JP2016045242A - 電解液組成物、及び光学装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温雰囲気下、低電圧で駆動させることができ、かつ透過時には低着色で光を透過させることができる電解液組成物、及びこの電解液組成物を使用した光学装置を提供する。
【解決手段】電解液組成物は、第1の金属を含有したAg塩等の第1の金属化合物と前記第1の金属に対し消色機能を有するCu塩等の第2の金属化合物とBr等の支持電解質とが溶媒中に溶解されている。この電解液組成物は、凝固点が−20℃以下であり、かつ、溶媒が、スルフィニル基を有する有機化合物(例えば、テトラメチレンスルホキシド、及びメチル(メチルスルフィニル)メチルスルフィド)からなる少なくとも1種の特定溶媒を60wt%以上含有している。光学装置は、電解質層3の電解液7が、上記電解液組成物で形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】電解液組成物は、第1の金属を含有したAg塩等の第1の金属化合物と前記第1の金属に対し消色機能を有するCu塩等の第2の金属化合物とBr等の支持電解質とが溶媒中に溶解されている。この電解液組成物は、凝固点が−20℃以下であり、かつ、溶媒が、スルフィニル基を有する有機化合物(例えば、テトラメチレンスルホキシド、及びメチル(メチルスルフィニル)メチルスルフィド)からなる少なくとも1種の特定溶媒を60wt%以上含有している。光学装置は、電解質層3の電解液7が、上記電解液組成物で形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は電解液組成物、及び光学装置に関し、より詳しくはエレクトロクロミック材料を含有した電解液組成物、及びがこの電解液組成物を使用し、入射光を反射モードと透過モードに切替可能に構成した光学装置に関する。
近年、直流電圧の印加によって酸化還元反応が生じるエレクトロクロミック材料を使用し、入射光を反射モードと透過モードに切替可能に構成した光学装置の研究・開発が盛んに行われている。
例えば、特許文献1には、一対の基板と、前記一対の基板の対向する面に形成される一対の電極と、前記一対の電極の間に挟持され、銀を含むエレクトロクロミック材料及びメディエーターを含む電解質層とを有する表示装置が提案されている。
この特許文献1では、Ag塩等のエレクトロクロミック材料、Cu塩等のメディエーター、Br塩等の支持電解質をジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」という。)等の溶媒に溶解させて電解液組成物を作製し、この電解液組成物で電解質層を構成することにより、−2.5Vの電圧印加で非常に高い反射率を有する反射状態を実現し、電圧印加の解除により透過状態を実現し、良好な繰り返し耐久性を得ようとしている。
また、特許文献2には、銀塩を溶解させた溶液からなる電解液が作用電極と対極との間に配され、これらの電極の駆動制御により銀の析出又は溶解を生じさせ、これによって着色又は消色するように構成され、前記銀塩を溶解させるための溶媒として、DMSOと他の溶媒とからなる混合溶媒を用いた光学装置において、前記混合溶媒中の前記他の溶媒が、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、N, N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセト アミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、2−エトキシエタノー ル、2−メトキシエタノール、1,3−ジオキソラン、エチルアセテート、テトラヒド ロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン及びγ− ブチロラクトンからなる群より選ばれた溶媒であり、混合溶媒中のジメチルスルホキシドの割合が上述した他の溶媒の割合よりも多くした光学装置が提案されている。
この特許文献2では、DMSOの含有量が容量比で50%より大きく60%以下に調製された混合溶媒を使用すると共に、エレクトロクロミック材料にAg塩を使用し、Ag塩を混合溶媒に溶解させて電解液組成物を構成し、これにより−20℃の低温でも保存可能な光学装置を得ようとしている。
さらに、特許文献3には、Ag塩の溶液が対向電極間に配され、これらの電極の駆動制御によりAgの析出又は溶解を生じさせるように構成され、前記銀を異種金属と共析させるようにした光学装置が提案されている。
この特許文献3では、AgBr等のAg塩と共析金属の供給源としてのCuBr2とをジメチルホルムアミドやDMSO等の溶媒に溶解させると共に、トリエタノールアミン等の透明化剤(還元剤)を使用し、溶解したCu塩、すなわち2価のCuイオン(有色)を1価のCuイオン(無色)に還元して無色透明とし、これにより低温で低電圧駆動が可能な光学装置を得ようとしている。
