JP2016014870A - 光学フィルム、偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板、および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】薄膜であり、高い湿熱耐久性および高い正面コントラストを示すことができる光学フィルム、並びに上記光学フィルムを含む偏光板および液晶表示装置を提供すること。【解決手段】アシル基の置換度が2.0〜2.6のセルロースアシレート及び少なくとも1種の光学発現剤を含む光学フィルムであって、膜厚が40μm以下であり、前記セルロースアシレート中のマンノース含有量が0.2質量%以下であり、下記式I及び下記式IIを満たす光学フィルム;式I MA≧MB?1.1式II CA≧CB?1.1式中、光学フィルムの一方の表面から2μmの厚さまでをA面、他方の表面から2μmの厚さまでをB面とし、MAは、A面のマンノースの含有量を表し、MBは、B面のマンノースの含有量を表す;CAは、A面の光学発現剤の含有量を表し、CBは、B面の光学発現剤の含有量を表す;MA、MB、CAおよびCBの単位は質量%である。【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム、偏光板、および液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。液晶表示装置において使用される光学フィルムとして、特許文献1には、アセチル基置換度が2.0〜2.6で、キシロースとマンノースの含有比率がアセチルセルロースに対して共に0.9質量%以下であり、トリアジン系のレターデーション上昇剤と、単糖類又は二糖類の化合物と、波長分散調整剤とを含有するフィルムが記載されている。特許文献2には、総置換度が1.5〜2.6のセルロースアシレートと糖エステルを含有し、薄膜であり、光学発現性を有し、内部ヘイズが小さいフィルムが記載されている。
特許文献3には、60℃、相対湿度90%で24時間経過前後での寸法変化率が−0.5%〜+0.5%のセルロースアシレートフィルムが記載されており、60℃、相対湿度90%、500時間経過後の斜め黒輝度変化を小さくできることが記されている。また、特許文献4には、屈折率異方性の波長依存性および/または屈折率異方性がフィルム表裏で異なる高分子フィルムが開示されている。
特開2013−195504号公報 特開2013−139541号公報 特開2010−250298号公報 特開2010−26424号公報
近年、液晶表示装置の高精細化による表示品位向上により、正面コントラストを従来以上に高めること、並びに液晶表示装置の薄型化が求められている。液晶表示装置の薄型化のためには、液晶表示装置に用いるガラスを薄くする必要があり、液晶表示装置に用いられる光学フィルム等の各部材の温湿度変化による寸法変化に起因する反りが生じやすくなっている。また、画面を背後から照らすバックライトをつけない半製品であるオープンセル製品での取引が増加することに伴い、液晶セルを輸送する機会が増え、上記反りに起因する表示ムラ改善に対する要求が、従来よりも高まっている。
特許文献1には、延伸時に発生する軸ズレムラを改善できることが開示されているが、特許文献1のフィルムでは散乱を伴うHv値を小さくすることができず、結果として液晶パネルに実装した際の正面コントラストが不十分であった。特許文献2のフィルムはHv値が小さいことから正面コントラストを高めることができるが、さらにHv値が小さくすることが要求されつつある。
一方、フィルムの膜厚が薄い場合には、特許文献3に記載の寸法変化率が−0.5%〜+0.5%というフィルムでは、湿熱経時後に正面方向から観察したムラが悪化することが分かってきた。また、特許文献4のフィルムは、正面コントラストと視野角コントラストの比について検討されたのみであり、正面コントラストについては言及されていない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、薄膜であり、高い湿熱耐久性および高い正面コントラストを示すことができる光学フィルム、並びに上記光学フィルムを含む偏光板および液晶表示装置を提供することを解決すべき課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、マンノースのフィルム厚み方向分布と、光学発現剤の厚み方向分布とを類似したパターンとし、さらにセルロースアシレート中のマンノース量を低減することによって、光学フィルムのHv値を低減でき、これにより高い正面コントラストを示す液晶表示装置を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
<1> アシル基の置換度が2.0〜2.6のセルロースアシレート及び少なくとも1種の光学発現剤を含む光学フィルムであって、膜厚が40μm以下であり、セルロースアシレート中のマンノース含有量が0.2質量%以下であり、下記式I及び下記式IIを満たす光学フィルム;
式I MA≧MB×1.1
式II CA≧CB×1.1
式中、光学フィルムの一方の表面から2μmの厚さまでをA面、他方の表面から2μmの厚さまでをB面とし、MAは、A面のマンノースの含有量を表し、MBは、B面のマンノースの含有量を表す;CAは、A面の光学発現剤の含有量を表し、CBは、B面の光学発現剤の含有量を表す;MA、MB、CAおよびCBの単位は質量%である。
<2> さらに下記式IIIを満たす、<1>の光学フィルム;
式III Hv15(0°、90°)≦10×10-3
式中、Hv15(0°、90°)=(Hv15(0°)+Hv15(90°))/2であり、Hv15(0°)は、光学フィルムの遅相軸方向を方位角0°とした場合に、極角15°、方位角0°方向から光を入射した際に、吸収軸が直交する2枚の偏光板を透過してくる光量を表し、
Hv15(90°)は、光学フィルムの遅相軸方向を方位角0°とした場合に、極角15°、方位角90°方向から光を入射した際に、吸収軸が直交する2枚の偏光板を透過してくる光量を表す;Hv15(0°)及びHv15(90°)の単位は、cd/m2である。
ここで、偏光板/光学フィルム/偏光板の配置でHv15(0°)、Hv15(90°)を測定した。
<3> さらに下記式IVを満たす、<1>または<2>の光学フィルム;
式IV (Rth(60℃90%)−Rth(Fresh))/Rth(Fresh)≦0.05
式中、Rth(60℃90%)は、ガラスに貼合した光学フィルムを60℃、90%相対湿度環境下で24時間放置し、さらに25℃、60%相対湿度環境下で6時間放置した後の波長550nmにおける厚み方向のレターデーションを表し、Rth(Fresh)は、ガラスに貼合した光学フィルムを25℃、60%相対湿度環境下で6時間放置した後の波長550nmにおける厚み方向のレターデーションを表す。
<4> 光学フィルムの遅相軸方向および/又はそれに直交する方向における寸法変化率が下記式Vを満たす、<1>〜<3>のいずれかの光学フィルム;
式V −1.0%≦{(L’−L0)/L0}×100≦−0.5%
式中、L0は25℃、相対湿度60%の雰囲気下で2時間調湿後のフィルム長さを表し、L’は60℃相対湿度90%で24時間経過させ、さらに25℃、相対湿度60%の雰囲気下で2時間調湿した後のフィルム長さを表す。
<5> 下記式VIおよび式VIIを満たす、<1>〜<4>のいずれかの光学フィルム;
式VI 30nm≦Re(550)≦80nm
式VII 90nm≦Rth(550)≦300nm
Re(550)は、波長550nmにおける面内方向のレターデーションを表し、Rth
(550)は波長550nmにおける厚み方向のレターデーションを表す。
<6> <1>〜<5>のいずれかの光学フィルムと偏光子とを有する偏光板。
<7> <1>〜<5>のいずれかの光学フィルム、または<6>の偏光板を有する、液晶表示装置。
<8> 液晶表示装置が一対の偏光板に挟持された液晶セルを含み、偏光板が液晶セル側から光学フィルム、偏光子、保護フィルムの順に配置され、液晶セルを正面方向から観察した際の偏光解消度が0.02%以下であり、光学フィルムの少なくとも一つが<1>〜<5>のいずれかの光学フィルムである、<7>の液晶表示装置。
本発明によれば、薄膜であり、高い湿熱耐久性および高い正面コントラストを示すことができる光学フィルム、並びに上記光学フィルムを含む偏光板および液晶表示装置を提供することができる。
正面コントラストを低下させる要因を示した模式図である。 フィルム上における透過光の偏光状態の面内分布を示す図である。 Hv15(0°)およびHv15(90°)の計測方法を示す図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション(nm)及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。なお、本明細書において特に記載がないときは、波長λは550nmとする。Re(λ)はKOBRA 2
1ADH又はWRあるいはKOBRA CCDシリーズ(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は上記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRあるいはKOBRA CCDシリーズにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRあるいはKOBRA CCDシリーズが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はW
RあるいはKOBRA CCDシリーズが算出する。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(X)及び式(XI)よりRthを算出することもできる。
Figure 2016014870
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。また、式中、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は
算出される。
Rth(λ)は上記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRあ
るいはKOBRA CCDシリーズにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WI
LEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWR
あるいはKOBRA CCDシリーズはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
なお、レターデーションは、AxoScan(AXOMETRICS社)を用いて測定することもできる。
本発明において、位相差膜等の「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
また、本明細書において、位相差膜及び液晶層等の各部材の光学特性を示す数値、数値範囲については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲及び性質を示していると解釈されるものとする。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によるポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.
