JP2016069418A - ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率とのバランスに優れた、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂を、低温で、かつ、短時間で製造する方法を提供する。
【解決手段】吸水性樹脂粉末に、ラジカル重合性単量体及び熱分解性ラジカル重合開始剤を含む表面架橋剤溶液を添加して、両者を混合する混合工程と、上記混合工程で得られる吸水性樹脂混合物を表面架橋重合する反応工程とを有し、上記混合工程に供給される吸水性樹脂粉末の温度が30〜90℃、及び/又は、混合工程直後の吸水性樹脂混合物の温度が30〜90℃であり、上記混合が、フルード数5以上の攪拌、又は、風速0.1m/s以上の流動によって実施され、上記熱分解性ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が、上記混合工程中の吸水性樹脂混合物の最高温度に対して±30℃以内である、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法に関する。詳しくは、吸水性樹脂粉末と、ラジカル重合性単量体及び熱分解性ラジカル重合開始剤とを含む表面架橋剤溶液との混合において、その混合条件を制御することによって、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率のバランスが優れた吸水性樹脂が得られる、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法に関する。
吸水性樹脂(SAP/Super Absorbent Polymer)は、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤であり、自重の数倍から数百倍という多量の水性液を吸収することができるという性質から、紙オムツや生理用ナプキン、失禁用パッド等の衛生用品、農園芸用の保水剤、工業用の止水剤等、様々な分野で幅広く利用されている。
上記吸水性樹脂は、その原料として多くの単量体や親水性高分子が使用されているが、吸水性能の観点から、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩を単量体として用いたポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂が、工業的に最も多く生産されている。
上記吸水性樹脂は、主用途である紙オムツの高性能化に伴い、様々な機能(高物性化)が要求されている。具体的には、基本物性である無加圧下吸水倍率や加圧下吸水倍率の他、ゲル強度、水可溶分、含水率、吸水速度、通液性、粒度分布、耐尿性、抗菌性、耐ダメージ性、粉体流動性、消臭性、耐着色性、低粉塵、低残存モノマー等といった物性が吸水性樹脂に対して要求されている。そのため、これまで数多くの改良技術が提案されてきた。
例えば、上述した吸水性樹脂の物性を改良するため、カルボキシル基と反応し得る官能基を複数個有する架橋剤を用いて、吸水性樹脂の表面近傍に架橋構造を形成させ、吸水性樹脂の表面架橋密度を高める技術(表面架橋)が提案されてきた(非特許文献1)。
具体的には、アルキレンカーボネート(特許文献1)、モノ又は多価オキサゾリジノン(特許文献2)、ポリオール(特許文献3)、オキセタンやチオ尿素(特許文献4)等の化合物や溶解度パラメータの異なる複数の表面架橋剤(例えば、グリセリンとジエポキシ化合物)(特許文献5)を吸水性樹脂に添加し、160℃以上の温度で加熱処理することで表面架橋し、拡散吸収倍率に優れた吸水性樹脂が得られることを開示している。
また、例えば、150℃以下、更には120℃以下といった比較的低温で反応する表面架橋剤として、多価金属塩(例えば、硫酸アルミニウム)(特許文献6)や、ポリグリシジル化合物(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル)(特許文献7)等を使用する技術も提案されている。
上述の、吸水性樹脂のカルボキシル基と表面架橋剤とを反応させて表面架橋する方法以外に、吸水性樹脂の表面において単量体を重合させて表面架橋する方法(架橋重合による表面架橋)も提案されている。
具体的には、ラジカル重合性単量体、ラジカル重合開始剤、有機系架橋剤等を、吸水性樹脂に添加して、100℃程度の温度での加熱処理(特許文献8〜11)又は室温で紫外線等の活性エネルギー線を照射する(特許文献12〜14)ことによって、表面架橋を行う技術が提案されている。これらの特許文献によれば、吸水性樹脂の表面においてラジカル重合性単量体等が重合することによって、吸水性樹脂の表面架橋密度が増加し、その結果として吸水性樹脂の物性が向上しうる旨、開示されている。
米国特許第5409771号明細書 米国特許第6472478号明細書 米国特許第4734478号明細書 米国特許第6809158号明細書 欧州特許第712659号明細書 特開昭62−7745号公報 特表平10−500712号公報 特開平1−126314号公報 国際公開第2006/068067号パンフレット 国際公開第2009/048157号パンフレット 国際公開第2009/048160号パンフレット 国際公開第2006/062253号パンフレット 特開2007−302856号公報 国際公開第2011/040472号パンフレット
Modern Superabsorbent Polymer Technology(1998) 55〜60頁、97〜103頁
上述した表面架橋方法では、吸水性樹脂と表面架橋剤溶液との混合条件(特に混合時の吸水性樹脂の温度)によって、表面架橋後の吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率とのバランスが悪化すること(特許文献1〜7に記載の表面架橋)や、表面架橋自体が進行し難くなること(特許文献14に記載の表面架橋)が判明した。
そこで本発明が解決しようとする課題は、ラジカル重合性単量体及び熱分解性ラジカル重合開始剤を含む表面架橋剤溶液と吸水性樹脂との混合において、その混合条件を制御することによって、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率とのバランスに優れた、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、表面架橋剤溶液と吸水性樹脂との混合(特に、加熱や紫外線照射による熱分解性ラジカル重合開始剤の分解によって生じるラジカル重合性単量体の表面架橋重合)において、特定の混合条件とすることで上記課題を解決することを見出した。
つまり、ラジカル重合性単量体及び熱分解性ラジカル重合開始剤を含む表面架橋剤溶液と吸水性樹脂粉末とを混合し、100℃程度の温度での加熱処理及び/又は活性エネルギー線を照射して表面架橋重合を行う際、その混合条件を制御することによって、表面架橋後の吸水性樹脂の物性が悪化したり、表面架橋の進行を妨げたりすることなく、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率とのバランスに優れた吸水性樹脂が得られることを見出し、本発明を完成させた。
よって、本発明に係るポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法は、吸水性樹脂粉末に、ラジカル重合性単量体及び熱分解性ラジカル重合開始剤を含む表面架橋剤溶液を添加して、両者を混合する混合工程と、上記混合工程で得られる吸水性樹脂混合物を表面架橋重合する反応工程とを有し、上記混合工程に供給される吸水性樹脂粉末の温度が30〜90℃、及び/又は、混合工程直後の吸水性樹脂混合物の温度が30〜90℃であり、上記混合が、フルード数5以上の攪拌、又は、風速0.1m/s以上の流動によって実施され、上記熱分解性ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が、上記混合工程中の吸水性樹脂混合物の最高温度に対して±30℃以内である、製造方法である。
本発明に係る製造方法によれば、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率とのバランスに優れたポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂を、低温で、かつ、短時間で製造することができるため、生産効率の向上を図ることができる。
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲内で適宜変更、実施し得る。具体的には、本発明は下記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
〔1〕用語の定義
(1−1)「吸水性樹脂」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を指し、下記の物性を満たすものをいう。即ち、水膨潤性としてERT441.2−02で規定されるCRC(遠心分離機保持容量)が5g/g以上で、かつ、水不溶性としてERT470.2−02で規定されるExt(水可溶分)が50重量%以下を満たす高分子ゲル化剤を指す。
上記吸水性樹脂は、その用途・目的に応じて、設計が可能であり、特に限定されないが、カルボキシル基を有する不飽和単量体を架橋重合させた親水性架橋重合体であることが好ましい。また、全量が架橋重合体である形態に限定されず、上記物性(CRC、Ext)を満たす範囲内で、添加剤等を含んだ組成物であってもよい。
更に、本発明における吸水性樹脂は、出荷前の最終製品に限らず、吸水性樹脂の製造工程における中間体(例えば、重合後の含水ゲル状架橋重合体、乾燥後の乾燥重合体、粉砕後の粉砕重合体、表面架橋前の吸水性樹脂粉末等)を指す場合もあり、これら全てを包括して「吸水性樹脂」と総称する。
なお、上記吸水性樹脂の形状としては、シート状、繊維状、フィルム状、粒子状、ゲル状等、任意の形状を選択することができるが、本発明では粒子状が好ましい。
(1−2)「ポリ(メタ)アクリル酸(塩)」
本発明における「ポリ(メタ)アクリル酸(塩)」とは、ポリ(メタ)アクリル酸及び/又はその塩を指し、主成分として(メタ)アクリル酸及び/又はその塩(以下、「ポリ(メタ)アクリル酸(塩)」と称する)を繰り返し単位として含み、任意成分としてグラフト成分を含む架橋重合体を意味する。
なお、上記「主成分」とは、(メタ)アクリル酸(塩)の含有量(使用量)が、重合に用いられる単量体(内部架橋剤を除く)全体に対して、通常50〜100モル%、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%、更に好ましくは実質100モル%であることをいう。
また、架橋重合体としてのポリ(メタ)アクリル酸塩は、水溶性塩を含み、好ましくは一価の塩、より好ましくはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、更に好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩を含むものである。
(1−3)「EDANA」及び「ERT」
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(EDANA Recommended Test Methods)の略称である。本発明では、特に断りのない限り、ERT原本(2002年改定/公知文献)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
(a)「CRC」(ERT441.2−02)
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率(「吸水倍率」と称する場合もある)を意味する。
具体的には、吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して自由膨潤させ、その後、遠心分離機(250G)で水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。なお、本発明においては、含水率補正を行った値で評価する。
(b)「AAP」(ERT442.2−02)
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、吸水性樹脂の加圧下吸水倍率を意味する。
具体的には、吸水性樹脂0.9gを大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対して、1時間、2.06kPa(21g/cm、0.3psi)の荷重下で膨潤させた後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
なお、ERT442.2−02には、Absorption Under Pressureと表記されているが、実質的にAAPと同一内容である。
また、荷重条件を4.83kPa(49g/cm、0.7psi)に変更して測定する場合があり、該荷重条件下で測定した結果をAAP4.83kPaと表記する(2.06kPaで測定したAAPは、AAP2.06kPaと表記する)。なお、本発明においては、含水率補正を行った値で評価する。
(c)「Ext」(ERT470.2−02)
「Ext」は、Extractablesの略称であり、吸水性樹脂の水可溶分(水可溶成分量)を意味する。
具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで16時間攪拌した後の溶解ポリマー量(単位;重量%)のことをいう。溶解ポリマー量の測定は、pH滴定を用いて行う。
(d)「Moisture Content」(ERT430.2−02)
「Moisture Content」は、吸水性樹脂の含水率を意味する。
具体的には、吸水性樹脂4.0gを105℃で3時間乾燥した際の乾燥減量から算出した値(単位;重量%)のことをいう。なお、吸水性樹脂を1.0g、乾燥温度を180℃にそれぞれ変更して測定する場合もある。
(e)「PSD」(ERT420.2−02)
「PSD」は、Particle Size Distributionの略称であり、篩分級により測定される吸水性樹脂の粒度分布を意味する。
なお、重量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、米国特許第7638570号に記載された「(3)Mass−Average Particle Diameter (D50) and Logarithmic Standard Deviation (σζ) of Particle Diameter Distribution」と同様の方法で測定する。
