EAS10の主要構成要素が図1に概略的に示されている。緊急警報送信センタ12は、緊急指令センタ(EOC)22から緊急警報メッセージおよび地理的データを受信し、緊急システム衛星14に1またはそれ以上の信号16を送信する。この信号16は、関連する地理的領域に基づくものである地理的領域メッセージと、関連する地理的領域内に位置する人々を対象とした緊急警報メッセージとに対応する。EOC22および緊急警報送信センタ12は、単一の設備であっても、あるいは別個の設備であってもよい。好ましい実施形態では、緊急警報送信センタ12は、別個の設備であり、異なる地理的領域からの数多くのEOC22のために働く。例えば、単一の緊急警報送信センタ12は、数多くの州、都市またはその他の領域のEOC22のために働く能力を有するものとなる。緊急警報送信センタは、緊急システム衛星14に必要なメッセージを送るために1またはそれ以上の送信器を有している。
本発明は、緊急警報メッセージおよび地理的領域メッセージの地球への再送信に人工衛星14を使用するものとして示されているが、それらメッセージを送信するその他の手段を使用することもできる。セルラシステムは、米国および世界のその他の多くの先進国の地理的領域のほぼすべてに送信する能力を提供する。緊急警報送信センタ12は、人工衛星の送信の代わりに、あるいは人工衛星の送信に加えて、セルラ送信を介して緊急警報メッセージおよび地理的領域メッセージを送信することができる。人工衛星の送信を使用することが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
この構成は、一つの緊急警報送信センタ12が幾つかのEOC22についての人工衛星送信タスクすべてを扱うことを可能にするため、好ましい。既存のEOCが世界の至るところに存在している。殆どの地方行政体(例えば、州、郡または教区、および市役所)は、そのようなEOCを運営している。これらEOCの幾つかは、人工衛星送信機能を有するが、有さないものもある。専用の緊急警報送信センタ12を介してEASメッセージすべてを送ることによって、大幅なコスト節約が納税者である市民に還元される。また、専用の緊急警報送信センタ12を使用する場合、異なるEOC22によって相反するメッセージが送信されることのないようにすることによって、システムの効率が改善されるはずである。
緊急システム衛星14は、地球に1またはそれ以上の信号18を再送信し、それら送信は、緊急警報対応デバイス(EAED)20により受信される。上述したように、それら信号18は地理的領域メッセージおよび緊急警報メッセージに対応する。EAEDは図1には示されていないが、後で詳細に説明する。
図2および図3は、本発明の好ましい実施形態のステップを示している。図2は、例示となる地理的領域の頭上表示である。緊急事態がサイト30で生じ、EOC22(図2では省略)の職員は、関連する特定の地理的領域32内のすべての人に緊急警報メッセージを伝えるべきであると決定している。関連する特定の地理的領域は、図2では、ブロック形式で示されている。関連する地理的領域32は、円、半円、矩形、あるいはその他の任意の形状とすることができる。EOCのオペレータは、どの地理的領域32に緊急事態を知らせるべきであるのかの決定をしなければならない。
図2に示される仮想例では、化学工場に火災が発生し、火災地点の近傍領域およびその風下に危険な空中浮遊物質の危険をもたらしている。EOCのオペレータは、緊急事態とその危険性の通知を受ける。その後、オペレータは、すべての人が警報メッセージを受け取る必要がある適切な地理的領域32を決定する。そして、システムは、地理的に標的化した緊急警報メッセージを生成して送信する。関連する地理的領域内の人たちのみがメッセージ送信の標的とされる。本発明においては、オペレータは、地理的マッピングソフトウェアを使用して警報領域を規定することもできる。このプロセスは、電子市街地図、衛星写真、または市街地図情報が重ね合わされた複合衛星写真を使用することができる。
本発明は電子地図を使用することができるが、本発明は地図またはマッピングプロセスに依存するものではない。本発明は、実際の緯度および経度の座標を使用して、関連する領域を規定するとともに、特定のユーザの正確な位置を突き止めることができる。このアプローチは、正確で信頼できる位置情報を提供する。地図は旧式で、あるいは不正確な場合もある。また、地図上の無人の領域(例えば、湖または森の中)に人がいる可能性もあるが、本発明は、そのような人たちが緊急事態に関連する領域内にいる場合には、彼らに伝えることもできる。殆どの従来システムは、ある程度はハードコピーまたは電子の地図に依存するものであり、よって、この点に関して、本発明には及ばない。
