JP2016008234A - 合成皮革用ポリウレタン - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを原料として共重合したポリカーボネートジオール(特許文献1)、1,4−ブタンジオールと1,5−ペンタンジオールを原料として共重合したポリカーボネートジオール(特許文献2)、1,3−プロパンジオールと他のジヒドロキシ化合物を原料として共重合したポリカーボネートジオール(特許文献3)が提案されている。
特許文献1乃至3に記載のポリカーボネートジオールでは、ポリウレタンとした際の低温特性や耐薬品性が不十分であった。
特許文献4乃至6に記載のポリカーボネートジオールではポリウレタンとした際の耐薬品性には優れるものの、低温特性に関しては1,6−ヘキサンジオールから合成されるポリカーボネートジオールを用いたポリウレタンよりも劣るものであった。特に、特許文献4では分子量が500〜10000のポリテトラメチレンカーボネートジオールを製造する方法に関して記載されているが、実質的に製造されているポリカーボネートでは分子量が低いため、低温特性に関しては不十分であった。
また特許文献7に開示されているポリカーボネートジオールでは、ポリウレタンの耐溶剤性が十分ではなく、特許文献8に開示されているポリカーボネートジオールではポリウレタンの低温特性が十分ではなかったことに加え、特許文献7や特許文献8のポリカーボネートジオールに関しては、該ポリカーボネートジオールを用いたポリウレタンを人工皮革又は合成皮革として使用すると好適であるという記載はない。
さらに特許文献9又は10には高分子量のポリカーボネートジオールの製造方法に関して記載されているが、これらは1,6−ヘキサンジオールを原料として使用したポリカーボネートジオールに関するものであり、例えば1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールの少なくとも1つを原料として使用したポリカーボネートジオールに関しては実質的に高分子量のポリカーボネートジオールは合成できないものであった。
すなわち、本発明の要旨は、以下である。
ここで、本明細書において“質量%”と“重量%”、“質量ppm”と“重量ppm”、及び“質量部”と“重量部”とは、それぞれ同義である。また、単に“ppm”と記載した場合は、“重量ppm”のことを示す。
まず、本発明の合成皮革用ポリウレタンの原料である特定の(c)ポリカーボネートジオール(以下「本発明のポリカーボネートジオール」と称す場合がある。)について説明する。
本発明のポリカーボネートジオールの水酸基価は20mg−KOH/g以上45mg−KOH/g以下である。本発明のポリカーボネートジオールの水酸基価の下限は好ましくは25mg−KOH/g、より好ましくは30mg−KOH/g、さらに好ましくは35mg−KOH/gである。また、上限は好ましくは42mg−KOH/g、より好ましくは40mg−KOH/g、さらに好ましくは38mg−KOH/gである。水酸基価が上記下限未満では、ポリカーボネートジオールの粘度が高くなりすぎ、ポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンとする際のハンドリングが困難となる場合があり、上記上限超過ではポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンとした時に柔軟性、低温特性、弾性回復性などの物性が不足する場合がある。上記範囲内においては、ポリウレタンとした時の柔軟性、低温特性、弾性回復性、触感に優れており、また耐薬品性や耐熱性に関しても良好な物性となる。
ポリカーボネートジオールの水酸基価は、具体的には、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明のポリカーボネートジオールは、該ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数(以下、単に「平均炭素数」と称す場合がある。)が3以上5.5以下であることにより、ポリウレタンにしたときに良好な耐薬品性、耐熱性を得ることができる。この平均炭素数の上限は5.5であり、好ましくは5.4、より好ましくは5.3、更に好ましくは5.0、特に好ましくは4.7、最も好ましくは4.5である。平均炭素数の下限は3であり、好ましくは3.2、より好ましくは3.4、特に好ましくは3.5である。平均炭素数が上記下限未満では、柔軟性、低温特性が不足する場合があり、また上記上限を超える場合は、耐薬品性、耐熱性が不足する場合がある。
従来、ポリカーボネートジオールとして一般的に用いられる水酸基価は55mg−KOH/g〜120mg−KOH/gである一方、本発明のポリカーボネートジオールの水酸基価は20mg−KOH/g〜45mg−KOH/gで、分子量に換算すると一般的に用いられるポリカーボネートジオールの分子量よりも大きいため、得られるポリウレタン中のソフトセグメント部位の鎖長が長くなり、柔軟性、低温特性、加工適性等が向上する。しかし、従来用いられてきたポリカーボネートジオールの構造単位を用いて分子量を増大させると、上記物性は向上するものの、ソフトセグメント鎖長の増大による凝集力の低下が原因で、得られるポリウレタンの耐薬品性、耐アルカリ性、耐水性、耐熱性が劣る傾向にあった。一方、本発明のポリカーボネートは、該ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数を一定範囲内にすることにより、凝集力の比較的強いカーボネート結合間の距離を調整し、ポリカーボネートジオールの分子量の増大に伴う耐薬品性、耐アルカリ性、耐水性、耐熱性の低下を抑制しつつ、柔軟性、低温特性、加工適性等を両立することが可能となった。つまり、本発明のポリカーボネートジオールを用いることにより、柔軟性、低温特性、加工適性、耐薬品性、耐アルカリ性、耐水性、耐熱性などの諸物性のバランスに優れたポリウレタンを得ることが出来ると推定される。
具体的な方法は、実施例の項に記載される通りである。
本発明のポリカーボネートジオールの示差走査熱量計(以下「DSC」と称する場合がある。)にて測定したガラス転移温度(Tg)は−30℃以下であり、好ましくは−35℃以下である。Tgが高すぎるとポリウレタンとした際のTgも高くなり、低温特性が悪化する場合がある。ただし、Tgの下限は低すぎると、ポリウレタンにした際に弾性率が低すぎたり、タック性が強くなったりする傾向にあるため、通常−100℃以上である。
本発明のポリカーボネートジオールの分子鎖末端は主に水酸基である。しかしながら、ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物との反応で得られるポリカーボネートジオールの場合には、不純物として一部分子鎖末端が水酸基ではないものが存在する可能性がある。その具体例としては、分子鎖末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基のものであり、多くはカーボネート化合物由来の構造である。
本発明のポリカーボネートジオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」と略記する場合がある。)により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)は1.5〜3.0が好ましい。Mw/Mnの下限はより好ましくは1.7、さらに好ましくは1.8である。Mw/Mnの上限はより好ましくは2.5、さらに好ましくは2.3である。Mw/Mn比が上記範囲を超える場合、このポリカーボネートジオールを用いて製造したポリウレタンの物性が、低温で硬くなる、伸びが低下する等の傾向があり、Mw/Mnが上記範囲未満のポリカーボネートジオールを製造しようとすると、オリゴマーを除くなどの高度な精製操作が必要になる場合がある。
ポリカーボネートジオールの分子量分布における重量平均分子量と数平均分子量は、具体的には、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
