JP2015502958A - がんの処置のための併用療法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、がんを処置するための併用治療を含む方法を提供する。具体的には、本発明は、がんおよび他の疾患の処置のためにMAPK経路阻害剤と組み合わせてWnt経路阻害剤を提供する。いくつかの態様において、MAPK経路シグナル伝達活性化は、MAPK経路成分における変異によるものである。いくつかの態様において、MAPK経路シグナル伝達成分は、Ras、Raf、MEK、またはERKである。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2011年12月9日付で出願された米国特許仮出願第61/568,844号および2012年9月7日付で出願された米国特許仮出願第61/698,030号の優先権の恩典を主張するものであり、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
発明の分野
本発明は、がんを処置するための併用治療を含む方法を提供する。具体的には、本発明は、がんおよび他の疾患の処置のためにMAPK経路阻害剤と組み合わせてWnt経路阻害剤を提供する。
発明の背景
がんは、先進諸国の主要な死因の1つであって、米国だけでも毎年100万人以上ががんと診察され、500,000人が死亡する。通算して、3人に1人よりも多くが一生のうちになんらかの形のがんを発病するであろうと推測される。200種を上回るさまざまな種類のがんが存在し、それらのうちの4つ、すなわち***、肺、結腸直腸、および前立腺のがんが全ての新患の半分以上を占める(Siegel et al., 2011, CA: Cancer J. Clin,, 61:212-236)。皮膚がんは全てのがんのなかで最も一般的であり、メラノーマは最も重篤かつ攻撃的なタイプの皮膚がんである。メラノーマは皮膚がん症例の5%に満たないのにもかかわらず、皮膚がん関連死の大部分に関与している。早期メラノーマと診断され、適切な処置を受けている個体の場合には、生存率がかなり高い。しかしながら、転移性メラノーマは、極めて攻撃的であり、処置するのが最も困難ながんの1つのままである。この進行型を有する個体は、10%未満の全生存率およびわずか6ヶ月から9ヶ月の生存期間中央値を有する。
シグナル伝達経路は、通常、細胞外シグナルと核とをつなげて、細胞成長、分化、生存、および死を直接的または間接的に制御する遺伝子の発現を引き起こす。多種多様のがんにおいて、シグナル伝達経路が調節不全となっており、腫瘍の発生および/または進行につながっている可能性がある。ヒトの発がんに関与するシグナル伝達経路には、Wnt経路、Ras-Raf-MEK-ERKまたはMAPK経路、PI3K-AKT経路、CDKN2A/CDK4経路、Bcl-2/TP53経路、およびNotch経路が含まれるが、これらに限定されることはない。
Wntシグナル伝達経路は、がん治療の潜在的な標的として特定されている。Wntシグナル伝達経路は、胚パターン形成、後胚組織の維持、および幹細胞生物学機能のいくつかの重要な調節因子の1つである。より具体的には、Wntシグナル伝達は、幹細胞集団による自己複製を含む、細胞極性の発生および細胞運命の決定において重要な役割を果たしている。Wnt経路の無秩序な活性化は非常に多くのヒトがんと関連しており、その活性化は細胞の発生運命を変化させうるものと考えられている。Wnt経路の活性化は、腫瘍細胞を未分化の状態に維持し、および/または無制御増殖を引き起こしうる。したがって、発がんは、正常な発生および組織修復を制御する恒常性維持機構に取って代わることで進行することができる(Reya & Clevers, 2005, Nature, 434:843-50; Beachy et al., 2004, Nature, 432:324-31に概説されている)。
Wntシグナル伝達経路は、ショウジョウバエ(Drosophila)発生変異体であるwingless (wg)において、およびマウスがん原遺伝子int-1(現在はWnt1)から、最初に解明された(Nusse & Varmus, 1982, Cell, 31:99-109; Van Ooyen & Nusse, 1984, Cell, 39:233-40; Cabrera et al., 1987, Cell, 50:659-63; Rijsewijk et al., 1987, Cell, 50:649-57)。Wnt遺伝子は分泌型脂質修飾糖タンパク質をコードし、19種が哺乳動物において特定されている。これらの分泌型リガンドは、Frizzled (FZD)受容体ファミリーメンバーおよび低密度リポタンパク質(LDL)受容体関連タンパク質5または6 (LPR5/6)からなる受容体複合体を活性化する。FZD受容体は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリーの7回膜貫通ドメインタンパク質であり、システインリッチドメイン(CRD)またはFriドメインとして知られる10個の保存システインを有する大きな細胞外N末端リガンド結合ドメインを含む。10種のヒトFZD受容体FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、およびFZD10がある。異なるFZD CRDが特定のWntタンパク質に対して異なる結合親和性を有し(Wu & Nusse, 2002, J. Biol. Chem., 277:41762-9)、FZD受容体は、標準的β-カテニン経路を活性化するものと、非標準的経路を活性化するものとにグループ分けされている(Miller et al., 1999, Oncogene, 18:7860-72)。
がんにおけるWntシグナル伝達の役割は、マウスウイルスの近傍挿入(nearby insertion)により形質転換された***腫瘍におけるがん遺伝子としてのWnt1 (当初はint1)の特定により初めて明らかにされた(Nusse & Varmus, 1982, Cell, 31:99-109)。それ以来、乳がんにおけるWntシグナル伝達の役割のさらなる証拠が蓄積してきた。例えば、乳腺におけるβ-カテニンのトランスジェニック過剰発現は過形成および腺がんをもたらす(Imbert et al., 2001, J. Cell Biol,, 153:555-68: Michaelson & Leder, 2001, Oncogene, 20:5093-9)のに対して、Wntシグナル伝達が消失すると正常な乳腺発達が撹乱される(Tepera et al., 2003, J. Cell Sci., 116:1137-49; Hatsell et al., 2003, J. Mammary-Gland Biol. Neoplasia, 8:145-58)。ヒト乳がんにおいて、β-カテニンの蓄積により、50%を超えるがん腫においてWntシグナル伝達が活性化されていることが示唆され、かつ、具体的な変異は特定されていないが、Frizzled受容体発現の上方制御が観察されている(Brennan & Brown, 2004, J. Mammary Gland Biol. Neoplasia, 9:119-31; Malovanovic et al., 2004, Int. J. Oncol., 25:1337-42)。
