JP2016048184A - 薄膜の物理定数測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄膜の物理定数を測定する方法を提供する。【解決手段】薄膜5の密度と、薄膜を伝搬する漏洩ラム波、あるいは、漏洩表面波の周波数特性を測定し、超音波顕微鏡で漏洩ラム波のS0モード、A1モード、及びこれらのモードの低次または高次モードの内の少なくとも一方の音速と、あるいは、漏洩表面波の音速と、周波数との関係を求め、得られている物理定数と、薄膜の未知の物理定数を変数として、複数の周波数における音速を計算し、音速計算値を得、音速計算値を、測定された音速と周波数との関係における複数の周波数における音速に近づけるように解析し、最も近づいた場合の変数を未知の物理定数の値とする、薄膜の物理定数測定方法。【選択図】図3

Description

本発明は、圧電薄膜などの様々な薄膜の物理定数を測定する方法に関する。
圧電材料などの物理定数を求めれば、該物理定数を用いて、デバイスの設計等を行なうことができる。従来、非圧電材料の物理定数は、密度の測定に加え、パルスエコー法や超音波顕微鏡によるΔf法などによって縦波音速、横波音速が求められ、それに加え誘電率等が測定されている。これらの測定値に基づき、未知の物理定数である、密度、弾性定数c11、c12及びc44、比誘電率が求められている。
他方、圧電材料については、パルスエコー法により材料定数を求めることができる。もっとも、パルスエコー法では、一部の物理定数は求めることができない。従って、下記の非特許文献1の表1に記載のように、求めたい物理定数に合わせて、試験片を作製する方法が知られている。この試験片の直列共振及び並列共振の周波数を測定し、物理定数を求めている。
圧電セラミックス振動子の電気的試験方法、日本電子材料工業会、EMAS−6100(平成5年3月)
パルスエコー法や超音波顕微鏡によるΔf法の測定に際しては、1mm以上の厚みを有する試験片が必要であった。そのため、蒸着やスパッタリングなどで形成された薄膜の物理定数を求めることはできなかった。
圧電材料においても、非特許文献1の表1中の試験片(iv)などでは、5mm以上の厚みが必要であった。また、試験片(vi)などでは、分極軸方向が面方向であり、例えば蒸着やスパッタリングなどの薄膜形成方法では形成することができなかった。従って、例えば蒸着やスパッタリングなどで成膜された圧電薄膜の物理定数を求めることはできなかった。
本発明の目的は、薄膜の物理定数を求めることを可能とする、薄膜の物理定数測定方法を提供することにある。
本発明に係る薄膜の物理定数測定方法は、薄膜の密度を求める工程と、前記薄膜を伝搬する漏洩ラム波、あるいは、漏洩表面波の周波数特性を測定し、該漏洩ラム波のS0モード、A1モード、及びこれらのモードの低次または高次モードの内の少なくとも一方の音速、あるいは、漏洩表面波の音速と、周波数との関係を求める工程と、得られている前記物理定数と、未知の薄膜の物理定数を変数として、複数の周波数におけるS0モード、A1モード、及びこれらのモードの低次または高次モードの内の少なくとも一方の音速、あるいは、漏洩表面波の音速を計算し、該計算で求められた音速計算値を、前記音速と周波数との関係における前記複数の周波数における音速に近づけるように解析して、最も近づいた場合の前記未知の物理定数の変数の値を、該未知の物理定数の値として得る工程とを備える。
本発明に係る薄膜の物理定数測定方法のある特定の局面では、前記薄膜は圧電薄膜であって、前記圧電薄膜のバルク波の周波数特性を測定し、該周波数特性から求められる物理定数を得る工程をさらに備える。
本発明に係る薄膜の物理定数測定方法の他の特定の局面では、前記バルク波の周波数特性から求められる物理定数(スティフネス)が、c11、c12及びc13である。
本発明に係る薄膜の物理定数測定方法のさらに他の特定の局面では、前記薄膜の密度を求める工程において、アルキメデス法を用いる。あるいは、X線反射率法を用いる。
本発明に係る薄膜の物理定数測定方法のさらに他の特定の局面では、前記漏洩ラム波の周波数特性を測定するにあたり、開口部が形成されている主面を有する支持部材と、前記開口部内に配置された薄膜部とを有するサンプルを用意し、該サンプルを用いて前記漏洩ラム波の周波数特性を測定する。
