JP2016012502A - スパークプラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】電極チップと溶融部との間におけるクラックや酸化スケールの発生および進展を抑制する。
【解決手段】Pa1:軸線CAに対して一方の側にある溶融部455のうち、軸線方向について端面453から最も遠い点。Pa2:他方の側にある同様の点。Pa3:軸線CAに対して一方の側にある溶融部455のうち軸線CAから最も遠い点。Pa4:他方の側にある同様の点。Pa5:軸線CAに対して一方の側にある溶融部455のうち、軸線方向について端面453に最も近い点。Pa6:他方の側にある同様の点。RL:点Pa3と点Pa4とを通る直線である基準線。C1:基準線RLと点Pa5との距離。D1:基準線RLと点Pa1との距離。C2:基準線RLと点Pa6との距離。D2:基準線RLと点Pa2との距離。スパークプラグ(10)は、C1≧D1、かつ、C2≧D2を満たす。
【選択図】図2

Description

本発明は、スパークプラグの電極に関するものである。
従来、スパークプラグの接地電極に貴金属製の電極チップを設ける技術が存在する(特許文献1)。この従来技術において、電極チップは、接地電極を構成する電極母材に溶接されている。すなわち、溶接の際に電極チップの一部と電極母材の一部とが溶融してできた溶融部を介して、電極チップは、電極母材に接合されている。
国際公開第2012/167972号パンフレット
近年、内燃機関の高圧縮化および高過給化により、スパークプラグの接地電極は、従来よりも高い温度に曝される。このため、燃料が燃焼しているときの接地電極の温度と、燃焼と燃焼の間の接地電極の温度と、の差が、従来よりも大きくなっている。その結果、電極チップの熱膨張率と、溶融部の熱膨張率との差によって、電極チップと溶融部との間において、クラックが生じやすくなり、そのクラックに起因して、酸化スケールが進展しやすくなっている。このため、スパークプラグの高寿命を確保することが難しい。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、スパークプラグが提供される。このスパークプラグは、一端側が柱状であって貴金属を主成分とするチップと、電極母材とを有し、前記チップと前記電極母材とが溶け合った溶融部を介して、前記チップの他端側の少なくとも一部が前記電極母材に接合された接地電極を備える。そして、このスパークプラグにおいては、前記柱状部分の中心軸を通る断面において、前記溶融部のうち前記中心軸に対して一方の側にあり前記中心軸の方向について最も前記チップの一端側の面から遠い第1の点と、前記溶融部のうち前記中心軸に対して他方の側にあり前記中心軸の方向について最も前記チップの一端側の面から遠い第2の点とが、前記中心軸に垂直な方向について、それぞれ前記中心軸から前記柱状部分の外側面までの長さの2/3よりも前記中心軸に近い位置にある。前記断面において、前記溶融部のうち前記中心軸に対して前記一方の側にあり前記中心軸から最も遠い第3の点と、前記溶融部のうち前記中心軸に対して前記他方の側にあり前記中心軸から最も遠い第4の点と、を結んだ線を、基準線とする。前記溶融部のうち前記中心軸に対して前記一方の側にあり前記中心軸の方向について前記チップの前記一端側の面に最も近い第5の点と、前記基準線との距離をC1とする。前記溶融部のうち前記中心軸に対して前記他方の側にあり前記中心軸の方向について前記チップの前記一端側の面に最も近い第6の点と、前記基準線との距離をC2とする。前記第1の点と前記基準線との距離をD1とする。前記第2の点と前記基準線との距離をD2とする。このとき、
C1≧D1、かつ、C2≧D2
の関係を満たす。
このような態様とすれば、C1<D1、または、C2<D2となる態様に比べて、溶融部におけるチップの成分を多くすることができる。その結果、溶融部とチップとの界面における熱膨張の差を小さくすることができ、溶融部とチップとの界面におけるクラックの発生および酸化スケールの進展を、抑制することができる。
なお、「第1の点と、第2の点とが、前記中心軸に垂直な方向について、それぞれ前記中心軸から前記柱状部分の外側面までの長さの2/3よりも前記中心軸に近い位置にある」とは、(i)中心軸から第1の点までの長さ(距離)が、二つある先端部分の外側面のうち第1の点と同じ側にある外側面までの中心軸からの長さ(距離)の2/3よりも、小さく、かつ、(ii)中心軸から第2の点までの長さ(距離)が、二つある先端部分の外側面のうち第2の点と同じ側にある外側面までの中心軸からの長さ(距離)の2/3よりも、小さいことを意味する。
(2)上記形態のスパークプラグにおいて、
C1/D1≧1.2、かつ、C2/D2≧1.2
の関係を満たす態様とすることができる。
このような態様とすれば、C1/D1<1.2、または、C2/D2<1.2となる態様に比べて、溶融部におけるチップの成分を多くすることができる。その結果、溶融部とチップとの界面における熱膨張の差を小さくすることができ、溶融部とチップとの界面におけるクラックの発生および酸化スケールの進展を、抑制することができる。
(3)上記形態のスパークプラグにおいて、前記チップの他端側は、前記電極母材と直接接触せず、前記溶融部を介して前記電極母材に接合されている態様とすることができる。
