JP2016025274A - 太陽電池モジュール一体型膜体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】膜体14と表面保護層11との間に、封止材12によって太陽電池セルを含む光電変換層13を封止してなる太陽電池モジュール一体型膜体であって、膜体14は、封止材12と膜体14とが隣接する側の表面の表面張力が35dyne/cm以上である。
【選択図】図1
Description
また、特許文献2では、幕体に太陽電池モジュールを固定するために熱融着を用いることが開示され、幕体表面をフッ素系樹脂であるFEPとし、太陽電池モジュールの背面をFEP又はTHVとすることで、幕体に太陽電池モジュールを固定することが記載されている。
特許文献3では、膜体と太陽電池モジュールが固定部材により脱着可能な構造で固定された、太陽電池膜構造体が開示されている。
本発明者らが太陽電池モジュール一体型膜体について、実際に使用された状況を検討したところ、太陽電池モジュールの性能の低下が想定したよりも大きいことを見出した。
本発明は、太陽電池モジュールの経時的な性能の低下を防止した、太陽電池モジュール一体型膜体を提供することを課題とする。
が、膜体と太陽電池モジュールとの接着力の低下にあることを見出した。
本発明者らは、このような知見に基づき研究を進め、膜体と太陽電池モジュールとの接着力を十分なものとすべく、膜体表面の表面張力を一定以上とすることで課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
膜体と表面保護層との間に、封止材によって太陽電池セルを含む光電変換層を封止してなる太陽電池モジュール一体型膜体であって、
封止材と膜体とが隣接する側の表面の表面張力が35dyne/cm以上であることを特徴とする太陽電池モジュール一体型膜体。
また、前記太陽電池モジュールは、裏面保護層を含まないことが好ましい。
また、本発明の別の実施態様は表面保護層、封止材層、光電変換層、封止材層、及び膜体を含む積層体をラミネートする工程、を含む太陽電池モジュール一体型膜体の製造方法であって、前記膜体は、封止材と膜体が隣接する側の表面の表面張力が35dyne/cm以上である、製造方法である。
本発明における膜体とは、ドーム膜やテントなど、軽量屋根に使用できるものをいう。膜体の材料としては、A種膜材料((社)日本膜構造協会の定めた膜構造技術基準による材料であり、ガラス繊維織物にフッ素樹脂がコーティングされている高い耐久性が要求される構造物(テント)に適している)、B種膜材料((社)日本膜構造協会の定めた膜構造技術基準による材料であり、ガラス繊維織物にフッ素樹脂及び塩ビ等合成樹脂がコーティングされている高い耐久性が要求される構造物(テント)に適している)、C種膜材料((社)日本膜構造協会の定めた膜構造技術基準による材料であり、合成繊維織物に塩ビ樹脂などがコーティングされている高い耐久性が要求される構造物(テント)に適している)、テント倉庫用膜材料((社)日本膜構造協会の定めた膜構造技術基準による材料であり、ガラス繊維織物や合成繊維織物に塩ビなど合成樹脂がコーティングされている高い耐久性が要求される構造物(テント)に適している)があげられる。
本発明では、フッ素系樹脂を含む膜体であることが好ましい。
膜体の膜厚は特段制限されないが、通常0.1〜5mmのものが用いられる。
の観点から好ましい。無機繊維からなる補強材の厚さは特に限定されず、膜体の性質上許容され得る範囲において設定される。
補強材は単層であってもよく、複層であってもよく、必要に応じ適宜設定される。
膜体が無機繊維からなる補強材を含むことで、雨風に晒されることで太陽電池モジュール一体型膜体に応力が掛かる場合であっても、発電量の低下を抑制できる。
膜体と太陽電池モジュールを熱融着して太陽電池モジュールと膜体を一体化させる技術が知られているが、このような太陽電池モジュール一体型膜体を実際に使用すると、大きな性能の低下が生じることを本発明者らは見出した。この問題について本発明者らは、膜体と太陽電池モジュールとの間の接着力の低下が原因であることを見出した。特に、裏面保護層を用いることなく、光電変換層を封止する封止材と膜体とを熱融着させる場合、膜体と太陽電池モジュールとの間の接着力が、経時的に低下する。