コンピュータまたは等価デバイスは、地理的領域メッセージを生成するために使用することができる。このメッセージは、特定の緊急事態について関連する地理的領域の電子表示(例えば、アルゴリズムの形式)を含むものとなる。図2に示す地理的領域32は、関連する地理的領域の例示である。地理的領域メッセージは、EAED20の実際の地理的位置が関連する領域内にあるかどうかを判定するためにEAED20のプロセッサが数式を使用するように、地理的領域32を規定する一連の数式を含むものであってもよい。
この例では、EOCオペレータは、火災の南および東の警報領域を規定した。これは、図2の地理的領域32によって示されている。この地理的領域を示すデータは、緊急警報送信センタ12への送信のために用意されている。地理的領域データの処理は、当業者に知られている様々な方法で行うことができる。
緊急システム衛星14との間で送受信しなければならないメッセージのサイズを制限するように、地理的領域データの符号化を行うことが望ましい。より大きなデータ量は、より多くのメモリ資源を人工衛星14およびEAED20において必要とする。また、送信のサイズが大きくなるほど、送信に長い時間を要することとなる。時差は、システムの応答時間に顕著な遅延をもたらすことはないであろう。しかしながら、衛星送信が長くなると、短い送信よりも、干渉または障害に対する影響を受け易くなる。また、メッセージを最終的に受信するデバイスは、大容量の内部メモリを有していないことがあり、また本発明で使用されるメッセージのサイズを制限する傾向がある。これらの理由から、地理的領域メッセージのサイズを制限することが望ましい。
地理的領域データは、送信されるデータのサイズを小さくするために圧縮されるものであってもよい。そのようなデータ圧縮は、任意の適当な方法で行うことができる。数多くの種類のデジタルデータ圧縮が当業者に知られているが、本発明においては、別の方法よりも優れていると知られている特定の方法はない。運用上の整合性のためには、単一のデータ圧縮技術がすべてのEASオペレータによって採用および使用されることが非常に好ましい。
圧縮された地理的領域メッセージは、緊急システム衛星14に送信され、その後、EAED20に再送信される。好ましい実施形態では、EAEDが地理的領域メッセージを解凍することができる。複数種類のデータ圧縮を認識して解凍するためにEAED20をプログラムする必要性を回避するために、この場合も同様に、単一のデータ圧縮技術がすべてのEASオペレータによって採用および使用されることが非常に好ましい。この目的は、使用する専用の緊急警報送信センタ12の数を少なくすることによって促進される。それは、EOC22によってではなく緊急警報送信センタ12によってデータ圧縮を行なうことができるからである。
緊急システム衛星14は、所定の期間、地球への繰り返し再送信のために、受信した緊急警報メッセージおよび地理的データメッセージを記憶するようにしてもよい。これは、関連する地理的領域内のEAED20が実際に必要なメッセージを受信する可能性を増加させることにより、システムの有効性を改善することができる。
また、人工衛星14は、再送信の前にメッセージの形式を変更することができ、データ圧縮を変更または除去することができ、あるいは緊急警報メッセージおよび/または地理的領域メッセージのデジタル特性にその他の変更を加えることができる。これらのタイプの変更は、すべて本発明の範囲内に入るものであり、人工衛星14によるメッセージの再送信を構成するものとなる。同じメッセージ内容(すなわち、例えば、その領域を避難させるための、同じ緊急警報メッセージおよび同じ関連する地理的領域)が人工衛星14により地球に送信される限りは、そのような送信は、緊急警報送信センタ12から人工衛星14に送られる同じメッセージの再送信と考えられる。
