本開示は、内燃機関に使用されるスパークプラグ全般に係る。本開示は特に、例えば、天然ガス、シェールガス、炭鉱ガス、バイオガス、埋立地ガス、下水ガス、及び合成ガス等の気体燃料によって作動される内燃機関等、ガスエンジンにおいて使用されるスパークプラグに係る。また本開示は、本明細書に記載の種別のスパークプラグにねじ込むスパークプラグブッシング及びシリンダーヘッドに係る。
スパークプラグの機能は、燃焼室に点火エネルギーを導入し、その電極間の電気火花によって混合気の燃焼を開始することである。そのため、スパークプラグは、電子点火システムで作動されなければならず、30,000Vに及ぶ、又はそれを越える電圧が発生することもある。スパークプラグは、燃焼室内において、圧縮混合気を発火するのに最も好適なポイントに配置される。スパークプラグは、あらゆる作動条件の下で、漏れや過熱を引き起こすことなく発火エネルギーを燃焼室に導入しなければならない。スパークプラグは、作動条件に耐え得るように設計されなければならない。スパークプラグは、燃焼室内の周期的かつ循環的な変化と、外部の気候条件との双方に晒される。結果として、スパークプラグは、高度な機械的要求に応える必要があり、化学的ストレス及び熱的ストレスに耐えなければならない。これは特に、ガスエンジンで使用されるスパークプラグに適用される。
シリンダーヘッドにスパークプラグを搭載するため、スパークプラグは、肩部のシール面又はそこに配された拘束外側ガスキットから、円筒形中心電極がインシュレータノーズから突出したスパークプラグの端面まで延設された雄ねじを有してもよい。スパークプラグは極めて高い温度に晒されるものの、シリンダーヘッドの合わせ面に直接据え付けられる必要があるため、スパークプラグ及びシリンダーヘッド間は、平坦着座部又は円錐形着座部によって封止される。平坦着座部による場合、封止要素としてスパークプラグシェル上に設けられる拘束ガスケットを使用してもよい。これは特別に成形されてもよく、正しく搭載されれば永久的に弾性封止を行う。ガスケットを使用せずに円錐形着座部を用いる場合、スパークシェルの円錐面が直接シリンダーヘッドの合わせ面を封止する。この種のスパークプラグは、例えば、DE2022685A、US8,053,964B2、US7,977,856B2、US2,500,395、USD589,880S、US2010/0116039A1、US3,313,972、US2,521,647、及びUS3,113,232に示されている。
予燃チャンバースパークプラグは、US2007/0236122A1に示されている。
US2007/0126330A1は、スパークプラグの金属シェルの肩部まで延設された雄ねじを有するスパークプラグを示している。
DE19636537A1によると、スパークプラグは、スパークプラグの雄ねじの直径と同一の直径を有する円筒形中間部分を備える。中間部分は、スパークプラグのガスケットのシール面と雄ねじとの間に配される。円筒形中間部分には、雄ねじを備えない。これによりスパークプラグのクランプの有効長を延ばすことで、スパークプラグが緩むリスクを低減してもよい。
DE19636537A1と同様のスパークプラグが、DE2022685に示されている。ここでもまた、中間部分又は延長部分が、雄ねじとスパークプラグの肩部との間に延設される。ここでは、中間部分は延設部分として用いられ、雄ねじを備えない。DE19636537A1のスパークプラグとは対照的に、DE2022685の延長部分は、スパークプラグの雄ねじより小さい直径を有する。このスパークプラグの中間部分又は延長部分の長さは、ねじの外径に比して大きい。結果として、延長部分は、熱の大部分が蓄積される壁部開口にスパークプラグの支持ねじ面が直接配されるようにするであろう。
US2005/0284454A1によると、スパークプラグを備えた内燃機関のための点火装置が開示されている。スパークプラグのハウジングは、内燃機関のシリンダーヘッドに設けられた取付穴に配される取付部分を有する。取付部分は、ねじ部とねじ無し部とを備える。ねじ部は、取り付け穴に螺合固定される。ねじ無し部は、取付穴に螺合固定されない。締付部は、長さLを有する。長さLが26.5mmである場合、ねじ無し部の長さbは、最大16.5mmであり得る。締付部の長さLがISО規格に準拠しない場合、ねじ無し部の長さbは、0<b≦(L−10)となる。
