JP2015526045A - 小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置及び方法 - Google Patents

小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置及び方法を開示しており、当該システムは、受話器、メイン送話器及び補助送話器を含み、メイン送話器と受話器との間の距離が、補助送話器と受話器との間の距離よりも大きい。当該装置は、構造的に順次に縦続接続されたアレイエコーキャンセルユニット、適応エコーキャンセルユニット及び残留エコーキャンセルユニットを含む。アレイエコーキャンセルユニットの入力が、メイン送話器信号及び補助送話器信号であり、アレイフィルタリングによって一つの出力信号が得られ、適応エコーキャンセルユニットの入力信号が、受話器信号、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号及び補助送話器信号であり、適応フィルタリングによって二つの出力信号が得られ、残留エコーキャンセルユニットの入力信号が、適応エコーキャンセルユニットの二つの出力信号であり、音声確率推定及びエコー整合によって、エコーキャンセル後の音声信号が得られ、二重性能が向上しつつ送話器の位相の一致性に厳しい要求を持たない。【選択図】図6

Description

本発明は、エコーキャンセル技術分野に関し、特に、小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置及び方法に関する。
音声通信においてエコー問題がよくある。受話端信号が受話器(イヤホーン、receiver、SPK又はearphone等とも称する)によって放送されてから、線路及び音響反射を通して送話端(マイクロホン又はピックアップ等とも称する)の受信信号に回り込んで遠隔端末にフィードされて、エコーが遠隔端末の通信連絡者に聞かれる。エコーが、通話双方に極大な干渉をもたらし、通話品質に影響する。エコーが非常に大きい場合、受話器がハウリングしてしまって受話器が損傷される可能性がある。通話品質及び機器の安全を保証するために、音声通信中にエコーを抑制する必要がある。
発生メカニズムから、エコーは、線形エコー成分と非線形エコー成分との二つの種類に大きく分けることができ、そのうち、線形エコー成分は、電気音響線路増幅及び音響伝送によって生じるものであり、非線形エコー成分は、受話器の非線形歪み及び音響伝送によって生じるものである。線形エコー成分除去は、通常、適応エコーキャンセル技術が用いられ、この技術は広く利用されている成熟したものであり、線形エコー成分が除去されるとともに近端音声を損傷しない。しかし、非線形エコー成分の除去は、近端音声が損傷し易く、二重性能の悪化を招き、延いては、チャネルを半二重に変えることになる。
半二重現象は、例えばハンズフリー機能を有する携帯電話又はトランシーバ(speakerphone)のような小型ハンズフリー音声通信機器ではよく見られる。というのは、この種類の機器の受話器非線形歪み及び非線形エコー成分が大きいからである。音声通信の流暢さ及び快適度への需要が絶えず向上するにつれて、エコーを抑制すると同時に近端音声を保護することが必要とされ、二重効果が保証される。二重の損失が主に非線形エコー成分を除去する過程に現れるため、非線形エコー成分除去技術に対する改善が特に必要とされる。
小型ハンズフリー音声通信機器におけるエコーキャンセル、二重性能向上の一つのやり方としては、送話器アレイを介して、エコーフィルタリングとアレイ空間フィルタリングとを組み合わせて、エコーの各送話器に伝播された信号差異を利用して、エコーの抽出及び音声との分離を実現し、例えば、中国特許出願番号201110326010.0の発明特許出願に記載の方法のように、アレイ信号処理及びエコーキャンセルを用いて、全二重に近い通話を実現することができる。しかし、この方法では、エコー及び近端音声の送話器アレイへの到来方向を正確に判定することが必要であるため、送話器の一致性に高い要求を持ち、送話器の感度の一致だけでなく、位相の一致性も必要とされるため、厳格な音響学設計が必要とされる。しかし、小型ハンズフリー機器においては、構造がコンパクトで、サイズに限度があるので、音響学設計、特に、位相の一致性の要求を完全に満たすのが難しいので、その適用が制限される。
本発明は、エコーを低減するとともに近端音声に対する損傷を軽減し、二重性能を向上させ、且つ、送話器の位相の一致性に厳しい要求を持たない小型ハンズフリー音声通信システムにおけるエコーキャンセル装置及び方法を提供する。上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術法案を用いる。
本発明は、小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置を開示しており、前記小型ハンズフリー音声通信システムが、受話器、メイン送話器及び補助送話器を含み、メイン送話器と受話器との間の距離が、補助送話器と受話器との間の距離よりも大きく、当該装置が、構造的に順次に縦続接続されたアレイエコーキャンセルユニット、適応エコーキャンセルユニット及び残留エコーキャンセルユニットを含み、アレイエコーキャンセルユニットの入力が、メイン送話器信号及び補助送話器信号であり、アレイフィルタリングによってメイン送話器信号における一部の線形エコー成分及び一部の非線形エコー成分を除去して、一つの出力信号を得て、適応エコーキャンセルユニットの入力信号が、受話器信号、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号及び補助送話器信号であり、適応フィルタリングによって、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号からメイン送話器信号における残留線形エコー成分を、補助送話器信号から補助送話器信号における線形エコー成分を、それぞれ除去して、二つの出力信号を得て、残留エコーキャンセルユニットの入力信号が、適応エコーキャンセルユニットの二つの出力信号であり、音声確率推定及びエコー整合によって、メイン送話器信号における残留非線形エコー成分を除去して、エコーキャンセル後の音声信号として一つの出力信号を得る。
本発明は、小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセルの方法を更に開示しており、前記小型ハンズフリー音声通信システムが、受話器、メイン送話器及び補助送話器を含み、メイン送話器と受話器との間の距離が、補助送話器と受話器との間の距離よりも大きく、当該方法は、メイン送話器信号及び補助送話器信号をアレイエコーキャンセルユニットに入力してアレイフィルタリングを行って、メイン送話器信号における一部の線形エコー成分及び一部の非線形エコー成分を除去して、一つの出力信号を得ることと、受話器信号、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号及び補助送話器信号を適応エコーキャンセルユニットに入力して適応フィルタリングを行って、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号からメイン送話器信号における残留線形エコー成分を、補助送話器信号から補助送話器信号における線形エコー成分を、それぞれ除去して、二つの出力信号を得ることと、適応エコーキャンセルユニットの二つの出力信号を残留エコーキャンセルユニットに入力し、音声確率推定及びエコー整合によって、メイン送話器信号における残留非線形エコー成分を除去して、一つの出力信号を得てエコーキャンセル後の音声信号とすることと、を含む。
本発明の有益な効果は、本発明の小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置及び方法によれば、小型ハンズフリー音声通信システムの音響学特性及び送話器、受話器の位置情報を十分に利用して、異なる送話器信号に対して全体的な輪郭整合及び振幅整合を行うことで振幅整合エコーが得られ、エコーから異なる送話器までの振幅差異を利用し、異なる送話器信号の振幅差異が大きいほど、近端音声確率が小さくなるため、指示音声及びエコーの各時間周波数ドメインにおける割合の音声確率情報を抽出し、音声領域とエコー領域とを分けることができ、残留エコーを有効に除去するとともに近端音声が保護され、二重性能が向上し、且つ、送話器の位相の一致性に厳しい要求を持っていない。
本発明による小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置及び方法に用いられる受話器及び送話器の位置の模式図である。 本発明による小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置及び方法に用いられる小型デスクトップハンズフリー音声通信システムの使用模式図である。 本発明による小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置及び方法に用いられる車両用小型ハンズフリー音声通信システムの使用模式図である。 二つの送話器信号におけるエコー成分のエネルギー曲線の模式図である。 メイン送話器信号及び補助送話器信号における近端音声成分のエネルギー曲線の模式図である。 メイン送話器におけるエコー成分及び近端音声成分のエネルギー曲線の模式図である。 メイン送話器信号のエネルギー曲線の模式図である。 メイン送話器におけるエコー成分のエネルギー曲線の模式図である。 メイン送話器における近端音声成分のエネルギー曲線の模式図である。 本発明の好ましい実施形態に提供された小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置の使用状態でのブロック模式図である。 補助送話器からメイン送話器までの各信号成分の伝達関数の模式図である。 メイン送話器信号及びアレイフィルタリングされた出力信号のエネルギー曲線の模式図である。 アレイフィルタモジュール出力信号及び適応エコーフィルタリングによって得られた第一の適応フィルタリング信号のエネルギー曲線の模式図である。 第一の適応フィルタリング信号及び第二の適応フィルタリング信号の非線形エコー成分のエネルギー曲線の模式図である。 第一の適応フィルタリング信号の非線形エコーのエネルギー曲線及び整合エコーのエネルギー曲線の模式図である。 メイン送話器信号のエネルギー曲線の模式図である。 メイン送話器信号における近端音声成分のエネルギー曲線の模式図である。 エコーキャンセルされた出力信号のエネルギー曲線の模式図である。 本発明の好ましい実施形態に提供された小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセルの方法のフローチャートである。 本発明の好ましい実施形態に提供された小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセルの方法の詳細なフローチャートである。
