JP2016013189A - 光音響装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フーリエ変換法を用いた再構成において、光音響波の受信完了から被検体情報の空間分布の取得までに要する時間を低減することのできる光音響装置を提供する。
【解決手段】光音響装置は、第一および第二のタイミングに光を発する光源と、第一および第二のタイミングで光が被検体に照射されることにより発生した光音響波を受信して第一および第二の時系列の受信信号を出力する探触子と、第一のタイミングと第二のタイミングとの間に、第一の時系列の受信信号から第一の波数成分への変換を開始し、第二の時系列の受信信号を第二の波数成分に変換し、第一の波数成分と第二の波数成分とを合成して第三の波数成分を取得し、第三の波数成分に基づいて被検体情報の空間分布を取得する処理部と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光音響効果を利用して被検体情報を取得する光音響装置に関する。
従来から音響波を受信して生体などの被検体内部の情報を取得する技術として、これまで光音響イメージング装置や超音波エコーイメージング装置などの光音響装置が提案されてきた。
例えば光音響イメージング装置は、特に皮膚がんや乳がんの診断での有用性が示されており、診断で従来使用されてきた超音波エコー診断装置、X線装置、MRI装置などに代わる医療機器としての期待が高まっている。
可視光や近赤外光等の計測光を生体組織に照射すると、生体内部の光吸収物質、例えば血液中のヘモグロビン等の物質が、計測光のエネルギーを吸収して瞬間的に膨張した結果、音響波が発生することが知られている。この現象を光音響効果といい、発生した音響波を光音響波とも呼ぶ。
光音響イメージング装置は、この光音響波を計測することで生体組織の情報を可視化する。このような光音響効果を利用した断層撮影の技術を光音響イメージング(Photoacoustic Imaging:PAI)とも呼ぶ。
光音響イメージングでは、被検体内部の光吸収係数に関連した被検体情報を画像化することができる。光吸収係数とは生体組織が光エネルギーを吸収する率である。例えば、光音響波が発生した瞬間の音圧である初期音圧を画像化することができる。初期音圧は光エネルギーと光吸収係数の積に比例するので、適切な処理を施すことで光吸収係数を画像化することができる。さらに、光吸収係数は生体組織を構成する成分の濃度に依存するので、それらの濃度を取得することができる。特に、異なる波長の光のそれぞれにより取得された光吸収係数に基づいて、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの濃度比、すなわち酸素飽和度を取得することができる。生体内に腫瘍組織がある場合、当該箇所において酸素飽和度が低下することが知られているため、光吸収係数を測定することで、腫瘍の診断が可能になることが期待されている。
非特許文献1と非特許文献2では、光音響波の受信信号から光吸収係数に関連した被検体情報の空間分布を取得する方法(再構成法)としてフーリエ変換法が開示されている。これらの文献では、光音響波の受信信号を被検体で発生した光音響波の波数成分に変換し、その波数成分を逆フーリエ変換することで被検体情報の空間分布を取得している。特に非特許文献1では平面上で光音響波を受信した場合のフーリエ変換法が開示されている。また、非特許文献2では球面上で光音響波を受信した場合のフーリエ変換法が開示されている。
Journal of Biomedical Optics 15(2), 021314 (March/April 2010) Physics in Medicine and Biology 57(2012) N493−N499
しかしながら、これらの文献に記載されたようなフーリエ変換法においては、光音響波の全測定が完了してから被検体情報の空間分布を取得するまでに多くの時間を要する場合がある。
そこで本発明は、フーリエ変換法を用いた再構成において、光音響波の受信が完了してから被検体情報の空間分布を取得するまでに要する時間を低減することのできる光音響装置を提供することを目的とする。
本明細書に開示された光音響装置は、第一のタイミングおよび第一のタイミングよりも後の第二のタイミングに光を発する光源と、第一のタイミングで光が被検体に照射されることにより発生した光音響波を受信して第一の時系列の受信信号を出力し、第二のタイミングで光が被検体に照射されることにより発生した光音響波を受信して第二の時系列の受信信号を出力する探触子と、被検体情報の空間分布を取得する処理部と、を有し、処理部は、第一のタイミングと第二のタイミングとの間に、第一の時系列の受信信号から第一の波数成分への変換を開始し、第二の時系列の受信信号を第二の波数成分に変換し、第一の波数成分と第二の波数成分とを合成して第三の波数成分を取得し、第三の波数成分に基づいて被検体情報の空間分布を取得する。
本明細書に開示された別の光音響装置は、複数のタイミングで光を発する光源と、前記複数のタイミングで光が被検体に照射されることにより各タイミングで発生した光音響波を受信して前記複数のタイミングに対応する時系列の受信信号を出力する探触子と、被検体情報の空間分布を取得する処理部と、を有し、前記処理部は、前記複数のタイミングの光照射が完了する前に、時系列の受信信号に関する複数の次元の一部の次元に関する波数成分を取得し、前記複数のタイミングの光照射が完了した後に、前記複数の次元の残りの次元に関する波数成分を取得することにより、前記複数の次元に関する波数成分を取得し、前記複数の次元に関する波数成分に基づいて前記被検体情報の空間分布を取得する。
本明細書に開示された光音響装置によれば、フーリエ変換法を用いた再構成において、光音響波の全測定が完了してから被検体情報の空間分布を取得するまでに要する時間を低減することができる。
比較例および第一の実施形態に係る測定シーケンスを示す図。 第一の実施形態に係る光音響装置の模式図。 第一の実施形態に係る処理部の詳細およびその周辺の構成を示す図。 第一の実施形態に係る探触子の構成を示す図。 第一の実施形態に係る探触子の移動を示す図。 第一の実施形態に係る被検体情報取得方法のフローを示す図。 第二の実施形態に係る被検体情報取得方法のフローを示す図。 第三の実施形態に係る光音響装置の模式図。 第三の実施形態に係る探触子の構成を示す図。 第三の実施形態に係る探触子の移動を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る光音響装置は、光音響効果により発生した光音響波を検出することにより、被検体情報を取得することができる。
