JP2016002622A - 主軸装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】旋回姿勢に関わらず、潤滑油を排油穴から排出することができ、軸受内部の潤滑剤の油量過多による異常発熱を防止することができる主軸装置を提供する。【解決手段】主軸装置10では、前側軸受外輪押え29に、径方向に貫通する複数の切欠き80が形成され、前側軸受外輪押え29の外周面と対向する前側ハウジング21の内周面に、円周方向の全周に亘って延びる円周方向全周溝81が形成され、前側ハウジング21の内周面には、前側ハウジング21に形成される少なくとも1つの排油穴70と、円周方向全周溝81とをそれぞれ連通する円周方向凹溝82が形成されている。円周方向凹溝82は、排油穴70から円周方向両側に延びる一様な曲率の円弧面82aと、該円弧面82aの両端から円周方向全周溝81に連続する立ち上がり面82bによって構成される。【選択図】図3
Description
本発明は、多軸制御の工作機械等に適用され、外部から潤滑油が供給される、高速回転可能な主軸装置に関する。
従来の主軸装置として、内部に配置された軸受を潤滑する方式として、エアを利用して、外部から軸受内部に微量の潤滑油を供給するオイルエア潤滑方式やオイルミスト潤滑方式、また、潤滑油を軸受内部に間欠的に高速度で直接噴射する直接噴射方式が採用されている。特許文献1に記載のオイルエア潤滑方式の主軸装置100では、図10に示すように、ハウジング101に対して回転軸102を回転自在に支持するアンギュラ玉軸受103に、給油路104を通して間座105に設けられた貫通孔106からオイルエアを送り込み、アンギュラ玉軸受103の下方で、間座105に形成された切欠き107及びハウジング101に形成された排油路108を通してオイルエアを外部に排出する。
ところで、複合加工機や5軸加工機等の多軸制御の工作機械に適用される主軸装置は、加工に伴って、旋回などの姿勢変化をさせながら使用される。しかしながら、特許文献1に記載のような潤滑油供給方式の主軸装置では、排油路が円周方向1箇所のみに設けられ下方から自然に排油する構成のため、主軸装置を姿勢変化させながら使用した場合には、排油路から潤滑剤が排出されずに軸受内部に滞留したり、また、一度排油路に達した潤滑剤が姿勢変化によって軸受内部に戻る可能性があった。潤滑剤は継続的に供給されるため、外部に排出されずに内部に溜まると、油量過多や攪拌抵抗による異常発熱が発生する虞がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、旋回姿勢に関わらず、潤滑油を排油穴から排出することができ、軸受内部の油量過多や攪拌抵抗による異常発熱を防止することができる主軸装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 回転軸が軸受を介してハウジングに回転自在に支持されるとともに、前記軸受が外部から供給される潤滑油によって潤滑される主軸装置であって、
前記軸受の外輪は、前記ハウジングに内嵌されるとともに、軸方向で対向する外輪間座又は外輪押えからなる外輪位置決め部材を用いて、前記ハウジングに対して軸方向に位置決めされ、
互いに対向する前記外輪と前記外輪位置決め部材のいずれか一方には、径方向に貫通する複数の第1の径方向油路が形成され、
前記第1の径方向油路が形成される前記外輪又は前記外輪位置決め部材の外周面と、該外周面と対向する前記ハウジングの内周面のいずれか一方には、前記複数の第1の径方向油路と連通し、円周方向の全周に亘って延びる円周方向全周溝が形成され、
前記ハウジングの内周面には、前記ハウジングに形成される少なくとも1つの排油穴と、前記円周方向全周溝とをそれぞれ連通する第2の径方向油路が形成されており、
前記第1の径方向油路は、前記外輪と前記外輪位置決め部材の互いに対向する対向面のいずれか一方に、円周方向に略等間隔で形成される少なくとも6つの切欠きであり、
