JP2016010863A - 液滴吐出方法および液滴吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のヘッド(ノズル列)を使用する液滴吐出装置の色彩むらや濃度むら、光沢むらを低減する。
【解決手段】液滴吐出方法は、第1ノズル列に対応する第1補正量テーブルと、第2ノズル列に対応する第2補正量テーブルと、形成するドット列の階調に基づいて得られた、ドット列を形成するための第1ノズル列と第2ノズル列のノズル列使用率と、に基づいてドット列を形成するために単位面積当たりに吐出する液滴の量を補正する。
【選択図】図20
【解決手段】液滴吐出方法は、第1ノズル列に対応する第1補正量テーブルと、第2ノズル列に対応する第2補正量テーブルと、形成するドット列の階調に基づいて得られた、ドット列を形成するための第1ノズル列と第2ノズル列のノズル列使用率と、に基づいてドット列を形成するために単位面積当たりに吐出する液滴の量を補正する。
【選択図】図20
Description
本発明は、液滴吐出方法および液滴吐出装置に関する。
従来、液滴吐出装置として、液滴(インク滴)を印刷媒体の表面に吐出することで画像を形成するインクジェットプリンターが知られている。インクジェットプリンターは、紙や布などの印刷媒体を搬送方向に移動させる搬送動作と、複数のノズルが形成されたヘッドを印刷媒体の搬送方向と交差する走査方向に走査移動させながら各ノズルからインク滴を吐出するドット形成動作とを交互に繰り返し、走査方向に並ぶドットの列(ドット列)を搬送方向に並べて形成し、印刷媒体上に画像を形成する。このようなインクジェットプリンターでは、より高精細な画像を高速に形成するために、より微細なノズルを高密度に配列したヘッドを複数用いるようになってきた。
複数のヘッドを用いた場合、ヘッドごとのインク吐出特性の差が色彩むらを引き起こすことがある。特許文献1には、この色彩むらを改善する技術として、ドット列ごとのヘッドの使用率に応じて、それぞれのヘッドのインク吐出特性の補正値に基づく補正結果が重み付けされてインク吐出量を補正する方法が提案されている。
また、複数のドットで画素を形成する場合、極近接するドットが形成されるタイミングの違いによってインクのにじみ易さが変わり、濃度むらや光沢むらを引き起こす場合がある。特許文献2には、この濃度むらを抑制する技術として、にじみを抑制する対象のドットは、インクを吐出するタイミングが早い先行ノズルの使用率を高めて形成し、インクの乾燥を促進させることで、にじみの発生を抑制する方法が提案されている。
また、複数のドットで画素を形成する場合、極近接するドットが形成されるタイミングの違いによってインクのにじみ易さが変わり、濃度むらや光沢むらを引き起こす場合がある。特許文献2には、この濃度むらを抑制する技術として、にじみを抑制する対象のドットは、インクを吐出するタイミングが早い先行ノズルの使用率を高めて形成し、インクの乾燥を促進させることで、にじみの発生を抑制する方法が提案されている。
しかしながら、上述した色彩むらと濃度むらや光沢むらの双方を改善することができないという課題があった。具体的には、特許文献1に記載の方法では、形成する画像のインク階調によっては、濃度むらや光沢むらが発生してしまう場合があり、特許文献2に記載の方法では、インク吐出特性の差によって色彩むらが発生してしまう場合があるという課題であった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
[適用例1] 本適用例にかかる液滴吐出方法は、印刷媒体を搬送方向に移動する搬送動作と、複数のノズルが前記搬送方向に並んだ第1ノズル列と第2ノズル列とを前記搬送方向と交差する走査方向に走査移動させつつ前記ノズルから前記印刷媒体に液滴を吐出する液滴吐出動作と、を交互に繰り返すことにより、前記走査方向に並ぶドットから構成されるドット列を前記搬送方向に複数形成する液滴吐出方法であって、前記第1ノズル列に対応する第1補正量テーブルと、前記第2ノズル列に対応する第2補正量テーブルと、形成する前記ドット列の階調に基づいて得られた、前記ドット列を形成するための前記第1ノズル列と前記第2ノズル列のノズル列使用率と、に基づいて前記ドット列を形成するために単位面積あたりに吐出する前記液滴の量を補正することを特徴とする。
本適用例の液滴吐出方法は、印刷媒体を搬送方向に移動する搬送動作と、複数のノズルが搬送方向に並んだ第1ノズル列と第2ノズル列とを搬送方向と交差する走査方向に走査移動させつつノズルから印刷媒体に液滴を吐出する液滴吐出動作と、を交互に繰り返すことにより、走査方向に並ぶドットから構成されるドット列を搬送方向に複数形成する液滴吐出方法である。
本適用例によれば、第1ノズル列に対応する第1補正量テーブルと、第2ノズル列に対応する第2補正量テーブルと、形成するドット列の階調に基づくノズル列使用率とに基づいてドット列を形成する単位面積あたりの液滴の量が補正される。
本適用例によれば、第1ノズル列に対応する第1補正量テーブルと、第2ノズル列に対応する第2補正量テーブルと、形成するドット列の階調に基づくノズル列使用率とに基づいてドット列を形成する単位面積あたりの液滴の量が補正される。
第1補正量テーブルは、第1ノズル列により形成されたドット列から構成される第1パターンに基づいて得られた第1ノズル列のノズルが吐出する液滴の量を補正する補正量テーブルである。つまり、第1補正量テーブルに基づけば、第1ノズル列のノズルの液滴吐出特性に応じて第1ノズル列のノズルからの液滴の吐出を補正することができる。その結果、第1ノズル列と第2ノズル列との特性差による色彩むらなどを抑制することができる。
第2補正量テーブルは、第2ノズル列により形成されたドット列から構成される第2パターンに基づいて得られた第2ノズル列のノズルが吐出する液滴の量を補正する補正量テーブルである。つまり、第2補正量テーブルに基づけば、第2ノズル列のノズルの液滴吐出特性に応じて第2ノズル列のノズルからの液滴の吐出を補正することができる。その結果、第1ノズル列と第2ノズル列との特性差による色彩むらなどを抑制することができる。
ノズル列使用率は、形成するドット列の階調に基づいて得られたドット列を形成するための第1ノズル列と第2ノズル列のノズル列使用率である。つまり、ノズル列使用率に基づけば、形成するドット列の階調に応じて、第1ノズル列と第2ノズル列のノズル列使用率が決定される。その結果、近接するドットが形成されるタイミングの違いによって発生する濃度むらや光沢むら(以下光沢むらを含み濃度むらと言う)などを抑制することができる。
従って、本適用例によれば、第1ノズル列と第2ノズル列との特性差による色彩むらや、近接するドットが形成されるタイミングの違いによって発生する濃度むらなどを抑制することができる。
[適用例2] 上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記階調は、形成する前記ドット列の平均階調であることを特徴とする。
本適用例によれば、形成するドット列の平均階調に基づいて、第1ノズル列と第2ノズル列のノズル列使用率が決定されるため、第1ノズル列と第2ノズル列との特性差による色彩むらや、近接するドットが形成されるタイミングの違いによって発生する濃度むらなどをより簡便に行うことができる。
[適用例3] 上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記ノズル列使用率に基づいて、前記第1補正量テーブルと前記第2補正量テーブルの重み付けを行うことにより前記ドット列を形成するために単位面積あたりに吐出する前記液滴の量を補正することを特徴とする。
本適用例によれば、ノズル列使用率に基づいて、第1補正量テーブルと第2補正量テーブルの重み付けを行うことによりドット列を形成するために単位面積あたりに吐出する液滴の量を補正する。つまり、補正された第1ノズル列と第2ノズル列のノズル列使用率に基づいて第1補正量テーブルと第2補正量テーブルのそれぞれを重みづけして補正を行うため、より適正に補正することができる。
[適用例4] 本適用例にかかる液滴吐出装置は、印刷媒体を搬送方向に移動する搬送部と、前記印刷媒体に液滴を吐出する複数のノズルが前記搬送方向に並んだ第1ノズル列と第2ノズル列と、前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とを前記搬送方向と交差する走査方向に走査移動する走査移動部と、前記搬送部および前記走査移動部の駆動制御と前記ノズルからの前記液滴の吐出制御とをすることにより、前記走査方向に並ぶドットから構成されるドット列を前記搬送方向に複数形成する制御部と、を備え、前記第1ノズル列に対応する第1補正量テーブルと、前記第2ノズル列に対応する第2補正量テーブルと、形成する前記ドット列の階調に基づいて得られた、前記ドット列を形成するための前記第1ノズル列と前記第2ノズル列のノズル列使用率と、に基づいて前記ドット列を形成するために単位面積あたりに吐出する前記液滴の量が補正されることを特徴とする。
本適用例によれば、液滴吐出装置は、印刷媒体を搬送方向に移動する搬送部と、印刷媒体に液滴を吐出する複数のノズルが搬送方向に並んだ第1ノズル列と第2ノズル列と、第1ノズル列と第2ノズル列とを搬送方向と交差する走査方向に走査移動する走査移動部と、搬送部および走査移動部の駆動制御とノズルからの液滴の吐出制御とをすることにより、走査方向に並ぶドットから構成されるドット列を搬送方向に複数形成する制御部とを備えている。また、第1ノズル列に対応する第1補正量テーブルと、第2ノズル列に対応する第2補正量テーブルと、形成するドット列の階調に基づいて得られた、ドット列を形成するための第1ノズル列と第2ノズル列のノズル列使用率と、に基づいてドット列を形成するために単位面積あたりに吐出する液滴の量が補正される。
従って、本適用例の液滴吐出装置によれば、第1ノズル列と第2ノズル列との特性差による色彩むらや、近接するドットが形成されるタイミングの違いによって発生する濃度むらなどが抑制された画像を得ることができる。
従って、本適用例の液滴吐出装置によれば、第1ノズル列と第2ノズル列との特性差による色彩むらや、近接するドットが形成されるタイミングの違いによって発生する濃度むらなどが抑制された画像を得ることができる。
以下に本発明を具体化した実施形態について、図面を参照して説明する。以下は、本発明の一実施形態であって、本発明を限定するものではない。なお、以下の各図においては、説明を分かりやすくするため、実際とは異なる尺度で記載している場合がある。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る「液滴吐出装置」としてのインクジェットプリンター100の全体構成を示すブロック図、図2は、斜視図である。
なお、図に付記するXYZ軸において、インクジェットプリンター100はX−Y平面上に設置されている。また、±X方向(X軸方向)を後述する走査方向、Y方向を後述する搬送方向、Z方向を高さ方向として説明する。
まず、インクジェットプリンター100の基本構成について説明する。
図1は、実施形態1に係る「液滴吐出装置」としてのインクジェットプリンター100の全体構成を示すブロック図、図2は、斜視図である。
なお、図に付記するXYZ軸において、インクジェットプリンター100はX−Y平面上に設置されている。また、±X方向(X軸方向)を後述する走査方向、Y方向を後述する搬送方向、Z方向を高さ方向として説明する。
まず、インクジェットプリンター100の基本構成について説明する。
<インクジェットプリンターの基本構成>
