1.定義
他に定義されない限り、ここに使用するすべての技術的および科学的用語は、本発明に関係する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。ここに記載するものと類似または同様の任意の方法および材料を本発明の実施および予備試験に用い得るが、ここではより好ましい方法および材料を記載する。本発明の目的のために、次の用語を以下に定義する。
冠詞「a」および「an」は、ここでは冠詞の文法的目的の1または1より多い(すなわち、少なくとも1)を言うために用いられる。例として、「an element」は1つの要素または1つ以上の要素を意味する。
用語「約(about)」は、ここでは、明記されている条件(例えば、量、濃度、時間等)に対して15%程度の差異がある条件、好ましくは10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の差異がある条件を言うために用いられる。
用語「同時投与(administration concurrently, administering concurrently, coadministering」は、2種類以上の活性作用物質を含む単一組成物を投与すること、あるいは全ての活性作用物質を単一組成物として投与した場合に相当する結果が得られるような十分短い時間内に、各活性作用物質を別々の組成物として、または別々の経路によって、同期間内に/同時に/逐次的に、投与することを言う。「同時に(simultaneouly)」とは、活性作用物質が実質的に同じ時間に投与されること、好ましくは共に一つの組成物中に含まれることを意味する。「同期間内に(contemporaneously)」とは、上記活性作用物質類が時間を空けずに投与される、例えば一作用物質が、他の作用物質の投与前または投与後約1分〜1日以内に投与されることを言う。その期間はどれほどであっても良い。しかし同時に投与しない場合でも、それらの作用物質は約1分〜8時間以内に投与されることが多く、約1〜4時間以内に投与されることが好ましい。同期間内に投与する場合、それらの作用物質は被検体の同じ部位に投与するのが適切である。用語「同じ部位」とは、正確な位置を含むものの、約0.5〜15cm以内で良く、好ましくは約0.5〜5cm以内が良い。ここで用いられる用語「別々に(separately)」は、作用物質類が間隔を空けて、例えば約1日から数週間または数ヶ月の間隔で投与されることを意味する。これらの活性作用物質はどの順序で投与してもよい。ここに用いられる用語「逐次的に(sequentially)」は、これら作用物質が逐次、例えば分、時間、日、または週の間隔で(またはこれらの複数の間隔で)投与されることを意味する。場合によってはこれら活性作用物質を規則的な反復サイクルで投与してもよい。
ここに用いられる用語」アネルギー(anergy)」は、免疫系による、特定の抗原または抗原群に対する反応の抑制、または反応のない状態を言う。例えば、Tリンパ球およびBリンパ球が、それらが最良の刺激条件下でそれらの特異抗原に反応できないときはアネルギーである。
用語「抗原(antigen)」は、脊椎動物、特に哺乳動物において免疫反応を誘起可能な蛋白質、ペプチド、またはその他の分子または巨大分子の全部、または一部を意味する。このような抗原類は上記の蛋白質、ペプチド、またはその他の分子または巨大分子で免疫した動物からの抗体類とも反応する。
「抗原結合分子(antigen-binding molecule)」とは、標的抗原に対して結合親和性を有する分子を意味する。この用語は免疫グロブリン、免疫グロブリン断片、および抗原結合活性を有する非免疫グロブリン誘導性の蛋白質フレームワークにも拡大されることは理解されるであろう。
「自己(autologous)」は、同じ生体から誘導されるもの(例えば細胞、組織など)を意味する。
ここに用いられる用語「同種異型の(allogeneic)」は、異なる遺伝子構造である細胞、組織、生体などについて言う。
用語「同種抗原(alloantigen)」は種の幾つかのメンバーにのみ見出される、血液群抗原のような抗原を意味する。これに対して「異種抗原(xenoantigen)」は、一つの種のメンバーには存在するが他のメンバーには存在しない抗原を言う。同様に「同種移植片」は同じ種のメンバー間の移植片であり、「異種移植片」は異なる種のメンバー間の移植片である。
ここに用いられる用語「生理学的サンプル」は、ある被検体から引き出され、処理されず、または処理され、希釈され、または濃縮されるサンプルを言う。生理学的サンプルは、全血、血清、血漿、唾液、尿、汗、腹水、腹膜液、滑液、羊水、脳脊髄液、組織生検材料などのような生物学的液体を含むことができる。ある実施態様において、上記生体サンプルは滑液および、末梢血を含める血液から選択される。
「臨床的改善(Clinical improvement)」とは、X線検査を含む種々の試験によって測定して、治療の結果、RAまたは関節損傷のさらなる進行が阻止され、RAまたは関節損傷に何らかの改善があることを言う。このように、例えば軟化したまたは腫れた関節を評価すること、疾病活性スコア(DAS)あるいは米国リウマチ病大学(ACR)スコアを調べること、被検体の全体的臨床的評価、赤血球沈降速度、あるいはC‐反応性蛋白質レベルを評価することによって、臨床的評価改善を判定することができる。
本明細書全体を通じて、内容がその他を要求しない限り、用語「〜を含む(comprise, comprises, comprising)」は、記載されたステップまたは要素、あるいはステップまたは要素の群を含むことを意味するが、いかなるその他のステップまたは要素、あるいはステップまたは要素の群も排除するものではないことを意味するものと理解してよい。このように、用語「〜を含む」の使用は、記載された要素が必要または必須であるが、その他の要素は任意であり、存在してもしなくてもよいことを示している。「〜からなる(consisting of)」は、それに続くいかなるものをも含み、それに制限されることを意味する。こうして用語「〜からなる」は、記載された要素の群が必要または必須であり、その他の要素は存在していないことを示す。「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」は、そのフレーズ後に記載される任意の要素を含み、列挙された要素について明細書に記載された活性または作用を妨害せず、またはその活性または作用に寄与するその他の要素群に制限されることを意味する。したがってフレーズ「本質的に〜からなる」は、列挙された要素は必要または必須であるが、その他の要素は任意であり、それらが記載された要素群の活性または作用に影響を与えるかどうかによって、存在してもしなくても良いことを示す。
「〜に対応する(corresponds to, corresponding to)」は、標的抗原の或るアミノ酸配列に対する実質的類似性をあらわすアミノ酸配列をコードする抗原を意味する。概してその抗原は標的抗原の少なくとも一部に対する約30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%の類似性をあらわす。
「シトルリン」および「Cit」は2‐アミノ‐5‐(カルバモイルアミノ)バレリン酸を言い、構造式:H2NC(O)NH(CH2)3CH(NH2)CO2Hを有するα‐アミノ酸である。
表現「有効量(effective amount)」は、RAまたは関節損傷を治療または予防するのに有効な(単回量としてまたは連続投与の一部として)作用物質の量または薬剤量を言う。これは、そのような量の投与前に例えばX線検査またはその他の検査によって測定したベースラインに比較して、RAまたは関節損傷の減少に達するのに有効な量を含む。有効量は、治療すべき個体の健康および身体条件、治療すべき個体の分類群、組成物の処方、医学的状態の評価およびその他の関連因子によって変動するであろう。その量は日常的試験によって測定できる比較的広い範囲内にあることが期待される。
ここに用いられる「遺伝子治療」は、単数あるいは複数の遺伝子を個々の細胞または細胞群(組織または器官など)にex vivoまたはin vivoで挿入し、それによって細胞または細胞群におけるその遺伝子/遺伝子類の発現が治療効果をもたらすことを言う。このような治療遺伝子は概してベクターを用いて運搬される。遺伝子治療が被検体とする細胞は、体細胞または胚細胞または細胞系である。遺伝子治療は、一つの細胞または細胞群における過剰発現または異所性発現を必要とする遺伝子をex vivoまたはin vivoで運搬するベクター類の使用を含む。ベクターは新しい遺伝子の、核への統合を容易にし、またはその遺伝子のエピソーマル発現を導き得る。
「免疫エフェクター細胞」は、抗原に結合でき、その抗原に選択的な免疫反応を仲介する細胞を言う。これらの細胞は非制限的に、T細胞(Tリンパ球)、B細胞(Bリンパ球)、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、および細胞毒性Tリンパ球(CTLs)、例えばCTLライン、CTLクローン、および腫瘍、炎症、またはその他の浸潤物からのCTL類を含む。
ここで「免疫‐相互作用性」は、分子間の何らかの相互作用、反応、またはその他の形の関係性を含む。分子の一つ、またはその模造物が免疫系の一成分である場合は特にそうである。
「関節損傷」はここでは最も広い意味で用いられ、結合組織および軟骨を含む1つ以上の関節のあらゆる部分の損傷または部分的または完全な破壊を言う。この場合損傷とは任意の原因による構造的および/または機能的損傷を含み、関節の痛み/関節痛を起こすこともあり、起こさないこともある。それは、炎症性関節疾患並びに非炎症性関節疾患と関連する、またはそれらに起因する関節損傷を含めるが、これらに制限されない。この損傷は自己免疫疾患、特に関節炎、さらには特にRAのような任意の状態によって引き起こされ得る。同様の典型的状態には、急性および慢性関節炎、若年型RAを含むRA、若年特発性関節炎(JIA)、または若年性RA(JRA)およびリウマチ性滑膜炎、通風性関節炎、急性免疫学的関節炎、慢性炎症性関節炎、変性関節炎、II型コラーゲン‐誘起性関節炎、感染性関節炎、敗血症性関節炎、ライム関節炎、増殖性関節炎、乾癬性関節炎、スチルス病、脊椎関節炎、骨関節炎、慢性進行性関節炎、変形性関節炎、原発性慢性関節炎、反応性関節炎、更年期関節炎、エストロゲン欠失関節炎、および強直性脊椎炎/リウマトイド脊椎炎)、RA以外のリウマチ性自己免疫疾患、RAに二次的におこる顕著な全身性関連症状(非制限的に、血管炎、肺線維症、またはフェルテイー症候群など)がある。ここにおける目的では、関節は骨格(動物のような脊椎動物の骨格)の諸要素と、それを取り巻き、支える部分との接触点であり、例えば臀部、脊柱の椎骨間の部分、脊椎と骨盤との間の関節(仙腸関節)、腱と靭帯が骨に付着している関節、肋骨と脊柱との間の関節、肩、膝、足、肘、手、指、足および足指、特に手および足の関節を含めるが、これらに制限されない。
特定の細胞によって産生される遺伝子発現物質(例えば蛋白質または転写体)の範囲内での「レベルまたは機能的活性」とは、ここでは広い意味に取るべきであり、単細胞あるいは複数の細胞/細胞集団において産生される発現生成物のレベルまたは機能的活性を含む。そこで後者の場合、このフレーズは、複数の細胞/細胞集団によって産生される蛋白質の平均レベルまたは機能的活性を含むことは理解されるであろう。
「薬剤的に容認される担体」とは、局所的または全身的投与に安全に使用できる固体、または液体フィラー、希釈剤またはカプセル化物質を意味する。
用語「多発性関節炎」および」滑膜炎」は、被検体の炎症、すなわち1つ以上の関節における腫脹、圧痛、または温感覚を言う際に交換可能に用いられる用語である。
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「蛋白質」は、ここでは交換可能に用いられ、アミノ酸残基のポリマー、およびその変異体および合成類縁化合物を指す。そこで、これらの用語は、一つ以上のアミノ酸残基が、合成された非天然発生性アミノ酸であるようなアミノ酸ポリマー、例えば、対応する天然発生アミノ酸の化学的類似物にも、天然発生アミノ酸ポリマーにも使える。
ここに用いられる「防止」または「予防」は、予防的または防御的手段について言う。防止または予防を必要とする人とは、RAまたは関節損傷を予防しなければならない人を含み、ある実施態様において、RAまたは関節損傷にかかりやすいかも知れない例えばRAの家族歴がある人、またはHLA‐SEおよび抗シトルリン化ペプチド抗体をもち、RAのACR/EULAR2010基準に合わない人が含まれる。ここで、免疫寛容原性がない場合におけるRAまたは関節/構造の損傷の発生に比較して、RAまたは関節損傷の発生が完全に防止またはスローダウンする場合、予防または防止は成功である。
「調節性リンパ球」とは、その他の細胞の反応および作用を調節または抑制し、特に、Bリンパ球、Tヘルパーおよび生来の(NKTおよびガンマ-デルタTを含む)リンパ球のようなその他の免疫細胞類の反応および作用の調節または抑制に関するリンパ球を意味する。
ここに用いる「リウマチ性関節炎」または「RA」は、分類のために2000年に改定されたアメリカン・リウマトイド・アソシエーション基準、または任意の同様な基準によって診断される、明確に認められる疾患を言う。この用語は以下に定義されるように、活性な早期RAのみならず、初期RAも含める。RAの生理学的インジケータとして対称的関節腫脹がある。これはRAにおいて不変ではないとはいえ、特徴的である。手の近位指節間関節(PIP)並びに中手指節関節(MCP)、腕、肘、膝。足首、および中足指節関節(MTP)の紡錘状腫脹が一般的に影響を受け、腫脹は容易に発見される。受動的動きの際の痛みが関節炎の最も敏感な検査である。そして炎症および構造的変形が冒された関節の運動範囲を制限することはよくある。典型的な外観上の変化はMCP関節における指の尺骨の異常、MCPおよびPIP関節の過伸長、または過屈曲、肘の屈曲、萎縮、および手根骨および足指の亜脱臼などである。RAは例えば若年発症性RA、若年性特発性関節炎(JIA)または若年性RA(JRA)を含む。「活性リウマチ関節炎患者」とは、活性で、非潜伏性のRA症状を有する患者である。「早期リウマチ関節炎」の人とは、4年以内、3年以内、2年以内、1年以内、6ヶ月以内に確定的RA患者であると診断される人である。ここで確定的RAと診断されるのは、RA分類のための改定2010 アメリカン・カレッジ・オブ・リューマトロジー(ACR)/ヨーロピアン・リーグ・アゲインスト・リューマチズム(EULAR)基準(Aletanaら,2010 Arthritis & Rheumatism 62(9);2569-2581、参照により全体を本明細書に組み込む)によって、その被検体の臨床的パラメータが6/10以上のスコアとなる場合である。「初期RA」の患者は、確定的RAの診断のためのACR/EULA基準を完全には満たさない(例えばスコア6/10未満)、早期多発性関節炎(滑膜炎)を示す。特定の実施例において、多発性関節炎は、抗‐環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体およびSE+のよううなRA特異的予後バイオマーカーの存在と関連している。
ここで用いられる「共通エピトープ」または「SE」または「リウマトイドエピトープ」は、RA素因における対立遺伝子HLA‐DRB1*0401、*0404/0408、*0405、*0409、*0410、*0413、*0416、*0101、*0102、*0104、*1001、*1402、および*1406によってコードされるHLA‐DRB1鎖の第三高可変領域の残基70‐74の配列モチーフを意味する。詳細に言うならば、これらの配列モチーフは、主要組織適合性複合体クラスII分子のHLA‐DRB1鎖のアミノ酸残基70‐74を取り巻く第三高可変領域の配列QKRAA(配列ID番号:46)またはQRRAA(配列ID番号:47)またはRRRAA(配列ID番号:48)をコードするアミノ酸によって特徴づけられる。DNAタイピングは与えられた座における対立遺伝子を検査するため、その座の名称(アスタリスクにより分けられた2項による表記)は上記特異的対立遺伝子の設計に先行して決められる。例えばHLA‐DRB1*0401は、HLA‐DRB1座の0401対立遺伝子を言う。一つの特定のHLA‐DR特異性は、HLA‐DRA1座の生成物と関連する数種のHLA‐DRB1対立遺伝子によってコードされる。例えば11以上の対立遺伝子(HLA‐DRB1*0401〜*0411)がHLA‐DR4特異性のB鎖をコードできる。ここにおける目的のために、アグリカン特異的免疫寛容原性治療によるRA治療に対する反応を、ヘテロ接合またはホモ接合であるSEの対立遺伝子をもった患者におけるこの遺伝的バイオマーカの発生または存在と肯定的に関連づけることができる。
ここでは交換可能に用いられる用語「被検体(subject)」、「患者(patient)」「個体(individual)」は、治療または予防するのに好ましい脊椎動物、特に哺乳動物である。本発明の範囲内に入る適した脊椎動物は、非制限的に、ヒト並びに非ヒト霊長類、齧歯動物(マウス、ラット、モルモットなど)、ウサギ目(ウサギ、野ウサギなど)、ウシ属(家畜など)、羊類(ヒツジなど)ヤギ類(ヤギなど)、ブタ類(ブタなど)、ウマ科(ウマなど)、イヌ科(イヌ)など、ネコ科(ネコなど)、鳥類(にわとり、七面鳥、アヒル、ガチョウ、カナリヤ、セキセイインコなどのコンパニオン‐バード)、海洋哺乳類(イルカ、クジラなど)、爬虫類(ヘビ、カエル、トカゲなど)、および魚類を含む脊索動物亜門のいかなるメンバーをも含む。特定の実施態様において、「被検体」、「患者」または「個体」は、早期RAを有する被検体、またはRA発生リスクのある被検体(例えば早期RA)を含む、関節損傷の治療および予防を必要とする人である。特定の実施態様において、用語「被検体」「患者」または「個体」は、RAまたは関節損傷の一つ以上の徴候、症状、またはその他の診断を現在経験しているかまたは以前に経験した、あるいはRAまたは関節損傷のリスクにある、治療に適した患者を含む任意の個人を言う。ここでは例えば、新たに/以前に診断された、あるいは現在、再発/ぶり返しを経験したなどの原因は問わない。疾患の徴候を何ら示さずに臨床研究試験の対象となった人々、疫学的研究の対象となった人々、あるいは一度は管理対象として扱われた人々は全て「被検体」、「患者」あるいは「個体」として含まれる。「被検体」、「患者」、「個体」はこれまでにRAまたは関節損傷に対する薬治療を受けていても受けていなくても良い。
「抑制(suppression, suppressing)」は、抗原または抗原群に対するBリンパ球およびTリンパ球免疫反応を含む免疫反応の弱化または調節を意味する。幾つかの実施態様において、上記弱化は少なくとも一部はサプレッサーTリンパ球によって仲介される(例えばCD4+CD25+調節Tリンパ球)。
ここで使用される用語「界面活性剤」は、好ましくは不混和性の2つの相の界面、例えば水と有機ポリマー溶液との界面、水/空気の界面、または有機溶媒/空気などの界面に吸着する任意の作用物質を言う。界面活性剤は概して親水部と親油部を有し、ミクロ粒子に吸着する際、同種の被覆粒子を引きつけない部分を外側に向ける傾向があり、それにより粒子が凝集されにくくなる。また、界面活性剤は治療/診断に用いる薬剤の吸収を促進し、その作用物質のバイオアベイラビリティーを高める。
ここに用いる「界面活性剤と結合している」粒子とは、少なくともその粒子の表面に界面活性剤を有する粒子である。その界面活性剤は、粒子形成中にその粒子全体あるいは表面に結合してもよいし、粒子形成後にその粒子に結合してもよい。その界面活性剤は粒子表面に対し、吸着、イオン結合、あるいは共有結合により結合してもよいし、周囲の基質により物理的に補足されてもよい。界面活性剤は例えば高分子ミクロスフェアのような調節された放出粒子に結合させることもできる。
RAまたは関節損傷の「症状」は、被検体が経験する何らかの病的現象、または正常な構造、機能、または感覚からの乖離、そして上記のような軟化または腫脹した関節を含むRAおよび関節損傷を示すものである。
「全体的に改変されたシャープスコア(Total modified Sharp score)」は、ゲナント(1983,Am.J.Med.30:35-47)によって改変されたシャープによる方法を用いてX線検査を評価するためのスコアを意味する。一次評価は、スクリーニングから得られる総シャープ‐ゲナント‐スコアの変化であろう。シャープ‐ゲナント‐スコアは、侵食スコアと、手および足両方の関節スペース狭化スコアとの組み合わせである。関節損傷は、このテストスコアリングでは、基準線のスコア以下の平均変化によって測定される(患者はここに開示される免疫寛容原性組成物の最初の投与前にスクリーニング、または検査される)。
ここに用いられる用語「形質導入」または「形質導入された」は、ある細胞に外来性または外因性核酸、普通はDNAを導入することに使われ、「安定的導入」および「安定的に導入された」は、外来性または外因性核酸の、形質導入された細胞のゲノムへの導入および同化を言う。用語「安定トランスダクタント(形質導入体)」は異種DNAがゲノムDNAに安定的に統合された細胞を言う。反対に、「一過性形質導入」または「一過性に導入された」は、外来性または異種核酸がある細胞に導入されたが、その外来性または異種DNAは上記導入される細胞のゲノムに同化することができなかった場合の形質導入を言う。外来性または異種DNAは導入された細胞の核内で数週間存続する。この期間中に外来または異種DNAは染色体中で、内因性遺伝子の発現を取り仕切る調節性制御を受ける。用語「一過性形質導入」は、外来性または異種DNAを取り込んだが、このDNAを同化することができなかった細胞について言う。
ここで被検体の処置とは、治療的処置を言う。処置を必要とする被検体としては、すでにRAおよび関節損傷がある被検体、並びにRAまたは関節損傷を防止しなければならない被検体が含まれる。その被検体はRAまたは関節損傷をもつ場合もあるし、処置をしなければ進行しそうなRAまたは関節損傷をもつ場合もあるし、あるいは被検体は無症状であるが、RAの発生リスク因子をもつ場合もある(例えば陽性の家族歴がある場合、および/またはACPAのような自己抗体、リウマチ因子、末梢血中に炎症性表現型の証拠がある場合など)。RAまたは関節損傷が、その徴候、症状、および/または構造的損傷を含めて、投与前のその被検体の状態に比較して軽減されるか快復した場合、または保持されるかスローダウンしたとき、処置は成功である。さらに、関節または構造の損傷の発生を完全にまたは部分的に防止した場合も処置が成功したと言う。ここでは、RA/関節損傷/関節損傷の進行、のスローダウンまたは軽減は、RA/関節損傷の阻止、減少、または回復と同義である。
用語「野生型」および「正常な」は、天然にあらわれる種のメンバーの大部分に特徴的な表現型について、突然変異型と対照するために交換可能に用いられる。
ここに用いられるように、遺伝子名について下線を引いたり、イタリック体にしている場合、その蛋白質産物とは対照的に、下線/イタリック体を除いた名前が指す遺伝子そのものを示している。例えば、「ACAN」はACAN遺伝子(すなわちアグリカンをコードする遺伝子)を意味し、「ACAN」は「ACAN」遺伝子の転写、翻訳、および選択的スプライシングにより生成する蛋白質産物の類を示す。
2.略語
下記の略語は本出願全体に用いられる。
aa:アミノ酸(類)
ACAN:アグリカン遺伝子
ACAN:アグリカンポリペプチド
ACPA:抗シトルリン化ペプチド抗体
agg‐tolAPC:アグリカン特異的抗原提示細胞
APC:抗原提示細胞(類)
cit‐agg:シトルリン化アグリカン
d:日
GM‐CSF:顆粒細胞マクロファージコロニー刺激因子
h:時間
IL‐2:インターロイキン2
IL‐3:インターロイキン3
IL‐6:インターロイキン6
IL‐10:インターロイキン10
IL‐12:インターロイキン12
IL‐17:インターロイキン17
kb:キロベース(s)またはキロベースペア(s)
kDa:キロダルトン(s)
nt:ヌクレオチド
nts:ヌクレオチド類
PB:末梢血
PBMC:末梢血単核細胞類
RA:リウマチ性関節炎
s:秒
SE:共通エピトープ
TCR:T細胞レセプタ
tolAPC:免疫寛容原性抗原提示細胞
TNF:腫瘍壊死因子
3.発明の実施形態
本発明は一部、次のような知見に基づいている。すなわち、早期RA患者は非自己抗原またはシトルリン化アグリカン単独に対して、炎症性Tリンパ球反応を含むTリンパ球反応をより生じやすく、一方長期RA患者は多数の自己抗原に対して、炎症性Tリンパ球反応を含むTリンパ球反応をより生じやすい。これらの結果は、炎症性Tリンパ球反応を含む、シトルリン化アグリカンに対するTリンパ球反応が、RAの進行につれて起こるその他のシトルリン化自己エピトープに対するTリンパ球の不均一な成熟に先行することを示唆する。任意の疾病持続期間をもつ患者は、その他のシトルリン化自己エピトープよりも、シトルリン化アグリカンに対して反応しやすいことも見出された。これらの知見に基づき、本発明者らは、全体的または一部、アグリカンポリペプチドに対応する抗原類およびそれらのシトルリン化型はこの病気に罹った人またはその素因のある人(初期RA患者、およびRA発症リスクのある人を含む)における関節損傷のより早い治療的および/または予防的処置、好適にはその疾患においてRAの慢性化/衰弱化が進行する前に、上記治療的および/予防的処置を可能とすることを提起し、またシトルリン化アグリカンを治療的に適用することは、その他のシトルリン化抗原類を適用することに比べて、RA人口全体をより広くカバーできると主張している。
そこで本発明は、アグリカンポリペプチドに対する免疫反応の抗原特異的反応(ここでは「抗原特異的免疫寛容原性反応」とも言う)の抗原特異的抑制によって被検体における関節損傷を治療または予防するための方法を提供する。
3.1.アグリカン特異的免疫反応および罹患被検体
アグリカンポリペプチドは一般的にはシトルリン化(アグリカン配列中の少なくとも1つのアルギニン残基がシトルリンに変換)されている。必要の際には、シトルリン化アグリカンポリペプチドの存在は、シトルリン化アグリカンを直接検出するアッセイを用いて明確にされる。その例証的実施例は例えばGoebら(2009, Arthritis Research & Therapy 11:R38), Stenslandら(2009, Rapid Commun Mass Spectrom. 23(17):2754-2762), Hermanssonら(2010, Proteomics Clin Appl. 4(5):511-518), van Beersら(2010, Arthritis Res Ther. 12(6):R219), および De Ceuleneerら(2011, Rapid Commun Mass Spectrom. 25(11):1536-1542)に記載される質量分光分析を含み、これらはその全部が引例によりここに組み入れられる。代替的には、イムノアッセイが用いられる。これは被検体の抗原中のシトルリン残基を検出するための抗‐変形シトルリン抗体、および任意に、その被検体の抗原そのもの(シトルリン化されていてもいなくても)を検出するための抗原特異的抗体類を用いる。同様の非制限的イムノアッセイは、Tillemanら(2008, Rheumatology 47:597-604)、 Tabushiら(2008, Annals of Clinical Biochemistry 45:413-417)によって記載され、米国特許出願第2011/0244492号に記載されている。これらはその全体が引例によりここに組み入れられる。その他の実施例において、シトルリン化アグリカンの存在は、シトルリン化アグリカンに特異的なACPAを検出することによって、間接的に確認できる。同様の代表的アッセイは、シトルリン化アグリカンポリペプチドに対応する1つ以上のペプチド類(cit‐agg‐特異的ペプチド類)または抗原としてのシトルリン化アグリカンポリペプチドに対応する蛋白を用い、適した手段によって、サンプル中に含まれるcit‐agg‐ペプチドとペプチド抗原との結合を検出することによって組み立てられてもよい。ACPAは、均質アッセイ・フォーマットによって(例えばcis‐aggペプチドでコーテイングしたラテックス粒子の凝集によって)、不均質イムノアッセイによって(例えばcit‐aggペプチドを固体相に直接または間接的にコーテイングし、その固体相をcis‐agg特異的ACPAを含むことが知られている、または予想されているサンプルと共に、ACPA抗体とペプチド抗原との結合を可能とする条件の下でインキュベートし、結合したACPAを直接または間接的に検出することに基づく)、または二重抗原‐架橋アッセイ(ここではcit‐aggペプチドが固相側にもこのイムノアッセイの検出側にも用いられる)を用いて検出できる。同様の非制限的抗原特異的ACPAアッセイは、例えばWegnerら(2010, supra)およびここに記載の参考文献に記載されている。これらはその全体が引例によりここに組み入れられる。
特定の実施態様において、被検体は、ここに定義されるように、早期RAまたは初期RAから選択されるRA層別化を行うものとして定義され、同様の例証的実施例において、上記の方法はさらに、この被検体が、抗原特異的免疫寛容原性反応を誘起する前に、RA層別化を有することを明らかにすることを含む。RA層別化は当業者には公知の任意の適切な臨床的パラメータを用いることによって確認される。その非制限的な例としては、1)年齢、2)性別、3)炎症のある関節の分類、4)朝のこわばりの持続時間、5)軟化した関節の数(例えば中手指節間関節)または中足指節間関節を横切る陽性圧迫)、6)腫脹した関節の数、7)関節痛、8)前回発現した症状、9)RAの家族歴、10)全身的インフルエンザ的特徴および疲労の有無、11)手足の対称的関節異常、12)赤血球沈降速度、13)C‐反応性蛋白の濃度、14)高感受性C蛋白の濃度、15)リウマチ因子(RF)の濃度、16)ACPA抗体の有無および濃度、17)変異したシトルリン化ビメンチンに対する抗体(抗MCV抗体)の有無および濃度、18)SEの有無、19)J蛋白、Hdj2(例えば滑液中)の有無および濃度、20)リューマチ性結節、21)X線の変化、がある。特定の実施態様においてRAがあるかないかは、RAのための2010ACR/EULAR分類基準を用いて評価される。これはAletahaら(2010, supra)において開示され、これを表1にまとめる。
記号*、†、‡、§、#、**、††、‡‡、§§は、Aletahaら (2010, supra)の文献におけるものと同じ意味を有する。
例証的実施例において、被検体が4年以内、3年以内、2年以内、6ヶ月以内に「確定的」RAであると診断された場合、その被検体は早期RAに罹患していることが確認される。その際その患者の評価臨床パラメータが、2010ACR/EULAR基準によって6/10以上のスコアであるとき、確定的RAと判断される。その他の例証的実施例において、被検体が多発性関節炎(滑膜炎)を有するものの、確定的RAの診断のためのACR/EULAR基準に完全には合わない場合、その被検体は初期RAを有すると判断される。特定の実施例において、多発性関節炎は、ACPA抗体とか共通エピトープ陽性(SE+)のようなRA特異的予知的バイオマーカーの存在と関係する。早期RA患者には、多発性関節炎をもつACPA抗体陽性患者を含み、その時点で確定的RAの診断をされていないとしても、2010ACR/EULAR基準による確定的RAに進行するリスクが高い(例えば95%の確率)。
特定の実施態様において、被検体はSE+である。共通エピトープ陽性は、任意の適切なアッセイ、すなわちその被検体をRAに罹りやすくするような、腫瘍組織適合性複合体クラスII分子のHLA‐DRB1鎖の第三高バリアブル領域の残基70‐74にある配列モチーフを確認するための任意の適切なアッセイを用いて試験できる。例えば、その配列モチーフはアミノ酸コーデイング配列QKRAA(配列ID番号:46)またはQRRAA(配列ID番号:47)またはRRRAA(配列ID番号:48)によって特徴づけられる。これらの諸配列は例えばHLA‐DRB1*0401、*0404/0408、*0405、*0409、*0410、*0413、*0416、*0101、*0102 *0104、*1001、*1402、および*1406 対立遺伝子によってコードされている。そのアッセイは例えば当業者には公知の配列分析、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)タイピングまたはオリゴヌクレオチド・プローブ・ハイブリダイゼーション(例えば逆ハイブリダイゼーション)およびイムノアッセイを用いる遺伝子型決定(ジーンタイピング)を含むことができる。これらの実施態様において、上記方法はさらに、抗原特異的免疫寛容原性反応を誘起する前にその被検体がSE+であることを確認することをさらに含む。
本発明者らは、早期RAまたはRA発生リスクをもつ被検体において、シトルリン化アグリカンを含むシトルリン化自己エピトープに対するTリンパ球(例えばCD4+Tリンパ球)の反応が、少なくとも1、2、3種類のサイトカイン(類)の産生(分泌)を含むことも見出した。特定の実施態様において、上記サイトカイン(類)はIL‐6,IFN‐γ、TNFおよびIL‐10から選択される。Tリンパ球反応は広く、少なくとも1、2、または3の炎症性(例えば、Th1またはTh17)サイトカイン(類)の産生(例えば分泌)によって特徴づけられる炎症性または自己反応性Tリンパ球反応を含む。特定の実施態様において、炎症性サイトカイン(類)は、IL‐6、IFN‐γ、およびTNFから選択される。そこで、幾つかの実施態様においては、本発明の方法は、被検体が抗原特異的免疫寛容原性反応を誘起する前に、炎症性Tリンパ球反応(例えば、IL‐6,IFN‐γ、およびTNFから選択される少なくとも1,2、または3種類の炎症性サイトカインの産生)を起こすことを確認することをさらに含む。しかし本発明者らは、早期RAをもつ、またはRA発生のリスクのある被検体が、無エピトープまたはシトルリン化アグリカンのみに対してIL‐6をより産生しやすいことも見出した。したがって、これらの被検体におけるTリンパ球反応は、実質上、IL6の産生によって特徴づけられる。よって特定の実施態様において、本発明の方法は、前記被検体が抗原特異的免疫寛容原性反応を誘起する前にIL‐6を産生することを確認することをさらに含む。
被検体がTリンパ球反応を起こしつつあるかどうかを確認するために、本発明の方法は、放出されたサイトカイン類の検出または評価のためのアッセイを行うことができる。それらのサイトカインは、任意の適切な方法を用いてアッセイできる。サイトカインレベルを測定するための標準的アッセイは、非制限的に以下のような機能的活性プロトコルを含む:(a)インジケータ細胞系のサイトカイン誘起性増殖;(b)サイトカイン誘起性アポトーシス;(c)サイトカインによるウイルス感染防御;(d)サイトカインによって誘起されるサイトカイン産生。このようなアッセイは熟練せる当業者にはよく知られており、例えば「Cytokine Bioasseys(サイトカイン バイオアッセイ)」(www.ebioscience.com/ebioscience/appls/BAC.htm)に見出される。これは参照によりここに組み入れられる。別法として、サイトカインレベルは、一般的サイトカイン放出アッセイ、細胞内サイトカイン分泌アッセイ、Y細胞レセプタの下流のシグナル トランスダクション経路の活性化の検出および例えばサイトカインmRNA、ELISAs、ビードアレイまたは多重アッセイのような、T細胞反応を示す種類の蛋白類のためのmRNAのミクロアレイ検出を用いても測定できる。これらは熟練せる当業者には公知である。IL‐6、IFN‐γ、TNFoyobiIL‐10に関する非制限的バイオアッセイが実施例に開示されている。
