JP2015526099A - ***炎抵抗性の遺伝子マーカ - Google Patents
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Abstract
ウシ被験体における***炎に対する抵抗性を判定する方法であって、前記ウシ被験体由来の試料において、前記ウシ被験体及び/又はその子供の***炎抵抗性を示す少なくとも1つの形質に関連する少なくとも1つの遺伝子マーカの有無を検出することを含む方法を提供する。更に、ウシ被験体の***炎に対する感受性に関して育種価を判定する方法であって、前記ウシ被験体由来の試料において、前記ウシ被験体及び/又はその子供の***炎抵抗性を示す少なくとも1つの形質に関連する少なくとも1つの遺伝子マーカの有無を検出することと、前記有無に基づいて育種価を割り当てることとを含む方法を提供する。【選択図】図1
Description
本発明は、***炎抵抗性に関する少なくとも1つの遺伝子マーカを検出することを含む、ウシ被験体における***炎に対する抵抗性を判定する方法に関する。更に、本発明は、***炎に対する抵抗性に関する少なくとも1つの遺伝子マーカの有無を検出するキットに関する。
***炎は、感染又は外傷により生じる雌牛の乳腺又は***の炎症であり、畜牛において経済面で最も重要な疾患であると考えられる。この疾患は、様々な作用因子により発生し得る。***炎の主因は、微生物による乳頭先端を介した乳腺侵入である。***炎は、臨床型、或いは無症候性となり、臨床症状に先立つ無症状感染を伴う場合がある。臨床型***炎(CM)は、赤く腫れた乳腺、即ち、赤く腫れた***の観察、及び凝固した乳汁の産生により視覚的に検出することができる。検出された際には、***炎の雌牛からの乳汁は、タンクから分離した状態として、全体の乳汁品質に影響を与えないようにする。無症候性***炎は、高い体細胞数(SCC)、正常な又は上昇した体温、及び培養において検査結果が陽性となる乳汁試料を特徴とする***炎の一種である。したがって、無症候性***炎は、***の腫れ、或いは乳腺又は産生された乳汁の観察により視覚的に検出することができない。このため、農家は、無症候性***炎の雌牛からの乳汁を分離するという選択肢を有しない。しかしながら、この乳汁は、非感染雌牛からのものより品質が悪いため、タンク内の残りの乳汁を汚染する恐れがある。
***炎は、雌牛からの乳汁試料を体細胞(白血球)の存在について分析する体細胞数計測(SCC)を用いて検出することができる。体細胞は、雌牛の自然防御機構の一部であり、細胞数は、***が感染した際に上昇する。乳汁試料中の体細胞の数は、回転球粘度計及びコールタカウンタにより間接的に推定することができる。
***炎は乳汁及び乳汁からの製品の量及び質を低下させるため、農家及び酪農業に経済的損失をもたらす。そのため、ウシにおける***炎に対する抵抗性の遺伝的根拠を判定する能力は、毎日の牛乳生産のみならず、***炎に対する抵抗性を有するウシ被験体を選択する育種管理においても、酪農業に対する非常に大きな経済的意義を有するものとなる。***炎に罹患しにくい雌牛の生産に繋がる、抵抗性が向上したウシ被験体を遺伝的に選択する方法は、望ましいものとなる。
多くの研究において、***炎に影響する量的形質遺伝子座(QTL)を検出する試みが為されてきており(例えば、Schrooten et al. 2000; Boichard et al. 2003)、QTL情報をマーカ利用選抜(MAS)により利用することができる。殆どの研究では、これまで、体細胞スコア(SCS)、臨床型***炎(CM)に対する標識形質、及びCMに対する直接的でない形質に対するQTLが同定されている。これら2種類の形質は、高い遺伝相関を有するが(Lund et al. 1999)、SCSに対して同定されたQTLがCMにも影響するかは未知である。持続的に高い体細胞数(SCC)レベルは、主に、Streptococcus aureus及びStreptococcus agalactiae等の伝染性の細菌により生じる場合が最も多い無症候性***炎の兆候となることが証明されている(de Haas et al., 2002)。急性臨床型***炎の発生は、大腸菌等の環境由来細菌による場合が多く、こうした感染では、SCCレベルが急増するが、感染が治癒すると直ぐに正常レベルに降下する。したがって、急性感染は、高いSCCレベルにより検出されない場合がある。以前の研究の他の制限は、QTLの検出が、QTL位置に対する精度の低い連鎖解析(LA)により行われ、更に、マーカと形質とのLA関連性が家系内での選択に対してのみ使用可能となる点である。反対に、複合連鎖不平衡及び連鎖解析(LDLA)では、密接に連鎖したマーカを用いて、1cM未満の染色体領域に対するQTLの精細マッピングを実施できる可能性がある(Meuwissen & Goddard 2000)。LDLA信頼区間内のマーカを用いることで、母集団において、予測能力によりハプロタイプを特定することができる。こうしたハプロタイプは、LAマーカより、MASでの使用が容易となる。
マッピング後、遺伝子マーカは、マーカ利用選抜において有益に利用することができる。本発明において、臨床型***炎及び/又はSCSに関連する遺伝子マーカは、ウシゲノムにおいて特定され、ウシ被験体及びその子供が***炎に対する抵抗性を有するかを判定する方法を可能にする。
Nollau et al., Clin. Chem. 43, 1114-1120, 1997
***炎に対する抵抗性が増加したウシ被験体を選択することが可能であり、したがって、***炎に罹患した動物に関連する経済損失を回避可能であることは、畜牛業において、経済的に大きな関心事となる。***炎に対する抵抗性の遺伝的素因は、本発明により検出し得る。本発明は、***炎に対する抵抗性に関連する及び/又は連鎖する遺伝子マーカに基づいて、ウシ被験体における***炎に対する抵抗性を判定する方法を提供する。
本発明の一態様は、ウシ被験体における***炎に対する抵抗性を判定する方法であって、前記ウシ被験体由来の試料において、前記ウシ被験体及び/又はその子供の***炎抵抗性を示す少なくとも1つの形質に関連する少なくとも1つの遺伝子マーカの有無を検出することを含み、前記少なくとも1つの遺伝子マーカは、表2に定めた領域1乃至61からなる群から選択されるウシゲノムの領域内に位置し、前記領域は、列3及び5に定めたSNPマーカにより画定され、及び/又は、列4及び6に定めたゲノム位置により画定される方法である。
他の態様において、本発明は、育種目的でウシ被験体を選択する方法に関し、前記方法は、本発明の方法により、前記ウシ被験体及び/又はその子供の***炎に対する抵抗性を判定すること、及び、その後、前記判定された育種価に基づいて、前記ウシ被験体を育種用に選択すること又は選択しないことを含む。
本発明の第3の態様は、***炎に対する抵抗性に関連する少なくとも1つの遺伝子マーカのウシ被験体における有無の検出に用いるキットであって、表2に定めた領域1乃至61からなる群から選択されるウシゲノムの領域に位置する遺伝子マーカを判定する少なくとも1つの検出部材を備え、前記領域は、列3及び5に定めたSNPマーカにより画定され、及び/又は、列4及び6に定めたゲノム位置により画定される、キットである。
第4の態様において、本発明は、***炎に対する抵抗性に関連する少なくとも1つの遺伝子マーカのウシ被験体における有無を検出するための、上述したキットの使用に関する。
第5の態様において、本発明は、ウシ被験体の***炎に対する感受性に関して育種価を推定する方法であって、前記ウシ被験体由来の試料において、前記ウシ被験体及び/又はその子供の***炎抵抗性を示す少なくとも1つの形質に関連する少なくとも1つの遺伝子マーカの有無を検出することを含み、前記少なくとも1つの遺伝子マーカは、表2の領域1乃至61からなる群から選択されるウシゲノムの領域に位置し、前記領域は、列3及び5に定めたSNPマーカにより画定され、及び/又は、列4及び6に定めたゲノム位置により画定される方法である。
本発明は、乳牛における***炎抵抗性の遺伝的決定因子に関する。***炎の発生は、臨床型***炎及び無症候性***炎共に、酪農業に対する実質的な経済的損失を伴う。したがって、***炎抵抗性の遺伝的素因を有するそれらのウシ被験体を特定することは、経済的関心事となる。こうした遺伝的素因を有するウシ被験体は、子供に伝えることが可能な望ましい形質の保有個体となる。
用語及び定義
「遺伝子マーカ」という用語は、ウシ染色体上のDNAの可変ヌクレオチド配列(多型)を示し、アレル同士を識別するものである。可変ヌクレオチド配列は、例えば、特定のオリゴヌクレオチドを、例えば、増幅法及び/又はサイズの差異の観察に用いることにより、当業者に既知の方法により特定することができる。しかしながら、可変ヌクレオチド配列は、配列決定又は、例えば、制限断片長多型解析により、或いは、サザンブロッティング又はオリゴヌクレオチドプローブを用いたアレイ技術等のハイブリダイゼーション手法により検出し得る。可変ヌクレオチド配列は、欠失、挿入、反復、及び/又は点変異により表現し得る。
遺伝子マーカの1タイプは、量的形質遺伝子座内に位置する、又はこれと結合する、マイクロサテライトマーカである。マイクロサテライトマーカは、互いの後で反復される短い配列を示す。短い配列は、例えば1個のヌクレオチド、例として2個のヌクレオチド、例えば3個のヌクレオチド、例として4個のヌクレオチド、例えば5個のヌクレオチド、例として6個のヌクレオチド、例えば7個のヌクレオチド、例として8個のヌクレオチド、例えば9個のヌクレオチド、例として10個のヌクレオチドである。しかしながら、変化が生じる場合があり、反復の数は増加又は減少し得る。多型マイクロサテライトマーカの具体的な定義及び遺伝子座は、USDA遺伝子地図において確認することができる(Kappes et al., 1997、又はU.S.Meat Animal Research Center、http://www.marc.usda.gov/のリンク先)。他のタイプの遺伝子マーカは、一塩基多型(SNP)である。畜牛においては、市販のキット、例えば、Illumina Inc.が提供するウシSNP遺伝子型判定キットを用いて、多数のSNPマーカの遺伝子型判定を同時に行うことが可能である。
本発明の遺伝子マーカは、ウシ被験体における***炎抵抗性の形質と遺伝的に連鎖すると理解される。しかしながら、更に、多数の付加的な遺伝子マーカを隣接DNA領域において発見し得ると共に、本発明が提供するマーカと、こうした付加的な遺伝子マーカが遺伝的に結合する場合、本明細書に記載の***炎に関連する遺伝子マーカの同一性を推測するために使用することができると理解される。こうした付加的な遺伝子マーカは、本明細書に記載のマーカの明白な等価物であり、こうしたマーカも本発明の範囲に含まれる。
「量的形質遺伝子座(QTL)」という用語は、特定の形質(例えば、***炎抵抗性、体細胞数、又は臨床型***炎)に関連するDNAの領域である。必ずしも遺伝子そのものではないが、QTLは、対象となる形質の基礎となる遺伝子と密接に連鎖するDNAの領域である。
本明細書において使用される「関連する」という用語は、遺伝子マーカアレル及び/又は遺伝子マーカアレルの組み合わせ及び表現型形質に関しては、直接的及び間接的遺伝連鎖を共に含むものである。したがって、本発明による形質に関連する遺伝子マーカアレル及び/又は遺伝子マーカアレルの組み合わせは、直接的及び間接的遺伝連鎖により前記形質と結合し得る。更に、本明細書において「関連する形質」という用語は、特定の表現型に関して、前記表現型に程度を問わず寄与する任意の表現型形質に関する。例えば、体細胞数(SCS)、体細胞スコア(SCS)、***形態(前***の付着、***の深さ、***の質感等の幾つかの定量的測度を含む)、及び診断変数(特定の時間枠内での臨床型***炎の治療症例)という形質は、全体的な***炎表現型に寄与する。そのため、「***炎抵抗性に関連する形質」又は「***炎抵抗性表現型形質」は、SCC、SCS、CM11、CM12、CM2、CM3、CM、SCC3、SCC2、SCC1、SCC、及び診断変数を含み、前記表現型形質の何れかの副指標を含む。
「遺伝的に結合」という用語は、本発明において、一緒に分離する傾向を有する2つのゲノム遺伝子座について使用される。したがって、本発明による特定の表現型形質に関連する他の遺伝子マーカアレルに遺伝的に結合したSNPマーカアレルは、前記遺伝子マーカを示すことになり、その結果、例えば、***炎抵抗性に関連する形質である前記表現型形質に関連する前記遺伝子マーカを検出する代替物として、試料中で検出し得る
更に、本発明の遺伝子マーカアレル又はマーカアレルの組み合わせのヌクレオチド配列は、ウシ被験体における本発明の表現型形質に遺伝的に関連すると理解される。その結果、更に、本発明の方法による遺伝子マーカに隣接すると共に、これらを含むDNA領域(群)のヌクレオチド配列には、多数の遺伝子マーカが含まれ得る。
「遺伝子」という用語は、本明細書での使用において、任意の遺伝子のコード領域及び非コード領域と、オープンリーディングフレームの上流及び下流領域とを含むものである。したがって、「遺伝子内に位置する」遺伝子マーカは、エクソン、イントロン、又はオープンリーディングフレームの上流又は下流、例えば、対象となる遺伝子のオープンリーディングフレームの1000ヌクレオチド以上上流又は下流の範囲に存在し得る。
具体的には、遺伝子の転写領域は、「遺伝子」という用語に含まれると考えられ、したがって、遺伝子内に位置するマーカは、その遺伝子の転写領域内に位置する任意のマーカを含む。
連鎖不平衡
連鎖不平衡(LD)は、組換え事象の履歴を過去に遡って反映するものであり、家系内でのLDマッピングの使用は、マッピングの分解能を増加させる。LDは、集団内で観察されたハプロタイプが、各ハプロタイプにおける個々の遺伝子マーカの頻度を掛け合わせることで予測されるハプロタイプ頻度と一致しない時に存在する。この点において、ハプロタイプという用語は、共に継承される傾向を有する1染色体上に存在する1組の密接に連鎖した遺伝子マーカを意味する。LDマッピングが効率的であるためには、遺伝子マーカの密度が、所定の集団内でLDが広がる距離に対応する必要がある。連鎖不平衡は、異なる遺伝子マーカが集団において共に継承される傾向の範囲を反映する。畜牛において、特に近親交配及び履歴上のボトルネックのため、LDのレベルは、例えばヒトと比較して高くなる。したがって、1つの遺伝子マーカの同一性は、LD内にある代替遺伝子マーカの同一性から推測できる場合が多い。
グランドドータデザイン
グランドドータデザインには、育種に広く用いられてきた祖父、及び、祖父の息子が子供を産出した場合には、祖父の息子について、DNAに基づくマーカからのデータを分析することが含まれる。DNAマーカデータと共に使用すべき表現型データは、息子の娘に由来する。このような表現型データは、例えば、乳生産の特徴、分娩に関する特徴、肉質又は疾患となり得る。娘の一群は、その父親から一方のアレルを継承しており、娘の第2の群は、その父親から他方のアレルを継承している。2群からのデータを比較することにより、特定の染色体の断片が、対象となる形質に影響する1つ又は複数の遺伝子を有しているかについての情報を得ることができる。この染色体断片内にQTLが存在するかについて結論が出る場合がある。詳細な表現型データが利用可能であることが、グランドドータデザインを実行するための前提条件となる。本発明において、こうしたデータが利用可能となっている(http://www.lr.dk/kvaeg/diverse/principles.pdf)。個体に量的形質を与える遺伝子は、1つ又は複数の遺伝子(群)が染色体の一部に位置するかのように作用する染色体の部分を観察することにより、間接的な形で発見し得る。対照的に、染色体上の多数のDNAマーカが一方又は両方の親及びそれらの子供について決定された場合、DNAマーカを直接的に使用して、親からその子供の1頭又は複数頭へ受け継がれた形質の情報を提供することができる。マーカを用いて、DNAマーカと連鎖した染色体の遺伝的履歴を計算し得る。
ウシ被験体
「ウシ被験体」という用語は、任意の品種の畜牛を示し、成体動物か新生動物かに関係無く、雌牛及び雄牛の両方を含むものである。この用語が特定の齢数の動物を示すことはない。ウシ被験体の一例は、ホルスタイン種の一員である。好適な一実施形態において、ウシ被験体は、ホルスタイン-フリーシアン牛集団の一員である。一実施形態において、ウシ被験体は、デーニッシュ及び/又はスウェディッシュホルスタイン牛集団の一員である。他の実施形態において、ウシ被験体は、ホルスタインスワルトボント(Swartbont)牛集団の一員である。他の実施形態において、ウシ被験体は、ドイツホルスタインシュヴァルツブント牛集団の一員である。他の実施形態において、ウシ被験体は、米国ホルスタイン牛集団の一員である。一実施形態において、ウシ被験体は、レッド及びホワイトホルスタイン種の一員である。他の実施形態において、ウシ被験体は、ドイツホルスタインシュヴァルツブント牛集団の一員である。
一実施形態において、ウシ被験体は、ホルスタイン種の成員を含む、任意の家系の一員である。好適な一実施形態において、ウシ被験体は、デーニッシュレッド集団の一員である。他の好適な実施形態において、ウシ被験体は、フィニッシュエアシャー集団の一員である。更に他の実施形態において、ウシ被験体は、スウェディッシュレッド及びホワイト集団の一員である。他の実施形態において、ウシ被験体は、デーニッシュホルスタイン集団の一員である。他の実施形態において、ウシ被験体は、スウェディッシュレッド及びホワイト集団の一員である。更に他の実施形態において、ウシ被験体は、ノルディックレッド集団の一員である。更に他の実施形態において、ウシ被験体は、ノルディックホルスタイン、デーニッシュジャージー、及びノルディックレッド種の一員である。
本発明の一実施形態において、ウシ被験体は、スウェディッシュレッド及びホワイト、デーニッシュレッド、フィニッシュエアシャー、ホルスタイン-フリーシアン、デーニッシュホルスタイン及びノルディックレッドからなる群から選択される。本発明の他の実施形態において、ウシ被験体は、フィニッシュエアシャー並びにスウェディッシュレッド及びホワイト牛からなる群から選択される。本発明の他の実施形態において、ウシ被験体は、フィニッシュエアシャー並びにスウェディッシュレッド及びホワイト牛からなる群から選択される。