しかしながら、特許文献1では、DMSOを溶媒に使用することにより、−2.5Vの低電圧での駆動を可能としているものの、このDMSOは凝固点が+18℃と高く、常温では低電圧駆動が可能であっても低温雰囲気での駆動は困難である。
また、特許文献2では、限定列挙された凝固点の低い溶媒をDMSOと混合し、斯かる混合溶媒を使用することにより、−20℃の低温で保存可能としており、低温雰囲気での駆動を可能としている。
しかしながら、この混合溶媒を特許文献1の表示装置に適用した場合、電解液が2価のCuイオンと溶媒との相互作用に起因した非常に強い初期着色を呈することから、電解液を低着色にして入射光を透過させることができない。
すなわち、特許文献1のように溶媒をDMSOのみで形成した場合は、電圧印加を解除して自然放置することにより、2価のCuイオンの仲立ちによってAgの色彩が消色される。また、電解液は実質的に無色の低着色となり、入射光は電解液中を透過する。しかしながら、低温での駆動が可能となるように、特許文献2に列挙した溶媒との混合溶媒を電解液溶媒に使用すると、上述したように2価のCuイオンと溶媒との相互作用に起因した非常に強い初期着色を呈する。したがって、特許文献2に記載の混合溶媒は、電解液が透過時に実質的に無色であることが要求される用途、例えば窓の光量変更用途等には使用することができない。
また、特許文献3は、透明化剤を電解液に含有させることにより、透過時には電解液が無色となるようにしているが、透明化剤を介して有色である2価のCuイオンを1価のCuイオンに還元して無色にしていることから、繰り返し特性を得ることができない。
本発明はこのような事情に鑑みなされてものであって、低温雰囲気下、低電圧で駆動させることができ、かつ透過時には低着色で光を透過させることができる電解液組成物、及びこの電解液組成物を使用した光学装置を提供することを目的とする。
上述したように2価のCu塩を添加すると、電解液中では2価のCuイオンとして存在し、電圧印加を解除して自然放置するとAgの有する色彩を消色させる機能を有する。したがって、低着色で光を透過させるためには、この種の消色機能を有する金属化合物を溶媒中に含有させる必要がある。
一方、種々の環境条件を考慮すると、十分な低温雰囲気下、低電圧で駆動可能とするためには、少なくとも−20℃以下での駆動を保証する必要がある。
しかしながら、特許文献1で使用されているDMSOは、凝固点が+18℃と高く、低温雰囲気での駆動は困難である。
そこで、本発明者は、DMSOに含有されている特性基としてのスルフィニル基(−S(=O)−)に着目し、スルフィニル基を有する有機化合物とスルフィニル基を有さない有機化合物とを使用し、凝固点が−20℃以下となるように電解液の組成を調整して鋭意研究を行ったところ、スルフィニル基を有する有機化合物の含有量を電解液中で60wt%以上とすることにより、−20℃以下の低温雰囲気でも低電圧の印加でエレクトロクロミック材料に酸化還元反応を生じさせることができ、さらに、エレクトロクロミック材料に対し消色機能を有する金属化合物を電解液中に含有させても、透過時には電解液を実質的に無色の低着色とすることができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであって、本発明に係る電解液組成物は、少なくとも第1の金属を含有した第1の金属化合物と前記第1の金属に対し消色機能を有する第2の金属化合物と支持電解質とを溶媒中に溶解させた電解液組成物であって、凝固点が−20℃以下であり、かつ、前記溶媒が、スルフィニル基を有する有機化合物からなる少なくとも一種の特定溶媒を60wt%以上含有していることを特徴としている。
また、本発明の電解液組成物は、前記有機化合物が、テトラメチレンスルホキシド(以下、「TMSO」という。)及びメチル(メチルスルフィニル)メチルスルフィド(以下、「FAMSO」という。)のうちの少なくともいずれか一方を含むのが好ましい。
TMSO及びFAMSOは凝固点が極めて低く、電解液組成物の凝固点を容易に−20℃以下とすることができる。しかも、有機化合物中にスルフィニル基を有することから、第2の金属化合物の作用と相俟って、容易に低着色を実現することが可能となる。
また、本発明の電解液組成物は、前記有機化合物が、TMSO及び/又はFAMSOに加え、DMSOを含有しているのが好ましい。
これにより、低温雰囲気で低着色が実現可能であると共に、より一層の低電圧での駆動が可能となる。
また、本発明の電解液組成物は、前記溶媒が、ラクトン系化合物、カーボネート系化合物、及びニトリル系化合物のうちのいずれか1種以上を含有していても好ましい。
これにより低温雰囲気での低電圧駆動が可能であり、透過時には低着色で入射光を透過させることができ、かつ耐電圧性にも優れた電解液組成物を得ることができる。
また、本発明の電解液組成物は、前記第1の金属化合物が、Ag化合物を含むことが好ましい。
これにより電解液組成物は、電圧印加によって生じる酸化還元反応によりAg化合物が還元されてAgを析出する。