(f)「Residual Monomers」(ERT410.2−02)
「Residual Monomers」は、吸水性樹脂中に残存する単量体(モノマー)量(以下、「残存モノマー」と称する)を意味する。
具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで1時間攪拌した後の溶解した残存モノマー量(単位;ppm)のことをいう。残存モノマー量の測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行う。なお、本発明においては、含水率補正を行った値で評価する。
(1−4)その他
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上、Y以下」を意味する。また、特に注釈のない限り、重量の単位である「t(トン)」は「Metric ton(メトリック トン)」を意味し、「ppm」は「重量ppm」又は「質量ppm」を意味する。更に、「重量」と「質量」、「重量部」と「質量部」、「重量%」と「質量%」はそれぞれ同義語として扱う。また、「〜酸(塩)」は「〜酸及び/又はその塩」、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」をそれぞれ意味する。
〔2〕ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法
(2−1)単量体水溶液の調製工程
本工程は、(メタ)アクリル酸(塩)を主成分として含む水溶液(以下、「単量体水溶液」と称する)を調製する工程である。なお、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下しない範囲で、単量体のスラリー液を使用することもできるが、本項では便宜上、単量体水溶液について説明を行う。
上記「主成分」とは、(メタ)アクリル酸(塩)の含有量(使用量)が、吸水性樹脂の重合反応に供される単量体(内部架橋剤は除く)全体に対して、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上(上限は100モル%)であることをいう。
((メタ)アクリル酸)
本発明では、得られる吸水性樹脂の物性及び生産性の観点から、単量体として(メタ)アクリル酸及び/又はその塩(以下「(メタ)アクリル酸(塩)」と称する)が用いられる。
上記「(メタ)アクリル酸」として、重合禁止剤や不純物等の微量成分が含有する公知の(メタ)アクリル酸を使用することができる。該重合禁止剤は、特に限定されないが、好ましくはメトキシフェノール類、より好ましくはp−メトキシフェノール類が挙げられる。また、その使用量は、(メタ)アクリル酸の重合性や吸水性樹脂の色調の観点から、好ましくは200ppm以下、より好ましくは10〜160ppm、更に好ましくは20〜100ppmである。また、(メタ)アクリル酸中の不純物については、米国特許出願公開第2008/0161512号等に記載された化合物が本発明に適用される。
また、上記「(メタ)アクリル酸塩」は、上記(メタ)アクリル酸を塩基性化合物で中和したものであるが、該(メタ)アクリル酸塩として、市販の(メタ)アクリル酸塩(例えば、アクリル酸ナトリウム)でもよいし、吸水性樹脂の製造プラント内で中和して得られたものでもよい。
(中和)
本発明の製造方法で得られるポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、吸水性能の観点から、(メタ)アクリル酸の少なくとも一部が中和された(メタ)アクリル酸(塩)を主成分とする単量体を、原料として使用することが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸の部分中和塩としては特に限定されないが、吸水性能の観点から、好ましくはアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアミン塩から選ばれる1種以上の一価塩、より好ましくはアルカリ金属塩、更に好ましくはナトリウム塩、リチウム塩及びカリウム塩から選ばれる1種以上のアクリル酸塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
上記中和は、(メタ)アクリル酸に対する中和(重合前)又は(メタ)アクリル酸を架橋重合して得られる含水ゲル状架橋重合体に対する中和(重合後)(以下、「後中和」と称する)の何れか一方を選択してもよいし、又は併用することもできる。
また、上記中和は、連続式でもバッチ式でもよく特に限定されないが、生産効率等の観点から連続式が好ましい。なお、中和を行う装置、中和温度、滞留時間等の条件については、国際公開第2009/123197号や米国特許出願公開第2008/0194863号に記載された条件が本発明にも適用される。
本発明における中和率は、単量体の酸基に対して、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは40〜85モル%、更に好ましくは50〜80モル%、特に好ましくは60〜75モル%である。該中和率が10モル%未満の場合、吸水倍率が著しく低下することがある。該中和率が90モル%を超える場合、加圧下吸水倍率の高い吸水性樹脂が得られないことがある。
上記中和率は、後中和の場合でも同様である。また、最終製品としての吸水性樹脂の中和率についても、上記中和率が適用される。
(他の単量体)
本発明において、「他の単量体」として、米国特許出願公開第2005/0215734号に記載された化合物(但し、(メタ)アクリル酸は除く)を上記(メタ)アクリル酸(塩)と併用して吸水性樹脂を製造することができる。なお、本発明に係る製造方法で得られる吸水性樹脂には、親水性又は疎水性の不飽和単量体を共重合成分とする吸水性樹脂も含まれる。
上記親水性又は疎水性不飽和単量体は、得られる吸水性樹脂の物性の観点から、全単量体に対して、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%の範囲内で用いられる。
(内部架橋剤)
本発明で使用される内部架橋剤として、米国特許第6241928号に記載された化合物が本発明にも適用される。これらの中から反応性を考慮して1種又は2種以上の化合物が選択される。
また、得られる吸水性樹脂の吸水性能等の観点から、好ましくは重合性不飽和基を2個以上有する化合物、より好ましくは下記乾燥温度で熱分解性を有する化合物、更に好ましくは(ポリ)アルキレングリコール構造単位を有する重合性不飽和基を2個以上する化合物が、内部架橋剤として用いられる。
上記重合性不飽和基として、好ましくはアリル基、(メタ)アクリレート基、より好ましくは(メタ)アクリレート基が挙げられる。また、上記(ポリ)アルキレングリコール構造単位としてポリエチレングリコールが好ましく、n数として好ましくは1〜100、より好ましくは6〜50である。
したがって、本発明では、好ましくは(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート又は(ポリ)アルキレングリコールトリ(メタ)アクリレート、より好ましくは(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが用いられる。
内部架橋剤の使用量は、物性の観点から、架橋剤を除く上記単量体に対して、好ましくは0.001〜5モル%、より好ましくは0.005〜2モル%、更に好ましくは0.01〜1モル%、特に好ましくは0.03〜0.5モル%である。該使用量を上記範囲内とすることで所望する吸水性樹脂が得られる。なお、該使用量が少なすぎる場合、ゲル強度が低下し水可溶分が増加する傾向にあり、該使用量が多すぎる場合、吸水倍率が低下する傾向にあるため、好ましくない。
本発明では、所定量の内部架橋剤を予め単量体水溶液に添加しておき、重合と同時に架橋反応する方法が好ましく適用される。一方、該手法以外に、重合中や重合後に内部架橋剤を添加して後架橋する方法や、ラジカル重合開始剤を用いてラジカル架橋する方法、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いた放射線架橋する方法等を採用することもできる。また、これらの方法を併用することもできる。
(その他、単量体水溶液に添加される物質)
本発明において、得られる吸水性樹脂の物性向上の観点から、下記の物質を単量体水溶液の調製時に添加することもできる。
具体的には、澱粉、澱粉誘導体、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)架橋体等の親水性又は吸水性の高分子を、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下(下限は0重量%)で添加したり、炭酸塩、アゾ化合物、気泡等の発泡剤、界面活性剤、キレート剤、連鎖移動剤等を、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下(下限は0重量%)で添加したりすることができる。
また、上記物質は、単量体水溶液に添加される形態のみならず、重合途中で添加される形態でもよいし、これらの形態を併用することもできる。
なお、親水性高分子として水溶性樹脂又は吸水性樹脂を使用する場合には、グラフト重合体又は吸水性樹脂組成物(例えば、澱粉−アクリル酸重合体、PVA−アクリル酸重合体等)が得られる。これらの重合体、吸水性樹脂組成物も本発明の範疇である。
(単量体成分の濃度)
本工程において、単量体水溶液を調製する際に、上記の各物質が添加される。該単量体水溶液中の単量体成分の濃度(以下、「モノマー濃度」と称する場合がある)としては特に限定されないが、吸水性樹脂の物性及び生産性の観点から、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜80重量%、更に好ましくは30〜70重量%である。
また、水溶液重合又は逆相懸濁重合を採用する場合、水以外の溶媒を必要に応じて併用することもできる。この場合、溶媒の種類は特に限定されない。
なお、上記「単量体成分の濃度」とは、下記式(1)で求められる値であり、単量体水溶液の重量には、グラフト成分や吸水性樹脂、逆相懸濁重合における疎水性溶媒の重量は含めない。
Figure 2016069418
(2−2)重合工程
本工程は、上記単量体水溶液の調製工程で得られた(メタ)アクリル酸(塩)系単量体水溶液を重合させて、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を得る工程である。
(重合開始剤)
本発明で使用される重合開始剤は、重合形態等によって適宜選択されるため、特に限定されないが、例えば、熱分解性ラジカル重合開始剤、光分解性ラジカル重合開始剤、又はこれらの重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤等が挙げられる。具体的には、米国特許第7265190号に開示された重合開始剤のうち、1種又は2種以上が用いられる。なお、重合開始剤の取扱性や吸水性樹脂の物性の観点から、好ましくは過酸化物又はアゾ化合物、より好ましくは過酸化物、更に好ましくは過硫酸塩が使用される。
上記重合開始剤の使用量は、単量体に対して、好ましくは0.0001〜1モル%、より好ましくは0.001〜0.5モル%である。また、該還元剤の使用量は、単量体に対して、好ましくは0.0001〜0.02モル%である。
なお、上記重合開始剤に代えて、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合反応を実施してもよく、これらの活性エネルギー線と重合開始剤を併用してもよい。
(重合形態)
本発明に適用される重合形態としては、特に限定されないが、吸水性能や重合制御の容易性等の観点から、好ましくは噴霧重合、液滴重合、水溶液重合、逆相懸濁重合、より好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合、更に好ましくは水溶液重合が挙げられる。中でも、連続水溶液重合が特に好ましく、連続ベルト重合、連続ニーダー重合の何れでも適用される。
具体的な重合形態として、連続ニーダー重合は米国特許第6987151号、同第6710141号等に、連続ベルト重合は米国特許第4893999号、同第6241928号、米国特許出願公開第2005/0215734号等に、それぞれ開示されている。これらの連続水溶液重合を採用することで、吸水性樹脂の生産効率が向上する。
また、上記連続水溶液重合の好ましい形態として、「高温開始重合」や「高濃度重合」が挙げられる。「高温開始重合」とは、単量体水溶液の温度を好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上、特に好ましくは50℃以上(上限は沸点)の温度で重合を開始する形態をいい、「高濃度重合」とは、単量体濃度を好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、特に好ましくは45重量%以上(上限は飽和濃度)で重合を行う形態をいう。これらの重合形態を併用することもできる。
また、本発明においては、空気雰囲気下で重合を行うこともできるが、得られる吸水性樹脂の色調の観点から、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で重合を行うことが好ましい。この場合、例えば、酸素濃度を1容積%以下に制御することが好ましい。なお、単量体水溶液中の溶存酸素についても、不活性ガスで置換(例えば、溶存酸素;1mg/l未満)しておくことが好ましい。
(2−3)ゲル粉砕工程
本工程は、上記重合工程で得られた含水ゲルを、例えば、ニーダー、ミートチョッパー等のスクリュー押し出し機、カッターミル等のゲル粉砕機でゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得る工程である。なお、上記重合工程がニーダー重合の場合、重合工程とゲル粉砕工程が同時に実施されている。また、気相重合や逆相懸濁重合等、粒子状含水ゲルが重合過程で直接得られる場合には、該ゲル粉砕工程が実施されないこともある。
ゲル粉砕工程の形態や条件については、国際公開第2011/126079号に開示される内容が、本発明に好ましく適用される。
(2−4)乾燥工程
本工程は、上記重合工程及び/又はゲル粉砕工程で得られる、含水ゲル及び/又は粒子状含水ゲル(以下、両者を合わせて「含水ゲル等」と称する場合がある)を所望する樹脂固形分まで乾燥させて乾燥重合体を得る工程である。該樹脂固形分は、乾燥減量(試料1gを180℃で3時間加熱した際の重量変化)から求められる値であり、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85〜99重量%、更に好ましくは90〜98重量%、特に好ましくは92〜97重量%である。