***炎抵抗性
「***炎」という用語は、雌牛の***の乳腺の炎症に関する。本願において、「***炎」という用語は、例えば、高い体細胞スコア(SCS)により特徴付けることが可能な臨床型***炎及び無症候性***炎の両方を示すために用いられる。
「***炎抵抗性」及び「***炎に対する抵抗性」という用語は、相互に交換可能に使用され、一部のウシ被験体が他のウシ被験体より***炎になり難いという事実、言い換えれば、一部のウシ被験体が他のウシ被験体より***炎に対する感受性が低いという事実に関係する。したがって、本明細書で使用する「抵抗性」という用語は、0.5%未満の微少な減少から、完全な***炎の不在、即ち、完全な抵抗性に至る、あらゆる度合いの***炎の減少を示す。***炎に対する抵抗性に関連する遺伝子マーカを判定するため本発明のように多数のウシ被験体を解析する際には、解析したウシ被験体における臨床型***炎及び/又は無症候性***炎の発生と結び付く遺伝子マーカの有無により、***炎に対する抵抗性を意味する形質を観察し得る。***炎抵抗性には、ウシ被験体又はその子供の***の健康に影響する形質に対する抵抗性が含まれると理解される。したがって、雄牛の***炎耐性は、その雌の子供の身体に現出する。
***炎抵抗性は、***炎に対する感受性と逆の相関を有し、即ち、高い***炎抵抗性を備えたウシ被験体は、***炎に対する低い感受性を有する。したがって、本明細書で使用される「***炎に対する感受性」という用語は、ウシ被験体が***炎に罹患する、又は***炎を示す形質を有する、相対的に高い可能性を有することを示すものとなる。
***炎抵抗性を示す形質
雄牛の娘を、多数の異なる定性的及び定量的パラメータに基づいて、***炎抵抗性について採点することができる。具体的には、***炎抵抗性は、***炎抵抗性を示す特定の形質に基づいて、本発明により観察し得る。こうした畜牛の集団における***炎抵抗性を示す形質の1つは、臨床型***炎の記録症例である。形質の他の例は、乳汁記録スキームから得られたlog10変換体細胞数値(10,000/mL単位)の平均として定めた体細胞数(SCC)、又は体細胞スコア(SCS)である。平均は、例えば、分娩後10乃至180日の期間に亘り求める。息子の形質に対する推定育種価(EBV)は、家系構成を無視した単一形質の最良線形不偏予測値(BLUP)動物モデルを用いて算出し得る。***炎抵抗性を示す具体的な量的形質の例を下の表に示す。
本発明の一実施形態において、本明細書に記載の方法及びキットは、臨床型***炎に対する抵抗性及び/又は体細胞数即ちSCSにより検出されるような無症候性***炎に対する抵抗性等の***炎抵抗性に関する。更に具体的には、本発明の方法及びキットは、一実施形態において、***炎を示す少なくとも1つの形質に関連する遺伝子マーカに関し、こうした形質は、好適な実施形態において、CM11(第1の分娩から-15乃至50日の期間の臨床型***炎有り(1)又は無し(0))、CM12(第1の分娩から51乃至305日の期間の臨床型***炎有り(1)又は無し(0))、CM2(第2の分娩から-15乃至305日の期間の臨床型***炎有り(1)又は無し(0))、CM3(第3の分娩から-15乃至305日の期間の臨床型***炎有り(1)又は無し(0))、CM(臨床型***炎:0.25*CM11+0.25*CM12+0.3*CM2+0.2*CM3)、SCC1(第1の泌乳における対数体細胞数平均)、SCC2(第2の泌乳における対数体細胞数平均)、SCC3(第3の泌乳における対数体細胞数平均)、及びSCC(対数体細胞数:0.5*SCC1+0.3*SCC2+0.2*SCC3)から選択される。好適な実施形態において、形質は、臨床型***炎であり、例えば、CM11、CM12、CM2、CM3、又はCMから選択された何れかの形質である。表1に示したように、CMは、CM11、CM12、CM2、及びCM3に基づく臨床型***炎の指標である。
更に他の実施形態において、本発明の方法及びキットは、主に、体細胞数即ちSCS、例えば、SCC1、SCC2、SCC3、又はSCCにより検出されるような無症候性***炎に対する抵抗性と組み合わせた臨床型***炎に対する抵抗性に関する。本発明の方法及びキットは、ウシ被験体又はその子供の***炎抵抗性を示す少なくとも1つの形質に関連する少なくとも一つの遺伝子マーカの有無を検出することを含み、前記少なくとも1つの形質は、体細胞数(SCC)、体細胞スコア(SCS)、及び/又は臨床型***炎から選択される。
一般に、増加したSCSレベルは、***炎、例えば無症候性***炎を示す。SCCレベルは、同じウシ被験体の以前の測定と比較して、或いは、特定の集団、品種、又は家系の平均SCCと比較して増加する場合がある。SCSレベルは、任意の時点で測定してよく、個別の測定値、又は1泌乳期に亘る平均値であってもよい。例えば100,000細胞/ml乳汁、例として200,000、例えば300,000細胞/ml乳汁、例として400,000、例えば500,000細胞/ml乳汁、例として600,000細胞/ml乳汁を上回るSCCレベルは、臨床型又は無症候性***炎等の***炎を示す。したがって、こうした大きさのSCCレベルは、本発明による***炎に対する感受性の減少を示す形質と見做される。しかしながら、***炎抵抗性又は***炎に対する感受性を示すSCCレベルは、様々なウシ被験体、品種、及び家系において変化し得る。
本発明は、***炎抵抗性又は***炎に対する感受性に関する育種価を推定するために用いることができる。真の育種価は、無限母集団と無作為に交配させた際に、集団からの子供の平均偏差の2倍として概念的に定義することが可能な、個体の遺伝的メリットである。これは、個体が優れた子供を産出する能力の推定である。真の育種価は、分からないが、動物自身の実績及び/又はその子供及び/又は他の親類の実績から推定することができる。加えて、又は代わりに、表現型の実績、対象となる形質に関連する特定の遺伝子又はマーカにおける動物の遺伝子型に関する情報を、育種価推定手順に用いることができる。こうした情報の使用は、育種価の信頼性を高めると共に、例えば、若年での選別を可能にすることができる。一実施形態において、***炎抵抗性を示す少なくとも1つの遺伝子マーカは、ウシ被験体の育種価を推定するために用いられる。
***炎抵抗性を示す形質は、全てのウシ被験体、例えば、全ての雄親について、育種価に再計算し得る。したがって、本発明の方法及びキットの遺伝子マーカは、育種価の増加したウシ被験体の選択に使用し得ると共に、本発明による***炎抵抗性を示す少なくとも1つの遺伝子マーカの検出は、ウシ被験体の育種価の増加を示すものとなる。例えば、育種価は、少なくとも0.5%、例として少なくとも1%、例として少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、例えば少なくとも10%増加する。
試料
本発明による方法は、ウシ被験体の試料を分析することを含み、前記試料は、方法に用いるウシ遺伝物質を提供することができる任意の適切な試料にし得る。分析されるウシ被験体に特異的な遺伝物質を試料が含む限り、試料の種類は、重要ではない。したがって、ウシ被験体由来の遺伝物質を含む任意の試料を用いることができる。好ましくは、試料は、ウシ被験体から容易に得られる試料であり、好ましくは、侵襲的手技無しで取得可能な試料である。
したがって、***炎抵抗性は、遺伝物質を含む何れかのソースの試料における遺伝子マーカアレルの有無を検出することにより判定される。ウシ遺伝物質は、例えば、必要な場合には抽出、単離、及び/又は精製し得る。試料は、新鮮でもよく、凍結されてもよい。遺伝子マーカの検出は、血液、***(***)、尿、肝組織、筋肉、皮膚、毛、小胞、耳、尾、脂肪、精巣組織、肺組織、唾液、脊髄生検、及び/又は他の組織からなる群から選択される試料に対して実行し得る。
好適な実施形態において、試料は、***(***)、血液、尿、皮膚、毛、耳、尾、及び筋肉からなる群から選択される。他の好適な実施形態において、試料は、血液からなる群から選択される。特に好適な実施形態において、試料は、乳汁である。他の特に好適な実施形態において、試料は、皮膚組織である。更に他の特に好適な実施形態において、試料は、筋肉である。最も好適な実施形態において、試料は、***(***)である。
マイクロサテライト又はSNP遺伝子型判定のために、核酸は、様々な手法により試料から抽出し得る。例えば、ゲノムDNAは、プロテイナーゼKによる処理後にフェノールにより抽出することで、試料から単離し得る(例えばSambrook et al. 1989参照)。しかしながら、試料を直接的に用いてもよい。
本発明の方法による遺伝子マーカの検出のためにマイクロサテライト又はSNP遺伝子型判定に用いられる核酸の量は、ナノグラムからマイクログラムの範囲である。実際的には、分析対象となる核酸の量に上限は存在しないことは当業者に理解される。当業者が遭遇する問題は、分析対象となる試料の量が限定されることである。したがって、本発明の方法を少量の試料に対して実行可能であり、したがって、必要となる試料中の核酸の量が限られることは有益となる。そのため、分析対象となる核酸の量は、少なくとも1ng、例として少なくとも10ng、例えば少なくとも25ng、例として少なくとも50ng、例えば少なくとも75ng、例として少なくとも100ng、例えば少なくとも125ng、例として少なくとも150ng、例えば少なくとも200ng、例として少なくとも225ng、例えば少なくとも250ng、例として少なくとも275ng、例えば少なくとも300ng、400ng、例えば少なくとも500ng、例として少なくとも600ng、例えば少なくとも700ng、例として少なくとも800ng、例えば少なくとも900ng、又は例として少なくとも1000ngとなる。
好適な一実施形態において、本発明の方法のための出発物質としての核酸の量は、20乃至50ngである。特に好適な実施形態において、本発明の方法のための出発物質は、30乃至40ngである。
染色体領域及びマーカ
BTAは、ウシ常染色体(Bos taurus autosome)の略語である。
本発明の一態様は、ウシ被験体における***炎に対する抵抗性を判定する方法に関し、前記ウシ被験体からの試料中で、前記ウシ被験体及び/又はその子供の***炎抵抗性を示す少なくとも1つの形質に関連する少なくとも1つの遺伝子マーカの有無を検出することを含み、前記少なくとも1つの遺伝子マーカは、表2に定めた領域1乃至61から選択されたウシゲノムの遺伝子領域に位置する。
一実施形態において、本発明の遺伝子マーカは、表2の列9又は10に記載のマーカの群から選択される。
他の実施形態において、遺伝子マーカは、表10、12、13、15、16、18、19、21、23、及び24に記載のSNPからなる群から選択されるものであり、以下の実施例を参照されたい。
他の実施形態において、遺伝子マーカは、表11、14、17、20、22、及び25からなる群から選択される遺伝子に位置しており、以下の実施例を参照されたい。
他の実施形態において、遺伝子マーカは、ss86284888、rs41649041、ss61565956、ss86341106、ss86317725、ss86328358、rs41812941、ss86327354、及びrs41940571からなる群から選択される(表3参照)。
他の実施形態において、遺伝子マーカは、ss86328743、rs41618669、ss86284888、rs41580905、rs41649041、rs43706944、rs42189699、rs42553026、rs41664497、rs41664497、ss86290235、ss86340493、ss86305923、ss86330005、ss86340725、rs29015635、rs42895750、ss117968104、rs29017739、rs29001782、rs41588957、ss86307579、ss86317213、rs41610991、ss117968170、ss117968764、ss117968030、ss117968525、rs29019575、ss117968738、ss86326721、ss86341106、ss86341106、rs29010419、rs29022799、ss86278591、ss86337596、rs43338539、ss86296213、rs42766480、rs41617692、ss117963883、rs43475842、rs29019286、ss86292503、ss86317725、ss86290731、ss86332750、ss86335834、ss86340346、ss105239139、ss117971362、ss86287919、ss86329615、ss86301882、ss86328358、ss117971370、ss117971325、ss86339873、ss117971671、ss117971176、rs41807595、rs41807595、rs29023167、ss86303613、ss86283374、ss86328473、ss86307986、rs41603818、rs41812941、ss105262977、ss105262977、rs42465037、ss86327354、ss86327432、ss61484557、rs42329877、ss86333005、ss86306906、ss117972835、rs41938511、rs42542144、rs41940571、rs41947330、rs29018751、rs41581087、ss105263178、rs41641052、rs41641055、ss86292111、rs41600165、及びss86306865からなる群から選択される(表4参照)。
本明細書に記載の連鎖不平衡のため、本発明は、更に、ウシ被験体における***炎に対する抵抗性を判定する方法に関し、少なくとも1つの遺伝子マーカは、***炎に対する抵抗性に対するウシ形質の遺伝的決定因子と連鎖又は遺伝的に結合する。
ウシ被験体における***炎に対する抵抗性を判定するために、2つ以上の遺伝子マーカを本発明において利用し得ると理解される。例えば、少なくとも1つの遺伝子マーカは、精度を高め得るような少なくとも2つ以上の遺伝子マーカ、例として3つの遺伝子マーカ、例えば4つの遺伝子マーカ、例として少なくとも5つの遺伝子マーカ、例えば6つの遺伝子マーカ、例として少なくとも7つの遺伝子マーカ、例えば8つの遺伝子マーカ、例として少なくとも9つの遺伝子マーカ、例えば10の遺伝子マーカの組み合わせとなり得る。
少なくとも1つの遺伝子マーカは、少なくとも1つのウシ染色体、例として2つの染色体、例えば3つの染色体、例として4つの染色体、例えば5つの染色体、及び/又は例として6つの染色体上に位置し得る。したがって、少なくとも1つの遺伝子マーカは、異なる染色体上に位置したマーカの組み合わせとなり得る。少なくとも1つの遺伝子マーカは、以下に示す表の個別のマーカの何れかから選択される。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BovineHD Genotyping BeadChip SNP#19479及びSNP#19481により画定される領域内及び/又は塩基番号76096755及び76099500間の領域内のウシ染色体BTA1上に位置し、例えば、マーカは、BovineHD0100021877であり、或いはBovineHD Genotyping BeadChip SNP#76096755であり、或いは前記マーカの何れかに連鎖する。
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BovineHD Genotyping BeadChip SNP#23488及びSNP#25665により画定される領域内及び/又は塩基番号92199528及び101364920間の領域内のウシ染色体BTA3上に位置し、例えば、マーカは、BovineHD0300028997であり、或いはBovineHD Genotyping BeadChip SNP#101323866であり、或いは前記マーカの何れかに連鎖する。
BTA5
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BovineHD Genotyping BeadChip SNP#20435及びSNP#27159により画定される領域内、及び/又は塩基番号84539347及び109948232間の領域内のウシ染色体BTA5上に位置し、例えば、マーカは、BovineHD0500024659であり、或いはBovineHD Genotyping BeadChip SNP#86998734であり、或いは前記マーカの何れかに連鎖する。
一実施形態において、遺伝子マーカは、84乃至95Mbの領域内のウシ染色体BTA5上に位置し、例えば、マーカは、Chr5_92753829であり、及び/又は形質は、CM11等の***炎抵抗性である。一実施形態において、遺伝子マーカは、Chr5_92753829、BovineHD0500024659、Chr5_87360522、BovineHD0500026657、Chr5_92753829、Chr5_87360522、Chr5_94040670、Chr5_89528205、及びChr5_87360522からなる群から選択され(表10参照)、及び/又は増加した***炎抵抗性に関連する遺伝子マーカアレルであり、及び/又は具体的な形質は、表10に示す通りである。
一実施形態において、遺伝子マーカは、ENSBTAG00000022360、ENSBTAG00000005833、ENSBTAG00000001673、ENSBTAG00000013202、ENSBTAG00000047048、ENSBTAG00000046178、ENSBTAG00000020715、ENSBTAG00000030493、ENSBTAG00000013541、ENSBTAG00000008541及びENSBTAG00000009444からなる群から選択される遺伝子内に位置しており、表11を参照されたい。
BTA6