また、本発明の電解液組成物は、前記第2の金属化合物が、Cu化合物を含むのが好ましい。
これにより電解液組成物は、自然放置又は金属析出時とは電圧の極性を反転させて逆極性の電圧(以下、これを「逆電圧」という。)を印加させた場合、Cuが消色機能を発揮して所望の低着色を実現することができる。
さらに、本発明の電解液組成物は、前記支持電解質がハロゲン化合物を含むのが好ましい。
また、本発明に係る光学装置は、一対の透明電極間に電解質層が介在された光学装置であって、前記電解質層は、上記いずれかに記載の電解液組成物で形成されていることを特徴としている。
本発明の電解液組成物によれば、少なくとも第1の金属を含有した第1の金属化合物と前記第1の金属に対する消色機能を有する第2の金属化合物と支持電解質とを溶媒中に溶解させた電解液組成物であって、凝固点が−20℃以下であり、かつ、前記溶媒が、スルフィニル基を有する有機化合物からなる少なくとも一種の特定溶媒を60wt%以上含有しているので、−20℃以下の低温雰囲気であっても、低電圧の印加で第1の金属が析出し、第2の金属化合物が有する第1の金属に対する消色機能により、自然放置又は逆電圧印加で第1の金属が溶媒中に溶解する。そしてこれにより、前記第2の金属化合物に含有される第2の金属と溶媒との相互作用に起因した初期着色が生じることもなく、透過性の良好な低着色の電解液組成物を得ることができる。
また、本発明の光学装置によれば、一対の透明電極間に電解質層が介在された光学装置であって、前記電解質層は、上記いずれかに記載の電解液組成物を含んでいるので、低温雰囲気かつ低電圧の印加により一方の透明電極の表面に第1の金属が析出して良好な反射性を有する反射モードを実現することができ、電圧印加の解除による自然放置又は逆電圧印加で透過性の良好な低着色の透過モードを実現することができる。また、電解液組成物中では低電圧印加と自然放置又は逆電圧印加を繰り返すことにより、電解液中で酸化還元反応を繰り返すことから、繰り返し耐久性の良好な光学装置を得ることができる。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は本発明に係る電解液組成物を使用して作製された光学装置の一実施の形態を模式的に示す断面図である。
この光学装置は、ガラス基板等の第1の透明基板1の表面に第1の透明電極2が形成され、該第1の透明電極2の表面には電解質層3が形成されている。そして、電解質層3の表面には第2の透明電極4が形成され、さらに該第2の透明電極4の表面には前記第1の透明基板1と同様のガラス基板等からなる第2の透明基板5が形成されている。
ここで、第1及び第2の透明電極2、4は透明導電膜で形成されている。この透明導電膜としては、良好な透明性と導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ITO(スズドープ酸化インジウム)、ZnO、TNO(ニオブドープ酸化チタン)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、In2O3−ZnO系材料等を使用することができる。
電解質層3は、第1の透明電極2と第2の透明電極4との間隔を確保するスペーサ8と、該スペーサ8の内周面に形成された保護壁6と、該保護壁6内に封入された電解液7とで構成されている。すなわち、電解液7は、第1の透明電極2、保護壁6、及び第2の透明電極4に囲繞された形態で第1の透明電極1及び第2の透明電極4との間に介在されている。
ここで、保護壁6としては、耐溶剤性を有していれば特に限定されるものではないが、通常は接液硬化可能な紫外線硬化樹脂を好んで使用することができる。
また、スペーサ8についても、耐溶剤性を有していれば特に限定されるものではなく、例えばフッ素系樹脂を使用することができる。
次に、上記電解液7を構成する電解液組成物について詳述する。
本電解液組成物は、少なくとも第1の金属を含有した第1の金属化合物と前記第1の金属に対し消色機能を有する第2の金属化合物と支持電解質が溶媒中に溶解されている。
ここで、第1の金属化合物としては、電圧印加により酸化還元反応が生じて第1の透明電極2の表面に第1の金属を析出するものであれば特に限定されるものではないが、第1の金属により入射光を反射するAg化合物やBi化合物を好んで使用することができる。特に、反射性の良好なAgを含有したAg化合物をより好んで使用することができ、例えば、AgNO3、AgBr、AgI、AgCl、AgCH3COO、Ag錯塩等のAg塩を単独で或いはこれらの組み合わせを好んで使用することができる。
また、第2の金属化合物としては、電圧印加の解除による自然放置又は逆電圧印加時に第1の金属に対する消色機能を有するものであれば、特に限定されるものではないが、通常、この種の消色機能を有する第2の金属化合物としてはCu化合物が広く使用される。すなわち、第2の金属化合物としては、Cu(NO3)2、CuBr2、CuBr、CuI、CuCl2、Cu錯体塩等のCu塩を単独で或いはこれらの組み合わせを好んで使用することができる。
