JP2016022528A - 金属溶解方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハース上に配置された金属材料を加熱し溶解する金属溶解方法において、溶湯金属を効果的に攪拌することができ、溶解時間を短縮することのできる金属溶解方法を提供する。
【解決手段】ハース2上に配置された金属材料Mを加熱し溶解する金属溶解方法であって、 金属材料を加熱し形成した溶湯金属Mに対し交流磁場を印加し、磁場方向の反転を繰り返すステップを実施し、前記交流磁場の印加により前記ハース上の溶湯金属を回転させるとともに、前記磁場方向の反転により所定の周期で回転方向を切り換える。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属溶解方法に関し、例えばアークの熱エネルギーにより溶かした金属材料を攪拌し、溶解時間を短縮する金属溶解方法に関する。
鋳造のために金属材料を溶解する場合、例えば水冷ハース上に金属材料を配置し、アーク溶解により溶湯金属を形成する溶解装置が用いられる。そのような溶解装置においては、水冷ハース上に配置された金属材料の上からアーク熱を与え、金属材料の上部が溶けると、これをスティック状の操作部材を用いて裏返し、金属材料の溶けていない部分にアーク熱を与え、これを繰り返して全体を溶解していくものである。
しかしながら、そのような水冷ハースを用いた溶解装置にあっては、得られる金属の均一性に欠けるという課題がある。即ち、前記のように金属材料は水冷ハース上で反転を繰り返されながら部分的に加熱され最終的に全体が溶融される。このような溶解操作によって溶解され、得られた金属にあっては、一旦先に凝固された部分の上に新たに溶解された部分が覆うため、凝固界面が形成され、金属材料が合金の場合は組成量が不均一となるといった課題がある。
前記課題に対し、特許文献1には、金属材料を溶融するための溝状の凹部が形成された水冷ハースを用いた金属溶解方法が開示されている。
図5に、特許文献1に開示される水冷ハースの斜視図を示す。また、図6(a)に、図5の水冷ハースのA矢視断面、図6(b)に、図5の水冷ハースのB矢視断面、図6(c)に、図6(b)の水冷ハースにおいて溶解される金属材料の状態を時系列に示す断面図を示す。
図5、図6(a)に示すように、水冷ハース50には、断面U字形の細長い溝状凹部51が設けられる。前記溝状凹部51の底部は、図6(b)に示すように長手方向に沿って傾斜している。この溝状凹部51の下方には、溝状凹部51の長手方向に沿って冷却水が流れる冷却水路52が形成されている。
この水冷ハース50を用いる金属溶解装置においては、図6(b)に示すように水冷ハース50の溝状凹部51において高所側となる一端に金属材料Mを配置し、金属材料Mにアーク電極棒60からの放電によるアーク熱を加えて溶解が行われる。
前記金属材料Mの上部が加熱されることにより、図6(c)に示すように金属材料Mには流動可能な溶融部M1と未溶融部M2が形成される。
ここで、前記のように溝状凹部51の底部は傾斜しているため、金属材料Mは溶融部M1を下にして凹部51の他端(低所側)に向かって転がるように移動する。尚、図6(c)には、1つの金属材料M(M1、M2)が矢印の方向に移動する様子を時系列に示している。
前記のように金属材料Mが溝状凹部51の中を移動する際、未溶融部M2が上部に位置するため、未溶融部M2に対しアーク熱が加えられる。即ち、水冷ハース50の溝状凹部51内で、金属材料Mを転がすようにしながら、アーク加熱が行われ、金属材料Mの全体が溶解されて溶融された金属が生成される。
このように特許文献1に開示の金属溶解方法によれば、金属材料Mに対し例えばスティック状の操作部材を用いて反転させる作業が不要となり、凝固界面が形成される前にアーク加熱により未溶融部M2を溶融することができ、形成される金属の組成均一化だけでなく、溶解時間の短縮を期待できる。
ところで、複数種類の金属材料、特に軽金属と重金属とを溶解して合金を形成する場合には、充分に攪拌しなければならず、長い溶解時間が必要となるという課題がある。
前記特許文献1には、溝状凹部51の底部の傾斜方向を反転させることが開示され、それによれば、金属材料を凹部51の長手方向に沿って転がしながら往復移動させることができる。そのため、より攪拌効果を得ることができ、前記のような軽金属と重金属の合金を形成する場合であっても時間短縮を期待することができる。