本実施形態において被検体情報とは、光音響波の初期音圧、初期音圧から導かれる光エネルギー吸収密度、光吸収係数、被検体を構成する物質の濃度などである。ここで、物質の濃度とは、酸素飽和度、オキシヘモグロビン濃度、デオキシヘモグロビン濃度、および総ヘモグロビン濃度などである。総ヘモグロビン濃度とは、オキシヘモグロビン濃度およびデオキシヘモグロビン濃度の和である。
また、本実施形態において被検体情報は、数値データとしてではなく、分布情報であってもよい。すなわち、光吸収係数分布や酸素飽和度分布などの分布情報を被検体情報としてもよい。
ところで、複数のタイミングで光照射を行って得られた受信信号のデータを用いたフーリエ変換法においては、光音響波の全測定が完了してから被検体情報の空間分布の取得までに多くの時間を要する場合があることを本発明者は見出した。以下、この課題について図1を用いて説明する。
図1は光音響波の測定と再構成処理のフローを時系列に並べたものである。Mnはn回目の測定を表している。Knは、n回目の測定で得られた時系列の受信信号から波数成分への変換処理を表している。また、IFは、波数成分から被検体情報の空間分布を求めるための逆フーリエ変換処理を表している。すなわち、図1は、時系列の受信信号から波数成分を求めるためのフーリエ変換に要する時間および波形成分から空間分布を求めるための逆フーリエ変換に要する時間を示している。
本明細書において測定とは、光を照射し、光照射により発生した光音響波を受信することを指す。また、測定位置とは光が照射されたときの探触子の位置のことを指す。
(比較例1)
図1(a)は比較例1における1回目からn回目までの測定シーケンスおよび各処理のシーケンスを示している。比較例1では、光照射毎に時系列の受信信号から波数成分への変換処理および波数成分から被検体情報の空間分布への変換処理を行う場合を考える。
図1(a)から理解されるように、比較例1では時系列の受信信号から波数成分への変換に要する時間と波数成分から被検体情報の空間分布の取得の処理に要する時間とを光照射数倍した時間だけ被検体情報の空間分布を取得するのに要する。そのため、時系列の受信信号から被検体情報の空間分布を取得するまでの計算コストが大きくなる。また、図1(a)に示すように測定間で1照射分の処理が完了しない場合、光音響波の受信完了から被検体情報の空間分布を取得するのに多くの時間を要してしまう。特に3次元の多くのボリュームデータを再構成する場合、波数成分から被検体情報の空間分布を取得する処理に多くの時間を要してしまう。
(比較例2)
図1(b)は比較例2における1回目からn回目までの測定シーケンスおよび各処理のシーケンスを示している。比較例2では、全測定位置での光音響波の受信が完了した後に、時系列の受信信号から波数成分への変換処理および波数成分から被検体情報の空間分布への変換処理を行う場合を考える。図1(b)から理解されるように、比較例2では、全測定位置での光音響波の受信が完了した後にn回の光照射分の時系列の受信信号から波数成分への変換処理を行う必要があるため、光音響波の受信完了から被検体情報の取得までに多くの時間を要する。
比較例1および比較例2のいずれの場合においても、全測定位置での光音響波の受信完了から被検体情報の空間分布を取得するまでに多くの時間を要する場合がある。そのため、被検体情報の空間分布を診断画像に用いる場合、測定の完了から診断画像を提示するまでに冗長な時間を要してしまい、診断上で不都合が生じ得る。
なお、比較例1および比較例2において、時系列の受信信号から波数成分への変換または波数成分から被検体情報の空間分布の取得をパイプライン処理により並行処理することが可能である。ただし、この場合、並行処理を行うために処理部の装置規模が大きくなってしまう。
(第一の実施形態)
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、処理部の装置規模を抑えつつ、光音響波の測定完了から被検体情報の空間分布を取得するまでに要する時間を低減することのできる光音響装置を着想した。以下、本実施形態に係る光音響装置について図1(c)を用いて説明する。図1(c)は本実施形態における1回目からn回目までの測定シーケンスおよび各処理のシーケンスを示している。
波数成分から被検体情報の空間分布に変換するときのボリュームデータの数が同じであれば、逆フーリエ変換に要する時間はほぼ変わらない。すなわち、異なる波数成分から同じ領域の空間分布を得る場合でも、逆フーリエ変換に要する時間はほぼ変わらない。一方、時系列の受信信号から波数成分に変換する処理に要する時間は、時系列の受信信号のデータ量が増えるにつれて多くなる。
そこで本発明者は、上記知見に基づいて、全測定位置で光音響波が受信される前に、それまでに受信された光音響波の受信信号のデータから第一の波数成分への変換を開始することを着想した。例えば、図1(c)においては、n回目の光音響波の受信が完了する前に、1回目の測定で得られた時系列の受信信号が波数成分に変換されている(K1)。
また、本発明者は、残りの測定位置で得られた受信信号のデータを第二の波数成分に変換することを着想した。図1(c)においては、その他の測定で得られた時系列の受信信号についても同様に、n回目の光音響波の受信が完了する前に波数成分に変換されている(K1〜Kn−1)。
また、本発明者は、第一の波数成分と第二の波数成分とを合成し、合成後の第三の波数成分を被検体情報の空間分布に変換することを着想した。図1(c)においては、n回目の光音響波の受信が完了した後に、n回目の測定で得られた時系列の受信信号を波数成分に変換している(Kn)。続いて、1〜n回目の測定で得られた波数成分を合成した後に、合成された波数成分を被検体情報の空間分布に変換する処理を行っている(IF)。
すなわち、n回目の測定後は、1回の測定分の時系列の受信信号から波数成分への変換処理(Kn)と、波数成分から被検体情報の空間分布への変換処理(IF)を行うだけである。全測定位置の光音響波の受信完了の後に、この2つの処理を行うだけで被検体情報を取得することができる。
図1からも、本実施形態によれば比較例と比べて、全測定位置での光音響波の受信完了から被検体情報の空間分布を取得するのに要する時間は低減されていることが理解される。