0mmID×15.0cmを用いることによって求めることができる。溶離液は特に述べない限り、10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いて測定したものとする。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、アシル基の置換度が2.0〜2.6のセルロースアシレート及び少なくとも1種の光学発現剤を含む光学フィルムであって、膜厚が40μm以下であり、上記セルロースアシレート中のマンノース含有量が0.2質量%以下であり、下記式I及び下記式IIを満たすことを特徴とする。
式I MA≧MB×1.1
式II CA≧CB×1.1
式中、光学フィルムの一方の表面から2μmの厚さまでをA面、他方の表面から2μmの厚さまでをB面とし、MAは、A面のマンノースの含有量を表し、MBは、B面のマンノースの含有量を表す;CAは、A面の光学発現剤の含有量を表し、CBは、B面の光学発現剤の含有量を表す;MA、MB、CAおよびCBの単位は質量%である。
本発明の光学フィルムは、光学補償フィルムとして使用することができる。
本発明の光学フィルムを有する液晶表示装置においては、斜め光漏れが抑制され、高い湿熱耐久性および高い正面コントラストを達成することができる。本発明の光学フィルムは、マンノースなどの不純物が少ないので、輝点が少なく内部ヘイズが発生しにくい。また、フィルム厚み方向でマンノースの含有量が少ない面(B面)において光学発現剤の含有量も少なくすることによって、内部ヘイズをより低減でき、輝点異物を抑制でき、偏光解消を伴う散乱を抑制できる。このメカニズムは定かではないが、マンノースなどの不純物がセルロースアシレートと光学発現剤の相溶化剤のように働いた可能性があるため、上記偏光解消を伴う散乱を低減させることができると考えられる。
<光学フィルムの物性>
(マンノースの含有量)
本発明の光学フィルムは、セルロースアシレート中のマンノースの含有量が0.2質量%以下であり、0.15質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。マンノースの含有量の下限値は特に限定されず、0質量%でもよい。
マンノースの含有量が0.2質量%以下であることにより、偏光解消を伴う散乱Hv値を抑制することができ、また輝点が少なくなり内部ヘイズが抑制できる。
セルロースアシレート中のマンノースの含有量は、特開平10−130301号公報の段落0008〜0009に記載の方法で定量できる。すなわち、乾燥した試料200mgを精秤量し、72質量%硫酸3mlを加え、氷水で冷却しながら超音波を用い、2時間以上かけて試料を完全に溶解させる。得られた溶液に蒸留水39mlを加えて十分に振とうし、窒素気流下、110℃で3時間環流した後、30分間放置する。次いで、炭酸バリウム14gを加え、氷水で冷却しつつ超音波を作用させ中和する。30分後、さらに炭酸バリウム10gを加え、pH5.5〜6.5程度になるまで中和し、濾過する。濾液を超純水で100倍に稀釈し、試料を調製する。試料を、以下の条件でクロマトグラフィにより分析する。
高速液体クロマトグラフィ(HPLC,ダイオネクス社製DX−AQ型)
検出器:パルスドアンペロメトリー検出器(金電極)
カラム:ダイオネクス社製,CarboPacPA−1(250×4mm)
溶離液:2mM NaOH
流量:1.0ml/分
ポストカラム:ダイオネクス社製、AMMS−II型
なお、マンノースのモル比は、予め、マンノース標品を用いて作成した検量線から求めることができる。
(式Iおよび式IIについて)
本発明の光学フィルムは、下記式Iおよび式IIを満たし、下記式I−1および式II−1を満たすことが好ましく、下記式I−2および式II−2を満たすことがより好ましい。
式I MA≧MB×1.1
式II CA≧CB×1.1
式I−1 MA≧MB×1.14
式II−1 CA≧CB×1.11
式I−2 MA≧MB×1.17
式II−2 CA≧CB×1.12
式中、光学フィルムの一方の表面から2μmの厚さまでをA面、他方の表面から2μmの厚さまでをB面とし、MAは、A面のマンノースの含有量を表し、MBは、B面のマンノースの含有量を表す;CAは、A面の光学発現剤の含有量を表し、CBは、B面の光学発現剤の含有量を表す;MA、MB、CAおよびCBの単位は質量%である。
本発明の光学フィルムは、式Iおよび式IIに規定される通り、マンノースの含有量が多い側の面(A面)と、光学発現剤の含有量が多い側の面(A面)とが、同じ側の面となる。即ち、マンノースの含有量が多い側の面(A面)においては、光学発現剤の含有量も多くなり、マンノースの含有量が少ない側の面(B面)においては、光学発現剤の含有量も少なくなっている。これにより、光学フィルムのHv値を低減させることができ、正面コントラストを高めることができる。
A面およびB面のマンノースの含有量(MAおよびMB)は以下のように求めることができる。
作製したフィルムの両面の各表面から2μmの厚さまでをカッター刃で削りとり、採取した粉末を、上記したセルロースアシレート中のマンノースの含有量の測定方法と同様の方法で、粉末中に含まれるマンノースの含有量を求めることができる。カッター刃で削りとられるフィルムの面積は特に限定されないが、例えば、100〜400cm2とすればよい。マンノースの含有量が多い方の面をA面、少ない方の面をB面とし、MAおよびMBを求めることができる。
A面およびB面の光学発現剤の含有量(CAおよびCB)は、以下のように求めることができる。
AおよびMBの求め方と同様の方法でフィルムの各表面を削り粉末を採取する。A面側から採取した粉末およびB面側から採取した粉末中に含有される光学発現剤量をそれぞれ以下のように定量し、CAおよびCBを求める。
光学発現剤を溶液に溶解した際、紫外光に吸収を持つものは、吸光度から含有量を算出することができる。フィルムの一方の表面側から採取した粉末10mgを、ジクロロメタン/メタノール=90/10混合溶液50mlに溶解させ、溶液の吸光度をUV3150((株)島津製作所製)で計測する。光学発現剤を用いて検量線を作成し、光学発現剤の含有量を定量することができる。フィルムの他方の表面についても、上記一方の表面と同様に計測することができる。
上記方法で光学発現剤の含有量を定量できない場合は、以下の条件でHPLC(高速液体クロマトグラフィ)法で光学発現剤の含有量を算出することができる。
装置:液体クロマトグラフィ(HPLC、アジレントテクノロジー社 Agilent HP1100)
カラム:Imtakt Cadenza CD−C18、2.0×150mm
流量:0.2ml/min
注入量:3μl
上記方法で検量線を作成し、紫外光に吸収を持たない光学発現剤の含有量を定量することができる。
本発明の光学フィルムが2種以上の光学発現剤を含有する場合、各々の光学発現剤について上記式IIを満たすことが好ましい。
(膜厚)
本発明の光学フィルムの膜厚は、40μm以下であり、38μm以下が好ましく、35μm以下がより好ましい。膜厚の下限については特に制限はないが、一般的には5μmである。本発明の光学フィルムは、膜厚が40μm以下であっても正面コントラストを向上させることができる。
(Hv値)
本発明の光学フィルムのHv値は、下記式IIIを満たすことが好ましく、式III−1を満たすことがより好ましく、式III−2を満たすことがさらに好ましい。
式III Hv15(0°、90°)≦10×10-3
式III−1 Hv15(0°、90°)≦8.0×10-3
式III−2 Hv15(0°、90°)≦7.0×10-3
式中、Hv15(0°、90°)=(Hv15(0°)+Hv15(90°))/2であり、Hv15(0°)は、光学フィルムの遅相軸方向を方位角0°とした場合に、極角15°、方位角0°方向から光を入射した際に、吸収軸が直交する2枚の偏光板を透過してくる光量を表し、Hv15(90°)は、光学フィルムの遅相軸方向を方位角0°とした場合に、極角15°、方位角90°方向から光を入射した際に、吸収軸が直交する2枚の偏光板を透過してくる光量を表す;Hv15(0°)及びHv15(90°)の単位は、cd/m2である。
図3の左側の図は、吸収軸が直交する偏光板の間にフィルムを配置した構成を示す。図3の右側の上段の図は、光学フィルムの遅相軸方向を方位角0°とした場合に、極角15°、方位角0°方向から光を入射した場合を示し(極角を倒す方向は、灰色の面内であれば反対側でも可能)、図3の右側の下段の図は、光学フィルムの遅相軸方向を方位角0°とした場合に、極角15°、方位角90°方向から光を入射した場合を示す(極角を倒す方向は、灰色の面内であれば反対側でも可能)。ここで、光学フィルム(図3中102)を直交する2枚の偏光板(図3中101、及び103)の間に配置した。光学フィルムの遅相軸方向を偏光板101の吸収軸と平行になるように配置した。
Hv値とは、偏光に対する試料の散乱量を表し、試料の前後に具備する偏光板を垂直に配置して計測される値である。たとえば「プラスチック成形品の高次構造解析入門(日刊工業新聞社)」 p25-27 に記載の方法で計測することができる。本発明においては、光学フィルムの遅相軸方向を方位角0°とした場合に極角15°方向から光を入射して計測し、入射光の照度を10000(lxs)とする。
Hv値が小さいフィルムは、黒表示時に斜め方向からの入射光の光漏れが少なくなることを意味し、結果として正面コントラストを増加できるため好ましい。
従来から、フィルムが液晶ディスプレイの正面コントラストに与える影響因子として、フィルムの偏光解消が知られている。これは、図1に一例を示すように、一対の吸収軸を直交に配置した偏光板10、11の間にフィルム12を配置し、法線方向から光を入射した際の光漏れとして表される。例えば図1の符号1が示すように、一対の吸収軸を直交に配置した偏光板の間にフィルムを配置し、法線方向から光を入射した際、図2に一例を示すように、フィルムに微小な軸ズレが存在すると、透過光の偏光状態に面内分布14が発生し、偏光解消が生じる。
上記偏光解消は、正面コントラストに影響を与えるが、液晶ディスプレイのバックライト光源は拡散光源13であり、フィルムに対して斜め方向から入射する光の影響も無視できない。
フィルム斜め方向から入射する光が、画面正面方向に散乱される要因として、フィルムの内部ヘイズが知られている。例えば図1の符号2が示すように、フィルム内部に散乱因子が存在すると、フィルムに斜め方向(上下偏光板の吸収軸と異なる角度)から入射した光が正面方向に散乱される。散乱光は光学フィルムのレターデーションにより偏光状態が変わり、視認側偏光板を透過し光漏れの原因となり、正面コントラストを低下させる。フィルム中にクレーズや光学発現剤の凝集などが存在すると内部ヘイズ発生原因となりうる。
一方で、図1の符号3が示すように、フィルム内部に偏光解消を伴う散乱因子が存在すると、著しく正面コントラストを低下させることが分かってきている。散乱される際に偏光解消が生じるため、内部ヘイズに起因する散乱と比べ散乱光量が小さくても、正面コントラストに与える影響が大きい。
散乱が生じる原因は明らかになっていないが、複屈折を持つ微小な異物やフィルム中の光学発現剤の微小な濃度ムラ、ポリマーの微小な密度ゆらぎなども考えられる。
(60℃90%経時での光学変化)
本発明の光学フィルムは、下記式IVを満たすことが好ましく、式IV−1を満たすことがより好ましく、式IV−2を満たすことがさらに好ましい。
式IV (Rth(60℃90%)−Rth(Fresh))/Rth(Fresh)≦0.05
式IV−1 (Rth(60℃90%)−Rth(Fresh))/Rth(Fresh)≦0.04
式IV−2 (Rth(60℃90%)−Rth(Fresh))/Rth(Fresh)≦0.03
式中、Rth(60℃90%)は、ガラスに貼合した光学フィルムを60℃、90%相対湿度環境下で24時間放置し、さらに25℃、60%相対湿度環境下で6時間放置した後の波長550nmにおける厚み方向のレターデーションを表し、Rth(Fresh)は、ガラスに貼合した光学フィルムを25℃、60%相対湿度環境下で6時間放置した後の波長550nmにおける厚み方向のレターデーションを表す。上記のガラスの厚さは特に限定されないが、好ましくは0.3mm〜3.0mmである。
(Rth(60℃90%)−Rth(Fresh))/Rth(Fresh)が0.05以下であると、光学フィルムを60℃、90%相対湿度環境下で放置しても、斜め方向の色味変化をより顕著に抑制することができる。
Rth(60℃90%)は、例えば、ガラス(コーニング社製、イーグルXG)に粘着剤(綜研化学社性、SK2057)を介して貼合した光学フィルムを60℃90%で24時間放置し、さらに25℃60%相対湿度環境下で6時間放置した後、AxoScan(AXOMETRICS社)で測定することができる。
Rth(Fresh)は、例えば、ガラス(コーニング社製、イーグルXG)に粘着剤(綜研化学社性、SK2057)を介して貼合した光学フィルムを、25℃60%相対湿度環境下で6時間放置した後、AxoScan(AXOMETRICS社)で測定することができる。
(寸法変化率)
本発明の光学フィルムは、光学フィルムの遅相軸方向および/又はそれに直交する方向における寸法変化率が、下記式Vを満たすことが好ましく、式V−1を満たすことがより好ましく、式V−2を満たすことがさらに好ましい。
式V −1.0%≦{(L’−L0)/L0}×100≦−0.5%
式V−1 −0.95%≦{(L’−L0)/L0}×100≦−0.55%
式V−2 −0.9%≦{(L’−L0)/L0}×100≦−0.6%
式中、L0は25℃、相対湿度60%の雰囲気下で2時間調湿後のフィルム長さを表し、L’は60℃相対湿度90%で24時間経過させ、さらに25℃、相対湿度60%の雰囲気下で2時間調湿した後のフィルム長さを表す。
本発明のように膜厚が40μm以下の光学フィルムにおいては、上記寸法変化率が−0.5%以下(収縮が大きい)とすることで、湿熱経時後にムラの発生を抑制することができる。一方、寸法変化率を−1.0%以上(収縮が小さい)とすることで、偏光子に貼合する際のシワの発生を抑制することができる。