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BovineHD Genotyping BeadChip SNP#18708及びSNP#26792により画定される領域内及び/又は塩基番号71082832及び102757841間の領域内のウシ染色体BTA6上に位置し、例えば、マーカは、BovineHD0600024355であり、或いはBovineHD Genotyping BeadChip SNP#88919352であり、或いは前記マーカの何れかに連鎖する。
しかしながら、特に好適な実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、塩基番号88000560及び95999980間の領域内のウシ染色体BTA6上に位置する。特に好適な実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BTA6上の88,919,352Bpに位置するBovineHD0600024355である。一実施形態において、BovineHD0600024355は、CM11等の臨床型***炎に関連する遺伝子マーカである。
例えば、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BTA6上の塩基番号89,052,210及び89,059,348間の領域に位置する。したがって、好適な一実施形態において、臨床型***炎等の***炎を示す少なくとも1つの形質、例えばCM11に関連する遺伝子マーカは、神経ペプチドFF受容体2(NPFFR2)遺伝子内、特にNPFFR2のコード領域に位置する。一実施形態において、***炎に関連する遺伝子マーカは、BTA6上の89,059,253Bpに位置するchr6_89059253 SNPである。このSNPは、G-A置換である。しかしながら、NPFFR2遺伝子内に位置する代替SNPは、chr6_89059253 SNPと強く結合しているため、NPFFR2内に位置する任意の遺伝子マーカ多型は、***炎を示す形質に関連する。したがって、本発明は、***炎及び/又は育種価を判定する方法、及び育種用に選択される畜牛のための方法と、キットとに関し、少なくとも1つの遺伝子マーカは、NPFFR2遺伝子内に位置し、或いはNPFFR2遺伝子と遺伝的に結合し、好適な一実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、chr6_89059253 SNP及び/又はそれに遺伝的に結合する任意の遺伝子マーカ多型である。したがって、一実施形態において、遺伝子マーカは、89,059,253Bp(UMD3.1)に位置するG/A SNPであり、Aアレルは、***炎に関連し、Gアレルは、***炎に対する抵抗性に関連する。
一実施形態において、遺伝子マーカは、88乃至96Mbの領域内のウシ染色体BTA6上に位置し、例えば、マーカは、Chr6_88977023であり、及び/又は形質は、CM11等の***炎抵抗性である。一実施形態において、遺伝子マーカは、Chr6_88977023、Chr6_88612186、Chr6_88610743、Chr6_88977023、Chr6_88977023、Chr6_88326504、Chr6_88326504、Chr6_88326504、及びChr6_88326504からなる群から選択され(表12参照)、及び/又は増加した***炎抵抗性に関連する遺伝子マーカアレルであり、及び/又は具体的な形質は、表12に示す通りである。一実施形態において、マーカは、Chr6_89059253であり、***炎抵抗性に関連するアレルは、Gアレルである。
一実施形態において、遺伝子マーカは、ENSBTAG00000018531、ENSBTAG00000009310、ENSBTAG00000016795、ENSBTAG00000008577、ENSBTAG00000016290、ENSBTAG00000012397、ENSBTAG00000002348、ENSBTAG00000013718、ENSBTAG00000009070、及びENSBTAG00000006507からなる群から選択される遺伝子内に位置しており、表14を参照されたい。
BTA7
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BovineHD Genotyping BeadChip SNP#2907及びSNP#4789により画定される領域内及び/又は塩基番号14485587及び22681472間の領域内のウシ染色体BTA7上に位置し、例えば、マーカは、BovineHD0700005054であり、或いはBovineHD Genotyping BeadChip SNP#18032163であり、或いは前記マーカの何れかに連鎖する。
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BovineHD Genotyping BeadChip SNP#7174及びSNP#10157により画定される領域内及び/又は塩基番号31432538及び41607314間の領域内のウシ染色体BTA7上に位置し、例えば、マーカは、BovineHD4100005904であり、或いはBovineHD Genotyping BeadChip SNP#33485418であり、或いは前記マーカの何れかに連鎖する。
BTA12
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BovineHD Genotyping BeadChip SNP#787及びSNP#933により画定される領域内及び/又は塩基番号2569573及び2991581間の領域内のウシ染色体BTA12上に位置し、例えば、マーカは、BovineHD1200000926であり、或いはBovineHD Genotyping BeadChip SNP#2917822であり、或いは前記マーカの何れかに連鎖する。
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BovineHD Genotyping BeadChip SNP#3217及びSNP#7626により画定される領域内及び/又は塩基番号11578657及び27097379間の領域内のウシ染色体BTA12上に位置し、例えば、マーカは、BovineHD1200006858であり、或いはBovineHD Genotyping BeadChip SNP#22865273であり、或いは前記マーカの何れかに連鎖する。
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BovineHD Genotyping BeadChip SNP#15918及びSNP#17398により画定される領域内及び/又は塩基番号62561736及び68494212間の領域内のウシ染色体BTA12上に位置し、例えば、マーカは、BovineHD1200017277であり、或いはBovineHD Genotyping BeadChip SNP#63068164であり、或いは前記マーカの何れかに連鎖する。
BTA13
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BovineHD Genotyping BeadChip SNP#11798及びSNP#15089により画定される領域内及び/又は塩基番号53471793及び70173150間の領域内のウシ染色体BTA13上に位置し、例えば、マーカは、BovineHD1300017074であり、或いはBovineHD Genotyping BeadChip SNP#59588546であり、或いは前記マーカの何れかに連鎖する。
一実施形態において、遺伝子マーカは、57乃至63Mbの領域内のウシ染色体BTA13上に位置し、例えば、マーカは、Chr13_57608628であり、及び/又は 形質は、CM等の***炎抵抗性である。一実施形態において、遺伝子マーカは、Chr13_57608336、Chr13_57608354、Chr13_59584651、Chr13_59584651、Chr13_57608628、Chr13_57608354、Chr13_60621602、Chr13_60621602、及びChr13_60621602からなる群から選択され(表15参照)、及び/又は増加した***炎抵抗性に関連する遺伝子マーカアレルであり、及び/又は具体的な形質は、表15に示す通りである。一実施形態において、マーカは、Chr13_57579568であり、***炎抵抗性に関連するアレルは、Tアレルであり、及び/又はマーカは、Chr13_57579569であり、***炎抵抗性に関連するアレルは、Gアレルである。
一実施形態において、遺伝子マーカは、ENSBTAG00000020261、ENSBTAG00000012109、ENSBTAG00000018053、ENSBTAG00000018418、ENSBTAG00000013330、ENSBTAG00000048288、ENSBTAG00000003364、ENSBTAG00000048009、ENSBTAG00000027384、ENSBTAG00000027383、ENSBTAG00000020555、ENSBTAG00000031254、ENSBTAG00000016169、ENSBTAG00000016348、ENSBTAG00000019200、ENSBTAG00000010112、ENSBTAG00000038687、及びENSBTAG00000038412からなる群から選択される遺伝子内に位置しており、表17を参照されたい。
BTA16
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BovineHD Genotyping BeadChip SNP#5299及びSNP#16175により画定される領域内及び/又は塩基番号21799660及び64955150間の領域内のウシ染色体BTA16上に位置し、例えば、マーカは、BovineHD1600014622であり、或いはBovineHD Genotyping BeadChip SNP#52924145であり、或いは前記マーカの何れかに連鎖する。
一実施形態において、遺伝子マーカは、48乃至55Mbの領域内のウシ染色体BTA16上に位置し、例えば、マーカは、Chr16_50529178であり、及び/又は 形質は、CM11等の***炎抵抗性である。一実施形態において、遺伝子マーカは、Chr16_50529178、Chr16_49054912、Chr16_49054912、Chr16_54246279、Chr16_50532600、Chr16_52097973、Chr16_53806663、Chr16_53806663、及びChr16_53998150からなる群から選択され(表18参照)、及び/又は増加した***炎抵抗性に関連する遺伝子マーカアレルであり、及び/又は具体的な形質は、表18に示す通りである。一実施形態において、マーカは、Chr16_50529178であり、***炎抵抗性に関連するアレルは、Aアレルであり、及び/又はマーカは、Chr16_50564280であり、***炎抵抗性に関連するアレルは、Tアレルである。
一実施形態において、遺伝子マーカは、ENSBTAG00000024663、ENSBTAG00000016057、ENSBTAG00000010732、ENSBTAG00000015635、ENSBTAG00000015632、ENSBTAG00000014707、ENSBTAG00000014537、及びENSBTAG00000037523からなる群から選択される遺伝子内に位置しており、表20を参照されたい。
BTA18
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BovineHD Genotyping BeadChip SNP#11892及びSNP#13902により画定される領域内及び/又は塩基番号41653211及び48570545間の領域内のウシ染色体BTA18上に位置し、例えば、マーカは、BovineHD1800013234であり、或いはBovineHD Genotyping BeadChip SNP#44778431であり、或いは前記マーカの何れかに連鎖する。
BTA19
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BovineHD Genotyping BeadChip SNP#12750及びSNP#16762により画定される領域内及び/又は塩基番号49013784及び62339802間の領域内のウシ染色体BTA19上に位置し、例えば、マーカは、BovineHD1900015719であり、或いはBovineHD Genotyping BeadChip SNP#55615219であり、或いは前記マーカの何れかに連鎖する。
一実施形態において、遺伝子マーカは、55乃至58Mbの領域内のウシ染色体BTA19上に位置し、例えば、マーカは、Chr19_55296191であり、及び/又は形質は、SCS3等の***炎抵抗性である。一実施形態において、遺伝子マーカは、Chr19_57164311、Chr19_55461224、BovineHD1900015719、Chr19_57418222、BovineHD1900015719、Chr19_55296191、Chr19_55296191、Chr19_55296191、及びChr19_55296191からなる群から選択され(表21参照)、及び/又は増加した***炎抵抗性に関連する遺伝子マーカアレルであり、及び/又は具体的な形質は、表21に示す通りである。
一実施形態において、遺伝子マーカは、ENSBTAG00000013677、ENSBTAG00000005104、及びENSBTAG00000044443からなる群から選択される遺伝子に位置しており、表22を参照されたい。
BTA20
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BovineHD Genotyping BeadChip SNP#7852及びSNP#14407により画定される領域内及び/又は塩基番号28291423及び55744850間の領域内のウシ染色体BTA20上に位置し、例えば、マーカは、BovineHD2000010279であり、或いはBovineHD Genotyping BeadChip SNP#35981673であり、或いは前記マーカの何れかに連鎖する。
一実施形態において、遺伝子マーカは、32乃至40Mbの領域内のウシ染色体BTA20上に位置し、例えば、マーカは、Chr20_35965955であり、及び/又は 形質は、CM2等の***炎抵抗性である。一実施形態において、遺伝子マーカは、Chr20_34269660、Chr20_35965955、Chr20_35965955、Chr20_35914181、Chr20_35965955、Chr20_35969130、Chr20_35865606、Chr20_35914086、及びChr20_35543794からなる群から選択され(表23参照)、及び/又は増加した***炎抵抗性に関連する遺伝子マーカアレルであり、及び/又は具体的な形質は、表23に示す通りである。一実施形態において、マーカは、Chr20_35965955であり、***炎抵抗性に関連するアレルは、Aアレルである。
一実施形態において、遺伝子マーカは、ENSBTAG00000010423、ENSBTAG00000014972、ENSBTAG00000016149、ENSBTAG00000006697、ENSBTAG00000033107、ENSBTAG00000011766、及びENSBTAG00000014177からなる群から選択される遺伝子に位置しており、表25を参照されたい。
一実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BTA20上のカスパーゼ動員ドメイン含有タンパク質6遺伝子(CARD6)に位置する。したがって、好適な一実施形態において、臨床型***炎等の***炎を示す少なくとも1つの形質、例えばCM11に関連する遺伝子マーカは、CARD6遺伝子内、特にNPFFR2のコード領域内に位置している。一実施形態において、1つ又は複数の***炎形質に関連する遺伝子マーカは、BTA20上のCARD6遺伝子内に位置するrs133218364 SNPであり、配列番号:2を参照されたい。このSNPは、T-C置換である。しかしながら、CARD6遺伝子内に位置する代替SNPは、rs133218364 SNPに強く結合しているため、CARD6遺伝子内に位置する任意の遺伝子マーカ多型は、***炎を示す形質に関連する。したがって、本発明は、***炎及び/又は育種価を判定する方法、及び育種用に選択される畜牛のための方法と、キットとに関し、少なくとも1つの遺伝子マーカは、CARD6遺伝子内に位置し、或いはCARD6遺伝子と遺伝的に結合し、好適な一実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、rs133218364 SNP及び/又はそれに遺伝的に結合する任意の遺伝子マーカ多型である。したがって、一実施形態において、遺伝子マーカは、CARD6遺伝子に位置するT/C SNPであり、Tアレルは、***炎に関連し、Cアレルは、***炎に対する抵抗性に関連する。
他の特定の実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、BTA20上の白血病抑制因子受容体遺伝子(LIFR)、又は、LIFR遺伝子の5000bp上流又は下流等、その隣接配列に位置する。好適な一実施形態において、臨床型***炎等の***炎を示す少なくとも1つの形質、例えばCM11に関連する遺伝子マーカは、LIFR遺伝子又は隣接配列、特にLIFR遺伝子コード領域の5000bp下流に位置する。一実施形態において、1つ又は複数の***炎形質に関連する遺伝子マーカは、BTA20上のLIFR遺伝子の3323bp下流に位置するrs133596506 SNPであり、配列番号:3を参照されたい。このSNPは、T-C置換である。しかしながら、LIFR遺伝子及びその隣接領域に位置する代替SNPは、rs133596506 SNPに強く結合しているため、LIFR遺伝子及びその隣接領域に位置する任意の遺伝子マーカ多型は、***炎を示す形質に関連する。したがって、本発明は、***炎及び/又は育種価を判定する方法、及び育種用に選択される畜牛のための方法と、キットとに関し、少なくとも1つの遺伝子マーカは、LIFR遺伝子又はその隣接領域に位置し、或いはLIFR遺伝子と遺伝的に結合し、好適な一実施形態において、少なくとも1つの遺伝子マーカは、rs133596506 SNP及び/又はそれに遺伝的に結合する任意の遺伝子マーカ多型である。したがって、一実施形態において、遺伝子マーカは、LIFR遺伝子に位置するT/C SNPであり、Cアレルは、***炎に関連し、Tアレルは、***炎に対する抵抗性に関連する。