前記第2の径方向油路は、前記排油穴から円周方向両側に延びる一様な曲率の円弧面と、該円弧面の両端から円周方向全周溝に連続する立ち上がり面とによって構成される円周方向凹溝であることを特徴とする主軸装置。
(2) 前記潤滑油は、負圧吸引することで排油されることを特徴とする(1)に記載の主軸装置。
(1) 回転軸が軸受を介してハウジングに回転自在に支持されるとともに、前記軸受が外部から供給される潤滑油によって潤滑される主軸装置であって、
前記軸受の外輪は、前記ハウジングに内嵌されるとともに、軸方向で対向する外輪間座又は外輪押えからなる外輪位置決め部材を用いて、前記ハウジングに対して軸方向に位置決めされ、
互いに対向する前記外輪と前記外輪位置決め部材のいずれか一方には、径方向に貫通する複数の第1の径方向油路が形成され、
前記第1の径方向油路が形成される前記外輪又は前記外輪位置決め部材の外周面と、該外周面と対向する前記ハウジングの内周面のいずれか一方には、前記複数の第1の径方向油路と連通し、円周方向の全周に亘って延びる円周方向全周溝が形成され、
前記ハウジングの内周面には、前記ハウジングに形成される少なくとも1つの排油穴と、前記円周方向全周溝とをそれぞれ連通する第2の径方向油路が形成されており、
前記第1の径方向油路は、前記外輪と前記外輪位置決め部材の互いに対向する対向面のいずれか一方に、円周方向に略等間隔で形成される少なくとも6つの切欠きであり、
前記第2の径方向油路は、前記排油穴から円周方向両側に延びる一様な曲率の円弧面と、該円弧面の両端から円周方向全周溝に連続する立ち上がり面とによって構成される円周方向凹溝であることを特徴とする主軸装置。
(2) 前記潤滑油は、負圧吸引することで排油されることを特徴とする(1)に記載の主軸装置。
本発明の主軸装置によれば、互いに対向する外輪と外輪位置決め部材(外輪間座又は外輪押え)のいずれか一方には、径方向に貫通する複数の第1の径方向油路が形成され、第1の径方向油路が形成される外輪又は外輪位置決め部材の外周面と、該外周面と対向するハウジングの内周面のいずれか一方には、複数の第1の径方向油路と連通し、円周方向の全周に亘って延びる円周方向全周溝が形成され、ハウジングの内周面には、ハウジングに形成される少なくとも1つの排油穴と、円周方向全周溝とをそれぞれ連通する第2の径方向油路が形成されている。これにより、旋回姿勢に関わらず、軸受を潤滑した潤滑油を排油穴から排出することができ、軸受内部の潤滑油過多や攪拌抵抗による異常発熱を防止することができる。
また、円周方向全周溝によって、第1の径方向油路及び第2の径方向油路と連通させる際、外輪又は外輪位置決め部材とハウジングとを、円周方向位相を考慮せずに組み付けることができる。
さらに、第1の径方向油路は、外輪と外輪位置決め部材の互いに対向する対向面のいずれか一方に、円周方向に略等間隔で形成される少なくとも6つの切欠きであり、第2の径方向油路は、排油穴から円周方向両側に延びる一様な曲率の円弧面と、該円弧面の両端から円周方向全周溝に連続する立ち上がり面とによって構成される円周方向凹溝である。これにより、軸受内部の潤滑油を、旋回姿勢に応じて、いずれかの切欠きによって回収することができ、また、円周方向全周溝から排出された潤滑油を円周方向凹溝によって効率良く回収することができる。
特に円周方向凹溝を円弧面と立ち上がり面とで形成することで、円周方向凹溝の位相角度範囲を大きくすることができ、且つ、該凹溝の溝深さの調整がしやすく、種々の旋回角度に対する凹溝への潤滑油の流入が容易となり、油の排油性がより向上する。
特に円周方向凹溝を円弧面と立ち上がり面とで形成することで、円周方向凹溝の位相角度範囲を大きくすることができ、且つ、該凹溝の溝深さの調整がしやすく、種々の旋回角度に対する凹溝への潤滑油の流入が容易となり、油の排油性がより向上する。
また、潤滑油は、負圧吸引することで排油されるので、排油の回収をより確実に行うことができる。