なお、図1(c)に示す本実施形態では、光照射毎に得られた時系列の受信信号を波数成分に変換している。
<光音響装置の構成>
図2は、本発明の実施形態に係る光音響装置の模式図である。以下、装置の各構成要素について説明する。なお、本実施形態に係る光音響装置は、光音響効果を利用した光音響イメージング装置である。
本実施形態の光音響装置は、被検体100の被検体情報を取得するために、光源110、光学系120、探触子130、移動部140、処理部150、表示部160を有する。
また、図3は、処理部150の詳細、および、処理部150の周辺の構成を示す模式図である。図3に示すように、処理部150は、制御部151、汎用記憶部152、波数成分算出部153、波数成分記憶部154、逆フーリエ変換部155を備えている。なお、本発明の構成及び効果を分かり易くするために波数成分記憶部154と汎用記憶部152とを独立させているが、波数成分記憶部154を汎用記憶部152の一部としても良い。
制御部151は、バス200を介して光音響装置を構成する各構成の動作を制御している。また、制御部151は、汎用記憶部152に保存された後述する被検体情報取得方法が記述されたプログラムを読み出し、光音響装置に被検体情報取得方法を実行させている。
汎用記憶部152は被検体情報取得方法が記述されたプログラムを格納する以外に、装置全体の撮像動作を行う際に各部からの入出力データを一時格納し、各部間のデータ交換を可能にする。但し、各部が汎用記憶部152と独立して各処理を行うためのデータ格納手段を有してもよい。
まず、光源110から発生した光が、光学系120を介してパルス光121として被検体100に照射される。そして、光音響効果により被検体100内で光音響波が発生する。続いて、伝搬した光音響波を探触子130で受信して時系列の電気信号を取得し、汎用記憶部152に格納し受信信号データとする。
また、以上の工程を移動部140により探触子130の位置を変えて行い、複数の測定位置で受信信号データを生成する。ここで測定位置とは、パルス光121が被検体100に照射されたときに探触子130が位置する位置のことを指す。また、複数のタイミングでパルス光121が被検体100に照射されたときに各タイミングで探触子130が位置する位置を総称して「複数の測定位置」とする。
また、処理部150は、探触子130から出力された時系列の受信信号に基づいて、フーリエ変換法により被検体100内の被検体情報の空間分布を取得する。すなわち、処理部150は、時系列の受信信号を空間波数及び角周波数に関する波数成分に変換する。続いて、処理部150は、変換された波数成分に対して被検体情報の空間分布としての初期音圧分布に変換する。なお、処理部150は、変換された初期音圧分布に対して被検体100内の光量分布補正などを行って、被検体100内の光吸収係数分布や物質濃度分布などの被検体情報の空間分布を取得することができる。
以下、本実施形態に係る光音響装置の各構成の詳細を説明する。
(被検体100)
これらは本発明の光音響装置の一部を構成するものではないが、以下に説明する。本発明の光音響装置は、人や動物の悪性腫瘍や血管疾患などの診断や化学治療の経過観察などを主な目的とする。よって、被検体としては生体、具体的には人体や動物の***や頸部、腹部などの診断の対象部位が想定される。
また、被検体内部にある光吸収体としては、被検体内部で相対的に光吸収係数が高いものとする。例えば、人体が測定対象であればオキシヘモグロビンあるいはデオキシヘモグロビンやそれらを含む多く含む血管あるいは新生血管を多く含む悪性腫瘍が光吸収体の対象となる。その他、頸動脈壁のプラークなどもその対象となる。
(光源110)
光源110としては、数ナノから数マイクロ秒オーダーのパルス光を発生可能なパルス光源が好ましい。具体的には、効率的に光音響波を発生させるため、光源110は10ナノ秒程度のパルス幅の光を発生可能であることが好ましい。光源110が発することのできる光の波長は、被検体内部まで光が伝搬する波長を使うことが望ましい。具体的には、被検体が生体の場合、好適な波長は、500nm以上、1200nm以下である。ただし、比較的生体表面付近の生体組織の光学特性値分布を求める場合は、上記の波長領域よりも範囲の広い、例えば400nmから1600nmの波長領域を使用することも可能である。
また、光源としてはレーザや発光ダイオードを用いることができる。レーザとしては、固体レーザ、ガスレーザ、色素レーザ、半導体レーザなど様々なレーザを使用することができる。例えば、本実施形態に使用されるレーザとしては、アレキサンドライトレーザ、Yttrium−Aluminium−Garnetレーザ、Titan−Sapphireレーザなどがある。
なお、光源110は、光音響装置とは別に提供されてもよい。また、光源110は、単一の光源から構成されてもよいし、複数の光源から構成されてもよい。
(光学系120)
光源110から出射された光は、典型的にはレンズやミラーなどの光学部品を含む光学系120により、所望の光分布形状に成型されて被検体100に導かれる。その他、光ファイバなどの光導波路などを用いて伝搬させることも可能である。光学部品は、例えば、光を反射するミラーや、光を集光したり拡大したり形状を変化させるレンズ、光を分散・屈折・反射するプリズム、光を伝搬させる光ファイバ、光を拡散させる拡散板などである。このような光学部品は、光源110から発せられた光を被検体に所望の形状で照射することができるのであれば、どのようなものを用いてもかまわない。
なお、光源110が発する光そのものを所望の光として被検体に照射することができる場合、光学系120を用いる必要はない。
(探触子130)
探触子130は、音響波を検出可能な素子であるトランスデューサ131と、トランスデューサを支持する支持体132とを備えている。本実施形態における支持体132は半球形状である。測定においては、図2にあるように被検体100を探触子130の内部に収めて光音響波を受信する。
トランスデューサ131は、光音響波を受信して電気信号に変換するものである。トランスデューサ131は、圧電現象、光の共振、静電容量の変化等を用いたものなど、光音響波を受信できるものであれば、どのようなものであってもよい。
光音響波を構成する周波数成分は、典型的には100KHzから100MHzであるので、トランスデューサ131として、これらの周波数を検出することのできるものを採用することが好ましい。
