した場合の、ヘッド部5に設けられたQ個の記録ヘッドHD[1]〜HD[Q]が具備する(Q×M)個の吐出部Dと1対1に対応する(Q×M)個のノズルNの配置の一例を説明するための説明図である。
なお、この図では、ヘッド部5に5個のヘッドユニットHU[1]〜HU[5]を備える場合、つまり、Q=5の場合を例示している。
図5に示すように、各記録ヘッドHD[q]には、複数のノズルNからなるノズル列Ln-BKと、複数のノズルNからなるノズル列Ln-CYと、複数のノズルNからなるノズル列Ln-MGと、複数のノズルNからなるノズル列Ln-YLと、からなる4列のノズル列Lnが設けられている。なお、ノズル列Ln-BKに属するノズルNは、ブラック(BK)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-CYに属するノズルNは、シアン(CY)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-MGに属するノズルNは、マゼンタ(MG)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNであり、ノズル列Ln-YLに属するノズルNは、イエロー(YL)のインクを吐出する吐出部Dに設けられたノズルNである。また、4列のノズル列Lnの各々は、平面視したときに、+Y方向または−Y方向(「第2方向」の一例。以下、+Y方向及び−Y方向を「Y軸方向」と総称する)に延在するように設けられている。
(Q×M)個のノズルNを含む(Q×M)個の吐出部Dが設けられるヘッド部5の領域AreaD(「吐出部形成領域」の一例)は、Y軸方向において範囲YNLに延在する。範囲YNLは、記録媒体P(正確には、記録媒体Pのうち、Y軸方向の幅がインクジェットプリンター1の印刷可能な最大の幅の記録媒体P)を印刷する場合に、当該記録媒体Pの有するY軸方向の範囲YP以上となる。
なお、図5では、各ノズル列Lnを構成する複数のノズルNは、Y軸方向に一列に並ぶように配置されているが、例えば、図において左側(−Y側)から偶数番目のノズルNと奇数番目のノズルNのX軸方向の位置が互いに異なるように、所謂、千鳥状に配置されるものであってもよい。
また、各ノズル列Lnにおいて、ノズルN間のY軸方向の間隔(ピッチ)は、印刷解像度(dpi:dot per inch)に応じて適宜設定され得る。
<3.ヘッドドライバーの構成及び動作>
次に、図6乃至図9を参照しつつ、ヘッドドライバーDRの構成及び動作について説明する。
図6は、ヘッドドライバーDR[q]の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、ヘッドドライバーDR[q]は、シフトレジスタSR、ラッチ回路LT、デコーダーDC、及び、トランスミッションゲートTGからなる組を、記録ヘッドHD[q]に設けられたM個の吐出部D[q][1]〜D[q][M]と1対1に対応するように、M個有する。以下では、ヘッドドライバーDR[q]及び記録ヘッドHD[q]が備えるこれらM個の組を構成する各要素を、図において上から順番に、1段、2段、…、M段と称することがある。
ヘッドドライバーDR[q]には、制御部6から、クロック信号CL、印刷信号SI[q]、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、パルス選択パターン信号SP[q]、及び、駆動波形信号Comが供給される。
印刷信号SI[q]は、吐出部Dが吐出すべきインク量を指定するデジタルの信号であり、印刷信号SI[q][1]〜SI[q][M]を含む。このうち、印刷信号SI[q][m]は、吐出部D[q][m]が吐出するインク量を、上位ビットb1及び下位ビットb2の2ビットで規定する。すなわち、印刷信号SI[q][m]により、吐出部D[q][m]からのインクの吐出の有無、及び、吐出されるインク量を制御することができ、記録媒体Pの各画素において、非記録、小ドット、中ドット、及び、大ドットの4階調を表現することが可能となる。
シフトレジスタSRのそれぞれは、印刷信号SI[q]を、各吐出部Dに対応する2ビット毎に、一旦保持する。詳細には、M個の吐出部D[q][1]〜D[q][M]に1対1に対応する、1段、2段、…、M段のM個のシフトレジスタSRが互いに縦続接続されるとともに、シリアルで供給された印刷信号SI[q]が、クロック信号CLにしたがって順次後段に転送される。そして、M個のシフトレジスタSRの全てに印刷信号SI[q]が転送された場合に、M個のシフトレジスタSRのそれぞれが印刷信号SI[q]のうち自身に対応する2ビット分の印刷信号SI[q][m]を保持した状態を維持する。
M個のラッチ回路LTのそれぞれは、ラッチ信号LATが立ち上がるタイミングで、M個のシフトレジスタSRのそれぞれに保持された各段に対応する2ビット分の印刷信号SI[q][m]を一斉にラッチする。
ところで、インクジェットプリンター1が印刷処理を実行する期間である動作期間は、複数の単位期間Tuから構成される。また、本実施形態では、各単位期間Tuは、5個の制御期間Ts(Ts1〜Ts5)からなる。なお、本実施形態では、5個の制御期間Ts1〜Ts5は、互いに等しい時間長ΔTsを有することとする。
詳細は後述するが、単位期間Tuは、ラッチ信号LATにより規定され、制御期間Tsは、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHにより規定される。
制御部6は、ヘッドドライバーDR[q]に対して、単位期間Tuが開始される前に印刷信号SI[q]及びパルス選択パターン信号SP[q]を供給する。そして、制御部6は、ヘッドドライバーDR[q]の各ラッチ回路LTに対して、単位期間Tu毎に印刷信号SI[q][1]〜SI[q][M]がラッチされるように、ラッチ信号LATを供給する。
m段(mは、1≦m≦Mを満たす自然数)のデコーダーDCは、m段のラッチ回路LTによってラッチされた2ビット分の印刷信号SI[q][m]を、パルス選択パターン信号SP[q]に基づいてデコードし、制御期間Ts1〜Ts5のそれぞれにおいて、ハイレベル(Hレベル)またはローレベル(Lレベル)のいずれかのレベルに設定された選択信号Sel[q][m]を出力する。
図7は、パルス選択パターン信号SP[q]を説明するための説明図である。
パルス選択パターン信号SP[q]は、m段のデコーダーDCに対して印刷信号SI[q][m]が供給された場合に、各制御期間Ts1〜Ts5の各々において、m段のデコーダーDCが出力すべき選択信号Sel[q][m]の内容を指定する信号である。つまり、パルス選択パターン信号SP[q]は、デコーダーDCによるデコードの内容を指定する信号である。
図7に示すように、本実施形態に係るパルス選択パターン信号SP[q]は、ビットBt1〜Bt20の20ビットのデータを有する。各ビットBtは、当該ビットBtに対応する値の印刷信号SIが供給された場合に、当該ビットBtに対応する制御期間TsにおいてデコーダーDCが出力する選択信号Selのレベルを指定する。例えば、ビットBt1は、印刷信号SIが(b1、b2)=(1、1)である場合に、制御期間Ts1にデコーダーDCが出力する選択信号Selのレベルを指定する。また、ビットBt2は、印刷信号SIが(b1、b2)=(1、1)である場合に、制御期間Ts2にデコーダーDCが出力する選択信号Selのレベルを指定する。