以下、本発明の各実施形態に係る主軸装置について図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、工作機械1では、テーブルベース2に立設された一対の支持板3間に主軸ヘッド4が回転可能に支持されており、主軸ヘッド4が図示しない駆動機構によって第1の旋回軸O1回りに回転する。また、主軸ヘッド4に設けられた一対の支持アーム5間には、主軸装置10のブラケット11が回転可能に支持されており、主軸装置10が図示しない駆動装置によって第2の旋回軸O2回りに回転する。従って、主軸装置10は、後述する回転軸12の軸線Xに対して直交する第1の旋回軸O1回りに旋回するとともに、回転軸12の軸線X及び第1の旋回軸O1に直交する第2の旋回軸O2回りに旋回することで、姿勢変化できるように構成される。
図1に示すように、工作機械1では、テーブルベース2に立設された一対の支持板3間に主軸ヘッド4が回転可能に支持されており、主軸ヘッド4が図示しない駆動機構によって第1の旋回軸O1回りに回転する。また、主軸ヘッド4に設けられた一対の支持アーム5間には、主軸装置10のブラケット11が回転可能に支持されており、主軸装置10が図示しない駆動装置によって第2の旋回軸O2回りに回転する。従って、主軸装置10は、後述する回転軸12の軸線Xに対して直交する第1の旋回軸O1回りに旋回するとともに、回転軸12の軸線X及び第1の旋回軸O1に直交する第2の旋回軸O2回りに旋回することで、姿勢変化できるように構成される。
図2に示すように、主軸装置10は、モータビルトイン方式であり、その軸方向中心部には、中空状の回転軸12が設けられ、回転軸12の軸芯には、ドローバー13が摺動自在に挿嵌されている。ドローバー13は、工具ホルダ14に取付けられたプルスタッド15を、クランプボール16を介して、皿ばね17の力によって反工具側方向(図の右方向)に付勢しており、工具ホルダ14は、回転軸12のテーパ面18と嵌合する。工具ホルダ14には工具T(図4参照。)が取り付けられており、この結果、回転軸12は、一端(図の左側)に工具Tをクランプして、工具Tを取り付け可能としている。
また、回転軸12は、その工具側を支承する2列の前側軸受50,55と、反工具側を支承する2列の後側軸受60,65とによって、ブラケット11(図1参照。)に固定されたハウジングHを構成する外筒19に回転自在に支持されている。
前側軸受50,55と後側軸受60,65間における回転軸12の外周面には、ロータ20が焼き嵌めにより外嵌されている。また、ロータ20の周囲に配置されるステータ22は、ステータ22に焼き嵌めされた冷却ジャケット23を外筒19に内嵌することで、外筒19に固定される。従って、ロータ20とステータ22はモータを構成し、ステータ22に電力を供給することでロータ20に回転力を発生させ、回転軸12を回転させる。
また、外筒19の反工具側には、ハウジングHを構成する後側ハウジング24及び後蓋26が固定されており、後蓋26には、図示しないアンクランプ機構が設けられており、工具Tを交換する際には、ドローバー13を工具側(図の左側)へ前進させて、工具Tをアンクランプする。
前側軸受50,55は、外輪51,56と、内輪52,57と、接触角を持って配置される転動体としての玉53,58と、図示しない保持器と、をそれぞれ有するアンギュラ玉軸受であり(図3(b)参照)、後側軸受60,65は、外輪61,66と、内輪62,67と、転動体としての玉63,68と、図示しない保持器と、を有するアンギュラ玉軸受である。前側軸受50,55(並列組合せ)と後側軸受60,65(並列組合せ)とは、円周方向に略等配されたコイルばね90によって定圧予圧された構造で、互いに協働して背面組み合わせとなるように配置されている。
前側軸受50,55の外輪51,56は、外筒19に工具側で固定されたハウジングHを構成する前側ハウジング21に内嵌されており、且つ前側ハウジング21にボルト締結された前側軸受外輪押え29によって外輪間座30を介して前側ハウジング21に対し軸