インクジェットプリンター100は、「搬送部」としての搬送ユニット20、「走査移動部」としてのキャリッジユニット30、ヘッドユニット40、および「制御部」としてのコントローラー60を有する。外部装置であるパーソナルコンピューター110(ユーザーが使用するコンピューター。以下PC110と言う。)から印刷データを受信したインクジェットプリンター100は、コントローラー60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラー60は、PC110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、「印刷媒体」としての用紙10に画像を印刷(画像形成)する。
インクジェットプリンター100は、「搬送部」としての搬送ユニット20、「走査移動部」としてのキャリッジユニット30、ヘッドユニット40、および「制御部」としてのコントローラー60を有する。外部装置であるパーソナルコンピューター110(ユーザーが使用するコンピューター。以下PC110と言う。)から印刷データを受信したインクジェットプリンター100は、コントローラー60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラー60は、PC110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、「印刷媒体」としての用紙10に画像を印刷(画像形成)する。
印刷データは、例えば、デジタルカメラなどによって得られた一般的なRGBのデジタル画像情報を、PC110が備える一般的な画像処理アプリケーションソフトウェア(以下アプリケーションと言う)およびプリンタードライバーソフトウェア(以下プリンタードライバーと言う)によってインクジェットプリンター100で印刷できるように変換処理した画像形成用のデータである。
搬送ユニット20は、用紙10を所定の搬送方向(図2に示すY方向)に移動させるためのものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラー21、搬送モーター22、搬送ローラー23、プラテン24、排紙ローラー25などを有する。給紙ローラー21は、紙挿入口に挿入された用紙10をインクジェットプリンター100の内部に給紙するためのローラーである。搬送ローラー23は、給紙ローラー21によって給紙された用紙10を印刷可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーター22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の用紙10を支持する。排紙ローラー25は、用紙10をプリンターの外部に排出するローラーであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
キャリッジユニット30は、後述するヘッド41を所定の移動方向(図2に示すX軸方向、以下走査方向ともいう)に移動(走査)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモーター32などを有する。キャリッジ31は、走査方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター32によって駆動される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジ6を着脱可能に保持している。
ヘッドユニット40は、用紙10にインクを「液滴」(以下インク滴ともいう)として吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に搭載されているため、キャリッジ31が走査方向に移動すると、ヘッド41も走査方向に移動する。ヘッド41が走査方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、走査方向に並ぶドットから構成されるドット列(以下ラスタラインとも言う)が用紙10に形成される。
なお、ヘッド41は、2つのヘッド(第1ノズル群41Aおよび第2ノズル群41B)を備えている。ヘッド41の構成については、後述する。
なお、ヘッド41は、2つのヘッド(第1ノズル群41Aおよび第2ノズル群41B)を備えている。ヘッド41の構成については、後述する。
コントローラー60は、インクジェットプリンター100の制御を行うための制御部である。コントローラー60は、インターフェイス部61、CPU62、メモリー63、ユニット制御回路64などを有する。インターフェイス部61は、外部装置であるPC110とインクジェットプリンター100との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROMなどの記憶素子を有する。
CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。
CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。
更に、コントローラー60には駆動信号生成部65が設けられている。駆動信号生成部65は、第1駆動信号生成部65Aと第2駆動信号生成部65Bとを備えている。第1駆動信号生成部65Aは、第1ノズル群41Aのピエゾ素子を駆動するための第1駆動信号を生成する。第2駆動信号生成部65Bは、第2ノズル群41Bのピエゾ素子を駆動するための第2駆動信号を生成する。各駆動信号生成部は、奇数番ドット(後述)にドットを形成する場合には奇数番ドット用の駆動信号を生成し、偶数番ドット(後述)にドットを形成する場合には偶数番ドット用の駆動信号を生成する。各駆動信号生成部は互いに独立しており、例えば、第1駆動信号生成部65Aが奇数番ドット用の駆動信号を生成しているときに、第2駆動信号生成部65Bは、奇数番ドット用の駆動信号を生成することもできるし、偶数番ドット用の駆動信号を生成することもできる。
印刷を行うとき、コントローラー60は、走査方向に移動中のヘッド41から液滴としてのインクを吐出させる「液滴吐出動作」と、搬送方向に用紙10を移動する「搬送動作」とを交互に繰り返し、複数のドットから構成される画像を用紙10に印刷する。なお、液滴吐出動作のことを「パス」と呼び、n回目のパスのことを「パスn」と呼ぶことがある。
<ヘッドの構成>
図3は、ヘッド41が有するノズルの配列の一例を示す説明図である。ヘッド41は、第1ノズル群41Aと第2ノズル群41Bの2つのノズル群を備えている。各ノズル群には、8個のノズル列が設けられており、ヘッド41の下面には、これらノズルの吐出口が開口している。8個のノズル列は、それぞれ濃シアン(C)、濃マゼンタ(M)、イエロー(Y)、濃ブラック(K)、淡シアン(LC)、淡マゼンタ(LM)、淡ブラック(LK)、極淡ブラック(LLK)のインクを吐出する。
図3は、ヘッド41が有するノズルの配列の一例を示す説明図である。ヘッド41は、第1ノズル群41Aと第2ノズル群41Bの2つのノズル群を備えている。各ノズル群には、8個のノズル列が設けられており、ヘッド41の下面には、これらノズルの吐出口が開口している。8個のノズル列は、それぞれ濃シアン(C)、濃マゼンタ(M)、イエロー(Y)、濃ブラック(K)、淡シアン(LC)、淡マゼンタ(LM)、淡ブラック(LK)、極淡ブラック(LLK)のインクを吐出する。
各ノズル列には、搬送方向に並ぶ180個のノズル(ノズル#1A〜#180A、ノズル#1B〜#180B)が180dpiのノズルピッチで設けられている。図3においては、搬送方向下流側(+Y側)のノズルほど若い番号を付している。各ノズルには、各ノズルからインク滴を吐出させるための駆動素子としてピエゾ素子(図示省略)が設けられている。
第1ノズル群41Aは、第2ノズル群41Bよりも搬送方向下流側に設けられている。また、4個のノズルの搬送方向の位置が重複するように、第1ノズル群41Aと第2ノズル群41Bが設けられている。例えば、第1ノズル群41Aのノズル♯177Aの搬送方向の位置は、第2ノズル群41Bのノズル♯1Bの搬送方向の位置と同じになっている。これにより、ある液滴吐出動作において、ある画素に対して第1ノズル群41Aのノズル♯177Aがドットを形成可能なとき、その画素に対して第2ノズル群41Bのノズル♯1Bでもドットを形成可能である。
また、第1ノズル群41Aと第2ノズル群41Bとの間で同一のインク(同じ組成で構成されるインク)を吐出するノズル列同士の組み合わせを「ヘッドセット」という。
また、第1ノズル群41Aと第2ノズル群41Bとの間で同一のインク(同じ組成で構成されるインク)を吐出するノズル列同士の組み合わせを「ヘッドセット」という。
図4は、ヘッド41が有するノズルの配列のもう一つの例を示す説明図である。図4に示す例では、図3に示すヘッドセットが、より近い位置に配置されている。具体的に説明すると、図4の例では、第1ノズル群41Aおよび第2ノズル群41Bが2個1組のノズル列ごとに交互に並ぶように配置されている。また、各ノズル列には、搬送方向に並ぶ400個のノズル(ノズル♯1A〜♯400A、ノズル♯1B〜♯400B)が300dpiのノズルピッチで設けられており、2個1組のノズル列は、1/2ピッチ(1/600インチ)ずれて配置されている。
また、6個のノズルの搬送方向の位置が重複するように、第1ノズル群41Aと第2ノズル群41Bが設けられている。例えば、第1ノズル群41Aのノズル♯395Aの搬送方向の位置は、第2ノズル群41Bのノズル♯1Bの搬送方向の位置と同じになっている。これにより、ある液滴吐出動作において、ある画素に対して第1ノズル群41Aのノズル♯395Aがドットを形成可能なとき、その画素に対して第2ノズル群41Bのノズル♯1Bでもドットを形成可能である。
<ノズル列およびノズルの表記方法>
ドットの形成方法を説明する前に、ノズル列およびノズルの表記方法について説明する。
図5は、ヘッドセットを仮想ヘッドセット42Xとして表記する説明図である。
ドットの形成方法を説明する前に、ノズル列およびノズルの表記方法について説明する。
図5は、ヘッドセットを仮想ヘッドセット42Xとして表記する説明図である。
図5の左側に、第1ノズル群41Aの例えば濃ブラックのノズル列と、第2ノズル群41Bの同じく濃ブラックのノズル列を記載している。以下の説明では、第1ノズル群41Aの濃ブラックのノズル列を第1ヘッド42Aと呼び、第2ノズル群41Bの濃ブラックのノズル列を第2ヘッド42Bと呼ぶ。なお、説明の簡略化のため、各ノズル列のノズル数は15個とする。なお、第1ヘッド42Aは、本願発明における「第1ノズル列」に該当し、第2ヘッド42Bは、本願発明における「第2ノズル列」に該当する。
第1ヘッド42Aの搬送方向上流側の4個のノズル(ノズル♯12A〜ノズル♯15A)と、第2ヘッド42Bの搬送方向下流側の4個のノズル(ノズル♯1B〜ノズル♯4B)は、搬送方向の位置が重複している。以下の説明では、各ノズル列のこれらの4個のノズルのことを、重複ノズルと呼ぶ。
第1ヘッド42Aの搬送方向上流側の4個のノズル(ノズル♯12A〜ノズル♯15A)と、第2ヘッド42Bの搬送方向下流側の4個のノズル(ノズル♯1B〜ノズル♯4B)は、搬送方向の位置が重複している。以下の説明では、各ノズル列のこれらの4個のノズルのことを、重複ノズルと呼ぶ。
第1ヘッド42Aの各ノズルは丸印で示されており、第2ヘッド42Bの各ノズルは三角印で示されている。また、インクを吐出しないノズル(つまりドットを形成しないノズル)にはバツ印が付されている。
ここでは、第1ヘッド42Aの重複ノズルのうち、ノズル♯12Aおよびノズル♯13Aはインクを吐出し、ノズル♯14Aおよびノズル♯15Aはインクを吐出しない。また、第2ヘッド42Bの重複ノズルのうち、ノズル♯1Bおよびノズル♯2Bはインクを吐出せず、ノズル♯3Bおよびノズル♯4Bはインクを吐出する。