Wnt経路の活性化はまた、結腸直腸がんと関連している。全ての結腸直腸がんのおよそ5〜10%が遺伝性であって、主要型の1つは常染色体優性疾患である家族性大腸腺腫症(FAP)であり、罹患した個体の約80%が大腸腺腫症(APC)遺伝子に生殖系列変異を含む。アキシンおよびβ-カテニンを含む他のWnt経路成分にも変異が特定されている。個々の腺腫は、第2の不活化対立遺伝子を含む上皮細胞のクローン増殖であり、多数のFAP腺腫が、がん遺伝子および/または腫瘍抑制遺伝子の付加変異により腺がんを不可避的に発生する。さらに、APCでの機能喪失型変異およびβ-カテニンにおける安定化変異を含む、Wntシグナル伝達経路の活性化は、マウスモデルにおいて過形成発生および腫瘍成長を誘導しうる(Oshima et al,, 1997, Cancer Res,, 57: 1644-9; Harada et al., 1999, EMBO J., 18:5931-42)。
乳がんおよび結腸がんと同様に、メラノーマは、β-カテニンの核蓄積によって示されるように、Wnt経路の構成的活性化を有することが多い。いくつかのメラノーマ腫瘍および細胞株におけるWnt/β-カテニン経路の活性化は、APC、ICAT、LEF1およびβ-カテニンのような経路成分の改変によるものである(例えば、Larue et al., 2006, Frontiers Biosci., 11:733-742を参照のこと)。しかし、メラノーマにおけるWnt/β-カテニンシグナル伝達の正確な役割に関する文献においては矛盾した報告がある。例えば、ある研究から、核β-カテニンのレベル上昇がメラノーマからの生存の改善と相関すること、および活性化されたWnt/β-カテニンシグナル伝達が細胞増殖の低下と関連することが分かった(Chien et al., 2009, PNAS, 106:1193-1198)。
MAPK (***促進因子活性化タンパク質キナーゼ)経路は、細胞代謝、細胞周期進行、細胞死、および神経学的機能のような、いくつかの正常な生理学的過程において重要な役割を果たすことが示されている。MAPK経路は、多くの場合にはRasまたはRaf遺伝子ファミリーメンバーにおける機能獲得型変異を通じ、かなりの割合のヒト腫瘍において構成的に活性化される。MAPK経路における変異は、最大90%のメラノーマおよび良性メラノサイト新生物がB-Raf、K-Ras、またはN-Rasにおける活性化変異を保有するという点でメラノーマ発生において非常に重要であることが示されている。さらに、30〜70%の悪性メラノーマがB-Raf変異を含むこと、および位置番号600でのバリンからグルタミン酸塩への変化がその変異のおよそ80%を占めることが報告されている(Davies et al, 2002, Nature, 417:949-954)。Ras遺伝子における変異も非小細胞肺がん(NSCLC)のような肺がんにおいて認められており、変異体K-Ras肺腫瘍を有する患者はEGFR阻害剤に反応しないことが研究から示されている(Riely et al., 2009, Proc. Am. Thorac. Soc.; 6:201-205)。
がん薬研究の焦点は、ヒトのがんに関与する遺伝子および経路を目標とした標的療法に移行しつつある。例えば、現在、メラノーマ処置に向けて、変異B-Rafキナーゼを特異的に標的化する治療剤を開発するための数々の取り組みが行われている。しかしながら、B-Raf阻害剤に対する耐性の発現が大きな課題であることが判明している。さらに、これらの薬剤は、腫瘍が野生型B-Rafを有する患者ではほとんどまたは全く効果がない。実際、V600E B-Raf変異のない患者は進行中の臨床試験から除外されている。
かくして、がん患者に治療的有用性を提供しうる、シグナル伝達経路を標的化する新しい薬剤および複数の経路を標的化する薬剤の新しい組み合わせが必要とされている。
本発明は、MAPK経路阻害剤と組み合わせてWnt経路阻害剤を、それを必要としている対象に投与する段階を含む、疾患を処置する方法を提供する。少なくとも2種の治療剤による併用療法では、異なる作用機序によって働き、および/または異なる経路を標的化し、相加効果または相乗効果をもたらしうる薬剤を用いることが多い。重要なことには、併用療法は単剤療法において用いられるよりも各薬剤の用量を低くすることを可能にし、それによって薬剤の毒性副作用を低減しおよび/または治療指数を増大しうる。また、併用療法は、薬剤に対する耐性が発現する可能性を減らしうる。
本発明は、少なくとも1種のWntタンパク質を結合する抗体および他のポリペプチド、少なくとも1種のFZDタンパク質を結合する抗体および他のポリペプチド、ならびにWnt結合可溶性受容体を含むが、これらに限定されない、Wnt経路阻害剤を提供する。本発明は同様に、低分子であるWnt経路阻害剤を提供する。本発明は、MEK阻害剤、Raf阻害剤、Ras阻害剤、およびERK阻害剤である低分子を含むが、これらに限定されない、MAPK経路阻害剤を提供する。Wnt経路阻害剤および/またはMAPK経路阻害剤を含む組成物(例えば、薬学的組成物)も提供される。
したがって、1つの局面において、本発明は、腫瘍成長を阻害する方法を提供する。いくつかの態様において、この方法は、MAPK経路阻害剤の有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の有効量と腫瘍細胞を接触させる段階を含む。この方法は、インビボまたはインビトロであってよい。ある種の態様において、腫瘍は対象内にあり、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤と腫瘍細胞を接触させる段階は、阻害剤の各々の治療的有効量を対象に投与する段階を含む。
別の局面において、本発明は、MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。
別の局面において、本発明は、Wnt経路阻害剤の治療的有効量およびMAPK経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、Wnt経路活性化に関連した疾患を処置する方法を提供する。
別の局面において、本発明は、MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、MAPK経路活性化に関連した疾患を処置する方法を提供する。いくつかの態様において、MAPK経路シグナル伝達活性化は、MAPK経路成分における変異によるものである。いくつかの態様において、MAPK経路成分は、Ras、Raf、MEKまたはERKである。
別の局面において、本発明は、(a) 対象がMAPK経路における変異を含んだがんまたは腫瘍を有するかどうか判定する段階、および(b) MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、ヒト対象を処置する方法を提供する。いくつかの態様において、MAPK経路は野生型B-Rafを含む。いくつかの態様において、MAPK経路はB-Raf変異を含む。いくつかの態様において、MAPK経路は野生型Rasを含む。いくつかの態様において、MAPK経路はRas変異を含む。いくつかの態様において、MAPK経路は野生型N-Rasを含む。いくつかの態様において、MAPK経路はN-Ras変異を含む。いくつかの態様において、MAPK経路は野生型K-Rasを含む。いくつかの態様において、MAPK経路はK-Ras変異を含む。