支持電解質としても特に限定されるものではないが、Ag塩等の第1の金属化合物の酸化反応と対峙して還元反応を生じるハロゲン化合物を好んで使用することができる。また、ハロゲン化合物の中でも、NaBr、KBr、LiBr、TBABr(臭化テトラブチルアンモニウム)等のBr塩を特に好んで使用することができる。
そして、本電解液組成物では、凝固点が−20℃以下となるように溶媒組成が調製されており、かつ前記溶媒にはスルフィニル基(−S(=O)−)を有する有機化合物からなる少なくとも一種の特定溶媒が60wt%以上含有されている。
すなわち、光学装置を寒冷地等で動作させるためには、−20℃以下の低温雰囲気でも容易に駆動可能とする必要があり、そのためには電解液組成物の凝固点を−20℃以下とする必要がある。
一方、特許文献1にも記載されているように、スルフィニル基を有する有機化合物は、−2.5Vの低電圧駆動が可能であり、また第1の金属に対する消色機能を有する第2の金属化合物を溶媒中に含ませることにより、透過時には実質的に無色の低着色を実現することが可能である。
しかしながら、構成単位中にスルフィニル基を含有していても、化学式(1)で示すようなDMSOは凝固点が+18℃と高く、したがって常温では低電圧駆動が可能であっても、低温では凝固してしまって駆動させることができなくなり、所望の低温駆動を行うことができない。
そこで、本実施の形態では、電解液組成物の凝固点が−20℃以下であって、スルフィニル基を含有した有機化合物が溶媒の主体となるように組成調整している。
そして、このような電解液溶媒の主体となる有機化合物としては、スルフィニル基を含有していれば特に限定されるものではないが、凝固点が−45℃の化学式(2)で示すTMSOや、凝固点が−100℃以下の化学式(3)で示すFAMSOを好んで使用することができる。
また、電解液組成物の凝固点が−20℃以下であれば、TMSOやFAMSOに加えて低電圧駆動性が良好な上記DMSOを含有させるのも好ましく、これにより、より一層の低電圧駆動性を確保することができる。
また、スルフィニル基を有する有機化合物、すなわち特定溶媒は、低電圧駆動性及び低着色性に優れているが、溶媒がこれら特定溶媒のみで形成されていなくてもよく、上記特定溶媒は、全溶媒中で少なくとも60wt%以上であればよい。すなわち、溶媒中の特定溶媒の含有量が60wt%未満になると、低電圧駆動性や低着色性が低下するおそれがあるため、特定溶媒は、溶媒中で少なくとも60wt%は必要である。
一方、凝固点を−20℃以下に低下させ、かつ電解液自体の耐電圧性を向上させる観点から、溶媒中の特定溶媒の含有量が60wt%以上であれば、スルフィニル基を有さない溶媒種を含有させるのも好ましい。
このようなスルフィニル基を有さない溶媒としては、凝固点が−20℃以下で電位窓の広い溶媒種であれば特に限定されるものではなく、例えば、アミド基を有するN-メチル-2-ピロリジン、ジメチルアセトアミド、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N-エチルアセトアミド、トリ−nブチルアミン、Nエチルホルムアミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2−ピリミジノン、ヒドロキシル基を有するメタノール、エタノール、2-プロパノール、2-エチルヘキサノール、リン酸基を有するリン酸トリメチル、ポリリン酸、さらにはラクトン基やカーボネート基、ニトリル基等を含有した有機化合物を使用することができる。
特に、化学式(4)で示すγ−ブチロラクトン、化学式(5)で示すγ−バレロラクトン、化学式(6)で示すβ−プロピオラクトン等のラクトン基を有するラクトン系有機化合物、化学式(7)で示す1,2−ブチレンカーボネート、化学式(8)で示すプロピレンカーボネート等のカーボネート基を有するカーボネート系有機化合物、化学式(9)で示すアセトニトリル、化学式(10)で示す3−メトキシプロピオニトリル、化学式(11)で示す2−メチルグルタロニトリル等のニトリル基を有するニトリル系有機化合物は、耐電圧性の観点から、より好んで使用することができる。
次に、上記電解液組成物の製造方法を詳述する。
まず、以下の方法で溶媒を調製する。すなわち、特定溶媒となるスルフィニル基を有する有機化合物を少なくとも一種用意し、必要に応じてスルフィニル基を有さない凝固点が−20℃以下の有機化合物を用意する。そして、電解液組成物の凝固点が−20℃以下であり、かつ特定溶媒が溶媒中で60wt%以上となるように上記有機化合物を秤量して調製し、電解液溶媒を作製する。
尚、電解液組成物の凝固点は、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry ; 以下、「DSC」という。)法を使用することにより容易に測定することができるが、−20℃の冷却した状態で液体状態を維持していれば、凝固点を測定しなくても、−20℃以下の凝固点を有しているものと推認することができる。
