以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るアクチュエータを示す斜視図であり、図2は、同アクチュエータの下面を示す斜視図であり、図3は、同アクチュエータの要部分解斜視図である。また、図4は、同アクチュエータにおける要部構成を示す概略断面図である。
図1及び図2に示すアクチュエータ100は、固定体110と、可動体120と、固定体110に可動体120を可動自在に支持する弾性部材(弾性支持部)180(図2参照)と、交流供給部190(図3参照)とを有する。
図1及び図2に示すアクチュエータ100では、可動体120(図2参照)は、交流供給部190からの電力供給によって固定体110に対して可動し、可動体120の出力アーム(以下、「アーム」)121が、所定の角度範囲内で正逆方向(図1の矢印方向)に回動し、回転往復振動として外部に出力する。
図3及び図4に示すように固定体110は、ベースプレート111と、基板112と、軸受け113と、円環状のコイル部114と、コイル部114の外周に沿って配置される極歯(極歯面)115b、116bを有する櫛歯状の上下ヨーク115、116と、を有する。
固定体110では、ベースプレート111には基板112が取り付けられている。このベースプレート111には、中央部に設けられた開口部内に軸受け113の基端部が挿入され、軸受け113は、ベースプレート111に対して、垂直に立設した状態で固定されている。
軸受け113には、可動体120の回動軸122が挿入されており、軸受け113は、回動軸122を回転自在に軸支する。
この軸受け113の外周に、上下ヨーク115、116により囲まれるコイル部114が配置されている。
コイル部114は、ボビン114aに、コイル114bを周方向に周回することで構成される。ボビン114aは、コイル114bとともにアクチュエータ100の駆動源発生に用いられる。ボビン114aは、回動軸122及びコイル114bの軸と同一軸心である。コイル114bのコイル巻線は、基板112に接続されており、基板112を介して外部端子に接続される。コイル114bには、外部端子を介して交流供給部190から交流電源(交流電圧)が供給される。
上下ヨーク115、116は、磁性体であり、円環状の本体板部115a、116aの外周縁から垂直に設けられた極歯115b、116bを櫛歯状に備える。上下ヨーク115、116は、コイル部114を軸方向から挟み込むように互いに非接触で配置される。上下ヨーク115、116のそれぞれの本体板部115a、116aは、コイル部114において軸方向で離間する上下面に対向して配置され、上下ヨーク115、116のそれぞれの極歯115b、116bは、コイル部114の外周面を囲むように互い違いに位置する。具体的には、上ヨーク115は、コイル部114の上側から嵌め込まれており、その本体板部115aは、コイル部114の上面に対向し、極歯115bはコイル部114の外周面に沿って櫛歯状(所定間隔を空けて)に位置する。下ヨーク116は、コイル部114の下側から嵌め込まれており、本体板部116aは、コイル部114の下面に対向し、極歯116bは、コイル部114の外周面に沿って位置する極歯115bの間に一様に配置される。
上下ヨーク115、116の極歯115b、116bは、可動体120のマグネット123(後述する)の磁極数と等しい極数となっている。
この構成により、コイル114bに交流電源が供給されると、上ヨーク115と、下ヨーク116は、それぞれ励磁されて互いに異なる極性となり、上下ヨーク115、116のそれぞれの極歯115b、116bも異なる極性で励磁される。コイル114bは、交流供給部190から可動体120の共振周波数に略等しい周波数の交流が供給されると、極歯115b、116bを交互に異なる極性で励磁する。すなわち、コイル部114の外周面には、外周面に沿って異なる磁極面が交互に並んで配置される。
これら極歯115b、116bの極性は、コイル部114に順方向と逆方向の電流が供給されることで、交互に変更する。
コイル部114の外周面に沿って配置された極歯115b、116bに対向して、所定間隔をあけて可動体120のマグネット123が配置されている。
なお、極歯115b、116bは、対応するマグネットの極数(後述する)とともに、12極となる構成であるが、2極以上であれば、何極あってもよい。複数極あれば、これに限らない。ここでは、極歯115b、116bは、マグネット123の周面に対向し、且つ、周方向に亘って配置されており、マグネット123におけるN極(N磁極面)及びS極(S磁極面)と同数の極数としている。
