JP2015525077A - チップの構成および高精度な核酸配列決定 - Google Patents

チップの構成および高精度な核酸配列決定 Download PDF

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Abstract

本発明は、核酸分子の配列を決定する装置、システム、および方法を提供する。1mm2あたり少なくとも約500個の密度で独立して配置可能なナノポアセンサーからなる配列を含むチップを用いて、高精度(例えば、1回の通過で97%より高い)で核酸分子の配列を決定することができる。各ナノポアセンサーは、検知電極に隣接するまたはその付近にある膜にナノポアを含むことができる。

Description

相互参照
[0001]本願は、2013年2月28日に提出された米国仮出願第61/771,031号、2012年6月15日に提出された米国仮出願第61/660,537号、および2012年6月15日に提出された米国仮出願第61/660,543号の利益を主張するものであり、それぞれの内容は引用することにより、全体を本願に援用する。
[0002]バイオチップは、核酸分子の配列決定を含む、様々な分子検出および検知に用いることができる。核酸の配列決定とは、核酸の塩基配列を決定するプロセスである。このような配列情報は、対象を診断および/または治療するのに役立つ。例えば、対象の核酸配列を用いて、遺伝的疾患の同定、診断を行い、その治療計画を立てることができる。他の例としては、病原体を調べることにより伝染病の治療を行うことができる。
[0003]核酸の配列を決定するのに用いることができる様々な方法が利用可能である。しかしながら、これらの方法は高価であり、また対象の診断および/または治療に必要な時間内に必要な精度で配列情報を得ることができない。
[0004]本発明は、分子の検出および/または核酸の配列決定など、種の検出および配列決定のための装置、システム、および方法を提供する。また、高精度ナノポア装置を形成する方法を提供する。本発明は、独立かつ並行して実質的に高精度(例えば、少なくとも約97%、98%、または99%)で、場合によっては実質的に短い期間(例えば、約1日、12時間、6時間、5時間、4時間、3時間、2時間、または1時間未満)で(例えば、より大きな核酸試料の一部として)核酸分子の配列決定を行うことにより、高精度な核酸配列決定用に構成することができる高性能装置を提供する。このような高性能装置は、1mmあたり、例えば少なくとも約500個、600個、700個、800個、900個、1000個、10000個のナノポアセンサーを備える。独立かつ並行して行われる配列決定により、場合によっては余剰な核酸配列情報の補助を得て高精度な配列決定を行うことができる。
[0005]一側面では、核酸の配列を決定する方法は、(a)1mmあたり約500個以上の密度で複数の離散部位を含み、前記複数の離散部位の個々の部位が電極に隣接して設けられた膜に形成された少なくとも1個のナノポアを含み、各離散部位は核酸分子またはその一部の検出を補助するように構成されているチップを提供すること;(b)複数の核酸分子を前記複数の離散部位に供給すること;および、(c)前記離散部位に接続されたコンピュータ処理装置の補助により、前記複数の離散部位から受信した電気信号に基づいて前記核酸分子のそれぞれの核酸配列を決定すること、を含む。
[0006]他の側面では、核酸分子の配列を決定するシステムは、(a)1mmあたり約500個以上の密度で複数の離散部位を含むチップであって、前記複数の離散部位の個々の部位が、電極に隣接して設けられた膜に形成された少なくとも1個のナノポアを含み、各離散部位が核酸分子またはその一部の検出を補助するように構成された前記チップ;および、(b)前記チップに接続された処理装置であって、前記複数の離散部位から受信した電気信号に基づいて核酸分子の核酸配列を決定することを補助するようにプログラムされた前記処理装置、を含む。
[0007]他の側面では、1mmあたり約500個以上の密度で離散部位を含む表面を有する基板を含むシステムであって、前記複数の離散部位の個々の部位は、少なくとも1個のナノポア、および前記ナノポアに隣接する検知回路を含む。前記検知回路は、前記検知回路から受信した電気信号に基づいて核酸分子の核酸配列を決定することを補助するようにプログラムされたコンピュータ処理装置と通信する。
[0008]他の側面では、膜は、膜と非混和性の表面に、集積回路に接続された電極が検知可能できる近さで設けられており、前記膜は、前記集積回路で測定した静電容量が平方マイクロメートルあたり約5fF/μmより大きく、少なくとも約50mVの電圧を印加して前記電極で測定した導電率が電解質1モルあたり0.25ナノジーメンスより小さいものである。この膜は、種の検出および/または核酸の配列決定のための装置(例えば、チップ)の一部であってもよい。
[0009]他の側面では、分子の検知に用いる装置は、膜と非混和性の少なくとも1つの表面に、集積回路に接続された電極が検知できる近さで設けられた膜に1個以上のナノポアを含み、前記1個以上のナノポアを含む膜は、静電容量が約5fF/μmより大きく、少なくとも約50mVの電圧を印加して前記電極で測定した導電率がナノポア1個につき電解質1モルあたり約10ナノジーメンスより小さい。
[0010]他の側面では、核酸分子の配列を決定する方法は、(a)センサー配列を含むチップであって、前記センサー配列の個々のセンサーは検知電極に隣接する膜を含み、前記膜は少なくとも1個のナノポアを含み、核酸分子またはその一部の流れが前記少なくとも1個のナノポア内または前記少なくとも1個のナノポアに隣接するときに、前記膜が前記核酸分子またはその一部の1種以上の核酸塩基の検出の補助を行うように構成された前記チップを提供すること;(b)前記核酸分子を前記個々のセンサーに供給すること;(c)前記核酸分子を前記個々のセンサーに供給する際に一連の電気パルスを前記膜に与えること;および、(d)前記一連の電気パルス間に前記核酸分子またはその一部の1種以上の核酸塩基を検出すること、を含む。
[0011]他の側面では、核酸分子の配列を決定する方法は、(a)個々のセンサーの配列を含むチップであって、前記配列の個々のセンサーはナノポアを有する膜に隣接して設けられた電極を含み、前記電極は、電気信号を生成して、核酸分子またはその一部の流れが前記ナノポア内にある、または前記ナノポア付近にあるときに、前記核酸分子またはその一部の検出の補助を行うように構成された電気回路に接続された前記チップを提供すること;(b)前記核酸分子またはその一部を前記ナノポア内または前記ナノポア付近に供給すること;および、(c)少なくとも約97%の精度で前記核酸分子またはその一部の核酸配列を同定すること、を含む。
[0012]他の側面では、核酸分子の配列を決定するシステムは、(a)個々のセンサーからなる配列を含むチップであって、前記配列の個々のセンサーはナノポアを有する膜に隣接して設けられた電極を含み、前記電極は電気信号を生成して前記核酸分子またはその一部の流れが前記ナノポア内にある、または前記ナノポアに隣接するときに核酸分子またはその一部の検出を補助するように構成された電気回路に接続された前記チップ;および、(b)前記チップに接続された処理装置であって、少なくとも約97%の精度で前記複数の離散部位から受信した電気信号に基づいて前記核酸分子の核酸配列の決定を補助するようにプログラムされた前記処理装置、を含む。
[0013]他の側面では、核酸試料の配列を決定する方法は、核酸試料の流れがナノポア内または前記ナノポアの付近にあるとき、前記核酸試料の1種以上の核酸サブユニットを検出すること、および、少なくとも約97%の精度で前記核酸試料の配列を決定すること、を含む。
[0014]他の側面では、核酸試料の配列を決定する方法は、核酸試料の流れがナノポア内または前記ナノポアの付近にあるとき、前記核酸試料の1種以上の核酸サブユニットを検出すること、および、約3%より小さい誤差率で前記核酸試料の配列を決定すること、を含む。
[0015]他の側面では、核酸試料の配列を決定する方法は、(a)分子モーターを使用せずに膜に埋め込まれたナノポア内での前記核酸試料の流れを促進すること;(b)前記核酸試料の流れが前記ナノポア内にあるときに、前記核酸試料の1種以上の核酸サブユニットを検出すること;および、(c)前記1種以上の核酸サブユニットを検出するときに前記核酸試料の配列を決定すること、を含む。
[0016]他の側面では、核酸試料の配列を決定する方法は、(a)核酸試料またはその一部の流れが前記ナノポア内にあるとき、前記ナノポアに隣接する検知回路の補助により、酵素の補助なしに前記核酸試料の1種以上の核酸サブユニットを検知すること;および、(b)前記1種以上の核酸サブユニットを検知するときに前記核酸試料の配列を決定すること、を含む。
[0017]他の側面では、核酸の配列を決定する方法は、(a)ナノポアを有する膜に核酸分子を固定すること;(b)前記核酸分子またはその一部を前記ナノポア内または前記ナノポアの付近を通り抜けさせること;および、(c)前記(b)で前記核酸分子の1種以上の塩基をそれぞれ検知すること、を含み、前記核酸分子を前記膜に固定することにより前記核酸分子が前記ナノポアを完全に通り抜けることを防ぐ、前記方法である。
[0018]他の側面では、対象からの生体試料を検知するシステムは、(a)筐体;(b)前記筐体内に設けられたセンサーであって、内部にナノポアを有する膜に隣接する電気回路を有し、ナノポア内または前記ナノポアに隣接して流れる生体試料に応答して前記電気回路が電気信号を生成するように構成された前記センサー;および、(c)前記筐体上または前記筐体内に設けられた識別部材であって、前記システムに関連づけられた固有の識別子を有し、前記電気信号または前記電気信号から派生した特徴情報と前記対象との関連づけを補助するように構成された前記識別部材、を含む。
[0019]他の側面では、表面で流体を操作する方法は、(a)表面と、前記表面付近の電極配列と、親水相および疎水相を含む流体とを提供することであり、ここで、前記疎水相は前記表面に隣接するものである;および、(b)空間的および/または時間的パターンで前記電極を印加して、前記電極付近の前記親水相に対して前記疎水相を薄くすること、を含む。
[0020]他の側面では、バイオチップは、ウェル内、ウェルに隣接して、またはウェル付近に設けられた膜にナノポアを含み、前記ウェルは、前記ナノポア内または付近、あるいは前記ナノポアに隣接して通る種に応答して、前記ナノポア内のイオンの流れの変化を検出することができる電極を含み、前記電極は、前記膜のいずれかの側のイオン濃度を再調整しなくても少なくとも1時間、前記イオンの流れの変化を検出することができる。
[0021]他の側面では、バイオチップを調製する方法は、(a)半導体基板を提供すること;(b)少なくとも500ウェル/mmの密度で前記半導体基板に複数のウェルを形成すること;(c)前記複数のウェルの個々のウェルに電極を形成することであり、ここで前記電極は、前記半導体基板上に、または前記半導体基板と隣接して配置された検出可能な種の電気的測定を行うことができ、および40mVの電位を印加した場合の動作寿命が少なくとも15分である;および、(d)少なくとも約10ギガオームの抵抗率で個々のウェルを封止する膜を形成するために、前記基板を調製すること、を含む。
[0022]他の側面では、バイオチップは、(a)1ミリ平方あたり少なくとも500ウェルの密度で設けられた複数の電気的に切り離されたウェル;および、(b)前記複数の個々のウェルに設けられた膜、または前記複数の個々のウェルに隣接して設けられた膜、を含むものであり、ここで、前記膜はナノポアを含み、前記個々のウェルは前記ナノポア内のイオンの流れに応答して信号を検出する電極を含むものである。
[0023]他の側面では、バイオチップを調製する方法は、(a)半導体基板に二酸化ケイ素を蒸着すること;(b)前記二酸化ケイ素をエッチングして少なくとも500ウェル/mmの密度で前記半導体基板にウェルを作成すること;(c)前記ウェルに金属電極を形成すること;(d)前記ウェルを除いて前記基板のすべての領域から金属を取り除くこと;および、(e)前記基板を膜との接着性が好適な層で被覆すること、を含む。
[0024]いくつかの態様において、前記金属電極は、(a)(i)下部の導体との電気的接続を提供すること、(ii)前記下部の導体の反応性溶液から保護すること、(iii)酸化還元反応で電極材料が消費されないように電子の供給源および/または吸収源を提供すること、または(iv)これらの任意の組み合わせを提供する保護層を前記ウェルの表面に蒸着すること;および、(b)前記保護層に隣接して前記電極材料を蒸着することにより前記個々のウェルに形成される。
[0025]他の側面では、バイオチップを調製する方法は、(a)少なくとも500ウェル/mmの密度で形成された複数のウェルを有する酸化ケイ素層を基板に隣接して形成すること;(b)前記複数のウェルの個々のウェルに保護層を蒸着すること;および、(c)前記保護層に隣接して電極を蒸着すること、を含む。
[0026]他の側面では、バイオチップを形成する方法は、半導体のシラン処理された表面に隣接して膜を形成することを含み、前記膜は少なくとも10ギガオームの抵抗率で第1の流体を第2の流体から流体的に分離する。
[0027]他の側面では、バイオチップを調製する方法は、(a)二酸化ケイ素および/または金属を含む表面を有するパッケージ化バイオチップまたはバイオチップ前駆体を提供すること;および、(b)前記表面を有機官能アルコキシシラン分子でシラン処理すること、を含む。
[0028]他の側面では、バイオチップを調製する方法は、(a)電極に隣接する溶液中の種を検知する検知回路に接続された電極付近に設けられているウェルにゲルを充填すること;および、(b)前記ウェルを覆うように膜を形成すること、を含むものであり、前記膜は少なくとも部分的に前記ゲルに支持されるものである。
[0029]他の側面では、バイオチップは基板に隣接して設けられた酸化ケイ素層を含み、前記酸化ケイ素層は、前記酸化ケイ素層に形成されたウェルを含み、前記ウェルは耐腐食性材料の第1の層と前記第1の層に隣接する電極とを含み、前記電極は流体空間に露出している。
[0030]他の側面では、バイオチップは複数のウェルと、前記複数のウェルの個々のウェルに、あるいは個々のウェルに隣接して設けられた膜とを含み、前記膜はナノポアを含み、前記個々のウェルは、イオンの流れが前記ナノポア内にあるとき、前記ナノポア内あるいは前記ナノポアに隣接して通る種に応答して、消耗することなく信号を検出する電極を含む。
[0031]他の側面では、バイオチップは核酸試料の配列を決定するのに用いられる。
[0032]前記バイオチップは、本明細書で記載する方法のいずれかにより作成することができる。
[0033]他の側面では、バイオチップは、ウェルを覆うように設けられたナノポアを含む膜を有する複数のウェルに接する電解質と、前記ウェルに設けられた電極とを含み、前記電解質はカリウムイオンを含まない。
[0034]他の側面では、バイオチップは、ウェルを覆うように設けられたナノポアを含む膜を有する複数のウェルに接する電解質と、前記ウェルに設けられた電極とを含み、前記電解質は、塩化四メチルアンモニウム、塩化三エチルアンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
[0035]本発明の他の側面や利点は、以下の詳細な説明から当業者には自明であり、以下の詳細な説明は、本発明の例示的な態様のみを示し、かつ記載したものである。当然のことながら、本明細書は他の異なる態様が可能であり、そのいくつかの詳細は、本発明から逸脱することなく様々な明らかな点で修正が可能である。したがって、図面および記述は例示として解釈されるべきであり、限定的に解釈されるべきではない。
引用による援用
[0036]本明細書で言及されたすべての出版物、特許、および特許出願は、それぞれの出版物、特許、および特許出願で引用によって具体的かつ個別的に援用することが示されているように、引用によって同じ程度に本願に援用する。
[0037]本発明の新規な特徴は、添付の請求項に詳細に記載されている。本発明の特徴および利点は、本発明の原理が利用されている例示的な態様に記載された以下の詳細な説明と、添付の図面とを参照することにより、よりよく理解される。
[0038]図1A、1B、および1Cはナノポア検出器の例を示す。図1Aでは、ナノポアは電極の上に配置されている。 図1Bでは、ナノポアはウェルを覆う膜に挿入されている。 図1Cでは、ナノポアは突出した電極を覆うように配置されている。 [0039]図2は、超小型測定回路の一例を示す。 [0040]図3は、超小型測定回路の一例を示す。 [0041]図4は、試験チップセル配列の構成の一例を示す。 [0042]図5は、膜に固定された核酸分子のいくつかの例を示す。 [0043]図6は、イオン相と疎水相を含む流体の一例を示しており、この流体はセンサーを含む表面と接している。 [0044]図7は、イオン相と疎水性相を含む流体の一例を示しており、この流体は複数のセンサーを含む表面と接している。 [0045]図8は、空間的および/または時間的パターンで複数の電極を印加することにより疎水性相を薄くする一例を示す。 [0046]図9は、電極配列の上面図の一例を示しており、電極群は空間的および/または時間的パターンで印加されて流体を表面の両端へ移動させる。 [0047]図10は、電極配列の上面図の一例を示しており、流体は本明細書で記述するように移動させられる。 [0048]図11は、流体を表面の周辺部から表面のある位置へ向けて移動させるのに用いる、本明細書で記載した方法の一例を示す。 [0049]図12は、ナノポアにより核酸の配列を決定する方法の一例を示す。 [0050]図13は、円形の核酸分子鋳型により核酸の配列を決定する方法の一例を示す。 [0051]図14は、円形の核酸分子鋳型により核酸の配列を決定する方法の他の例を示す。 [0052]図15は、二本鎖核酸分子をほどく(unzipping)方法の一例を示す。 [0053]図16は、ナノポアおよびロックされたタンパク質にて核酸分子の配列を決定する方法の工程の一例を示す。 [0054]図17は、ナノポアおよびロックされたタンパク質にて核酸分子の配列を決定する方法を示す。 [0055]図18は、phi29ポリメラーゼのリボン図を示す。 [0056]図19は、phi29ポリメラーゼの空間充填図を示す。 [0057]図20は、ナノポアにて核酸分子の配列を決定する方法の一例を示しており、ナノポアを通過する速度は、結合相手同士間の相互作用によって少なくとも部分的に決定される。 [0058]図21は、配列決定装置を制御するように構成されたコンピュータシステムを示す。 [0059]図22は、孔に基づく電子センサーを示す。 [0060]図23は、電極配列を示しており、容器は対向電極の機能を兼ねる。 [0061]図24は、共通の対向電極を有する電極配列を示す。 [0062]図25は、センサーの各列が共通の対向電極を共有する電極配列を示す。 [0063]図26は、各電極が独立した対向電極を有する電極配列を示す。 [0064]図27は、共通の電解質溜まりを共有するセンサーウェルの列の一例を示す。 [0065]図28は、半導体基板の一例を示す。 [0066]図29は、半導体基板に蒸着された二酸化ケイ素層を示す。 [0067]図30は、二酸化ケイ素層に設けられたフォトレジストを示す。 [0068]図31は、放射線に曝されてウェルの領域を規定するフォトレジスト領域を示す。 [0069]図32は、乾式エッチングで一部が取り除かれた二酸化ケイ素層を示す。 [0070]図33は、湿式エッチングでさらに二酸化ケイ素層を取り除いてウェルを形成したことを示す。 [0071]図34は、チタン接着層を蒸着したことを示す。 [0072]図35は、白金保護層を蒸着したことを示す。 [0073]図36は、銀電極材料を蒸着したことを示す。 [0074]図37は、フォトレジストおよびその上に形成された材料を取り除いたことを示す。 [0075]図38は、二酸化ケイ素層をシラン処理したことを示す。 [0076]図39は、必要に応じてウェルにゲルを充填したことを示す。 [0077]図40は、ウェルを覆うようにナノポアを有する膜を形成したことを示す。 [0078]図41は、銀電極がウェルの側壁にまで設けられたバイオチップを示す。
[0079]本明細書で本発明の様々な態様を示して記述した。当業者には自明であるが、このような態様は例示としてのみ示されている。当業者であれば、本発明を逸脱することなく多数の変形、変更、置換に思い至るであろう。なお、本明細書で記載した本発明の態様は様々な変更を加えることができる。
[0080]本明細書を通じて用語「ナノポア」は、一般に膜に形成あるいは設けられた孔、流路、または通路を指す。膜は、脂質二重層などの有機膜、または重合体材料からなる膜などの合成膜であってもよい。この膜は重合体材料であってもよい。ナノポアは、例えば、相補型金属酸化膜半導体(complementary metal-oxide semiconductor, CMOS)または電界効果トランジスタ(field effect transistor, FET)回路などの検知回路に、または検知回路に接続された電極に隣接して、あるいはその付近に設けることができる。いくつかの例では、ナノポアは0.1ナノメートル(nm)から約1000nmの特徴幅または直径を有する。いくつかのナノポアはタンパク質である。α溶血素はタンパク質ナノポアの一例である。
[0081]本明細書を通じて用語「ポリメラーゼ」は、一般に重合反応を触媒することができる任意の酵素を指す。ポリメラーゼの例としては、核酸ポリメラーゼまたはリガーゼが挙げられるが、これらに限定されない。ポリメラーゼは重合酵素であってもよい。
[0082]本明細書を通じて、用語「核酸」は、一般に1種以上の核酸サブユニットを含む分子を指す。核酸は、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、およびウラシル(U)、またはこれらの変異体から選ばれる1種以上のサブユニットを含むことができる。ヌクレオチドはA、C、G、T、U、またはこれらの変異体を含むことができる。ヌクレオチドは、伸長する核酸鎖に組み込むことができる任意のサブユニットを含むことができる。このようなサブユニットは、A、C、G、T、またはU、あるいは1種以上の相補的A、C、G、T、Uに特異的な他のいずれのサブユニット、あるいはプリン塩基(すなわちA、G、またはこれらの変異体)またはピリミジン塩基(すなわちC、T、U、またはこれらの変異体)のいずれの相補的サブユニットであってもよい。サブユニットは、個々の核酸塩基または分解可能な核酸塩基群(例えば、AA、TA、AT、GC、CG、CT、TC、GT、TG、AC、CA、またはこれらのウラシル対応物)であってもよい。いくつかの例では、核酸はデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、またはこれらの誘導体である。核酸は一本鎖または二本鎖であってもよい。
[0083]「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」は、本明細書で定義されるような1種以上のヌクレオチドを含む重合体またはオリゴマーである。ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは、DNAポリヌクレオチドまたはDNAオリゴヌクレオチド、RNAポリヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチド、あるいはDNAポリヌクレオチドまたはDNAオリゴヌクレオチドおよび/またはRNAポリヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチドの1つ以上の部分を含むことができる。
[0084]本明細書における用語「ヌクレオチド」または「塩基」は、一次ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であってもよい。一次ヌクレオチドはデオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、アデノシン一リン酸(AMP)、シチジン一リン酸(CMP)、グアノシン一リン酸(GMP)またはウリジン一リン酸(UMP)である。ヌクレオチド類似体は、一次核酸塩基(A、C、G、T、およびU)、デオキシリボース/リボース構造、一次ヌクレオチドのリン酸基に修飾を持つ一次ヌクレオチドの類似体または模倣体、またはこれらの任意の組み合わせである。例えば、ヌクレオチド類似体は、天然に存在する修飾塩基または人工の修飾塩基を有することができる。修飾塩基の例としては、メチル化核酸塩基、修飾プリン塩基(例えば、ヒポキサンチン、キサンチン、7−メチルグアニン、isodG)、修飾ピリミジン塩基(例えば、5,6−ジヒドロウラシルおよび5−メチルシトシン、isodC)、普遍的塩基(例えば、3−ニトロピロールおよび5−ニトロインドール)、非結合塩基模倣体(例えば、4−メチルベンゾイミダゾールおよび2,4−ジフルオロトルエンまたはベンゼン)、および非塩基(ヌクレオチド類似体が塩基を持たない脱塩基性ヌクレオチド)などが挙げられるが、これらに限定されない。修飾デオキシリボース(例えば、ジデオキシグアノシン、ジデオキシアデノシン、ジデオキシチミジン、およびジデオキシシチジンなどのジデオキシヌクレオシド)および/またはリン酸構造(両者を一緒にして主鎖構造という)を有するヌクレオチド類似体の例は、グリコールヌクレオチド、モルホリノ、ロックされたヌクレオチドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
[0085]本発明は、種(例えば、原子、分子の)の検出および/または配列決定(例えば、核酸の配列決定)のための装置、システム、および方法を提供する。いくつかの例では、本発明の装置は、1mmあたり少なくとも約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、10000個の密度でナノポア配列を含む。個々の離散部位はそれぞれ1つのナノポアセンサーを含み、このナノポアセンサーは検知電極に隣接して設けられた膜に1個以上のナノポア(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のナノポア)を含むことができる。このような密度は、本明細書で記載する製造方法により達成することができる。それぞれのナノポアは電極付近に設けることができる。この電極は独立して配置可能(例えば、別の電極と独立して配置することができる)であり、これにより各ナノポアは異なる核酸分子を独立して感知することができる。これにより配列決定(例えば、核酸の配列決定)を並行処理することができ、例えば、少なくとも約95%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%、約99.9%、約99.99%、約99.999%、または約99.9999%の精度で高精度な配列決定を行うことができる。