好ましい本発明の別の実施形態では、EOC22は緊急警報送信センタ12に非デジタルの地理的な地域情報を提供し、そこで、地理的領域情報がデジタル化および圧縮される。例えば、EOCは、緊急警報送信センタ12に警報領域の口頭の説明または記載された説明を提供することができる。その後、緊急警報送信センタ12のオペレータは、マッピングソフトウェアを使用して、地理的警報領域を規定することができ、関連する地理的領域は、緊急システム衛星14への送信の準備ができた、適切にデジタル化され圧縮された地理的領域メッセージの信号となる。
関連する地理的領域の形状は、地理的領域のデータパケットのサイズに大きな影響を与えることができる。円形は、デジタル的に定義するのが容易であり、相対的に小さいファイルサイズをもたらす。一方、数多くの矩形セグメントを有する複雑な形状は、デジタル的に定義するのが非常に難しく、非常に大きなファイルサイズをもたらす可能性がある。ある場合には、地理的領域全体をより容易に定義される領域に分割して、複数組の地理的領域および警報メッセージを送信することが好ましい場合がある。EASの信頼できる運転を促進することを意図したこの種の変更等は、本発明の範囲内に含まれる。
図3は、本発明の好ましい実施形態の方法の次の概略ステップを示している。この図面は、緊急警報メッセージ選択プロセス34を示している。図3に示す例では、オペレータは、ある標準警報メッセージ(例えば、退避するか、適当な場所に避難する)から選択するようにしても、あるいはカスタムメッセージを作成するようにしてもよい。また、本発明は、テキスト、オーディオ、ビデオまたはこれら通信方法の任意の組み合わせによる警報メッセージを検討している。例えば、警報は、テキストメッセージ、これと同じメッセージまたはより詳細なメッセージのオーディオバージョン、あるいは警報領域および安全領域の地図を示すビデオ表示から構成することができる。
図3に示すように、緊急警報メッセージは、プルダウンメニュー36を有するコンピュータソフトウェアを使用して生成することができる。緊急警報メッセージを生成するその他の手段には、予め選択されたメッセージを示すコードを使用してそのコードを緊急警報送信センタ12に伝え、緊急警報送信センタで、実際の電子メッセージを生成するというものが含まれる。同様に、EOC22のオペレータは、緊急警報送信センタ12に緊急警報メッセージを電話で伝えることができ、あるいは電子メールまたはその他の通信手段を使用することもできる。
好ましい実施形態では、ある方法で地理的領域メッセージおよび緊急警報メッセージがリンクされる。2つのメッセージは、互いに関連し合い、一対のメッセージとして、あるいは、ある実施形態では単一の複合メッセージの二部分として、送信および再送信されることとなる。これらの変更は本発明から逸脱するものではない。好ましい一実施形態では、これらメッセージは、EASで使用される任意のデバイスにより二つのメッセージを確実に互いに関連付けることを可能にする相互参照データによって、リンクされる。例えば、送信機、人工衛星およびEAEDはすべて、リンクされた一対の緊急警報および地理的領域メッセージを認識することができる。
ここで図4を参照すると、フローチャート40が示されている。このチャートは、本発明の好ましい実施形態のステップを表している。図示の最初のステップは、あるセグメントの市民に緊急事態を知らせるべきであるかどうかの救急隊員による決定である(42)。この決定がなされたら、オペレータがコンピュータソフトウェア44を使用して、適切な緊急警報領域を規定する(44)。その後、適切な緊急警報メッセージがオペレータによって選択または作成される(46)。地理的警報領域は、地理的領域信号のために数学アルゴリズムに変換される(48)。地理的データは、このステップの一部として圧縮されるものであってもよく、あるいは追加のデータ圧縮ステップ(図4では省略)が使用されるものであってもよい。
関連する地理的領域をデジタル的に符号化するために、コンピュータを使用することができる。地理的マッピングアルゴリズムについての現在の標準形式は存在しないため、本発明は、地理的データについて、特定の形式タイプに限定されるものではない。コンピュータソフトウェアは、関連する地理的領域のデジタル表示を生成するために使用することができる。このデジタルファイルは、人工衛星に送信されてその後にEAED20に再送信される地理的領域メッセージの一部、あるいはすべてとなる。