検出
ウシ被験体の***炎抵抗性を判定する本発明による方法は、前記ウシ被験体由来の試料において、前記ウシ被験体及び/又はその子供の***炎抵抗性を示す少なくとも1つの形質に関連する少なくとも1つの遺伝子マーカアレルの有無を検出することを含む。***炎抵抗性に関連する具体的な遺伝子マーカは、本明細書の他の箇所に記載されている。遺伝子マーカは、マイクロサテライトマーカ及び/又はSNP、又は相補的配列及び転写産物(mRNA)及び翻訳産物(ポリペプチド、タンパク質)を含め、当業者に公知である任意の方法により同定し得る。
指定領域内の本明細書に記載した1つ又は複数の位置において、変異体ヌクレオチドの有無を検出するために使用し得る多数の解析手順が存在することは、当業者に明らかであろう。指定領域内又はこれに隣接する突然変異又は多型は、多数の手法により検出することができる。任意の有核細胞からの核酸を、こうした検定手法の出発点として用いることが可能であり、当業者に周知の標準的な核酸調製手順により単離し得る。一般に、アレル変異体の検出には、変異識別手法が必要となり、増幅反応及び信号生成系を要する場合もある。
多数の変異検出手法を以下に列挙する。列挙した方法の一部は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づいており、本発明による方法には、可変ヌクレオチド配列のヌクレオチド配列に基づくプライマの存在下で対象のヌクレオチド配列を増幅するステップが含まれる。方法は、多数の信号生成系と組み合わせて使用してよく、そのうち選択したものを更に以下に列挙する。
他の増幅手法は、本明細書の他の箇所に記載されている。アレル変異を検出する現行の多くの方法は、Nollau et al., Clin. Chem. 43, 1114-1120, 1997、更に標準教科書では、例えば、"Laboratory Protocols for Mutation Detection", Ed. by U. Landegren, Oxford Uni-versity Press, 1996 及び"PCR", 2nd Edition by Newton & Graham, BIOS Scientific Publishers Limited, 1997において概説されている。
本発明の一実施形態による遺伝子マーカの検出は、当業者に公知の多数の手法により達成され、制限断片長ポリメラーゼ連鎖反応、アレル特異的オリゴマハイブリダイゼーション、オリゴマ特異的ライゲーションアッセイ、PNAとのハイブリダイゼーション、又はロックド核酸(LNA)プローブ等の方法による、マイクロサテライト又はショートタンデムリピート(STR)の型判定、制限断片長多型(RFLP)、欠失又は挿入の検出、無作為増幅多型DNA(RAPID)又は一塩基多型の型判定が含まれる。
一実施形態において、本発明の方法は、ウシ被験体から提供された試料に含まれる遺伝子領域を増幅することを含む。したがって、特定の方法は、本発明の遺伝子マーカを含む遺伝子領域を増幅すること、及び増幅産物を検出することを含み得る。
他の好適な実施形態において、遺伝子マーカは、DNAアレイ法により検出される。例えば、市販のSNP遺伝子型判定キットを用いて、多数のSNPマーカの遺伝子型判定を同時に行うことが可能である。こうしたキットは、例えば、Illumina Inc.が提供するbovineSNP50 beadchip SNPキット、及びIllumina Inc.からのBovineHD BeadChipである。これらのキットは、共に本発明によるSNP遺伝子型判定に好適となる。
本発明のプライマは、それが基づく配列と十分に相補的であり、且つ増幅の対象となる核酸分子の対応領域と選択的にハイブリダイズするのに十分な長さを有する核酸分子である。プライマは、上述した方法における対象核酸分子の対応領域の合成を準備することができる。同様に、本発明のプローブは、十分な長さを有し且つ高又は低ストリンジェンシ条件下で対象の核酸配列と選択的に結合する対象の核酸配列に対して十分に相補的な分子、例えば核酸分子である。本発明による***炎抵抗性に関連する遺伝子マーカは、当業者に公知の多数の方法により検出することができる。例えば、遺伝子マーカは、一塩基多型(SNP)、マイクロサテライトマーカ、制限断片長多型(RFLP)、DNAチップ、増幅断片長多型(AFLP)、無作為増幅多型配列(RAPD)、配列特性化増幅領域(SCARs)、切断増幅多型配列(CAPS)、核酸配列決定、及びマイクロサテライト遺伝子型判定からなる群から選択される方法を用いた遺伝子型判定により同定し得る。
好適な実施形態において、本発明において開示した***炎抵抗性形質に関連する遺伝子マーカは、SNP又はマイクロサテライト遺伝子型判定により検出される。SNP又はマイクロサテライト遺伝子型判定は、配列特異的オリゴヌクレオチドプライマによるSNP又はマイクロサテライトマーカの増幅に続いて、例えば、増幅産物の長さ、量、及び/又は配列に関する増幅産物の分析により実行し得る。
具体的には、本発明による少なくとも1つの遺伝子マーカは、NPFFR2遺伝子の5乃至100個の連続するヌクレオチド、例として10乃至30個の連続するヌクレオチド、又は少なくとも5個、例として6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は少なくとも25個の連続するヌクレオチドを含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチド、例として配列番号:1、又はそれに対して少なくとも70%の同一性、例として少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、例として少なくとも99%の同一性を有する核酸配列を用いて検出し得る。
本発明の方法及びキットの一実施形態において、遺伝子マーカは、表2の列10に記載したSNP群から選択された少なくとも1つのSNPを認識可能なオリゴヌクレオチドプライマ又はプローブを用いて検出される。オリゴヌクレオチドは、核酸増幅反応においてプライマとして使用し得るものであり、及び/又はオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション検出手法においてプローブとして使用し得る。
本発明のプライマは、個別に、或いは、本発明の任意のプライマ等、1つ又は複数のプライマ又はプライマ対と組み合わせて使用し得る。
こうしたプライマの設計は、通常の技能を有する分子生物学者には明らかであろう。こうしたプライマは、任意の都合の良い長さを有し、例として50個までの塩基、40個までの塩基、更に都合良くは、30個までの塩基の長さを有し、例として例えば8乃至25個又は8乃至15個の塩基の長さを有する。一般に、こうしたプライマは、その領域の対応する野生型又は変異型遺伝子座の完全に相補的な塩基配列を含む。しかしながら、オリゴヌクレオチドプローブの識別力に過度に影響しなければ、必要に応じて1つ又は複数のミスマッチを導入してもよい。本発明のプライマ/プローブは、検出を容易にするため1つ又は複数の標識を有し得る。
一実施形態において、プライマ及び/又はプローブは、本明細書に示すマーカにより画定される配列を含む一塩基多型に対して、ハイブリダイズすること及び/又はハイブリダイズする部分配列を増幅することが可能である。
本発明のプライマヌクレオチド配列は、更に、(a)ストリンジェント条件下、例えば、約45℃の6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのフィルタ結合DNAとのハイブリダイゼーション後、約50乃至65℃の0.2×SSC/0.1%硫酸ドデシルナトリウム(SDS)中での1回又は複数回の洗浄、又は(b)高ストリンジェント条件、例えば、約45℃の6×SSC中でのフィルタ結合核酸とのハイブリダイゼーション後、約68℃の0.1×SSC/0.2%SDS中での1回若しくは複数回の洗浄、又は当業者に明らかな他のハイブリダイゼーション条件下での、遺伝子マーカ配列又はその相補配列又はRNA産物を含む核酸分子とハイブリダイズする任意のヌクレオチド配列を含む(例えば、Ausubel F.M. et al., eds., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, Green Publishing Asso-ciates, Inc.、及びJohn Wiley & sons, Inc., New York, at pp. 6.3.1-6.3.6 and 2.10.3を参照)。好ましくは、(a)及び(b)のヌクレオチド配列とハイブリダイズする核酸分子は、遺伝子マーカ配列若しくは相補配列又はそのRNA産物を含むゲノムDNAの核酸分子の相補体を含むものとなる。
本発明の核酸分子のうち、デオキシオリゴヌクレオチド(「オリゴ」)は、高ストリンジェント条件又はストリンジェント条件下で、上述した核酸分子とハイブリダイズする。一般に、14乃至70ヌクレオチド長のプローブにおいて、融解温度(TM)は、次の式を用いて計算される。
Tm(℃)=81.5+16.6(log[一価カチオン(モル)])+0.41(%G+C)-(500/N)
ここで、Nはプローブの長さである。ホルムアミドを含有する溶液中でハイブリダイゼーションを実施する場合、融解温度は、式Tm(℃)=81.5+16.6(log[一価カチオン(モル)])+0.41(%G+C)-(0.61%ホルムアミド)-(500/N)を用いて計算され、ここで、Nはプローブの長さである。一般に、ハイブリダイゼーションは、Tmより約20乃至25℃低い温度(DNA-DNAハイブリッド)、又はTmより10乃至15℃低い温度(RNA-DNAハイブリッド)で実施する。
Tm(℃)=81.5+16.6(log[一価カチオン(モル)])+0.41(%G+C)-(500/N)
ここで、Nはプローブの長さである。ホルムアミドを含有する溶液中でハイブリダイゼーションを実施する場合、融解温度は、式Tm(℃)=81.5+16.6(log[一価カチオン(モル)])+0.41(%G+C)-(0.61%ホルムアミド)-(500/N)を用いて計算され、ここで、Nはプローブの長さである。一般に、ハイブリダイゼーションは、Tmより約20乃至25℃低い温度(DNA-DNAハイブリッド)、又はTmより10乃至15℃低い温度(RNA-DNAハイブリッド)で実施する。
高ストリンジェント条件の一例は、例えば、37℃(約14塩基オリゴ)、48℃(約17塩基オリゴ)、55℃(約20塩基オリゴ)、及び60℃(約23塩基オリゴ)の6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中での洗浄を示す場合がある。
したがって、本発明は、更に、本発明の多型を検出するヌクレオチドプライマ又はプローブを提供する。評価は、少なくとも1つの核酸プライマ又はプローブ、例えばDNA、RNA、又はペプチド核酸(PNA)又はロックド核酸(LNA)等の核酸類似体のプライマ又はプローブを用いて実行し得る。
本発明の一態様によれば、画定領域中の1つ又は複数の位置での多型を検出することが可能なアレル特異的オリゴヌクレオチドプローブが提供される。
アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは、5乃至50ヌクレオチド、更に好ましくは約5乃至35ヌクレオチド、更に好ましくは約5乃至30ヌクレオチド、更に好ましくは少なくとも9ヌクレオチドである。
***炎との関連性の判定
遺伝子マーカが遺伝物質中に存在するかを検出するために、当業者に周知の標準的方法を、例えば、核酸増幅を用いて応用し得る。遺伝子マーカが***炎抵抗性形質に遺伝的に連鎖するかを判断するために、並べ替え検定を応用することが可能であり(Doerge and Churchill, 1996)、或いはPiepho法を適用することができる(Piepho, 2001)。並べ替え検定の原理は、Doerge and Churchill (1996)により十分に説明されており、Piepho法は、Piepho (2001)により十分に説明されている。回帰法を用いた家系内解析における有意な連鎖には、10000の順列が、並べ替え検定を用いて作成された(Doerge and Churchill, 1996)。染色体全体レベルで5%という閾値を、遺伝子マーカと、***炎抵抗性及び体細胞数形質との間の連鎖についての有意な証拠と見做した。加えて、QTLは異なる雄親家系で確認された。分散成分法を使用する家系間解析及び多形質解析については、Piepho法を用いて有意レベルを決定した(Piepho, 2001)。染色体全体レベルで5%という閾値を、遺伝子マーカと、***炎抵抗性及び体細胞数形質との間の連鎖についての有意な証拠と見做した。
ウシ被験体を選択する方法
一態様において、本発明は、更に、育種目的でウシ被験体を選択する方法に関する。この育種目的でウシ被験体を選択する方法は、前記ウシ被験体由来の試料において、本明細書に定める少なくとも1つの遺伝子マーカの有無を検出することにより、ウシ被験体における***炎に対する抵抗性を判定すること等、本明細書に定める何れかの方法により、ウシ被験体及び/又はその子供の***炎に対する抵抗性を判定することを含む。
方法の目的は、育種のために、育種価が最も高いウシ被験体を選択することである。例えば、本発明による育種用ウシ被験体の選択は、前(親)世代のウシ被験体の平均育種価と比較して、次世代のウシ被験体の平均育種価を高める役割を果たす
一実施形態において、育種目的でウシ被験体を選択する本発明の方法は、前記選択されたウシ被験体の育種価を推定することを含む。例えば、育種価は、本発明の遺伝子マーカの有無に基づいて推定される。
キット
一態様において、本発明は、***炎に対する抵抗性に関連するマーカ等、本明細書に記載の少なくとも1つの遺伝子マーカのウシ被験体における有無を検出する診断キット等のキットに関する。一実施形態において、本発明は、本明細書の他の箇所に記載の2つ以上の遺伝子マーカアレルのウシ被験体における有無を検出する診断キットに関し、キットは、少なくとも1つの検出部材を含む。具体的には、キットは、ウシ被験体及び/又はその子供の***炎抵抗性を示す少なくとも1つの形質に関連する、2つ以上の遺伝子マーカ等、少なくとも1つの遺伝子マーカアレルの有無の検出に適している。***炎抵抗性を示す具体的な形質の例は、本発明の他の箇所に開示している。こうした形質には、SCS、SCC、及び、臨床型***炎の治療症例、例えば、CM11、CM12、CM2、CM3、CM、SCC3、SCC2、SCC1、及び/又はSCCが含まれる。
本発明のキットは、本明細書に定めたゲノム領域内に位置する遺伝子マーカを判定するための少なくとも1つの検出部材を含む。
本発明の検出部材は、ゲノム(エピゲノムを含む)、転写、又は翻訳レベルでの遺伝子マーカを検出することに適した任意の実態を含む。検出部材は、オリゴヌクレオチドプライマ及び/又はプローブ、抗体、アプタマ、化学物質等を含む。
一実施形態において、診断キットは、前記ウシ被験体内の前記遺伝子マーカアレルを検出するための少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。
一実施形態において、検出部材は、オリゴヌクレオチドプライマ及び/又はオリゴヌクレオチドプローブである。好適な実施形態において、検出部材は、本明細書の他の箇所に記載したオリゴヌクレオチドプライマ、又は本明細書に定めた何れかのオリゴヌクレオチドプライマに対応する配列を備えたオリゴヌクレオチドプローブである。キットの少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、5乃至100個の連続するヌクレオチド、例として10乃至30個の連続するヌクレオチド、又は少なくとも5個、例として6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は少なくとも25個の連続するヌクレオチドを含む。好適な実施形態において、検出部材は、表2に定めた表内の列9及び10に記載のSNPマーカの何れか1つに特異的な少なくとも5個の連続するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドである。
一態様において、本発明は、***炎に対する抵抗性に関連する少なくとも1つの遺伝子マーカのウシ被験体における有無の検出に用いるキットであって、表2の領域1乃至61からなる群から選択されるウシゲノムの領域に位置する遺伝子マーカを判定する少なくとも1つの検出部材を備え、前記領域は、列3及び5に定めたSNPマーカにより画定され、及び/又は、列4及び6に定めたゲノム位置により画定される、キットに関する。
本発明のキットの検出部材の検出対象となる遺伝子マーカは、本明細書の他の箇所に開示されている。したがって、遺伝子マーカは、例えば、表2の列9及び10に記載のマーカからなる群から選択される遺伝子内に位置する2つ以上の遺伝子マーカアレル等、本明細書に記載の何れかの遺伝子マーカである。好適な実施形態において、遺伝子マーカは、本明細書の他の箇所に定めるように、NPFFR2遺伝子内に位置する。したがって、一実施形態において、本発明のキットは、NPFFR2遺伝子内の突然変異を検出することが可能な、特に、BTA6上の位置89,059,253Bpに位置するchr6_89059253 SNPを検出するための、少なくとも1つの検出部材を備える。したがって、検出部材は、好適な実施形態において、NPFFR2遺伝子の5乃至100個の連続するヌクレオチド、例として10乃至30個の連続するヌクレオチド、又は少なくとも5個、例として6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は少なくとも25個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列、例として配列番号:1、又はそれに対して少なくとも70%の同一性、例として少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、例として、それに対して少なくとも99%の同一性を有する核酸配列である。好適な実施形態において、核酸配列は、chr6_89059253 SNP、及び/又は、それに結合する任意の遺伝子マーカ多型を含む。