方向に位置決め固定されている。また、前側軸受50,55の内輪52,57は、回転軸12に外嵌されており、且つ回転軸12に締結されたナット31によって内輪間座32を介して回転軸12に対し軸方向に位置決め固定されている。
方向に位置決め固定されている。また、前側軸受50,55の内輪52,57は、回転軸12に外嵌されており、且つ回転軸12に締結されたナット31によって内輪間座32を介して回転軸12に対し軸方向に位置決め固定されている。
後側軸受60,65の外輪61,66は後側ハウジング24の内側に後側ハウジング24に対して軸方向に摺動自在の状態とされたスリーブ25に内嵌されており、且つスリーブ25にボルト締結された後側軸受外輪押え33によって外輪間座34を介してスリーブ
25に対し軸方向に位置決め固定されている。後側軸受60,65の内輪62,67は、回転軸12に外嵌されており、回転軸12に締結された他のナット35によって、内輪間座36及び速度センサ37の被検出部38を介して位置決め固定されている。なお、前側軸受外輪押え29、外輪間座30、後側軸受外輪押え33、外輪間座34は、本発明の外輪位置決め部材を構成する。
25に対し軸方向に位置決め固定されている。後側軸受60,65の内輪62,67は、回転軸12に外嵌されており、回転軸12に締結された他のナット35によって、内輪間座36及び速度センサ37の被検出部38を介して位置決め固定されている。なお、前側軸受外輪押え29、外輪間座30、後側軸受外輪押え33、外輪間座34は、本発明の外輪位置決め部材を構成する。
後側軸受外輪押え33の反工具側には、被検出部38と径方向に対向する位置に速度センサ37の検出部39が固定されており、回転軸12の回転速度を検出する。また、前側軸受外輪押え29の工具側端面には、フロントカバー40がボルト固定されている。
ここで、図2に示すように、ハウジングHを構成する前側ハウジング21、外筒19、後側ハウジング24、後蓋26には、前側軸受50,55及び後側軸受60,65をそれぞれ潤滑するための複数の給油通路41,42が形成されており、これら通路41,42の一端側には、潤滑油を送り込む潤滑装置43が図示しない配管、配管継手等を介してそれぞれ取り付けられている。なお、潤滑装置によって供給される潤滑方式は、オイル潤滑であればよく、オイルエア潤滑、オイルミスト潤滑、直噴潤滑等のいずれであってもよい。なお、図2では、前側軸受50と後側軸受60を潤滑する給油通路41,42を同一断面に記載しているが、実際には異なる円周方向位相に配置されており、また、これら給油通路41,42と異なる円周方向位相に配置される前側軸受55及び後側軸受65を潤滑する給油通路は、図示省略している。
前側ハウジング21及び後側ハウジング24には、給油通路41,42の他端側と連通するノズル44,45が、外輪間座30,34を貫通して軸受内部に向かうように取り付けられている。ノズル44,45は、潤滑装置43によって送られた潤滑油を各軸受50,55,60,65の側方から軸受空間内に供給する。
また、ハウジングHには、各前側軸受50,55及び後側軸受60,65を潤滑した潤滑油をそれぞれ排出する複数の排油穴70,71が形成されており、これら排油穴70,71の一端側(主軸装置外部への開口側)には、潤滑油を吸引するための負圧発生装置72がそれぞれ図示しない配管、配管継手等を介して接続されている。なお、図2では、排油穴70,71を同一断面に記載しているが、実際には異なる円周方向位相に形成されている。
図3(a)及び(b)に示すように、排油穴70は、主軸装置10の第1の旋回軸O1回りの旋回方向(以下、A方向とも言う)及び第2の旋回軸O2回りの旋回方向(以下、B方向とも言う)に沿った、円周方向の4箇所に形成されている。