別の局面において、本発明は、(a) MAPK経路における変異を含む腫瘍またはがんを対象が有することに少なくとも部分的に基づいて、処置に向けて対象を選択する段階、および(b) MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、ヒト対象を処置する方法を提供する。いくつかの態様において、MAPK経路は野生型B-Rafを含む。いくつかの態様において、MAPK経路はB-Raf変異を含む。いくつかの態様において、MAPK経路は野生型Rasを含む。いくつかの態様において、MAPK経路はRas変異を含む。いくつかの態様において、MAPK経路は野生型N-Rasを含む。いくつかの態様において、MAPK経路はN-Ras変異を含む。いくつかの態様において、MAPK経路は野生型K-Rasを含む。いくつかの態様において、MAPK経路はK-Ras変異を含む。
別の局面において、本発明は、腫瘍またはがんを有するヒト対象を処置する方法を提供し、この腫瘍またはがんは少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性であり、かつこの方法は、MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む。
別の局面において、本発明は、(a) 少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性である腫瘍またはがんを対象が有することに少なくとも部分的に基づいて、処置に向けて対象を選択する段階、および(b) MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、ヒト対象を処置する方法を提供する。いくつかの態様において、少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性であるがんまたは腫瘍は、野生型B-Rafを含む。いくつかの態様において、少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性であるがんまたは腫瘍は、B-Raf阻害剤で以前に処置されている。いくつかの態様において、対象はB-Raf阻害剤で以前に処置されている。
別の局面において、本発明は、MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、B-Raf変異を含んだ腫瘍またはがんを有するヒト対象を処置する方法を提供する。
別の局面において、本発明は、MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、N-Ras変異を含んだ腫瘍またはがんを有するヒト対象を処置する方法を提供する。
別の局面において、本発明は、MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、K-Ras変異を含んだ腫瘍またはがんを有するヒト対象を処置する方法を提供する。
上記の局面の各々のある種の態様、ならびに本明細書の他の箇所に記述の他の局面および態様において、MAPK経路における変異(またはその欠如)は、PCRに基づくアッセイ法または直接ヌクレオチド配列決定法のような、当業者に公知の方法によりサンプルにおいて検出される。いくつかの態様において、変異はB-Raf変異である。いくつかの態様において、変異はN-Ras変異である。いくつかの態様において、変異はK-Ras変異である。いくつかの態様において、サンプルは新鮮サンプル、凍結サンプル、またはホルマリン固定パラフィン包埋サンプルである。
上記の局面の各々のある種の態様、ならびに本明細書の他の箇所に記述の他の局面および態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも1種のヒトWntタンパク質を特異的に結合する抗体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも1種のヒトFZDタンパク質を特異的に結合する抗体である。
いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR1、
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR2、および
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR3、ならびに/または
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR1、
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR2、および
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR3を含む抗体である。
上記の局面の各々のある種の態様、ならびに本明細書の他の箇所に記述の他の局面および態様において、Wnt経路阻害剤は、(a) SEQ ID NO:3と少なくとも約90%、少なくとも約95%、もしくは100%の配列同一性を有する重鎖可変領域; および/または(b) SEQ ID NO:4と少なくとも約90%、少なくとも約95%、もしくは100%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む抗体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は抗体18R5である。
上記の局面の各々のある種の態様、ならびに本明細書の他の箇所に記述の他の局面および態様において、Wnt経路阻害剤は組み換え抗体である。いくつかの態様において、抗体はモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体である。いくつかの態様において、抗体は、抗原結合部位を含む抗体断片である。ある種の態様において、抗体または抗体断片は一価、単一特異性、二価、二重特異性、または多重特異性である。いくつかの態様において、抗体はIgG1抗体またはIgG2抗体である。ある種の態様において、抗体は単離される。他の態様において、抗体は実質的に純粋である。
上記の局面の各々のある種の態様、ならびに本明細書の他の箇所に記述の他の局面および態様において、Wnt経路阻害剤は可溶性受容体である。いくつかの態様において、可溶性受容体はヒトFZDタンパク質のFriドメインを含む。いくつかの態様において、ヒトFZDタンパク質のFriドメインは、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、およびSEQ ID NO:58からなる群より選択される配列を含む。いくつかの態様において、ヒトFZDタンパク質のFriドメインは、非FZDポリペプチドに直接連結されている。いくつかの態様において、ヒトFZDタンパク質のFriドメインは、リンカーによって非FZDポリペプチドに接続されている。いくつかの態様において、非FZDポリペプチドはヒトFc領域を含む。いくつかの態様において、非FZDポリペプチドは、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59から本質的になる。