図8は、パルス選択パターン信号SP[q]により指定される選択信号Sel[q][m]の信号レベルを説明するための説明図である。
パルス選択パターン信号SP[q]の有する20ビットのデータ(Bt1〜Bt20)は、パルス選択値SP-A、SP-B、または、SP-C、のうち何れかの値を示す。
図8(A)に例示するように、パルス選択パターン信号SP[q]の示す値がパルス選択値SP-Aの場合、選択信号Sel[q][m]は、印刷信号SI[q]が(b1、b2)=(1,1)であれば、制御期間Ts1〜Ts3においてHレベルとなり、制御期間Ts4、Ts5においてLレベルとなる。また、選択信号Sel[q][m]は、印刷信号SI[q]が(b1、b2)=(1,0)であれば、制御期間Ts1、Ts2においてHレベルとなり、制御期間Ts3〜Ts5においてLレベルとなる。また、選択信号Sel[q][m]は、印刷信号SI[q]が(b1、b2)=(0,1)であれば、制御期間Ts2においてHレベルとなり、制御期間Ts1、Ts3〜Ts5においてLレベルとなる。また、選択信号Sel[q][m]は、印刷信号SI[q]が(b1、b2)=(0,0)であれば、制御期間Ts1〜Ts5においてLレベルとなる。
つまり、パルス選択パターン信号SP[q]の示す値がパルス選択値SP-Aの場合であって、印刷信号SI[q][m]が非記録を指定しない場合には、選択信号Sel[q][m]は、制御期間Ts1〜Ts3の一部または全部でHレベルとなるように定められる。
また、図8(B)に例示するように、パルス選択パターン信号SP[q]の示す値がパルス選択値SP-Bの場合であって、印刷信号SI[q][m]が非記録を指定しない場合には、選択信号Sel[q][m]は、制御期間Ts2〜Ts4の一部または全部でHレベルとなるように定められる。
また、図8(C)に例示するように、パルス選択パターン信号SP[q]の示す値がパルス選択値SP-Cの場合であって、印刷信号SI[q][m]が非記録を指定しない場合には、選択信号Sel[q][m]は、制御期間Ts3〜Ts5の一部または全部でHレベルとなるように定められる。
以上の説明からも明らかなように、パルス選択パターン信号SP[q]の示す値が、パルス選択値SP-Aである場合には、パルス選択値SP-Bである場合と比べて、選択信号SelがHレベルとなるタイミングが制御期間Tsの時間長ΔTsだけ早くなる。また、パルス選択パターン信号SP[q]の示す値が、パルス選択値SP-Cである場合には、パルス選択値SP-Bである場合と比べて、選択信号SelがHレベルとなるタイミングが制御期間Tsの時間長ΔTsだけ遅くなる。
図6に示すように、ヘッドドライバーDR[q]が備える、M個のトランスミッションゲートTGは、記録ヘッドHD[q]が備えるM個の吐出部D[q][1]〜D[q][M]と1対1に対応するように設けられる。
m段のトランスミッションゲートTGは、m段のデコーダーDCから出力される選択信号Sel[q][m]がHレベルのときにオンし、Lレベルのときにオフする。各トランスミッションゲートTGの一端には、駆動波形信号Comが供給される。m段のトランスミッションゲートTGの他端は、m段の出力端OTNに電気的に接続されている。
選択信号Sel[q][m]がHレベルとなり、m段のトランスミッションゲートTGがオンする場合、m段の出力端OTNから吐出部D[q][m]に対して、駆動波形信号Comが駆動信号Vin[q][m]として供給される。
なお、詳細は後述するが、本実施形態では、トランスミッションゲートTGがオンからオフに切り替わる場合の駆動波形信号Comの電位を基準電位V0としている。このため、トランスミッションゲートTGがオフする場合、吐出部D[q][m]の圧電素子300が有する容量等により、出力端OTNの電位は基準電位V0に維持されることになる。このため、説明の便宜上、以下、トランスミッションゲートTGがオフする場合には、駆動信号Vin[q][m]の電位が基準電位V0に維持されることとして説明する。
このように、制御部6は、各吐出部Dに対して単位期間Tu毎に駆動信号Vinが供給されるように、ヘッドドライバーDRを制御する。これにより、各吐出部Dは、単位期間Tu毎に、印刷データImgに応じた量のインクを記録媒体Pに吐出し、記録媒体P上に印刷データImgに対応するドットを形成することができる。
図9は、各単位期間Tuにおいて制御部6がヘッドドライバーDR[q]に供給する各種信号と、各単位期間TuにおけるヘッドドライバーDR[q]の動作と、を説明するためのタイミングチャートである。
図9に例示するように、ラッチ信号LATは、パルス波形Pls-Lを含み、当該パルス波形Pls-Lにより単位期間Tuが規定される。また、チェンジ信号CHは、パルス波形Pls-Cを含み、当該パルス波形Pls-Cにより単位期間Tuが制御期間Ts1〜Ts5に区分される。
また、図9に例示するように、制御部6は、単位期間Tu毎に、印刷信号SI[q]及びパルス選択パターン信号SP[q]を、クロック信号CLに同期させて、ヘッドドライバーDR[q]に対してシリアルで供給する。
なお、制御部6は、印刷信号SI[q]及びパルス選択パターン信号SP[q]をヘッドドライバーDR[q]に供給する期間においてのみ、ヘッドドライバーDR[q]に対してクロック信号CLを供給し、それ以外の期間においては、ヘッドドライバーDR[q]に対するクロック信号CLの供給を停止する。
図9に例示するように、駆動波形信号Comは、制御期間Ts1に配置された波形PL1、制御期間Ts2に配置された波形PL2、制御期間Ts3に配置された波形PL3、制御期間Ts4に配置された波形PL4、及び、制御期間Ts5に配置された波形PL5、を含む。以下では、波形PL1〜PL5を波形PLと総称する場合がある。
また、駆動波形信号Comの電位は、各制御期間Tsの開始または終了のタイミングにおいて、基準電位V0に設定される。
パルス選択パターン信号SP[q]を構成するビットBtのうち、印刷信号SI[q][m]の示す値に対応するビットBtが、一の制御期間Tsにおける選択信号Sel[q][m]をHレベルとして指定する場合、当該一の制御期間Tsにおいて、駆動波形信号Comのうち一の制御期間Tsに配置される波形PLが、駆動信号Vin[q][m]として吐出部D[q][m]に供給される。
逆に、パルス選択パターン信号SP[q]を構成するビットBtのうち、印刷信号SI[q][m]の示す値に対応するビットBtが、一の制御期間Tsにおける選択信号Sel[q][m]をLレベルとして指定する場合、当該一の制御期間Tsにおいて、基準電位V0に設定された駆動信号Vin[q][m]が吐出部D[q][m]に供給される。
例えば、印刷信号SI[q][m]の示す値が(b1、b2)=(1,1)であり、パルス選択パターン信号SP[q]の示す値がパルス選択値SP-Aである場合、制御期間Ts1〜Ts3においては、波形PL1〜PL3を有する駆動信号Vin[q][m]が吐出部D[q][m]に供給され、制御期間Ts4〜Ts5においては、基準電位V0に設定された駆動信号Vin[q][m]が吐出部D[q][m]に供給される。
なお、単位期間Tuにおいて、吐出部D[q][m]に供給される駆動信号Vin[q][m]が1つの波形PLを有する場合、つまり、印刷信号SI[q][m]の示す値が(b1、b2)=(0,1)である場合、吐出部D[q][m]は当該1つの波形PLに基づいて小程度の量のインクを吐出し、記録媒体P上には小ドットが形成される。