可動体120は、回動軸122と、マグネット123と、回動軸122とマグネット123とを固定するマグネット固定部124とを有する。
マグネット123は、図5に示すように、円筒形状の多極(ここでは12極)着磁されたものであり、例えば、ネオジウムボンドマグネットが適用される。
具体的には、マグネット123は、極歯115b、116bに対応する周面(ここでは内周面)に周方向に沿って、N極,S極,N極,S極,N極,…と交互に異なる極性の磁極面を有するように着磁されている。N極,S極,…の各着磁面における周方向(ここでは、回転軸に対し周方向で直交する方向)の長さは、極歯115b、116bの周方向の長さよりも長い。なお、マグネット123は、円筒形状で一体的な構成であるが、図5では隣り合う着磁面の極性が切り替わる位置(端部SE1、SE2等の位置)として、便宜的に仕切った線で図示している。
マグネット123は、磁性体からなるマグネット固定部124を介して回動軸122に固定されている。
マグネット123の着磁面に対して、極歯115b、116bは、それぞれの周方向の中心位置CL1が、マグネット123の着磁面N、S(N磁極面、S磁極面)が切り替わる位置(着磁面S、Nを仕切る位置)CL2と、回転軸心を中心として半径方向で重なる位置に位置される。なお、中心位置CL1、位置CL2が、回動軸122を中心として半径方向で(つまり、放射状に)同一直線上に重なる位置が可動体120の回動動作基準位置(回動基準位置)となる。すなわち、可動体120は、極歯115b、116bの周方向の中心位置CL1と、マグネット123の磁極面の切り替わり位置(仕切り線)CL2とが対向する位置を回動基準位置として固定体110に回動自在に保持される。ここではアクチュエータ100は、12極からなるため、可動体120の回動範囲は、固定体110に対して、回動基準位置を中心に15度ずつ、順方向或いは逆方向に回動する範囲となっている。
マグネット固定部124は、絞り加工により形成されたカップ状をなし、円盤状の固定部本体の外周から筒状部を垂下させてなる。この筒状部の内周面に、マグネット123が固着されている。
マグネット固定部124の固定部本体には、回転軸と直交して延在するアーム121を有する出力接続部126が取り付けられている。この出力接続部126は、アーム121を介して外部に駆動力を伝達する。
また、固定部本体の中央部には、軸受け113に回動自在に挿入された回動軸122の一端部が圧入により固着されている。
回動軸122は、固定部本体に、マグネット固定部124の軸心上に位置するように固定されている。
この回動軸122の他端部は、固定体110(ベースプレート111)に形成された軸穴を挿通している。この他端部は、ベースプレート111の裏面側で、弾性部材180を介して、ベースプレート111に固定されている。
弾性部材180は、可動体120を固定体110に対して弾性支持するものである。ここでは、弾性部材180として、ねじりコイルばねが適用されている。このねじりコイルばねの内部に、回転軸122は回動自在に挿入されている。なお、回転軸122は、ねじりコイルバネの軸上に位置しており、回転軸122の軸心は、ねじり方向の中心軸と一致することが好ましい。
弾性部材180であるねじりコイルバネの一端部は、軸固定部品184を介して回動軸122に固定されるとともに、他端部は、ベース固定部品186を介してベースプレート111に固定されている。
弾性部材(ねじりコイルバネ)180は、可動体120のマグネット123の内周面において、隣り合う磁性の異なる着磁面の切り替わり位置が固定体110の極歯115b、116bにおける周方向の中心に位置するように位置決めしている。
また、弾性部材(ねじりコイルバネ)180は、マグネット123の回動方向に対して一定のばね定数を得ることができ、可動体120は周方向に可動する。この弾性部材180によりアクチュエータ100における共振周波数を調整できる。
上記構成のアクチュエータ100では、コイル114bへ入力される交流波により上下ヨーク115、116、つまり極歯115b、116bが磁化され、可動体120のマグネット123に対して、効率的に磁気吸引力及び反発力を発生する。これにより、可動体120のマグネット123は、基準位置となる極歯115b、116bの中心を基準にして、周方向に両方向に移動し、これによりマグネット123自体が、回動軸122を中心に往復回動を行う。
本実施の形態のアクチュエータ100では、可動体120のイナーシャJ、ねじり方向のバネ定数Kspとした場合、可動体120は、固定体110に対して、下記式(1)によって算出される共振周波数fr[Hz]で振動する。