支持体132は、機械的強度が高い金属材料などを用いて構成することが好ましい。
探触子130は複数のトランスデューサ131を備えていることが好ましい。これにより一度の光の照射で生じる光音響波を複数の位置で取得することができるため、画像化に用いる情報量が増加し画質を改善することができる。図4は、図2のz軸方向から探触子130を見た図であり、複数のトランスデューサ131の配置例を示す。図4の(a)に示すように螺旋状にトランスデューサを配置してもよいし、図4の(b)に示すように同心円上にトランスデューサを配置してもよい。画像の画質を空間的に均一に保つためには、球面上に均等にトランスデューサが配置されていることが好ましい。このような配置は螺旋状になることが知られており、図4の(a)のように配置することが好ましい。
一般に、トランスデューサはその受信面(表面)の法線方向に最も高い受信感度を有する。複数のトランスデューサ131の最も受信感度の高い方向に沿った軸(以下、指向軸と呼ぶ)を半球面形状の曲率中心点付近へ集めることで、曲率中心点付近に高精度に可視化可能な領域(高感度領域)が形成される。
なお、図4はトランスデューサ配置の一例であり、配置の仕方はこの限りではない。所定の領域に指向軸が集まり、所定の高感度領域を形成できるトランスデューサの配置であればよい。すなわち、所定の高感度領域が形成されるように、所定の領域にするよう曲面形状に沿って複数のトランスデューサ131が配置されればよい。さらに、本明細書において曲面とは、真球形状や半球面等の開口がある球面を含む。また、球面と見なせる程度の表面上の凹凸がある面や、球面と見なせる程度の楕円体(楕円を三次元へ拡張した形であり、表面が二次曲面からなる形)上の面も含む。
また、球を任意の断面で切った形状の支持体132に沿って複数のトランスデューサ131を配置する場合、その支持体の形状の曲率中心に指向軸が最も集まる。本実施形態で説明する半球形状の支持体132も、球を任意の断面で切った形状の支持体の一例である。本明細書において、このように球を任意の断面で切った形状のことを球に基づく形状と呼ぶ。また、このように球に基づく形状の支持体に支持される複数のトランスデューサは、球面上に支持されることとなる。
なお、支持体132は、後述する第三の実施形態でも説明するように、複数のトランスデューサ131を平面上に支持してもよい。
探触子130と被検体100の間の空間は、光音響波を伝播させることができる媒質で満たす。この媒質は、光音響波が伝播できると同時に、被検体100やトランスデューサ131との界面において音響特性が整合し、できるだけ光音響波の透過率が高いことが好ましい。また、探触子130と被検体100の間の空間に、被検体100を保持する保持部材を設けても良い。保持部材の材料は、被検体100や前述の媒質と音響整合性が高いものが好ましい。
(移動部140)
移動部140は、探触子130と光学系120とを被検体100に対して相対的に移動する。移動部140は、モータなどの駆動部とその駆動力を伝達する機械部品から構成される。移動部140は、制御部151からの制御信号に従って、被検体100に対して探触子130を移動させることにより光の照射位置と光音響波の受信位置を移動させる。光の照射位置と光音響波の受信位置を被検体100に対して移動させながら受信信号データの取得を繰返すことで、目的とする広範囲の被検体情報を得るための受信信号データを取得することができる。すなわち、より多くの角度方向で光音響波を受信することができるため、被検体情報を取得する上での情報量が増加し被検体情報の精度を改善することができる。特に、被検体情報を画像化する際、解像度、コントラスト等を改善することができる。
また移動部140は、光学系120による1回の光の照射制御に同期して、光照射時、すなわち光音響波の受信時の探触子130の位置情報を処理部150へ出力することができる。
図5は、図2のz軸方向から被検体100と探触子130を見た図であり、探触子130の移動の一例を示す。探触子130の移動の例としては、図5の(a)に示すような螺旋軌道410に沿う移動、図5の(b)に示すような円軌道420に沿う移動、図5の(c)に示すような直線軌道に沿う移動が挙げられる。なお、図5は移動の一例でありこの限りではない。また、xy平面内の移動だけでなく、z軸方向の移動を行うことで注目領域の範囲を拡げてもよい。
(処理部150)
処理部150は、図3に示すように制御部151、汎用記憶部152、波数成分算出部153、波数成分記憶部154、逆フーリエ変換部155を備えている。
制御部151は、典型的にはCPUなどの素子から構成される。
汎用記憶部152、波数成分記憶部154は、典型的にはROM、RAM、およびハードディスクなどの記憶媒体から構成される。なお、汎用記憶部152は1つの記憶媒体から構成されるだけでなく、複数の記憶媒体から構成されていてもよい。
波数成分算出部153、波数成分記憶部154、逆フーリエ変換部155を含む演算部156は、典型的にはCPU、GPU、A/D変換器などの素子や、FPGA、ASICなどの回路から構成される。1つの素子や回路から構成されるだけではなく、複数の素子や回路から構成されていてもよい。また、被検体情報取得方法で行われる各処理をいずれの素子や回路が実行してもよい。各処理を実行する装置を総称して本実施形態に係る演算部とする。
また、処理部150は、同時に複数の信号をパイプライン処理できるように構成されていることが好ましい。これにより、被検体情報を取得するまでの時間を短縮することができる。
なお、被検体情報取得方法で行われるそれぞれの処理を、演算部156に実行させるプログラムとして汎用記憶部152に保存しておくことができる。ただし、プログラムが保存される汎用記憶部152は、非一時的な記録媒体である。
また、処理部150および複数のトランスデューサ131は、共通の筺体に収められた構成で提供されてもよい。ただし、筺体に収められた処理部で一部の処理を行い、残りの処理を筺体の外部に設けられた処理部で行ってもよい。この場合、筺体の内部および外部に設けられた処理部を総称して、本実施形態に係る処理部とすることができる。
(表示部160)
表示手段である表示部160は、処理部150から出力される被検体情報を表示する装置である。表示部160は、典型的には液晶ディスプレイなどが利用されるがプラズマディスプレイや有機ELディスプレイ、FEDなど他の方式のディスプレイでもよい。