このような態様においては、熱膨張係数が異なるチップと母材とは、それらの中間の熱膨張係数を有する溶融部を挟んで配される。このため、チップと接地電極との接合部分において、クラックの発生を抑制することができる。
本発明は、スパークプラグ以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、接地電極、接地電極の溶接方法、接地電極の製造方法、スパークプラグの製造方法、等の形態で実現することができる。
スパークプラグ10の部分断面を示す説明図である。 スパークプラグ10の接地電極400に設けられた電極チップ450の近傍の構成を示す断面図および平面図である。 スパークプラグ10の接地電極400に設けられた電極チップ450の近傍の他の構成を示す断面図である。 スパークプラグ10の接地電極400に設けられた電極チップ450の近傍の他の構成を示す断面図である。 スパークプラグ10の接地電極400に設けられた電極チップ450の近傍の他の構成を示す断面図である。 スパークプラグ10の接地電極400に設けられた電極チップ450の近傍の他の構成を示す断面図である。 耐剥離性試験の結果を示す表である。
A.第1実施形態:
A1.スパークプラグの全体構成:
図1は、スパークプラグ10の部分断面を示す説明図である。図1には、スパークプラグ10の軸心である軸線CAを境界として、軸線CAより紙面左側にスパークプラグ10の外観形状が図示され、軸線CAより紙面右側にスパークプラグ10の断面形状が図示されている。本実施形態の説明では、スパークプラグ10における図1の紙面下側を「先端側」といい、図1の紙面上側を「後端側」という。
スパークプラグ10は、中心電極100と、絶縁体200と、主体金具300と、接地電極400とを備える。本実施形態では、スパークプラグ10の軸線CAは、中心電極100、絶縁体200および主体金具300の各部材における軸心でもある。
スパークプラグ10は、中心電極100と接地電極400との間に形成された間隙SGを先端側に有する。スパークプラグ10の間隙SGは、「火花ギャップ」とも呼ばれる。スパークプラグ10は、間隙SGが形成された先端側を燃焼室920の内壁910から突出させた状態で内燃機関90に取り付け可能に構成されている。スパークプラグ10を内燃機関90に取り付けた状態で高電圧(例えば、1万〜3万ボルト)を中心電極100に印加した場合、間隙SGに火花放電が発生する。間隙SGに発生した火花放電は、燃焼室920における混合気に対する着火を実現する。
図1には、相互に直交するXYZ軸を図示した。図1のXYZ軸は、後述する他の図におけるXYZ軸に対応する。
図1のXYZ軸のうち、X軸は、Y軸およびZ軸に直交する軸である。X軸に沿ったX軸方向のうち、+X軸方向は、図1の紙面奥から紙面手前に向かう方向であり、−X軸方向は、+X軸方向の逆方向である。
図1のXYZ軸のうち、Y軸は、X軸およびZ軸に直交する軸である。Y軸に沿ったY軸方向のうち、+Y軸方向は、図1の紙面右から紙面左に向かう方向であり、−Y軸方向は、+Y軸方向の逆方向である。
図1のXYZ軸のうち、Z軸は、軸線CAに沿った軸である。Z軸に沿ったZ軸方向(軸線方向)のうち、+Z軸方向は、スパークプラグ10の後端側から先端側に向かう方向であり、−Z軸方向は、+Z軸方向の逆方向である。
スパークプラグ10の中心電極100は、導電性を有する電極である。中心電極100は、軸線CAを中心に延びた棒状の形状を有する。本実施形態では、中心電極100は、ニッケル(Ni)を主成分とするニッケル合金(例えば、インコネル601(「INCONEL」は登録商標))からなる。本明細書の説明において、「主成分」とは、当該構成に含まれる各成分を質量%で比較した場合に、最も多く含まれている成分を意味する。中心電極100の先端側は、絶縁体200の先端側から突出している。中心電極100は、端子金具190と電気的に接続される。
スパークプラグ10の絶縁体200は、電気絶縁性を有する碍子である。絶縁体200は、軸線CAを中心に延びた筒状の形状を有する。本実施形態では、絶縁体200は、絶縁性セラミックス材料(例えば、アルミナ)を焼成することによって作製される。絶縁体200は、軸線CAを中心に延びた貫通孔である軸孔290を有する。絶縁体200の軸孔290には、中心電極100を絶縁体200の先端側から突出させた状態で、中心電極100が軸線CA上に保持されている。
スパークプラグ10の主体金具300は、導電性を有する金属体である。主体金具300は、軸線CAを中心に延びた筒状の形状を有する。本実施形態では、主体金具300は、筒状に成形された低炭素鋼にニッケルめっきを施した部材である。他の実施形態では、主体金具300は、亜鉛めっきを施した部材であっても良いし、めっきを施していない部材(無めっき)であっても良い。主体金具300は、中心電極100から電気的に絶縁された状態で絶縁体200の外側面にカシメによって固定されている。主体金具300の先端側には、端面310が形成されている。端面310の中央からは、中心電極100と共に絶縁体200が+Z軸方向に向けて突出している。端面310には、接地電極400が接合されている。