[0086]例えば、核酸分子の複数の複製は、独立して配置可能な複数のナノポアでそれぞれ独立して配列決定されて生の核酸配列データを生成する。この複数の複製は、例えば、核酸増幅(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応)により単一の核酸試料から生成することができる。配列決定の後、本発明のシステムのコンピュータ処理装置によって実行されるソフトウェアにより、(例えば、生の配列データを比較して異常を検出することにより)生の配列データの誤差を修正し、生の配列データを並べて核酸試料の配列を生成することができる。このような方法では、少なくとも約95%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%、約99.9%、約99.99%、約99.999%、または約99.9999%の精度で核酸試料の配列を決定することができる。このような精度は、核酸分子がナノポア内またはその隣接部分を一度通ると達成される。場合によっては、このような精度は、約6個、約5個、約4個、約3個、約2個、または約1個の核酸塩基を同定する場合に達成することができる。例えば、ナノポアセンサーによる核酸分子のそれぞれの塩基配列を決定すると、精度97%が達成される。
[0087]本発明の装置によると、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、20000、30000、40000、50000、あるいは100000個以上の塩基長を有する核酸試料の配列を決定する場合、少なくとも約95%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%、約99.9%、約99.99%、約99.999%、または約99.9999%の精度で核酸試料の配列を決定することができる。このような高精度の核酸配列の決定においては、いくつかの場合、余剰な配列情報の補助により、核酸分子の核酸配列を実質的に速く、例えば、約1日、12時間、11時間、10時間、9時間、8時間、7時間、6時間、5時間、4時間、3時間、2時間、1時間以下で決定することができる。
[0088]本発明のナノポア装置は、余剰な配列情報を生成することができる。いくつかの例では、余剰な配列情報は核酸分子の複数の複製を独立かつ並列して、場合によっては実質的に同時に配列決定することにより生成することができる。核酸分子のある複製の配列を決定する際、生の配列情報を生成し、その核酸分子の核酸配列を生成するのに用いたシステムの記憶場所に記憶させることができる。この核酸分子の他の複製から得た生の配列データを記憶場所に記憶することができる。誤差補正アルゴリズム(ソフトウェアにより実行される)を用いて、これら生の配列データを比較し、重なり部分を求め、重なり部分と配列データから重なり部分における誤差を決定することができる。一例では、この誤差は、生成された配列と比較された実際の配列である。例えば、核酸分子の10個の複製のうち、9個についてある部分が生成された配列AAAAAであるのに、1個の部分だけがAAAATである場合、このAAAAT配列は誤差とみなされて破棄され、この部分について高い信頼度(例えば、少なくとも約80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、または99%の信頼度)で実際の配列はAAAAAであると決定することができる。よってこのような余剰な配列情報は、生成された核酸配列に関連づけられる誤差を低減するのに用いることができる。場合によっては、配列比較アルゴリズム(例えば、配列比較ソフトウェアで実行されるような)を用いて核酸分子の個々のより小さい配列からより長い配列を生成する場合でも、余剰な配列情報は生成された配列に関連づけられる誤差を低減することができる。
[0089]ここで核酸分子の配列を決定するための方法、装置、およびシステムを記載する。様々な側面において、本発明は、膜と、膜にナノポアを含み、分子の検知に用いられる装置とを含む。いくつかの例では、複数の離散部位(すなわち画素)を含むバイオチップを提供するという利点を有する。いくつかの例では、これら複数の離散部位を配列に配置している。いくつかの例では、バイオチップはナノポア、センサー、またはこれらの任意の組み合わせを含み、これらは必要に応じて本明細書に記載するように膜に、あるいは膜付近に埋め込まれている。
[0090]本明細書では、ナノポアの補助により核酸分子の配列を決定するシステムおよび方法を提供する。このナノポアは、電界効果トランジスタまたは相補型金属酸化膜半導体(CMOS)など検知回路に隣接して設けられた膜に形成するあるいは埋め込むことができる。場合によっては、核酸または標識がこのナノポア内またはこのナノポアに隣接して流れると、検知回路がこの核酸または標識に関連づけられる電気信号を検出する。この核酸は、より大きい鎖のサブユニットであってもよい。標識は核酸の組み込みにおける副生物であってもよく、あるいは標識付き核酸とナノポアまたはナノポアに隣接する種(核酸から標識を開裂する酵素など)との他の相互作用の副産物であってもよい。
[0091]いくつかの態様において、検出された信号を集めて記憶場所に記憶し、後で核酸の配列を構築するのに用いることができる。集められた信号を処理して、誤差などの検出された信号の任意の異常を説明することができる。
核酸試料の配列を決定する方法
[0092]一側面において、核酸試料の配列を決定する方法は、核酸試料または核酸試料に関連づけられた標識をナノポア内またはナノポア付近に供給し、少なくとも約97%の精度でこの核酸試料の核酸塩基を決定することを含む。いくつかの態様において、このナノポアは膜である。このナノポアは、α溶血素などの膜タンパク質であってもよい。いくつかの態様において、この膜は合成膜である。いくつかの態様において、この膜は脂質二重層である。ナノポアは個々に(すなわち独立して)配置可能である。
[0093]いくつかの例では、核酸(例えば、DNAおよびRNA)の核酸配列の決定には誤差を含む。誤差の例としては、削除(核酸検出不能)、挿入(実際には存在しないはずの核酸の検出)、および置換(間違った核酸の検出)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、核酸の配列決定の精度は、測定した核酸配列と正しい核酸配列(例えば、生命情報工学の技術により)とをつき合わせて、削除、挿入および/または置換された核酸位置の百分率を求めることにより決定される。この精度は0%〜100%の範囲であり、精度が100%であると、核酸の配列が完全に正しく決定されたことを示す。誤差率は、100%から精度を減じたものであることができ、0%〜100%の範囲であってもよい。誤差率が0%であると、核酸の配列が完全に正しく決定されたことを示す。
[0094]様々な態様では、誤差は削除、挿入、および置換の任意の組み合わせである。いくつかの態様において、誤差は削除をほとんど含まない。いくつかの態様において、誤差の約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、約5%、または約1%が削除である。いくつかの態様において、誤差の70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下が削除である。
[0095]いくつかの態様において、本明細書で記載した方法および/または装置により行う核酸の配列決定の精度は高い。この精度は任意の高い値である。いくつかの例では、この精度は約95%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%、約99.9%、約99.99%、約99.999%、約99.9999%などである。いくつかの例では、この精度は少なくとも95%、少なくとも95.5%、少なくとも96%、少なくとも96.5%、少なくとも97%、少なくとも97.5%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、少なくとも99.99%、少なくとも99.999%、少なくとも99.9999%などである。いくつかの例では、この精度は約95%〜99.9999%の間、約97%〜99.9999%の間、約99%〜99.9999%の間、約99.5%〜99.9999%の間、約99.9%〜99.9999%の間などである。
[0096]いくつかの例では、複数回の通過を行う(すなわち、例えば、核酸をナノポア内またはその付近を通過させてその核酸分子の核酸塩基の配列を決定することで核酸分子の配列決定を複数回行う)ことで高精度が達成される。場合によっては、この複数の通過から得たデータを組み合わせる(例えば、1回目の通過の削除、挿入、および/または置換を、他の繰り返し通過から得たデータを用いて修正する)。いくつかの態様において、極小数回の通過で高精度が達成される(読み取り、配列包括度の多重度ともいう)。通過の回数は任意の数であり、整数である必要はない(例えば、2.5回)。いくつかの態様において、核酸分子は、例えば、少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、12回、14回、16回、18回、20回、25回、30回、35回、40回、45回、50回などで配列が決定される。いくつかの態様において、核酸分子は、例えば、多くとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、12回、14回、16回、18回、20回、25回、30回、35回、40回、45回、50回などで配列が決定される。いくつかの態様において、核酸分子は、例えば、約1回から10回の間、約1回から5回の間、約1回から3回の間なので配列が決定される。いくつかの態様において、この精度レベルは、多くとも20回の通過から集めたデータを組み合わせることによって達成される。いくつかの態様において、この精度レベルは、多くとも10回の通過から集めたデータを組み合わせることによって達成される。いくつかの態様において、この精度レベルは、多くとも5回の通過から集めたデータを組み合わせることによって達成される。いくつかの態様において、この精度レベルは、一回の通過から集めたデータを組み合わせることによって達成される。
[0097]いくつかの例では、核酸群は本明細書で記載される方法および/または装置により同定される。例えば、3種の核酸(例えば、アデニン、シトシン、およびチミン)の組み合わせは、ナノポアの電圧に及ぼす特徴的効果により決定される。いくつかの例では、約6個、約5個、約4個、約3個、約2個、または約1個の核酸塩基(すなわち群として)を同定する場合、核酸の配列決定の精度は高くなる(例えば、少なくとも97%)。いくつかの例では、約6個まで、約5個まで、約4個まで、約3個まで、約2個まで、または約1個までの核酸塩基(すなわち群として)を同定する場合、核酸の配列決定の精度は高くなる。いくつかの態様において、1個の核酸塩基を同定する場合、この精度は少なくとも約97%である。
[0098]一例では、核酸試料の配列を決定する方法は、ナノポア内またはその付近に核酸試料の流れがあるとき、誤差率約3%未満で1種以上の核酸サブユニットを検出することを含む。いくつかの例では、低誤差率は少ない通過数で達成される(例えば、1回の通過で3%の誤差率)。この核酸サブユニットは、任意の好適な数の核酸、例えば、約3個以下の核酸塩基を含む。いくつかの例では、この核酸サブユニットは1種のヌクレオチドを含む。
[0099]誤差率は任意の好適に低い値である。いくつかの例では、誤差率は、例えば、約10%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0.5%、約0.1%、約0.01%、約0.001%、約0.0001%などである。いくつかの例では、誤差率は、例えば、多くとも10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.01%、0.001%、0.0001%などである。いくつかの例では、誤差率は、例えば、10%〜0.0001%の間、3%〜0.0001%の間、1%〜0.0001%の間、0.01%〜0.0001%の間などである。
[00100]いくつかの例では、電極からの信号を検出することにより核酸分子の配列が決定される。この電極はナノポアセンサーの一部であってもよい。いくつかの例では、この信号は電気信号であり、核酸分子がナノポア内またはその付近を通過するときに生成される。いくつかの例では、この核酸分子に関連づけられた標識分子(例えば、核酸重合時に放出される標識)がナノポアに入る、ナノポアから出る、またはナノポア内を通過する。いくつかの例では、この信号は電気ノイズによって少なくとも部分的に不明瞭になっている。信号のノイズに対する比(例えば、これらの振幅の比)は、任意の好適に高い(すなわち所定の精度を達成できる程度に好適に高い)値である。いくつかの態様において、上記1種以上の核酸サブユニットは、例えば、信号対ノイズ比が約2対1、約3対1、約4対1、約5対1、約6対1、約7対1、約8対1、約9対1、約10対1、約100対1、約1,000対1、約10,000対1などで検出される。いくつかの態様において、上記1種以上の核酸サブユニットは信号対ノイズ比が少なくとも約10対1、少なくとも約100対1、少なくとも約1,000対1、少なくとも約10,000対1で検出される。
[00101]この核酸サブユニットは任意の好適な時間で検出することができる。いくつかの態様において、上記1種以上の核酸サブユニットは、例えば、約1秒、約1ミリ秒(ms)、約1マイクロ秒(μs)で検出される。いくつかの態様において、上記1種以上の核酸サブユニットは、例えば、多くとも1秒、多くとも1ミリ秒、多くとも1マイクロ秒で検出される。いくつかの態様において、上記1種以上の核酸サブユニットは、例えば、少なくとも1秒、少なくとも1ミリ秒、少なくとも1マイクロ秒で検出される。
[00102]いくつかの例では、この核酸分子および/またはこの核酸分子に関連づけられた標識分子は、特徴的な滞留(dwell)時間でナノポアを通過する。いくつかの例では、滞留時間は、核酸分子(例えば、単一の塩基、または複数の塩基)または関連づけられた標識分子の一部がナノポアで検出可能な時間(例えば、信号が生成される間の時間)の平均時間である。他の側面では、本発明は、核酸の配列を決定する方法を提供し、この方法は、核酸を滞留時間でナノポアを通過させること、および、この核酸がナノポアを通過する間にこの核酸試料の1種以上の核酸サブユニットを検出すること、を含む。
[00103]滞留時間は、任意の好適な(例えば、所定の精度を達成するための)時間であってもよい。いくつかの例では、滞留時間は、例えば、約100ミリ秒(ms)、約80ms、約60ms、約40ms、約20ms、約10ms、約1ms、約100μs、約80μs、約60μs、約40μs、約20μs、約10μs、約1μsなどである。いくつかの例では、滞留時間は、例えば、少なくとも100ms、少なくとも80ms、少なくとも60ms、少なくとも40ms、少なくとも20ms、少なくとも10ms、少なくとも1ms、少なくとも100マイクロ秒(μs)、少なくとも80μs、少なくとも60μs、少なくとも40μs、少なくとも20μs、少なくとも10μs、少なくとも1μsなどである。いくつかの例では、滞留時間は、例えば、多くとも100ms、多くとも80ms、多くとも60ms、多くとも40ms、多くとも20ms、多くとも10ms、多くとも1ms、多くとも100μs、多くとも80μs、多くとも60μs、多くとも40μs、多くとも20μs、多くとも10μs、多くとも1μsなどである。いくつかの例では、滞留時間は約10μs〜20msの間である。
[00104]いくつかの態様において、滞留時間は約5塩基までのサブユニットを同定するのに十分な時間である。いくつかの態様において、滞留時間は約3塩基までのサブユニットを同定するのに十分な時間である。いくつかの態様において、滞留時間は約1塩基までのサブユニットを同定するのに十分な時間である。
[0100]本発明の他の側面は、核酸の配列情報を得るための方法を提供する。いくつかの態様において、この方法は、(a)前記核酸をナノポアに流すこと;(b)少なくとも1個の減速突起(speed bump)−核酸二本鎖断片を有する減速突起−核酸錯体を形成すること;(c)前記ナノポアのくびれ領域手前で減速突起−核酸二本鎖断片が止まるまで前記減速突起−核酸錯体をそのナノポアに流すこと;(d)前記減速突起−核酸二本鎖断片が止まったときに電気信号を得て、1つ目の減速突起−核酸二本鎖断片に隣接するヌクレオチド配列を決定すること;および、(e)前記減速突起−核酸錯体を解離して核酸のナノポア内の流れを継続させること、を含む。
[0101]この方法では、この減速突起−核酸二本鎖は、減速突起オリゴヌクレオチドと核酸分子との間でDNAまたはRNA塩基対の相互作用を含む。この二本鎖を、温度、電圧、またはこれらの組み合わせを含む任意の好適な方法で解離する。いくつかの例では、電圧パルスを用いて減速突起分子を核酸分子から解離する。
[0102]いくつかの例では、高精度および/または低誤差率は、核酸分子がナノポア内またはその付近を通過する速度を下げることにより達成される。いくつかの例では、核酸分子がナノポア内を通過する。いくつかの例では、ヌクレオチド重合事象により放出される標識分子がナノポア内を通過する。いくつかの例では、核酸分子がナノポア内またはその付近を通過する速度は、所定の滞留時間(例えば、高い信号対ノイズ比および/または高精度の核酸配列決定を達成するのに十分な長さの滞留時間)を達成するのに十分な程度に遅い。
[0103]いくつかの例では、減速突起分子を核酸分子に会合して、核酸分子がナノポア内またはその付近を通過する速度を低減する、または下げる。いくつかの例では、この減速突起分子はオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、この減速突起分子は2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、または50までの塩基長を有する。いくつかの態様において、これらオリゴヌクレオチドは核酸配列と塩基対を形成する。このような塩基対の形成は、オリゴヌクレオチド同士の共有相互作用に関与し得る。いくつかの態様において、この減速突起分子は、核酸がナノポア内を通過するときに核酸から解離される。
[0104]本発明の他の側面は、核酸の配列を決定する方法を提供する。この方法は、減速突起分子を核酸と非共有結合で会合することにより核酸がナノポア内を通過する速度を減速することを含み、この核酸は上記ナノポア内を通過するときに配列が決定される。非共有結合での会合は、イオン性相互作用、少なくとも部分的にロンドン分散力による相互作用などを含むが、これらに限定されない。ナノポア内またはその付近を通過する核酸分子は、この非共有結合で会合された減速突起分子により減速される。
[0105]さらに詳細が、PCT特許公報WO/2012/088339およびWO/2012/088341に記載されており、これらの内容は引用することにより、全体を本願に援用する。
チップの構成
[0106]図1は、温度制御装置を有するナノポア検出器(またはセンサー)の一例を示す。
このナノポア検出器は米国特許出願公開第2011/0193570号に記載された方法で調製することができ、その内容は引用することにより、全体を本願に援用する。図1Aでは、ナノポア検出器は導電性溶液(例えば、塩溶液)107と接する上部電極101を含む。下部導電性電極102は、ナノポア106に隣接して、またはその付近に設けられている。ナノポア106は膜105に挿入されている。いくつかの例では、下部導電性電極102は半導体103に埋め込まれている。半導体103は半導体基板104の埋め込み電気回路である。半導体103の表面は、疎水処理されていてもよい。検出される試料は、ナノポア106の孔を通過する。この半導体チップセンサーは、パッケージ108に配置され、パッケージ108は温度制御素子109近傍に配置されている。温度制御素子109は熱電加熱装置および/または冷却装置(例えば、ペルチェ素子)であってもよい。いくつかの例では、当該層が電極102を埋め覆うように設けられている。
[0107]複数のナノポア検出器でナノポア配列を形成することができる。ナノポア配列は1個以上のナノポア検出器を含むことができる。場合によっては、ナノポア配列は少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、100、1000、10000、または100,000個のナノポア検出器を含む。個々のナノポア検出器は、検知電極(例えば、下部導電性電極102)に隣接する1個以上のナノポアを含むことができる。場合によっては、個々のナノポア検出器は、検知電極に隣接する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または100個のナノポアを含む。
[0108]図1Bでは、同じ参照符号は同じ要素を示しており、膜105はウェル110を覆うように配置することができる。センサー102はウェルの表面の一部を形成している。図1Cは電極102が半導体103の処理された表面から突出している例を示している。
[0109]いくつかの例では、膜105は、半導体103ではなく、下部導電性電極102に形成されている。そのような場合、膜105は下部導電性電極102と接続による相互作用を形成することができる。しかしながら、場合によっては、膜105は下部導電性電極102と半導体103上に形成されている。あるいは、膜105は、下部導電性電極102ではなく半導体103に形成することができるが、下部導電性電極102を覆うように設けられていてもよい。
[0110]場合によっては、これらセンサーおよび/または電極は、個別に、または独立して配置することができる。個別に、および/または独立して配置可能なセンサーは、制御することができ、かつ/またはセンサーおよび/または電極のそれぞれから読み取ったデータを有する。
[0111]あるナノポアセンサーは、独立して配置できる。これにより並行して配列決定と余剰な配列情報の生成を行うことができる。このナノポアセンサーを用いて核酸配列情報を高精度(例えば、約97%以上)で生成することができる。あるいは、ナノポアセンサー群は独立して配置できる。このナノポアセンサー群は少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、100、200、300、400、または500個のナノポアセンサーを含むことができる。このような場合、あるナノポアセンサー群は、別のナノポアセンサー群から独立して制御することができる。
高画素密度
[0112]いくつかの例では、離散部位を高密度で含むシステムを提供するという利点を有する。例えば、単位面積あたり(すなわち密度)の離散部位が多いと、携帯可能、低コスト、またはその他の利点を有する、より小型の装置を構築することができる。いくつかの態様において、離散部位を高密度で設けると、反応や測定などを行う部位を増やすことができる。一例では、ナノポアおよび検知回路を含む離散部位が多いと、多数の核酸分子の配列を一度に決定することができる。このようなシステムは、処理量を増加させ、かつ/または核酸試料の配列決定のコストを低減することができる。
[0113]一側面では、システムは、離散部位を含む表面を有する基板を含む。これら離散部位の個々の部位は、ナノポアと、ナノポアに隣接する検知回路を含む。好適なナノポアおよび検知回路の例は本明細書で記載されている。いくつかの態様において、このシステムはさらに、上記基板と流体的に通信するフローセルを含む。このフローセルは、上記基板に1種以上の試薬を供給するように構成されている。
[0114]上記表面は、離散部位を任意の好適な密度(例えば、所定の時間または所定のコストで核酸試料の配列決定を行うのに好適な密度)で含む。一態様では、この表面は、1mmあたり約500個以上の密度で離散部位を有する。いくつかの態様において、上記表面は、1mmあたり約200個、約300個、約400個、約500個、約600個、約700個、約800個、約900個、約1000個、約2000個、約3000個、約4000個、約5000個、約6000個、約7000個、約8000個、約9000個、約10000個、約20000個、約40000個、約60000個、約80000個、約100000個、または約500000個の密度で離散部位を有する。いくつかの態様において、上記表面は、1mmあたり少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、少なくとも800個、少なくとも900個、少なくとも1000個、少なくとも2000個、少なくとも3000個、少なくとも4000個、少なくとも5000個、少なくとも6000個、少なくとも7000個、少なくとも8000個、少なくとも9000個、少なくとも10000個、少なくとも20000個、少なくとも40000個、少なくとも60000個、少なくとも80000個、少なくとも100000個、または少なくとも500000個の密度で離散部位を有する。このような画素密度は、本明細書の以下および他の箇所で記載する本発明による製造方法により達成することができる。一例では、1mmあたり少なくとも約500個の密度でウェルを形成し、各ウェルにナノポアセンサー(例えば、ナノポアを有する膜)を形成することにより、1mmあたり少なくとも約500個の画素密度が達成される。さらに高い密度(例えば、1mmあたり少なくとも600個、700個、800個、900個、1000個、10000個)は、より高密度でウェルを形成するように処理条件を選択することで達成することができる。
[0115]いくつかの態様において、このナノポアはタンパク質である。ナノポアの一例はα溶血素である。いくつかの態様において、このナノポアは直径が約100Å以下である。いくつかの態様において、このナノポアは直径が約50Å以下である。このように、いくつかの例では、単位面積あたりの離散部位の数は、検知回路の寸法によって決定される。