前側軸受外輪押え29の前側ハウジング21の内周面に嵌合した、前側軸受50の外輪51に対向する面には、径方向に貫通する複数(本実施形態では、8本)の切欠き80(第1の径方向油路)が形成されている。この切欠き80は、A方向及びB方向に沿った、円周方向の4箇所に形成されるとともに、該4箇所の間に略等間隔に1箇所それぞれ形成されて、合計8箇所に45度間隔で形成される。なお、切欠き80を等間隔に形成するのは、前側軸受外輪押え29が対向する外輪51を均等に押すことができ、押圧力のばらつきによる外輪51の歪な変形を防止するためである。
また、切欠き80が形成される前側軸受外輪押え29の外周面と対向する、前側ハウジング21の内周面には、複数の切欠き80と連通し、円周方向の全周に亘って延びる円周方向全周溝81が形成されている。
さらに、円周方向全周溝81と軸方向同位置の前側ハウジング21の内周面には、前側ハウジング21に形成される複数の排油穴70と、円周方向全周溝81とをそれぞれ連通する、排油穴70と同数の円周方向凹溝82(第2の径方向油路)が形成されている。円周方向凹溝82も、A方向及びB方向に沿った、円周方向の4箇所に形成され、排油穴70から円周方向両側に延びる一様な曲率(曲率半径R1)の円弧面82aと、円弧面82aの両端から円周方向全周溝81に連続する立ち上がり面82bとによって構成される。
なお、本実施形態では、立ち上がり面82bは、円弧面82aの曲率より大きな一様な曲率(曲率半径R2)の他の円弧面によって形成されている。
なお、本実施形態では、立ち上がり面82bは、円弧面82aの曲率より大きな一様な曲率(曲率半径R2)の他の円弧面によって形成されている。
以下、図4(a)及び(b)に示すように、主軸装置10をA方向及びB方向に旋回させて姿勢変化したときの排油溜り位置を図6に示す。なお、図6中、黒塗り部分は排油を示しており、矢印は主軸装置10の重力方向を示す。また、図5は、排油溜り位置を確認するための比較例として、一対の切欠き80をB方向に沿った円周方向位相に形成し、一対の円周方向凹溝82と一対の排油穴70とを前側ハウジング21の切欠き80と同じ円周方向位相に形成している。
図5に示す比較例の構造においては、垂直姿勢(旋回角度α=90度、β=0度)から
±90度でB方向に旋回した場合には、図6の上段に示すように、排油の溜まりは発生しない。つまり、排油経路(切欠き80、円周方向凹溝82、排油穴70を含む)が主軸装置10の旋回に応じて常に下方(重力方向)に位置するため、排油はB方向のどの旋回位相においても軸受50の近傍に滞留せず、排油穴70に導かれる。垂直姿勢の場合のみ、軸受側面近傍(全円周部)に排油が一時的に溜まるが、いずれかのB方向に旋回した時点で、どちらかの排油経路位相が下方となるため排油穴70に排出され、問題を生じない。しかしながら、複合加工機や5軸加工機で見られる主軸姿勢がA方向に傾いた状態(α≠0度、またはα≠90度、図6では、α=45度)で主軸装置10がB方向に旋回すると、図5の比較例の構造では、図6の中段に示すように、排油の溜まり位置が円周方向に沿って移動し、排油経路が下方(重力方向)からずれるため、排油が軸受側面近傍に溜まる。この状況のまま主軸装置10が運転され続けると滞油が増加し、不要な排油が軸受内部に戻り、油の攪拌抵抗により異常発熱を発生させ、焼付きなどの損傷に繋がる可能性がある。
±90度でB方向に旋回した場合には、図6の上段に示すように、排油の溜まりは発生しない。つまり、排油経路(切欠き80、円周方向凹溝82、排油穴70を含む)が主軸装置10の旋回に応じて常に下方(重力方向)に位置するため、排油はB方向のどの旋回位相においても軸受50の近傍に滞留せず、排油穴70に導かれる。垂直姿勢の場合のみ、軸受側面近傍(全円周部)に排油が一時的に溜まるが、いずれかのB方向に旋回した時点で、どちらかの排油経路位相が下方となるため排油穴70に排出され、問題を生じない。しかしながら、複合加工機や5軸加工機で見られる主軸姿勢がA方向に傾いた状態(α≠0度、またはα≠90度、図6では、α=45度)で主軸装置10がB方向に旋回すると、図5の比較例の構造では、図6の中段に示すように、排油の溜まり位置が円周方向に沿って移動し、排油経路が下方(重力方向)からずれるため、排油が軸受側面近傍に溜まる。この状況のまま主軸装置10が運転され続けると滞油が増加し、不要な排油が軸受内部に戻り、油の攪拌抵抗により異常発熱を発生させ、焼付きなどの損傷に繋がる可能性がある。
