JP2015532255A - カーボンナノ構造体及びその作成方法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】 付着した成長基体のないカーボンナノ構造体は、分岐し、架橋結合し、相互に共通の壁を共有する複数のカーボンナノチューブを含むことができる。カーボンナノ構造体は、成長基体から分離されてフレーク材料の形態を有することができる。任意選択的に、カーボンナノ構造体のカーボンナノチューブは、ポリマーなどでコーティングすることができ、また、カーボンナノ構造体の孔に材料を充填することができる。付着した成長基体のないカーボンナノ構造体を形成する方法は、成長基体に付着したカーボンナノ構造体を提供することと、成長基体からカーボンナノ構造体を取り出して付着した成長基体のないカーボンナノ構造体を形成することとを含むことができる。様々な技術を使用して、成長基体からのカーボンナノ構造体の取り出しを実行することができる。カーボンナノ構造体の分離は、さらに様々な湿潤及び/又は乾燥分離技術を使用することができる。【選択図】 図1

Description

(関連出願への相互参照)
本出願は、米国特許法第119条により、2012年9月28日出願の米国仮特許出願第61/707,738号に対する優先権を主張し、これは参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
(連邦政府後援の研究又は開発に関する声明)
該当なし
本発明は、一般的に、カーボンナノ構造体に関し、特に、成長のベースとなる基体から分離されるカーボンナノ構造体に関する。
カーボンナノチューブ(CNT)は、その化学的、機械的、電気的及び熱的特性の独特の組み合わせを利用することができる多くの用途での使用が提案されてきた。多くの場合、これらの性質は、カーボンナノチューブの長さ、直径、キラリティ(掌性)、機能性、及び同様の構造的パラメータの任意の組み合わせを調整することにより、特定の用途の要件に合わせることができる。個々に分離したカーボンナノチューブを取り扱う場合、多くの用途で様々な困難が広く認識されている。これらの困難には、低い溶媒可溶性、複合マトリックス中での低い分散性、不十分な純度などが含まれるが、これらに限定されない。いかなる理論又はメカニズムにも拘束されるものではないが、当技術分野で知られているように、これらの問題の多くが個々のカーボンナノチューブの間に生ずる強力なファンデルワールス力によるもので、それがカーボンナノチューブを凝集し、束又はローブにすると考えられる。上記の問題等の結果、選択された用途に個々に分離したカーボンナノチューブを使用する場合、多くの場合、特性の強化が予想より低い、及び/又は矛盾する性能となり得る。カーボンナノチューブの凝集や束を解いて個々に良好に分離された部材にするために使用可能な様々な技術があるが、これらの技術の多くは、元のカーボンナノチューブが提供することができる所望の特性の強化に悪影響を及ぼすことがある。さらなる困難として、個々に分離したカーボンナノチューブはサイズが小さいので、その環境衛生及び安全性のプロファイルに関する広い懸念が生じている。さらに、個々に分離したカーボンナノチューブを生成する費用が、多くの場合、この物質の商業的実現性を脅かすほど法外に高くなることがある。
以上を鑑みて、その使用に伴う特定の困難に対処し、容易に使用可能な形態でカーボンナノチューブを生成することが非常に望ましい。本開示は上記要求を満足させ、関連する利点も提供する。
幾つかの実施形態では、本開示は付着した成長基体のないカーボンナノ構造体を含有する組成物を提供する。カーボンナノ構造体は、分岐し、架橋結合し、相互に共通の壁を共有する複数のカーボンナノチューブを含有する。
幾つかの実施形態では、本開示は、付着した成長基体のないカーボンナノ構造体を生成する方法を提供する。この方法は、成長基体に付着したカーボンナノ構造体を提供することと、成長基体からカーボンナノ構造体を分離して付着した成長基体のないカーボンナノ構造体を形成する基体こととを含むことができる。カーボンナノ構造体は、分岐し、架橋結合(crosslinked)し、相互に共通の壁を共有する複数のカーボンナノチューブを含有する。
以上では、以下の発明を実施するための形態をさらに良く理解できるように、本開示の形態をかなり広範囲に概説してきた。開示の追加的な形態及び利点を以降で説明し、それが請求の範囲の主題を形成する。
本開示及びその利点をさらに完全に理解するために、次に本開示の特定の実施形態を説明する図面と組み合わせて考察される以下の説明に言及する。
(a),(b),(c)は、各々分岐し、架橋結合し、壁を共有するカーボンナノチューブの例示的描写を示す。 成長基体からカーボンナノ構造体を分離した後のカーボンナノ構造体フレーク材料の例示的な図を示す。 フレーク材料として得られる例示的カーボンナノ構造体のSEM像を示す。 カーボンナノ構造体複合材料と多層カーボンナノチューブ複合材料の比較体積抵抗プロットを示す。 例示的なガラス又はセラミックの成長基体を採用する例示的カーボンナノ構造体成長プロセスの流れ図を示す。 抗付着層でコーティングした遷移金属ナノ粒子の例示的略図を示す。 カーボンナノ構造体を成長基体から分離する例示的プロセスの流れ図を示す。 図7で示したプロセスをさらに詳述した例示的略図を示す。 カーボンナノ構造体及び遷移金属ナノ粒子触媒を成長基体から取り出すために機械的剪断を使用できることを実証する例示的略図を示す。 遷移金属ナノ粒子触媒がない状態でカーボンナノ構造体を成長基体から分離できるカーボンナノ構造体取り出しプロセスを実証する例示的略図を示す。
本開示は、一部は、それに付着した成長基体がないカーボンナノ構造体(CNS)に関する。本開示はまた、一部は、それに付着した成長基体がないカーボンナノ構造体を生成する方法にも関する。
以上で説明したように、多くの用途で個々に分離したカーボンナノチューブの生成及び使用の際に、様々な困難に遭遇することがある。個々に分離したカーボンナノチューブの短所に対処するために、本発明の発明者の少なくとも一部は、以前に、カーボンナノ構造体を様々な繊維材料上に直接成長させることにより、それに導入されるカーボンナノ構造体を調製する技術を開発した。本明細書で使用する「カーボンナノ構造体(carbon nanostructure)」という用語は、相互に絡み合わされ(interdigitated)、分岐し、架橋結合し、相互に共通の壁を共有することによってポリマー構造として存在し得る複数のカーボンナノチューブを指す。カーボンナノ構造体(CNS)は、そのポリマー構造の基本モノマー単位としてカーボンナノチューブを有すると見なすことができる。カーボンナノ構造体を繊維材料に導入することにより、カーボンナノチューブの有利な特性(すなわち、化学的、機械的、電気的、及び熱特性の任意の組み合わせ)を、前記繊維材料やカーボンナノ構造体導入繊維材料(carbon nanostructure-infused fiber material)を含むマトリックス材料に付与することができる。大部分の場合、カーボンナノ構造体導入繊維材料の以前の調製方法では、カーボンナノ構造体が繊維材料に非常に強固に付着し、したがって、少なくともカーボンナノチューブ自体を著しく損傷しない限りカーボンナノ構造体を繊維材料から容易に取り外すことができない。
従来のカーボンナノチューブ成長プロセスは、含まれる欠陥数を最小化した高純度カーボンナノチューブの生産を目標とすることが最も多い。このような従来のカーボンナノチューブ成長プロセスは通常、ミクロンスケールの長さを有するカーボンナノチューブの生産に数分以上かかるが、本明細書で述べるカーボンナノ構造体成長プロセスは、成長基体上で連続的に現場成長するプロセスにて、毎秒数ミクロン程度の名目カーボンナノチューブ成長速度を採用する。その結果、カーボンナノ構造体中のカーボンナノチューブは、従来のカーボンナノチューブのフォレスト又は結合していないカーボンナノチューブと比較して、欠陥が多い。すなわち、その結果のカーボンナノ構造体は、高度に絡まり合い、分岐し、架橋結合し、共通の壁を共有するカーボンナノチューブを含有している。さらに、このような急速な成長状態でカーボンナノ構造体を成長基体上に連続的に成長させる能力は、関連するカーボンナノチューブ成長プロセスで可能な量よりはるかに多くの量のカーボンナノ構造体の入手を可能にし得る。
カーボンナノ構造体の架橋結合及び他の構造的形態は、成長基体(例えば繊維材料)上でカーボンナノ構造体を合成する間に付与することができ、合成後の改質中には通常このような形態を導入する必要がないので有利である。対照的に、カーボンナノチューブの合成後に架橋結合その他の改質を行うと、元のカーボンナノチューブの有利な特性に悪影響を及ぼすことがある。合成後の改質は、化学反応、化学的エッチング、放射線(例えば、架橋結合を実行するマイクロ波放射)への曝露などにより行うことができる。
個々に分離したカーボンナノチューブの代替品として多くの用途でカーボンナノ構造体導入繊維を十分に使用することができるが、本発明の発明者は、場合によっては、カーボンナノ構造体を繊維材料に導入することによって得られるカーボンナノチューブの容易な取扱い性を保持しながら、カーボンナノ構造体が成長するベースとなる繊維材料から遊離した(free)カーボンナノ構造体を使用する方が望ましいことがあることを認識している。繊維材料からカーボンナノ構造体を取り出す動機づけとなるのは、繊維材料による重量及び体積の増加を排除することである。ここで、導入カーボンナノ構造体に対する繊維材料の質量比が通常は大きいため、ある用途(例えば複合材料)にカーボンナノ構造体導入繊維を使用する場合、繊維材料が主に構造的及び機能的特徴を維持することができる。例えば、カーボンナノ構造体導入繊維を使用して複合材料の機械的強度を強化する場合、カーボンナノ構造体は重要な強化効果を提供することができるが、主な強化効果は、導入したカーボンナノ構造体ではなく繊維材料が生じさせ得る。これに対して、導電性の強化の場合、非導電性繊維材料が存在する結果、元のカーボンナノチューブ又は遊離カーボンナノ構造体を使用した場合よりも低い導電性しか実現できない場合がある。
カーボンナノ構造体導入繊維材料の生産は、以前は繊維材料へのカーボンナノ構造体の導入(すなわち、付着)程度を上昇させることを主な目標としていた。これに対して、それほど損傷を与えない状態でカーボンナノ構造体を繊維材料などの成長基体から容易に取り出せる場合は、個々に分離したカーボンナノチューブに対するカーボンナノ構造体の利点を保持しながらなお、上記で説明した特定の利点を実現できること(例えば重量削減)が、本発明の発明者には認識された。このことに関して、カーボンナノ構造体の構造的特徴によって、その中にあるカーボンナノチューブを固定された前剥離状態(pre-exfoliated state:すなわち、少なくとも部分的に分離した状態)にし、それによってカーボンナノチューブの束がマトリックス材料中に分散するのに適切な形態へ分離されるので、カーボンナノチューブをさらに処理する必要性が軽減する。すなわち、分岐と架橋結合とカーボンナノチューブ間の壁の共有との組み合わせにより、個々に分離したカーボンナノチューブを同様の方法で使用する場合に度々問題になるファンデルワールス力を実質的に最小化することができる。カーボンナノ構造体の形態は、カーボンナノ構造体の内部にナノスケールの孔を生成することができ、カーボンナノ構造体の内部に様々な材料を装填することにより、その特性をさらに所望の形態に変更することができる。個々に分離したカーボンナノチューブ内部に同様に材料を装填することは不可能であると考えられる。何故なら、相互から剥離する際に保持される画定された有孔構造を含有していないからである。カーボンナノ構造体の外側も、本明細書で説明するように様々な材料でさらに改質することができる。
カーボンナノ構造体は個々に分離したカーボンナノチューブよりもサイズが大きいので、遊離したカーボンナノ構造体は個々に分離したカーボンナノチューブよりもはるかに優れた環境衛生及び安全性のプロファイルを提供することができ、繊維材料に導入したカーボンナノ構造体又はカーボンナノチューブのプロファイルに匹敵すると考えられる。いかなる理論にも拘束されず、衛生及び安全性のプロファイルの改善は、少なくとも一部はカーボンナノ構造体自体のサイズ及び構造的完全性に由来すると考えられる。すなわち、カーボンナノ構造体中のカーボンナノチューブ間の結合相互作用によって、呼吸毒性に関連するような有害なミクロン未満の粒子へと容易に分離しない頑強な材料を提供することができる。例えば、本明細書で開示するカーボンナノ構造体は、このような粒子を放出せずに、ボールミリングなどのプロセスに耐えることができる。