上記含水ゲル等の乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、流動層乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸脱水による乾燥、高温の水蒸気を利用した高湿乾燥等が挙げられる。中でも、乾燥効率の観点から、熱風乾燥が好ましく、通気ベルト上で熱風乾燥を行うバンド乾燥がより好ましい。
上記熱風乾燥における乾燥温度(熱風の温度)としては、吸水性樹脂の色調や乾燥効率の観点から、好ましくは100〜300℃、より好ましくは150〜250℃である。
なお、熱風の風速や乾燥時間等、上記乾燥温度以外の乾燥条件については、乾燥に供する含水ゲル等の含水率や総重量及び目的とする樹脂固形分に応じて、適宜設定すればよい。また、バンド乾燥を行う際には、国際公開第2006/100300号、同第2011/025012号、同第2011/025013号、同第2011/111657号等に記載される諸条件が適宜適用される。
(2−5)粉砕工程、分級工程
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体を粉砕(粉砕工程)し、所定範囲の粒度に調整(分級工程)して、吸水性樹脂粉末(表面架橋を施す前の吸水性樹脂を便宜上「吸水性樹脂粉末」と称する)を得る工程である。 本発明の粉砕工程で使用される機器としては、特に限定されないが、例えば、ロールミル、ハンマーミル、スクリューミル、ピンミル等の高速回転式粉砕機、振動ミル、ナックルタイプ粉砕機、円筒型ミキサー等が挙げられ、必要により併用される。 また、本発明の分級工程での粒度調整方法としては、特に限定されないが、例えば、JIS標準篩(JIS Z8801−1(2000))を用いた篩分級や気流分級等が挙げられる。なお、吸水性樹脂の粒度調整は、上記粉砕工程、分級工程に限定されず、重合工程(特に逆相懸濁重合や噴霧重合、液滴重合)やその他の工程(例えば、造粒工程、微粉回収工程等)で適宜実施することができる。
本発明で得られる吸水性樹脂粉末は、重量平均粒子径(D50)として、好ましくは200〜600μm、より好ましくは200〜550μm、更に好ましくは250〜500μm、特に好ましくは300〜450μmである。また、粒子径150μm未満の粒子の割合は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下であり、粒子径850μm以上の粒子の割合は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。なお、これらの粒子の割合の下限値としては、何れの場合も少ないほど好ましく、0重量%が望まれるが、0.1重量%程度でもよい。更に、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、好ましくは0.20〜0.50、より好ましくは0.25〜0.40、更に好ましくは0.27〜0.35である。なお、これらの粒度は、米国特許第7638570号やEDANA ERT420.2−02に開示されている測定方法に準じて、標準篩を用いて測定される。
上述した粒度は、表面架橋後の吸水性樹脂(以下、便宜上「吸水性樹脂粒子」と称する場合がある)のみならず、最終製品としての吸水性樹脂についても適用される。そのため、吸水性樹脂粒子において、上記範囲の粒度を維持するように、表面架橋処理(表面架橋工程)されることが好ましく、表面架橋工程以降に整粒工程を設けて粒度調整されることがより好ましい。
(2−6)表面架橋工程
本工程は、上述した工程を経て得られる吸水性樹脂粉末の表面層(吸水性樹脂粉末の表面から数10μmの部分)に、架橋密度の高い部分を重合反応によって形成する工程であり、以下の(2−6−1)〜(2−6−3)の工程から構成されている。
本工程は、1回のみの実施でもよいし、複数回繰り返して実施してもよい。
また、表面架橋されていない吸水性樹脂粉末に対して本工程を行うことが好ましいが、カルボキシル基と反応する架橋剤で表面架橋した吸水性樹脂に対して本工程を行ってもよいし、逆に、本工程の表面架橋を行った後にカルボキシル基と反応する架橋剤で表面架橋を行ってもよい。なお、カルボキシル基と反応する架橋剤での表面架橋と本発明の表面架橋とを区別するため、本発明の表面架橋を「表面架橋重合」と称する場合がある。
(2−6−1)混合工程
本発明の課題を解決するため、本発明は、混合工程において、供給される吸水性樹脂粉末の温度及び/又は混合工程直後の吸水性樹脂混合物の温度、攪拌混合時のフルード数又は流動混合時の風速、並びに、表面架橋剤溶液に含まれる熱分解性ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度をそれぞれ制御することを特徴とする。以下、混合工程における条件について詳細に述べる。
本工程は、上記吸水性樹脂粉末に表面架橋剤溶液を添加、混合して、吸水性樹脂混合物(以下、「混合物」と称する)を得る工程である。なお、該混合物は、混合工程において上記吸水性樹脂粉末と表面架橋剤溶液が接触した時点から次工程の反応工程に供給されるまでの吸水性樹脂を指すこととする。
また、本混合工程と下記反応工程は同じ装置で行うこともでき、この場合、吸水性樹脂粉末の該装置内への供給時から表面架橋剤溶液の添加終了時までの区間(期間)を混合工程とし、それ以降が反応工程となる。なお、混合装置と反応装置が別の場合、混合装置内に吸水性樹脂粉末及び表面架橋剤溶液が存在している期間が混合工程となる。
(表面架橋剤溶液)
本発明における「表面架橋剤溶液」とは、吸水性樹脂粉末と表面架橋(本発明では表面架橋重合)する化合物を含んだ溶液のことを意味し、必須成分として、ラジカル重合性単量体及び熱分解性ラジカル重合開始剤が含まれる他、任意成分として、有機系架橋剤、混合助剤、溶媒等が含まれる。なお、表面架橋効率の観点から、有機系架橋剤が含まれていることが好ましい。
上記表面架橋剤溶液は、複数回に分割して吸水性樹脂粉末に添加、混合してもよいし、組成の異なる複数の表面架橋剤溶液を別々に又は合一して吸水性樹脂粉末に添加、混合してもよい。
上記表面架橋剤溶液の使用量(複数使用する場合はその合計量)は、特に限定されないが、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0を超えて50重量部以下、より好ましくは0.1〜40重量部、更に好ましくは1〜30重量部、特に好ましくは3〜20重量部、最も好ましくは5〜15重量部である。該使用量が50重量部を超える場合、混合物の付着や詰まり等による生産性の低下や得られる吸水性樹脂の吸水性能の低下(特にCRCの極端な低下)等の原因となる虞があるため、好ましくない。
上記表面架橋剤溶液は、安定性の観点から重合禁止剤及び/又は酸素(溶存酸素)を含むことが好ましく、所定温度以下で貯蔵、調製することが好ましい。該重合禁止剤としては特に限定されないが、好ましくはフェノール類、より好ましくはメトキシフェノール類である。また、該重合禁止剤の濃度は、重合性や吸水性樹脂の色調の観点から、好ましくは1〜200ppm、より好ましくは10〜160ppmである。なお、該酸素(溶存酸素)量は、好ましくは1ppm〜飽和濃度である。
(ラジカル重合性単量体)
本発明における「ラジカル重合性単量体」とは、ラジカル重合反応が可能な化合物(モノマー)のことを指す。例えば、カチオン性不飽和単量体、ノニオン性不飽和単量体、アニオン性不飽和単量体が挙げられる。
具体的には、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のアニオン性不飽和単量体(その塩も含む);(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のノニオン性不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体(その4級塩も含む)等のカチオン性不飽和単量体が挙げられる。
上記ラジカル重合性単量体は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明において、上記ラジカル重合性単量体として、酸基を含有し、かつ、その一部が所定の中和率で中和された部分中和物であることが好ましい。該酸基としては、吸水性能の観点から、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基等が挙げられる。また、中和塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアミン塩から選ばれる1価の塩が挙げられる。中でも、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、リチウム塩及びカリウム塩から選ばれる塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。なお、該「中和率」は、全酸基に対する中和された酸基の割合(単位;モル%)のことをいう。
また、上記アニオン性不飽和単量体やその塩の中では、吸水性能の観点から、(メタ)アクリル酸(塩)、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)が好ましく、(メタ)アクリル酸(塩)がより好ましく、上述した吸水性樹脂粉末の製造に使用したものと同一の(メタ)アクリル酸(塩)及び/又は併用される他の単量体が更に好ましい。この場合、(メタ)アクリル酸(塩)の割合は、全ラジカル重合性単量体に対して、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%である。
本発明の表面架橋工程で使用されるラジカル重合性単量体が、上記部分中和物の場合、その中和率としては特に限定されず、0〜100モル%の範囲内で適宜選択される。したがって、吸水性樹脂粉末の中和率と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
なお、上記ラジカル重合性単量体の中和率は、複数のラジカル重合性単量体を使用する場合、それぞれの酸基及び中和された酸基の合計量から求められる。例えば、2種類のラジカル重合性単量体を使用する際、それぞれの酸基の合計量と中和された酸基の合計量とのモル比が1:1である場合、該ラジカル重合性単量体の中和率は50モル%となる。
本発明の表面架橋重合において、上記ラジカル重合性単量体の使用量は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部、更に好ましくは2〜10重量部、特に好ましくは3〜7重量部である。該使用量が0.1重量部未満の場合、製品としての吸水性樹脂のAAPが所望する値まで向上しない虞があるため、好ましくない。該使用量が20重量部を超える場合、製品としての吸水性樹脂のCRCが著しく低下するのみならず、残存モノマーが増大する虞があるため、好ましくない。
(熱分解性ラジカル重合開始剤)
本発明における「熱分解性ラジカル重合開始剤」とは、熱によってラジカルを発生する化合物を指し、例えば、過硫酸塩、過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。
また、上記熱分解性ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が、以下の温度条件を満たすことが要求されている。なお、該「10時間半減期温度」とは、溶液(好ましくは水溶液)中の熱分解性ラジカル重合開始剤の濃度が初期濃度の半分に減ずるまでの時間が10時間となる温度(以下、「半減期温度」と称する)のことを指す。
本発明においては、上記半減期温度が、混合工程期間中の吸水性樹脂混合物の最高温度に対して、±30℃以内、好ましくは±25℃以内、より好ましくは±20℃以内、更に好ましくは±15℃以内、特に好ましくは±10℃以内である熱分解性ラジカル重合開始剤を用いる。
かような熱分解性ラジカル重合開始剤を使用することによって、表面架橋剤溶液の添加と同時に又は混合工程中に、表面架橋重合反応が開始される。つまり、ラジカル重合性単量体等が吸水性樹脂粉末の内部に浸透する前に、吸水性樹脂粉末の表面近傍で重合反応が生じるため、吸水性樹脂粉末の表面近傍での架橋密度を高めることができる。
また、上記半減期温度は、貯蔵安定性や化学的安定性の観点から、好ましくは0〜120℃、より好ましくは20〜100℃、更に好ましくは40〜80℃である。なお、該半減期温度が低くなる(例えば、0℃未満)ほど貯蔵安定性が低下し、逆に高くなる(例えば、120℃を超える)ほど化学的安定性が増し、反応性が低下する。
上記熱分解性ラジカル重合開始剤として、具体的には、過硫酸ナトリウム(71℃/水中)、過硫酸アンモニウム(62℃/水中)、過硫酸カリウム(57℃/水中)等の過硫酸塩;過酸化水素(94℃/水中)等の過酸化物;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(56℃/水中)、2,2’−アゾビス[2−2(−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(44℃/水中)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(65℃/トルエン中)等のアゾ化合物が挙げられる。なお、上記各化合物名の後の括弧内に記載された温度/溶媒は、その化合物の該溶液中での10時間半減期温度を示す。中でも、得られる吸水性樹脂の加圧下吸水倍率や通液性、自由膨潤倍率の観点から、水溶性の熱分解性ラジカル重合開始剤が好ましく、過硫酸塩がより好ましい。
上記熱分解性ラジカル重合開始剤は、上記重合工程で使用される熱分解性ラジカル重合開始剤と同じものでもよいし、異なっていてもよい。また、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、該熱分解性ラジカル重合開始剤を2種以上併用する場合、それらのうち1種が上記範囲を満たせばよい。その際、上記範囲を満たす熱分解性ラジカル重合開始剤の割合は、使用する重合開始剤の全量に対して、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは90重量%以上であればよい。
本発明の表面架橋重合において、上記熱分解性ラジカル重合開始剤の使用量は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜2重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部である。該使用量が0.01重量部未満の場合、吸水性樹脂粉末の表面に架橋構造が効果的に導入されないため、好ましくない。該使用量が5重量部を超える場合、熱分解性ラジカル重合開始剤が吸水性樹脂中に多量に残存したり、吸水性樹脂の色調の悪化や吸水性能の低下を招いたりするため、好ましくない。