適切な警報メッセージ信号および地理的領域メッセージ信号が用意されたら、それら二組の情報が1またはそれ以上の人工衛星に送信される(50)。その後、人工衛星は、緊急事態メッセージ信号および地理的領域メッセージ信号を選択領域にブロードキャストする(52)。それらブロードキャストは、関連する地理的領域の全体が当該ブロードキャストによって完全にカバーされるように、緊急事態システムのオペレータにより選択された地理的領域よりも遥かに大きい地理的領域に及ぶものとなる。例えば、緊急警報領域にテキサス州ヒューストンの一部が含まれる場合には、人工衛星の送信は、北アメリカ全体のユーザに届くものであってもよい。この例では、世界のその他の部分にブロードキャストするその他の人工衛星は使用されない。しかしながら、2以上の人工衛星を使用することが、冗長性を与えて本発明の有効性を高めるために望ましい場合もある、と想定される。
その後、EAED20は、警報メッセージ信号および地理的領域メッセージ信号の衛星送信を受信する(54)。これら二つの信号が受信されると、EAED20は地理的領域メッセージを評価して、そのメッセージに含まれる地理的データをEAEDの現在の地理的位置と比較することとなる(56)。EAED20は、その地理的位置を捕捉する様々な手段を使用することができるが、好ましい手段は、全地球測位システムまたはGPSを使用するものである。これは後で詳細に説明する。その後、EAED20は決定ステップを実行する。それは、関連する地理的領域内にEAED20があるかどうかを問い合わせるものである(58)。
EAED20が関連領域の外にある場合、プロセスを終了する(60)。しかしながら、EAED20が関連する地理的領域内にある場合には、EAEDが緊急警報メッセージを提示する(62)。その後、EAED20は、ユーザから要求があったときのリピート再生のためにメッセージを保存する(64)。そのメッセージは、当該メッセージを受信するユーザがそこにいなくても、提示される。提示の手段は、EAEDおよび/またはそのホストデバイスにより使用されるインターフェースに依存して変化する。
多くの好ましい実施形態では、EAED20がホストデバイスに内蔵される。EAED20が警報メッセージを伝えるために必要とされる場合には(62)、ユーザにメッセージを提示するためにホストデバイスを使用することができる。ホストデバイスがその他の目的に使用されている場合には、EAED20は、緊急警報メッセージが伝達されるように、ホストデバイスの現在のオペレーションを無効にする。警報メッセージを伝えるべきであるとEAED20が決定したときにホストデバイスがオフである場合には(62)、EAED20はホストデバイスをオンにしてメッセージを伝える。ホストデバイスは、警報メッセージが伝えられた後に、再びオフに切り換えられるものであってもよい。
警報メッセージが伝えられても(62)、あるいは伝えられなくても(60)、EAED20は、レディモード(66)に戻り、その後に前のステップの実行が続く。実際に、EAED20は常にメッセージを受信する準備ができている状態を保ち、好ましい実施形態では、その他のメッセージが処理されている間に入力されたメッセージを保持するバッファまたはキューを有する。これは、特定のEAED20が非常に短い期間内に多くのメッセージを受信することができるため、潜在的に重要である。本発明は、これを可能にするとともに、ユーザに伝達する必要があるあらゆる警報メッセージが確実に伝達されるようにする。実際のところは、EAED20は、数多くの警報メッセージ/地理的メッセージの組合せを処理するのに僅か数秒しかかからないであろう。
EAED20のブロック図が図5に示されている。これらブロックは、地理的位置モジュール72、人工衛星メッセージ受信器74、緊急警報メッセージインターフェース76およびデータプロセッサ78を表わしている。好ましい実施形態では、地理的位置モジュール72は、高感度のGPS受信器である。EAED20は常にオンを維持して、ユーザが屋内または厚く覆われた木々の下にいる場合においても地理的位置を捕捉しなければならないため、感度が非常に高く電力消費が非常に低いGPS受信器に対する要求が存在する。
これら条件を満足するGPS受信器は、様々なところから得ることができる。良好に機能したモデルの一つは、GPS技術を専門とするドイツの会社、u−blox社により製造されており、u−blox社は、様々なGPS受信器を製造するとともに、非常に感度の高い受信器を開発している。GPS衛星は絶え間なく送信しなければならず、このため、それら衛星は、非常に低いパワーレベルで送信する。これは、過去に、GPS受信器に関する受信問題を引き起こしている。多くのGPSユニットは、自動車の内部、厚く覆われた木々の下、あるいは屋内にあるときに、信号を失う。また、多くのGPSユニットは、位置を得るのに手間取る。本発明においては、そのような欠点を避けることが非常に望ましい。