本発明の目的、技術方案及び利点を更に明らかにするために、以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について更なる詳しい説明を行う。
図1は、本発明による小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置及び方法に用いられた受話器及び送話器位置の模式図である。図2は、本発明による小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置及び方法に用いられた小型ハンズフリー音声通信システムの使用模式図である。図3は、本発明による小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置及び方法に用いられた車両用小型ハンズフリー音声通信システムの使用模式図である。利用者にとって、利用者から送話器(例えばマイクロホン)までの距離がほとんど相等であり、つまり、各送話器で受信された利用者から発した近端音声信号がほぼ同じである。ただし、受話器(例えばスピーカー)からいうと、受話器から各送話器までの距離が不等であり、もし、受話器がメイン送話器(第一送話器)との距離がD1で、補助送話器(第二送話器)との距離がD2である場合、D1>D2であると、二つの送話器に受信された受話器から発したエコーの間には電力差があるが、二つの送話器で受信された利用者から発した近端音声がほとんど同じであるため、電力関係の差異によって音声とエコーとが区別でき、音声とエコーとを分離する目的が達成される。本発明は、この電力の差異を利用して、音声とエコーとの分離を行う。本実施形態において、D1>=2D2であり、例えばD1=13cm、D2=4cmであり、この際、D1とD2との明らかな違いにより、二つの送話器で受信された受話器から発したエコーの間の電力差異が明らかであり、効果がよりよい。
図4(a)は、二つの送話器信号におけるエコー成分のエネルギー曲線の模式図である。図4(b)は、メイン送話器信号及び補助送話器信号における近端音声成分エネルギー曲線の模式図である。図4(c)は、メイン送話器におけるエコー成分及び近端音声成分のエネルギー曲線の模式図である。図5(a)は、メイン送話器信号のエネルギー曲線の模式図である。図5(b)は、メイン送話器におけるエコー成分のエネルギー曲線の模式図である。図5(c)は、メイン送話器における近端音声成分のエネルギー曲線の模式図である。まとめると、送話器信号は、以下の特性を有する。
第一、図4(a)、図4(b)から分かるように、二つの送話器信号におけるエコー成分には、明らかなエネルギー差異があり、補助送話器信号におけるエコー成分は、メイン送話器信号におけるエコー成分よりも6dB以上高い。これは、エコーエネルギーが送話器と受話器との距離に反比例するのに近似しており、補助送話器が受話器に、より近くて、受信したエコーがより大きいからである。
第二、図4(b)から分かるように、送話器信号における近端音声成分のエネルギーが近づいており、これは、一般的応用において、近端発話者の口から二つの送話器までの距離がほとんど等しいからであるため、二つの送話器の受信した近端音声エネルギーも近づいている。
第三、図4(c)から分かるように、メイン送話器において、近端音声は、エコーよりもエネルギーがやや低くて、約3〜6dBほど低い。なお、図5(a)〜図5(c)の音声スペクトル図から分かるように、近端音声とエコーが同時に現れると、一部の時間周波数ドメインでは、近端音声がエコーに隠されることになる。
図6は、本発明の好ましい実施形態に提供された小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置の使用状態でのブロック模式図である。図7は、補助送話器からメイン送話器までの各信号成分の伝達関数の模式図である。図8は、メイン送話器信号及びアレイフィルタリングされた出力信号のエネルギー曲線の模式図である。図9は、アレイフィルタモジュール出力信号及び適応エコーフィルタリングによって得られた第一の適応フィルタリング信号のエネルギー曲線の模式図である。図10は、第一の適応フィルタリング信号及び第二の適応フィルタリング信号の非線形エコー成分のエネルギー曲線の模式図である。図11は、第一の適応フィルタリング信号の非線形エコーのエネルギー曲線及び整合エコーのエネルギー曲線の模式図である。図12(a)は、メイン送話器信号のエネルギー曲線の模式図である。図12(b)は、メイン送話器信号における近端音声成分のエネルギー曲線の模式図である。図12(c)は、エコーキャンセルされた出力信号のエネルギー曲線の模式図である。
本発明に提供された小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置は、アレイエコーキャンセルユニット610、適応エコーキャンセルユニット620及び残留エコーキャンセルユニット630からなり、アレイエコーキャンセルユニット610、適応エコーキャンセルユニット620及び残留エコーキャンセルユニット630は、構造的には縦続接続関係であり、アレイエコーキャンセルユニット610の入力は、メイン送話器信号d1及び補助送話器信号d2であり、一つの出力信号d1′は、アレイフィルタリングによって、メイン送話器信号における一部の線形エコー成分及び一部の非線形エコー成分が除去されたものであり、適応エコーキャンセルユニット620の入力信号は、受話器信号x、アレイエコーキャンセルユニット610の出力信号d1′及び補助送話器信号d2であり、二つの出力信号e1及びe2は、適応フィルタリングによって、それぞれ、アレイエコーキャンセルユニット610の出力信号d1′からメイン送話器信号における残留線形エコー成分が、補助送話器信号d2から補助送話器信号における線形エコー成分が除去されたものであり、残留エコーキャンセルユニット630の入力信号は、適応エコーキャンセルユニット620の二つの出力信号e1及びe2であり、音声確率推定及びエコー整合によって、メイン送話器信号における残留非線形エコー成分が除去され、その出力信号は、エコーキャンセルされた出力であり、即ち、エコーが分離された音声信号である。アレイエコーキャンセルユニット610、適応エコーキャンセルユニット620及び残留エコーキャンセルユニット630の処理を経て、エコーがキャンセルされるとともに近端音声信号vがより完全に保留されることになる。
より具体的には、当該装置は、一つのアレイフィルタモジュール、二つの適応フィルタモジュール、二つの時間周波数変換モジュール、一つの音声確率推定モジュール、一つの周波数スペクトルフィルタモジュール及び一つの周波数時間変換モジュールを含む。
そのうちアレイフィルタモジュールは、補助送話器信号d2に対してアレイフィルタリングを行って第二のアレイフィルタリング信号を得るためのアレイフィルタ611と、メイン送話器信号d1から第二のアレイフィルタリング信号を差し引くことにより、メイン送話器信号における一部の線形エコー及び一部の非線形エコーを除去して出力信号d1′を得るための減算器612とを含む。アレイフィルタは空間指向性を有し、受話器位置から発した音を検出して、減算器を経て、受話器位置から発した音を一部除去することができる。線形エコー成分及び非線形エコー成分はいずれも受話器位置から発したものであるため、アレイフィルタ及び減算器にて処理された後、線形エコー成分及び非線形エコー成分はいずれも一部除去される。
d1′はd1に比べて、エコー成分のエネルギーは明らかに減衰するが、音声エネルギーは明らかに変化しない。その原理は、受話器が二つの送話器の位置に近くて、距離に顕著な差異があるのに対して、近端音声が二つの送話器から遠くて、距離がほぼ等しい。近端音声及びエコーの送話器までに伝わる伝播特性が全く異なっており、この違いが二つの送話器信号の伝達関数に反映されている。伝達関数の差異によって音声とエコーとを区別することができる。エコー成分の間の伝達関数によってアレイフィルタ611を設計し、アレイフィルタリングキャンセルの方式でエコーを除去し、近端音声成分に影響を及ぼさない。
echo1をメイン送話器におけるエコー成分として、dsph1をメイン送話器信号における近端音声成分とする。decho2が、補助送話器におけるエコー成分であり、dsph2が、補助送話器信号における近端音声成分である。すると、メイン送話器信号及び補助送話器信号は、以下の数1のように表すことができる。
hをエコー成分の間の伝達関数として、hNを近端音声成分の間の伝達関数とすると、以下の数2に示す関係式がある。
hとhNとが不等であり、且つ、hに近似したアレイフィルタの伝達関数