次いで、Ag塩等の第1の金属化合物、Cu塩等の第2の金属化合物、及びBr塩等の支持電解質を用意する。そして、これら第1及び第2の金属化合物、及び支持電解質を電解液溶媒に投入し、Ar雰囲気やN2雰囲気等の不活性ガス雰囲気で十分に撹拌し、これら第1及び第2の金属化合物、及び支持電解質を溶媒中で溶解させ、これにより電解液組成物が作製される。
ここで、電解液組成物中の第1の金属化合物のモル濃度は、酸化還元反応により第1の透明電極2の表面に所望量の金属析出が生じるのであれば特に限定されるものではないが、5mol/L以下が好ましく、より好ましくは0.001〜1mol/Lであり、さらに好ましくは0.005〜0.1mol/Lである。
また、第2の金属化合物のモル濃度も、第1の金属に対し所望の消色機能を発現できるのであれば特に限定されものではなく、また、他の成分組成によっても調整が可能であるが、通常は0.001〜0.02mol/L以下が好ましく、より好ましくは0.001〜0.005mol/Lである。
また、支持電解質のモル濃度も特に限定されるものではないが、第1の金属化合物の5倍程度、例えば25mol/L以下が好ましく、より好ましくは0.005〜5mol/Lが好ましく、さらに好ましくは0.025〜0.5mol/Lである。
このように本電解液組成物は、少なくとも第1の金属を含有したAg化合物等の第1の金属化合物と第1の金属に対し消色機能を有するCu化合物等の第2の金属化合物とBr化合物等の支持電解質とを溶媒中に溶解させた電解液組成物であって、凝固点が−20℃以下であり、かつ、前記溶媒が、スルフォニル基を有する有機化合物からなる少なくとも一種の特定溶媒を60wt%以上含有しているので、−20℃以下の低温雰囲気中、低電圧駆動で第1の金属が析出し、第2の金属化合物が有する第1の金属に対する消色機能により、自然放置又は逆電圧印加で第1の金属が溶媒中に溶解する。そしてこれにより、前記第2の金属化合物に含有される第2の金属と溶媒との相互作用に起因した初期着色が生じることもなく、透過性の良好な低着色の電解液組成物を得ることができる。
上記光学装置は、本電解液組成物を使用し、以下のようにして容易に製造することができる。
まず、スパッタ法等の薄膜形成法を使用し、ガラス基板等の第1の透明基板1の一方の主面に膜厚0.1〜0.5μmのITO等からなる第1の透明電極2を形成する。同様に第2の透明基板5の一方の主面にもITO等からなる第2の透明電極4を形成する。
次いで、紫外線硬化樹脂を第1の透明電極2の表面外周に線状に塗布し、塗布膜を形成する。尚、このとき電解液組成物が注入可能となるように塗布膜の一部に開口部を設ける。
次に、フッ素樹脂等からなる膜厚100〜2000μmのスペーサ8を塗布膜の外周部に配し、さらに第2の透明電極4が形成された第2の透明基板5を塗布膜及びスペーサ8上に載置する。その後、これに紫外線を照射し、第1の透明基板1、第1の透明電極2、前記開口部を有する塗布硬化膜、第2の透明電極4、及び第2の透明基板5が順次積層された空セルを作製する。
尚、スペーサ8は、第1の透明電極2と第2の透明電極5との間の距離を確保するために設けていることから、空セルの作製後に除去してもよい。
次いで、上記作製された本電解液組成物を塗布硬化膜の開口部から注入し、この後、接液硬化可能な紫外線硬化樹脂で開口部を封止し、これにより保護壁6を作製する。そしてこれにより、電解液7が保護壁6、第1及び第2の透明電極2、4で囲繞され、光学装置が作製される。
次に、この光学装置の動作原理を説明する。
図2は、上記光学装置の動作状態を模式的に示す図であり、図2(a)は、入射光が反射する反射モード、図2(b)は、入射光が透過する透過モードを示している。
すなわち、第1の透明電極2と第2の透明電極4との間に、低電圧(例えば、−2.3〜−2.7V)が印加されると、電解液は酸化還元反応を生じ、第1の金属化合物は還元され、作用電極である第1の透明電極2の表面に第1の金属が析出し、図2(a)に示すように、金属膜9が形成される。このとき、第1の透明電極2の対極である第2の透明電極4側では、支持電解質が酸化される。
そして、光学装置は反射モードとなり、太陽光等の入射光は、矢印Pに示すように、金属膜9で反射し、該入射光は光学装置を透過しない。
一方、電圧印加が解除されて自然放置され、又は第1及び第2の透明電極2、4間に逆電圧が印加されると、再び酸化還元反応が生じ、図2(b)に示すように、金属膜9は酸化されて電解液7中に溶解し、第2の透明電極4で生成された支持電解質イオンは還元される。このとき、第2の金属化合物は第1の金属の消色を促進し、第2の金属化合物に含有される第2の金属イオンと溶媒との相互作用に起因した初期着色が生じることもなく、電解液7は実質的に無色の低着色となる。
そして、光学装置は透過モードとなり、太陽光等の入射光は、矢印Qに示すように、低着色の電解質7を透過する。