このような場合、図5の中央部に記載されたように、ヘッドセットを構成する2個のヘッド(第1ヘッド42Aおよび第2ヘッド42B)を1個の仮想ヘッドセット42Xとして表すことができる。以下の説明では、2個のヘッドを別々に描く代わりに、1個の仮想ヘッドセット42Xを用いてドット形成の様子を説明する。
ここでは、第1ヘッド42Aの重複ノズルのうち、ノズル♯12Aおよびノズル♯13Aはインクを吐出し、ノズル♯14Aおよびノズル♯15Aはインクを吐出しない。また、第2ヘッド42Bの重複ノズルのうち、ノズル♯1Bおよびノズル♯2Bはインクを吐出せず、ノズル♯3Bおよびノズル♯4Bはインクを吐出する。
このような場合、図5の中央部に記載されたように、ヘッドセットを構成する2個のヘッド(第1ヘッド42Aおよび第2ヘッド42B)を1個の仮想ヘッドセット42Xとして表すことができる。以下の説明では、2個のヘッドを別々に描く代わりに、1個の仮想ヘッドセット42Xを用いてドット形成の様子を説明する。
なお、図5の右側に示すように、この仮想ヘッドセット42Xは、丸印のノズルが奇数番ドット(後述)にドットを形成するときであっても、三角印のノズルは偶数番ドット(後述)にドットを形成することが可能である。もちろん、丸印のノズルが奇数番ドットにドットを形成するときに、三角印のノズルも奇数番ドットにドットを形成することも可能である。
なお、個々のノズルからインク滴を吐出してドットを形成する動作は、コントローラー60が受信した印刷データに基づいて行われるが、ここでは、説明を簡単にするため、個別の印刷データに基づく吐出の有無については、説明から省いている。つまり、印刷データに基づいて対応するノズルがインク滴を吐出することでドットが形成され得る全ての位置のドットについてドットが形成される状態をベースに説明する。
<通常処理によるドットの形成方法>
図6は、通常処理の例の説明図である。通常処理とは、用紙10の中央部(用紙10の上端部でも下端部でもない領域)を印刷するときに行われる処理(液滴吐出動作および搬送動作)である。コントローラー60は、各ユニットを制御することによって、以下に説明する通常処理を行う。
図6は、通常処理の例の説明図である。通常処理とは、用紙10の中央部(用紙10の上端部でも下端部でもない領域)を印刷するときに行われる処理(液滴吐出動作および搬送動作)である。コントローラー60は、各ユニットを制御することによって、以下に説明する通常処理を行う。
図6には、搬送ユニット20による用紙10の搬送量9D毎のステップ移動による相対位置を仮想ヘッドセット42Xが重ならないように斜め方向に示している。つまり、図6では仮想ヘッドセット42Xが用紙10に対して移動しているように描かれているが、実際には用紙10の方が搬送方向に移動する。また、図6において、X方向における仮想ヘッドセット42Xの位置関係は意味を成さない。また、矢印P1〜P4は、仮想ヘッドセット42Xが走査方向(X軸方向)に走査移動される方向を示している。
通常処理では、パスとパスとの間に行われる搬送動作において、9個のドット分の搬送量9Dにて用紙10が搬送される。例えば、図6の領域A(用紙10上の領域)には、パス1〜 パス6によりドットが形成され、領域Bには、パス2〜 パス7によりドットが形成されることを示している。
通常処理では、パスとパスとの間に行われる搬送動作において、9個のドット分の搬送量9Dにて用紙10が搬送される。例えば、図6の領域A(用紙10上の領域)には、パス1〜 パス6によりドットが形成され、領域Bには、パス2〜 パス7によりドットが形成されることを示している。
奇数番目のパスでは、各ノズルは、例えば奇数番目のラスタライン(走査方向に沿ったドットの列)の位置になる。奇数番目のパスの後、9個のドット分の搬送量9Dにて用紙10が搬送された後に偶数番目のパスが行われるため、偶数番目のパスでは、各ノズルは、偶数番目のラスタラインの位置になる。このように、各ノズルの位置は、パスごとに交互に、奇数番目または偶数番目のラスタラインの位置になる。
図7は、図6の領域Aおよび領域Bにおけるドット形成の例の説明図である。ここでは、図7において、例えば、上下左右に隣接する4つのドットで1つの画素を形成する場合を示している。
図7の左側には、各パスにおけるノズルの相対位置が示されている。黒く塗り潰されたノズルは、そのパスにおいて、1画素に1つの割合でドットを形成する。例えば、パス2のノズル♯8Bは、2つのドット位置に対して1つの割合でドットを形成する。斜線によるハッチングがなされたノズルは、2画素に1つの割合でドットを形成する。例えば、パス4のノズル♯10Aは、4つのドット位置に対して1つの割合でドットを形成する。
図7の左側には、各パスにおけるノズルの相対位置が示されている。黒く塗り潰されたノズルは、そのパスにおいて、1画素に1つの割合でドットを形成する。例えば、パス2のノズル♯8Bは、2つのドット位置に対して1つの割合でドットを形成する。斜線によるハッチングがなされたノズルは、2画素に1つの割合でドットを形成する。例えば、パス4のノズル♯10Aは、4つのドット位置に対して1つの割合でドットを形成する。
斜線によるハッチングがなされたノズルは、黒く塗り潰されたノズルと比べて半分のドットしか形成しない。この斜線によるハッチングがなされたノズルのことを、以下POLノズルという。あるパスの第1ヘッド42Aの搬送方向上流側(−Y側)の4個のノズル(ノズル♯10A〜ノズル♯13A)と、そのパスから2回の搬送動作が行われた後の第1ヘッド42Aの搬送方向下流側(+Y側)の4個のノズル(ノズル♯1A〜ノズル♯4A)は、搬送方向の位置が重複する。このようなノズルが、POLノズルになる。例えば、パス4のノズル♯10A〜ノズル♯13Aと、パス6のノズル♯1A〜ノズル♯4Aは、搬送方向の位置が重複するため、POLノズルになる。
同様に、あるパスの第2ヘッド42Bの搬送方向上流側の4個のノズル(ノズル♯12B〜ノズル♯15B)と、そのパスから2回の搬送動作が行われた後の第2ヘッド42Bの搬送方向下流側の4個のノズル(ノズル♯3B〜ノズル♯6B)は、搬送方向の位置が重複する。このようなノズルが、POLノズルになる。例えば、パス2のノズル♯12B〜ノズル♯15Bと、パス4のノズル♯3B〜ノズル♯6Bは、搬送方向の位置が重複するため、POLノズルになる。
図7の右側には、各画素にドットを形成するノズルが示されている。例えば、1番目のラスタライン(ラスタ番号が1のライン)は、ノズル♯8Bによって奇数番ドットに形成されたドットと、ノズル♯10Aおよびノズル♯1Aによって偶数番ドットに形成されたドットとにより構成される。なお、ここでは説明の簡略化のため、各ラスタラインは8個のドットだけで構成されている。
図7の左上には、各ヘッドによって形成されるドットの位置が示されている。例えば、パス1では、第1ヘッド42Aのノズル(ノズル♯1A〜ノズル♯13A)は奇数番ドットにドットを形成し、第2ヘッド42Bのノズル(ノズル♯3B〜ノズル♯15B)は偶数番ドットにドットを形成する。
各ラスタラインは、2個または3個のノズルによって形成されたドットから構成される。換言すると、各ラスタラインに対し、2個または3個のノズルが対応付けられている。例えば、1番目のラスタラインには、パス2のノズル♯8B、パス4のノズル♯10A、パス6のノズル♯1Aが対応付けられている。また、各ラスタラインは、第1ヘッド42Aの少なくとも1個のノズルによって形成されたドットと、第2ヘッド42Bの少なくとも1個のノズルによって形成されたドットから構成される。換言すると、各ラスタラインに対し、第1ヘッド42Aの少なくとも1個のノズルと、第2ヘッド42Bの少なくとも1個のノズルが対応付けられている。
あるラスタラインの奇数番ドットまたは偶数番ドットに対してノズルが1個だけ対応付けられている場合、そのノズルは、2つのドットに対して1つの割合でドットを形成する。例えば、1番目のラスタラインの奇数番ドットに対しては、ノズル♯8Bが1個だけ対応付けられている(他のノズルは対応付けられていない)。このため、ノズル♯8Bは、2つのドットに対して1つの割合でドットを形成する。
一方、あるラスタラインの奇数番ドットまたは偶数番ドットに対してノズルが2個対応付けられている場合、その2個のノズルは、それぞれ、4つのドットに対して1つの割合でドットを形成する(POLノズルになる)。例えば、1番目のラスタラインの偶数番ドットに対しては、ノズル♯10Aおよびノズル♯1Aが対応付けられている。このため、ノズル♯10Aおよびノズル♯1Aは、それぞれ、4つのドットに対して1つの割合でドットを形成する(POLノズルになる)。
通常処理では、あるパスにおいて、第1ヘッド42Aがドットを形成する位置(走査方向の位置)と、第2ヘッド42Bがドットを形成する位置が異なっている。具体的には、第1ヘッド42Aが奇数番ドットにドットを形成するときには、第2ヘッド42Bは偶数番ドットにドットを形成する。逆に、第1ヘッド42Aが偶数番ドットにドットを形成するときには、第2ヘッド42Bは奇数番ドットにドットを形成する。前述の第1駆動信号生成部65Aと第2駆動信号生成部65Bが互いに独立して駆動信号を生成できるので、このようなドット形成が可能になる。
また、通常処理では、あるパスと次のパスとを比較すると、各ヘッドがドットを形成する位置が異なっている。例えば、あるパスにおいて第1ヘッド42Aが奇数番ドットにドットを形成し第2ヘッド42Bが偶数番ドットにドットを形成する場合、次のパスにおいて、第1ヘッド42Aは偶数番ドットにドットを形成し、第2ヘッド42Bは奇数番ドットにドットを形成する。
このようにドットを形成することによって、一方のヘッドによって千鳥格子状にドットが形成され、その千鳥格子状のドットの間を埋めるように、他方のヘッドによって千鳥格子状にドットが形成される。図7の右側に注目すると、第1ヘッド42Aによって形成される丸印のドットは千鳥格子状になっており、第2ヘッド42Bによって形成される三角印のドットも千鳥格子状になっている。なお、ドットの形成順序からすると、第2ヘッド42Bによって千鳥格子状にドットが形成された後、その間を埋めるように、第1ヘッド42Aによってドットが形成されることになる。
通常処理でラスタラインが形成された場合、そのラスタラインでは、第1ヘッド42Aによって半分のドットが形成され、第2ヘッド42Bによって残りの半分のドットが形成される。換言すると、これらのラスタラインを形成するときの各ヘッドの使用率は、第1ヘッド42Aが50%(一定)であり、第2ヘッド42Bも50%(一定)である。なお、これは、色彩むらや濃度むらの抑制を考慮していない場合であり、それぞれの対応方法については後述する。
領域Aにはパス1〜 パス6によりドットが形成され、領域Bにはパス2〜 パス7によりドットが形成されているので、領域Aと領域Bとの間でパスが1回分ずれている。パスが1回分ずれているため、各ラスタラインに対応付けられるノズルは各領域で共通しているものの、各ノズルが形成するドットの位置(走査方向の位置)が奇数番ドットか偶数番ドットかで異なっている。例えば、1番目のラスタラインに対し、パス2のノズル♯8Bは奇数番ドットにドットを形成するが、10番目のラスタラインに対し、パス3のノズル♯8Bは偶数番ドットにドットを形成する。
なお、ここでは図示しないが、領域Bよりも搬送方向上流側に位置する19〜 27番目のラスタラインは、パス3〜 パス8により、領域Aとほぼ同様にドットが形成される。例えば、19番目のラスタラインは、ノズル♯8B、ノズル♯10A、ノズル♯1Aが対応付けられており、ノズル♯8Bは19番目のラスタラインの奇数番ドットにドットを形成する。また、19〜 27番目のラスタラインよりも搬送方向上流側に位置する28〜 36番目のラスタラインは、パス4〜 パス9により、領域Bとほぼ同様にドットが形成される。このように、通常処理が続けて行われると、領域Aと領域Bと同様なドット形成が繰り返し行われることになる。