本発明では、上記熱分解性ラジカル重合開始剤に加えて、半減期温度が120℃を超える熱分解性ラジカル重合開始剤や光重合開始剤を0〜50重量%の範囲内で併用することもできる。
上記半減期温度が120℃を超える熱分解性ラジカル重合開始剤として、具体的には、クメンハイドロパーオキサイド(商品名:パークミル(登録商標)H/日本油脂株式会社製)(158℃/ベンゼン中)、t−ブチルハイドロパーオキサイド(商品名:パーブチル(登録商標)H/日本油脂株式会社製)(167℃/トルエン中)等が挙げられる。また、光重合開始剤として、具体的には、ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(商品名:イルガキュア(登録商標)184/チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)(商品名:イルガキュア(登録商標)2959/チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)等が挙げられる。
(有機系架橋剤)
本発明における「有機系架橋剤」とは、上記重合工程で使用される内部架橋剤のうち、有機系の架橋剤、つまり、ラジカル重合性単量体及び/又はカルボキシル基と反応し得る官能基を複数個有する架橋剤を指す。例えば、(メタ)アクリレート基や(メタ)アクリルアミド基を複数個有する架橋剤、(メタ)アクリレート基及びカルボキシル基と反応し得る官能基をそれぞれ1個以上有する架橋剤、カルボキシル基と反応しうる官能基を複数個有する架橋剤が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート基や(メタ)アクリルアミド基を複数個有する架橋剤として、具体的には、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールアクリレートメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールアクリレートメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート基及びカルボキシル基と反応し得る官能基をそれぞれ1個以上有する架橋剤として、具体的には、グリシドール、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートに炭酸ガスを反応させてエポキシ環をエチレンカーボネート環にした架橋剤等が挙げられる。
上記カルボキシル基と反応し得る官能基を複数個有する架橋剤として、具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多価グリシジルエーテル;プロパンジオール、プロピレングリコール等の多価アルコール;オキサゾリジノン、ジオキサゾリジノン等のオキサゾリジノン、等が挙げられる。
なお、エポキシ基やエチレンカーボネート基等の環状官能基は、個数が1つであっても、例えば、カルボキシル基との開環反応によって水酸基やアミノ基を生成した後に、別のカルボキシル基と反応し得る。つまり、1つの環状官能基は2箇所の反応点を有することになり、複数のカルボキシル基と反応する架橋剤ということができる。したがって、本発明では、上記環状官能基を有する架橋剤を、カルボキシル基と反応し得る官能基を複数個有する架橋剤に分類する。
本発明において、上記有機系架橋剤は任意で使用されるが、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、重合工程と同じ有機系架橋剤であってもよいし、異なっていてもよい。更に、アルミニウム塩等の多価金属塩を無機系架橋剤として併用してもよい。
本発明において、上記有機系架橋剤の分子量は、好ましくは5000未満、より好ましくは500未満、更に好ましくは200未満である(下限値は通常50)。該有機系架橋剤の官能基が同じである場合、分子量が小さいほうが架橋効率に優れるため、好ましい。また、分子量が大きすぎる(特に5000以上)場合、吸水性樹脂粉末の表面から有機系架橋剤が浸透し難くなり、表面架橋の効率が低下したり、残存架橋剤量が増加したりするため、好ましくない。
本発明の表面架橋重合において、上記有機系架橋剤を使用する場合、その使用量は、用いられる化合物の種類やその組み合わせ等に拠るため、特に限定されないが、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜1重量部である。該使用量が0.01重量部未満の場合、製品としての吸水性樹脂のAAPが所望する値まで向上しない虞があるため、好ましくない。該使用量が5重量部を超える場合、製品としての吸水性樹脂のCRCが著しく低下するのみならず、コストアップとなるため、好ましくない。
また、上記無機系架橋剤を使用する場合、その使用量としては、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜1重量部である。
本発明においては、有機系架橋剤を使用するほうがラジカル重合性単量体及び熱分解性ラジカル重合開始剤の使用量を少なくすることができるため、好ましい。
(溶媒)
本発明では、上述したラジカル重合性単量体及び熱分解性ラジカル重合開始剤等を吸水性樹脂粉末に添加、混合する際、これらの化合物を溶媒に溶解又は分散させた形態とすることが好ましい。つまり、表面架橋剤溶液として、吸水性樹脂粉末に添加、混合することが好ましい。
上記溶媒は、ラジカル重合性単量体及び熱分解性ラジカル重合開始剤等の溶解度、溶媒の安全性、吸水性樹脂の吸水性能等の観点から、水が好ましい。表面架橋剤水溶液とすることで、これらの化合物を吸水性樹脂粉末の表面に均一に分散、浸透させ、均一に混合することができる。
上記溶媒として水を使用する場合、表面架橋剤水溶液中の水の量としては、特に限定されないが、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部である。該水の量が1重量部未満の場合、ラジカル重合性単量体及び熱分解性ラジカル重合開始剤等が表面架橋剤水溶液に溶解しない虞がある。更に、表面架橋剤が吸水性樹脂粉末に浸透し難くなる虞もあるため、好ましくない。該水の量が20重量部を超える場合、表面架橋剤が吸水性樹脂粉末の内部に浸透してしまい、吸水性樹脂の吸水性能が低下したり、取扱性が悪化したりするため、好ましくない。なお、上記表面架橋剤水溶液には、溶解性や浸透性を損なわない範囲で他の溶媒や他の成分(例えば、下記混合助剤等)を含むこともできる。
本発明において、上記溶媒を使用する場合、ラジカル重合性単量体の濃度(全表面架橋剤溶液中の濃度)としては、上記使用量を満たしていればよく特に限定されないが、好ましくは0.5〜95重量%、より好ましくは1〜90重量%、更に好ましくは10〜80重量%である。該濃度が0.5重量%未満の場合、製品としての吸水性樹脂のAAPが所望する値まで向上しない虞があるため、好ましくない。該濃度が95重量%を超える場合、製品としての吸水性樹脂の残存モノマーが増大する虞があるため、好ましくない。
(混合助剤)
本発明において、上記吸水性樹脂粉末と上記表面架橋剤溶液との混合性を向上させるため、上記表面架橋剤溶液の一成分として混合助剤を用いることもできる。該混合助剤の使用によって、吸水性樹脂粉末の凝集を防止し、吸水性樹脂粉末と表面架橋剤溶液とを均一に混合することができる。その結果、表面架橋構造の形成が均等となり、吸水性能(特にAAP)が向上する。
なお、本発明における「混合助剤」とは、吸水性樹脂粉末の水による凝集を防止し、表面架橋剤溶液との混合性を向上させる化合物を指し、例えば、界面活性剤、水溶性高分子、親水性有機溶媒、水溶性無機化合物、無機酸(塩)及び有機酸(塩)等が挙げられる。
上記界面活性剤として具体的には、HLBが7以上の非イオン性界面活性剤又はアニオン系界面活性剤が挙げられる。更に詳細には、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアシルエステル、ショ糖脂肪酸エステル、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルポリオキシエチレンサルフェート塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。中でも、混合助剤としての効果の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく使用される。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、その数平均分子量として、好ましくは200〜100,000、より好ましくは500〜10,000である。該数平均分子量が200以上であれば、混合助剤としての効果が得られるため、好ましい。該数平均分子量が100,000以下であれば、表面架橋剤溶液への溶解度が十分に確保でき、かつ、表面架橋剤溶液の粘度上昇も抑えることができ、結果として、吸水性樹脂粉末との混合性が十分に確保できるため、好ましい。
上記水溶性高分子として具体的には、その数平均分子量が好ましくは200〜100,000、より好ましくは500〜10,000である水溶性高分子が挙げられる。更に詳細には、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、デンプン等が挙げられる。中でも、混合助剤としての効果の観点から、ポリエチレングリコールが好ましく使用される。 上記親水性有機溶媒として具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジオキサン、アルコキシ(ポリ)エチレングリコール、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ε−カプロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキサイド等のスルホキサイド類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類;等が挙げられる。
上記水溶性無機化合物として具体的には、塩化ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム等のアルカリ金属塩;塩化アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、塩化カルシウム、アルコキシチタン、炭酸ジルコニウムアンモニウム、酢酸ジルコニウム等の多価金属塩;炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素塩等の非還元性アルカリ金属塩等が挙げられる。
上記無機酸(塩)として具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、炭酸、ホウ酸、及びこれらの塩(例えば、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩)等が挙げられる。
上記有機酸(塩)として具体的には、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、及びこれらの塩(例えば、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩)等が挙げられる。
上述した混合助剤の中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、水溶性多価金属塩、塩化ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸、塩酸が好ましく使用される。上記混合助剤は、任意で使用されるが、1種のみ単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明において、上記混合助剤を使用する場合、その添加量は、吸水性樹脂粉末の水による凝集を防止し、表面架橋剤溶液との混合性を向上できれば特に限定されないが、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0.0001〜20重量部、より好ましくは0.001〜10重量部、更に好ましくは0.005〜5重量部、特に好ましくは0.01〜1重量部である。
上記混合助剤は、他の表面架橋剤溶液の成分と同時に又は別々に添加することができる。なお、別々に添加する場合、混合助剤を先に添加するほうが、混合効率の観点から好ましい。また、別々に添加する場合でも、その合計量が表面架橋剤溶液の量となる。
また、上記多価アルコール類や多価金属塩等の化合物は、反応条件下で表面架橋剤として作用させてもよく、非反応条件下で混合助剤として作用させてもよい。また、これらの作用を併用してもよい。
(表面架橋剤溶液の添加方法)
本発明において、上記表面架橋剤溶液の添加方法は、特に限定されないが、ラジカル重合性単量体、熱分解性ラジカル重合開始剤、有機系架橋剤及び溶媒を別個に、又はこれらの混合物を予め用意した後に、吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは噴霧又は滴下して、より好ましくは噴霧して、混合すればよい。
また、上記表面架橋剤溶液は、成分ごとに別々に添加してもよく、各成分のいくつかを合一した後に添加してもよい。また、1箇所からの添加でも、複数箇所に分割して添加してもよい。なお、分割添加の場合、それらの合計量が表面架橋剤溶液の量となる。
上記表面架橋剤溶液の添加時の液温度としては、表面架橋剤溶液が凍結したり、成分が沈殿や分離を生じたりしない温度以上で、使用される熱分解性ラジカル重合開始剤の半減期温度以下であればよい。
具体的には、熱分解性ラジカル重合開始剤の種類にもよるが、好ましくは99℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは50℃以下、特に好ましくは30℃以下である(下限値は0℃以上)。
(混合条件)
本工程での混合は、「フルード数が5以上の攪拌」又は「風速が0.1m/s以上の流動」によって実施される。
上記混合が攪拌(回転攪拌)によって実施される場合、その混合条件として混合装置のフルード数を5以上、好ましくは6以上、より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上、特に好ましくは9以上、最も好ましくは10以上とする。上限値としては、特に限定されないが、好ましくは10000以下、より好ましくは1000以下である。該フルード数を上記範囲内に制御することで、より均一に混合することができ、製品としての吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率のバランスに優れたものとなる。該フルード数が5未満の場合、吸水性樹脂粉末の温度が高くなるほど、均一に混合することができなくなり、物性が低下する。また、混合時間は、好ましくは1秒〜60分、より好ましくは10秒〜30分、更に好ましくは20秒〜10分、特に好ましくは30秒〜1分である。