スパークプラグ10の接地電極400は、導電性を有する電極である。接地電極400は、電極母材410と、電極チップ450とを有する。電極母材410は、主体金具300の端面310から+Z軸方向に延びた後に軸線CAに向けて屈曲した形状を有する。電極母材410の後端側は、主体金具300に接合されている。電極母材410の先端側には、電極チップ450が接合されている。電極チップ450は、中心電極100との間に間隙SGを形成する。
本実施形態では、電極母材410の材質は、中心電極100と同様に、ニッケル(Ni)を主成分とするニッケル合金である。本実施形態では、電極チップ450の材質は、白金(Pt)を主成分とし10質量%のニッケル(Ni)を含有する合金である。他の実施形態では、電極チップ450の材質は、電極母材410より耐久性に優れた材質であればよく、純粋な貴金属(例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)など)であってもよいし、これらの貴金属を主成分とする他の合金であってもよい。
A2.接地電極の電極チップ近傍の構成:
図2は、スパークプラグ10の接地電極400に設けられた電極チップ450の近傍の構成を示す断面図および平面図である。電極チップ450は、略円柱状の形状を有する。電極チップ450は、スパークプラグ10の軸線CAと電極チップ450の円柱の中心軸が一致するように、接地電極400に配される。
電極チップ450を接地電極400に設ける際には、以下のような処理が行われる。まず、電極チップ450が、電極母材410上の所定位置に配される。そして、電極チップ450と電極母材410とが抵抗溶接される。その結果、電極チップ450と電極母材410とが仮止めされる。その後、電極チップ450と電極母材410とが接触している部位に対して、電極チップ450の周りからレーザ光が照射され、電極チップ450と電極母材410とがレーザ溶接される。なお、レーザ溶接には、気体レーザ、固体レーザ、半導体レーザなど、任意のレーザを使用することができる。
レーザ溶接の際には、レーザ光は、電極チップ450の外周から電極チップ450の軸線CAに向かう向きであって、電極チップ450側から電極母材410側に向かう向きに、照射される。レーザ光の照射は、電極チップ450の周りから、電極チップ450および電極母材410に向かって、軸線CAを中心として互いに略均等な角度位置にある10〜20箇所について、行われる。
その結果、電極チップ450の一部と電極母材410の一部とが溶融され、それらが溶け合って、溶融部455が形成される。溶融部455が冷却され固化されると、電極チップ450のうち、軸線方向について、露出している側の端面453とは逆の側の端部454と、電極母材410とが、溶融部455を介して接合される。溶融しなかった電極チップ450のうち、電極母材410とは逆の側にある端部450pは円柱状の形状を有する。したがって、端面453は、円形である。なお、図2上段の断面図は、軸線CAを通り、接地電極400が軸線CAに向かって伸びる方向を含むA−A断面RPにおける断面図である(図2下段参照)。本実施形態において、断面RPは、溶融部455のうち最後に照射されたレーザ光によって溶融した部分WPLを含まない面である。
なお、本明細書においては、溶融部455が形成された後の状態を記述する場合は、最初に電極母材410とともに用意された電極チップ450のうち、溶融しなかった部分を「電極チップ450」と呼ぶ。また、溶融部455が形成された後の状態を記述する場合は、最初に電極チップ450とともに用意された電極母材410のうち、溶融しなかった部分を「電極母材410」と呼ぶ。
レーザ溶接の結果、形成された溶融部455は、軸線CAを通る断面において、以下で説明するような形状を有する。電極チップ450の各部位を表す符号を以下のように定める。
451:軸線CAに対して一方の側(図2において右側)にある電極チップ450の円柱状部分450pの外側面。
452:軸線CAに対して他方の側(図2において左側)にある電極チップ450の円柱状部分450pの外側面。
453:軸線方向について電極母材410が位置する側とは逆の側の電極チップ450の端面。
溶融部455の各部位を表す符号を以下のように定める。
Pa1:軸線CAに対して一方の側(図2において右側)にある溶融部455のうち、軸線方向について端面453から最も遠い点。
Pa2:軸線CAに対して他方の側(図2において左側)にある溶融部455のうち、軸線方向について端面453から最も遠い点。
Pa3:軸線CAに対して一方の側にある溶融部455のうち軸線CAから最も遠い点。
Pa4:軸線CAに対して他方の側にある溶融部455のうち軸線CAから最も遠い点。
Pa5:軸線CAに対して一方の側にある溶融部455のうち、軸線方向について端面453に最も近い点。
Pa6:軸線CAに対して他方の側にある溶融部455のうち、軸線方向について端面453に最も近い点。
Pa7:電極チップ450と電極母材410との界面IS0の端点であって、軸線CAに対して一方の側にある端点。
Pa8:電極チップ450と電極母材410との界面IS0の端点であって、軸線CAに対して他方の側にある端点。
RL:点Pa3と点Pa4とを通る直線である基準線。
電極チップ450の寸法を表す符号を以下のように定める。
W:軸線方向について電極母材410が位置する側とは逆の側の端における電極チップ450の幅(本実施形態において、円柱状部分450pの円柱の直径)。