また、単位期間Tuにおいて、吐出部D[q][m]に供給される駆動信号Vin[q][m]が2つの波形PLを有する場合、つまり、印刷信号SI[q][m]の示す値が(b1、b2)=(1,0)である場合、吐出部D[q][m]は当該2つの波形PLに基づいて小程度の量のインクを2度吐出し、当該2度にわたり吐出された小程度の量のインクが合体することで、記録媒体P上には中ドットが形成される。
また、単位期間Tuにおいて、吐出部D[q][m]に供給される駆動信号Vin[q][m]が3つの波形PLを有する場合、つまり、印刷信号SI[q][m]の示す値が(b1、b2)=(1,1)である場合、吐出部D[q][m]は当該3つの波形PLに基づいて小程度の量のインクを3度吐出し、当該3度にわたり吐出された小程度の量のインクが合体することで、記録媒体P上には大ドットが形成される。
また、単位期間Tuにおいて、吐出部D[q][m]に供給される駆動信号Vin[q][m]が波形PLを有さず基準電位V0に保たれている場合、つまり、印刷信号SI[q][m]の示す値が(b1、b2)=(0,0)である場合、吐出部D[q][m]からはインクが吐出されず、記録媒体Pにはドットが形成されない(非記録となる)。
<4.着弾位置の補正>
インクジェットプリンター1が、搬送速度Mvで搬送される記録媒体P上に、印刷データImgの示す画像を正確に形成するためには、インクを吐出部Dから設計上の吐出速度により正確に吐出させることで、記録媒体P上の目標着弾位置にインクを着弾させ、正確な位置にドットを形成することが必要となる。特に、記録媒体Pが高速で搬送されるラインプリンターにおいては、吐出部Dからのインクの吐出速度が、設計上の吐出速度とは異なる速度となる場合、目標着弾位置とは大きく離れた位置にドットが形成される可能性が高くなる。
しかし、ヘッドユニットHUの製造誤差や、ヘッドユニットHU毎の経時的な劣化の度合いの相違等に起因して、複数のヘッドユニットHUの間で、吐出部Dにおけるインクの吐出特性にばらつきが生じる場合がある。具体的には、複数のヘッドユニットHUの間で、吐出部Dからのインクの吐出速度(例えば、初速)にばらつきが生じる場合や、または、吐出部Dからのインクの吐出量にばらつきが生じる場合がある。特に、吐出部Dからのインクの吐出速度のばらつきが大きい場合、印刷処理においてドットが実際に形成される位置と、印刷データImgに示す画像を形成するためにドットを形成すべき目標着弾位置と、の相違の程度も大きくばらつくこととなる。この場合、記録媒体Pに形成される画像が全体として歪む等、印刷品質は低いものとなる。
図10は、複数のヘッドユニットHUの間で、インクの吐出速度にばらつきが存在する場合の、記録媒体Pへのインクの着弾位置を説明するための説明図である。
このうち、図10(A)は、ヘッド部5をY軸方向から見たときに、X軸方向の位置が略同じである3個の吐出部Dから略同じ時間に吐出されたインクが、記録媒体Pに着弾する様子を示す概念図である。具体的には、図10(A)は、図5に例示したヘッド部5において、記録ヘッドHD[1]に設けられた吐出部D[1][m]、記録ヘッドHD[2]に設けられた吐出部D[2][m]、及び、記録ヘッドHD[3]に設けられた吐出部D[3][m]から、時刻T0においてインクが吐出され、記録媒体P上にドットDt1、Dt2、及び、Dt3が形成される場合を想定している。
また、図10(A)では、各吐出部Dから−Z方向にインクが吐出され、吐出部D[1][m]からの吐出速度VZ1と、吐出部D[2][m]からの吐出速度VZ2と、吐出部D[3][m]からの吐出速度VZ3と、が互いに異なる場合を想定している。具体的には、図10(A)において、吐出速度VZ2は、設計上の吐出速度VZDと略同じ速度であり、吐出速度VZ1は、設計上の吐出速度VZDよりも遅く、吐出速度VZ3は、設計上の吐出速度VZDよりも速い場合を想定している。
なお、本実施形態では、印刷処理を実行する場合、ヘッド部5のX軸方向の位置は固定であり記録媒体Pが+X方向に搬送速度Mvで搬送されるが、図10(A)では図示の都合上、ヘッド部5が記録媒体Pに対して相対的に−X方向に搬送速度Mvで移動するように記載している。
また、本明細書において、「略同じ」とは、完全に一致する場合の他に、誤差を考慮すれば同一と看做せる場合を含む概念である。
図10(B)は、図10(A)に示す場合において、ドットDt1、Dt2、及び、Dt3が形成された記録媒体Pを+Z方向から見た図である。
なお、図10(B)では、記録ヘッドHD[1]が4個の吐出部D[1][m](D[1][1]〜D[1][4])を具備し、記録ヘッドHD[2]が4個の吐出部D[2][m](D[2][1]〜D[2][4])を具備し、記録ヘッドHD[3]が4個の吐出部D[3][m](D[3][1]〜D[3][4])を具備する場合を想定している。そして、図10(B)では、吐出部D[1][1]〜D[1][4]から吐出されたインクにより4個のドットDt1が形成され、吐出部D[2][1]〜D[2][4]から吐出されたインクにより4個のドットDt2が形成され、吐出部D[3][1]〜D[3][4]から吐出されたインクにより4個のドットDt3が形成される場合を想定している。
吐出部Dからのインクの吐出速度が速くなる場合、インクの吐出から着弾までの時間的な間隔が短くなる。このため、図10に示すように、吐出速度が「VZ1<VZ2<VZ3」という関係にある場合には、ドットDt1を形成するインクがドットDt2を形成するインクよりも遅く着弾し、ドットDt3を形成するインクがドットDt2を形成するインクよりも早く着弾する。よって、記録媒体P上において、ドットDt1はドットDt2よりも−X方向側に形成され、ドットDt3はドットDt2よりも+X方向側に形成される。
例えば、図10では、印刷データImgの示す画像を形成するためにドットDt1、Dt2、及び、Dt3を形成すべき記録媒体P上のX軸方向の位置(目標着弾位置)がXp0である場合に、ドットDt1が位置Xp0よりも間隔ΔX1だけ−X方向側に形成され、ドットDt3が位置Xp0よりも間隔ΔX3だけ+X方向側に形成される。このような、着弾位置のずれは、搬送速度Mvが高速化する場合に顕著になり、インクジェットプリンター1の利用者に視認される可能性が高くなる。
以上において説明したように、ヘッドユニットHU毎に、吐出部Dから吐出されたインクの実際の着弾位置と、印刷データImgの示す画像を形成するためにインクを着弾させるべき目標着弾位置と、の誤差にばらつきが生じる場合には、記録媒体Pに形成される画像が全体として歪む等、印刷品質は低いものとなる。
以上において説明したインクの着弾位置のずれによる印刷品質の劣化を防止するために、本実施形態に係る制御部6は、記憶部62が記憶するヘッドユニットHUの識別情報に基づいて、パルス選択パターン信号SPの有するパルス選択値(SP-A、SP-B、SP-C)を決定する。これにより、制御部6は、吐出部Dから吐出されたインクの着弾位置を目標着弾位置に近づけるように補正する。つまり、制御部6は、インクの着弾位置と、ドットを形成すべき位置(目標着弾位置)との、誤差のばらつきの程度を小さく抑えるように、印刷処理の実行を制御する。
図11は、インクの着弾位置の補正を説明するための説明図である。
図10では、吐出部D[1][m]〜吐出部D[3][m]は、時刻T0にインクを略同じタイミングで吐出する。これに対して、図11では、パルス選択パターン信号SPの有するパルス選択値を、ヘッドユニットHU[1]〜HU[3]で互いに異なる値とすることで、インクの吐出タイミング(時刻)を、吐出部D[1][m]〜D[3][m]で互いに異なる時刻とする点で、図10に例示する場合と相違する。