本発明のキットは、更に、少なくとも1つの基準試料を備え得る。一実施形態において、前記基準試料は、本明細書に記載したような、***炎抵抗性に関連する遺伝子マーカを含む核酸配列を含み、他の実施形態において、基準試料は、***炎に対する感受性に関連する遺伝子マーカを含む核酸配列を含む。
本発明のキットは、更に、特定の実施形態において、キットの検出方法の実行と、結果の解釈とに関する説明書を備える。
本発明によるウシ被験体の***炎に対する抵抗性の遺伝的決定因子を確立するためのウシ被験体の遺伝子型判定は、DNA及び/又はRNAに基づくものにすることができる。一例は、本明細書に記載した標準的なDNA抽出手法を用いて提供可能なゲノムDNAである。ゲノムDNAは、多型マーカ領域に対応する(相補的な)オリゴヌクレオチドプライマを用いたポリメラーゼ連鎖反応等の標準的な手法を使用して単離及び増幅し得る。増幅反応の前にDNAを生成する付加的ステップを含んでもよい。したがって、***炎抵抗性及び体細胞数特性を確立する診断キットは、別個の包装に、少なくとも1つのオリゴヌクレオチド配列を備える。
本発明は、更に、***炎に対する抵抗性に関する少なくとも1つの遺伝子マーカのウシ被験体における有無を検出するための本発明のキットの使用、特に本明細書に定めた何れか1つ又は複数のマーカを検出するための本発明のキットの使用に関する。更に、本発明は、ウシ被験体における***炎に対する感受性に関して育種価を推定するための本発明のキットの使用に関する。
育種価を推定する方法
本発明は、更に、推定育種価の判定に関する。
大きな無作為交配集団において、各個体は、集団の大きさを維持するために、平均して2匹の子供を産むべきである。集団における子供の数の分布は、平均値が2、分散が2である、左に傾いた二項分布(ポアソン分布)を有する。これは、個体ごとの子供の数が0より上で変化し、0、1、2、3、4、及び5の値が最も頻度が高いことを意味する。推定育種価は、指標(I)と呼ばれる場合が多い。指標は、考えられる全ての親類からの表現型値の情報に基づいて推定することができる。単純な回帰線又は重回帰を使用することができる。親類の数が高くなる程、推定は良好になる。真の育種値(A)と指標との間の相関は、精度(Accuracy)と呼ばれ、記号rAIを有する。推定育種価は、線形回帰及び相関の理論に基づく。
一態様において、本発明は、ウシ被験体における***炎に対する感受性に関する育種価を推定する方法であって、前記ウシ被験体由来の試料において、前記ウシ被験体及び/又はその子供の***炎抵抗性を示す少なくとも1つの形質に関連する少なくとも1つの遺伝子マーカの有無を検出することを含み、前記少なくとも1つの遺伝子マーカは、表2の領域1乃至61からなる群から選択されるウシゲノムの領域に位置し、前記領域は、列3及び5に定めたSNPマーカにより画定され、及び/又は、列4及び6に定めたゲノム位置により画定される方法に関する。方法は、好ましくは、本明細書の他の箇所に定めた***炎に関連する1つ又は複数の特異的なマーカの検出を含む。
育種価は、一例において、縦方向のTDSCS(longitudinal TDSCS)及び2値CM形質(binary CM traits)と組み合わせた多形質ランダム回帰モデル(mt-RRM)を用いて判定され、行列形式のモデルの一般的な記述を有する。
y = Xb + Ηhh + Κkk + Zaa + Zpp + e
ここで、yは、上述した9種類の形質の観察によるベクトルである。ベクトルb、h、kは、環境影響を含み、ベクトルa及びpは、追加の遺伝的及び非遺伝的動物回帰係数をそれぞれ含む。
y = Xb + Ηhh + Κkk + Zaa + Zpp + e
ここで、yは、上述した9種類の形質の観察によるベクトルである。ベクトルb、h、kは、環境影響を含み、ベクトルa及びpは、追加の遺伝的及び非遺伝的動物回帰係数をそれぞれ含む。
モデル内の環境影響は、分娩年齢、牛群環境、及び泌乳期にすることができる。追加の遺伝的及び非遺伝的な動物の影響を、TDSCSの二次ルジャンドル多項式と、推定対象のランダム効果毎に15×15の(共)分散に繋がる他の形質の切片とによりモデル化することができる。ベクトルeは、9つの形質の残差を含む
正確な推定を促すために、CM形質とTDSCSとの間の残差(共)分散は、ゼロと仮定してよく、CM及び***タイプの残差分散は、この分散の一部が恒久的な環境成分に入るように演算上、低い値に設定してよい。これにより、CMと縦方向の形質との間の恒久的な環境相関の推定を容易にすることができる。共分散成分は、DMUパッケージを用いて推定した。
一実施形態において、育種価は、マーカ支援単一形質最良線形不偏予測(MA-BLUP)を用いて計算する。
具体的な***炎抵抗性形質、遺伝子マーカ及びマーカアレル、試料、ウシ被験体、検出方法等は、本明細書の他の箇所に定めている。
選択的育種
一態様において、本発明は、ウシ被験体の選択的育種の方法を提供する。本発明の方法は、選択的育種に適したウシ被験体の特定を可能にする。
一実施形態において、こうした方法は以下のステップを含む
a.ウシ被験体を提供すること、
b.前記被験体から生体試料を取得すること、
c.表2の領域1乃至61からなる群から選択されるウシゲノムの領域であって、列3及び5に定めたSNPマーカにより画定され、及び/又は、列4及び6に定めたゲノム位置により画定される領域に位置する少なくとも1つの遺伝子マーカの存在を試料において判定すること、
d.前記少なくとも1つの遺伝子マーカをゲノム内に有するウシ被験体を選択すること、及び
e.前記ウシ被験体を育種に用いること。
a.ウシ被験体を提供すること、
b.前記被験体から生体試料を取得すること、
c.表2の領域1乃至61からなる群から選択されるウシゲノムの領域であって、列3及び5に定めたSNPマーカにより画定され、及び/又は、列4及び6に定めたゲノム位置により画定される領域に位置する少なくとも1つの遺伝子マーカの存在を試料において判定すること、
d.前記少なくとも1つの遺伝子マーカをゲノム内に有するウシ被験体を選択すること、及び
e.前記ウシ被験体を育種に用いること。
生体試料は、遺伝物質を含み、好ましくは容易に入手可能な、任意の適切な試料にしてよい。試料の種類は、更に本発明の他の箇所に記載されている。
ウシは、好ましくは雄の被験体、即ち雄牛である。例えば、ウシ被験体が雄牛である場合、ウシ被験体の育種での使用は、通常、前記雄牛から***を採取すること、及び前記***を1頭又は複数頭の若雌牛又は雌牛の人工受精に用いることを含む。
しかしながら、関連する遺伝子マーカ(群)の存在は、本発明の方法により、雌牛及び若雌牛において判定してもよい。
実施例1
畜牛における臨床型***炎及び体細胞スコアQTLの微細マッピング
序論
ゲノムワイド連鎖解析は、大きな半同胞家系構造を利用できることから、最近まで、畜牛における量的形質遺伝子座(QTL)の選択の方法となっていた。連鎖解析は、メンデル遺伝を示す表現型の遺伝子を同定するために伝統的に用いられる方法である。量的形質等の複合表現型に対して、連鎖解析からは、限られた成果しか得られていない。連鎖解析においては、家系、及び祖先が分かっている血統内で発生する組み替えの機会が少数であるため、マッピングの分解能が比較的低くなり、候補多型の検索が限定される。反対に、関連マッピング(連鎖不平衡マッピング)は、高分解能マッピングのために集団レベルでの歴史的な組み換え事象を利用することにより、複合的な形質変動を配列レベルまで分解する強力なツールとして現れている。この手法では、対象となる形質について、母集団において予測能力を有するマーカ/ハプロタイプを同定する。こうしたマーカ及びハプロタイプは、マーカに基づく選別に直接的に用いることができる。一般には、ゲノム走査を用いて、一部の試験統計値が所定の閾値を上回ったQTLのマッピングを行う。閾値レベルは、非常に保存的に選択することができるが、QTLが実際に第1種の過誤を表す確率が残る。そのため、QTL調査の結果は、後続の微細マッピング実験又はマーカ支援選別に用いる前に、独立した解析において確認するべきである。連鎖解析からの結果を関連性調査により確認できる場合、これも、検出されたQTLの信頼性を高める。
Lundら(2008)は、連鎖解析を用いて、デーニッシュホルスタイン牛における臨床型***炎及び多細胞スコアに対してQTLをマッピングした。Lundらは、全常染色体に渡って広がる、平均マーカ間隔8.6cMの、356個のマイクロサテライトマーカに関するデータを使用した。しかしながら、報告されたQTL領域は、非常に長い(一部のQTLでは20cM超)。こうした大きなQTL領域は、家系特異的なマーカ-QTL関連性と相俟って、実際の動物育種及び候補多型検索に対する、その結果の有用性を制限する。したがって、選択の決定にQTL情報を含めるには原因多型の微細マッピングが必要であるため、狭小なゲノム領域に対してQTLをマッピングする必要性は、依然として存在している。本実施例では、密なSNPマーカを用いて、畜牛における6種類の***炎形質に対して関連マッピングを実施した。
材料及び方法
遺伝子型判定
合計2,531頭のデーニッシュ及びスウェディッシュホルスタインの雄牛について、bovineSNP50 beadchip(Illumina(登録商標))を用いて遺伝子型を判定した。マイナーアレル頻度が0.05以上且つ平均GCスコアが少なくとも0.65であるSNPのみを解析用に保持した。これにより、29のウシ常染色体(BTA)上の合計36,387のSNPを、関連解析用に選択した。GCスコアが0.6未満である個々のSNPタイプを除外した。解析に含めるSNP数は、BTA28上の675からBTA1上の2,320まで様々となった。SNPの遺伝子型判定プラットフォーム及び品質管理の詳細は、Sahana et al. (2010a)に記載されている。染色体内のSNP位置は、ウシゲノムアセンブリ(Btau_4.0、Liu et al. 2009)を基準とした。
表現型データ
単一形質育種価(STBV)を、この解析の表現型として用いた。6種類の***炎関連STBVを、SNPとの関連性について解析した。単一形質育種価は、最良線形不偏予測(BLUP)手順と、Nordic Cattle Genetic Evaluationによる雄親モデルとを用いて、動物毎に計算した。育種価予測に用いた定義及びモデルについては、http://www.nordicebv.infoを参照されたいが、但し、他の形質との相関は、0に設定し、相関形質の表現型からの情報が、任意の特定の形質の結果に影響することを回避した。更に、雄親-息子及び息子-子供の関係のみを含め、効果的に雄親モデルを生成した。STBVは、公式の日常的な評価と同様の系統的影響についての調整を行った。臨床型***炎は、2値形質として定義し、次の4種類の期間内での***性治療有り(1)又は無し(0)とし、即ち、第1の泌乳の-15乃至50日(CM11)、第1の泌乳の51乃至305日(CM12)、第2の泌乳の-15乃至305日(CM2)、第3の泌乳の-15乃至305日(CM3)における***炎の発生とし、全て2値形質として測定した。4種類の***炎形質のSTBVは、以下の相対荷重:CM=0.25*CM11+0.25*CM12+0.3*CM2+0.2*CM3により共に重み付けし、***炎抵抗性指標(CM)を形成し(Johansson et al. 2007)、平均値100、標準偏差10に標準化した。体細胞スコア(SCS)は、***の健康に関する育種価の推定にとって重要な形質となる。SCSは、最初の3回の泌乳から5乃至170日の平均対数体細胞数の指標であり、相対加重は、第1、第2、及び第3の泌乳に対して、それぞれ0.5、0.3、及び0.2である(Johansson et al. 2007)。遺伝子型判定した動物において解析に利用可能となったSTBVの数は、CM11が1671、CM12が1668、CM2が1669、CM3が1544、CMが2098、SCSが1671となった。
関連解析の統計的方法
混合モデル:Yu et al. (2006)により提案された混合モデル解析を関連解析に用いた。この手法では、多遺伝子の遺伝的影響をランダム効果とし当て嵌める。単一のSNPを、固定効果として連続的にモデルに含めた。モデルは、次の通りである。
Y = μ1 + αs + Zu + e
ここで、yは観察された表現型(STBV)のベクトルであり、μは共有される固定効果であり、1は1のベクトルであり、αはSNPのアレル置換効果であり、sはαを固定に関連付ける要素0、1、又は2を有する発生ベクトルであり、Zは記録を固体に関連付ける行列であり、uは、付加的な多遺伝子効果のベクトルであり、eはランダム残差効果のベクトルである。ランダム変数u及びeは、正規分布に従う多変量と仮定する。uは、平均値0及び共分散行列σg2Aを有し、ここで、σg2は、多遺伝子の遺伝分散であり、Aは、血統に由来する付加的な関係行列である。eは、平均値0及び共分散行列□e2Iを有し、ここで、□e2は、残差分散であり、Iは、恒等行列である。解析は、ソフトウェアパッケージDMU(http://gbi.agrsci.dk/dmu/)を用いて実行した。各マーカの効果の有意性は、α=0の帰無仮説に対するt検定を用いて試験した。
Y = μ1 + αs + Zu + e
ここで、yは観察された表現型(STBV)のベクトルであり、μは共有される固定効果であり、1は1のベクトルであり、αはSNPのアレル置換効果であり、sはαを固定に関連付ける要素0、1、又は2を有する発生ベクトルであり、Zは記録を固体に関連付ける行列であり、uは、付加的な多遺伝子効果のベクトルであり、eはランダム残差効果のベクトルである。ランダム変数u及びeは、正規分布に従う多変量と仮定する。uは、平均値0及び共分散行列σg2Aを有し、ここで、σg2は、多遺伝子の遺伝分散であり、Aは、血統に由来する付加的な関係行列である。eは、平均値0及び共分散行列□e2Iを有し、ここで、□e2は、残差分散であり、Iは、恒等行列である。解析は、ソフトウェアパッケージDMU(http://gbi.agrsci.dk/dmu/)を用いて実行した。各マーカの効果の有意性は、α=0の帰無仮説に対するt検定を用いて試験した。
有意性検定:ファミリーワイズエラー率(FWER)の制御のため、ボンフェローニ補正を適用した。ボンフェローニ補正は、FWER(α)=1-(1-αi)m≒(原文は二重波線)αimを制御し、ここで、αiは、個別の検定不合格判定値であり、mは、検定の数である。5%染色体別有意性閾値は、BTA1上の点別のp値2.16×10-5から、BTA28上の7.41×10-5、又は-log10変換スケールにおける4.67乃至4.13の範囲となった。ボンフェローニ補正は非常に保存的であり(Han et al. 2009)、SNP間の相関(連鎖不平衡)は考慮されない。我々は、QTLマッピングに対してマイクロサテライトマーカによる連鎖解析を用いたLund et al. (2008)によりQTLが以前に同定されたQTL領域に対して、10-4という緩やかな有意性閾値を用いた。以下の節において、有意な関連とは、染色体別有意性を意味し、示唆的関連性とは、10-4未満の点別p値を意味する。
QTL領域のマーキング:通常、QTL近傍の複数のSNPでは、単一SNP解析において有意な結果が生じると予想される。これは、物理的に原因因子の近くに位置する全てのSNPは、連鎖不平衡となる傾向を有するためである。この効果は、遺伝距離と共に減少し、マイナーアレル頻度にも依存する。本研究において、QTL領域は、主観的に境界を定めた。最有意SNPから開始して、QTL領域は、全てのマーカが3未満のlog(p)値を有する領域に達するまで、即ち、このように境界を定めたQTLが1つ又は複数の有意でないマーカを含むまで、左右に延長させた。本研究の結果を以前のものと比較するために、Btau_4.0からマーカ位置を取り出した。Btau_4.0においてマーカ位置が利用できなかった場合は、マーカを報告し、MARC table[http://www.marc.usda.gov/genome/cattle/cattle.html]からのcM単位の位置を与えた。
結果
本ゲノムワイド関連研究(GWAS)により、デーニッシュ及びスウェディッシュホルスタイン牛の8つの染色体において、臨床型***炎及び体細胞スコアに対する9つの染色体別有意QTLが同定された(表3)。染色体別有意関連性を示した92のSNP×形質の組み合わせを提示しており、そのうち、24の組み合わせは、ゲノムワイド有意性閾値を超えた(補足表3)。ゲノムワイド有意関連性の殆どは、CMについて観察され、4つのSNPは、CM2とのゲノムワイド有意関連性を示した。5つのSNPは、2つ以上の***炎形質との有意関連性を示した。信号プロット(図1乃至6)は、SNP関連性がゲノム全体でどのように位置しているかの概要を示しており、ゲノム位置上のQTLが2つ以上の形質に影響するかを視覚化するのにも役立つ。最も有意性の高い信号は、BTA6上で観察された。ここでは、幾つかの***炎形質との有意性の高い関連が観察された。最も強い信号は、CMに対するものであり、続いてCM2、SCS、及びCM11となった。関連性について形質間で一致する結果は、BTA16においてSCS、CM11、CM12、及びCMに対して、BTA1においてSCS、CM11、CM12、CM2、CMに対して観察された。幾つかの***炎形質間で同じ染色***置にあるQTLは、BTA14においても確認された。
考察
関連マッピングにより観察されたQTL間隔は、マイクロサテライトマーカの疎らなマップによる連鎖研究を用いたLund et al. (2008)が報告したものに比べ、大幅に狭小となった。関連マッピングは、集団レベルの連鎖不平衡を利用する。そのため、QTLを非常に小さな染色体領域にマッピングすることができる。***炎形質の定義は、Lund et al. (2008)と本研究とにおいてわずかに異なる。そのため、第1の泌乳(-10乃至305日)についての臨床型***炎は、1つの形質(CM1)として研究されていたが、我々は第1の泌乳の***炎を2つの小形質(CM11及びCM12)に分割している。