上記課題の解決に加えて、本発明者らは、膜体表面の表面張力が35dyne/cm以上とすることで、接着力が経時的に向上するという驚くべき結果を得た。このような結果について本発明者は、膜体に含まれるフッ素系樹脂とウレタン系樹脂が、界面において何らかの化学変化を起こしているのではないかと推測している。
極性基を有する樹脂としては、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂が挙げられる。
表面保護層は、太陽電池モジュールに機械的強度、耐候性、耐スクラッチ性、耐薬品性、ガスバリア性などを付与するための層である。太陽電池モジュールの表面保護層として用いる材質としては、多くの太陽光を光電変換層に供給する観点から、通常、表面保護層の全光線透過率は80%以上、好ましくは90%以上である。全光線透過率の測定方法は、例えば、JIS K 7361−1による。
。
耐候性フィルムの材料となる樹脂としては、例えばエチレンーテトラフルオロエチレン共重合体(PTFE)、シリコーン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が挙げられる。これらの中でもエチレンーテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)が好ましい。
本発明は、封止材によって、膜体と表面保護層との間に太陽電池セルを含む光電変換層を封止する。封止材は通常、光電変換層の両面に積層され、封止材層を形成する。
封止材層を設けることで、光電変換層を封止するとともに、耐衝撃性等を太陽電池モジュールに付与することができる。
封止材とシランカップリング剤の重量比は、封止材の重量を100としたとき、通常0.1以上、0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。一方、通常2.0以下であり、1.0以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましい。このような範囲とすることで、封止材層の接着性を好適なものとすることができる。
なお、ここでいうシランカップリング剤を含むとは、封止材にシランカップリング剤を添加ないしは混合することを意味し、シランカップリング剤は太陽電池モジュールの積層前に予め封止材に添加ないし混合しておいてもよいし、積層時に封止材に添加ないし混合してもよい。
光電変換層は、光エネルギーを直接電力に変換することができる光電変換素子を含む層であり、通常、複数の太陽電池セルを直列及び/又は並列に電線等で接続してなる。光電変換層で発生した電気は、集電線を通じ外部変換機を介して取り出すことができる。
光電変換層を形成する光電変換素子としては、単結晶シリコン太陽電池素子、多結晶シリコン太陽電池素子、アモルファスシリコン太陽電池素子、微結晶シリコン太陽電池素子、球状シリコン太陽電池素子などのシリコン系太陽電池素子を用いることができる。また、CIS系太陽電池素子、CIGS系太陽電池素子、GaAs系太陽電池素子などの化合物太陽電池素子を採用することもできる。さらに色素増感太陽電池素子、有機薄膜太陽電池素子、多接合型太陽電池素子、HIT太陽電池素子等を採用してもよい。
ム等の金属原子などのドーパントを含有させたもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。
各電極の厚さ及び光電変換層の厚さは、必要とされる出力等に基づき、決定することができる。
さらに電極に接するように補助電極を設置してもよい。特に、ITOなど導電性のやや低い電極を用いる場合には効果的である。補助電極材料としては、導電性が良好ならば上記金属材料と同じ材料を用いることができるが、銀、アルミニウム、銅が例示される。
本発明では、上記説明した構成に加えて補強層を備えることもできる。
補強層とは、光電変換層と膜体との間に配置され、太陽電池モジュールの曲げ耐性を向上させる機能を有する層である。補強層は積層する封止材層内に埋包されることが好ましい。埋包とは、補強層の一部が封止材層に埋め込まれていることを意味し、補強層の材料が封止材層の材料よりも固い材質の場合、補強層の一部が封止材層に埋包されることとなる。補強層として、クロス、メッシュ、織布や不織布などの孔を有するシート状のものを