[0116]いくつかの態様において、この検知回路はいくつかトランジスタを含む。このセンサー回路は任意の好適な数(例えば、信号を検出するのに必要なだけ)のトランジスタを含む。いくつかの態様において、この検知回路は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19,または20個のトランジスタを含む。いくつかの態様において、この検知回路は、多くとも1個、多くとも2個、多くとも3個、多くとも4個、多くとも5個、多くとも6個、多くとも7個、多くとも8個、多くとも9個、多くとも10個、多くとも11個、多くとも12個、多くとも13個、多くとも14個、多くとも15個、多くとも16個、多くとも17個、多くとも18個、多くとも19個、または多くとも20個のトランジスタを含む。離散部位を高密度で含み、各離散部位は検知回路を含む表面を有する基板を含むシステムを提供する好適な一態様は、以下のとおりである。
小型検知回路
[0117]セル回路の一例を図2に示す。電圧Vaを金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)電流運搬ゲート201の前のオペアンプ1200に印加する。図2には電極202と、装置203によって検出される核酸および/または標識の抵抗が示されている。
[0118]電圧Vaは電流運搬ゲート201を駆動することができる。VtをMOSFETの閾値電圧とすると、この電極の電圧はVa−Vtである。いくつかの例では、MOSFETの閾値電圧がプロセス、電圧、温度によって、またチップの装置間でかなり変動し得る場合、この構成により電極に印加する実際の電圧を限定的に制御する。このVtの変動は、下位閾値リーク効果が作用することができる低い電流レベルで大きくなることがある。したがって、印加する電圧をよりよく制御するために、電流運搬装置を有するフォロワ・フィードバック構成にオペアンプを用いることができる。これにより、MOSFETの閾値電圧の変動から独立して電極に印加する電圧がVaであることを確実にする。
[0119]セル回路の他の例を図3に示す。この回路は、積分器と、比較器と、制御ビットを入力する(shift in)と同時に比較器の出力の状態を出力する(shift out)デジタル論理回路とを含む。セル回路は、本明細書で提供するシステムおよび方法と共に用いるように構成することができる。B0−B1ラインは、シフトレジスタから引き出されていてもよい。アナログ信号が並び内のすべてのセルにより共有されており、デジタルラインがセルからセルをデイジーチェーンで接続している。
[0120]セルデジタル論理回路は、5ビットデータシフトレジスタ(DSR)と、5ビット並列負荷レジスタ(PLR)、制御論理回路と、アナログ積分器回路を含む。LIN信号を用いて、DSRにシフトされた制御データは、PLRに並列に読み込まれる。これら5ビットは、デジタル「ブレーク・ビフォア・メイク(break-before-make)」タイミング論理回路を制御し、このデジタル論理回路は細胞のスイッチを制御する。また、このデジタル論理回路はセット−リセット(SR)ラッチを有し、比較器の出力の切り替えを記録する。
[0121]この設計により、個々のセル電流に比例する様々な試料速度を提供する。電流が高いと、電流が低い場合に比べて1秒あたりより多くの試料を送ることができる。電流測定の解像度は、測定される電流と関係する。小さい電流は、大きい電流よりも微細な解像度で測定することができる。これは固定された解像度の測定システムに比べて利点となり得る。アナログ入力により、ユーザは積分器の電圧振幅を変更することによって試料速度を調整することができる。生物学的に速い過程を分析するために試料速度を上げる、あるいは生物学的にゆっくりである過程を分析するために試料速度(およびそれによって利得精度)を下げることができる。
[0122]積分器の出力は、低電圧バイアス(LVB)電圧に対して初期化され、化学機械平坦化(CMP)電圧まで積分される。これら2つの準位間で積分器の出力が振幅するごとに、試料が生成される。このように、電流が大きくなると、積分器の出力が速く振幅し、よって試料速度も速くなる。同様にCMP電圧が下がると、新しい試料を生成するのに必要な積分器の出力の振幅も小さくなり、試料速度は上がる。このように、LVBとCMPの電圧差を下げるだけで、試料速度が速くなる反応機構を提供する。
[0123]ナノポアに対応した配列決定チップは、配列として構成された自立的に作動する、または個別に配置可能なセルを多数組み込むことができる。例えば、100万個の細胞の配列であれば、1000行×1000列のセルから構成することができる。この配列により、例えば、ヌクレオチドが組み込まれる際に放出される標識がナノポアで検出されるときの導電率の差を測定することによって核酸分子の配列を並列処理で決定することができる。さらに、この回路を実装することにより、孔−分子錯体の導電率特性を決定することができる。この導電率特性は標識間の区別をする際に有益かもしれない。
[0124]電流を測定するため、適切な電圧をこの統合されたナノポア/二重層電子セル構造に印加することができる。例えば、正しく測定を行うために、(a)電極電圧電位を制御する、(b)電極電流を監視することの両方が同時に必要かもしれない。
[0125]さらに、互いに独立してセルを制御することが必要かもしれない。セルを独立して制御することが、物理的に異なる状態の多くのセルを管理するのに要求されるかもしれない。電極に印加する区分的線形電圧波形の刺激を精密に制御して、セルの物理的状態を遷移させてもよい。
[0126]回路の寸法や複雑さを低減するため、2種の別々の電圧を印加する論理回路を提供することができる。これにより2つの独立したセル群に対応する状態遷移刺激を与えることができる。状態遷移は、本来、確率論であり、その発生の蓋然性は比較的低い。よって、適切な制御電圧を印加し、測定を行って所望の状態遷移が起こったかどうかを決定するのに非常に有用かもしれない。例えば、適切な電圧をセルに印加して電流を測定し、二重層が形成されたかどうかを決定することができる。セルは2つの群に分けられる。1つは(a)二重層が形成されて、これ以上電圧を印加する必要がない群である。空操作(null operation, NOP)を行う、すなわち同じ状態にとどめておくために、これらのセルに0Vバイアスを印加してもよい。もう1つは、(b)二重層が形成されなかった群である。これらのセルには再度、二重層を形成するための電圧を印加する。
[0127]印加する許容可能な電圧を2種類に限定して、セルの物理状態をバッチ方式で繰り返し遷移させることで回路を単純化して回路のサイズを縮小することができる。印加する許容可能な電圧を制限することにより、例えば、少なくとも1.1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、または100倍、サイズを縮小することができる。
[0128]いくつかの例では、試験チップは、それぞれ66個のセンサーセルからなる4つの別々の群(並びともいう)に配置された264個のセンサー配列を含む。各群は、それぞれ3つの「列」に分けられ、各列には22個のセンサー「セル」が配置されている。理想的には脂質二重層と挿入されたナノポアからなる仮想セルがこの配列の264個のセンサーのそれぞれの上に形成されていれば(この装置はセンサーセルが高密度の場合のみうまく作動し得るが)、「セル」名は適切に与えられる。
[0129]ダイ(die)の表面に装着された導電性シリンダ内に含まれる液体に電圧電位を印加するアナログI/Oパッドが1つ設けられている。この「液体」電位は、ナノポアの上部に印加されて、検出器配列のすべてのセルに共通である。ナノポアの下部には露出した電極が設けられており、各センサーセルは個別の下部電位を対応する電極に印加する。そして、上部の液体接続とナノポアの下部に設けられた各セルの電極接続との間で電流を測定する。このセンサーセルは、ナノポア内を通過する標識分子によって変調されて、ナノポア内を通過する電流を測定する。
[0130]場合によっては、5ビットが各センサーセルのモードを制御する。図4では、配列の264個のセルは、それぞれ個々に制御することができる。様々な値を66個のセル群に別々に印加する。330(66*5ビット/セル)のデジタル値をデータシフトレジスタ(DSR)に直列入力することで1群の66個のセルのモードをそれぞれ制御する。これらの値は、KIN(クロック)と、個別のピン対が66個のセルの各群に設けられたDIN(dat in)ピンにより配列に入力される。
[0131]このように330個のクロックを用いて、330ビットをDSRシフトレジスタに入力する。第2の330ビット並列負荷レジスタ(PLR)は、対応するLIN<i>(負荷入力)が「高」になったときにこのシフトレジスタから読み込まれる。PLRが並列に読み込まれると同時に、セルの状態値がDSRに読み込まれる。
[0132]完全な操作は、330個のクロックが330個のデータビットをDSRに入力し、1個のクロックサイクルでLIN信号が「高」になると、330個のクロックサイクルがDSRの保持している状態データを読み出す。この操作は、この330ビットが配列から読み出されると同時に新たに330ビットをDSRに入力するように、パイプライン処理される。よって、50MHzのクロック周波数では、読み出しのサイクル時間は33l/50MHz=6.62usである。
AC刺激とDC刺激の結合
[0133]本明細書で記載するように、電気刺激は印加する電流、電圧など様々な電気刺激であってもよい。電流は直流電流(DC)および/または交流電流(AC)であってもよい。電気刺激は、一連の電気パルスであってもよい。電気刺激は、ナノポアの電極など、電極から印加することができる。
[0134]いくつかの例では、刺激は電気刺激である(例えば、電気刺激が経時的に変化する)。いくつかの例では、刺激はパルスを含む(例えば、基線からの急速な過渡変化)。いくつかの例では、刺激は波形である(例えば、正弦波、矩形波、三角波、またはのこぎり波)。
[0135]いくつかの態様において、電気刺激はACパルスとDCバイアスの組み合わせである。いくつかの例では、ACパルスはDC刺激のピークに与えられる。いくつかの例では、DC刺激は変化しない(すなわち、定数である)。
非犠牲電極
[0136]いくつかの態様において、本明細書で記載される電極は犠牲電極である。犠牲電極は、使用中(例えば、信号を検出しているとき)に消耗することがある。犠牲電極の例としては、塩化銀(AgCl)が挙げられる。いくつかの例では、電極を使用できる時間は電極材料の犠牲特性によって限定されることがある。いくつかの態様において、電極は使用期間の後、補充される。補充は、電極に印加する電圧を反転させるなど、電極を消耗した電気化学的反応の流れの方向を反転させることで行うことができる。
[0137]いくつかの態様において、本明細書で記載される電極は、犠牲電極ではない(すなわち、非犠牲電極である)。いくつかの例では、電極は使用中(例えば、信号を検出しているとき)に消耗しない、または実質的に消耗しない。非犠牲電極の例としては白金を含む電極が挙げられる。非犠牲電極は、ナノポア検出器の動作寿命の間は補充する必要がなく、動作寿命は少なくとも約5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、または1日であってもよい。
[0138]いくつかの例では、電極は低い信号対ノイズ比を有する。例えば、数種類の非犠牲電極は低い信号対ノイズ比を有する。いくつかの態様において、本明細書で記載される電極は、核酸の配列決定のための信号を検出するのに用いられる。核酸の配列決定のための信号対ノイズ比は、(例えば、非犠牲電極を用いた場合)フェロシアン化標識を用いることで増加させることができる。フェロシアニド([Fe(CN)4−)およびその酸化物であるフェロシアニド([Fe(CN)3−)が膜(例えば、脂質二重層)に対して最も不浸透性である。いくつかの態様において、ヌクレオチドはフェロシアニドを含む分子で標識付けされ、(例えば、DNAポリメラーゼにより)核酸分子が複製される。これによって、フェロシアン化標識がヌクレオチドから放出されて、ナノポア内を通過する。このとき、本明細書で記載されるセンサー(例えば、非犠牲電極)でこの標識を検出する。
イオン化学および非イオン化学
[0139]チップの操作のための動作電圧は、少なくとも部分的には塩の濃度によって決定されることがある。一般に、塩濃度が高いと、印加する電圧が同じでも電流が高くなる。いくつかの態様において、塩濃度(例えば、KCl)は約1Mに対して+/−320mVの範囲が用いられる。塩濃度が約0.3Mの場合、作業電圧は約+/−500mVである可能性がある。本明細書で記載される特定の電圧および塩濃度は例示的なものであり、限定的なものではない。
[0140]電極は銀電極であってもよい。例えば、KClは銀電極のイオン電流を通して、正電極では銀をAgClに変化させ、負電極ではAgClを銀に変化させる。銀電極の場合、電極自体がナノポアシステムの操作によって影響を受ける。
[0141]場合によっては、このシステムおよび/またはチップは導電性塩溶液を用いない。いくつかの酸化還元分子は塩に置換されてもよい。例えば、酸化還元分子はフェロセンカルボキシレートであってもよい。この場合、酸化還元分子は第1の電極で酸化状態(例えば、Fe+3)に変化し、第2の電極で電子を放出する。第2の電極でこの酸化還元分子は(例えば、Fe+2に)還元される。酸化還元分子の濃度は、任意の好適な濃度である。一態様では、フェロセンカルボキシレートは約100mMから1Mの間の濃度で用いられる。いくつかの態様において、酸化還元分子の濃度は少なくとも約10mM、少なくとも約20mM、少なくとも約40mM、少なくとも約60mM、少なくとも約80mM、少なくとも約100mM、少なくとも約200mM、少なくとも約500mM、少なくとも約1M,または少なくとも約10Mである。
[0142]酸化還元分子システムでは、電極は白金検知電極と銀または白金基準電極であってもよい。この酸化還元構成では、電極はナノポア構成の操作および/または電流の流れ(例えば、非犠牲電極の場合)に影響されないことがある。いくつかの態様において、このような酸化還元分子システムは電極の寿命を長くすることができる。
[0143]場合によっては、イオンに代わり酸化還元分子を用いる不都合な点は、銀電極システムに比べて電流の読み取りが低下することがあるということである。いくつかの態様において、電流の読み取りは、ナノポア内を通過する(例えば、アンチセンス鎖と標識付けされたヌクレオチドとの合成から)開裂した標識をナノポアが検出するのに十分な高さである。
機能膜
[0144]一側面として、「機能膜」が本明細書で記載される。機能膜は電解質1モルあたり、所定の抵抗、静電容量および/または導電率を有することができる。いくつかの例では、機能膜はナノポアを含む。いくつかの例では、機能膜はナノポアを含まない(例えば、ナノポアがない)。いくつかの態様において、機能膜は膜と非混和性の表面に設けられている。いくつかの例では、膜と表面との間に共有結合がない。この膜または膜材料(例えば、脂質)は、この表面に接着することができる。いくつかの態様において、この膜はこの表面とつなぐことができる(すなわち共有的な結合部分を介して)が、一般につながれる膜は膜と表面との間で電解質が漏れることを防止するように構成される必要がある。いくつかの態様において、以下で記載するように、機能膜は集積回路が検知できる近さに配置される。いくつかの例では、膜と非混和性の表面と集積回路は(共通の面を含む)本質的に平面である。いくつかの態様において、この集積回路センサーは、検知回路を覆うように形成された親水層と脂質層の二重層であるが、脂質単層が膜と非混和性の表面を覆うように、脂質の尾を膜と非混和性の表面に向けて配向されるように形成される。
[0145]この機能膜は任意の好適な静電容量を有する。いくつかの態様において、この膜は、約0.1fF/μm、約0.5fF/μm、約1fF/μm、約2fF/μm、約3fF/μm、約4fF/μm、約5fF/μm、約6fF/μm、約7fF/μm、約8fF/μm、約9fF/μm、約10、約20fF/μm、または約50fF/μmの静電容量を有する。いくつかの態様において、この膜は約0.1fF/μmより大きい、約0.5fF/μmより大きい、約1fF/μmより大きい、約2fF/μmより大きい、約3fF/μmより大きい、約4fF/μmより大きい、約5fF/μmより大きい、約6fF/μmより大きい、約7fF/μmより大きい、約8fF/μmより大きい、約9fF/μmより大きい、約10fF/μmより大きい、約20fF/μmより大きい、または約50fF/μmより大きい静電容量を有する。いくつかの態様において、この膜は約0.1fF/μm未満、約0.5fF/μm未満、約1fF/μm未満、約2fF/μm未満、約3fF/μm未満、約4fF/μm未満、約5fF/μm未満、約6fF/μm未満、約7fF/μm未満、約8fF/μm未満、約9fF/μm未満、約10fF/μm未満、約20fF/μm未満、または約50fF/μm未満の静電容量を有する。この機能膜はナノポアを持たないことができる(すなわちこの機能膜はナノポアがない)、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個のナノポアを有する。静電容量は、少なくとも約50mVの電圧を印加した電極で測定することができる。
[0146]この機能膜は任意の好適な抵抗を有する。いくつかの態様において、この膜は約100メガオーム(MΩ)、約200MΩ、約300MΩ、約400MΩ、約500MΩ、約1ギガオーム(GΩ)、約5GΩ、約10GΩ、約50GΩ、約100GΩ、または約500GΩの抵抗を有する。場合によっては、この膜は少なくとも約100メガオーム(MΩ)、少なくとも約200MΩ、少なくとも約300MΩ、少なくとも約400MΩ、少なくとも約500MΩ、少なくとも約1ギガオーム(GΩ)、少なくとも約5GΩ、少なくとも約10GΩ、少なくとも約50GΩ、少なくとも約100GΩ,または少なくとも約500GΩの抵抗を有する。場合によっては、この膜は多くとも約100メガオーム(MΩ)、多くとも約200MΩ、多くとも約300MΩ、多くとも約400MΩ、多くとも約500MΩ、多くとも約1ギガオーム(GΩ)、多くとも約5GΩ、多くとも約10GΩ、多くとも約50GΩ、多くとも約100GΩ、または多くとも約500GΩの抵抗を有する。場合によっては、ナノポアを持たない膜は、少なくとも10GΩの抵抗を有する。1個のナノポアを有する膜は、1GΩから10GΩの抵抗を有する。2個以上のナノポアを有する膜は、500MΩから1GΩの抵抗を有する。いずれもこれらの数値は範囲に含まれる。抵抗は、少なくとも約50mVの電圧を印加した電極で測定することができる。
[0147]この機能膜は任意の好適な導電率を有する。いくつかの例では、導電率は電解質1モルあたりで測定する。いくつかの態様において、この膜は電解質1モルあたり約0.02ナノジーメンス、約0.05ナノジーメンス、約0.1ナノジーメンス、約0.25ナノジーメンス、約0.5ナノジーメンス、約1ナノジーメンス、約2ナノジーメンス,または約5ナノジーメンスの導電率を有する。いくつかの態様において、この膜は電解質1モルあたり、約0.02ナノジーメンス、約0.05ナノジーメンス、約0.1ナノジーメンス、約0.25ナノジーメンス、約0.5ナノジーメンス、約1ナノジーメンス、約2ナノジーメンス,または約5ナノジーメンスより大きい導電率を有する。いくつかの態様において、この膜は電解質1モルあたり約0.02ナノジーメンス未満、約0.05ナノジーメンス未満、約0.1ナノジーメンス未満、約0.25ナノジーメンス未満、約0.5ナノジーメンス未満、約1ナノジーメンス未満、約2ナノジーメンス未満、または約5ナノジーメンス未満の導電率を有する。導電率は、少なくとも約50mVの電圧を印加した電極で測定することができる。
[0148]いくつかの態様において、この膜は、上記の範囲から選択されたいずれかの静電容量、または上記の範囲から選択されたいずれかの導電率を有する。いくつかの態様において、この膜は、上記の範囲から選択されたいずれかの静電容量、および上記の範囲から選択されたいずれかの導電率を有する。
[0149]一例では、ナノポア装置は、集積回路が検知できる近さで膜と非混和性の表面に設けられた膜を含む。この膜は、集積回路で測定されるように、(i)約5fF/μmより大きい静電容量または電解質1モルあたり約0.25ナノジーメンス未満の導電率、あるいは(ii)1平方マイクロメートルあたり約5fF/μmより大きい静電容量と、電解質1モルあたり約0.25ナノジーメンス未満の導電率を有することができる。
[0150]いくつかの例では、分子を検知する装置は、膜と非混和性の少なくとも1つの表面に集積回路が検知できる近さで設けられた1個以上のナノポアを含む。膜、膜と非混和性の表面、任意のつなぎ類、集積回路、およびナノポアの例は本明細書で記載される。いくつかの例では、この装置は集積回路が検知できる近さで機能膜(例えば、本明細書で記載されるような)を含む。本明細書を通して、用語「検知できる近さ」は、センサーが膜から発せられる信号を検出できる程度に、膜が十分にセンサーに近づけられていることを指す。核酸の配列決定は分子の検知の一例である。
[0151]いくつかの態様において、集積回路は個々に配置可能な集積回路である。すなわち、データを複数の集積回路の各集積回路から集める、かつ/または各集積回路へ信号を送ることができる。上記の超小型集積回路は、容認できる集積回路の一例である。いくつかの態様において、この集積回路は論理制御器を含む。論理制御器の例は米国特許公開第2011/0192723号に記載されており、その内容は引用することにより、全体を本願に援用する。また、この理論制御器は、例えば、核酸の配列決定に好適な任意の制御器を含んでいてもよい。
[0152]いくつかの例では、分子の検知に用いるナノポア装置は、膜と非混和性の少なくとも1つの表面に集積回路が検知できる近さで設けられた膜に1個以上のナノポアを含み、この膜は1個のナノポアにつき(i)上記検知集積回路によって測定された、1平方マイクロメートルあたり約5fF/μmより大きい静電容量または電解質1モルあたり約10ナノジーメンス未満の導電率、あるいは(ii)上記検知集積回路によって測定された、約5fF/μmより大きい静電容量と電解質1モルあたり約10ナノジーメンス未満の導電率を有する1個以上のナノポアを含む。個々のナノポアは独立して配置可能である。
架橋膜およびその他の膜
[0153]本発明の装置は膜を含むことができる。膜は有機膜または無機膜であってもよい。いくつかの例では、膜は脂質二重層である。いくつかの態様において、この膜はタンパク質(例えば、α溶血素)を挿入するのに好適な任意の膜である。本発明の装置を構成または使用する場合、この膜は(例えば、本明細書で記載されるタンパク質を挿入するための)イオン性溶液と接触させることができる。いくつかの例では、この膜は柔軟性のある(すなわち脆くない、かつ/または破れずに変形することができる)。いくつかの例では、この膜は複数の分子および/または(例えば、タンパク質の膜への挿入に適合するように)膨張、変形、互いの再配列が可能なモジュールを含む。いくつかの例では、この膜はガラス転移温度以下である。
[0154]いくつかの例では、この膜は疎水性である。この膜は、疎水部分(例えば、脂質二重層の内側に向いたリン脂質の尾など)と、親水部分(例えば、脂質二重層の外側に向いたリン脂質の頭)を含むことができる。
[0155]場合によっては、この膜は薄い(例えば、2個の脂質分子の幅など)。この膜は、任意の好適な厚み(例えば、タンパク質の挿入および/または核酸の配列決定に好適な厚み)を有する。いくつかの態様において、この膜は、厚みが約2ナノメートル(nm)、約3nm、約4nm、約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm、約10nm、約15nm、約20nm、約25nm、約30nm、約50nm、約100nm、約200nm、約300nm、約400nm、約500nm、または約1000nmである。いくつかの態様において、この膜は厚みが多くとも2nm、多くとも3nm、多くとも4nm、多くとも5nm、多くとも6nm、多くとも7nm、多くとも8nm、多くとも9nm、多くとも10nm、多くとも15nm、多くとも20nm、多くとも25nm、多くとも30nm、多くとも50nm、多くとも100nm、多くとも200nm、多くとも300nm、多くとも400nm、多くとも500nm、または多くとも1000nmである。いくつかの例では、この膜は厚みが約1nmから50nmの間、または2.5nmから約10nmの間である。
[0156]いくつかの態様において、この膜は重合体を含む。いくつかの例では、この重合体は副成分(例えば、多くとも1%、多くとも5%、多くとも10%を含む任意の好適な割合で脂質二重層に組み込まれる)である。いくつかの態様において、この膜の大部分(例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも99%)は質量で重合体を含む。いくつかの例では、この膜は重合体と膜タンパク質を含む。
[0157]この重合体は天然由来のもの、合成されたもの、またはこれらの組み合わせであってもよい。合成重合体としては、例えば、ネオプレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、シリコーンなどが挙げられる。いくつかの例では、この重合体はブロック共重合体である。いくつかの例では、この重合体は分岐を有する。
[0158]いくつかの例では、この膜は脂質二重層である。いくつかの例では、この膜は脂質二重層ではない。いくつかの態様では、この膜は脂質を含む。いくつかの例では、この膜は、脂質の類似体、化学的に修飾された脂質、または誘導体化脂質を含む。
[0159]いくつかの例では、この膜は長い炭素分子鎖を含む。炭素分子鎖長は、炭素数2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45,または50個を含む任意の好適な炭素数である。いくつかの例では、この炭素分子鎖は少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45,または少なくとも50個の炭素を含む。いくつかの例では、この炭素分子鎖は分岐している。いくつかの例では、この炭素分子鎖は分岐していない。
[0160]いくつかの態様において、この膜は架橋脂質を含む。この脂質は重合性であってもよい。架橋脂質の一例では、脂質二重層を形成する際に、ホスファチジルコリン脂質対がそれらの2位のアシル鎖の末端同士で架橋するように意図されている。いくつかの例では、この架橋脂質は脂質二重層全体に広がり、高温に対して古細菌膜を安定化する天然発生の双頭両親媒性物質に類似している。架橋反応の例として、チオール基と臭素基間のアシル鎖架橋、チオール基とアクリロイル基間のアシル鎖架橋、およびシクロペンタジエン基とアクリロイル基とのアシル鎖架橋の3つが挙げられる。架橋脂質の例はHalter, et. al. Langmiur, March 16, 2004 20(6), pgs 2416-2423に記載されており、引用することにより、全体を本願に援用する。