一方、本実施形態の排油経路の場合には、図6の下段及び図7にも示すように、旋回角度α=45度でB方向に旋回したとき、旋回角度βが±90度の範囲内ではいずれの姿勢においても、排油は切欠き80から円周方向全周溝81に流れ込む。その後、主軸装置10の姿勢が変化しても円周方向全周溝81内部を重力方向に移動するのみで、排油が切欠き80から軸受内部に逆流することはなく、最終的に排油穴70から外部に排出される。従って、主軸装置10の姿勢変化に関わらず、軸受内部の油量過多による異常発熱は発生しない。
また、排油穴70,71から主軸装置10の外部へ潤滑油を排出する際に、負圧発生装置72を用いて負圧吸引しているので、主軸装置後部からの排油の回収が可能となる。主軸装置前部に排油穴70,71を開口させて自然落下させた場合、切削油やゴミ・異物が内部に侵入する可能性があるため、排油穴70,71は主軸装置後部に開口することが好ましい。
なお、本実施形態では、負圧発生装置72によって排油を負圧吸引しているが、自然落下によって回収する構造であってもよい。
なお、本実施形態では、負圧発生装置72によって排油を負圧吸引しているが、自然落下によって回収する構造であってもよい。
また、図3(a)及び(b)に示すように、前側軸受50,55の外輪51,56と対向する、外輪間座30の軸方向両側の対向面にも、複数の切欠き80がそれぞれ形成され、外輪間座30と軸方向同位置の前側ハウジング21の内周面には、円周方向全周溝81及び複数の円周方向凹溝82が形成され、複数の排油穴70と連通している。これにより、本実施形態のような複数の前側軸受50,55を有する場合にも、これら前側軸受50,55を潤滑した潤滑油をスムーズに排出することができ、また、主軸装置10がA方向又はB方向に−90度〜−180度又は90度〜180度傾いた場合にも潤滑油をスムーズに排出することができる。
特に円周方向凹溝82を、排油穴70から円周方向両側に延びる一様な曲率の円弧面82aと、該円弧面82aの両端から円周方向全周溝81に連続する立ち上がり面82bとで形成することで、円周方向凹溝82の位相角度範囲を大きくすることができ、且つ、該凹溝82の溝深さの調整がしやすく、種々の旋回角度に対する凹溝82への潤滑油の流入が容易となり、油の排油性がより向上する。
さらに、上記実施形態では、第1の径方向油路、円周方向全周溝、及び第2の径方向油路を前側軸受50,55を位置決めする前側軸受外輪押え29、外輪間座30と、前側ハウジング21に適用した場合について説明したが、後側軸受60,65を位置決めする後側軸受外輪押え33、外輪間座34と、排油穴が形成されるスリーブ25に適用してもよい。
また、切欠き80の数は多いほど、軸受側面から円周方向全周溝への排油の導入がしやすくなるが、円周方向に略等間隔で少なくとも6つ形成されればよい。好ましくは、切欠き80は、本実施形態のように円周方向に略等間隔で8箇所形成されればよく、より好ましくは、図8に示すように、円周方向に略等間隔で12箇所形成されればよい。
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態に係る主軸装置の排出経路を拡大して示す。この実施形態では、前側軸受50の外輪51における前側軸受外輪押え29と対向する対向面に、径方向に貫通する複数(本実施形態では、8本)の切欠き80(第1の径方向油路)が形成されている。この切欠き80も、第1実施形態と同様、A方向及びB方向に沿った、円周方向の4箇所に形成されるとともに、該4箇所の間に略等間隔に1箇所それぞれ形成されて、合計8箇所に45度間隔で形成される。