なお、上記「フルード数」とは、下記式1から算出される値であり、流体の慣性力と重力との比を表す無次元数である。
Figure 2016069418
式(1)中、Frはフルード数、ωは、角振動数(rad/s)rは、混合器具の半径(m)gは、重力加速度(m/s)Nは、混合器具の回転数(rpm)を表す。
上式(1)中の「混合器具」とは、混合装置での材料の攪拌を担う部位を意味する。したがって、混合器具の半径は、攪拌羽根の半径や攪拌容器の(回転)半径で規定される。また、半径や形状が異なる複数の攪拌羽根を有する混合装置を使用する場合、最大半径を示す混合器具の半径で規定する。
上記混合器具の回転数は、一定でも変化させてもよい。変化させる場合には、上記混合期間(区間)に対して、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは100%が、上記フルード数を満たす範囲内に調整されることが好ましい。
上記混合が流動によって実施される場合、その混合条件として混合装置に導入される風速を0.1m/s以上、好ましくは0.2m/s以上、より好ましくは0.3m/s以上、更に好ましくは0.5m/s以上とする。上限値としては、特に限定されないが、好ましくは10m/s以下、より好ましくは5m/s以下、更に好ましくは3m/s以下である。該風速を上記範囲内に制御することで、より均一に混合することができ、製品としての吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率のバランスに優れたものとなる。
なお、上記混合装置に導入される気体としては、特に限定されないが、空気、不活性ガス、水蒸気等から適宜選択すればよく、これらの気体を混合したものでもよい。
また、吸水性樹脂粉末と表面架橋剤溶液との混合が気相中で流動しながら行われ、吸水性樹脂粉末や吸水性樹脂混合物が後述の温度範囲を満たす限り、混合工程でのその他の混合条件に特に制限はない。したがって、任意の風温、層高、混合時間等が選択されるが、好ましくは、風温は0〜100℃、層高は0.01〜10m、混合時間は1秒〜60分である。
(混合装置)
本発明において、上記混合の際、使用する混合装置としては、特に限定されないが、例えば、円筒型混合機、二重壁円錐型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、ロータリーディスク混合機、双腕型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機、流動層型混合機、気流型混合機等が挙げられる。
中でも、上記混合が攪拌で実施される場合、好ましくは高速攪拌型混合装置、縦型回転円盤型混合装置、より好ましくは高速攪拌型連続混合装置、更に好ましくは横型又は縦型の高速攪拌型連続混合装置が使用される。
具体的には、シュギミキサーやタービュライザー(何れもホソカワミクロン社製)、レディゲミキサー(レディゲ社製)、フロージェットミキサー(粉研パウテックス社製)等が挙げられる。
上記混合装置は、連続式であっても回分(バッチ)式であってもよいが、生産性の観点から、連続式の混合装置が好ましい。また、上記混合装置は、室温であっても、加温されていても良いが、吸水性樹脂粉末の温度及び/又は吸水性樹脂混合物の温度の観点から、混合装置の内壁面を加温していることが好ましい。
上記混合装置内において、吸水性樹脂粉末と表面架橋剤溶液は気相中で混合されることが好ましい。
(吸水性樹脂粉末)
本発明において、吸水性樹脂混合物の含水率を好ましくは1〜30重量%、より好ましくは3〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%となるように、上記表面架橋剤溶液の使用量を上記範囲内に制御することが望まれる。該含水率が1重量%未満の場合、ラジカル重合性単量体や熱分解性ラジカル重合開始剤等、表面架橋を形成する成分が吸水性樹脂粉末の内部に浸透し難くなり、残存量が増大するため、好ましくない。該含水率が30重量%を超える場合、逆に表面架橋を形成する成分が吸水性樹脂粉末の内部に深く浸透し易くなり、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率とのバランスが悪化する他、取扱性も悪化するため、好ましくない。なお、上記含水率は、次の反応工程でも適用される。その場合、上記範囲内となるように、表面架橋重合の反応条件を制御することが望まれる。
本発明においては、上記混合工程に供給される吸水性樹脂粉末の温度、及び/又は、混合工程直後の吸水性樹脂混合物の温度を、下記の温度範囲とする。具体的には、何れの温度も30〜90℃、好ましくは40〜80℃、より好ましくは45〜75℃、更に好ましくは50〜70℃とする。該温度を上記範囲内に制御することで、表面架橋剤溶液の添加と同時に又は混合工程中に、表面架橋重合反応を開始することができる。その結果、ラジカル重合性単量体等が吸水性樹脂粉末の内部に浸透する前に架橋重合反応がおこり、表面近傍での架橋密度が高くなるため、好ましい。
また、本工程において、吸水性樹脂混合物の最高温度は、好ましくは30〜90℃、より好ましくは40〜80℃、さらに好ましくは50〜70℃である。該最高温度を上記温度範囲内に制御することで、熱分解性ラジカル重合開始剤が効率よく分解し、表面架橋重合反応が進行しやすくなるため、好ましい。なお、上記「吸水性樹脂混合物の最高温度」とは、吸水性樹脂粉末が混合工程に供給されてから、表面処理剤溶液を添加・混合され、混合工程終了までの間における最高温度のことをいい、混合工程中に吸水性樹脂混合物は加熱されても冷却されてもよい。
即ち、本工程において、吸水性樹脂混合物が加熱され続ける場合、上記最高温度は混合工程終了直前の吸水性樹脂混合物の温度となり、冷却され続ける場合、上記最高温度は混合工程に供給される吸水性樹脂粉末の温度となる。なお、混合工程中に吸水性樹脂混合物の温度が上下してもよい。
本発明において、混合工程に供給される吸水性樹脂粉末の温度を、上記範囲内に制御する方法としては、上述した乾燥工程で得られた乾燥重合体を保温したまま粉砕・分級して、該温度を上記範囲内に制御してもよいし、一旦上記温度範囲外まで冷却し、その後、吸水性樹脂粉末を再び加熱して、該温度を上記範囲内としてもよい。そのとき、吸水性樹脂粉末の加熱方法としては、特に限定されないが、上記乾燥工程や下記反応工程に記載の加熱方法と装置が好ましく使用される。
(ラジカル重合性単量体の反応率)
本工程において、表面架橋剤溶液中のラジカル重合性単量体は、吸水性樹脂粉末に添加された後、混合工程中に架橋重合反応する。その反応率は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以上である。
本発明の製造方法において、吸水性樹脂の物性が向上する反応機構の詳細は明らかではないが、上述したように混合工程で所定以上の重合が進行すること、すなわち、ラジカル重合性単量体が混合工程中において10重量%以上反応することによって、ラジカル重合性単量体等が粒子内部に浸透する前に表面架橋重合し、吸水性樹脂粉末の表面の架橋密度が高くことによる物性向上とも推定されるが、反応機構は本発明を制約しない。
(2−6−2)反応工程
本工程は、上記混合工程で得られた混合物(吸水性樹脂粉末と、ラジカル重合性単量体及び熱分解性ラジカル重合開始剤等を含む表面架橋剤溶液との混合物)を架橋重合反応させて、反応物(以下、「吸水性樹脂粒子」と称する場合もある)を得る工程である。
本工程において、ラジカル重合性単量体及び熱分解性ラジカル重合開始剤を含む表面架橋剤溶液が重合すればよく、その重合率は好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは99モル%以上となるまで反応すればよい。
本工程において、熱分解性ラジカル重合開始剤を分解させて表面架橋重合させるためには、加熱及び/又は活性エネルギー線(好ましくは紫外線)照射が行われる。また、紫外線照射の輻射熱を利用して吸水性樹脂混合物を加熱してもよい。
上記架橋重合反応させるための加熱や活性エネルギー線照射は、何れか一方でも、併用してもよいが、本発明の効果を最大限に発揮するためには、下記加熱を行うことが好ましい。
なお、上記混合工程と反応工程との間に、反応を伴わない貯蔵工程や攪拌工程を必要に応じて設けて、反応工程に供する前に表面架橋剤溶液を吸水性樹脂粉末に浸透又は拡散させてもよい。
(反応装置)
本工程が加熱によって行われる場合、用いられる反応装置として、上記混合工程で用いられる混合装置と同じ仕様の装置を使用してもよいが、好ましくは別仕様の装置が使用される。
具体的には、公知の乾燥機又は加熱炉に、気体供給機構及び/又は気体排出機構(以下、「気体供給・排出機構」と称する場合がある)を具備した装置を使用することが好ましい。該気体供給・排出機構によって、反応装置内の気相部温度や気相部露点を制御することが可能となる。また、該反応装置は、連続式であっても回分(バッチ)式であってもよいが、生産性の観点から、連続式の反応装置がより好ましい。
上記反応装置がバッチ式の場合、1枚又は複数枚のトレーや多孔板等に混合物を実質的に均等に分散させて加熱する方法や、攪拌翼等が設置された単槽又は複数の槽に混合物を充填させて攪拌しながら加熱する方法、流動層で混合物を攪拌しながら加熱する方法等で、表面架橋重合反応が行われることが好ましい。
上記反応装置が連続式の場合は、ベルトや多孔板等の上に混合物を実質的に均等に分散させて移送しながら加熱する方法、攪拌翼やスクリュー等で混合物を攪拌させて移送しながら加熱する方法、加熱面の傾斜を利用して混合物を移送させながら加熱する方法等で、表面架橋重合反応が行われることが好ましい。
上記反応装置における加熱方式は、特に限定されないが、例えば、伝導伝熱型、輻射伝導型、熱風伝熱型、誘電加熱型等が挙げられる。これらの中でも、伝導伝熱型及び/又は熱風伝熱型が好ましく、伝導伝熱型がより好ましい。また、これらの熱源としては、特に限定されないが、例えば、高圧スチーム(加圧水蒸気)、温水、ナイター(溶融塩)、オイル等が挙げられる。これらの中から、目的等に応じて、適宜選択すればよいが、高圧スチーム(加圧水蒸気)を熱源とする伝導伝熱型反応装置が特に好ましい。
上記反応装置は、特に連続式の場合、加熱効率や均一な表面架橋重合反応の観点から、混合物を攪拌及び/又は流動させる機構(以下、「攪拌・流動機構」と称する場合がある。)を更に具備した装置であることが好ましい。
上記攪拌・流動機構としては、特に限定されないが、例えば、溝型攪拌型、スクリュー型、回転型、円盤型、捏和型、流動層型等が挙げられる。中でも、攪拌翼(パドル)による攪拌型や、回転レトルト炉等の伝熱面自体が可動する攪拌型が好ましく、パドル型反応装置が特に好ましい。
本工程が、活性エネルギー線の照射や、加熱と活性エネルギー線照射の併用によって行われる場合も、反応装置としては上記装置が好ましく用いられる。
(反応条件)
本工程においては、上記混合工程中の吸水性樹脂混合物の最高温度よりも高い温度にまで加熱される。該温度としては、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは30℃以上、高くする。反応工程の上限温度については、特に限定されないが、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下で吸水性樹脂混合物が加熱される。
本工程において、上記混合工程中の吸水性樹脂混合物の最高温度よりも高い温度で加熱することによって、未反応のラジカル重合性単量体を効率よく反応させることができる。また、反応時間は、好ましくは1〜60分、より好ましくは3〜50分、更に好ましくは5〜40分、特に好ましくは10分〜30分である。
活性エネルギー線の照射によって表面架橋重合反応を行う場合、用いられる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、ガンマー線の1種又は2種以上が挙げられる。これら活性エネルギー線の中でも、紫外線、電子線が好ましい。活性エネルギー線の人体への影響を考慮すると、好ましくは紫外線、更に好ましくは波長300nm以下、特に好ましくは波長180〜290nmの紫外線である。照射条件は、紫外線を用いる場合には、好ましくは、照射強度が3〜1000mW/cm、照射量が100〜10000mJ/cmである。
紫外線を照射する装置としては、特に限定されないが、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。紫外線が照射される限り、特に前記波長範囲の紫外線が照射される限り、他の放射線や波長を含んでもよく、その手法は特に限定されるものではない。
なお、電子線を用いる場合には、好ましくは加速電圧を50〜800kV、吸収線量が0.1〜100Mradとする。活性エネルギー線を照射する時間は、処理する吸水性樹脂の量に依存するが、好ましくは0.1分以上60分未満、より好ましくは0.5分以上20分未満、更に好ましくは0.5分以上5分未満、特に好ましくは1分以上3分未満である。
(2−6−3)冷却工程
本工程は、上記表面架橋重合反応の停止や次工程への搬送等を目的として、表面架橋重合反応後に実施される任意の工程である。
本発明において、上記反応工程で得られた吸水性樹脂粒子を短時間で冷却工程に供することが好ましく、その時間としては、好ましくは0秒を超えて3分以内、より好ましくは0秒を超えて2分以内、更に好ましくは0秒を超えて1分以内、特に好ましくは0秒を超えて30秒以内である。該時間は、上記反応工程での加熱装置と冷却工程での冷却装置との直結や短距離(例えば、10m以内)での接続等、両装置のレイアウト等によって制御することができる。
本発明において、冷却工程を行う場合、該工程で使用される冷却装置としては、特に限定されないが、伝面や気流等による冷却機能を備えた攪拌装置又は流動装置等が挙げられる。
具体的には、上記反応工程で好ましく使用されるパドル型加熱装置と同一形式の装置において、熱媒を冷媒に変更することで冷却装置として使用することができる。なお、該装置の大きさは冷却効率等を考慮して適宜設定すればよく、必ずしも反応装置と同一の大きさにする必要はない。
上記冷却装置の冷媒としては、特に限定されないが、例えば、水、温水、不凍液等が挙げられる。また、冷却温度(ジャケット等の伝熱面温度)としては、好ましくは0〜90℃、より好ましくは20〜85℃、更に好ましくは40〜80℃である。