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、(a) SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、またはSEQ ID NO:58から本質的になる第1のポリペプチド; および(b) SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59から本質的になる第2のポリペプチドを含み、第1のポリペプチドは第2のポリペプチドに直接連結されている。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、(a) SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、またはSEQ ID NO:58から本質的になる第1のポリペプチド; および(b) SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59から本質的になる第2のポリペプチドを含み、第1のポリペプチドはリンカーによって第2のポリペプチドに接続されている。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、またはSEQ ID NO:27を含む。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤はSEQ ID NO:27を含む。
上記の局面の各々のある種の態様、ならびに本明細書の他の箇所に記述の他の局面および態様において、MAPK経路阻害剤は、MEK阻害剤、Ras阻害剤、Raf阻害剤、およびERK阻害剤からなる群より選択される。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤はMEK阻害剤である。いくつかの態様において、MEK阻害剤は、BAY 86-9766 (RDEA119)、PD0325901、CI-1040、PD98059、PD318088、GSK1120212 (JTP-74057)、AZD8330 (ARRY-424704)、AZD6244 (ARRY-142886)、ARRY-162、ARRY-300、AS703026、U0126、CH4987655、およびTAK-733からなる群より選択される。いくつかの態様において、MEK阻害剤はBAY 86-9766である。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤はRaf阻害剤である。いくつかの態様において、Raf阻害剤は、GDC-0879、PLX-4720、PLX-4032 (ベムラフェニブ)、RAF265、BAY 73-4506、BAY 43-9006 (ソラフェニブ)、SB590885、XL281 (BMS-908662)、GDC-0879、およびGSK 2118436436からなる群より選択される。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤はRas阻害剤である。いくつかの態様において、Ras阻害剤はファルネシルチオサリチル酸(FTS)である。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤はERK阻害剤である。
いくつかの態様において、本発明は、MEK阻害剤と組み合わせて抗FZD抗体の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象におけるメラノーマ腫瘍の成長を阻害する方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、MEK阻害剤と組み合わせて抗FZD抗体18R5の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象におけるメラノーマ腫瘍の成長を阻害する方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、MEK阻害剤BAY 86-9766と組み合わせて抗FZD抗体18R5の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象におけるメラノーマ腫瘍の成長を阻害する方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、MEK阻害剤と組み合わせて抗FZD抗体の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象における肺腫瘍の成長を阻害する方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、MEK阻害剤と組み合わせて抗FZD抗体18R5の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象における肺腫瘍の成長を阻害する方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、MEK阻害剤BAY 86-9766と組み合わせて抗FZD抗体18R5の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象における肺腫瘍の成長を阻害する方法を提供する。
上記の局面の各々のある種の態様、ならびに本明細書の他の箇所に記述の他の局面および態様において、本方法は、併用療法を達成するのに適した少なくとも1種のさらなる治療剤を投与する段階をさらに含む。いくつかの態様において、さらなる治療剤は化学療法剤である。いくつかの態様において、さらなる治療剤は抗体である。
本明細書において記述されるWnt経路阻害剤および/またはMAPK経路阻害剤ならびに薬学的に許容される媒体(または担体)を含む薬学的組成物も提供される。
本発明の局面または態様がマーカッシュ群または代替物に関するその他の群分けにより記述されている場合、本発明は、記載されている群全体をまとめて包含するだけでなく、個別的に群の各要素も、主群のなかで可能なあらゆる下位群も包含し、群の要素の1つまたは複数を欠いた主群も包含する。本発明は、主張する発明における群の要素のいずれかの1つまたは複数の明示的な除外も想定する。
MAPK経路阻害剤と組み合わせたWnt経路阻害剤によるインビボでのメラノーマ腫瘍の成長の阻害。OMP-M3 (図1A)、OMP-M7 (図1B)、およびOMP-M10 (図1C)メラノーマ腫瘍細胞をNOD/SCIDマウスの皮下に注射した。マウスを対照抗体(-■-)、抗FZD抗体18R5 (-▲-)、MEK阻害剤BAY 86-9766 (-▼-)、または18R5およびBAY 86-9766の組み合わせ(-●-)により処置した。データは、処置後の日数にわたる腫瘍容積(mm3)として示されている。抗体を週1回、20mg/kgで腹腔内投与し、MEK阻害剤を毎週5日間、毎日15mg/kgで経口投与した。 B-Raf阻害剤の存在下におけるインビボでのメラノーマ腫瘍の成長。OMP-M8メラノーマ腫瘍細胞をNOD/SCIDマウスの皮下に注射した。マウスを対照媒体メチルセルロース(-■-)またはB-Raf阻害剤PLX-4720により5mg/kg (-▲-)、15mg/kg (-▼-)、または45mg/kg (-●-)で処置した。データは、処置後の日数にわたる腫瘍容積(mm3)として示されている。対照媒体およびPLX-4720を毎週5日間、経口投与した。 MAPK経路阻害剤と組み合わせたWnt経路阻害剤によるインビボでのメラノーマ腫瘍の成長および腫瘍形成性の阻害。