しかしながら、特許文献1に開示の金属溶解方法にあっては、溝状凹部51に沿って移動する金属材料を追従するようにアーク電極棒60を移動させる必要があり、また、金属材料Mの移動に合わせて溝状凹部51の底部の傾斜方向を切り換えなければならないため、機構が複雑となり、装置にかかるコストが高くなるという課題があった。
前記課題を解決するものとして、特許文献2には、アーク放電により金属材料中を流れる電流の方向に対して、交差する方向(上向き)に磁場を印加するアーク溶解装置が開示されている。
図7(a)に、特許文献2に開示されるアーク溶解装置の模式的な断面図を示し、図7(b)に平面図を示す。図7(a)に示すように、このアーク溶解装置70は、アーク溶解炉(図示せず)内に配置され、水冷ハース71と、その上方に配置されたアーク電極棒72とを有している。さらに水冷ハース71において金属材料Mが配置される窪み(凹部)71aの下方には、リング状の永久磁石73がハース裏面側から埋め込まれた状態で配置されている。これにより、永久磁石73は、水冷ハース71の窪み71aにおいて上向きの磁場を印加可能となされている。
このアーク溶解装置70において金属材料Mを溶解する場合、水冷ハース71の窪み71aに金属材料Mを入れ、アーク電極棒72からのアーク放電74により金属材料Mをアーク溶解する。
このとき、永久磁石73により、窪み71a内の金属材料Mに対して、上方向の磁場が印加されるため、溶湯となった金属材料Mに対し、アークの電流方向と磁界方向とに直交する方向にローレンツ力が働き、金属材料Mの底部に横回転の流れが発生する。この横回転の流れが発生することによって、溶湯状の金属材料Mの底部が攪拌されるようになっている。
即ち、この特許文献2に開示のアーク溶解装置70によれば、軽金属と重金属の合金を形成する場合であっても、比較的簡単な装置構造において、攪拌効果が得られ、溶解時間を特許文献1に開示の金属溶解方法に比べて短縮することができる。
特開2003−113431号公報 特開2013−245354号公報
前記のように特許文献2に開示されたアーク溶解装置70にあっては、水冷ハース71に永久磁石73が配置されるため、窪み71a内の金属材料Mに対し常時一定の磁場が印加され、所定方向に所定の大きさのローレンツ力が働く。
このため、金属材料の溶解量や合金の種類が異なる場合であっても、アーク電流値が一定の場合は同じ方向に同じ大きさのローレンツ力が働くこととなり、例えば溶解量が異なる場合には回転速度などが異なり、その攪拌効果に差異が生じるものとなっていた。
即ち、溶解量や合金の種類の異なる金属材料を溶解する場合に、磁場の大きさや方向を変えることができず、その金属材料に応じた攪拌の調整ができないという課題があった。
また、金属材料Mに対し永久磁石73により強力な磁場が印加されるが、磁場が強すぎると、金属材料Mの回転運動において偏心が生じたり、溶湯形状が瓢箪型になりハースの窪みから飛び出すといった現象が発生する。弱い永久磁石を用いた場合は回転力が不十分であり十分な攪拌ができない。すなわち、一定の磁場を印加し続ける方式では安定した攪拌効果が得られないという課題があった。
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、ハース上に配置された金属材料を加熱し溶解する金属溶解方法において、溶湯金属を効果的に攪拌することができ、溶解時間を短縮することのできる金属溶解方法を提供することを目的とする。
前記した課題を解決するために、本発明に係る金属溶解方法は、ハース上に配置された金属材料を加熱し溶解する金属溶解方法であって、金属材料を加熱し形成した溶湯金属に対し交流磁場を印加し、磁場方向の反転を繰り返すステップを実施し、前記交流磁場の印加により前記ハース上の溶湯金属を回転させるとともに、前記磁場方向の反転により所定の周期で回転方向を切り換えることに特徴を有する。
尚、前記金属材料を加熱し形成した溶湯金属に対し交流磁場を印加し、磁場方向の反転を繰り返すステップの前に、少なくとも所定時間の間、磁場を印加せずに前記金属材料を加熱し、ボタン状の溶湯金属を形成するステップを含むことが望ましい。