ポリカーボネートジオールの水酸基価から求めた数平均分子量(Mn)は、具体的には、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明のポリカーボネートジオールの色は、ハーゼン色数(JIS K0071−1:1998に準拠)で表した場合の値(以下「APHA値」と表記する。)で60以下であることが好ましく、より好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下、特に好ましくは20以下である。APHA値が60を超えると、ポリカーボネートジオールを原料として得られるポリウレタンの色調が悪化し、商品価値を低下させたり、熱安定性が悪くなったりする。APHA値を60以下にするためには、ポリカーボネートジオール製造時の触媒、添加剤の種類や量の選択、熱履歴、重合中および重合終了後のモノヒドロキシ化合物の濃度や未反応モノマーの濃度を総合的に制御する必要がある。また、重合中および重合終了後の遮光も効果的である。また、ポリカーボネートジオールの分子量の設定やモノマーであるジヒドロキシ化合物種の選定も重要である。特にアルコール性水酸基を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物を原料とするポリカーボネートジオールは、ポリウレタンに加工した場合に、柔軟性や耐水性、耐光性等の種々の優れた性能を示すが、芳香族ジヒドロキシ化合物を原料とした場合より熱履歴や触媒による着色が著しくなる傾向にあるため、上記の制御が重要である。
APHAは、具体的には、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明のポリカーボネートジオールは、後述の実施例の項に記載される方法で測定される溶融粘度が100mPa.s以上、特に300mPa.s以上、とりわけ500mPa.s以上で、1000000mPa.s以下、特に15000mPa.s以下、とりわけ10000mPa.s以下であることが好ましい。ポリカーボネートジオールの溶融粘度が上記下限以上であるとポリカーボネートジオールの重合度が十分であり、これを用いて製造したウレタンの柔軟性や弾性回復性が優れる傾向にあり、上記上限以下であるとポリカーボネートの取扱い性が向上し、製造の効率を落とさないため好ましい。
本発明のポリカーボネートジオールは、前記のポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とを、エステル交換反応により重縮合することにより製造することができる。
本発明のポリカーボネートジオールの製造において、原料となるジヒドロキシ化合物は、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。
本発明のポリカーボネートジオールの製造に使用可能なカーボネート化合物としては、反応性の観点からジアリールカーボネートが好ましい。特に前述の水酸基価から求めた数平均分子量(Mn)が2,500以上の分子量のポリカーボネートジオールの合成においては、ジアリールカーボネートを用いることが好ましい。
本発明のポリカーボネートジオールの製造において、カーボネート化合物の使用量は、特に限定されないが、通常ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対するモル比率で、下限が好ましくは0.90、より好ましくは0.92、さらに好ましくは0.94であり、上限は好ましくは1.00、より好ましくは0.98、さらに好ましくは0.97である。カーボネート化合物の使用量が上記上限超過では得られるポリカーボネートジオールの末端基が水酸基でないものの割合が増加したり、分子量が所定の範囲とならない場合があり、前記下限未満では所定の分子量まで重合が進行しない場合がある。
本発明のポリカーボネートジオールを製造する場合には、エステル交換反応を促進するためにエステル交換触媒(以下、「触媒」と称する場合がある)を用いることができる。
エステル交換反応の際に触媒を用いた場合、通常得られたポリカーボネートジオールには触媒が残存し、残存する触媒により、ポリカーボネートジオールの加熱により、分子量上昇や組成変化、色調悪化等が起こったり、ポリウレタン化反応の制御が出来なくなったりする場合がある。この残存する触媒の影響を抑制するために、使用されたエステル交換触媒とほぼ等モルの例えばリン系化合物等を添加し、エステル交換触媒を不活性化することが好ましい。さらには添加後、後述のように加熱処理等により、エステル交換触媒を効率的に不活性化することができる。
リン系化合物と反応させる時間は特に限定するものではないが、通常1〜5時間である。
本発明のポリカーボネートジオールは、前記のジヒドロキシ化合物と、前記のカーボネート化合物とを、好ましくは前述の触媒を用いてエステル交換反応により重合させることにより製造することができる。
反応原料の仕込み方法は、特に制限はなく、ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物と触媒の全量を同時に仕込み反応に供する方法や、カーボネート化合物が固体の場合まずカーボネート化合物を仕込んで加温、溶融させておき後からジヒドロキシ化合物と触媒を添加する方法、逆にジヒドロキシ化合物を先に仕込んでおいて溶融させ、ここへカーボネート化合物と触媒を投入する方法、など自由にその方法は選択できる。
この際の反応終了時の反応圧力は、特に限定はされないが、通常上限が絶対圧力として10kPa、好ましくは5kPa、より好ましくは1kPaである。これら軽沸成分の留出を効果的に行うために、反応系へ窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを少量通じながら該反応を行うこともできる。
重合反応後は、ポリカーボネートジオール中の末端構造がアルキルオキシ基である不純物、アリールオキシ基である不純物、未反応ジヒドロキシ化合物やカーボネート化合物、副生するモノヒドロキシ化合物やジヒドロキシ化合物および軽沸の環状カーボネート、さらには添加した触媒などを除去する目的で精製を行うことができる。その際の精製は軽沸化合物については、蒸留で留去する方法が採用できる。蒸留の具体的な方法としては減圧蒸留、水蒸気蒸留、薄膜蒸留など特にその形態に制限はないが、中でも薄膜蒸留が効果的である。また、水溶性の不純物を除くために水、アルカリ性水、酸性水、キレート剤溶解溶液などで洗浄してもよい。その場合、水に溶解させる化合物は任意に選択できる。
薄膜蒸留直前のポリカーボネートジオールの保温の温度を上記下限以上とすることにより、薄膜蒸留直前のポリカーボネートジオールの流動性が低下するのを防ぐことができる。一方、上記上限以下とすることにより、薄膜蒸留後に得られるポリカーボネートジオールが着色するのを防ぐことができる。
原料として例えばジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートを使用した場合、ポリカーボネートジオール製造中にフェノール類が副生する。フェノール類は一官能性化合物なので、ポリウレタンを製造する際の阻害因子となる可能性がある上、フェノール類によって形成されたウレタン結合は、その結合力が弱いために、その後の工程等で熱によって解離してしまい、イソシアネートやフェノール類が再生し、不具合を起こす可能性がある。また、フェノール類は刺激性物質でもあるため、ポリカーボネートジオール中のフェノール類の残存量は、より少ない方が好ましい。具体的にはポリカーボネートジオールに対する重量比として好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下、中でも100ppm以下であることが好ましい。ポリカーボネートジオール中のフェノール類を低減するためには、前述のようにポリカーボネートジオールの重合反応の圧力を絶対圧力として1kPa以下の高真空としたり、ポリカーボネートジオールの重合後に薄膜蒸留等を行ったりすることが有効である。