本発明に係る薄膜の物理定数測定方法のさらに他の特定の局面では、前記漏洩表面波の周波数特性を測定するにあたり、薄膜/下地基板構造からなるサンプルを用意し、該サンプルを用いて前記漏洩表面波の周波数特性を測定する。
本発明によれば、薄膜物理定数を求めることが可能となる。従って、得られた薄膜の物理定数を用いて、理論解析や様々なデバイスの設計を行なうことが可能となる。
本発明の実施形態において作製した薄膜試験片を示す正面断面図であり、(a)は漏洩ラム波測定用薄膜試験片であり、(b)は漏洩表面波測定用薄膜試験片である。 本発明の実施形態において静電容量を測定するのに用いた試験片を示す斜視図である。 本発明の実施形態において、超音波顕微鏡による漏洩ラム波、及び、漏洩表面波の音速測定の原理を説明するための模式的正面断面図である。 (a)及び(b)は、本発明の実施形態で用意された、MEMS構造の第1の共振子サンプルを示す平面図及び(a)中のA−A線に沿う断面図である。 本発明の実施形態で用意された、MEMS構造の第2の共振子サンプルを示す平面図である。 本発明の実施形態で用意された、MEMS構造の第3の共振子サンプルを示す平面図である。 図4に示した第1の共振子サンプルのアドミタンス及び位相−周波数特性を示す図である。 図5に示した第2の共振子サンプルのアドミタンス及び位相−周波数特性を示す図である。 図6に示した第3の共振子サンプルのアドミタンス及び位相−周波数特性を示す図である。 (a)は、本発明の実施形態における漏洩ラム波の境界条件を説明するための模式図であり、(b)は漏洩表面波の境界条件を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態において求められた漏洩ラム波の音速と、周波数との関係を示す図である。 従来の試験方法で用いられている第1の試験片を示す斜視図である。 従来の試験方法で用いられている第2の試験片を示す斜視図である。 従来の試験方法で用いられている第3の試験片を示す斜視図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
本実施形態の薄膜の物理定数測定方法では、まず、薄膜の密度をアルキメデス法により測定する。アルキメデス法を用いた場合、簡易に薄膜密度を測定することができる。もっとも、アルキメデス法により求められた密度の精度はさほど高くはない。なお、薄膜の密度は、アルキメデス法以外の、X線反射率法(XRR法)などで測定してもよい。
他方、図2に斜視図で示す静電容量測定用試験片を作製する。図2に示すように、薄膜1の一方面に、複数の電極2が形成されている。隣り合う電極2,2間の静電容量を測定する。それによって、薄膜1の実効的比誘電率を求める。
次に、図1(a)に示す薄膜試験片を用意した。図1(a)に示す薄膜試験片3は、支持基板4を有する。この支持基板4上に、開口4aを封止するように薄膜5が設けられている。薄膜試験片3を得るにあたっては、開口を有しない支持基板4の一方面に薄膜を形成する。次に、薄膜が形成されていない側の支持基板面に開口形成部分を除いてレジスト層を形成する。しかる後、エッチングにより基板を部分的に除去し、開口4aを形成する。上記支持基板としてはSi基板などの適宜の無機材料からなる基板を用いることができる。また、エッチングの方法は特に限定されず、反応性イオンエッチング(RIE)やXeFエッチングなどの基板材料に応じた適宜のエッチング方法を用いることができる。
上記のようにして得られた薄膜試験片3を用いて、超音波顕微鏡により薄膜5内を伝搬する漏洩ラム波の音速を測定する。これを図3を参照して説明する。
図3に示すように、薄膜5の上面に水6が配置されている。この水6に接するように、超音波顕微鏡の音響レンズ7を配置する。音響レンズ7の上面には、圧電薄膜トランスデューサ8が設けられている。