OMP-M8メラノーマ腫瘍細胞をNOD/SCIDマウスの皮下に注射した。マウスを対照抗体(-■-)、抗FZD抗体18R5 (-▲-)、MEK阻害剤BAY 86-9766 (-▼-)、または18R5およびBAY 86-9766の組み合わせ(-●-)により処置した。抗体を週1回、20mg/kgで腹腔内投与し、MEK阻害剤を毎週5日間、毎日30mg/kgで経口投与した。データは、処置後の日数にわたる腫瘍容積(mm3)として示されている(図3A)。得られた腫瘍を単個細胞懸濁液へ処理し、マウスへ連続的に移植した。各処置群由来の細胞10個または100個をNOD/SCIDマウスへ皮下注射した。腫瘍を、処置なしに成長させた。51日目の腫瘍容積(mm3)としてデータを示す(図3B)。 MAPK経路阻害剤と組み合わせたWnt経路阻害剤によるインビボでの肺腫瘍の成長の阻害。(図4A) OMP-LU33肺腫瘍細胞をNOD/SCIDマウスの皮下に注射した。マウスを対照抗体(-■-)、抗FZD抗体18R5 (-▲-)、MEK阻害剤BAY 86-9766 (-▼-)、または18R5およびBAY 86-9766の組み合わせ(-●-)により処置した。抗体を週1回、25mg/kgで腹腔内投与し、MEK阻害剤を毎週5日間、毎日50mg/kgで経口投与した。(図4B) OMP-LU56肺腫瘍細胞をNOD/SCIDマウスの皮下に注射した。マウスを対照抗体(-●-)、抗FZD抗体18R5 (-■-)、MEK阻害剤BAY 86-9766 (-▲-)、または18R5およびBAY 86-9766の組み合わせ(-▼-)により処置した。抗体を2週間ごと(Q2W)に25mg/kgで腹腔内投与し、MEK阻害剤を毎週5日間、毎日30mg/kgで経口投与した。データは、処置後の日数にわたる腫瘍容積(mm3)として示されている。 MAPK経路阻害剤と組み合わせたWnt経路阻害剤によるインビボでの全β-カテニンおよび活性β-カテニンのレベルの阻害。OMP-M7およびOMP-M10メラノーマ腫瘍を対照抗体、抗FZD抗体18R5、MEK阻害剤BAY 86-9766 (MEKi)、または抗体18R5およびBAY 86-9766の組み合わせにより処置した。処置した腫瘍由来のタンパク質溶解物のウエスタンブロット分析を、活性β-カテニン、全β-カテニン、リン酸化ERK (pERK)、全ERK、およびアクチンに対する抗体で行った(OMP-M7、図5AおよびOMP-M10、図5C)。NIH Image Jソフトウェアを用いて活性β-カテニンおよび全β-カテニンのウエスタンブロットの結果を測定し、定量化した(OMP-M7、図5BおよびOMP-M10、図5D)。 MAPK経路阻害剤と組み合わせたWnt経路阻害剤による遺伝子発現の阻害。OMP-M3、OMP-M7、およびOMP-M10メラノーマ腫瘍を対照抗体、抗FZD抗体18R5、MEK阻害剤BAY 86-9766、または抗体18R5およびBAY 86-9766の組み合わせにより処置した。RNAを腫瘍から単離し、TaqMan遺伝子発現アッセイ法によって分析した(図6A)。OMP-M3、OMP-M7、およびOMP-M10腫瘍由来の、ホルマリン固定され、パラフィン包埋された腫瘍切片を、E-カドヘリンに対する抗体を用いた免疫組織化学(IHC)により分析した。抗体染色の後、Aperio ScanScope機器を用いてスライドをスキャンし、Aperioソフトウェアを用い陽性染色についてヒト細胞集団を分析した(図6B)。
発明の詳細な説明
本発明は、腫瘍成長を阻害する方法およびがんを処置する方法を提供する。本明細書において提供される方法は、MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は抗体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも1種のWntタンパク質を特異的に結合する抗体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも1種のFZDタンパク質を特異的に結合する抗体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、FZDタンパク質のFriドメインを含んだ可溶性受容体である。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤は、MEK阻害剤、Ras阻害剤、Raf阻害剤、またはERK阻害剤である。ある種の態様において、MAPK経路阻害剤は、MEK阻害剤である。いくつかの態様において、少なくとも1種のFZDタンパク質を特異的に結合する抗体は、MEK阻害剤と組み合わせて投与される。いくつかの態様において、少なくとも1種のWntタンパク質を特異的に結合する抗体は、MEK阻害剤と組み合わせて投与される。いくつかの態様において、少なくとも1種のWntタンパク質を結合する可溶性受容体は、MEK阻害剤と組み合わせて投与される。
いくつかのメラノーマ腫瘍を異種移植片モデルにおいて樹立し、B-Raf、N-Ras、およびK-Ras変異について評価した(実施例1)。MEK阻害剤と組み合わせたpan-FZD抗体による処置は、メラノーマ腫瘍(実施例2および3; 図1および3)ならびに肺腫瘍(実施例4および7; 図4)の成長を低減させることが示された。MEK阻害剤と組み合わせたpan-FZD抗体による処置は、B-Raf阻害剤に対して耐性であったメラノーマ腫瘍の成長を低減させることが示された(実施例3ならびに図2および3)。MEK阻害剤と組み合わせたpan-FZD抗体による処置は、メラノーマ細胞の腫瘍形成性を低減させることが示された(実施例3および図3)。MEK阻害剤と組み合わせたpan-FZD抗体による処置は、N-Ras変異を含んだメラノーマ細胞において活性β-カテニンおよび全β-カテニンを減少させることが示された(実施例5および図5)。MEK阻害剤と組み合わせたpan-FZD抗体による処置は、メラノーマ腫瘍においてメラノサイト系統遺伝子の発現を増加させること、およびE-カドヘリンタンパク質のレベルを増加させることが示された(実施例6および図6)。これらの実施例は、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤を含む併用処置が、腫瘍細胞およびがん幹細胞の両方を標的化し、腫瘍成長の低減、がん幹細胞頻度の減少、および腫瘍形成性細胞の分化を引き起こすという仮説を支持している。
I. 定義
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語および語句を以下に定義する。
本明細書において用いられる「アンタゴニスト」および「アンタゴニストの」という用語は、標的および/またはシグナル伝達経路(例えば、Wnt経路もしくはMAPK経路)の生物学的活性を部分的にまたは完全に遮断する、阻害する、低減する、または無力化する任意の分子をいう。「アンタゴニスト」という用語は、タンパク質(例えば、FZDタンパク質もしくはWntタンパク質)の活性を部分的にまたは完全に遮断する、阻害する、低減する、または無力化する任意の分子を含むように本明細書において用いられる。適当なアンタゴニスト分子は特に、アンタゴニスト抗体、抗体断片、可溶性受容体、または低分子を含むが、これらに限定されることはない。