が大体に求められる場合、フィルタリングキャンセルの方式によって以下の数3のようにd1′を得る。(なお、以下の文中において、上記アレイフィルタの伝達関数をハットhと適宜略称する。)
上記(1)、(2)及び(3)を結合して、以下の数4のようなd1′におけるエコー成分と近端音声成分との関係式を得る。
式(1)と式(4)を対照して分かるように、以下の数5に示す式(5)と数6に示す式(6)を満たすか又は以下の数5に示す式(5)と数7に示す式(7)を満たすと、d1′におけるエコー成分のエネルギーを明らかに減衰させるとともに音声エネルギーが明らかに変化しないようにして、エコーを低減すると同時に音声を保護する目的を達成することができ、そのうち式(6)と式(7)が、ほとんど等価した形式である。


もし、ハットhの推定が比較的に正確であると、式(5)を満たすことができ、もしこの際ハットhとhNとが完全に異なると、

となり、式(7)の条件を満たすことができる。こうして、アレイフィルタリングでエコーを除去するとともに音声を減衰しないことが保証される。
図1に示す機器において、D1とD2との比が大きくて、例えば本実施形態において、D1>2D2且つD1−D2>6cmであるため、hとhNとが完全に異なるという条件を満たす。hとhNとはいずれもシングルピーク関数に近く、ピークの幅が0.25ミリ秒ぐらいで、半幅が0.125ミリ秒ぐらいである。D1>2D2という限定により、hとhNとのエネルギー差異が6dB以上でピーク絶対値の差異が2倍以上になる。D1−D2>6cmの限定により、hとhNとのピーク位置の差が0.17ミリ秒以上であり、ピークの半幅を超えており、ピークが時間的に完全にずれるようにすることができる。補助送話器からメイン送話器までの各信号成分の伝達関数は、図7に示す。エコー成分の間の伝達関数hが実線で、シングルピーク曲線であり、ピークは、遅延時間が(D1−D2)/cである位置にあり、そのうち、cが音の空気中の伝播速度であり、近似的に、その最大幅がD2/D1である。D1=13cm、D2=4cmの場合、ピークの高さが約0.3であり、ピーク位置が0.26ミリ秒にある。近端音声成分の間の伝達関数hN が点線曲線であり、その形状もシングルピーク曲線に近く、ピークが0ミリ秒にあり、ピークの高さが1である。ここから、二つの伝達関数が完全に異なることが分かる。
実際のシステムにおいて、アレイフィルタの伝送関数ハットhは、予めオフラインで算出して固定することができる。より正確な計算には、最小平均二乗誤差準則を用いることができ、例えば以下の数8に示す式(8)のようになる。ここで、ハットhがアレイフィルタの伝送関数で、d1がメイン送話器信号で、d2が補助送話器信号で、E[.]が期待値演算であり、*が畳み込み演算である。
アレイフィルタモジュール610の出力d1′は式(3)であり、D1=13cm、D2=4cmを例とすると、アレイエコーキャンセルの効果は図8に示すようになり、実線がメイン送話器信号d1のエネルギー曲線であり、破線がアレイフィルタモジュールの出力d1′のエネルギー曲線であり、ここから分かるように、エコーエネルギーの変化により、エネルギーが、平均的に約9dB低下する。
二つの適応フィルタモジュールは、いずれもフィルタ621、フィルタコントローラ622及び減算器623を含み、それぞれ、補助送話器信号d2に対して適応フィルタリングを行って第二の適応フィルタリング信号e2を得ることにより、補助送話器信号における線形エコー成分を除去すること、及び、メイン送話器信号から第二のアレイフィルタリング信号を差し引いた信号d1′に対して適応フィルタリングを行って第一の適応フィルタリング信号e1を得ることにより、メイン送話器信号における残留線形エコー成分を除去することに用いられる。
適応エコーキャンセルユニットの入力には、受話端信号x、補助送話器信号d2及びアレイフィルタモジュールの出力信号d1′の三つがある。出力は、適応フィルタリングされた第一の適応フィルタリング信号e1及び第二の適応フィルタリング信号e2である。この部分の動作原理は、通用した適応エコーフィルタリングに似ており、時間ドメイン又は周波数ドメインフィルタリング形式を用いることができる。受話端信号xとd2、d1′との類似性を比較することにより、エコー信号が適応整合されるとともにd2、d1′から除去される。その効果は図9に示すようになり、実線がアレイフィルタモジュールの出力d1′のエネルギー曲線であり、破線が適応エコーフィルタリングされた結果、即ち、第一の適応フィルタリング信号e1のエネルギー曲線である。エネルギー変化が見られており、エコー領域において、e1のエネルギーが、d1′のエネルギーよりも平均的に約5dB低下する。
二つの時間周波数変換モジュールは、いずれもデータバッファ631と時間周波数変換器632とを含み、それぞれ、第一の適応フィルタリング信号e1に対して時間周波数変換を行って第一の適応周波数ドメイン信号E1を得ること、及び、第二の適応フィルタリング信号e2に対して時間周波数変換を行って第二の適応周波数ドメイン信号E2を得ることに用いられる。
データバッファ631の役割は、信号を、時間周波数変換器632で利用するために、信号ベクトルとして組み立てることであり、データバッファ631の長さがLとされ、コンピューティングリソースに関連付けられ、通常、256又は512と設定することができる。もし、現在時刻がnで、入力信号がe1(n)及びe2(n)であると、二つのデータバッファ631において形成されたベクトルが、それぞれ[e1(n−L+1),e1(n−L+2)・・・.e1(n)]及び[e2(n−L+1),e2(n−L+2)・・・.e2(n)]になる。
時間周波数変換器632は、信号を時間ドメインから周波数ドメインに変換し、フーリエ変換によって実現してもよいし、修正離散コサインデジタル変換等の方式によって実現してもよい。フーリエ変換を例とすると、周波数ドメイン信号が以下の通りになる。