図9は、本発明の第2実施形態に係る主軸装置の排出経路を拡大して示す。この実施形態では、前側軸受50の外輪51における前側軸受外輪押え29と対向する対向面に、径方向に貫通する複数(本実施形態では、8本)の切欠き80(第1の径方向油路)が形成されている。この切欠き80も、第1実施形態と同様、A方向及びB方向に沿った、円周方向の4箇所に形成されるとともに、該4箇所の間に略等間隔に1箇所それぞれ形成されて、合計8箇所に45度間隔で形成される。
また、切欠き80が形成される軸方向同位置の外輪51の外周面には、複数の切欠き80と連通する円周方向全周溝81が円周方向の全周に亘って形成されている。
さらに、円周方向全周溝81と軸方向同位置の前側ハウジング21の内周面には、前側ハウジング21に形成される複数の排油穴70と、円周方向全周溝81とをそれぞれ連通する、排油穴70と同数の円周方向凹溝82(第2の径方向油路)が形成されている。円周方向凹溝82も、A方向及びB方向に沿った、円周方向の4箇所に形成され、排油穴70から円周方向両側に延びる一様な曲率の円弧面82aと、円弧面82aの両端から円周方向全周溝81に連続する立ち上がり面82bとによって構成される。
したがって、このように構成された排出経路も、第1実施形態と同様に、旋回姿勢に応じて、重力方向に位置する切欠き80から円周方向全周溝81へ潤滑油を排出させることができ、円周方向全周溝81へ排出された潤滑油は、姿勢が変化しても円周方向全周溝の内部を重力方向に移動するのみで、第1の径方向油路から軸受内部に逆流することがなく、潤滑油を排油穴70から確実に排出することができる。
また、図9に示すように、前側軸受50,55の外輪51,56と対向する、外輪間座30の軸方向両側の対向面に形成された複数の切欠き80と、前側ハウジング21の内周面に形成された複数の円周方向凹溝82とを連通する円周方向全周溝81も、切欠き80と軸方向同位置の外輪間座30の外周面に形成されてもよい。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。
上述した実施形態は、前側軸受、後側軸受を一対のアンギュラ玉軸受によって構成したが、軸受の種類や数はこれに限定されず、使用状態に応じて適宜設計することができる。さらに、前側軸受及び後側軸受の潤滑方式も任意に設定することができる。
上述した実施形態は、前側軸受、後側軸受を一対のアンギュラ玉軸受によって構成したが、軸受の種類や数はこれに限定されず、使用状態に応じて適宜設計することができる。さらに、前側軸受及び後側軸受の潤滑方式も任意に設定することができる。
また、本発明の複数の第1の径方向油路は、上記実施形態の複数の切欠き80に限らず、互いに対向する前記外輪と前記外輪位置決め部材のいずれか一方には、径方向に貫通するものであればよく、例えば、貫通孔によって形成されてもよい。
また、本発明の円周方向全周溝は、上記実施形態のように、第1の径方向油路が形成される外輪又は外輪位置決め部材の外周面と、該外周面と対向するハウジングの内周面のいずれか一方に形成されればよい。
さらに、本発明の円周方向凹溝を構成する立ち上がり面は、本実施形態では、一様な曲率の他の円弧面としたがこれに限定されず、円弧面82aの両端から円周方向全周溝81に連続するものであればよい。
1 工作機械
10 主軸装置
12 回転軸
19 外筒
20 ロータ
21 前側ハウジング
22 ステータ
29 前側軸受外輪押え(外輪位置決め部材)
30 外輪間座(外輪位置決め部材)
50,55 前側軸受
24 後側ハウジング
60,65 後側軸受
80 切欠き(第1の径方向油路)
81 円周方向全周溝
82 円周方向凹溝(第2の径方向油路)
H ハウジング
10 主軸装置
12 回転軸
19 外筒
20 ロータ
21 前側ハウジング
22 ステータ
29 前側軸受外輪押え(外輪位置決め部材)
30 外輪間座(外輪位置決め部材)
50,55 前側軸受
24 後側ハウジング
60,65 後側軸受