本発明者らは、早期RA患者またはRA発生リスクのある被検体におけるTリンパ球反応が、少なくとも一部はCD4+CD28−Tリンパ球、および/またはCD4+CD28+Tリンパ球によって産生されることも確認した。このようなTリンパ球類は例えばフローサイトメトリー(例えば蛍光細胞分析分離装置(FACS)を用いる)、イムノヒストケミストリー、イムノマグネテイック分離などを含む標準的イムノアッセイを用いて機械的に検出できる。同様の非制限的イムノアッセイは実施例に開示されている。分析のためのTリンパ球は被検体からの任意の適した生体サンプルから得ることができ、その代表的サンプルは血液(例えば末梢血)および滑膜液などである。
3.2.アグリカン特異的免疫寛容原性反応を生成するための免疫モジュレーター
抗原特異的免疫寛容原性反応は、任意の適切な戦略を用いて誘起することができ、その例証的実施例として、次のものを含む。(1)被検体において、アグリカンポリペプチド(ここでは「アグリカン特異的免疫寛容原性抗原提示細胞」あるいは「agg‐tolAPC」とも呼ぶ)の一部に対応するペプチド(自己抗原)を示す免疫寛容原性抗原提示細胞の数を増やす。ここで、前記部分はアグリカンポリペプチド(例えばcit‐aggポリペプチド)に対する炎症性または自己反応性Tリンパ球反応と関連している。(2)被検体におけるアグリカンポリペプチド(例えばcit‐agg‐ポリペプチド)またはその一部に対して反応する自己反応性エフェクターリンパ球にアネルギーまたはアポトーシスを誘起する。(3)調節性またはサプレッサーTリンパ球の数を増やし、自己反応性Tリンパ球反応を抑制あるいは減らす。
アグリカン特異的tolAPCの生成は、抗原提示細胞(例えば樹状細胞、マクロファージ、ランゲルハンス細胞など)を、抗原提示細胞のNF‐κB経路を十分阻止できる量のNF‐κB経路インヒビターと接触させ、さらに、アグリカンポリペプチド(例えばcit‐アグリカンポリペプチド)または抗原を発現し得る核酸分子の全体または一部に相当する量の抗原から選択された、上記抗原提示細胞がそれらの表面上の抗原またはその形成を示すのに十分な量の抗原分子を接触させることにより、得られる。免疫寛容原性APCをin vivoおよび/またはin vitroで産生するための非制限的方法は、米国特許出願公開第20030153518号、第20060182726号、第20100151000号、およびヨーロッパ特許出願第1462111号に記載されている。その他の実施態様において、アグリカン特異的tolAPCは、抗原提示細胞を、上記のように抗原分子と共に、抗原提示細胞のmTORまたはSyk経路を阻害するために十分な量のmTORインヒビターまたはSyk経路インヒビターと接触させることによって作られる。
抗原提示細胞は専門的タイプおよび通性タイプの抗原提示細胞を含む。専門的抗原提示細胞は、非制限的にマクロファージ、単球、Bリンパ球、脊髄性系列の細胞(単球‐顆粒球‐DC前駆体、辺縁帯クッファー細胞、濾胞細胞を含む)、T細胞、ランゲルハンス細胞、および指状嵌合樹状細胞、および小胞子性樹状細胞を含む。通性抗原提示細胞の例としては、非制限的に、活性化T細胞、星状膠細胞,濾胞細胞、内皮、および線維芽細胞を含む。幾つかの実施態様において、抗原提示細胞は、単球、マクロファージ、Bリンパ球、脊髄系列の細胞類、樹状細胞、またはランゲルハンス細胞を含む。
3.2.1 アグリカン抗原
アグリカン抗原は、推定的全長アグリカンポリペプチド(例えば、配列ID番号:2または4、およびそのシトルリン化型)に対応するアミノ酸配列を含み、またはそれからなり、あるいは本質的にそれからなる。あるいは、その抗原は、成熟アグリカンポリペプチド(例えば、配列ID番号:37または39、およびそのシトルリン化型)に、または非制限的にG1ドメイン(例えば、配列ID番号:41およびそのシトルリン化型)、G2ドメイン(例えば、配列ID番号:43およびそのシトルリン化型)、G3ドメイン(例えば、配列ID番号:43およびそのシトルリン化型)などのドメインに対応するアミノ酸配列を含み、またはそれらからなり、あるいは本質的にそれらからなる。その他の実施態様において、上記抗原は、アグリカンポリペプチド(例えば、配列ID番号:5〜35のいずれか、およびそのシトルリン化型)のT細胞エピトープ(例えば自己抗原)に対応するアミノ酸配列を含み、またはそれからなり、あるいは本質的にそれからなる。特定の実施態様において、その抗原は配列ID番号:32〜35のいずれかを含み、またはそれからなり、あるいは本質的にそれからなる。非制限的実施例において、上記抗原はHLA DRに制限され、上記被検体ではHLA DR対立遺伝子が好適に陽性である。これらの実施例において、HLA DR結合ペプチド(例えばHLA‐DRB結合ペプチド類)は例えばJamesら(2009, J Immunol 183:3249-3258; and 2010, Arthritis Rheum. 62(10):2909-2918), Knappら(2011, BMC Bioinformatics 12:241), Honeymanら(1997, Ann. Med. 29:401-404) and Huら(2010, Nucleic Acids Research 38:Web Server issue W474-W479)に記載された推定的アルゴリズムの使用を含む任意の適切なアプローチを用いて予想できる。
幾つかの実施態様において、上記抗原はアグリカンポリペプチドあるいはそのシトルリン化型の全体あるいは一部に対応する1つ以上のペプチドである。通常、そのようなペプチド類は、長さが少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30のアミノ酸残基であり、好適には約500、200、100、80、60、50、40を超えないアミノ酸残基の長さである。2つ以上のペプチドが使用されている幾つかの実施態様において、これらペプチド類は複数の隣接するオーバーラッピングペプチド類であり、その配列は、アグリカンポリペプチドおよびそれらのシトルリン化型の少なくとも一部分だけ間隔が空いている。好適には、それらのペプチド配列はアグリカンポリペプチドに対応する配列の少なくとも約30、40、50、60、70、80、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%から誘導される。幾つかの実施態様において、複数の隣接オーバーラッピングペプチド断片の各ペプチドは、30〜90のアミノ酸の長さであり、例えば30、35、40、45、50、55、60、65、70、73、75、80、81、85、86、90のアミノ酸の長さである。種々の実施態様において、複数の隣接オーバーラッピングペプチド断片のアミノ酸配列は、約10〜15のアミノ酸だけ(例えば10、11、12、13、14、15のアミノ酸だけ)オーバーラップする。好適には、それらペプチドの長さは、細胞溶解性Tリンパ球(長さ約8〜10のアミノ酸のペプチド)を提示するため、あるいはT‐ヘルパーリンパ球(例えば長さ約12〜20のアミノ酸の長さのペプチド)を提示するために選択する。このようなペプチド抗原を生成する典型的な方法が、たとえばAstoriら(2000, J. Immunol. 165:3497-3505(およびここに記載の参考文献)、および米国特許出願第2004/0241178号に記載されている。所望ならばアグリカン抗原を例えば脂質変形によって改変し、その物理化学的性質を変えることができる。アグリカンポリペプチドのほぼ全長を連結するオーバーラッピングペプチド類の非制限的な例は配列ID番号:49〜531に示される。
アグリカン抗原(類)は、天然ソース(例えば被検体)から分離される。あるいは、それらは例えば次に記載される実施例の標準的プロトコルを用いて組換え型に作られる:Sambrookら, MOLECULAR CLONING. A LABORATORY MANUAL (Cold Spring Harbor Press, 1989)、特に16章および17章;Ausubelら, CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (John Wiley & Sons, Inc. 1994-1998)、特に10章および16章;Coliganら, CURRENT PROTOCOLS IN PROTEIN SCIENCE (John Wiley & Sons, Inc. 1995-1997)、特に1章、5章、6章 に記載されている。代表的実施例において、アグリカン抗原(類)は(a)アグリカン抗原をコードするヌクレオチド配列を発現できる発現ベクターを作り(b)そのベクターを適した宿主細胞に導入し(c)そのベクターから組換えポリペプチドを発現させるために宿主細胞を培養し(d)組換え抗原を分離する という諸段階を含む操作によって作られる。特定の実施態様において、上記アグリカン抗原(類)は、被検体が属する動物種によって作られるアグリカンポリペプチド(シトルリン化の有無は問わない)の配列に対応する。
代替的には、アグリカン抗原(類)は、Atherton and Sheppard (Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press at Oxford University Press, Oxford, England, 1989)、および Robergeら (1995, Science 269:202)に記載されたように、溶液合成または固相合成を用いて合成される。
幾つかの実施態様において、上記アグリカン抗原は少なくとも一つのシトルリン残基を含む。シトルリン化抗原は例えば、ペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)の作用によって、天然型、組換え型または合成型のアグリカンから得ることができるが、それらはペプチド合成によって、1つ以上のシトルリン残基を、合成されたアグリカンペプチドに直接導入することによっても作られる。これらの方法は熟練せる当業者には公知である。シトルリン化抗原を作るためのPAD酵素を用いる例証的方法は、米国特許出願公開第2011/0028399号に記載されている。シトルリン化抗原を合成する典型的方法はPerezら, 2006. Chem Biol Drug Des 68:194-200に記載されている。
その他の実施態様において、アグリカン抗原(類)は、概ねその抗原(類)をコード化するヌクレオチド配列を操作によってプロモータに連結することによって、核酸型で提供される。そのプロモータは構成的で誘導性であり、関心とする抗原提示細胞において操作可能であって、核酸構成物を形成する。抗原提示細胞またはその前駆体への上記核酸構成物の運搬は、患者をその核酸構成物に直接さらすことによって、または最初に抗原提示細胞またはそれらの前駆体を上記核酸構成物でin vivoで変換し、次にその変換された抗原提示細胞または前駆体をその患者に移植することによって達せられる。
その核酸構成物は、例えば抗原提示細胞と核酸構成物との接触、エレクトロポレーション、形質転換、形質導入、結合またはトリパレンタル メーテイング(交配)、トランスフェクション、カチオン性脂質との感染膜融合、DNA‐コーテド‐マイクロプロジェクタイルとの高速ボンバード、燐酸カルシウム‐DNA沈殿物とのインキュベーション、単一細胞への直接マイクロインジェクションなどを含む任意の適切な手段によって、抗原提示細胞に導入される。その他の方法も適用でき、熟練せる当業者には公知である。特定の実施態様において、核酸構成物はカチオン性脂質、例えばリポソームによって、導入される。このようなリポソームは市販されている(例えばLipofectin(登録商標), Lipofectamine(TM)など、Life Technologies, Gibco BRL, Gaithersburg, Mdにより提供される)。
上記構成物の抗原コーデイング ヌクレオチド配列は、天然に発生する配列またはその変異体(これは組換え技術を用いて設計される)を含むことができる。変異体の一例において、抗原コーデイング ヌクレオチド配列は、関心とする抗原提示細胞における抗原の発現を高めるように最適化されたコドンである。コドン最適化のための例示的方法は、例えば米国特許第5795737号、WO第99/02694号およびWO第00/42215号に記載されている。
アグリカン抗原の、抗原提示細胞またはその前駆体への送達は、当業者には公知の方法によって高めることができる。例えば、抗原提示細胞、特に樹状細胞の内因性プロセッシング経路に外因性抗原を送達するために、数種の異なる戦略が開発されている。これらの方法は、pH‐感受性リポソームへの抗原の挿入(Zhou and Huang, 1994. Immunomethods 4:229-235)、可溶性抗原の飲細胞取り込み後の、ピノソームの浸透性分解(Mooreら, 1988. Cell 54:777-785)、抗原と能力のあるアジュバントとのカップリング(Aicheleら, 1990. J. Exp. Med. 171:1815-1820; Gaoら, 1991. J. Immunol. 147:3268-3273; Schulzら, 1991. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:991-993; Kuzuら, 1993. Euro. J. Immunol. 23:1397-1400; Jondalら, 1996. Immunity 5:295-302)、エキソソーム類(Zitvogelら, 1998. Nat Med. 4:594-600; 2002, Nat Rev Immunol. 2:569-79)、および、抗原のアポプトテイック細胞送達(Albertら, 1998. Nature 392:86-89; Albertら, 1998, Nature Med. 4:1321-1324; および国際公開WO第99/42564号、WO第01/85207号)を含む。組換え細菌(例えばE.coli)またはトランスフェクションされた宿主哺乳動物細胞が樹状細胞(特殊抗原、またはアポプトテイック体として)に適用され、抗原を送達する。組換えキメラ状ウイルス様粒子(VLPs)も、樹状細胞系列の外因性異種抗原をMHCクラスIプロセッシング経路に送達するためのビヒクルとして使用されている(Bachmannら, 1996. Eur. J. Immunol. 26(11):2595-2600)。
あるいは、またはそれに加えて、アグリカン抗原は、サイトリシンに結合し、またはそれと関連し、その抗原の、本発明の抗原提示細胞のサイトゾルへの移動を高め、MHCクラスI経路に送達される。例示的サイトリシンとしてはサポニン含有‐免疫刺激複合体(ISCOMs)(Cox and Coulter, 1997. Vaccine 15(3):248-256および米国特許第632697号を参照)、ホスホリパーゼ類(例えばCamilliら, 1991. J. Exp. Med. 173:751-754参照)、ポア‐フォーミング毒素類(例えばアルファ‐トキシン)、グラム陽性菌の天然サイトリシン類、例えばリステリオリシンO(LLO,Mengaudら, 1988. Infect. Immun. 56:766-772 および Portnoyら, 1992. Infect. Immun. 60:2710-2717)、ストレプトリシンO(SLO,例えばPalmerら, 1998. Biochemistry 37(8):2378-2383)およびペルフリンゴリシンO(PFO、例えばRossjohnら, Cell 89(5), 685-692)などを含める。抗原提示細胞が食胞である場合,酸活性化サイトリシンが有利に使用できる。例えばリステリオリシンは弱い酸性pHでより大きいポア‐フォーミング能力をあらわし、それによって小胞(ファゴソームおよびエンドソームなど)内容物の細胞質への送達を容易にする(例えばPortnoyら, 1992. Infect. Immun. 60:2710-2717を参照)。
サイトリシンは、アグリカン抗原と共に単一の組成物として、または別々の組成物として提供され、抗原提示細胞と接触する。一実施態様において、その抗原に融合、または結合するが、その融合または結合により、その抗原が標的細胞の細胞質へ送達され得る。別の実施態様においては、そのサイトリシンおよび抗原は、運搬ビヒクル、例えば非制限的に、ウイルス、細菌、酵母から選択されるリポソームまたは細菌性運搬ビヒクルの形で提供される。運搬ビヒクルが細菌性運搬ビヒクルである場合、その運搬ビヒクルは、無毒性細菌であることが好ましい。このようなタイプ(運搬ビヒクルが無毒性細菌)の好ましい実施例としては、例えば、Portnoyらによる米国特許第6287556号があり、ここでは、細菌内にサイトリシンを発現する調節性ポリヌクレオチドに操作可能に結合した非分泌性機能的サイトリシンをコードする第一のポリヌクレオチド、および1つ以上の選択前抗原類をコードする第二のポリヌクレオチドが含まれる。非分泌性サイトリシンは、種々のメカニズムによって提供される(例えば機能的シグナル配列の欠如、分泌不能の細菌、例えば遺伝的欠陥(例えば機能的シグナル配列変異)を有する細菌、または毒のある細菌など)。種々の非ウイルス性、非病原性細菌が使用できるが、好ましい細菌としては、比較的よく特徴づけられた種、特にMC4100,MC1061,DH5αなどのE.coliの実験室的菌種がある。本発明のために処理することができるその他の細菌としては、Listeria monocytogenes、Shigellaflexneri、マイコバクテリウム、サルモネラ、Bacillus subtilisなどのよく特徴づけられた、非ウイスル性、非病原性の菌種を含む。特定の実施態様において、細菌は衰弱し、複製不可能となり、宿主細胞ゲノムに統合されず、および/または細胞間または細胞内で不動性となる。
上記の運搬ビヒクルを用いて、被検体のビヒクルのエンドサイトーシスが可能である実質的に全ての抗原提示細胞(食細胞の、および非食細胞の抗原提示細胞を含む)に1つ以上のアグリカン抗原を運搬することができる。運搬ビヒクルが細菌である実施態様において、主題の方法は概ね、標的細胞による細菌の取り込み、およびその後の抗原提示細胞の空胞(ファゴソーム、およびエンドソームを含む)内における溶解を必要とする。
3.2.2.改変されたペプチドリガンド
幾つかの実施態様において、改変されたペプチドリガンド(APL)を用いてアグリカン特異的免疫寛容原性を刺激する。APLは、好適には、アグリカンポリペプチド(例えばcit‐アグリカンポリペプチド)の一部(例えば自己抗原)に対応するアミノ酸配列を含み、またはそれからなり、あるいは本質的にそれからなる。このポリペプチドはリウマチ性関節炎(RA)と好適に関連し、炎症性または自己反応性Tリンパ球上の抗原レセプタ(例えばT細胞レセプタ)に結合する。改変APLアミノ酸配列は、概して少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失、または付加によって、アルレカンポリペプチド部分のアミノ酸配列とは区別され、好適には抗原レセプタを通る正常なシグナリングを妨害する。
APLは、当業者には公知の任意の方法を用いて、同定された天然アグリカンペプチドエピトープに基づいて設計することができる。例えば、抗原提示細胞からMHC分子を分離し、アッセイすることを含む方法を用いて、MHC分子に結合したペプチド類を確認することができる(Chicz and Urban, 1994. Immunol. Today 1-5:155-160)。バクテリオファージ「ファージデイスプレー」ライブラリーも作成することができる。「ファージ法」を用いて(Scott and Smith, 1990. Science 249:386-390; Cwirlaら, 1990. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6378-6382; Devlinら, 1990. Science 249:404-406)、非常に大きいライブラリーを構成することができる(106‐108の化学物質)。使用できるペプチドエピトープを確認する他の方法には、主として化学的方法があり、例えばGeysen法(Geysenら, 1986. Molecular Immunology 23:709-715; Geysenら, 1987. J. Immunologic Method 102:259-274)、およびFodorらの方法(Fodorら, 1991. Science 251:767-773)がある。他には、Furkaら, 1988. 14th International Congress of Biochemistry, Volume 5. Abstract FR:013; Furka, 1991. Int. J. Peptide Protein Res. 37:487-493がある。Houghton(米国特許第4631211号)およびRutterら(米国特許第5101175号)は、アゴニストまたはアゴニスト類として試験できるペプチドの混合物を生成する方法を記載する。使用できるその他の方法は、合成ライブラリーの使用を含む。(Needelsら, 1993. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10700-4; Ohlmeyerら, 1993. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10922-10926; Lam ら 国際特許出願番号WO第92/00252号、この各々は引例によりここに組み入れられる)。そして同類のものが、レセプタ‐リガンドを保護するために用いられる。cDNAサブトラクションまたは鑑別的デイスプレーに基づく方法が文献に豊富に記載され、使用することもできる(例えばHedrickら, 1984. Nature 308:149; and Lian and Pardee, 1992. Science 257:967)。発現された配列タグ(EST)法は、遺伝子発見のための貴重なツールである。それらはノーザンブロッテイング、RNaseプロテクション、および逆トランスクリプターゼ‐ポリメラーゼ鎖反応(RT‐PCR)分析などである(Alwineら, 1977. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5350; Zinnら, 1983. Cell 34:865; Veresら, 1987. Science 237:415)。使用できるその他の技術は、「ペプスカン」法である(Van der Zee, 1989. Eur. J. Immunol. 19:43-47)。ここでは数ダースのペプチドが、96ウェルマイクロタイタープレート型上に並んだポリエチレンの棒上で同時に合成される。この型は、その上で各ピンの位置が合成歴を決める、というインデックス化されたライブラリーに似ている。その後ペプチドは固体支持体から化学的に引き剥がされ、抗原提示のために照射された同系の胸腺細胞に供給される。その後3Hチミジン挿入によってモニターされる増殖試験において、クローン化CTLラインの反応性が試験される。
WO第97/35035号にSPHEREが記載されている。この方法はポリスチレンビーズ上で合成された組み合わせられたペプチドライブラリーを使用する。ここで、各ビードは、別々の部分のビーズから化学的に放出される特異的ペプチドの純粋な集団を含む。一緒にしたビードアレーからの放出ペプチドを、T細胞の活性を検出するための方法(例えば sup.3H‐チミジン挿入(CD4+またはCD8+T細胞を測定)、51Cr放出アッセイ(CTLsのため))、またはIL‐2産生(CD4+T細胞のため)を用いてプールドアレーからの放出ペプチドをスクリーニングした。反復ペプチドプール/放出戦略を用いることによって、たった数日のうちに107より多いペプチドをスクリーニングすることができる。対応する陽性ビーズ(>100pmoles)上の残基ペプチドの分析は、上記エピトープ配列の速やか且つ控えめの確認を可能にする。
CTLへのアグリカンペプチド結合を確認するアッセイの簡単な概観を次に述べる。大ざっぱに言うと、ウェル1つあたり1000個のビーズを含む10個の90ウェルプレートは、ビーズ106個を収容するであろう。1つのウェルあたり100個のビーズを含む10個の96ウェルプレートはビーズ105個を収容する。スクリーンあたり必要なCTL細胞の数、および手作業による操作量の両方を最小にするために、溶出したペプチド類をさらにプールし、任意の所望の複雑性を有するウェルが得られる。例えば、可溶性ライブラリーを有する実験に基づくと、たった2×106個のCTL細胞で、96ウェルプレートにおいて107個のペプチド(10000ペプチド/ウェル)をスクリーニングすることができる。ビーズからあるパーセンテージのペプチドを引き剥がし、それらをガンマ照射し、それらをフォスターAPCsおよびクローン化CTLラインと共にインキュベートした後、3Hチミジンの取り込みによって確認した陽性ウェルをさらに試験した。あるいは上に指摘されたように、サイトカイン産生または細胞分解性51Cr放出アッセイが用いられる(Coulieら, 1992. Int. J. Cancer 50:289-291)。各陽性ウェルからのビーズは分離され、各ビードからの付加的パーセンテージのペプチドを利用して、前のように個々にアッセイされる。陽性の個々のビーズはその後デコードされ、反応性アミノ酸配列が確認される。すべての陽性ビーズの分析により、被検CTLクローンを刺激する、保存的に置換されたエピトープ類の部分的プロフィールが判明する。この時点でそのペプチドは再合成され、再検査される。また、第二のライブラリー(複雑さは最小である)が、すべての保存的置換の表示で合成でき、特定のCTLによって寛容された誘導体の完全なスペクトルが列挙される。複数のCTLを同時にスクリーニングすることによって、対応するエピトープ類の検索が非常に容易になる。
CD8+MHCクラスIに制限されたCTLエピトープ類の確認のために記載された方法は、CD4+MHCクラスII制限CD4+T細胞エピトープ類の同定に使用できる。この場合、MHCクラスII対立遺伝子特異的ライブラリーは、ハプロタイプ特異的アンカー残基が適切な位置に現れるように合成される。MHCクラスIIアグレトピックモテイーフが、一般的対立遺伝子に確認されている(参照:例えば、Rammensee, 1995. Curr. Opin. Immunol. 7:85-96; Altuviaら, 1994. Mol. Immunol. 24:375-379; Reayら, 1994. J. Immunol. 152:3946-3957; Verreckら, 1994. Eur. J. Immunol. 24:375-379; Sinigaglia and Hammer, 1994. Curr. Opin. Immunol. 6:52-56; Rotzschke and Falk, 1994. Curr. Opin. Immunol. 6:45-51)。それらのペプチドの全長は概ね12‐20アミノ酸残基であり、前に記載された方法はライブラリーの複雑さを制限するために用いることができる。アグリカンAPLは(例えばAthertonおよびSheppard(1989,supra)によって、またはRoberge他(1995,suprs)によって記載されるように)溶液合成または固相合成を用いて合成できる。
特定の実施態様において、APLは、次から選択される少なくとも1つの活性を有する。(i)Tリンパ球の、アグリカンポリペプチド(例えばcit‐アグリカンポリペプチド)に対する反応を中和する(ii)アグリカンまたはシトルリン化アグリカン特異的Tリンパ球にアネルギーを誘起する(iii)アグリカンまたはシトルリン化アグリカン特異的Tリンパ球にアポトーシスを誘起する(iv)アグリカンまたはシトルリン化アグリカン特異的‐Th2免疫反応の活性を刺激する(v)炎症性サイトカイン産生の抑制を含む、アグリカンまたはシトルリン化アグリカン特異的Th2免疫反応の発生を抑制する(vi)アグリカンまたはシトルリン化アグリカン特異的‐調節リンパ球(例えばT調節リンパ球(Treg))の活性を刺激する(vii)炎症性刺激による、アグリカンまたはシトルリン化アグリカン特異的抗原の活性化を防止または阻止する。
3.2.3.NF‐κBインヒビター類
NF‐κBインヒビターは、免疫細胞、特に抗原提示細胞中のNF‐κBのレベルまたは機能的活性を低下させる任意の分子または化合物を含む。NFκBインヒビターは種々の形をとることができる。その非制限的な例としては、小分子、核酸類、ペプチド類、ポリペプチド類、ペプチドミメテイックスなどが含まれる。
幾つかの実施態様において、NF‐κBインヒビターはNF‐κB経路の一メンバーのレベルおよび機能的活性を低下させる。そのメンバーは以下から好適に選択される:BTK、LYN、BCR Igα、BCR Igβ、Syk、Blnk、PLCγ2、PKCβ、DAG、CARMA1、BCL10、MALT1、PI3K、PIP3、AKT、p38MAPK、ERK、COT、IKKα、IKKβ、IKKγ、NIK、RelA/p65、P105/p50、c‐Rel、RelB、p52、NIK、Leu13、CD81、CD19、CD21とその補体と凝集カスケードにおけるそのリガンド類、TRAF6、ユビキチンリガーゼ、Tab2、TAK1、NEMO、NOD2、RIP2、Lck、fyn、Zap70、LAT、GRB2、SOS、CD3 zeta、Slp‐76、GADS、ITK、PLCγ1、PKCθ、ISOS、CD28、SHP2、SAP、SLAM、2B4)。同様の例証的実施例において、NF‐κBインヒビターは、RelA/p65、P105/p50、c‐Rel、RelB、p52のうちの任意の1種類以上のもののレベルまたは機能的活性を低下させる。好適には、これらの実施態様において、NF‐κBインヒビターは上記メンバーの少なくと1つの機能または活性をブロックし、阻害し、あるいはそれらに拮抗する。その他の実施態様において、NF‐κBインヒビターは、NF‐κB経路のメンバー(それはSHP1、SHIP、PIR‐B、CD22、CD72、FcgRIIB、IκB、P100、CTLA4、PD‐1、Cb1、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DL、Cskから好適に選択される)のレベルまたは機能的活性を高める。これらの実施態様において、NF‐κBインヒビターはそのメンバーの少なくとも1つの機能または活性を高め、刺激する。
NF‐κBは文献に豊富に記載され、代表的実施例が下表に列挙される。
特定の実施態様において、NF‐κBインヒビターは、例えばBAY11‐7082およびBAY11‐7085(BioMol,Plymouth Meeting,PA)、クルクミンおよびクルクミン誘導体または同族体などのようなIκB燐酸化のインヒビターである。多数のクルクミン誘導体および同族体が当業者には公知であり、本発明に使用できる(例えばWO第2007/051314号、US第2006/0276536号を参照)。そのような誘導体は可溶性または効能を高めたものであってもよい。クルクミン誘導体の例としては、ジメトキシクルクミン(Jeongら, 2009. J. Clin. Biochem. Nutr. 44:79-84)、3,5‐ビス(2‐フルオロベンジリデン)‐4‐ピペリドン(EF24)(米国特許出願第20110059157号)、ビス(アリ‐ルメチリデン)アセトン(WO第2007/000998号)、デメトキシクルクミンおよびビスデメトキシクルクミン(WO第2006/117077号)などがある。使用されるその他のクルクミン同族体としてはジヒドロクルクミン、テトラヒドロクルクミン、ヘキサヒドロクルクミン、ジヒドロキシテトラヒドロクルクミン、ヤクチノンA、ヤクチノンBなどがあり、さらにこれらの塩類、酸化体、還元体、グリコシド類、エステル類を含む(米国特許出願第200301479号、米国特許第5891924号)。クルクミン同族体のその他の例は、非制限的に、(a)フェルラ酸(例えば4‐ヒドロキシ‐3‐メトキシ桂皮酸、3,4‐メチレンジオキシ桂皮酸)、3,4‐ジメトキシ桂皮酸)、(b)芳香族ケトン類(例えば、4‐(4‐)ヒドロキシ‐3‐メトキシフェニル)‐3‐ブテン‐2‐オン、およびジンゲロン、4‐(3,4‐メチレンジオキシフェニル)‐2‐ブタノン、4‐(p‐ヒドロキシフェニル)‐3‐ブテン‐2‐オン、4‐ヒドロキシバレロフェノン、4‐ヒドロキシベンジルラクトン、4‐ヒドロキシベンゾフェノン、1,5‐ビス(4‐ジメチルアミノフェニル)‐1,4‐ペンタジエン‐3‐オン)、(c)芳香族ジケトン(例えば6‐ヒドロキシジベンゾイルメタン)(d)カフェイン酸化合物(例えば3,4‐ジヒドロキシ桂皮酸、(e)桂皮酸、(f)芳香族カルボン酸(例えば3,4‐ジヒドロキシヒドロ桂皮酸、2‐ヒドロキシ桂皮酸、3‐ヒドロキシ桂皮酸、4‐ヒドロキシ桂皮酸)、(g)芳香族ケトカルボン酸(例えば、4‐ヒドロキシフェニルピルビン酸)、(h)芳香族アルコール類(例えば4‐ヒドロキシフェネチルアルコール)がある。本発明に使用できるこれらの同族体およびその他の代表的同族体は、さらにWO第95/18606号およびWO第01/040188号に記載されている。その他の、二量体、デキストラン、およびデンドライマー結合体を含むクルクミン誘導体および同族体も使用できる(例えば米国特許出願第20100240905号、Shi, W.ら, 2007. Org. Lett. 9(26):5461-5464を参照)。
クルクミン、クルクミン誘導体または同族体は、プロドラッグのような結合物として提供することができる。クルクミン プロドラッグの例が知られており(参照:例えばLu, P.ら, 2005. J Huazhong Univ Sci Technolog Med. Sci. 25(6):668-670, 678、Kapoor, N.ら 2007. Cancer Lett. 248(2):245-250)、プロドラッグの製法が知られている(参照:例えばWO第2006/076734号、米国特許第5952294号、Balant, L. P.ら, 1990. Eur. J. Drug Metab. Pharmacokinet. 15:143-153、Bundgaard, H.ら, 1991. Drugs of the Future 16:443-458)。米国特許出願公開第2007/270464号も参照されたい。
このNF‐κBインヒビターは最小/無視し得る程度の副作用をもち、宿主に対して無毒であることが好ましい。好適には、NF‐κBインヒビターは、NF‐κBの代替経路を、あるいはNF‐κBの古典経路と代替経路を両方共ブロックする。