音声確率推定モジュール633は、第一の適応周波数ドメイン信号E1及び第二の適応周波数ドメイン信号E2の振幅に応じて周波数ドメイン音声確率推定を行って周波数ドメイン音声確率信号pFを得るために用いられ、前記周波数ドメイン音声確率信号pFは、第一の適応周波数ドメイン信号E1のうち近端音声信号が占める割合を表す。その理由は、以下の通りになる。
音声確率推定モジュール633は、二つの信号の振幅関係を比較することにより、周波数ドメインの音声確率情報pFを得て、pFは時間周波数関数であり、音声とエコーとの各時間周波数ドメインにおける割合を指示する。pFが1であると、この領域がすべて近端音声信号であることを意味するが、pFが0であると、この領域がすべてエコー信号であることを意味し、0と1との間の数値であると、この領域が二者の混合であることを表し、1に近いと、近端音声の存在する割合の可能性が大きいことを表し、0に近いと、近端音声の存在する割合が低いことを表す。
音声確率推定の動作原理は、以下のようになる。音声確率推定モジュール633の二つの入力信号E1、E2は、いずれも非線形エコー成分と近端音声信号とを含み、E1における非線形エコー成分のエネルギーが低く、E2における非線形エコー成分のエネルギーが、E1における非線形エコー成分のエネルギーよりも約20dB高い。従って、エコーが所在する時間周波数ドメインにおいて、E2の振幅がE1よりもはるかに高いのに対して、近端音声が所在する時間周波数ドメインにおいて、E1とE2とのエネルギーが比較的に近い。各周波数点におけるE1とE2との振幅を比較することにより、非線形エコー成分及び近端音声の周波数における分布が分かる。
本実施形態における具体的な実現方法としては、E1とE2との振幅比を算出し、マッピング関係によって音声確率を得るものである。

ここで、Tsは二つの送話器信号における音声成分の平均振幅差異で、TEは二つの送話器信号におけるエコー成分の平均振幅差異である。音声確率判定を介して、各周波数点における音声確率を算出して得ることができる。ここで、fは周波数である。
s及びTEの数値が構造に関係付けられており、図1の構造を例とすると、Ts=1.4であり、そのうち、1.4が3dBに対応し、二つの送話器に受信された近端音声成分の振幅差異を表し、この数値が、工業生産においての同じ型番の送話器の感度公差である。もしD1=13cm、D2=4cmであると、TE=4となり、4が二つの送話器におけるエコー成分の振幅比平均値の近似値であり、エコー成分の振幅比平均値が約(D1/D2)×1.4である。エコーが二つの送話器に伝播されて、エコー信号の振幅差異がD1/D2であり、感度公差1.4を補って、切り捨てて4になる。2.6がTsとTEとの二者の差値であり、関数曲線が連続になるように設けられたものである。この式の意味は、信号の振幅差異が1.4以内である場合、つまり感度公差を超えていない場合、音声成分である可能性が大きく、音声確率は1である。信号の振幅差異が4を超えて、エコー成分の振幅差値によく似ている場合、エコー成分である可能性が大きく、音声確率が0である。中間部分が一次傾きのカーブフィッティングを使い、4に近いほど、確率値が低くなる。
すると、計算方式が以下の通りになる。