用いることが好ましい。補強層が網目構造を有する場合、平織り、綾織、朱子織、メッシュなどとしても良い。繊維の縦密度(本/25mm)と横密度(本/密度)の比は、0.8以上2.0以下としても良く、太陽電池モジュール長さ方向にしわが発生しにくい観点から、0.8以上1.5以下としても良い。
さらにこれらの繊維表面は、封止材との密着性に優れた表面改質材で処理されていても良く、酢酸ビニル系処理剤、アクリル系処理剤、エポキシ系処理剤、フェノール系処理剤、シラン系処理剤、ポリエステル系処理剤、オレフィン系処理剤、アミノ系処理剤、ジメチル系処理剤、ポリエーテル系処理剤、塩化ビニル系処理剤などで処理されることが好ましい。封止材との密着性及び孔への浸透性が優れる観点から、酢酸ビニル系処理剤、アクリル系処理剤、シラン系処理剤、オレフィン系処理剤、エポキシ系処理剤、塩化ビニル系処理剤で処理されている事が好ましい。
裏面保護層は、太陽電池モジュールに機械的強度、耐候性、耐スクラッチ性、耐薬品性、ガスバリア性などを付与するための層である。裏面保護層に用いる材料としては、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等が挙げられる。好ましくは、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂が挙げられる。
裏面保護層の厚さは、通常20μm以上である。好ましくは30μm以上であり、より好ましくは50μm以上である。一方上限は特段限定されないが、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。この範囲であることで、適度な耐衝撃性と柔軟性を付与することができる。
本発明は、裏面保護層を有さない実施形態、具体的には封止材と膜体が直接積層する構造を有する場合であっても、太陽電池モジュールと膜体間の接着性を経時的に維持するこ
とが可能であり、太陽電池モジュールの性能の低下を防ぐことができる。
太陽電池モジュール一体型膜体の製造方法は、公知の方法を用い得るが、例えば表面保護層、封止材層、光電変換層、封止材層、及びウレタン系樹脂でコーティングされた膜体を含む積層体を、真空ラミネーション装置内へ配置し、真空引きの後、加熱し、一定時間経過後に冷却することにより、太陽電池モジュール一体型膜体を得ることができる。
本発明の好ましい態様としては、裏面保護層を有さず、一度のラミネートで太陽電池モジュール一体型膜体を製造する態様である。しかし、上記膜体に変え裏面保護層を用いてラミネートすることで一度太陽電池モジュールを製造し、その後、接着層などを挟み、再度ラミネートし、太陽電池モジュールを膜体に一体化させてもよい。
真空条件で行うことが好ましく、通常真空度が30Pa以上、好ましくは50Pa以上、より好ましくは80Pa以上である。一方上限は、通常150Pa以下、好ましくは120Pa以下、より好ましくは100Pa以下である。上記範囲とすることで、モジュール内の各層において気泡の発生を抑制することができ、生産性も向上するため好ましい。
熱ラミネートの温度条件は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上である。一方上限値は、通常180℃以下、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。
また、上記温度のプレス時間は、通常10分以上、好ましくは12分以上、より好ましくは15分以上である。一方上限は60分以下、好ましくは45分以下、より好ましくは30分以下である。上記加熱時間とすることで、封止材の架橋が適度に行われるため耐久性能が向上し、適度な柔軟性を有することができるため、好ましい。
図1は、本発明の一実施形態である太陽電池モジュール一体型膜体10の層構成を表す模式図であり、後述する実施例1で作製した太陽電池モジュール一体型膜体と等価である。
太陽電池モジュール一体型膜体10は、太陽光受光面側から、表面保護層11、封止材層12、光電変換層13、封止材層12、及びコーティング15が施された膜体14の順に積層される。これら以外の層、例えば接着層や裏面保護層などを適宜含むこともできる。