個々に分離したカーボンナノチューブと比較したカーボンナノ構造体のさらなる利点として、カーボンナノ構造体は、関連するカーボンナノチューブ生産技術で可能であるより容易かつ安価に且つカーボン原材料の高い変換率で生産することができると考えられる。今日までに最高の性能を発揮したカーボンナノチューブの成長プロセスの幾つかは、カーボンの変換効率がせいぜい約60%であった。対照的に、カーボンナノ構造体は、繊維材料上にて約85%を超えるカーボン変換効率で生産することができる。このように、カーボンナノ構造体は、カーボン原材料をより効率的に使用し、それに伴って生産コストが削減される。
さらに、カーボンナノチューブと比較して異なる、時にはそれよりも優れている特性により、用途によっては、比較的大量の個々に分離したカーボンナノチューブでのみ見られるのと同等の効果を達成するのに、それより少量の分離したカーボンナノ構造体を使用して達成することができる。分離したカーボンナノ構造体を使用することにより、相互に同様の特性を有する複合材料を生成する際に、カーボンナノチューブを使用する場合よりも安価な材料コスト及び全体的重量の削減を実現することができる。例えば本明細書の図4に示すように、複合材料の電気的特性の強化は、同等の強化効果を生成するのに必要なカーボンナノチューブの質量の1/4しか使用せずに、カーボンナノ構造体で達成することができる。いかなる理論又はメカニズムにも拘束されるものではないが、カーボンナノ構造体は優れた分散性を有し、その結果、様々なマトリックス中で特性を発現できるので、カーボンナノ構造体はカーボンナノチューブより優れた性能を与えることができると考えられる。引き続きいかなる理論又はメカニズムにも拘束されるものではないが、カーボンナノ構造体の優れた分散性は、個々に分離したカーボンナノチューブよりも密度が低いことに由来すると考えられる。
幾つかの実施形態では、本明細書で付着した成長基体のないカーボンナノ構造体を含有する組成物について説明する。様々な実施形態では、カーボンナノ構造体は、カーボンナノチューブが分岐し、架橋結合し、相互に共通の壁を共有する複数のカーボンナノチューブを含むことができる。複数のカーボンナノチューブのすべてのカーボンナノチューブが必ずしも分岐、架橋結合、及び共通の壁の共有という上記構造的形態を有するものではないことを認識されたい。むしろ、複数のカーボンナノチューブが全体としてこれらの構造的形態のうち1つ又は複数を有することができる。すなわち、幾つかの実施形態では、カーボンナノチューブの少なくとも一部が分岐し、カーボンナノチューブの少なくとも一部が架橋結合し、カーボンナノチューブの少なくとも一部が共通の壁を共有する。図1(a)〜(c)は、それぞれ分岐、架橋結合、及び共通の壁を共有するカーボンナノチューブ1〜3の例示的図を示す。カーボンナノチューブは、成長基体上でカーボンナノ構造体を形成する間に、分岐し、架橋結合し、共通の壁を共有することで形成することができる。カーボンナノ構造体は、基本モノマー単位としてカーボンナノチューブを有するポリマーと見なすことができる。
さらに、カーボンナノ構造体中の各カーボンナノチューブが必ずしも分岐し、架橋結合し、又は他のカーボンナノチューブと共通の壁を共有する必要はないことを理解されたい。例えば、幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体中のカーボンナノチューブの少なくとも一部は、相互に絡み合い、分岐し、架橋結合し、又はカーボンナノ構造体の残りのカーボンナノチューブと共通の壁を共有することができる。
カーボンナノ構造体はウェブ状形態を有することができ、その結果、カーボンナノ構造体は低い嵩密度を有する。生産したままのカーボンナノ構造体は、約0.003g/cm〜約0.015g/cmの範囲の初期嵩密度を有することができる。さらに固めてコーティングし、カーボンナノ構造体のフレーク材料又は同様の形態を生成すると、嵩密度を約0.1g/cm〜約0.15g/cmの範囲に上昇させることができる。幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体をさらに任意選択的に改質し、カーボンナノ構造体の嵩密度及び/又は別の特性をさらに変更することができる。幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体の嵩密度は、カーボンナノ構造体のカーボンナノチューブにコーティングを形成し、及び/又はカーボンナノ構造体の内部に様々な材料を浸透させることによってさらに変更することができる。様々な用途に使用するために、カーボンナノチューブのコーティング及び/又はカーボンナノ構造体の内部への浸透はさらに、カーボンナノ構造体の特性を調整することができる。さらに、幾つかの実施形態では、カーボンナノチューブ上にコーティングを形成することにより、カーボンナノ構造体の取扱いが容易になるので望ましい。さらに圧縮すると、嵩密度を約1g/cmという上限まで上昇させることができ、さらにカーボンナノ構造体の化学的改質により嵩密度を約1.2g/cmという上限まで上昇させることができる。
幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体内部において、カーボンナノチューブの少なくとも一部を相互に実質的に平行に配向させることができる。いかなる理論又はメカニズムにも拘束されるものではないが、本明細書で説明するカーボンナノ構造体の成長条件下で成長基体上にカーボンナノチューブが形成される結果、カーボンナノチューブの少なくとも大部分が基体表面から実質的に直角に成長すると考えられる。分岐し、架橋結合し、共有したカーボンナノチューブ壁という構造的形態は、取り出した元となる成長基体から離れた側のカーボンナノチューブの位置でより顕著になり得る。成長基体からカーボンナノ構造体を分離した後、以下で説明するように、カーボンナノチューブの実質的に平行な配向を維持することができる。カーボンナノチューブが相互に実質的に平行に配向された状態でカーボンナノ構造体を得ることができるので、カーボンナノ構造体は、配向に関して、カーボンナノチューブを相互に平行に配向させるためにさらなる処理の実行を必要とすることがある個々に分離したカーボンナノチューブの場合より、容易に扱うことができる。当業者に認識されるように、カーボンナノチューブの平行な配向は、特定の用途で特に利点を提供し得る。平行に配向されたカーボンナノチューブの特定の利点には、例えばカーボンナノチューブの配向方向における導電性及び伝熱性の改善、及び機械的強度の上昇が含まれる。
幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体は、カーボンナノ構造体を最初に形成したベースとなる成長基体から取り出した後、フレーク材料の形態とすることができる。本明細書で使用する「フレーク材料(flake material)」という用語は、有限の寸法を有する離散粒子を指す。図2は、カーボンナノ構造体を成長基体から分離した後のカーボンナノ構造体フレーク材料の例示的な図を示す。フレーク構造体100は、その間の任意の値及び任意の端数を含め、厚さ約1nm〜約35μm、特に厚さ約1nm〜約500nmの範囲である第1の寸法110を有することができる。フレーク構造体100は、その間の任意の値及び任意の端数を含め、高さ約1ミクロン〜約750ミクロンの範囲の第2の寸法120を有することができる。フレーク構造体100は、カーボンナノ構造体が最初に形成されるベースである成長基体の長さに基づいてのみサイズが限定される第3の寸法130を有することができる。例えば、幾つかの実施形態では、成長基体上でカーボンナノ構造体を成長させるプロセスは、スプール可能な寸法(spoolable length)の繊維系材料のトウ又はロービング上で実行することができる。カーボンナノ構造体成長プロセスは連続的とすることができ、カーボンナノ構造体は繊維のスプールの全長にわたって存在することができる。このように、幾つかの実施形態では、第3の寸法130は約1m〜約10,000mの範囲の幅とすることができる。また、第3の寸法130は、カーボンナノ構造体を形成するベースである成長基体の軸線に沿って延びる寸法を表すので、非常に長くすることができる。第3の寸法130はまた、1m未満の任意の所望の長さまで短くすることもできる。例えば幾つかの実施形態では、第3の寸法130は、以下の範囲の間の任意の量及び任意の端数を含め、約1ミクロン〜約10ミクロン、又は約10ミクロン〜約100ミクロン、又は約100ミクロン〜約500ミクロン、又は約500ミクロン〜約1cm、又は約1cm〜約100cm、又は約100cm〜約500cm程度までの任意の所望の長さとすることができる。カーボンナノ構造体を形成するベースである成長基体は極めて大きくてもよいので、適切な成長基体上に連続層としてポリマー状の形態のカーボンナノ構造体を形成することにより、非常に高い分子量のカーボンナノ構造体を生成することができる。
図2をさらに参照すると、フレーク構造体100は、その間のすべての値及び任意の端数を含め、約15,000g/モル〜約150,000g/モルの範囲の分子量を有するカーボンナノチューブポリマー(すなわち、「カーボンナノポリマー」)の形態で、カーボンナノチューブ140のウェブ状ネットワークを含むことができる。幾つかの実施形態では、分子量範囲の上限を、約200,000g/モル、約500,000g/モル、又は約1,000,000g/モルなど、さらに大きくすることができる。分子量の大きさは、カーボンナノ構造体の寸法的な長さに関連しうる。様々な実施形態では、分子量は、カーボンナノ構造体中に存在する支配的なカーボンナノチューブの直径及びカーボンナノチューブの壁の数の関数となりうる。幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体は、約2モル/cm〜約80モル/cmの範囲の架橋密度を有しうる。架橋密度は、成長基体の表面上のカーボンナノ構造体の成長密度、さらにカーボンナノ構造体の成長状態の関数となりうる。
図3は、フレーク材料として獲得される例示的なカーボンナノ構造体のSEM像を示す。図3に示すカーボンナノ構造体は、高度に配向されたカーボンナノチューブの絡み合い及び架橋結合により、3次元微細構造として存在する。配向形態は、急速なカーボンナノチューブ成長状態(例えば、毎秒約2ミクロン〜毎秒約10ミクロンなど、毎秒数ミクロン)における成長基体上のカーボンナノチューブの形成を反映したもので、それにより成長基体からの実質的に垂直なカーボンナノチューブの成長がもたらされている。いかなる理論又はメカニズムにも拘束されるものではないが、成長基体上でカーボンナノチューブが高速で成長することは、少なくとも部分的にカーボンナノ構造体の複雑な構造形態に寄与することがあると考えられる。また、カーボンナノ構造体の嵩密度は、例えばカーボンナノチューブの成長を開始するために成長基体に配置される遷移金属ナノ粒子の触媒粒子の濃度を変更するなど、カーボンナノ構造体の成長状態を調整することによって、ある程度調節することができる。適切な遷移金属ナノ粒子触媒及びカーボンナノ構造体の成長状態については、以下でさらに詳細に述べる。
幾つかの実施形態では、分離されたカーボンナノ構造体は、同等の重量のカーボンナノチューブと比較して優れた性能を示すことができる。例えば、幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体は、個々に分離したカーボンナノチューブと比較して、マトリックス材料中で優れた分散性を示し、優れた電気的浸透及び/又は熱的応答を提供することができる。例えば、図4は、カーボンナノ構造体複合材料と多層カーボンナノチューブ複合材料との体積抵抗率を比較したプロットを示す。図4に示すように、多層カーボンナノチューブに比較して、カーボンナノ構造体ではわずか1/4〜1/5の重量百分率で、複合材料中にて同等の体積抵抗率を得ることができる。試験した複合材料の試料でマトリックス材料を変更しても、その体積抵抗率の測定値に測定可能な影響を与えないと考えられる。
本明細書で説明するカーボンナノ構造体複合体には、様々なさらなる成分も見られることがある。存在し得るさらなる成分としては、カーボンナノチューブのコーティング、カーボンナノ構造体の内部空間の充填材料、遷移金属ナノ粒子、カーボンナノ構造体に付着していない残余の成長基体、及びこれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