用紙10にドットを形成することにより、例えば、用紙10に高精細な画像を形成する場合、液滴吐出動作中には、用紙10を所定の位置(および高さ)に確実に保持し、また、搬送動作においては、用紙10を所定に位置に正確に移動させる必要がある。そのため、搬送ユニット20は、用紙10を、例えば、挟む、押さえる、吸引するなどの手段により固定(保持)する。これらの固定(保持)手段は、キャリッジユニット30やヘッドユニット40などの動きと干渉しない構成にする必要がある。換言すると、用紙10の上端部や下端部においても、確実に固定(保持)された状態(位置)で印刷を開始し、また終了する構成となっている。その結果、例えば、本実施形態のように、搬送方向(Y方向)に並ぶノズル列を有する第1ノズル群41Aおよび第2ノズル群41Bを搬送方向(Y方向)に並べる構成においては、用紙10の上端部や下端部のそれぞれに対して、対応できるヘッド(第1ヘッド42Aあるいは第2ヘッド42B)の対応できるノズルのみでドットを形成せざるを得ない場合がある。
<上端処理によるドットの形成方法>
以下に、複数のヘッド間でPOL制御された画像が形成できない場合の上端処理の例について説明する。上端処理とは、用紙10の上端領域(+Y側の端部領域)を印刷するときに行われる処理(液滴吐出動作および搬送動作)である。コントローラー60は、各ユニットを制御することによって、以下に説明する上端処理を行う。
以下に、複数のヘッド間でPOL制御された画像が形成できない場合の上端処理の例について説明する。上端処理とは、用紙10の上端領域(+Y側の端部領域)を印刷するときに行われる処理(液滴吐出動作および搬送動作)である。コントローラー60は、各ユニットを制御することによって、以下に説明する上端処理を行う。
図8(a),(b)は、上端処理の一例の説明図であり、図8(a):(1)〜(4)は、上端処理の各パス(パス1〜パス4)における仮想ヘッドセット42Xおよび吐出されるインク滴の位置を示し、図8(a):(5),(6)は、上端処理に引き続く通常処理の各パス(パス5,パス6)における仮想ヘッドセット42Xおよび吐出されるインク滴の位置を示している。
図8(b):(1)〜(6)は、パス1〜パス6で用紙10に形成されるドットを示している。つまり、図8(a):(1)〜(6)のインク滴の位置を順に重ねた結果が図8(b):(1)〜(6)になっている。
図8(b):(1)〜(6)は、パス1〜パス6で用紙10に形成されるドットを示している。つまり、図8(a):(1)〜(6)のインク滴の位置を順に重ねた結果が図8(b):(1)〜(6)になっている。
ここに示す例では、パス1〜 パス4において上端処理が行われ、パス5以降に通常処理が行われる。上端処理では、パスとパスとの間に行われる搬送動作において、1個のドット分の搬送量D(通常処理での搬送量9Dよりも短い搬送量)にて用紙10が搬送される。
上端処理では、奇数番目のパスでは、各ノズルは、奇数番目のラスタラインの位置になる。奇数番目のパスの後、1個のドット分の搬送量にて用紙10が搬送されるため、偶数番目のパスでは、各ノズルは、偶数番目のラスタラインの位置になる。このように、上端処理においても、各ノズルの位置は、パスごとに交互に、奇数番目または偶数番目のラスタラインの位置になる。
上端処理では、奇数番目のパスでは、各ノズルは、奇数番目のラスタラインの位置になる。奇数番目のパスの後、1個のドット分の搬送量にて用紙10が搬送されるため、偶数番目のパスでは、各ノズルは、偶数番目のラスタラインの位置になる。このように、上端処理においても、各ノズルの位置は、パスごとに交互に、奇数番目または偶数番目のラスタラインの位置になる。
前述の通常処理では、各ヘッドによってそれぞれ千鳥格子状にドットを形成するために、あるパスにおける第1ヘッド42Aのドット形成位置と、第2ヘッド42Bのドット形成位置とを異ならせていた。例えば、第1ヘッド42Aが奇数番ドットにドットを形成するときには、第2ヘッド42Bは偶数番ドットにドットを形成していた。
これに対し、上端処理では、あるパスにおける第1ヘッド42Aのドット形成位置と、第2ヘッド42Bのドット形成位置とが同じである。例えば、パス1において、第1ヘッド42Aおよび第2ヘッド42Bは、両方とも奇数番ドットにドットを形成する。
また、前述の通常処理では、各ヘッドによってそれぞれ千鳥格子状にドットを形成するために、あるパスと次のパスとの間で各ヘッドのドット形成位置を異ならせていた。例えば、あるパスにおいて第1ヘッド42Aが奇数番ドットにドットを形成し第2ヘッド42Bが偶数番ドットにドットを形成する場合、次のパスにおいて、第1ヘッド42Aは偶数番ドットにドットを形成し、第2ヘッド42Bは奇数番ドットにドットを形成していた。
これに対し、上端処理では、各ヘッドのドット形成位置は、奇数番ドット(パス1)→偶数番ドット(パス2)→偶数番ドット(パス3)→奇数番ドット(パス4)の順に変更される。つまり、上端処理では、必ずしも、あるパスと次のパスとの間で各ヘッドのドット形成位置が異ならないことがある。例えば、パス2およびパス3では、ドット形成位置は同じ偶数番ドットである。
通常処理と上端処理に上記の相違がある理由は、通常処理では、各ヘッドによってそれぞれ千鳥格子状にドットを形成していたのに対し、上端処理では、4回のパスのうちの前半2回のパスで千鳥格子状にドットが形成され、その千鳥格子状のドットの間を埋めるように、後半2回のパスで千鳥格子状にドットが形成されるためである。
上記のドット形成方法により、1〜 25番目までのラスタライン(用紙10の上端側のラスタライン)は、第1ヘッド42Aだけで形成されることになる。換言すると、1〜 25番目までのラスタラインを形成するときのヘッドの使用率は、第1ヘッド42Aが100%であり、第2ヘッド42Bは0%である。
図9は、各パス(パス1〜パス6)における第1ヘッド42Aと第2ヘッド42Bの使用率を模式的に示すグラフである。
ここまでは、分かり易くするために、ドットが視認できる範囲で図示し説明してきた。そのため、図9に示すように、各ヘッドの使用率の変化(ラスタ番号方向の違い)が階段的に示されるが、実際の使用においては、数ピコリットルのインク滴で形成される無数のドットにより画像が形成されるため、各ヘッドの使用率は、以降の図で示すように、その変化を直線あるいは曲線に近似して示すことができる。
ここまでは、分かり易くするために、ドットが視認できる範囲で図示し説明してきた。そのため、図9に示すように、各ヘッドの使用率の変化(ラスタ番号方向の違い)が階段的に示されるが、実際の使用においては、数ピコリットルのインク滴で形成される無数のドットにより画像が形成されるため、各ヘッドの使用率は、以降の図で示すように、その変化を直線あるいは曲線に近似して示すことができる。
図10は、上端処理から通常処理の領域における第1ヘッド42Aと第2ヘッド42Bそれぞれのヘッド使用率を示すグラフである。
図10では、第1ヘッド42Aおよび第2ヘッド42Bによるヘッドセットを図5に示す仮想ヘッドセット42XのようにY方向に並ぶ一列の第1ヘッド42Aと第2ヘッド42Bで表記している。また、図6と同様に、搬送ユニット20による用紙10の移動による相対位置を第1ヘッド42A、第2ヘッド42Bが重ならないように斜め方向に配置して示している。つまり、図10では第1ヘッド42A、第2ヘッド42Bが用紙10に対して移動しているように描かれているが、実際には用紙10が搬送方向(Y方向)に移動する。また、図10において、X方向における第1ヘッド42A、第2ヘッド42Bの位置関係は意味を成さない。また、それぞれのヘッドの使用率(ラスタライン毎のそれぞれのヘッドに属するノズル毎の使用率)を図9と同様に示している。
図10では、第1ヘッド42Aおよび第2ヘッド42Bによるヘッドセットを図5に示す仮想ヘッドセット42XのようにY方向に並ぶ一列の第1ヘッド42Aと第2ヘッド42Bで表記している。また、図6と同様に、搬送ユニット20による用紙10の移動による相対位置を第1ヘッド42A、第2ヘッド42Bが重ならないように斜め方向に配置して示している。つまり、図10では第1ヘッド42A、第2ヘッド42Bが用紙10に対して移動しているように描かれているが、実際には用紙10が搬送方向(Y方向)に移動する。また、図10において、X方向における第1ヘッド42A、第2ヘッド42Bの位置関係は意味を成さない。また、それぞれのヘッドの使用率(ラスタライン毎のそれぞれのヘッドに属するノズル毎の使用率)を図9と同様に示している。
パス1〜パス4は、第1ヘッド42Aのみで画像が形成される上端処理であり、パス5〜パス8では、第2ヘッド42Bの使用率が徐々に増加する移行処理、パス9以降が第1ヘッド42Aおよび第2ヘッド42Bの使用率がそれぞれ50%の通常処理となっている。パス5以降で形成される領域が、2つのヘッド間でPOL制御された画像領域となる。
なお、図10に示す移行処理は、1つの例である。移行処理に要するパス数や移行処理を行う領域のラスタライン数を増やすことにより、第2ヘッド42Bの使用率が変化する割合を少なくすることができる。第1ヘッド42Aと第2ヘッド42Bのインク吐出特性に差異が有る場合には、この変化率が小さいほど、その影響を目立ちにくくすることができる。
なお、図10に示す移行処理は、1つの例である。移行処理に要するパス数や移行処理を行う領域のラスタライン数を増やすことにより、第2ヘッド42Bの使用率が変化する割合を少なくすることができる。第1ヘッド42Aと第2ヘッド42Bのインク吐出特性に差異が有る場合には、この変化率が小さいほど、その影響を目立ちにくくすることができる。
なお、このような移行処理は、用紙10の上端のみでなく、下端においても同様である。すなわち、下端においては、徐々に第1ヘッド42Aの使用率を減少させる移行処理を行い、下端部では、第2ヘッド42Bのみで画像を形成する。また、ここで説明した移行処理は、前述した通常処理と同様に、色彩むらや濃度むらなどの抑制を考慮していない場合の方法である。以下に、色彩むらや濃度むらなどを抑制する方法について説明する。
<色彩むらの補正>
インク吐出特性の差異の1つに、吐出量の差異がある。各ノズル列(第1ヘッド42A、第2ヘッド42B)は、製造誤差などの影響のため、それぞれのノズル列から吐出されるインク量が等しくない場合がある。このため、基準量より多い量のインクを吐出するノズル列は濃く印刷してしまい、基準量よりも少ない量のインクを吐出するノズル列は淡く印刷してしまう。その結果、印刷された画像に色彩むらが生じるおそれがある。
インク吐出特性の差異の1つに、吐出量の差異がある。各ノズル列(第1ヘッド42A、第2ヘッド42B)は、製造誤差などの影響のため、それぞれのノズル列から吐出されるインク量が等しくない場合がある。このため、基準量より多い量のインクを吐出するノズル列は濃く印刷してしまい、基準量よりも少ない量のインクを吐出するノズル列は淡く印刷してしまう。その結果、印刷された画像に色彩むらが生じるおそれがある。
そこで、以下の色彩むら補正処理によって、印刷される画像の色彩むらを抑制する。以下、色彩むら補正処理の手順について説明する。
<色彩むら補正値取得処理>
図11は、インクジェットプリンター100の製造工場内において行われる色彩むら補正値の取得処理の説明図である。インクジェットプリンター100の製造工場には、補正値取得用のコンピューターとコンピューターに接続された測色器が用意されている。工場でインクジェットプリンター100が製造されると、そのインクジェットプリンター100は補正値取得用のコンピューターに接続される。図11のコンピューター内に描かれた各モジュールは、ソフトウェアおよびハードウェアによって構成される。