軸線CAに対して一方の側にある電極チップ450および溶融部455の各部の寸法を表す符号を以下のように定める。
A1:電極チップ450の円柱状部分450pの外側面451と点Pa7との距離。
B1:電極チップ450の円柱状部分450pの外側面451と点Pa3との距離。
C1:基準線RLと点Pa5との距離。
D1:基準線RLと点Pa1との距離。
E1:軸線CAと点Pa1との距離。
なお、本明細書において、直線と点の距離は、点から直線に向かって下ろした垂線の長さとする。
軸線CAに対して他方の側にある電極チップ450および溶融部455の各部の寸法を表す符号を以下のように定める。
A2:電極チップ450の円柱状部分450pの外側面452と点Pa8との距離。
B2:電極チップ450の円柱状部分450pの外側面452と点Pa4との距離。
C2:基準線RLと点Pa6との距離。
D2:基準線RLと点Pa2との距離。
E2:軸線CAと点Pa2との距離。
本実施形態において、溶融部455は、軸線CAを通る断面において、以下の条件を満たす形状を有する。
C1≧D1 ・・・ (1)
かつ、
C2≧D2 ・・・ (2)
上記式(1)、(2)を満たすということは、上記式(1)、(2)を満たさない態様に比べて、より多く電極チップ450が溶けて溶融部455を構成しているということである。すなわち、このような態様とすることにより、上記式(1)、(2)を満たさない態様に比べて、溶融部455の素材中に占める電極チップ450の素材の割合を多くすることができる。その結果、溶融部455の熱膨張率(線膨張率)を電極チップ450の熱膨張率に近い値とすることができる。よって、スパークプラグ10がエンジンに取りつけられ、エンジンが運転されて燃焼サイクルが実行される際に、溶融部455と電極チップ450との熱膨張率の差に起因して、溶融部455と電極チップ450との界面IS1,IS2にクラックが発生し進展する可能性を低減することができる。また、その結果、クラック部分において、酸化スケールが進展する可能性も低減することができる。
なお、電極チップ450をより多く溶かして、溶融部455の素材中に占める電極チップ450の素材の割合を多くするということは、相対的に、溶融部455の素材中に占める電極母材410の素材の割合を少なくするということである。その結果、溶融部455の熱膨張率と電極母材410の熱膨張率の差は大きくなる。よって、溶融部455と電極母材410との界面IS3,IS4における歪みも相対的に増大する。
しかし、溶融部455と電極母材410の界面IS3,IS4は、溶融部455と電極チップ450の界面IS1,IS2よりも、火花ギャップSGから遠い位置にある(図1参照)。このため、溶融部455と電極母材410の界面IS3,IS4は、溶融部455と電極チップ450の界面IS1,IS2に比べて高温にならない。すなわち、溶融部455と電極チップ450の界面IS1,IS2に比べれば、高温時と低温時の寸法の変動量も小さい。このため、上記態様が効果を奏する程度に溶融部455の素材中に占める電極チップ450の素材の割合を多くしても、溶融部455と電極母材410の界面IS3,IS4においてクラックが生じる可能性は、相対的に低い。
なお、上記式(1)、(2)は、軸線CAをとおる任意の断面において満たされることが好ましい。しかし、通常、スパークプラグにおける接地電極のチップは、理想的には、回転対称に設けられる。このため、所定の断面において、上記式(1)、(2)が満たされれば、本実施形態の上述の効果は奏されると考えてよい。このため、上記式(1)、(2)が満たされるか否かは、電極チップ450の軸線を通り、かつ、接地電極400が伸びる方向を含む平面RP(図2の下段参照)において判断される。以下、溶融部455の断面形状について判断する際には、この断面RPを基準とする。なお、本実施形態において、断面RPは、レーザ溶接の際に最後に照射されたレーザ光によって溶融した部分WPL(図2の下段参照)を含まない面である。
一方、本実施形態において、軸線CA対して一方の側(図2において右側)において、溶融部455のうち端面453から最も遠い点Pa1は、軸線CAに垂直な方向について、軸線CAから円柱状部分450pの外側面451までの長さ(W/2)の2/3よりも軸線CAに近い位置にある。また、軸線CA対して一方の側(図2において左側)において、溶融部455のうち端面453から最も遠い点Pa2は、軸線CAに垂直な方向について、軸線CAから円柱状部分450pの外側面451までの長さ(W/2)の2/3よりも軸線CAに近い位置にある。すなわち、溶融部455は、軸線CAを通る断面において、以下の条件を満たす形状を有する。
E1 < W/3 ・・・ (3)
かつ、
E2 < W/3 ・・・ (4)
このような態様とすることにより、上記式(3)、(4)を満たさない態様に比べて、溶融部455と電極チップ450とは、より広い界面IS1,IS2で接する。また、溶融部455と電極母材410も、上記式(3)、(4)を満たさない態様に比べて、より広い界面IS3,IS4で接する。このため、電極チップ450が溶融部455を介して電極母材410に強固に接合される。
なお、本実施形態の溶融部455は、以下の条件も満たしている。
A1+A2 > B1+B2