周波数スペクトルフィルタモジュールは、エコー整合器634、減算器635及び乗算器636を含み、エコー整合器634が、第一の適応周波数ドメイン信号E1及び第二の適応周波数ドメイン信号E2の非線形エコー成分のエネルギーによって、エコー整合を行って整合エコーを得るために用いられ、減算器635が、第一の適応周波数ドメイン信号E1から整合エコーを減算するために用いられ、乗算器636が、減算して得られた結果に周波数ドメイン音声確率信号pFを乗算するために用いられる。
エコー整合器634は、二つの送話器信号における非線形エコー成分と線形エコー成分との相互関係によって、周波数スペクトルから非線形エコー成分と線形エコー成分を推定してフィルタリングによって抑圧することができる。非線形エコー成分と線形エコー成分は、受話器から発生してメイン送話器及び補助送話器に伝播されたものであり、メイン送話器信号d1及び補助送話器信号d2における非線形エコー成分と線形エコー成分とは高い類似性を持っており、このような類似性は、主に、非線形エコー成分と線形エコー成分とのスペクトルピーク位置の一致性に反映されている。スペクトルピークには、非線形エコー成分及び線形エコー成分のほとんどすべてのエネルギーが集まっているため、もし、スペクトルピーク位置が一致になると、非線形エコー成分と線形エコー成分との周波数分布ルールが一致であると考えられる。もし、非線形エコー成分及び線形エコー成分のスペクトルピークが抑圧されると、大部分の非線形エコー成分と線形エコー成分が除去される。アレイエコーキャンセルユニット610及び適応エコーキャンセルユニット620は、線形フィルタリングしか行わず、非線形エコー成分及び線形エコー成分の振幅と周波数スペクトルエンベロープ形状のみが変えられ、スペクトルピーク位置が変えられておらず、つまり、このような非線形エコー成分と線形エコー成分との類似関係が依然として保留される。従って、第一の適応周波数ドメイン信号E1及び第二の適応周波数ドメイン信号E2において、非線形エコー成分のスペクトルピーク位置が非常に近似している。図10に示す周波数スペクトルから分かるように、E1及びE2において、非線形エコー成分と線形エコー成分のピーク位置が同様又は近接しており、ただ全体的な波形形状及び信号エネルギーが異なる。
従って、E1、E2の非線形エコー及び線形エコー成分に対して、全体的な輪郭整合を行って整合エコーを得て、一定の因子Agを乗算して振幅整合を行って、振幅整合のエコーを得る。因子Agが音声確率pFの上昇につれて低下する。このように、音声確率が低く、エコー確率が高い時間周波数ドメインにおいて、整合エコーの振幅が非線形エコー及び線形エコー成分よりも高くなるようにして、音声確率が高く、エコー確率が低い領域において、整合エコーにAgを乗算した後の振幅が、非線形エコー及び線形エコー成分に等しいかそれらよりもやや低くなるようにする。振幅整合のエコーを第一の適応周波数ドメイン信号E1から差し引いて、残留したエコーが除去可能である。
通常、残留エコーを完全に除去できるように、残留エコーが強いほど、Agが大きくなり、周波数スペクトルフィルタリングの強さが大きくなり、この際、近端音声に対する傷害も大きくなる。なお、残留エコーの通信に対する干渉は、純エコーとダブルトークの場合に区別があり、純エコーの場合、人が残留エコーに敏感し、少ない残留エコーでも不具合を起こすのに対して、エコーと近端音声とが同時に発生するダブルトーク領域において、人が残留エコーに敏感しないが近端音声の品質に高い要求を持つ。本発明において、音声確率推定モジュールが用いられるため、音声確率推定とエコー整合とを組み合わせる方法によって、整合エコーが小さい数値を取ることができ、あまり強くない周波数スペクトルフィルタリングによって非線形エコー及び線形エコー成分を除去することができ、そして、周波数スペクトルフィルタリングの強さが近端音声確率につれて変化しており、近端音声確率が高い場合、近端音声をよりよく保護するために、周波数スペクトルフィルタリングの強さを低減する。これにより、音声確率に伴ってフィルタリングの強さをダイナミックに調整することで、快適度及び音声の品質を同時に向上させ、近端音声がよりよく保留されるようにすることができる。
周波数スペクトルフィルタリングの過程としては、まず、E2信号とE1におけるエコー信号とを振幅整合する。振幅整合は、以下の方式によって行うことができる。即ち、全周波数をM個のサブバンドに分けて、サブバンドの境界をB1〜BM+1として、本実施例におけるMは、32又は16であってもよい。E2及びE1は、各サブバンド内にエネルギーを求め、エネルギーの間で除算を行って且つ開平演算を行い、整合関数Hmを得る。E2に、整合関数Hmを乗算してから、因子Agと乗算して、整合エコーYmを得る。
整合効果は、図11を参照することができる。ここから分かるように、エコーが所在する周波数範囲内に、整合エコーYmがE1のエコー成分に近い(300Hz付近及び3800Hz付近における差異は、背景雑音によるものであり、整合誤差ではない)。
整合関数を算出する方法は、以下の式の通りになる。


ここで、i∈[1,M]がサブバンド番号で、fが周波数で、kがサブバンド内における周波数サンプリングポイントで、E1(k)が、第一の適応周波数ドメイン信号の周波数サンプリングポイントにおける振幅で、E2(k)が第二の適応周波数ドメイン信号の周波数サンプリングポイントにおける振幅である。
第二の適応周波数ドメイン信号E2に、整合関数Hmを乗算して、且つ、因子Agと乗算して、振幅整合を行って、整合エコーYmを得る。

エコー整合及び音声確率推定を完了させた後、E1から整合エコーYmを差し引いてから、音声確率関数pFと乗算して得られた結果は、以下の通りになる。

周波数時間変換モジュール637は、乗算して得られた結果に対して周波数時間変換を行うために用いられる。周波数時間変換モジュール637が数字信号を周波数ドメインから時間ドメインに変換するのは、逆フーリエ変換によって実現してもよいし、逆離散コサインデジタル変換等の方式によって実現してもよい。
周波数時間変換を経て、周波数ドメイン信号Eoutが時間ドメイン信号eoutに変換され、システムの総出力となる。
最終的効果として、図12(a)におけるメイン送話器信号d1、図12(b)のメイン送話器信号d1における近端音声成分、及び、図12(c)におけるeoutの各エネルギー曲線を参照することができ、ここから分かるように、eoutにおいて、エコー成分がすべて除去されたが、近端音声は完全に保留されており、元の近端音声成分と比べ、信号エネルギーは、明らかに減衰することがない。全二重要件に達する。
図13は、本発明の好ましい実施形態に提供された小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセルの方法のフローチャートである。前記小型ハンズフリー音声通信システムは、受話器、メイン送話器及び補助送話器を含み、メイン送話器と受話器との間の距離が、補助送話器と受話器との間の距離よりも大きい。当該方法は、以下のことを含む。
S1301:メイン送話器信号及び補助送話器信号をアレイエコーキャンセルユニットに入力してアレイフィルタリングを行って、メイン送話器信号における一部の線形エコー成分及び一部の非線形エコー成分を除去して、一つの出力信号を得る。
S1302:受話器信号、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号及び補助送話器信号を適応エコーキャンセルユニットに入力して適応フィルタリングを行って、それぞれ、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号からメイン送話器信号における残留線形エコー成分を、補助送話器信号から補助送話器信号における線形エコー成分を除去して、二つの出力信号を得る。
S1303:適応エコーキャンセルユニットの二つの出力信号を残留エコーキャンセルユニットに入力し、音声確率推定及びエコー整合によって、メイン送話器信号における残留非線形エコー成分を除去して、一つの出力信号を得てエコーキャンセル後の音声信号とする。
図14は、本発明の好ましい実施形態に提供された小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセルの方法の詳細なフローチャートである。前記小型ハンズフリー音声通信システムは、受話器、メイン送話器及び補助送話器を含み、メイン送話器と受話器との間の距離が、補助送話器と受話器との間の距離よりも大きい。当該方法は、以下のことを含む。
S1401:補助送話器信号に対してアレイフィルタリングを行って第二のアレイフィルタリング信号を得て、メイン送話器信号から第二のアレイフィルタリング信号を差し引くことで、メイン送話器信号における一部の線形エコー成分と一部の非線形エコー成分とを除去する。
S1402:補助送話器信号に対して適応フィルタリングを行うことで補助送話器信号における線形エコー成分を除去して第二の適応フィルタリング信号を得て、メイン送話器信号から第二のアレイフィルタリング信号を差し引いた信号に対して適応フィルタリングを行うことにより、メイン送話器信号における残留線形エコー成分を除去して第一の適応フィルタリング信号を得る。
S1403:第一の適応フィルタリング信号及び第二の適応フィルタリング信号に対して時間周波数変換を行って、第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号を得る。
S1404:第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号の振幅に応じて周波数ドメイン音声確率推定を行って、第一の適応周波数ドメイン信号のうち近端音声信号が占める割合を表す周波数ドメイン音声確率信号を得る。
S1405:第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号の非線形エコー成分の振幅に応じて第二の適応周波数ドメイン信号に対してエコー整合を行って整合エコーを得て、第一の適応周波数ドメイン信号から整合エコーを減算して、且つ減算して得られた結果に周波数ドメイン音声確率信号を乗算する。
S1406:乗算して得られた結果に対して周波数時間変換を行うことで、エコーキャンセルされた結果を出力する。
ステップS1401において、前記の補助送話器信号に対してアレイフィルタリングを行って第二のアレイフィルタリング信号を得ることは、具体的に、アレイフィルタの伝送関数ハットhを確定し、伝送関数ハットhが用いられたアレイフィルタによって補助送話器信号に対してアレイフィルタリングを行うことを含み、そのうち、下記の式によってアレイフィルタの伝送関数ハットhを確定する。