図11は、インクジェットプリンター100の製造工場内において行われる色彩むら補正値の取得処理の説明図である。インクジェットプリンター100の製造工場には、補正値取得用のコンピューターとコンピューターに接続された測色器が用意されている。工場でインクジェットプリンター100が製造されると、そのインクジェットプリンター100は補正値取得用のコンピューターに接続される。図11のコンピューター内に描かれた各モジュールは、ソフトウェアおよびハードウェアによって構成される。
まず、コンピューターの印刷モジュールが、テストパターン印刷用データに基づいて、印刷データを生成し、インクジェットプリンター100に送信する。この印刷モジュールは、いわゆるプリンタードライバーと同等のものである。テストパターン印刷用のデータは、コンピューターのメモリーに予め格納されている。
次に、印刷データを受信したインクジェットプリンター100はテストパターンを印刷し、測定者は、印刷されたテストパターンを測色器によって測色する。テストパターンには、ノズル列毎に色彩むらの補正値が得られるように、第1ノズル列(第1ヘッド42A)により形成されたドット列から構成されるパターン(第1パターン)や、第2ノズル列(第2ヘッド42B)により形成されたドット列から構成されるパターン(第2パターン)など多数のパッチパターンが含まれる。制御モジュールは、測色器から各パッチパターンの測色結果を取得する。
次に、補正値計算モジュールが、測色結果と予め記憶された基準色データとを比較して、ノズル列毎に色彩むら補正値を計算する。
最後に、書込モジュールが、インクジェットプリンター100のメモリーに色彩むら補正値を書き込む。インクジェットプリンター100は、ノズル列毎の色彩むら補正値をメモリーに格納した状態で、工場から出荷される。
次に、補正値計算モジュールが、測色結果と予め記憶された基準色データとを比較して、ノズル列毎に色彩むら補正値を計算する。
最後に、書込モジュールが、インクジェットプリンター100のメモリーに色彩むら補正値を書き込む。インクジェットプリンター100は、ノズル列毎の色彩むら補正値をメモリーに格納した状態で、工場から出荷される。
図12は、色彩むら補正値の説明図である。第1ノズル群(第1ノズル群41A)および第2ノズル群(第2ノズル群41B)のそれぞれに、色彩むら補正値がそれぞれ用意されている。また、ノズル列ごとに(インク色ごとに)、3種類(小ドット、中ドット、大ドット)の色彩むら補正値が用意されている。
図12において、補正値が「100」の場合、基準量と同じインク量がノズルから吐出されることを意味する。例えば、第2ノズル群のシアンのノズル列(第2ノズル列)は、小ドットを吐出するとき、基準量と同じインク量を吐出する。
補正値が100以上の場合、基準量よりも多いインク量がノズルから吐出されることを意味する。例えば、第1ノズル群のシアンのノズル列(第1ノズル列)は、小ドットを吐出するとき、基準量よりも多いインク量を吐出する。このため、このノズル列がドットを形成すると、濃い画像になる。
補正値が100以下の場合、基準量よりも少ないインク量がノズルから吐出されることを意味する。例えば、第1ノズル群のシアンのノズル列は、大ドットを吐出するとき、基準量よりも少ないインク量を吐出する。このため、このノズル列がドットを形成すると、淡い画像になる。
なお、上記の説明ではテストパターンを測色することによって色彩むら補正値を取得しているが、これに限られるものではない。例えば、吐出されたインク滴のインク量を直接計測することによって、図12と同様の色彩むら補正値を取得しても良い。
<印刷時の処理>
図13は、ユーザーの下での印刷処理時のブロック図である。図14は、プリンタードライバーが行う処理のフロー図である。プリンタードライバーは、PC110で動作するプログラムであり、PC110のハードウェア(CPUやメモリー等)と協働して、図13の各モジュールや図14の各処理を実現する。
なお、それぞれの図は、濃度むらを抑制する処理を含まない従来技術における図である。以下は、色彩むらの補正処理に関する説明であり、濃度むらを抑制する処理に関する説明を含んでいない。
図13は、ユーザーの下での印刷処理時のブロック図である。図14は、プリンタードライバーが行う処理のフロー図である。プリンタードライバーは、PC110で動作するプログラムであり、PC110のハードウェア(CPUやメモリー等)と協働して、図13の各モジュールや図14の各処理を実現する。
なお、それぞれの図は、濃度むらを抑制する処理を含まない従来技術における図である。以下は、色彩むらの補正処理に関する説明であり、濃度むらを抑制する処理に関する説明を含んでいない。
まず、プリンタードライバーは、インクジェットプリンター100のメモリーから色彩むら補正値(図12参照)を取得する(S1、図14参照)。プリンタードライバーは、取得した色彩むら補正値をPC110のメモリーに記憶する。
次に、プリンタードライバーは、解像度変換モジュールにより解像度変換処理を行う(S2)。解像度変換処理は、アプリケーションから出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、用紙10に印刷する解像度(印刷解像度)の画像データに変換する処理である。例えば、印刷解像度が1440×720dpiに指定されている場合、アプリケーションから受け取ったベクター形式の画像データを1440×720dpiの解像度の画像データに変換する。解像度変換処理後の画像データの各画素データは、RGB色空間の256階調の階調値を示すデータである。
なお、解像度変換後の画像データの示す画像は、マトリクス状に配置された画素から構成されている。各画素はRGB色空間の256階調の階調値を有している。解像度変換後の画素データは、対応する画素の階調値を示すものである。マトリクス状に配置された画素のうちの横方向に並ぶ一列分の画素に対応する画素データのことを、以下の説明では「ラスタデータ」と呼ぶことがある。なお、ラスタデータの対応する画素の並ぶ方向は、画像を印刷するときのヘッド41の移動方向(走査方向)と対応している。
次に、プリンタードライバーは、色変換モジュールにより色変換処理を行う(S3)。色変換処理は、RGB色空間のデータを、インクジェットプリンター100のインクの色に対応した色空間のデータに変換する処理である。色変換処理後の画素データは、C・M・Y・K・LC・LM・LK・LLKの8次元の色空間により表される256階調の階調値を示すデータである。
次に、プリンタードライバーは、ラスタデータを抽出する(S4)。具体的には、ある色(例えばシアン)の画像データの中から、横方向に並ぶ一列分の画素に対応する画素データを抽出する。
次に、プリンタードライバーは、抽出したラスタデータに対し、色彩むら補正モジュールにより色彩むら補正処理を行う(S5)。この色彩むら補正処理については後述する。
次に、プリンタードライバーは、ハーフトーンモジュールによりハーフトーン処理を行う(S6)。ハーフトーン処理は、256階調の画素データを、インクジェットプリンター100が形成可能な階調数である4階調の画素データに変換する処理である。ハーフトーン処理後の4階調の画素データは、対応する画素に形成するドットの大きさを示すデータとなる。具体的には、大ドット・中ドット・小ドット・ドット無しのいずれかを示すデータになる。
なお、プリンタードライバーは、ハーフトーン処理の際にドット生成率テーブル(後述する図16(a)参照)を用いる。このドット生成率テーブルは、256階調のそれぞれの階調値に対し、小ドット・中ドット・大ドットのそれぞれのドットが生成される確率(ドット生成率)を示すデータテーブルである。具体的には、例えば、階調値20に対して、小ドットの生成率40%、中ドット・大ドットの生成率0%が対応付けられる。つまり、ある画素データの256階調の階調値が20であれば、ハーフトーン処理の結果、その画素データは、40%の確率で小ドットを示す画素データ(4階調)に変換され、60%の確率でドット無しを示す画素データ(4階調)に変換される。
次に、プリンタードライバーは、全ての画素データのハーフトーン処理が終了したか否かを判断する(S7)。例えば、シアンの別のラスタデータがある場合にはNOと判断され、別の色のラスタデータがある場合にもNOと判断される。
次に、プリンタードライバーは、ラスタライズモジュールによりラスタライズ処理を行う(S8)。ラスタライズ処理は、画像データの中から、各パスのドット形成対象となる画素の画素データを抽出し、パスごとに画素データを並べ替える処理である。
最後に、プリンタードライバーは、コマンド出力モジュールによりラスタライズ処理された画素データにコマンドデータを付加して印刷データを生成し、印刷データをインクジェットプリンター100に送信する(S9)。インクジェットプリンター100は、印刷データ中のコマンドデータに従って各ユニットを制御し、印刷データ中の画素データに従って各ノズルからインクを吐出することによって、用紙10上にドットが形成され画像が印刷される。
<色彩むら補正処理>
図15は、色彩むら補正処理(S5)のフロー図である。
まずプリンタードライバーは、読み出しモジュール(図13参照)により該当する色の色彩むら補正値を取得する(S5a)。例えば、シアンの画像データのラスタデータに対して色彩むら補正処理を行うときには、シアンの色彩むら補正値を取得する。このとき、プリンタードライバーは、第1ノズル列(第1ヘッド42A)に対応する色彩むら補正値、および、第2ノズル列(第2ヘッド42B)に対応する色彩むら補正値の両方とも取得する。
次に、ノズル列ごとに補正量テーブルを作成する(S5b)。すなわち、第1パターンに基づいて得られた第1ノズル列(第1ヘッド42A)のノズルが吐出するインク滴の量を補正する第1補正量テーブルと、第2パターンに基づいて得られた第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズルが吐出するインク滴の量を補正する第2補正量テーブルと、を作成する。
図15は、色彩むら補正処理(S5)のフロー図である。
まずプリンタードライバーは、読み出しモジュール(図13参照)により該当する色の色彩むら補正値を取得する(S5a)。例えば、シアンの画像データのラスタデータに対して色彩むら補正処理を行うときには、シアンの色彩むら補正値を取得する。このとき、プリンタードライバーは、第1ノズル列(第1ヘッド42A)に対応する色彩むら補正値、および、第2ノズル列(第2ヘッド42B)に対応する色彩むら補正値の両方とも取得する。
次に、ノズル列ごとに補正量テーブルを作成する(S5b)。すなわち、第1パターンに基づいて得られた第1ノズル列(第1ヘッド42A)のノズルが吐出するインク滴の量を補正する第1補正量テーブルと、第2パターンに基づいて得られた第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズルが吐出するインク滴の量を補正する第2補正量テーブルと、を作成する。
ここで、補正量テーブルの説明を行う前に、図16(a)〜図16(c)を用いて吐出されるインク量の説明を行う。
図16(a)は、ハーフトーン処理に用いられるドット生成率テーブルである。図中の横軸は256階調の階調値を示している。縦軸はドット生成率を示している。図に示すように、例えば階調値20に対して、小ドットの生成率40%、中ドット・大ドットの生成率0%が対応付けられている。
図16(a)は、ハーフトーン処理に用いられるドット生成率テーブルである。図中の横軸は256階調の階調値を示している。縦軸はドット生成率を示している。図に示すように、例えば階調値20に対して、小ドットの生成率40%、中ドット・大ドットの生成率0%が対応付けられている。