図11に示す例では、制御部6は、記録ヘッドHD[1]に対して供給するパルス選択パターン信号SP[1]の値を、パルス選択値SP-Aとし、記録ヘッドHD[2]に対して供給するパルス選択パターン信号SP[2]の値を、パルス選択値SP-Bとし、記録ヘッドHD[3]に対して供給するパルス選択パターン信号SP[3]の値を、パルス選択値SP-Cとする。このため、吐出部D[1][m]は、吐出部D[2][m]がインクと吐出する時刻T0よりも時間長ΔTsだけ早い時刻にインクを吐出し、吐出部D[3][m]は、吐出部D[2][m]がインクと吐出する時刻T0よりも時間長ΔTsだけ遅い時刻にインクを吐出する。
これにより、図11に示す例では、図10に示す例と比較して、ドットDt1を形成するインクの着弾時刻とドットDt2を形成するインクの着弾時刻との間隔、及び、ドットDt3を形成するインクの着弾時刻とドットDt2を形成するインクの着弾時刻との間隔を短縮させることができる。つまり、図11に示す例では、ドットDt1〜Dt3を形成するインクの着弾時刻を、少なくとも時間長ΔTsの精度で揃えることが可能となる。すなわち、時間長ΔTsを短くすることで、ドットDt1〜Dt3を形成するインクの着弾時刻を、略同じ時刻とすることが可能となる。
このため、記録媒体P上において、ドットDt1〜Dt3のX軸方向における位置を少なくとも「Mv*ΔTs」の精度で位置Xp0(目標着弾位置)に揃えることができる。すなわち、時間長ΔTsを短くすることで、ドットDt1〜Dt3のX軸方向における位置を略同じ位置とすることが可能となる。
なお、上述のとおり、制御部6は、パルス選択パターン信号SPの示すパルス選択値を、当該パルス選択パターン信号SPが供給されるヘッドユニットHUの識別情報に基づいて決定する。
上述のとおり、識別情報には、製造時における吐出部Dからのインクの吐出速度等の情報と、ヘッドユニットHUの使用期間等の情報と、を含む。本実施形態における制御部6は、このような識別情報に基づいて、吐出部Dから吐出されたインクの着弾時刻と、インクが設計上の吐出速度VZDで吐出された場合の着弾時刻(以下、「目標着弾時刻」と称する)とが、どのようにずれているか(時間的なずれの大きさ及び時間軸上の方向)を推定する。
具体的には、制御部6は、製造時における吐出部Dからのインクの吐出速度と、設計上の吐出速度VZDとの相違の程度が大きい場合には、インクの着弾時刻のずれの程度が大きいと推定する。この場合、インクの吐出速度が吐出速度VZDよりも速ければ、インクの着弾時刻が目標着弾時刻よりも早くなるようなずれが生じていると推定し、インクの吐出速度が吐出速度VZDよりも遅ければ、インクの着弾時刻が目標着弾時刻よりも遅くなるようなずれが生じていると推定する。
また、制御部6は、ヘッドユニットHUの使用期間が長期にわたる場合には、ヘッドユニットHUからインクを吐出する力が弱くなっている可能性が生じるため、インクの着弾時刻が目標着弾時刻よりも遅くなるようなずれが生じていると推定する。
制御部6は、インクの着弾時刻のずれに係る推定結果に基づいて、インクの着弾時刻が目標着弾時刻に近づくように、パルス選択パターン信号SPの有するパルス選択値を決定する。
なお、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、パルス選択値SP-Bを有するパルス選択パターン信号SPが供給されるヘッドユニットHUが具備する吐出部Dから、設計上の吐出速度VZDによりインクを吐出した場合に、目標着弾時刻にインクが着弾するように、駆動波形信号Comの波形、単位期間Tu及び制御期間Tsの時間長、並びに、ヘッド部5とプラテン74との間隔等が設定されている場合を想定する。
以下、制御部6によるパルス選択値の決定について具体的に説明する。
制御部6は、まず、製造時における吐出部Dからのインクの吐出速度と設計上の吐出速度VZDとが略同じであり、且つ、吐出部Dが設けられるヘッドユニットHUの使用期間が所定期間より短期である場合、パルス選択パターン信号SPの示す値をパルス選択値SP-Bに決定する。
また、制御部6は、製造時における吐出部Dからのインクの吐出速度が設計上の吐出速度VZDよりも遅い場合、または、吐出部Dが設けられるヘッドユニットHUの使用期間が所定期間以上の期間である場合、吐出部Dからのインクの吐出時刻を早めるために、パルス選択パターン信号SPの示す値をパルス選択値SP-Aとする。
また、制御部6は、製造時における吐出部Dからのインクの吐出速度が設計上の吐出速度VZDよりも速く、且つ、吐出部Dが設けられるヘッドユニットHUの使用期間が所定期間より短期である場合、吐出部Dからのインクの吐出時刻を遅らせるために、パルス選択パターン信号SPの示す値をパルス選択値SP-Cとする。
このように、本実施形態では、制御部6が、ヘッドユニットHUの識別情報に基づいて、パルス選択パターン信号SPの示すパルス選択値を決定することで、インクの着弾時刻を目標着弾時刻に近づける。これにより、吐出部Dから吐出されたインクの着弾位置を目標着弾位置に近づけるような補正を実行し、ヘッドユニットHUの製造誤差等に起因する印刷品質の低下を防止することを可能とする。
なお、図11では、吐出部D[1][m]〜D[3][m]のX軸方向の位置が略同一である場合において、吐出部D[1][m]〜D[3][m]から吐出されたインクの着弾時刻が目標着弾時刻に近づくように、パルス選択パターン信号SPの示すパルス選択値を決定しているが、本実施形態はこのような場合に限定されるものではなく、インクジェットプリンター1に設けられる(Q×M)個の吐出部Dのうち任意の吐出部Dから吐出されたインクの着弾時刻が目標着弾時刻に近づくように、パルス選択パターン信号SPの示すパルス選択値を決定するものである。
すなわち、本実施形態に係る制御部6は、任意の2個の吐出部Dから吐出されたインクにより形成される2個のドットの記録媒体P上の間隔が、ヘッド部5における当該2個の吐出部の間隔と略同じ間隔となるように、パルス選択パターン信号SPの示すパルス選択値を決定する。
<5.実施形態の結論>
以上において説明したように、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、Q個のヘッドユニットHU[1]〜HU[Q]に対して、共通の駆動波形信号Com、共通のクロック信号CL、共通のチェンジ信号CH、及び、共通のラッチ信号LATを供給する。
このため、ヘッドユニットHU[q]毎に個別に駆動波形信号Com等の各種信号を供給する場合と比較して、制御部6からヘッド部5に対して駆動波形信号Com等の信号を供給する配線数を少なくし、また、駆動波形信号Com等の信号を生成するための処理負荷や回路規模を小さくすることができる。
また、本実施形態では、ヘッドドライバーDR[q]毎に、個別に、パルス選択パターン信号SP[q]を供給する。これにより、各ヘッドドライバーDRが、他のヘッドドライバーDRとは異なる波形の駆動信号Vinを生成することが可能となる。つまり、ヘッドユニットHU毎に駆動信号Vinの採りうる波形を異なる波形とすることが可能である。