ここで、ハットhがアレイフィルタの伝送関数で、d1がメイン送話器信号で、d2が補助送話器信号で、E[.]が期待値演算符号で、*が畳み込み演算符号である。
ステップS1404において、第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号の振幅に応じて周波数ドメイン音声確率推定を行って周波数ドメイン音声確率信号を得ることは、以下を含む。
下記の式によって周波数ドメイン音声確率信号を算出する。


ここで、fが周波数で、E1が第一の適応周波数ドメイン信号の振幅で、E2が第二の適応周波数ドメイン信号の振幅で、pFが周波数ドメイン音声確率信号で、TSが補助送話器信号とメイン送話器信号とにおける近端音声信号の平均振幅比値で、TEが補助送話器信号とメイン送話器信号とにおける非線形エコー成分信号の平均振幅比値であり、ここで、TE>TS>1である。
ステップS1405において、第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号の非線形エコー成分のエネルギーによって第二の適応周波数ドメイン信号に対してエコー整合を行うのは、具体的に、二つのステップを含む。
(1)全周波数をM個のサブバンドに分けて、サブバンドの境界をB1〜B1+Mとして、各サブバンド内に第一の適応周波数ドメイン信号E1及び第二の適応周波数ドメイン信号E2に対してエネルギーを求め、エネルギーの間で除算を行って且つ開平演算を行い、整合関数Hmを得る。


ここで、i∈[1,M]がサブバンド番号で、fが周波数で、kがサブバンド内における周波数サンプリングポイントで、E1(k)が第一の適応周波数ドメイン信号の周波数サンプリングポイントにおける振幅で、E2(k)が第二の適応周波数ドメイン信号の周波数サンプリングポイントにおける振幅である。
(2)第二の適応周波数ドメイン信号E2に、整合関数Hmを乗算して、且つ、因子Agと乗算して振幅整合を行って、整合エコーYmを得る。

ステップS1405において、第一の適応周波数ドメイン信号から整合エコーYmを減算して、減算して得られた結果に周波数ドメイン音声確率信号を乗算すると、以下のようになる。


ここで、pFが周波数ドメイン音声確率信号であり、AgがpFに関連する整合因子で、pFの増加につれて低下してしまい、例えば、

を取ってもよい。
pFが0に近いと、Agが1よりも大きくなり、整合エコー及びAgの振幅が、第一の適応周波数ドメイン信号E1の非線形エコー成分よりも高くなるようにすることで、エコーを除去することができ、pFが1に近いと、Agが1よりも小さい数値になり、整合エコーの振幅が、第一の適応周波数ドメイン信号E1の非線形エコー成分よりも低くなるようにすることで、音声を保留することができる。言い換えれば、整合エコーが第一の適応周波数ドメイン信号における残留非線形エコー成分に非常に近づき、それらの間で減算を行った後、第一の適応周波数ドメイン信号における非線形エコー成分がほとんど除去され、相変わらず微細な残留が残る可能性はあるが、減算結果に音声確率を乗算すると、非線形エコー成分を完全に除去することができる。
本発明の実施形態は、以下の利点を有する。
(一)本発明の技術方案によって、音声確率推定を用いて、エコー整合と組み合わせると、エコーを低減すると同時に近端音声に対する損傷を軽減することができ、二重性能が向上する。
(二)送話器が複数個存在する小型ハンズフリー音声通信システムについても、受話器に一番遠い送話器及び一番近い送話器のみを用いれば、本発明の技術方案が実現でき、実施しやすいものである。
(三)本発明の技術方案を用いるのは、音声の位相を弁別する必要がないため、送話器の位相の一致性に厳しい要求がなく、音響学設計に対する限定も少なく、製品の設計に便利である。
(四)周波数ドメイン音声確率信号をエコー整合の演算に用いて、周波数スペクトルフィルタリングの強さが近端音声の確率につれて変化するようにして、近端音声確率が高い場合、周波数スペクトルフィルタリングの強さが低下し、近端音声をよりよく保護することができる。
上述したのは、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の保護範囲は、これに限定されるものではない。任意の当業者が本発明に開示された技術範囲内に容易に想到する変更又は置換は、本発明の保護範囲に含まれるべきである。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に準じるべきである。
本発明は、小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置を開示しており、前記小型ハンズフリー音声通信システムが、受話器、メイン送話器及び補助送話器を含み、メイン送話器と受話器との間の距離が、補助送話器と受話器との間の距離よりも大きく、当該装置が、構造的に順次に縦続接続されたアレイエコーキャンセルユニット、適応エコーキャンセルユニット及び残留エコーキャンセルユニットを含み、アレイエコーキャンセルユニットの入力が、メイン送話器信号及び補助送話器信号であり、アレイフィルタリングによってメイン送話器信号における一部の線形エコー成分及び一部の非線形エコー成分を除去して、一つの出力信号を得て、適応エコーキャンセルユニットの入力信号が、受話器信号、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号及び補助送話器信号であり、適応フィルタリングによって、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号からメイン送話器信号における残留線形エコー成分を、補助送話器信号から補助送話器信号における線形エコー成分を、それぞれ除去して、第一の適応フィルタリング信号及び第二の適応フィルタリング信号を得て、残留エコーキャンセルユニットの入力信号が、適応エコーキャンセルユニットから出力された第一の適応フィルタリング信号及び第二の適応フィルタリング信号であり、音声確率推定及びエコー整合によって、メイン送話器信号における残留非線形エコー成分を除去して、エコーキャンセル後の音声信号として一つの出力信号を得て、前記残留エコーキャンセルユニットが、二つの時間周波数変換モジュール、一つの音声確率推定モジュール、一つの周波数スペクトルフィルタモジュール及び一つの周波数時間変換モジュールを含み、前記二つの時間周波数変換モジュールが、それぞれ、第一の適応フィルタリング信号に対して時間周波数変換を行って第一の適応周波数ドメイン信号を得ること、及び、第二の適応フィルタリング信号に対して時間周波数変換を行って第二の適応周波数ドメイン信号を得ることに用いられ、前記音声確率推定モジュールが、第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号の振幅に応じて周波数ドメイン音声確率推定を行って周波数ドメイン音声確率信号を得るために用いられ、前記周波数ドメイン音声確率信号が、第一の適応周波数ドメイン信号のうち近端音声信号が占める割合を表し、前記周波数スペクトルフィルタモジュールが、エコー整合器、減算器及び乗算器を含み、エコー整合器が、第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号の振幅に応じて第二の適応周波数ドメイン信号に対してエコー整合を行うために用いられ、減算器が、第一の適応周波数ドメイン信号からエコー整合された結果を減算することで非線形エコー成分信号を除去するために用いられ、乗算器が、減算して得られた結果に周波数ドメイン音声確率信号を乗算することでエコー信号を抑制するとともに近端音声信号を保護するために用いられ、前記周波数時間変換モジュールが、乗算して得られた結果に対して周波数時間変換を行うことで、エコーキャンセルの結果を出力するために用いられる。
本発明は、小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセルの方法を更に開示しており、前記小型ハンズフリー音声通信システムが、受話器、メイン送話器及び補助送話器を含み、メイン送話器と受話器との間の距離が、補助送話器と受話器との間の距離よりも大きく、当該方法は、メイン送話器信号及び補助送話器信号をアレイエコーキャンセルユニットに入力してアレイフィルタリングを行って、メイン送話器信号における一部の線形エコー成分及び一部の非線形エコー成分を除去して、一つの出力信号を得ることと、受話器信号、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号及び補助送話器信号を適応エコーキャンセルユニットに入力して適応フィルタリングを行って、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号からメイン送話器信号における残留線形エコー成分を、補助送話器信号から補助送話器信号における線形エコー成分を、それぞれ除去して、第一の適応フィルタリング信号及び第二の適応フィルタリング信号を得ることと、適応エコーキャンセルユニット第一の適応フィルタリング信号及び第二の適応フィルタリング信号を残留エコーキャンセルユニットに入力し、音声確率推定及びエコー整合によって、メイン送話器信号における残留非線形エコー成分を除去して、一つの出力信号を得てエコーキャンセル後の音声信号とすることであって、第一の適応フィルタリング信号及び第二の適応フィルタリング信号に対してそれぞれ時間周波数変換を行って第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号を得ることと、第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号の振幅に応じて、音声確率推定を行って、第一の適応周波数ドメイン信号のうち近端音声信号が占める割合を表す周波数ドメイン音声確率信号を得ることと、第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号の振幅に応じて、第二の適応周波数ドメイン信号に対してエコー整合を行って整合エコーを得て、第一の適応周波数ドメイン信号から整合エコーを減算することで非線形エコー成分信号を除去して、且つ減算して得られた結果に周波数ドメイン音声確率信号を乗算することでエコー信号を抑制するとともに近端音声信号を保護することと、乗算して得られた結果に対して周波数時間変換を行うことで、エコーキャンセルされた結果を出力することと、を含む。