(2−7)添加工程
本工程は、吸水性樹脂の物性向上等を目的とする添加剤の添加工程であり、必要に応じて実施される任意の工程である。
本発明において、本工程は、用いられる添加剤の性質により適宜実施することができる。例えば、添加剤が表面架橋剤溶液と反応する虞のある場合や、加熱による影響を受ける虞のある場合等は、上記反応工程後又は上記冷却工程が設置される場合、冷却工程後又は冷却工程と兼用(同一装置で冷却と同時に添加剤を添加)することができる。
また、冷却工程が設置されない場合、添加剤の添加装置としては特に限定されないが、好ましくは攪拌装置又は流動装置が挙げられ、該攪拌装置として、国際公開第2008/141821号に記載の攪拌混合機についても好ましく使用することができる。
(添加剤)
本発明において、得られる吸水性樹脂に対して、種々の付加機能を付与させるため、以下の添加剤を添加することが好ましく、該添加剤を溶解又は分散させた水性液状態で添加することがより好ましい。
上記添加剤としては、特に限定されないが、例えば、消臭剤、抗菌剤、着色防止剤、キレート剤、無機の一価塩又は多価塩、酸性化合物、還元剤、アルカリ性化合物、界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、水溶性添加剤が好ましく、キレート剤、無機還元剤、多価金属塩、消臭剤から選ばれる水溶性添加剤がより好ましい。これらの添加剤の中から、目的に応じて1種類又は2種類以上が選択される。
具体的には、得られる吸水性樹脂の着色防止や劣化防止(耐尿性)の観点から、キレート剤の添加が好ましい。当該キレート剤としては、例えば、国際公開第2011/040530号の「〔2〕キレート剤」に開示された各種のキレート剤及びその使用量が、本発明にも適用される。中でも、水溶性非高分子のアミノ多価カルボン酸又はアミノ多価リン酸及びその塩(特に一価塩)が好ましい。
また、得られる吸水性樹脂の着色防止や劣化防止、残存モノマー低減の観点から、無機還元剤の添加が好ましい。当該無機還元剤としては、例えば、国際公開第2011/040530号の「〔3〕無機還元剤」に開示された各種の無機還元剤及びその使用量が、本発明にも適用される。中でも、水溶性リン系還元剤又は硫黄系還元剤が好ましく、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)等の亜硫酸塩がより好ましい。
更に、得られる吸水性樹脂の吸水速度(Vortex)の向上や通液性(SFC)向上、吸湿時の流動性の観点から、無機塩、特に多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマーの添加が好ましい。当該多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマーとしては、例えば、国際公開第2011/040530号の「〔7〕多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマー」に開示された各種の多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマー、及びそれらの使用量が、本発明にも適用される。中でも、アルミニウムの無機塩が好ましい。
また、上記消臭剤としては、特に限定されないが、合成又は天然の消臭剤が挙げられる。具体的には、国際公開第2003/104349号に開示された植物成分由来の消臭剤が好ましく使用される。更に具体的には、タンニン等のポリフェノール類が挙げられる。
上記添加剤を水性液状態で使用する際、その濃度は、総量として、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.1〜40重量%、更に好ましくは1〜30重量%である。また、吸水性樹脂に対する添加量についても、目的等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、総量として、好ましくは1ppm〜10重量%、より好ましくは10ppm〜1重量%、更に好ましくは20ppm〜0.5重量%である。
(2−8)添加後の工程(整粒工程等)
水性液の添加後に別途、水分調整や粉体流動性の向上のため、部分的に乾燥又は加熱してもよい。硬化工程や乾燥の有無に係らず、加熱することで混合した水分が吸水性樹脂内部に浸透して粉体流動性を向上させることができ、その後の製造工程や貯蔵や製品充填に好適である。
なお、本発明では、水性液を、反応工程中及び/又は反応工程以降の工程において添加することによって、吸水性樹脂粒子の粒子径や嵩比重、添加剤の種類等にもよるが、水分が吸水性樹脂内部に浸透して粉体流動性を有するため、硬化工程を必要とせず、結果、プロセスの簡略化やプロセスダメージによる物性低下を抑えることができる。
また、表面架橋重合反応後や水性液添加後に凝集物の発生や粒度変化が見られることもあるため、分級工程及び任意に凝集物の解砕工程(あわせて整粒工程と呼ぶ)を設けてもよい。好ましくは整粒工程が設けられ、更に好ましくは、分級工程で凝集物(粗大粒子)又は微粉が除去される。分級工程で除去された凝集物又は微粉(特に150μm未満の粒子)は廃棄してもよく、凝集物の解砕(凝集物をほぐす操作)又は微粉リサイクルをしてもよい。
(2−9)その他の工程
本発明においては、上述した工程以外に、蒸発モノマーのリサイクル工程、造粒工程、微粉リサイクル工程等を必要に応じて設けることができる。また、輸送工程、貯蔵工程、梱包工程、保管工程等の1種又は2種以上の工程を更に含んでもよい。
更に、経時色調安定性効果やゲル劣化防止効果等のため、酸化剤、キレート剤、酸化防止剤、水、多価金属化合物、シリカや金属石鹸等の水不溶性無機又は有機粉末、消臭剤、抗菌剤、高分子ポリアミン、パルプや熱可塑性繊維等を、吸水性樹脂100重量部に対して、好ましくは0〜3重量部、より好ましくは0〜1重量部、添加する工程を設けてもよい。
〔3〕ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂の物性
本発明に係る製造方法で得られるポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、衛生物品、特に紙オムツへの使用を目的とする場合、下記(3−1)〜(3−6)に掲げた物性のうち、少なくとも1つ以上、好ましくはAAPを含めた2つ以上、より好ましくはAAPを含めた3つ以上、更に好ましくは全ての物性を、所望する範囲に制御することが望まれる。
本発明の吸水性樹脂において、制御される物性は、下記(3−1)〜(3−6)以外に、FSC(自由膨潤倍率)、pH、Flow Rate(流下速度)、Density(嵩比重)、Respirable Particles(呼吸域粉塵)、Dust(粉塵)等が挙げられるが、下記に示した範囲を満たさない場合、本発明の効果が十分に得られず、紙オムツ1枚当たりの吸水性樹脂使用量が多い高濃度紙オムツにおいて、十分な性能を発揮しない虞がある。
また、本発明に係る製造方法で得られるポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、その形状について特に限定されないが、好ましくは粒子状である。本項においては、好ましい態様である粒子状の吸水性樹脂について、その物性を説明する。なお、下記の物性は、特に断りのない限り、EDANA法に準拠して測定した。
(3−1)CRC(遠心分離機保持容量)
本発明の吸水性樹脂のCRC(遠心分離機保持容量)は、含水率補正後の値として、好ましくは33g/g以上、より好ましくは34g/g以上、更に好ましくは35g/g以上、特に好ましくは36g/g以上を示す。また、上限値としては特に限定されないが、他の物性とのバランスから好ましくは50g/g以下、より好ましくは45g/g以下、更に好ましくは40g/g以下であればよい。
(3−2)AAP(加圧下吸水倍率)
本発明の吸水性樹脂のAAP(AAP2.06kPa)は、含水率補正後の値として、好ましくは20g/g以上、より好ましくは25g/g以上、更に好ましくは30g/g以上、特に好ましくは32g/g以上、最も好ましくは33g/g以上を示す。また、上限値としては特に限定されないが、他の物性とのバランスから好ましくは40g/g以下であればよい。
また、本発明の吸水性樹脂のAAP(AAP4.83kPa)は、含水率補正後の値として、好ましくは18g/g以上、より好ましくは19g/g以上、更に好ましくは20g/g以上、更により好ましくは21g/g以上、特に好ましくは22g/g以上、最も好ましくは23g/g以上を示す。また、上限値としては特に限定されないが、他の物性とのバランスから好ましくは30g/g以下であればよい。
上記AAP2.06kPa及びAAP4.83kPaの値が上記下限値未満の場合、吸収体に圧力が加わった際の液の戻り量(通常、「Re−Wet(リウェット)」と称する)が多くなり、紙オムツ等の衛生用品の吸収体として適さない。なお、AAP2.06kPa及びAAP4.83kPaは、粒度や表面架橋剤溶液の組成や使用量で制御することができる。
(3−3)含水率
本発明の吸水性樹脂の含水率は、好ましくは3〜15重量%、より好ましくは4〜12重量%、更に好ましくは5〜10重量%を示す。当該含水率を上記範囲とすることで、微粉の発生量が少なく、耐ダメージ性に優れた吸水性樹脂を得ることができる。更に、生産性を向上させることもできる。
(3−4)Ext(水可溶分)
本発明の吸水性樹脂のExt(水可溶分)は、好ましくは35重量%以下、より好ましくは25重量%以下、更に好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%以下を示す。Ext(水可溶分)は、上述した重合条件(架橋剤量等)や乾燥条件(乾燥温度)等で制御することができる。
(3−5)残存モノマー
本発明の吸水性樹脂の残存モノマーは、安全性の観点から、含水率補正後の値として、好ましくは500ppm以下、より好ましくは400ppm以下、更に好ましくは300ppm以下を示す。上記残存モノマーを上記範囲に制御することで、皮膚等への刺激が軽減される吸水性樹脂を得ることができる。
(3−6)粒度
本発明の吸水性樹脂の粒度(粒度分布(PSD)、重量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ))は、表面架橋前の吸水性樹脂粉末と同様の範囲に制御される。
〔4〕ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂の用途
本発明のポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、特に限定されないが、高吸水倍率で高加圧下吸水倍率であるため、好ましくは衛生材料として使用され、特に紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パット等の衛生用品の吸収体用途として、使用される。特に、原料由来の臭気や着色等が問題となっていた高濃度紙オムツの吸収体に使用した場合、更には上記吸収体の上層部に使用される場合に、顕著な効果が期待できる。
また、上記吸収体は、任意成分としてパルプ繊維等の吸収性材料を含む場合もある。この場合、吸収体中の吸水性樹脂の含有量(コア濃度)としては、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは40〜100重量%、更に好ましくは50〜100重量%、更により好ましくは60〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%、最も好ましくは75〜95重量である。
上記コア濃度を上記範囲とすることで、該吸収体を吸収性物品の上層部に使用した場合、吸収性物品が清浄感のある白色状態を保つことができる。更に、尿や血液等の体液等の拡散性に優れるため、効率的な液分配によって吸収量の向上が見込める。
以下の実施例・比較例に従って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの説明に限定解釈されるものではなく、各実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も、本発明の範囲に含まれるものとする。
なお、実施例及び比較例で使用する電気機器(吸水性樹脂の物性測定も含む)は、特に注釈のない限り、200V又は100Vの電源を使用した。また、本発明の吸水性樹脂の諸物性は、特に注釈のない限り、室温(20〜25℃)、相対湿度50%RH±10%の条件下で測定した。
また、便宜上、「リットル」を「l」又は「L」、「重量%」を「wt%」と表記する場合がある。更に、微量成分の測定において、検出限界以下を「N.D」(Non Detected)と表記する。
[吸水性樹脂の物性測定]
(a)含水率
本発明の吸水性樹脂の含水率は、EDANA法(ERT430.2−02)に準拠して測定した。
なお、本発明においては、試料量を1.0g、乾燥温度を180℃にそれぞれ変更して測定した。また、(100−含水率)(単位;重量%)を樹脂固形分として規定した。
(b)CRC(遠心分離機保持容量)
本発明の吸水性樹脂のCRC(遠心分離機保持容量)は、EDANA法(ERT441.2−02)に準拠して測定した。なお、本発明においては、上記測定で得られた値を(1−含水率(重量%)/100)で除した値について、「含水率補正後のCRC」として評価した。例えば、含水率が10重量%、CRC(測定値)が30g/gの場合、含水率補正後のCRCは、33.3g/g(=30/(1−10/100))となる。
(c)AAP(加圧下吸水倍率)
本発明の吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)は、EDANA法(ERT441.2−02)に準拠して測定した。なお、本発明においては、荷重条件を2.06kPa及び4.83kPaで測定した。
また、上記測定で得られた値を(1−含水率(重量%)/100)で除した値について、それぞれ「含水率補正後のAAP2.06kPa」、「含水率補正後のAAP4.83kPa」として評価した。
(d)残存モノマー
本発明の吸水性樹脂の残存モノマーは、EDANA法(ERT410.2−02)に準拠して測定した。なお、本発明においては、上記測定で得られた値を(1−含水率(重量%)/100)で除した値について、「含水率補正後の残存モノマー」として評価した。
(e)ラジカル重合性単量体の反応率
本発明の混合工程におけるラジカル重合性単量体の反応率は、以下の方法で求めた。
即ち、容量200mLのビーカーに、0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液200g及び吸水性樹脂混合物0.1gを入れ、室温下でテフロン(登録商標)コートされた35mmの回転子を用いて500rpmで攪拌した。