これにより、ヘッドユニットHU毎に個別に駆動波形信号Comを送信することなく、ヘッドユニットHU毎にインクの着弾時刻や着弾位置を調整することが可能となる。換言すれば、本実施形態に係るインクジェットプリンター1では、駆動波形信号Com等の各種信号をヘッド部5に供給するための配線数の削減と、ヘッドユニットHUの製造誤差等に起因する印刷品質の低下等の防止と、を両立させることができる。
なお、本実施形態において、制御部6は、印刷信号SI、パルス選択パターン信号SP、駆動波形信号Com、クロック信号CL、チェンジ信号CH、及び、ラッチ信号LATのうち、一部または全部の信号を生成することで「信号生成部」として機能する。
ここで、q1を、1≦q1≦Qを満たす自然数とし、q2を、q2≠q1を満たし且つ1≦q2≦Qを満たす自然数とし、m1を、1≦m1≦Mを満たす自然数とし、m2を、1≦m2≦Mを満たす自然数とする。また、ヘッドユニットHU[q1]の識別情報と、ヘッドユニットHU[q2]の識別情報とは、少なくとも一部が異なる(完全一致ではない)こととする。この場合、ヘッドユニットHU[q1]に設けられた吐出部D[q1][m1]が「第1の吐出部」の一例であり、ヘッドユニットHU[q2]に設けられた吐出部D[q2][m2]が「第2の吐出部」の一例であり、ヘッドユニットHU[q1]に供給される指定信号(印刷信号SI[q1]及びパルス選択パターン信号SP[q1])が「第1の指定信号」の一例であり、ヘッドユニットHU[q2]に供給される指定信号(印刷信号SI[q2]及びパルス選択パターン信号SP[q2])が「第2の指定信号」の一例であり、ヘッドドライバーDR[q1]が「第1の駆動部」の一例であり、ヘッドドライバーDR[q2]が「第2の駆動部」の一例であり、ヘッドドライバーDR[q1]が吐出部D[q1][m1]に供給する駆動信号Vin[q1][m1]が「第1の駆動信号」の一例であり、ヘッドドライバーDR[q2]が吐出部D[q2][m2]に供給する駆動信号Vin[q2][m2]が「第2の駆動信号」の一例である。
上述のとおり、ヘッドユニットHU[q1]の識別情報と、ヘッドユニットHU[q2]の識別情報とは、少なくとも一部が異なるため、ヘッドユニットHU[q1]に供給される第1の指定信号の示す値と、ヘッドユニットHU[q2]に供給される第2の指定信号の示す値とは、少なくとも一部が異なる。ここで、第1の指定信号の示す値及び第2の指定信号の示す値の少なくとも一部が異なる場合とは、典型的には、第1の指定信号に含まれるパルス選択パターン信号SP[q1]と、第2の指定信号に含まれるパルス選択パターン信号SP[q2]とが、異なる値を示す場合である。この場合、第1の指定信号に含まれる印刷信号SI[q1][m]と、第2の指定信号に含まれる印刷信号SI[q2][m]とは、同一の値を示すものであってもよいし、異なる値を示すものであってもよい。また、この場合、第1の駆動信号の有する波形の少なくとも一部と、第2の駆動信号の有する波形の少なくとも一部とは、異なることなる。換言すれば、第1の駆動信号の有する波形と、第2の駆動信号の有する波形とは、一致しない。
<B.変形例>
以上の実施形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。
なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
<変形例1>
上述した実施形態では、ヘッドユニットHUの識別情報は、ヘッドユニットHUの製造履歴及び使用履歴を含むが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、ヘッドユニットHUの識別情報は、ヘッドユニットHUの製造履歴及び使用履歴のうち少なくとも一方を含めばよい。
また、上述した実施形態において、制御部6は、ヘッドユニットHUの識別情報のうち、ヘッドユニットHUの製造履歴(具体的には、製造履歴のうちヘッドユニットHUに設けられた吐出部Dからのインクの吐出特性)と、ヘッドユニットHUの使用履歴(具体的には、使用履歴のうちヘッドユニットHUの使用期間)と、に基づいて、パルス選択パターン信号SPの示すパルス選択値を決定するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、制御部6は、パルス選択パターン信号SPの示すパルス選択値を、ヘッドユニットHUの製造履歴及び使用履歴のうち少なくとも一方に基づいて決定すればよい。
この場合、ヘッドユニットHUの製造履歴は、少なくとも、吐出部Dからのインクの吐出特性を示すデータを含めばよい。また、吐出部Dからのインクの吐出特性としては、吐出部Dからのインクの吐出速度やインクの吐出量に限定されるものではなく、例えば、吐出部Dから吐出されたインクの着弾位置と目標着弾位置との誤差を示す情報を含むものであってもよい。
また、ヘッドユニットHUの使用履歴は、ヘッドユニットHUの使用期間、印刷処理の回数、吐出部Dからのインクの吐出回数のうち、少なくとも1つを含めばよい。
<変形例2>
上述した実施形態及び変形例では、制御部6は、識別情報に基づいて、吐出部Dから吐出されたインクの着弾時刻と目標着弾時刻との時間的なずれに係る情報(ずれの大きさや、ずれの時間軸上での方向)を推定するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、
制御部6は、吐出部Dから吐出されたインクの着弾位置と目標着弾位置との誤差に係る情報(誤差の大きさや、誤差の方向)を推定するものであってもよい。
この場合、制御部6は、インクの着弾位置と目標着弾位置との誤差に関する推定結果に基づいて、パルス選択パターン信号SPの示すパルス選択値を決定すればよい。
<変形例3>
上述した実施形態及び変形例において、制御部6は、複数の吐出部Dから吐出されたインクの着弾時刻が略同じ時刻(目標着弾時刻)となるように、パルス選択パターン信号SPのパルス選択値を決定するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、制御部6は、同一の値の印刷信号SIが供給された2個の吐出部Dから吐出されるインクの量が略同じとなるように、パルス選択パターン信号SPのパルス選択値を決定してもよい。また、当該2個の吐出部Dから吐出されたインクの着弾時刻が略同じ時刻となり、且つ、当該2個の吐出部Dから吐出されたインクの量が略同じ量となるように、パルス選択パターン信号SPのパルス選択値を決定してもよい。
図12は、本変形例に係る駆動波形信号Comの波形を示すタイミングチャートである。この図に示すように、本変形例に係る駆動波形信号Comは、『「波形PL1が供給された場合の吐出部Dからのインクの吐出量」>「波形PL2が供給された場合の吐出部Dからのインクの吐出量」>……>「波形PL5が供給された場合の吐出部Dからのインクの吐出量」』となるような波形を有する。
なお、本変形例では、パルス選択パターン信号SPが、図8に示すパルス選択値SP-A、SP-B、及び、SP-Cの何れかをとり得る場合を想定することとする。
通常、吐出部Dからのインクの吐出速度が設計上の吐出速度VZDよりも遅い場合、当該吐出部Dのインクを吐出する力が弱い可能性が高く、当該吐出部Dからのインクの吐出量が、設計上の吐出量よりも少なくなる可能性が高い。また、吐出部Dからのインクの吐出速度が設計上の吐出速度VZDよりも速い場合、当該吐出部Dのインクを吐出する力が強い可能性が高く、当該吐出部Dからのインクの吐出量が、設計上の吐出量よりも多くなる可能性が高い。
そして、吐出部Dからのインクの吐出量が、設計上の吐出量と異なる場合、設計上の吐出量を吐出可能な場合と比較して、印刷処理において形成される画像の品質は低いものとなる。