上記の式を満たすということは、溶融部455の外側面451,452からの外部への広がり量(B1+B2)に対して、外側面451,452からの内部(軸線CA側)への広がり量(A1+A2)が大きいということである。そのような態様においては、溶融部455の外側面451,452の外に流出する溶融部455が少なく、溶融部455の外側面451,452の内部において、より多く電極チップ450が溶けて、溶融部455との界面を形成している。その結果、溶融部455の電極母材410側の端部454を、溶融部455とより広い面積で強固に接合することができる。
A3.接地電極の電極チップ近傍の他の構成:
図3は、スパークプラグ10の接地電極400に設けられた電極チップ450の近傍の他の構成を示す断面図である。図2の態様においては、断面RP内において、溶融部455の形状は軸線CAに対して非対称である。これに対して、図3に示す態様においては、断面RP内において、溶融部455の形状は軸線CAに対して略対称である。他の点は、図3の溶融部455の形状は図2の溶融部455の形状と同じである。なお、本明細書において、「ある線に対して略対称」とは、二つの図形のうちの一方を、その線を軸に反転した際に、90%以上の面積を有する部分が他方の図形と重なることをいう。
図3の態様の溶融部455は、たとえば、図2の態様の溶融部455の生成に比べて、電極チップ450および電極母材410の軸心CAを中心とした各方向についての品質を、より均質に近づける、レーザ溶接の際のレーザ光の出力を安定させる、などの方法により、生成することができる。図3の態様においても、上記式(1)〜(4)の条件を満たしうる。
前述のように、レーザ溶接の際、レーザ光の照射は、電極チップ450の周りから、電極チップ450および電極母材410に向かって、軸線CAを中心として互いに略均等な角度位置にある10〜20箇所について、行われる。そして、形成される溶融部455の3次元形状は、軸線CAを中心として、回転対称であることが望ましい(図3参照)。そのような態様においては、溶融部455の一部に、応力が集中しにくく、その結果、クラックが発生しにくい。このため、溶融部455と電極チップ450との界面IS1,IS2にクラックが発生し、進展する可能性を、より低減することができる。
なお、電極チップ450の素材(例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)など)の融点は、電極チップ450の素材であるニッケル合金の融点よりも高い。このため、電極チップ450と電極母材410との界面IS0近傍の所定の範囲の温度が、レーザ光の照射により、電極チップ450の融点と電極母材410の融点との間の温度になった場合は、その部位の電極母材410が溶融するのに対して、電極チップ450は溶融しない。その結果、図2における点Pa7近傍のように、溶融していない電極チップ450の端面に溶融部455が接することとなる。
図4は、スパークプラグ10の接地電極400に設けられた電極チップ450の近傍の他の構成を示す断面図である。図2の態様においては、断面RP内において、溶融部455は、軸線CA近傍には分布していない。そして、電極チップ450と電極母材410とが接している界面IS0が存在する。これに対して、図4に示す態様においては、溶融部455は、軸線CAに対して一方の側にある電極チップ450の外側面451から、軸線CA近傍を経て、軸線CAに対して他方の側にある電極チップ450の外側面452に至っている。そして、軸線CAに対して他方の側にある溶融部455のうち端面453から最も遠い点Pa2は、軸線CA上にある。他の点は、図4の溶融部455の形状は図2の溶融部455の形状と同じである。
図4の態様の溶融部455は、たとえば、図2の態様の溶融部455の生成に比べて、レーザ光の出力を高くする、レーザ光の照射対象位置を軸線方向についてより電極チップ450の端面453に近い位置にする、などの方法により、生成することができる。図4の態様においても、上記式(1)〜(4)の条件を満たしうる。
電極チップ450の素材(例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)など)の熱膨張係数は、電極チップ450の素材であるニッケル合金の熱膨張係数よりも、2〜3割小さい。このため、電極チップ450と電極母材410との界面IS0が存在する態様(図2および図3参照)においては、エンジンの熱サイクルの温度変化のために、界面IS0において他の界面IS1〜IS4に比べて大きい歪みが生じる。そして、界面IS0の端(図2および図3における点Pa7,Pa8参照)において歪みが最大となり、そこからクラックが生じる可能性がある。そして、そのクラックは、界面IS0だけでなく、溶融部455と電極チップ450との界面IS1,IS2にも進展し、やがて電極チップ450の電極母材410からの脱落に至る可能性がある。
これに対して、図4に示す態様においては、電極チップ450の電極母材410側の端部454のすべてが、溶融部455を介して、電極母材410に接合されている。そして、電極チップ450と電極母材410との間には、溶融部455が存在し、電極チップ450と電極母材410との界面IS0(図2および図3参照)が存在しない。このため、接地電極400内部(界面IS0)から、溶融部455と電極チップ450との界面IS1,IS2にクラックが進展する可能性を、低減することができる。