核酸の固定
[0161]いくつかの態様において、本明細書で記載される方法は、ヘアピン構造を用いることなくナノポアで核酸分子を捕捉することを含む。いくつかの態様において、この核酸分子は、ナノポアで核酸分子が捕捉されるように(例えば、核酸がナノポアを完全に通過しないように)膜に固定されている。
[0162]本発明は核酸の配列を決定する方法を提供する。この方法は、(a)核酸分子をナノポアを有する膜に固定すること;(b)前記核酸分子またはその一部を前記ナノポア内または前記ナノポア付近を通り抜けさせること;(c)前記(b)で前記核酸分子の1種以上の塩基をそれぞれ検知すること;および、(d)必要に応じて送る方向を反転させて、前記膜に前記核酸分子を固定して前記核酸分子が前記ナノポアを完全に通り抜けることを防止すること、を含む。
[0163]図5では、核酸分子501、502、503が膜504に固定されている。いくつかの態様において、この膜は1個以上のナノポア505を含む。α溶血素はナノポアの一例である。いくつかの例では、この膜は脂質二重層である。
[0164]いくつかの態様において、この膜はさらに核酸結合タンパク質506を含み、核酸分子501はこの核酸結合タンパク質に固定されている。いくつかの態様において、この核酸結合タンパク質は、膜(例えば、脂質二重層)と相互作用する(例えば、膜に埋め込まれている)トランス膜を含む。いくつかの例では、トランス膜領域は疎水性アミノ酸を含む。核酸結合タンパク質は当該分野では知られており、例えば、一本鎖核酸分子または二本鎖核酸分子に対して特異的(すなわち、数種の核酸配列にのみ結合する)または一般的(すなわち、多種またはすべての核酸配列と結合する)親和性を有するタンパク質が挙げられる。その例としては、転写因子、ポリメラーゼ、ヌクレアーゼ、ロイシンジッパーなどが挙げられる。いくつかの例では、この核酸結合タンパク質はトランス膜領域を含む融合タンパク質である。
[0165]いくつかの態様において、核酸分子502は膜に直接(例えば、核酸結合タンパク質なしで)固定されている。この膜は、修飾または誘導体化されてこの核酸分子と共有結合または非共有結合を形成することができる。いくつかの例では、核酸分子502は修飾または誘導体化されて、この膜と共有結合または非共有結合を形成することができる。核酸分子503は上記ナノポアに固定することができる。この核酸分子とナノポアの結合は共有結合または非共有結合であってもよい。いくつかの例では、このナノポアは、ナノポアタンパク質(例えば、α溶血素)と核酸結合タンパク質との融合である。
表面で脂質を操作する方法
[0166]本発明は、脂質などの膜サブユニットを表面で操作する方法を提供する。このような操作は、ナノポア検出器の一部としての膜形成を助けることができる。
[0167]図6では、疎水相601(例えば、15mg/mLのジフィタノイルホスファチジルコリン(diphytanoylphosphatidyl-choline, DPhPC)のデカン溶液)を表面602(例えば、平面の疎水性表面)に載せる。いくつかの例では、親水相603を加えた場合、疎水相のすべて、またはほとんどがこの表面上でたまりになる。この親水相は、電解質(例えば、KClなどの塩)および/または酸化還元活性分子(例えば、Fe+2とFe+3との間の酸化還元状態を循環させることができるフェロセンカルボキシレート)を含んでいてもよい。場合によっては、表面に設けられた電極604は、疎水相のこれらのたまりの下に封止されており、親水相と直接接していない。封止された電極は、一般に親水相と接する基準電極605とは電気回路を形成しない。いくつかの例では、電気的電位が電極に印加されてもこれらの電極は封止されたままで通電しない。場合によっては、電圧を電極に印加して電極の上の疎水相を薄くし、疎水相を電極606の両側に押しやる。場合によっては、親水相は電極近傍で疎水相の一部を移動させて、電極付近でイオン相に対して疎水相を薄くする。
[0168]図7は、イオン相と疎水相を含む流体の体積を示しており、疎水相は複数の電極の上の領域で薄くなっている。図8で示すように、いくつかの態様では、複数の電極は空間的および/または時間的(すなわち、時系列)パターンで印加されて上記表面全体に疎水相を移動させる。
[0169]他の側面では、表面上で流体を操作する方法が本明細書で提供される。この方法は、(a)表面と、前記表面付近に設けられた電極配列と、イオン相および疎水相を含む流体とを提供し、ここで、前記疎水相は表面に隣接するものである;(b)前記電極を空間的および/または時間的パターンで印加して、電極付近のイオン相に対して疎水相の体積を減少させること、を含む。いくつかの態様において、前記(b)で電極を印加すると、前記表面と接している疎水相を薄くすることができる。
[0170]例えば、図8に示すように、疎水相の波が上記表面全体を移動するように一連の電極を順次印加する。図8Aでは疎水相の薄くなっている凹みが、正に帯電した第1の電極の上に形成されている。いくつかの態様において、第1の電極の電荷は中性に設定されて第2の電極が正に帯電する(図8B)。場合によっては、これにより疎水相の進む波が第1の電極から離れる方向(図8の右)へ押しやられ、第1の電極へ向かう方向(図8の左)へ向かって疎水相が薄くなる。図8Cおよび8Dは、この波が順次電極を覆うように移動して、さらに進む波を押しやり、波の尾の側で疎水相をさらに薄くすることを示している。
[0171]いくつかの態様において、電極は互いの間隔を近づけて配置されている。電極間の間隔は、任意の好適な距離である(例えば、波を形成するのに好適な距離)。いくつかの例では、電極間の距離は電極の幅未満である。いくつかの例では、電極間の距離は電極の幅とほぼ同じである。いくつかの例では、電極間の距離は電極の幅の約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、または約10倍である。
[0172]いくつかの例では、これら電極は個々に制御可能および/または個々に配置可能である。本明細書を通して、例えば、あるものは制御可能な電極の状態を決定することができ、あるものは配置可能な電極からの信号を測定することができる。あるものは電圧を設定し、かつ/または個々に制御可能な電極配列の電極ごとに電圧状態(すなわち、中性または帯電)を選択することができる。いくつかの例では、電極配列を含む電極群は、他の電極群とは別に制御可能である。いくつかの態様において、これら電極はさらに検知を行うことができる(例えば、核酸分子のナノポア内の通過に関連した検知電流の変化など)。
[0173]いくつかの態様において、疎水相は表面全体に再分配することができる。図9では、一例として、第1の電極群901がはじめ、正に帯電している。その後、第1の電極群に隣接する第2の電極群が正に帯電され、続いて第3の電極群902というように多量の疎水相が表面903の周辺部に移動するまで帯電させる。脂質相は任意の方向に移動させることができる(例えば、図10)。
[0174]いくつかの例では、この方法は表面の周辺部から疎水相を移動させる。例えば、図11に示すように、この方法は、疎水相を表面の周辺部1101から戻してこの表面の適切な位置1102に移動させることができる。いくつかの例では、核酸分子はこの表面で配列が決定される。場合によっては、この表面は核酸の配列決定に好適なナノポアを含む。場合によっては、この方法はさらに、この表面に設けられたナノポアの補助により核酸分子の配列を決定することを含む。いくつかの例では、この方法は、(例えば、脂質二重層を修飾することにより)核酸分子がこの表面上の特定の位置で配列が決定されるように疎水相をこの表面上で移動させる。
[0175]いくつかの態様において、この疎水相は脂質を含む。いくつかの例では、この脂質はDPhPCである。いくつかの例では、この脂質は有機溶媒(例えば、デカン)に可溶化されている。溶媒中の脂質濃度は約1mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約50mg/mL、約100mg/mLなどを含む任意の好適な値であってもよい。いくつかの態様において、この疎水相は薄くされて上記表面で二重層を形成する脂質を含む。
[0176]いくつかの態様において、この方法は上記表面全体に脂質を再分配する。様々な例で、この表面は疎水性であるか、本質的に(または実質的に)平面(例えば、完全に平坦な面、または理想平面から所定量だけ異なる表面)であるか、または疎水性であり、かつ本質的に平面である。
刺激で促進されたナノポア内の流れ
[0177]本発明は、ナノポアにより核酸試料の配列を決定する刺激促進法を提供する。ある例では、核酸試料は分子モーター(例えば、酵素)の補助なしに、または分子モーターを使用せずに配列を決定することができる。いくつかの態様において、一連の電気パルスにより核酸試料のナノポア内での流れを促進する。
[0178]分子モーターは、生体内を動く主体である生物学的分子機械である。一般用語では、モーターはある形態のエネルギーを消費してそれを運動または力学的作業に変換する装置として定義することができる。例えば、多くのタンパク質系分子モーターは、力学的作業を行うため、ATPの加水分解により放出される化学自由エネルギーを利用する。いくつかの態様において、この方法は核酸モーターを用いない。核酸モーターとしては、例えば、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、ヘリカーゼ、トポイソメラーゼ、染色質を再構築するタンパク質、染色体を凝縮するタンパク質、ウイルスの核酸パッケージングモーターなどを含む。
[0179]一側面では、核酸試料の配列を決定する方法が本明細書で記載される。この方法は、(a)分子モーターを使用せずに膜に埋め込まれたナノポア内での核酸試料の流れを促進すること;(b)前記核酸試料の流れが前記ナノポア内にあるときに、前記核酸試料の1種以上の核酸サブユニットを検出すること、を含む。
[0180]この核酸試料は、任意の好適な精度で配列が決定される。いくつかの態様において、核酸は少なくとも90%の精度で配列が決定される。いくつかの態様において、核酸は少なくとも95%の精度で配列が決定される。いくつかの態様において、核酸は少なくとも99%の精度で配列が決定される。
[0181]いくつかの態様において、一連の電気パルスにより核酸試料のナノポア内での流れを促進する。いくつかの態様において、この一連の電気パルスは、約10mVから1000mVの間、100mVから500mVの間、または200mVから400mVの間の電圧を有する。いくつかの態様において、この一連の電気パルスは、非対称逆「V」時間形状を有する連続を含む。好適な電気パルスは以下で記載される。
[0182]上記チップの操作のための動作電圧(例えば、電気パルス)は、少なくとも部分的に塩濃度によって決定することができる。一般に、塩濃度が高いと、印加する電圧が同じでも電流が高くなる。いくつかの態様において、塩濃度(例えば、KCl)は約1Mに対して+/−320mVの範囲が用いられる。塩濃度が約0.3Mの場合、作業電圧は約+/−500mVであってもよい。本明細書で記載される特定の電圧および塩濃度は例示的なものであり、限定的なものではない。
酵素を用いない、ナノポアでの配列決定
[0183]酵素の補助によらず、ナノポアによって核酸試料の配列を決定する方法が本明細書に記載されている。このような方法を用いて、合成による配列読解(sequencing by synthesis, SBS)によらない方法で核酸の配列を決定することができる。いくつかの態様において、核酸分子の配列を決定する方法は、核酸ポリメラーゼ(例えばRNAポリメラーゼおよび/またはDNAポリメラーゼ)を用いない。
[0184]核酸試料の配列を決定する方法が本明細書に記載されている。この方法は、ナノポアに隣接する検知回路の補助により、酵素の補助なしに核酸試料またはその一部の流れがナノポアにあるとき核酸試料の個々の核酸塩基を検知することを含む。
[0185]この核酸試料は任意の好適な精度で配列が決定される。いくつかの態様において、5、4、3、2、または1個の核酸塩基を同定する場合、核酸は少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%の精度で配列が決定される。
[0186](a)本明細書で記載される機能膜を提供し、(b)本明細書で記載される分子の検知に用いる装置を提供し、(c)本明細書で記載される刺激で補助されたナノポア内の流れにより核酸分子の配列を決定する方法を提供し、および/または(d)本明細書で記載される酵素を用いない配列決定の方法を行うために好適な方法、装置、および、システムが例として記載されている。
核酸結合タンパク質の使用
[0187]場合によっては、核酸結合タンパク質は図5に示すように、浮遊しており、膜に固定されていない。この核酸分子には核酸結合タンパク質が巻き付いていてもよい。いくつかの例では、核酸分子はナノポア内へ引き込まれながら、核酸結合タンパク質から解きほどかれる。この核酸と核酸結合タンパク質との相互作用は、核酸がナノポア内を通過する速度を下げて、核酸の配列決定の精度を高めることができる。いくつかの態様において、電気刺激(例えば、場合によっては高周波数パルス)を用いて、段階的に(すなわち核酸分子の配列を決定するのに好適な速度で)核酸を結合タンパク質から解きほどく。
ローリングサークル型ナノポア配列決定
[0188](例えば、鋳型として環状核酸を用いて)核酸配列の繰り返し単位を一本鎖の核酸鎖に伸長させながら、前記一本鎖の核酸をナノポアに通り抜けさせる核酸の配列を決定する方法が本明細書に記載されている。いくつかの例では、この方法は非常に正確である(例えば、精度が少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、または99%)。ローリングサークル型配列決定では、核酸分子の配列を決定し、再度、複数回決定して余剰な核酸配列情報を生成することができる。いくつかの態様において、(例えば、複数回、繰り返し単位の配列を決定することにより)繰り返し単位全体が正確に決定されるまで、核酸分子は配列が決定される。いくつかの例では、伸長速度によって、核酸の配列を決定する速度を少なくとも部分的に決定する。
[0189]本発明の他の側面は、核酸の配列を決定する方法を提供する。この方法は、(a)一本鎖核酸分子をその第1の末端からナノポアを通り抜けさせることと、(b)環状核酸分子を鋳型として用いて前記一本鎖核酸分子をその第2の末端から伸長させることとを含む。
[0190]いくつかの態様において、この一本鎖核酸分子はナノポア内で配列が決定される。いくつかの態様において、ヌクレオチド組み込み事象(例えば、ヌクレオチドがポリメラーゼによって伸長する分子鎖に組み込まれる際に標識付きヌクレオチドから標識が放出されること)の副生物が(例えば、ナノポアにより)感知されて配列が決定される。
[0191]図12に示すようは、いくつかの態様では、酵素1201と、鋳型として環状核酸分子1202を用いて核酸分子1200を伸長させる。いくつかの態様において、この一本鎖核酸分子がナノポアを通り抜ける速度は、酵素(例えば、核酸ポリメラーゼ)の速度により少なくとも部分的に決定する。
[0192]この方法は、多数の手順のいずれかで行われ、その例は本明細書で記載される。いくつかの態様において、第1の一本鎖にした核酸分子を1202のように環状にする。この核酸は、いくつかの例では核酸連結(ligation)で環状化される。いくつかの例では、環状化の際、配列をアニールするプライマーをこの第1の一本鎖核酸分子に挿入している。いくつかの例では、この配列をアニールするプライマーは、配列を決定するすべての分子と同じ、またはほぼ同じである。いくつかの例では、この配列をアニールするプライマーは異なっており、必要に応じて特定の核酸分子がどの試料に由来するか同定するのに用いられる。いくつかの例では、この環状核酸分子は二本鎖試料のDNAまたはRNAから構築されたものである。一態様では、得られた環状核酸がセンス鎖とアンチセンス鎖、必要に応じてリンカーおよび/またはプライマー結合部位を含むように二本鎖試料のセンス鎖およびアンチセンス鎖の末端を(例えば、リンカーで)連結する。いくつかの態様において、ヘアピンを一本鎖核酸分子の末端(例えば、3’末端)に連結し、この一本鎖の鋳型と相補的なアンチセンス鎖を作製する。アンチセンス鎖を合成した後、核酸(例えば、DNA)のループの連結(例えば、平滑末端連結)により環状化が完了する。いくつかの態様において、このセンス鎖は核酸類似体を含む。
[0193]いくつかの例では、センス鎖とアンチセンス鎖を含む環状一本鎖鋳型分子1202は利点を有する。これは(a)ゲノム位置でセンス鎖とアンチセンス鎖の両方の配列を決定すると塩基の割り当て(base calling)精度が高くなる、(b)不適合塩基を同定することができる、(c)読み取った位置の二重チェックができるからである。
[0194]環状化の後、いくつかの例ではプライマーをこの環状化分子とアニールする。いくつかの態様において、このプライマーはナノポア捕捉領域1203と交配領域1204を含み、この交配領域を環状化分子とアニールする。プライマーから延びる捕捉領域は、塩基性核酸、PEG分子、またはナノポアに捕捉されるように最適化された各種合成重合体のいずれかを含むいずれかの分子から構築することができる。この捕捉領域は、例えば、特定のナノポアの構成や処理される試料の種類に応じて高レベルで負または正に帯電させることができる。捕捉領域の帯電状態は、電気的電位によって発揮される電気泳動の牽引力に影響を及ぼし得る。いくつかの態様において、この帯電を最適化することにより、(例えば、ポリメラーゼの作用をブロックする)ブロッカー分子の除去を向上させることができる。このプライマーの捕捉領域の組成は、試料が由来する試料だまりを指定できる固有の信号を発するように選択することができる。それぞれ識別子または捕捉領域バーコードを有する複数の試料は、ナノポア配列決定の同じ回に含めることができる。いくつかの態様において、減速突起を用いて捕捉糸を解読する。
[0195]いくつかの例では、このプライマーは、共通のナノポア捕捉領域にオリゴヌクレオチドのたまりを含む。いくつかの例では、このナノポア捕捉領域はオリゴヌクレオチドに結合(ligated)されている。いくつかの態様において、このナノポア捕捉領域の配列は、第1の核酸分子を生じさせる試料を示している。
[0196]プライマーのアニール後、いくつかの例では、第1の核酸分子を鋳型として用いてこのプライマーを交配領域の端から伸長させ、(例えば、第1の核酸分子と塩基対をなす)第2の核酸分子1205を作製する。いくつかの例では、この伸長は酵素(例えば、DNAポリメラーゼ、phi29ポリメラーゼなど)によって行われる。いくつかの態様では、この酵素がプライマー1206によってブロックされるまで伸長する。このとき、いくつかの例では、酵素と、ナノポア捕捉領域と、環状二本鎖核酸分子を含む停滞した(stalled)錯体1207が形成される。
[0197]いくつかの態様では、この停滞した錯体1207の形成は、いくつか利点を有する。いくつかの態様では、この停滞した錯体を含む核酸は、停滞した錯体を形成しない場合に比べて3D構造を形成しにくい、またはそれ自身あるいは他の核酸分子に結合しにくい。いくつかの態様では、停滞した錯体を形成すると、核酸分子のすべてまたは実質的にすべての配列が決定されやすくなる。いくつかの態様では、停滞した錯体を形成すると、ナノポアによるナノポア捕捉領域の捕捉効率が向上する。
[0198]停滞した錯体の形成後、いくつかの例では、停滞した錯体1208をナノポア1209に挿入する。いくつかの態様では、第2の核酸分子のナノポア捕捉領域をナノポアに挿入する。この挿入は任意の好適な方法で行うことができる。いくつかの例では、電界を用いて第2の核酸分子のナノポア捕捉領域をナノポアに挿入する。
[0199]停滞した錯体を挿入した後、いくつかの例では、第2の核酸分子をナノポア1210中に通過させる。いくつかの態様では、鋳型として第1の核酸分子を用いて第2の核酸分子をさらに伸長させながら第2の核酸分子をナノポア内に通過させる。いくつかの態様では、第2の核酸分子は、ナノポア内を通過した際に配列が決定される。
[0200]いくつかの態様では、繰り返し単位の配列が正確に決定されるまで第2の核酸分子をナノポア内に通過させることで第1の核酸分子の核酸配列を決定する。この精度は、99.99%など本明細書で記載される任意の精度レベルを含む任意の好適なレベルである。いくつかの態様では、第2の核酸分子は第1の核酸分子の配列に相補的な繰り返し単位を含む。繰り返し単位の任意の好適な数の複製ついて、配列が決定される。いくつかの態様では、配列が決定される繰り返し単位の複製数は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、約12個、約14個、約16個、約18個、約20、約25個、約30個、約40個、または約50個である。
[0201]いくつかの例では、このプライマーはいくつかの役割を果たす。図12では、いくつかの態様では、プライマーは(i)合成1204を開始し、(ii)核酸ポリメラーゼ1206の作用をブロックし、かつ(iii)ナノポア1209に挿入される。いくつかの態様では、このプライマーに複数の役割を持たせることで化学作用を単純化し、この方法をより強力かつ/または安価なものにする。
[0202]いくつかの態様では、プライマーが優先的にプライマー結合部位にのみ結合するようにプライマーの組成をプライマー結合部位と合わせる。いくつかの態様では、プライマー/プライマー結合部位配列(例えば、isodGおよびisodC)の一部として合成核酸類似体を用いる。
[0203]いくつかの態様では、ヌクレオチド混合物は、任意の天然または合成核酸類似体を含んでおり、ポリメラーゼはこの混合物からヌクレオチドを引き出す。いくつかの態様では、これら類似体は、ナノポア内でより高い、あるいは特定のレベルの信号を発するように選択されている。いくつかの態様では、これら類似体は(例えば、塩基の読み取りを容易にするため)核酸鎖がナノポア内を通過する速度を下げる。いくつかの態様では、これら類似体のナノポア内での通り抜けをより着実に促進する。
[0204]ローリングサークル型ナノポア配列決定の他の態様が図13に示されている。ここで核酸ポリメラーゼ1301(例えば、DNAポリメラーゼ)はナノポア1302に付着している。いくつかの例では、この付着は、ジスルフィド結合、またはナノポアとポリメラーゼとを含む融合タンパク質である。この方法はまた、環状核酸分子1304と、この環状核酸分子に少なくとも部分的にアニールされるプライマー1303を用意する。
[0205]この方法は、核酸ポリメラーゼと鋳型として環状核酸分子を用いて、プライマーを第1の末端1305から伸長させることを含む。プライマーをさらに第1の末端から伸長させながら、伸長したプライマーは第2の末端からナノポア1306中を通過させることができる。伸長したプライマーがナノポア内を通過する際にその配列を決定することができる。いくつかの態様では、環状核酸分子の配列が決定されるまでプライマーを伸長させてナノポア内を通過させる。
[0206]場合によっては、プライマーの第2の末端(破線)は環状核酸分子とアニールしないが、このことは必ずしも必須ではない。少なくともプライマーの配列の一部が、環状核酸を生じさせる試料を示していればよい。
[0207]伸長したプライマーの任意の好適な部分を環状核酸分子とアニールすることができる。図13は、環状核酸分子の大部分が伸長したプライマーとアニールされている一例を示す。図14は、環状核酸分子の大部分は伸長したプライマーとアニールされていない一例を示す。
酵素によるほどき(unzipping)のロッキング
[0208]二本鎖核酸をほどく(unzipping)方法および核酸の配列を決定する方法が本明細書に記載されている。図15では、この方法はいくつかの例では、(a)二本鎖核酸1502の一部と、この二本鎖核酸を含む解離したセンス鎖1503およびアンチセンス鎖1504の周りをタンパク質1501でロックし、(b)センス鎖とアンチセンス鎖の少なくとも一方に牽引力1505を加えることを含む。
[0209]他の側面では、核酸の配列を決定する方法が本明細書で提供される。この方法は、図16では、(a)二本鎖核酸1600を二本鎖核酸1601の末端と結合(ligating)することを含み、この二本鎖核酸はセンス鎖1602とアンチセンス鎖1603を含み、このセンス鎖とアンチセンス鎖は二本鎖核酸1604の第1の末端で塩基対を形成し、第1の末端は二本鎖核酸1605に結合され、このセンス鎖とアンチセンス鎖は二本鎖核酸1606の第2の末端では塩基対を形成していない。この方法はさらに、図17において、(b)センス鎖とアンチセンス鎖が塩基対を形成している箇所とこれらが塩基対を形成していない箇所の接合部の周囲をタンパク質1701でロックし、(c)このセンス鎖またはアンチセンス鎖1702をナノポア1703中に通り抜けさせ、このナノポアの補助により鎖1704の配列を決定することを含む。
[0210]このタンパク質は任意の好適なタンパク質であってもよい。いくつかの態様では、このタンパク質はphi29ポリメラーゼである。図18および19は、phi29ポリメラーゼを示している。いくつかの態様では、このポリメラーゼは、接合部の周囲をポリメラーゼでロックするのに好適な架橋を形成する場所を提供するように変異させる。いくつかの態様では、この変異はアミノ酸をシステインで置換し、ジスルフィド架橋を各システインアミノ酸の間に形成することを含む。
[0211]いくつかの態様では、このタンパク質を架橋によりロックする。架橋は任意の好適な実体間で、必要に応じてこのタンパク質を含むアミノ酸の間で形成される。このタンパク質をロックする他の好適な方法は、非天然アミノ酸をこのタンパク質に組み込み、この非天然アミノ酸から架橋を形成する。この非天然アミノ酸は任意の好適な架橋可能な化学基またはアダプターを持つことができる。非天然アミノ酸をタンパク質に組み込む方法が知られており、例えば抑制可能な終止コドンの使用が挙げられる。いくつかの例では、架橋はジスルフィド結合である。いくつかの例では、架橋の形成は光(例えば、紫外光)によって開始される。いくつかの例では、架橋の形成は光または化学剤によって開始される。ホルムアルデヒドは好適な化学剤の一つである。ホルムアルデヒドは、CH−結合を介してタンパク質の一級アミノ基を他の近傍の窒素原子と架橋する。
[0212]いくつかの態様では、ロックされたタンパク質は二本鎖核酸をほどく。いくつかの態様では、鎖がナノポア内を通り抜けする速度は、このロックされたタンパク質により少なくとも部分的に決定される。いくつかの例では、この速度は非常に正確な核酸配列を得られる程度に好適に遅くする。いくつかの態様では、この速度は、1回の通過で各核酸位置の配列が好適な精度(例えば、約90%、約95%、約97%、約99%、または約99.5%)で決定されるように好適に遅くする。