スパークプラグの別のハウジングが、FR2091351又はDE2022685Aにより既知である。ここでは、スパークプラグは、コネクタと、コネクタに接続された中心電極と、中心電極を包囲する絶縁体と、絶縁体の下方部を包囲するシェルとを備える。工具係合部が設けられる。シリンダー係合用ねじ部は、スパークプラグをシリンダーヘッドのねじ穴内にねじ込むよう構成される。中間部分は、肩部とシリンダー係合用ねじ部との間に延設される。少なくとも1つの接地電極がシリンダー係合用ねじ部の一端に配される。
内燃機関のスパークプラグ取付金具が、GB2202274Aに示されている。ここでは、アダプタを燃焼室の壁部における通常のスパークプラグ開口に挿入することにより、エンジン圧縮比を低減するものである。アダプタは、壁部における通常のねじ開口内に全体を螺合され、燃焼室への拡張部分としてのチャンバーを形成する外側ねじ管状取付部を備える。スパークプラグは、その電極が拡張チャンバー内に配置されるように、アダプタの内側ねじ孔部内に螺合される。
本開示は、少なくとも部分的に、従来のシステムにおける1つ以上の側面の改善又は克服を図るものである。
本開示の一様態によると、スパークプラグであって、コネクタと、前記コネクタに接続された中心電極と、前記中心電極を包囲する絶縁体と、前記絶縁体の下方部を包囲するシェルとを備えてもよい。前記シェルは、工具係合部と、 シリンダーヘッドの対応封止部に接触するシール面と、シリンダー係合用ねじ部とを備えてもよい。前記シリンダー係合用ねじ部は、内燃機関のシリンダーヘッドのねじ孔部に前記スパークプラグをねじ込むねじ直径を有してもよい。あるいは、前記スパークプラグは、スパークプラグブッシングに螺合されてもよく、このスパークプラグブッシングがシリンダーヘッドに螺合される。中間部分が、前記シール面と前記シリンダー係合用ねじ部との間に延設されてもよい。前記中間部分は、長さ(L1)を有してもよい。また、以下の関係が満たされてもよい。0.20≦L1/D≦0.80(L1は前記中間部分の長さ、Dは前記スパークプラグの雄ねじのねじ直径)。前記スパークプラグはさらに、前記シリンダー係合用ねじ部の一端に配される少なくとも1つの接地電極を備えてもよい。
本開示のさらに他の様態によると、内燃機関のシリンダーヘッドであって、本開示の種別の関連スパークプラグを受容する少なくとも1つの孔部を備えてもよい。各孔部は、内壁を備え、第1の内径と、第1の長さを有する第1孔部分を有してもよい。第2孔部分は、雌ねじ直径と第2の長さを有する雌ねじを備えてもよく、0.20≦L1/D≦0.8(L1は第1の長さ、Dはねじ直径)を満たしてもよい。
本開示の他の様態によると、スパークプラグブッシングであって、内燃機関のシリンダーヘッド内に挿入されてもよい。前記スパークプラグブッシングは、内燃機関のシリンダーヘッドの受入孔部内に前記スパークプラグブッシングをねじ込む雄ねじを有するブッシング本体を備えてもよい。大径部及び小径部を有する段付孔部が前記ブッシングに設けられてもよい。本明細書に記載の種別のスパークプラグの封止合わせ面に接触するシール面が、前記大径部と前記小径部との間に形成されてもよい。前記小径部は、第1の直径と第1の長さを備えた内周面を有する第1孔部分と、ねじ直径と第2の長さを有する雌ねじを備えた第2孔部分を有してもよく、0.20≦L1/D≦0.8(L1は第1の長さ、Dは雌ねじ直径)を満たしてもよい。
本開示のその他の特徴及び側面は、以下の説明及び添付の図面から明らかになるであろう。
本開示に従うスパークプラグの一例としての第1実施形態の側面図である。
本開示に従うスパークプラグの一例としての第2実施形態を示しており、このようなスパークプラグはチャンバースパークプラグとしても既知である。
本明細書に開示される形式のスパークプラグを受け止めるように構成される段付き孔部を備えた内燃機関のシリンダーヘッドの一部分の断面図である。
本明細書に開示される形式のスパークプラグを受け止め、内燃機関のシリンダーヘッドに螺合されるように構成されるスパークプラグブッシングの一例としての実施形態を示している。