幾つかの実施態様において、NF‐κBインヒビターは核酸の形を成すが、これは一般的に、ヌクレオチド配列を操作可能に結合することで、プロモータに対してインヒビターをコードすることにより得られる。その配列は構成的または誘導性であり、関心とする抗原提示細胞において操作可能であり、核酸構成物を形成する。核酸構成物の、抗原提示細胞またはそれらの前駆体への送達は、患者を直接、核酸構成物にさらすことによって、または最初に抗原提示細胞またはそれらの前駆体を核酸構成物で、in vitroで形質転換し、それから形質転換した抗原提示細胞またはその前駆体を患者に移植することによって、達成される。
抗原コーデイング核酸に関して3.2.1章で述べたように、核酸構成物を抗原提示細胞に導入し、変異体であるヌクレオチド配列を作り出すという考えは、NF‐κBインヒビター ペプチド/ポリペプチドを発現できる核酸構成物に等しく適用される。
3.2.4.mTORインヒビター類
mTOR経路の阻害は、例えば、Delgoffe and Powell (2009. Immunology 127(4):459-465)およびFischerら(2009, Handb Exp Pharmacol. 188:215-232)に記載されているように、抗原提示細胞(例えば樹状細胞、B細胞など)の免疫寛容原性を刺激することが知られている。それに従い本発明は、mTOR経路のインヒビターを、全体的、部分的にアグリカンポリペプチド(例えばcit‐アグリカンポリペプチド)に対応する抗原から選択された抗原分子、またはその抗原を発現し得る核酸分子と共に使用して、被検体における関節損傷の治療および予防において、アグリカンポリペプチドに対する免疫反応を抑制すると考えた。
ここに用いられるmTORインヒビター類は、免疫細胞、特に抗原提示細胞におけるmTORのレベルまたは機能的活性を低下させる分子または化合物を含む。mTORインヒビターは、種々の形をとることができる。その非制限的な例としては小細胞、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド類似物などを含む。
幾つかの実施態様において、mTORインヒビターは、Streptomyces hygroscopicusによって作られるマクロライド系抗生物質であるラパマイシン、およびラパマイシン誘導体、例えば40および/または16および/または32の位置が置換されたラパマイシン、あるいは例えば式(I)の化合物、から選択される。
上記式中、R1はCH3またはC3‐6アルキニルであり、
R2はH、−CH2−CH2−OH、または−CH2−CH2−O−CH2−CH3である。
Xが=Oで、R1がCH3である場合はR2はH以外である、という条件で、3‐ヒドロキシ‐2‐(ヒドロキシメチル)‐2‐メチル‐プロパノイルまたはテトラゾリル、例えばテトラゾール‐1‐イルであり、Xは=O、(H,H)または(H,OH)である。
式Iの化合物中のR2が−CH2−CH2−OHであるとき、式Iの化合物は生理学的に加水分解できるそのエーテル、例えば−CH2−CH2−O−C1−8アルキルを含む。
式Iの化合物の代表的な例は、例えば40‐O‐(2‐ヒドロキシ)エチル‐ラパマイシン(エベロリムスとしても知られる)、32‐デオキソラパマイシン、16‐O‐置換ラパマイシン、例えば16‐ペント‐2‐イニロキシ‐32‐デオキソラパマイシン、16‐ペント‐2‐イニロキシ‐32(SまたはR)‐ジヒドロ‐ラパマイシン、16‐ペント‐2‐イニロキシ‐32(SまたはR)‐ジヒドロ‐40‐0‐(2‐ヒドロキシエチル)‐ラパマイシン、40‐[3‐ヒドロキシ‐2‐(ヒドロキシ‐メチル)‐2‐メチルプロパノエート]‐ラパマイシン(CCI779としても知られる)、40‐エピ‐(テトラゾリル)‐ラパマイシン(ABT578としても知られる)または40‐O‐エトキシエチル‐ラパマイシン(バイオリムス9としても知られる)を含む。
mTORインヒビターは、いわゆるラパログ類(例えばWO第9802441号、WO第0114387号およびWO第0364383号(これらは引例によりそのままここに組み入れられる)に開示される)や、AP23573(例えば40‐O‐(ジメチルホスフィノイル)‐ラパマイシン)のような化合物、WO第2005047295号の実施例1にてバイオリムスA9、TAFA‐93の名称で開示されている化合物類を含む。その他のmTORインヒビターは例えばWO第2004101583号,WO第9205179号、WO第9402136号、WO第9402385号、WO第9613273号に開示されており、それらは引例によりそのままここに組み入れられる。
幾つかの実施態様において、mTORインヒビターは式Iの化合物、ラパマイシンを含み、ラパログ、TAFA‐93を含み、より好ましくは、ラパマイシン、式Iの化合物、またはラパログを含む。
特定の実施態様において、mTORインヒビターはWO第9409010号の実施例8に開示される40‐O‐(2‐ヒドロキシエチル)ラパマイシンである。
その他の実施態様において、mTORインヒビターは、WO第9641807号に開示されている32‐デオキソラパマイシンまたは16-ペントー2-イニロキシ‐32(S)‐ジヒドロ‐ラパマイシン、または例えばWO第9516691号に開示されているような化合物である。
例証的mTORインヒビターとしては以下を含む。ラパマイシン、40‐O‐(2‐ヒドロキシエチル)‐ラパマイシン、32‐デオキソラパマイシン、16‐ペント‐2‐イニロキシ‐32‐デオキソラパマイシン、16‐ペント‐2‐イニロキシ‐32(SまたはR)‐ジヒドロ‐ラパマイシン、16‐ペント‐2‐イニロキシ‐32(SまたはR)‐ジヒドロ‐40‐O‐(2‐ヒドロキシエチル)‐ラパマイシン、40‐[3‐ヒドロキシ‐2‐(ヒドロキシ‐メチル)‐2‐メチルプロパノエート]‐ラパマイシン(CC1779としても知られる)、40‐エピ‐(テトラゾリル)‐ラパマイシン(ABT578としても知られる)、AP23573、バイオリムスA9、および/または、例えばTAFA‐93の名称で開示されている化合物類、例えば40‐O‐(2‐ヒドロキシエチル)‐ラパマイシン、32‐デオキソラパマイシン、CCI779、ABT578、AP23573。
その他の実施態様において、mTORインヒビターは、非制限的に次式(II)および(III)の構造を有する化合物類を含む、ピラゾロピリミジン誘導体から選択される。
式(II)または(III)の化合物類の幾つかの実施態様において、R1、R3、およびR4は、独立的に水素、ハロゲン、CN、−CF3,−OH,−NH2、−SO2、−COOH、置換/未置換アルキル、置換/未置換ヘテロアルキル、置換/未置換シクロアルキル、置換/未置換ヘテロシクロアルキル、置換/未置換アリール、または置換/未置換ヘテロアリールである。幾つかの実施態様において、R3またはR4の少なくとも1つは水素である。幾つかの実施態様において、R1、R3、およびR4は独立的に水素、または置換/未置換のC1‐C10アルキル(例えばC1‐C5アルキル、またはC1‐C3アルキル)である。R1、R3、R4も独立的に水素または未置換のC1‐C10アルキル(例えばC1‐C5アルキル、またはC1‐C3アルキル)である。
式(II)または式(III)の幾つかの実施態様において、R1、R3およびR4は独立的に水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−SO2、−COOH、R7を置換/未置換のアルキル、R7を置換/未置換のヘテロアルキル、R7を置換/未置換のシクロアルキル、R7を置換/未置換のヘテロシクロアルキル、R7を置換/未置換のアリール、またはR7を置換/未置換のヘテロアリールである。R7は独立的にオキソ、ハロゲン、−CN、CF3、−OH、−NH2、−SO2、−COOH、R8を置換/未置換のアルキル、R8を置換/未置換のヘテロアルキル、R8を置換/未置換のシクロアルキル、R8を置換/未置換のヘテロシクロアルキル、R8を置換/未置換のアリール、またはR8を置換/未置換のヘテロアリールである。R8は独立的にハロゲン、オキソ、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−SO2、−COOH、未置換アルキル、未置換ヘテロアルキル、未置換シクロアルキル、未置換ヘテロシクロアルキル、未置換アリール、または未置換ヘテロアリールである。幾つかの実施態様において、R1は置換/未置換アルキル、または置換/未置換ヘテロシクロアルキルである(例えばモルフォリノ)。幾つかの実施態様において、R1は−C(O)R8Aで置換され、ここでR8Aは未置換アルキルである。
式IIの幾つかの実施態様において、R2は独立的に水素、ハロゲン、−CN、−CF3OR5、−NH2、−SO2、−COOH、置換/未置換のアルキル、置換/未置換のヘテロアルキル、置換/未置換のシクロアルキル、置換/未置換のヘテロシクロアルキル、置換/未置換アリール、または置換/未置換のヘテロアリールである。幾つかの実施態様において、R2は独立的に水素、−OR5、−CN、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、または置換/未置換アルキルである。R5は独立的に水素、置換/未置換アルキル、置換/未置換ヘテロアルキル、置換/未置換シクロアルキル、置換/未置換ヘテロシクロアルキル、置換/未置換アリール、または置換/未置換ヘテロアリールである。幾つかの実施態様において、R5は、水素、または置換/未置換アルキル(例えば未置換C1−C5アルキル)である。
R2は独立的に、水素、ハロゲン、−OR5、−CN、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、R9を置換/未置換のアルキル、R9を置換/未置換のヘテロアルキル、R9を置換/未置換のシクロアルキル、R9を置換/未置換のヘテロシクロアルキル、R9を置換/未置換のアリール、またはR9を置換/未置換ヘテロアリールである。R9は独立的にハロゲン、オキソ、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−SO2、−COOH、R10を置換/未置換のアルキル、R10を置換/未置換のヘテロアルキル、R10を置換/未置換のシクロアルキル、R10を置換/未置換のヘテロシクロアルキル、R10を置換/未置換のアリール、またはR10を置換/未置換のヘテロアリールである。R10は独立的にハロゲン、オキソ、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−SO2、−COOH、未置換アルキル、未置換ヘテロアルキル、未置換シクロアルキル、未置換ヘテロシクロアルキル、未置換アリール、または未置換ヘテロアリールである。その他の実施態様において、R2は−OR5である。幾つかの関連実施態様において、R5は水素または未置換C1−C5アルキル(例えば水素)である。
式(II)または(III)の幾つかの実施態様において、R5は独立的に水素、R11を置換/未置換のアルキル、R11を置換/未置換のヘテロアルキル、R11を置換/未置換のシクロアルキル、R11を置換/未置換のヘテロシクロアルキル、R11を置換/未置換のアリール、またはR11を置換/未置換のヘテロアリールである。R11は独立的にハロゲン、オキソ、−CN、CF3、−OH、−NH2、−SO2、−COOH、R12を置換/未置換のアルキル、R12を置換/未置換のヘテロアルキル、R12を置換/未置換のシクロアルキル、R12を置換/未置換のヘテロシクロアルキル、R12を置換/未置換のアリール、またはR12を置換/未置換のヘテロアリールである。R12は独立的にハロゲン、オキソ、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−SO2、−COOH、未置換アルキル、未置換ヘテロアルキル、未置換シクロアルキル、未置換ヘテロシクロアルキル、未置換アリール、または未置換ヘテロアリールである。
式(III)の幾つかの実施態様において、R6は独立的に水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−OR5、−NH2、−SO2、−COOH、置換/未置換アルキル、置換/未置換ヘテロアルキル、置換/未置換シクロアルキル、置換/未置換ヘテロシクロアルキル、置換/未置換アリール、または置換/未置換ヘテロアリールである。R6も独立的に水素、−OR5、−CN、ハロゲン、または置換/未置換アルキル(例えば未置換C1−C5アルキル)である。R5は上で、式(I)の記述中に定義されている。幾つかの実施態様において、R6は独立的に水素、−OR5、−CN、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、またはR13を置換/未置換のアルキル、R13を置換/未置換のヘテロアルキル、R13を置換/未置換のシクロアルキル、R13を置換/未置換のヘテロシクロアルキル、R13を置換/未置換のアリール、またはR13を置換/未置換のヘテロアリールである。R13は独立的にハロゲン、オキソ、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−SO2、−COOH、R14を置換/未置換のアルキル、R14を置換/未置換のヘテロアルキル、R14を置換/未置換のシクロアルキル、R14を置換/未置換のヘテロシクロアルキル、R14を置換/未置換のアリール、またはR14を置換/未置換のヘテロアリールである。R14は独立的にハロゲン、オキソ、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−SO2、−COOH、未置換アルキル、未置換ヘテロアルキル、未置換シクロアルキル、未置換ヘテロシクロアルキル、未置換アリール、または未置換ヘテロアリールである。R6も、独立的に水素、−OR5、−CN、ハロゲン、−NH2、−SH、−CN、CF3NO2、ハロゲン、または未置換C1−C5アルキルである。幾つかの実施態様において、R6は水素である。
式(II)または(III)の幾つかの実施態様において、R3およびR4は水素である。式(II)の幾つかの実施態様において、nは1または2である。式(II)の幾つかの関連実施態様において、nは1である。その他の関連実施態様において、R2は−OR5で、nは1である。また別の関連実施態様においてR5は水素である。式(III)の幾つかの実施態様において、zは1ないし2の整数である。幾つかの実施態様において、zは1である。
幾つかの実施態様において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13および/またはR14は、サイズが制限された置換基である。幾つかの実施態様において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13および/またはR14は、C1−C10、C1−C5アルキルまたはC1−C3アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなどであり、これらはここに記載のように任意に置換されている。幾つかの実施態様においてR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13および/またはR14は、2〜10員の、2〜5員の、または2〜3員のヘテロアルキルで、ここに記載のように任意に置換されている。幾つかの実施態様において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13および/またはR14は、C3−C10、C3−C8、C3−C6またはC3−C5シクロアルキル、非制限的にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどであり、これらはここに記載のように任意に置換されている。幾つかの実施態様において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13および/またはR14は、3員の、4員の、5員の、6員の、7員の、8員の、9員の、または10員のヘテロシクロアルキルであり、これらは非制限的にアジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、ジヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ピペリジン、ジヒドロピラン、ジヒドロチオピラン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピランを含み、これらはここに記載のように任意に置換されている。幾つかの実施態様において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13および/またはR14は、C6〜C10 アリールであり、これらは非制限的に、ここに記載されたように任意に置換されたフェニルまたはナフチルを含む。幾つかの実施態様において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13および/またはR14はここに記載のように5〜10員あるいは5〜6員のヘテロアリールで、これらはここに記載のように任意に置換されている。
その他の実施態様において、生物学的活性剤(例えば式(II)または(III)の化合物)は次の化合物類から選択される:
3.2.5.Sykインヒビター
代替的に、またはそれに加えて、抗原提示細胞(例えば樹状細胞、B細胞など)における免疫寛容原性は、Syk経路を阻止することによって刺激され得る。これらは例えばColonnaら(2010. J Immunol. 185(3):1532-43)、Matsubaraら(2006. Am J Respir Cell Mol Biol. 34(4):426-433)、Nakashimaら(2004. Eur J Pharmacol. 505(1-3):223-228)に記載される。こうして本発明もSykインヒビターを、全体的または部分的にアグリカンポリペプチド(例えばcit‐アグリカン ポリペプチド)に対応する抗原、またはこの抗原を発現し得る核酸分子と組み合わせて使用し、アグリカンポリペプチドに対する免疫を抑制し、被検体の関節損傷を治療または阻止することを考えている。
ここに用いるように、Syk経路インヒビター類は、Syk経路を通るシグナルを減らし、または免疫細胞、特に抗原提示細胞のSykの機能的活性レベルを低下させるいかなる分子または化合物をも含む。Sykインヒビターは、種々の形を取ることができ、その非制限的な例としては、小分子、核酸、ペプチド類、ポリペプチド類、ペプチド類似物、などである。
幾つかの実施態様において、Sykインヒビターは、米国特許第6,432,963号に開示されており、これは引例によりそのままここに組み入れられる。例証的化合物は、例えばコラム3、ライン45とコラム6、ライン22の間に設定された定義によって包含され、特に、以下からなる群より選択される。2‐(2‐アミノエチルアミノ)‐4‐(3‐メチルアニリノ)ピリミジン‐5‐カルボキサミド、 2‐(2‐アモミノエチルアミノ)‐4‐(3‐トリフルオロメチルアニリノ)ピリミジン‐5‐カルボキサミド‐e、 2‐(4‐アミノブチルアミノ)‐4‐(3‐トリフルオロメチルアニリノ)ピリミジン‐5‐カルボキサミド、 2‐(2‐アミノエチルアミノ)‐4‐(3‐ブロモアニリノ)ピリミジン‐5‐カルボキサミド、 2‐(2‐アミノエチルアミノ)‐4‐(3,5‐ジメチルアニリノ)ピリミジン‐5‐カルボキサミド、 2‐(2‐アミノエチルアミノ)‐4‐(2‐ナフチルアミノ)ピリミジン‐5‐カルボキサミド、 2‐(cis‐2‐アミノシクロヘキシルアミノ)‐4‐(3‐メチルアニリノ)ピリミジン‐5‐カルボキサミド‐e、 2‐(cis‐2‐アミノシクロヘキシルアミノ)‐4‐(3‐ブロモアニリノ)ピリミジン‐5‐カルボキサミド、2‐(cis‐2‐アミノシクロヘキシルアミノ)‐4‐(3,5‐ジクロロアニリノ)ピリミジン‐5-カルボキサミド、 および2‐(cis‐2‐アミノシクロヘキシルアミノ)‐4‐(3,4,5‐トリメトキシアニリノ)ピリミジン‐5‐カルボキサミド、 またはそれらの塩。このような化合物の合成法は、コラム6、ライン43からコラム13、ライン17の間に記載される。
本発明に用いられるSyk インヒビターも、米国特許出願第2004/0029902号に開示されている化合物類を含み、これは引例によりここに組み入れられる。パラグラフ[0109]〜[0218]に提示された定義によって包含される化合物および特に、以下からなる群より選択される。N2,N4‐[(2,2‐ジメチル‐4H‐ベンゾ[1,4]オキサジン‐3‐オン)‐6‐イル]‐5‐フルオロ‐2,4‐ピリミ‐ジンジアミン、 N4‐(3,4‐ジクロロフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐(インダゾリン‐6‐イル)‐2,4‐ピリミジンジアミン, N4‐(3,4‐エチレンジオキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐(1‐メチル‐インダゾリン‐5‐イル)‐2,4‐p‐イリミヂンジアミン、 N2,N4‐ビス(3‐ヒドロキシフェニル)‐5‐フルオロ2,4‐ピリミジンジアミン、 N2,N4ビス(3,4‐エチレンジオキシフェニル)‐5‐フルオロ‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(1,4‐ベンゾキサジン‐6‐イル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐(N‐メチルアミノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N2,N4‐ビス(3‐アミノフェニル)‐5‐フルオロ‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3,4‐)エチレンジオキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐(N‐メチルアミノ)‐カルボニルメチル‐レネオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N4‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐N2‐[3‐(N‐メチルアミノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐5‐トリフルオロメチル‐N2‐[3‐(N‐メチルアミノ)カルボニルメチル‐レネオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N4‐[(1H)‐インドール‐6‐イル]‐N2‐[3‐(N‐メチルアミノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N4‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐N2‐[3‐(N‐メチルアミノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N2‐(3‐メチルアミノカルボニルメチレンオキシフェニル)‐N4‐[2‐H‐ピリド[3,2‐b]‐1,4‐オキサジン‐3(4H)‐オン‐6‐イル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3,4‐エチレンジオキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐(2‐ヒドロキシエチル‐アミノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N4‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐N2‐[3‐(N‐メチルアミノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N2,N4‐ビス(インドール‐6‐イル)‐5‐フルオロ‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N2‐[2‐(2‐ヒドロキシ‐1,1‐ジメチルエチルアミノ)カルボニルベンゾフラン‐5‐イル]‐N4‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N2‐[3‐(N2,3‐ ジヒドロキシプロピルアミノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐N4‐(3,4‐エチレンジオキシフェニル)‐5‐フルオロ‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N2‐(3,5‐ジメトキシフェニル)‐N4‐(3,4‐エチレンジオキシフェニル)‐5‐フルオロ‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3,4‐エチレンジオキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐(1,3‐オキサゾール‐5‐イル)フェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3,4‐エチレンジオキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐(N‐メチルアミノ)‐カルボニルメチル‐レネオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N2‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐N4‐[4‐(3‐フェニル‐1,2‐4‐オキサジアゾール‐5‐イル)メチル‐エネオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3,4‐エチレンジオキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐(インダゾリン‐6‐イル)‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N4‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐N2‐(インダゾリン‐6‐イル)‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3,4‐エチレンジオキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐(1‐メチル‐インダゾリン‐5‐イル)‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N4‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐N2‐(メチル‐インダゾリン‐5‐イル)‐2,4‐ピリミジンジアミン、
N4‐(3,4‐エチレンジオキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[4‐(3‐フェニル‐1,2,4‐オキサジアゾール‐5‐イル)メチレノキシフェニル]2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3,5‐ジメチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐[2‐(N‐モルフォリノ)エチレン‐エポキシ]フェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3,5‐ジメチル)‐4‐ヒドロキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐[2‐(N‐モルフォリノ)エチロキシ]フェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3‐クロロ‐4‐ヒドロキシ‐5‐メチルフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐[2‐(N‐モルフォリノ)エチロキシ]フェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N2‐(3‐tert‐ブチルカルボニルアミノフェニル)‐N4‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐5‐フルオロ‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3‐tert‐ブチルフェニル)‐N2‐[3‐(N‐メチルアミノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐5‐フルオロ‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3‐tert‐ブチルフェニル)‐N2‐[3‐(N2,3‐ジヒドロキシプロピルアミノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐5‐フルオロ‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N2‐[3‐(N2,3‐ジヒドロキシプロピルアミノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐5‐フルオロ‐N4‐(3‐イソプロピルフェニル)‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐[4‐(シアノメチレンオキシ)フェニル]‐5‐フルオローN2‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3,5‐ジメチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐(N‐ピペラジノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3,5‐ジメチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐[2‐(N‐ピペラジノ)エトキシ]‐フェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン ビス塩化水素塩、 N4‐(3,4‐エチレンジオキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[4‐(2‐ヒドロキシエチロキシ)フェニル]‐2,‐4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(1,4‐ベンゾオキサジン‐3‐オン‐6‐イル)‐5‐フルオロ‐N2‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐2,4‐ピリミジンジアミン、 (+/−)‐5‐フルオロ‐N2-[(N‐メチルアセトアミド‐2)‐3‐フェノキシ]‐N4‐(2‐メチル‐1,4‐ベンゾキサジン‐6‐イル)‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N2‐(1,4‐ベンゾキサジン‐3‐オン‐6‐イル)‐5‐フルオロ‐N4‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3‐クロロ‐4‐トリフルオロメトキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐(N‐メチルアミノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N4‐(3‐ヒドロキシ‐4‐メチルフェニル)‐N2‐[3‐[(N‐メチルアミノ)カルボニルメチレンオキシ]フェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N4‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐N2‐[4‐メチル‐3‐[(N‐メチルアミノ)カルボニルメチレンオキシ]フェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N4‐(3‐ヒドロキシ‐4‐メチルフェニル)‐N2‐[3[(N‐メチルアミノ)カルボニルメチレンオキシ]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3‐クロロ‐4‐メチルフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐(N‐メチルアミノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3‐クロロ‐4‐メトキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐(N‐メチルアミノ)‐カルボニルメチレンオキシ]フェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N4‐1(1H)‐インドール‐5‐イル]‐N2‐[3‐[(N‐メチルアミノ)カルボニルメチレンオキシ]‐フェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N4‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐N2‐[1‐(3‐ヒドロキシプロピル)インダゾリン‐6‐イル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3,4‐エチレンジオキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[1‐(3‐ヒドロキシプロピル)インダゾリン‐5‐イル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N4‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐N2‐[1‐(3‐ヒドロキシプロピル)インダゾリン‐5‐イル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N2‐[1‐(3‐ヒドロキシプロピル)インダゾリン‐5‐イル]‐N4‐(4‐イソプロポキシフェニル)‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3,4‐エチレンジオキシフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[1‐[2(N‐メチルアミノカルボニル)エチル‐1]インダゾリン‐5‐イル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N4‐(4‐イソプロポキシフェニル)‐N2‐[1‐[2N‐メチルアミノカルボニル)エチル]‐インダゾリン‐5‐イル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐[(2,2‐ジメチル‐4H‐ベンゾ[1,4]オキサジン‐3‐オン)‐6‐イル]‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐(メチル‐アミノカルボニルメチレンオキシ)フェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐[(2,2‐ジメチル‐4H‐ベンゾ[1,4]オキサジン‐3‐オン)‐6‐イル]‐5‐フルオロ‐N2‐(1‐メチルインダゾリン‐5‐イル)‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐[2,2‐ジフルオロ‐4H‐ベンゾ[1,4]オキサジン‐3‐オン)‐6‐イル]‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐(メチルアミノカルボニルメチレンオキシ)フェニル]‐2,4‐ピリミジンヂアミン、 N4‐1(2,2‐ジメチル‐4H‐5‐ピリドール‐1,4]オキサジン‐3‐オン)‐6‐イル]‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐(メチル‐アミノカルボニル‐メチレンオキシ)フェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 5‐フルオロ‐N2‐(3‐メチルアミノカルボニルメチレンオキシフェニル)‐N4‐[2H‐ピリド[3,2‐b‐]‐1,4‐オキサジン‐3(4H)‐オン‐6‐イル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(4‐アミノ‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1‐ベンゾピラン‐6‐イル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐(N‐メチルアミノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3‐クロロ‐4‐ヒドロキシ‐5‐メチルフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐[2‐(N‐ピペラジノ)エトキシ]フェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 N4‐(3‐メチルカルボニルオキシムフェニル)‐5‐フルオロ‐N2‐[3‐(N‐メチルアミノ)カルボニルメチレンオキシフェニル]‐2,4‐ピリミジンジアミン、 またはそれらの塩。このような化合物類は、例えば米国特許出願第2004/0029902号のパラグラフ[0218]〜[0260]に記載されている方法によって合成でき、これは参照によりここに組み入れられる。