<被検体情報取得方法>
次に、本実施形態に係る被検体情報取得方法の各工程を、図6のフロー図を参照して説明する。なお、各工程は、制御部151が光音響装置の各構成の作動を制御することにより実行される。
(S100:被検体に光を照射する工程)
光源110で発生させた光は、光学系120を介してパルス光121として被検体100に照射される。そして、被検体100内部でパルス光121が吸収され、光音響効果により光音響波が生じる。
(S200:光音響波を受信する工程)
本工程では、探触子130が光音響波を検出して、各トランスデューサ131が時系列の受信信号p(r,t)を出力する。rは画像化に用いるj番目のトランスデューサ131の位置ベクトル、tは時間である。本実施形態では光が発光したタイミングをt=0としている。
(S300:受信信号を保存する工程)
本工程では、各トランスデューサ131から出力された時系列の受信信号p(r,t)が汎用記憶部152に格納される。
(S400:測定位置を移動させる工程)
本工程では、探触子130と光学系120を次の測定位置に移動させる。次の測定位置においてS100からS300の工程を行い、各測定位置で時系列の受信信号を得る。全ての位置で測定が終了したら移動を終了する。
本実施形態では、各測定位置でS100〜S300に加えて、後述するS500についても実行する。
(S500:波数成分を取得する工程)
本工程では、S300で得た時系列の受信信号を用いて注目領域の被検体情報である初期音圧分布を再構成するための波数成分を算出する。以下、波数成分算出の詳細を述べる。
非特許文献2によれば、球面状のトランスデューサで検出した受信信号p(r,t)から注目領域の被検体情報である初期音圧分布の波数成分p^(k)を求める式は、式(1)で表される。
Figure 2016013189
k[rad/m]は空間波数、ωは角周波数[rad/s]、c[m/s]は被検体内の音速、Rsは球面の半径を表す。Fは時間t[s]に関する1次元フーリエ変換を表し、Re{・}は実部を取ることを表す。rは球面上の位置ベクトルである。
実際の計算においては、式(1)を離散化し、さらに後述するような複数回の測定に対応した式(2)を用いることができる。
Figure 2016013189
式(2)において、nはトランスデューサ131の数、jは画像化に用いるトランスデューサ131の番号(j=0、・・・、n−1)、Nは全測定数、l(l=0、・・・、N−1)は測定の番号を示す。
さらに、r =(x 、y 、z )、k=(k、k、k)より、式(2)は式(3)で表わされる。
Figure 2016013189
なお、本実施形態においては、光照射毎に本工程を実行する。すなわち、波数成分算出部153は、式(4)にしたがって、測定位置毎に得られた時系列の受信信号を波数成分に変換し、波数成分記憶部154に記憶する。
Figure 2016013189
すなわち、波数成分算出部153が算出した式(4)で表わされる各測定位置に対応する波数成分を波数成分記憶部154に保存する。このとき、各測定位置で得られた波数成分の波数(k、k、k、ω)が一致する場合は、波数成分記憶部154の共通の座標領域に合成して保存することができる。例えば、波数成分算出部153は、各測定位置で得られた波数成分を加算または平均化して保存することができる。なお、波数成分同士を合成する際に加重をかけてもよい。例えば測定位置によって波数成分のSNが異なる場合に、SNが高い波数成分に大きな加重をかけることで、被検体情報のSNを改善することができる。以上、波数成分算出部153は、異なるタイミングで測定位置毎に得られた波数成分を合成し、波数成分記憶部154に記憶する。
なお、光照射タイミング間で本工程を完了させることが好ましい。すなわち、波数成分算出部153は、探触子130および光学系120が次の測定位置に移動している間に式(4)にしたがった計算を完了させることが好ましい。
また、式(4)の計算では、式(4)のp^(k、k、k)の計算に必要なωについてのみ計算を行ってもよい。一般に、ω=c|k|となるωは離散的なωから補間する必要があるので、補間に必要なωについてのみ計算を行うことが好ましい。必要なωに計算を限定することで、より高速に計算を行うことができる。
(S600:被検体情報を取得する工程)
本工程では、逆フーリエ変換部155が、全測定分の波数成分が合成された波数成分p^(k)を逆フーリエ変換し、注目領域の被検体情報を得る。波数成分から被検体情報の空間分布への逆フーリエ変換は、式(5)で表される。
Figure 2016013189
rは注目領域内の位置ベクトル、p(r)|t=0は時間t=0における注目領域の音圧分布、すなわち初期音圧分布を表す。F −1は3次元逆フーリエ変換を示す。本実施形態では3次元の初期音圧分布を算出するため3次元逆フーリエ変換を用いているが、必要な被検体情報の次元に応じた逆フーリエ変換を用いることが好ましい。
(S700:被検体情報を表示する工程)
本工程では、S600で取得した注目領域の初期音圧分布を表示部160に表示する。例えば、処理部150が、注目領域の初期音圧分布に対し輝度値変換などの表示部160に表示させるための処理を行って画像データを生成し、表示部160に出力してもよい。
なお、S600と700は測定の途中に行ってもよい。これにより、測定途中の波数成分を用いて一部のデータから得られる被検体情報を表示することができる。この場合、表示される情報は一部の受信信号しか用いていないため、全測定で得られる受信信号を用いた場合と比べて簡易的な情報、画像である。ただし、注目領域の暫定的な診断を早く行ったり、測定の途中で測定が正しく行われているかを確認したりするためには有用である。
本実施形態においては、処理部150が被検体情報の空間分布として初期音圧分布を取得する場合を述べたが、被検体内部の光吸収係数に関連した他の情報を取得し、表示部160に表示してもよい。例えば、処理部150は、式(7)に基づいて光吸収係数分布を取得することができる。
Figure 2016013189
式(6)のμ(r)は被検体内の光吸収係数分布を表し、φ(r)は光学系120から照射された光により生じる被検体内の光フルエンス分布を表す。Γはグリュナイゼン係数と呼ばれる量で、体積膨張係数と音速の2乗の積を定圧比熱で割ったものであり生体等では略一定の既定値を取ることが知られている。S700で取得した初期音圧分布p(r)|t=0を、光フルエンス分布φ(r)とグリュナイゼン係数で除算して光吸収係数分布μ(r)を取得することができる。