従来は上記寸法変化率が小さいフィルムを用いると、液晶表示装置を湿熱環境に晒した後のムラが発生しづらいことが知られていた。フィルムの厚みが比較的厚いと、フィルムの寸法変化による残留応力の影響が大きく、ムラの原因となっていた。しかしながら、フィルムの膜厚が薄くなると、フィルムを60℃、相対湿度90%で24時間経過させた後にある程度収縮する場合の方が、ムラが発生しづらいことが分かってきた。メカニズムは定かではないが、フィルムが薄くなることで、偏光子の収縮による影響が大きくなり、偏光子との収縮率の差を小さくすると(フィルム自身が縮む)、ムラが発生しづらくなっていると推定している。
寸法変化率は、具体的には下記の方法で測定することができる。まず、フィルムの遅相軸方向を長手方向として切り出した長さ12cm(測定方向)、幅3.5cmのフィルム試料、またはこれと直交する方向を長手方向として切り出したフィルム試料とを用意し、上記試料に10cmの間隔でピン孔を空け、25℃、相対湿度60%にて2時間調湿後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長する(測定値をL0とする)。次いで、試料を60℃、相対湿度90%の湿熱環境下で24時間保持した後、25℃、相対湿度60%にて2時間調湿後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長する(測定値をL’とする)。これらの測定値を用いて下記式により寸法変化率を算出することができる。なおL’及びL0の単位は同一である限り特に限定されない。
寸法変化率[%]=(L’−L0)/L0}×100
(レターデーション)
本発明の光学フィルムは、下記式VIおよび式VIIを満たすことが好ましく、式VI−1および式VII−1を満たすことがより好ましく、式VI−2および式VII−2を満たすことがさらに好ましい。
式VI 30nm≦Re(550)≦80nm
式VII 90nm≦Rth(550)≦300nm
式VI−1 40nm≦Re(550)≦70nm
式VII−1 100nm≦Rth(550)≦200nm
式VI−2 40nm≦Re(550)≦50nm
式VII−2 100nm≦Rth(550)≦150nm
Re(550)は、波長550nmにおける面内方向のレターデーションを表し、Rth(550)は波長550nmにおける厚み方向のレターデーションを表す。
<セルロースアシレート>
本発明の光学フィルムは、アシル基の置換度が2.0〜2.6のセルロースアシレートを含む。
セルロースアシレートの原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりアシル化した重合体(ポリマー)である。アシル基の置換度は、2位、3位および6位に位置するセルロースの水酸基がアシル化している割合(各位における100%のアシル化は置換度1)の合計を意味する。
本発明においては、セルロースアシレートのアシル基の置換度が2.0〜2.6であり、2.1〜2.5であることが好ましく、2.2〜2.5であることがより好ましい。
使用するセルロースアシレートの90質量%以上が上記のアシル基の置換度の範囲を満たすことが好ましく、95質量%以上が上記のアシル基の置換度の範囲を満たすことがより好ましく、96質量%以上が上記のアシル基の置換度の範囲を満たすことがさらに好ましく、全てのセルロースアシレートが上記のアシル基の置換度の範囲を満たすことが特に好ましい。
セルロースのアシル化に用いられるアシル基は1種類でもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。アシル基としては、炭素数2以上のものが好ましい。
セルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されない。例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどが挙げられ、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イソブタノイル基、tert−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、tert−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基(アシル基が炭素原子数2〜4である場合)であり、より特に好ましくはアセチル基(セルロースアシレートが、セルロースアセテートである場合)である。
セルロ−スのアシル化において、アシル化剤としては、酸無水物や酸クロライドを用いた場合、反応溶媒である有機溶媒としては、有機酸、例えば、酢酸、メチレンクロライド等が使用される。
触媒としては、アシル化剤が酸無水物である場合には、硫酸のようなプロトン性触媒が好ましく用いられ、アシル化剤が酸クロライド(例えば、CH3CH2COCl)である場合には、塩基性化合物が用いられる。
最も一般的なセルロ−スの混合脂肪酸エステルの工業的合成方法は、セルロ−スをアセチル基および他のアシル基に対応する脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、吉草酸等)またはそれらの酸無水物を含む混合有機酸成分でアシル化する方法である。
本発明に用いるセルロースアシレートは、例えば、特開平10−45804号公報に記載されている方法により合成できる。
本発明の光学フィルムにおけるセルロースアシレートの含有量は、光学フィルムの質量
に対して70質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、85質量%以上が特に好ましい。セルロースアシレートの含有量の上限値は特に限定されないが、一般的には98質量%であり、好ましくは97質量%であり、より好ましくは95質量%である。
<光学発現剤>
本発明の光学フィルムは、少なくとも1種の光学発現剤を含む。本発明における光学発現剤とは、光学フィルムにおいて使用されるセルロースアシレートに対して1質量%添加した際に、Rth(550)を0.1nm以上上昇させる添加剤を意味する。光学発現剤としては、糖エステル化合物、エステル系化合物、含窒素化合物等が挙げられる。
(糖エステル化合物)
本発明の光学フィルムは、光学発現剤として糖エステル化合物を含んでいてもよい。糖エステル化合物としては、ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも一種を1〜12個有しその構造のOH基の一部がエステル化された化合物およびまたはその混合物を好ましく用いることができる。
ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも一種を1〜12個有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化した化合物のエステル化の割合としては、ピラノース構造又はフラノース構造内に存在するOH基の70%以上であることが好ましい。
本発明に用いられる糖エステル化合物の例としては、例えば、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストースが挙げられる。
この他、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
これらの化合物の中で、特にピラノース構造とフラノース構造を両方有する化合物が好ましい。
例としては、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。
ピラノース構造又はフラノース構造中のOH基のすべてもしくは一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができ、具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができるが、特に安息香酸、ナフチル酸が好ましい。
オリゴ糖のエステル化合物を、上記ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも一種を1〜12個を有する化合物として適用できる。
オリゴ糖は、澱粉、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるもので、本発明に適用できるオリゴ糖としては、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖が挙げられる。
また、上記の糖エステル化合物は、下記一般式(A)で表されるピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも一種を1個以上12個以下縮合した化合物である。ただし、R11〜R15、R21〜R25は、炭素数2〜22のアシル基又は水素原子を、m、nはそれぞれ0〜12の整数、m+nは1〜12の整数を表す。
Figure 2016014870
11〜R15、R21〜R25は、ベンゾイル基、水素原子、アセチル基であることが好ましい。ベンゾイル基、アセチル基は更に置換基R26を有していてもよく、例えばアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、フェニル基が挙げられ、更にこれらのアルキル基、アルケニル基、フェニル基は置換基を有していてもよい。オリゴ糖も上記糖エステル化合物と同様な方法で製造することができる。
以下に、上記糖エステル化合物の具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
Figure 2016014870
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Figure 2016014870
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Figure 2016014870
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Figure 2016014870
Figure 2016014870
Figure 2016014870
式中、Rはアセチル基を示す。
また、下記に示す糖エステル化合物であってもよい。
Figure 2016014870
本発明の光学フィルムが糖エステル化合物を含有する場合、上記糖エステル化合物はセルロースアシレートの質量に対して0.5〜30質量%含むことが好ましく、2〜15質量%含むことがより好ましい。
(エステル系化合物)
本発明の光学フィルムは、光学発現剤としてエステル系化合物を含んでいてもよく、具体的にはジカルボン酸とジオールとの重縮合エステルを含むことが好ましい。
重縮合エステルは、多価塩基酸と多価アルコールとの脱水縮合反応、又は、多価アルコールへの無水二塩基酸の付加及び脱水縮合反応などの公知の方法で得ることができ、好ましくは2塩基酸とジオールとから形成される重縮合エステル及びその誘導体である。
本発明における重縮合エステルの数平均分子量(Mn)は、本明細書中上記した通りゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)から求めることができる。本発明において、重縮合エステルの数平均分子量は2500以下であることが好ましく、400〜2500であることがより好ましく、500〜2300が特に好ましく、600〜2000が最も好ましい。
また、本発明における重縮合エステルは、分子量500以下の成分の比率(質量分率)が8%未満であることが好ましく、7%未満であることが更に好ましい。分子量500以下の成分の比率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)から求めることができる。低分子量の成分の比率を8%未満とするには、通常の真空蒸留、薄膜(分子)蒸留などの蒸留やクロマトグラフィによる方法などを挙げることができるが、短時間で低分子量成分を除去可能な薄膜蒸留が好ましい。
重縮合エステルを構成する二塩基酸としては、ジカルボン酸を好ましく挙げることができる。
ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられ、いずれのジカルボン酸であっても用いることができるが、特に、芳香族ジカルボン酸を好ましく用いることができる。このような重縮合エステルを配合するとレターデーションの発現性が高くなる。
また、本発明に用いられる上記重縮合エステルの両末端がそれぞれ独立に−OH基、−O−C(=O)−R1基、−C(=O)−O−R2基、−O−R3基および−COOH基からなる群(但し、上記R1〜R3はそれぞれ独立に脂肪族基を表す)から選ばれるいずれか1つであることが好ましい。
本明細書中において、重縮合エステルの残基とは、重縮合エステルの部分構造であって、重縮合エステルを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばジカルボン酸HOOC−R−COOHより形成されるジカルボン酸残基は−OC−R−CO−であり、ジオールHO−R’−OHより形成されるジオール残基は−O−R’−O−である。
重縮合エステルは、ジカルボン酸残基とジオール残基とを含むが、ジカルボン酸残基およびジオール残基のいずれかに芳香族基を有する必要がある。
上記重縮合エステルには、ジカルボン酸残基として芳香族ジカルボン酸残基および脂肪族ジカルボン酸残基を用いることができる。
本発明に用いる上記重縮合エステルは、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸残基を含むことが好ましい。
また、本発明に用いる重縮合エステル中の全てのジカルボン酸残基に対する芳香族ジカルボン酸残基の割合が50モル%以上であることが好ましい。