本実施の形態のアクチュエータ100は、交流供給部190によって、コイル114bに可動体120の共振周波数f
rと略等しい周波数の交流を供給する。これにより、可動体120を効率良く駆動させることができる。
本アクチュエータ100における可動体120は、弾性部材180を介して固定体110により支持されるバネマス系構造で支持された状態となっている。よって、コイル114bに可動体120の共振周波数frに等しい周波数の交流が供給されると、可動体120は共振状態で駆動される。このとき発生する回転往復振動が、可動体120のアーム121に伝達される。
アクチュエータ100は、下記式(2)で示す運動方程式及び下記式(3)で示す回路方程式に基づいて駆動する。
すなわち、アクチュエータ100における慣性モーメントJ[Kgm
2]、回転角度θ(t)[rad]、トルク定数K
t[Nm/A]、電流i(t)[A]、バネ定数K
sp[Nm/rad]、減衰係数D[Nm/(rad/s)]、負荷トルクT
Load[Nm]等は、式(2)を満たす範囲内で適宜変更できる。また、電圧e(t)[V]、抵抗R[Ω]、インダクタンスL[H]、逆起電力乗数K
e[V/(rad/s)]は、式(3)を満たす範囲内で適宜変更できる。
次に、アクチュエータ100の具体的な動作について説明する。図6は、アクチュエータ100の動作を説明するための平断面図である。
図5の矢印で示す向きD1でコイル部114のコイル114bに電流が流れる(この方向を順方向電流と称する)。すると、上ヨーク115の極歯115bは励磁されて極性を有し(ここではN極)、下ヨーク116の極歯116bは励磁されて、極歯115bとは異なる極性(ここでは、S極)を有する。これら極歯115b、116bに対向して、各極歯115b、116bの周方向(回動方向)の中心位置、つまり、基準位置に、可動体120のマグネット123における磁極面(S、N)の仕切り線が配置されている。よって、マグネット123では、内周面全面に亘って、N極面は、S極面である極歯115bに吸引され、マグネット123のS極面は、N極歯である極歯116bに吸引されるとともに、同極どうしは反発する。これによりマグネット123の内周全面で、最も大きなトルク(矢印D2)が発生して、マグネット123は、矢印D2方向(ここでは反時計回り)に回動する。
すると、図6Aに示すように、マグネット123におけるそれぞれの極面は、相対する磁極で励磁された極歯115b、116bと、対向する位置で停止しようとする。例えば、磁極面S1は、固定体110側の異極面であるN磁極面(極歯115b−1)と全面的に対向する位置で停止しようとする。また、この位置では、極歯115bにおいて周方向で離間する端辺のうち、マグネット123の回転方向側に位置する端辺(例えば端辺1151)に対向して、マグネット123の磁極面(例えば、S1)の端部(例えば端部SE1)が位置している。この位置に位置しようとする際に、マグネット123は、マグネット123と近接する同磁極の極歯との反発で矢印D1方向と逆方向(矢印D4方向)へのトルクも作用する。また、マグネット123(可動体120)は、弾性部材180の復元力により基準位置側に付勢された状態となっている。
この図6Aに示す状態において、コイル部114に順方向電流とは逆方向(矢印D3)の電流(逆方向電流)が流れる。すると、極歯115b、116bのそれぞれの極性が変わり、N極だった極歯115bはS極に、S極だった極歯116bはN極に励磁される。これにより、マグネット123は、各磁極面(図ではNで示す)と、極歯115b、116bとの間で発生する磁気吸引力及び磁気反発力によって、矢印D4方向にトルクが発生して、矢印D4方向に移動する。なお、この矢印D4方向のトルクは、弾性部材180の復元力によっても作用する。
コイル部114のコイル114bに流れる逆方向電流は、極歯115b、116bに対するマグネット123の位置が、図6Bに示す状態まで流れる。図6Bに矢印D4に移動した後のマグネット123を示す。
図6Bでは、マグネット123が逆方向に回動したこと(矢印D4方向に回動)により、マグネット123におけるそれぞれの極面は、相対する磁極で励磁された極歯115b、116bと、対向する位置で停止しようとする。例えば、磁極面S1は、極歯115b−1(S極)とマグネット123の移動方向側で隣り合う極歯Nと、全面的に対向する位置で停止しようとする。また、この位置では、極歯115bにおいて周方向で離間する端辺のうち、マグネット123の回動方向(D4方向)側に位置する端辺1152に対向して、マグネット123の極面S1の端部SE1が位置する位置である。この位置に位置しようとする際に、マグネット123は、マグネット123と近接する同磁極の櫛歯との反発で矢印D4方向と逆方向(矢印D1方向)へのトルクも作用する。また、マグネット123(可動体120)は、弾性部材180の復元力により基準位置側(D1側)に付勢された状態となっている。なお、端部SE2は、対向する極歯Nの一端部と回動軸24を中心に半径方向で直線状に位置する。