また、前記金属材料を加熱し形成した溶湯金属に対し交流磁場を印加し、磁場方向の反転を繰り返すステップにおいて、前記ハース上の溶湯金属の下方に配置された電磁石に対し、所定周波数の交流電流を印加することが望ましい。
また、前記金属材料を加熱し形成した溶湯金属に対し交流磁場を印加し、磁場方向の反転を繰り返すステップにおいて、前記ハース上の溶湯金属の下方に配置された電磁石に対し、所定周波数の交流電流を印加するとともに、印加電圧の強弱を変化させるようにしてもよい。
また、前記印加する交流電流の周波数は、0.1Hz以上10Hz以下の範囲で設定されることが望ましい。
また、アーク熱により前記金属材料を加熱し溶湯金属を形成することが望ましい。
このような方法によれば、溶融された金属材料(溶湯金属)に対し、電磁石に交流電流を印加することにより交流磁場を印加し、溶湯金属に働くローレンツ力によって、溶湯金属が回転され攪拌される。さらに、交流磁場が印加されるため、ローレンツ力の働く向きが周期的に切り替わり、溶湯金属の回転方向が所定時間ごとに切り替わることによって効果的に攪拌がなされる。
これにより、金属材料が軽金属と重金属の場合のように充分な攪拌が必要であっても、溶湯金属を比較的短時間で充分に攪拌し、溶解時間を短縮することができる。
また、本発明に係る金属溶解方法が適用される溶解装置にあっては、従来の水冷ハースを用いた一般的なアーク溶解装置の構成に加え、ハース部材に配置される金属材料の下方に交流電流の印加によって磁場を形成する電磁石を配置すればよいため、装置構成が複雑ではなく、かかるコストを抑えることができる。
ハース上に配置された金属材料を加熱し溶解する金属溶解方法において、溶湯金属を効果的に攪拌することができ、溶解時間を短縮することのできる金属溶解方法を得ることができる。
図1は、本発明に係る金属溶解方法が実施されるアーク溶解装置の主要部を模式的に示す断面図である。 図2は、図1のアーク溶解装置の平面図である。 図3(a)は、図1のアーク溶解装置が備える電磁石の平面図であり、図3(b)は、電磁石の側面図である。 図4は、本発明に係る金属溶解方法のステップを示すフローである。 図5は、従来の水冷ハースの斜視図である。 図6(a)は、図5の水冷ハースのA−A矢視断面であり、図6(b)は、B―B矢視断面であり、図6(c)は、図6(b)の水冷ハースにおいて溶解される金属材料の状態を時系列に示す断面図である。 図7(a)は、従来の他のアーク溶解装置の模式的な断面図であり、図7(b)は、該アーク溶解装置の平面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は本発明に係る金属溶解方法が実施されるアーク溶解装置の主要部を模式的に示す断面図であり、図2は図1の平面図である。尚、以下の実施形態においては溶解する金属材料、及びこれが加熱溶融されて形成された溶湯金属をともに符号Mで示す。
図1に示すアーク溶解装置1は、所定の不活性ガス(例えばアルゴンガス)が充填されるチャンバ(図示せず)内に配置され使用される。このチャンバは例えば−30kPa以下の真空に耐える真空チャンバである事が望ましい。このような真空チャンバにおいては酸素を除去するために高真空に排気した後に不活性ガスが所定圧力まで充填される。このアーク溶解装置1は、例えば直径L1が30〜50mm、質量が30〜100g程度の金属材料Mを溶解するためのハース部材2を備えている。
尚、このハース部材2において溶解される金属材料は、純金属のみでなく、軽金属と重金属の合金であってもよく、また加熱により溶融状態となるならば、非金属材料と金属との合金であってもよい。さらに例えばSiのような半金属であってもよい。尚、ここでいう軽金属および重金属とは、単体金属(又は半金属)の比重が1.2倍以上離れた2つの元素の一方と他方のことである。
前記ハース部材2は、金属材料Mを溶解し溶湯金属とするための窪み3(凹部)を有している。また、窪み3の中央上方には、水冷された棒状のアーク溶解用電極15が、下方に先端(放電電極)を向けた状態で配置されている。このアーク溶解用電極15には、アーク電源4より電源供給(直流電流300A程度)がなされる。
尚、図示しないが、ハース部材2において、放電のトリガーを特定の位置で行う場合は、窪み3の側方には、アーク溶解用電極15の先端部が挿入可能な待機部が設けられ、そこにアーク溶解用電極15の先端部が挿入された状態で準備工程としてのアーク放電の開始動作(放電トリガー)が行われるようになっている。