上記芳香族ジカルボン酸残基比率を50モル%以上とすることで、膜厚が薄くとも十分な光学発現性を示(特に、膜厚あたりのRthの値が大きく)すセルロースアシレートフィルムを得られる傾向にある。
本明細書中、上記芳香族ジカルボン酸残基とは、少なくとも1つのアリーレン基を含むジカルボン酸残基のことを言う。すなわち、本明細書中における上記芳香族ジカルボン酸残基には、−OC−Ar−CO−残基の他に、例えば、−OC−Ar’−L−CO−や、−OC−L’−Ar’’−CO−や、−OC−L’’−Ar’’’−L’’−CO−等の構造を有するジカルボン酸残基(上記Ar、Ar’、Ar’’およびAr’’’はそれぞれ独立にアリーレン基を表し、上記L、L’およびL’’はそれぞれ独立にアリーレン基以外の2価の連結基を表す)も含まれる。上記アリーレン基以外の2価の連結基としては、例えば、脂肪族基や原子連結基などを挙げることができ、具体的にはアルキレン基、アルキレンオキシ基、酸素原子、硫黄原子などを挙げることができる。
その中でも、上記芳香族ジカルボン酸残基は、セルロースアシレートとの相溶性の観点から、−OC−Ar−CO−残基の構造であることが好ましい。
上記Arは、炭素数6〜16のアリーレン基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリーレン基であることがより好ましく、フェニレン基またはナフチレン基であることが特に好ましく、フェニレン基であることがより特に好ましい。また、上記Arはさらに置換基を有していても、有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましく、該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、アシル基、カルボニル基などを挙げることができる。
上記芳香族ジカルボン酸残基の具体例としては、フタル酸残基、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基、1,5−ナフタレンジカルボン酸残基、1,4−ナフタレンジカルボン酸残基、1,8−ナフタレンジカルボン酸残基、2,8−ナフタレンジカルボン酸残基又は2,6−ナフタレンジカルボン酸残基等を挙げることができる。これらの例の中でもフタル酸残基、テレフタル酸残基、2,6−ナフタレンジカルボン酸残基が好ましく、フタル酸残基およびテレフタル酸残基がより好ましく、テレフタル酸残基がさらに好ましい。
上記重縮合エステルには、混合に用いた芳香族ジカルボン酸により芳香族ジカルボン酸残基が形成される。
上記重縮合エステルが、芳香族ジカルボン酸残基としてテレフタル酸残基を含む場合、よりセルロースアシレートとの相溶性に優れ、セルロースアシレートフィルムの製造時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくいセルロースアシレートフィルムとすることができる。
また、上記重縮合エステル中には芳香族ジカルボン酸残基が1種のみ含まれていても、2種以上含まれていてもよい。上記重縮合エステル中に、芳香族ジカルボン酸残基が2種
含まれる場合は、フタル酸残基とテレフタル酸残基が含まれていることが好ましい。
上記重縮合エステルは、ジカルボン酸残基として、芳香族ジカルボン酸残基の他に脂肪族ジカルボン酸残基を含んでいてもよい。
上記脂肪族ジカルボン酸残基の具体例としては、例えば、シュウ酸残基、マロン酸残基、コハク酸残基、マレイン酸残基、フマル酸残基、グルタル酸残基、アジピン酸残基、ピメリン酸残基、スベリン酸残基、アゼライン酸残基、セバシン酸残基、ドデカンジカルボン酸残基または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基等が挙げられる。
上記重縮合エステルには、混合に用いた脂肪族ジカルボン酸より脂肪族ジカルボン酸残基が形成される。
上記脂肪族ジカルボン酸残基は、平均炭素数が5.5〜10.0であることが好ましく、5.5〜8.0であることがより好ましく、5.5〜7.0であることがさらに好ましい。脂肪族ジオールの平均炭素数が7.0以下であれば化合物の加熱減量が低減でき、セルロースアシレートウェブ乾燥時のブリードアウトによる工程汚染が原因と考えられる面状故障の発生を防ぐことができる。また、脂肪族ジオールの平均炭素数が2.5以上であれば相溶性に優れ、重縮合エステルの析出が起き難く好ましい。
具体的には、上記重合性エステルは、上記脂肪族ジカルボン酸残基を含む場合はコハク酸残基またはアジピン酸残基を含むことが好ましく、コハク酸残基を有することがより好ましい。
上記重縮合エステル中には、脂肪族ジカルボン酸残基が1種のみ含まれていても、2種以上を含まれていてもよい。上記重縮合エステル中に、脂肪族ジカルボン酸残基が2種含まれる場合は、コハク酸残基とアジピン酸残基が含まれていることが好ましい。上記重縮合エステル中に、脂肪族ジカルボン酸残基が1種含まれる場合は、コハク酸残基が含まれていることが好ましい。このような態様とすることで、ジオール残基の平均炭素数を上記好ましい範囲に調整することができ、セルロースアシレートとの相溶性が良好となる。
上記重縮合エステルには、ジオール残基として芳香族ジオール残基および脂肪族ジオール残基を用いることができる。
本発明に用いる上記重縮合エステルは、ジオール残基として、少なくとも1種の脂肪族ジオール残基を含む。
本発明に用いられる脂肪族ジオールとしては、アルキルジオール又は脂環式ジオール類を挙げることができ、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等があり、これらはエチレングリコールとともに1種又は2種以上の混合物として使用されることが好ましい。
その中でも、本発明では、上記重縮合エステルが、全てのジオール残基に対する炭素数3以上の脂肪族ジオール残基の割合(以下、炭素数3以上の脂肪族ジオール比率とも言う)が、30モル%以上である重縮合エステルであることがセルロースアシレートと重縮合エステルとの相溶性の向上や、重縮合エステルの溶媒への溶解性向上の観点から好ましい。
上記炭素数3以上の脂肪族ジオール比率は、30モル%以上であることがより好ましく、50〜80モル%であることが特に好ましい。
上記炭素数3以上の脂肪族ジオール残基としては、1,2−プロパンジオール残基、1,3−プロパンジオール残基、1,2−ブタンジオール残基、1,3−ブタンジオール残基、2−メチル−1,3−プロパンジオール残基、1,4−ブタンジオール残基、1,5−ペンタンジオール残基、2,2―ジメチル1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)残基、1,4−ヘキサンジオール残基、1,4−シクロヘキサンジオール残基などを挙げることができる。その中でも本発明で好ましく用いられる炭素数3以上の脂肪族ジオール残基としては、1,2−プロパンジオール残基、1,3−プロパンジオール残基、1,2−ブタンジオール残基、1,3−ブタンジオール残基、2−メチル−1,3−プロパンジオール残基、1,4−ブタンジオール残基、1,5−ペンタンジオール残基、2,2−ジメチル1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)残基の少なくとも1種であり、より好ましくは1,2−プロパンジオール残基、1,3−プロパンジオール残基、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール残基、2−メチル−1,3−プロパンジオール残基、1,4−ブタンジオール残基の少なくとも1種であり、特に好ましくは1,2−プロパンジオール残基である。
1,2−プロパンジオール残基、または1,3−プロパンジオール残基を用いることにより重縮合エステルの結晶化を防止することができる。
炭素数3以上の脂肪族ジオール以外のジオール残基として、脂肪族ジオール残基を用いる場合は、エチレングリコール残基、などを用いることができる。
上記重縮合エステルには、混合に用いた脂肪族ジオールにより脂肪族ジオール残基が形成される。
上記重縮合エステルは、ジオール残基として、脂肪族ジオール残基の他に、芳香族ジオール残基を含んでいてもよい。
上記芳香族ジオール残基の具体例としては、例えば、ビスフェノールA残基、1,2−ヒドロキシベンゼン残基、1,3−ヒドロキシベンゼン残基、1,4−ヒドロキシベンゼン残基、1,4−ベンゼンジメタノール残基等が挙げられる。
上記重縮合エステル中には、脂肪族ジオール残基が1種のみ含まれていても、2種以上を含まれていてもよい。上記重縮合エステル中に、脂肪族ジオール残基が2種含まれる場合は、1,2−プロパンジオール残基とエチレングリコール残基が含まれていることが好ましい。
上記重縮合エステルには、混合に用いた芳香族ジオールより芳香族ジオール酸残基が形成される。
上記重縮合エステルの末端は、封止されずにジオール由来の−OH基またはジカルボン酸由来の−COOH基のままであっても、モノカルボン酸類またはモノアルコール類などを反応させていわゆる末端の封止を実施して−O−C(=O)−R1基、−C(=O)−O−R2基および−O−R3基(但し、上記R1〜R3はそれぞれ独立に脂肪族基を表す)としてもよい。
上記重縮合エステルの両末端が未封止の場合、両末端が−OH基であることが、両末端が−COOHであるよりもエステル基の加水分解抑制の観点から好ましい。すなわち上記重縮合エステルの両末端が未封止の場合は、上記重縮合エステルがポリエステルポリオールであることが好ましい。
上記重縮合エステルの両末端が封止されている場合、両末端が−O−C(=O)−R1基、−C(=O)−O−R2基または−O−R3基であることが好ましい。上記両末端が−O−C(=O)−R1基であることがより好ましく、すなわち、上記重縮合エステルの両末端を、脂肪族モノカルボン酸と反応させて封止することがより好ましい。
このとき、該重縮合エステルの両末端は脂肪族モノカルボン酸残基となっている。
ここで、上記R1〜R3はそれぞれ独立して脂肪族基を表す。上記R1〜R3の表す脂肪族基としては、該脂肪族基中に芳香環を含まなければよく、飽和であっても不飽和であってもよい。また、上記R1〜R3の表す脂肪族基は、鎖状の脂肪族基および環状の脂肪族基(例えば、シクロアルキル基類など)のいずれであってもよく、鎖状の脂肪族基である場合は直鎖であっても、分枝であってもよい。上記R1〜R3の表す脂肪族基は、本発明の趣旨に反しない限りにおいてさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては芳香環を含まなければ特に制限は無いが、置換基を有さない脂肪族基であることが好ましい。また、上記R1〜R3の表す脂肪族基の炭素数は1〜21であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることが特に好ましく、1または2であることがより特に好ましく、1であることがよりさらに好ましい。
その中でも上記R1〜R3の表す脂肪族基は、鎖状の飽和脂肪族基であることが好ましく、鎖状のアルキル基であることがより好ましく、直鎖アルキル基であることが特に好ましい。
すなわち、上記重縮合エステルの両末端が封止されている場合は、上記重縮合エステルの両末端は、炭素数2〜22のアシル基であることが好ましく、炭素数2〜6のアシル基であることがより好ましく、炭素数2〜4のアシル基(すなわち、アセチル基、プロピオニル基またはブチリル基)であることが特に好ましく、炭素数2または3のアシル基(すなわちアセチル基またはプロピオニル基)であることがより特に好ましく、炭素数2のアシル基(すなわちアセチル基)であることがよりさらに好ましい。なお、ここでいうアシル基は、脂肪族アシル基の他、芳香族アシル基(いわゆるアロイル基)を含むが、脂肪族アシル基であることが好ましい。上記重縮合エステルの両末端のアシル基の炭素数が3以下であると、揮発性が低下し、重縮合エステルの加熱による減量が大きくならず、工程汚染の発生や面状故障の発生を低減することが可能である。
この場合、封止に用いるモノカルボン酸類としては炭素数2〜22の脂肪族モノカルボン酸であることが好ましく、炭素数2〜6の脂肪族モノカルボン酸であることがより好ましく、炭素数2〜4の脂肪族モノカルボン酸であることが特に好ましく、炭素数2または3の脂肪族モノカルボン酸であることがより特に好ましく、炭素数2の脂肪族モノカルボン酸残基であることがよりさらに好ましいこととなる。
一方、上記重縮合エステルの両末端が封止されている場合、上記重縮合エステルの両末端は−C(=O)−O−R2基、−O−R3基であってもよい。
この場合、封止に用いるモノアルコール類としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等が好ましく、メタノールが最も好ましい。
上記重縮合エステルの両末端は、セルロースアシレートへの相溶性制御の観点から、それぞれ独立に−OH基または−O−C(=O)−R1基(但し、上記R1が複数存在する場合はそれぞれ独立に脂肪族基を表す)であることがより好ましい。また、上記両末端はともに同じ基であっても、異なる基であってもよいが、ともに同じ基あることが合成の簡便性の観点から好ましい。
上記重縮合エステルの両末端は、−OH基であること、あるいは、酢酸またはプロピオン酸により封止されていることがさらに好ましい。
重縮合エステルの両末端は酢酸封止により両末端がアセチルエステル残基(アセチル残
基と称する場合がある)となることが、該重縮合エステルが常温での状態が固体形状となりにくく、セルロースアシレートフィルムのハンドリングが良好となり、また湿度安定性、偏光板耐久性に優れたセルロースアシレートフィルムを得ることができる観点から好ましい。
上記重縮合エステルの数平均分子量は500〜2000であることが好ましく、700〜1500であることがより好ましく、700〜1200であることが特に好ましい。重縮合エステルの数平均分子量は500以上であることが、光学発現性向上の観点から好ましい。また、2000以下であればセルロースアシレートとの相溶性が高くなり、製造時及び加熱延伸時のブリードアウトが生じにくくなる。