このため、ポリカーボネートジオール中に残存する触媒量は、特に限定されないが、触媒金属換算の含有量として100ppm以下が好ましく、より好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。
本発明の人工皮革又は合成皮革用ポリウレタン(以下、「本発明のポリウレタン」と称す場合がある。)は、少なくとも(a)1分子中にイソシアネート基を2個以上含有する化合物(以下「ポリイソシアネート」と称す場合がある。)と、(b)鎖延長剤と、(c)上述の本発明のポリカーボネートジオールを用いて製造される。
本発明のポリカーボネートジオールを用いて本発明のポリウレタンを製造する方法は、通常ポリウレタンを製造する公知のポリウレタン化反応条件が用いられる。
また、(c)本発明のポリカーボネートジオールと過剰の(a)ポリイソシアネートとをまず反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造し、さらに(b)鎖延長剤を用いて重合度を上げて本発明のポリウレタンを製造する事が出来る。
本発明のポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンを製造するのに使用される(a)ポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂環族又は芳香族の各種公知のポリイソシアネート化合物が挙げられる。
また、本発明のポリウレタンを製造する際に用いられる(b)鎖延長剤は、後述するイソシアネート基を有するプレポリマーを製造する場合において、イソシアネート基と反応する活性水素を少なくとも2個有する低分子量化合物であり、通常ポリオール及びポリアミン等を挙げることができる。
ポリウレタンを製造する際、硬度調整剤を使用しても良い。硬度調整剤としては、ポリカーボネートジオールの原料であるジヒドロキシ化合物などを使用すると良い。硬度調整剤を使用する理由を以下に説明する。例えば分子量の大きいポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンを製造する場合、ポリイソシアネートや鎖延長剤の原料モル組成を分子量の低いポリカーボネートジオールと同一にすると、ポリウレタン分子全体に占めるポリカーボネートジオールの重量割合が大きくなることに起因し、弾性率や硬度が低下する。そのため、ポリカーボネートジオールの原料であるジヒドロキシ化合物などを硬度調整剤として加えることで、ポリウレタン全体に占めるポリカーボネートジオールの重量割合を同等に調整することが可能となり、分子量の異なるポリカーボネートジオールを用いた場合であっても、得られるポリウレタンの弾性率や硬度が低下することを防ぐことができる。この方法は一般的に広く用いられているものである。
本発明のポリウレタンを製造する際には、得られるポリウレタンの分子量を制御する目的で、必要に応じて1個の活性水素基を持つ鎖停止剤を使用することができる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応において、トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミンなどのアミン系触媒又は酢酸、リン酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等の酸系触媒、トリメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジオクチルチンジネオデカネートなどのスズ系の化合物、さらにはチタン系化合物などの有機金属塩などに代表される公知のウレタン重合触媒を用いる事もできる。ウレタン重合触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応においては、本発明のポリカーボネートジオールと必要に応じてそれ以外のポリオールを併用しても良い。ここで、本発明のポリカーボネートジオール以外のポリオールとは、通常のポリウレタン製造の際に用いるものであれば特に限定されず、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、本発明のポリカーボネートジオール以外のポリカーボネートポリオールが挙げられる。例えば、ポリエーテル系ポリオールとの併用では、本発明のポリカーボネートジオールの特徴である低温特性を更に向上させたポリウレタンとすることができる。ここで、本発明のポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールを合わせた重量に対する本発明のポリカーボネートジオールの重量割合は70%以上が好ましく、90%以上がさらに好ましい。本発明のポリカーボネートジオールの重量割合が少ないと、本発明の特徴である柔軟性、耐薬品性、低温特性、耐熱性、触感の物性バランスが失われる可能性がある。
本発明のポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応には溶媒を用いても良い。
好ましい溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;及びトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上の混合溶媒として用いてもよい。
また、本発明のポリカーボネートジオール、ポリイソシアネート、及び前記の鎖延長剤が配合されたポリウレタン組成物から、水分散液のポリウレタンを製造することもできる。
上述の反応試剤を用いて本発明のポリウレタンを製造する方法としては、一般的に実験ないし工業的に用いられる製造方法が使用できる。
一段法とは、ワンショット法とも呼ばれ、(c)本発明のポリカーボネートジオール、必要に応じて用いられる(以下、この記載は省略する。)それ以外のポリオール、(a)ポリイソシアネート及び(b)鎖延長剤を一括に仕込むことで反応を行う方法である。
二段法は、プレポリマー法ともよばれ、主に以下の方法がある。
(i)予め本発明のポリカーボネートジオール及びそれ以外のポリオールと、過剰のポリイソシアネートとを、ポリイソシアネート/(本発明のポリカーボネートジオール及びそれ以外のポリオール)の反応当量比が1を超える量から10.0以下で反応させて、分子鎖末端がイソシアネート基であるプレポリマーを製造し、次いでこれに鎖延長剤を加えることによりポリウレタンを製造する方法
(ii)予めポリイソシアネートと、過剰の本発明のポリカーボネートジオール及びそれ以外のポリオールとを、ポリイソシアネート/(本発明のポリカーボネートジオール及びそれ以外のポリオール)の反応当量比が0.1以上から1.0未満で反応させて分子鎖末端が水酸基であるプレポリマーを製造し、次いでこれに鎖延長剤として末端がイソシアネート基のポリイソシアネートを反応させてポリウレタンを製造する方法。
(1) 溶媒を使用せず、まず直接ポリイソシアネートと本発明のポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールとを反応させてプレポリマーを合成し、そのまま鎖延長反応に使用する。
(2) (1)の方法でプレポリマーを合成し、その後溶媒に溶解し、以降の鎖延長反応に使用する。
(3) 初めから溶媒を使用し、ポリイソシアネートと本発明のポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールとを反応させ、その後鎖延長反応を行う。
二段法(i)の方法におけるポリイソシアネートの使用量は、特に限定はされないが、本発明のポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールの総水酸基の数を1当量とした場合のイソシアネート基の数として、下限が好ましくは1.0当量を超える量、より好ましくは1.2当量、さらに好ましくは1.5当量であり、上限が好ましくは10.0当量、より好ましくは5.0当量、さらに好ましくは3.0当量の範囲である。