コーティングは、成長基体からカーボンナノ構造体を分離する前、又は分離した後にカーボンナノ構造体のカーボンナノチューブに塗布することができる。成長基体からカーボンナノ構造体を取り出す前にコーティングを塗布すると、例えば取り出しプロセス中にカーボンナノチューブを保護するか、又は取り出しプロセスを容易にすることができる。他の実施形態では、成長基体からカーボンナノ構造体を取り出した後に、カーボンナノ構造体のカーボンナノチューブにコーティングを塗布することができる。成長基体から取り出した後にカーボンナノ構造体のカーボンナノチューブにコーティングを塗布することは、カーボンナノ構造体の取扱い及び保存を容易にできるので望ましい。特に、カーボンナノ構造体をコーティングすることは、カーボンナノ構造体の圧密(consolidation)又は高密度化を促進できるので望ましい。密度上昇は、カーボンナノ構造体の加工を容易にできるので望ましい。
幾つかの実施形態では、コーティングをカーボンナノ構造体のカーボンナノチューブに共有結合させることができる。幾つかの実施形態では、このようなコーティングを形成するのに適切な反応性官能基を提供するように、成長基体からカーボンナノ構造体を取り出す前、又は取り出した後に、カーボンナノチューブを機能化することができる。カーボンナノ構造体のカーボンナノチューブを機能化するのに適切なプロセスは通常、個々に分離したカーボンナノチューブの機能化に使用できるプロセスと同様であり、当業者には知られている。他の実施形態では、コーティングはカーボンナノ構造体のカーボンナノチューブに非共有結合することができる。すなわち、このような実施形態では、コーティングをカーボンナノチューブ上に物理的に配置することができる。
幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体のカーボンナノチューブのコーティングは、ポリマーコーティングとすることができる。適切なポリマーコーティングは特に限定されないと考えられ、例えば、エポキシ、ポリエステル、ビニルエステルポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンケトン、ポリフタルアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、フェノールホルムアルデヒドポリマー、ビスマレイミドポリマー、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)ポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、及びこれらの任意の組み合わせなどのポリマーを含むことができる。幾つかの実施形態では、例えばポリイソプレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレン酢酸ビニルポリマー、シリコーンポリマー、及びフルオロシリコーンポリマーなどのエラストマーも使用することができる。当業者であれば、他のポリマーコーティングを想定することができる。幾つかの実施形態では、以上で概略的に説明したように、ポリマーコーティングをカーボンナノ構造体のカーボンナノチューブに共有結合することができる。このような実施形態では、その結果得られる複合体は、カーボンナノ構造体とポリマーコーティングのブロックコポリマーを含むことができる。他の実施形態では、ポリマーコーティングはカーボンナノ構造体のカーボンナノチューブに非共有結合することができる。ポリマーコーティングの形成については、以下でさらに説明する。
ポリマーコーティングに加えて、他のタイプのコーティングがあってもよい。他のタイプのコーティングには、例えば、金属コーティングやセラミックコーティングが含まれる。幾つかの実施形態では、界面活性剤コーティングも使用することができる。
幾つかの又は他の実施形態では、少なくともカーボンナノ構造体のカーボンナノチューブ間の間隙空間に(すなわち、カーボンナノ構造体の内部に)存在する充填剤又は他の添加材料があってもよい。添加材料は単独で、又はカーボンナノ構造体のカーボンナノチューブ上のコーティングとの組み合わせで存在してもよい。コーティングと組み合わせて使用する場合、添加材料は、コーティング内のカーボンナノ構造体の間隙空間内に配置することに加えて、カーボンナノ構造体の外部にも配置することができる。添加材料をカーボンナノ構造体の間隙空間内に、又はカーボンナノ構造体の他の場所に導入することにより、カーボンナノ構造体の特性をさらに変更することができる。制限されないが、カーボンナノ構造体中に添加材料を含めることにより、カーボンナノ構造体の密度、熱特性、分光学的特性、機械的強度などを変更することができる。個別の、又は束状のカーボンナノチューブは、同様の方法では添加材料を担持することができないと考えられる。何故なら、ナノチューブの外部に添加材料を含有する永久的な間隙空間がないからである。カーボンナノチューブの内部には空の空間があるが、添加材料をその位置に配置することは非常に困難であるか、又は不可能であると考えられる。
幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体は複数の遷移金属ナノ粒子を含有することができ、この遷移金属ナノ粒子は、カーボンナノ構造体の合成に使用した触媒であってもよい。幾つかの実施形態では、図6に示すように、遷移金属ナノ粒子はその成長基体への付着又はカーボンナノ構造体の成長基体への付着を制限する抗付着コーティングでコーティングすることができる。適切な抗付着コーティングについては、以下でさらに詳細に説明する。様々な実施形態では、成長基体からカーボンナノ構造体及び遷移金属ナノ粒子を取り出すとき、抗付着コーティングは遷移金属ナノ粒子に付随して取り出されうる。他の実施形態では、抗付着コーティングは、カーボンナノ構造体に組み込まれる前に、又は組み込まれた後に、遷移金属ナノ粒子から除去してもよい。さらに他の実施形態では、遷移金属ナノ粒子を最初にカーボンナノ構造体に組み込み、その後除去することができる。例えば、幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体を無機酸で処理することにより、遷移金属ナノ粒子の少なくとも一部をカーボンナノ構造体から取り出すことができる。
幾つかの又は他の実施形態では、本明細書で説明する組成物は、カーボンナノ構造体に付着しない成長基体を含有することができる。以下でさらに説明するように、最初に形成されるカーボンナノ構造体は、カーボンナノ構造体の取り出しプロセス中に生成された破断した成長基体を含有することがある。幾つかの実施形態では、破断した成長基体がカーボンナノ構造体に残ることがある。他の実施形態では、以下でさらに詳細に説明するように、その後にカーボンナノ構造体から成長基体を除去することができる。
幾つかの実施形態では、成長基体上でカーボンナノ構造体を合成し、次に成長基体からカーボンナノ構造体を取り出す方法を説明する。様々な実施形態では、この方法は、成長基体に付着したカーボンナノ構造体を提供することと、成長基体からカーボンナノ構造体を取り出して付着した成長基体のないカーボンナノ構造体を形成することとを含むことができる。以上で説明したように、カーボンナノ構造体は、分岐し、架橋結合し、相互に共通の壁を共有する複数のカーボンナノチューブを含むことができる。様々な実施形態では、上記方法は、(例えば以下でさらに詳細に説明するカーボンナノ構造体成長条件下で)カーボンナノ構造体を成長基体上で形成することを含むことができる。
次に、様々な技術で成長基体上にカーボンナノ構造体を生成し、その後に成長基体からカーボンナノ構造体を取り出すことについて、以下でさらに説明する。
幾つかの実施形態では、本明細書で説明するプロセスは、成長基体上にカーボンナノ構造体を調製し、カーボンナノ構造体の合成が完了したら1つ又は複数の措置によりカーボンナノ構造体を取り出すことを含むことができる。成長基体からカーボンナノ構造体を取り出す措置は、以下からなる群から選択される1つ又は複数の技術を含むことができる。すなわち、(i)成長基体上に抗付着コーティングを設けること、(ii)カーボンナノ構造体の合成に使用する遷移金属ナノ粒子触媒上に抗付着コーティングを設けること、(iii)遷移金属ナノ粒子触媒に成長基体をエッチングする対向イオンを設け、それによって成長基体に対するカーボンナノ構造体の付着を弱めること、及び(iv)カーボンナノ構造体の合成が完了した後に、成長基体へのカーボンナノ構造体の付着を弱めるために、エッチング作業を実行することである。これらの技術の組み合わせを使用することもできる。これらの技術と組み合わせて、様々な流体剪断又は機械的剪断作業を実行し、成長基体からのカーボンナノ構造体の取り出しを促進することができる。
幾つかの実施形態では、本明細書で説明するプロセスは、成長基体からカーボンナノ構造体を取り出すことを含むことができる。幾つかの実施形態では、成長基体からカーボンナノ構造体を取り出すことは、高圧の液体又は気体を使用して成長基体からカーボンナノ構造体を分離することと、成長基体に由来する汚染物質(例えば、断片化した成長基体)をカーボンナノ構造体から分離することと、フィルタ媒体の補助のもとで空気又は液体媒体からカーボンナノ構造体を収集することと、フィルタ媒体からカーボンナノ構造体を分離することとを含むことができる。様々な実施形態では、成長基体に由来する汚染物質をカーボンナノ構造体から分離することは、サイクロンフィルタリング、密度分離、サイズによる分離、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される技術によって実行することができる。以上のプロセスを以下でさらに詳細に説明する。
図5は、例示的なガラス又はセラミック成長基体410を使用する例示的なカーボンナノ構造体の成長プロセス400の流れ図を示す。ガラス又はセラミックの成長基体という選択肢は単に例示的であり、基体は例えば金属、有機ポリマー(例えばアラミド)、玄武岩繊維、又は炭素でもよいことを理解されたい。幾つかの実施形態では、成長基体はスプール可能な寸法の繊維材料とすることができ、それによって成長基体が第1の位置から第2の位置へと搬送されるにつれて、成長基体上でカーボンナノ構造体の形成を連続的に実行することができる。カーボンナノ構造体の成長プロセス400は、繊維、トウ、糸、織物及び不織布、シート、テープ、ベルトなどのような様々な形態の成長基体を使用することができる。連続的合成の都合上、トウ及び糸が特に都合の良い繊維材料である。
図5をさらに参照すると、このような繊維材料は、作業420で繰り出しクリール(payout creal)から計り分け、作業430で任意選択のサイジング除去ステーションに送出することができる。サイジング除去は通常、繊維材料へのカーボンナノ構造体の導入程度を向上させるために、カーボンナノ構造体導入繊維材料の調製時に実行する。しかし、分離したカーボンナノ構造体の調製時に、例えばサイジングが成長基体への遷移金属ナノ粒子触媒及び/又はカーボンナノ構造体の付着程度の低下を促進する場合は、サイジング除去作業430を省略し、それによってカーボンナノ構造体の取り出しを容易にすることができる。繊維基体に関連する多くのサイジング組成物は、主に耐摩耗効果を提供するが、通常は繊維表面への特段の付着性を有しない結合剤及びカップリング剤を含むことができる。このように、サイジングが存在する状態で成長基体上にカーボンナノ構造体を形成すると、幾つかの実施形態では実際にその後のカーボンナノ構造体の分離を促進することができる。この理由で、幾つかの実施形態ではサイジング除去作業430を省略することが有利なことがある。
幾つかの実施形態では、作業440で追加のコーティングを施すことができる。作業440で施すことができる追加のコーティングには、例えば成長基体への触媒及び/又はカーボンナノ構造体の付着を低下させることができるコロイド状セラミック、ガラス、シラン、又はシロキサンが含まれる。幾つかの実施形態では、サイジングと追加のコーティングとの組み合わせは、成長基体からのカーボンナノ構造体の取り出しを促進することができる抗付着コーティングを提供することができる。幾つかの実施形態では、サイジングのみで、以上で説明したような成長基体からのカーボンナノ構造体の取り出しを容易にするのに十分な抗付着特性を提供することができる。幾つかの実施形態では、作業440で提供された追加のコーティングのみで、成長基体からのカーボンナノ構造体の取り出しを容易にするのに十分な抗付着特性を提供することができる。さらなる実施形態では、サイジングも追加のコーティングも、単独でも組み合わせても、カーボンナノ構造体の取り出しを容易にするのに十分な抗付着特性を提供しない。このような実施形態では、成長基体上のカーボンナノ構造体の成長を促進するために使用される遷移金属ナノ粒子を注意深く選択することによって、成長基体へのカーボンナノ構造体の付着低下を達成することができる。詳細には、幾つかのこのような実施形態では、作業450において低い付着特性を有する触媒を特に選択して使用することができる。