圧電薄膜トランスデューサ8から超音波を薄膜5側に向かって放射すると、音響レンズ7中の経路を進行後、波は矢印Aで示すように水6に放射され、水6を介して薄膜5で漏洩ラム波に変換され、矢印Bで示すように水6にバルク波を放射しながら薄膜5内を伝搬する。そして、水6に放射されたバルク波は音響レンズ7の経路を進行し圧電薄膜トランスデューサ8により戻ってきた音波Cを受信する。一方、圧電薄膜トランスデューサ8から放射された波のうち、図中Dで示すように、水6を通過して直接薄膜5から反射して圧電薄膜トランスデューサ8に戻ってくる波がある。それら二つの音波C,Dの時間差によって、薄膜5内を伝搬する漏洩ラム波の音速を求めることができる。より具体的には、音響レンズ7と薄膜5との間の距離Zを変化させると、音波Cと音波Dが干渉し、漏洩ラム波のV(Z)曲線が得られる。
このV(Z)曲線では、音波Cと音波Dが干渉したピークが周期的に現れる。このV(Z)曲線におけるピーク間距離により、漏洩ラム波の音速を求めることができる。
ここでは、薄膜の下が空洞の場合の漏洩ラム波の場合を説明したが、薄膜の下に基板がある場合は、漏洩ラム波の代わりに漏洩表面波となり、測定原理は同じである。
圧電薄膜の物理定数測定方法の具体的な実施形態を説明する。図12〜図14は、非特許文献1に記載の試験片(i)、(ii)及び(v)を示す。分極軸方向Pはいずれも厚み方向である。図12〜図14に示す試験片をそれぞれ第1〜第3の試験片とする。この第1〜第3の試験片に相当する圧電薄膜の共振子サンプルを作製した。
図4〜図6は、それぞれ、第1〜第3の共振子サンプル11〜13を示す。第1〜第3の共振子サンプル11〜13は、いずれも、MEMS構造を有する。すなわち、図1(a)に示した薄膜試験片3と同様に、支持基板14を有する。支持基板14はSiからなるが、他の無機材料により構成されてもよい。
図4(a)及び(b)に示す第1の共振子サンプル11では、支持基板14に開口14aが設けられている。この開口14a内に、薄膜共振子部15が設けられている。薄膜共振子部15は、矩形の平面形状を有する。また薄膜共振子部15では、図12に示した第1の試験片と同様に、薄膜の分極軸方向は厚み方向とされている。薄膜共振子部15は、長さ方向に延びる側面中央において、支持部16,16により支持されている。薄膜共振子部15の上面に上部電極15bが設けられている。薄膜共振子部15では、薄膜15aを介して上部電極15bと対向するように下部電極15cが設けられている。一方の支持部16では、薄膜15aの上面に、上部電極15bの引き出し部が設けられている。他方の支持部16においては、薄膜15aの下面に、下部電極15cの引き出し部が設けられている。上部電極15b及び下部電極15cは、上記引き出し部を経て開口14aの外側に引き出されている。
基板14上には、端子電極14b,14cが設けられている。端子電極14bに、上部電極15bが電気的に接続されている。端子電極14cは、下部電極15cと、ビアホール電極を介して電気的に接続されている。
図5に示した第2の共振子サンプル12では、開口14a内において、円板状の薄膜共振子部17が設けられている。薄膜共振子部17は円板状振動子の径方向振動を利用するものである。薄膜共振子部17は、図13に示した第2の試験片に相当する。薄膜の分極軸方向は厚み方向である。薄膜共振子部17では、薄膜17aの上面に上部電極17bが、下面に下部電極17cが設けられている。薄膜共振子部17は、外周縁において、対向している位置において支持部18,18により支持されている。
図6に示す第3の共振子サンプル13では、薄膜共振子部19が開口14a内に位置している。この薄膜共振子部19は、図14に示した第3の試験片に相当する。円板状の薄膜の分極軸方向は厚み方向とされている。薄膜共振子部19では、薄膜19aの上面に、上部電極19bが、下面に下部電極19cが設けられている。かつ薄膜の両主面に電極が設けられている。ここでは、薄膜共振子部19は、円板状振動子の厚み縦振動を利用したものである。薄膜共振子部19は、支持部20,20によって支持されている。
薄膜共振子部15,17,19の薄膜は、ScAlN膜により形成した。前述したように、圧電薄膜では、厚みの厚い試験片を形成することができない。従って、薄膜を用いて形成し得る共振子サンプルとして、上記第1〜第3の共振子サンプルをMEMS加工技術により作製した。