BTA4上で、CM及びSCSに影響するQTLを19.7Mbにおいて検出した。更に、66.46乃至66.61Mbの3つのSNPが3.5乃至3.8の-log10(p)値を有することを観察した。更に、CMに対する2つの示唆的QTLを、BTA5上で40.3及び97.0Mbにおいて検出した。
本研究における***炎形質に対するSNPの最も強い関連は、BTA6上で89.2Mbにおいて観察された。このQTLは、CM、CM11、及びSCSに影響した。最有意SNPであるss86341106は、デオキシリボヌクレオシドサルベージ経路において律速ステップを触媒する遺伝子デオキシシチジンキナーゼ(DCK)内に位置している。高レベルのDCK発現は、胸腺及び骨髄で見つかっており、リンパ球生成におけるDCKの役割を示している。実際、酵素活性の欠如したノックアウトマウスは、複合免疫不全表現型を示し、即ち、生成するT及びBリンパ球のレベルが非常に低い(Toy et al., 2010)。この領域での他の有力な候補遺伝子は、免疫グロブリンJポリペプチドをコードするIGJ遺伝子である。このタンパク質は、免疫グロブリンM(IgM)五量体複合体の形成及びIgA二量体の構築において、核形成機能を果たす。IgMは、微生物感染に対する一次免疫応答において生成される第1の抗体であり、したがって、病原体が全身に広がるのを防ぐ上で重要な役割を果たす(Racine and Winslow, 2009)。同じくIgAは、微生物、特に、粘膜面を介して宿主に侵入するものに対する防御に関与する。したがって、IgAは、粘膜の分泌に見られる主要な抗体クラスであり、微生物に結合し、粘膜への付着又は粘膜の貫通を防止する(Lamm, 1997)。
更に、SNPであるss61565956と有意に関連する他のQTLを、BTA6上の25.2において検出した。この領域における興味深い候補遺伝子は、DAPP1であり、Bam32としても知られており、B細胞リンパ球において発現され、B細胞抗体受容体(BCR)の信号伝達に関与している。したがって、BCRに結合する抗体は、増殖及び分化といったB細胞の運命決定、及びBCRを介した抗原の内在化、処理、及びT細胞への提示にとって重要な信号伝達プロセスの鎖に関与する(Pierce, 2002)。Bam32欠損マウスの研究により、Bam32がB細胞のBCR誘導性の増殖を媒介するが、生存は媒介しないこと(Han et al., 2003)、B細胞抗原受容体の内在化を調整すること(Niiro et al., 2004)、及び効率的なT細胞活性化に必要なB細胞及びT細胞間の安定した相互作用の形成を、殆どの場合はT細胞上で発現するインテグリンリガンドへの付着を促進することにより、促進すること(Al-Alwan et al., 2010)が明らかとなっている。
更に、CMに影響するQTLを示唆する証拠を、BTA9上の75.9Mbにおいて検出した。
CMに影響するQTLを示唆する証拠を、BTA11上の69.2Mbにおいて検出した。更に、CMを示唆するQTLを、30.4Mbにおいて観察した。
BTA13上で、CM、CM11、及びCM12に対するゲノムワイド有意QTLをBTA13の57.7Mbにおいて検出した。ゲノムワイド関連性を示す、近接して位置する2つのSNPが存在し、エンドセリン3遺伝子に非常に近接して位置している[http://www.ensembl.org/Bos_taurus/]。エンドセリンET-1、ET-2、及びET-3は、マクロファージ及び内皮細胞並びに上皮細胞といった無数の細胞及び組織により生成される、21個のアミノ酸から成るペプチドのファミリを構成する(Giaid et al., 1991)。血管収縮作用に加え、好中球の活性化等、多くの異なる細胞型に対する影響を有する(Elferink and De Koster, 1998)。好中球は、食作用又は抗菌ペプチドの放出により細菌感染及び真菌感染に対抗する血液由来白血球である(Selsted and Ouellette, 2005)。この領域に位置する他の考えられる候補遺伝子は、Phactr3(phosphatase and actin regulator 3)であり、アクチン細胞骨格との直接的な相互作用により細胞の拡散及び移動を刺激することが明らかとなっている(Sagara et al., 2009)。細胞の移動性は、細胞性免疫応答にとって非常に重要である(Luster et al., 2005)。Lund et al. (2008)は、SCSに対するQTLをマイクロサテライトマーカBM9248(29.1cM)及びBL1071(68.6cM、Btau_4.0では71.9Mb)間で検出した。報告された連鎖解析におけるQTL間隔は、非常に長い(39.5cM)。対照的に、本GWASは、QTLを4Mb領域に狭めることができた。
我々は、ゲノムワイド有意QTLをBTA20上の37.7Mbにおいて同定した。最有意SNPであるrs41940571は、遺伝子RIPTOR independent companion of MTOR,complex 2に連鎖している。Btau_4.0のアセンブリでは、このQTL領域内に他の幾つかの遺伝子が位置している。これらの中には、C9遺伝子があり、補体成分C9前駆体をコードしている。補体系は、侵入病原体に対する免疫応答の一部である。古典的、代替、又はマンナン結合レクチン経路を介した補体系の活性化は、最終的に、細菌細胞膜に細孔を形成する膜侵襲複合体の形成に繋がり、細胞溶解をもたらす。補体C9は、MACの孔形成サブユニットであり、この遺伝子における突然変異は、髄膜炎菌性髄膜炎等の感染症のリスク増加に関連する(Kira et al., 1998; Zoppi et al., 1990; Horiuchi et al., 1998)。Lund et al. (2008)は、UDに対するQTLを、BTA20上の31.3乃至48.2Mbにおいて観察した。これら2つの研究は、恐らく同じQTLを示している。
BTA23上で、Lund et al. (2008)は、SCSに対するQTLをBMS466(46.1cM、Btau_4.0では43.4Mb)及びINRA090(53.2cM)間で、UDに対するQTLを43.9乃至46.6Mbにおいて観察した。Ashwell et al. (1997)及びHeyen et al. (1999)は、SCSに対するQTLをBTA3上の39.9及び48.6 Mbのそれぞれにおいて検出した。我々の研究では、CM及びSCSに影響するQTLを示唆する証拠が、この染色体上の11.7Mbにおいて発見されており、先行する報告とは遠く離れている。我々が発見したQTLは、以前に報告されたものとは異なるものである可能性がある。
我々は、更に、同じ集団においてLund et al. (2008)により検出されていない、CM及びCM2に影響するゲノムワイド有意QTLを、BTA14(0.7Mb)の近位端で検出した。3つのSNPは、MAS2とのゲノムワイド有意関連性を示した。CYP11B1を有する約1.3Mbの領域は、ジャーマンホルスタイン牛におけるSCSに対するQTLを含んでおり(Kaupe et al. 2007)、本研究において検出されたものと同じQTLである可能性がある。Btau_4.0において、このQTL領域には幾つかの遺伝子が位置しており、これには、乳脂肪含有量及び他の牛乳特性における表現型分散に対して大きな影響を有するDGAT1が含まれる(Grisart et al. 2002)。
臨床型***炎とSCSとの間の遺伝相関は、0.70より大きい(Lund et al. 1999, Carlen et al. 2004; Heringstad et al. 2006)。したがって、CMに影響するQTLの多くは、SCSにも影響することが期待された。臨床型***炎形質に影響する9つの有意QTLのうち、5つは、SCSに対する効果を示した。これは、臨床型***炎とSCSとの間の高い遺伝相関から予期された通りであった。本研究のように臨床型***炎及びSCSを共に解析することは、文献のQTLが臨床型***炎に影響することが期待できるSCSの範囲を示す上で役に立つ場合がある。本研究において解析した6種類の***炎形質のうち、QTLの最大数を、最初の3回の泌乳での臨床型***炎を組み合わせた指標である***炎指標について観察した。
本研究では、幾つかの***炎QTLを同定した。我々は、密なSNPマーカによる関連研究を、畜牛のような複合血統集団由来の試料に対して最も良く機能することが観察された混合モデル解析に用いた(Sahana et al. 2010b)。本研究では、以前の連鎖解析により可能であったものよりも大幅に狭いゲノム領域まで、QTL位置を精緻化した。この関連マッピングにより、QTLとの連鎖不平衡にある或いは原因突然変異であるSNPが同定されるため、***炎抵抗性に関する集団レベルでのマーカに基づく選別が実行可能となった。一部のQTL領域は、***炎QTLの基礎となる候補遺伝子の更なる探索を開始する上で十分に狭小となった。
実施例2
乳牛における臨床型***炎及び体細胞スコアQTLの超微細マッピング
乳牛における臨床型***炎及び体細胞スコアQTLを、777,962個のSNPプローブを含む高密度SNPチップを用いて微細マッピングした。
関連マッピング
関連マッピングは、形質における表現型の差異に結び付いた特異的な機能的変異体(即ち、座位、アレル)を特定し、DNA配列多型を引き起こす形質の検出及び/又は表現型に酷似した遺伝子型の選別を容易にする。関連マッピングは、様々な形で定義されており(Chakraborty and Weiss 1988; Kruglyak 1999)、「関連性遺伝学」、「関連研究」、及び「連鎖不平衡マッピング」とも呼ばれている。ゲノムワイド関連研究(GWAS)は、一般的な遺伝子変異体と疾患のリスク又は量的形質との関連性の不可知論的評価を始めるための重要な手段を提供する。我々の遺伝的変異の理解と、こうした変異を測定する技術とにおける最近の進歩により、GWASが実現可能となっている。
本実施例において、関連マッピングは、乳牛における***性抵抗性に関連する一塩基多型(SNP)を同定するために使用されている。***炎に対する抵抗性を改善するための動物の選択に有益に応用可能な、幾つかの量的形質遺伝子座(QTL)が特定された。
表現型
***炎抵抗性のゲノム走査は、デーニッシュ及びスウェディッシュホルスタイン牛を用いて、解析される9種類の***炎表現型に対して実行した。***炎抵抗性の量的形質遺伝子座(QTL)をマッピングするために用いた表現型は、Nordic Cattle Genetic Evaluation用に推定された***健康指標とした(NAV、Pedersen、2008、www.nordicebv.info)。NAVにおいて現在評価されている***健康形質は、3回の泌乳での4種類の臨床型***炎を含み、全て2値形質として測定された(表5)。これら4種類の***炎形質を共に重み付けして***炎抵抗性指標(CM)を形成し、平均値100及び標準偏差10に標準化した(Johansson et al. 2007)。これら9種類の***炎関連表現型についての記録を有するデーニッシュ、スウェディッシュ、及びフィニッシュホルスタイン乳牛のうち、4200頭の雄牛では後代検定が行われた。これらの雄牛のSNP遺伝子型及び表現型を、関連マッピングに利用した。
遺伝子型
ホルスタイン雄牛は、Illumina Bovine SNP50 BeadChipを用いて遺伝子型判定を行った。遺伝子型判定は、Illumina Bovine SNP50 BeadChip(Illumina Inc., http://www.illumina.com/Documents/products/datasheets/datasheet_bovine_snp5O.pdf)により、デンマーク農業科学研究所(Danish Institute of Agricultural Sciences)のFoulum研究センタ(Research Center Foulum)分子生物学及び遺伝学部(Department of Molecular Biology and Genetics)及びGenoSkanのFoulumアグロビジネスパーク(AgroBusiness Park Foulum)において行われた。Illumina(登録商標) Infinium II Multisampleアッセイデバイスをプラットフォームとして使用した。SNPチップは、iScanを用いて走査し、Beadstudio ver.3.1ソフトウェアを用いて解析した。SNPの選択に用いた品質パラメータは、個体に対しては85%、座位に対しては95%の最小コールレートとした。マイナーアレル頻度(MAF)が5%を下回るマーカ座位は除外した。最小許容GCは、個体の型判定に対して0.60とした。平均GCスコアが0.65を下回る個体は除外した。品質制御後のSNPの数は、50kデータセットにおいて43,415となった。EuroGenomicsプロジェクト(Lund et al., 2011)の合計557頭のホルスタイン雄牛に対する遺伝子型の再判定を、BovineHD Genotyping BeadChip (http://www.illumina.com/Documents/products/datasheets/datasheet_bovineHD.pdf)により行った。BovineHD BeadChip上の合計777,962のSNPは、平均ギャップサイズ3.43kb、中間ギャップサイズ2.68kbでウシゲノム全体に均一に広がった。HDデータに対して設定した品質制御パラメータは、上述した50Kチップに対するものと同様とした。50k遺伝子型は、HD遺伝子型判定雄牛のマーカデータ(Su et al 2011; interbull meeting presentation)に基づいて、Beagleソフトウェアパッケージ(Browning and Browning, 2009)を用いて、HD遺伝子型にインピュテーションを行った。50kチップ内だが、HDチップに含まれないマーカは、インピュテーションプロセスから除外した。BovineHDチップへのインピュテーション後のSNP数は、648,219となった。SNPのゲノム位置は、UMD3.1アセンブリ(http://www.ensembl.org/Bos_taurus/2011_09_cow_genebuild.pdf)から取り出した。29のウシ常染色体上に位置する648,219のSNPの物理的地図は、www.illumina.comにおいて入手することができる。
関連マッピングに使用するモデル
関連マッピングモデルの詳細は、Yu et al. (2006)及びSahana et al. (2010)により説明されている。関連解析に用いられる統計モデルは、次の通りである。
yi = μ + bxi + si + ei
ここで、yiは、個体iの単一形質推定育種価であり、μは、全般的な平均であり、xiは、個体iにおける(任意の標識を有する)2つのアレルの一方の計数であり、bは、アレル置換効果であり、siは、個体iの雄親のランダム効果で、正規分布N(0,Aσs 2)を有すると仮定され、ここでAは、付加的な関係行列であり、σs 2は、雄親の分散であり、eiは、個体iのランダム残差で、平均値0及び誤差分散σe 2の正規分布に従うと仮定される。検定は、H0:b=0の帰無仮説に対するワルド検定を用いて実行した。有意性閾値は、ボンフェローニ補正を用いて決定した。ゲノムワイド有意性閾値は、名目有意性閾値0.05を解析に含まれたSNPの合計数で割ることにより計算した。
yi = μ + bxi + si + ei
ここで、yiは、個体iの単一形質推定育種価であり、μは、全般的な平均であり、xiは、個体iにおける(任意の標識を有する)2つのアレルの一方の計数であり、bは、アレル置換効果であり、siは、個体iの雄親のランダム効果で、正規分布N(0,Aσs 2)を有すると仮定され、ここでAは、付加的な関係行列であり、σs 2は、雄親の分散であり、eiは、個体iのランダム残差で、平均値0及び誤差分散σe 2の正規分布に従うと仮定される。検定は、H0:b=0の帰無仮説に対するワルド検定を用いて実行した。有意性閾値は、ボンフェローニ補正を用いて決定した。ゲノムワイド有意性閾値は、名目有意性閾値0.05を解析に含まれたSNPの合計数で割ることにより計算した。
結果
***炎関連形質に関連する22の染色体上の合計61のQTL領域が特定された。QTL領域は、各QTLに対する最も有意性の高い関連SNPと共に、表6に提示しており、図17を参照されたい。BovineHD Genotyping BeadChipのデータシートは(http://www.illumina.com/Documents/products/datasheets/datasheet_bovineHD.pdf)からダウンロードすることができる。SNPの名前及び位置は、Illuminaのウェブサイトで入手可能であり、www.Illumina.comを参照されたい。
表6:図17参照
実施例3
BTA6上のQTL領域(88乃至96Mb)の全ゲノム配列データを用いた原因突然変異に対する標的を定めたゲノムワイドでの関連付け
標的領域(TR)
BTA6上の88乃至96Mbからのゲノム領域を、90頭の雄牛の全ゲノム配列から同定したSNP変異体による標的ゲノムワイド関連研究のために選択した。このゲノム領域を選択したのは、Illumina Bovine SNP50 BeadChip(HD SNPチップ)の解析において臨床型***炎と最も強い関連を示したためである。HD SNPチップ解析において臨床型***炎との最有意SNPと関連するものは、BTA6上の88,919,352Bpに位置するBovineHD0600024355となった。
全ゲノム配列(WGS)