図5をさらに参照すると、任意選択のサイジング除去作業430及び任意選択的なコーティング作業440の後、作業450で触媒を成長基体に塗布し、作業460で細孔CVDプロセスによりカーボンナノ構造体の成長を行う。その結果のカーボンナノ構造体導入成長基体(すなわち、カーボンナノ構造体導入繊維材料)は、作業470に示すように、保存して、その後にカーボンナノ構造体を取り出すために巻き付けるか、又は即座にハーベスタを使用するカーボンナノ構造体分離プロセスに投入することができる。
幾つかの実施形態では、成長基体を変質させて、そこからのカーボンナノ構造体の取り出しを促進することができる。幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体の生成に使用する成長基体を変質させて、成長基体へのカーボンナノ構造体の付着を制限する抗付着コーティングを含めることができる。抗付着コーティングは、市販の成長基体に既に塗布されているサイジングを含むことができるか、又は抗付着コーティングは成長基体を受けた後に施すことができる。幾つかの実施形態では、抗付着コーティングを施す前に、サイジングを成長基体から除去することができる。他の実施形態では、サイジングが存在する成長基体にサイジングを施すことができる。
幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体は、以下に概説するように、複数の遷移金属ナノ粒子を含む触媒から成長基体上で成長させることができる。幾つかの実施形態では、成長基体上に触媒を塗布する1つの方法としては、粒子吸着による方法、例えば、液体又はコロイド状の前駆物質の蒸着による直接的な触媒塗布を用いた方法により行うことができる。適切な遷移金属ナノ粒子触媒には、d−ブロック遷移金属又はd−ブロック遷移金属塩が含まれる。幾つかの実施形態では、遷移金属塩は、熱処理せずに成長基体に塗布することができる。他の実施形態では、遷移金属塩は、熱処理により成長基体上でゼロ価遷移金属に転換することができる。
幾つかの実施形態では、遷移金属ナノ粒子は、成長基体への付着を制限する抗付着コーティングでコーティングすることができる。既に説明したように、抗付着コーティングで遷移金属ナノ粒子をコーティングすると、カーボンナノ構造体の合成後に成長基体からのカーボンナノ構造体の取り出しを促進することもできる。遷移金属ナノ粒子のコーティングに使用するのに適切な抗付着コーティングとしては、成長基体のコーティングに使用するものと同じ抗付着コーティングでもよい。図6は、抗付着層でコーティングした遷移金属ナノ粒子の例示的な図を示す。図6に示すように、コーティングした触媒500は、抗付着層520のオーバコートを施したコア触媒粒子510を含むことができる。幾つかの実施形態では、コロイド状ナノ粒子溶液を使用することができ、その場合、ナノ粒子の周囲の外層がナノ粒子への成長基体の付着を促進するが、ナノ粒子へのカーボンナノ構造体の付着は抑制し、それによって成長基体へのカーボンナノ構造体の付着を制限することができる。
図7は、成長基体からカーボンナノ構造体を分離する例示的プロセスの流れ図を示す。図7に示すように、プロセス600は、作業610でカーボンナノ構造体導入繊維を提供することから開始する。成長したカーボンナノ構造体が載っている非繊維質成長基体も同様の方法で使用することができる。作業620で、繊維材料からのカーボンナノ構造体の取り出しを遂行するために、気体又は液体を使用する流体剪断を行うことができる。幾つかのケースでは、流体剪断の結果、繊維材料の少なくとも一部がバルク繊維から遊離して、遊離カーボンナノ構造体と混合するが、付着はしない。必要に応じて、作業630で、付着していない繊維材料を取り出すために、遊離したカーボンナノ構造体をサイクロン/媒体濾過にかけることができる。密度又はサイズによる分離技術を使用して、付着していない繊維材料からのカーボンナノ構造体の分離を実行することもできる。気体剪断の場合、作業645でカーボンナノ構造体をフィルタ媒体上に乾燥状態で収集することができる。作業645で収集した結果物である乾燥フレーク材料は、図7でさらに概説するように、任意選択のさらなる化学的又は熱的精製にかけることができる。液体剪断の場合、作業640で液体を収集することができ、作業650で液体からのカーボンナノ構造体の分離を行い、最終的に作業660で乾燥フレーク材料を生成することができる。作業660で分離したカーボンナノ構造体フレーク材料は、作業645で生成したものと同様となりうる。作業660でカーボンナノ構造体フレーク材料を分離した後、これを作業695で梱包及び/又は保存することができる。気体剪断を使用してカーボンナノ構造体を取り出すプロセスでは、作業645でカーボンナノ構造体を乾燥状態でフィルタに収集することができる。作業695で梱包及び/又は保存を行う前に、いずれかの剪断技術で形成した未加工生成物を、作業670で任意選択的な化学的及び/又は熱精製にかけることができる。これらの精製プロセスは、従来のカーボンナノチューブの精製時に実行するプロセスと同様でよい。例えば、作業670で実行する精製は、液体臭素等で処理するなど、カーボンナノ構造体の成長のために用いた触媒の除去を含むことができる。当業者には他の精製技術も想定することができる。
図7をさらに参照すると、いずれかの剪断技術によって生成したカーボンナノ構造体は、作業680で切断又は膨らませ加工(fluffing)によってさらに処理することができる。このような切断及び膨らませ加工は、機械的ボールミル粉砕、研削、混合、化学的プロセス、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。さらに任意選択で、作業690で、カーボンナノチューブを変質又は機能化するのに典型的な任意の技術を使用して、カーボンナノ構造体をさらに機能化することができる。作業690の適切な機能化技術は、例えばプラズマ処理、化学的エッチングなどを含むことができる。この方法でカーボンナノ構造体を機能化すると、化学的官能基のハンドルを生成することができ、これをさらなる改質に使用することができる。例えば、幾つかの実施形態では、化学的エッチングを使用して、カーボンナノ構造体上にカルボン酸基を形成することができ、これは例えば複合体材料のマトリックス材料などの任意の数のさらなる要素との共有結合をもたらすことができる。この場合、機能化したカーボンナノ構造体は、複合体マトリックスの優れた強化材料を提供することができる。何故なら、全次元方向で複合体のマトリックス材料との共有結合に複数の部位を提供することができるからである。
複合体材料のマトリックスに対するカーボンナノ構造体の共有結合を容易にすることに加えて、カーボンナノ構造体の機能化は、他の基のカーボンナノ構造体との共有結合も可能にすることができる。幾つかの実施形態では、合成又はバイオポリマーなどの他の共有結合要素へのアクセスは、後処理であるカーボンナノ構造体機能化によって生成された官能基のハンドルを介して実現することができる。例えば、カーボンナノ構造体を(例えば、カーボンナノ構造体上のカルボン酸基から形成されたエステル結合を通して)ポリエチレングリコールに結合して、PEG化カーボンナノ構造体を提供することができ、これはカーボンナノ構造体に改良された水溶性を与えることができる。幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体は生体分子に共有結合するプラットフォームを提供し、バイオセンサの製造を容易にすることができる。この場合、カーボンナノ構造体は、個別化されたカーボンナノチューブを使用する他のカーボンナノチューブ系バイオセンサよりも、さらに従来のカーボンナノチューブのフォレストよりも、検出感度を強化した改良型の電気的浸透通路を提供することができる。センサを開発するために関係する生体分子は、例えばペプチド、タンパク質、酵素、炭水化物、糖タンパク質、DNA、RNAなどを含むことができる。
図8は、図7に示したプロセスをさらに詳述した例示的図を示す。図8のプロセス700に示すように、作業710で単一又は複数のスプールのカーボンナノ構造体担持繊維型基体を、繰り出し及び巻き取りシステムを使用して取り出しチャンバ712に供給する。繊維型基体からのカーボンナノ構造体の取り出しは、作業720でエアナイフ又はエアノズルなどの単一又は幾つかの加圧空気源ツール714で実行することができる。このような空気源ツールは、一般にスプールに対して直角に配置することができ、次にカーボンナノ構造体を担持する繊維型基体に空気を向けることができる。幾つかの実施形態では、空気源ツールは固定式でよいが、他の実施形態では、空気源ツールは可動式とすることができる。空気源ツールが可動式である実施形態では、繊維型基体の表面に対して往復移動し、取り出しの効率を改善するように構成することができる。空気が衝突すると、繊維トウ及び他の束状の繊維型基体が広がり、それによって機械的接触を有利に回避しながら、基体の露出表面積を増加させ、カーボンナノ構造体の取り出しを改善することができる。幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体の合成及び取り出しの連続的サイクルで基体をリサイクルできるように、基体の完全性を十分に維持することができる。したがって、幾つかの実施形態では、基体は、ベルト又はループの形態とすることができ、それにより、カーボンナノ構造体を基体上で合成し、その後に下流で取り出して、次に元のカーボンナノ構造体を取り出した位置で新しいカーボンナノ構造体を追加で成長させるためにリサイクルする。幾つかの実施形態では、元のカーボンナノ構造体を取り出した結果、カーボンナノ構造体の取り出しを容易にした表面処理が除去されることがある。したがって、幾つかの実施形態では、元のカーボンナノ構造体を取り出した後に、本明細書で説明した表面改質技術が概略実行されるように、基体を再び改質し、新しいカーボンナノ構造体の取り出しを促進することができる。元のカーボンナノ構造体を取り出した後に基体上で実行する表面処理は、元の表面処理と同じか、又は異なってよい。
幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体の取り出し中に基体の完全性が損なわれることがあり、もはやカーボンナノ構造体に付着していない基体の少なくとも一部が、カーボンナノ構造体と混合することがある。図8をさらに参照すると、分離したカーボンナノ構造体と混合している断片化した基体を、作業730で除去することができる。図8では、作業730はサイクロン濾過で実行するように描かれているが、任意の適切な固体分離技術を使用することができる。例えば、幾つかの実施形態では、篩い分け、不等沈下、又はその他の大きさの違いに基づく分離を実行することができる。他の実施形態では、密度の違いに基づく分離を実行することができる。さらに他の実施形態では、少なくとも部分的に化学反応を使用し、カーボンナノ構造体に付着していない成長基体とカーボンナノ構造体との分離を実行することができる。図8は、単一のサイクロン濾過を描いているが、複数の真空及びサイクロン濾過技術を直列、並列、又はこれらの任意の組み合わせで使用し、カーボンナノ構造体から残留する断片化した成長基体を除去することができる。このような技術は、複数の段階のフィルタ媒体及び/又は濾過速度を使用して、断片化した成長基体を選択的に捕捉しながら、カーボンナノ構造体は収集容器へと送ることができる。その結果物であるカーボンナノ構造体は、作業740で乾燥状態で収集するか、又は作業750で湿潤スラッジとして収集することができる。幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体は、作業730で断片化した成長基体を取り出した直後に処理し、梱包作業760で保存容器又は輸送可能な容器に梱包することができる。そうでない場合、梱包は乾燥状態の収集作業740又は湿式収集作業750の後に実行することができる。
湿式処理を使用する実施形態では、カーボンナノ構造体を、約1%〜約40%の溶媒を含有する水溶液と混合して、フィルタ又は同様の分離機構を通過させて、カーボンナノ構造体を溶媒から分離することができる。その結果物である分離したカーボンナノ構造体を乾燥させ、流体相中の分散物として「湿潤」状態で梱包又は保存することができる。個々に分離したカーボンナノチューブ溶液又は分散物とは異なり、カーボンナノ構造体は安定した分散物を形成できるので有利であることが観察されている。幾つかの実施形態では、溶媒として水を使用する場合でも、安定化のための界面活性剤なしに安定した分散を達成することができる。幾つか又は他の実施形態では、湿式処理中に水と組み合わせて溶媒を使用することができる。湿式処理と組み合わせて使用するのに適切な溶媒には、イソプロパノール(IPA)、エタノール、メタノール、及び水が含まれるが、これらに限定されない。