本明細書において用いられる「抗体」という用語は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、糖質、ポリヌクレオチド、脂質または前記の組み合わせのような標的を、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原識別部位によって認識し、特異的に結合する免疫グロブリン分子をいう。本明細書において用いられる場合、この用語は、抗体が所望の生物学的活性を示す限り、無傷のポリクローナル抗体、無傷のモノクローナル抗体、抗原結合部位を含む抗体断片(Fab、Fab'、F(ab')2およびFv断片のような)、一本鎖Fv (scFv)抗体、少なくとも2種の無傷の抗体から作出された二重特異性抗体のような多重特異性抗体、単一特異性抗体、一価抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質、および抗原結合部位を含む改変されたその他任意の免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、それぞれα、δ、ε、γおよびμと呼ばれる重鎖定常ドメインの同一性に基づき、5つの主要なクラスの免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、またはそのサブクラス(アイソタイプ) (例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)のいずれかでありうる。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる周知のサブユニット構造および三次元構造を有する。抗体はありのままでも、または毒素および放射性同位体を含むが、これらに限定されない、他の分子に結合されていてもよい。
「抗体断片」という用語は、無傷の抗体の一部をいい、無傷の抗体の抗原決定可変領域または抗原結合部位をいう。抗体断片の例としては、Fab、Fab'、F(ab')2、およびFv断片、直鎖状抗体、一本鎖抗体、ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されることはない。本明細書において用いられる「抗体断片」は、少なくとも1つの抗原結合部位またはエピトープ結合部位を含む。
抗体の「可変領域」という用語は、単独または組み合わせのいずれかの、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域をいう。重鎖および軽鎖の可変領域は各々、「超可変領域」としても知られる、3つの相補性決定領域(CDR)によって連結された、4つのフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖中のCDRは、フレームワーク領域によって近接してともに保持され、そして他の鎖由来のCDRとともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定するには少なくとも2つの技術がある: (1) 種間配列変動に基づくアプローチ(すなわち、Kabat et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Edition, National Institutes of Health, Bethesda, MD)、および(2) 抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Al-Lazikani et al., 1997, J. Mol. Biol., 273:927-948)。さらに、CDRを決定するために当技術分野においてこれらの2つのアプローチの組み合わせが用いられることもある。
本明細書において用いられる「モノクローナル抗体」という用語は、1つの抗原決定基またはエピトープの極めて特異的な認識および結合に関わる、均質な抗体集団をいう。これは、異なる抗原決定基に対して作製された異なる抗体の混合物を典型的に含むポリクローナル抗体と対照的である。「モノクローナル抗体」という用語は、無傷のかつ全長のモノクローナル抗体と抗体断片(例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv)、一本鎖(scFv)抗体、抗体部分を含む融合タンパク質、および少なくとも1つの抗原結合部位を含む改変されたその他任意の免疫グロブリン分子の両方を包含する。さらに、「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ産生、ファージ選択、組み換え発現、およびトランスジェニック動物を含むがこれらに限定されない、任意のいくつかの技法によって作出されたそのような抗体をいう。
本明細書において用いられる「ヒト化抗体」という用語は、最小限の非ヒト配列を含む特異的な免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、またはその断片である抗体をいう。典型的には、ヒト化抗体は、CDRの残基が、所望の特異性、親和性および/または結合能を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギまたはハムスター)のCDR由来の残基に置き換えられているヒト免疫グロブリンである(Jones et al., 1986, Nature, 321 :522-525; Riechmann et al., 1988, Nature, 332:323-327; Verhoeyen et al., 1988, Science, 239: 1534-1536)。
本明細書において用いられる「ヒト抗体」という用語は、ヒトにより産生された抗体、または当技術分野において公知の技法のいずれかを用いて作出される、ヒトにより産生された抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体をいう。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に排除する。
本明細書において用いられる「キメラ抗体」という用語は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2つまたはそれ以上の種に由来する抗体をいう。典型的には、軽鎖および重鎖の両方の可変領域は、所望の特異性、親和性および/または結合能力を有する、1つの哺乳動物種(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)に由来する抗体の可変領域に対応するが、定常領域は、別の種(通常はヒト)に由来する抗体中の配列と相同であって、その種での免疫反応の誘発を回避する。
本明細書において用いられる「親和性成熟抗体」という語句は、1つまたは複数のCDRにおける1つまたは複数の改変を有する抗体であって、それらの改変を保有していない親抗体と比べて、抗原に対する抗体の親和性の改善をもたらす該抗体をいう。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモルまたはさらにピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当技術分野において公知の手順によって産生される。例えば、Marks et al., 1992, Bio/Technology 10:779-783には、VHおよびVLドメインシャッフリングによる親和性成熟が記述されている。CDRおよび/またはフレームワーク残基のランダム変異導入法は、Barbas et al., 1994, PNAS, 91:3809-3813; Schier et al., 1995, Gene, 169: 147-155; Yelton et al., 1995, J. Immunol. 155: 1994-2004; Jackson et al., 1995, J. Immunol, 154:3310-9; およびHawkins et al., 1992, J. Mol. Biol, 226:889-896によって記述されている。