3品種からの90頭の雄牛(ノルディックホルスタイン、デーニッシュジャージー、及びノルディックレッド種からそれぞれ30頭まで)の全ゲノムは、中国のBeijing Genomic Institute(BGI)において配列決定された(カバレッジ10×まで)。全ゲノム配列を解析し、2400万超の変異体が観察された。変異体は、機能アノテーションを行った。***炎QTLを有するBTA6上の標的領域(TR)について、SNP多型を抽出した。8MbのTR内に合計41,993個のSNP変異体が存在した。臨床型***炎表現型及びHD SNPチップ遺伝子型を有するノルディックホルスタイン雄牛は、5,193頭となった。これらの動物は、ソフトウェアBeagle(Browning and Browning, 2007)を用いて、WGSにおいて特定された41,993個のSNP変異体に対するインピュテーションを行った。関連解析を、これら5,193頭の雄牛のデータに対して、混合線形モデル解析(Yu et al. 2006)を用いて実施した。結果として、神経ペプチドFF受容体2(NPFFR2)遺伝子の臨床型***炎との関連性が明らかとなった(図16)。遺伝子は、BTA6上の89,052,210乃至89,059,348Bpに位置する。SNPであるchr6_89059253により特定され、BTA6上の89,059,253Bpに位置するNPFFR2遺伝子内の非同義変異は、-log10(p値)=37.4を有した。このSNP変異体は、第1の泌乳における臨床型***炎(CM11)に関連する。したがって、NPFFR2遺伝子は、臨床型***炎に強く影響すると思われ、chr6_89059253 SNPは、ノルディックホルスタイン牛における臨床型***炎に対する抵抗性に影響する原因突然変異である可能性が高く、或いはこのSNPは、臨床型***炎に対する抵抗性を司る原因多型との強い連鎖不平衡にある
実施例4
標的領域別関連研究(RWAS)
ゲノムワイド関連研究(GWAS)を、ノルディックホルスタイン牛における9種類の***炎形質に対して事前に実施した。遺伝子型判定は、Bovine HD SNPチップを用いて行った。線形混合モデル解析を実施して、***炎抵抗性と有意に関連するSNPを同定した。このGWAS研究に基づいて、6つのゲノム領域を、全ゲノム配列データによる標的GWASのために選択した(表8)。
全ゲノム配列決定
合計90頭の雄牛(デーニッシュレッド、デーニッシュジャージー、及びノルディックホルスタインからそれぞれ30頭まで)の全ゲノムは、中国のBGIにおいて配列決定された。配列データをオーフス大学、MBG、量的遺伝学及びゲノムセンタ(Quantitative Genetics and Genomic Centre)(QGG)において解析した。平均ゲノムカバレッジは、10×超とした。畜牛の基準ゲノムに対する配列リードのアライメントを行い、1つ又は複数の試料が基準配列と異なる候補部位又は領域を同定した。品質制御尺度により、偽陽性の可能性が高い候補部位を除去した。変異コール、即ち、各個体において変異体部位に存在するアレルの推定は、VCFツール(http://vcftools.sourceforge.net/)を用いて実施した。合計2400万超のDNAレベルの変異体(一塩基多型(SNP)、挿入欠失(indel)、コピー数多型(CNV)等)が3畜牛品種全体で観察された。全ての変異体は、***炎関連形質に影響する候補多型の探索のために機能アノテーションを行った。
標的インピュテーション
6つの染色体領域(表8)を、ノルディックホルスタイン牛における9種類の***炎抵抗性形質について、HD SNPチップによるGWAS研究に基づいて選択した。品質制御後に選択された領域毎に、(全ゲノム配列データからの)領域の長さ及びSNP変異体の数を表8に示す。表現型(推定育種価)は、9種類の***炎関連形質について、5193頭のノルディックホルスタイン雄牛に利用可能となった。これらの雄牛のSNPチップ遺伝子型(50k及び777k)は、ソフトウェアBeagle(Browing and Browing, 2006)を用いて、標的領域に対して配列レベルまでインピュテーションを行った。ここに記載の全てのSNP位置は、ウシゲノムアセンブリ(UMD3.1)の通りである。
領域別関連研究(RWAS)
各SNPを、Yu et al. (2006)に従った線形混合モデル(LMM)に別個に当て嵌めるSNP毎の解析。複合的な家系関係は、家畜集団でのGWAS研究における主要交絡因子となる。多遺伝子効果を介した個体間の関係を含むLMMにより、家系構造による偽陽性を制御することができる(Yu et al., 2006)。
線形混合モデル
各SNPで別個に、SNPと表現型との間の関連を、線形混合モデルを用いた単一遺伝子座回帰分析により評価した。モデルは、次の通りである。
Y = 1μ + mg + Zu + e
ここで、yは、ベクトル表現型(EBV)であり、1は、観測数と等しい長さの1sのベクトルであり、μは、全般的な平均であり、mは、記録をマーカ効果に関連付ける遺伝子型スコア(Beagle出力から取得、0乃至2の範囲の値)であり、gは、SNPの関連相加効果のスカラであり、Zは、表現型を対応するランダム多遺伝子効果に関連付ける生起行列であり、uは、正規分布N(0,Aσu 2)を有するランダム多遺伝子効果のベクトルであり、ここで、Aは、付加的な関係行列であり、σu 2、は多遺伝子分散であり、eは、正規分布N(0,Aσe 2)を有するランダム環境偏差のベクトルであり、ここで、σe 2は、誤差分散である。モデルは、ソフトウェアDMU(Madsen and Jensen, 2011)を用いて、制限付き最尤法(REML)により当て嵌め、検定は、g=0の帰無仮説に対するワルド検定を用いて実行した。
Y = 1μ + mg + Zu + e
ここで、yは、ベクトル表現型(EBV)であり、1は、観測数と等しい長さの1sのベクトルであり、μは、全般的な平均であり、mは、記録をマーカ効果に関連付ける遺伝子型スコア(Beagle出力から取得、0乃至2の範囲の値)であり、gは、SNPの関連相加効果のスカラであり、Zは、表現型を対応するランダム多遺伝子効果に関連付ける生起行列であり、uは、正規分布N(0,Aσu 2)を有するランダム多遺伝子効果のベクトルであり、ここで、Aは、付加的な関係行列であり、σu 2、は多遺伝子分散であり、eは、正規分布N(0,Aσe 2)を有するランダム環境偏差のベクトルであり、ここで、σe 2は、誤差分散である。モデルは、ソフトウェアDMU(Madsen and Jensen, 2011)を用いて、制限付き最尤法(REML)により当て嵌め、検定は、g=0の帰無仮説に対するワルド検定を用いて実行した。
有意関連性
SNPは、複合検定に対するボンフェローニ補正後に、p値が領域別有意性閾値を超えた場合、有意関連性を有すると見做した。
最重要SNPをモデルの共同因子とした関連解析
多数のSNPが、全領域有意性閾値を超えた。LDは高くなることが予測されるため、こうしたSNPの有意な効果は、標的領域において分離した1つのみの原因変異体との連鎖によるものである可能性がある。しかしながら、領域は非常に大きく大きいため(場合により5Mb超)、観察された効果は、ノルディックホルスタイン集団において分離した複数の原因変異体によるものである可能性もある。本解析は、LMM解析及び/又は機能アノテーションからの最重要SNP(表9)を共同因子としてモデルに含めた後で、任意のSNPが有意な関連性を示すかを確認するために行った。解析は、Rパッケージ(http://cran.r-project.org/)のnlmeのlme機能を用いて実行した。モデルは、次の通りである。
Y ij = μ + Si + fixSNP + SNPm + eij
ここで、Yijは、i番目の雄親のj番目の動物に対する動物モデルから取得した(即ち、血統について調整した)残差表現型であり、Siは、i番目の雄親のランダム効果であり、fixSNPは、LMMからの最有意SNP(又は幾つかのトップSNPのうち、機能アノテーションに基づく最重要SNP)に対する遺伝子型スコアの回帰であり、SNPmは、m番目のSNP(m≠fixSNP)の遺伝子型スコアの回帰であり、eijは、ランダム誤差である。
Y ij = μ + Si + fixSNP + SNPm + eij
ここで、Yijは、i番目の雄親のj番目の動物に対する動物モデルから取得した(即ち、血統について調整した)残差表現型であり、Siは、i番目の雄親のランダム効果であり、fixSNPは、LMMからの最有意SNP(又は幾つかのトップSNPのうち、機能アノテーションに基づく最重要SNP)に対する遺伝子型スコアの回帰であり、SNPmは、m番目のSNP(m≠fixSNP)の遺伝子型スコアの回帰であり、eijは、ランダム誤差である。
結果
RWAS(線形混合モデル及び最重要SNPを共同因子とした線形モデルの両方)に対するマンハッタンプロットを、図18乃至23に示す。標的GWASのために選択されたゲノム領域のそれぞれについて、ノルディックホルスタイン牛における9種類の***炎形質に関連する最有意SNPのリストを、下の表に示す。標的領域それぞれの候補多型は、機能アノテーション情報に基づいて探索し、その関連強度を調べた。
6つの標的領域は、全て広範な関連性の選択肢を有する。しかしながら、最も有意な関連SNPを共同因子として含めると(表9)、関連領域の範囲全体が崩れる。これは、共同因子として使用された表9に記載のSNPが、ノルディックホルスタインにおける***炎抵抗性に影響する実際の原因多型であること、或いは、標的領域内の実際の原因多型と非常に高いLDにあることの何れか一方を示している。したがって、これらのSNPは、ホルスタイン牛における個別の動物での***炎抵抗性の予測因子として使用できる可能性がある。以下、個別のゲノム領域からの結果を詳細に考察する。
BTA5(84乃至95Mb)
9種類の***炎関連形質それぞれの最有意SNPを、BTA5上の標的領域について表10に示す。BTA5上の標的領域の全長は、9Mbであり、有意性の高いSNPが集中した2つの領域(86.99及び92.75Mb)が存在した。この領域に対するマンハッタンプロットを図18に示す。
BTA5標的領域内の候補多型
BTA5(86.99Mb):巨大なイントロンが86.99Mbに存在する。上流には、非同義多型(多型に対する代替アレルのアレル頻度(alt)64%)が86,948,388に存在し、候補多型となる可能性がある。下流の87,004,771(alt15%)及び87,004,957(alt3%)には、イントロン内の非コード遺伝子に2つの多型が存在する。更に下流では、同義コードスプライス部位多型が87,023,448(alt31%)に存在する。
BTA5(92.75Mb):92,496,500前後の遺伝子は、3つの多型を92,496,251(alt54%)、92,496,510(alt28%)、及び92,496,586(alt3%)に有する。下流では、次のアノテーションが、93,688,996前後で開始される(遺伝子ENSBTAG00000013541)。しかしながら、この領域の全ての多型は、イントロン、上流、又は下流である。次の上流での候補原因多型は、非同義コーディングである93,939,231(alt7%)(遺伝子ENSBTAG00000008541)となる可能性がある。しかしながら、BTA5の標的領域内の上述した候補多型には、解析した***炎形質に渡って強い関連信号を示すものは存在しない。
BTA5:解析による***炎に関連する遺伝子を下の表にまとめている。
臨床型***炎について、トップSNPは、92.7Mb前後に集中している一方、小さなピークが87Mb、(88.8Mb、90.9MB)、及び93.4Mbの位置に存在する。以下の遺伝子は、87Mb及び92.7Mb前後の2つの主要なピーク領域に位置している。
この領域内の候補遺伝子のうち、我々は、Ras関連及びエストロゲン調節成長阻害因子様タンパク質をコードするRERGLを発見した。この特異遺伝子に関する機能情報は文献に殆ど又は全く存在しない。しかしながら、小GTPアーゼのRasファミリは、免疫及び炎症を含む様々な生物学的プロセスにおいて機能する150を超えるタンパク質の集合である(Johnson and Chen, Cur-rent Opinion in Pharmacology 12, 458-463, 2012)。***炎に関連し得る他の良好な候補遺伝子は、ホスホイノシチド-3-キナーゼクラス2ガンマサブユニットをコードするPIK3C2Gである。多くのPI3K酵素は、免疫細胞の機能において重要な役割を果たす(Johnson and Chen, Current Opinion in Pharmacology, 2012; Koyasu, Immunology, 2003)。
BTA6(88乃至96Mb)
9種類の***炎関連形質それぞれの最有意SNPを、BTA6上の標的領域について表12に示す。BTA6上の標的領域は、長さ8Mbとなった。この領域に対するマンハッタンプロットを図19に示す。
BTA6標的領域の候補多型
SNPであるChr6_89059253は、BTA6の標的領域に対する有力な候補多型である(alt48%、遺伝子ENSBTAG00000009070)。このSNPは、5種類全ての臨床型***炎形質(CM11、CM12、CM2、CM3、及びCM)との非常に強い関連を示した(表13)。
関連する遺伝子の1つは、免疫グロブリンJポリペプチドをコードするIGJ遺伝子だが、この遺伝子は、ピークから離れすぎている可能性があることに留意するべきである。このタンパク質は、免疫グロブリンIgM及びIgAと相互作用する。IgMは、微生物感染に対する一次免疫応答において生成される第1の抗体であり、一方、IgAは、微生物、特に、粘膜面を介して宿主に侵入するものに対する防御に関与する。他の関連する遺伝子は、デオキシリボヌクレオシドサルベージ経路において律速ステップを触媒するデオキシシチジンキナーゼ(DCK遺伝子)である。DCKは、胸腺及び骨髄において発現され、リンパ球生成における役割を示している可能性がある。DCK酵素活性の欠如したマウスは、複合免疫不全表現型を示し、即ち、生成するT及びBリンパ球のレベルが共に非常に低い(Toy et al., PNAS, 2010)。この領域において関係する遺伝子は、アルブミンファミリに属するGC遺伝子である。GCタンパク質は、ビタミンDに結合し、マクロファージの(炎症刺激による)活性化に関与する(Yamamoto and Naraparaju, Journal of Immunology, 1996; Kisker et al., Neoplasia, 2003)。この領域において***炎に関連する他の遺伝子は、神経ペプチドFF受容体2をコードするNPFFR2遺伝子である(別名GPR74)。NPFFR2は、胸腺、肝臓、脾臓、脳、脊髄等を含む幾つかの組織において発現を示す。NPFF受容体は、ホルモン調整、食物摂取の調節、体温調整、オピオイド系の調整による侵害受容に関わるとされている(GeneCardsからの情報)。しかしながら、多くの神経ペプチドが、例えば、マクロファージ活性の刺激因子又は阻害因子として機能することにより、免疫応答に関与することは、十分に裏付けられている(Ganea and Delgado, Microbes and Infection, 2001によるレビュー)。NPFFR2は、プロラクチン放出ホルモンとも結合し、NPFFR2がプロラクチン分泌において役割を果たし得ることを示している(Ma et al., European journal of neuroscience, 2009)。興味深いことに、泌乳の調節に加え、プロラクチンは、免疫系の重要な制御因子としても機能する(Yu-lee, Recent Progress in Hormone Research, 2002)。
BTA13(57乃至63Mb)
BTA13上の標的領域に対する9種類の***炎関連形質それぞれの最有意SNPを表15に示す。標的領域は、長さ6Mbとなった。この領域に対するマンハッタンプロットを図20に示す。
BTA13標的領域内の候補多型
BTA13の標的領域内の機能アノテーションに基づく2つの可能な候補多型は、57579568及び57579569に位置する2つの連続するSNPとなる可能性があり、これらは共に***炎形質との非常に強い関連を示す。
BTA16(48乃至55Mb)
BTA16上の標的領域に対する9種類の***炎関連形質それぞれの最有意SNPを表18に示す。BTA16上の標的領域は、7Mbとなった。この領域に対するマンハッタンプロットを図21に示す。
BTA16標的領域内の候補多型
幾つかの***炎関連形質に渡って強い関連を示したBTA16上の標的領域に対する候補SNPを表19に示す。50,529,178のSNPは、後続の2つのSNP(50,564,280及び50,573,032)と共に、幾つかの形質に渡って強い関連を示した。これら3つの候補の他には、50,529,395(alt8%)の非同義多型が遺伝子ENSBTAG00000020014に位置する。下流には、ENSBTAG00000004738内の候補が50,546,994(alt45%)(非同義)に、スプライス部位多型が50,547,815(alt78%)に存在する。
BTA19(55乃至58Mb)
BTA19の標的領域に対する9種類の***炎関連形質それぞれの最有意SNPを表21に示す。BTA19上の標的領域は、3Mbとなった。この領域に対するマンハッタンプロットを図22に示す。
標的BTA19内の***炎抵抗性に関連する多型
下流のENSBTAG00000013677は、55,324,679Bp前後で開始する(alt72%)。スプライス部位変異体が、55,331,001(alt21%)及び55,338,316(alt64%)に存在する。ENSBTAG00000044443は、55,414,846前後で開始する(関連解析に含まず)。非コード遺伝子内の変異体が55,419,720(alt29%)に存在する。上流のENSBTAG00000002633は、55,158,662前後で開始し、興味深い多型は含まれていない。機能アノテーションから選択した上記SNPに、***炎形質に渡る強い関連信号を示したものは無かった。
BTA20(32乃至40Mb)
BTA20の標的領域に対する9種類の***炎関連形質それぞれの最有意SNPを表23に示す。BTA20上の標的領域は、8Mbとなった。この領域に対するマンハッタンプロットを図6に示す。
標的BTA20領域内の***炎抵抗性に関連する多型