流体剪断の代替法として、幾つかの実施形態では、機械的剪断を使用して成長基体からカーボンナノ構造体を取り出すことができる。図9は、カーボンナノ構造体及び遷移金属ナノ粒子触媒を成長基体から取り出すために機械的剪断を使用することができる方法を示す例示的図を示す。図9に示すように、カーボンナノ構造体取り出しプロセス800は、機械的剪断力810を使用して、カーボンナノ構造体及び遷移金属ナノ粒子触媒の両方を成長基体830から一体の要素820として取り出すことができる。幾つかのこのような実施形態では、サイジング及び/又は追加の抗付着コーティングを使用して、成長基体へのカーボンナノ構造体及び/又はナノ粒子の付着を制限し、それによって成長基体からのカーボンナノ構造体の機械的剪断又は他のタイプの剪断力による取り出しを容易にすることができる。幾つかの実施形態では、機械的剪断は、カーボンナノ構造体導入繊維をドライアイスで研削することによって実現することができる。
流体剪断の別の代替法として、幾つかの実施形態では、音波処理(sonication)を使用して成長基体からカーボンナノ構造体を取り出すことができる。
幾つかの実施形態では、遷移金属ナノ粒子触媒を実質的に取り出さずに、カーボンナノ構造体を成長基体から取り出すことができる。図10は、遷移金属ナノ粒子触媒がない状態で成長基体からカーボンナノ構造体を分離することができるカーボンナノ構造体取り出しプロセス900を示す例示的図を示す。図10に示すように、カーボンナノ構造体940は、導入した遷移金属ナノ粒子触媒910を使用して成長基体920上に成長させることができる。その後、カーボンナノ構造体940の剪断取り出し930により、成長基体920上に遷移金属ナノ粒子触媒910が残る。幾つかのこのような実施形態では、層状の触媒が基体表面への付着を促進しながら、ナノ粒子に対するカーボンナノ構造体の付着を抑制することができる。
図9及び図10は、カーボンナノ構造体の成長を触媒からの基部成長(basal growth)により生じたものとして描いてきたが、カーボンナノ構造体成長の他の機械的形態が可能であることが当業者には認識される。例えば、カーボンナノ構造体の成長は、触媒がカーボンナノ構造体の表面上で成長基体から遠位側にある形態(すなわち、先端成長(tip growth))、又は先端成長と基部成長との間である形態として生じることもある。幾つかの実施形態では、成長基体からのカーボンナノ構造体の取り出しの容易化のために、主に基部成長を選択することができる。
代替の実施形態では、成長基体からのカーボンナノ構造体の取り出しは、流体剪断又は機械的剪断以外のプロセスで実行することができる。幾つかの実施形態では、化学的エッチングを使用して、成長基体からカーボンナノ構造体を取り出すことができる。幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体の成長を促進するために使用される遷移金属ナノ粒子触媒として、陰イオンを含有する遷移金属塩を選択することができ、それにより、成長基体をエッチングし、カーボンナノ構造体の取り出しを容易にすることができる。適切なエッチング用陰イオンには、例えば塩化物、硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、及びフッ化物が含まれる。幾つかの又は他の実施形態では、化学的エッチングは触媒の選択とは別個に使用することができる。例えば、ガラス基体を使用する場合、フッ化水素のエッチングを使用して、基体へのカーボンナノ構造体及び/又は遷移金属ナノ粒子触媒の付着を弱めることができる。
本明細書で開示するカーボンナノ構造体は、複雑な構造形態を有するネットワークを形成するカーボンナノチューブ(CNT)を含み、これについては以上で既に詳細に説明した。いかなる理論又はメカニズムにも拘束されるものではないが、この複雑な構造形態は、毎秒数ミクロン程度の急速な成長速度をもたらすCNT成長条件で、基体上にカーボンナノ構造体を調製したことに由来すると考えられる。急速なCNTの成長速度は、CNTが相互に非常に近接していることと相俟って、観察された分岐し、架橋結合し、壁を共有するというモチーフをCNTに与えることがある。以下の説明で、繊維基体に結合したカーボンナノ構造体の生成技術について説明する。簡略化のため、その説明は、CNTと区別なく基体に配置されたカーボンナノ構造体について言及することがある。何故なら、CNTがカーボンナノ構造体の主要な構造的構成要素であるからである。
幾つかの実施形態では、本明細書で開示するプロセスは、典型的なサイジング溶液を繊維材料に塗布する前に、又は塗布する代わりに、新たに生成された発生期の繊維材料に適用することができる。あるいは、本明細書で開示するプロセスは、既に表面にサイジングが施された市販の繊維材料、例えばトウを使用することができる。このような実施形態では、サイジングを除去して、繊維材料と合成したカーボンナノ構造体との間に直接的な界面を形成することができるが、遷移金属ナノ粒子触媒が両者の間の中間リンカーとして働くことができる。カーボンナノ構造体の合成後、所望の場合、別のサイジング剤を繊維材料に塗布することができる。カーボンナノ構造体の分離を目的として、上述したサイジング又はコーティングのいずれかを使用して、分離プロセスを容易化することができる。カーボンナノ構造体を形成するために同様に適した基体としては、テープ、シート、さらには成形品としてのカーボンナノ構造体製品を提供するために使用できる3次元の形態が含まれる。本明細書で説明するプロセスによって、トウ、テープ、織物及び他の3D織物構造のスプール可能な長さに沿って均一な長さ及び分布を有するカーボンナノ構造体ネットワークを構成するCNTを連続的に生成することができる。
本明細書で使用する「繊維材料」という用語は、基本的構造成分として繊維を有する任意の材料を指す。この用語は、繊維、フィラメント、糸、トウ、トウ、テープ、織物及び不織布、プライ(ply)、マットなどを包含する。
本明細書で使用する「スプール可能な寸法」という用語は、少なくとも1次元の長さが制限されず、材料がスプール又はマンドレル上で保存できるようになった繊維材料を指す。本明細書で説明するプロセスは、5〜20ポンドのスプールで容易に作業することができるが、これより大きいスプールも使用可能である。さらに、例えば100ポンド以上の非常に大きいスプール可能な長さを、2つの50ポンドのスプールのように取り扱いやすい寸法に分割する前処理作業を組み込むことができる。
本明細書で使用する「カーボンナノチューブ」(CNT)という用語は、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、2層カーボンナノチューブ(DWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)など、フラーレンファミリーのカーボンの任意の数の円筒形同素体を指す。CNTは、フラーレン様構造で蓋をするか、開放端とすることができる。CNTには、他の材料を封入するものが含まれる。CNTは、分岐したネットワーク、絡み合ったネットワーク、及びその組み合わせのような外観を有することがある。基体上に調製されカーボンナノ構造体を構成するCNTは、MWNT、SWNT又はDWNTのみからなる個別的CNTモチーフを含むことができるか、又はカーボンナノ構造体はCNTのこれらのモチーフの混合物を含むことができる。
本明細書で使用する「長さが均一」とは、カーボンナノ構造体を生成する反応器内で成長したCNTの平均長さを指す。「均一な長さ」は、CNTの長さが約1ミクロン〜約500ミクロンの範囲内の場合、CNTの長さの公差がCNT全長のプラスマイナス約20%以内であるという意味である。長さが1〜4ミクロンなどの非常に短い場合、この誤差はCNT全長の約±20%〜約±1ミクロン、すなわち、CNT全長の約20%を多少超えた値までの間の範囲に入る。カーボンナノ構造体との関連では、カーボンナノ構造体の少なくとも1次元の長さを、CNT成長の長さによって制御することができる。
本明細書で使用する「分布が均一」は、繊維材料など、成長基体上のCNTの密度の一貫性を指す。「均一な分布」は、CNTの繊維材料上での密度が、CNTによって覆われた繊維の表面積の百分率として定義される被覆率でプラスマイナス約10%の公差であるという意味である。これは、直径8nmの5層のCNTでは、CNTが±1500個/μmと同等である。このような数字は、CNT内の空間が充填可能であると仮定している。
本明細書で使用する「遷移金属」という用語は、周期表のd−ブロックにある任意の元素又は元素の合金を指す。「遷移金属」という用語は、酸化物、炭化物、窒化物などの塩基性遷移金属元素の塩の形態も含む。
本明細書で使用する「ナノ粒子」又はNP、又はその文法的に同等な用語は、同等の球形の直径が約0.1〜約100ナノメートルの間のサイズである粒子を指すが、NPは球形の形状である必要はない。特に、遷移金属NPは繊維材料上でCNTが成長する触媒として働くことができる。
本明細書で使用する「サイジング剤」、「繊維サイジング剤」、又は単に「サイジング」という用語は、繊維の完全性を保護する、複合体中の繊維とマトリックス材料との間に強化された界面相互作用を提供する、及び/又は繊維の特定の物理的特性を変更及び/又は強化するために、コーティングとして繊維の製造に使用される材料を一括して指す。
本明細書で使用する「材料滞留時間」という用語は、本明細書で説明するCNSプロセス中に、スプール可能な寸法の繊維材料に沿った個々の点がCNT成長条件に曝される時間の量を指す。この定義は、複数のCNT成長チャンバを使用する場合の滞留時間を含む。
本明細書で使用する「ライン速度」という用語は、本明細書で説明するCNT合成プロセスを通してスプール可能な寸法の繊維材料を供給する速度を指し、ライン速度は、CNTチャンバの長さを材料の滞留時間で割ることによって求められる速度である。
幾つかの実施形態では、CNT担持(CNT-laden)繊維材料は、スプール可能な寸法の繊維材料、及び繊維材料上で成長したカーボンナノ構造体の形態のカーボンナノチューブ(CNT)を含む。
いかなる理論又はメカニズムにも拘束されるものではないが、CNT形成触媒として機能する遷移金属NPは、CNT成長シード構造を形成することによってCNT成長に触媒作用をすることができる。一実施形態では、CNT形成触媒は、繊維材料の基部に留まることができる(すなわち、基部成長)。このようなケースでは、遷移金属ナノ粒子触媒によって最初に形成されるシード構造は、触媒なしにシードからCNTが連続的に成長するのに十分で、触媒がCNT成長の先端に沿って移動(すなわち、先端成長)することはない。このようなケースでは、NPは繊維材料に対するCNSの取付点として働く。
CNTの長さが実質的に一定であるCNS担持繊維材料を有する組成物が提供される。本明細書で説明する連続的プロセスでは、CNT成長チャンバ内の繊維材料の滞留時間は、CNTの成長を制御し、最終的にはCNT及びCNSの長さを制御するために調節することができる。これらの特徴は、成長するCNTの特定の特性、したがってCNSの特性を制御する手段を提供する。CNTの長さは、炭素の原料及びキャリアガスの流量及び反応温度を調節することによっても制御することができる。CNT特性の追加の制御は、例えばCNTの調製に使用する触媒のサイズなどを調節することによって達成することができる。例えば、1nmの遷移金属ナノ粒子触媒を使用して、特にSWNTを提供することができる。これより大きい触媒を使用して、主にMWNTを調製することができる。
また、使用されるCNT成長プロセスは、予め形成したCNTを溶媒媒体中に懸濁又は分散して手で繊維材料に施すプロセスで生じることがあるCNTの束化及び/又は凝集を回避しながら、均一に分布したCNTをCNS担持繊維材料に提供するのに有用である。幾つかの実施形態では、被覆率、すなわち、覆われる繊維材料の表面積として表される最大分布密度は、直径8nmの5層のCNTと仮定して、約55%という高さになりうる。この被覆率は、CNT内部の空間を「充填可能」空間と見なすことによって計算される。表面上の触媒分散を変化させ、さらに気体組成及びプロセス速度を制御することによって、様々な分布/密度値を達成することができる。通常、所与のパラメータのセットでは、繊維表面全体で約10%以内の被覆率を達成することができる。機械的特性を改善するには、密度を高くし、CNTを短くする(例えば長さ約100ミクロン未満)ことが有用なことがある一方、熱的及び電気的特性を改善するには、CNTを長くし(例えば長さ約100ミクロン超)、密度を低くすることが有用なことがあるが、それでも密度を高くすることが好ましいことがある。CNTを長く成長させると、その結果、密度が低下することがある。これは、高い温度と速い成長により、触媒粒子の歩留まりが低下した結果である場合がある。