図5は、スパークプラグ10の接地電極400に設けられた電極チップ450の近傍の他の構成を示す断面図である。図2の態様においては、断面RP内において、電極チップ450の外側面451に照射されたレーザ光によって形成される溶融部455は、軸線CAに達していない。また、電極チップ450の外側面452に照射されたレーザ光によって形成される溶融部455も、軸線CAに達していない。これに対して、図5の態様においては、電極チップ450の外側面451に照射されたレーザ光によって形成される溶融部455は、軸線CAを挟んで逆の側にまで達している。電極チップ450の外側面452に照射されたレーザ光によって形成される溶融部455も、軸線CAを挟んで逆の側にまで達している。その結果、溶融部455と電極母材410との界面IS3,IS4は、図2の態様に比べて複雑な曲面を有している。他の点は、図5の溶融部455の形状は図2の溶融部455の形状と同じである。
図5の態様の溶融部455は、たとえば、図2の態様の溶融部455の生成に比べて、レーザ光の径を細くする、レーザ光の出力を高くする、などの方法により、生成することができる。図5の態様においても、上記式(1)〜(4)の条件を満たしうる。
図5の態様においては、溶融部455と電極母材410との界面IS3,IS4を表す境界は、急な角度で折れ曲がる複雑な曲線を描いている。このため、溶融部455と電極母材410との界面IS3,IS4においてクラックが生じても、そのクラックが界面IS3,IS4に沿って進展しにくい。
また、溶融部455と電極母材410とは、互いに噛み合ったような態様で配されている。言い換えれば、溶融部455の凹部に電極母材410の凸部が勘合し、電極母材410の凹部に溶融部455の凸部が勘合したような態様で、溶融部455と電極母材410とが配されている。このため、溶融部455と電極母材410との界面IS3,IS4においてクラックが生じても、溶融部455が電極母材410から脱落しにくい。
図6は、スパークプラグ10の接地電極400に設けられた電極チップ450の近傍の他の構成を示す断面図である。図4の態様においては、断面RP内において、溶融部455の形状は軸線CAに対して非対称である。これに対して、図6に示す態様においては、断面RP内において、溶融部455の形状は軸線CAに対して略対称である。そして、溶融部455のうち端面453から最も遠い点Pa1,Pa2は、同一の点である。また、図6に示す態様においては、溶融部455と電極チップ450との界面IS1,IS2のうち、電極チップ450の端面453から最も遠い点Pa9は、図4の態様よりも電極チップ450の端面453に近い位置(図4および図6の上方)にある。他の点は、図6の溶融部455の形状は図4の溶融部455の形状と同じである。
図6の態様の溶融部455は、たとえば、図4の態様の溶融部455の生成に比べて、レーザ光の径を太くする、レーザ光の照射対象位置を、軸線方向についてより電極チップ450の端面453に近い位置にする、などの方法により、形成することができる。図6の態様においても、上記式(1)〜(4)の条件を満たしうる。
前述のように、溶融部455の3次元形状は、軸線CAを中心として、回転対称であることが望ましい(図6参照)。そのような態様においては、溶融部455の一部にクラックが発生しやすい部位ができにくい。このため、溶融部455と電極チップ450との界面IS1,IS2にクラックが発生および進展する可能性を、より低減することができる。
また、軸線方向について、電極チップ450の端部454全体にわたって、電極チップ450と電極母材410の間に溶融部455が厚く存在する。このため、電極チップ450の熱膨張率と電極母材410の熱膨張率との差異を溶融部455で吸収しやすい。よって、溶融部455と電極チップ450との界面IS1,IS2、ならびに溶融部455と電極母材410との界面IS3,IS4にクラックが発生および進展する可能性を、より低減することができる。
なお、本実施形態における電極チップ450が「課題を解決するための手段」における「チップ」に相当する。軸心CAが「中心軸」に相当する。断面RPが「中心軸を通る断面」に相当する。点Pa1〜Pa6が、それぞれ「第1の点」〜「第6の点」に相当する。
A4.実施例:
上記の各寸法を様々な値に設定して生成したサンプルを使用して、電極チップ450の耐剥離性を評価する試験を行った。なお、試験にあたっては、電極チップ450と電極母材410との界面IS0が存在する試料、すなわち電極チップ450の底面の溶け残りがある試料(図2、図3および図5参照)と、界面IS0すなわち溶け残りがない試料(図4および図6参照)とを用意した。試験に用いたスパークプラグの接地電極は、以下の構成を有する。
電極母材の材質:インコネル601
接地電極の幅:2.5mm
電極チップの材質:白金(Pt)を主成分としロジウム(Rh)20質量%を含有する合金。
なお、「接地電極の幅」とは、接地電極が伸びる方向および軸線方向に垂直な方向(X軸方向)についての電極チップが取りつけられる面の寸法である。なお、電極チップが取りつけられる部分は、接地電極が伸びる方向(Y軸方向)については、幅以上の十分な寸法を有する。