本発明に用いられる太陽電池モジュール一体型膜体10は、膜体14にコーティングが施されていることで、製造工数を減らすために裏面保護層を用いることなく、太陽電池モジュール一体型膜体を製造する場合であっても、経時的に接着はがれが生じることはなく
、良好な太陽電池モジュールの性能を維持できる。
太陽電池モジュール一体型膜体10は、膜体14にハトメが取り付けられており、ロープ17によりアルミフレーム16に固定される。
本発明の実施例における評価は、以下の方法を用いた。
[剥離試験]
製造した太陽電池モジュール一体型膜体を、温度85℃、湿度85%の高温高湿条件下に100時間静置した。高温高湿静置前(初期)と、高温高湿静置後(耐久後)で、剥離強度を測定した。
剥離強度の測定はJIS K 6854の方法で行った。
[表面張力]
膜体の表面張力は、JIS K 6768に準じて測定した。
[展張試験]
太陽電池モジュール一体型膜体の両端を5%伸ばした前後での最大出力を測定し、前後の変化を比較する。
表面保護層:厚さ50μmのエチレン−四フッ化エチレン共重合体(以下、ETFEと記載)フィルム(旭硝子株式会社製50MW−DCS)、
封止材層:厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと記載)フィルム(シーアイ化成社製、EVA)、
太陽電池(光電変換層):厚さ200μmの太陽電池(ポリエチレン(以下、PEと記載)フィルム上にアモルファスシリコン系発電層を積層)、
封止材層:厚さ400μmの同EVAフィルム、
の順で重ね合わせた積層体を、表面にウレタン系樹脂を含有したB種膜a(補強材としてガラス繊維を使用)上に、縦3列×横4列並べて配置した。
NPC社製真空ラミネータを使用し、150℃で熱プレス(真空度80Pa、真空時間5分、加圧時間5分、保持20分)し、温度70℃で冷却プレス(圧力103kPa、加圧時間10分)をして太陽電池モジュール一体型膜体1を作製した。作製した太陽電池モジュールの層構成は図1に示すとおりである。
膜体へのコーティングをウレタン系樹脂からポリフッ化ビニリデン(PVDF)に変更したB種膜bを用いた以外は実施例1と同様に、太陽電池モジュール一体型膜体2を作成した(比較例1)。
膜体へのコーティングをウレタン系樹脂からアクリル系樹脂に変更したB種膜cを用いた以外は実施例1と同様に、太陽電池モジュール一体型膜体3を作成した(比較例2)。
加えて、ガラス繊維からなる補強材を膜体に加えることで、膜体の強度が向上し、展張試験後の発電量の低下が抑制された。
11 表面保護層
12 封止材層
13 光電変換層
14 膜体
15 樹脂コーティング層
16 アルミフレーム
17 ロープ
20 太陽電池モジュール一体型膜体構造物
Claims (6)
- 膜体と表面保護層との間に、封止材によって太陽電池セルを含む光電変換層を封止してなる太陽電池モジュール一体型膜体であって、
前記膜体は、封止材と膜体とが隣接する側の表面の表面張力が35dyne/cm以上であることを特徴とする、太陽電池モジュール一体型膜体。 - 前記封止材は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン重合体のいずれか1種を含む、請求項1に記載の太陽電池モジュール一体型膜体。
- 前記膜体は、フッ素系樹脂を含む、請求項1または2に記載の太陽電池モジュール一体型膜体。
- 前記太陽電池モジュールは、裏面保護層を含まない、請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール一体型膜体。
- 前記膜体は、ガラス繊維からなる補強材を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール一体型膜体。
- 表面保護層、封止材層、光電変換層、封止材層、及び膜体を含む積層体をラミネートする工程、を含む太陽電池モジュール一体型膜体の製造方法であって、
前記膜体は、封止材と膜体が隣接する側の表面の表面張力が35dyne/cm以上である、製造方法。
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