CNS担持繊維材料は、フィラメント、繊維糸、繊維トウ、繊維ブレード、織物、不織繊維マット、繊維プライ、及び他の3D織物構造のような繊維材料を含むことができる。フィラメントは、約1ミクロン〜約100ミクロンの間のサイズ範囲の直径を有する高アスペクト比の繊維を含む。繊維トウは通常、密に結合したフィラメントの束であり、通常は相互に捻って糸にする。
糸(yarn)は、捻ったフィラメントの密に結合した束を含む。糸中の各フィラメントの直径は比較的均一である。糸は、様々な重量を有し、1000リニアメートルのグラム単位の重量で表される「テックス」、又は10,000ヤードのポンド単位の重量で表されるデニールで記述され、典型的なテックス範囲は一般的に、約200テックスと約2000テックスの間である。
トウ(tow)は、捻れていないフィラメントの緩く結合した束を含む。糸の場合と同様に、トウのフィラメント直径は、通常、均一である。トウも様々な重量を有し、テックス範囲は通常、200テックスと約2000テックスの間である。これはトウ中のフィラメントの千本単位の数で特徴付けられることが多く、例えば12Kトウ、24Kトウ、48Kトウなどである。
テープは、織物として組み立てられるか、又は平らにした不織トウとすることができる材料である。テープの幅は様々であり、通常はリボンと同様の両面構造である。CNT導入は、テープの片側又は両側で実行することができる。CNS担持テープは、平坦な基体表面上の「カーペット」又は「フォレスト」のように見えることがある。しかし、CNSの方がCNSの構造的形態中に生じる分岐及び架橋結合の程度がはるかに高いので、従来の配向CNTフォレストから容易に区別することができる。この場合も、本明細書で説明するプロセスは、連続モードで実行してテープのスプールを機能化することができる。
繊維ひも(briad)は、密に集めた繊維のロープの様な構造体を表す。このような構造体は、例えば糸から組み立てることができる。ひも構造は中空部分を含むことができ、又はひも構造は別のコア材料の周囲に組み立てることができる。
CNTは、機械的強度、低レベルから中位の電気抵抗、高い伝熱性などの特徴的特性をCNS担持繊維材料に与える。例えば、幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体担持繊維材料の電気抵抗は、親繊維材料の電気抵抗より低い。同様に、分離したCNSはこのような特性を引き継ぐことができる。さらに一般的には、結果物であるCNS担持繊維がこれらの特徴を表す程度は、カーボンナノチューブによる繊維の被覆率の程度及び密度の関数となりうる。直径8nmの5層MWNTと仮定して、繊維の0〜55%まで、繊維表面積の任意の量を覆うことができる(この場合も、この計算はCNTの内部空間を充填可能と見なす)。この数字は、CNTの直径が小さい方が小さくなり、CNTの直径が大きい方が大きくなる。55%の表面被覆率はCNT約15,000個/平方ミクロンと同等である。上述したように、CNTの長さに応じて、さらなるCNTの特性を繊維材料に与えることができる。カーボンナノ構造体中のCNTは、長さが約1ミクロン〜約500ミクロンの間の様々な値である場合があり、これには、約1ミクロン、約2ミクロン、約3ミクロン、約4ミクロン、約5ミクロン、約6ミクロン、約7ミクロン、約8ミクロン、約9ミクロン、約10ミクロン、約15ミクロン、約20ミクロン、約25ミクロン、約30ミクロン、約35ミクロン、約40ミクロン、約45ミクロン、約50ミクロン、約60ミクロン、約70ミクロン、約80ミクロン、約90ミクロン、約100ミクロン、約150ミクロン、約200ミクロン、約250ミクロン、約300ミクロン、約350ミクロン、約400ミクロン、約450ミクロン、約500ミクロン、及びその間のすべての値及び部分範囲が含まれる。CNTは、例えば約0.5ミクロンなど、長さ約1ミクロン未満でもよい。CNTは、500ミクロンを超えてもよく、例えば約510ミクロン、約520ミクロン、約550ミクロン、約600ミクロン、約700ミクロン、及びその間をすべての値及び部分範囲が含まれる。このような長さは、架橋結合及び分岐の存在に対応し、したがって長さは、成長基体の基部からCNSの先端まで測定した複合長さとすることができる。
本明細書で説明するCNSは、約1ミクロン〜約10ミクロンの長さを有するCNTを含むことができる。このようなCNTの長さは、剪断強度を向上させる用途に有用なことがある。CNTは、約5〜約70ミクロンの長さも有することができる。このようなCNTの長さは、CNTが繊維方向に配向された場合に、引っ張り強度を向上させる用途に有用なことがある。CNTは、約10ミクロン〜約100ミクロンの長さも有することができる。このようなCNTの長さは、電気的/熱的特性、さらに機械的特性を向上させるのに有用なことがある。約100ミクロン〜約500ミクロンの長さを有するCNTも電気的及び熱的特性の向上に有利なことがある。このようなCNTの長さの制御は、ライン速度及び成長温度を調節するとともに、炭素原料及び不活性ガスの流量を調節することによって容易に達成される。
幾つかの実施形態では、スプール可能な長さのCNS担持繊維材料を含む複合体は、異なる長さのCNTを有する様々な均一の領域を有することができる。例えば、剪断強度特性を向上させるために比較的短い均一のCNTの長さを有するCNS担持繊維材料の第1の部分、及び電気的又は熱特性を向上させるために比較的長い均一のCNTの長さを有する同じスプール可能な材料の第2の部分を有することが望ましいことがある。
繊維材料上でCNSを急速成長させるプロセスにより、スプール可能な繊維材料の連続的プロセスでCNTの長さを均一に制御することができる。材料の滞留時間が5〜300秒の状態で、長さ3フィートのシステムの連続的プロセスにおけるライン速度は、約0.5フィート/分〜約36フィート/分の範囲のいずれか及びそれ以上とすることができる。選択される速度は、以下でさらに説明するような様々なパラメータによって決定される。
幾つかの実施形態では、約5秒〜約30秒という材料の滞留時間で、約1ミクロン〜約10ミクロンの長さを有するCNTを生成することができる。幾つかの実施形態では、約30秒〜約180秒という材料の滞留時間で、約10ミクロン〜約100ミクロンの長さを有するCNTを生成することができる。さらなる実施形態では、約180秒〜約300秒という材料の滞留時間で、約100ミクロン〜約500ミクロンの長さを有するCNTを生成することができる。これらの範囲は近似値であり、CNTの長さは反応温度、及び担体及び炭素原料の濃度及び流量によっても調節できることが当業者には認識される。
幾つかの実施形態では、CNSを成長させる連続的プロセスは、(a)スプール可能な寸法の繊維材料の表面にカーボンナノ構造体形成触媒を配置することと、(b)繊維材料上で直接カーボンナノチューブを合成し、それによってCNS担持繊維材料を形成することとを含むことができる。長さ9フィートのシステムでは、プロセスのライン速度は約1.5フィート/分〜約108フィート/分の範囲とすることができる。本明細書で説明するプロセスによって達成されるライン速度により、短い生産時間で市販用の適切な量のCNS担持繊維材料を形成することができる。例えば36フィート/分のライン速度で生産されるCNS担持繊維(重量で繊維上に5%超のCNT)の量は、5本の別個のトウ(20ポンド/本)を同時に処理するよう設計されたシステムで、1日に100ポンド以上の材料を超えることができる。システムは、成長ゾーンを繰り返すことによって、一度にさらに多くのトウを、又はより高速で生産するように作成することができる。
以下でさらに説明するように、触媒は、遷移金属ナノ粒子を含有するCNT形成触媒を含有する溶液として調製することができる。合成したナノチューブの直径は、上述したような遷移金属ナノ粒子のサイズに関連する。幾つかの実施形態では、CNT形成遷移金属ナノ粒子触媒の市販の分散液を入手可能であり、希釈せずに使用することができ、他の実施形態では、触媒の市販の分散剤を希釈することができる。このような溶液を希釈するかは、上述したように成長させるCNTの所望の密度及び長さに依存することがある。
カーボンナノチューブの合成は、化学的蒸着(CVD)プロセスをベースにすることができ、高温で実行される。具体的な温度は、選択した触媒によって異なるが、通常は約500℃〜約1000℃の範囲である。この作業は、カーボンナノチューブの合成を支援するために、繊維材料を上記範囲の温度まで加熱することを含む。
次に、触媒担持繊維材料で、CVDに促進されるナノチューブの成長を実行する。CVDプロセスは、例えばアセチレン、エチレン、メタン及び/又はプロパンなどの炭素含有原料ガスによって促進することができる。CNT合成プロセスは通常、1次キャリアガスとして不活性ガス(窒素、アルゴン、ヘリウム)を使用する。炭素原料は通常、混合物合計の約0%〜約50%の範囲で提供する。CVD成長のための実質的に不活性の環境は、成長チャンバから水分及び酸素を除去することによって調製する。
触媒を繊維材料に配置するという作業は、溶液を噴霧又は浸漬コーティングするか、又は例えばプラズマプロセスを介した気相蒸着によって遂行することができる。このため、幾つかの実施形態では、触媒の溶媒溶液を形成した後、繊維材料に溶液を噴霧又は浸漬コーティングするか、又は噴霧と浸漬コーティングの組み合わせによって触媒を塗布することができる。いずれの技術も単独で又は組み合わせて用いられ、1回、2回、3回、4回、又は何回でも用いてCNT形成触媒で十分均一にコーティングされた繊維材料を提供することができる。浸漬コーティングを使用する場合、例えば繊維材料を第1の浸漬槽内に、第1の浸漬槽の第1の滞留時間だけ配置することができる。第2の浸漬槽を使用する場合、繊維材料は第2の浸漬槽内に第2の滞留時間だけ配置することができる。例えば、繊維材料は、浸漬構成及びライン速度に応じて、CNT形成触媒の溶液に約3秒〜約90秒の間、曝露することができる。噴霧又は浸漬コーティングプロセスを使用することにより、表面被覆率が約5%未満から約80%の表面の触媒密度を有する繊維材料が提供されるが、この場合CNT形成触媒ナノ粒子はほぼ単層である。幾つかの実施形態では、繊維材料上のCNT形成触媒をコーティングするプロセスは、単層のみを生成すべきである。例えば、複数層積層したCNT形成触媒の上にCNTが成長すると、繊維材料へのCNTの導入の程度が損なわれることがあるからである。他の実施形態では、繊維材料に遷移金属触媒を堆積するために、例えば、蒸着技術、電解析出技術、並びにプラズマ原料ガスに遷移金属を金属有機物、金属塩又は気相搬送を促進する他の組成物として追加する方法など、他の堆積プロセスを使用することができる。
カーボンナノ構造体を成長させるプロセスは連続的であるように設計されるので、スプール可能な繊維材料は一連の槽内で浸漬コーティングすることができ、これらの浸漬コーティング槽は空間的に分離されている。発生期の繊維を新たに生成する連続的プロセスでは、CNT形成触媒の浸漬槽又は噴霧を第1のステップとすることができる。他の実施形態では、CNT形成触媒を、他のサイジング剤が存在する状態で新たに形成された繊維に塗布することができる。このようにCNT形成触媒と他のサイジング剤を同時に塗布すると、繊維材料上のサイジングの表面にCNT形成触媒を提供し、付着性が低いCNTコーティングを生成することができる。
使用する触媒溶液は、上述したようにd−ブロックの任意の遷移金属である遷移金属ナノ粒子とすることができる。また、ナノ粒子は元素形態又は塩形態、及びその混合物のd−ブロック金属の合金及び非合金混合物を含むことができる。非限定的な例示的な遷移金属NPとしては、Ni、Fe、Co、Mo、Cu、Pt、Au及びAg及びその塩及びその混合物が含まれる。幾つかの実施形態では、バリアコーティングの付着と同時に、CNT形成触媒を繊維材料に直接塗布又は導入することにより、このようなCNT形成触媒を繊維に付着させる。これらの遷移金属触媒の多くは、例えばSigma Aldrich(モンタナ州セントルイス)又はFerrotec Corporation(ニューハンプシャー州ベッドフォード)などの様々な供給元から市販用に容易に入手することができる。
CNT形成触媒を繊維材料に塗布するために使用する触媒溶液の溶媒は、CNT形成触媒を全体に均一に分散させることができる任意の一般的溶媒でよい。このような溶媒には、水、アセトン、ヘキサン、イソプロピルアルコール、トルエン、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサン、又はCNT形成触媒ナノ粒子の適切な分散を生成するために極性が制御された任意の他の溶媒が含まれるが、これらに限定されない。CNT形成触媒の濃度は、触媒対溶媒が約1:1〜1:10000の範囲とすることができる。このような濃度は、バリアコーティング及びCNT形成触媒を同時に塗布する場合も使用することができる。