ビオチン化核酸による鎖の通過の制御
[0213]核酸分子がナノポア内またはその付近を通過する速度を少なくとも部分的に低減する方法が本明細書に記載されている。いくつかの例では、この方法を用いて、ナノポアにより核酸の配列決定の精度を上げ、かつ/または核酸を極小数回(例えば、一回)配列決定をすることで核酸分子の配列を決定する。
[0214]図20では、他の側面において核酸の配列を決定する方法が提供されている。この方法は、第1の一本鎖核酸分子2001をナノポア2002中またはその付近を通過させることを含み、前記第1の分子は第1の結合分子2004を含む第2の一本鎖核酸分子2003と塩基対を形成し、前記第1の結合分子は前記ナノポアまたは前記ナノポアに付着された第2の結合分子2005と相互に作用する。
[0215]いくつかの態様では、この第1の核酸分子はナノポアの補助により配列が決定される。いくつかの例では、この第1の一本鎖核酸分子がナノポア内を通過すると、本明細書で記載されるように検出可能な、ヌクレオチドに特異的な電流妨害物を生成する。
[0216]いくつかの態様では、第1の核酸分子がナノポア内またはその付近を通過する速度は、第1の結合分子と第2の結合分子との相互作用により少なくとも部分的に決定される。いくつかの態様では、この相互作用は、第1の結合分子と第2の結合分子間の非共有結合の形成を含む。
[0217]この結合分子は相互作用可能な(例えば、非共有結合を形成するなど)任意の2つの分子である。いくつかの態様では、第1の結合分子はビオチンであり、第2の結合分子はストレプトアビジンまたはアビジンである。
バーコードを有するシステム
[0218]本明細書で記載される装置およびシステムは、対象(例えば、ヒト)からの生体試料(例えば、血液、唾液、組織など)を検知するように構成することができる。検知の例としては、ゲノム情報および/または対象のゲノムの配列を決定することである。いくつかの態様では、対象はそれぞれ、(例えば、本明細書で記載される装置またはシステムの)対象専用ユニットを使用する。いくつかの態様では、各対象の生体試料は、他の対象用ユニットとは異なるユニットで感知される。いくつかの態様では、識別部材(例えば、バーコード)を用いて対象とユニットとを一致させる。
[0219]いくつかの例では、対象からの生体試料を検知するシステムは、(a)筐体と、(b)筐体内に設けられ、内部にナノポアを有する膜に隣接する電気回路を有し、ナノポア内または前記ナノポアに隣接して流れる生体試料に応答して前記電気回路が電気信号を生成するように構成されたセンサーと、(c)前記筐体面または前記筐体内に設けられ、前記システムに関連づけられた固有の識別子を有し、前記電気信号または前記電気信号から派生した特徴情報と前記対象との関連づけを補助するように構成された識別部材とを含む。
[0220]この識別部材は、同定することができる任意の装置または構成要素である。いくつかの態様では、この識別部材は電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ、無線自動識別標識、フラッシュメモリ、バーコード、および通し番号からなる群より選ばれる。いくつかの態様では、この識別部材は目視で同定される。いくつかの態様では、この識別部材はスキャナ、機械などによって読み取られる。
[0221]いくつかの例では、この筐体は小さい。いくつかの例では、このシステムは携帯可能である。いくつかの態様では、この筐体は体積が多くとも27,000cmである。いくつかの態様では、この筐体は体積が多くとも10,000cmである。いくつかの態様では、この筐体は体積が多くとも5,000cmである。いくつかの態様では、この筐体は体積が多くとも500cmである。いくつかの例では、このシステムは手持ち操作が可能であり、かつ/または手で持ち運びできる。
[0222]識別部材は筐体内または筐体面に設けることができる。この識別部材は、対象が匿名であることができ、匿名が関心事である場合には好ましいことがある。この識別部材はシステムまたは(例えば、ナノポア検出器)を対象と結びつけることができる。
[0223]このシステムは、生体試料の任意の好適な特徴を検知することができる。いくつかの態様では、このシステムは、長くとも10時間以内に個人のゲノムの配列を決定することができる。いくつかの態様では、このシステムは多くとも1時間以内に個人のゲノムの配列を決定することができる。いくつかの態様では、このシステムは、多くとも10分以内に個人のゲノムの配列を決定することができる。
膜タンパク質試験、およびその他の使用
[0224]本発明の装置は、任意の好適な目的に用いることができる。場合によっては、この装置は核酸の配列決定に用いない。この装置は、一塩基多型(single nucleotide polymorphism, SNP)、遺伝子挿入、削除、または他の遺伝子変異、あるいはマーカーの検出、タンパク質の配列決定、任意の他の重合体の配列決定などに用いることができるが、これらに限定されない。
[0225]本発明の方法は、生体膜に似た膜を構築するのに用いることができる。いくつかの態様では、この膜および/またはこの膜を含む膜タンパク質の組成は、有機体の細胞膜の組成と実質的に同じである。いくつかの例では、この膜および/またはこの膜を含む膜タンパク質は、同じ種類、同定特性を有し、かつ/または膜タンパク質および/または脂質の割合が同じであれば実質的に同じである。いくつかの態様では、この膜を含むタンパク質の割合は生体膜に含まれるタンパク質の割合の約50%以内、約40%以内、約30%以内、約20%以内、約10%以内、または約5%以内である。
[0226]生体細胞は、細胞を閉じこめる細胞膜や、細胞小器官(例えば、小胞体、核、ゴルジ装置、ミトコンドリア、リソソーム、ペルオキシソーム、液胞)を閉じこめる様々な膜を含む、様々な膜を有することができる。いくつかの例では、この膜は脂質二重層を含む。二重層中の脂質の組成は、種、膜の種類、または有機体の発達状態や有機体を取りまく環境条件によっても変動し得る。脂質二重層は、しばしば、2層のリン脂質を含み、これら2層の疎水性の尾は互いに向き合っている。任意の脂質または脂質の組み合わせが、ホスファチジルコリンなど本明細書で記載される生体膜模倣体を形成するのに好適である。いくつかの態様では、本明細書で記載される方法によって作製した膜は、ステロール(例えば、コレステロール)を含む。
[0227]生体膜はまた、一般に膜タンパク質を含むが、必ずしも必要ではない。いくつかの例では、膜タンパク質は生体膜の質量の大部分を占める(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも60%)。一側面では、本明細書で記載される方法は、膜タンパク質を膜に挿入するのに用いられる。
[0228]膜タンパク質には多くの例がある。膜タンパク質の例としては、トランスポーター、リンカー、チャネル、レセプター、酵素、構造タンパク質、エネルギーの蓄積および変換に関与するタンパク質、細胞接着に関与するタンパク質などが挙げられる。いくつかの例は、特にα溶血素、インスリンレセプター、インテグリン、カドヘリン、グリコホリン、ロドプシンが挙げられる。いくつかの膜タンパク質は単量体である(1種のポリペプチド鎖を含む)。数種の膜タンパク質は複数(1種以上)のポリペプチド鎖を含む。
[0229]本発明の一側面では、膜タンパク質試験を行う方法を提供する。この方法は、(a)膜タンパク質が膜に引きつけられて挿入されるように、電極を覆うように形成された少なくとも1つの膜に電気刺激を与えることと、(b)前記膜および/または前記膜タンパク質の特徴を試験することとを含む。
[0230]電極を覆うように膜を形成する方法が本明細書で提供される。膜タンパク質(例えば、α溶血素)を膜に引きつけて挿入するのに好適な電気刺激を与える方法もまた提供される。いくつかの態様では、この膜タンパク質はトランス膜領域を含む。いくつかの例では、トランス膜領域は疎水性アミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、トリプトファンなど)を含む。場合によっては、これら疎水性アミノ酸は隣接している。いくつかの例では、これらトランス膜領域は少なくとも部分的に脂質二重層に挿入されている。いくつかの例では、これらトランス膜領域は完全に脂質二重層を覆っている。膜タンパク質は任意の数のトランス膜領域(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以上のトランス膜領域)を有することができる。
[0231]いくつかの態様では、複数の異なる膜タンパク質が膜に挿入されている。いくつかの態様では、これら複数の異なる膜タンパク質はタンパク質ライブラリーの変異体を含む。いくつかの態様では、これら複数の異なる膜タンパク質は膜タンパク質(例えば、ポーリン、付着因子、レセプターなど)を含む。いくつかの態様では、膜は複数の導電性電極を覆うように形成されており、変異膜タンパク質ライブラリーがこれら複数の電極を覆うように形成された膜に分配されて挿入され、この膜タンパク質ライブラリーが試験される。
[0232]試験は様々な態様で異なってもよい。いくつかの態様では、試験は機能試験である(例えば、ポーリンの転座率またはレセプターの特異性)。この試験は任意の好適な試薬、時間、温度、検出反応機構(例えば、電子的検出、蛍光検出)などを用いる。いくつかの態様では、この試験膜および/または膜タンパク質に及ぼす薬物化合物の効果を求めることを含む。いくつかの態様では、この試験は膜および/または膜タンパク質に及ぼす化学化合物の効果を求めることを含む。
[0233]いくつかの態様では、膜に結合するタンパク質およびナノポアは電気的に人工脂質二重層膜、または場合により、周知のすべての生体種および非生体種など他の形態の膜に引きつけられて挿入されることができる。いくつかの例では、脂質二重層または生体膜を模倣した他の膜は、まず導電性電極を覆うように形成される。そして、人工膜の上の溶液中を浮遊する膜タンパク質がこの膜に引きつけられて挿入されるように電位を電極に印加することができる。これらタンパク質の挿入は、電極によって測定される電気物性の変化により検出することができる。
[0234]一側面において、無傷の膜は、破れた膜と対比して検出される。いくつかの態様では、この方法はさらに、電極の電気物性を測定することにより膜タンパク質の挿入を検出することを含む。タンパク質が挿入された正常膜の合計の導電率および静電容量を検出することができる。いくつかの態様では、この方法はさらに、電極で合計の導電率および/または静電容量を測定して膜の1つ以上の欠陥を決定することを含む。
[0235]いくつかの態様では、この膜タンパク質は、膜に1種以上のトランス膜領域を挿入する。いくつかの例では、この膜タンパク質は膜に挿入されたときにナノポアを形成しない(よって、例えば、その挿入が膜の静電容量または導電率の変化によって検出できないことがある)。レポーター部位および/または標識を膜タンパク質に付着させてその膜タンパク質が挿入されたかどうかを決定することができる。このレポーター部位および/または標識は化学的または生物学的に反応性であってもよい(例えば、膜タンパク質と、レポーター酵素、ビオチン化膜タンパク質などの融合タンパク質であってもよい)。タンパク質の挿入後、試薬を膜タンパク質と接触させて信号を生成することができる(すなわち、必要に応じて試薬とレポーター部位および/または標識との相互作用により生成する)。好適な信号としては、(例えば、センサーによって検出可能な)pH変化、電気変化、および/または容量変化が挙げられる。いくつかの例では、(例えば、蛍光など)光を発して膜タンパク質の存在を画像化する。
[0236]いくつかの例では、ナノポア検出器は膜に及ぼす薬物化合物の影響を試験するのに用いることができる。膜に及ぼす化学化合物の影響もまた決定することができる。いくつかの例では、タンパク質を含む複数の膜を並行して試験するとき、または複数の膜/タンパク質の組み合わせを一度に試験するとき、この技術は強力である。場合によっては、ナノポアに対応した電極/検出器の大量並列群により、1つの有機体を表す膜/タンパク質の同じ群を複数回試験することができ、かつ/または1個のセンサーチップに設けられた個別のウェルで、多くの異なる種類の有機体を表す多くの異なる種類の膜/タンパク質の組み合わせを一度に試験することができる。
[0237]いくつかの態様では、この少なくとも1つの膜は、複数の導電性電極を覆うように形成された複数の膜であり、これら電極は選択的に印加されて、電極位置で複数の膜タンパク質を含む混合物からなる膜タンパク質のサブセットを膜に挿入し、この膜および/または膜タンパク質は電極位置で試験される。
[0238]いくつかの態様では(例えば、この膜タンパク質は誘発されたときのみ挿入されるので)、異なるタンパク質を電極センサーの超並列配列全体に渡って流すことができ、時間内に分離することができる。よって、特定のタンパク質の存在に合わせて電気パルスを印加することで各電極検出器はそれぞれ、特定のタンパク質を集めることができる。ゼブラフィッシュの膜に存在することが知られているタンパク質を電極膜1−10に作製することができる。また、例えば、ヒトの肺細胞膜壁とその適切なタンパク質からなる模倣体を電極膜11−20に、大豆膜および適切なタンパク質の模倣体を電極膜30−40に作製することができる。いくつかの態様では、このプログラム可能な人工細胞膜を作ることにより、有機体の特徴をかつてないほど可視化することができる。
[0239]本発明のシステムを用いて興味のある膜結合タンパク質またはポーリンタンパク質を選択することができる。例えば、個々に制御される電極/未知の孔を有する膜センサーの超並列群を装着して、試薬または刺激電圧および/または電流に対する好ましい応答について試験することで、固有の好ましいタンパク質の存在を決定することができる。いくつかの例では、さらに出発試験混合物の割合を限定してスクリーニングを行うことで、まさにそのポーリンがユーザに興味のある分子であるかどうかを決定することができる。いくつかの態様では、このシステムはタンパク質に関連づけられた膜での様々な変異を高速で選択またはスクリーニングすることができる。
コンピュータシステム
[0240]本発明の装置、システム、方法をコンピュータシステムの補助により制御することができる。図21は、ナノポア検出および/または核酸の配列決定システム2102に接続されたコンピュータシステム2101を含むシステム2100を示す。このコンピュータシステム2101は1つまたは複数のサーバであってもよい。コンピュータシステム2101は試料の調製および処理や配列決定システム2102による核酸の配列決定を制御するようにプログラムされていてもよい。この配列決定システムは、本明細書の他の箇所で記載する独立して配置可能な複数のナノポアセンサーを含むナノポア装置であってもよい。この配列決定システム2102はチップ(またはバイオチップ)であってもよい。コンピュータシステム2101は、機械で実行可能なコード(例えば、ソフトウェア)を含むことができ、このコードを用いて配列決定システム2102で生成される核酸配列情報の誤りを検出し、核酸配列データの配列を比較(本明細書ではまた「読み取り」ともいう)することができる。ナノポア検出および/または配列決定システム2102は、本明細書で記載されるナノポアに基づく配列決定器(または検出器)であってもよい。
[0241]コンピュータシステム2101は本発明の方法を実行するようにプログラムすることができる。コンピュータシステム2101は中央処理装置(central processing unit, CPU、本明細書では「処理装置」ともいう)2105を含む。この処理装置はシングルコアまたはマルチコア処理装置、あるいは並列処理のための複数の処理装置であってもよい。この処理装置2105は集積回路などの回路の一部であってもよい。いくつかの例では、処理装置2105は特殊用途集積回路(application specific integrated circuit, ASIC)に組み込むことができる。コンピュータシステム2101はまたメモリ2110(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶部2115(例えば、ハードディスク)、1つ以上の他のシステムと通信するための通信インタフェース2120(例えば、ネットワークアダプター)、キャッシュ、他のメモリ、データ記憶装置および/または電子ディスプレイアダプターなどの周辺装置2125を含む。メモリ2110、記憶部2115、インタフェース2120、および周辺装置2125は、マザーボードなど通信バス(実線)を介してCPU2105と通信する。記憶部2115はデータを記憶するためのデータ記憶部(またはデータ保存領域)であってもよい。コンピュータシステム2101は、通信インタフェース2120の補助によりコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)と動作可能なように接続することができる。このネットワークは、インターネット、インターネットおよび/またはエクストラネット、あるいはイントラネットおよび/またはインターネットと通信するエクストラネットであってもよい。このネットワークは、1つ以上のコンピュータサーバを含むことができ、分散処理を行うことができる。
[0242]いくつかの例では、コンピュータシステム2101はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field-programmable gate array, FPGA)を含む。このような場合、処理装置2105は含まれないことがある。
[0243]本発明の方法は、メモリ2110または電子記憶部2115などコンピュータシステム2101の電子記憶領域に記憶された機械(またはコンピュータ処理装置)で実行可能なコード(またはソフトウェア)により実行することができる。使用中、このコードは処理装置2105によって実行されることができる。場合によっては、このコードを記憶部2115から取り出して、処理装置2105がアクセスできるようになっているメモリ2110に記憶することができる。状況によっては、電子記憶部2115を含まないように構成されることができ、機械で実行可能な指示がメモリ2110に記憶されている。
[0244]このコードは事前にコンパイルされて、コードを実行するように構成された処理装置を有する機械と用いるように構成することができる。あるいは、実行時にコンパイルすることができる。このコードはプログラム言語で供給することができる。プログラム言語は、コードを事前コンパイルまたは実行時コンパイルを実行できるように選択することができる。
[0245]コンピュータシステム2101は、名前、住所、Eメールアドレス、電話番号、インスタント・メッセージ(IM)ハンドル名、学歴情報、職業情報、社会的な好き嫌い,などのユーザの略歴情報、およびユーザまたは他のユーザに潜在的関連をもつその他の情報を記憶するように構成することができる。このような略歴情報をコンピュータシステム2101の記憶部2115に記憶させることができる。ナノポア検出および/または核酸の配列決定システム2102は、直接コンピュータシステム2101に接続することができる。あるいはクラウド(例えば、インターネット)2130を介することもできる。
[0246]コンピュータシステム2101など本明細書で提供されるシステムおよび方法の側面は、プログラムで具現化することができる。この技術の様々な側面は、典型的には機械(または処理装置)で実行可能なコードおよび/またはある種の機械で読み取り可能な媒体で実行または具現化される関連づけられたデータの形態を取る「もの」または「製造物」と考えることができる。機械で実行可能なコードはメモリ(例えば、ROM、RAM)またはハードディスクなどの電子記憶部に記憶することができる。「記憶装置」型媒体は、様々な半導体メモリテープドライブ、ディスクドライブなど、コンピュータ、処理装置、またはそれらの関連づけられたモジュールなどの有形メモリをいずれかまたはすべてを含むことができる。これら有形メモリは、常にソフトウェアプログラムに対して持続的な記憶領域を提供することができる。このソフトウェアは場合によって、全体または一部がインターネットを介して通信することができる、あるいは様々な他の電気通信網を介して通信することができる。このような通信により、例えば、管理サーバまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームなど、あるコンピュータまたは処理装置から別のコンピュータまたは処理装置へソフトウェアを読み込むことができる。よって、ソフトウェア要素を運ぶことができる別の種類の媒体としては、例えば、ローカル装置間の物理インタフェース、有線および光学地上回線、および様々な電波接続などを用いた光学、電気、電磁波などが挙げられる。有線または無線接続、光学接続など、このような波を運ぶ物理要素はまた、ソフトウェアを運ぶ媒体とみなすことができる。本明細書を通して、持続的な有形「記憶」媒体に限定されなければ、用語「コンピュータまたは機械で「読み取り可能媒体」」は処理装置に実行を指示することに関与する任意の媒体を指す。
[0247]よって、コンピュータ−実行可能なコードなど機械で読み取り可能な媒体は、多くの形態を取ることができ、有形記憶媒体、搬送波媒体、または物理的送信媒体などが挙げられるが、これらに限定されない。不揮発性記憶媒体としては、例えば、図面に示されているようなデータベースを実行するのに用いることができる任意のコンピュータの任意の記憶装置など光学または磁性ディスクが挙げられる。揮発性記憶媒体としては、コンピュータプラットフォームのメインメモリなど動的メモリが挙げられる。有形通信媒体としては、同軸ケーブルや、コンピュータシステム内のバスを含む配線を含む銅線および光ファイバーなどが挙げられる。搬送波送信媒体は、電気信号または電磁気信号、あるいは無線周波数(RF)および赤外線(IR)データ通信時に生成される信号など、音波または光波などの形態を取ることができる。よって、コンピュータ−読み取り可能媒体の共通の形態としては、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁性テープ、任意の他の磁性媒体、CD−ROM、DVD、またはDVD−ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理記憶媒体、RAM、ROM、PROM、EPROM、FLASH−EPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、搬送波輸送データまたは指示、搬送波などを送るケーブルまたは接続、またはコンピュータがプログラミングコードおよび/またはデータを読み取ることができる任意の他の媒体などが挙げられる。コンピュータ読み取り可能媒体のこれら形態の多くは、処理装置に実行させるための1つ以上の指示の1つ以上の連続を運ぶことに関与していてもよい。
バイオチップおよびバイオチップを形成する方法
[0248]ナノポアを用いて様々な分子を検出することができる。様々な分子としては核酸分子などの重合体が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で認識されているように、バイオチップおよび(例えば、ナノポアを含む)バイオチップを作製する方法を向上させることが必要である。場合によっては、従来の半導体処理技術は、バイオチップとして用いるシリコン素子の作製には不十分である。本発明は、必要に応じてイオンを含む水溶液など非常に腐食性の高い環境に耐える(例えば、そのような環境で、またはそのような環境に接した後、動作可能な)バイオチップを作製できる方法を提供する。このような方法を用いて、高密度(例えば、1mmあたり、少なくとも約500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、または10000個でバイオチップを形成することができる。各部分は独立して(すなわち、個々に)配置可能な部分であり得る。他の側面では、本明細書で記載される方法は、有機膜(例えば、脂質二重層)の形成に貢献するバイオチップ表面を形成する。他の側面では、この方法は、このバイオチップでイオン電流の流れを電気的に測定するのに必要な電気化学電極を提供する。
[0249]とりわけ、本明細書で記載される方法によって作製されたこれらバイオチップは、核酸分子の同定および重合体(例えば、核酸)の配列決定に用いることができる。いくつかの例では、この重合体をナノポアに通すと、この重合体の様々なサブユニット(例えば、核酸のアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、および/またはウラシル(U)塩基)がナノポア内を流れる電流に影響を及ぼす。本明細書で記載されるように、これら様々なサブユニットは、複数種類の電圧をこのナノポアおよび/または膜に印加して電流を測定することにより同定することができる。場合によっては、標識付きヌクレオチドの重合により、標識分子が放出および/またはナノポアに供給され、複数種類の電圧をこのナノポアおよび/または膜に印加して電流を測定することにより同定することができる。
[0250]孔に基づくセンサー(例えば、バイオチップ)を用いて、1種の分子を電気的に調べることができる。本発明の孔に基づくセンサーは、膜に形成されたナノポアを含むことができ、この膜は検知電極に隣接してまたはその付近に配置されている。このセンサーは対向電極を含むことができる。この膜は、トランス側(すなわち、検知電極に向いている側)とシス側(すなわち、対向電極に向いている側)を含む。
[0251]以下、図面を参照するが、同一の部分は同一の参照符号で示されている。自明であるが、図およびそれらの特徴は、必ずしも原寸に比例していない。
[0252]図22に関連して、典型的な電気測定が、孔と密接に関連づけられる(例えば、結合は化学的、機械的、電気的、または電気化学的なものであってもよい)試験で、分子について行うことができる。このシステムでは、分子/孔錯体に刺激(電圧または電流)を与えて、その応答を測定することができる。孔/分子錯体の測定を分離するため、一般に孔の2つの側を高絶縁材(例えば、脂質二重層)で仕切る。
[0253]絶縁壁の両側に封入された体積をそれぞれシスウェルおよびトランスウェルという。一般的な定義では、興味のある種(例えば、核酸分子または標識分子)は検出時にシスからトランスへ移動する。このトランスウェルは一般にチップ電極に近いほうの絶縁膜で仕切られた側であり、電気的にチップ電極に接続されている。