また、前記アーク溶解用電極15は、窪み3内の金属材料(溶湯金属)Mとの距離(放電距離)を調節し、かつ、万遍に加熱できるように、例えばステッピングモータを用いた移動機構(図示せず)により上下移動及び前後左右に首振り可能となされている。
また、ハース部材2の下段には、銅材により形成された水冷板5が配置され、ハース部材2を所定温度に冷却する構成となっている。
また、ハース部材2と水冷板5との間には、リング状の電磁石10が配置されている。この電磁石10は、ハース部材2の裏面側に形成された凹部内に、ハース部材2とは電気的に絶縁された状態で収容されており、ハース部材2と水冷板5との接触面積が充分に確保されている。また、電磁石10とハース部材2の窪み3の表面との距離L2は、例えば5mmに設定されている。
前記電磁石10は、リング状の例えばSUS430からなる芯部材11と、芯部材11の外周面に周方向に沿って線材が多重(例えば300ターン)に巻回されてなるコイル12とを有する。これにより電磁石10の大きさは、図3(a)の平面図、図3(b)の側面図に示すように、例えば直径L3が最大50mmとされる。また、リング状の芯部材11の外径L4は例えば30mmとされ、内径L5は例えば20mmとされる。また、芯部材11の高さL6は例えば最大11mmとされる。
また、前記電磁石10のコイル12には、交流電圧供給部14から所定周波数(例えば、0.1Hz)の交流電流(例えば最大値2A)が印加可能となっている。コイル12に交流電流が印加されることにより磁場が発生する。交流電圧供給部14から供給される交流電流の強度と、周波数に応じて交互に切り替わる電流の向きとにより、磁場の強弱と磁場方向とが可変な構成になされている。
また、電磁石10により磁場が生じている状態において、アーク溶解用電極15からアーク放電がなされ、アーク放電電流が溶湯金属Mに流れると、この電流と磁場により、溶湯金属Mにローレンツ力が働き、溶湯金属Mが所定方向(横方向)に回転する。ここで、前記のように電磁石10には交流電流が印加されるため、周期的に磁場の向きが切り替わり、それによって溶湯金属Mの回転する向きが周期的に切り替わるようになっている。その結果、溶湯金属Mは効果的に攪拌され、金属溶解の時間が短縮される。
このように構成されたアーク溶解装置1において金属材料Mの溶解を行う場合、ハース部材2に金属材料Mが配置され、アーク電源4からの直流電流(300A程度)の供給により、アーク溶解用電極15から金属材料Mに対しアーク放電による加熱が開始される(図4のステップS1)。このとき、金属材料Mに対し磁場印加はなされていない。
尚、金属材料Mに対しアーク放電による加熱がなされると、金属材料Mは溶融しボタン状の溶湯金属Mとなる。但し、ここで金属材料Mが軽金属と重金属(単体金属(又は半金属)の比重が1.2倍以上離れた2つの元素の一方と他方)の場合、攪拌前の状態であるため、未だ均一な組成にはなっていないと考えてよい。
加熱開始から所定時間(例えば80sec)が経過すると(図4のステップS2)、交流電圧供給部14からコイル12に対し所定の周波数(0.1Hz)で所定の交流電流(例えば2A)を供給開始する。これによりハース部材2上の溶湯金属Mに対し交流磁場の印加が開始される(図4のステップS3)。
この交流磁場の印加により溶湯金属Mに対しローレンツ力が働き、溶湯金属Mはハース部材2の上で所定方向に回転する。ここで、前記ローレンツ力が働く向きは、コイル12を流れる交流電流の向きによって切り替わるため、交流電流の周波数(0.1Hz)に応じた時間間隔(例えば5秒ごと)で切り替わる。
即ち、溶湯金属Mは、所定の時間間隔ごとに図2の矢印に示すように回転方向が切り替わり、それにより溶湯金属Mが効果的に攪拌される。
磁場の印加から所定時間(例えば100sec)が経過すると(図4のステップS4)、溶湯金属Mは充分に攪拌された状態となり、溶け残りが無い状態となるため、磁場印加と加熱作業が停止される(図4のステップS5)。
以上のように、本発明に係る実施の形態によれば、アーク熱により溶融された金属材料(溶湯金属)Mに対し、電磁石10に交流電流を印加することにより交流磁場を印加し、溶湯金属Mに働くローレンツ力によって、溶湯金属Mが回転され攪拌される。さらに、交流磁場が印加されるため、ローレンツ力の働く向きが周期的に切り替わり、溶湯金属Mの回転方向が所定時間ごとに切り替わることによって効果的に攪拌がなされる。