図16(b)は、基準量でインクが吐出される場合の階調値とインク量との関係のグラフである。図中の横軸は256階調の階調値を示している。縦軸は、階調値256のときに吐出される単位面積当たりのインク量(液滴の量)を1としたときのインク量を示している。図に示すように、基準量でインクが吐出される場合、階調値に比例するインク量が吐出されることになる。
図16(c)は、基準量とは異なる量のインクが吐出される場合の階調値とインク量との関係のグラフである。グラフ中の細線は図16(b)のグラフと同じであり、太線が、基準量とは異なる量のインクが吐出される場合の階調値とインク量との関係のグラフである。ここでは、小ドットの色彩むら補正値が110、中ドットの色彩むら補正値が108、大ドットの色彩むら補正値が96となるノズル列からインクが吐出される場合のグラフを示している。図に示すように、小ドット及び中ドットが主に吐出される低い階調値では、吐出されるインク量は、基準量よりも多くなる。一方、大ドットが主に吐出される高い階調値では、吐出されるインク量が、基準量よりも少なくなる。
図16(c)に示すような階調値とインク量との関係は、ドット生成率テーブルと色彩むら補正値とに基づいて算出することが可能である。そこで、プリンタードライバーは、S5bの処理の際に、まず、ドット生成率テーブルと、S5aで取得した色彩むら補正値とに基づいて、図16(c)に示すような階調値とインク量との関係を示すインク量テーブルを算出する。
図17は、インク量テーブルの示す意味の説明図である。図中の破線のグラフは、図16(b)のインク量のグラフ、すなわち、基準量でインクが吐出される場合のインク量テーブルのグラフである。図中の実線のグラフは、基準量とは異なる量のインクが吐出される場合のインク量テーブルのグラフである。実線のグラフのうち、細線のグラフは第1ノズル列(第1ヘッド42A)のインク量テーブルのグラフであり、太線のグラフは第2ノズル列(第2ヘッド42B)のインク量テーブルのグラフである。
例えば、画素データの示す階調値が120の場合、階調値を補正せずにインクを吐出しようとすると、第1ノズル列(第1ヘッド42A)からは基準量よりも多いインク量が吐出され、第2ノズル列(第2ヘッド42B)からは基準量よりも少ないインク量が吐出されることになる。一方、第1ノズル列(第1ヘッド42A)のインク量テーブルにおいて階調値120の基準量に対応する階調値が100であったとすると、階調値100に従って第1ノズル列(第1ヘッド42A)からインクを吐出しようとすれば、第1ノズル列(第1ヘッド42A)から階調値120の基準量にてインクを吐出することができると考えられる。また、第2ノズル列(第2ヘッド42B)のインク量テーブルにおいて階調値120の基準量に対応する階調値が150であったとすると、階調値150に従って第2ノズル列(第2ヘッド42B)からインクを吐出しようとすれば、第2ノズル列(第2ヘッド42B)から階調値120の基準量にてインクを吐出することができると考えられる。
そこで、プリンタードライバーは、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の補正量テーブルにおいて、階調値120に対して階調値100を対応付ける。換言すると、入力された階調値(入力階調値)が120のときに階調値100を出力するような補正量テーブルを作成する。他の入力階調値に対しても、インク量テーブルに基づく出力階調値を対応付けることによって、プリンタードライバーは第1ノズル列(第1ヘッド42A)の補正量テーブルを作成する。
このような補正量テーブルを、プリンタードライバーはノズル列ごとに作成する。本実施形態では、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の第1補正量テーブルと、第2ノズル列(第2ヘッド42B)の第2補正量テーブルが作成される。なお、上記の説明からも明らかな通り、第1補正量テーブルは、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の色彩むら補正値とドット生成率テーブルとに基づいて作成され、第2補正量テーブルは、第2ノズル列(第2ヘッド42B)の色彩むら補正値とドット生成率テーブルとに基づいて作成される。
図18は、第1補正量テーブルおよび第2補正量テーブルの説明図である。このように入力階調値と出力階調値とを対応付けた補正量テーブルが、ノズル列ごとに作成される。
なお、ある色のラスタデータに対する色彩むら補正処理の際に、作成した補正量テーブルをメモリーに記憶しておき、同じ色の別のラスタデータに対する色彩むら補正処理の際にその補正量テーブルを再度利用しても良い。つまり、既に補正量テーブルが作成されている場合には、プリンタードライバーは、補正量テーブルを作成する処理(S5b)を省略しても良い。
補正量テーブルを作成した後、プリンタードライバーは、各ヘッドの使用率(図10参照)に基づいて、S4で抽出されたラスタデータに対応するラスタ番号における使用率データを取得する(S5c)。
仮に、ラスタデータに対応するラスタラインが上端領域に属していれば、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率は1(100%)になり、第2ノズル列(第2ヘッド42B)の使用率は0(0%)になる。また、ラスタデータに対応するラスタラインが通常領域に属していれば、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率は0.5(50%)になり、第2ノズル列(第2ヘッド42B)の使用率も0.5(50%)になる。上端領域と通常領域との間に移行領域があり、この移行領域には、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率が0.5から1の間になるラスタラインが存在する。例えば、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率が0.75(75%)となるようなラスタラインが移行領域に存在する。
ラスタ番号と使用率との関係は、ドット形成方法が決まれば一義的に決まるものである。
仮に、ラスタデータに対応するラスタラインが上端領域に属していれば、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率は1(100%)になり、第2ノズル列(第2ヘッド42B)の使用率は0(0%)になる。また、ラスタデータに対応するラスタラインが通常領域に属していれば、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率は0.5(50%)になり、第2ノズル列(第2ヘッド42B)の使用率も0.5(50%)になる。上端領域と通常領域との間に移行領域があり、この移行領域には、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率が0.5から1の間になるラスタラインが存在する。例えば、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率が0.75(75%)となるようなラスタラインが移行領域に存在する。
ラスタ番号と使用率との関係は、ドット形成方法が決まれば一義的に決まるものである。
次に、プリンタードライバーは、ラスタデータの各画素データの階調値を、補正量テーブル、使用率データに基づいて補正する(S5d)。
例えば、画素データの階調値が120であって、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率が1の場合、補正後の階調値は100になる。また、画素データの階調値が120であって、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率が0.5の場合、補正後の階調値は125(=100×0.5+150×0.5)になる。また、画素データの階調値が120であって、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率が0.75の場合、補正後の階調値は112.5(=100×0.75+150×0.25)になる。このように、プリンタードライバーは、画素データの階調値(例えば120)を入力階調値として各ノズル列の補正量テーブルに基づいてそれぞれの出力階調値(例えば、100と150)を求め、それぞれの使用率(例えば、0.75と0.25)で重み付けをした出力階調値を加算することによって、補正後の階調値(例えば、112.5)を算出する。
例えば、画素データの階調値が120であって、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率が1の場合、補正後の階調値は100になる。また、画素データの階調値が120であって、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率が0.5の場合、補正後の階調値は125(=100×0.5+150×0.5)になる。また、画素データの階調値が120であって、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率が0.75の場合、補正後の階調値は112.5(=100×0.75+150×0.25)になる。このように、プリンタードライバーは、画素データの階調値(例えば120)を入力階調値として各ノズル列の補正量テーブルに基づいてそれぞれの出力階調値(例えば、100と150)を求め、それぞれの使用率(例えば、0.75と0.25)で重み付けをした出力階調値を加算することによって、補正後の階調値(例えば、112.5)を算出する。
プリンタードライバーは、ラスタデータの全画素データの階調値を補正すれば、色彩むら補正処理を終了する。
<濃度むらの補正>
異なるインクが同一の位置あるいは極近接するドットの位置に吐出されると、先に吐出されたインクの乾燥状態に応じて、後に吐出されるインクににじみが生じやすくなる。そのため、例えば、後に吐出されたインクが、先に吐出されたインクよりも明度が低くて目立ちやすいインクであれば、インクのにじみが余計に目立ってしまうことになる。また、先に吐出されたインクが他のインクと混ざりやすい特性を有する場合には、後から吐出されたインクは一層、にじみやすくなることになる。このように、インクを吐出するタイミングの違いによって乾燥状態が変わり、にじみの度合いが異なった結果、濃度や光沢にむらを生じてしまう場合がある。
異なるインクが同一の位置あるいは極近接するドットの位置に吐出されると、先に吐出されたインクの乾燥状態に応じて、後に吐出されるインクににじみが生じやすくなる。そのため、例えば、後に吐出されたインクが、先に吐出されたインクよりも明度が低くて目立ちやすいインクであれば、インクのにじみが余計に目立ってしまうことになる。また、先に吐出されたインクが他のインクと混ざりやすい特性を有する場合には、後から吐出されたインクは一層、にじみやすくなることになる。このように、インクを吐出するタイミングの違いによって乾燥状態が変わり、にじみの度合いが異なった結果、濃度や光沢にむらを生じてしまう場合がある。
このような濃度むらを抑制するために、各ノズルからインクを吐出するタイミングを制御して、換言するとタイミングにより吐出されるインクの量を制御して、にじみによる影響が目立たないようにする方法が取られる。
濃度むらを抑制する1つの方法として、インク階調に応じてノズル列の使用率を変える方法がある。
濃度むらを抑制する1つの方法として、インク階調に応じてノズル列の使用率を変える方法がある。