これに対して、本変形例によれば、パルス選択パターン信号SPの示すパルス選択値を調整することで、吐出部Dからのインクの吐出時刻と、吐出部Dからのインクの吐出量と、の両方を調整することができる。
本変形例に係る制御部6は、吐出部Dからのインクの吐出速度と設計上の吐出速度VZDとが略同じであり、吐出部Dからのインクの吐出量と設計上の吐出量とが略同じである場合、パルス選択パターン信号SPの示す値をパルス選択値SP-Bに決定する(図8及び図12参照)。
そして、制御部6は、吐出部Dからのインクの吐出速度が設計上の吐出速度VZDよりも遅く、吐出部Dからのインクの吐出量が設計上の吐出量よりも少なければ、パルス選択パターン信号SPの示す値をパルス選択値SP-Aとすることで、吐出部Dからのインクの吐出時刻を早めるとともに、吐出部Dからのインクの吐出量を多くする。
また、制御部6は、吐出部Dからのインクの吐出速度が設計上の吐出速度VZDよりも速く、吐出部Dからのインクの吐出量が設計上の吐出量よりも多ければ、パルス選択パターン信号SPの示す値をパルス選択値SP-Cとすることで、吐出部Dからのインクの吐出時刻を遅らせるとともに、吐出部Dからのインクの吐出量を少なくする。
このように、本変形例では、吐出部Dからのインクの吐出速度を設計上の吐出速度VZDに近づけ、且つ、吐出部Dからのインクの吐出量を設計上の吐出量に近づけるように、パルス選択パターン信号SPのパルス選択値を決定する。このため、複数の吐出部Dから吐出されたインクの着弾時刻を略同じ時刻としてドットを目標着弾位置に正確に形成することを可能とし、且つ、同一の値の印刷信号SIが供給された複数の吐出部Dから吐出されたインク量を略同じ量として同一種類のドットのサイズを統一することが可能となる。
<変形例4>
上述した実施形態及び変形例において、単位期間Tuは、制御期間Ts1〜Ts5から構成されるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、単位期間Tuは、2以上の制御期間Tsから構成されるものであればよい。つまり、チェンジ信号CHは、単位期間Tuにおいて、少なくとも1つのパルス波形Pls-Cを含めばよい。また、この場合、2以上の制御期間Tsの各々が有する時間長は、互いに異なっていてもよい。
また、上述した実施形態及び変形例において、パルス選択パターン信号SPの示すパルス選択値は、SP-A、SP-B、及び、SP-Cの3つの値をとり得るが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、パルス選択値は、2つ以上の値をとり得るものであればよい。
<変形例5>
上述した実施形態及び変形例において、複数のヘッドユニットHUは、互いに等しい個数(M個)の吐出部Dを供えるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、複数のヘッドユニットHUのうち、一のヘッドユニットHUが備える吐出部Dの個数と、他のヘッドユニットHUが備える吐出部Dの個数が異なっていてもよい。
この場合、制御部6が、複数のヘッドユニットHUに対して、共通にクロック信号CLを供給する期間は、複数のヘッドユニットHUの中で最も多くの吐出部Dを備えるヘッドユニットHUに対して印刷信号SIを送信するために必要な期間を含むように定めれば良い。
<変形例6>
上述した実施形態及び変形例において、制御部6は、パルス選択パターン信号SP[q]を、ヘッドユニットHU[q]毎に個別に供給するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、制御部6は、パルス選択パターン信号SPを、ノズル列Ln毎に個別に供給してもよい。
この場合、制御部6は、吐出部Dから吐出されたインクの着弾時刻や、吐出部Dからのインクの吐出量等を、ノズル列Lnの単位で調整することが可能となる。
なお、本変形例において、ヘッドドライバーDRは、ノズル列Lnと1対1に対応するように設けられることが好ましい。
また、本変形例において、識別情報は、ノズル列Ln毎の製造履歴及び使用履歴と、吐出部D毎の製造履歴及び使用履歴と、のうち少なくとも一方を含む情報であることが好ましい。
また、本変形例において、一のノズル列Lnに設けられる吐出部Dを「第1の吐出部」としたとき、当該一のノズル列Lnとは異なる他のノズル列Lnに設けられる吐出部Dが「第2の吐出部」に該当する。そして、第1の吐出部を含むノズル列Lnに対応して設けられるヘッドドライバーDRが「第1の駆動部」に該当し、第2の吐出部を含むノズル列Lnに対応して設けられるヘッドドライバーDRが「第2の駆動部」に該当し、第1の駆動部に供給される指定信号が「第1の指定信号」に該当し、第2の駆動部に供給される指定信号が「第2の指定信号」に該当し、第1の駆動部が第1の吐出部に供給する駆動信号Vinが「第1の駆動信号」に該当し、第2の駆動部が第2の吐出部に供給する駆動信号Vinが「第2の駆動信号」に該当する。この場合においても、第1の指定信号の示す値と第2の指定信号の示す値との少なくとも一部が異なり、また、第1の駆動信号の有する波形の少なくとも一部と、第2の駆動信号の有する波形の少なくとも一部とは、異なる。
<変形例7>
上述した実施形態及び変形例において、目標着弾時刻は、インクジェットプリンター1が備える全ての吐出部Dに共通に定められるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、目標着弾時刻は、ヘッドユニットHU毎またはノズル列Ln毎に個別に定められるものであってもよい。
すなわち、制御部6は、目標着弾時刻をヘッドユニットHU毎またはノズル列Ln毎に個別に定め、且つ、当該個別に定められた目標着弾時刻にインクが着弾するように、パルス選択パターン信号SPのパルス選択値を決定するものであってもよい。
例えば、制御部6は、一のノズル列Lnに属する一の吐出部Dから吐出されるインクの目標着弾時刻と、一のノズル列Lnとは異なる他のノズル列Lnに属する他の吐出部Dから吐出されるインクの目標着弾時刻と、が所定の間隔となるように、パルス選択値を決定してもよい。
一例として、図13に示すように、一の吐出部D(吐出部D[1][m])に係る目標着弾時刻と、他の吐出部D(吐出部D[2][m])に係る目標着弾時刻と、の間隔(所定の間隔)が、時間長ΔTsであってもよい。この場合、吐出部D[1][m]、D[2][m]により形成されるドットDt1、Dt2のX軸方向の間隔を「Mv*ΔTs」の精度とすることができるため、印刷処理において印刷データImgの示す画像を高精度に形成することができる。
ところで、図13では、各吐出部Dからのインクの吐出速度が設計上の吐出速度VZDである場合を想定しているが、各吐出部Dからのインクの吐出速度が設計上の吐出速度VZDと異なる場合には、制御部6は、各吐出部Dからのインクの吐出速度を設計上の吐出速度VZDに近づけるように、パルス選択値を定めればよい。
また、制御部6は、一のノズル列Lnに属する一の吐出部Dから吐出されるインクの目標着弾時刻と、他のノズル列Lnに属する他の吐出部Dから吐出されるインクの目標着弾時刻と、が搬送速度Mvに応じた間隔となるように、パルス選択値を決定してもよい。