2つの興味深い候補多型変異体が35,965,955及び35,965,956に存在する。関連性結果は、解析した9種類全ての形質との強い関連を示す35,965,955のSNPの方を示している(表24)。ENSBTAG00000010423において、非同義多型が35,966,158(alt52%)に位置している。候補多型は、35,942,954(トリアレル挿入欠失+snp多型)及び35,942,739(alt52%)に、スプライス部位多型が35,938,178(alt2%)に存在する。他の非同義多型は、35,922,233(alt4%)に存在し、他の遺伝子(ENSBTAG00000019595)は、35,994,141前後から開始する。非同義変異体が、36,011,203(alt84%)及び36,013,931(alt73%)に存在する。スプライス部位多型が、36,011,211(alt83%)に存在する。関連の結果と機能アノテーションを組み合わせると、SNPであるChr20_35965955が、***炎形質に影響するBTA20上の標的領域に位置する最も有力な候補多型として現れる。
実施例5
BTA6***炎QTLの原因多型
神経ペプチドFF受容体2遺伝子(NPFFR2)におけるミスセンス突然変異rs110326785(G/A)は、BTA6上の***炎QTLに関連する。この89,059,253Bp(UMD3.1)に位置するSNPは、392EからK(グルタミン酸からリジン)へのアミノ酸変化を引き起こす。ノルディックホルスタインにおけるrs110326785のマイナーアレル頻度は、48.3%である。ホルスタインにおける9種類の***炎形質に対するアレル置換効果を、下の表26に示す。このSNP(rs110326785)は、ノルディックレッド牛集団(MAF=41.2%)において分離しており、***炎指標に関する育種価に対して-2.68(se=0.26)のアレル置換効果を有しており、2.58%の遺伝分散を説明するものとなった。これにより、ホルスタイン及びノルディックレッドの両方における同じ方向の効果が確認され、即ち、アレルAは、両集団において***炎に対する抵抗性を減少させている。
実施例6
BTA20***炎QTLに対する多型
SNP、rs133218364は、ホルスタイン牛における臨床型***炎指標との最も有意な関連を示したカスパーゼ動員ドメイン含有タンパク質6遺伝子遺伝子(CARD6)内の同義変異体である。このSNPは、BTA20上の33,642,072Bpに位置する。同様に、他のSNP、rs133596506(35969994Bp)は、LIFR遺伝子(白血病抑制因子受容体)の3323Bp下流に位置しており、同じく臨床型***炎指標との非常に強い関連を示した。これら2つの変異体を、50K遺伝子型を用いたハプロタイプに基づく分析において固定効果として当て嵌めた。変異体rs133218364により、BTA20上の標的領域に対する総QTL分散を説明することが可能となった(下図の緑の線)。しかしながら、同義変異体であるrs133218364は、タンパク質のアミノ酸組成を変化させない。したがって、rs133218364は、QTLの基礎となる原因多型である可能性は低いが、原因多型との完全な連鎖不平衡にある。LIFR遺伝子の近くに位置するrs133596506は、ハプロタイプモデルに含めた際には、検定統計量の実質的な減少をもたらす。
配列
配列番号:1
NPFFR2遺伝子コード領域
NCBI基準配列:AC_000163.1
GenBankGraphics
>gi|258513361:89052219-89059482ウシヘレフォード種染色体6、Bos_taurus_UMD_3.1、ホールゲノムショットガン配列、89,059,253に位置するG/A SNPのGアレルを有する。
NPFFR2遺伝子コード領域
NCBI基準配列:AC_000163.1
GenBankGraphics
>gi|258513361:89052219-89059482ウシヘレフォード種染色体6、Bos_taurus_UMD_3.1、ホールゲノムショットガン配列、89,059,253に位置するG/A SNPのGアレルを有する。
配列番号:2
rs133218364 SNP
原資料
dbSNP(リリース137)からインポートした変異体(SNP及び挿入欠失を含む)
アレル
基準/代替:T/C | 多義コード:Y
位置
染色体20:33640072(フォワードストランド)
同義語
現在データベースには存在しない
HGVS名
この変異体は、2つのHGVS名を有する-プラスをクリックで表示
隣接配列
下の配列は、変異***置に隣接する基準ゲノムからのものである。変異体は、太字下線付きで示す(Y)。Y位置は、T/Cにすることができる。
隣接する変異体は、強調文字及び多義コード(R及びK)で示している。Rは、G/A変異体、Kは、G/T変異体である。
rs133218364 SNP
原資料
dbSNP(リリース137)からインポートした変異体(SNP及び挿入欠失を含む)
アレル
基準/代替:T/C | 多義コード:Y
位置
染色体20:33640072(フォワードストランド)
同義語
現在データベースには存在しない
HGVS名
この変異体は、2つのHGVS名を有する-プラスをクリックで表示
隣接配列
下の配列は、変異***置に隣接する基準ゲノムからのものである。変異体は、太字下線付きで示す(Y)。Y位置は、T/Cにすることができる。
隣接する変異体は、強調文字及び多義コード(R及びK)で示している。Rは、G/A変異体、Kは、G/T変異体である。
配列番号:3
rs133596506 SNP
原資料
dbSNP(リリース137)からインポートした変異体(SNP及び挿入欠失を含む)
アレル
基準/代替:T/C|多義コード:Y
位置
染色体20:35969994(フォワードストランド)
証拠の状況
同義語
現在データベースには存在しない
HGVS名
20:g.35969994T>C
隣接配列
下の配列は、変異***置に隣接する基準ゲノムからのものである。変異体は、太字下線付きで示す(Y)。Y位置は、T/Cにすることができる。
隣接する変異体は、強調文字及び多義コード(Y、R、及びS)で示している。下線付きのTCは、TC/--挿入欠失変異体、Rは、G/A変異体、Sは、G/C変異体である。
rs133596506 SNP
原資料
dbSNP(リリース137)からインポートした変異体(SNP及び挿入欠失を含む)
アレル
基準/代替:T/C|多義コード:Y
位置
染色体20:35969994(フォワードストランド)
証拠の状況
同義語
現在データベースには存在しない
HGVS名
20:g.35969994T>C
隣接配列
下の配列は、変異***置に隣接する基準ゲノムからのものである。変異体は、太字下線付きで示す(Y)。Y位置は、T/Cにすることができる。
隣接する変異体は、強調文字及び多義コード(Y、R、及びS)で示している。下線付きのTCは、TC/--挿入欠失変異体、Rは、G/A変異体、Sは、G/C変異体である。
図1
Clinical mastitis all lactations (CM): 臨床型***炎、全泌乳(CM)
Chromosome: 染色体
図2
Somatic cell score (SCS): 体細胞スコア(SCS)
Chromosome: 染色体
図3
Clinical mastitis first lactation (-15 to 50 days)(CM11): 臨床型***炎、第1の泌乳(-15乃至50日)(CM11)
Chromosome: 染色体
図4
Clinical mastitis first lactation (51 to 305 days)(CM12): 臨床型***炎、第1の泌乳(51乃至305日)(CM12)
Chromosome: 染色体
図5
Clinical mastitis second lactation (-15 to 305 days)(CM2): 臨床型***炎、第2の泌乳(-15乃至305日)(CM2)
Chromosome: 染色体
図6
Clinical mastitis third lactation (-15 to 305 days)(CM3): 臨床型***炎、第3の泌乳(-15乃至305日)(CM3)
Chromosome: 染色体
図7乃至15
Chromosome: 染色体
図16
trait-1: 形質-1
図17
列1: 領域番号
列2: 染色体
列3: 開始SNP
列4: 開始位置
列5: 終了SNP
列6: 終了位置
列7: 領域BP
列8: 有意SNP数
列9: 最有意SNP名
列10: トップSNP位置
列11: -log10(p値)
列12: 関連を示す形質
図24
Position on BTA20 (cM): BTA20上の位置(cM)
Leukemia inhi. Factor receptor: 白血病抑制因子受容体
Clinical mastitis all lactations (CM): 臨床型***炎、全泌乳(CM)
Chromosome: 染色体
図2
Somatic cell score (SCS): 体細胞スコア(SCS)
Chromosome: 染色体
図3
Clinical mastitis first lactation (-15 to 50 days)(CM11): 臨床型***炎、第1の泌乳(-15乃至50日)(CM11)
Chromosome: 染色体
図4
Clinical mastitis first lactation (51 to 305 days)(CM12): 臨床型***炎、第1の泌乳(51乃至305日)(CM12)
Chromosome: 染色体
図5
Clinical mastitis second lactation (-15 to 305 days)(CM2): 臨床型***炎、第2の泌乳(-15乃至305日)(CM2)
Chromosome: 染色体
図6
Clinical mastitis third lactation (-15 to 305 days)(CM3): 臨床型***炎、第3の泌乳(-15乃至305日)(CM3)
Chromosome: 染色体
図7乃至15
Chromosome: 染色体
図16
trait-1: 形質-1
図17
列1: 領域番号
列2: 染色体
列3: 開始SNP
列4: 開始位置
列5: 終了SNP
列6: 終了位置
列7: 領域BP
列8: 有意SNP数
列9: 最有意SNP名
列10: トップSNP位置
列11: -log10(p値)
列12: 関連を示す形質
図24
Position on BTA20 (cM): BTA20上の位置(cM)
Leukemia inhi. Factor receptor: 白血病抑制因子受容体
Claims (29)
- 前記遺伝子マーカは、請求項1の表の列9に記載の最有意SNPからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
- 前記遺伝子マーカは、請求項1の表に記載した領域14、34、43、及び53からなる群から選択される領域内に位置する、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記遺伝子マーカは、BovineHD0600024355、BovineHD1300017074、BovineHD1600014622、及びBovineHD2000010279からなる群から選択される、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記遺伝子マーカは、SNPマーカ18708及び26792により画定される領域内のBTA6上に位置する、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記遺伝子マーカは、神経ペプチドFF受容体2(NPFFR2)遺伝子内のBTA6上に位置する、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記遺伝子マーカは、SNPであるBovineHD0600024355及び/又はそれに遺伝的に結合する任意の遺伝子マーカである、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記遺伝子マーカは、89,059,253Bp(UMD3.1)に位置するG/A SNPであり、Aアレルは、***炎に関連し、Gアレルは、***炎に対する抵抗性に関連する、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記遺伝子マーカは、rs133218364 T/C SNP等、カスパーゼ動員ドメイン含有タンパク質6(CARD6)遺伝子内のBTA20上に位置し、Tアレルは、***炎に関連し、Cアレルは、***炎に対する抵抗性に関連する、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記遺伝子マーカは、rs133596506 SNP等、白血病抑制因子受容体(LIFR)遺伝子の5000bp下流の領域内のBTA20上に位置し、Cアレルは、***炎に関連し、Tアレルは、***炎に対する抵抗性に関連する、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記遺伝子マーカは、表10、12、13、15、16、18、19、21、23、及び24に記載のSNPからなる群から選択される、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記遺伝子マーカは、表11、14、17、20、22、及び25に記載の遺伝子からなる群から選択される遺伝子内に位置する、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記形質は、CM11(第1の分娩から-15乃至50日の期間の臨床型***炎有り(1)又は無し(0))、CM12(第1の分娩から51乃至305日の期間の臨床型***炎有り(1)又は無し(0))、CM2(第2の分娩から-15乃至305日の期間の臨床型***炎有り(1)又は無し(0))、CM3(第3の分娩から-15乃至305日の期間の臨床型***炎有り(1)又は無し(0))、CM(臨床型***炎:0.25*CM11+0.25*CM12+0.3*CM2+0.2*CM3)、SCC1(第1の泌乳における対数体細胞数平均)、SCC2(第2の泌乳における対数体細胞数平均)、SCC3(第3の泌乳における対数体細胞数平均)、及びSCC(対数体細胞数:0.5*SCC1+0.3*SCC2+0.2*SCC3)から選択される、先行請求項の何れかに記載の方法。
- ***炎抵抗性を示す前記少なくとも1つの遺伝子マーカは、前記ウシ被験体の育種価を推定するために用いられる、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記試料は、血液、***(***)、尿、筋肉、皮膚、毛、耳、尾、脂肪、及び/又は唾液から選択される、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記試料は、***(***)又は血液である、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記方法は、前記遺伝子マーカを含む遺伝子領域を増幅することと、前記増幅産物を検出することとを含む、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記ウシ被験体は、ホルスタイン種の一員である、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記ウシ被験体は、デーニッシュホルスタイン牛集団の一員である、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記ウシ被験体は、ノルディックホルスタイン、デーニッシュジャージー、及びノルディックレッド種の一員である、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 前記少なくとも1つの遺伝子マーカは、少なくとも2つの遺伝子マーカ、例として3、4、5、6、7、8、9、例えば、少なくとも10個の遺伝子マーカである、先行請求項の何れかに記載の方法。
- 育種目的でウシ被験体を選択する方法であって、先行請求項の何れかに定めた方法により、前記ウシ被験体及び/又はその子供の***炎に対する抵抗性を判定することを含む方法。
- 前記選択されたウシ被験体の育種価を推定することを含む、請求項22記載の方法。
- 前記育種価は、請求項1乃至21の何れかに定めた遺伝子マーカの有無に基づいて推定される、請求項23記載の方法。
- ウシ被験体における***炎に対する感受性に関して育種価を推定する方法であって、ウシ被験体由来の試料において、前記ウシ被験体及び/又はその子供の***炎抵抗性を示す少なくとも1つの形質に関連する少なくとも1つの遺伝子マーカの有無を検出することと、前記有無に基づいて育種価を割り当てることとを含み、前記少なくとも1つの遺伝子マーカは、神経ペプチドFF受容体2(NPFFR2)遺伝子内のBTA6上に位置し、及び/又は、前記少なくとも1つの遺伝子マーカは、請求項1に定めた表の領域1乃至61からなる群から選択されるウシゲノムの領域内に位置し、前記領域は、列3及び5に定めたSNPマーカにより画定され、及び/又は、列4及び6に定めたゲノム位置により画定される方法。
- 前記育種価は、マーカ支援単一形質最良線形不偏予測(MA-BLUP)を用いて計算される、請求項25記載の方法。
- 請求項1乃至21において更に定めた、請求項25記載の方法
- ウシ被験体の選択的育種のための方法であって、
a.ウシ被験体を提供することと、
b.前記被験体から生体試料を取得することと、
c.請求項1に定めた表の領域1乃至61からなる群から選択されるウシゲノムの領域であって、列3及び5に定めたSNPマーカにより画定され、及び/又は、列4及び6に定めたゲノム位置により画定される領域に位置する少なくとも1つの遺伝子マーカの存在を前記試料において判定することと、
d.前記少なくとも1つの遺伝子マーカをゲノム内に有するウシ被験体を選択することと、
e.前記ウシ被験体を育種に用いることと、を含む方法。 - 前記方法は、前記選択されたウシ被験体から***を採取することと、前記***を1頭又は複数頭の雌牛又は若雌牛の人工受精に用いることとを含む、請求項28記載の方法。
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