第1の共振子サンプル11を用いて、共振特性を測定する。この共振特性を図7に示す。この図7に示す共振特性から、電気機械結合係数k31 と、コンプライアンスs11 と容量Cが求められる。ここで用いたサンプルで測定した静電容量から比誘電率ε33 /εが求められる。従って、以下の値が得られた。
31 =4.79%
11 =6.33×10−12/N
ε33 /ε=14.43
なお、ε11 /εは、図2を参照して説明した測定により得られた静電容量から求めることができる。
次に、第2の共振子サンプル12の共振特性を測定した。図8は第2の共振子サンプル12の共振特性を示す。
この図8に示す高周波側の第2のモードの共振周波数f(2) S−(R)と、低い周波数側の第1のモードの共振周波数f(1) S−(R)との比f(2) S−(R)/f(1) S−(R)からポアソン比を求めることができる。
具体的には、
ポアソン比σ=s12 /s11 =0.23 より、
12 =1.456×10−12/Nが得られた。
次に、第3の共振子サンプル13の共振特性を測定した。結果を図9に示す。この共振特性から、
=26.8%
33 =352.3GPa
さらに、c33 =c33 (1−k )より
33 =257.9GPaが得られた。
このようにして、密度ρ、電気機械結合係数k31 、電気機械結合係数k 、比誘電率ε11 /ε、ポアソン比σ、弾性定数s11 、s12 、c33 及びc33 が求められた。他方、超音波顕微鏡を用いた前述した方法により漏洩ラム波の音速を求めた。結果を図11に示す。すなわち、図1(a)に示した薄膜試験片3を用い、超音波顕微鏡を用いて漏洩ラム波の音速と周波数との関係を求めた。図11の実線が音速の実測値である。
図10(a)に示す解析モデルを考えた。すなわち薄膜21の下方に空気22が、上面に水23が存在する。このモデルにおいて、X方向へ伝搬する波を解析した。薄膜21において、次の式(1A),(1B)、(2)及び(3)が成立する。
ただし、式(1A)〜(3)において、T:応力、c:弾性定数、S:歪み、e:圧電定数、E:電界、D:電気変位、ρ:密度とする。
圧電基本式として、
= cij −emi ……式(1A)
=enj+εnm ……式(1B)
ただし、
i,j=1,2,・・・6
m,n=1,2,3
運動方程式から、
ρ∂/∂t=∂Tij/∂χi ……式(2)
Maxwellの方程式から
divD=0 ……式(3)
水23と薄膜21との境界、及び薄膜21と空気22との境界において、式(1A)〜(3)が次の境界条件を満足するように解を求める。
水23と薄膜21との境界では、1)ポテンシャルが連続、2)電気変位が連続、3)応力が連続、4)変位が連続とする。
薄膜21と空気22との境界では、5)ポテンシャルが連続、6)電気変位が連続、7)応力がゼロとする。
上記境界条件を満たすように、未知の物理定数として仮定した数値とを用い、漏洩ラム波の音速を求める。超音波顕微鏡で測定されたラム波は、水にエネルギーを放射しながら伝搬する漏洩波であり、漏洩ラム波である。計算で得られる音速計算値は、実部と虚部とを有する。この虚部の項から減衰定数を求めることができる。
複数の周波数において、未知の物理定数を変化させて音速計算値を求め、音速計算値が音速の実測値に近づくように最小二乗法により解析し、未知の物理定数を求めた。
より具体的には、図11の音速を、周波数毎に、V(U)1、V(U)2、V(U)3、V(U)4、V(U)5……のように表す。図11中の●で示した音速計算値は、上記周波数1、2、3、4、5にそれぞれ対応して計算された音速である。すなわち、V(A)1、V(A)2、V(A)3、V(A)4、V(A)5、……として表す。なお、この音速V(A)n(nは周波数位置を示す、連続した整数)は、求められた物理定数と、未知の物理定数として仮定した物理定数とを用いて計算された音速である。この仮定した物理定数の値を第1の仮定値とする。
また、図11において、△の音速計算値は、未知の物理定数の値として、●とは異なる第2の仮定値を用いて、計算された音速であり、以下のように表す。
V(B)1、V(B)2、V(B)3、V(B)4、V(B)5……