図1は、本開示に係るスパークプラグ5の一例としての第1実施形態を示している。スパークプラグ5は、高圧コネクタ10と、セラミック絶縁体15とを備え得る。金属シェル20が、絶縁体15の下方部を包囲し得る。金属シェルは、六角形部分25を有してもよく、シール面30を備えて形成され得る。シール面30は、シェル20の肩部の一部となり得る。長さL2を有する雄ねじ40が、シェル20の下方部の外周上に形成され得る。中間部分35が、シェル20のねじ部40とシール面30との間に配され得る。中間部分35は、長さL1と直径d1を有し得る。中間部分の外周は、ねじを備えずに形成されてもよい。
中間部分35の外径d1は、雄ねじ40の直径D以下であり得る。あるいは、中間部分35の外径d1は、雄ねじ40の直径Dを越えてもよい。中間部分35の外径d1が雄ねじ40の直径Dを越える場合、スパークプラグの強度が向上することもある。さらにスパークプラグからシリンダーヘッドまたはスパークプラグブッシングへ放出され得る熱の放出量が増加することもある。
中心電極45は、ねじ部40を越えて、L字電極とも称される接地電極50付近まで延設され得る。
図1に示すようなスパークプラグ50は、雄ねじの外径Dに対する中間部分35の長さL1の関係が0.20超0.80未満となるように設計され得る。またd1、すなわち中間部分35の外径が雄ねじ40の外径以下となる。スパークプラグ5がこのように設計されるため、スパークプラグ5がシリンダーヘッド200(例えば図3及び図4参照)の対応孔部に螺合された場合に、より強くより安定的なプレストレスを得ることもある。中間部分35は、シール面とねじ40との間の逃し溝として機能し得る。中間部分35は、シリンダーヘッド係合用ねじ部40とシール面30との間の弾性ブリッジを形成し得る。しかしながら、代わりに前述のとおり、中間部分35の外径d1が雄ねじ40の直径Dを越えてもよい。
この点に関して、通常のガスケット(図示せず)が所望により、シール面30上に配置されてもよいことに留意しなければならない。一般的に、ガスケットは、シール面30が平坦である場合に使用され得る。シール面30が円錐形状に成形される場合、ガスケットは省略されてもよい。
特に、中間部分35の長さは、ねじ直径Dの約20〜50%であり得る。
図2は、スパークプラグ5’の一例としての第2の実施形態の側面図である。この種のスパークプラグは、「チャンバースパークプラグ」又は「プレチャンバースパークプラグ」(ドイツ語では「(Vor−)Kammerkerze」という)としても周知である。このようなチャンバースパークプラグは、MULTITORCH社(ドイツ・ジンスハイム74889、Breite Seite1B)から入手可能である。図2に示すスパークプラグ5’の基本構造は、図1のスパークプラグ5の構造と同一であり得る。図2に示すスパークプラグ5’は、図1に示すスパークプラグ5とは対照的に、中心電極(図示せず)及び接地電極50の周囲にチャンバーを形成する端部キャップ150を有する。端部キャップ150は、1つ又は複数の穴155を備え得る。この種のスパークプラグ5’は特に、天然ガス、シェールガス、炭鉱ガス、バイオガス、埋立地ガス、下水ガス、及び合成ガス等の気体燃料を燃焼する内燃機関における使用に適合されてもよい。
図3は、本明細書に記載のスパークプラグ5、5’を受容する少なくとも1つの貫通孔210を備えたシリンダーヘッド200の断面図である。貫通孔210は、上方受入孔部分220と下方受入孔部分230とを有する段付孔部として形成され得る。上方受入孔部分及び下方受入孔部分230は、肩部226を介して連結され得る。着座領域225が、貫通孔210の開口に設けられ得る。着座領域225は、平坦着座部として形成され得る。したがって、対応して形成された着座部を有するスパークプラグが挿入され得る。着座領域225が平坦であるため、ガスケットが、着座領域225と、シリンダーヘッド200に螺合されるスパークプラグとに配置され得る。
上方受入孔部分220は、内壁を備え、長さL1を有し得る。下方受入孔部分230は、雌ねじ235を備え得る。雌ねじ235と、それに対応して下方受入孔部分230とは、長さL2を有し得る。雌ねじ235は、ねじ直径Dを有し得る。雌ねじ直径Dは、長さL2の0.20に比して大きく、長さL2の0.80に比して小さくてもよい。結果として、スパークプラグ受入孔部210は、例えば、図1及び図2に示すようなスパークプラグ5、5’を受容してもよい。しかしながら、図1及び図2に示すものと異なるスパークプラグが、図3のシリンダーヘッド200に螺合されてもよい。