「エピトープ」および「抗原決定基」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、特定の抗体により認識され特異的に結合されうる抗原のその部分をいう。抗原がポリペプチドである場合、エピトープは連続的なアミノ酸からも形成され、タンパク質の三次元的折り畳みによって近接して並べられた非連続的なアミノ酸からも形成されうる。連続的なアミノ酸から形成されたエピトープ(直鎖状エピトープとも呼ばれる)は、タンパク質が変性した場合にも典型的には維持されるが、三次元的折り畳みによって形成されたエピトープ(立体配座エピトープとも呼ばれる)は、タンパク質が変性すると典型的には失われる。エピトープは、典型的には、独特の空間的配置の中に少なくとも3アミノ酸、より一般的には、少なくとも5アミノ酸または8〜10アミノ酸を含む。
「選択的に結合する」または「特異的に結合する」という用語は、結合剤または抗体が、関連のないタンパク質を含めて、別の物質とよりもエピトープ、タンパク質または標的分子と高頻度に、迅速に、長い持続時間で、高い親和性で、または前記のいくつかの組み合わせで反応または結合することを意味する。ある種の態様において、「特異的に結合する」とは、例えば、抗体が約0.1mMまたはそれ以下、しかし、より通常には、約1μM未満のKDで標的を結合することを意味する。ある種の態様において、「特異的に結合する」とは、抗体が、少なくとも約0.1μMもしくはそれ以下、少なくとも約0.01μMもしくはそれ以下、または少なくとも約1nMもしくはそれ以下のKDで標的を結合することを意味する。異なる種における相同タンパク質間の配列同一性のため、特異的結合は、2種以上の種におけるタンパク質(例えば、ヒトFZDタンパク質およびマウスFZDタンパク質)を認識する抗体を含むことができる。同様に、異なるタンパク質のポリペプチド配列のある種の領域内の相同性のため、特異的結合は、2種以上のタンパク質(例えば、ヒトFZD2およびヒトFZD7)を認識する抗体(または他のポリペプチドもしくは結合剤)を含むことができる。ある種の態様において、第1の標的を特異的に結合する抗体または結合剤は、第2の標的を特異的に結合してもしなくてもよいことが理解されよう。したがって、「特異的な結合」とは、排他的な結合、すなわち単一の標的との結合を(含むことができるが)必ずしも必要としない。かくして、抗体は、ある種の態様において、2種以上の標的を特異的に結合することができる。ある種の態様において、複数の標的が抗体上の同じ抗原結合部位によって結合されうる。例えば、抗体は、場合によっては、それぞれが2種またはそれ以上のタンパク質(例えば、FZD2およびFZD7)上の同じエピトープを特異的に結合する2つの同一の抗原結合部位を含むことができる。ある種の代替的な態様において、抗体は二重特異性であることができ、異なる特異性を有する少なくとも2つの抗原結合部位を含むことができる。非限定的な例として、二重特異性抗体は、1つのタンパク質(例えば、ヒトFZDタンパク質)上のエピトープを認識する1つの抗原結合部位を含むことができ、第2のタンパク質上の異なるエピトープを認識するもう1つの、異なる抗原結合部位をさらに含むことができる。一般的に、しかし必ずというわけではないが、結合への言及は特異的な結合を意味する。
本明細書において用いられる場合、「可溶性受容体」という用語は、可溶性の形態で細胞から分泌されうる、受容体の第1の膜貫通ドメインに先行する受容体タンパク質のN末端細胞外断片(またはその一部分)をいう。
本明細書において用いられる場合、「FZD可溶性受容体」という用語は、可溶性の形態で細胞から分泌されうる、受容体の第1の膜貫通ドメインに先行するFZD受容体タンパク質のN末端細胞外断片をいう。N末端細胞外断片(ECD)全体およびもっと小さな断片を含むFZD可溶性受容体が、この用語によって包含される。したがって、Friドメインを含むFZD可溶性受容体もこの用語の中に含まれる。
「ポリペプチド」および「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、任意の長さのアミノ酸の重合体をいう。この重合体は直鎖または分岐鎖であってよく、修飾アミノ酸を含んでよく、非アミノ酸によって中断されてよい。これらの用語は同様に、天然によりあるいは介入により、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分との結合などの、その他任意の操作もしくは修飾により改変されたアミノ酸重合体を包含する。例えば、1つまたは複数のアミノ酸類似体(例えば、非天然アミノ酸を含む)、ならびに当技術分野において公知の他の修飾を含有するポリペプチドも、この定義のなかに含まれる。本発明のポリペプチドは、ある種の態様において、抗体に基づきうるので、ポリペプチドは一本鎖または結合した鎖として生じてもよいことが理解されよう。
「アミノ酸」という用語は、天然および合成のアミノ酸だけでなく、天然のアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体もいう。天然のアミノ酸とは、遺伝暗号によってコードされたアミノ酸だけでなく、後に修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセリンでもある。「アミノ酸類似体」という語句は、天然のアミノ酸と同じ基本的化学構造、例えば、水素、カルボシキル基、アミノ基、およびR基に結合したα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムをいう。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有することができるが、天然のアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持する。「アミノ酸模倣体」という語句は、アミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を有するが、天然のアミノ酸と同様に機能する化学的化合物をいう。
「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、任意の長さのヌクレオチドの重合体をいい、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはその類似体、あるいはDNAポリメラーゼもしくはRNAポリメラーゼによって重合体に組み込むことができる任意の基質でもよい。