80 切欠き(第1の径方向油路)
81 円周方向全周溝
82 円周方向凹溝(第2の径方向油路)
H ハウジング
Claims (2)
- 回転軸が軸受を介してハウジングに回転自在に支持されるとともに、前記軸受が外部から供給される潤滑油によって潤滑される主軸装置であって、
前記軸受の外輪は、前記ハウジングに内嵌されるとともに、軸方向で対向する外輪間座又は外輪押えからなる外輪位置決め部材を用いて、前記ハウジングに対して軸方向に位置決めされ、
互いに対向する前記外輪と前記外輪位置決め部材のいずれか一方には、径方向に貫通する複数の第1の径方向油路が形成され、
前記第1の径方向油路が形成される前記外輪又は前記外輪位置決め部材の外周面と、該外周面と対向する前記ハウジングの内周面のいずれか一方には、前記複数の第1の径方向油路と連通し、円周方向の全周に亘って延びる円周方向全周溝が形成され、
前記ハウジングの内周面には、前記ハウジングに形成される少なくとも1つの排油穴と、前記円周方向全周溝とをそれぞれ連通する第2の径方向油路が形成されており、
前記第1の径方向油路は、前記外輪と前記外輪位置決め部材の互いに対向する対向面のいずれか一方に、円周方向に略等間隔で形成される少なくとも6つの切欠きであり、
前記第2の径方向油路は、前記排油穴から円周方向両側に延びる一様な曲率の円弧面と、該円弧面の両端から前記円周方向全周溝に連続する立ち上がり面によって構成される円周方向凹溝であることを特徴とする主軸装置。 - 前記潤滑油は、負圧吸引することで排油されることを特徴とする請求項1に記載の主軸装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014124321A JP2016002622A (ja) | 2014-06-17 | 2014-06-17 | 主軸装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2014124321A JP2016002622A (ja) | 2014-06-17 | 2014-06-17 | 主軸装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016002622A true JP2016002622A (ja) | 2016-01-12 |
Family
ID=55222321
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2014124321A Pending JP2016002622A (ja) | 2014-06-17 | 2014-06-17 | 主軸装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2016002622A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107962450A (zh) * | 2016-10-19 | 2018-04-27 | 发那科株式会社 | 排液机构以及具备排液机构的机床 |
-
2014
- 2014-06-17 JP JP2014124321A patent/JP2016002622A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107962450A (zh) * | 2016-10-19 | 2018-04-27 | 发那科株式会社 | 排液机构以及具备排液机构的机床 |
US10343245B2 (en) | 2016-10-19 | 2019-07-09 | Fanuc Corporation | Liquid drainage mechanism and machine tool equipped with liquid drainage mechanism |
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