スパークプラグブッシング300を図4に示す。スパークプラグブッシング300の一例としての実施形態の断面図が示されている。ここでは、スパークプラグブッシング300は、シリンダーヘッド200の対応するねじ孔部に螺合されている。
スパークプラグブッシング300は、上方ブッシング部分305と、下方ブッシング部分310とを備え得る。上方ブッシング部分305は、内周壁315を有し得る。内側貫通孔320は、下方ブッシング部分310に形成される段付孔部325を有し得る。段付孔部325は、図3に示すシリンダーヘッド200内の段付部210のように形成及び成形され得る。したがって下方段付孔部分235は、ねじ直径Dを有する雌ねじ340を有し得る。スパークプラグブッシング300は、下方ブッシング部分310に雄ねじ345を備えて形成され得る。雄ねじ345は、スパークプラグブッシング300を、図4に示すシリンダーヘッド200の対応する雌ねじ穴にねじ込むのに使用され得る。繰り返すと、段付孔部325の上方孔部分の長さL1は、内径Dの0.20に比して大きく、内径Dの0.80に比して小さくてもよい。
ここで、円錐形着座部330が、上方ブッシング部分305と下方ブッシング部分310との交差する箇所に形成され得る。円錐形着座部330は、例えば図1及び図2に示すスパークプラグ5、5’等のスパークプラグにおいて対応して形成された着座領域に接触し得る。円錐形着座部330を有する場合、ガスケットは必ずしも設けられなくてもよい。
内壁215、315、及び325には、ねじが形成されなくてもよい。したがって、これらの内壁は、簡素な面であり得る。さらに、中間部分35、135の外周壁が、ねじを設けることなく形成されてもよい。結果として、これらの壁部は、簡素な面であり得る。
図1及び図2に示すスパークプラグ5又はスパークプラグ5’は各々、図3に示すシリンダーヘッド200のスパークプラグ受入孔部210に螺合されてもよい。作動位置において、スパークプラグ5又はスパークプラグ5’は、スパークプラグ貫通孔210の肩部225で封止してもよい。しかしながら、スパークプラグ5、5’と肩部225との間にガスケット(図示せず)を配することも可能である。スパークプラグ5、5’が正しく締められると、スパークプラグ5、5’は、図3のシリンダーヘッド200の上方に示す空間から燃焼室(すなわち、図3に示すシリンダーヘッド200の「下方の」空間)を封止する。
スパークプラグ5、5’と、シリンダーヘッド200の対応するスパークプラグ受入孔部210との独自の設計の結果として、熱的ストレス及び機械的ストレスを低減してもよい。
図4に示すスパークプラグブッシング300は、シリンダーヘッド200の対応する受入孔部に螺合されてもよい。そして図1及び図2に示すスパークプラグ5、5’が、スパークプラグブッシング300に螺合されてもよい。繰り返すと、スパークプラグ5、5’がシリンダーヘッド200に直接螺合される場合にも、同一の結果を得ることができる。
本明細書において使用した「下方部分」という用語は、スパークプラグが内燃室内において使用される場合、スパークプラグのコネクタにより接近して配されたスパークプラグの一部又は一区画に比して、関連の燃焼室により接近して配されたスパークプラグの一部又は一区画と定義してもよい。本明細書で使用した「下方部分」という用語は、以上の説明より限定的に解釈されてはならない。
「シール面」という用語は、シリンダーヘッド又はスパークプラグブッシングの対応領域と合うように形成されたスパークプラグの規定領域と規定してもよい。ガスケットが2つの合わせ領域間に介在する場合であっても、「合わせされる」という用語を使用することもある点を留意しなければならない。
「ねじ直径」という用語は、スパークプラグや、シリンダーヘッド及びスパークプラグブッシングの穴のねじ直径を規定するために使用される、DIN等の対応技術規則による直径を意味してもよい。本明細書に記載のスパークプラグは、M18×1.5〜M30×2.0の範囲内のねじ直径を有してもよく、このM18…M30は、スパークプラグの雄ねじの直径であり、「×」に続く数字はねじのピッチである。あるいは、5/8及び7/8のねじを使用してもよい。これらすべてのサイズのねじは、本明細書に記載のシリンダーヘッド及びスパークプラグブッシングにも使用されてもよい。
本明細書には本発明の好適な実施形態を記載したが、以下の請求項の範囲から逸脱しない範囲において、改良及び変更が加えられてもよい。