また、処理部150は複数の波長に対する被検体情報を取得し、表示部160に表示してもよい。さらに、処理部150は複数の波長に対応する被検体情報を用いて被検体内の物質の濃度を取得し、それを被検体情報として表示部160に表示してもよい。例えば、処理部150は複数の波長に対応する光吸収係数分布を取得し、これらの光吸収係数分布から物質の濃度として酸素飽和度を取得することができる。
以上説明したように、本実施形態では、時系列の受信信号から波数成分への変換処理を測定と並行して行い、全測定位置での測定の完了後に波数成分から被検体情報の空間分布へと変換する。これにより、処理部の装置規模を抑えつつ、測定完了後から被検体情報の空間分布を取得するまでに要する時間を短くすることができる。特に光照射毎に波数成分を算出することにより、測定完了後に残される処理が限定されるため、測定完了後に被検体情報の空間分布を取得するまでに要する時間を大幅に短くすることができる。
(第二の実施形態)
本実施形態では、時系列の受信信号のある次元に対する測定が完了したときに、時系列の受信信号からその次元に関する波数成分に変換する例を説明する。なお、第一の実施形態と同一の構成要素には原則として同一の符号を付して説明を省略する。
第一の実施形態では、光照射毎に1つの測定位置で得られた時系列の受信信号から波数成分に変換しているため、十分な情報から波数成分に変換できない場合がある。この場合、変換された波数成分の定量性は低いため、このような波数成分から得られる被検体情報の空間分布についても定量性が低くなってしまう。
そこで本発明者は、各測定位置で得られた時系列の受信信号を格納していき、測定範囲の測定が完了した次元について選択的に時系列の受信信号から波数成分に変換する処理を行うことを着想した。ここで時系列の受信信号の次元とは、光音響波の受信位置座標、すなわちトランスデューサの位置座標(例えば直交座標系のx、y、z)と、光音響波の受信タイミング、すなわち時系列の受信信号の受信時間tのことである。また測定範囲とは、位置座標の次元であれば測定を行うときの移動幅であり、受信時間の次元であればサンプリングする時間幅である。
本実施形態では、時系列の受信信号の次元(位置、時間)のうち、逐次に波数成分を算出する次元を測定範囲の受信信号の生成が完了している次元に限定することで、被検体情報の精度や画質を高めることができる。
一般に、波数の分解能ΔKは、式(7)により決定される。
Figure 2016013189
ΔXはある次元を示す変数Xのサンプリング間隔、Sはその次元のサンプリング数である。例えばXが時間tの場合はΔX=Δtはサンプリングの時間間隔、ΔK=Δωは角周波数の分解能となる。Xが位置xの場合はΔX=Δxはサンプリングの距離間隔、ΔK=Δkは空間波数の分解能となる。式(7)からは、測定範囲の全点数Sを用いずに一部の点数S’(<S)だけを用いた場合、波数の分解能が低下することが理解される。本実施形態では、各次元について測定範囲の受信信号の生成が完了してから波数成分を算出することで、全点数Sを用いて高い波数分解能を実現し、被検体情報の精度や画質を高めることができる。
<被検体情報取得方法>
以下、図7に示す本実施形態に係る被検体情報取得方法のフローのS510の工程について詳述する。本実施形態では、全測定が完了する前に測定範囲の受信信号の生成が完了した次元について、S510において波数成分算出部153がその次元に関する波数成分を逐次算出する。
(S510:波数成分を取得する工程)
ある測定位置での1回の測定で時間tの次元については測定範囲の受信信号の生成が完了する。そこで波数成分算出部153は、式(3)のうち、式(8)の部分、すなわち時間tの次元に対応する角周波数ωに関する波数成分の算出を、測定位置ごとに逐次行う。
Figure 2016013189
また、式(8)の計算では、第一の実施形態と同様に式(8)のp^(k、k、k)の計算に必要なωについてのみ計算を行ってもよい。
また、探触子の移動が図5のxy平面のみで行われz方向には移動しない場合、ある測定位置での1回の測定でz方向の測定範囲の受信信号の生成は完了する。すなわち、探触子130を2次元に移動させる場合、移動方向と直交する方向については光照射タイミング毎に測定が完了している。この場合、波数成分算出部153は、光照射タイミング毎に式(8)に対して式(9)を適用することによりz方向の波数成分を算出することができる。
Figure 2016013189
さらに例えば、図5の(a)と図5の(b)では、x方向の測定範囲Xとy方向の測定範囲Yでの受信信号の生成は、全測定が終了した時に完了する。この場合、波数成分算出部153は、全測定が終了した時点で波数成分記憶部154に保存された式(9)のp^(x 、y 、k、ω)を式(10)に適用することにより波数成分p^(k、k、k)を算出する。
Figure 2016013189
以上により式(3)の演算を完了し、波数成分p^(k、k、k)を得ることができる。この方法によれば、全測定が完了するまでにz方向の空間波数への変換及び角周波数成分への変換を逐次行っているため、測定完了から被検体情報の空間分布を取得するまでの時間を短くすることができる。さらに、(x、y、z、t)のそれぞれの次元について、測定範囲の測定が完了した後の多くの情報を用いて波数成分への変換を行っているため、それぞれの波数成分の定量性は高い。そのため、この波数成分を用いて得られる被検体情報の空間分布の定量性も高くなる。
また、図5の(c)の場合、x方向の測定範囲Xでの受信信号の生成は、図5の(c)の水平矢印に示すように全測定を行う前に一部の測定で完了する。この場合、各y座標におけるx方向の測定が終了した時点で、波数成分記憶部154に保存された式(8)のp^(x 、y 、k、ω)を読み出す。そして、波数成分算出部153は、読み出された式(9)のp^(x 、y 、k、ω)に式(11)を適用し、逐次にkに関する波数成分の算出を行う。
Figure 2016013189
ここでqとrはそれぞれ、x方向移動の位置とy方向移動の位置を示す番号である。x方向にQ回、y方向にR回、合計でN=Q×R回測定する。算出された波数成分p^(k、y 、k、ω)は、波数成分記憶部154に保存される。
全測定の完了後、波数成分算出部153は、式(11)の波数成分を波数成分記憶部154から読み出して式(12)を適用し、p^(k、k、k)を得る。