そして、コイル部114に順方向電流が流れることで、図5から図6Aで示す動作を再び行い、これら図5及び図6で示す動作を繰り返す。これにより、アクチュエータ100の可動体120は、回動軸122を中心に、且つ、基準位置を中心に、往復回動、つまり、振動し、アーム121を介して外部に往復振動力を出力する。
次に、図5及び図6に示す各状態で固定体110のコイル114bに供給される交流電流について簡単に説明する。
図7は、本実施の形態のアクチュエータにおいて交流供給部190から基板112を介して固定体110のコイル114bに供給される交流の周期を示す図である。
コイルに流れる交流は、図7Aに示すように周波数f0のパルス波でもよいし、図7Bに示すように周波数f0の正弦波でもよい。
図5の状態では、図7に示す時点t1の順方向の電流が供給され、図6Aの状態では図6の時点t2で示すように電流の向きが切り替えられ、図6Bの位置に向かってマグネット123が回動して図5の状態に戻った際には、図7に示す時点t3の逆方向の電流が供給される。また、図6Bの状態では、図7の時点t4で示すように電流の向きが切り替えられて、図6Aの状態に向かってマグネット123が回動して、図5の状態に戻った際には、図7に示す時点t5順方向の電流が供給される。これが1周期分の動作であり、このような動作が繰り返されることで、可動体120は、図5の状態を介して、図6Aから図6Bに示す変位動作を繰り返すことによって、回転往復振動する。
このように本実施の形態によれば、簡易な磁気回路構成であり、安価な材料コストで高出力を実現することができ、一定速度で駆動可能なアクチュエータを実現することができる。
また、マグネット123は、固定体110で円周上に交互に極性が異なるように配置された極歯115b、116bに対向して、円環状に配置されており、極歯115b、116bと対向するマグネット123の内周の全周にわたって駆動源とすることができ、変換効率の高いアクチュエータを実現できる。
このように、本実施の形態によれば、マグネット123の全周に亘って、磁気吸引力、磁気反発力が発生し、最も大きなトルクを発生させることができる。
また、アクチュエータ100では、可動体120は、回転往復運動つまり回転往復振動を行い、この回転往復振動はアーム121を介して外部に出力される。アーム121に、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部が連結されている場合、従来と異なり、簡易な構造で、歯ブラシ部を回転往復振動させてローリング磨きを行うことができる。また、アクチュエータ100が電動理容器具としての電気カミソリ、電動ひげそり、電気式の頭髪刈り込み器具などに用いられる場合、アーム121に、刃を連結することで、刃を往復振動させることができる。
このようにアクチュエータ100は、式(2)、(3)を満たし、式(1)で示す共振周波数を用いた共振現象により駆動する。これにより、アクチュエータ100では、定常状態において消費される電力は負荷トルクによる損失及び摩擦などによる損失だけとなり、低消費電力で駆動、つまり、可動体120を低消費電力で回転往復振動させることができる。以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ100によれば、電動歯ブラシ、電気カミソリ、電動ひげそり、電気式の頭髪刈り込み器具等の携帯可能な電動理美容器具における刃の往復回転運動を、アクチュエータ100を含む駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく、簡単な構成で、且つ、低消費電力で実現できる。
また、可動体120は、弾性部材(ねじりコイルバネ)180により可動自在に支持されているため、バネ寿命が長く、長期間駆動可能となり、高い信頼性を確保できる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係るアクチュエータ100Aの分解斜視図であり、図9は、同アクチュエータ100Aの磁気回路を示す平断面図である。