排気量1.5Lの4気筒エンジンの一つのシリンダに試験品のスパークプラグを取りつけ、他のシリンダについては、全実験について同じプラグを取りつけて、試験を行った。試験は、スロットル全開(エンジン回転数:5000rpm)で1分間運転し、その後1分間、運転を停止する処理を、100時間繰り返すことにより行った。
評価は、スパークプラグの軸線CAを通り、接地電極400が軸線CAに向かって伸びる方向を含む断面RP(図2の下段参照)において、電極チップと溶融部との界面における酸化スケールの大きさを測定することにより行った。より具体的には、軸線方向に酸化スケールを投影したときの軸線CAに垂直な方向(図2においてY軸方向)についての酸化スケールの長さの合計値のWに対する割合Raに基づいて、耐剥離性を評価した。なお、本実施形態において、断面RPは、レーザ溶接の際に最後に照射されたレーザ光によって溶融した部分WPL(図2の下段参照)を含まない面である。
図7は、以上のような条件の下で行った耐剥離性試験の結果を示す表である。図7の表において、各寸法の単位はすべて「mm」である。酸化スケールの長さの合計値のWに対する割合Raが50%以下のものには、図7の表において、「優」を表す二重丸を付した。Raが50%より大きく90%以下のものには、「良」を表す丸を付した。Raが90%以上のものには、「劣」を表すXを付した。なお、表には示していないが、試料1〜15のスパークプラグは、いずれも上記式(3)および(4)の条件を満たす。
図7の表において、試料3〜5、試料7〜10、ならびに試料12〜15は、C1/D1,C2/D2がともに1.0以上であり、上記式(1)、(2)をともに満たす。これらの試料については、耐剥離性は、「優」(二重丸)または「良」(丸)であった。このことから、上記式(1)、(2)をともに満たすスパークプラグにおいては、耐剥離性が良好であることが分かる。
さらに、図7の表において、試料3〜5、試料8〜10、ならびに試料13〜15は、以下の式(5)、(6)をともに満たす。これらの試料については、耐剥離性は、「優」(二重丸)であった。このことから、下記式(5)、(6)をともに満たすスパークプラグにおいては、耐剥離性がさらに良好であることが分かる。
C1/D1 ≧ 1.2 ・・・ (5)
C2/D2 ≧ 1.2 ・・・ (6)
式(5)および(6)を満たす形状を有する溶融部455を備えたスパークプラグは、上記式(5)、(6)を満たさない態様に比べて、溶融部455の素材中に占める電極チップ450の素材の割合をさらに多くすることができる。その結果、溶融部455の熱膨張率(線膨張率)を電極チップ450の熱膨張率に近い値とすることができる。よって、エンジンが運転されて燃焼サイクルが実行される際に、溶融部455と電極チップ450との界面にクラックが発生し進展する可能性をさらに低減することができる。また、その結果、クラック部分において、酸化スケールが進展する可能性もさらに低減することができる。
また、図7の表において、試料3〜5、試料9〜10、ならびに試料15は、上記式(1)、(2)をともに満たし、さらに、チップ底面の溶け残りがない試料である(図4および図6参照)。これらの試料については、耐剥離性は、「優」(二重丸)であった。このことから、上記式(1)、(2)をともに満たし、さらに、チップ底面の溶け残りがないスパークプラグ(図4参照)においては、耐剥離性がさらに良好であることが分かる。
B.変形例:
B1.変形例1:
上記実施形態においては、電極母材410に接合される前の電極チップ450は円柱であり、電極母材410に接合された後の電極チップ450の端部450pは円柱状の形状を有する。しかし、電極母材に接合される前の電極チップは、四角柱や六角柱など、他の形状を有していてもよい。そして、電極母材に接合された後の電極チップの端部も、四角柱や六角柱など、他の形状を有していてもよい。ただし、電極チップおよび電極チップの端部は、柱状の形状を有することが好ましく、軸を中心とした回転対称の形状を有することがさらに好ましい。
なお、本明細書において、「柱状」とは、所定の方向に沿って、その方向に垂直な任意の断面における断面形状が一定である3次元形状をいう。そして、「柱状の形状の中心軸」とは、柱状部分が伸びる方向に平行な軸であって、柱状部分が伸びる方向に垂直な面における柱状部分の断面の図心を通る軸である。
B2.変形例2:
図2の実施形態においては、溶融部455の形状は、A1+A2 > B1+B2の条件を満たす。しかし、溶融部455の形状は、A1+A2 ≦ B1+B2となるようなものであってもよい。
B3.変形例3:
図2〜図6に示した実施形態においては、溶融部455のうち軸線CAから最も遠い点Pa3,Pa4は、電極母材410の表面上にある。このため、点Pa3と点Pa4とを通る直線である基準線RLは、電極母材410の表面を表す線と一致している。しかし、点Pa3と点Pa4は、必ずしも電極母材410の表面上にある必要はない。
また、上記実施形態においては、電極母材410の表面は平面であったため、点Pa3,Pa4が電極母材410の表面上にある上記実施形態では、断面RPにおける電極母材410の表面と基準線RLは一致した。しかし、電極母材410の表面は平面でなくともよい。