[0254]いくつかの態様では、このバイオチップは、ウェルの電極と電気回路を形成することができる対向電極を含む。場合によっては、複数のウェルの複数の電極は共通の対向電極を共有する。図23は、共通の対向電極を有する電極配列を示しており、液体を含む周辺部(例えば、容器)が対向電極(例えば、導電性であって、回路を形成する)として作用する。対向電極の他の態様が図24に示されている。この対向電極はナノポアを覆うように設けられたプレートである(例えば、導電性金属からなる)。図25および図26に示すように、複数のウェルの複数の電極が、共通の対向電極を共有する群を形成することができる。場合によっては(例えば、図26)、複数のウェルの複数の電極はそれぞれ専用の対向電極を有する。場合によっては、複数の対向電極を有することにより、検知電極は個々に(または共通の対向電極を共有する電極群の場合は、その群ごとに)配置することができる。
[0255]場合によっては、複数のウェル(ウェルの合計数の任意のサブセットを含む)は、共通の電解質だまりを含む。図27に示すように、ウェル2701は、ウェルの列がウェルの上の共通の電解質だまりを共有するように、壁2702で列ごとに仕切ることができる。本明細書で記載されるようにバイオチップを区画(sections)に分割することで、(例えば、異なる試料をチップの異なる区画に入れることで)1個のバイオチップで複数の試料を分析することができる。
[0256]ナノポアセンサーは電極(例えば、図1Bの下部導電性電極102)に隣接するナノポアを少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、100、または1000個含むことができる。ナノポアセンサーは、(他のセンサーではなく)ナノポアセンサーのみが使用する上部電極(例えば、図1Bの上部電極101)を含むことができる。あるいは、上部電極は複数のナノポアセンサーによって使用されるように設けることもできる。
バイオチップの処理
[0257]表面特性、ウェルの空洞体積、および電極の組成および体積は本明細書で記載されるように制御されて、(例えば、ナノポア検知の目的で)測定可能な半導体に基づくマイクロウェルの平面配列を作製することができる。いくつかの例では、このナノポアに基づく半導体配列検知プラットフォームは、以下の目標を達成するものである。(1)平面の絶縁膜を支持するチップの表面特性、(2)表面特性の識別により、よく規定され、制御された平面膜の表面、(3)トランスウェルの電解質の体積が大きいこと、(4)電極の体積が大きいこと、(5)配列の隣接するセンサー電極間の電気的漏洩量が小さいこと、(6)非常に大きい配列サイズを達成するための高細胞密度、および(7)主要パラメータ(電圧、抵抗など)がほとんど一定である期間が長時間継続する間に安定した測定を行うこと。
[0258]よく制御された膜面積とトランスウェルの体積で高絶縁(抵抗)壁の形成を確実にしようとすると、例えば、目標(1)および(2)を達成することは困難な場合がある。
[0259]脂質二重層膜を形成する場合、チップの設計および処理は、このリン脂質分子の親水性の頭と疎水性の尾で説明することができる。チップの表面を慎重に制御することで、よく規定された親水領域と疎水領域を区切ることができる。これにより、形成される脂質二重層膜の構造および特性を制御することができる。
[0260]目標(3)は、典型的な測定の継続中、その結果に影響を及ぼさないようにトランスウェルの電解質イオンを十分に豊富な量にすることを確実にすることができる。このような影響は、一方または他方のイオンが完全に消耗される、あるいは様々なイオンの相対濃度が実質的に(すなわち濃度勾配および/または得られるネルンスト電位における推移が)測定結果を変動させる程度まで推移することにより生じ得る。
[0261]目標(4)の達成は、測定を支持する電気化学反応の一部として消費または変換される(例えば、酸化反応で銀が銀塩化物に変換される)犠牲電極の場合、幾分重要となる可能性がある。電極の体積が大きいことは、(i)完全に実験を中断し得る、あるいは測定したデータに空白が生じ得る「再充電」測定を介入させずに継続して測定を行うことができる時間を増やすこと、および(ii)酸化還元電極の成分の相対濃度の変化によって生じる電気化学電位推移を低減することの両方にとって幾分重要となる可能性がある。場合によっては、電極材料(銀)が完全に消耗するということは、実際の継続的な測定期間に対して理論的上限を設定する。
[0262]場合によっては、これら目標のいくつかは、1つの目標を達成しようとすると他の目標を犠牲にするような矛盾が生じることがある。例えば、ケイ素表面に空洞を深くエッチングして銀で完全に充填すると、金属/ケイ素表面に平面膜を形成することができ、目標(1),(2)、および(4)を達成することができるが、トランスウェルの電解質が利用できる体積は小さいままとなるかもしれない。同様に、電気的漏洩量を最小にする(目標(5))のは、隣接する細胞を離して配置することで達成できるが、これは目標(6)の達成を犠牲にして成立する。
[0263]様々な側面では、本明細書で記載されるバイオチップおよびバイオチップを作製する方法は、核酸分子の配列を決定することができるように目標(1)から(6)を達成することができる。例えば、電解質と電極材料の両方を支持する、ウェルの深い垂直空洞構造は、目標(3)および(4)を達成することができる。湿式エッチング/乾式エッチングの組み合わせで側部の寸法と、それによってトランスウェルの体積を増加させ、目標(1)、(2)、(3)、および(4)を達成することができる。酸化物の表面を選択的にシラン処理することで、目標(1)および(2)を達成することができる。ゲルを利用することで目標(3)および(4)のバランスをとりつつ、同時に目標(1)および(2)を達成することができる。分配対向電極を実装することで、目標(5)および(6)を同時に達成することができる。電極の補充(再充電)により、目標(7)を達成することができる。非犠牲電極により目標(7)を達成することができる。電気メッキにより電極材料を増加させて目標(4)を達成することができる。またはこれらの任意の組み合わせにより上記目標を達成することができる。
バイオチップの特性
[0264]一側面では、バイオチップは半導体基板と、この基板に設けられた二酸化ケイ素層を含む。この二酸化ケイ素層にはウェルを形成することができる。ウェルの内側は耐腐食性材料で塗布することができる。電極材料はウェルの中にあってもよい。
有機官能アルコキシシラン層を二酸化ケイ素層に塗布することができる。場合によっては、このバイオチップはさらに、このウェル内の第1の流体を、このウェル外にある第2の流体から分離する膜を含む。また、本明細書で記載されるいずれかの方法で作製されるバイオチップ、本明細書で記載されるいずれかのバイオチップの使用、または本明細書で記載される方法により作製される、重合体の配列を決定するためのバイオチップが本発明に含まれている。この重合体は核酸分子を含むが、これに限定されない。
[0265]場合によっては、電極材料はバイオチップの操作時に消耗しない。一側面では、バイオチップはウェルを覆うように設けられた膜を有する複数のウェルと、このウェルに設けられ、膜に設けられた孔中を通過する実在物に応答してイオンの流れの変化を検出することができる電極を含む。いくつかの例では、この電極は検出時に消耗しない。
[0266]この電極(例えば、銀または白金材料)は任意の好適な質量または体積を有することができる。場合によっては、電極の体積は約0.1フェムトリットル(fL)、約0.5fL、約1fL、約5fL、または約10fLである。いくつかの例では、電極の体積は少なくとも約0.1フェムトリットル(fL)、少なくとも約0.5fL、少なくとも約1fL、少なくとも約5fL,または少なくとも約10fLである。いくつかの態様では、電極の体積は多くとも約0.1フェムトリットル(fL)、多くとも約0.5fL、多くとも約1fL、多くとも約5fL,または多くとも約10fLである。
[0267]この電極は、混合物、材料の合金を含む任意の好適な材料で作製することができる。いくつかの例としては、白金、フェロセン、フェリシアニド、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。場合によっては、この電極材料は電極の操作時に消費されない。この電極は、少なくとも2つの酸化状態を有する材料、および/または電子を受容・供与することができる材料を含む。
高密度に形成された深いウェルを有するチップ
[0268]バイオチップに高密度のナノポアセンサーを設けることは、装置の小型化および/または小型バイオチップ装置で多くの分子の検知または配列決定をするという点で望ましい場合がある。バイオチップの表面は任意の好適な密度で(例えば、所定時間または所定のコストで核酸試料の配列を決定するのに好適な密度で)離散部位を含む。一態様では、この表面は1mmあたり、約500個以上の密度で離散部位を有する。いくつかの態様では、この表面は1mmあたり、約100個、約200個、約300個、約400個、約500個、約600個、約700個、約800個、約900個、約1000個、約2000個、約3000個、約4000個、約5000個、約6000個、約7000個、約8000個、約9000個、約10000個、約20000個、約40000個、約60000個、約80000個、約100000個、または約500000個の密度で離散部位を有する。いくつかの態様では、この表面は1mmあたり、少なくとも約200個、少なくとも約300個、少なくとも約400個、少なくとも約500個、少なくとも約600個、少なくとも約700個、少なくとも約800個、少なくとも約900個、少なくとも約1000個、少なくとも約2000個、少なくとも約3000個、少なくとも約4000個、少なくとも約5000個、少なくとも約6000個、少なくとも約7000個、少なくとも約8000個、少なくとも約9000個、少なくとも約10000個、少なくとも約20000個、少なくとも約40000個、少なくとも約60000個、少なくとも約80000個、少なくとも約100000、または少なくとも約500000個の密度で離散部位を有する。
[0269]バイオチップの離散部位が高密度であると、一般に小さい面積のウェルが得られる。いくつかの例では、ウェルは好適な深さを有する(例えば、ウェルは好適に大きい体積を有する)。一側面では、ウェルの体積は、電極の再充電前にイオンがウェルで完全に消耗されない程度に適度の大きさを持つ。一側面では、電極は犠牲電極(例えば、銀など、検出時に体積が増減する電極)であってもよく、ウェルの体積は、電極の再充電前にこの電極が完全に消耗されない程度に適度の大きさを持つ。いくつかの態様では、このウェルは、銀などの電極材料を十分な大きさの体積で含む。これらの側面では、とりわけ、ウェルの体積によって、電極が電流を検出できる時間が制限される可能性がある(すなわちイオンおよび/または電極材料が消耗されるまで)。
[0270]場合によっては、ウェルは、電極がイオンの流れ(例えば、電流)を約1ミリ秒(ms)、約5ms、約10ms、約50ms、約100ms、約500ms、約1s、約5s、約10s、約50s、約100s、約500s、約1000s、または約5000sの間検出できる程度に好適に大きな体積を有する。いくつかの態様では、電極が少なくとも約1ms、少なくとも約5ms、少なくとも約10ms、少なくとも約50ms、少なくとも約100ms、少なくとも約500ms、少なくとも約1s、少なくとも約5s、少なくとも約10s、少なくとも約50s、少なくとも約100s、少なくとも約500s、少なくとも約1000s、または少なくとも約5000sの間イオンの流れ(例えば、電流)を検出することができる程度にウェルは好適に大きい体積を有する。
[0271]検出時間はナノポアおよび/または膜に印加する電圧の大きさに少なくとも部分的に依存することがある(例えば、電圧が高いとイオン電流も高くなり、電極の消耗が速くなり、よってより短い時間で検出できる)。いくつかの態様では、膜両端の電圧差は、約40ミリボルト(mV)、約60mV、約80mV、約100mV、約120mV、約140mV、約160mV、約180mV、約200mV、約300mV、約400mV、または約500mVである。いくつかの態様では、膜両端の電圧差は多くとも約40mV、多くとも約60mV、多くとも約80mV、多くとも約100mV、多くとも約120mV、多くとも約140mV、多くとも約160mV、多くとも約180mV、多くとも約200mV、多くとも約300mV、多くとも約400mV、または多くとも約500mVである。いくつかの態様では、膜両端の電圧差は少なくとも約40mV、少なくとも約60mV、少なくとも約80mV、少なくとも約100mV、少なくとも約120mV、少なくとも約140mV、少なくとも約160mV、少なくとも約180mV、少なくとも約200mV、少なくとも約300mV、少なくとも約400mV、または少なくとも約500mVである。電圧は一定または可変(例えば、任意の周期的波形で変化する)であってもよい。
[0272]状況によっては、電極の動作寿命は、少なくとも約40mV、約60mV、約80mV、約100mV、約120mV、約140mV、160mV、約180mV、約200mV、約300mV、約400mV、または約500mVの電位を印加して少なくとも約1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、30分、40分、50分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、または12時間である。いくつかの例では、電極の動作寿命は約80mVの電位を印加した場合少なくとも約15分である。
[0273]電極の動作寿命は使用時の電極の消耗(例えば、消耗速度)に基づいて評価することができる。場合によっては、電極材料は、電極の使用中、約60分、30分、20分、15分、10分、5分、4分、3分、2分、または1分以下の時間内であれば、多くとも約50%、40%、30%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.1%、または0.01%だけ消耗する。
[0274]ウェルは任意の好適な深さであってもよい。場合によっては、ウェルの深さはバイオチップの表面および/または膜の底面から、電極の上部および/または電極の底面まで測定したものである。場合によっては、ウェルの深さは、酸化物層の厚みとほぼ等しい(例えば、図1Bの103)。いくつかの態様では、ウェルの深さは約0.5マイクロメートル(μm)、約1μm、約1.5μm、約2μm、約2.5μm、約3μm、約3.5μm、約4μm、約4.5μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、または約20μmである。いくつかの態様では、ウェルの深さは少なくとも約0.5マイクロメートル(μm)、少なくとも約1μm、少なくとも約1.5μm、少なくとも約2μm、少なくとも約2.5μm、少なくとも約3μm、少なくとも約3.5μm、少なくとも約4μm、少なくとも約4.5μm、少なくとも約5μm、少なくとも約6μm、少なくとも約7μm、少なくとも約8μm、少なくとも約9μm、少なくとも約10μm、または少なくとも約20μmである。
[0275]一側面では、バイオチップは、ウェルを覆うように設けられた膜を有する複数のウェルと、このウェルに設けられ、膜に設けられた孔中を通過する実在物に応答してイオンの流れの変化を検出することができる電極を含む。このバイオチップは、1ミリ平方あたり少なくとも500個のウェルを含むことができ、ウェルは、電極の再充電なしにこの電極が少なくとも100個の実在物を検出することができる程度に好適な大きさの体積を有することができる。
[0276]いくつかの態様では、これら実在物はヌクレオチドの組み込み事象で放出される標識分子である。いくつかの例では、重合体が孔中を通過し、これら実在物はこの重合体のサブユニットである。場合によっては、この重合体は核酸であり、この重合体のサブユニットは核酸塩基である。
[0277]このバイオチップは、電極の再充電なしに任意の好適な数の実在物を検出することができる。場合によっては、約10個、約50個、約100個、約500個、約1000個、約5000個、約10000個、約50000個、約100000個、約500000個、約1000000個、約5000000個、または約10000000個の実在物が検出される。場合によっては、少なくとも約10個、少なくとも約50個、少なくとも約100個、少なくとも約500個、少なくとも約1000個、少なくとも約5000個、少なくとも約10000個、少なくとも約50000個、少なくとも約100000個、少なくとも約500000個、少なくとも約1000000個、少なくとも約5000000個、または少なくとも約10000000個の実在物が検出される。
高密度に形成されたウェルと最小漏洩量を有するチップ
[0278]一側面では、ウェルは高密度に形成され、漏洩量が小さい(例えば、電極は、その電極に最も近いナノポアおよび/または膜からの信号のすべてまたはほとんどを派生させる)。一側面では、バイオチップはウェルを覆うように設けられた膜を有する複数のウェルと、イオンの流れに応答して信号を検出するウェルに設けられた電極を含む。このバイオチップは、1ミリ平方あたり少なくとも500個のウェルを含むことができる。また、この電極は互いに電気的に切り離されている。このバイオチップは、本明細書で記載されるように、単位面積あたり任意の好適な数のウェルを含むことができる。
[0279]場合によっては、電極は膜に設けられたナノポア内のイオンの流れからの信号のうち、約80%、約90%、約95%、約99%、約99.5%、または約99.9%を検出する。いくつかの例では、この電極は、膜に設けられたナノポア内のイオンの流れからの信号のうち、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%を検出する。場合によっては、電極は隣接する複数のウェルに設けられたナノポア内のイオンの流れからの信号のうち、20%以下、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、または0.1%以下を検出する。
バイオチップを作製する方法
[0280]上記方法を用いて、腐食性溶液に耐え、高い抵抗率を有するバイオチップに膜を形成することができる、高品質のバイオチップを作製することができる。一側面では、バイオチップを調製する方法は、半導体基板を用意し、前記基板で、または前記基板に隣接して電気測定を行うことができる電極を含む複数のウェルを形成することを含む。場合によっては、この方法はさらに、前記基板を処理して腐食性溶液に耐えられるようにすることと、高い抵抗率でウェルを封止する膜の形成のために前記基板を準備することとを含む。
[0281]この膜は、任意の好適に高い抵抗率を有することができる。場合によっては、抵抗率は約10メガオーム(MΩ)、約50MΩ、約100MΩ、約500MΩ、約1ギガオーム(GΩ)、約5GΩ、または約10GΩである。場合によっては、抵抗率は少なくとも約10メガオーム(MΩ)、少なくとも約50MΩ、少なくとも約100MΩ、少なくとも約500MΩ、少なくとも約1ギガオーム(GΩ)、少なくとも約5GΩ、または少なくとも約10GΩである。
[0282]いくつかの態様では、この半導体基板はケイ素を含む。いくつかの例では、この膜は脂質二重層である。これら電極は、上記膜に埋め込まれたナノポア内のイオン電流の流れを測定することができる。
[0283]この装置は、任意の好適な腐食性溶液に耐えることができる。場合によっては、この腐食性溶液は水性であり(水を含む)、イオン(例えば、Na、Cl)を含む。場合によっては、このバイオチップは、1MのNaClと10時間接触させた後に動作可能になる。
[0284]いくつかの例では、バイオチップを調製する方法は、反応性酸化物基を有する材料を半導体基板に蒸着し、この二酸化ケイ素をエッチングしてウェルを形成し、これらウェルに金属電極を作製し、これらウェルを除く上記基板のすべての領域から金属を取り除き、上記基板を膜との接着性が好適な層で被覆することを含む。場合によっては、この半導体基板はケイ素を含む。この方法は、ナノポアによる核酸の配列決定に用いるバイオチップを調製することができる。
[0285]場合によっては、反応性酸化物基を有する材料は二酸化ケイ素である。この材料は、固い平面の表面を形成することができ、この表面と接する溶液に対して、反応性酸化物(−OH)基が均一な被覆力を有する。これら酸化物基は続くシラン処理工程の付着点となり得る。あるいは、酸化ケイ素のエッチング特性を模倣する親油性かつ疎水性の表面材料を蒸着することもできる。
[0286]いくつかの態様では、上記半導体基板に不動態化層を蒸着する。この半導体基板は反応性酸化物基を持っていてもいなくてもよい。この不動態化層は窒化ケイ素(Si)またはポリイミドを含むことができる。いくつかの例では、フォトリソグラフィー工程を用いて不動態化層に膜が形成される領域を規定する。フォトリソグラフィー工程では、フォトレジストを用いてマスクからフォトレジストの一部を露光させることによりこの領域を規定することができる。バイオチップの離散部位の密度(例えば、1mmあたり500個)は、マスクおよびフォトレジストの露光部分における特徴部分(例えば、ウェルの断面を表す穴)の密度を選択することで規定することができる。
[0287]図28から図41はバイオチップを得ることができる工程の一例を示す。いずれの図面も必ずしも原寸に比例していない。
[0288]図28では、バイオチップを調製する方法はまず、半導体基板を用いるところから始まる。半導体(例えば、ケイ素)には、その上に任意の数の層を設けることができる。層は金属などの導電層が挙げられるが、これに限定されない。導電層は、いくつかの例ではアルミニウムである。場合によっては、この基板は保護層(例えば、窒化チタン)を有する。これらの層は、化学気相蒸着法(chemical vapor deposition, CVD)、原子層蒸着法(atomic layer deposition, ALD)、プラズマ化学気相蒸着法(plasma enhanced chemical vapor deposition, PECVD)、プラズマ原子層蒸着法(plasma enhanced atomic layer deposition, PEALD)、金属有機化学蒸着法(metal organic chemical vapor deposition, MOCVD)、ホットワイヤー化学蒸着法(hot wire chemical vapor deposition, HWCVD)、開始剤支援化学蒸着法(initiated chemical vapor deposition, iCVD)、内付け化学蒸着法(modified chemical vapor deposition, MCVD)、気相軸付け蒸着法(vapor axial deposition, VAD)、外付け気相蒸着法(outside vapor deposition, OVD)、物理気相蒸着(例えば、スパッタ蒸着、蒸発蒸着)など様々な蒸着技術の補助により蒸着させることができる。
[0289]場合によっては、図29に示すように酸化物層を半導体基板に蒸着させる。いくつかの例では、この酸化物層は二酸化ケイ素を含む。オルトケイ酸四エチル(TEOS)、高密度プラズマ(HDP)、またはこれらの任意の組み合わせにより、二酸化ケイ素を蒸着することができる。
[0290]いくつかの例では、低温技術により二酸化ケイ素が蒸着される。場合によっては、この工程は酸化ケイ素の低温化学蒸着である。温度は一般に、チップに既に設けられている金属が破損しない程度に十分に低温である。蒸着温度は約50℃、約100℃、約150℃、約200℃、約250℃、約300℃、約350℃などであってもよい。いくつかの態様では、蒸着温度は約50℃未満、約100℃未満、約150℃未満、約200℃未満、約250℃未満、約300℃未満、約350℃未満などである。蒸着は任意の好適な圧力で行うことができる。いくつかの例では、蒸着プロセスはRFプラズマエネルギーを用いる。
[0291]場合によっては、酸化物は、熱成長酸化物法(例えば、1,000℃付近または1,000℃を超える温度を用いることができる)では蒸着されない。
[0292]二酸化ケイ素は、ウェルの形成に好適な厚みに蒸着することができる。これらウェルは電極と、電極の再充電なしに核酸分子の少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10000個、少なくとも100000個、または少なくとも1000000個の核酸塩基の配列を決定することができる体積の電解質とを含む。
[0293]二酸化ケイ素は任意の好適な厚みに蒸着することができる。いくつかの態様では、二酸化ケイ素の厚みは約0.5マイクロメートル(μm)、約1μm、約1.5μm、約2μm、約2.5μm、約3μm、約3.5μm、約4μm、約4.5μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、または約20μmである。いくつかの態様では、二酸化ケイ素の厚みは少なくとも約0.5マイクロメートル(μm)、少なくとも約1μm、少なくとも約1.5μm、少なくとも約2μm、少なくとも約2.5μm、少なくとも約3μm、少なくとも約3.5μm、少なくとも約4μm、少なくとも約4.5μm、少なくとも約5μm、少なくとも約6μm、少なくとも約7μm、少なくとも約8μm、少なくとも約9μm、少なくとも約10μm、または少なくとも約20μmである。
ウェルのエッチング
[0294]バイオチップはウェルを含むことができる。個々のウェルは、ウェル内またはウェルを覆う膜にナノポアを含むことができる。ウェルは独立して配置可能なナノポアセンサーの一部であってもよい。