Figure 2016013189
なお、波数成分算出部153は、最後のx方向への探触子130の移動と並行して、各x座標の測定が終了したとき、各x座標におけるy方向の空間波数を取得してもよい。
波数成分算出部153は、式(12)の波数成分に式(13)を適用して、式(3)の演算を完了し波数成分p^(k、k、k)を得る。
Figure 2016013189
図5(c)においては、全測定が完了する前にx方向の空間波数への変換、z方向の空間波数への変換、および角周波数への変換を逐次行っている。そのため、測定完了から被検体情報の空間分布を取得するまでの時間を短くすることができる。また、図5(c)のように全測定が完了したときに1つの次元に関する波数成分の計算を行うことで全次元に関する波数成分が得られるように探触子を移動することが好ましい。すなわち、これにより、測定完了から被検体情報の空間分布を取得するまでの時間をより短くすることができる。さらに、(x、y、z、t)のそれぞれの次元について、測定範囲の測定が完了した後の多くの情報を用いて波数成分への変換を行っているため、それぞれの波数成分の定量性は高い。そのため、この波数成分を用いて得られる被検体情報の空間分布の定量性も高くなる。
以上説明したように、本実施形態では、全測定が完了する前に、測定範囲の受信信号の生成が完了した次元について時系列の受信信号を波数成分に変換している。これにより、処理部の装置規模を抑制し、測定完了から被検体情報の空間分布を取得するまでの時間を短縮しつつ、定量性の高い被検体情報の空間分布を取得することができる。
(第三の実施形態)
本実施形態では、光音響波を受信するトランスデューサが平面上に配置された探触子を有する光音響装置について説明する。なお、第一の実施形態と同様の構成要素には原則として同一の符号を付して説明を省略する。
<光音響装置の構成>
図8は、本発明の実施形態に係る光音響装置の模式図である。以下、装置の各構成要素について説明する。なお、本実施形態に係る光音響装置は、光音響効果を利用した光音響イメージング装置である。
本実施形態における探触子730においては、支持体732が複数のトランスデューサ731を平面上で支持している。例えば、探触子730は、図9の(a)に示される2次元アレイや、図9の(b)に示される1次元アレイとすることができる。探触子730は、より多点で光音響波を受信するために2次元アレイであることが好ましいが、電気信号の伝送線を削減しハードウェアの負担を低減するために1次元アレイとしてもよい。
探触子730と被検体100の間には、光音響波を伝播させることができる媒質や、被検体を保持するための保持部材を設けることができる。これらは光音響波の透過率が高いことが望ましい。
移動部140は、探触子730と光学系120とを被検体100に対して相対的に移動する。移動のための駆動手段と、さらに移動制御のための個別の制御部を有してもよい。トランスデューサ731は、一般にその正面方向が最も受信感度が良い。また、光学系120から照射されたパルス光121は被検体内で散乱を受けて広がるものの、照射した正面方向の光量が高い。光音響波の振幅は光量に比例するので、光を照射した正面方向で発生した光音響波を、トランスデューサ731の受信感度の良い正面方向で受信するとSNを高めることができる。このため、移動部140は探触子730と光学系120とが向かい合うように同期させて移動することが好ましい。
図10は、探触子730の移動方法の一例を示す図である。図10の(a)は、図9の(a)の探触子730を直線軌道1000に沿ってxとyの両方向へ走査する場合を、図10の(b)は図9の(b)の探触子730を直線軌道1010に沿ってy方向へ走査する場合を示す。なお、図10は走査の一例でありこの限りではない。
なお、異なる光照射タイミングにおいて同じ位置でトランスデューサが光音響波を受信して得られた時系列の信号を合成してもよい。例えば、同じ位置で得られた時系列の受信信号を加算または平均化することにより、その位置における時系列の受信信号とすることができる。
以下、平面アレイを用いた場合に時系列の受信信号から被検体情報の空間分布を取得するための計算例を説明する。本実施形態では、第二の実施形態で説明したように測定範囲の受信信号の生成が完了した次元から優先的に波数成分を算出する方法を説明する。
非特許文献1によれば、平面状の探触子で検出した受信信号p(r,t)=p(x,y,t)から注目領域の被検体情報である初期音圧分布の波数成分p^(k)を求める式は、式(14)で表される。
Figure 2016013189
p(x,y,t)は、探触子平面をz=0とした時の位置(x,y)にあるトランスデューサ731から出力される時系列の受信信号である。Fxyはxyに関する2次元フーリエ変換を、Fは時間に関する1次元フーリエ変換を表す。式(14)により、受信信号p(x,y,t)からz方向の波数成分kの代わりに角周波数ωを引数とする波数成分p^(k、k、ω)が算出される。次に、ω=c|k|の関係を用いてp^(k、k、ω)を補間して、注目領域の初期音圧分布を算出するために必要な波数成分p^(k、k、k)を算出する。
実際の計算においては、波数成分算出部153は、式(14)を離散化した式(15)を用いて波数成分を算出する。
Figure 2016013189
式(15)におけるqは、x方向の測定範囲での受信信号生成が完了したときの、トランスデューサ731のx方向の番号を示す。rは、y方向の測定範囲での受信信号の生成が完了したときの、トランスデューサ731のy方向の番号を示す。qとrは合成された受信信号に関する番号であり、図10の(c)と(d)にあるようにx方向の測定範囲にQ個、y方向の測定範囲にR個のトランスデューサ731が存在することを示す。
図10の(a)の場合、各一点鎖線の合成受信信号の生成が完了した時点で、時間tの角周波数ωと位置xの空間波数kの測定範囲の受信信号生成が完了している。そこで、波数成分算出部153は、時間tの角周波数ωと位置xの空間波数kに関する波数成分を、測定と並行して逐次算出する。図10の(b)の場合、1回の測定位置での測定で、時間tと位置x方向の測定範囲の受信信号生成が完了する。このため波数成分算出部153は、1回の測定ごとに角周波数ωおよびx方向の空間波数kに関する波数成分の算出を行う。
例えば、波数成分算出部153は、式(16)に従ってx方向の波数成分を算出し、波数成分記憶部154に保存する。
Figure 2016013189