なお、この実施の形態2に係るアクチュエータ100Aは、図1〜図7に示す実施の形態1に対応するアクチュエータ100の構成において、マグネット123を、マグネット123Aに代えた構成である。よって、アクチュエータ100Aは、アクチュエータ100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8及び図9に示すアクチュエータ100Aは、実施の形態1のアクチュエータ100の固定体110と同様に構成された固定体110Aと、可動体120Aと、固定体110Aに可動体120Aを可動自在に支持する弾性部材180と、交流供給部190と有する。このアクチュエータ100Aの外観は、アクチュエータ100と同様である。
図8及び図9に示すアクチュエータ100Aでは、可動体120Aは、交流供給部190からの電力供給によって固定体110Aに対して可動し、可動体120Aのアーム121が、所定の角度範囲内で正逆方向(図1の矢印方向参照)に回動し、回転往復振動として外部に出力する。
このアクチュエータ100Aにおける可動体120Aは、実施の形態1における可動体120の構成において、円筒状のマグネット123に変えて、複数の分割セグメントからなるマグネット123Aを備えている。
すなわち、可動体120Aは、回動軸122と、マグネット123Aと、回動軸122とマグネット123Aとを固定するマグネット固定部124とを有する。
マグネット123Aは、円周上に複数(ここでは12個)並べて配置され、周方向で隣り合うセグメントとは極性が異なる複数の磁石セグメント1231、1232、…からなる。これら磁石セグメント1231、1232の磁極面は、固定体110Aの極歯115b、116bに対向して配置されている。磁石セグメント1231、1232としては、フェライトマグネットが用いられる。なお、フェライトマグネットは、ネオジウムボンドマグネットと比較して温度特性が高いため、フェライトマグネットを用いたアクチュエータ100Aは車載用アクチュエータとしても利用できる。
マグネット123Aは、磁石セグメント1231、1232を、固定体110Aの極歯115b、116bに対応して、N,S,N,S,N,…と交互に異なる極性の面(磁極面)が対向するように、マグネット固定部124に固定されている。
具体的には、磁石セグメント1231、1232は、カップ状のマグネット固定部124における筒状部の内周面に、周方向で隣り合う面の磁性が異なるように、取り付けられている。それぞれの磁石セグメント1231、1232における周方向の長さは、極歯115b、116bの周方向の長さよりも長い。
マグネット123Aは、実施の形態1のマグネット123と同様に、マグネット固定部124を介して回動軸122に固定されている。
マグネット123Aの各磁石セグメント1231、1232の磁極面に対して、極歯115b、116bは、それぞれの周方向の中心位置CL1が磁石セグメント1231、1232同士を仕切る位置CL2と、回転軸心を中心として半径方向で重なる位置に、位置される。なお、仕切る位置CL2は、マグネット123Aにおいて磁石セグメント1231、1232の極性(磁極面)が切り替わる位置である。
位置CL2は、磁石セグメント1231、1232間の中間位置である。なお、中心位置CL1、位置CL2が回動軸122を中心として半径方向で(つまり、放射状に)同一直線上に重なる位置が可動体120Aの動作基準位置となる。
このようにアクチュエータ100Aは、アクチュエータ100と比較して、一体的に構成されたマグネット123の着磁面(磁極面)を、それぞれ分割された磁石セグメントでそれぞれ構成した点のみ異なる。よって、コイル114bに交流電源が供給されることで、アクチュエータ100と同様の動作を行い、アクチュエータ100と同様の効果を有することができる。
また、アクチュエータ100Aでは、可動体120に設けられるマグネットを、固定体110の極歯に対応させて円筒状の内周面に交互に異なる磁性で着磁させて構成する場合と比較して、容易に製造できる。すなわち、周方向に磁極面を交互に変えて並ぶマグネットを製造する場合、マグネット固定部124の筒状部の内周面に、磁石セグメント1231、1232を、それぞれの磁極面を交互に変えて取り付けるだけでよい。これにより、着磁工程を必要とせず、アクチュエータ100Aを容易に製造できる。
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係るアクチュエータ100Bを示す斜視図であり、図11は、同アクチュエータ100Bの下面を示す斜視図である。また、図12は、同アクチュエータ100Bの要部分解斜視図であり、図13は、同アクチュエータ100Bにおける要部構成を示す概略断面図、図14は、同アクチュエータ100Bの磁気回路を示す平断面図である。