幾つかの実施形態では、繊維材料の加熱は、CNT形成触媒の堆積後にカーボンナノチューブを合成するために約500℃と約1000℃の間の温度とすることができる。これらの温度での加熱は、CNTを成長させる炭素原料を導入する前に、又はそれとほぼ同時に実行することができる。
幾つかの実施形態では、カーボンナノ構造体を生成するプロセスは、繊維材料からサイジング剤を除去することと、繊維材料上に付着阻害コーティング(すなわち、抗付着コーティング)を密着して塗布することと、CNT形成触媒を繊維材料に塗布することと、繊維材料を少なくとも500℃に加熱することと、繊維材料上でカーボンナノチューブを合成することとを含む。幾つかの実施形態では、CNS成長プロセスの作業は、繊維材料からサイジングを除去することと、付着阻害コーティングを繊維材料に塗布することと、CNT形成触媒を繊維に塗布することと、繊維をCNT合成温度まで加熱することと、CVDで促進されたCNS成長を触媒担持繊維材料上で実行することとを含むことができる。このように、市販の繊維材料を使用する場合、CNS担持繊維を構築するプロセスは、付着阻害コーティング及び触媒を繊維材料に配置する前に、繊維材料からサイジングを除去するという別個のステップを含むことができる。
繊維材料上でカーボンナノチューブを合成することは、参照することにより本明細書に組み込まれる本願出願人の米国特許出願公開第2004/0245088号に開示されているものを含め、カーボンナノチューブを形成する様々な技術を含むことができる。繊維上で成長するCNSは、例えばマイクロキャビティ、熱及びプラズマ強化CVD技術、レーザアブレーション、アーク放電、及び高圧一酸化炭素(HiPCO)などの技術によって形成することができる。幾つかの実施形態では、CNT合成の前に従来のサイジング剤をすべて除去することができる。幾つかの実施形態では、アセチレンガスを電離して、CNT合成用の低温カーボンプラズマを生成することができる。プラズマは、触媒を有する繊維材料へと送られる。このため、幾つかの実施形態では、繊維材料上でCNSを合成することは、(a)カーボンプラズマを形成することと、(b)繊維材料に配置された触媒にカーボンプラズマを送ることとを含む。成長するCNTの直径は、上述したようにCNT形成触媒のサイズによって規定される。幾つかの実施形態では、サイジングした繊維材料を約550℃〜約800℃に加熱して、CNSの合成を容易にする。CNTの成長を開始するには、2つのガスを反応器内に流入させる。すなわち、アルゴン、ヘリウム、又は窒素などのプロセスガスと、アセチレン、エチレン、エタノール又はメタンなどの炭素含有ガスである。CNTは、CNT形成触媒の位置で成長する。
幾つかの実施形態では、CVD成長はプラズマ強化される。プラズマは、成長プロセス中に電界を提供することによって生成される。これらの状況で、CNTを電界の方向に追従して成長させることができる。このように、反応器の幾何形状を調整することにより、垂直配向のカーボンナノチューブを円筒形の繊維の周囲からその半径方向に成長させることができる。幾つかの実施形態では、繊維の周囲からその半径方向に成長させるためにプラズマを必要としない。テープ、マット、織物、プライなどのような明白な側面を有する繊維材料の場合、触媒を一方側又は両側に配置することができ、それに応じてCNTも一方側又は両側に成長させることができる。
上述したように、CNS合成は、スプール可能な繊維材料を機能化する連続的プロセスを提供するのに十分な速度で実行することができる。多くの装置構成により、このような連続的合成が容易になり、その結果、以下で例示するように複雑なCNSの形態が実現する。
連続的にCNSを合成する1つの構成は、繊維材料上でカーボンナノチューブを直接合成して成長させるために最適な形状を有する(基体のサイズ及び形状に合わせた形状を有する)反応器を含む。この反応器は、CNSを有する繊維を生成する連続的なインラインプロセスで使用するように設計することができる。幾つかの実施形態では、CNSは、化学的蒸着(「CVD」)プロセスにより、マルチゾーン反応器にて大気圧で約550℃〜約800℃の範囲の高温で成長させることができる。合成が大気圧で実行されるということは、繊維上のCNS合成の連続的処理ラインに反応器を組み込むことを容易にする1つの要素である。このようなゾーン化した反応器を使用する連続的インライン処理の別の利点は、CNTの成長が秒単位で実行されることであり、これには、当技術分野で一般的な他のプロセス及び装置構成の分単位(又はそれ以上)とは対照的である。
様々な実施形態によるCNS合成反応器は、以下の特徴を含む。
最適に形成された合成反応器:成長チャンバのサイズをその内部を通過する基体のサイズとさらに効果的に合致するように調整すると、反応容器の全体の容積を減少させることができ、それにより、反応速度、さらにはプロセスの効率が改善される。最適に形成された成長チャンバの断面では、というチャンバ対基体の容積比を10,000未満に維持することができる。幾つかの実施形態では、チャンバの断面は前記容積比を1,000未満に維持する。他の実施形態では、チャンバの断面は前記容積比を500未満に維持する。
CVDなどのガスデポジション法は、通常、圧力及び温度のみによって律速されるが、容積は付着の効率に重大な影響を及ぼす。基体の形状を成長チャンバと合致させることにより、生産的なCNS形成反応が起こる可能性が高くなる。幾つかの実施形態では、合成反応器は、反応器の容積を減少させるために、CNSが成長するベースとなる基体の形状に従う多角形により描かれる断面を有することを認識されたい。幾つかの実施形態では、ガスは、反応器の側部を通して、又は上板及び底板を通して反応器の中心、すなわち目標とする成長ゾーン内に、対称形で導入することができる。これにより全体的なCNT成長速度が改善される。何故なら、流入する原料ガスが、CNTの成長が最も活発な場所であるシステムの最高温度部分に連続的に補給されるからである。この一定のガス補給は、形成されたCNT反応器が示す成長速度の上昇の重要な側面である。
ゾーン化:比較的低温のパージガスを提供するチャンバは、合成反応器の両端から吊り下がっている。高温のガスが外部環境(すなわち、反応器の外部)と混合した場合は、大部分の繊維材料の劣化が増大することと出願人は判断した。低温のパージゾーンは、内部システムと外部環境との間の緩衝部となる。当技術分野で知られている典型的なCNT合成反応器の構成では通常、基体を慎重に(かつ緩やかに)冷却する必要がある。本発明のCNS成長反応器の出口にある低温パージゾーンは、連続的インライン処理で必要とされるような短期間での冷却を達成する。
非接触式のホットウォール金属反応器:幾つかの実施形態では、金属、特にステンレス鋼で作成したホットウォール反応器を使用することができる。これは直観に反しているように見えることがある。何故なら、金属、特にステンレス鋼は炭素が付着(すなわち、煤煙及び副産物が形成)しやすいからである。したがって、大部分のCNT反応器構成はクォーツの反応器を使用する。炭素の付着が少なく、クォーツの方がクリーニングし易く、クォーツは試料の観察を容易にするからである。
しかし、ステンレス鋼への煤煙及び炭素の付着が増加した結果、CNTの成長がさらに着実で、高速化、効率化、及び安定化することが観察されている。理論に拘束されるものではないが、大気圧下での動作と関連して反応器内で実行されるCVDプロセスは、拡散律速が起こることが示されている。すなわち、(反応器が部分真空下で作業している場合よりも)比較的高い分圧により、触媒が「過剰供給」され、反応器システムで使用可能な炭素が多すぎる。その結果、開放型システム、特にクリーンなシステムでは、触媒粒子に付着できる炭素が多すぎて、CNTを合成する能力を低下させる。幾つかの実施形態では、長方形の反応器は、反応器が「汚れている」、すなわち、反応器の金属壁に煤煙が付着した状態で意図的に運転する。炭素が反応器の壁の単層に付着すると、炭素が容易に次々と付着することになる。使用可能な炭素の一部がこのメカニズムにより「回収」されるので、ラジカルの形態である残りの炭素原料は、触媒の作用を阻害しない率で触媒と反応する。既存のシステムは「クリーン」な状態で運転され、連続処理に対して解放されると、成長速度が低下してCNTの歩留まりがはるかに低くなる。
CNTの合成は、上述したように「汚れた」状態で実行することが通常は有利であるが、それでも煤煙が閉塞状態を引き起こした場合、ガスマニホールド及び入口などの装置の特定部分は、CNTの成長プロセスに悪影響を及ぼすことがある。この問題を解決するために、CNT成長反応チャンバのこのような区域を、シリカ、アルミナ、又はMgOなどの煤煙阻害コーティングで保護することができる。実際には、装置のこれらの部分は、これらの煤煙抑制コーティングで浸漬コーティングすることができる。これらのコーティングとともにINVAR(登録商標)などの金属を使用することができる。何故なら、INVARは前記コーティングと同様のCTE(熱膨張率)を有するため、高温での前記コーティングの適切な付着を保証し、重要なゾーンにおける煤煙の著しい蓄積を防止するからである。
幾つかの実施形態では、反応チャンバは1次チャンバ材料としてSiC、アルミナ、又はクォーツを含むことができる。CNS合成のガスと反応しないからである。この形態によって、効率を上げることができ、長期の作業にわたって稼働率が改善される。
(触媒還元とCNS合成の組み合わせ)CNT合成反応器内で、触媒の還元とCNSの成長の両方を反応器内で実行することができる。この形態は重要である。何故なら、還元動作を別個のステップとして実行する場合、連続的プロセスで使用するのに十分なほどタイムリーに行なうことができないからである。典型的なカーボンナノチューブ合成プロセスでは、触媒の還元を行なうのに通常は1〜12時間かかる。本明細書で説明する実施形態によりカーボンナノ構造体を合成する際に、触媒の還元とCNSの合成は両方とも反応器内で実行されるが、その少なくとも部分的な理由は、炭素原料ガスが、円筒形の反応器を使用して通常実行されるような端部ではなく、反応器の中心に導入されるからである。還元プロセスは繊維が加熱ゾーンに入ると実行されるが、この時点までにガスには壁と反応する時間があり、触媒と反応する前に冷えて、(水素ラジカル相互作用を介して)酸化還元を引き起こす。還元が生じるのはこの遷移領域である。システムの最高温度の等温ゾーンでCNSが成長し、最高の成長速度は、反応器の中心付近のガス入口の近傍で生じる。
幾つかの実施形態では、トウなどの緩くまとまった繊維材料を使用する場合、連続プロセスは、トウのストランド及び/又はフィラメントを開繊する作業を含むことができる。このように、スプールからトウを繰り出すとき、例えば真空により繊維を広げる(開繊する)システムを使用してこれを開繊することができる。サイジングした繊維は比較的固い場合があり、これを使用する場合は、トウを「軟化」させて繊維の開繊を容易にするために、追加の加熱を使用することができる。個別のフィラメントを含む開繊した繊維は、フィラメントの全表面積を露出させるのに十分なほど広げることができ、これによってトウはその後のプロセスステップでさらに効率的に反応することができる。このような開繊は、3kのトウで差し渡し約4インチ〜約6インチに近くなりうる。開繊されたトウは、上述したようなプラズマシステムで構成された表面処理ステップを通過することができる。バリアコーティングを施し、粗面化した後、開繊した繊維は次にCNT形成触媒浸漬槽を通過することができる。その結果、トウの繊維は、その表面に放射状に分布した触媒粒子を有する。次に、トウの触媒担持繊維は、上述した最適形状のチャンバのような適切なCNT成長チャンバに入り、ここで大気圧CVD又はPE−CVDプロセスを通過させることにより、毎秒数ミクロンという速い速度でCNSを合成する。トウの繊維は、CNSの形態で放射状に配向されたCNTを備えた状態で、CNT成長反応器を出る。
幾つかの実施形態では、CNS担持繊維材料は、分離する前にさらに別の処理プロセスを通過することができ、これは幾つかの実施形態では、CNSを機能化するために使用するプラズマプロセスである。CNSの追加的機能化を使用して、特定の樹脂に対する付着を促進することができる。このように、幾つかの実施形態では、プロセスは、機能化したCNSを有するCNS担持繊維材料を提供することができる。CNSがまだ繊維上にある間にこの機能化プロセスを完了することにより、処理の均一性を改善することができる。