[0295]ウェルは、様々な製造技術により二酸化ケイ素基板に形成することができる。このような技術には、半導体製造技術が含まれる。場合によっては、ウェルは半導体工業などで用いられるフォトリソグラフィー技術により形成される。例えば、フォトレジスト(例えば、電磁放射に曝されると特性が変化する材料)を図30に示すように二酸化ケイ素に(例えば、ウエハーのスピンコーティングにより)任意の好適な厚みで塗布することができる。フォトレジストを含む基板は、その後電磁放射源に曝すことができる。ウェルの領域を規定するため、マスクを用いてフォトレジストの一部を放射線から遮蔽することができる。フォトレジストは、ネガレジストまたはポジレジストであってもよい(例えば、マスクで規定されたように、ウェルの領域は電磁放射に曝されてもよし、ウェル以外の領域が電磁放射に曝されてもよい)。図31では、ウェルが形成される位置と重なる領域が電磁放射に曝されてウェルの位置と分布に対応するパターンを二酸化ケイ素層に規定する。マスクおよびフォトレジストの露光部分における特徴部分(例えば、ウェルの断面を表す穴)の密度を選択することでバイオチップの離散部位の密度(例えば、1mmあたり500個)を規定することができる。フォトレジストは、ウェルに対応するパターンを規定するマスクを通して電磁放射に曝すことができる。次いで、フォトレジストの露光部分を、例えば洗浄操作(例えば、脱イオン水)により取り除くことができる。そして、マスクの取り除かれた部分を化学エッチング液に曝して基板をエッチングし、ウェルのパターンを二酸化ケイ素層に転写することができる。エッチング液として、例えば、硫酸(HSO)などの酸が挙げられる。二酸化ケイ素層は異方性エッチングすることができるが、場合によっては、エッチングは等方性であってもよい。例えば、図33では、最終的なウェルの領域に正確に一致しない領域をエッチングすることがある(例えば、ウェルはフォトレジストの下までエッチングされることがある)。
[0296]様々なエッチング法を用いて、ウェルが形成される領域の二酸化ケイ素をエッチングすることができる。図32および図33に示されるように、エッチングは等方性であってもよい(すなわち、ある方向のエッチング速度はそれと直交する方向のエッチング速度と等しい)、あるいは異方性であってもよい(すなわち、ある方向のエッチング速度はそれと直交する方向のエッチング速度より遅い)、またはこれらの変形である。
[0297]場合によっては、異方性エッチングにより、ウェルの体積の大部分が取り除かれる。ウェルの体積は約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%を含む任意の好適な百分率で取り除くことができる。場合によっては、材料の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%が異方性エッチングで取り除かれる。場合によっては、材料の多くとも約60%、多くとも約70%、多くとも約80%、多くとも約90%、または多くとも約95%が異方性エッチングで取り除かれる。いくつかの態様では、異方性エッチングでは、二酸化ケイ素材料は半導体基板まで取り除かれない。いくつかの例では、等方性エッチングにより、二酸化ケイ素材料は半導体基板まで取り除かれる。
[0298]場合によっては、ウェルはフォトリソグラフィー工程でエッチングされて、ウェルを規定し、その後乾式エッチング/湿式エッチングの組み合わせにより処理される。フォトリソグラフィー工程は二酸化ケイ素をフォトレジストで被覆することと、ウェルを規定するパターンを有するマスク(またはレチクル)を介してこのフォトレジストを電磁放射に曝すこととを含む。いくつかの例では、乾式エッチング/湿式エッチングの組み合わせは、フォトリソグラフィー工程でフォトレジストに規定されたウェル領域の二酸化ケイ素の大部分を取り除く乾式エッチングと、バイオチップの洗浄と、基板のウェル領域から残留二酸化ケイ素を取り除く湿式エッチングを含む。
[0299]バイオチップはプラズマエッチング化学の補助により、または過酸化水素(H)、酸化物陰イオン(O )、またはオゾン(O)などの酸化剤に曝すことにより洗浄することができる。この洗浄は、残留重合体を取り除くこと、湿式エッチングを妨げ得る材料を取り除くこと、またはこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの例では、この洗浄はプラズマ洗浄である。この洗浄工程は任意の好適な時間(例えば、15秒から20秒)行うことができる。一例では、この洗浄は、eMAx−CT装置(アプライド・マテリアルズ社、カリフォルニア州サニーベール)を100mT、200W、20G、20Oに設定して20秒間行うことができる。
[0300]乾式エッチングは、横方向(例えば、半導体基板と平行)ではなく垂直方向に(例えば、半導体基板に向かって)エッチングする異方性エッチングであってもよい。いくつかの例では、乾式エッチングは、CF、CHF、C、C、またはこれらのいずれかの組み合わせなどフッ素系エッチング液によるエッチングを含む。一例では、このエッチングは、eMAx−CT装置(アプライド・マテリアルズ社、カリフォルニア州サニーベール)を100mT、1000W、20G、50CFに設定して400秒間行われる。
[0301]湿式エッチングは全方向に材料を取り除く等方性エッチであってもよい。いくつかの例では、湿式エッチングはフォトレジストの下まで材料を取り除く。このようにフォトレジストの下を取り除くと、後の工程(例えば、フォトレジストの「リフトオフ」)でフォトレジストを取り除きやすくすることができる。一態様では、湿式エッチングは、緩衝酸化物エッチング(buffered oxide etch, BOE)である。場合によっては、緩衝させることができるフッ化水素酸塩基(例えば、フッ化アンモニウム)により湿式酸化物エッチングは室温で行って、エッチング速度を下げることができる。エッチング速度は、エッチングされる膜と、HFおよび/またはNHFの特定の濃度に依存し得る。酸化物層を完全に取り除くのに必要なエッチング時間は、典型的には実験的に決定される。一例では、このエッチングは22℃で15:1のBOE(緩衝酸化物エッチング)により行われる。
[0302]二酸化ケイ素層のエッチングは、その下の材料層まで達することがある。例えば、図33では、二酸化ケイ素層は窒化チタン層までエッチングされている。
[0303]一側面では、バイオチップを調製する方法は、ウェルを規定するためのフォトリソグラフィー工程により、半導体基板を被覆している二酸化ケイ素層をエッチングしてウェルを形成することと、フォトリソグラフィー工程で規定されたウェル領域の二酸化ケイ素の大部分を取り除く乾式エッチングと、基板のウェル領域から残留二酸化ケイ素を取り除く湿式エッチングとを含む。場合によっては、この方法はさらに、残留重合体を取り除くこと、湿式エッチングを妨げ得る材料を取り除くこと、またはこれらの組み合わせを含む。この方法はプラズマ洗浄工程を含むことができる。
[0304]図33に示されるように、場合によっては、フォトレジストを二酸化ケイ素から取り除かず、フォトリソグラフィー工程または湿式エッチング/乾式エッチングの組み合わせを行う。フォトレジストを残すことにより、後の工程で二酸化ケイ素の上面ではなくウェルにのみ金属を供給することができる。場合によっては、半導体基板は金属(例えば、図33ではアルミニウム)で被覆されており、湿式エッチングはこの金属を腐食から保護する成分(例えば、図33では窒化チタン(TiN))を取り除かない。しかしながら、場合によっては、化学機械的平坦化(CMP)などの補助によりフォトレジスト層を取り除くことができる。
電極の金属配線
[0305]本明細書で記載されるバイオチップを用いて、ナノポアおよび電気検出の補助により分子および/または核酸分子の配列を検出することができる。ウェル内に設けられた電極と、ウェル外に設けられた対向電極の補助により電気的な検出を行うことができる。金属電極などの電極を作製する方法が、本明細書で提供される。この電極は、検出時に可逆的に消費されてもよく、検出時に消費されなくてもよく、あるいは検出時に感知できるほど消費されなくてもよい。
[0306]分子の検出時に可逆的に消費され得る電極としては、例えば、銀が挙げられる。検出時に感知できるほど消費されない電極としては、例えば白金が挙げられる。
[0307]様々な蒸着技術の補助により電極を基板に隣接して形成することができる。例えば、電気メッキにより電極を形成することができる。別の例としては、例えば、化学気相蒸着法(CVD)、原子層蒸着法(ALD)、プラズマ化学気相蒸着法(PECVD)、プラズマ原子層蒸着法(PEALD)、金属有機化学気相蒸着法(MOCVD)、ホットワイヤー化学気相蒸着法(HWCVD)、開始剤支援化学気相蒸着法(iCVD)、内付け化学気相蒸着法(MCVD)、気相軸付け蒸着法(VAD)、外付け気相蒸着法(OVD)、物理気相蒸着(例えば、スパッタ蒸着、蒸発蒸着)など気相蒸着技術の補助により電極を形成することができる。
[0308]一側面では、バイオチップを調製する方法は、二酸化ケイ素の層で被覆された半導体基板を含み、ウェルは二酸化ケイ素をエッチしたものである(例えば、図33に示すように)。この方法は、ウェルの表面に保護層(例えば、図35に示すように白金)を蒸着すことと、ウェルの表面に電極材料を蒸着する(例えば、図36に示すように銀)ことを含む。この方法はさらに接着性材料のフィルムをウェルの表面に蒸着して金属層の金属層の下の層に対する接着性および電気導電性を得ることを含むことができる。この接着性材料はチタン、タンタル、窒化チタン(TiN)、クロム、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。図34では、例えば、電気メッキまたは気相蒸着(例えば、化学気相蒸着法)などによりチタンを含む接着性材料を窒化チタン層に隣接して蒸着することができる。場合によっては、金属の単層は、2つ以上の層に置き換わる(例えば、金属単層は接着性層および保護層の両方に相当する)。
[0309]場合によっては、この保護層は耐腐食性金属(例えば、白金、金)を含む。この保護層は、限定されないが、下部の導体(例えば図34ではアルミニウムまたは窒化チタン)に電気接続性を提供して、この下部の導体を反応性溶液(例えば、塩化ナトリウム水溶液など腐食性溶液)の攻撃から保護することができる、電極材料が酸化還元反応で消費されないように電子の供給および/または吸い込みを提供することができる(例えば、電極が銀を含むと、白金は電子の供給および/または吸い込みとして作用することができる)、またはこれらの組み合わせである。
[0310]金属の様々な層(例えば、接着性層、保護層、電極材料など)を、スパッタリング、蒸着、電気メッキ、またはこれらの組み合わせなど任意の好適な技術により蒸着することができる。いくつかの例では、この電極材料はマグネトロンスパッタリングなどのスパッタリングによって蒸着される。
[0311]これら電極は、バイオチップの操作に必要な任意の好適な測定を行うことができる。場合によっては、この電極材料はウェルの検体の電気測定を行う。これら検体は核酸、アミノ酸、タンパク質、標識分子、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。この電気測定は可逆性の酸化還元反応であってもよい。いくつかの態様では、十分な体積の電極材料をウェルに蒸着してウェルの検体に関する酸化還元反応の検出のために設けられる。
リフトオフ法
[0312]図36に示すように、1つ以上の金属層をフォトレジストの上に設けて、電極の金属配線をすることができる。いくつかの例では、フォトレジストに蒸着された金属をバイオチップから取り除き、ウェルに蒸着された金属はウェルに残しておく。フォトレジストを残しておいてウェルを形成する(例えば、図33に示すように)ことは、ウェルではなくバイオチップの表面のみから金属を取り除くという利点を有することができる。
[0313]状況によっては、ウェルと電極を形成した後、フォトレジストとこのフォトレジストの上に設けられた任意の材料層を化学または機械エッチング操作で取り除くことができる。一例では、化学・機械的平坦化(CMP)を用いてフォトレジストとこのフォトレジストの上に設けられた任意の材料層を取り除く。別の例では、フォトレジストとその上に重ねられた任意の層をアセトンで取り除く。
バイオチップ表面のシラン処理
[0314]ウェルと、このウェル内に電極を形成した後、二酸化ケイ素層を処理して、ウェル内またはウェルに隣接して膜を形成するのに好適な二酸化ケイ素層を形成することができる。場合によっては、二重層(例えば、脂質二重層)などの疎水性膜を
ウェルを覆うように形成する。この膜により、少なくとも約10ギガオームの抵抗率でエッチングされたウェルを、覆っている液体から分離することができる。本明細書で記載されるように、二酸化ケイ素表面のシラン処理(例えば、表面の疎水化)により膜の形成に好適な表面が得られる。
[0315]半導体の界面に対して膜を安定させる方法は、膜をシラン処理された表面に付着させることができ、例えば少なくとも約10ギガオームの抵抗率で第1の流体(例えば、膜のシス側)を第2の流体(例えば、膜のトランス側)から分離することができるように半導体表面をシラン処理することを含む。
[0316]バイオチップを調製する方法は、二酸化ケイ素および/または金属(例えば、図37に示すように)を含む表面を有するパッケージ化バイオチップまたはバイオチップ前駆体を用意することと、表面を(例えば、図38に示すように)有機官能アルコキシシラン分子でシラン化することとを含むことができる。場合によっては、この有機官能アルコキシシラン分子はジメチルクロロオクトデシルシラン、メチルジクロロオクトデシルシラン、トリクロロオクトデシルシラン、トリメチルオクトデシルシラン、トリエチルオクトデシルシラン、またはこれらの任意の組み合わせである。
[0317]この有機官能アルコキシシラン分子は二酸化ケイ素の表面を被覆することができ(図38に示すように)、必要に応じて金属表面を被覆することができる(図示せず)。このシラン層は厚みが1分子であり得る(図38)。
[0318]シラン処理後、この方法はさらに、すすぎ手順により基板から残留シランを取り除くことを含む。一例では、すすぎ手順は、デカン、アセトン、エタノール、水、およびエタノールでの5秒間のすすぎと、空気乾燥、および97℃で30分間の加熱である。このすすぎ手順を用いて、シラン層を施す前にチップを洗浄することもできる。
[0319]図41は、銀とその下の保護金属をウェルの側壁までスパッタすることができることを示しており、よってシラン処理はウェルまで達していなくてもよい。いくつかの例では、ウェルの側壁の4分の3以上は銀とその下の保護層で覆われている。
ゲルの挿入と膜の形成
[0320]一側面では、ある方法は、膜の接着に好適な層(例えば、ナノポアを含む脂質二重層)で基板を被覆することを含み、この方法は、前記基板を有機官能アルコキシシラン分子でシラン化することを含む。図38は、膜をシラン化表面に設けることができるバイオチップを示す。
[0321]場合によっては、この膜は形成することが難しく、かつ/または少なくとも部分的には、この膜がウェルを覆うように支持されるのではなく、シラン化二酸化ケイ素に支持されるために不安定である。ゲルをウェルに充填することでウェル領域を覆うようにこの膜を支持することができ、これによって膜の形成が容易になり、かつ/または膜を安定させることが認められており、また本明細書で記載されている。いくつかの態様では、図39に示すようにウェルの空部分をゲルで充填する。このゲルは、ウェルを覆うように設けられた膜を機械的に支持する。
[0322]一側面では、バイオチップを調製する方法は、電極および検知回路付近のウェルにゲルを充填して、前記ウェルを覆うように膜を形成することを含み、前記膜は少なくとも部分的に前記ゲルに支持されている。
[0323]場合によっては、このゲルは非反応性である、架橋されている、または液体電解質を含む、あるいはこれらのいずれかの組み合わせである。ゲルとしては、例えばアガロースなどの標準試薬ゲルや、市販の独占所有系のあるゲルマトリックス(例えば、Collagen、Lamanin、Hydrogels、QGel、HydroMax gelなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
ナノポアの挿入
[0324]いくつかの例では、ナノポアは(例えば、電気穿孔法により)上記膜に挿入される。このナノポアは、電気刺激、圧力刺激、液体流刺激、気泡刺激、超音波処理、音、振動、またはこれらの任意の組み合わせなど刺激信号によって挿入することができる。このナノポアは、α溶血素またはマイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis, MspA)ナノポアなどのタンパク質ナノポアであってもよい。
[0325]場合によっては、ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ)はこのナノポアに付着している、かつ/またはこのナノポア付近に位置する。ナノポアを膜に組み込む前または後に、ポリメラーゼをナノポアに付着させることができる。いくつかの例では、このナノポアとポリメラーゼは融合タンパク質(すなわち、ポリペプチド一本鎖)である。
[0326]ポリメラーゼは、任意の好適な方法でナノポアに付着させることができる。場合によっては、ポリメラーゼは溶血素タンパク質単量体に付着させて、完全なナノポア7量体を構築する(例えば、ポリメラーゼを付着させた単量体1個に対してポリメラーゼを付着させていない溶血素単量体6個の比で)。そしてこのナノポア7量体を膜に挿入することができる。
[0327]ポリメラーゼをナノポアに付着させる他の方法は、リンカー分子を溶血素単量体に付着させる、または付着部位を持つように溶血素単量体を変異させて、完全なナノポア7量体(例えば、リンカーおよび/または付着部位を持つ単量体1個に対してリンカーおよび/または付着部位を持たない溶血素単量体6個の比で)を構築することを含む。そしてポリメラーゼをこの付着部位または付着リンカー(例えば、膜に挿入する前にまとめて)に付着させることができる。ポリメラーゼはまた、(例えば、7量体)ナノポアを膜に形成した後で付着部位または付着リンカーに付着させることができる。場合によっては、複数のナノポア・ポリメラーゼ対をバイオチップの(例えば、ウェルおよび/または電極を覆うように設けられた)複数の膜に挿入する。いくつかの例では、このポリメラーゼのナノポア錯体への付着は、バイオチップの各電極の上で起こる。
[0328]ポリメラーゼは任意の好適な化学作用(例えば、共有結合および/またはリンカー)でナノポアに付着させることができる。場合によっては、ポリメラーゼは分子ステープルでナノポアに付着させる。いくつかの例では、分子ステープルは3種のアミノ酸配列(リンカーA、B、およびCと表記する)を含む。リンカーAは溶血素単量体から伸長することができ、リンカーBはポリメラーゼから伸長することができ、リンカーCは(例えば、リンカーAおよびBの両方に巻き付くことにより)リンカーAおよびBを結合させ、よってポリメラーゼをナノポアに結合させることができる。リンカーCはまた、リンカーAまたはリンカーBの一部として構築することもでき、これによってリンカー分子の数を低減することができる。
[0329]いくつかの例では、ポリメラーゼはSolulinkTMの化学作用によりナノポアに結合される。SolulinkTMは、HyNic(芳香族ヒドラジンである6−ヒドラジノ−ニコチン酸)と4FB(芳香族アルデヒドである4−ホルミルベンゾエート)との反応であってもよい。いくつかの例では、Clickの化学作用(例えば、ライフテクノロジーズ社から入手可能)によりポリメラーゼはナノポアに結合させる。場合によっては、亜鉛フィンガー変異を溶血素分子に導入して、分子(例えば、DNA中間分子)を用いてポリメラーゼを溶血素の亜鉛フィンガー部位に結合させる。
ウェルを形成するシステム
[0330]本発明の他の側面は、ウェルを形成するシステムを提供する。このシステムは蒸着システムと、この蒸着システムと流体的に通信するポンプシステムと、ウェルを形成する方法を実装する、機械で読み取り可能なコードを実行するためのコンピュータ処理装置(本明細書では「処理装置」ともいう)を有するコンピュータシステム(または制御装置)とを含むことができる。このコードは本明細書で提供されるいずれかの方法を実装することができる。このポンプシステムは蒸着システム内を置換または真空排気するように構成することができる。
[0331]この蒸着システムは、ウェルの材料層を形成するための1つ以上の反応空間を持つことができる。状況によっては、この蒸着システムは、相互接続された1つ以上の反応室を有するロール・ツー・ロール蒸着システムである。これら反応室は流体的に互いに分離することができる(例えば、各反応室の間の箇所でガス置換またはガス供給をすることにより)。
[0332]1つ以上の蒸着システムを用いてウェルを形成することができる。蒸着システムは 化学気相蒸着法(CVD)、原子層蒸着法(ALD)、プラズマ化学気相蒸着法(PECVD)、プラズマ原子層蒸着法(PEALD)、金属有機化学気相蒸着法(MOCVD)、ホットワイヤー化学気相蒸着法(HWCVD)、開始剤支援化学気相蒸着法(iCVD)、内付け化学気相蒸着法(MCVD)、気相軸付け蒸着法(VAD)、外付け気相蒸着法(OVD)、物理気相蒸着(例えば、スパッタ蒸着、蒸発蒸着)など、様々な蒸着技術を用いて構成することができる。蒸着システムは、フォトリソグラフィーなど様々な半導体製造技術により、層ごとの形成が可能なように構成することができる。
[0333]上記ポンプシステムは、1つ以上のターボ分子(「ターボ」)ポンプ、拡散ポンプ、イオンポンプ、低温(「クライオ」)ポンプ、および機械ポンプなど、1つ以上の真空ポンプを含むことができる。ポンプは、1つ以上の補助ポンプを含むことができる。例えば、ターボポンプは、機械ポンプによって補助することができる。
[0334]状況によっては、1個以上のウェルを含む配列を、蒸着システムの補助により基板に形成する。蒸着は制御装置の補助により調整することができる。いくつかの態様では、この制御装置は、基板温度、前駆体の流速、伸長速度、キャリアガスの流速、および蒸着室の圧力など1つ以上の処理パラメータを調整することができる。この制御装置は、機械で実行可能なコードの実行を補助するように構成された処理装置を含む。このコードは、本明細書で提供された方法を実装するように構成されている。この機械で実行可能なコードは、フラッシュメモリ、ハードディスク、またはコンピュータで実行可能なコードを記憶するように構成された他の物理記憶媒体など、物理記憶媒体に記憶されている。
[0335]制御装置は上記システムの様々な構成要素と接続することができる。例えば、制御装置は、1つ以上の蒸着システムと通信することができる。別の例としては、この制御装置はポンプシステムと通信することができる。これにより、制御装置は室の圧力を調整することができる。
[0336]制御装置はプログラムすることができる、あるいは基板温度、前駆体の流速、伸長速度、キャリアガスの流速、前駆の流速、および蒸着室の圧力など1つ以上の処理パラメータを調整するように構成することができる。場合によっては、この制御装置は蒸着室のバルブまたは複数のバルブと通信し、これによって蒸着室の前駆体の流れを止める(または調整する)のを助ける。この制御装置は、機械で実行可能なコードを実行するように構成された処理装置を含む。このコードは本明細書で提供される方法を実装するように構成されている。この機械で実行可能なコードは、フラッシュメモリ、ハードディスク、またはコンピュータで実行可能なコードを記憶する他の物理記憶媒体など、物理記憶媒体に記憶される。
[0337]脂質二重層を形成し、ナノポアを脂質二重層に挿入し、核酸分子の配列を決定する方法は、PCT特許公報第WO2011/097028に記載されており、その内容は引用することにより、全体を本願に援用する。場合によっては、この膜は気泡により形成され、ナノポアは膜に電気刺激により挿入される。
[0338]本発明は、バイオチップの様々な使用を提供する。本発明のバイオチップは、検体の検知あるいは核酸の配列決定などの配列決定など、原子または分子の検知に用いることができる。本発明の装置は核酸塩基の配列においてメチル化核酸塩基の有無を決定するのに用いることができる。
[0339]本明細書で記載されるバイオチップは、トランス膜タンパク質または膜結合タンパク質の安定性または性能に対する薬物や任意の人工または天然発生分子の効果を決定するのに用いることができる。この検出器は、個々に配置可能で電気的に検出可能な人工電極または細胞膜の配列(例えば、3個以上)を作製することにより構成することができる。これら人工電極または細胞膜は、膜状の二重層でそれぞれ封止された電極を覆う、事前に選択されたまたは未知の透過膜タンパク質を任意の数、含む。その有無がイオン的または電気的に検出できるいずれかの透過膜タンパク質を脂質二重層に挿入して、これら透過膜タンパク質の安定性または性能について薬品、薬物、および任意の生体分子または人工分子の効果を感知および検出することができる。
[0340]本明細書で記載されるバイオチップは、配列センサーの異なる部分を覆うように設けられた異なる膜の安定性または性能について薬物または任意の人工または天然の分子の効果を決定するのに用いることができる。本願の図面で規定されたチャネルにより、異なる脂質二重層材料を配列チップの異なる領域に供給し、予め位置がわかっている複数の異なる種類の脂質膜を試験液に提供することができる。膜の種類または任意の人工または天然発生分子に影響を与えて異なる膜に変化をもたらす薬物の能力を検出することができる。
[0341]本明細書で記載されるバイオチップは、未知の溶液の特定のタンパク質または特定の生体分子の存在の検出、捕捉、結合に用いることができる。
[0342]このバイオチップと、本明細書で記載されるバイオチップを作製する方法、および本明細書で記載されるバイオチップを用いる方法は、電解液を用いることができる。場合によっては、この電解液中のイオンはナノポアを通過して、電極によって検出される。電極が犠牲電極(すなわち例えば、銀など、検出時に消耗する)であると、電解質が他のものではなく何かの塩を含む場合、この電極は比較的長く保たせることができる。いくつかの態様では、この電解質はカリウムイオンを含まない(例えば、カリウムイオンを用いると電極の寿命が比較的短くなるからである)。いくつかの態様では、この電解質は、塩化リチウム、塩化四メチルアンモニウム、塩化三エチルアンモニウム、塩化アンモニウム、またはこれらの任意の組み合わせを含む(例えば、上記の塩を用いると、電極の寿命が比較的長くなるからである)。
[0343]本発明のバイオチップはインダクタンス、または容量の検知により検知測定を行うことができる。場合によっては、バイオチップは、膜またはその膜のナノポアと膜またはナノポアに隣接するまたはその付近にある種と相互作用する際に、電極に隣接する膜の静電容量を感知することができる電極を含む。このような測定は交流波形または直流波形を印加することにより行うことができる。
実施例1 1mm あたり500個の部分を有するチップによる核酸の配列決定
[0344]1mmあたり約500個以上の密度で複数の離散部位を有するチップを用意する。これら複数の離散部位の個々の部位は、電極に隣接して設けられた膜に形成された少なくとも1個のナノポアを有する。各離散部位は核酸分子の検出を補助するように構成されている。各離散部位は独立して配置可能である。
[0345]複数の核酸分子は複数の離散部位に供給されて、これら離散部位に接続されているコンピュータ処理装置の補助により特徴付けられる。これら核酸分子の各核酸配列はこれら複数の離散部位から受信された電気信号に基づいて決定される。