重縮合エステルの数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定、評価することができる。また、末端が封止のないポリエステルポリオールの場合、重量あたりの水酸基の量(以下、水酸基価)により算出することもできる。水酸基価は、ポリエステルポリオールをアセチル化した後、過剰の酢酸の中和に必要な水酸化カリウムの量(mg)を測定する。
本発明において重縮合エステルは、可塑剤として用いることができる。
重縮合エステルの具体例としては、ジカルボン酸ユニットがテレフタル酸/アジピン酸=50/50、ジオールユニットがエチレングリコールで末端がアセチル基である分子量1500の重縮合エステル、ジカルボン酸ユニットがテレフタル酸/アジピン酸=70/30、ジオールユニットがエチレングリコール/プロピレングリコール=50/50で末
端がアセチル基である分子量1800の重縮合エステルを使用することができる。
本発明の光学フィルムがエステル系化合物を含有する場合、上記エステル系化合物はセルロースアシレートの質量に対して0.1〜30質量%含むことが好ましく、0.5〜20質量%含むことがより好ましく、1〜20質量%含むことがより好ましい。
(含窒素化合物)
本発明の光学フィルムは、光学発現剤として含窒素化合物を含んでいてもよい。含窒素化合物としては、例えば下記一般式(1)又は一般式(2)で表される単環化合物を使用できる。単位膜厚あたりの光学特性の発現性をより一層向上させ、湿度依存性、及び湿熱下での光学安定性を向上させるという観点から、本発明の光学フィルムは、一般式(1)で表される単環化合物および/または一般式(2)で表される単環化合物を含有することが好ましい。
Figure 2016014870
式中、X1およびX4は、それぞれ独立に=CH−または窒素原子を表し、X2およびX3は炭素原子を表し;
11およびX12は炭素原子を表し、X13およびX14は、それぞれ独立に=CH−または窒素原子を表し;
1およびL2は、それぞれ独立に、単結合、−CO−、−O−、−NR−、およびこれらの組み合わせからなる基を表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基を
表し、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数5〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜10の複素環基を表す;点線は、単結合、あるいは−X3(−L2−R2)=X1−NH−X2(−L1−R1)=X4−、または−X13=X11(−L2−R2)−NH−X12(−L1−R1)=X14−と一緒になって環を形成する原子団を表す。
一般式(1)において、X1およびX4は、それぞれ独立に=CH−または窒素原子を表し、X2およびX3は炭素原子を表す。
一般式(1)において、L1およびL2は、それぞれ独立に、単結合、−CO−、−O−、−NR−、およびこれらの組み合わせからなる基を表し、単結合、−CO−と−O−との組み合わせからなる基、および−CO−と−NR−との組み合わせからなる基が好ましく、L1およびL2がともに単結合がより好ましい。
Rは、水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基を表す。炭素数1〜6のアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。Rは、水素原子が好ましい
一般式(1)において、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数5〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜10の複素環基を表す。
置換基を有していてもよい炭素数5〜10のシクロアルキル基としては、炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましく、炭素数5〜6のシクロアルキル基がより好ましい。炭素数5〜10のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基としては、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
アリール基が複数の環を有する場合は炭素数9〜18が好ましく、炭素数11〜16のアリール基がより好ましい。複数の環のうち一部に複素環を含むことが好ましい。
置換基を有していてもよい炭素数3〜10の複素環基としては、炭素数3〜7の複素環基が好ましく、炭素数3〜5の複素環基がより好ましい。炭素数3〜10の複素環基としては、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環は、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好ましい。
炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、および炭素数3〜10の複素環基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基など)、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など)、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換
カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、2−チオフェニル基、2−ピロリル基およびアシル基が含まれる。
一般式(1)において、点線は、単結合、あるいは−X3(−L2−R2)=X1−NH−X2(−L1−R1)=X4−と一緒になって環を形成する原子団を表す。
原子団としては、−CH2−、−NH−、−CH(−L1−R1)−(式中、L1およびR1は、上記と同義であり、好ましい範囲も同様である)およびこれらの組み合わせからなる基が挙げられ、単結合、又は−CH2−が好ましく、単結合がより好ましい。
原子団としては、一般式(1)で表される化合物が5〜7員環となるように原子団が形成されていることが好ましく、5員環または6員環となるように原子団が形成されていることがより好ましく、5員環となるように原子団が形成されていることがさらに好ましい。5員環としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環又はトリアゾール環などが挙げられる。
一般式(2)において、X11およびX12は炭素原子を表し、X13およびX14は、それぞれ独立に=CH−または窒素原子を表す。
一般式(2)において、L1およびL2は、それぞれ独立に、単結合、−CO−、−O−、−NR−、およびこれらの組み合わせからなる基を表し、一般式(1)におけるL1、L2、およびRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(2)において、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数5〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜10の複素環基を表し、一般式(1)におけるR1およびR2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(2)において、点線は、単結合、あるいは−X13=X11(−L2−R2)−NH−X12(−L1−R1)=X14−と一緒になって環を形成する原子団を表す。
原子団としては、一般式(1)における点線の定義と同義であり、好ましい範囲も同様である。
原子団としては、一般式(2)で表される化合物が5〜7員環となるように原子団が形成されていることが好ましく、5員環または6員環となるように原子団が形成されていることがより好ましく、5員環となるように原子団が形成されていることがさらに好ましい。5員環としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環又はトリアゾール環などが挙げられる。
一般式(1)で表される単環化合物および一般式(2)で表される単環化合物は、それぞれ、下記一般式(1−1)で表される単環化合物および一般式(2−1)で表される単環化合物であることが好ましい。
Figure 2016014870
式中、X1及びX4は、それぞれ独立に=CH−または窒素原子を表し、X5は−CH2−又は−NH−を表し、
11は炭素原子を表し、X14は=CH−または窒素原子を表し、X15は−CH2−又は−NH−を表し、
1およびL2は、それぞれ独立に、単結合、−CO−O−、−CO−NH−、又は−NH−CO−を表し、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数5〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜10の複素環基を表し、nは0または1の整数を表す。
一般式(1−1)及び一般式(2−1)において、L1およびL2は、それぞれ独立に、単結合、−CO−O−、−CO−NH−、又は−NH−CO−を表し、特に好ましくは、単結合である。
一般式(1−1)及び一般式(2−1)において、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数5〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜10の複素環基を表し、一般式(1)におけるR1およびR2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(1−1)及び一般式(2−1)において、nは0または1の整数を表し、0が好ましい。
以下、一般式(1)で表される単環化合物及び一般式(2)で表される単環化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、式中、Ar1、Ar2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数5〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、または置換基を有していてもよい炭素数3〜10の複素環基を表す。
Figure 2016014870
Figure 2016014870
Figure 2016014870
一般式(1)で表される単環化合物および一般式(2)で表される単環化合物は、例えば、以下の文献に記載の方法により合成することができる。
化合物1−aは、J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 1997, 3189-3196に記載の合成方法により合成することができる。
化合物3−aは、文献 J. Am. Chem. Soc., 2003, 125, 10580-10585に記載の合成方法により合成することができる。
化合物6−aは、Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2010, 18, 6184-6196に記載の合成方法により合成することができる。
また、含窒素化合物としては、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される単環化合物以外の化合物を使用することもでき、具体的には、ピリジン、ピリミジン、プリンのいずれかを母核とし、上記母核の置換可能ないずれかの位置にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アミド基(アミド結合を介して、任意のアシル基が結合している構造を意味する)、アリール基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アルキルもしくはアリールチオ基(硫黄原子を解してアルキル基もしくはアリール基が連結した基)、または複素環基を置換基として有する化合物を使用することもできる。但し、これらの上記含窒素芳香族化合物系可塑剤の母核の置換基はさらに別の置換基で置換されていてもよく、上記別の置換基としては特に制限はない。例えば上記母核がアミノ基で置換されている場合、上記アミノ基はアルキル基(さらにアルキル基どうしが連結して環を形成していてもよい)や−SO2R'(R'は任意の置換基を表す)で置換されていてもよい。このような含窒素化合物の具体例としては、特開2013−139541号公報の段落0081〜0087に記載のものが挙げられ、これらの公報に記載の内容は本発明に組み込まれる。一例としては、以下の化合物を用いることもできる。
Figure 2016014870
含窒素化合物の含有量は、セルロースアシレート100質量部に対して1〜10質量部が好ましく、1〜7質量部がより好ましく、2〜5質量部がさらに好ましい。含窒素化合物は、1種類のみでもよいし、2種類以上配合してもよい。2種類以上配合するときは、合計量が上記範囲となる。
本発明においては、光学発現剤として、糖エステル化合物、エステル系化合物、及び含窒素化合物から選択される2種以上の化合物を併用することもできる。糖エステル化合物、エステル系化合物、及び含窒素化合物から選択される2種以上の化合物を併用する場合、各化合物の含有量は、各化合物について本明細書中上記した範囲内であれば特に限定されない。好ましくは、糖エステル化合物又はエステル系化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、少なくとも1種の含窒素化合物とを併用することができる。糖エステル化合物又はエステル系化合物と、含窒素化合物とを併用する場合、その比率は特に限定されないが、含窒素化合物の1質量部に対して1.5〜10質量部の糖エステル化合物又はエステル系化合物を添加することが好ましく、2〜8質量部の糖エステル化合物又はエステル系化合物を添加することがより好ましい。