なお、この実施の形態3に係るアクチュエータ100Bは、固定体と可動体の位置関係のみ異なり、図1〜図7に示す実施の形態1に対応するアクチュエータ100と同様の基本的構成を有している。具体的には、実施の形態1のアクチュエータ100が、実施の形態2のアクチュエータ100Aとともにアウターロータ型であったのに対して、アクチュエータ100Bはインナーロータ型のアクチュエータである。よって、同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図10及び図11に示すアクチュエータ100Bは、固定体110Bと、可動体120B(図12参照)と、固定体110Bに可動体120Bを可動自在に支持する弾性部材(弾性支持部)180(図11参照)と、交流供給部190(図12参照)とを有する。
図10に示すアクチュエータ100Bでは、可動体120Bの出力アーム126Bが、交流供給部190(図12参照)からの交流波の供給によって、所定の角度範囲内で正逆方向(図10の矢印方向)に回動し、回転往復振動として外部に出力する。
図11〜図13に示す固定体110Bは、ベースプレート111Bと、円環状のコイル部114Bと、コイル部114Bの内周に沿って配置される極歯1155、1165を有する櫛歯状の上下ヨーク115B、116Bと、ケース117を有する。
図11〜図13に示すように固定体110Bでは、ベースプレート111Bの中央部に設けられた開口部に連通して軸受け113Bが取り付けられている。これらベースプレート111Bの開口部及び軸受け113Bには可動体120Bの回動軸122Bが挿入されている。軸受け113Bは、可動体120Bの回動軸122Bを回転自在に軸支する。
この軸受け113B上には、可動体120Bを囲むように、上下ヨーク115B、116Bにより軸方向から挟み込まれるコイル部114Bが配置されている。
コイル部114Bは、ボビン1141にコイル1142が周回されてなる。ボビン1141は、コイル1142とともにアクチュエータ100Bの駆動源発生に用いられる。ボビン1141は、回動軸122B及びコイル1142の軸と同一軸心である。
コイル1142のコイル巻線は、基板(図示省略)に接続され、この基板を介して外部端子に接続される。コイル1142には、外部端子を介して交流供給部190から交流電源(交流電圧)が供給される。
上下ヨーク115B、116Bは、磁性体であり、円環平板状の本体板部1154、1164の内周縁から垂直に設けられた極歯1155、1165を櫛歯状に備える。上下ヨーク115B、116Bは、コイル部114Bを軸方向から挟み込むように互いに非接触で配置される。上下ヨーク115B、116Bのそれぞれの本体板部1154、1164は、コイル部114Bにおいて軸方向で離間する上下面に対向して配置され、上下ヨーク115B、116Bのそれぞれの極歯1155、1165は、コイル部114Bの内周面を囲むように互い違いに位置する。
具体的には、上ヨーク115Bは、コイル部114Bの上側から嵌め込まれており、その本体板部1154は、コイル部114Bの上面に対向し、極歯1155はコイル部114Bの内周面に沿って櫛歯状(所定間隔を空けて)に位置する。下ヨーク116Bは、コイル部114Bの下側から嵌め込まれており、本体板部1164は、コイル部114Bの下面に対向し、極歯1165は、コイル部114Bの内周面に沿って位置する極歯1155の間に一様に配置される。
上下ヨーク115B、116Bの極歯1155、1165は、可動体120Bのマグネット123B(後述する)の磁極数と等しい極数となっている。
この構成により、コイル1142に交流電源が供給されると、上ヨーク115Bと、下ヨーク116Bは、それぞれ励磁されて互いに異なる極性となり、上下ヨーク115B、116Bのそれぞれの極歯1155、1165も異なる極性で励磁される。すなわち、コイル部114Bの内周面には、内周面に沿って、異なる磁極面が交互に並んで配置される。
これら極歯1155、1165の極性は、コイル部114Bに順方向と逆方向の電流が供給されることで、交互に変更する。
これらコイル部114Bを、カップ状のケース117が上方から覆うようにベースプレート111Bに取り付けられている。
コイル部114Bの内周面に沿って配置された極歯1155、1165に対向して、可動体120Bのマグネット123Bが所定間隔をあけて配置されている。
なお、極歯1155、1165は、対応するマグネットの極数(後述する)とともに、12極となる構成であるが、2極以上であれば、何極あってもよい。複数極あれば、これに限らない。