幾つかの実施形態では、スプール可能な繊維材料上でCNSを成長させる連続プロセスは、約0.5フィート/分〜約36フィート/分のライン速度を達成することができる。CNT成長チャンバが長さ3フィートで、750℃の成長温度で動作するこの実施形態では、例えば約1ミクロン〜約10ミクロンの長さを有するCNTを生成するために、約6フィート/分〜約36フィート/分のライン速度でプロセスを実施することができる。プロセスは、例えば約10ミクロン〜約100ミクロンの長さを有するCNTを生成するために、約1フィート/分〜約6フィート/分のライン速度で実施することもできる。プロセスは、例えば約100ミクロン〜約200ミクロンの長さを有するCNTを生成するために、約0.5フィート/分〜約1フィート/分のライン速度で実施することができる。CNTの長さは、ライン速度及び成長温度にのみ関連付けられるのではなく、炭素原料と不活性キャリアガスの両方の流量もCNTの長さに影響を及ぼすことがある。例えば、不活性ガス中に1%未満の炭素原料で構成された流量の場合、高いライン速度(6フィート/分〜36フィート/分)で1ミクロン〜約5ミクロンの長さを有するCNTが得られる。不活性ガス中に1%超の炭素原料で構成された流量の場合、高いライン速度(6フィート/分〜36フィート/分)で5ミクロン〜約10ミクロンの長さを有するCNTが得られる。
幾つかの実施形態では、複数の材料を同時にプロセスに通すことができる。例えば、複数のテープ、トウ、フィラメント、ストランドなどを並列でプロセスに通すことができる。このように、任意の数の予め作製したスプールの繊維材料を並列でプロセスに通し、プロセスの最後で再度スプールに巻き取ることができる。並列で通ることができるスプール可能な遷移材料の数は、1、2、3、4、5、6、又はCNT成長反応チャンバの幅で対応することができる任意の数まで含むことができる。さらに、複数の繊維材料をプロセスに通す場合、収集スプールの数は、プロセスの開始時におけるスプールの数より少なくすることができる。このような実施形態では、ストランド、トウなどを、さらなるプロセスに送り、このような繊維材料を組み合わせて、織物などのようなさらに高次の繊維材料にすることができる。連続プロセスは、例えばCNS担持の細断繊維マットの形成を容易にする後処理の細断機(chopper)も組み込むことができる。
連続処理は、任意選択的にさらなるCNSの化学処理を含むことができる。CNSは複数のCNTのポリマーネットワークであるので、個別化したCNTに関連する化学処理はすべてCNS材料で実行することができる。このような化学処理は、CNSの調製と直列で、又は別個に実行することができる。幾つかの実施形態では、CNSはまだ基体に結合している間に改質することができる。これにより、CNS材料の精製を容易化することができる。他の実施形態では、CNSを合成するベースとなる基体から取り出した後に、CNSの化学処理を実行することができる。例示的化学処理には、フッ化、酸化、還元などに加えて、本明細書で上述した化学処理が含まれる。幾つかの実施形態では、CNS材料を使用して水素を保存することができる。幾つかの実施形態では、CNS構造体は、別のポリマー構造を付着させて改質し、ジブロックポリマーを形成することができる。幾つかの実施形態では、CNS構造体を、生体分子を付着させるプラットフォームとして使用することができる。幾つかの実施形態では、CNS構造体は、センサとして使用するように構成することができる。幾つかの実施形態では、CNS構造体を、複合体材料を形成するマトリックス材料に組み込むことができる。幾つかの実施形態では、CNS構造体は、CNTを分解してグラフェンのナノリボンを形成することが知られている試薬で改質することができる。無数の他の化学処理及び下流の用途が、当業者には認識される。
幾つかの実施形態では、上記プロセスによって第1の量の第1のタイプのCNSを繊維材料上で合成することができ、ここで第1のタイプのCNSは、繊維材料の少なくとも1つの第1の特性を変更するように選択されるCNTを含む。その後、上記プロセスによって、第2の量の第2のタイプのCNSを繊維材料上で合成することができ、ここで第2のタイプのCNSは、繊維材料の少なくとも1つの第2の特性を変更するように選択されるカーボンナノチューブを含有する。
幾つかの実施形態では、CNTの第1の量と第2の量とは異なる。この場合、CNTのタイプの変化を伴うか、又は伴わないことがある。このように、CNTのタイプを変化させなくても、CNSの密度を変化させて、元の繊維材料の特性を変更することができる。CNTのタイプには、例えばCNTの長さ及び壁の数が含まれる。幾つかの実施形態では、第1の量と第2の量とは同じである。繊維材料の2つの異なる範囲において特性が異なることが望ましい場合は、CNTの長さのようなCNTのタイプを変更することができる。例えば、電気的/熱的用途では、比較的長いCNTが有用なことがあり、機械的強化の用途では比較的短いCNTが有用なことがある。
導電性又は導電率は、材料が電流を通す能力の尺度である。CNTのキラリティに関連する捻りの程度(degree of twist)のような特定の構造的パラメータを有するCNTは、導電性が高いことがあり、したがって金属的特性を示す。CNTのキラリティに関して認識された命名体系が形式化されており、当業者に認識されている。これによると、例えばCNTは2つの指数(n,m)で相互に区別され、ここでn及びmは、円筒形の表面に巻き付けて縁部を相互に密封した場合に管を作成するように、六角形のグラファイトの切断と巻き方を示す整数である。2つの指数が同じである、すなわち、m=nである場合、その結果となる管は、「アームチェア」(又はn,n)タイプであると言われる。何故なら、管をCNTの軸に直角に切断すると、六角形の側部のみが露出し、管の縁部の周囲のパターンがアームに似て、アームチェアの座部がn回繰り返されるからである。アームチェアCNT、特にSWNTは金属性を示し、極めて高い導電性及び伝熱性を有する。また、このようなSWNTは極めて高い引っ張り強度を有する。
捻れの程度に加えて、CNTの直径も導電性に影響を及ぼす。上述したように、CNTの直径は、制御されたサイズのCNT形成触媒ナノ粒子を使用することによって制御することができる。CNTは、半導体材料として形成することもできる。多層CNT(MWNT)の導電性は、これより複雑になることがある。MWNTの層間反応により、個別の管に電流が不均一に再配分される場合があるからである。これとは対照的に、金属性の単層ナノチューブ(SWNT)では部分による電流の変化がない。カーボンナノチューブは、ダイヤモンド結晶及び平面内グラファイトシートに匹敵する非常に高い伝熱性も有する。CNTのこれらの特徴的な特性は、いずれもCNSで発現しうる。幾つかの実施形態では、CNSを組み込んでいる材料でCNSは、個別化したCNTよりも高度の特性向上の実現を容易化することができる。
開示した実施形態について本発明を説明してきたが、これは本発明の例証にすぎないことが当業者には容易に認識される。本発明の精神から逸脱することなく、様々な修正ができることを理解されたい。本発明は、上述されていないが本発明の精神及び範囲にふさわしい任意の数の変形、変更、置換又は同様と配置構成を組み込むように修正することができる。また、本発明の様々な実施形態を説明してきたが、本発明の態様は説明した実施形態の幾つかしか含まなくてもよいことが理解される。したがって、本発明は以上の説明によって限定されないものとする。

Claims (26)

  1. 付着した成長基体のないカーボンナノ構造体を含む組成物であって、前記カーボンナノ構造体が、分岐し、架橋結合し、相互に共通の壁を共有する複数のカーボンナノチューブを含む、組成物。
  2. 前記カーボンナノチューブの少なくとも一部が、前記カーボンナノ構造体内で相互に実質的に平行に配向される、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記カーボンナノ構造体がフレーク材料の形態である、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記カーボンナノ構造体の前記カーボンナノチューブ上のコーティングをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記コーティングがポリマーコーティングを含む、請求項4に記載の組成物。
  6. 前記コーティングが、前記カーボンナノ構造体の前記カーボンナノチューブに共有結合している、請求項4に記載の組成物。
  7. 複数の遷移金属ナノ粒子をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記遷移金属ナノ粒子が、前記カーボンナノ構造体の合成に使用する触媒を含む、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記遷移金属ナノ粒子に、成長基体への付着を制限する抗付着コーティングがコーティングされている、請求項7に記載の組成物。
  10. 成長基体上で前記カーボンナノ構造体を形成する間に、前記カーボンナノチューブが、分岐し、架橋結合し、相互に共通の壁を共有するようにして形成される、請求項1に記載の組成物。
  11. 前記カーボンナノ構造体に付着していない成長基体をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  12. 前記カーボンナノ構造体が、生成した直後において約0.003g/cm〜約0.015g/cmの嵩密度を有する、請求項1に記載の組成物。
  13. 成長基体に付着したカーボンナノ構造体を提供することと、ここで、前記カーボンナノ構造体は、分岐し、架橋結合し、相互に共通の壁を共有する複数のカーボンナノチューブを含むものであり、
    前記成長基体から前記カーボンナノ構造体を分離して、前記付着した成長基体のないカーボンナノ構造体を形成すること
    とを含む方法。
  14. 前記成長基体上に前記カーボンナノ構造体を形成することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記成長基体上に前記カーボンナノ構造体を形成することと、前記成長基体から前記カーボンナノ構造体を取り出すこととをそれぞれ連続的に実行する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記カーボンナノ構造体に付着していない混入した成長基体を、前記付着した成長基体のない前記カーボンナノ構造体から分離することをさらに含む、請求項13に記載の方法
  17. 前記混入した成長基体を分離することが、密度による分離、サイズによる分離、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される技術によって実行される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記成長基体がスプール可能な寸法の繊維材料を含む、請求項13に記載の方法。
  19. 前記成長基体がガラス繊維又はセラミック繊維を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記成長基体が、該成長基体からの前記カーボンナノ構造体の分離を促進するように改質されている、請求項13に記載の方法。
  21. 前記成長基体が、該成長基体への前記カーボンナノ構造体の付着を制限する抗付着コーティングをさらに含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記カーボンナノ構造体が、前記成長基体上で、複数の遷移金属ナノ粒子を含む触媒から成長するものである、請求項13に記載の方法。
  23. 前記遷移金属ナノ粒子が、前記成長基体へのその付着を制限する抗付着コーティングでコーティングされている、請求項22に記載の方法。
  24. 前記成長基体から前記カーボンナノ構造体を分離することが、流体剪断、機械的剪断、化学的エッチング、音波処理、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される技術によって実行される、請求項13に記載の方法。
  25. 前記成長基体から前記カーボンナノ構造体を分離した後に、前記カーボンナノ構造体の前記カーボンナノチューブのコーティングを形成することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  26. 前記コーティングがポリマーコーティングを含む、請求項25に記載の方法。
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