その他の実施態様において、Sykインヒビターは米国特許出願第2010/0316649号に記載されている化合物類から選択され、これらは参照によってここに組み入れられる。このタイプの典型的化合物は下記の式IzおよびIbによって表される。
式 Izによる化合物類を以下に示す:
この式中、
R1はアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、ヘテロサイクリル、置換されたヘテロサイクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アシル、アシルアミノ、およびアシロキシから選択され、
R2aおよびR2bは、独立的に、水素、アルキル、置換されたアルキル、アシル、アシルアミノ、アシロキシ、−SOアルキル、−SOアリール、−SOヘテロアリール、−SO2アルキル、−SO2アリール、−SO2ヘテロアリール、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、およびヘテロアラルキルから選択され、およびここでR2aまたはR2bが存在し、
R3は水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、アシル、アシルアミノ、アミノアシル、アシロキシ、オキシアシル、アミノ、置換されたアミノ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、および置換されたヘテロアリールから選択され、
R5は、水素、アルキル、および置換されたアルキルから選択され、
R6は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アシル、アシルアミノ、アシロキシ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択され、
またはそれらの塩またはステレオ異性体。
式Ib による化合物類は、下に示される。
ここで
R1は、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、ヘテロシクリル、置換されたヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アシル、アシルアミノ、およびアシロキシから選択され、
R2aおよびR2bは、独立的に、水素、アルキル、置換されたアルキル、アシル、アシルアミノ、アシロキシ、−SOアルキル、−SOアリール、−SOヘテロアリール、−SO2アルキル、−SO2アリール、−SO2ヘテロアリール、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、およびヘテロアラルキルから選択され、およびここでR2aまたはR2bが存在し、
R3は水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、アシル、アシルアミノ、アミノアシル、アシロキシ、オキシアシル、アミノ、置換されたアミノ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、および置換されたヘテロアリールから選択され、
R4は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アミノ、または‐NR5R6から選択され、
R5は、水素、アルキル、および置換されたアルキルから選択され、
R6はアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、ヘテロシクリル、置換されたヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アシル、アシルアミノ、およびアシロキシから選択され、
またはそれらの塩またはステレオ異性体。
式Izによる化合物の例証的例は下記から選択される:3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(2,4‐ジヒドロ‐2‐オキソ‐1H‐ベンゾ[d][1,3]オキサジン‐7‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; N‐(4‐(3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐7‐シアノ‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)‐フェニル)アセトアミド; N‐(4‐(3‐(3‐トリフルオロメチル)フェニルアミノ)‐7‐シアノ‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)フェニル)アセトアミド: 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(5‐メトキシ‐1H‐インドール‐3‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b‐]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(1H‐インドール‐5‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(1H‐インドール‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジクロロフェニルアミノ)‐2‐(2,4‐ジヒドロ‐2‐オキソ‐1H‐ベンゾ[d][1,3]オキサジン‐7‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(4‐フェノキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐e‐7‐カルボニトリル; 3‐(3‐シアノフェニルアミノ)‐2‐(3,4‐ジヒドロ‐3‐オキソ‐2H‐ベンゾ[b][1,4]オキサジン‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; メチル3‐(7‐シアノ‐2‐(3,4‐ジヒドロ‐3‐オキソ‐2H‐ベンゾ[b][1,4]オキサジン‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1‐,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンゾエート; 3‐(2,4,4‐トリメチルペンタン‐2‐イルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ‐[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; N‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イル)‐2,2,‐2‐トリフルオロアセトアミド; メチル4‐(7‐シアノ‐2‐(2,4‐ジヒドロ‐2‐オキソ‐1H‐ベンゾ[d][1,3]オキサジン‐7‐イル)‐1H‐イミダゾ[1‐,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンゾエート; 3‐(3‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐(2,4‐ジヒドロ‐2‐オキソー1H‐ベンゾ[d][1,3]オキサジン‐7‐イル‐)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(2,4‐ジヒドロ‐2‐オキソ‐1H‐ベンゾ[d][1,3]オキサジン‐7‐イル)‐6‐メチル‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐アミノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; N‐(7‐(シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イル)‐3‐フルオロ‐4‐(トルフルオロメチル)ベンザミド; N‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イル)ベンザミド; N‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イル)‐4‐フルオロベンザミド; N‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イル)‐3‐メトキシベンザミド; 3‐(3,4‐ジクロロフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐ブロモフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(6‐メトキシ‐1H‐インドール‐3‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐モルフォリノフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4,5‐トリメトキシフェニルアミノ)‐2‐(1H‐インドール‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐モルフォリノフェニルアミノ)‐2‐(1H‐インドール‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]‐ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4,5‐トリメトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]‐ピラゾール‐7‐カルボニトリル; N‐(3‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)フェニル)アセトアミド; N‐(3‐(7‐シアノ‐2‐(3,4‐ジヒドロ‐3‐オキソ‐2H‐ベンゾ[b][1,4]オキサジン‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)フェニル)アセトアミド; N‐(3‐(7‐シアノ‐2‐(3,4‐ジメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)‐フェニル)アセトアミド; N‐(3‐(7‐シアノ‐2‐(4‐(メチルチオ))フェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ‐)フェニル)アセトアミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐3‐(3‐アセトアミドフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)フェニル)アセトアミド; 3‐(3‐メトキシベンジルアミノ)‐2‐(3,4‐ジヒドロ‐3‐オキソ‐2H‐ベンゾ[b][1,4]オキサジン‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(2,4‐ジフルオロフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐)ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4‐ジフルオロフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(2,3‐ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン‐7‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; N‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イル)‐5‐フェニル‐1,3,4‐オキサジアゾール‐2‐カルボキサミド; 3‐(3,4‐ジメトキシフェネチルアミノ)‐2‐(3,4‐ジヒドロ‐3‐オキソ‐2H‐ベンゾ[b][1,4]オキサジン‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェネチルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; N‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イル)‐2‐(3‐,4‐ジメトキシフェニル)アセトアミド: 3‐(4‐モルフォリノフェニルアミノ)‐2‐(3,4‐ジヒドロ‐3‐オキソ‐2H‐ベンゾ[b][1,4]オキサジン‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐(1H‐インドール‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐ブロモフェニルアミノ)‐2‐(3,4‐ジヒドロ‐3‐オキソ‐2H‐ベンゾ[b][1,4]オキサジン‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3‐メトキシベンジルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル: N‐(3‐(7‐シアノ‐2‐(1H‐インドール‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)フェニル)アセトアミド; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(4‐(メチルスルフォニル)フェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(2,3‐ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン‐6‐イルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(2,3‐ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン‐6‐イルアミノ)‐2‐(3,4‐ジヒドロ‐3‐オキソ‐2H‐ベンゾ[b][1,4]オキサジン‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(ベンゾ[d][1,3]ジオキソ‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(3‐フルオロ‐4‐メトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 2‐ブロモ‐N‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イル)アセトアミド;N‐(7‐シアノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]‐ピラゾール‐3‐イル)‐2‐フェノキシアセトアミド; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐ベンジル‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 2‐(3,4‐ジクロロフェニル)‐N‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イル)アセトアミド; 3‐(3,4,ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリフルオロフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(3‐クロロ‐4,5‐ジメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[‐1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(2,3‐ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン‐6‐イルアミノ)‐2‐(1H‐インドール‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ‐[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)フェニル)アセトアミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(6‐メトキシ‐1H‐インドール‐3‐イル)‐1H‐イミダゾ‐[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)フェニル)アセトアミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2(2,3‐)ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン‐7‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)フェニル)アセトアミド; 3‐(3,4‐ジフルオロフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; tert‐ブチル4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)‐ベンジルカ
ルバメート; 3‐(4‐(アミノエチル)フェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; メチル3‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)‐ベンゾエート; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4‐ジヒドロ‐3‐オキソ‐2H‐ベンゾ[b][1,4]オキサジン‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)フェニル)アセトアミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4‐ジメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)‐フェニル)アセトアミド; 3‐(2,3‐ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン‐6‐イルアミノ)‐2‐(3‐ヒドロキシ‐4,5‐ジメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; メチル4‐(7‐シアノ‐2‐(3‐ヒドロキシ‐4,5‐ジメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンゾエート; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)アセトアミド; tert‐ブチル‐4‐((7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾ‐1‐3‐イルアミノ)メチル)ピペリジン‐1‐カルボキシレート; 3‐((ピペリジン‐4‐イル)メチルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3‐フルオロ‐4‐(4‐(ピロリジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル: (S)‐メチル2‐(7‐シアノ‐2‐(3,4、5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)‐3‐フェニルプロパノエート; メチル3‐(2(3‐クロロ‐4,5‐ジメトキシフェニル)‐7‐シアノ‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンゾエート; メチル3‐(2‐(3‐クロロ‐4,5‐ジメトキシフェニル)‐7‐シアノ‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンゾエート; 3‐(3,4,5‐トリメトキシフェニルアミノ)‐2‐(4‐モルフォリノフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐ブロモフェニルアミノ)‐2‐(4‐モルフォリノフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 4‐(3‐(3,4,5‐トリメトキシフェニルアミノ)‐7‐シアノ‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)‐ベンザミド; 3‐アミノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐5‐(4‐メトキシフェニル)‐5H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐5H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)ニコチンアミド; メチル3‐(2‐(4‐((メトキシカルボニル)メトキシ)‐3‐メトキシフェニル)‐7‐シアノ‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンゾエート; 3‐(2,3‐ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン‐6‐イルアミノ)‐2‐(4‐(メトキシカルボニル)メトキシ)‐3‐メトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 2‐(5‐(7‐シアノ‐3‐(3‐(メトキシカルボニル)フェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)酢酸; 3‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1‐,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 6‐(4‐クロロフェニル)‐2‐(3,4‐ジメトキシフェニル)‐5H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐5H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)‐3,4‐ジメトキシベンザミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐5H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)‐3‐(4‐ヒドロキシフェニル)プロパンアミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐5H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)‐3‐(ピペリジン‐1‐イル)プロパンアミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐5H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)‐4‐シアノベンザミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐5H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)‐1‐メチルピペリジン‐4‐カルボキサミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐5H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)‐1H‐インドール‐3‐カルボキサミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐5H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イラミノ)ベンジル)‐1,6‐ジヒドロ‐6‐オキソピリジン‐3‐カルボキサミド; 3‐((1‐ニコチノイルピペリジン‐4‐イル)メチルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐5H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 4‐(3‐(2,3‐ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン‐6‐イルアミノ)‐7‐シアノ‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)ベンザミド; 4‐(3‐(4‐ブロモフェニルアミノ)‐7‐シアノ‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)ベンザミド; メチル2‐(4‐(7‐シアノ‐3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)アセテート; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(3‐ヒドロキシ‐4,5‐ジメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ‐[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 2‐(4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)‐3‐メトキシフェニル)‐3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニルアミノ)‐2(3、4‐ジメトキシフェニル)‐5H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 4‐(3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐7‐シアノ‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)ベンザミド); 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(4‐モルフォリノフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(3‐モルフォリノフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(3‐(シクロペンチルオキシ)‐4‐メトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(4‐(2‐ピロリジン‐イル)エトキシ)‐1H‐イミダゾ[1‐,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 2‐(4‐(2‐メトキシエトキシ)‐3‐メトキシフェニル)‐3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4‐ジヒドロ‐3‐オキソー2H‐ベンゾ[b][1,4]オキサジン‐6‐イル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3‐(トリフルオロメトキシ)フェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ‐[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3‐クロロ‐4‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1‐,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(3‐ヒドロキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; メチル2‐(4‐(7‐シアノ‐3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)‐フェノキシ)アセテート; N‐(3‐(7‐シアノ)‐3‐(3,4‐)ジメトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)‐フェニル)メタンスルホンアミド;N‐(3‐(7‐シアノ)‐3‐(3,4‐ジmrトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)‐フェニル)メタンスルホンアミド; 3‐(3‐(シクロペンチルオキシ)‐4‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 2‐(4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)‐3‐メトキシフェニル)‐3‐(4‐)フルオロ‐3‐メトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 4‐3‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニルアミノ)‐7‐シアノ‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)ベンザミド; 3‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐(3‐ヒドロキシ‐4,5‐ジメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐(3‐(シクロペンチルオキシ)‐4‐メトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐フルオロ‐3‐メチルフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3‐フルオロ‐4‐メチルフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 2‐(4‐(2‐メトキシエトキシ)‐3‐メトキシフェニル)‐3‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; メチル2‐(4‐(7‐シアノ‐3‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)アセテート; 2‐(4‐(2‐モルフォリノエトキシ)フェニル)‐3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 2‐(5‐(7‐シアノ‐3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)アセトアミド; 3‐(3‐イソプロポキシ‐4‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐)トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3‐フルオロ‐4‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐(シクロペンチルオキシ)‐3‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐(2‐(ピロリジン‐1‐イル)エトキシ‐3‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐
(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐フルオロ‐3‐(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐(トリフルオロメトキシ)フェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾー[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐クロロ‐3‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(4‐フルオロ‐3‐イソプロポキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3‐フルオロ‐4‐(ピロリジン‐1‐イル)フェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 2‐(4‐(7‐シアノ‐3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)アセトアミド; 3‐(3,4‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(4‐メトキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,4‐ジヒドロ‐3‐オキソ‐2H‐ベンゾ[b][1,4]オキサジン‐6‐イルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 2‐(5‐(7‐シアノ‐3‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)アセトアミド; 2‐(4‐(7‐シアノ‐3‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)アセトアミド; 2‐(4‐(7‐シアノ‐3‐(3,4‐(ジメトキシフェニルアミノ)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐2‐イル)‐2‐メトキシフェノキシ)‐N‐シクロプロピルアセトアミド; 3‐(3‐クロロ‐4‐イソプロポキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,5‐ジメトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]‐ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3,5‐ジフルオロ‐4‐メトキシフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3‐エトキシ‐4‐フルオロフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; 3‐(3‐(シクロペンチルオキシ)‐4‐フルオロフェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル; N‐(3‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)ニコチンアミド; N‐(3‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)ピコリンアミド; N‐(3‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)イソニコチンアミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)ピコリンアミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)イソニコチンアミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)‐6‐シアノピリジン‐3‐カルボキサミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)‐2‐メチルピリジン‐3‐カルボキサミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)‐2‐メトキシピリジン‐3‐カルボキサミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)‐6‐メチルピリジン‐3‐カルボキサミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)‐4‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐3‐カルボキサミド; N‐(4‐(7‐シアノ‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミダゾ[1,2‐b]ピラゾール‐3‐イルアミノ)ベンジル)‐6‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐3‐カルボキサミド; および3‐(3‐フルオロ‐4‐(メチルチオ)フェニルアミノ)‐2‐(3,4,5‐トリメトキシフェニル)‐1H‐イミド‐アゾ[1,2‐b]ピラゾール‐7‐カルボニトリル。
また別の実施態様において、Sykインヒビターは、例えば米国特許出願第2011/0245205号に開示されているように、アミノピリジン化合物類から選択してもよく、これは引例としてここにそのまま組み入れられる。このタイプの非制限的インヒビター化合物は、式(IV)またはその薬学的に許容される塩によって表される。
この式において、
R1は、以下の(a)〜(p)より選択される。(a)水素 (b)ハロゲン (c)CN (d)ORa、C3−6シクロアルキル、ハロゲンから独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたC1−6アルキル (e)OC1−6アルキルで任意に置換されたC2−6アルケニル (f)C2−6アルキニル (g)C3−6シクロアルキル (h)OH (i)以下の(i)〜(vii)より独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換された−O−C1−6アルキル:{(i)アリール(ii)C1−6アルキルから独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換された5員もしくは6員のヘテロアリール(iii)オキソ、ハロゲン、C1−6アルキルから独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換された4〜8員のヘテロシクリル(iv)−CO2Ra(v)−CONRbRc(vi)−NRbRc(vii)−ORa} (j)−A−X(ここでAは結合あるいはOであり、Xは以下の(i)〜(iii)から選択される:{(i)ハロゲン、C1−6アルキル、−C1−6ハロアルキル、−C1−6ヒドロキシアルキル、CORa、CO2Raから独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換された4〜8員のヘテロシクリル(ii)C1−6アルキル、−ORa、−CO2Ra、−NRbRcから独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたC3−6シクロアルキル(iii)ORaで任意に置換されたベンジルで任意に置換されたヘテロアリール}) (k)O−CH2C.ident.C‐ピリミジニル (l)−S(O)n−C1−6アルキル (m)−CORa (n)−CO2Ra (o)−CONRbRc (p)−NRbRc。
R2は、以下の(a)〜(f)より選択される:(a)H (b)ハロゲン (c)C1−6アルキル (d)O−C1−6アルキル (e)C1−6ハロアルキル (f)O−C1−6ハロアルキル。もしくは、R1とR2の隣合う炭素原子は、合わせて(CH2)3‐4の構造を示す。
R3は、H、ハロゲン、ORa、またはC1−4アリルである。
R4は、以下(a)〜(l)より選択される。(a)H (b)ハロゲン (c){(i)ハロゲン(ii)ORa(iii)OC(O)Ra(iv)NRbRc(v)NHC(O)Ra(vi)NHC(O)NHRb}から独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたC1−6アルキル (d)C2−6アルケニル (e)C2−6アルキニル (f)C3−6シクロアルキル (g)ORa (h)NO2 (i)NRbRc (j)NHC(O)Ra (k)NHC(O)NHRb (l)NHC(O)NHC(O)NRbRc。
R5は、以下の(a)〜(h)より選択される。(a)H (b)ハロゲン (c)C1−8アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル(それぞれRyから独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換される) (d)C3−12炭素環あるいは炭素が連結した3〜12員のヘテロシクリル(それぞれRzから独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換される) (e)(一つ以上のOH、CN、あるいはヘテロ環で任意に置換された)C1−3アルキルで任意に置換されたヘテロアリール (f)−C(O)Ra (g)−C(O)2Ra (h)−C(O)NRbRc。
R5(i)は、HおよびC1−3アルキルから選択される。
Raは、以下の(a)〜(g)より選択される。(a)H (b)以下の(i)〜(xiv)より独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたC1−6アルキル:{(i)ハロゲン (ii)CN (iii)OH (iv)OC1−4アルキル (v)オキソで任意に置換されたヘテロシクリル (vi)OHで任意に置換されたC(O)C1−6アルキル (vii)CO2H (viii)CO2C1−6アルキル (ix)CONRb(i)Rc(i) (x)SO2C1−6アルキル (xi)−NRb(i)Rc(i) (xii)NRb(i)C(O)NRb(i)Rc(i) (xiii)フェニル (xiv)OHで任意に置換されたヘテロアリール} (c)C2−6アルケニル (d)以下の(i)〜(iv)より独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたC3−6シクロアルキル:{(i)OH (ii)CO2H (iii)CO2C1−6アルキル (iv)CONRb(i)Rc(i)} (e)以下の(i)〜(viii)より独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたフェニル:{(i)C2−6アルキニル (ii)CN (iii)ハロゲン (iv)OH (vi)OC(O)C1−6アルキル (vii)CO2H (viii)CO2C1−6アルキル} (f){C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、(CH2)1−8CO2H、OH、ハロゲン、CO2Hで任意に置換されたフェニール}から独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたヘテロアリール (g)オキソで任意に置換されたヘテロシクリル。
RbとRcは以下の(a)〜(g)より独立的に選択される。(a)H (b)以下の(i)〜(xv)より独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたC1−6アルキル:{(i)ORa (ii)ハロゲン (iii)オキソ、OH、(OHで任意に置換された)C1−6アルキルで任意に置換されたヘテロシクリル (iv)[C1−4アルキル、CH2OH、CONRb(i)Rc(i)、CO2Ra]から選択される1〜2個の基で任意に置換されたC3−6シクロアルキル (v)OH、CO2Hで任意に置換されたC1−6で任意に置換されたヘテロアリール、もしくはヘテロアリールで任意に置換されたヘテロアリール (vi)SO2NRb(i)Rc(i) (vii)SO2C1−4アルキル (viii)CONRb(i)Rc(i) (ix)NRb(i)Rc(i) (x)CO2Ra (xi)[ハロゲン、ORa、(ハロゲン、オキソで任意に置換されたヘテロ環、ORaで任意に置換された)C1−6アルキル、SO2NH2、CH2OHで任意に置換されたヘテロアリール]から独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたアリール (xii)SO3H (xiii)NRb(i)CONRb(i)Rc(i) (xiv)CN (xv)NHC(O)Ra} (c)Fで任意に置換されたC3−6アルケニル (d)以下の(i)〜(v)より独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換され、ベンゼン環と任意に融合したC3−6シクロアルキル:{(i)C1−4アルキル (ii)ORa (iii)CH2OH (iv)CO2Ra (v)CONRb(i)Rc(i)} (e)以下の(i)〜(v)より独立的に選択された1〜2個の基で任意に置換されたアリール:{(i)ORaで任意に置換されたC1−6アルキル (ii)CN (iii)ORa (iv)ハロゲン (v)OCOC1−4アルキル} (f)以下の(i)〜(iii)より独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたヘテロアリール:{(i)ORa (ii)CO2Ra (iii)OHで任意に置換されたC1−6アルキル} (g)以下の(i)〜(iii)より独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたヘテロシクリル:{(i)オキソ (ii)OH (iii)C1−6アルキル}。
RbとRc、およびそれらが結合する窒素原子は、合わせて5、6、7員のヘテロ環を形成し、ヘテロ環にはさらに、O、P(O)(C1−6アルキル)、S(O)n、N−Rxから選択されるヘテロ原子が0または1個含まれる。また、ヘテロ環は以下の(a)〜(j)より独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換される。(a)オキソ (b)チオキソ (c)以下の(i)〜(v)より独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたC1−6アルキル:{(i)ORa (ii)CO2Ra (iii)OP(O)(C1−6アルキル)2 (iv)アリール (v)ハロゲン} (d)ORa (e)C(O)Ra (f)C(O)2Ra (g)CONRb(i)Rc(i) (h)P(O)(OH)2 (i)SO2Ra (j)CN。また、RbとRc、およびそられが結合する窒素原子は、合わせて以下の化合物を形成する。
Rb(i)とRc(i)は以下の(a)、(b)より独立的に選択される。(a)H (b)OH、CO2Hで任意に置換されたC1−6アルキル、またはCO2C1−6アルキル。
Rb(i)とRc(i)、およびそれらが結合する窒素原子は、合わせて5または6員のヘテロ環を形成し、ヘテロ環にはさらに、O、S、N−Rxから選択されるヘテロ原子が0または1個含まれる。また、オキソから独立的に選択される一つ以上の基で任意に置換される。
Ruは、以下の(a)〜(e)から選択される。(a){ハロゲン、OH、SO2Ra、CONRbRc、NRbRc、フェニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール}から選択される1〜3個の基により任意で置換されるC1−6アルキル (b){OH、CO2Ra、−CONH2}で任意に置換されるC3−8シクロアルキル (c)オキソで任意に置換されるヘテロ環 (d){C2−6アルキニル、CN、ハロゲン、ORa}で任意に置換されるアリール (e)OHで任意に置換されるヘテロアリール。
Rxは、以下の(a)〜(j)から選択される。(a)H (b)ヘテロ環で任意に置換されるC1−6アルキル (c)OHまたはOC1−4アルキルで任意に置換されるフェニル (d)−C(O)−C1−6アルキル (e)−C(O)2−C1−6アルキル (f)−C(O)NH2、−C(O)NH−C1−6アルキル、−C(O)N(C1−6アルキル)2 (g)−C(O)2NHC(O)NH2、−C(O)2NHC(O)NH−C1−6アルキル、−C(O)2NHC(O)N(C1−6アルキル)2 (h)ハロゲンで任意に置換された−SO2-C1−6アルキル、アルキルで任意に置換された−SO2ヘテロアリール (i)−S(O)2NH2、−S(O)2NH−C1−6アルキル、−S(O)2N(C1−6アルキル)2 (j)−SO2NHC(O)2−C1−6アルキル。
Ryは、以下の(a)〜(z)、および(aa)から選択される。(a)以下の(i)〜(xiii)より独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたアリール:{(i)ハロゲン (ii)OHまたはCO2Raで任意に置換されたC1−6アリル (iii)CO2Raで任意に置換されたC2−6アルケニル (iv)CO2Raで任意に置換されたフェニル (v)CORa (vi)CO2Ra (vii)CONRbRc (viii)ORa (ix)S(O)nRa (x) SO2NRbRc (xi)SO2NHC(O)Ra (xii)NO2 (xiii)NHC(O)Ra} (b)以下の(i)〜(viii)より独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたヘテロアリール:{(i)ハロゲン (ii)CO2Raで任意に置換されたC1−6アルキル (iii)C3−6シクロアルキル (iv)CO2Raで任意に置換されたアリール (v)CONRbRc (vi)ORa (vii)SO2Ra (viii)CO2Ra (c)以下の(i)〜(iii)より独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたC3−8シクロアルキル:{(i)C1−6アルキル (ii)CO2Ra (iii)NRbRc} (d)CO2Raで任意に置換されたC6−8シクロアルケニル (e)ハロゲン (f)CN (g)−C(O)Ra (h)−C(O)2Ra (i) C(O)CO2Ra (j)−C(O)NRbRc (k)−C(O)NHC(O)NRbRc (l)−ORa (m)−OC(O)Ra (n)−NRbRc (o)−NHC(O)Ru (p)−NHC(O)NRbRc (q)−NHC(O)NHC(O)NH2 (r)−NHSO.sub.mRa (s)−NHSO2NRbRc (t)SOnRa (u)−SO2NRbRc (v)−SO2NHC(O)Ra (w)−SO2NHC(O)2Ra (x)SO3H (y)−P(O)(ORa)2 (z)CONHOH (aa)オキソ、チオキソ、C1−6アルキル、CO2Raより独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたヘテロシクリル。
Rzは、以下の(a)〜(d)から選択される。(a)Ryから選択される基 (b)ハロゲン、NRbRc、ORa、CN、(C1−6アルカン酸により任意に置換された)フェニル、CONRbRc、−CO2Raより独立的に選択された一つ以上の基で任意に置換されたC1−6アルキル (c)オキソ (d)NORa。
上記において、mは1または2、nは0、1、または2である。
式IVの代表的な化合物は、非制限的に以下を含む:
(1R,4S)‐4‐[5‐(3‐シクロプロピル‐5‐{[4‐(トリフルオロメチル)ピリミジン‐2‐イル]アミノ}フェニル)‐1,3‐チアゾール‐2‐イル]‐4‐ヒドロキシ‐2,2‐ジメチルシクロヘキサンカルボン酸; (1S,4R)‐4‐[5‐(3‐シクロプロピル‐5‐{[4‐(トリフルオロメチル)ピリミジン‐2‐イル]アミノ}フェニル)‐1,3‐チアゾール‐2‐イル]‐4‐ヒドロキシ‐2,2‐ジメチルシクロヘキサンカルボン酸; (1S,4R)‐4‐ヒドロキシ‐2,2‐ジメチル‐4‐{5‐[3‐メチル‐5‐(4‐メチル‐ピリミジン‐2‐イルアミノ)‐フェニル]‐1,3‐チアゾール‐2‐イル}‐シクロヘキサンカルボン酸; (1S,4R)‐4‐[5‐(3‐{[4‐(ジフルオロメチル)ピリミジン‐2‐イル]アミノ}‐5‐メチルフェニル)‐1,3‐チアゾール‐2‐イル]‐4‐ヒドロキシ‐2,2‐ジメチルシクロヘキサンカルボン酸; trans‐4‐ヒドロキシ‐4‐[5‐(3‐メチル‐5‐{[4‐(トリフルオロメチル)ピリミジン‐2‐イル]アミノ}フェニル)‐1,3‐チアゾール‐2‐イル]シクロヘキサンカルボン酸; cis‐4‐ヒドロキシ‐4‐[5‐(3‐メチル‐5‐{[4‐(トリフルオロメチル)ピリミジン‐2‐イル]アミノ}‐フェニル)‐1,3‐チアゾール‐2‐イル]シクロヘキサンカルボン酸; 5‐ヒドロキシ‐5‐[5‐(3‐メチル‐5‐{[4‐(トリフルオロメチル)ピリミジン‐2‐イル]アミノ}フェニル)‐1,3‐チアゾール‐2‐イル]アゼパン‐2‐オン; cis‐4‐[(ヒドロキシアセチル)アミノ]‐1‐[5‐(3‐メチル‐5‐{[4‐(トリフルオロメチル)ピリミジン‐2‐イル]アミノ}フェニル)‐1,3‐チアゾール‐2‐イル]シクロヘキサンカルボキサミド; (1S,4R)‐4‐ヒドロキシ‐2,2‐ジメチル‐4‐[5‐(3‐メチル‐5‐{[4‐(トリフルオロメチル)ピリミジン‐2‐イル]アミノ}フェニル)‐1,3‐チアゾール‐2‐イル]‐N‐[3‐(2‐オキソピロリジン‐1‐イル)プロピル]シクロヘキサンカルボキサミド; (1S,4R)‐4‐ヒドロキシ‐2,2‐ジメチル‐4‐[5‐(3‐メチル‐5‐{[4‐(トリフルオロメチル)ピリミジン‐2‐イル]アミノ}‐フェニル)‐1,3‐チアゾール‐2‐イル]シクロヘキサンカルボン酸; (1R,48)‐4‐ヒドロキシ‐2,2‐ジメチル‐4‐[5‐(3‐メチル‐5‐{[4‐(トリフルオロメチル)ピリミジン‐2‐イル]アミノ}‐フェニル)‐1,3‐チアゾール‐2‐イル]シクロヘキサンカルボン酸; (1S,4S)‐4‐ヒドロキシ‐2,2‐ジメチル‐4‐[5‐(3‐メチル‐5‐{[4‐(トリフルオロメチル)ピリミジン‐2‐イル]アミノ}‐フェニル)‐1,3‐チアゾール‐2‐イル]シクロヘキサンカルボン酸; (1R,4R)‐4‐ヒドロキシ‐2,2‐ジメチル‐4‐[5‐(3‐メチル‐5‐{[4‐(トリフルオロメチル)ピリミジン‐2‐イル]アミノ}‐フェニル)‐1,3‐チアゾール‐2‐イル]シクロヘキサンカルボン酸; (1RAS)‐4‐ヒドロキシ‐2,2‐ジメチル‐4‐[5‐(3‐メチル‐5‐{[4‐(トリフルオロメチル)ピリミジン‐2‐イル]アミノ}フェニル)‐1,3‐チアゾール‐2‐イル]シクロヘキサンカルボキサミド; (1S,4R)‐4‐ヒドロキシ‐2,2‐ジメチル‐4‐[5‐(3‐メチル‐5‐{[4‐(トリフルオロメチル)ピリミジン‐2‐イル]アミノ}フェニル)‐1,3‐チアゾール‐2‐イル]シクロヘキサンカルボキサミド; (1S,4R)‐4‐{5‐[3‐({4‐[(1R)‐1‐フルオロエチル]ピリミジン‐2‐イル}アミノ)‐5‐メチルフェニル]‐1,3‐チアゾール‐2‐イル}‐4‐ヒドロキシ‐2,2‐ジメチルシクロヘキサンカルボン酸; (1S,4R)4‐{5‐[3‐({4‐[(1S)‐1‐フルオロエチル]ピリミジン‐2‐イル}アミノ)‐5‐メチルフェニル]‐1,3‐チアゾール‐2‐イル}‐4‐ヒドロキシ‐2,2‐ジメチルシクロヘキサンカルボン酸; あるいはそれらの薬学的に許容される塩。
3.2.6.免疫調節性粒子の実施例
幾つかの実施例において、3.2.1章で例に挙げて説明したアグリカン抗原の少なくとも一つは、上記で述べたインヒビターの一つ以上(例えば、3.2.3章で説明したNF−κBインヒビターの一つ以上、および/または3.2.4章で例に挙げて説明したmTORインヒビターの一つ以上、および/または3.2.5章で例に挙げて説明したSykインヒビターの一つ以上)と、あるいは代替的に3.2.2章で例に挙げて説明したアグリカンAPL(ここではまとめて「生物活性物質」と呼ぶ)とともに粒子状を呈し、そのため、in vivoまたはin vitro環境下において、抗原とインヒビターは抗原提示細胞まで容易に送達される。これらのインヒビターおよび抗原、あるいはAPLは同一粒子内に存在/関連していてもよいし、異なる粒子内に存在/関連していてもよい。本発明の実施においては種々の粒子が使用されてよく、例えば非制限的に、リポソーム、ミセル、脂質粒子、セラミック/無機粒子を含み、これらの粒子は、典型的にはナノ粒子およびミクロ粒子から選択される。またこれらの粒子は、抗原提示細胞に取り込まれる(例えば食細胞活動、エンドサイトーシス)ように好適にサイズ化される。例証的実施例において、これらの粒子の大きさは約100μm未満であり、さらに好適には500nm以下としているが、約10μm程度に大きくても約数nm程度に小さくてもよい。
リポソームは基本的に、水性コアの周りの殻となるリン脂質二重層からなる。利点としては、細胞外側の薄膜層を「模して」外側の層を親油性とすることで、種々の細胞に比較的容易に取り込まれることが挙げられる。ポリマービークルは、典型的には、生体適合性ポリマーからなるマイクロ/ナノ球体、およびマイクロ/ナノカプセルで構成され、生分解性(例えばポリ乳酸)であっても非生分解性(例えばエチレンビニルアセテート)であってもよい。ポリマー素子の幾つかの利点としては、放出および分解プロファイルが制御できることに加えて、作製が容易で負荷能力が高いこと、粒径の大きさがナノメーターからミクロンの幅があることが挙げられる。
幾つかの実施例において、粒子表面には抗原結合分子が存在し、非抗原提示細胞よりも抗原提示細胞(例えば樹状細胞)において高レベルで発現するマーカーと免疫相互作用を起こす。このタイプの例示的なマーカーとしては、MGL、DCL‐1、DEC‐205、マクロファージマンノースR、DC‐SIGN、あるいは他のDC、脊髄特有(レクチン)レセプタを含み、これらは例えば、Hawigerら(2001, J Exp Med 194:769)、 Katoら2003, J Biol Chem 278:34035)、 Benitoら(2004, J Am Chem Soc 126:10355)、 Schjetne,ら(2002, Int Immunol 14:1423) and van Vlietら 2006, Nat Immunol 7(11):1200-1208; Immunobiology 211:577-585)に開示されている。
本発明の免疫調節性粒子は、生物活性物質、界面活性剤、賦形剤、高分子材料を組み合わせて作製することができる。幾つかの実施例において、免疫調節性粒子は生分解性および生体適合性を有し、治療用あるいは診断用の薬剤を送達するため、制御された速度で生分解することが任意で可能である。免疫調節性粒子は種々の材料で作製され、有機材料および無機材料の両方が用いられる。脂肪酸などの、ポリマー/非ポリマー材料が用いられる。他の好適な材料としては、非制限的に、ゼラチン、ポリエチレングリコール、トレハルロース、デキストラン、キトサンが挙げられる。形成材料に基づいて、分解/放出時間が数秒から数ヶ月の免疫調節性粒子を設計/作製することができる。
3.2.6.1.ポリマー粒子
ポリマー粒子は、生体適合性および望ましい生分解性をもつポリマー、コポリマー、あるいはそれらの混合物から形成されてよい。またポリマーは以下の(i)〜(iv)を含む様々な粒子特性が最適となるように形成されてよい:(i)送達される生物活性物質と、生物活性物質を安定化させて送達時の活性を保持するポリマーの間における相互作用 (ii)ポリマー分解速度およびそれによる薬剤の放出プロファイル (iii)化学的に修飾されることによる表面の特徴および標的能力 (iv)粒子の空隙率。
粒子の形成には、ポリアンヒドライドなどの表面侵食ポリマーが用いられてよい。例えば、ポリ[(p‐カルボキシフェノキシ)‐ヘキサンアンヒドライド](PCPH)のようなポリアンヒドライドを用いてよい。生分解性を有するポリアンヒドライドが米国特許第4857311号に記載されている。
他の実施例として、ポリエステル(ポリ(ヒドロキシ酸)またはポリ(エステル)を含む)を基としたバルク侵食ポリマーを用いることができる。例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、またはそれらのコポリマーを用いて粒子を形成してよい。またポリエステルは、例えばアミノ酸のように、荷電可能または官能化可能な基を有してもよい。例証的実施例として、DPPCのような界面活性剤を含んだポリ(D,L‐乳酸)、および/またはポリ(D,L‐乳酸‐グリコール酸コポリマー)(「PLGA」)を用いることで、制御された放出特性を有する粒子を形成することができる。
他のポリマーとしては以下を含む:ポリ(アルキルシアノアクリレート)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニル化合物(例えばポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステルなど)、アクリル酸およびメタクリル酸のポリマー、セルロースおよび他のポリサッカライド、ペプチドおよび蛋白質、またはそれらのコポリマーや混合物。またポリマーは、種々の制御された薬剤送達手段に対して、in vivo環境にて適切な安定性および生分解速度を有するように選択または修飾されてよい。
幾つかの実施例において、粒子は官能化されたポリエステルグラフトコポリマーより形成され、これらは以下に記載がある:Hrkachら1995, Macromolecules, 28:4736-4739 「Poly(L-Lactic acid-co-amino acid) Graft Copolymers: A Class of Functional Biodegradable Biomaterials」 , Hydrogels and Biodegradable Polymers for Bioapplications, ACS Symposium Series No. 627, Raphael M. Ottenbriteら Eds., American Chemical Society, Chapter 8, pp. 93-101, 1996)。
粒子の形成には、生分解性を有するポリマー以外の材料も用いられて良い。好適な材料としては、種々の非生分解性ポリマー、および種々の賦形剤を含む。また、粒子は生分解性ポリマーと賦形剤のみで形成されてもよい。
またポリマー粒子は、シングルおよびダブルエマルジョン溶媒蒸発、スプレードライ、溶媒抽出、溶媒蒸発、相分離、単純および複合コアセルベーション、界面重合、および同業者によって一般的に知られているその他の方法により作製されてよい。また、所望の粒径をもつ粒子を作製するための条件が整っている場合は、マイクロ球体/マイクロカプセルを作製する既知の技術を用いて、粒子を形成してもよい。
カプセル化された薬剤を送達するマイクロ球体を作製するために開発された方法が文献に記載されており、例えば、Doubrow, M., Ed., 「Microcapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy,」 CRC Press, Boca Raton, 1992に記載されている。他に、Mathiowitz and Langer (1987, J. Controlled Release 5:13-22)、Mathiowitzら(1987, Reactive Polymers 6:275-283)、Mathiowitzら(1988, J. Appl. Polymer Sci. 3:, 755-774)、米国特許第5213812号、米国特許第5417986号、米国特許第5360610号、米国特許第5384133号に記載されている。どの方法を選択するかは、ポリマーの種類、大きさ、外側の形態、所望の結晶度に基づいて決定されるが、これは例えば、Mathiowitzら(1990, Scanning Microscopy 4:329-340; 1992, J. Appl. Polymer Sci. 45:125-134)、および Benitaら(1984, J. Pharm. Sci. 73:1721-1724)に記載されている。
溶媒蒸発においては、例えば、Mathiowitzら (1990)、 Benita、および米国特許第4272398号(Jaffe)に記載があるように、該ポリマーはメチレンクロライドなどの揮発性有機溶媒に溶解する。何種類かの異なるポリマー濃度(0.05〜2.0g/mLなど)が用いられる。生物活性物質は、可溶型であっても微粒子として散在していてもよいが、ポリマー溶液に投入され、その混合物は界面活性剤(例えばポリ(ビニルアルコール))を含む水溶液相に浮遊する。その水溶液相は、例えば、蒸留水にポリ(ビニルアルコール)を1%w/vの濃度で含んでいてもよい。得られた乳濁液を、有機溶媒がほぼ蒸発するまでかき混ぜることで固体のマイクロ球体が得られ、それを水で洗浄した後、凍結乾燥機にて一晩乾燥させる。この方法により、異なるサイズ(1〜1000μm)および異なる形態を有するマイクロ球体が得られる。
溶媒の除去は、第一に、ポリアンヒドライドなど不安定なポリマーの使用を意図したものである。この方法では、薬剤は揮発性有機溶媒(例えば塩化メチレン)中の選択したポリマーの水溶液中に分散/分解する。その混合物はシリコンオイルのようなオイルに懸濁させ、それをかき混ぜることで、乳濁液が得られる。溶媒は24時間以内に油相中に広がり、滴状の乳濁液が硬化して固体のポリマーマイクロ球体となる。ホットメルト‐マイクロカプセル封入法(Mathiowitzら(1987, Reactive Polymers 6:275)に記載)とは異なり、本方法を用いることで、高い融点および幅広い分子量をもつポリマーからなるマイクロ球体を作製することができる。本手順では、1〜300ミクロンの粒径を有するマイクロ球体が得られる。
幾つかの重合システムにおいて、シングル/ダブル‐エマルジョン法を用いて作製されるポリマー粒子は、液滴のサイズに依存してそのサイズが変わる。油中水型乳化剤の液滴が十分小さくなく、所望のサイズ幅を有する粒子を形成できない場合は、例えば乳化剤に音波処理や均一処理を施したり、界面活性剤を加えたりすることで、より小さな液滴を形成することができる。
上記いずれかの方法で作製した粒子が所望のサイズ幅に収まらない場合は、篩を用いたり、さらには熟練せる当業者に公知の比重による分離を行うことで、粒子をサイズ化することができる。
ポリマー粒子はスプレードライにより作製することもできる。スプレードライ法は、例えばSuttonおよびJohnsonによりWO第96/09814号に開示されており、ここでは90%以上の粒子が平均1〜10μmのサイズを有し、水溶性で滑らかな球体マイクロ粒子材料の作製が開示されている。