(マット剤)
本発明の光学フィルムは、マット剤として微粒子を含有することが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972(日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/L以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/Lが好ましく、100〜200g/Lが更に好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)35頁〜36頁に詳細に記載されており、本発明の光学フィルムにおいても好ましく用いることができる。マット剤の配合量は、セルロースアシレートに対して、好ましくは0.01〜0.30質量%であり、より好ましくは0.05〜0.20質量%である。
<光学フィルムの製造方法>
本発明の光学フィルムは、溶液流延によって製造することができる。溶液流延においては、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解してドープを調製する。上記ドープ中に光学
発現剤も添加することができる。本発明におけるポリマー溶液の溶媒として好ましく用いられる有機溶媒の組み合せの例については、特開2009−262551号公報に挙げられている。
光学発現剤はセルロースアシレートとともに添加してドープを調製してもよいし、セルロースアシレートとは別に光学発現剤の溶液を別途調製し、この光学発現剤の溶液をセルロースアシレートと混合して、ドープを調製してもよい。上記のドープを、金属等からなる支持体(バンド)の表面にキャストして、乾燥して製造する。その後、膜を支持体面から剥ぎ取り、延伸処理することにより、本発明の光学フィルムを製造することができる。
本発明の光学フィルムは、マンノースおよび光学発現剤の含有量がフィルムの表面と裏面(A面、B面)とで異なり、厚み方向に分布を有する。マンノースおよび光学発現剤についての厚み方向の分布は、フィルムを金属支持体上に製造し乾燥する際の乾燥条件を適宜調整することにより、調整することができる。またフィルムのA面及びB面の光学発現剤の含有量の関係は、光学発現剤の種類、セルロースアシレートの種類、用いる溶媒などで、より好ましい範囲に調整することができる。
バンド上で乾燥中、溶媒は空気界面側から揮発するため、厚み方向に溶媒量分布が発生する。すなわち、支持体面側は相対的に溶媒量が多くセルロースアシレートの量が少なくなる。一方で、空気界面側は相対的に溶媒量が少なくセルロースアシレートの量が多くなる。光学発現剤の溶媒への溶解性が、セルロースアシレートへの溶解性より高いと支持体面側に光学発現剤が集まる傾向がある。
バンド上での乾燥時、乾燥風温度は30〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましく、40〜60℃がさらに好ましい。
乾燥風温度が30℃以上とすることで、光学発現剤の分布を大きくすることが可能となり、80℃以下とすることで、乾燥中の発泡を抑制することが可能となる。
バンドの温度は5〜30℃が好ましく、10〜25℃がより好ましく、10〜20℃がさらに好ましい。
バンドの温度を上記範囲内とすることで、支持体面側の溶媒が、空気界面側に移動する速度が遅くなり、溶媒の膜厚方向分布が大きくなり、結果として光学発現剤の膜厚方向分布が大きくなる。
溶液流延を利用したセルロースアシレートフィルムの製造例については、米国特許第2,336,310号明細書、米国特許第2,367,603号明細書、米国特許第2,492,078号明細書、米国特許第2,492,977号明細書、米国特許第2,492,978号明細書、米国特許第2,607,704号明細書、米国特許第2,739,069号明細書及び米国特許第2,739,070号明細書、英国特許第640731号明細書及び英国特許736892号明細書、並びに特公昭45−4554号公報、特公昭49−5614号公報、特開昭60−176834号公報、特開昭60−203430号公報及び特開昭62−115035号公報等の記載を参考にすることができる。
製造後、フィルムに延伸処理を施すことが好ましい。延伸率は、3〜100%程度であることが好ましい。延伸処理は、テンターを用いて実施できる。また、ロール間にて縦延伸を行ってもよい。
延伸処理の方法及び条件については、例えば、特開昭62−115035号公報、特開平4−152125号公報、特開平4−284211号公報、特開平4−298310号公報、特開平11−48271号公報等に記載の例を参考にすることができる。
本発明の光学フィルムは二軸延伸を施すことができる。
二軸延伸を行う際は、フィルムMD方向(搬送方向)に延伸した後にTD方向(搬送方向と直交方向)に延伸することが好ましい。延伸を行う際に、残留溶媒を含んでいてもよいし、残留溶媒を含まない状態で延伸しても良い。残留溶媒を含む場合は、溶媒量がフィルム固形分重量に対して0.1重量%〜50重量%の間で延伸することが好ましい。
フィルムMD方向への延伸率は0〜70%であることが好ましく、0〜60%であることがより好ましく、0〜50%であることが特に好ましい。上記延伸の際の延伸率は、延伸ゾーン入り口におけるフィルム搬送速度と出口におけるフィルム搬送速度に差をつけることにより達成することができる。例えば、2つのニップロールを有する装置を用いた場合、延伸ゾーン入口側のニップロールの回転速度よりも、出口側のニップロールの回転速度を速くすることにより、MD方向にセルロースアシレートフィルムを好ましく延伸することが出来る。なお、ここでいう「延伸率(%)」とは、以下の式により求められるものを意味する。
延伸率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
フィルムTD方向への延伸における延伸率は、20%超であることが好ましく、20%超から60%以下であることがより好ましく、22〜55%であることが特に好ましく、23〜50%であることがより特に好ましい。
延伸開始時の膜面温度は100℃以上220℃以下であることが好ましく、120℃以上200℃以下であることがより好ましい。
なお、本発明においては、フィルムTD方向に延伸する方法として、テンター装置を用いて延伸することが好ましい。
上記MD方向への延伸率、延伸時の残留溶媒量、延伸温度、及びTD方向への延伸率、延伸時の残留溶媒量、延伸温度を調整することにより、所望のRe、Rthが得られる。
[偏光板]
本発明は、本発明の光学フィルムと偏光子とを有する偏光板にも関する。本発明の光学
フィルムの表裏面(A面、B面)は、光学発現剤の含有量に違いがある。A面、B面いずれを偏光子側に貼合しても良い。
偏光子は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光子、もしくはバインダーと、ヨウ素又は二色性色素からなる偏光子が好ましい。偏光子におけるヨウ素及び二色性色素は、バインダー中で配向することで偏光性能を発現する。ヨウ素及び二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。現在、市販の偏光子は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
偏光子の厚みに特に制限は無いが、偏光板の波うちカールを抑制するために5〜15μmであることが好ましい。
偏光子の上記光学フィルムを貼り付けた表面と反対側の表面には、保護フィルムを配置することが好ましい。即ち、本発明の光学フィルム/偏光子/保護フィルムという配置にすることができる。保護フィルムは、その最表面が防汚性及び耐擦傷性を有する反射防止膜を設けてなることも好ましい。反射防止膜は、従来公知のいずれのものも用いることができる。
(波うちカール)
波うちカールとは、プロテクトフィルム、保護フィルム、偏光子、光学フィルム、粘着剤、セパレートフィルムの順に積層された偏光板が、高湿の環境下に静置された際に、偏光板の端部が吸水する結果、偏光板端部が吸湿膨張により変形し、波状となる現象である。
偏光子の厚みが5〜15μmであり、二軸に延伸した光学フィルムを用いると、偏光板の波うちカールが抑えられることが分かった。メカニズムは明確になっていないが、偏光子の厚みが5〜15μmであると膨張力が抑えられ、二軸に延伸された光学フィルムを用いると、光学フィルムが偏光子の膨張を抑える作用をするものと思われる。
[液晶表示装置]
本発明は、本発明の光学フィルム、または本発明の偏光板を有する液晶表示装置にも関する。本発明の液晶表示装置の一例は、本発明の偏光板を少なくとも一枚有する液晶表示装置である。本発明の光学フィルムは、液晶表示装置のモードに制限されることなく、種々のモードの液晶表示装置に対して、新たな光学補償作用により、表示特性の改善に寄与することが期待できる。具体的には、TN(Twisted Nematic)、IPS
(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)等の種々の表示モードの液晶表示装置において、新たな光学補償作用により、表示特性の改善に寄与するであろう。特に、垂直配向モード及び水平配向モードの液晶表示装置の光学補償に利用するのが好ましい。
本発明の液晶表示装置は、一対の偏光板に挟持された液晶セルを含み、偏光板が液晶セル側から光学フィルム、偏光子、保護フィルムの順に配置される。光学フィルムは2枚の偏光板のそれぞれについて使用されるので、少なくとも2枚の光学フィルムが使用される。本発明の液晶表示装置においては、上記光学フィルムの少なくとも1枚が本発明の光学フィルムであればよいが、2枚の偏光板のそれぞれについて使用される2枚の光学フィルムが共に本発明の光学フィルムであることが好ましい。また、上記液晶セルを正面方向から観察した際の偏光解消度は0.02%以下であることが好ましく、より好ましくは0.015%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような構成にすることにより、正面コントラストを向上させることができる。偏光解消度は、例えば、以下に記載の方法により測定することができる。
市販のVA液晶セルが適用された液晶表示装置の液晶ディスプレイから偏光板だけを剥がし、偏光板をのみの状態とする。次に片面のみ保護フィルムが貼合された片面偏光板を用意し、偏光膜側をガラス板に添付し、液晶セルの上下に、液晶セルとガラス板付き片面偏光板が水平となるように設置する。ガラス板付き片面偏光板は偏光度99.995%、消光度5.0×10−5である。片面偏光板の保護フィルムの位相差の影響を避けるため、サンプル側に偏光膜面を配置する。一方の片面偏光板の外側に分光放射輝度計SR‐UL1R(トプコンテクノハウス社製)を液晶セルと垂直となるように設置し、他方の片面偏光板の外側には、拡散光源として、市販の液晶ディスプレイ用バックライトを設置する。
輝度計側の偏光板の偏光板角度調整として、自動回転ステージ(SGSP−60YAWシグマ光機社製)を用いる。まずは上記液晶セルに黒画像を表示する信号を入力した状態で、上記上下偏光板をクロスニコル配置とし、さらに偏光板角度の微調整を行うことで、輝度が最も小さい状態での輝度測定を行う。この値をT(c)minとする。次に上記液晶セルに黒画像を表示する信号を入力した状態で、上記上下偏光板をパラニコル配置とし、さらに偏光板角度の微調整を行うことで、輝度が最も大きい状態での輝度測定を行う。この値をT(c)maxとする。
また、ガラス板付き片面偏光板の間に液晶セルを挟まない状態で、ガラス板付き片面偏光板のみの状態でも同様に測定行う。このときの輝度の最小値をT(p)min、最大値をT(p)maxとする。
上記測定結果より、液晶セルのDI値を下記式に従って算出する。
Figure 2016014870
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<セルロースアシレート>
<<セルロースアシレートの合成1>>
特開2008−56768号公報の実施例に記載の方法に準じて以下の通りセルロースアシレートを合成した。
シート状セルロース(コットンリンターパルプ)αセルロース含量97質量%をディスクリファイナーで処理し、綿状とした。100質量部の綿状セルロース(含水率8.0質量%)100質量部の綿状セルロース(含水率8.0質量%)に47.16質量部の酢酸を噴霧し、よく攪拌し、温度24℃で60分間静置した(第1の活性化工程)。さらに、第1の活性化工程を経たセルロースに、硫酸(0.94質量部)を含む酢酸(30.28質量部)を添加し、24℃で60分間静置した(第2の活性化工程)。
そして、第2の活性化工程を経て活性化されたセルロースに、酢酸(417.85質量部)、無水酢酸(282.98質量部)および硫酸(8.72質量部)を混合し、15℃以下で20分保持した後、昇温速度0.31℃/分で反応系の温度を35℃まで昇温して40分間保持し、アセチル化を行った。そして、酢酸(0.15質量部)、水(22.98質量部)および酢酸マグネシウム(7.30質量部)を混合し、温度61℃で95分間保持したのち、酢酸マグネシウム(7.48質量部)、酢酸(20.94質量部)および水(21.44質量部)を添加し熟成反応を停止した。反応浴を希酢酸中に攪拌下投入し、生成物を沈殿させ、希水酸化カルシウム水溶液に浸漬した後、濾別し乾燥することにより、セルロースアセテートを得た。
<<セルロースアシレートの洗浄>>