u−blox社のGPS受信器は、非常に感度の高いアンテナと、高度なデータ処理を組み合わせている。幾つかのu−blox社の受信器は、GPS衛星データが一時的に失われた場合にもユニットの現在位置の推定を補助するデッドレコニング機能を含む。また、u−blox社のGPS受信器は、使用する電力が50mW未満の超低電力消費デバイスである。u−blox5は、最新世代のu−blox社のGPSチップセットであり、このチップセットは本発明に非常に良く適合することが予想されており、u−blox社は、このチップセットがGPS捕捉(GPS fix)に要する時間が1秒未満であると主張している。迅速で正確な捕捉は、本発明にとって非常に望ましいものである。
GPS捕捉が高い信頼度で非常に迅速に得られる場合には、地理的位置モジュール72がEAED20の通常動作中にパワーダウンすることが可能である。地理位置モジュール72は、周期的にGPS捕捉を得ることができるとともに、地理的領域メッセージおよび緊急警報メッセージを人工衛星から受信したときに捕捉を得るように構成することができる。そのような動作は、地理位置モジュール72の電力消費を低減し、EAED20の総電力需要を低減することができる。
本発明は、任意の低電力で高感度のGPS受信器で機能するであろう。u−blox社の受信器は、現在のところ好ましい実施形態であるが、GPS受信器の市場には多くの競合メーカが存在する。また、将来は、改良された新世代のGPS衛星が運転されるであろう。これらの新しい人工衛星は、既存のGPS衛星よりも高い伝送レベルを持つであろう。これらの新しい人工衛星が利用可能になるときには、感度の心配は今日ほど重要ではなくなる可能性がある。しかしながら、特にEAED20が常に電源投入されている状態を維持するように構成される場合には、電力消費の心配は依然重要である可能性がある。
人工衛星メッセージ受信機74は、緊急システム衛星14から警報メッセージおよび地理的領域メッセージを受信するのに必要な構成要素を含む。この目的のために、衛星ラジオ、衛星ページャまたは衛星携帯電話に使用される既存の技術を使用することができる。衛星受信器が高感度で、消費電力が小さいことが望ましい。人工衛星メッセージ受信機74は、信号を受信するまでスリープモードで作動することができ、それにより電力を節約することができる。
人工衛星メッセージ受信機74は、屋内、車内、または送信衛星への明らかな視線が存在しないその他の状況においても、衛星信号を確実に受信するのに十分な感度を有する必要がある。この懸念事項は、EASにより使用される人工衛星が既存のGPS人工衛星よりも非常に強力な信号を送信する可能性が高いため、上述したGPSの感度の問題よりも制限的ではない。衛星ページャおよび衛星電話は、受信器が屋内にあるときでさえも、良好な性能を有し、よって、それら技術は、本発明にとって好ましい。衛星ラジオは、その現在の発展状況において、頻繁な信号喪失に悩まされる傾向があり、このため、本発明にとって現在は望ましくない。GPS受信器技術と同様に、競争は衛星ラジオ受信器技術の改善に繋がることが予測され、この種の技術は、将来は、本発明に良く適合するものとなるであろう。
多くの好ましい実施形態では、地理位置モジュール72および人工衛星メッセージ受信器74はともに衛星アンテナを必要とする。個別のアンテナを使用することができ、あるいは単一の二重用途のアンテナを使用することもできる。何れの場合にも、選択されたアンテナは可能な限り高い感度を持つべきである。幾つかの応用では、ホストデバイス(EAED20を内蔵するデバイス)が、既存のアンテナであって、優れた性能を提供しかつEAED20により共有されるアンテナを有するものであってもよい。
データプロセッサ78は、人工衛星メッセージ受信器74を介して受信した入力地理的データと、地理的位置モジュール72を介して受信した現在の地理的位置情報について、必要とされる分析を実行する。評価は、EAED20の現在の地理的位置が関連する地理的領域内にあるかどうかを判定するために行なわれる。データプロセッサ78は、地理的領域内にあると判定した場合、緊急警報メッセージインターフェース76に緊急警報メッセージを送信する。このインターフェース76は、ユーザに対して緊急メッセージを直接的または間接的に提示する。また、データプロセッサ78は、後の再生のために、過去の警報メッセージを記憶するのに十分なメモリも含む。代替的には、そのようなメモリをEAED20内の別個のモジュールに設けることもできる。