3.2.6.2.リポソーム類
リポソームは以下に報告されているような標準的な方法によって製造できる:Kimら(1983, Biochim. Biophys. Acta 728:339-348)、Liuら(1992, Biochim. Biophys. Acta 1104:95-101)、Leeら(1992, Biochim. Biophys. Acta. 1103:185-197)、Breyら(米国特許出願公開第20020041861号)、Hassら(米国特許出願公開第20050232984号)、Kisakら(米国特許出願公開第20050260260号)、Smyth-Templetonら(米国特許出願公開第20060204566号)。さらに、抗原送達のための脂質を基にした粒子形成について調査したCopelら(2005, Immunol. Cell Biol. 83:95-105)、ワクチンにおける粒子送達システム(蛋白質結合リポソームの作製方法も含む)を調査したBramwellら(2005, Crit Rev Ther Drug Carrier Syst. 22(2):151-214; 2006, J Pharm Pharmacol. 58(6):717-728)を参照するとよい。様々なin vitroの細胞培養や動物実験において、種々の脂質化合物を用いたリポソーム形成が試されてきた。これは例えば、Leeら(1992, Biochim. Biophys. Acta. 1103:185-197)、Liuら(1992, Biochim. Biophys. Acta. 1104:95-101)、Wangら(1989, Biochem. 28:9508-9510)に記載されている。
簡単には、選ばれた脂質(そして任意の有機可溶性の生物活性物質)を有機溶媒に溶解させ混合した後、真空に保たれたガラスチューブ内の底で乾燥させる。得られた脂質フィルムは、任意の水溶性生物活性物質を含む水性緩衝溶液を用いて再水和化され、ゆるやかに攪拌され、カプセル化される。水和化された脂質小胞は、押し出しによってさらに処理され、一連の凍結‐融解サイクルにかけられ、または脱水され、その後再水和され、生物活性物質のカプセル化を促進する。リポソームは遠心分離によって洗浄され、またはサイズ排除カラムにかけられ、捕捉されなかった生物活性物質をリポソーム組成物から除去し、4℃で保存することができる。リポソームの基礎的製法は、Thierryら(1992, Nuc. Acids Res. 20:5691-5698)に詳細に記載されている。
生物活性物質(類)のペイロードを運搬する粒子は、Pautotら(2003, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100(19):10718-21)に記載されるような方法を用いて作ることができる。Pautotらの方法を用いて、ストレプトアビジン‐コーテド脂質(DPPC、DSPC、および同様な脂質類)を用いてリポソームを作ることができる。Needhamら(2001, Advanced Drug Delivery Reviews 53(3):285-305)に記載された薬剤カプセル化技術を用いて1種類以上の活性作用物質をこれらの小胞に担わせることができる。
リポソームは種々の脂質のクロロホルム溶液を高真空にさらし、その後生成した脂質フィルム(DSPC/CHOL)をpH4緩衝液で水和し、凍結および融解操作後、ポリカルボネーテド フィルターを通して押し出すことによって作ることができる。DSPCまたはコレステロールを補充したDPPCを用いてカプセル化の効率を高める、または安定性を増加させることなどができる。経膜的pH勾配は、アルカリ化剤の添加によって小胞外培地のpHを7.5に調節することによって作り出すことができる。生物活性物質(例えば小分子、NF‐κBインヒビター、mTORインヒビター、またはSykインヒビター;これらは例えば弱塩基性である)は、その後高温で、少量の生物活性物質の添加によって小胞溶液に捕捉され、リポソーム内の生物活性作用物質の蓄積を可能にする。
本発明の生物活性物質の運搬のために適したニオソームなどのその他の脂質ベースの粒子は、Copelandら(2005, Immunol. Cell Biol. 83:95-105)に記載されている。
3.2.6.3.セラミック粒子
本発明の生物活性物質を運搬するために、セラミック粒子を用いることもできる。これらの粒子は、一般的には、周知のゾル‐ゲル プロセスに似たプロセスを用いて作成され、通常は下記に記載されているような、単純で、室温の条件を必要とする:Brinkerら(「Sol-Gel Science: The Physics and Chemistry of Sol-Gel Processing;」 Academic Press: San Diego, 1990, p-60)、Avnirら(1994, Chem. Mater. 6, 1605)。セラミック粒子は所望のサイズ、形、多孔度で作られ、極めて安定である。それらも、極端なpHおよび温度によって誘起される変性から、ドープされた分子(ポリペプチド、薬剤、など)を効果的に保護する(Jainら 1998. J. Am. Chem. Soc. 120:11092-11095)。さらに、それらの表面は、種々の修飾基により容易に機能的になる得る(Lalら 2000. Chem. Mater. 12:2632-2639、Badleyら 1990, Langmuir 6:792-801)。それにより、それらは種々のモノクローナル抗体およびその他のリガンド類に付着し、それらをin vivo環境における所望の部位に標的化することができる。
種々のセラミック粒子は、活性剤含有ペイロードのin vivo運搬のために説明されてきた。例えば、英国特許第1590574号は、生物学的活性成分をゾル‐ゲル マトリックスに挿入することを開示している。国際公開WO第97/45367号は,ゾル‐ゲル プロセスによって作られた調節可能に溶解できるシリカ キセロゲルを開示している。そこでは、生物学的活性物質が、予備焼結した粒子(1〜500μm)またはディスクに浸み込ませることによって、挿入される。国際公開WO第0050349号は、ゾル‐ゲル プロセスによって作られた調節可能な生物分解性シリカ線維(その線維の合成中に生物学的活性物質が挿入される)を開示している。米国特許出願公開第20040180096号は、生物学的活性物質を捕らえるセラミック ナノ粒子について記載している。そのセラミックナノ粒子は、色素のミセル組成物の形成によって作られる。そのセラミック材料はそのミセル組成物に加えられ、そのセラミックナノ粒子はアルカリ性加水分解によって、沈殿する。米国特許出願公開第20050123611号は、粒子全体にほぼ均質に活性材料が分散したセラミック粒子の制御された放出を開示している。これらの粒子は、界面活性剤と無極性溶媒とを混合することによって逆ミセル溶液を作り;(b)ゲル前駆体、触媒、濃縮剤、および可溶性活性物質を極性溶媒に溶解して、前駆体溶液を作り;(c)逆ミセル溶液と前駆体溶液とを合一して乳濁液を作り;(d)その乳濁液中の前駆体を濃縮することによって得られる。米国特許出願公開第20060210634号には、金属酸化物(例えば酸化チタアニウム、酸化ジルコニウム、酸化スカンジウム、酸化セリウム、および酸化イットリウム)を含むセラミック粒子上に生物活性物質を蒸発によって吸着させることが開示されている。Kortesuoら(2000, Int J Pharm. 200(2):223-229)では、トレミフェンシトレートおよびデキスメデトミジンHClのような薬剤の送達を制御するために、粒子サイズ範囲が狭い球状シリカゲル粒子を作ることを目的としたスプレー乾燥法を開示している。Wangら(2006, Int J Pharm. 308(1-2):160-167)には、生物活性物質の送達のために、多孔性CaCO3ミクロ粒子による吸着と、ポリエレクトロライト多層フィルムによるカプセル化との組み合わせが記載されている。
3.2.6.4.バリスティック粒子
本発明の生物活性物質は、無針または「バリスティック」(微粒子銃)送達に使用するのに適した粒子に伴わせる、あるいは関連させてよい。バリスチック送達のための例証的な粒子は、例えばWO第02/101412号;WO第02/100380号;WO第02/43774号;WO第02/19989号;WO第01/93829号;WO第01/83528号;WO第00/63385号;WO第00/26385号;WO第00/19982号;WO第99/01168号;WO第98/10750号;WO第97/48485号に記載されている。しかしながら、そのような粒子はバリスチック送達装置での使用に限られているわけではなく、他にも、免疫細胞に送達できる代替的な技術(例えば注入またはミクロ針送達など)によって粒子を投与することも可能である。
生物活性物質は当業者には公知の種々の技術を用いて運搬粒子にコーティング、または化学的に結合されてもよい。運搬粒子は、細胞内送達において一般的に使用される粒子サイズの範囲内で、適切な密度をもった材料から選択される。最適な運搬粒子サイズは、もちろん標的細胞の直径に依存する。典型的な粒子サイズは約0.01〜250μm、約10〜150μm、および約20〜60μmである。粒子密度は約0.1〜25g/cm3、バルク密度は約0.5〜約3.0g/cm3、あるいはそれ以上である。このタイプ粒子は非制限的に、金属粒子、たとえばタングステン、金、白金、イリジウムなどの運搬粒子を含む。タングステン粒子は、平均サイズが直径0.5〜2.0μmのものが容易に入手できる。金粒子または微晶質の金(例えばEngelhsrd Corp.East Newark,N.J.から入手できる金粉末A1570)も使用できる。金粒子はサイズが均一であり(Alpha Chemicalsから入手でき、粒子サイズ1−3μm、またはDegussa、South Plainfield,N.J.から入手でき、粒子サイズの範囲は0.95μmを含む)、また低毒性である。微晶質金は広い粒子サイズ分布(一般的には0.1−5μmの範囲)を示す。微晶質金の不規則な表面領域は本発明の活性物質でコーティングするためには非常に効率的である。
金またはタングステンのような粒子上に生物活性分子(例えば蛋白質または核酸のような親水性分子)を吸着、カップリングまたは付着させるための多くの方法が知られている。例証的実施例において、このような方法は、あらかじめ決められた量の金またはタングステンを生物活性分子、CaCl2およびスペルミジンと組み合わせる。その他の実施例では、エタノールを用いて、生物活性分子を金またはタングステン粒子上に沈殿させる(例えば以下を参照:Jumarら 2004, Phys Med. Biol. 49:3603-3612)。その生成した溶液を、コーティング処理中、適切に連続的に攪拌し、反応混合物を確実に均質にする。生物活性分子の付着後、その粒子を例えば適切な膜に移し、使用前に乾燥させ、サンプルモジュールまたはカセットの表面にコーティングするか、または特定の粒子を媒体とした運搬機器に使用するための運搬カセットに入れる。
処方された組成物は、例えば単純な蒸発(空気乾燥)、真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥、スプレーコーティング、沈殿、臨界超過液粒子形成、などといった標準的な技術を用いて粒子として適切に調製される。所望ならば、生成した粒子は、国際公開WO第97/48485号に記載される方法を用いて整えることができる。
3.2.6.5.界面活性剤
粒子に挿入できる界面活性剤は、ホスフォグリセリド類を含む。典型的なホスフォグリセリド類としては、ホスファチジルコリン類、例えば天然に存在する界面活性剤、L‐α‐ホスファチジルコリン ジパルミトイル(「DPPC」)を含む。界面活性剤は、例えば粒子‐粒子相互作用を減らすことによって、表面特性が有利に改善され、またそれにより、粒子の表面がより接着しにくくなる。肺に固有の界面活性剤の使用は、非生理学的界面活性剤の使用の必要性を回避するかも知れない。
粒子の表面に界面活性剤を与えると、静電気的相互作用のような相互作用、ファンデルワールス力および毛細管作用などにより粒子が凝集する傾向を減少させることができる。粒子表面における界面活性剤の存在は、表面のしわ(粗雑さ)の増加をもたらし、それによって密接な粒子‐粒子相互作用のために利用できる表面領域を減らすことによって、エアロゾル化が改善する。
当業者に公知の界面活性剤は、天然に生ずる任意の界面活性剤を含むことができる。その他の典型的表面活性剤には、ジホスファチジル グリセロール(DPPG);ヘキサデカノール;ポリエチレングリコール(PEG)のような脂肪アルコール;ポリオキシエチレン‐9‐ラウリルエーテル;パルミチン酸またはオレイン酸のような表面活性脂肪酸;ソルビタン トリオレアート(Span85);グリココレート;サーファクチン;ポロキサマー;ソルビタン トリオレアートのようなソルビタン脂肪酸エステル;チオキサポル;リン脂質が含まれる。
これらの粒子は、インヒビターおよびアグリカン抗原の、抗原提示細胞へのex vivo送達のためのビヒクルとして使用できる。しかし、有用な実施態様において、例えば米国特許出願公開第20100151000号に開示されているように、これら粒子は、生物活性化合物を抗原提示細胞へin vivo送達するために用いられる。上記文献は引例によってここにそのまま組み入れられる。
3.2.7.Ex vivo抗原提示細胞 実施態様
インヒビターおよびアグリカン抗原は、ex vivo で種々の形の抗原提示細胞に送達され得、それらは可溶性または粒状である。抗原提示細胞およびその前駆体は、治療対象の被検体から得ることができる(すなわち自己抗原提示細胞またはその前駆体)。あるいは、抗原提示細胞またはその前駆体は、MHCが被検体とマッチした、またはマッチしないドナー(すなわち同種異型の抗原提示細胞)から得られるかまたは誘導される。これらの実施態様において、ドナーが被検体と組織適合性であるのが適切である。
上記の実施態様において、例えば3.2.3、3.2.4、または3.2.5章で述べたように、抗原提示細胞は1種類以上のインヒビターあるいはそのインヒビターを発現し得るポリヌクレオチドと、その抗原提示細胞のNF‐κB活性および/またはmTOR活性および/またはSyk活性を阻害、低下または減じるのに十分な時間および条件下で接触する。抗原提示細胞またはその前駆体との接触に使われる可溶性または粒状のインヒビターの量は、熟練せる当業者には公知の日常的方法によって実験的に決めることができる。幾つかの有用な実施態様において、抗原提示細胞はインヒビターの存在下で、約2、3、4、5、6、7、8、12、24、36、48、60、72、84、96時間以上、または約96、84、72、60、48、36、24、12、8、7、6、5、4、3、または2時間未満、インキュベートされる。特定の実施態様において、抗原提示細胞はインヒビター(例えばa NF‐κBインヒビターまたはmTORまたはSykインヒビター)と共に、約48時間〜60時間、35℃−38℃で、NF‐κB、mTOR、またはSykの活性を阻害、減少、損傷するのに十分な時間、インキュベートされる。同様の例証的実施例において、抗原提示細胞はリポポリサッカリド(LPS)のような抗原提示細胞のアクチベータの存在下で、そして任意に付加的インヒビター類(例えばビタミンDおよびデキサメサゾンのような付加的NFκBインヒビター類)の存在下でインキュベートしてもよい。
抗原提示細胞またはそれらの前駆体は例えば3.2.1章に記載したようにアグリカン抗原と、または例えば3.2.2.章に記載したようにアグリカンAPLと、または例えば前記抗原またはAPLを発現し得るポリヌクレオチドと、その抗原またはその操作された形のものがその抗原提示細胞によって現わされるのに十分な時間、および十分な条件下で接触させられる。好適には、上記インヒビターおよび/または上記抗原またはそれらを発現し得るポリヌクレオチドは、例えば3.2.6章に記載したように可溶性の形または粒状形である。抗原提示細胞またはそれらの前駆体と接触している可溶性または粒状の抗原、あるいはAPLの量は、熟練せる当業者には公知の日常的方法によって実験的に決められる。幾つかの有用な実施態様において、抗原提示細胞はアグリカン抗原の存在下でインキュベートされ、その時間は、約2、3、4、5、6、7、8、12、24、36、48、60、72、84、96時間以上、または約96、84、72、60、48、36、24、12、8、7、6、5、4、3、2時間未満、または約60、50、40、30、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2分未満でもよい。細胞が任意に操作され、アグリカン抗原を示すために必要な、ポリペプチドまたはペプチド類の時間および量は、パルスチェイス プロトコルを用いて決められ、その際アグリカン抗原への暴露の後に洗浄期間が続き、そして読み出しシステム(例えばアグリカン抗原特異的エフェクターリンパ球反応の抑制または阻害を誘導することができる)にかけられる。細胞がアグリカン抗原またはその操作された形をそれら(細胞)の表面に発現するための最適時間および量が決まると、免疫寛容原性反応を誘起するための細胞およびアグリカン抗原を作成するプロトコルが使用できる。熟練せる当業者は、この点に関して、抗原提示細胞がその表面上に抗原を現わすために必要な時間の長さが、使用する抗原、または使用する抗原の形、その量、および使用する抗原提示細胞、並びに抗原の装填が行われる条件によって変化するかも知れないことを認識するであろう。これらのパラメータは熟練せる当業者によって、決められた手順を用いて決められる。
幾つかの実施態様において、抗原提示細胞は抗原またはAPLと約1〜6時間37℃でインキュベートされるが、増殖因子およびインヒビターとのインキュベーションの持続時間だけ抗原提示細胞を抗原にさらすことができる。通常、精製抗原およびペプチドでは、0.1〜10μg/mLが、抗原特異的抗原提示細胞の作成のために適している。例証的実施例においてペプチド抗原の提示は、さらに短いインキュベーション期間(例えば約5、10、15、20、30、40、50分)を用いて、約10〜20μg/mLの濃度で達せられる。
3.2.7.1.抗原提示細胞およびそれらの前駆体のソース
抗原提示細胞またはそれらの前駆体は、熟練せる当業者に公知の方法によって分離することができる。このような細胞のソースは、特定の免疫反応を調節するために必要な抗原提示細胞によって異なるであろう。このような関係において、抗原提示細胞は、樹状細胞、マクロファージ、単球、およびその他の骨髄系列の細胞から選択される。
典型的には、抗原提示細胞の前駆体は、任意の組織から分離することができるが、最も簡単には、血液、脊髄血液または骨髄から分離することができる(Sorgら 2001. Exp Hematol 29:1289-1294; Zhengら 2000. J Hematother Stem Cell Res 9:453-464)。バイオプシ−または関節タップ後のリウマチ様滑膜組織/液のような疾病組織から適した前駆体を得ることもできる((Thomasら 1994a, J Immunol 153:4016-4028; Thomasら 1994b, Arthritis Rheum 37(4))。その他の実施例は、非制限的に肝臓、脾臓、心臓、腎臓、腸、および扁桃を含む(Luら 1994. J Exp Med 179:1823-1834; McIlroyら 2001. Blood 97:3470-3477; Vremecら 2000. J Immunol 159:565-573; HartとFabre 1981. J Exp Med 154(2):347-361; HartとMcKenzie 1988. J Exp Med 168(1):157-170; Pavliら 1990. Immunology 70(1):40-47)。
組織から直接分離された白血球は抗原提示細胞前駆体の主要ソースを与える。典型的には、これらの前駆体は種々の増殖因子の存在下または不在下で培養することによって、抗原提示細胞に分化することができるに過ぎない。本発明は実際は、抗原提示細胞は粗混合物から、または一部、または実質的に精製された前駆体標本からこのように分化する場合もある。白血球は、例えばFicoll Hypaqueを用いる密度勾配遠心分離(これは好中球、および赤血球(末梢血単核細胞またはPBMCsを排除する)によって、または赤血球の塩化アンモニウム分解によって(leukocytes またはwhite blood cells)、血液または骨髄から便利に精製される。抗原提示細胞の多くの前駆体が、非増殖性単球のような末梢血液に存在する。それらは特異的サイトカインの存在下で培養することによって、マクロファージおよび樹状細胞を含む特異的抗原提示細胞に分化することができる。
組織樹状細胞またはランゲルハンス細胞の前駆体のような組織−誘導性前駆体は、一般的には、組織(例えば表皮の基底膜)を細砕し、それをコラゲナーゼまたはディスパーゼで消化し、その後密度勾配分離にかけることによって、または細胞表面マーカーの発現に基づく前駆体の選択によって、得られる。例えば、ランゲルハンス細胞前駆体はCD1分子並びにHLA‐DRを発現し、これに基づいて精製することができる。
幾つかの実施態様において、抗原提示細胞前駆体はマクロファージの前駆体である。概して、これらの前駆体は、任意のソースの単球から得ることができ、培地およびマクロファージコロニー刺激因子(M‐CSF)の存在下で長時間インキュベートすることによって、マクロファージに分化することができる(Erickson-Millerら 1990. Int J Cell Cloning 8:346-356; MetcalfとBurgess 1982. J Cell Physiol 111:275-283)。
その他の実施態様において、抗原提示細胞前駆体は、ランゲルハンス細胞の前駆体である。通常、ランゲルハンス細胞は、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM‐CSF)、IL‐4/TNFαおよびTGFβの存在下で、ヒト単球またはCDD34+骨髄前駆体から生成する(Geissmannら 1998. J Exp Med 187:961-966; Stroblら 1997a. Blood 90:1425-1434; Stroblら 1997b. dv Exp Med Biol 417:161-165; Stroblら 1996. J Immunol 157:1499-1507)。
また別の実施態様において、抗原提示細胞前駆体は、樹状細胞の前駆体である。幾つかの潜在的な樹状細胞前駆体は、末梢血、脊髄血、または骨髄から得られる。これらは単球、CD34+幹細胞、顆粒球、CD33+CD11c+DC前駆体、および委託された脊髄性先祖(以下に記載)を含む。
単球
単球は組織培養培地(例えばRPMI)および血清(例えばヒトまたはウシ胎仔血清)の存在下で、または無血清培地中で、1〜2時間、プラスチックに付着させることによって精製できる(Antonら 1998. Scand J Immunol 47:116-121; Arakiら 2001. Br J Haematol 114:681-689; Mackensenら 2000. Int J Cancer 86:385-392; Nestleら 1998. Nat Med 4:328-332; Romaniら 1996. J Immunol Meth 196:137-151; Thurnerら 1999. J Immunol Methods 223:1-15)。単球も末梢血から洗い清められる(Garderet ら 2001. J Hematother Stem Cell Res 10:553-567)。単球は、抗CD14抗体と共に、イムノマグネチック選択、フローサイトメトリー分類またはパンニングを含むイムノアフィニテイ技術によっても精製できる(Arakiら 2001、 supra; Battye and Shortman、 1991. Curr. Opin. Immunol. 3:238-241)。循環する単球の数(すなわち収量)は、GM‐CSFを含む種々のサイトカインのin vivo使用によって高めることができる(Groopmanら 1987. N Engl J Med 317:593-598; Hillら 1995. J Leukoc Biol 58:634-642)。単球は、Gm‐CSFおよびIL‐4の存在下で長時間のインキュベーションによって樹状細胞に分化し得る。(Romaniら 1994. J Exp Med 180、 83-93; Romaniら 1996、 supra)。GM‐CSFとIL‐4の組み合わせ(各々の濃度が約200〜2000U/mL、より好ましくは約500〜1000U/mL、さらにより好ましくは約800U/mL(GM−CSF)〜1000U/mL(IL−4))は、未熟な樹状細胞、すなわち抗原を捕捉する食細胞性樹状細胞をかなり多量に産生する。単球の、抗原ー捕捉−食細胞性樹状細胞への分化を促進するその他のサイトカインは、例えばIL−13である。
CD34 + 幹細胞
樹状細胞は、GM‐CSF、TNFα±幹細胞因子(SCF、c‐kitL)、またはGM‐CSF、IL‐4±flt3Lの存在下で、CD34+骨髄誘導性前駆体からも生成できる(Baiら 2002. Int J Oncol 20:247-53; Chenら 2001. Clin Immunol 98:280-292; Loudovarisら 2001. J Hematother Stem Cell Res 10:569-578))。CD34+細胞は骨髄吸引から、または血液から引き出され、単球について言えば、例えばイムノマグネチック選択またはイムノカラムを用いて豊富にすることができる(Davisら 1994. J Immunol Meth 175:247-257)。血液中のCD34+細胞の比率は、最も一般的には種々のサイトカイン(G‐CSFを含むが、flt3Lおよびプロゲニポイエチンも含む)のin vivo使用によって高めることができる(Flemingら 2001. Exp Hematol 29:943-951; Pulendranら 2000. J Immunol 165:566-572; Robinsonら 2000. J Hematother Stem Cell Res 9:711-720)。
その他の骨髄性プロゲニター
DCは、GM‐CSFおよびIL‐4/TNFの存在下で、CD34+幹細胞と同様なやり方で、委託された早期骨髄性プロゲニターから生成することができる。このような骨髄性前駆体は、炎症時には多くの組織に浸潤する(リウマチ性関節炎の滑膜液を含む)(Santiago-Schwarzら 2001. J Immunol. 167:1758-1768)。循環する樹状細胞前駆体および単球を含む全身の骨髄性細胞の膨張がflt‐3リガンド、顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)またはプロゲニポエチン(pro‐GP)を含む幾つかのサイトカインで達成できる(Flemingら 2001, supra; Pulendranら 2000, supra; Robinsonら 2000, supra)。このようなサイトカインを数日、ヒトまたはその他の哺乳類に投与すると、in vitro操作のための、非常に多量の前駆体を末梢血または骨髄から引き出すことができるであろう。樹状細胞も、GM‐CSF、IL‐4およびTNFαの存在下で末梢血好中球前駆体から生成することができる(Kellyら 2001. Cell Mol Biol (Noisy-le-grand) 47, 43-54; Oehlerら 1998. J Exp Med. 187:1019-1028)。樹状細胞は同様な方法を用いて、急性骨髄性白血病細胞からも生成できることは注目すべきである(Oehlerら 2000. Ann Hematol. 79, 355-62)。
組織DC前駆体、およびAPC前駆体のその他のソース
DC生成のその他の方法は、例えば、IL‐3+/‐GM‐CSFの存在下における胸腺前駆体、およびGM‐CSFの存在下における肝臓DC前駆体およびコラーゲン基質による。形質転換された、または動かない樹状細胞系がv‐mycのような癌遺伝子を用いて生成されるかも知れない。これは例えば(Pagliaら 1993, supra)によって、またはmyb(BanyerとHapel 1999, supra; Gondaら 1993, supra)によって記載されている。
循環するDC前駆体
これらはヒトおよびマウスの末梢血液において記載されてきた。適切な樹状細胞前駆体を確認するために特定の細胞表面マーカーを利用することもできる。特に、CD11cの発現、およびCD14、CD19、CD56およびCD3の非発現および低発現によって、血液中に樹状細胞前駆体の種々の集団を確認することができる。(O'Dohertyら 1994. Immunology 82, 487-493; O'Dohertyら 1993. J Exp Med 178:1067-1078)。これらの細胞は表面マーカーCD13およびCD33によっても確認できる(Thomasら 1993b. J Immunol 151(12):6840-6852)。プラズマ細胞腫性樹状細胞前駆体として知られる、CD14、CD19、CD56およびCD3が欠けている第二のサブセットはCD11cを発現しないが、CD123(IL‐3R鎖)HLA‐DRを発現する(Farkasら 2001. Am J Pathol 159. 237-243; Grouardら 1997. J Exp Med 185:1101-1111; Rissoanら 1999. Science 283:1183-1186)。大部分の循環するCD11c+樹状細胞前駆体はHLA‐DR+である、しかしながら若干の前駆体はHLA‐DR−であるかも知れない。MHCクラスII発現の欠落が、末梢血中樹状細胞前駆体で明らかに示されている(del Hoyoら, 2002. Nature 415:1043-1047)。
任意に、上に記載されたCD33+CD14‐/loまたはCD11c+HLA‐Dr+系統マーカー陰性樹状細胞前駆体は、培養培地で、または単球コンデイションの培地で、18〜36時間インキュベーションすることによって、より成熟した抗原提示細胞に分化することができる(Thomasら 1993b, supra; ThomasとLipsky, 1994. J Immunol 153:4016-4028; O'Dohertyら 1993, supra)。あるいは末梢血非T細胞または精製していないPBMCのインキュベーション後に成熟した末梢血樹状細胞が、低密度によって特徴づけられ、そこでメトリザミドおよびNycodenzを含み、密度勾配で精製できる(FreudenthalとSteinman, 1990. Proc Natl Acad Sci U S A 87:7698-7702; VremecとShortman, 1997. J Immunol 159:565-573)。または非制限的にではあるがCMRF‐44mAbのような特異的モノクローナル抗体によって特徴づけられる(Fearnleyら 1999. Blood 93:728-736; Vuckovicら 1998. Exp Hematol 26:1255-1264)。プラズマ細胞種性樹状細胞は細胞表面マーカーに基づいて、末梢血から直接精製でき、その後IL‐3の存在下でインキュベートできる(Grouardら, 1997, supra; Rissoanら, 1999, supra)。あるいは、上記のようにプラズマ細胞種性DCは、密度勾配から、またはインキュベートされた末梢血細胞のCMRF‐44選択から誘導できる。
概して、任意の前駆体から生成する樹状細胞では、単球誘導性サイトカイン、リポポリサッカリド、およびCpGリピートを含むDNA、TNFα、IL‐6、IFN‐α、IL‐1β、壊死細胞、再付着、細菌、膜構成成分、RNAまたはポリICのような活性化因子の存在下でインキュベートすると、未熟樹状細胞は活性化される(Clark, 2002. J Leukoc Biol 71:388-400; Hackerら 2002. Immunology 105:245-251; KaishoとAkira, 2002. Biochim Biophys Acta 1589:1-13; Koskiら 2001. Crit Rev Immunol 21:179-189)。樹状細胞活性化のこのプロセスは、NF‐κBインヒビターの存在下で阻害される(O'Sullivan and Thomas, 2002. J Immunol 168:5491-5498)。
3.2.8.in vitro抗原提示細胞 実施態様
その他の実施態様において、被検体にNF‐κBインヒビターおよび/またはmTORインヒビター、および/またはSykインヒビター(時には、ひとまとめにして、「インヒビター(類)」と呼ぶこともある)を、アグリカンポリペプチド(そのシトルリン化型も含む)に全体的または一部分対応するアグリカン抗原と共に同時投与することによって、その被検体のアグリカン特異的免疫寛容原性抗原提示細胞の数は増加する。上記インヒビター(類)および/または上記抗原は核酸型(すなわち、この場合はそれらは核酸構成物から生成される)または非核酸型である。インヒビター(類)および抗原は可溶性または粒状型でよい(例えば抗原およびインヒビターが両方共可溶性型、または抗原またはインヒビターの一つが可溶性型で、他が粒状型でもよいし、または抗原とインヒビターが両方共粒状型でもよい)。特定の実施態様において、インヒビター(類)および抗原が粒状型で同時投与される。好ましくはインヒビター(類)および抗原が同じ粒子に含まれる。ひとたび投与されると、それら粒子は被検体の抗原提示細胞によって(例えば食作用またはエンドサイトーシスによって)取り込まれ、インヒビター(類)/抗原ペイロードは細胞内部に放出される。
3.2.9.Ex vivo調節性リンパ球 実施態様
3.2.7章により得られ、またはex vivo作成された、アグリカン特異的抗原提示細胞は、Tリンパ球およびBリンパ球を含むその他の免疫細胞の調節のために、そして特に免疫寛容またはアグリカン抗原(そのシトルリン化型も含む)に対するアネルギーをあらわすTリンパ球およびBリンパ球を生成するために有用である。アグリカン抗原に対する寛容/アネルギーをあらわすリンパ球、特にTリンパ球を引出す効率は、その抗原に対する免疫反応を測定することによって知ることができ、非制限的に次のことを含む:例えば、アグリカン特異的サイトリテイックTリンパ球(CTL)の標的として例えばアグリカン特異的抗原提示細胞をin vivo使用して、Tリンパ球サイトリテイック活性を測定する;アグリカン特異的Tリンパ球増殖およびサイトカイン反応を測定する;およびT調節性抑制的機能を測定する(参照:VollenweiderとGroseurth, 1992, J. Immunol. Meth. 149:133-135);例えばELISPOTアッセイおよびELISAアッセイを用いてその抗原に対するB細胞反応を測定する;サイトカインプロフィ‐ルについて応答指令信号を送る;またはアグリカン抗原に対する皮膚反応性のテストによって遅速タイプの過敏性(DTH)反応を測定する(参照、例えばChangら (1993, Cancer Res. 53:1043-1050))。抗原に暴露した後の抗原提示細胞の表面上の抗原の存在を検出できる、当業者に公知のその他の方法も本発明によって考慮される。