可動体120は、回動軸122Bと、マグネット123Bと、回動軸122Bにマグネット123Bを固定するロータ124Bとを有する。
マグネット123Bは、図14に示すように、円筒形状の多極(ここでは12極)着磁されたものであり、例えば、ネオジウムボンドマグネットが適用される。
具体的には、マグネット123Bは、極歯1155、1165に対応する外周面に、N,S,N,S,N,…と交互に異なる極性で着磁されている。各着磁面(N磁極面、S磁極面)におけるそれぞれの周方向(ここでは、回転軸に対し周方向で直交する方向)の長さは、極歯1155、1165の周方向の長さと略同じである。なお、マグネット123Bは、円筒形状で一体的な構成であるが、図14では、隣り合う着磁面の極性が切り替わる位置として、便宜的に仕切った線で図示している。
マグネット123Bは、その中心に回動軸122Bが圧入固定され、且つ、所定長の半径を有するロータ124Bの外周面に外嵌されている。マグネット123Bは、回動軸122B、ロータ124B及び出力アーム126Bとともに可動体120Bを構成する。
なお、マグネット123Bの着磁面(N磁極面、S磁極面)に対して、極歯1155、1165は、それぞれの周方向の中心位置CL1が、マグネット123Bの着磁面N、Sが切り替わる位置(着磁面N、Sを仕切る位置)CL2と、回転軸心を中心として半径方向で重なる位置に位置される。なお、中心位置CL1、位置CL2が、回動軸122Bを中心として半径方向で(つまり、放射状に)同一直線上に重なる位置が可動体120Bの動作基準位置となる。
回動軸122Bは、ケース117の天板部を挿通した一端部で、ケース117の上方で、直交して延在する出力アーム126Bが固定されている。この出力アーム126Bを介してアクチュエータ100Bは、外部に駆動力を伝達する。
この回動軸122Bの他端部は、ベースプレート111Bを挿通している。この他端部は、ベースプレート111Bの裏面側で、弾性部材180を介して、ベースプレート111Bに固定されている。
弾性部材180は、可動体120Bを固定体110Bに対して弾性支持するものであり、ここでは、弾性部材180として、ねじりコイルばねが適用されている。
弾性部材180であるねじりコイルバネの一端部は、軸固定部品184を介して回動軸122Bに固定されるとともに、他端部は、ベース固定部品186を介してベースプレート111Bに固定されている。
弾性部材(ねじりコイルバネ)180は、可動体120Bのマグネット123Bの外周面において、隣り合う磁性の異なる着磁面N、Sの仕切り位置が固定体110Bの極歯1155、1165における周方向の中心に位置するように位置決めしている。
また、弾性部材(ねじりコイルバネ)180は、マグネット123Bの回動方向に対して一定のばね定数を得ることができ、可動体120Bは周方向に可動する。
上記構成のアクチュエータ100Bでは、コイル1142へ入力される交流波により上下ヨーク115B、116B、つまり極歯1155、1165が磁化され、可動体120Bのマグネット123Bに対して、効率的に磁気吸引力及び反発力を発生する。これにより、可動体120Bのマグネット123Bは、基準位置となる極歯1155、1165の中心を基準にして、周方向に左右に移動し、これによりマグネット123B自体が、回動軸122Bを中心に往復回動を行う。
このアクチュエータ100Bは、式(2)、(3)を満たし、式(1)で示す共振周波数を用いた共振現象により駆動する。この駆動は、アクチュエータ100と同じであるため、説明は省略する。定常状態において消費される電力は負荷トルクによる損失及び摩擦などによる損失だけとなり、低消費電力で駆動、つまり、可動体120Bを低消費電力で回転往復振動させることができる。
このアクチュエータ100Bは、アクチュエータ100と同様に、電動歯ブラシ、電気カミソリ、電動ひげそり、電気バリカン等の電動理美容器具に適用できる。これにより、これら電動理美容器具における刃の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく、低消費電力で実現できる。
なお、各実施の形態において、マグネット123、123A、123Bの磁極面に対向する極歯の磁極面を極力広くしていくことで往復回転範囲、つまり、揺動範囲である動作角を大きくすることができる。
なお、上記本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、種々の改変をなすことができ、そして本発明が該改変させたものに及ぶことは当然である。