触媒としては例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、N−エチルモルフォリン、トリエチレンジアミンなどのアミン系触媒又は酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等の酸系触媒、トリメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジオクチルチンジネオデカネートなどのスズ系の化合物、さらにはチタン系化合物などの有機金属塩などに代表される公知のウレタン重合触媒を用いる事ができる。ウレタン重合触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
安定剤としては例えば2,6−ジブチル−4−メチルフェノール、ジステアリルチオジプロピオネ−ト、N,N′−ジ−2−ナフチル−1,4−フェニレンジアミン、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト等の化合物が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。尚、鎖延長剤が短鎖脂肪族アミン等の反応性の高いものの場合は、触媒を添加せずに実施してもよい。
本発明のポリカーボネートジオールを用いて、水系ポリウレタンエマルションを製造する事も可能である。
その場合、本発明のポリカーボネートジオールを含むポリオールと過剰のポリイソシアネートを反応させてプレポリマーを製造する際に、少なくとも1個の親水性官能基と少なくとも2個のイソシアネート反応性の基を有する化合物を混合してプレポリマーを形成し、親水性官能基の中和塩化工程、水添加による乳化工程、鎖延長反応工程を経て水系ポリウレタンエマルションとする。
本発明のポリカーボネートジオールを用いて製造した本発明のポリウレタンには、熱安定剤、光安定剤、着色剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着防止剤、難燃剤、老化防止剤、無機フィラー等の各種の添加剤を、本発明のポリウレタンの特性を損なわない範囲で、添加、混合することができる。
リン化合物としては、「PEP−36」、「PEP−24G」、「HP−10」(いずれも商品名:株式会社ADEKA社製)、「Irgafos 168」(商品名:BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
本発明のポリウレタンの分子量は、その用途に応じて適宜調整され、特に制限はないが、GPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として5万〜50万であることが好ましく、10万〜30万であることがより好ましい。Mwが上記下限よりも小さいと十分な強度や硬度が得られない場合があり、上記上限よりも大きいと加工性などハンドリング性を損なう傾向がある。
本発明のポリウレタンは、例えば後述の実施例の項に記載される方法での評価において、オレイン酸に浸漬前のポリウレタン試験片の重量に対する、オレイン酸に浸漬後のポリウレタン試験片の重量の変化率(増加率)(%)が、50%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましく、25%以下が特に好ましい。
この重量変化率が上記上限超過では十分な耐オレイン酸性が得られない場合がある。
本発明のポリウレタンは、例えば後述の実施例の項に記載される方法での評価において、エタノールに浸漬前のポリウレタン試験片の重量に対する、エタノールに浸漬後のポリウレタン試験片の重量の変化率(増加率)(%)が、25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、17%以下がさらに好ましく、16%以下が特に好ましく、15%以下が最も好ましい。
この重量変化率が上記上限超過では十分な耐エタノール性が得られない場合がある。
本発明のポリウレタンは、例えば後述の実施例の項に記載される方法での評価において、酢酸エチルに浸漬前のポリウレタン試験片の重量に対する、酢酸エチルに浸漬後のポリウレタン試験片の重量の変化率(増加率)(%)が、150%以下が好ましく、130%以下がより好ましく、110%以下がさらに好ましく、100%以下が特に好ましい。
この重量変化率が上記上限超過では十分な耐酢酸エチル性が得られない場合がある。
本発明のポリウレタンは、幅10mm、長さ100mm、厚み約50〜100μmの短冊状のサンプルに対して、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃、相対湿度50%で測定した引張破断伸度の下限が好ましくは50%、より好ましくは100%、さらに好ましくは150%であり、上限は好ましくは900%、より好ましくは850%、さらに好ましくは800%である。引張破断伸度が上記下限未満では加工性などハンドリング性を損なう傾向があり、上記上限を超えると十分な耐薬品性が得られない場合がある。
本発明のポリウレタンは、幅10mm、長さ100mm、厚み約50〜100μmの短冊状のサンプルに対して、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃、相対湿度55%で測定した100%モジュラスの下限が好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上、さらに好ましくは1MPa以上であり、上限は好ましくは20MPa以下、より好ましくは15MPa以下、さらに好ましくは10MPa以下、特に好ましくは5MPa以下である。100%モジュラスが上記下限未満では耐薬品性が十分でない場合があり、上記上限を超えると柔軟性が不十分であったり、加工性などハンドリング性を損なったりする傾向がある。
本発明のポリウレタンは、低温特性が良好であるが、本発明における低温特性とは、−10℃等の低温での引張試験における引張破断伸度、ヤング率、100%モジュラスにより評価できる。また−10℃等の低温でのサイクル試験における応力比や永久歪みにより評価ができる。具体的には低温での柔軟性、弾性回復性、耐衝撃性、耐屈曲性、耐久性のことである。
本発明のポリウレタンは、幅100mm、長さ100mm、厚み約50〜100μmのウレタンフィルムを、ギヤオーブンにて温度120℃、400時間加熱を行ったときに、下記式で算出される加熱前のサンプルの重量平均分子量(Mw(加熱前))に対する加熱後のサンプルの重量平均分子量(Mw(加熱後))の変化率(増加率)の下限が、好ましくは−40%以上、より好ましくは−30%以上、さらに好ましくは−20%以上、特に好ましくは−15%以上であり、上限は好ましくは120%以下、より好ましくは110%以下、さらに好ましくは100%以下である。ポリウレタンの耐熱性が低いと、加熱により熱分解や酸化分解による分子量の低減や、架橋反応による分子量の増加が生じる。この分子量の増減の程度は小さい方が好ましい。
Mw変化率(%) = Mw(加熱後)÷ Mw(加熱前)×100−100
ここで、重量平均分子量(Mw)は、GPCにより測定されるポリスチレン換算値である。
本発明のポリカーボネートジオールとH12MDIとIPDAとを用いて、二段法で製造された、GPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が14万〜21万の特定ポリウレタンのガラス転移温度(Tg)の下限は好ましくは−80℃、より好ましくは−70℃、さらに好ましくは−60℃であり、上限は好ましくは−10℃、より好ましくは−20℃、さらに好ましくは−30℃である。Tgが上記下限未満では耐薬品性が十分でない場合があり、上記上限超過では低温特性が十分でない可能性がある。
本発明のポリウレタンを非プロトン性溶媒に溶解させた溶液(以下、「ポリウレタン溶液」ともいう。)は、ゲル化が進行しにくく、粘度の経時変化が小さいなど保存安定性が良く、また、チクソトロピー性も小さいため、フィルム等に加工するためにも都合がよい。