1時間経過後、上澄み液をポリプロピレン製シリンジで吸い取り、クロマトディスク(GLクロマトディスク、水系25A、孔径0.45μm/ジーエルサイエンス社製)で濾過した。
上記濾液を液体クロマトグラフィーで分析することによって、吸水性樹脂混合物100重量部に対して、残存しているラジカル重合性単量体量(A重量部)を測定した。当該測定値(A重量部)、及び、表面架橋剤溶液(吸水性樹脂粉末100重量部に対して、B重量部)に含まれるラジカル重合性単量体の添加量(吸水性樹脂粉末100重量部に対して、C重量部)から、反応率は下記式で求められる。
Figure 2016069418
[製造例1]
容量2Lのポリプロピレン製容器に、アクリル酸351g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量522.66、平均エチレンオキサイドユニット数;n=9)0.76g、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液296g及びイオン交換水337gを投入して攪拌、混合した。当該操作で得られた混合液を単量体水溶液(1)とした。また、単量体水溶液(1)は、中和熱によって84℃まで上昇した。その後も攪拌を継続し、単量体水溶液(1)の液温が83℃となった時点で、3.8重量%の過硫酸ナトリウム水溶液15.4gを添加し、反応液(1)とした。
上記反応液(1)を直ちにステンレス製バット型反応装置(底面;340×340mm、高さ;25mm、内表面;テフロン(登録商標)コーティング)に大気開放系で注ぎ込んだところ、約15秒後に重合反応が開始した。なお、上記ステンレス製バット型反応装置は、ホットプレート(NEO HOTPLATE HI−1000/株式会社井内盛栄堂製)を用いて、表面温度を40℃に予め設定しておいた。
上記重合反応は、水蒸気を発生させながらバット型反応装置の上方に向かって四方八方に膨張発泡して進行し、その後、当該反応装置の底面より若干大きなサイズまで収縮した。当該操作で得られた重合物を、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)(1)とした。なお、当該重合反応(膨張・収縮)は約1分間で終了したが、その後4分間、当該含水ゲル(1)を反応装置内に保持した。
その後、上記含水ゲル(1)をミートチョッパー(MEAT−CHOPPER TYPE 12VR−400KSOX;ダイス孔径:6.4mm、孔数:38、ダイス厚み:8mm/飯塚工業株式会社製)を用いてゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(1)とした。当該ゲル粉砕は、含水ゲル(1)250g/min及び90℃に調温した温水50g/minをそれぞれ別々にミートチョッパーに投入することで行った。
次いで、上記ゲル粉砕で得られた粒子状の含水ゲル(1)を熱風乾燥機を用いて乾燥し、乾燥重合体(1)を得た。当該乾燥は、目開き850μmのステンレス製金網上に粒子状含水ゲル(1)を広げて載せ、180℃の熱風を30分間通気させることで行った。
続いて、上記乾燥で得られた乾燥重合体(1)をロールミル(WML型ロール粉砕機/有限会社井ノ口技研製)を用いて粉砕した後、目開き850μm及び150μmのJIS標準篩を用いて分級し、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(1)を得た。
当該吸水性樹脂粉末(1)は、重量平均粒子径(D50)が350μm、粒子径150μm以上850μm未満の粒子含有量が97重量%、粒子径150μm未満の粒子含有量が3重量%(うち106μm未満は1重量%)、CRCが51.1g/g、AAP2.06kPaが7.1g/g、AAP4.83kPaが6.5g/g、含水率が4.0重量%、残存モノマーが370ppmであった。
[実施例1]
(混合工程)
容量5Lのレディゲミキサー(型式:M5R、器具半径:10cm/Loedige社製)に、製造例1で得られた吸水性樹脂粉末(1)500gを65℃まで加熱した後に供給した。なお、レディゲミキサーの内壁面温度は予め72℃に加熱しておいた。
続いて、上記吸水性樹脂粉末(1)100重量部に対して、ラジカル重合性単量体としてアクリル酸5.0重量部、熱分解性ラジカル重合開始剤として過硫酸ナトリウム(10時間半減期温度:71℃)0.25重量部、有機系架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.1重量部、混合助剤としてポリエチレングリコールモノメチルエーテル(数平均分子量:約2000)0.1重量部及びイオン交換水4.0重量部からなる表面架橋剤溶液(1)9.45重量部を、レディゲミキサーを340rpm(フルード数:12.9)で回転させながら、スプレーを用いて噴霧し、混合した。
上記混合操作を1分間行うことで、吸水性樹脂混合物(1)を得た。表1に、混合工程における温度等の混合条件及びラジカル重合性単量体の反応率を示した。
(反応工程)
次に、上記混合工程で得られた吸水性樹脂混合物(1)500gを、容量5Lのバッチ式ミキサーに投入した。なお、バッチ式ミキサーの内壁面温度は予め100℃に加熱しておいた。その後、バッチ式ミキサーの攪拌羽根を攪拌させながら、バッチ式ミキサー内の気相部温度が100℃、気相部露点が80℃となるように、熱風を通気させた。
上記反応操作を15分間行うことで、表面架橋重合された吸水性樹脂粒子(1)を得た。表2に反応条件を示した。
(整粒工程)
次に、上記反応工程で得られた吸水性樹脂粒子(1)を、目開き850μmのJIS標準篩を用いて分級することによって、製品としての吸水性樹脂(1)を得た。なお、該篩のON品(篩不通過物)については、その全量が目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕を行った。得られた吸水性樹脂(1)の諸物性を表2に示した。
[比較例1]
実施例1において、吸水性樹脂粉末(1)を加熱することなく室温(23℃)のまま、レディゲミキサーに供給したことと、レディゲミキサーの内壁面温度を21℃としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って比較吸水性樹脂(1)を得た。
比較例1での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた比較吸水性樹脂(1)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[実施例2]
実施例1において、反応工程でバッチ式ミキサー内を攪拌しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行って吸水性樹脂(2)を得た。
実施例2での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた吸水性樹脂(2)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[比較例2]
比較例1において、反応工程でバッチ式ミキサー内を攪拌しなかった以外は、比較例1と同様の操作を行って比較吸水性樹脂(2)を得た。
比較例2での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた比較吸水性樹脂(2)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[実施例3]
実施例1において、反応工程で使用する装置をバッチ式ミキサーから乾燥機に変更し、吸水性樹脂混合物(1)50gをバットに入れ、100℃に加熱した上記乾燥機内に15分間静置したこと以外は、実施例1と同様の操作を行って吸水性樹脂(3)を得た。なお、乾燥機内の気相部温度が100℃、気相部露点が80℃となるように、熱風を通気させた。
実施例3での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた吸水性樹脂(3)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[比較例3]
比較例1において、反応工程で使用する装置をバッチ式ミキサーから乾燥機に変更し、比較吸水性樹脂混合物(1)50gをバットに入れ、100℃に加熱した上記乾燥機内に15分間静置したこと以外は、比較例1と同様の操作を行って比較吸水性樹脂(3)を得た。なお、乾燥機内の気相部温度が100℃、気相部露点が80℃となるように、熱風を通気させた。
比較例3での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた比較吸水性樹脂(3)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[実施例4]
実施例1において、混合工程に供給する吸水性樹脂粉末(1)の量を1000gに変更し、反応工程に投入する吸水性樹脂混合物(1)の量を1000gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って吸水性樹脂(4)を得た。
実施例4での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた吸水性樹脂(4)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[比較例4]
比較例1において、混合工程に供給する比較吸水性樹脂粉末(1)の量を1000gに変更し、反応工程に投入する比較吸水性樹脂混合物(1)の量を1000gに変更した以外は、比較例1と同様の操作を行って比較吸水性樹脂(4)を得た。
比較例4での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた比較吸水性樹脂(4)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[実施例5]
実施例1において、表面架橋剤溶液(1)の添加を、スプレーからポリプロピレン製シリンジに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って吸水性樹脂(5)を得た。なお、シリンジに変更したため、表面架橋剤溶液(1)は滴下による添加となった。
実施例5での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた吸水性樹脂(5)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[比較例5]
比較例1において、表面架橋剤溶液(1)の添加を、スプレーからポリプロピレン製シリンジに変更した以外は、比較例1と同様の操作を行って比較吸水性樹脂(5)を得た。なお、シリンジに変更したため、表面架橋剤溶液(1)は滴下による添加となった。
比較例5での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた比較吸水性樹脂(5)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[比較例6]
比較例3において、吸水性樹脂粉末(1)と表面架橋剤溶液(1)との混合を、レディゲミキサーから、スリーワンモーター(器具半径:2.5cm、回転数:340rpm、フルード数:3.2)に変更した以外は、比較例3と同様の操作を行って比較吸水性樹脂(6)を得た。なお、プラスチック製容器(内壁面温度:24℃)に吸水性樹脂粉末(1)50gを入れ、上記スリーワンモーターで攪拌しながら、表面架橋剤溶液(1)をポリプロピレン製シリンジで滴下して混合した。
比較例6での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた比較吸水性樹脂(6)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[比較例7]
実施例3において、吸水性樹脂粉末(1)と表面架橋剤溶液(1)との混合を、レディゲミキサーから、スリーワンモーター(器具半径:2.5cm、回転数:340rpm、フルード数:3.2)に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行って比較吸水性樹脂(7)を得た。なお、プラスチック製容器(内壁面温度:24℃)に吸水性樹脂粉末(1)50gを入れ、上記スリーワンモーターで攪拌しながら、表面架橋剤溶液(1)をポリプロピレン製シリンジで滴下して混合した。
比較例7での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた比較吸水性樹脂(7)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[比較例8]
比較例1において、レディゲミキサーの回転数を170rpm(フルード数:3.2)に変更した以外は、比較例1と同様の操作を行って比較吸水性樹脂(8)を得た。
比較例8での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた比較吸水性樹脂(8)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[比較例9]
実施例1において、レディゲミキサーの回転数を170rpm(フルード数:3.2)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って比較吸水性樹脂(9)を得た。
比較例9での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた比較吸水性樹脂(9)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[比較例10]
比較例1において、レディゲミキサーの回転数を85rpm(フルード数:0.8)に変更した以外は、比較例1と同様の操作を行って比較吸水性樹脂(10)を得た。
比較例10での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた比較吸水性樹脂(10)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[比較例11]
実施例1において、レディゲミキサーの回転数を85rpm(フルード数:0.8)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って比較吸水性樹脂(11)を得た。
比較例11での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた比較吸水性樹脂(11)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[実施例6]