点Pa3,Pa4が電極母材410の表面上になく、または、電極チップが接合される電極母材の表面が平面でない態様においても、基準線RLに基づいて定められる上記式(1)、(2)を満たす限り、上記式(1)、(2)を満たさない態様に比べて、溶融部455の熱膨張率(線膨張率)を電極チップ450の熱膨張率に近い値とすることができる。このため、電極チップと溶融部の界面におけるクラックおよび酸化スケールの発生および進展を抑制することができる。
B4.変形例4:
図2、図3および図5に示す実施形態においては、電極チップ450と電極母材410との界面IS0が存在する。そして、図4および図6に示す実施形態においては、界面IS0は存在せず、電極チップ450の端部454のすべてが、溶融部455に接合されている。しかし、電極チップ450の溶融部455への接合態様は、他の態様であってもよい。たとえば、電極チップ450の端部454は、溶融部455および電極母材410以外の構成との界面を有していてもよい。
B5.変形例5:
上記実施例においては、電極チップの直径Wが0.8mm、1.0mm、1.5mmのものについて、試験を行った。しかし、電極チップの直径Wが他の大きさであっても、上記式(1)、(2)を満たす限り、上記式(1)、(2)を満たさない態様に比べて、溶融部の熱膨張率を電極チップの熱膨張率に近い値とすることができる。このため、電極チップと溶融部の界面におけるクラックおよび酸化スケールの発生および進展を抑制することができる。
B6.変形例6:
上記実施形態においては、溶融部の断面形状について判断する際の基準となる断面RPは、溶融部455のうち最後に照射されたレーザ光によって溶融した部分WPLを含まない面である。しかし、溶融部の断面形状について判断する際の基準となる断面は、溶融部455のうち最後に照射されたレーザ光によって溶融した部分WPLを含んでいてもよい。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…スパークプラグ
90…内燃機関
100…中心電極
190…端子金具
200…絶縁体
290…軸孔
300…主体金具
310…端面
400…接地電極
410…電極母材
450…電極チップ
450p…電極チップの端部
451,452…電極チップの外側面
453…電極チップの端面
455…溶融部
910…内壁
920…燃焼室
CA…軸線
IS0…電極チップ450と電極母材410との界面
IS1,IS2…溶融部455と電極チップ450との界面
IS3,IS4…溶融部455と電極母材410との界面
RL…基準線
SG…間隙(火花ギャップ)
Pa1…軸線CAに対し一方の側にある溶融部455のうち端面453から最も遠い点
Pa2…軸線CAに対し他方の側にある溶融部455のうち端面453から最も遠い点
Pa3…軸線CAに対して一方の側にある溶融部455のうち軸線CAから最も遠い点
Pa4…軸線CAに対して他方の側にある溶融部455のうち軸線CAから最も遠い点
Pa5…軸線CAに対して一方の側にある溶融部455のうち端面453に最も近い点
Pa6…軸線CAに対して他方の側にある溶融部455のうち端面453に最も近い点
Pa7…界面IS0の軸線CAに対して一方の側にある端点
Pa8…界面IS0の軸線CAに対して他方の側にある端点
Pa9…界面IS1,IS2のうち、電極チップ450の端面453から最も遠い点
WPL…電極チップと電極母材の溶接の際に最後に溶接された部分

Claims (3)

  1. 一端側が柱状であって貴金属を主成分とするチップと、電極母材とを有し、前記チップと前記電極母材とが溶け合った溶融部を介して、前記チップの他端側の少なくとも一部が前記電極母材に接合された接地電極を備え、
    前記柱状部分の中心軸を通る断面において、前記溶融部のうち前記中心軸に対して一方の側にあり前記中心軸の方向について最も前記チップの一端側の面から遠い第1の点と、前記溶融部のうち前記中心軸に対して他方の側にあり前記中心軸の方向について最も前記チップの一端側の面から遠い第2の点とが、前記中心軸に垂直な方向について、それぞれ前記中心軸から前記柱状部分の外側面までの長さの2/3よりも前記中心軸に近い位置にあるスパークプラグであって、
    前記断面において、前記溶融部のうち前記中心軸に対して前記一方の側にあり前記中心軸から最も遠い第3の点と、前記溶融部のうち前記中心軸に対して前記他方の側にあり前記中心軸から最も遠い第4の点と、を結んだ線を、基準線とし、
    前記溶融部のうち前記中心軸に対して前記一方の側にあり前記中心軸の方向について前記チップの前記一端側の面に最も近い第5の点と、前記基準線との距離をC1とし、
    前記溶融部のうち前記中心軸に対して前記他方の側にあり前記中心軸の方向について前記チップの前記一端側の面に最も近い第6の点と、前記基準線との距離をC2とし、
    前記第1の点と前記基準線との距離をD1とし、
    前記第2の点と前記基準線との距離をD2としたとき、
    C1≧D1、かつ、C2≧D2
    の関係を満たす、スパークプラグ。
  2. 請求項1記載のスパークプラグであって、
    C1/D1≧1.2、かつ、C2/D2≧1.2
    の関係を満たす、スパークプラグ。
  3. 請求項1または2記載のスパークプラグであって、
    前記チップの他端側は、前記電極母材と直接接触せず、前記溶融部を介して前記電極母材に接合されている、スパークプラグ。
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