本発明の合成皮革用ポリウレタンを用いた合成皮革の製造方法は、公知の方法を使用することが出来、例えば、「人工皮革・合成皮革 日本繊維製品消費科学会(2010)」に示されるような方法で製造される。一般的に、合成皮革とは基材として織布や編布を示し、基材として不織布を用いる人工皮革とは別の構成体として区別されることもある。しかし、近年は不織布に強度を付与するため織布・編布を貼付するなど、その区別は厳密なものではなくなってきている。本発明における合成皮革とは、人工皮革として区別される組成物も含むものとし、本発明の効果はいずれに対しても発現する。
本発明の合成皮革用ポリウレタンを用いた合成皮革は、具体的には例えば、基材となる基布に対してポリウレタン樹脂を含有したミクロポーラス層を形成し、接着剤層を介して表皮層用ポリウレタン樹脂を積層する方法や、基材にポリウレタン等の樹脂を充填たものの上にポリウレタン樹脂を含有させたり、更にその上にミクロポーラス層を積層させたりして製造される。本発明のポリウレタンは、上記の基材に塗布または含浸させても、接着剤層に含有させても、表皮層として使用しても良く、その他の層に用いても良い。
基材としては、基布を用いることができ、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール等の合成繊維、綿、麻等の天然繊維、レーヨン、スフ、アセテート等の再生繊維等の単独又はこれらの混紡繊維、あるいは、少なくとも一成分を溶解したり、二成分繊維を分割したりすることにより極細繊維に変性された多成分繊維からなる、編布、織布、不織布などを用いることができる。
この基布は、起毛されていても良い。起毛は、片面起毛であっても両面起毛であってもよい。また、基布は単層のみならず、複数の繊維からなる多層構造であってもよい。また、基布として、表面に起毛を有するメリヤスを用いてもよい。
上記基材はミクロポーラス層を有していてもよい。湿式ミクロポーラス層は、一般的な基布含浸法により作製される。例えば、本発明のポリウレタンを含有するジメチルホルムアミド溶液に基布を浸漬するか、或いは、基布に該溶液を塗布し、水中で凝固、脱溶媒させ、脱水後、120℃程度の熱風下で乾燥して表面平滑性に優れる湿式ミクロポーラス層を形成することができる。
湿式ミクロポーラス層の厚みは50〜400μmであることが好ましく、100〜300μmであることがより好ましい。この厚みの範囲で合成皮革として最適な柔軟性とボリューム感が達成される。
本発明のポリウレタンは接着層に使用することも出来る。この接着層に用いられる接着剤には、架橋剤、及び、必要に応じて架橋促進剤が添加されていてもよい。
本発明のポリウレタンは表皮層に使用することも出来る。
この場合、表皮層は本発明のポリウレタンをそのまま用いても良いし、本発明のポリウレタンにその他の樹脂、酸化防止剤及び紫外線吸収剤等を混合してポリウレタン溶液を作成し、これに着色剤及び有機溶媒等を混合して得られる表皮層配合液を用いて形成してもよい。ポリウレタン溶液には、その他必要に応じて、加水分解防止剤、顔料、染料、難燃剤、充填材及び架橋剤などを添加することができる。
本発明のポリウレタンを用いた合成皮革において、実施例に示したような方法によるKES試験の動摩擦係数(MIU)および動摩擦係数の標準偏差(MMD)を検出し、MIUの値およびMIUからMMDの値を除したMIU/MMDの値から、ウェット感やぬめり感を数値化し評価を行った。MIUの値が大きく、かつMIU/MMDの値が大きいと、動摩擦係数が大きくウェット感があり、かつざらつきが少なく滑らかな感触を与えることを意味し、ウェット感やぬめり感が良好であることを示す。MIUの値は、好ましくは1.7以上、より好ましくは1.9以上、さらに好ましくは2.0以上、特に好ましくは2.1以上である。また、MIU/MMDの値は、好ましくは67以上、より好ましくは69以上、さらに好ましくは70以上、特に好ましくは73以上、最も好ましくは75以上である。
本発明の合成皮革用ポリウレタンを用いて得られる合成皮革は自動車内装材用、家具用、衣料用、靴用、鞄用などに使用できる。
<フェノキシ基末端量の定量>
ポリカーボネートジオールをCDCl3に溶解し、400MHz 1H−NMR(日本電子株式会社製AL−400)を測定し、各成分のシグナル位置より、フェノキシ基を同定し、積分値より各々の含有量を算出した。フェノキシ基の割合は、フェノキシ基の1プロトン分の積分値と末端全体の1プロトン分の積分値の比から求めており、フェノキシ基の検出限界は末端全体に対して0.05%である。
JIS K1557−1に準拠して、アセチル化試薬を用いた方法にてポリカーボネートジオールの水酸基価を測定し、その値から下式によりMn(OHV)を算出した。
Mn(OHV)=56.1×2×1000÷水酸基価
JIS K0071−1(1998)に準拠して、溶融させたポリカーボネートジオールを比色管に入れた標準液と比較してAPHA値を測定した。試薬は色度標準液1000度(1mgPt/mL)(キシダ化学)を使用した。
ポリカーボネートジオールを80℃に加熱して溶融させた後、E型粘度計(BROOKFIELD製DV−II+Pro、コーン:CPE−52)を用いて80℃で溶融粘度を測定した。
ポリカーボネートジオール約10mgをアルミニウム製パン中に封入し、EXSTAR DSC6200(セイコーインスツル株式会社製)を用い、窒素雰囲気下、毎分20℃の速度で30℃から150℃、毎分40℃の速度で150℃から−120℃、毎分20℃の速度で−120℃から120℃と昇降温操作を行い、2回目昇温時の変曲点をガラス転移温度(Tg)、融解ピークから融解ピーク温度と融解熱量を求めた。
ポリカーボネートジオール約0.5gを精秤し、100mL三角フラスコへ入れ、テトラヒドロフラン5mLを添加して溶解した。次にメタノール45mL、25重量%水酸化ナトリウム水溶液5mLを添加した。100mL三角フラスコにコンデンサーをセットし、75〜80℃の水浴で30分間加熱し、加水分解を行った。室温にて放冷した後、6N塩酸5mLを添加して水酸化ナトリウムを中和し、pHを2〜4にした。100mLメスフラスコに全量を移し、三角フラスコ内を適量のメタノールで2回洗浄し、洗浄液も100mLメスフラスコに移した。適量のメタノールを添加して100mLとした後、メスフラスコ内で液を混合した。上澄み液を採取してフィルターにてろ過後、GCにて分析を行った。各ジヒドロキシ化合物の濃度は予め標準物質として既知の各ジヒドロキシ化合物より検量線を作成し、GCにて得られた面積比から重量%を算出した。上記、GCにて得られた重量%と各ジヒドロキシ化合物の分子量から、各ジヒドロキシ化合物のモル比率を算出した。また各ジヒドロキシ化合物の炭素数とモル比率から平均炭素数を計算した。
装置:Agilent 6850(アジレントテクノロジー製)
カラム:Agilent J&W GCカラム DB−WAX
内径 0.25mm,長さ 60m,膜厚 0.25μm
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
昇温プログラム:150℃(2分間)、150℃→245℃(5℃/分、19分間)、
245℃(2分間)
加水分解後のジヒドロキシ化合物のモル比率と同様にポリカーボネートジオールの加水分解を行い、GCにて分析を行った。構造不明物に関してはGC−MSにて化合物を同定した。加水分解後のエーテル基を含むジヒドロキシ化合物の濃度は、予めジエチレングリコールにて検量線を作成し、GCにて得られた面積比から重量%を算出した。上記、GCにて得られた重量%とジヒドロキシ化合物の分子量から、各ジヒドロキシ化合物のモル比率を算出した。各ジヒドロキシ化合物のモル比率、エーテル基を含むジヒドロキシ化合物のモル比率、前記水酸基価から算出されるポリカーボネートジオールの分子量から、カーボネート基に対するエーテル基含有割合を計算し算出した。
装置:Agilent 7890B(アジレントテクノロジー製)
カラム:Agilent J&W GCカラム DB−WAXETR
内径 0.25mm,長さ 30m,膜厚 0.25μm