これにより、金属材料が軽金属と重金属の場合のように充分な攪拌が必要であっても、溶湯金属Mを比較的短時間で充分に攪拌し、溶解時間を短縮することができる。
また、本発明に係る金属溶解方法が適用される溶解装置にあっては、従来の水冷ハースを用いた一般的なアーク溶解装置の構成に加え、ハース部材2に配置される金属材料Mの下方に交流電流の印加によって磁場を形成する電磁石10を配置すればよいため、装置構成が複雑ではなく、かかるコストを抑えることができる。
尚、前記実施の形態においては、アーク溶解装置1において、金属材料Mの中央直上部から1本のアーク電極棒15によりアーク熱を加える例を説明したが、本発明に係る金属溶解方法にあっては、それに限定されるものではなく、複数のアーク電極棒を用いて金属材料Mの周囲からアーク熱により加熱し、金属材料Mを溶融するようにしてもよい。
また、本発明に係る金属溶解方法にあっては、アーク熱により金属材料Mを溶解する構成に限らず、その他の手段(例えば電子ビーム)により金属材料Mを加熱し、溶融する構成にも適用することができる。
また、前記実施の形態においては、交流磁場を印加する際、一定の交流電流(例えば最大値2A)を印加するものとしたが、交流磁場を印加する間に、印加する交流電流の値(最大値の値)を変えて磁場の大きさに強弱をつけ、溶湯金属Mの回転速度等を変化させる制御を行ってもよい。
本発明に係る金属溶解方法について、実施例に基づきさらに説明する。本実施例では、前記実施の形態に示したアーク溶解装置を作製し、前記実施の形態に示した方法に従って金属を生成し検証した。
[実験1]
実験1では、溶湯金属に対する磁場印加を本発明のように交流電流を電磁石に印加することにより発生する磁場(交流磁場)とする場合と、直流電流を印加することにより発生する磁場(直流磁場)とする場合とにおいて、生成された金属の溶解度(溶け残りがあるか)について検証した。なお、溶け残りとは、組成、組織に斑がある場合を言い、特に合金にあっては、混じり合わないで略単体金属が残存した状態を言う。
いずれの場合においても、金属材料はCu:86at%とAl:14at%とを溶解し合金とするものとした。
また、電磁石への印加電流は1.5A(材料30g)、2A(材料50g)、2.5A(材料100g)とし、アーク電極棒に供給する直流電流は300Aとした。
また、磁場を印加する前の初期溶解(無磁場での溶解)を少なくとも80sec実施後に所定時間(90,120,150,180sec)の磁場印加を加えた溶解を行った。
表1に、交流磁場印加時(周波数0.1Hz)の溶解時間と材料量との組み合わせによる条件1〜12の結果を示し、表2に、直流磁場印加の場合の条件13〜24の結果を示す。尚、表1、表2において、○は溶け残り無し又は微小、△は素材のどちらかが溶け残り有り、×は両素材とも溶け残り有りを示す。
Figure 2016022528
Figure 2016022528
本実験1の結果、条件1〜12においては、交流磁場(周波数0.1Hz)を印加すると、溶湯が回転し、約5secごとに回転方向が切り替わることを目視にて確認できた。条件13〜24においては、直流磁場のため、溶湯が一方向に回転することを目視にて確認した。
また、表1、2の結果から、交流磁場印加の場合(条件1〜12)には、直流磁場印加の場合(条件13〜24)よりも全体的に攪拌効果が得られ、大幅に溶解時間を短縮できることを確認した。
[実験2]
実験2では、無磁場での溶解後に溶湯金属に交流磁場を印加する場合に、印加する交流電流の周波数によって結果に差が生じるかを検証した。
金属材料はCu:86at%、Al:14at%の素材、計50gを溶解し合金とするものとした。また、印加する電流は2A、周波数は0.1Hz(条件25)、1Hz(条件26)、5Hz(条件27)、10Hz(条件28)、15Hz(条件29)を設定した。
また、アーク電極棒に供給する直流電流は300Aとした。
また、磁場を印加する前の初期溶解(無磁場での溶解)を50sec実施後に150secの磁場印加を加えた溶解を行った。
表3に条件25、26、27、28、29の結果を示す。尚、表3において、○は溶け残り無し又は微小、×は両素材とも溶け残り有りを示す。
Figure 2016022528