通常のセルロースアセテートの解砕機で解砕した。解砕したセルロース100質量部に対して3000質量部の水に浸漬して室温で90分攪拌膨潤させた。その後、ブフナー漏斗上でアスピレーターを用いて吸引脱液し、含水パルプ(含水セルロース)530質量部を得た。得られた含水パルプを1500質量部のメチルアルコールに浸漬し、室温で30分攪拌した。メチルアルコールを含んだパルプをブフナー漏斗上でアスピレーターを用いて吸引脱液し、含極性溶媒パルプ450質量部を得た。この含極性溶媒パルプをアセトン1500質量部に浸漬し、室温で30分攪拌した。アセトンを含んだパルプをブフナー漏
斗上でアスピレーターを用いて吸引脱液し、含両親媒性溶媒パルプ420質量部を得た。
得られた含両親媒性溶媒パルプをn-ヘキサン1500質量部に浸漬し、120分攪拌
した。その後、ブフナー漏斗上でアスピレーターを用いて吸引脱液した。得られたパラフィン炭化水素含有パルプを粉砕しながら、乾燥することで、解砕されたジクロルメタン抽出分が低減されたパルプを得た。抽出後のジクロルメタン抽出分の値は2.0ppmであった。
<<セルロースアシレートの合成2>>
クラフト法溶解パルプ(α−セルロース含有率93質量%)を水解砕後、アセトン置換し乾燥した。このパルプ100質量部に対し、500質量部の酢酸を均一に散布し40℃にて30分間混合し、前処理活性化した。
一方、無水酢酸250質量部、硫酸4.0質量部の混合物を添加し、常法によりエステル化を行った。内容物は、原料パルプが同伴する水と無水酢酸との反応及びセルロースと無水酢酸との反応により発熱するが、外部冷却により調整し、次に125質量部の有機溶媒を添加し、さらに、保温したまま酢化反応を行わせた。
次いで、熱により反応溶液である有機溶媒を除去した後、35質量部の20%酢酸カルシウム水溶液を添加混合し、系内の硫酸を完全に中和し、かつ、酢酸カルシウム過剰とした(硫酸に対して、1.09倍等量)。
完全中和した反応混合物を150℃で50分間保持した後、反応混合物を大気下100℃とした。反応混合物は攪拌の下に、希酢酸水溶液を加え、フレーク状アセチルセルロースとして分離した後、十分水洗して取り出し乾燥した。得られたフレーク状アセチルセルロースのアセチル基置換度は2.4、数平均分子量は47500、重量平均分子量は166000であった。
得られたセルロースアシレートは、以下の比較例1及び2で使用した。
<<セルロースアシレートの合成3>>
特開平10−45804号公報に記載の方法で、アセチル置換度2.43のセルロースアシレートを調製した。触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、各カルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。その後、硫酸触媒量、水分量および熟成時間を調整することで全置換度と6位置換度を調整した。熟成温度は40℃で行った。さらにこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
得られたセルロースアシレートは、以下の比較例3で使用した。
<光学フィルム1の作製>
<<ドープ調製>>
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、さらに90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液
――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記表に記載のセルロースアシレート 100.0質量部
下記表に記載の光学発現剤1(糖1) 13.0質量部
下記表に記載の光学発現剤2(N2) 2.5質量部
メチレンクロライド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
次に上記方法で作製したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
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マット剤分散液
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マット剤(アエロジルR972)(日本アエロジル(株)製) 0.2質量部
メチレンクロライド 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
セルロースアシレート溶液 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記セルロースアシレート溶液を100質量部、マット剤分散液を、全セルロースアシレート(ゼルロースアシレート溶液およびマット剤分散液に含まれるセルロースアシレートの合計量)に対して無機微粒子が0.02質量部となる量を混合し、製造用ドープを調製した。
<<流延>>
上記のドープを、バンド流延機を用いて流延した。なお、バンドはSUS製であった。
<<バンド上乾燥>>
バンド上に流延後、50℃ 8m/分の乾燥風をフィルム搬送方向と同じ方向に当てた。また、バンドの温度を15℃とした。
<<剥ぎ取り後の乾燥>>
流延されて得られたウェブ(フィルム)を、バンドから剥離後、クリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いて上記テンター装置内で20分間乾燥した。なお、ここでいう乾燥温度とは、フィルムの膜面温度のことを意味する。
<<延伸>>
得られたウェブ(フィルム)をバンドから剥離し、クリップに挟み、フィルム全体の質量に対する残留溶媒量が30質量%の状態のときに固定端一軸延伸の条件で、延伸温度170℃および延伸率30%でテンターを用いてフィルム搬送方向に直交する方向(横方向)に延伸した。このとき、延伸後の膜厚が表に記載の膜厚(単位:μm)になるように、流延膜厚を調整した。
その後、室温まで冷却した後でフィルムを巻き取り、その製造適性を判断する目的で、ロール幅1280mm、ロール長2600mmのロールを上記条件で最低24ロール作製した。連続で製造した24ロールの中の1ロールについて100m間隔で長手1mのサンプル(幅1280mm)を切り出した。
<実施例2〜8>
光学発現剤1の種類と含有量、光学発現剤2の種類と含有量、並びに膜厚を下記表に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして光学フィルム2〜8を作製した。
<実施例9>
実施例1と同様の方法でドープを作製し、バンド流延機に流延し、乾燥を行いバンドから剥離した。バンドから剥離後、乾燥を施し残留溶媒量が1質量%の状態の時に固定端一軸延伸の条件で、延伸温度175℃および延伸率30%でテンターを用いてフィルム搬送方向と直交する方向(横方向)に延伸した。得られたフィルムを光学フィルム17とした。
<実施例10>
実施例1と同様の方法でドープを作製し、バンド流延機に流延し、乾燥を行いバンドから剥離した。バンドから剥離後、乾燥を施し残留溶媒量が5質量%の状態の時にフィルムMD方向に延伸を行った。延伸温度は160℃であり、延伸率は30%とした。その後、残留溶媒量が1質量%の状態の時に固定端一軸延伸の条件で、延伸温度175℃および延伸率60%でテンターを用いてフィルム搬送方向と直交する方向(横方向)に延伸した。得られたフィルムを光学フィルム18とした。
<比較例1〜6>
セルロースアシレートの種類、光学発現剤1の種類と含有量、光学発現剤2の種類と含有量、並びに膜厚を下記表に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして光学フィルム9〜14を作製した。比較例6は、バンド(SUS製)から剥ぎ取ることが出来ず、
ハンドリングできなかった。
<比較例7>
比較例7の光学フィルム15は、バンド上での乾燥時のバンド温度を35℃とすること以外は、実施例1と同様の方法により作製した。
<比較例8>
比較例8の光学フィルム16は、バンド上の乾燥風温度を130℃とすること以外は、実施例1と同様の方法により作製した。フィルムが発泡してしまい評価ができなかった。
(マンノースの含有量の測定)
乾燥した光学フィルム200mgを精秤量し、72%硫酸3mlを加え、氷水で冷却しながら超音波を用い、2時間以上かけて光学フィルムを完全に溶解させた。得られた溶液に蒸留水39mlを加えて十分に振とうし、窒素気流下、110℃で3時間環流した後、30分間放置する。次いで、炭酸バリウム14gを加え、氷水で冷却しつつ超音波を作用させ中和する。30分後、さらに炭酸バリウム10gを加え、pH5.5〜6.5程度になるまで中和し、濾過した。濾液を超純水で100質量倍に稀釈し、試料を調製し。試料を、以下の条件でクロマトグラフィにより分析することで測定した。
高速液体クロマトグラフィ(HPLC,ダイオネクス社製DX−AQ型)
検出器:パルスドアンペロメトリー検出器(金電極)
カラム:ダイオネクス社製,CarboPacPA−1(250×4mm)
溶離液:2mM NaOH
流量:1.0ml/分
ポストカラム:ダイオネクス社製、AMMS−II型
作製した光学フィルムの両面の各表面から2μmの厚さまでをカッター刃で削りとり、採取した粉末を、上記マンノースの含有量の測定と同様の方法で、粉末中に含まれるマンノースの含有量を求めた。マンノースの含有量が多い方の面をA面、少ない方の面をB面とし、MAおよびMBを求めた。MA/MBを以下の表に記載した。
MAおよびMBの求め方と同様の方法で光学フィルムの各表面を削り粉末を採取した。A面側から採取した粉末、およびB面側から採取した粉末中に含有される光学発現剤量をそれぞれ以下のように定量し、CAおよびCBを求めた。CA/CBを以下の表に記載した。
光学発現剤を溶液に溶解した際、紫外光に吸収を持つものは、吸光度から添加量を算出した。光学フィルムの一方の表面側から採取した粉末10mgを、ジクロロメタン/メタノール=90/10混合溶液50mlに溶解させ、溶液の吸光度をUV3150((株)島津製作所製)で計測した。光学フィルムの他方の表面についても、上記一方の表面と同様に計測した。
上記方法で光学発現剤の含有量を定量できない場合は、以下の条件でHPLC(高速液体クロマトグラフィ)法で光学発現剤の含有量を算出した。
装置:液体クロマトグラフィ(HPLC、アジレントテクノロジー社 Agilent HP1100)
カラム:Imtakt Cadenza CD−C18、2.0×150mm
流量:0.2ml/min
注入量:3μl
(光学特性)
KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で上記の方法によりReおよびRt
hを波長550nmで計測した。
(Hv値)
光学フィルムの遅相軸方向を方位角0°とした場合に極角15°、方位角0°方向から光を入射した際に吸収軸が直交する偏光板を透過してくる光量をHv15(0°)とし、極角15°、方位角90°方向から光を入射した際に吸収軸が直交する偏光板を透過してくる偏光板を透過してくる光量をHv15(90°)とした。入射光の照度を10000(lxs)とした。単位は×10-2cd/m2である。
(60℃90%相対湿度経時での光学変化)
ガラス(コーニング社製、イーグルXG)に粘着剤(綜研化学社性、SK2057)を介して貼合した光学フィルムを、25℃60%相対湿度環境下で6時間放置した後、AxoScan(AXOMETRICS社)で厚み方向のレターデーションを測定し、Rth(Fresh)とした。
ガラス(コーニング社製、イーグルXG)に粘着剤(綜研化学社性、SK2057)を介して貼合した光学フィルムを60℃90%相対湿度で24時間放置し、さらに25℃60%相対湿度環境下で6時間放置し、AxoScan(AXOMETRICS社)で厚み方向のレターデーションを測定し、Rth(60℃90%)とした。
上記結果を用いて、(Rth(60℃90%)−Rth(Fresh))/Rth(Fresh)を求めた。
(寸法変化率)
フィルムの遅相軸方向を長手方向として切り出した長さ12cm(測定方向)、幅3.5cmのフィルム試料、またはこれと直交する方向を長手方向として切り出したフィルム試料とを用意し、上記試料に10cmの間隔でピン孔を空け、25℃、相対湿度60%にて2時間調湿後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長した(測定値をL0とする)。次いで、試料を60℃、相対湿度90%の湿熱環境下で24時間保持した後、25℃、相対湿度60%にて2時間調湿後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長した(測定値をL’とする)。これらの測定値を用いて下記式により寸法変化率を算出した。
寸法変化率[%]=(L’−L0)/L0}×100
Figure 2016014870
Figure 2016014870
表中、糖1、糖2、エステル1、エステル2、N1〜N3は、以下の化合物である。
化合物N−2は、Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2010, 18, 6184-6196に記載の合成方法に準じて以下の通り合成した。N2の雰囲気下において、安息香酸ヒドラジド(40kg, 293mol, 1当量)とベンゾニトリル(396kg,3840mol, 13.1当量)の混合物を、還流温度で14時間攪拌した。混合物を室温に冷却し、得られた沈殿を濾過により回収し、2−プロパノールで洗浄した。2−プロパノールからの再結晶により化合物6−a(37.7kg, 58%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): d 7.41-7.59 (m,6H), 8.07-8.10 (m, 2H), 8.12 (1s, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSOd6):d 125.9, 126.1, 128.7, 129.1, 130.2, 131.3; HRMS (EI) [M]+ Calcdfor C14H11N3: 221.0953. Found: 221.0948.