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
昇温プログラム:100℃→250℃(5℃/分)
ポリカーボネートジオールを下記条件によるGPC測定によりポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)をそれぞれ求めた。
装置 :東ソー社製 HLC−8020
カラム :TSKgel GMHXL−L(7.8mmI.D.×30cmL
×4本)
溶離液 :THF(テトラヒドロフラン)
流速 :1.0mL/min
カラム温度:40℃
RI検出器:RI(装置 HLC−8020内蔵)
次いで、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
<イソシアネート基濃度の測定>
ジ−n−ブチルアミン/トルエン(重量比:2/25)混合溶液20mLをアセトン90mLで希釈した後に0.5規定の塩酸水溶液で滴定を行い、中和に要する塩酸水溶液量を測定し、ブランク値とした。その後、反応溶液を1〜2g抜出し、ジ−n−ブチルアミン/トルエンの混合溶液20mLを加えて室温で30分間攪拌した後、ブランク測定と同様にアセトン90mLで希釈し、0.5規定の塩酸水溶液で滴定して中和に要する塩酸水溶液量を測定し、残存するアミンの量を定量した。中和に要する塩酸水溶液の容量から下記の式でイソシアネート基の濃度を求めた。
イソシアネート基濃度(重量%)=A×42.02/D
A:本測定に用いた試料に含有するイソシアネート基(mol)
A=(B−C)×0.5/1000×f
B:ブランク測定に要した0.5規定の塩酸水溶液の量(mL)
C:本測定に要した0.5規定の塩酸水溶液の量(mL)
D:本測定に用いた試料(g)
f:塩酸水溶液の力価
ポリウレタンをジメチルホルムアミドに溶解した溶液(濃度:30重量%)にVISCOMETER TV−22(東機産業株式会社製)に3°×R14のローターを設置し、25℃でポリウレタン溶液の溶液粘度を測定した。
ポリウレタンの分子量は、ポリウレタンの濃度が0.14重量%になるようにN,N−ジメチルアセトアミド溶液を調製し、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」(カラム:TskgelGMH−XL・2本)、溶離液にはリチウムブロマイド2.6gをジメチルアセトアミド1Lに溶解させた溶液を使用〕を用い、標準ポリスチレン換算での数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
ポリウレタン溶液を9.5milのアプリケーターでフッ素樹脂シート(フッ素テープ ニトフロン900、厚さ0.1mm、日東電工株式会社製)上に塗布し、60℃で1時間、続いて100℃で0.5時間乾燥させた。さらに100℃の真空条件下で0.5時間、80℃で15時間乾燥させた後、23℃、55%RHの恒温恒湿下で12時間以上静置し、得られたフィルムから3cm×3cmの試験片を切り出した。精密天秤で試験片の重量を測定した後、試験溶媒としてオレイン酸を50mlを入れた容量250mlのガラス瓶に投入して、80℃の窒素雰囲気下の恒温槽にて16時間静置した。試験後、試験片を取り出して、表裏を紙製ワイパーで軽く拭いた後、精密天秤で重量測定を行い、試験前からの重量変化率(増加率)を算出した。重量変化率が0%に近いほうが耐オレイン酸性が良好であることを示す。
上述の<耐オレイン酸性の評価>と同様の方法でウレタンフィルムを作成した後、3cm×3cmにウレタンフィルムの試験片を切り出した。精密天秤で試験片の重量を測定した後、試験溶媒としてエタノール50mlを入れた内径10cmφのガラス製シャーレに投入して約23℃の室温にて1時間浸漬した。試験後、試験片を取り出して紙製ワイパーで軽く拭いた後、精密天秤で重量測定を行い、試験前からの重量変化率(増加率)を算出した。重量変化率が0%に近いほうが耐エタノール性が良好であることを示す。
上述の<耐オレイン酸性の評価>と同様の方法でウレタンフィルムを作成した後、3cm×3cmにウレタンフィルムの試験片を切り出した。精密天秤で試験片の重量を測定した後、試験溶媒として酢酸エチル50mlを入れた内径10cmφのガラス製シャーレに投入して約23℃の室温にて20分間浸漬した。試験後、試験片を取り出して紙製ワイパーで軽く拭いた後、精密天秤で重量測定を行い、試験前からの重量変化率(増加率)を算出した。重量変化率が0%に近いほうが耐酢酸エチル性が良好であることを示す。
上述の<耐オレイン酸性の評価>と同様の方法でウレタンフィルムを作成した後、該フィルム片約5mgをアルミニウム製パン中に封入し、EXSTAR DSC6200(セイコーインスツル株式会社製)を用い、窒素雰囲気下、毎分10℃の速度で−100℃から250℃、250℃から−100℃、−100℃から250℃と昇降温操作を行い、2回目昇温時の変曲点をガラス転移温度(Tg)とした。
上述の<耐オレイン酸性の評価>と同様の方法でウレタンフィルムを作成した後、JIS K6301(2010)に準じ、幅10mm、長さ100mm、厚み約50μmの短冊状としたポリウレタン試験片を、引張試験機〔オリエンテック社製、製品名「テンシロンUTM−III −100」〕を用いて、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃(相対湿度55%)で引張試験を実施し、試験片が100%伸長した時点での応力を測定した。
上述の<耐オレイン酸性の評価>と同様の方法でウレタンフィルムを作成した後、JIS K6301(2010)に準じ、幅10mm、長さ100mm、厚み約50μmの短冊状としたポリウレタン試験片を、引張試験機〔(株)島津製作所社製、製品名「オートグラフAG−X 5kN」〕を用いて、−10℃に設定した恒温槽[(株)島津製作所社製、製品名「THERMOSTATIC CHAMBER TCR2W−200T」]にチャック間距離50mmでフィルムを設置した。続いて、−10℃で3分間静置した後に引張速度500mm/分にて引張試験を実施し、試験片が100%伸長した時点での応力を測定した。
上述の<耐オレイン酸性の評価>と同様の方法でウレタンフィルムを作成した後、このフィルムを幅100mm、長さ100mm、厚さ約50μmの短冊状とし、ギヤオーブンにて温度120℃で400時間加熱を行った。加熱後のサンプルの重量平均分子量(Mw)を<分子量の測定>に記載の方法により測定し、下記式に従い、加熱前の重量平均分子量(Mw)に対する変化率(増加率)を算出した。
Mw変化率(%) = Mw(加熱後)÷ Mw(加熱前)×100−100
<KES試験>
合成皮革サンプルを8cm×20cmに裁断し、温度20℃、湿度50%の環境下、シリコーンゴムセンサー(5mm角)を設置したKES表面試験機(カトーテック(株)製 KES−FB4)に取り付けた。センサーをサンプル上に載せ、50gfの荷重により、サンプル上を1mm/秒の速度で移動させて動摩擦係数(MID)および動摩擦係数の標準偏差(MMD)を検出した。また、MIDの値をMMDの値で除したMID/MMDの値を算出した。MIDが大きく、かつMID/MMDの値が大きいと、ウェット感やぬめり感が良好であることを示す。
合成皮革上を指で滑らせた際の感触について、以下の通り評価した。
4点:濡れたような重い感触
3点:やや濡れたような感触
2点:やや乾いた感触
1点:乾いて滑りやすい感触
合成皮革サンプルを2cm×2cmに裁断した試験片を、オレイン酸50mlを入れた250mlのガラス瓶に入れ、蓋をした状態で80℃で72時間静置した。ガラス瓶から試験片を取り出し、試験片表面に付着したオレイン酸を紙製タオル(王子ネピア(株)製、ネピア激吸収キッチンタオル)で軽く押さえて吸い取り、その時点での試験片表面を観察し、塗膜表面が浮きあがっているものを1点とした。
塗膜表面に目視で変化がなかったものについては、上記紙製タオルにて一定の力で擦り、塗膜表面に浮きや剥離が生じた回数によって下記の点数で評価した。
(塗膜表面に剥離が認められた摩擦回数)
5点:50回以上(剥離なし)