実験2の結果、印加する交流電流の周波数が0.1Hzの場合(条件25)には、約5secごとに溶湯の回転方向が切り替わり、表3の結果にも示されるように、効果的に攪拌され、完全に溶解することができた。また、10Hzの場合(条件28)は、切り替わる時間が約0.05secと短く、溶湯が左右振動するような状態が目視観察されたが、作業終了後に得られた合金に溶け残りは見られなかった。
一方、印加する交流電流の周波数が15Hzの場合(条件29)には、溶湯の回転の切り替わる時間が短く、微振動に近いものとなり、充分な攪拌ができなかった。そのため、表3の結果に示されるように溶け残りが生じた。よって、印加する交流電流の周波数は、一方向の回転時間がある程度確保できるように高すぎないもの(即ち0.1Hzなど)が好ましいことを確認した。なお、0.1Hzより低い周波数では、所望の溶解時間内での溶湯回転切り替わり回数が少なく、溶解時間を延長する必要があり好ましくなかった。
[実験3]
実験3では、実験2の条件に対する比較例として、最後まで磁場を印加しない場合(条件30)と、直流磁場を印加する場合(条件31)についても検証した。その他条件は実験2と同じである。なお、条件31(直流磁場)は、実験1の条件19と略同条件であり、再現性の確認目的の条件となっている。
表4に条件30、31の結果を示す。尚、表4において、△は素材のどちらかが溶け残り有り、×は両素材とも溶け残り有りを示す。
Figure 2016022528
実験3の結果、直流磁場を印加する場合(条件31)には、無磁場の場合(条件30)よりも溶け残りは少なかったものの不十分な結果だった。直流磁場で溶湯が回転することによって攪拌効果が得られたが、溶解時間が経過するに従い回転中心が溶湯の中央から外れた位置(偏心)となった。
このように実験1〜3の結果、溶解中に磁場を印加するほうが攪拌でき、磁場を交流磁場とすることにより、さらに効果的に攪拌して溶解時間を短縮できることを確認した。
1 アーク溶解装置
2 ハース部材(ハース)
3 窪み
4 アーク電源
5 水冷板
10 電磁石
11 芯部材
12 コイル
14 交流電圧供給部
15 アーク電極棒
M 金属材料、溶湯金属

Claims (6)

  1. ハース上に配置された金属材料を加熱し溶解する金属溶解方法であって、
    金属材料を加熱し形成した溶湯金属に対し交流磁場を印加し、磁場方向の反転を繰り返すステップを実施し、
    前記交流磁場の印加により前記ハース上の溶湯金属を回転させるとともに、前記磁場方向の反転により所定の周期で回転方向を切り換えることを特徴とする金属溶解方法。
  2. 前記金属材料を加熱し形成した溶湯金属に対し交流磁場を印加し、磁場方向の反転を繰り返すステップの前に、
    少なくとも所定時間の間、磁場を印加せずに前記金属材料を加熱し、ボタン状の溶湯金属を形成するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載された金属溶解方法。
  3. 前記金属材料を加熱し形成した溶湯金属に対し交流磁場を印加し、磁場方向の反転を繰り返すステップにおいて、
    前記ハース上の溶湯金属の下方に配置された電磁石に対し、所定周波数の交流電流を印加することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された金属溶解方法。
  4. 前記金属材料を加熱し形成した溶湯金属に対し交流磁場を印加し、磁場方向の反転を繰り返すステップにおいて、
    前記ハース上の溶湯金属の下方に配置された電磁石に対し、所定周波数の交流電流を印加するとともに、印加電圧の強弱を変化させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された金属溶解方法。
  5. 前記印加する交流電流の周波数は、0.1Hz以上10Hz以下の範囲で設定されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載された金属溶解方法。
  6. アーク熱により前記金属材料を加熱し溶湯金属を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された金属溶解方法。
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