<ノズル列使用率補正量テーブル>
図19は、インク階調と第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率との関係を示すグラフである。
このグラフは、形成するドット列の階調に基づいて得られたノズル列使用率補正量テーブルの例から、第1ノズル列の使用率をプロットしたものである。形成するドット列の階調は、そのドット列の平均階調の値を用いる。
ノズル列使用率補正量テーブルは、ドット列を形成するための第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズル列使用率を補正するデータテーブルである。
本例の場合、グラフにおいて、インク階調が比較的低い領域では、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率を低く(例えば階調が180以下の領域では、使用率40%以下に)設定し、第2ノズル列(第2ヘッド42B)の使用率を高く(同領域では、使用率60%以上に)設定している。
図19は、インク階調と第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率との関係を示すグラフである。
このグラフは、形成するドット列の階調に基づいて得られたノズル列使用率補正量テーブルの例から、第1ノズル列の使用率をプロットしたものである。形成するドット列の階調は、そのドット列の平均階調の値を用いる。
ノズル列使用率補正量テーブルは、ドット列を形成するための第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズル列使用率を補正するデータテーブルである。
本例の場合、グラフにおいて、インク階調が比較的低い領域では、第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率を低く(例えば階調が180以下の領域では、使用率40%以下に)設定し、第2ノズル列(第2ヘッド42B)の使用率を高く(同領域では、使用率60%以上に)設定している。
前述したように、通常処理領域(図10参照)においては、ドットの形成順序は、第2ノズル列(第2ヘッド42B)によって千鳥格子状にドットが形成された後、その間を埋めるように、第1ノズル列(第1ヘッド42A)によってドットが形成される。従って、このようにノズル列使用率を補正することで、通常処理領域においては、インク階調が比較的低い印刷を行う場合に、第2ノズル列(第2ヘッド42B)によって先に形成されるドットの率が高くなり、その結果、乾燥が促進される率が高くなる。乾燥がより促進されることで、にじみによる濃度むらが軽減される。
なお、ノズル列使用率補正量テーブルは、図19に示すグラフにプロットされるデータテーブルに限定するものではない。濃度むらの補正の仕様に応じ、異なる曲線や直線にプロットされるデータテーブルであっても良い。また、ノズル列内のラスタに共通のデータテーブルではなく、例えば、ラスタ番号ごとに異なる値を持つデータテーブルであっても良い。濃度むらの発生およびその程度は、吐出するインクの量、乾燥特性、吐出タイミング、印刷媒体、にじみ特性などによって異なってくるため、ノズル列使用率補正量テーブルは、適宜評価することによって求めるのが望ましい。
<色彩むらと濃度むらの補正>
以上、ここまで、上下端処理を含むドットの形成方法、色彩むらの補正方法、および濃度むらの補正方法について説明してきた。
本実施形態では、上下端処理を含むドットの形成方法において、色彩むらと濃度むらの双方を両立して抑制できるように、吐出するインク滴の量を補正している。すなわち、上下端部の移行処理および通常処理の領域において、第1補正量テーブル、第2補正量テーブルおよびノズル列使用率補正量テーブルに基づいてインク滴の量を補正している。以下に具体的に説明する。
以上、ここまで、上下端処理を含むドットの形成方法、色彩むらの補正方法、および濃度むらの補正方法について説明してきた。
本実施形態では、上下端処理を含むドットの形成方法において、色彩むらと濃度むらの双方を両立して抑制できるように、吐出するインク滴の量を補正している。すなわち、上下端部の移行処理および通常処理の領域において、第1補正量テーブル、第2補正量テーブルおよびノズル列使用率補正量テーブルに基づいてインク滴の量を補正している。以下に具体的に説明する。
図20は、本実施形態におけるユーザーの下での印刷処理時のブロック図である。従来技術を示す図13に対し、使用率補正モジュールを付加している。
図21は、本実施形態におけるプリンタードライバーが行う処理のフロー図である。従来技術を示す図14における色彩むら補正処理(S5)に換わり、色彩むらと濃度むら補正処理(S50)を行っている。S50の処理では、プリンタードライバーは、抽出したラスタデータに対し、使用率補正モジュールによりノズル列使用率補正量テーブルに基づいて補正された使用率データを用いて色彩むら補正モジュールにより色彩むら補正処理を行う。
図21は、本実施形態におけるプリンタードライバーが行う処理のフロー図である。従来技術を示す図14における色彩むら補正処理(S5)に換わり、色彩むらと濃度むら補正処理(S50)を行っている。S50の処理では、プリンタードライバーは、抽出したラスタデータに対し、使用率補正モジュールによりノズル列使用率補正量テーブルに基づいて補正された使用率データを用いて色彩むら補正モジュールにより色彩むら補正処理を行う。
図22は、色彩むらと濃度むらとを両立する補正処理(S50)のフロー図である。
まずプリンタードライバーは、S5aと同様に、第1ノズル列(第1ヘッド42A)および第2ノズル列(第2ヘッド42B)に対応する該当する色の色彩むら補正値を取得する(S50a)。
次に、S5bと同様に、ノズル列ごとに補正量テーブルを作成する(S50b)。すなわち、第1パターンに基づいて得られた第1ノズル列(第1ヘッド42A)のノズルが吐出するインク滴の量を補正する第1補正量テーブルと、第2パターンに基づいて得られた第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズルが吐出するインク滴の量を補正する第2補正量テーブルとを作成する。
まずプリンタードライバーは、S5aと同様に、第1ノズル列(第1ヘッド42A)および第2ノズル列(第2ヘッド42B)に対応する該当する色の色彩むら補正値を取得する(S50a)。
次に、S5bと同様に、ノズル列ごとに補正量テーブルを作成する(S50b)。すなわち、第1パターンに基づいて得られた第1ノズル列(第1ヘッド42A)のノズルが吐出するインク滴の量を補正する第1補正量テーブルと、第2パターンに基づいて得られた第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズルが吐出するインク滴の量を補正する第2補正量テーブルとを作成する。
次に、プリンタードライバーは、各ヘッドの使用率(図10参照)に基づいて、S4で抽出されたラスタデータに対応するラスタ番号における使用率データを取得する(S50c)。
次に、ノズル列使用率補正量テーブルに基づき、以下に説明するように、ここで取得されたノズル列の使用率を補正し、補正したノズル列の使用率による重み付けをして階調値の補正を行う(S50d、S50e)。
次に、ノズル列使用率補正量テーブルに基づき、以下に説明するように、ここで取得されたノズル列の使用率を補正し、補正したノズル列の使用率による重み付けをして階調値の補正を行う(S50d、S50e)。
<ノズル列の使用率補正>
図23は、ノズル列の使用率の補正例を示すグラフであり、上端処理、移行処理、通常処理、下端処理の各領域における第1ノズル列と第2ノズル列の使用率を示している。図23において、破線は、濃度むら補正のためのノズル列の使用率補正を行っていない場合のグラフであり、実線は、階調値120に対応する濃度むら補正のためのノズル列の使用率補正を行った場合のグラフである。なお、移行処理領域の使用率の変化を直線で示しているが、実際には図10からも分かるように段階的に変化している。
図23は、ノズル列の使用率の補正例を示すグラフであり、上端処理、移行処理、通常処理、下端処理の各領域における第1ノズル列と第2ノズル列の使用率を示している。図23において、破線は、濃度むら補正のためのノズル列の使用率補正を行っていない場合のグラフであり、実線は、階調値120に対応する濃度むら補正のためのノズル列の使用率補正を行った場合のグラフである。なお、移行処理領域の使用率の変化を直線で示しているが、実際には図10からも分かるように段階的に変化している。
上端処理では、第1ノズル列(第1ヘッド42A)のみによる印刷であり、下端処理では、第2ノズル列(第2ヘッド42B)のみによる印刷であるため、濃度むらの補正は行わない。つまり、ノズル列の使用率の補正は行われない。
色彩むらの補正は、上述したように、ノズル列ごとの補正量テーブルに基づき、ノズル列の使用率の重み付けをして階調値の補正を行う。また、濃度むら補正は、上述したように、階調に応じてノズル列使用率補正量テーブルに基づきノズル列の使用率を補正する。
色彩むらと濃度むらを両立させる補正は、ノズル列使用率補正量テーブルに基づき補正されたノズル列の使用率の重み付けをして、ノズル列ごとの補正量テーブルに基づき階調値の補正を行う。
色彩むらの補正は、上述したように、ノズル列ごとの補正量テーブルに基づき、ノズル列の使用率の重み付けをして階調値の補正を行う。また、濃度むら補正は、上述したように、階調に応じてノズル列使用率補正量テーブルに基づきノズル列の使用率を補正する。
色彩むらと濃度むらを両立させる補正は、ノズル列使用率補正量テーブルに基づき補正されたノズル列の使用率の重み付けをして、ノズル列ごとの補正量テーブルに基づき階調値の補正を行う。
例えば、画素データの階調値が120の場合、ノズル列使用率補正量テーブル(図19参照)に基づく補正により第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率は、0.38となる。また、上端処理、移行処理、通常処理、下端処理の各領域における第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率は、この使用率(0.38)によって補正した図23の実線で示す値となる。
つまり、画素データの階調値が120の場合、通常処理領域における階調の最終的な補正値は、131(=100×0.38+150×0.62)になる。また、例えば、移行処理領域における第1ノズル列(第1ヘッド42A)の濃度むら補正前の使用率が0.7の場合、補正後の第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率は、0.59(=(0.7×0.38)/(0.7×0.38+0.3×0.62)、第2ノズル列(第2ヘッド42B)の使用率は、0.41(=(0.3×0.62)/(0.7×0.38+0.3×0.62)となるため、補正後の階調値は120.5(=100×0.59+150×0.41)となる。
つまり、画素データの階調値が120の場合、通常処理領域における階調の最終的な補正値は、131(=100×0.38+150×0.62)になる。また、例えば、移行処理領域における第1ノズル列(第1ヘッド42A)の濃度むら補正前の使用率が0.7の場合、補正後の第1ノズル列(第1ヘッド42A)の使用率は、0.59(=(0.7×0.38)/(0.7×0.38+0.3×0.62)、第2ノズル列(第2ヘッド42B)の使用率は、0.41(=(0.3×0.62)/(0.7×0.38+0.3×0.62)となるため、補正後の階調値は120.5(=100×0.59+150×0.41)となる。