4点:40回以上50回未満
3点:30回以上40回未満
2点:30回未満
1点:0回
JIS L1096−1972に準じ、合成皮革の縦方向および横方向に、3cm×12cmの試験片をそれぞれ2枚ずつ切断した。得られた試験片を、合成皮革表面同士が合わさる状態でスコット形試験機(スコット形耐もみ摩耗試験機、(株)東洋精機製作所製)のあらかじめ20mmに開いた2つのつかみ間に固定し、荷重9.81Nで1000回、40mm間の距離で往復摩擦を実施した。その結果得られた試験片表面の外観変化を、以下の通り評価した。
5点:変化なし
4点:皮革表面にわずかな表皮の浮きが確認される
3点:皮革表面から明らかな表皮の浮きが確認される
2点:皮革表面から表皮の浮きおよび亀裂が生じている
1点:皮革表面から表皮が破れ、剥離が生じている
以下の実施例におけるポリカーボネートジオールの製造に使用した原料は以下の通りである。
1,4−ブタンジオール(以下「1,4BD」と略記することがある):三菱化学株式会社製
1,10−デカンジオール(以下「1,10DD」と略記することがある):豊国製油株式会社製
ジフェニルカーボネート(以下「DPC」と略記することがある):三菱化学株式会社製
エチレンカーボネート(以下「EC」と略記することがある):三菱化学株式会社製
酢酸マグネシウム四水和物:和光純薬工業株式会社製
<ポリカーボネートジオールの製造と評価>
撹拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに、原料として、1,4−ブタンジオール(1,4BD):1311.2g、ジフェニルカーボネート(DPC):2988.8g、酢酸マグネシウム四水和物水溶液(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム四水和物:55mg)(以下「触媒水溶液」と称す。):7.4mLを入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.7kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に、170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら60分間反応させて、ポリカーボネートジオール含有組成物を得た。
薄膜蒸留で得られたポリカーボネートジオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
上述の方法で得られたポリカーボネートジオールを用いて、以下の操作で特定ポリウレタンを製造した。
熱電対と冷却管を設置したセパラブルフラスコに、あらかじめ80℃に加温した上記のポリカーボネートジオール(以下「PCD」と略記することがある)114.06gを入れ、60℃のオイルバスにそのフラスコを浸した後、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下「H12MDI」と略記することがある。東京化成工業株式会社製)20.21gおよび、反応抑制剤としてトリイソオクチルフォスファイト(以下「TiOP」と略記することがある。東京化成工業株式会社製)0.402gを添加し、フラスコ内を窒素雰囲気下で60rpmで撹拌しながら1時間程度で80℃に昇温した。80℃まで昇温した後、ウレタン化触媒としてネオスタンU−830(以下「U−830」と記載する。日東化成株式会社製)13.7mg(ポリカーボネートジオーとイソシアネートの合計重量に対し102重量ppm)を添加し、発熱がおさまってからオイルバスを100℃まで昇温し、さらに2時間程度撹拌した。イソシアネート基の濃度を分析し、イソシアネート基が理論量消費されたことを確認した。
得られたプレポリマー(以下「PP」と略記することがある)117.22gを脱水トルエン(和光純薬工業株式会社製)12.17gで希釈した。続いて脱水N,N−ジメチルホルムアミド(以下「DMF」と略記することがある。和光純薬工業株式会社製)261.84gを加え、55℃のオイルバスにフラスコを浸漬して約200rpmで撹拌しながらプレポリマーを溶解した。プレポリマー溶液のイソシアネート基の濃度を分析後、フラスコを35℃に設定したオイルバスに浸漬し、150rpmで撹拌しながら、残存イソシアネートより算出した必要量のイソホロンジアミン(以下「IPDA」と略記することがある。東京化成工業株式会社製)5.04gを分割添加した。約1時間撹拌後、鎖停止剤としてモルフォリン(東京化成工業株式会社製)0.343gを添加し、さらに1時間撹拌して粘度204Pa・s、重量平均分子量18.4万のポリウレタン溶液を得た。このポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表3に示す。
上述の方法で得られたポリウレタン溶液を用いて、以下の操作で合成皮革を製造した。
(接着剤用ウレタン樹脂)
固形分30重量%のウレタン溶液
溶媒組成:MEK/DMF=40/60重量比
ウレタン組成:
PC−2000/1,4BDG/MDI=0.9/1.1/2.0mol比
PC−2000:ポリカーボネートジオール分子量2000
14BG:1,4−ブタンジオール
MDI:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
(湿式ベース)
ポリカーボネートジオール、ポリテトラメチレングリコールとMDIからなるポリウレタン樹脂を織編布上に湿式凝固させて作成したもの
<ポリカーボネートジオールの製造と評価>
実施例1のポリカーボネートジオール(PCD)の製造において、PCD重合原料の種類と仕込み量を、表1,2に記載の原料の種類と仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の条件と方法で反応を行い、ポリカーボネート含有組成物を得た。
得られたポリカーボネートジオール含有組成物に対して実施例1と同様な方法で薄膜蒸留を行った。薄膜蒸留で得られたポリカーボネートジオールの性状及び物性の評価結果を表1,2に示す。
実施例1のポリウレタンの製造において、使用するポリカーボネートジオール(PCD)をそれぞれの実施例で製造したPCDに変え、各原料の仕込み量をそれぞれ表3の記載の仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の条件と方法で反応を行い、ポリウレタンを得た。このポリウレタンの性状及び物性を表3に示す。
実施例1の合成皮革の製造において、使用するポリウレタンをそれぞれの実施例で製造したポリウレタンを変えた以外は、すべて同様の条件と方法で合成皮革を製造した。この合成皮革の評価結果を表4に示す。
<ポリカーボネートジオールの製造と評価>
実施例1のポリカーボネートジオール(PCD)の製造において、PCD重合原料の種類と仕込み量を、表1に記載の原料の種類と仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の条件と方法で反応を行い、ポリカーボネート含有組成物を得た。
得られたポリカーボネートジオール含有組成物に対して実施例1と同様な方法で薄膜蒸留を行った。薄膜蒸留で得られたポリカーボネートジオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
<ポリカーボネートジオールの製造と評価>
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに製造例1で得られたポリカーボネートジオール:360gと、製造例2で得られたポリカーボネートジオール:640gを入れ、窒素ガス置換した。内温を120℃まで昇温した上で、30分間窒素気流下で撹拌し、ポリカーボネートジオールを混合した。
得られたポリカーボネートジオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