図14に示すように、一のノズル列Lnに属する一の吐出部D(吐出部D[1][m])に係る目標着弾時刻と、他のノズル列Lnに属する他の吐出部D(吐出部D[2][m])に係る目標着弾時刻と、の間隔は、時間長ΔTsのα倍(αは、0以上の自然数)となる。そして、係数αは、吐出部D[1][m]の属する他のノズル列Lnに供給されるパルス選択値と、吐出部D[2][m]の属する他のノズル列Lnに供給されるパルス選択値と、により定まる。
このため、制御部6は、まず、一のノズル列Lnと他のノズル列LnのX軸方向の間隔dPXと、搬送速度Mvと、一の吐出部Dから吐出されるインクの目標着弾位置と、他の吐出部Dから吐出されるインクの目標着弾位置と、に基づいて、一の吐出部Dから吐出されるインクの目標着弾時刻と、他の吐出部Dから吐出されるインクの目標着弾時刻と、の間隔を算出する。次に、制御部6は、算出した目標着弾時刻の間隔に基づいて、係数αを算出する。そして、制御部6は、算出した係数αに基づいて、一の吐出部Dに供給するパルス選択値と、他の吐出部Dに供給するパルス選択値と、を決定する。
例えば、図14に示すように、吐出部D[1][m]から吐出されるインクのX軸方向の目標着弾位置と、吐出部D[2][m]から吐出されるインクのX軸方向の目標着弾位置と、を略同じとする場合には、以下の式(1)を充足するように、係数αを定めればよい。
α*ΔTs*Mv≒dPX ……(1)
なお、上述した実施形態では、パルス選択値は3つの値をとるため、係数αのとり得る範囲は、0≦α≦2である。よって、式(1)を充足するためには係数αを3以上にする必要がある場合等、係数αの値の調整によっては、式(1)を充足できない場合がある。
このため、係数αのとり得る範囲に制限があり、係数αの値の調整によって式(1)を充足することが困難である場合に対応するために、制御部6は、時間長ΔTsまたは搬送速度Mvのうち少なくとも一方を、式(1)を充足するような値に設定することができるものであってもよい。
<変形例8>
上述した実施形態及び変形例において、指定信号は、印刷信号SIとパルス選択パターン信号SPとを含むが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、指定信号は、印刷信号SIのみから構成されるものであってもよい。
<変形例9>
上述した実施形態及び変形例において、印刷信号SI[q][m]のビット数は2ビットであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、印刷信号SI[q][m]のビット数は、表示すべき階調や、パルス選択パターン信号SPの有無、単位期間Tuに含まれる制御期間Tsの個数等に応じて適宜定めればよい。
例えば、上述した実施形態において、印刷信号SI[q][m]のビット数を5ビットとしてもよい。印刷信号SI[q][m]のビット数を5ビットとする場合、吐出部D[q][m]に供給する駆動信号Vin[q][m]の波形を、波形PL1〜PL5の中から任意の波形PLを選択した波形とすることができるため、吐出部D毎に、目標着弾位置及び目標着弾時刻を調整することが可能となる。なお、この場合、ヘッドユニットHUに対するパルス選択パターン信号SPの供給は不要となる。
<変形例10>
上述した実施形態及び変形例では、インクジェットプリンター1として、ラインプリンターを例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、ヘッドユニットHUを搭載したキャリッジ32が、X軸方向及びY軸方向に移動可能なシリアルプリンターであってもよい。
<変形例11>
上述した実施形態及び変形例では、インクジェットプリンター1は、圧電素子300を振動させることによりノズルNからインクを吐出させるものであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、キャビティ320に設けられた発熱体(図示省略)を発熱させることによりキャビティ320内に気泡を生じさせてキャビティ320内部の圧力を高め、これによりインクを吐出させる、所謂サーマル方式であってもよい。
1…インクジェットプリンター、5…ヘッド部、6…制御部、7…搬送機構、62…記憶部、D…吐出部、DR…ヘッドドライバー、HD…記録ヘッド、HU…ヘッドユニット。

Claims (9)

  1. 吐出部から媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、
    前記媒体を搬送する搬送機構と、
    第1の駆動信号により駆動されて液体を吐出する第1の吐出部と、
    第2の駆動信号により駆動されて液体を吐出する第2の吐出部と、
    複数の波形を有する共通駆動波形信号、
    前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第1の吐出部に供給すべき波形を指定する第1の指定信号、及び、
    前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第2の吐出部を供給すべき波形を指定する第2の指定信号を生成する信号生成部と、
    前記第1の指定信号の指定に基づいて前記共通駆動波形信号から前記第1の駆動信号を生成し、生成した前記第1の駆動信号を前記第1の吐出部に供給することで前記第1の吐出部を駆動する第1の駆動部と、
    前記第2の指定信号の指定に基づいて前記共通駆動波形信号から前記第2の駆動信号を生成し、生成した前記第2の駆動信号を前記第2の吐出部に供給することで前記第2の吐出部を駆動する第2の駆動部と、
    を備え、
    前記信号生成部は、
    前記第1の吐出部が前記第1の駆動信号により駆動された場合に、
    前記第1の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、
    前記第2の吐出部が前記第2の駆動信号により駆動された場合に、
    前記第2の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、
    が略同じとなるように、
    前記第1の指定信号及び、前記第1の指定信号とは異なる前記第2の指定信号を生成する、
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 吐出部から媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、
    前記媒体を搬送する搬送機構と、
    第1の駆動信号により駆動されて液体を吐出する第1の吐出部と、
    第2の駆動信号により駆動されて液体を吐出する第2の吐出部と、
    複数の波形を有する共通駆動波形信号、
    前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第1の吐出部に供給すべき波形を指定する第1の指定信号、及び、
    前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第2の吐出部に供給すべき波形を指定する第2の指定信号を生成する信号生成部と、
    前記第1の指定信号の指定に基づいて前記共通駆動波形信号から前記第1の駆動信号を生成し、生成した前記第1の駆動信号を前記第1の吐出部に供給することで前記第1の吐出部を駆動する第1の駆動部と、
    前記第2の指定信号の指定に基づいて前記共通駆動波形信号から前記第2の駆動信号を生成し、生成した前記第2の駆動信号を前記第2の吐出部に供給することで前記第2の吐出部を駆動する第2の駆動部と、