Figure 2016014870
Figure 2016014870
Figure 2016014870
Figure 2016014870
Figure 2016014870
Figure 2016014870
<偏光板の作製>
上記で作製した各実施例および比較例の光学フィルムの表面をアルカリ鹸化処理した。1.5規定(1.5モル/L)の水酸化ナトリウム水溶液に55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定(0.05モル/L)の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
続いて、ロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥し偏光子を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、上記のアルカリ鹸化処理した各実施例および比較例の光学フィルムと、保護フィルム(富士フイルム社製、TD60UL)を用意し、これらの鹸化した面が偏光子側となるようにして偏光子を間に挟んで貼り合わせ、各実施例および比較例の光学フィルム、偏光子、保護フィルムがこの順に貼り合わせてある偏光板をそれぞれ得た。この際、本発明の光学フィルム、保護フィルムのMD方向(フィルム搬送方向)が、偏光子の吸収軸と平行になるように貼り付けた。
偏光子の厚み、及び光学フィルムの種類を変え偏光板101〜104を作製した。
実施例および比較例の光学フィルム側の面に厚さ15μmのアクリル系粘着剤層を設け、さらにその外側に厚さ38μmになるセパレートフィルムを貼合した。上記偏光板において、保護フィルム(TD60UL)側の面にはアクリル系粘着剤層とポリエチレンテレフタレートフィルムからなる厚さ60μmのプロテクトフィルムを貼合し、評価するための偏光板を作製した。
(波うちカールの評価方法)
上記で作製した偏光板を長辺方向が1150mm、短辺方向が645mmの長方形に打ち抜いた。この際、偏光板の吸収軸が短辺に平行になるようにした。打ち抜いた偏光板を、セパレートフィルムが下になるように、23℃55%RH環境下で24時間、平らな面に静置した後、偏光板4辺において平らな面から浮いた箇所を波とし、波ごとにある平らな面からの浮き量の最高値を波の高さとして、直尺シルバー(シンワ測定(株)製)を用いて計測した。偏光板各辺において各波の高さの測定は、セパレートフィルムが下となるように静置した状態、及びセパレートフィルムが上となるように静置した状態で実施した。
波の高さが1mm以上である箇所を1波として計測し、偏光板各辺の波の数、及び波の高さを測定した。測定結果を下記表に示す。各辺の波の数のうち、最大値を「波数」と呼び、全測定結果のうち最大の波の高さを「波高さ」と呼ぶ。波高さ3mm以下、かつ波数3個以下であれば実用上問題ない。
二軸延伸を施した光学フィルム(光学フィルム18)を用いた偏光板は、一軸延伸の光学フィルム(光学フィルム17)より波高さが低く、波数が少なく、より良好であった。また、偏光子厚みが10μmの偏光板は25μmの偏光板より、波高さ、波数ともに良好であった。
Figure 2016014870
<液晶表示装置の作製>
VAモードの液晶TV(LC−46LV3、SHARP社製)の表裏の偏光板および位相差板を剥がして、液晶セルとして用いた。保護フィルム、偏光子、本発明の光学フィル
ム、液晶セル(VA液晶セル)、本発明の光学フィルム、偏光子および保護フィルムをこの順に粘着剤を用いて貼り合わせ、各実施例および比較例の液晶表示装置を作製した。この際、上下の偏光板の吸収軸が直交するように貼り合わせた。なお、偏光子の厚みは15μmであった。
液晶セルの偏光解消度を「Y. Utsumi et al: “Reduced Light Scattering Intensity from Liquid Crystal for Higher Contrast Ratio in IPS-Pro LCDs,”. IDW '07, p. 1749, 2007. 2 」記載の方法で正面方向から測定したところ、全て0.01であった。
<評価>
(正面コントラストの評価)
作製した液晶表示装置を、測定機(EZ−Contrast XL88、ELDIM社製)を用いて、暗室内で黒表示および白表示の輝度および色度を評価し、以下の基準で評価した。
1:8000以上
2:5000以上8000未満
3:5000未満
(60℃90%相対湿度で48時間経過後、連続点灯24時間後の斜め色味変化)
液晶表示装置を、極角60度、方位角45度における色味(u’、v’)を測定機(EZ−Contrast XL88、ELDIM社製)を用いて、暗室内で黒表示および白表示の輝度および色度を測定し、暗室内で黒表示および白表示の輝度および色度を評価した。
液晶表示装置を60℃90%相対湿度環境下で48時間放置した後、液晶表示装置を取り出し、25℃60%相対湿度環境下で24時間連続点灯した。その後、再び測定機(EZ−Contrast XL88、ELDIM社製)を用いて、極角60度、方位角45度における色味(u’、v’)を測定し、暗室内で黒表示および白表示の輝度および色度を評価した。
作製初期に測定した極角60度、方位角45度における色味(u’、v’)と、60℃90%相対湿度環境下で48時間経過後、連続点灯24時間後に測定した極角60度、方位角45度における色味(u’、v’)を比較し、以下の式からΔu’v’を算出し、以下の基準で評価した。1〜3であれば、実用上問題ないレベルである。
Figure 2016014870
ここでu’after、v’afterは60℃90% 48時間経過後、連続点灯24時間後に測定した極角60度、方位角45度におけるu’、v’を表し、u’before、v’beforeは、作製初期に測定した極角60度、方位角45度におけるu’、v’を表す。
1:0.02以下
2:0.02を超え0.05以下
3:0.05を超え0.08以下
4:0.08を超え0.10以下
5:0.10を超える
(40℃90%相対湿度96時間後、連続点灯24時間後の正面ムラ)
作製した液晶表示装置を40℃90%相対湿度環境下に96時間放置した後に取り出し、25℃60%環境下で24時間連続点灯した。その後、暗室環境下で液晶表示装置を正面方向から観察し、以下の基準で評価した。1〜3であれば、実用上問題ないレベルである。
1:ほとんどムラが視認されない(画面面積の5%以下)
2:ややムラが視認される(画面面積の5%を超え10%以下)
3:ムラが視認される(画面面積の10%を超え15%以下)
4:ムラが強く視認される(画面面積の15%を超え20%以下)
5:ムラが強く視認される(画面面積の20%以上)
(初期斜め光漏れ)
暗室内で黒表示状態の液晶表示の、極角60度、方位角45度における黒輝度を測定機(EZ−Contrast XL88、ELDIM社製)を用いて計測した。
1:0.5cd/m2以下
2:0.5cd/m2を超え1.0cd/m2以下
3:1.0cd/m2を超え1.5cd/m2以下
4:1.5cd/m2を超え2.0cd/m2以下
5:2.0cd/m2を超える
Figure 2016014870
上記表から、本発明の光学フィルムを使用した液晶表示装置は、正面コントラストが向上し、さらに斜め光漏れ及び湿熱耐久性も良好であることが分かる。
1 一対の吸収軸を直交に配置した偏光板の間にフィルムを配置し、法線方向から光を入射する場合
2 フィルム内部に散乱因子が存在し、フィルムに斜め方向(上下偏光板の吸収軸と異なる角度)から入射した光が正面方向に散乱される場合
3 フィルム内部に散乱因子が存在する場合
10、11 偏光板
12 フィルム
13 拡散光源
14 面内分布
101 偏光板
102 フィルム
103 偏光板

Claims (8)

  1. アシル基の置換度が2.0〜2.6のセルロースアシレート及び少なくとも1種の光学発現剤を含む光学フィルムであって、膜厚が40μm以下であり、前記セルロースアシレート中のマンノース含有量が0.2質量%以下であり、下記式I及び下記式IIを満たす光学フィルム;
    式I MA≧MB×1.1
    式II CA≧CB×1.1
    式中、光学フィルムの一方の表面から2μmの厚さまでをA面、他方の表面から2μmの厚さまでをB面とし、MAは、A面のマンノースの含有量を表し、MBは、B面のマンノースの含有量を表す;CAは、A面の光学発現剤の含有量を表し、CBは、B面の光学発現剤の含有量を表す;MA、MB、CAおよびCBの単位は質量%である。
  2. さらに下記式IIIを満たす、請求項1に記載の光学フィルム;
    式III Hv15(0°、90°)≦10×10-3
    式中、Hv15(0°、90°)=(Hv15(0°)+Hv15(90°))/2であり、
    Hv15(0°)は、光学フィルムの遅相軸方向を方位角0°とした場合に、極角15°、方位角0°方向から光を入射した際に、吸収軸が直交する2枚の偏光板を透過してくる光量を表し、
    Hv15(90°)は、光学フィルムの遅相軸方向を方位角0°とした場合に、極角15°、方位角90°方向から光を入射した際に、吸収軸が直交する2枚の偏光板を透過してくる光量を表す;Hv15(0°)及びHv15(90°)の単位は、cd/m2である。
    ここで、偏光板/光学フィルム/偏光板の配置でHv15(0°)、Hv15(90°)を測定した。
  3. さらに下記式IVを満たす、請求項1または2に記載の光学フィルム;
    式IV (Rth(60℃90%)−Rth(Fresh))/Rth(Fresh)≦0.05
    式中、Rth(60℃90%)は、ガラスに貼合した光学フィルムを60℃、90%相対湿度環境下で24時間放置し、さらに25℃、60%相対湿度環境下で6時間放置した後の波長550nmにおける厚み方向のレターデーションを表し、Rth(Fresh)は、ガラスに貼合した光学フィルムを25℃、60%相対湿度環境下で6時間放置した後の波長550nmにおける厚み方向のレターデーションを表す。
  4. 光学フィルムの遅相軸方向および/又はそれに直交する方向における寸法変化率が下記式Vを満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム;
    式V −1.0%≦{(L’−L0)/L0}×100≦−0.5%
    式中、L0は25℃、相対湿度60%の雰囲気下で2時間調湿後のフィルム長さを表し、L’は60℃相対湿度90%で24時間経過させ、さらに25℃、相対湿度60%の雰囲気下で2時間調湿した後のフィルム長さを表す。
  5. 下記式VIおよび式VIIを満たす、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム;
    式VI 30nm≦Re(550)≦80nm
    式VII 90nm≦Rth(550)≦300nm
    Re(550)は、波長550nmにおける面内方向のレターデーションを表し、Rth(550)は波長550nmにおける厚み方向のレターデーションを表す。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムと偏光子とを有する偏光板。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム、または請求項6に記載の偏光板を有
    する、液晶表示装置。
  8. 前記液晶表示装置が一対の偏光板に挟持された液晶セルを含み、前記偏光板が液晶セル側から光学フィルム、偏光子、保護フィルムの順に配置され、前記液晶セルを正面方向から観察した際の偏光解消度が0.02%以下であり、前記光学フィルムの少なくとも一つが請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムである、請求項7に記載の液晶表示装置。
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