実施例1のポリウレタンの製造において、使用するポリカーボネートジオール(PCD)を上記で製造したPCDに変え、各原料の仕込み量をそれぞれ表3の記載の仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の条件と方法で反応を行い、ポリウレタンを得た。このポリウレタンの性状及び物性を表3に示す。
<ポリカーボネートジオールの評価>
以下に示すポリカーボネートジオールをそれぞれ使用した。各ポリカーボネートジオールの性状及び物性の評価結果を表2に示す。
比較例4:1,6−ヘキサンジオール(以下「1,6HD」と略記することがある)を原料として製造されたポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製 『デュラノール(登録商標)』 グレード:T−6002)
比較例5:1,5−ペンタンジオール(以下「1,5PD」と略記することがある)と1,6HDを原料として製造されたポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製 『デュラノール(登録商標)』 グレード:T−5652)
比較例6:1,4BDと1,6HDを原料として製造されたポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製 『デュラノール(登録商標)』 グレード:T−4672)
上記のポリカーボネートジオールをポリウレタンの製造原料であるPCDとして使用してポリウレタンの製造を行った。
実施例1のポリウレタンの製造において、原料として使用するポリカーボネートジオールと、原料の仕込み量を表3に記載の原料の種類とそれぞれの仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の条件と方法で反応を行い、ポリウレタンを得た。このポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表3に示す。
実施例1の合成皮革の製造において、使用するポリウレタンをそれぞれの比較例で製造したポリウレタンに変えた以外は、すべて同様の条件と方法で合成皮革を製造した。この合成皮革の評価結果を表4に示す。
<ポリカーボネートジオールの製造と評価>
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに、原料として1,4BD:1378.5g、1,10DD:585.2g、EC:1584.0g、オルトチタン酸テトラブチル(以下「TBT」と略記することがある):159mgを入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を130℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を4.7kPaまで下げた後、圧力を3.3kPaまで900分間かけて下げながら反応させた。次いでEC:379.7gを追加した後、温度を180℃、圧力を16.7kPaに変更したうえで480分間反応させた。さらに温度を190℃、圧力を24.0kPaに変更したうえで、圧力を0.7kPaまで240分間かけて下げ、さらに0.7kPaで150分間反応させて、ポリカーボネートジオールを得た。
<ポリカーボネートジオールの製造と評価>
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに、原料として1,4BD:1821.8g、EC:1584.0g、オルトチタン酸テトラブチル(TBT):345mgを入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を12.0kPaまで下げたうえで760分間反応させた。次いでEC:396.0gを追加した後、温度を180℃、圧力を12.0kPaに変更したうえで、圧力を3.3kPaまで380分間かけて下げ、さらに0.7kPaで270分間反応させて、ポリカーボネートジオールを得た。
<ポリカーボネートジオールの製造と評価>
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに製造例3で得られたポリカーボネートジオール:127gと、製造例4で得られたポリカーボネートジオール:451gを入れ、窒素ガス置換した。内温を120℃まで昇温した上で、30分間窒素気流下で撹拌し、ポリカーボネートジオールを混合した。
得られたポリカーボネートジオールの性状及び物性の評価結果を表2に示す。
上記のポリカーボネートジオールをポリウレタンの製造原料であるPCDとして使用してポリウレタンの製造を行った。
実施例1のポリウレタンの製造において、原料の仕込み量を表3に記載の原料の種類とそれぞれの仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の条件と方法で反応を行い、ポリウレタンを得た。このポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表3に示す。
表3の「−10℃・100%モジュラス」において、実施例では比較例に比べてその値が小さいことから、低温における柔軟性が良好であることがわかる。また、実施例では比較例に比べて「80℃ 耐オレイン酸 重量変化率」及び「室温 耐エタノール 重量変化率」の値が小さいことから、耐薬品性が良好であることがわかる。さらに、「耐熱試験後のポリスチレン換算重量平均分子量の変化率」の値が小さいことから、耐熱性が良好であることがわかり、実施例はそれらの物性が良好であることを示している。従って、本発明のポリカーボネートジオールは従来のポリカーボネートジオールに比べて、柔軟性、耐薬品性、低温特性、耐熱性の物性のバランスに優れたポリウレタンの原料としてのポリカーボネートジオールであることがわかる。
Claims (8)
- 少なくとも(a)1分子中にイソシアネート基を2個以上含有する化合物、(b)鎖延長剤及び(c)ポリカーボネートジオールを反応させて得られる合成皮革用ポリウレタンであって、
該(c)ポリカーボネートジオールが、水酸基価が20mg−KOH/g以上45mg−KOH/g以下であり、示差操作熱量計により測定したガラス転移温度が−30℃以下であり、且つ該ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数が3以上5.5以下であるポリカーボネートジオールであることを特徴とする合成皮革用ポリウレタン。 - 前記(c)ポリカーボネートジオール中のカーボネート結合に対するエーテル結合の割合が0.01%以上5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の合成皮革用ポリウレタン。
- 前記ジヒドロキシ化合物が、置換基を有さない直鎖脂肪族ジヒドロキシ化合物のみである請求項1又は2に記載の合成皮革用ポリウレタン。
- 前記(c)ポリカーボネートジオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)が1.5〜3.0の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成皮革用ポリウレタン。
- 前記ジヒドロキシ化合物が、1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の合成皮革用ポリウレタン。
- 前記ジヒドロキシ化合物が、植物由来の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の合成皮革用ポリウレタン。
- 前記(c)ポリカーボネートジオールのJIS K0071−1(1998)に準拠して測定したハーゼン色数が、60以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の合成皮革用ポリウレタン。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の合成皮革用ポリウレタンを用いて製造された合成皮革。
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