EAED20は、スタンドアロンのユニットであっても、あるいはホストデバイス内に内蔵されるものであってもよい。後者の構成の方が好ましい。本発明に対して、幅広い様々なホストデバイスが考えられる。例えば、自動車、携帯電話、固定電話、コンピュータ、テレビ、ラジオ、mp3プレーヤ、またはテキスト、オーディオまたはビデオコンテンツをエンドユーザに与える殆どすべての既存デバイスまたは後で開発されるデバイスである。しかしながら、EAED20がスタンドアロンのユニットである場合には、デバイスは、ユーザと直接コミュニケーションを取る何れかの手段も含まなくてはならない。これは、画像表示画面(例えば、小型LCDディスプレイ)またはオーディオシステムとすることができる。
本発明の動作をより十分に理解するために、自動車での使用を検討する。EAED20は、自動車の設計にシームレスに組み入れることができる。省スペース、低電力消費、および自動車の大型スタータバッテリを介した相対的に大きな電源により、EAED20は、自動車デザイナに最小限の設計課題を投げ掛ける。例えば、EAED20は、自動車が自動車ステレオシステムまたはナビゲーションシステムを備える場合には、それらに組み込むことができる。EAED20は、衛星受信を改善するために、自動車の既存のアンテナを使用することができる。EAED20は、オーディオ警報メッセージを提示するために、自動車のオーディオシステムとインターフェースを取ることができ、ユーザに緊急事態を警告するために、警告灯および/または警報システムとインターフェースを取ることができる。多くの自動車は今日、テキストメッセージを提示する性能を有する画像ディスプレイを備え、そのような性能は、緊急メッセージを伝えるために、EAED20によって使用することができる。自動車が使用されていない間に関連緊急メッセージが受信される場合には、EAED20はメッセージを記憶して、それを、自動車が次回使用されるときにユーザに提示する。
EAED20が携帯電話に内蔵される場合には、オーディオ、テキストおよび潜在的なビデオ緊急メッセージコンテンツを提供するために、本発明は電話とインターフェースを取ることができる。ユーザが事象の緊急性を確実に認識するようにするために、特有の緊急警報着信音を使用することができる。電話が使用中の場合には、EAED20は現在の使用を無効にして、ユーザに緊急警報を伝えることができる。
テレビ、ラジオ、mp3プレーヤ、またはある形式の音響および/または視覚インターフェースを有するその他のデバイスにEAED20を内蔵することも期待される。そのようなデバイスに内蔵されたEAED20は、関連メッセージを受信したときに、そのデバイスをオンにして警報メッセージを伝えることができる。その後、デバイスが再びオフに切り換えられるものであってもよい。メッセージは、ユーザが後でデバイスをオンにするまで記憶することができ、そのときに、警報メッセージを再び提供することができる。
EAED20およびそのホストデバイスは、そのときに使用中の動作モードに関係無く動作するように構成することができる。例えば、EAED20がテレビに内蔵されて、代替入力を介して映画が視聴されている場合には、EAED20は、警報メッセージを与えるように、テレビに指示することとなる。この性能は、本発明が既存の緊急放送システム(EBS)に対する重要な利点の一つを示している。EBSは、通常のテレビ放送を視聴している人々のみにしか伝わらないであろう。例えば、ユーザのテレビがDVDプレーヤから入力を受けるビデオ1入力にある場合、EBSはユーザに伝えることができない。しかしながら、本発明のEAED20はユーザに伝えることとなる。
本発明の適用の前述した実施例は、決して網羅的なものではない。本発明のEAED20は、幅広い様々な電子製品に内蔵されることが期待される。EAED20をそのような製品に統合する具体的な方法は、製造業者および製品の設計に委ねられている。本発明はEAED技術およびEAS動作方法を提供する。EAED20をホストシステムに統合する方法は、極めて多種多様であると予想される。