例えば、第1の金属化合物にAg(NO3)等のAg塩、第2の金属化合物にCuCl2等のCu塩をそれぞれ使用し、支持電解質にLiBr等のBr塩を使用した場合、図2(a)に示すように、第1の透明電極2と第2の透明電極4との間に低電圧が印加されると、第1の透明電極2側では化学反応式(A)に示すように、Ag塩中のAgイオンが還元され、第1の透明電極2の表面にはAgからなる金属膜9を形成する。そして、光学装置は反射モードとなり、矢印Pで示す入射光が鏡状態の金属膜9で反射する。このとき、第2の透明電極4側では、化学反応式(B)で示すように、Br塩が酸化され、Br3-を生成する。
Ag++e−→Ag ...(A)
3Br−→Br3-+2e− ...(B)
3Br−→Br3-+2e− ...(B)
一方、図2(b)に示すように、第1の透明電極2と第2の透明電極4との間に、逆電圧が印加されると、第1の透明電極2側では、化学反応式(C)に示すように、Agが酸化され、Agイオンとなって電解液7中に溶解する。また、第2の透明電極4側では、化学反応式(D)に示すように、Br3-が還元されてBr−を生成する。
Ag→Ag++e− ...(C)
Br3-+2e−→3Br− ...(D)
Br3-+2e−→3Br− ...(D)
そして、電解液7にはAgに対する消色機能を有するCu塩が含有されていることから、電解液7はAgを消色する。また、2価のCuイオンと溶媒の相互作用に起因した初期着色が生じることもなく、実質的に無色の低着色となる。
このようにして透過モードとなった光学装置は、入射光は、矢印Qに示すように、光学装置を透過して外部に射出される。
また、図2(b)において、電圧印加を解除して自然放置した場合も、第2の金属化合物の有する消色機能を介して容易に透過モードを出現させることができる。
例えば、上述と同様、第1の金属化合物にAg塩、第2の金属化合物にCu塩、支持電解質にBr塩を使用した場合、第1の透明電極2側では、化学反応式(E)、(F)に示すように、Cu塩とAgとの間で酸化還元反応が生じ、電解液7中のCuイオンは還元されてAgを酸化し、Agが電解液7中に溶解する。
Cu2++e−→Cu+ ...(E)
Ag→Ag++e− ...(F)
Ag→Ag++e− ...(F)
そして、電解液7中では、化学反応式(G)、(H)に示すように、第2の透明電極4側で発生したBr3-とCu+との間で酸化還元反応が生じ、Br3-はBr−に還元され、Cu+はCu2+に酸化される。
Br3-+2e−→3Br− ...(G)
Cu+→Cu2++e− ...(H)
Cu+→Cu2++e− ...(H)
このようにCu塩はAgの酸化とBr3-の還元を仲介し、これによりCuはAgの有する色彩を消色し、透過モードを実現することができる。
このように本光学装置では、一対の透明電極(第1及び第2の透明電極2、4)間に電解質層3が介在された光学装置であって、前記電解質層3は、上記電解液7を含んでいるので、低温雰囲気かつ低電圧で駆動することにより第11の透明電極2の表面に第1の金属が析出して良好な反射性を有する反射モードを実現することができ、自然放置又は逆電圧印加で透過性の良好な低着色の透過モードを実現することができる。
また、電解液組成物中では低電圧印加と自然放置又は逆電圧印加を繰り返すことにより、電解液中では酸化還元反応を繰り返すことから、繰り返し耐久性の良好な光学装置を得ることができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、電解液組成物の粘度を向上させる観点から、溶媒中で分解せず、耐電圧性が良好な樹脂を添加するのも好ましい。
そして、このような樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリメタクリレート(PMA)等のアクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂、ポリビニルピロリドン(PVP)、セルロースエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリエポキシ類、ポリウレタン類、ポリビニルアセタール(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、或いはこれらのコポリマー等を使用することができる。
また、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)などのポリマーに電解液組成物を保持させ、シート状に成形して固体電解質或いはゲル電解質として使用することも可能である。
また、架橋基を有するポリマーを使用することも可能であり、この場合は、まず架橋基を有するポリマーと電解液組成物とを混合し、次いでポリマーの架橋基を電子線架橋、熱架橋、紫外線架橋等の架橋法を使用して架橋することができる。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
〔電解液組成物の作製]