このように、プリンタードライバーは、画素データの階調値(例えば120)を入力階調値として各ノズル列の補正量テーブルに基づいてそれぞれの出力階調値(例えば、100と150)を求め、ノズル列使用率補正量テーブルに基づき補正されたノズル列の使用率(例えば、0.38と0.62)の重み付けをした出力階調値を加算することによって、補正後の階調値(例えば、131)を算出する。
プリンタードライバーは、ラスタデータの全画素データの階調値を補正すれば、色彩むらと濃度むらの補正処理を終了する。
以上述べたように、本実施形態による液滴吐出方法および液滴吐出装置によれば、以下の効果を得ることができる。
第1ノズル列(第1ヘッド42A)に対応する第1補正量テーブルと、第2ノズル列(第2ヘッド42B)に対応する第2補正量テーブルと、形成するドット列の階調に基づくノズル列使用率補正量テーブルとに基づいてドット列を形成する液滴の量が補正される。
第1ノズル列(第1ヘッド42A)に対応する第1補正量テーブルと、第2ノズル列(第2ヘッド42B)に対応する第2補正量テーブルと、形成するドット列の階調に基づくノズル列使用率補正量テーブルとに基づいてドット列を形成する液滴の量が補正される。
第1補正量テーブルは、第1ノズル列(第1ヘッド42A)により形成されたドット列から構成される第1パターンに基づいて得られた第1ノズル列(第1ヘッド42A)のノズルが吐出するインク滴の量を補正する補正量テーブルである。つまり、第1補正量テーブルに基づけば、第1ノズル列(第1ヘッド42A)のノズルのインク滴吐出特性に応じて第1ノズル列(第1ヘッド42A)のノズルからのインク滴の吐出を補正することができる。具体的には、例えば、第1ノズル列(第1ヘッド42A)のノズルからのインク滴吐出量が所定の量(例えば設計値)より少なく(あるいは多く)なっている場合に、所定の量の吐出がされるように第1補正量テーブルによって補正することができる。その結果、第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)との特性差による色彩むらなどを抑制することができる。
第2補正量テーブルは、第2ノズル列(第2ヘッド42B)により形成されたドット列から構成される第2パターンに基づいて得られた第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズルが吐出するインク滴の量を補正する補正量テーブルである。つまり、第2補正量テーブルに基づけば、第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズルのインク滴吐出特性に応じて第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズルからのインク滴の吐出を補正することができる。具体的には、例えば、第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズルからのインク滴吐出量が所定の量(例えば設計値)より少なく(あるいは多く)なっている場合に、所定の量の吐出がされるように第2補正量テーブルによって補正することができる。その結果、第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)との特性差による色彩むらなどを抑制することができる。
ノズル列使用率補正量テーブルは、形成するドット列の階調に基づいて得られたドット列を形成するための第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズル列使用率を補正する補正量テーブルである。つまり、ノズル列使用率補正量テーブルに基づけば、形成するドット列の階調に応じて、第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズル列使用率を補正することができる。その結果、近接するドットが形成されるタイミングの違いによって発生する濃度むらや光沢むらなどを抑制することができる。すなわち、例えば、近接するドットが形成されるタイミングの違いによってインクのにじみ易さが変わり、濃度むらを引き起こす傾向がある場合には、形成するドット列の階調に応じて、第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズル列使用率を変えることにより、ドット列を構成するドットが形成されるタイミングを変えることで、これらのむらを抑制することができる。
従って、本実施形態によれば、第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)との特性差による色彩むらや、近接するドットが形成されるタイミングの違いによって発生する濃度むらなどを抑制することができる。
また、形成するドット列の平均階調に基づいて、第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズル列使用率が補正されるため、ドット列ごとに行うインク滴の吐出制御をより簡便に行うことができる。
また、ノズル列使用率補正量テーブルに基づいて、第1補正量テーブルと第2補正量テーブルの重み付けを行うことによりドット列を形成するために吐出するインク滴の量を補正している。つまり、補正された第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズル列使用率に基づいて第1補正量テーブルと第2補正量テーブルのそれぞれを重みづけして補正を行うため、より適正に補正することができる。
また、インクジェットプリンター100は、用紙10を搬送方向に移動する搬送ユニット20と、用紙10にインク滴を吐出する複数のノズルが搬送方向に並んだ第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)と、第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)とを搬送方向と交差する走査方向に走査移動するキャリッジユニット30と、搬送ユニット20およびキャリッジユニット30の駆動制御とノズルからのインク滴の吐出制御とをすることにより、走査方向に並ぶドットから構成されるドット列を搬送方向に複数形成するコントローラー60とを備えている。また、第1ノズル列(第1ヘッド42A)により形成されたドット列から構成される第1パターンに基づいて得られた第1補正量テーブルと、第2ノズル列(第2ヘッド42B)により形成されたドット列から構成される第2パターンに基づいて得られた第2補正量テーブルと、形成するドット列の階調に基づいて得られた、ドット列を形成するための第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)のノズル列使用率を補正するノズル列使用率補正量テーブルと、に基づいてドット列を形成するために吐出するインク滴の量が補正される。
従って、本実施形態のインクジェットプリンター100によれば、第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)との特性差による色彩むらや、近接するドットが形成されるタイミングの違いによって発生する濃度むらなどが抑制された画像を得ることができる。
従って、本実施形態のインクジェットプリンター100によれば、第1ノズル列(第1ヘッド42A)と第2ノズル列(第2ヘッド42B)との特性差による色彩むらや、近接するドットが形成されるタイミングの違いによって発生する濃度むらなどが抑制された画像を得ることができる。
10…用紙、20…搬送ユニット、21…給紙ローラー、22…搬送モーター、23…搬送ローラー、24…プラテン、25…排紙ローラー、30…キャリッジユニット、31…キャリッジ、32…キャリッジモーター、40…ヘッドユニット、41…ヘッド、41A…第1ノズル群、41B…第2ノズル群、42A…第1ヘッド、42B…第2ヘッド、42X…仮想ヘッドセット、60…コントローラー、61…インターフェイス部、62…CPU、63…メモリー、64…ユニット制御回路、65…駆動信号生成部、65A…第1駆動信号生成部、65B…第2駆動信号生成部、100…インクジェットプリンター、110…PC(パーソナルコンピューター)。
Claims (4)
- 印刷媒体を搬送方向に移動する搬送動作と、複数のノズルが前記搬送方向に並んだ第1ノズル列と第2ノズル列とを前記搬送方向と交差する走査方向に走査移動させつつ前記ノズルから前記印刷媒体に液滴を吐出する液滴吐出動作と、を交互に繰り返すことにより、前記走査方向に並ぶドットから構成されるドット列を前記搬送方向に複数形成する液滴吐出方法であって、
前記第1ノズル列に対応する第1補正量テーブルと、
前記第2ノズル列に対応する第2補正量テーブルと、
形成する前記ドット列の階調に基づいて得られた、前記ドット列を形成するための前記第1ノズル列と前記第2ノズル列のノズル列使用率と、
に基づいて前記ドット列を形成するために単位面積当たりに吐出する前記液滴の量を補正することを特徴とする液滴吐出方法。 - 前記階調は、形成する前記ドット列の平均階調であることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出方法。
- 前記ノズル列使用率に基づいて、前記第1補正量テーブルと前記第2補正量テーブルの重み付けを行うことにより前記ドット列を形成するために単位面積当たりに吐出する前記液滴の量を補正することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液滴吐出方法。
- 印刷媒体を搬送方向に移動する搬送部と、
前記印刷媒体に液滴を吐出する複数のノズルが前記搬送方向に並んだ第1ノズル列と第2ノズル列と、
前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とを前記搬送方向と交差する走査方向に走査移動する走査移動部と、
前記搬送部および前記走査移動部の駆動制御と前記ノズルからの前記液滴の吐出制御とをすることにより、前記走査方向に並ぶドットから構成されるドット列を前記搬送方向に複数形成する制御部と、を備え、
前記第1ノズル列に対応する第1補正量テーブルと、
前記第2ノズル列に対応する第2補正量テーブルと、
形成する前記ドット列の階調に基づいて得られた、前記ドット列を形成するための前記第1ノズル列と前記第2ノズル列のノズル列使用率と、
に基づいて前記ドット列を形成するために単位面積当たりに吐出する前記液滴の量を補正することを特徴とする液滴吐出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014132264A JP2016010863A (ja) | 2014-06-27 | 2014-06-27 | 液滴吐出方法および液滴吐出装置 |
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Family Applications (1)
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JP2014132264A Pending JP2016010863A (ja) | 2014-06-27 | 2014-06-27 | 液滴吐出方法および液滴吐出装置 |
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2014
- 2014-06-27 JP JP2014132264A patent/JP2016010863A/ja active Pending
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