免疫寛容/アネルギー誘起性抗原提示細胞は、MHCクラスI分子およびMHCクラスII分子のどちらか、または両方の上にアグリカン抗原、またはその操作された形を十分にあらわす能力をもっている。よって、CD4+Tヘルパーリンパ球およびCTLの両方を、本発明のagg‐tolAPCによって寛容/アネルギーにすることができる。その上、本発明のagg‐tol APC は多数のアグリカン抗原を多数のMHCs上に担うことができ、Tリンパ球のポリクローナルまたはオリゴクローナル寛容/アネルギーを得る。
こうして本発明は、アグリカン特異的寛容/アネルギーまたは調節性BまたはTリンパ球、特にTリンパ球を与えることもできる。それは、アグリカン抗原の出現に対して抗原特異的に反応することに失敗し、またはそれは、そのアグリカン抗原に対する先立つ免疫反応またはその後のプライミングを活発に調節する。その調節は概して長命に、例えば少なくとも約3ヶ月、好適には何年間も維持される。
特定の実施態様において、アグリカン特異的調節Tリンパ球は、上記のアグリカン特異的抗原提示細胞を、Tリンパ球の集団(それは脾臓または扁桃/リンパ節のような任意の適切なソースから得ることができるが、末梢血から得るのがより好ましい)と接触させることによって生成される。そのTリンパ球は粗プレパレーションとして、または部分的に精製され、または実質的に精製されたプレパレーションとして使用できる。それは好適には標準的技術、例えば「Immunochemical Techniques, Part G: Separation and Characterization of Lymphoid Cells」 (Meth. in Enzymol. 108, Edited by Di Sabatoら 1984, Academic Press)に記載されているような標準的技術をもちいて適切に得ることができる。これは羊赤血球でロゼットすること、ナイロンウールまたはプラスチック付着のカラムを通して、付着細胞を除去すること、適したモノクローナル抗体を用いて、免疫磁気的、またはフローサイトメトリー選択することを含む(Cavanagh ら 1998. Blood 92(5)inhibitor1598-1607; Thomasら 1993. J Immunol 150inhibitor821-834)。
例えば3.2.7章に記載されているように、Tリンパ球のプレパレーションは、アグリカン特異的抗原提示細胞と、適当な期間接触させて、Tリンパ球における調節機能をこれらの抗原提示細胞によってあらわされる抗原または抗原類の方へ誘導する。この期間は普通約1〜5日である。概して、この処理後に生成する調節性Tリンパ球の増殖は、培地中のIL‐2濃度に依存して短命である。このように作られた調節性リンパ球は、一般にはIL‐10および/またはその他の調節性サイトカインを、抗原特異的に産生するであろう。
幾つかの実施態様において、アグリカン特異的抗原提示細胞前駆体は、Tリンパ球の異種起源集団(それは好適には、末梢血から得られる)、および少なくとも1種類のインヒビター(3.2.3、3.2.4および3.2.5章に記載されている)を、アグリカン抗原、またはそのアグリカン抗原を発現できるポリヌクレオチドと共に培養する。これらの細胞は以下の(1)〜(4)を満足するために十分な時間および条件の下で培養される:(1)前駆体が抗原提示細胞に分化する;(2)これらの抗原提示細胞中のNF‐κBおよび/またはmTORおよび/またはSykのレベルおよび/または機能的活性が除去されるか、軽減される;(3)アグリカン抗原、またはその操作された形のものが抗原提示細胞によってあらわされる;(4)抗原提示細胞がTリンパ球のサブ集団を誘起し、アグリカン抗原の方へ調節的機能をあらわす。その際サブ集団はアグリカン特異的T細胞反応の抑制によって特徴づけられる。これはFicoll‐精製PBMC プラス アグリカン抗原 プラス インヒビター(例えばNF‐κBおよび/またはmTOR.および/またはmTOR および/またはSykインヒビター(類))を用いて起こり得る。なぜならばこのようなプレパレーションは抗原提示細胞前駆体(例えば樹状細胞前駆体)およびTリンパ球の両方を含むからである。
好適には、このように作られたアグリカン‐特異的‐抗原提示細胞は1種類以上のタイプの抗原特異的調節リンパ球、特に調節Tリンパ球(ここでは「Treg」とも言う)を誘起する。幾つかの集団、またはTregのサブセットが記載されている(Shevach, 2006. Immunity 25:195-201; Leeら 2011, Adv Immunol. 112:25-71; Sakaguchi, 2011. Methods Mol Biol.707:3-17)。ここには例えば天然に生ずるCD4+CD25+Foxp3+Tregが含まれる。天然Treg(Treg)として知られるTreg(nTreg)は、胸腺において発達し、健康な人では生まれたときから存在する。nTregのT細胞レセプタ(TCR)の特異性は主として自己‐反応性である。その上、CD4+CD25+Fox3+Tregの集団はin vivoにおいて種々の条件下で、例えば抗原提示およびサイトカイン刺激のある一定の条件下で末梢に誘起され得、そして寛容を誘起し得る(参照:Roncaroloら 2007. Nat Rev Immunol. 7: 585-598)。誘導できるTregのその他のサブセットが報告されており(それにはTh3細胞およびTrl細胞、およびCD4+CD25+Tregが含まれる)、Th3細胞はTGFβおよび種々の量のIL‐4およびIL‐10を生産する(Chenら 1994. Science 265(5176):1237-1240)。Trl細胞はIL‐10を生産する(Grouxら 1997. Nature 389(6652):737-742)。また、低レベルのFoxp3を発現するCD8+Tregも報告されている(参照:例えばSmithら 2008. Trends Immunol. 29(7):337-342; Guillonneauら 2010. Curr Opin Organ Transplant 15:751-756; Filaciら 2011. Autoimmunity 44(1):51-57; Picardaら 2011. Immunotherapy 3(4 Suppl): 35-37)。
Tregを分離し、広げるための多数の方法が当業者には公知であり、例えば以下のものがある。Bruskoら (2008. Immunological Reviews 223:371-390), Gregoriら (2011. Methods Mol Biol.677:31-46), Gregoriら (2007. Methods Mol Biol. 380:83-105), Menoretら 2011. Methods Mol Biol. 677: 63-83), Wang, L. (2010. Methods Mol Biol. 595:403-412), Danielら (2011. Methods Mol Biol. 707:173-185)。
こうして本発明は、リンパ球を、少なくとも約3日間、好適には少なくとも約5日間、本発明のアグリカン特異的抗原提示細胞で刺激することによって多量の抗原特異的リンパ球を生成する手段を提供する。
アグリカン特異的寛容は、Bリンパ球(ここではB細胞とも言う)にアグリカン抗原をコードする核酸分子を発現させることによって達成することもできる。ここで、核酸分子の発現はBリンパ球の表面上の抗原またはその操作された形のものの出現に通ずる。
特定の実施態様において、核酸分子はさらにアグリカン抗原に直接、または間接的に(例えば高原のC‐末端に隣接して)融合した免疫グロブリン(例えばIgG)、または免疫グロブリンの断片(例えば、Fv、FAb、Fab’、およびF(ab’)2免疫グロブリン断片、免疫グロブリン重鎖、など)をコードする。このタイプの例証的実施例において、免疫グロブリン(例えばIgG)は、アグリカン抗原を免疫系に出現させるための担体として用いられる、ここでアグリカン抗原は、免疫グロブリン重鎖骨組のN末端に融合して、融合蛋白を形成する。その融合蛋白は、‘活性化’B細胞において、ヘマトポエチン細胞(例えば骨髄誘導性細胞)またはリンパ性細胞(例えばリポポリサッカリドで刺激されていたB細胞芽細胞を含むB細胞)を、融合蛋白を生産でき、それによって寛容原性APCを生産する核酸分子で変換(形質導入)することができる。アグリカン抗原またはその操作型は、これらのB細胞上の、宿主に重要な組織適合性錯体(MHC)によってあらわされ、免疫グロブリン(例えばIgG)融合蛋白の出現および長期in vivo発現のために、寛容に導く。好適には、これらのB細胞はMHCクラスIIおよび同時刺激性の分子類(例えば、B7.1およびB7.2)を発現する。これは、CTLA‐4に結合することによってCD25を発現する調節T細胞を補充し、トリガーするのに役立つ。このタイプの免疫グロブリン融合は例えば米国特許出願公開第2002/0048562号に記載され、引例によってここにそのまま組み入れられる。
このタイプの例証的実施例において、例えばScott らによって記載されているように、抗原特異的免疫寛容は、B細胞中のレトロウイルスによって運ばれる抗原‐Ig融合蛋白を用いて誘起される(Zambidisら 1996. Proc Natl Acad Sci U S A 93(10):5019-5024; Kangら 1999. Proc Natl Acad Sci U S A 96(15):8609-8614; Agarwalら 2000. Clin Invest 106(2):245-252; El-Amineら 2002. Int Immunol 14(7):761-766; Meloら 2002. J Immunol 168(9):4788-4795; Songら 2004. Gene Ther 11(20):1487-1496; Leiら 2005. Blood 105(12):4865-4870; Xuら 2006. Mol Ther 13(1):42-48; Satputeら 2007. Arthritis Rheum 56(5):1490-1496; Scott, 2010. Haemophilia 16(102):89-94)。
このB細胞仲介性遺伝子治療アプローチは、実験的自己免疫ブドウ膜炎(EAU)(Agarwalら 2000, supra),EAE(ミエリン基礎蛋白(MBP)のような、またはミエリン稀突起神経膠細胞 糖蛋白質(MOG)によって誘起される)(Meloら 2002,supra),および非肥満(NOD)糖尿病のマウスモデル(Meloら2002,supra;Songら,2004,supra)のような疾患に成功裡に使用されている。このアプローチは、血友病Aにおける因子VIIIに対する寛容を誘起するのにも成功し、(骨髄(BM)移植と組み合わせて)EAEの治療(Xuら 2006,supra)にも成功している。B細胞仲介性遺伝子治療は、アジュバント誘起性関節炎(AA)モデルにも成功裡に用いられている(Sayputeら 2007,suprs)。
融合蛋白は、任意の適切な手段(その融合蛋白を生成し得る核酸分子を、それを必要とする被検体に投与することを含む)によって送達される。特定の実施態様において、その被検体には、核酸分子で変換(形質導入)される造血性またはリンパ性細胞が投与される。
幾つかの実施態様において、アグリカン抗原コーデイング核酸分子を発現するBリンパ球は、調節性Bリンパ球(ここでは「Breg」細胞とも言われる)であり、非制限的にCD1dhighCD5+B細胞サブセットを含み、それは例えばTedderによって開示されたように、IL‐10の分泌によってT細胞 仲介性炎症性および免疫性反応を調節する(米国特許出願公開2011/013566、これは引例によってここにそのまま組み入れられる)。
3.2.10.MHCペプチド複合体の実施態様
本発明は、アグリカン特異的免疫寛容原性を引出すための主要な組織適合性複合体(MHC)‐ペプチド複合体の使用も考慮する。これらの複合体は概してアグリカンペプチド(例えばcit‐アグリカンペプチド)および抗原結合部位を有する分離した(例えば可溶性の)MHC成分を含み、この場合抗原は抗原結合部位と関連している。MHC‐ペプチド複合体は、効率的に抗原提示細胞の代わりとなり、自己反応性抗原特異的Tリンパ球およびその他の免疫系細胞における不反応性を生ずる。MHC成分はクラスIまたはクラスII分子のいずれかでよい。所望ならば、MHC分子の経膜的および/または細胞内ドメインも含まれ得る。そのペプチド抗原とMHC蛋白の抗原結合部位との関係は、共有結合または非共有結合でよい。
MHC分子は任意の適切なプロトコルを用いて精製できる。その例証的実施例は、パパイン処理、3M KCl処理、または洗浄剤処理によって、細胞(例えばリンパ球)を可溶化することを含む。例証的プロトコルにおいて、リンパ球からのMHC(例えばクラスII)の洗浄剤抽出が行われ、その後にアフィニテイー精製が行われる。洗浄剤はその後透析または選択的結合ビーズ、例えばバイオビーズによって除去できる。あるいは、多数のMHCクラスIおよびクラスII分子の各々のアミノ酸配列が知られており、それらの対応するコーデイング配列がクローン化され、こうしてMHC蛋白類の組換え産生が可能になる。
アグリカン抗原は概ねペプチド(例えば約8〜15アミノ酸の長さ)であり、それは当業者には公知の標準的アルゴリズムを用いてMHC分子であることが予想される。あるいは、アグリカンアミノ酸配列のオーバーラッピング部分に対応するペプチド類(例えば約8〜15アミノ酸の長さ)を用いることができる。そのペプチド(類)は非シトルリン化またはシトルリン化のどちらでもよい。
上記複合体の要素は当業者に公知の標準的手段によって結合させることができる。抗原ペプチド類は、MHC蛋白のポケット部分と、この二成分を混合することによって、非共有結合できる。それらは、たとえばフォト アフィニテイ ラベリングによる標準的方法によって共有結合もできる(参照:Hallら 1985. Biochemistry 24:5702-5711)。
経膜的含有MHC分子を含む複合体類は、脂質の単層または二層に挿入された後、便利に投与される。典型的にはリポソーム類がこの目的のために用いられるが、脂質膜のいかなる形、例えば平面脂質膜または細胞(例えば赤血球)の細胞膜なども用いられる。これら複合体もミセルに便利に挿入される。
リポソームは、例えば3.2.6.2章に記載したように、標準的方法によって作られる。しかし、もしも経膜的領域が欠失していれば、その複合体は、ペプチド含有薬として便利に使用されるやり方で投与できる。
ミセルは、当業者には一般的に用いられ、無極性領域を有する分子の溶解性を高める。そしてミセルは当業者には公知の方法によって、MHC‐ペプチド複合体類を挿入するために有利に用いられるかも知れない(参照:例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Philadelphia, Pa., 17th ed. (1985),これは引例によってここにそのまま組み入れられる)。概して、複合体含有ミセルは、標準的な界面活性剤または洗浄剤を用いて作成される。
MHC‐ペプチド複合体の一般的製法は、例えば米国特許出願公開第2003/0068363号に記載されており、これは引例によってここにそのまま組み入れられる。
3.2.11.リガンドエピトープ抗原提示系に基づくキメラ構成物
本発明は、アグリカン特異的免疫寛容原性を誘起するためのリガンド エピトープ抗原提示系(L.E.A.P.S.)テクノロジーの使用も考慮している。このテクノロジーは、自己抗原を含む小さいペプチドを、免疫またはT細胞結合リガンド(I/TCBL)に付加し、それを免疫細胞に提示することによって、寛容原性に変換する(Cihakovaら, 2008. Int Immunopharmacol 8:624; Rosenthalら, 1998. Vaccine 17:535-542; Goelら, 2003. Vaccine 21:4410; Goelら, 2005. Front Biosci 966; Zimmermanら, 1996. Vac Res 5:91-102; Zimmermanら, 1996. Vac Res 5:103-13; Zimmermanら, 1985. DNA. Med Virol 15:215-22. Charoenvitら, 2004. Antimicrob Agents Chemother 48:2455; Charoenvitら, 2004. Vaccine 10:2368; および Zimmermanら, 2001. Vaccine 19(32):4750-4759)。I/TCBLsは概ねT細胞に結合することが知られている/予想されている免疫系から誘導される。その例としては、MHCクラスIおよびIIの一部、β2‐ミクログロブリンのようなアクセサリー分子の一部、LFA‐3の一部、免疫グロブリン重鎖のFc領域の部分、およびIa+分子が挙げられる。特定の実施態様において、β2ミクログロブリン(J)がI/TCBLとして用いられ、関心とする自己抗原に結合する。このタイプの融合構成物を用いて、コラーゲン誘起性関節炎モデルにおいて、例えばZimmermanら (2010, Int Immunopharmacol 10:412-421)が記載しているように、治療対象の動物の血清中のIL‐12p70およびIL‐10の増加、並びにIL‐17およびTNFαの減少とともに、疾患の進行を止めるのに成功した。
L.E.A.P.S.構成物を作る例証的方法は、例えば米国特許第5,652,342号、および米国特許出願第2011/0098444号に開示されており、これらは引例によってここにそのまま組み込まれる。
3.3.細胞ベースの治療または予防
例えば3.2.7章に記載のアグリカン特異的抗原細胞、または例えば3.2.9章に記載のアグリカン特異的TまたはB調節性リンパ球または寛容原性Bリンパ球は、それらだけで、または組み合わせて患者に投与され、アグリカン抗原(そのシトルリン化型も含む)に対する免疫反応を抑制する。これらの細胞をベースとする組成物は冒された、または素因のある被検体(早期RAの患者およびRAの発生リスクのある人を含む)における関節損傷を治療または予防するために有用であり、好適に、疾患が進行して慢性的および衰弱型のRAになる前に治療または予防する。本発明の細胞は、アグリカン抗原に抗原特異的寛容原性反応を生起する任意の手段(例えば注射)によって患者に導入することができる。それら細胞は、患者から(たとえば自己組織の細胞)または、患者とはMHCがマッチした、またはマッチしない(すなわち同種異型の)人、または人々から誘導できる。一般的には自己細胞が、そのソース細胞を提供した患者に注射され戻される。注射部位は皮下、腹腔内、筋肉内、皮内、静脈内、またはリンパ系内でよい。これら細胞は、すでに関節損傷に罹っている患者(早期RA患者およびRA発生リスクのある人々を含む)または関節損傷の素因のある人々に、患者の臨床的改善を起こすか、関節損傷または関節損傷の症状を予防するのに十分な回数を投与することができる。治療または予防の必要がある患者に注射する細胞の数は、特にアグリカン抗原または抗原類および個人のサイズによって変動し得る。この細胞数は、例えば約103〜1011個、そして通常は約105〜107個である(細胞としては例えば、血液、PMBC、または精製樹状細胞、Tリンパ球、造血またはリンパ系細胞、Bリンパ球など)。1回または数回(2、3、4または5回)の細胞投与が行われ、細胞の数およびパターンは治療医によって選択される。細胞は薬学的に容認される担体、細胞にも人体にも無毒である担体を用いて投与される。このような担体は細胞が増殖する増殖培地であってもよいし、または燐酸塩緩衝塩水のような任意の適切な緩衝培地でもよい。細胞はそれ単独で、または望まれない免疫反応の治療または予防のために当業者に公知のその他の治療薬、たとえば非制限的に、グルココルチコイド、メソトレキセート、D‐ペニシラミン、ヒドロキシクロロキン、金塩、スルファサラチン、TNFαまたはIL‐1インヒビター、および/またはその他の形の特定の免疫療法と組み合わせた補助的治療として投与できる。
3.4.薬学的組成物
本発明によると、例えば3.2.1章に記載されているようなアグリカン抗原類、例えば3.2.2章に記載されているようなアグリカンAPL、例えば 3.2.3章に記載されているようなNF‐κB、例えば3.2.4章に記載されているようなmTOR、例えば3.2.5章に記載されているようなSykインヒビター類、例えば3.2.6章に記載されているような免疫調節粒子、例えば3.2.7章に記載されているような抗原提示細胞、例えば3.2.9章に記載されているような調節性TまたはBリンパ球または免疫寛容原性Bリンパ球、例えば3.2.10章に記載されているようなMHC‐ペプチド複合体類、および、例えば3.2.11章に記載されているようなキメラ構成物(ここではまとめて「免疫モジュレータとも言われる」)は、アグリカン抗原およびそのシトルリン化型に対する免疫反応を抑制するための組成物および方法において有用である。そして早期RA患者、およびRA発生リスクのある人々を含む、冒された、または素因のある人々における関節損傷を治療または予防するために特に有用である。
本発明の免疫モジュレータ含有組成物は一般的には薬学的組成物の形であり、それは薬学的に容認される担体または希釈物を含むことができる。治療している特定の条件によって、免疫モジュレータが処方され、全身的、局所的または局部限定的に投与できる。処方および投与のための技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences,」 Mack Publishing Co., Easton, Pa., 最終版 に見出すことができる。適切な経路とは、例えば、経口、直腸、経粘膜、または腸内投与;または筋肉内、皮下、骨髄内注射を含む腸管外投与、並びに硬膜下腔内、直接心室内、静脈内、腹腔内、鼻内、または眼内注射を含む非経口投与を含む。注射のためには、本発明の免疫モジュレータは水溶液で、より好ましくは生理学的に適合する緩衝液、例えばハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理的塩緩衝液で処方される。経粘膜投与の場合、浸透すべきバリアに適した浸透物質がその処方に用いられる。このような浸透物質は一般に当業者には公知である。筋肉内および皮下注射は例えば免疫原性組成物、ワクチン類およびDNAワクチンの投与に適している。
免疫モジュレータは、当業者に公知の薬学的に容認される担体の、経口投与に適した量を使用して容易に処方できる。このような担体は、治療を受ける患者が経口摂取するために、本発明の化合物を錠剤、ピル、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などのような投与型に処方することを可能にする。これらの担体は、砂糖、澱粉、セルロース、およびその誘導体、麦芽、ゲラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール類、アルギン酸、燐酸塩緩衝溶液、乳化剤、等張食塩水、およびパイロジェン除去水、から選択できる。
非経口投与のための薬剤処方は、水溶性の形態の活性化合物の水溶液を含む。さらに、活性化合物類の懸濁液が適した油状注射懸濁液として調製される。好適な親油性溶媒またはビヒクルは、ごま油、または合成脂肪酸エステル類、例えばエチルオレエートまたはトリグリセリド類など、またはリポソーム類を含む。水性注射用懸濁液は、その懸濁液の粘度を高める物質類、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、またはデキストランなどを含める。任意に、その懸濁液は安定剤またはその化合物の溶解性を高める適切な作用物質も含み、非常に濃い溶液の調製を可能にすることができる。
経口的使用のための薬学的調製物は、活性化合物を固体腑形剤と合一し、生成した混合物を任意にすりつぶし、所望ならば適した助剤を加えた後、顆粒混合物を操作して、錠剤または糖衣錠のコアを得る。好適な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトール、を含む砂糖のようなフィラー;例えばトウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、ポテト澱粉、ゲラチン、トラガントゴム、メチル セルロース、ヒドロキシプロピルメチル‐セルロース、カルボキシメチルセルロース ナトリウム、またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調合物である。もし所望ならば、崩壊剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムなどのその塩を加えることができる。このような組成物は、薬剤学のいずれかの方法によって調製することができるが、全ての方法は、1つ以上の必要な成分を構成する担体と共に、上記のような1種類以上の免疫モジュレータと関係する段階を含む。概して、本発明の薬剤組成物は、それ自体公知の方法で、例えば一般的混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作成、細粒化、乳化、カプセル化、エントラッピングまたは凍結乾燥プロセスなどの手段によって製造できる。
糖衣錠のコアは適切なコーティングによって作られる。この目的のために濃縮砂糖溶液が用いられる。それは任意にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポル ゲル、ポリエチレングリコール、または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒、または溶媒混合物を含む。確認のため、または活性化合物の量の種々の組み合わせを特徴づけるために、色素材料または顔料をその錠剤または糖衣錠コーティングに加えてもよい。
経口的に使用できる医薬品は、ゼラチンから作られたプッシュ‐フィット カプセル、並びに、ゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールなど、から作られた柔らかい密封カプセルを含む。プッシュ‐フィットカプセルは、活性成分を、ラクトースのようなフィラー、澱粉のような結合剤、タルクまたはマグネシウム ステアレートのような潤滑剤および任意に安定剤と混合して含むことができる。ソフトカプセルでは、活性成分を脂肪油、液体パラフィンまたはポリエチレングリコール類のような適当な液体に溶解または懸濁させてもよく、さらに安定剤を加えてもよい。
本発明の薬剤の投与型は注射またはこの目的のために特に設計された放出制御装置の移植、または付加的にこのやりかたで働くように変更されたその他の形のインプラントを含む。本発明の免疫モジュレータの制御された放出は、それを例えばアクリル樹脂、ワックス、高次脂肪族アルコール、ポリラクテックおよびポリグリコール酸およびある種のセルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチル セルロースを含む疎水性ポリマー類でコーティングすることによって行われる。さらに、制御された放出は、その他のポリマーマトリックス、リポソーム類またはミクロスフェア類によって達成できる。
本発明の免疫モジュレータは、鼻または肺吸入エアロゾルまたはネブライザーのための溶液、または吸入のための微粒子粉末として単独で、またはラクトースのような不活性担体またはその他の薬学的に容認される腑形剤と共に呼吸器官に投与することもできる。本発明の幾つかの特定の実施態様において、処方物の粒子は直径50μm未満が有利であり、好適には10μm未満である。
幾つかの粒子の実施態様において、免疫モジュレータは、米国特許第5,783,567号(Pangaea)に記載されているように、APCによる活発な取り込みによって、食作用などにより、投与される。これらの細胞による食作用は、粒子サイズを一般的には約20μm以下、より好ましくは約11μm以下に維持することによって改善されるであろう。
特定の粒子の実施態様において、粒子型の免疫モジュレータは、もしも肝臓または脾臓を含む細網内皮細胞系(RES)の食細胞による取り込みが所望ならば、直接血流に(すなわち静脈または動脈内注射または注入によって)運搬される。あるいは皮下注射を目標にし、流れ出すリンパ節の食作用APCによって取り込まれる。粒子は例えば衝撃的またはマイクロニードル運搬を用いて皮膚内に(すなわち樹状細胞およびランゲルハンス細胞のような皮膚のAPCに)導入することもできる。例証的な粒子仲介性の送達技術は、担体粒子を標的細胞の方へ進めるために爆発性、電気、またはガス放出送達を含める。(例えば米国特許第4945050号、第5120657号、第5149655号、および第5630796号に記載されている)。マイクロニードル送達の非制限的例は、国際公開WO第2005/069736号およびWO第2005/072630号および米国特許第6503231号および第5457041号に開示されている。
その他の特定の粒子実施態様において、粒子送達の経路は例えば経口で胃腸管に至る。あるいは、粒子は肺のような器官に導入することができる(例えば粉末化微粒子の吸入、またはその微粒子を含む霧状の、またはエアロゾル化した溶液の吸入による)。その際それら粒子は、肺胞のマクロファージによって取り込まれる。または経鼻的に、または頬内に投与してもよい。ひとたび食細胞APCがその粒子を食作用によって取り込むと、NF‐κBインヒビターおよび任意にアグリカン抗原は細胞の内部に放出される。
粒子送達のために適した経路は、例えば口、直腸、経膜、または腸内投与である。また、筋肉内、皮下、骨髄内注射を含む非経口投与、並びに鞘内、直接心室内、静脈内、腹腔内、鼻内、または眼内注射を含む非経口投与でもよい。注射では、粒子は水溶液、適切には生理学的に適合する緩衝液、例えばハンクス溶液、リンゲル溶液または生理的食塩緩衝液などで処方される。経粘膜投与では、浸透するべきバリアに適した浸透剤が処方に用いられる。そのような浸透剤は概ね当業者には公知である。
粒子の非経口投与のための薬剤処方は、水溶性型の粒子の水溶液を含む。それに加えて粒子の懸濁液も、適した油性注射用懸濁液として調製される。好適な親油性溶媒またはビヒクルは、ゴマ油のような脂肪油、または合成脂肪酸エステル、例えばエチルオレエートまたはトリグリセリドなどを含める。水性注射用懸濁液はその懸濁液の粘度を高める物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含む。さらにその懸濁液は任意で、化合物の溶解度を高める安定剤または作用物質を含めて、非常に濃い溶液を製造できるようしてもよい。
インヒビター(例えばNF‐κBインヒビター)および抗原の粒子性送達のための例証的な方法は、米国特許出願公開第20100151000号に記載されている。
本発明の免疫モジュレータ(例えばインヒビター(類)、抗原、APCs、リンパ球、融合蛋白、粒子など)は、薬剤的に適合する対イオンとの塩として提供されてもよい。薬剤的に適合する塩は、非制限的に塩化水素酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、などを含む多くの酸で形成される。塩類は水性またはその他のプロトン性溶媒(それらは遊離塩基型に相当する)により良く溶解する傾向がある。
本発明に適した薬剤組成物は、免疫モジュレータが、それらの意図する目的を達するために十分な量含まれる組成物である。患者に投与される免疫モジュレータの量は、被検体における臨床的改善を得るために十分な、または関節損傷の発生リスクのある被検体(RA発生のリスクのある被検体も含む)において、関節損傷、または関節損傷の症状を予防するのに十分な量でなければならない。投与される免疫モジュレータ(類)の量または投与頻度は治療すべき被検体(その投与法、年齢、性別、体重および全身的健康状態)に依存する。これに関しては、投与する免疫モジュレータの正確な量は医者の判断による。関節損傷の治療または予防において投与される免疫モジュレータの有効量を決める際に、医者は、炎症、炎症性サイトカインレベル、リンパ球の増殖、細胞融解性Tリンパ球活性およびアグリカン特異的‐調節性Tリンパ球機能を評価する。いかなる場合においても、熟練せる当業者は、免疫モジュレータ(類)の適切な量を容易に決めることができる。
本発明の方法に用いられるいかなる免疫モジュレータも、治療的に有効な量は最初に細胞培養アッセイから推定できる。例えば、動物モデルにおいて、細胞培養で決められたIC50を含む循環濃度範囲に達するような量が処方できる(例えば、NF‐κB活性またはmTOR活性またはSyk活性における最大で半分の減少、アグリカン特異的抗原‐提示細胞の最大増加など)。このような情報を利用して、ヒトにおける有用な量をより正確に決定することができる。
このような免疫モジュレータの毒性および治療効果は細胞培養または実験的動物における標準的薬学的操作法によって決めることができ、LD50(集団の50%が死に至る量)およびED50(集団の50%に治療効果を発揮する量)が決められる。毒性と治療効果との用量比は、治療指数であり、それはLD50/ED50としてあらわされる。大きい治療指数を示す免疫モジュレータが好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトに使用するための用量範囲を処方するために用いられる。このような免疫モジュレータの投与量は、毒性が小さいかまたは無毒で、ED50を含む循環濃度の範囲内にあるのが好ましい。投与量は、使用する投与型、および利用する投与経路によって、この範囲内で変化させることができる。正確な処方、投与経路、および投与量は、個々の医者によって、患者の状態から決められる。(参照:例えばFinglら, 1975, in 「The Pharmacological Basis of Therapeutics」, Ch. 1 p1)。
投与量および間隔を個々に調節して、免疫反応の抑制またはアグリカン抗原に対する免疫寛容原性を高めるのに十分な、免疫モジュレータの血漿中レベルをもたらすことができる。全身性投与のための本発明の非細胞性免疫モジュレータの通常の患者投与量は、0.0001〜2000mg/日、一般には0.0001〜250mg/日、および典型的には0.001〜150mg/日である。
本発明の組成物は、幾つかの要因(例えば、治療すべき状態(例えばRAを含む関節損傷)の厳しさ、病気の再発があるかどうか、などを含む幾つかの要因)によって、数時間、数日、数週間、数ヶ月にわたって投与されてよい。その投与は数時間、数日、数週間、数ヶ月にわたって一定(例えば一定の注入)であってもよい。あるいは、その投与は間欠的で、例えば免疫モジュレータが1日一回、数日間、1時間に一回数時間、または適切と思われるその他の任意のスケジュールで投与してもよい。特定の実施態様において、本発明の免疫モジュレータは、規則的に、例えば毎週、二週間ごと、一月ごと、年4回、半年に1回、または毎年、下記の経路の一つによって:皮内、筋肉内、または皮下、並びに皮膚経皮的または鼻運搬経路の一つによって、体重1キログラムあたり1〜100、通常は10〜50マイクログラム/キログラムの量が投与される。