スルフィニル基を有する溶媒(特定溶媒)としてTMSO、FAMSO、DMSOを用意し、スルフィニル基を有さない溶媒として1,2−ブチレンカーボネート(以下、「1,2−BC」という。)、γ−ブチロラクトン(以下、「GBL」という。)を用意した。
スルフィニル基を有する溶媒(特定溶媒)としてTMSO、FAMSO、DMSOを用意し、スルフィニル基を有さない溶媒として1,2−ブチレンカーボネート(以下、「1,2−BC」という。)、γ−ブチロラクトン(以下、「GBL」という。)を用意した。
次に、DSC装置(TAインスツルメント社製Q20)を使用し、各溶媒の凝固点を測定した。
すなわち、熱的に不活性なα−アルミナを基準物質に使用し、溶媒試料と基準物質とを試料ホルダーにセットし、DSC装置を−100℃〜+20℃の範囲で、20℃/minの速度で昇温させた。この場合、基準物質は装置内温度に比例して上昇する。一方、溶媒試料は、熱的変化が生じない場合は基準物質と同様な挙動を示すが、熱的変化が生じると基準物質とは異なる挙動を呈し、発熱反応が生じる。したがって、基準物質と試料の温度差を時間に対してプロットすると、発熱反応が生じると凸状の発熱ピークが生じる。そして、この昇温時の発熱ピークを溶媒試料の凝固点とした。
尚、高温から冷却させた場合も同様の発熱ピークが生じるが、過冷却となって発熱ピークが低くなる傾向にある。したがって凝固点が実際よりも低い値になるおそれがあることから、−100℃から徐々に上昇させて凝固点を測定した。
表1は、各溶媒の凝固点の測定結果を示している。
この表1から明らかなように、TMSO、GBL、1,2−BCの凝固点は−43〜−45℃であり、DMSOの凝固点は+18℃であった。また、FAMSOは、−100℃〜+20℃の範囲では発熱ピークが生じなかったことから、凝固点は−100℃以下であると考えられる。
次いで、これら各溶媒を組み合わせ、溶媒組成が表2に示す重量比率となるように調製し、電解液溶媒を作製した。
尚、これら電解液溶媒の重量比率は、ガスクロマトグラフ−質量分析(Gas Chromatograph Mass Spectrometer;GCMS)装置(島津製作所社製GCMS−QP2010SE)を使用し、熱抽出分析法でも確認した。
次に、第1の金属化合物としてAgNO3、第2の金属化合物としてCuCl2、支持電解質としてLiBrを用意した。そして、これらの濃度が、AgNO3:0.025mol/L、CuCl2:0.005mol/L、LiBr:0.25mol/Lとなるように、各溶媒に添加し、さらにPVB樹脂が3wt%となるように添加し、これにより試料番号1〜14の電解液組成物を作製した。
尚、この電解液組成物の調合は、ArガスやN2ガス等の不活性雰囲気下、40℃に温度調節されたグローブボックス内で、ポットミルを12時間撹拌して行った。
〔測定試料の作製]
一方の主面に膜厚0.2μmのITO膜(透明電極)が形成された厚みが1.1mmの一対のガラス基板(第1及び第2のガラス基板)を用意した。尚、ITO膜は、比抵抗が10Ω・cmのものを使用した。
次に、第1のガラス基板側のITO膜上の外周に開口部を有するようにエポキシ系の紫外線硬化樹脂を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜の外周部に膜厚300μmのフッ素樹脂からなる樹脂シート(スペーサ)を配した。そして、ITO膜間の距離が300μmとなるように樹脂シートの両面に第1及び第2のガラス基板を配し、紫外線を照射して空セルを作製した。
次いで、試料番号1〜14の電解液組成物をそれぞれ前記開口部から注入し、その後開口部を接液硬化可能な樹脂で封止し、これにより試料番号1〜14の測定試料を作製した。
〔測定試料の評価〕
試料番号1〜14の測定試料を−20℃とし、凝固するか否かを目視確認した。
試料番号1〜14の測定試料を−20℃とし、凝固するか否かを目視確認した。
次に、各試料の反射状態及び着色状態を確認した。
反射状態については、光源としてデジタルファイバアンプ(オムロン社製 E3X-DA11AN) を使用し、常温(25℃)下、波長が635nmの光線を測定試料に照射し、ITO膜間に−2.3V及び−2.7Vの電圧を印加し、そのときの反射率を測定して評価した。尚、反射率のキャリブレーションは、反射型レンズユニット(オムロン社製E39-F3B)を使用し、鏡面体の反射率を100%に設定して相対反射率を測定した。
そして、相対反射率が40%以上の測定試料を良品「○」とし、相対反射率が40%未満の測定試料を不良品「×」と判断した。
一方、着色状態については、測定試料を自然放置し、上述したデジタルファイバアンプを光源に使用し、上述と同様の条件で測定試料に照射し、そのときの透過率を測定して評価した。尚、透過率のキャリブレーションは、測定試料に何も挟まないブランク状態で行った。
そして、透過率が75%以上の測定試料を低着色の無色として良品と判断し、透過率が75%未満の測定試料については着色状態を有色として不良品と判断した。