他方、図11の○は、第3の仮定値を未知の物理定数の値として代入し、各周波数に対応して計算された音速であり、以下のように示す。
V(N)1、V(N)2、V(N)3、V(N)4、V(N)5……
超音波顕微鏡により測定された音速の実測値と、上記第1の仮定値の未知の物理定数を用いた第1の音速計算値との差の二乗の合計Su1は以下の通りである。
Su1=(V(U)1−V(A)1)+(V(U)2−V(A)2)……=2×1012
同様に、音速実測値と、第2の仮定値を用いて第2の音速計算値との差の二乗の合計Su2は、
Su2=(V(U)1−V(B)1)+(V(U)2−V(B)2)……=3×10
このとき、Su2はSu1に比べて小さいため、第2の仮定値を用いた場合の方が収束していることがわかる。このような計算を繰り返し、Sum(mは整数)が最小になるまで計算を繰り返す。上記○で示した音速計算値の場合には、合計Sumが最小となった。
Sum=(V(U)1−V(N)1)+(V(U)2−V(N)2)……=14
従って、このSum=14となった場合の未知の物理定数についての仮定値を、当該未知の物理定数の値とする。結果を、下記の表1〜表4に示す。
表1〜表4において、薄膜バルク波の共振特性から求められた物理定数が、c11 、c12 、c33 、e31、e33、d31、d33である。また、静電容量の測定により求められた比誘電率が表4に示すε11 /ε及びε33 /εである。これに対して、上記のようにして求められた未知の物理定数の値が、〔 〕で囲んで示すc13 、c33 、c44 、c66 、e15、d15である。
Figure 2016048184
Figure 2016048184
Figure 2016048184
Figure 2016048184
以上の通り、本実施形態によれば、圧電薄膜の未知の物理定数を求めることができる。従来、薄膜の物理定数を全て薄膜材料から測定することは困難であった。本実施形態によれば、実測された物理定数に基づき、薄膜の未知の物理定数を上記漏洩ラム波の音速の測地と未知の物理定数とから求めることができる。従って、薄膜の物理定数を用いた薄膜の理論解析やデバイスの設計が可能となる。よって、薄膜を用いた弾性表面波デバイス、バルク波デバイス、圧電MEMSデバイスなどの開発に本発明は非常に効果的である。
なお、上記実施形態では、漏洩ラム波の音速の実測値と音速の計算値とを近づける解析法として、最小二乗法を用いたが、ニュートン法などの様々な解析方法を用いることができる。すなわち、音速の実測値に音速計算値が近づくように解析する方法は特に限定されない。
また、上記実施形態では、薄膜バルク波の共振特性からc11、c12及びc13が求められたが、求められる物理定数はこれに限定されない。すなわち、用意した共振子試験片に応じて、様々な物理定数をバルク波の共振特性から求めることができる。
また、上記実施形態では、漏洩ラム波のS0モードの音速と周波数との関係を求めたが、A1モードと周波数との関係を求める方法を用いてもよい。また、S0モード及びA1モードの双方の音速と周波数との関係を用いて処理してもよい。その場合には、物理定数の測定精度をより一層高めることができる。また、上記実施形態では、漏洩ラム波の周波数特性を測定、漏洩ラム波のS0モード及びA1モードのうちの少なくとも一方の音速と周波数との関係を求めたが、Sモード、Aモードの低次や高次モードでも良いし、本発明においては、漏洩ラム波に代わり、漏洩表面波を用いてもよい。この場合には、図1(b)に示す薄膜試験片を用意する。図1(b)に示す薄膜試験片3Aは、支持基板4Aを有する。支持基板4A上に、薄膜5Aが形成されている。この薄膜試験片3Aを用い、超音波顕微鏡を用いて、漏洩表面波の音速と周波数との関係を求めればよい。
漏洩表面波を用いた場合の解析方法では、図10(a)に示した境界条件の薄膜と空気との境界条件に代えて図10(b)に示す薄膜21Aと下地基板22Aとの境界条件を以下の通りとすればよい。
a)薄膜と下地基板との境界においてポテンシャルが連続、
b)薄膜と下地基板との境界において電気変位が連続、
c)薄膜と下地基板との境界で応力が連続、
d)薄膜と下地基板の境界において変位が連続。