3.5 抗原特異的免疫寛容原性の試験方法
エフェクターリンパ球(特にエフェクターTリンパ球)誘導によるアグリカン抗原に対する寛容を示す効率を、その抗原に対する免疫反応をアッセイすることによって測定した。そのアッセイは、非制限的に、抗原特異的細胞溶解性Tリンパ球(CTL)を標的として、例えばアグリカン特異的抗原提示細胞を用いて、in vitroで、エフェクターTリンパ球細胞溶解性活性をアッセイし;アグリカン特異的Tリンパ球増殖、アポトーシス、またはサイトカイン産生(参照:例えばVollenweiderとGroscurth, 1992. J. Immunol. Meth. 149:133-135)、エフェクターT細胞の抗原特異的抑制をアッセイし、その抗原に対するB細胞抗体反応を、例えばELISPOTアッセイおよびELISAアッセイを用いて測定し;サイトカイン プロフィールを調べ;または特異的抗原に対する皮膚の反応性のテストによって遅延型過敏症(DTH)反応を測定する(参照:例えばChangら 1993, Cancer Res. 53, 1043-1050)。
幾つかの実施態様において、アグリカン特異的調節性Tリンパ球によって誘起される抗原特異的寛容/アネルギーは、その抗原特異的免疫エフェクター細胞(例えば抗原特異的エフェクターTおよび/またはBリンパ球)がその後のアグリカン抗原による再刺激に反応できないことを反映している。これらの抗原特異的調節性リンパ球は、IL‐10またはIFN‐γのようなサイトカイン類を抗原特異的なやり方で産生することによって特徴づけられる。IL‐10およびIFN‐γは、ヒトにおいて、CD25−CD127dimCD4+に誘導された調節性T細胞によって産生される強力な免疫抑制特性を有するサイトカインである。こうして、幾つかの実施態様において、アネルギーTリンパ球の存在は、細胞内染色のような、当業者には公知の標準的アッセイ(Haringerら, 2009. J Exp Med 206(5):1009-1017)を用いてサイトカイン産生をアッセイすることによって確認できる。あるいは、CD25およびFoxP3(それらはCD127dimである)を発現するCD4+調節性T細胞の比率には変化があってもよい。(Fazekas de St Groth Bら, 2011. Methods Mol Biol 707:263-79)。
代替的に、またはそれに加えて、抗原特異的寛容/アネルギーは、治療患者に免疫モジュレータ/寛容原性組成物を投与後少なくとも約1ヶ月、投与前のベースラインに比較して、関節損傷の軽減または治癒、またはそのサインおよびまたは構造的損傷を含む関節損傷の進行のスローダウンを測定するX線テストを行うことによって間接的に決定できる。その際、投与される免疫モジュレータ/寛容原性組成物の量は、関節損傷の軽減または治癒、または関節損傷(そのサイン、症状および/または構造的損傷を含む)の進行のスローダウンに達するために有効な量であり、その被検体が関節損傷の治療に成功していることを示す量である。特定の実施態様において、免疫モジュレータ/寛容原性組成物の投与後のX線テストは、その免疫モジュレータ/寛容原性組成物の投与後、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約10週、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約24週、少なくとも約6ヶ月、または少なくとも約52週に行われる。このタイプの例証的実施例において、そのテストは全体的に改変されたシャープスコアを測定するものである。
本発明の理解を容易にし、実際的効果に繋げるために、特に好ましい実施態様が次の非制限的実施例によってここに記載される。
〔実施例〕
〔実施例1〕
T細胞は増殖性は低いが、シトルリン化自己抗原性ペプチドに反応してサイトカイン類を産生する
シトルリン化または修飾されていないペプチド抗原類は、フィブリノーゲン、ビメンチン、コラーゲン、およびアグリカン蛋白質配列から合成され、これらの確認は、P4にシトルリンを位置づける分子モデルにおけるRA‐関連DR分子に対する結合能力の予測、またはHLA‐DR4‐IE‐トランスジェニックマウスにおけるこれまでの研究(表5)による(Hidaら, 2004. J. Autoimmun. 23:141-150; Hillら, 2008. J. Exp. Med. 205:967-979; von Delwigら, 2010. Arthritis Rheum. 62:143-149)。
全体として21名のSE+RA患者および6名のSE+健康対照者を試験した。4名のRA患者を除く全てがACPA+であった(表6)。RA患者の43%が非喫煙者であり、38%が過去に喫煙経験があり、19%が現在喫煙者である。1名の健康対照者は現在の喫煙者であり、2名にRAの家族歴がある。種々の濃度のシトルリン化された、または未修飾のペプチド抗原に対する末梢血単核細胞(PBMC)の増殖性反応を、SE+RA患者およびSE+健康対照者から分析した。ペプチド抗原および破傷風毒素に対する増殖性反応をSIとしてあらわした。SI>2は有意であると考えた。シトルリン化および未修飾ペプチドに対する平均増殖性SIは概ねRA患者および健康対照者では1と2の間であり、各症例において、破傷風毒素に対する反応より低かった(図1)。シトルリン化アグリカンペプチドに反応した増殖性SIは、RA患者の天然アグリカンペプチドに対する反応よりも有意に高かった(図1)。破傷風毒素に対する増殖性反応は、RAを健康対照者のPBMCと比較した際、有意に低かった。
最初の実験において、本発明者らは、ペプチド反応をウシ胎仔血清でなくヒト血清の存在下でアッセイした場合に、バックグラウンド サイトカイン分泌および増殖反応は一般的に低いことを確認した。また、Hetero Blockを加えて、ELIZA反応においてRFが捕捉、または検出抗体と結合するのを阻止するためにリウマリ性因子(RF)タイターを>100U/mLとした条件下において、10%の健康なまたは自己または同種異型のRAドナー血清を加えた場合、サイトカイン産生には差がなかった(Toddら, 2011. Arthritis & Rheumatism 63:894-903)。ペプチド刺激がない場合、RA患者のPBMCは、ペプチドが存在しない場合のその他のサイトカイン類に比べて有意により高い濃度のIFN‐γおよびIL‐6を分泌した(図2A)。正味サイトカイン分泌は、[ペプチドで刺激した際に分泌するサイトカイン]−[ペプチドの存在しない場合に分泌したサイトカイン]として評価した。IL‐6分泌は、測定したサイトカイン類の中では最も高く、30μg/mLシトルリン化アグリカンに反応して60ng/mLもの正味産生であった。天然エピトープの、共通エピトープHLA‐DR対立遺伝子への結合の欠如と一致して(Snirら, 2011, supra),RA患者は天然アグリカンペプチドよりもシトルリン化アグリカンペプチドに反応して、有意により多量のIL‐6、TNF、およびIL10を産生した(図2B、図3B)。IL‐17および或る程度のIFN‐γが数種のシトルリン化ペプチドに反応して分泌したが、個々間でかなりの変動があり、その差のいずれも統計的に有意ではなかった(図3)。IL‐2およびIL‐4反応は概ね低い。RA患者と健康対照者を比較した場合、RA患者はシトルリン化アグリカンに反応して、健康対照者に比べて有意に多いIL‐10およびTNFを分泌した(p<0.05)、そしてシトルリン化アグリカンに反応した場合(p=0.065)と,シトルリン化フィブリノーゲンに反応した場合(p=0.08)とでIL‐17に同様な傾向があった。天然自己ペプチドの安定的HLA‐DR結合に欠ける場合、本発明者らは、対応する天然ペプチド類に対する反応の平均、および2SD高い閾値よりも大きいシトルリン化ペプチド類に対するポジテイブな反応を確認した(シトルリン化ビメンチンの反応は、天然ビメンチンに対する反応が測定されていなかったため、評価することができなかった)。SE+健康対照者と比較した場合,SE+RA患者のシトルリン化ペプチド反応は、サイトカイン類のより広いアレイを生成した。注目すべきは、各シトルリン化ペプチドに対して陽性反応を有するRA患者と健康対照者のパーセンテージをプロットした場合、調節性サイトカインIL‐10およびIFN‐γが、被検エピトープ類に対してRA患者にのみ産生したことである(図4)。
〔実施例2〕
RA患者のIL‐6反応は疾患期間の長さによって変化する。
個々のRA患者およびSE+健康対照者のシトルリン化ペプチド反応パターンををより良く理解するために、この研究の各個人について、各ペプチドに対するIL‐6用量反応曲線をプロットした。4/6健康対照者からのPBMCは、用量依存的に、シトルリン化アグリカンに対してIL‐6を分泌し、3/6はシトルリン化フィブリノーゲンに反応してIL‐6を分泌した。上記のように、陽性反応のための同じ閾値を用いると、17名のRA患者のPBMC反応のうち、6名がどのエピトープにも反応せずにIL‐6を分泌し、8名がシトルリン化アグリカンのみに、0名がシトルリン化フィブリノーゲンに、0名がシトルリン化コラーゲンII型のみに、そして3名が複数のシトルリン化エピトープ類に反応した。こうして、IL‐6反応は、RA患者および健康対照者の両方で最も高く、シトルリン化アグリカンに対して最も頻繁に認められた。これは試験した中で最も免疫原性的エピトープであることを示唆するものである。複数のエピトープ類に対するIL‐6反応は、5年以上前にRAと診断された患者のなかで、より頻繁に起きた(図5B)。
〔実施例3〕
エフェクターメモリCD4+T細胞はシトルリン化ペプチドに反応してサイトカイン類を分泌する。
IL‐6は、RAにおいては重要なサイトカインであり、これはPBMCをT細胞または抗原提示細胞どちらかによって刺激したときに産生する。シトルリン化ペプチドによって刺激されたPBMCの上澄液に分泌されたサイトカインの起原を確認するために、RA PBMCをシトルリン化または天然ペプチドと共に5日間インキュベートした。その際、細胞表面マーカー類の分析と共に細胞内サイトカイン染色をする前に、最後の18時間についてはBrefeldin‐Aを添加した。CD3+CD4+T細胞は、シトルリン化アグリカンまたはフィブリノーゲンと共にインキュベートしたとき、培地のみにおけるインキュベーションに比べて、より多くの細胞内IFN‐γおよびIL‐6を産生する(図6A、B)。フルオレッセンス‐マイナス‐ワン(FMO)染色は、記載されているように、陽性染色のための閾値を決めるゲーテイング戦略を示す(Herzenbergら, 2006. Nat Immunol 7(7):681-685)(図6C)。細胞内サイトカイン染色はCD4−CD28−細胞によるこれらのアッセイには観察されず、その大部分は抗原提示細胞を示す(図6D)。分化/老化したCD45RO−メモリー細胞は、CD45RAを再発現し、また、CD27およびCD28の喪失によって特徴づけられることが示されている(Wengら, 2009. Trends Immunol 30(7):306-312)。健康対照者において、CD28−細胞は低い割合のCD4+T細胞のみを含み、サイトカイン分泌細胞は専らCD4+CD28+であった。CD28−細胞は、すべてではないが若干のRA患者において、CD4+PBT細胞のなかではより豊富であった。CD4+CD28−T細胞が存在する場合、シトルリン化ペプチドに反応して、IL‐6およびIFN‐γが、CD28−およびCD28+CD4+T細胞の両方によって分泌される。本発明者らが以前、上澄液の分析において認めたように、これらの培養で高いバックグラウンド サイトカイン分泌が認められた(図2Aおよび6A)。IFN‐γ+CD4+およびIL‐6+CD4+T細胞はCD45RO+およびCD45RO−細胞の両方を含んでいた(図6E)。CXCR5+小胞性ヘルパーT細胞はシトルリン化ペプチドに反応してIL‐6またはIFN‐γを発現しなかった。
実施例1‐3の検討
本発明者はここで、IL‐6、IFN‐γ、IL‐10およびTNFを含む炎症性および調節性サイトカイン類が、シトルリン化自己エピトープに反応したSE+RA患者のCD4+T細胞によって産生することを示した。上記シトルリン化自己エピトープのなかではシトルリン化アグリカンが最も免疫原性であった。これらのサイトカイン反応は、ペプチド特異的T細胞増殖反応が弱いにもかかわらず観察された。SE+健康対照者もシトルリン化アグリカンおよびシトルリン化フィブリノーゲンに反応してサイトカインを産生した。このようなT細胞反応は必ずしも原因としてRAに関係してるわけでなく、むしろそれらはACPAが存在しない場合でもシトルリン化自己ペプチドに向かうSE+個人に存在する自己反応性を証明するものである。しかし、シトルリン化自己エピトープに対するサイトカインの反応は、RA患者では健康な対象者よりも多様であった。実際RA患者だけがこれらのエピトープに対し反応して調節性サイトカイン類IL‐10およびIFN‐γを分泌した(Haringerら, 2009. J Exp Med 206(5):1009-1017)。PBおよび滑液T細胞によるIFN‐γ産生は、十分記載されており(Steinerら, 1999. Rheumatology 38(3):202-213)、そしてIFN調節された遺伝子は、関節痛を有するACPA+患者におけるRA発生を予想することが証明された(van Baarsenら, 2010. Arthritis & Rheumatism 62(3):694-704)。細胞内染色によって、本発明者らは、ペプチド刺激の少なくとも5日後に試験した際、これらの培養液に、CD4−抗原提示細胞によってではなく、メモリCD4+T細胞によるIL‐6およびIFN‐γ産生を証明した。これらのデータは、CD4+T細胞はサイトカインを産生できるが、単球、B細胞、及び樹状細胞のようなCD4−抗原提示細胞が培養中にこれらのサイトカイン(これらは上澄液に分泌される)を産生する可能性も排除しないことを示している。IL‐6反応は、シトルリン化ペプチドに反応して用量依存的に増加した。細胞内サイトカイン染色は、メモリCD4+T細胞の表現型と一致した広いサイトカイン反応プロフィールを確認した。
RAにおける自己ペプチドおよび破傷風毒素抗原に対して自己反応性T細胞によってあらわされる低い増殖反応には、種々のメカニズムが貢献し得る。例えば、多くの研究が、T細胞レセプタ‐CD3複合体によりRA T細胞のシグナルが低くなるとしている(Emeryら, 1984. Clin. Exp. Immunol. 57:123-129; Seitzら, 1988. Rheumatol. Int. 8:189-196; Allenら, 1995. Eur. J. Immunol. 25:1547-1554; Thomasら, 1992. Arthritis Rheum. 35:1455-1465; Bergら, 2000. Arthritis Res. 2:75-84; Mauriceら, 1997. J. Immunol. 159:2973-2978; Bergら, 2000. Clin. Exp. Immunol. 120:174-182)。IL‐2は、調節性T細胞によって、および活性化エフェクターメモリT細胞によって発現される高活性CD25レセプタに結合することによって、速やかに消費される可能性がある。これは組織培養におけるT細胞増殖のためにIL‐2を使用できる可能性を制限し得る(Wolfら, 2001. Eur. J. Immunol. 31:1637-1645; Ishimaruら, 2006. Nat. Immunol. 7:763-772)。さらに、自己反応性T細胞は、ここに証明されたように、調節性細胞およびサイトカイン類の影響を受ける(Bergら, 2001. Ann. Rheum. Dis. 60:133-139; van Amelsfortら, 2004. Arthritis Rheum. 50:2775-2785)。他方、エフェクターメモリー細胞は高レベルの炎症性および調節性サイトカインを産生し、サイトカイン産生は、ヒトおよびマウスの両方で、高度に分化した自己反応性エフェクターメモリーT細胞により効率的につながる(Garcia de Tenaら, 2006. J. Clin. Immunol. 26:233-242; Nankiら, 2000. Arthritis Res. 2:415-423; Moritaら, 1998. Arthritis Rheum. 41:1669-1676)。
炎症性サイトカインIL‐6はB細胞抗体産生を刺激し、RAの病因に重要な役割を演ずる(Assierら, 2010. Joint Bone Spine 77:532-536)。RA患者において、細胞内IL‐6およびIFN‐γはCD28+およびCD28−およびCD45RO+およびCD45RO−PB CD4+T細胞によって産生された。本研究において、RA T細胞は、シトルリン化ペプチドに応じて、増殖性が低いものの良好なサイトカイン反応が得られた。過去の文献においてもこれに一致して、健康ドナーからのCD4+CD45RBdimCD27メモリーT細胞は、増殖は少ないものの、ミトゲンに反応して多量のIL‐4およびIL‐10を産生し、また、粘液グロブリン産生のための有効なB細胞ヘルプを与えることが示されている(Tortorellaら, 1995. J. Immunol. 155:149-162)。対照的に、In vivoリンパ性組織で抗体産生を促進することが示されている典型的CXCR5+小胞性ヘルパーT細胞(Chevalierら, 2011. J Immunol 186:5556-5568)は、シトルリン化ペプチド類に反応したサイトカインを発現しなかった。興味深いことに、CD28−T細胞がRA患者のPBに存在した場合、それらもシトルリン化ペプチドに反応してサイトカインを産生した。CD28−T細胞は滑液環境において重要なエフェクターメモリ増幅反応をあらわし、調節性T細胞による抑制に、より強く抵抗することが示されている(Wengら, 2009. Trends Immunol. 30:306-312; Thewissenら, 2007. J. Immunol 179:6514-6523)。合わせて、ここに示したデータは、種々のシトルリン化自己ペプチド及びB細胞のためのポテンシャルと反応するエフェクターメモリT細胞が、末梢血の循環を助け、そしてSE+個々人の滑膜液中に存在する、という仮説を支持する。
RA患者におけるこれまでの研究は、単一のシトルリン化ペプチド特異性に対する PB CD4+T細胞を分析した。RA患者ではシトルリン化アグリカン84‐103に対する増殖性及びIL‐17CD4+T細胞反応がみられたが、健康な対照者では示されなかった。これはこのシトルリン化アグリカンエピトープの免疫原性を証明するものである(Delwigら, 2010. Arthritis Rheum 62(1):143-149)。未修飾のアグリカンエピトープは、アグリカン/プロテオグリカンで免疫したBALB/c miceにおいて免疫ドミナントである(Buzasら, 2005. Cell Immunol 235(2):98-108)。このシトルリン化アグリカンペプチドは本研究においても最も免疫原性な(反応者の頻度が最も高く、IL‐6反応がもっとも高い)エピトープであった。しかしながら、Buzasの研究は、早期RAと、長期持続性のRA患者とを比較しておらず、アグリカン以外のいかなる抗原に対する宿主免疫反応も研究していなかった。
本研究者らは、長期RA患者において、シトルリン化フィブリノーゲン‐α79‐91に反応して、確かなサイトカイン産生が発現することを発見した。これは、シトルリン化ヒトフィブリノーゲンで免疫したHLA‐DR4‐IEトランスジェニックマウスにおける免疫ドミナント エピトープであることが示されている(Hillら, 2008. J. Exp. Med. 205:967-979)。シトルリン化ビメンチン66‐78エピトープで刺激すると、Snirら(2011,supra)の報告と同様に、本研究では非常に弱いサイトカイン反応が生じた。Snirらは、シトルリン化ビメンチン59‐78と共にインキュベートした場合、HLA‐DRB1*0401+RA患者T細胞が多数のサイトカイン類を産生するが、66‐78とインキュベートした場合には産生しないことを発見した。Snirらの研究において、シトルリン化ビメンチン59‐78に反応したCD154+CD4+RA患者のT細胞の少部分によって、INF‐γおよびTNFが細胞内に発現したが、天然ビメンチン59‐78を使用した場合には、発現しなかった。細胞内サイトカインのためのT細胞染色の割合は本研究のそれより遥かに低かった。本研究における発明者らは、抗原刺激後5日間、第二の再刺激をすることなく染色を行った。最初の5日間、ペプチドと共に培養した後、ペプチドによる再刺激によって、アネルギーが誘導された可能性がある。またはそれらのエフェクターメモリー表現型(Di Mitriら 2011. 「Reversible Senescence in Human CD4+CD45RA+CD27- Memory T Cells.」 J. Immunol)を仮定すると、ほとんどのT細胞は、長いin vitro培養後にCD154を発現することができなかった可能性がある。この研究と同様に、Snirら(2011,supra)は、Delwigら(2010,supra)とは違って、強い増殖性またはIL‐17A反応を認めなかった。サイトカイン分泌における差は、本研究には健康な血清またはHetero Blockプラス自己血清が含まれていることに関係する可能性がある(Toddら, 2011. Arthritis & Rheumatism 63:894-903)。最後に、84‐88の疎水性アミノ酸があることで、シトルリン化アグリカンペプチドは水性培地に比較的溶け難く、それも異なる研究所において抗原の純度、濃度及び細胞の取り込みに影響した可能性がある。
本発明者らはSE+RA患者(ACPA+であるかどうかは問わない)におけるシトルリン化自己エピトープに対するT細胞サイトカイン反応を、ACPA−の健康対照者とともに観察した。HLA‐DRB1*0401+健康対照者のT細胞もシトロリン化ビメンチン59‐78に反応してサイトカインを産生することが報告されている(Snirら,2011,supra)。DR4‐IEトランスジェニックマウスをシトルリン化ヒトフィブリノーゲンで免疫後、シトルリン化エピトープに対する反応と並行して未修飾の天然エピトープ類を刺激した。HLA‐DR結合およびおよび未修飾エピトープに対する反応のこれまでの、および現在の分析から、シトルリン化エピトープに対する反応は、SE+RA PBに最も特異的と思われる。一方、健康対照者におけるシトルリン化エピトープに対する反応の大きさ及び広がりは期待されなかった。天然ヒトフィブリノーゲンを注入したDR4‐IEトランスジェニックマウスにおいてシトルリン化フィブリノーゲンの方へのT細胞の自己反応性はなかった(Hillら,2008,supra)。しかしながら、SE+RA患者およびおよびHLA‐DR4+健康対照者両方においてCD4+T細胞はT細胞レセプタ切除サークル、全体的末端短縮、および低下した再現能力を有することが示された。それらがともに意味するところは、T細胞の、末梢レパートリーへの投入のHLA‐DR SE関連性減少、T細胞の末梢自己抗原の方向への増殖ドライブの増加、およびTCRレパートリーの広がりの制限である(Fujiiら, 2009. Proc Natl Acad Sci U S A 106:4360-4365; Koetzら, 2000. Proc Natl Acad Sci U S A 97:9203-9208; Schonlandら, 2003. Proc Natl Acad Sci U S A 100:13471-13476)。ヒトにおける現在またはこれまでの研究は、共に、HLA‐DR SE+個々人におけるPB T細胞が、ストレスまたは炎症性状況(関節外傷または喫煙を含む)に潜在的にさらされる、シトルリン化によって変化したものを含めた、自己抗原の方への自己反応性に傾いているかも知れない。(Klareskogら, 2006. Arthritis Rheum. 54:38-46; de Jongら, 2010. Ann. Rheum. Dis. 69:255-262)。さらに、T細胞自己反応性とは異なり、B細胞自己反応性の、シトルリン化エピトープの方への発展は、RAへの進行において重要なチェックポイントであるようにみえる。例えば歯周炎患者において、例えばポルフィロモナス ジンジバリスによる感染は細菌性抗原との交差反応性、病原関連性分子パターン、別の抗原提示細胞の標的化、またはこれらの組み合わせとの交差反応性によって、このチェックポイントを通過する進行のための重要なトリガーとなり得ることが提起されている(Wegnerら, 2010. Immunol. Rev. 233:34-54)。リシン残基のホモシトルリンへのカルバミン化は、RA自己抗原およびシトルリン化された抗原の抗原性を高める、また一つの要因となり得る(Mydelら, 2010. J Immunol. 184:6882-6890)。
ここに示すデータは、長期疾病のRA患者は、多数のシトルリン化エピトープに、より反応し易く、一方最近発病したRAの患者(これまで未治療だった者も含む)は、無抗原に、またはシトルリン化アグリカンのみに、より反応し易いことを示す。これらのデータも、疾患の進行につれてエピトープの広がりが起こることを示している。ここに開発されたアッセイ、すなわちT細胞サイトカイン産生を種々濃度のパネルのシトルリン化エピトープの存在につなげるこのアッセイは、最も免疫原性であるペプチドエピトープを確認するために有用な、そして特異的T細胞反応を対応するACPA「微細特異性」(Willemzeら, 2011. Arthritis Rheum. 63:1823-1832)と関連づけるために有用なバイオマーカーであることを示唆する。有利なことに、これらのアッセイは、テトラマー特異的T‐細胞の分析と関連して行うことができる。考えられる応用としては、RA前から診断にいたるまでのPBMCの連続サンプルの比較(Deaneら, 2010. Arthritis Rheum. 62:3161-3172)を含み、および抗原特異的または非特異的な免疫療法(例えばAbatacept(Yueら, 2010. Arthritis Rheum. 62:2941-2952))における臨床試験からのPBMCの分析を含む。最後に、特異的ペプチド反応性の分析が、患者の層別化、および個人的抗原特異的免疫療法のための適切なエピトープの確認のために有益であることを提起する。
〔材料および方法〕
〔患者〕
1987年のRAのための米国リウマチ学会議(ACR)基準(Aletahaら, 2010, supra)に適合した21名の患者および6名の非喫煙ACPA−SE+健康対照者が含まれた。全員が末梢血(PB)を提供したが、若干の症例で、すべてのアッセイを行うためには用量が不足していた。患者の人口統計的詳細は、表6に概略を示す。HLA‐DR遺伝子型決定はQueensland Health Pathology Servicesで行われた。研究は、Princess Alexandra Hospitalのヒト研究倫理委員会によって承認され、各患者からインフォームド・コンセンスが得られた。
ペプチド反応のための採血時に測定したCRP。
M:メソトレキセート、S:スルファサラジン H:ヒドロキシクロロキノン、L:レフルノミド A:アバタセプト、C:コーカサス人、A:アジア人、I:太平洋諸島人
*PB(末梢血)およびSF(髄液)の両方が得られた。RA患者では平均年齢=50(範囲=22〜65)、その89%は女性であり、対照者では平均年齢=38(40〜45)、50%が女性である。
〔ペプチドの作成〕
ビメンチン、コラーゲンII型、フィブリノーゲン、およびアグリカンに対応するシトルリン化またはアルギニン含有SE結合エピトープが、Auspep(NSW、オーストラリア)によって合成された。すべてのペプチドは濾過され、滅菌水で300μg/mLに再構成され、70℃で保存された。研究ストック用の最終希釈は培養液で行われた。
〔PB単核細胞の精製および抗原提示アッセイ〕
単核細胞(MC)は、Ficoll‐Paque密度勾配を使用して分離され(Amersham Pharmacia Biotec、Uppsala、スウェーデン)、0.9%食塩水で洗浄し、その後RPMIおよび健康な、または自家‐または同種異型のRAドナーからの10%ヒト血清に再懸濁させた。破傷風トキソイドを4Lfi/mLの濃度で用いた(Chiron Vaccinese)。2×105PBMCまたはSHMCを0、3および30μg/mLの各ペプチドと共に、10%ヒト血清を最終容量200μLになるように含むPRMIの存在下で、丸底ウェル中で、5日間インキュベートした。T細胞増殖を1μCi/ウエル〔3H〕チミジン(ICN Biochemicals)を付加し、最後の18時間アッセイした。細胞をグラスファイバーマット上に採取し、液体シンチレーション分光光度計(Packard Topcount、Packard Insturument Co.)によって測定した。IL‐2、IL‐4、IFNγ、IL‐10、IL‐6、IL‐17、およびTNFを5日目の上澄液中で、BDサイトメトリック ビード アレイ(CBA)キット(BD Bioscience)によって測定した。最初の動的(kinetic)実験は、5日間のペプチド刺激が抗原特異的増殖およびサイトカイン反応を最適に誘起することを示した。そして、より長い培養がよりよい反応を与えないことを示した。RA血清をサイトカイン産生アッセイに用いた場合、150μgのヘテロブロック(Omega Biologicals)をCBA測定中に加えた(Toddら, 2011, supra)。サンプルをBD FACSアレイ(登録商標)バイオアナライザー装置で読み込んだ。増殖反応のための刺激指数(SI)を、バックグラウンドを超える、ペプチドに対する反応の倍増(fold increase)として計算した。正味のサイトカイン分泌を各反応について次のように計算した:[ペプチド刺激での濃度]−[ペプチド刺激なしの濃度]。陽性反応閾値は、RA患者でも健康対照者でも、対応する天然ペプチドの方にサイトカイン反応より2SD高かった。
〔フローサイトメトリーおよび細胞内サイトカイン染色〕
SE+患者および健康対照者からのPBMCを、3および30μg/mL濃度のペプチドと共に、またはこれを加えずに、5日間インキュベートした。BrefeldinA(Sigma Aldrich)を最初の18時間加えた。細胞を、CD3‐FITC、CD4‐APC/Cy7、CD28‐FITC、CXCR5‐PerCP/Cy5.5(Biolegend)について、染色し、その後透過し、細胞内IL‐6‐APCおよびIFN‐γ‐APC(Biolegend)について染色した。データをGalliosフローサイトメトリーで集め、Kaluzaソフトウエア(Beckman Coulter)を用いて分析した。
〔統計的分析〕
post‐hoc補正を伴うone‐way non‐parametric ANOVAによって多くの手段を比較した。不対Mann Whitneyテストは、破傷風トキソイド増殖反応をRA患者と健康対照者の間で比較し、シトルリン化 対 天然ペプチド に対する特異的サイトカイン反応を比較した。有意性は、*P<0.05、**P<0.005、および**P<0.001として示した。すべての誤差棒はSEMをあらわす。
〔実施例4〕
NF‐κB、mTORまたはSYKのインヒビターを有するRA患者からのAPCの阻害は、シトルリン化アグリカンペプチドに対して反応しておこるT細胞サイトカイン産生を誘起するそれらの能力を抑制する。
末梢血単核細胞(PBMC)を、疾病期間18年、抗CCPおよびHLA‐DRB1*0401共通エピトープ陽性のRA患者から抽出した。自己CD4+T細胞は免疫磁気ビーズを用いて分離した。非T細胞フラクションは樹状細胞、単球およびB細胞を含む抗原提示細胞(APC)からなる。それをマイトマイシンCで処理して増殖を止める。そのAPCを3μM BAY7011‐82、20μg/mLクルクミン(両方共NF‐κBを阻害する)、10ng/mLラパマイシン(mTORを阻害する)、または40μMピセアタノール(sykを阻害する)なしに、またはそれらと共に、1時間プレインキュベートし、それから100ng/mL、3ng/mL LPSと1時間インキュベートした。APCを3回洗い、0μg/mL、3μg/mL、または30μg/mLアグリカンペプチド84‐103 cit93の存在下で、CD4+T細胞と共に5日間インキュベートした。サイトカイン類を培地上澄液中で、サイトカイン ビード アレイによって分析した。データは、3または30μg/mLペプチドに反応した正味([ペプチド ウエル]−[ペプチドなしのウエル])IL‐6およびTNF産生を示す。
図7に示される結果は、APCの、Bay11‐7082とのプレインキュベーションが一部抑制され、その他のインヒビター類はAPC提示cit‐ペプチドがT細胞IL‐6産生を誘起する能力を一部抑制し、その他のインヒビター類は前記能力を完全に抑制したことを示す。すべてのインヒビター類は、APC提示cit‐ペプチドの、T細胞TNF産生を誘起する能力を完全に抑制した。
〔実施例5〕
RA患者におけるシトルリン化アグリカンG1エピトープに対するサイトカイン反応
実施例4に記載された、同じRA患者からのPBMCを、天然またはシトルリン化型の351アミノ酸ヒトアグリカンG1エピトープ(マウスの優性および優性以下のエピトープ類を含む)と1μg/mLで5日間インキュベートし、その後上澄液のIL‐6を測定した。図8に示される正味IL‐6([抗原]−[抗原なしのウエル])の産生は、シトルリン化G1エピトープに対して、対応する非シトルリン化エピトープに比較して、有意に高いIL‐6反応を示す。
〔実施例6〕
Citアグリカン特異的T細胞はリウマチ性患者の末梢血に存在する
2HLA‐DRB1*0401+ACPA+RA患者からのPBMCを、ダサチニブの存在下で、CLIP、インフルエンザ ヘマグルチニン(HA)、アグリカン89‐103cit93、95またはビメンチン59‐71cit64、69、71、DRB1*0401‐テトラマーで染色した。プロットは、免疫磁気ビーズを用いて、生きている細胞、テトラマー+細胞のために豊富にしたCD4+T細胞上にゲートした。豊富になったPBMCのテトラマー+%を各プロットごとに図9に示す。これらの結果は、シトルリン化アグリカン特異的T細胞がリウマチ性関節炎患者の末梢血に存在することを明らかに示す。
〔実施例7〕
末梢血中のcit‐アグリカン特異的T細胞の数および蛍光強度
6名のRA患者、および3名の健康対照者からのPBMCを、蛍光計量ビーズを含んだ実施例6におけるように染色し、その後、血液1mLあたりのテトラマー+T細胞の数を計算した。テトラマー染色の平均蛍光強度(MFI)は、HLA‐DR分子によってあらわされる抗原に対するT細胞レセプタの親和性の指標である。Cit‐アグリカン特異的T細胞は、RA患者及びこの遺伝子型の健康対照者の中を循環する。図10に示す結果は、cit‐アグリカン特異的T細胞の数が健康対照者の平均に比較して、比率においてRA患者の方がより高いこと、および若干の患者ではこれらAg特異的T細胞がcit‐アグリカンに、より高い親和性を有することを示している。
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