    を備え、
    前記信号生成部は、
    前記第1の吐出部が前記第1の駆動信号により駆動された場合に、
    前記第1の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、
    前記第2の吐出部が前記第2の駆動信号により駆動された場合に、
    前記第2の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、
    の時間的な間隔が、前記搬送機構による前記媒体の搬送速度に応じた間隔となるように、
    前記第1の指定信号及び、前記第1の指定信号とは異なる前記第2の指定信号を生成する、
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  3. 前記信号生成部は、
    前記第1の吐出部が前記第1の駆動信号により駆動された場合に、
    前記第1の吐出部から吐出される液体量と、
    前記第2の吐出部が前記第2の駆動信号により駆動された場合に、
    前記第2の吐出部から吐出される液体量と、
    が略同じとなるように、
    前記共通駆動波形信号、前記第1の指定信号、及び、前記第2の指定信号を生成する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記第1の吐出部及び前記第2の吐出部を含む複数の吐出部を具備するヘッドユニットを備え、
    前記搬送機構は、
    前記媒体を第1方向に搬送し、
    前記複数の吐出部は、
    前記ヘッドユニットのうち、
    前記第1の方向と交差する第2方向に延在する吐出部形成領域に設けられる、
    ことを特徴とする、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
  5. 前記吐出部の製造履歴及び使用履歴のうち少なくとも一方を示す識別情報を記憶する記憶部を備え、
    前記信号生成部は、
    前記識別情報に基づいて、
    前記第1の指定信号及び前記第2の指定信号を生成する、
    ことを特徴とする、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
  6. 前記信号生成部は、
    前記第1の駆動信号が前記第1の吐出部に供給され且つ
    前記第2の駆動信号が前記第2の吐出部に供給される期間である単位期間を規定するための単位期間規定信号を生成し、
    前記第1の駆動部は、
    前記単位期間規定信号に基づいて、
    前記単位期間に前記第1の駆動信号を前記第1の吐出部に供給し、
    前記第2の駆動部は、
    前記単位期間規定信号に基づいて、
    前記単位期間に前記第2の駆動信号を前記第2の吐出部に供給する、
    ことを特徴とする、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
  7. 前記信号生成部は、
    共通クロック信号を生成し、
    前記共通クロック信号に同期させて前記第1の指定信号を前記第1の駆動部に供給し、
    前記共通クロック信号に同期させて前記第2の指定信号を前記第2の駆動部に供給する、
    ことを特徴とする、請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
  8. 第1の駆動信号により駆動されて液体を媒体に対して吐出する第1の吐出部と、
    第2の駆動信号により駆動されて液体を前記媒体に対して吐出する第2の吐出部と、
    を備える液体吐出装置の制御方法であって、
    複数の波形を有する共通駆動波形信号、
    前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第1の吐出部に供給すべき波形を指定する第1の指定信号、及び、
    前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第2の吐出部に供給すべき波形を指定する第2の指定信号を生成し、
    前記第1の指定信号の指定に基づき前記共通駆動波形信号から前記第1の駆動信号を生成し、
    生成した前記第1の駆動信号を前記第1の吐出部に供給して前記第1の吐出部を駆動し、
    前記第2の指定信号の指定に基づき前記共通駆動波形信号から前記第2の駆動信号を生成し、
    生成した前記第2の駆動信号を前記第2の吐出部に供給して前記第2の吐出部を駆動し、
    前記第1の吐出部が前記第1の駆動信号により駆動された場合に、
    前記第1の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、
    前記第2の吐出部が前記第2の駆動信号により駆動された場合に、
    前記第2の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、
    が略同じとなるように、
    前記第1の指定信号及び、前記第1の指定信号とは異なる前記第2の指定信号を生成する、
    ことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
  9. 第1の駆動信号により駆動されて液体を媒体に対して吐出する第1の吐出部と、
    第2の駆動信号により駆動されて液体を前記媒体に対して吐出する第2の吐出部と、
    前記第1の駆動信号を生成し、生成した前記第1の駆動信号を前記第1の吐出部に供給することで前記第1の吐出部を駆動する第1の駆動部と、
    前記第2の駆動信号を生成し、生成した前記第2の駆動信号を前記第2の吐出部に供給することで前記第2の吐出部を駆動する第2の駆動部と、
    コンピュータと、
    を備える液体吐出装置の制御プログラムであって、
    前記コンピュータを、
    複数の波形を有する共通駆動波形信号、
    前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第1の吐出部に供給すべき波形を指定する第1の指定信号、及び、
    前記共通駆動波形信号が有する複数の波形から前記第2の吐出部に供給すべき波形を指定する第2の指定信号を生成する信号生成部と、
    して機能させ、
    前記第1の駆動部は、
    前記第1の指定信号の指定に基づいて前記共通駆動波形信号から前記第1の駆動信号を生成し、
    前記第2の駆動部は、
    前記第2の指定信号の指定に基づいて前記共通駆動波形信号から前記第2の駆動信号を生成し、
    前記信号生成部は、
    前記第1の吐出部が前記第1の駆動信号により駆動された場合に、
    前記第1の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、
    前記第2の吐出部が前記第2の駆動信号により駆動された場合に、
    前記第2の吐出部から吐出された液体が前記媒体に着弾するタイミングと、
    が略同じとなるように、
    前記第1の指定信号及び、前記第1の指定信号とは異なる前記第2の指定信号を生成する、
    ことを特徴とする液体吐出装置の制御プログラム。
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