実施例2 少なくとも97%の精度での核酸の配列決定
[0346]個々のセンサーの配列を有するチップを用意する。この配列の個々のセンサーは、ナノポアを有する膜に隣接して設けられた電極を有する。この電極は、電気回路に接続されている。この電子回路は、電気信号を生成して、核酸分子またはその一部の流れがこのナノポア内またはその付近にあるときの核酸分子検出を補助するように構成されている。この電極、そして個々のセンサーは独立して配置可能である。
[0347]核酸分子はナノポア内またはその付近に供給される。個々のセンサーから核酸配列情報(生の読み取り)が得られて、コンピュータメモリに記憶される。生読み取りは同時に他の個々のセンサーから得られ、コンピュータメモリに記憶される。生読み取りは核酸分子の複製から生成される。よって、この過程により誤差分析に用いることができる余剰な配列情報が生成される。このチップと通信するコンピュータシステムは、ソフトウェアを有する。このソフトウェアは生読み取りの誤差分析を行い、生読み取りの誤差を排除する。そして、このコンピュータシステムは、少なくとも約97%の精度で核酸分子の核酸配列を生成する。いくつかの例では、このコンピュータシステムはこの核酸配列を、より大きい核酸試料の一部として他の核酸分子の核酸配列と並べて、少なくとも約97%の精度で核酸試料の配列を生成する。
[0348]これまでの記載から当然のことながら、特定の実装を図示して説明したが、これらは様々な変形が可能であり、本明細書で考察されている。また、本発明は本明細書で示された具体例によって限定されることを意図していない。本発明は上記の明細書を参照して記載されたが、好ましい態様の記載および図示は、限定的なものと解釈されることを意図していない。さらに、当然のことながら、本発明のすべての側面は特定の記載、構成、または各種条件および変数に依存する相対割合に限定されない。形態の様々な修正および本発明の態様の詳細は、当業者には自明である。従って、本発明はまたそのような修正、変形、および均等物を含むことは自明である。以下の請求項は本発明の範囲を規定するものであり、これら請求項の範囲内の方法および構造と、その均等物は本発明に含まれるものとする。

Claims (125)

  1. 核酸の配列を決定する方法であって、
    (a)1mmあたり約500個以上の密度で複数の離散部位を含み、前記複数の離散部位の個々の部位が電極に隣接して設けられた膜に形成された少なくとも1個のナノポアを含み、各離散部位が核酸分子またはその一部の検出を補助するように構成されているチップを提供すること;
    (b)複数の核酸分子を前記複数の離散部位に供給すること;および、
    (c)前記離散部位に接続されたコンピュータ処理装置の補助により、前記複数の離散部位から受信した電気信号に基づいて前記核酸分子のそれぞれの核酸配列を決定すること、を含む、
    前記方法。
  2. 前記複数の核酸分子が、核酸試料に由来する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記複数の核酸分子のそれぞれが、前記核酸試料よりも短い核酸配列を有する、請求項2に記載の方法。
  4. さらに、前記(b)の前に、前記核酸試料を断片化して前記複数の核酸分子を提供することを含む、請求項3に記載の方法。
  5. さらに、前記核酸分子のそれぞれの核酸配列の決定に基づいて、前記核酸試料の核酸配列を決定することを含む、請求項2に記載の方法。
  6. 前記電極は、前記膜全体に電気刺激を供給するように構成され、この刺激により、前記核酸分子またはその一部の分子の流れがあるときに検出可能な信号を生成することができる、請求項1に記載の方法。
  7. 前記膜は、前記膜全体で測定した静電容量が約5fF/μmより大きいものである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記膜は、前記膜全体で測定した抵抗が約500MΩ以上である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記膜は、前記膜全体で抵抗が約1GΩ以下である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記抵抗は、前記膜に隣接して設けられた対向電極の補助により測定される、請求項9または10に記載の方法。
  11. 個々に配置可能なそれぞれのナノポアが、分子の流れを調整するように構成されている、請求項1に記載の方法。
  12. 各離散部位が、前記ナノポアに加えられた電気刺激の補助により分子の流れを調整するように構成されている、請求項11に記載の方法。
  13. 前記電気刺激が、1種以上の電圧パルスを含む、請求項12に記載の方法。
  14. 各離散部位が、前記少なくとも1個のナノポア内または前記少なくとも1個のナノポアに隣接する分子の流れを調整するように構成されている、請求項1に記載の方法。
  15. 各離散部位は、前記核酸分子またはその一部の分子の流れが前記少なくとも1個のナノポア内にある、または前記少なくとも1個のナノポアに隣接するときに、前記核酸分子またはその一部を検出するように構成されている、請求項1に記載の方法。
  16. 前記核酸配列が、前記複数の核酸分子またはその一部がそれぞれ移動するときに決定づけられる、請求項1に記載の方法。
  17. 前記電極が、前記電極の補助により検出された信号を処理する集積回路に接続されている、請求項1に記載の方法。
  18. 前記コンピュータ処理装置が、前記チップの外部にある、請求項1に記載の方法。
  19. 各離散部位が独立して配置可能である、請求項1に記載の方法。
  20. 核酸分子の配列を決定するシステムであって、
    (a)1mmあたり約500個以上の密度で複数の離散部位を含むチップであって、前記複数の離散部位の個々の部位が電極に隣接して設けられた膜に形成された少なくとも1個のナノポアを含み、各離散部位が前記核酸分子またはその一部の検出を補助するように構成された前記チップ;および、
    (b)前記チップに接続された処理装置であって、前記複数の離散部位から受信した電気信号に基づいて核酸分子の核酸配列を決定することを補助するようにプログラムされた前記処理装置、を含む、
    前記システム。
  21. 前記密度が、1mmあたり少なくとも約1000個である、請求項20に記載のシステム。
  22. 前記膜は、前記膜全体で抵抗が約1GΩ以下である、請求項20に記載のシステム。
  23. 前記膜は、前記膜全体で測定した抵抗が約500MΩ以上である、請求項20に記載のシステム。
  24. 前記抵抗は、前記膜に隣接して設けられた対向電極の補助により測定される、請求項23に記載のシステム。
  25. 各離散部位が、分子の流れを調整するように構成されている、請求項20に記載のシステム。
  26. 各離散部位が、前記離散部位に加えられた電気刺激の補助により分子の流れを調整するように構成されている、請求項25に記載のシステム。
  27. 前記電気刺激が、1種以上の電圧パルスを含む、請求項26に記載のシステム。
  28. 前記電極が、前記膜全体に電気刺激を供給し、この刺激により、前記核酸分子またはその一部の分子の流れがあるときに検出可能な信号を生成することができる、請求項20に記載のシステム。
  29. 前記膜は、前記膜全体で測定した静電容量が約5fF/μmより大きいものである、請求項20に記載のシステム。
  30. 各離散部位は、前記核酸分子またはその一部の分子の流れが前記少なくとも1個のナノポア内にある、または前記少なくとも1個のナノポアに隣接するときに、前記核酸分子またはその一部を検出するように構成されている、請求項20に記載のシステム。
  31. 前記コンピュータ処理装置が、前記チップ付近にあるワークステーションに設けられている、請求項20に記載のシステム。
  32. 前記電極が、前記電極の補助により検出された信号を処理する集積回路に接続されている、請求項20に記載のシステム。
  33. 各離散部位が、前記少なくとも1個のナノポアに隣接する分子の流れを調整するように構成されている、請求項20に記載のシステム。
  34. 各離散部位が、前記少なくとも1個のナノポア内の分子の流れを調整するように構成されている、請求項20に記載のシステム。
  35. 各離散部位が独立して配置可能である、請求項20に記載のシステム。
  36. システムであって、
    1mmあたり約500個以上の密度で複数の離散部位を含む表面を有する基板を含み、
    前記複数の離散部位の個々の部位が、少なくとも1個のナノポア、および前記ナノポアに隣接する検知回路、を含み、
    前記検知回路が、前記検知回路から受信した電気信号に基づいて核酸分子の核酸配列を決定することを補助するようにプログラムされたコンピュータ処理装置と通信する、
    前記システム。
  37. 前記密度が、1mmあたり少なくとも約1000個である、請求項36に記載のシステム。
  38. 前記ナノポアが、約250Å以下の直径を有する、請求項36に記載のシステム。
  39. さらに、前記基板と流体的に通信し、前記基板に1種以上の試薬を供給するように構成されているフローセルを含む、請求項36に記載のシステム。
  40. 前記検知回路は、多くとも4個のトランジスタを含む、請求項36に記載のシステム。
  41. 前記少なくとも1個のナノポアが独立して配置可能である、請求項36に記載のシステム。
  42. 膜と非混和性の表面に、集積回路に接続された電極が検知できる近さで設けられた膜であって、
    前記集積回路によって測定した静電容量が1平方マイクロメートルあたり約5fF/μmより大きく、少なくとも約50mVの電圧を印加して前記電極で測定した導電率が電解質1モルあたり約0.25ナノジーメンスより小さい、
    前記膜。
  43. 前記集積回路が、個々に配置可能な集積回路である、請求項42に記載の膜。
  44. 前記集積回路が、論理制御器を含む、請求項42に記載の膜。
  45. 前記膜は、ナノポアがないものである、請求項42に記載の膜。
  46. 膜と非混和性の少なくとも1つの表面に、集積回路に接続された電極が検知できる近さで設けられた膜に1個以上のナノポアを含む、分子の検知に用いる装置であって、
    前記1個以上のナノポアを含む膜は、静電容量が約5fF/μmより大きく、少なくとも約50mVの電圧を印加して前記電極で測定した導電率がナノポア1個につき電解質1モルあたり約10ナノジーメンスより小さい、
    前記装置。
  47. 前記集積回路が、個々に配置可能な集積回路である、請求項46に記載の装置。
  48. 前記集積回路が、論理制御器を含む、請求項46に記載の装置。
  49. 核酸分子の配列を決定する方法であって、
    (a)センサー配列を含むチップであって、前記センサー配列の個々のセンサーは検知電極に隣接する膜を含み、前記膜が少なくとも1個のナノポアを含み、核酸分子またはその一部の流れが前記少なくとも1個のナノポア内前記少なくとも1個のナノポアに隣接するときに、前記膜が前記核酸分子またはその一部の1種以上の核酸塩基の検出の補助を行うように構成された、前記チップを提供すること;
    (b)前記核酸分子を前記個々のセンサーに供給すること;
    (c)前記核酸分子を前記個々のセンサーに供給するときに、一連の電気パルスを前記膜に与えること;および、
    (d)前記一連の電気パルス間に前記核酸分子またはその一部の1種以上の核酸塩基を検出すること、を含む、
    前記方法。
  50. 前記一連の電気パルスの個々のパルスが前記ナノポア内の前記核酸分子の一部をほどく、請求項49に記載の方法。
  51. 前記核酸分子が二本鎖であり、前記一連の電気パルスの個々のパルスが前記核酸分子の各鎖を解離する、請求項49に記載の方法。
  52. 前記一連の電気パルスが、約100mVから500mVの間の電圧を有する、請求項49に記載の方法。
  53. 前記一連の電気パルスが、非対称逆「V」時間形状を有する連続電気刺激を含む、請求項49に記載の方法。
  54. 前記センサー配列が、1mmあたり約500個以上の密度で個々のセンサーを含む、請求項49に記載の方法。
  55. 前記個々のセンサーが独立して配置可能である、請求項49に記載の方法。
  56. 前記検知電極の補助により前記一連の電気パルスが前記膜に付与される、請求項49に記載の方法。
  57. さらに、コンピュータ処理装置の補助により、前記核酸分子またはその一部の配列を決定することを含む、請求項49に記載の方法。
  58. 核酸分子の配列を決定する方法であって、
    (a)個々のセンサーの配列を含むチップであって、前記配列の個々のセンサーがナノポアを有する膜に隣接して設けられた電極を含み、前記電極が電気信号を生成して、核酸分子またはその一部の流れが前記ナノポア内にある、または前記ナノポア付近にあるときに、前記核酸分子またはその一部の検出の補助を行うように構成された電気回路に接続された前記チップを提供すること;
    (b)前記核酸分子またはその一部を前記ナノポア内または前記ナノポア付近に供給すること;および、
    (c)少なくとも約97%の精度で前記核酸分子またはその一部の核酸配列を同定すること、を含む、
    前記方法。
  59. 前記核酸配列が、前記電気回路に接続されているコンピュータ処理装置の補助により生成される、請求項58に記載の方法。
  60. 前記センサーがチップの一部である、請求項58に記載の方法。
  61. 前記センサー配列が、1mmあたり約500個以上の密度で個々のセンサーを含む、請求項58に記載の方法。
  62. 前記個々のセンサーが独立して配置可能である、請求項58に記載の方法。
  63. 前記核酸分子が、相補的核酸塩基を前記核酸分子に組み込むときに前記ナノポアによって検出される標識を含む、請求項58に記載の方法。
  64. 前記膜が合成膜である、請求項58に記載の方法。
  65. 前記膜が脂質二重層である、請求項64に記載の方法。
  66. 前記精度が少なくとも約99.5%である、請求項58に記載の方法。
  67. 前記核酸分子またはその一部の5個までの核酸塩基を同定する場合、前記精度が少なくとも約97%である、請求項58に記載の方法。
  68. 前記核酸分子またはその一部の3個までの核酸塩基を同定する場合、前記精度が少なくとも約97%である、請求項67に記載の方法。
  69. 前記核酸分子またはその一部の1個の核酸塩基を同定する場合、前記精度が少なくとも約97%である、請求項68に記載の方法。
  70. 前記少なくとも約97%の精度が、前記核酸分子またはその一部を前記ナノポア内または前記ナノポア付近を多くとも20回通過させて集めたデータを組み合わせることにより達成される、請求項58に記載の方法。
  71. 前記少なくとも約97%の精度が、前記核酸分子またはその一部を前記ナノポア内または前記ナノポア付近を多くとも5回通過させて集めたデータを組み合わせることにより達成される、請求項70に記載の方法。
  72. 前記少なくとも約97%の精度が、前記核酸分子またはその一部を前記ナノポア内または前記ナノポア付近を1回通過させて集めたデータを組み合わせることにより達成される、請求項71に記載の方法。
  73. 前記核酸分子またはその一部を前記ナノポア内または前記ナノポア付近を少なくとも10回通過させて集めたデータを組み合わせることにより、前記核酸分子またはその一部の前記核酸配列を同定する、請求項58に記載の方法。
  74. 前記核酸分子またはその一部を前記ナノポア内または前記ナノポア付近を少なくとも20回通過させて集めたデータを組み合わせることにより、前記核酸分子またはその一部の前記核酸配列を同定する、請求項73に記載の方法。
  75. 核酸分子の配列を決定するシステムであって、
    (a)個々のセンサーからなる配列を含むチップであって、前記配列の個々のセンサーがナノポアを有する膜に隣接して設けられた電極を含み、前記電極が電気信号を生成して核酸分子またはその一部の流れが前記ナノポア内または前記ナノポアに隣接するときに、前記核酸分子またはその一部の検出を補助するように構成された電気回路に接続された、前記チップ;および、
    (b)前記チップに接続された処理装置であって、少なくとも約97%の精度で複数の離散部位から受信した電気信号に基づいて前記核酸分子の核酸配列の決定を補助するようにプログラムされた前記処理装置、を含む、
    前記システム。
  76. 前記個々のセンサーからなる配列が、1mmあたり少なくとも約500個の密度である、請求項75に記載前記チップに接続された処理装置システム。
  77. 前記膜は、前記膜全体で抵抗が約1GΩ以下である、請求項75に記載のシステム。
  78. 前記抵抗は、前記膜に隣接して設けられた対向電極の補助により測定される、請求項77に記載のシステム。
  79. 前記膜は、前記膜全体で測定した抵抗が約500MΩ以上である、請求項75に記載のシステム。
  80. 前記抵抗は、前記膜に隣接して設けられた対向電極の補助により測定される、請求項79に記載のシステム。
  81. 前記電極は、前記膜全体に電気刺激を供給するように構成され、この刺激により、前記核酸分子またはその一部の分子の流れがあるときに検出可能な信号を生成することができる、請求項75に記載のシステム。
  82. 前記膜は、前記膜全体で測定した静電容量が約5fF/μmより大きいものである、請求項75に記載のシステム。
  83. 前記コンピュータ処理装置が、前記チップ付近にあるワークステーションに設けられている、請求項75に記載のシステム。
  84. 前記電極が、前記電極の補助により検出された信号を処理する集積回路に接続されている、請求項75に記載のシステム。
  85. 前記個々のセンサーが独立して配置可能である、請求項75に記載のシステム。
  86. 核酸試料の配列を決定する方法であって、
    核酸試料の流れが、ナノポア内または前記ナノポアの付近にあるときに、前記核酸試料の1種以上の核酸サブユニットを検出すること、および、
    少なくとも約97%の精度で前記核酸試料の配列を決定すること、を含む、
    前記方法。
  87. 核酸試料の配列を決定する方法であって、
    核酸試料の流れが、ナノポア内または前記ナノポアの付近にあるときに、前記核酸試料の1種以上の核酸サブユニットを検出すること、および、
    約3%より小さい誤差率で前記核酸試料の配列を決定すること、を含む、
    前記方法。
  88. 核酸試料の配列を決定する方法であって、
    a)分子モーターを使用せずに膜に埋め込まれたナノポア内での核酸試料の流れを促進すること;
    b)前記核酸試料の流れが前記ナノポア内にあるときに、前記核酸試料の1種以上の核酸サブユニットを検出すること;および、
    c)前記1種以上の核酸サブユニットを検出するときに、前記核酸試料の配列を決定すること、を含む、
    前記方法。
  89. 核酸試料の配列を決定する方法であって、
    (a)核酸試料またはその一部の流れがナノポア内にあるときに、前記ナノポアに隣接する検知回路の補助により、酵素の補助なしに前記核酸試料の1種以上の核酸サブユニットを検知すること;および、
    (b)前記1種以上の核酸サブユニットを検知するときに、前記核酸試料の配列を決定すること、を含む、
    前記方法。
  90. 少なくとも90%、95%、99%、または99.5%の精度で核酸試料の配列が決定される、請求項86〜89のいずれか1項に記載の方法。
  91. 前記1種以上の核酸サブユニットは、信号対ノイズ比が少なくとも約2対1、100対1、または1,000対1で検出される、請求項86〜89のいずれか1項に記載の方法。
  92. 前記1種以上の核酸サブユニットが、多くとも約1秒、1ミリ秒、または1マイクロ秒内に検出される、請求項86〜89のいずれか1項に記載の方法。
  93. 前記核酸サブユニットが3個以下の核酸塩基を含む、請求項86〜89のいずれか1項に記載の方法。
  94. 核酸の配列を決定する方法であって、
    (a)ナノポアを有する膜に核酸分子を固定すること;
    (b)前記核酸分子またはその一部を前記ナノポア内または前記ナノポアの付近を通り抜けさせること;および、
    (c)前記(b)で前記核酸分子の1種以上の塩基をそれぞれ検知すること、を含み、
    前記核酸分子を前記膜に固定することにより、前記核酸分子が前記ナノポアを完全に通り抜けることを防ぐ、
    前記方法。
  95. さらに、通り抜けの方向を反転させることを含む、請求項94に記載の方法。
  96. 前記膜が、さらに核酸結合タンパク質を含み、前記(a)が核酸結合タンパク質を介して前記核酸分子を固定することを含む、請求項94に記載の方法。
  97. 前記核酸分子が直接前記膜に固定される、請求項94に記載の方法。
  98. 前記核酸分子が前記ナノポアに固定される、請求項94に記載の方法。
  99. 対象からの生体試料を検知するシステムであって、
    a)筐体;
    b)前記筐体内に設けられたセンサーであって、内部にナノポアを有する膜に隣接する電気回路を有し、ナノポア内または前記ナノポアに隣接して流れる生体試料に応答して前記電気回路が電気信号を生成するように構成された前記センサー;および、
    c)前記筐体上または前記筐体内に設けられた識別部材であって、前記システムに関連づけられた固有の識別子を有し、前記電気信号または前記電気信号から派生した特徴情報と前記対象との関連づけを補助するように構成された前記識別部材、を含む、
    前記システム。
  100. 前記識別部材が、電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ、無線自動識別標識、フラッシュメモリ、バーコード、および通し番号からなる群より選ばれる、請求項99に記載のシステム。
  101. 前記筐体が、多くとも27,000cm、10,000cm、5,000cm、または500cmの体積を有する、請求項99に記載のシステム。
  102. 前記システムが、長くとも10時間、1時間、または10分以内に個人のゲノム配列を決定することができる、請求項99に記載のシステム。
  103. 表面で流体を操作する方法であって、
    (a)表面と、前記表面付近の電極配列と、親水相および疎水相を含む流体とを提供し、ここで、前記疎水相は前記表面に隣接するものである;および、
    (b)空間的および/または時間的パターンで前記電極を印加して、前記電極付近の前記親水相に対して前記疎水相を薄くすること、を含む、
    前記方法。
  104. 前記(b)で前記電極を印加して、前記表面と接する前記疎水相を薄くする、請求項103に記載の方法。
  105. 前記疎水相が脂質を含む、請求項103に記載の方法。
  106. 前記脂質がDPhPCである、請求項105に記載の方法。
  107. 前記脂質がデカンに可溶化されている、請求項105に記載の方法。
  108. 前記疎水相が、薄くされて前記表面に二重層を形成する脂質を含む、請求項103に記載の方法。
  109. 前記電極を印加して脂質を表面の周辺部から移動させる、請求項103に記載の方法。
  110. 前記電極を印加して、前記表面全体に脂質を再分配する、請求項103に記載の方法。
  111. 前記表面が疎水性であるか、実質的に平面であるか、または疎水性であり、かつ実質的に平面である、請求項103に記載の方法。
  112. 前記電極は間隔を近づけて配置されるものであるか、個々に制御可能であるか、個々に配置可能であるか、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項103に記載の方法。
  113. 前記電極は、前記疎水相の波が前記表面全体を移動するように空間的および/または時間的パターンで印加される、請求項112に記載の方法。
  114. 前記表面は、核酸の配列決定に好適なナノポアを含む、請求項112に記載の方法。
  115. さらに、前記表面上または前記表面に隣接して設けられたナノポアの補助により、核酸分子の配列を決定することを含む、請求項112に記載の方法。
  116. 前記電極を印加する際に、前記表面の選択位置で核酸分子の配列を決定することができるように、前記表面の周辺部の脂質を前記表面の選択位置へ供給する、請求項112に記載の方法。
  117. バイオチップであって、
    ウェル内、ウェルに隣接して、またはウェル付近に設けられた膜にナノポアを含み、
    前記ウェルは、前記ナノポア内または付近、あるいは前記ナノポアに隣接して通る種に応答して、前記ナノポア内のイオンの流れの変化を検出することができる電極を含み、
    前記電極は、前記膜のいずれかの側のイオン濃度を再調整しなくても少なくとも1時間、前記イオンの流れの変化を検出することができる、
    前記バイオチップ。
  118. 前記ウェルは、深さが少なくとも0.5マイクロメートルである、請求項117に記載のバイオチップ。
  119. 前記ウェルの体積は、前記電極が再充電される前に前記ウェルで完全に消耗されないように選択されている、請求項117に記載のバイオチップ。
  120. 前記電極は、前記膜全体に少なくとも40mVの電位を印加した場合、少なくとも15分の動作寿命を有する、請求項117に記載のバイオチップ。
  121. バイオチップを形成する方法であって、
    (a)半導体基板を提供すること;
    (b)少なくとも500ウェル/mmの密度で前記半導体基板に複数のウェルを形成すること;
    (c)前記複数のウェルの個々のウェルに電極を形成することであり、ここで前記電極は、前記半導体基板上に、または前記半導体基板と隣接して配置された検出可能な種の電気的測定を行うことができ、および40mVの電位を印加した場合の動作寿命が少なくとも15分である;および、
    (d)少なくとも約10ギガオームの抵抗率で個々のウェルを封止する膜を形成するために、前記基板を調製すること、を含む、
    前記方法。
  122. 前記半導体基板がケイ素を含む、請求項121に記載の方法。
  123. 前記膜が脂質二重層である、請求項121に記載の方法。
  124. 前記電極は、前記膜に埋め込まれたナノポア内のイオン電流の流れを測定することができるものである、請求項121に記載の方法。
  125. 前記バイオチップが、塩化物イオン系の塩を含む少なくとも0.2Mの溶液と前記バイオチップを2時間接触させた後に動作可能になる、請求項121に記載の方法。
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