Claims (10)

  1. 小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル装置であって、前記小型ハンズフリー音声通信システムが、受話器、メイン送話器及び補助送話器を含み、メイン送話器と受話器との間の距離が、補助送話器と受話器との間の距離よりも大きく、当該装置が、構造的に順次に縦続接続されたアレイエコーキャンセルユニット、適応エコーキャンセルユニット及び残留エコーキャンセルユニットを含み、
    アレイエコーキャンセルユニットの入力が、メイン送話器信号及び補助送話器信号であり、アレイフィルタリングによってメイン送話器信号における一部の線形エコー成分及び一部の非線形エコー成分を除去して、一つの出力信号を得て、
    適応エコーキャンセルユニットの入力信号が、受話器信号、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号及び補助送話器信号であり、適応フィルタリングによって、それぞれ、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号からメイン送話器信号における残留線形エコー成分を、補助送話器信号から補助送話器信号における線形エコー成分を除去して、二つの出力信号を得て、
    残留エコーキャンセルユニットの入力信号が、適応エコーキャンセルユニットの二つの出力信号であり、音声確率推定及びエコー整合によって、メイン送話器信号における残留非線形エコー成分を除去して、エコーキャンセル後の音声信号として一つの出力信号を得ることを特徴とする装置。
  2. 前記アレイエコーキャンセルユニットが、一つのアレイフィルタモジュールを含み、前記アレイフィルタモジュールが、アレイフィルタと減算器とを含み、前記アレイフィルタが、補助送話器信号に対してアレイフィルタリングを行って第二のアレイフィルタリング信号を得るために用いられ、前記減算器が、メイン送話器信号から前記第二のアレイフィルタリング信号を差し引くことで、メイン送話器信号における一部の線形エコー成分及び一部の非線形エコー成分を除去するために用いられ、
    前記適応エコーキャンセルユニットが、二つの適応フィルタモジュールを含み、前記二つの適応フィルタモジュールが、それぞれ、補助送話器信号に対して適応フィルタリングを行って第二の適応フィルタリング信号を得ることにより、補助送話器信号における線形エコー成分を除去すること、及び、メイン送話器信号から第二のアレイフィルタリング信号を差し引いた信号に対して適応フィルタリングを行って第一の適応フィルタリング信号を得ることにより、メイン送話器信号における残留線形エコー成分を除去すること、に用いられ、
    前記残留エコーキャンセルユニットが、二つの時間周波数変換モジュール、一つの音声確率推定モジュール、一つの周波数スペクトルフィルタモジュール及び一つの周波数時間変換モジュールを含み、前記二つの時間周波数変換モジュールが、それぞれ、前記第一の適応フィルタリング信号に対して時間周波数変換を行って第一の適応周波数ドメイン信号を得ること、及び、前記第二の適応フィルタリング信号に対して時間周波数変換を行って第二の適応周波数ドメイン信号を得ること、に用いられ、
    前記音声確率推定モジュールが、前記第一の適応周波数ドメイン信号及び前記第二の適応周波数ドメイン信号の振幅に応じて周波数ドメイン音声確率推定を行って周波数ドメイン音声確率信号を得るために用いられ、前記周波数ドメイン音声確率信号が、前記第一の適応周波数ドメイン信号のうち近端音声信号が占める割合を表し、
    前記周波数スペクトルフィルタモジュールが、エコー整合器、減算器及び乗算器を含み、前記エコー整合器が、前記第一の適応周波数ドメイン信号及び前記第二の適応周波数ドメイン信号の振幅に応じて前記第二の適応周波数ドメイン信号に対してエコー整合を行うために用いられ、前記減算器が、前記第一の適応周波数ドメイン信号からエコー整合された結果を減算することで非線形エコー成分信号を除去するために用いられ、前記乗算器が、減算して得られた結果に前記周波数ドメイン音声確率信号を乗算することでエコー信号を抑制するとともに近端音声信号を保護するために用いられ、
    前記周波数時間変換モジュールが、乗算して得られた結果に対して周波数時間変換を行うことで、エコーキャンセルの結果を出力するために用いられることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. D1>2D2且つD1−D2>6cmであり、
    (ここで、D1がメイン送話器と受話器との間の距離であり、D2が補助送話器と受話器との間の距離である)
    アレイフィルタの伝送関数が以下の式によって


    (ここで、

    がアレイフィルタの伝送関数で、d1がメイン送話器信号で、d2が補助送話器信号で、E[.]が期待値演算符号で、*が畳み込み演算符号である)
    確定されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
  4. 前記音声確率推定モジュールが、下記の式によって