上記境界条件を用いることにより、漏洩表面波の音速の実部及び虚部が得られる。もっとも、下地基板の物理定数を用いるため、下地基板について正確な物理定数が必要である。
非圧電材料の場合には、圧電材料についての上記実施形態と同様にして、未知の物理定数c11、c12、c44及び高精度な密度を求めることができる。すなわち、測定されたA1モード及びS0モードの漏洩ラム波、あるいは、漏洩表面波の音速に対し、上記解析方法における音速計算値が音速の実測値に最も近づいた場合の変数の値からc11、c12、c44及び密度ρが求められる。なお、具体的な解析方法は、圧電材料についての説明を援用する。非圧電材料の場合は、圧電材料についての解析方法において、圧電項を考慮しなければよい。
1…薄膜
2…電極
3,3A…薄膜試験片
4,4A…支持基板
4a…開口
5,5A…薄膜
6…水
7…音響レンズ
8…圧電薄膜トランスデューサ
11〜13…第1〜第3の共振子サンプル
14…支持基板
14a…開口
14b,14c…端子電極
15,17,19…薄膜共振子部
15a,17a,19a…薄膜
15b,17b,19b…上部電極
15c,17c,19c…下部電極
16,18,20…支持部
21,21A…薄膜
22…空気
22A…下地基板
23…水

Claims (6)

  1. 薄膜の密度を求める工程と、
    前記薄膜を伝搬する漏洩ラム波、あるいは、漏洩表面波の周波数特性を測定し、該漏洩ラム波のS0モード、A1モード、及びこれらのモードの低次または高次モードの内の少なくとも一方の音速、あるいは、漏洩表面波の音速と、周波数との関係を求める工程と、
    得られている物理定数と、未知の薄膜の物理定数を変数として、複数の周波数におけるS0モード、A1モード及びこれらのモードの低次または高次モードの内の少なくとも一方の音速、あるいは、漏洩表面波の音速を計算し、該計算で求められた音速計算値を、前記音速と周波数との関係における前記複数の周波数における音速に近づけるように解析し、最も近づいた場合の前記未知の物理定数の変数の値を、該未知の物理定数の値として得る工程とを備える、薄膜の物理定数測定方法。
  2. 前記薄膜は、圧電薄膜であって、前記圧電薄膜のバルク波の周波数特性を測定し、該周波数特性から求められる物理定数を得る工程をさらに備える、請求項1に記載の薄膜の物理定数測定方法。
  3. 前記バルク波の周波数特性から求められる物理定数が、c11、c12及びc13である、請求項2に記載の薄膜の物理定数測定方法。
  4. 前記薄膜の密度を求める工程において、アルキメデス法、あるいは、X線反射率法を用いる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜の物理定数測定方法。
  5. 前記漏洩ラム波の周波数特性を測定するにあたり、開口部が形成されている主面を有する支持部材と、前記開口部内に配置された薄膜部とを有するサンプルを用意し、該サンプルを用いて前記漏洩ラム波の周波数特性を測定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜の物理定数測定方法。
  6. 前記漏洩表面波の周波数特性を測定するにあたり、薄膜/下地基板構造からなるサンプルを用意し、該サンプルを用いて前記漏洩表面波の周波数特性を測定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄膜の物理定数測定方法。
JP2014172776A 2014-08-27 2014-08-27 薄膜の物理定数測定方法 Pending JP2016048184A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110880922A (zh) * 2019-11-18 2020-03-13 武汉大学 一种二维超高频谐振器
CN114964356A (zh) * 2022-04-13 2022-08-30 北京大学深圳研究生院 氮化铝膜参数提取方法

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