また、試料番号1、9、及び10については、上述したDSC装置を使用し、凝固点を測定した。
表2は、試料番号1〜14の各試料の溶媒組成、−20℃における状態、−2.3V及び−2.7Vの電圧印加時における反射状態、電解液の着色状態、及び凝固点を示している。
試料番号11は、−2.3Vの低電圧で駆動させることができ、着色状態も無色であり、低着色性を有するものの、凝固点が+18℃のDMSOのみで溶媒が形成されているため、−20℃では電解液組成物が凝固してしまい、低温駆動させることができないことが分かった。
試料番号12は、溶媒が、凝固点が−43℃のGBLで形成されているため、−20℃でも液体を維持しているが、GBLはスルフィニル基を有していないため、−2.7Vの低電圧で駆動させることができず、また、着色状態もCuに起因した濃橙色を呈し、低着色性に劣ることが分かった。
試料番号13は、−2.3Vの低電圧で駆動させることができ、着色状態も無色であり、低着色性を有するものの、−20℃では一部凝固することが分かった。これは溶媒としてスルフィニル基を有するTMSO及びDMSOを含有しているものの、凝固点が+18℃のDMSOが過剰に含有されているため、TMSOを含有させたとしても、−20℃では電解液組成物が一部凝固し、完全な液体状態とすることができなかったものと思われる。
試料番号14は、溶媒として凝固点が−43℃のGBLが50wt%含有されているため、−20℃では液体状態を確保できるものの、このGBLはスルフィニル基を含有しておらず、このため−2.3Vの低電圧での駆動は可能であるが、透過率が低く、橙色に着色し、低着色性に劣ることが分かった。
これに対し試料番号1〜10は、−20℃における状態が液体であることから電解液組成物の凝固点は−20℃以下であるのは明らかであることが分かった。しかも特定溶媒としてのスルフィニル基を有する有機化合物が、溶媒中で60wt%以上であるので、−2.7Vの低電圧で駆動し、かつ着色状態も無色で低着色性を確保でき、低温で低電圧駆動が可能であり、低着色性を有することが分かった。
特に、FAMSO単独、又は二種以上の特定溶媒を組み合わせることにより、−2.3Vのより低電圧での駆動が可能であることが確認された。
また、溶媒中に特定溶媒を少なくとも60wt%含有していれば、スルフィニル基を含有していない低凝固点の有機化合物との混合溶媒を使用することも可能であることが分かった。
尚、試料番号1、9、10の凝固点の測定結果から明らかなように、電解液組成物の凝固点は、−20℃よりも十分に低いことも確認された。
低温雰囲気で低電圧駆動が可能であり、かつ低着色性を有する電解液組成物を実現でき、所望の反射モードと透過モードとを繰り返し行うことが可能な光学装置を実現できる。
2 第1の透明電極
3 電解質層
4 第2の透明電極
7 電解液
3 電解質層
4 第2の透明電極
7 電解液
Claims (8)
- 少なくとも第1の金属を含有した第1の金属化合物と前記第1の金属に対し消色機能を有する第2の金属化合物と支持電解質とを溶媒中に溶解させた電解液組成物であって、
凝固点が−20℃以下であり、
かつ、前記溶媒が、スルフィニル基を有する有機化合物からなる少なくとも1種の特定溶媒を60wt%以上含有していることを特徴とする電解液組成物。 - 前記有機化合物は、テトラメチレンスルホキシド、及びメチル(メチルスルフィニル)メチルスルフィドのうちの少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1記載の電解液組成物。
- 前記有機化合物は、ジメチルスルホキシドを含むことを特徴とする請求項2記載の電解液組成物。
- 前記溶媒は、ラクトン系化合物、カーボネート系化合物、及びニトリル系化合物のうちのいずれか1種以上を含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電解液組成物。
- 前記第1の金属化合物は、Ag化合物を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電解液組成物。
- 前記第2の金属化合物は、Cu化合物を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電解液組成物。
- 前記支持電解質は、ハロゲン化合物を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電解液組成物。
- 一対の透明電極間に電解質層が介在された光学装置であって、
前記電解質層は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の電解液組成物を含んでいることを特徴とする光学装置。
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2014
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