    (ここで、fが周波数で、E1が第一の適応周波数ドメイン信号の振幅で、E2が第二の適応周波数ドメイン信号の振幅で、pFが周波数ドメイン音声確率信号で、TSが補助送話器信号とメイン送話器信号とにおける近端音声信号の平均振幅比値で、TEが補助送話器信号とメイン送話器信号とにおける非線形エコー成分信号の平均振幅比値であり、ここで、TE>TS>1である)
    周波数ドメイン音声確率信号を算出するために用いられることを特徴とする請求項2に記載の装置。
  5. 前記エコー整合器が、全周波数をM個のサブバンドに分けて、サブバンドの境界をB1〜BM+1として、各サブバンド内に下記の計算を行うために用いられ、
    整合関数Hmを算出し、


    (ここで、i∈[1,M]がサブバンド番号で、fが周波数で、kがサブバンド内における周波数サンプリングポイントで、E1(k)が第一の適応周波数ドメイン信号の周波数サンプリングポイントにおける振幅で、E2(k)が第二の適応周波数ドメイン信号の周波数サンプリングポイントにおける振幅である)
    第二の適応周波数ドメイン信号E2に整合関数Hmを乗算して、且つ、因子Agと乗算して振幅整合を行って、整合エコーYmが得られ、


    減算器が、第一の適応周波数ドメイン信号から整合エコーYmを減算して、乗算器が減算して得られた結果に周波数ドメイン音声確率信号を乗算すると、


    (ここで、pFが周波数ドメイン音声確率信号であり、AgがpFに関連する因子であり、pFの増加につれて低下する)
    になることを特徴とする請求項2に記載の装置。
  6. 小型ハンズフリー音声通信システムに適用するエコーキャンセル方法であって、前記小型ハンズフリー音声通信システムが、受話器、メイン送話器及び補助送話器を含み、メイン送話器と受話器との間の距離が、補助送話器と受話器との間の距離よりも大きく、当該方法が、
    メイン送話器信号及び補助送話器信号をアレイエコーキャンセルユニットに入力してアレイフィルタリングを行って、メイン送話器信号における一部の線形エコー成分及び一部の非線形エコー成分を除去して、一つの出力信号を得ることと、
    受話器信号、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号及び補助送話器信号を適応エコーキャンセルユニットに入力して適応フィルタリングを行って、それぞれ、アレイエコーキャンセルユニットの出力信号からメイン送話器信号における残留線形エコー成分を、補助送話器信号から補助送話器信号における線形エコー成分を除去して、二つの出力信号を得ることと、
    適応エコーキャンセルユニットの二つの出力信号を残留エコーキャンセルユニットに入力し、音声確率推定及びエコー整合によって、メイン送話器信号における残留非線形エコー成分を除去して、エコーキャンセル後の音声信号として一つの出力信号を得ることと、を含むことを特徴とする方法。
  7. 前記のアレイフィルタリングを行うことは、補助送話器信号に対してアレイフィルタリングを行って第二のアレイフィルタリング信号を得て、メイン送話器信号から第二のアレイフィルタリング信号を差し引くことで、メイン送話器信号における一部の線形エコー成分及び一部の非線形エコー成分を除去することを含み、
    前記の適応フィルタリングを行うことは、補助送話器信号に対して適応フィルタリングを行うことで補助送話器信号における線形エコー成分を除去して第二の適応フィルタリング信号を得ることと、メイン送話器信号から第二のアレイフィルタリング信号を差し引いた信号に対して適応フィルタリングを行うことにより、メイン送話器信号における残留線形エコー成分を除去して第一の適応フィルタリング信号を得ることと、を含み、
    前記の音声確率推定及び前記のエコー整合によってメイン送話器信号における残留非線形エコー成分を除去して、エコーキャンセル後の音声信号として一つの出力信号を得ることは、第一の適応フィルタリング信号及び第二の適応フィルタリング信号に対してそれぞれ時間周波数変換を行って第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号を得ることと、第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号の振幅に応じて、音声確率推定を行って、第一の適応周波数ドメイン信号のうち近端音声信号が占める割合を表す周波数ドメイン音声確率信号を得ることと、第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号の振幅に応じて、第二の適応周波数ドメイン信号に対してエコー整合を行って整合エコーを得て、第一の適応周波数ドメイン信号から整合エコーを減算することで非線形エコー成分信号を除去して、且つ減算して得られた結果に周波数ドメイン音声確率信号を乗算することでエコー信号を抑制するとともに近端音声信号を保護することと、乗算して得られた結果に対して周波数時間変換を行うことで、エコーキャンセルされた結果を出力することと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. D1>2D2且つD1−D2>6cmであり、
    (ここで、D1がメイン送話器と受話器との間の距離で、D2が補助送話器と受話器との間の距離である)
    前記の補助送話器信号に対してアレイフィルタリングを行って第二のアレイフィルタリング信号を得ることは、下記の式によって


    (ここで、

    がアレイフィルタの伝送関数で、d1がメイン送話器信号で、d2が補助送話器信号で、E[.]が期待値演算符号で、*が畳み込み演算符号である)
    アレイフィルタの伝送関数を確定することと、
    伝送関数

    が用いられたアレイフィルタによって、補助送話器信号に対してアレイフィルタリングを行うことと、を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 前記の第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号の振幅に応じて音声確率推定を行って周波数ドメイン音声確率信号を得ることは、
    下記の式によって


    (ここで、fが周波数で、E1が第一の適応周波数ドメイン信号の振幅で、E2が第二の適応周波数ドメイン信号の振幅で、pFが周波数ドメイン音声確率信号で、TSが補助送話器信号とメイン送話器信号とにおける近端音声信号の平均振幅比値で、TEが補助送話器信号とメイン送話器信号とにおける非線形エコー成分信号の平均振幅比値であり、ここで、TE>TS>1である)
    周波数ドメイン音声確率信号を算出することを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  10. 前記の第一の適応周波数ドメイン信号及び第二の適応周波数ドメイン信号の振幅に応じて、第二の適応周波数ドメイン信号に対してエコー整合を行うことは、
    全周波数をM個のサブバンドに分けて、サブバンドの境界をB1〜BM+1として、各サブバンド内に第一の適応周波数ドメイン信号E1及び第二の適応周波数ドメイン信号E2に対してエネルギーを求め、エネルギーの間で除算を行って且つ開平演算を行い、整合関数Hm


    (ここで、i∈[1,M]がサブバンド番号で、fが周波数で、kがサブバンド内における周波数サンプリングポイントで、E1(k)が第一の適応周波数ドメイン信号の周波数サンプリングポイントにおける振幅で、E2(k)が第二の適応周波数ドメイン信号の周波数サンプリングポイントにおける振幅である)
    を得ることと、
    第二の適応周波数ドメイン信号E2に整合関数Hmを乗算し、且つ、因子Agと乗算して振幅整合を行って、整合エコーYm


    を得ることと、を含み、
    前記の第一の適応周波数ドメイン信号から整合エコーYmを減算して、減算して得られた結果に周波数ドメイン音声確率信号を乗算することは、


    (ここで、pFが周波数ドメイン音声確率信号であり、AgがpFに関連する整合因子であり、pFの増加につれて低下する)
    になることを特徴とする請求項7に記載の方法。
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