比較例1において、吸水性樹脂粉末(1)を室温(23℃)でレディゲミキサーに供給した後に、70℃の熱風で加熱しながら10分間、表面架橋剤溶液(1)と混合したこと、及び、反応工程での反応時間を10分間としたこと以外は、比較例1と同様の操作を行って吸水性樹脂(6)を得た。
実施例6での混合条件とラジカル重合性単量体の反応率は表1に、反応条件と得られた吸水性樹脂(6)の諸物性は表2に、それぞれ示した。
[製造例2]
製造例1において、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量522.66、平均エチレンオキサイドユニット数;n=9)の使用量を、1.12gに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行って吸水性樹脂粉末(2)を得た。
上記吸水性樹脂粉末(2)は、CRCが44.5g/gであった。
[参考例1]
(混合工程)
容量5Lのレディゲミキサー(型式:M5R、器具半径:10cm/Loedige社製)に、製造例2で得られた吸水性樹脂粉末(2)500gを加熱することなく室温(23℃)のままで供給した。なお、レディゲミキサーの内壁面温度は21℃であった。
続いて、上記吸水性樹脂粉末(2)100重量部に対して、1,4−ブタンジオール0.3重量部、プロピレングリコール0.5重量部及びイオン交換水2.5重量部からなる表面架橋剤溶液(2)3.3重量部を、レディゲミキサーを340rpm(フルード数:12.9)で回転させながら、スプレーを用いて噴霧し、混合した。
上記混合操作を1分間行うことで、参考吸水性樹脂混合物(1)を得た。表3に参考吸水性樹脂混合物(1)の温度等を示した。
(反応工程)
次に、上記混合工程で得られた参考吸水性樹脂混合物(1)500gを、容量5Lのバッチ式ミキサーに投入した。なお、バッチ式ミキサーの内壁面温度は予め210℃に加熱しておいた。その後、バッチ式ミキサーの攪拌羽根を攪拌させて、40分間加熱処理を行った。上記反応操作を行うことで、参考吸水性樹脂粒子(1)を得た。
(整粒工程)
次に、上記反応工程で得られた参考吸水性樹脂粒子(1)を、目開き850μmのJIS標準篩を用いて分級することによって、参考吸水性樹脂(1)を得た。なお、該篩のON品(篩不通過物)については、その全量が目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕を行った。得られた参考吸水性樹脂(1)の諸物性は表3に示した。
[参考例2]
参考例1において、吸水性樹脂粉末(2)の温度を60℃まで加熱した後にレディゲミキサーに供給したこと、レディゲミキサーの内壁面温度を81℃にしたこと以外は、参考例1と同様の操作を行って参考吸水性樹脂(2)を得た。
参考吸水性樹脂混合物(2)の温度や、得られた参考吸水性樹脂(2)の諸物性は表3に示した。
[製造例3]
製造例1において、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量522.66、平均エチレンオキサイドユニット数;n=9)の使用量を、0.80gに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行って吸水性樹脂粉末(3)を得た。
上記吸水性樹脂粉末(3)は、CRCが49.6g/gであった。
[参考例3]
(混合工程)
容量5Lのレディゲミキサー(形式:M5R、器具半径:10cm/Loedige社製)に、製造例3で得られた吸水性樹脂粉末(3)500gを加熱することなく室温(23℃)のままで供給した。なお、レディゲミキサーの内壁面温度は21℃であった。
続いて、上記吸水性樹脂粉末(3)100重量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025重量部、プロピレングリコール1.5重量部及びイオン交換水3.5重量部からなる表面架橋剤溶液(3)5.025重量部を、レディゲミキサーを340rpm(フルード数:12.9)で回転させながら、スプレーを用いて噴霧し、混合した。
上記混合操作を1分間行うことで、参考吸水性樹脂混合物(3)を得た。表3に、参考吸水性樹脂混合物(3)の温度等を示した。
(反応工程)
次に、上記混合工程で得られた参考吸水性樹脂混合物(3)200gをバッドに入れ、ポリエチレン製の袋に入れて密閉した後に、100℃に加熱した乾燥機内に静置して、40分間加熱処理を行った。上記反応操作を行うことで、参考吸水性樹脂粒子(3)を得た。
(整粒工程)
次に、上記反応工程で得られた参考吸水性樹脂粒子(3)を、目開き850μmのJIS標準篩を用いて分級することによって、参考吸水性樹脂(3)を得た。なお、該篩のON品(篩不通過物)については、その全量が目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕を行った。得られた参考吸水性樹脂(3)の諸物性は表3に示した。
[参考例4]
参考例3において、吸水性樹脂粉末(3)の温度を72℃まで加熱した後にレディゲミキサーに供給したこと、レディゲミキサーの内壁面温度を65℃にしたこと以外は、参考例3と同様の操作を行って参考吸水性樹脂(4)を得た。
参考吸水性樹脂混合物(4)の温度や、得られた参考吸水性樹脂(4)の諸物性は表3に示した。
[製造例4]
製造例1において、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量522.66、平均エチレンオキサイドユニット数;n=9)の使用量を、2.20gに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行って吸水性樹脂粉末(4)を得た。
上記吸水性樹脂粉末(4)は、CRCが35.2g/gであった。
[参考例5]
(混合工程)
容量5Lのレディゲミキサー(形式:M5R、器具半径:10cm/Loedige社製)に、製造例4で得られた吸水性樹脂粉末(4)500gを加熱することなく室温(23℃)のままで供給した。なお、レディゲミキサーの内壁面温度は21℃であった。
続いて、上記吸水性樹脂粉末(4)100重量部に対して、アクリル酸4.0重量部、光分解性重合開始剤としてイルガキュア2959(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)0.01重量部、グリセリンアクリレートメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、NKエステル701A)0.1重量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(数平均分子量:約2000)0.01重量部及びイオン交換水7.0重量部からなる表面架橋剤溶液(4)11.12重量部を、レディゲミキサーを340rpm(フルード数:12.9)で回転させながら、スプレーを用いて噴霧し、混合した。
上記混合操作を1分間行うことで、参考吸水性樹脂混合物(5)を得た。表3に、参考吸水性樹脂混合物(5)の温度等を示した。
(反応工程)
次に、上記混合工程で得られた参考吸水性樹脂混合物(5)30gを容量500mLの石英製セパラブルフラスコに投入した。攪拌羽根で攪拌しながら、紫外線を5分間、室温(23℃)で照射して、表面架橋反応を行った。なお、紫外線の照射は、照射強度65mW/cmのメタルハライドランプ(UVL−1500M2−N1/ウシオ電機製)が設置された紫外線照射装置(UV−152/1MNSC3−AA06、ウシオ電機製)を用いた。また、照射強度は、上記セパラブルフラスコの壁面上で、上記メタルハライドランプに最も近い位置で測定した。測定には、紫外線積算光量計(UIT−150、受光部:UVD−S254/ウシオ電機製)を使用した。上記反応操作を行うことで、参考吸水性樹脂粒子(5)を得た。
(整粒工程)
次に、上記反応工程で得られた参考吸水性樹脂粒子(5)を、目開き850μmのJIS標準篩を用いて分級することによって、参考吸水性樹脂(5)を得た。なお、該篩のON品(篩不通過物)については、その全量が目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕を行った。得られた参考吸水性樹脂(5)の諸物性は表3に示した。
[参考例6]
参考例5において、吸水性樹脂粉末(4)の温度を60℃まで加熱した後にレディゲミキサーに供給したこと、レディゲミキサーの内壁面温度を60℃にしたこと以外は、参考例5と同様の操作を行って参考吸水性樹脂(6)を得た。
参考吸水性樹脂混合物(6)の温度や、得られた参考吸水性樹脂(6)の諸物性は表3に示した。
Figure 2016069418
Figure 2016069418
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(まとめ)
実施例1〜6及び比較例1〜5の結果から、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率のバランスが良い吸水性樹脂を得るためには、混合工程に供給される吸水性樹脂粉末の温度、及び/又は、混合工程直後の吸水性樹脂混合物の温度と、混合工程中の吸水性樹脂の最高温度と熱分解性ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度の差が重要であることがわかる。
実施例3及び比較例3、6〜11の結果から、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率のバランスが良い吸水性樹脂を得るためには、更に、吸水性樹脂粉末と表面架橋剤溶液混合時のフルード数が重要であることがわかる。フルード数が低い場合は、逆に、混合工程に供給される吸水性樹脂粉末の温度、及び/又は、混合工程直後の吸水性樹脂混合物の温度と、混合工程中の吸水性樹脂の最高温度と熱分解性ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度の差が、請求項1の範囲を満たす方が、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率のバランスが悪化することがわかる。
参考例1〜4より、特許文献1〜7に記載の表面架橋方法では、混合工程に供給される吸水性樹脂粉末の温度、及び/又は、混合工程直後の吸水性樹脂混合物の温度が請求項1の範囲を満たすと、表面架橋後の吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率のバランスが悪化することがわかった。
参考例5、6より、特許文献12〜14に記載の表面架橋方法では混合工程に供給される吸水性樹脂粉末の温度、及び/又は、混合工程直後の吸水性樹脂混合物の温度が請求項1の範囲を満たすと、表面架橋自体が進行しにくくなることがわかった。
本発明に係るポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法は、吸水性樹脂の生産、特に大量生産する場合に好ましく適用することができる。また、本発明の製造方法で得られるポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、紙オムツ等の衛生用品の吸収体に好ましく使用される。

Claims (14)

  1. 吸水性樹脂粉末に、ラジカル重合性単量体及び熱分解性ラジカル重合開始剤を含む表面架橋剤溶液を添加して、両者を混合する混合工程と、
    上記混合工程で得られる吸水性樹脂混合物を表面架橋重合させる反応工程とを有し、
    上記混合工程に供給される吸水性樹脂粉末の温度が30〜90℃、及び/又は、混合工程直後の吸水性樹脂混合物の温度が30〜90℃であり、
    上記混合が、フルード数5以上の攪拌、又は、風速0.1m/s以上の流動によって実施され、
    上記熱分解性ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が、上記混合工程中の吸水性樹脂混合物の最高温度に対して±30℃以内である、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。
  2. 上記混合工程に供給される吸水性樹脂粉末の温度が30〜90℃である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記混合が、フルード数5以上の攪拌によって実施される、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 上記反応工程が、加熱によって行われる、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
  5. 上記熱分解性ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が、0〜120℃である、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
  6. 上記熱分解性ラジカル重合開始剤の使用量が、上記吸水性樹脂粉末100重量部に対して0.01〜5重量部である、請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
  7. 上記ラジカル重合性単量体の使用量が、上記吸水性樹脂粉末100重量部に対して0.1〜20重量部である、請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法。
  8. 上記表面架橋剤溶液が有機系架橋剤を更に含み、該有機系架橋剤の使用量が上記吸水性樹脂粉末100重量部に対して0.01〜5重量部である、請求項1〜7の何れか1項に記載の製造方法。
  9. 上記表面架橋剤溶液が水溶液であり、該水溶液に含まれる水の量が、上記吸水性樹脂粉末100重量部に対して1〜20重量部である、請求項1〜8の何れか1項に記載の製造方法。
  10. 上記混合工程中におけるラジカル重合性単量体の反応率が、混合工程で添加したラジカル重合性単量体の10重量%以上である、請求項1〜9の何れか1項に記載の製造方法。
  11. 上記混合工程中の吸水性樹脂粉末と表面架橋剤溶液の混合時間が、1秒〜60分である、請求項1〜10の何れか1項に記載の製造方法。
  12. 上記混合工程が気相中で行われる、請求項1〜11の何れか1項に記載の製造方法。
  13. 上記反応工程中の吸水性樹脂混合物が、上記混合工程中の吸水性樹脂の最高温度よりも高い温度で加熱される、請求項1〜12の何れか1項に記載の製造方法。
  14. 上記反応工程における加熱処理時間が、1〜60分である、請求項1〜13の何れか1項に記載の製造方法。
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