第一の実施形態と同様に、式(16)の計算では式(15)のp^(k、k、k)の計算に必要なωについてのみ計算を行ってもよい。
測定が全て完了し、y方向の全てのqにおいて受信信号の生成が完了したら、波数成分算出部153は、k、kに関する波数成分の算出を式(17)により行い、最終的な波数成分p^(k、k、k)を得る。
Figure 2016013189
なお、平面アレイの探触子730を用いた場合でも、第一の実施形態と同様に光照射タイミング毎に波数成分を取得し、合成された波数成分から被検体情報の空間分布を取得することもできる。
以上説明したように、第三の実施形態では、第一または第二の実施形態とは異なる平面状の探触子730を用いる装置においても、測定と並列して波数成分を算出することができる。これにより、測定完了から被検体情報の空間分布の取得までの時間を短縮できる。また、測定と並行して波数成分を算出する際に、受信信号の次元(位置、時間)のうち測定範囲の受信信号の生成が完了している次元に限定することで、被検体情報の精度や画質を高めることができる。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明は上記特定の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で実施形態の修正をすることができる。
100 被検体
110 光源
130 探触子
150 処理部

Claims (14)

  1. 第一のタイミングおよび前記第一のタイミングよりも後の第二のタイミングに光を発する光源と、
    前記第一のタイミングで光が被検体に照射されることにより発生した光音響波を受信して第一の時系列の受信信号を出力し、前記第二のタイミングで光が前記被検体に照射されることにより発生した光音響波を受信して第二の時系列の受信信号を出力する探触子と、
    被検体情報の空間分布を取得する処理部と、
    を有し、
    前記処理部は、
    前記第一のタイミングと前記第二のタイミングとの間に、前記第一の時系列の受信信号から第一の波数成分への変換を開始し、
    前記第二の時系列の受信信号を第二の波数成分に変換し、
    前記第一の波数成分と前記第二の波数成分とを合成して第三の波数成分を取得し、
    前記第三の波数成分に基づいて前記被検体情報の空間分布を取得する
    ことを特徴とする光音響装置。
  2. 前記処理部は、
    前記第一の波数成分および前記第二の波数成分の同じ波数に関する成分を加算または平均化することにより、前記第一の波数成分および前記第二の波数成分を合成して前記第三の波数成分を取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光音響装置。
  3. 前記処理部は、前記第一のタイミングと前記第二のタイミングとの間に、前記第一の時系列の受信信号から前記第一の波数成分への変換を完了する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光音響装置。
  4. 複数のタイミングで光を発する光源と、
    前記複数のタイミングで光が被検体に照射されることにより各タイミングで発生した光音響波を受信して前記複数のタイミングに対応する時系列の受信信号を出力する探触子と、
    被検体情報の空間分布を取得する処理部と、
    を有し、
    前記処理部は、
    前記複数のタイミングの光照射が完了する前に、時系列の受信信号に関する複数の次元の一部の次元に関する波数成分を取得し、
    前記複数のタイミングの光照射が完了した後に、前記複数の次元の残りの次元に関する波数成分を取得することにより、前記複数の次元に関する波数成分を取得し、
    前記複数の次元に関する波数成分に基づいて前記被検体情報の空間分布を取得する
    ことを特徴とする光音響装置。
  5. 前記処理部は、
    前記複数のタイミングのそれぞれに対応する角周波数に関する波数成分を取得する
    ことを特徴とする請求項4に記載の光音響装置。
  6. 前記探触子を2次元に移動させる移動部を更に有し、
    前記処理部は、前記複数のタイミングのそれぞれに対応する前記探触子の移動方向と直交する方向に関する波数成分を取得する
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の光音響装置。
  7. 前記複数のタイミングの光照射が完了した後に前記処理部が前記複数の次元の1つの次元に関する波数成分を取得することにより前記複数の次元に関する波数成分を取得できるように、前記被検体と前記探触子とを相対的に移動させる移動部を更に有する
    ことを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の光音響装置。
  8. 前記処理部は、同じ位置で受信して得られた時系列の受信信号を合成してその位置における時系列の受信信号として取得する
    ことを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の光音響装置。
  9. 前記被検体と探触子とを相対的に移動させる移動部を更に有する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光音響装置。
  10. 前記移動部は前記探触子を移動させる
    ことを特徴とする請求項9に記載の光音響装置。
  11. 前記探触子は、複数のトランスデューサと、前記複数のトランスデューサを支持する支持体とを含む
    ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の光音響装置。
  12. 前記支持体は、平面上に前記複数のトランスデューサを支持する
    ことを特徴とする請求項11に記載の光音響装置。
  13. 前記支持体は、球面に前記複数のトランスデューサを支持する
    ことを特徴とする請求項11に記載の光音響装置。
  14. 前記処理部は、前記被検体情報の空間分布として三次元のボリュームデータを取得する
    ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の光音響装置。
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