2つまたはそれ以上の核酸またはポリペプチドという文脈において、「同一の」または「同一性」の割合という用語は、保存的アミノ酸置換を配列同一性の一部として全く考慮することなく、最大一致を得るように比較されアライメントされた場合に(必要であれば、ギャップを導入して)、同じであるか、または特定の割合の同じヌクレオチドもしくはアミノ酸残基を有するかの、2つまたはそれ以上の配列または部分配列をいう。同一性の割合は、配列比較ソフトウェアもしくはアルゴリズムを用いて、または目視検査によって測定することができる。アミノ酸またはヌクレオチド配列のアライメントを得るために使用できるさまざまなアルゴリズムおよびソフトウェアが当技術分野において公知である。これらにはBLASTおよびBLASTの変化形、ALIGNおよびALIGNの変化形、Megalign、BestFit、GCG Wisconsin Packageなどが含まれるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、本発明の2つの核酸またはポリペプチドは実質的に同一であり、それらが、最大一致を得るように比較されアライメントされ、配列比較アルゴリズムを用いてまたは目視検査によって測定された場合に、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、およびいくつかの態様において少なくとも95%、96%、97%、98%、99%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有することを意味する。いくつかの態様において、同一性は、長さが少なくとも約10ヌクレオチドもしくは残基、少なくとも約20ヌクレオチドもしくは残基、少なくとも約40〜60ヌクレオチドもしくは残基、少なくとも約60〜80ヌクレオチドもしくは残基またはその間の任意の整数値である配列の領域にわたって存在する。いくつかの態様において、同一性は、少なくとも約80〜100ヌクレオチドまたは残基のような、60〜80ヌクレオチドまたは残基よりも長い領域にわたって存在し、いくつかの態様において、配列はヌクレオチド配列のコード領域のような、比較されている配列の全長にわたって実質的に同一である。
「保存的アミノ酸置換」は、あるアミノ酸残基が、類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基で置換されるものである。塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが当技術分野において定義されている。例えば、チロシンをフェニルアラニンで置換するのが保存的置換である。本発明のポリペプチドおよび抗体の配列における保存的置換は、アミノ酸配列を含有するポリペプチドまたは抗体と抗原との結合を阻止しないことが好ましい。抗原結合を妨げない、ヌクレオチドおよびアミノ酸の保存的置換を特定する方法は当技術分野において周知である。
本明細書において用いられる「ベクター」という用語は、宿主細胞において関心対象の1つまたは複数の遺伝子または配列を送達できる、通常は、発現できる構築体を意味する。ベクターの例としては、ウイルスベクター、裸のDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性縮合剤と結合したDNAまたはRNA発現ベクター、およびリポソーム中にカプセル封入されたDNAまたはRNA発現ベクターが挙げられるが、これらに限定されることはない。
「単離された」ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物は、天然では見られない形態にあるポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物である。単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物には、天然で見られる形態にはない程度まで精製されたものが含まれる。いくつかの態様において、単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物は実質的に純粋である。
本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、少なくとも50%純粋である(すなわち、夾雑物を含まない)、少なくとも90%純粋である、少なくとも95%純粋である、少なくとも98%純粋である、または少なくとも99%純粋である材料をいう。
本明細書において用いられる「がん」および「がん性」という用語は、無秩序な細胞増殖を特徴とする細胞集団を含む哺乳動物における生理的状態をいい、または記述する。がんの例としては、がん腫、芽細胞腫、肉腫、ならびにリンパ腫および白血病のような血液がんが挙げられるが、これらに限定されることはない。
「増殖性障害」および「増殖性疾患」という用語は、がんなどの異常な細胞増殖に関連した障害をいう。
本明細書において用いられる「腫瘍」および「新生物」という用語は、過度の細胞成長または増殖に起因する、前がん病変を含む良性(非がん性)病変または悪性(がん性)病変の任意の組織塊をいう。
本明細書において用いられる「転移」という用語は、身体の出現部位から他の領域にがんが拡散または移動し、新たな場所での類似のがん性病変の発生を伴う過程をいう。「転移」または「転移性」細胞は、隣接する細胞との接着性接触を失い、疾患の原発部位から移動し、隣接する身体構造に浸潤する細胞である。
「がん幹細胞」および「CSC」および「腫瘍幹細胞」および「腫瘍開始細胞」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、(1) 高い増殖能を有し; 2) 非対称細胞***を行って、増殖能力または発生能力の低下した1つまたは複数のタイプの分化した細胞子孫を作出でき; かつ(3) 自己複製または自己維持のための対称細胞***を行うことができる、がんまたは腫瘍由来の細胞をいう。これらの特性によって、がん幹細胞には、免疫不全宿主(例えば、マウス)に累代移植されると、腫瘍を形成できない大多数の腫瘍細胞と比較して腫瘍またはがんを形成または樹立する能力が付与される。がん幹細胞は、分化に対して無秩序な様式で自己複製を起こし、変異が生じるにつれて経時変化しうる異常細胞型を含む腫瘍を形成する。
「がん細胞」および「腫瘍細胞」という用語は、がん細胞集団の大部分を構成する非腫瘍形成性細胞および腫瘍形成性細胞(がん幹細胞)の両方を含む、がんまたは腫瘍または前がん病変に由来する細胞の全集団をいう。本明細書において用いられる場合、「がん細胞」または「腫瘍細胞」という用語は、再生および分化する能力が無い腫瘍細胞のみをいう場合に、腫瘍細胞とがん幹細胞を区別するために「非腫瘍形成性の」という用語で修飾される。
本明細書において用いられる「腫瘍形成性の」という用語は、(さらなる腫瘍形成性がん幹細胞を生じる)自己複製の特性、および(分化した、したがって、非腫瘍形成性の腫瘍細胞を生じる)他の全ての腫瘍細胞を発生する増殖を含む、がん幹細胞の機能的特徴をいう。
本明細書において用いられる「腫瘍形成性」という用語は、腫瘍由来細胞のサンプルが、免疫不全宿主(例えば、マウス)に累代移植されると、触診可能な腫瘍を形成する能力をいう。
「対象」という用語は、特定の処置のレシピエントとなるべき、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、げっ歯類などを含むが、これに限定されない任意の動物(例えば、哺乳動物)をいう。典型的には、ヒト対象に関して、本明細書では「対象」および「患者」という用語が互換的に用いられる。
本明細書において用いられる場合、「腫瘍成長を阻害する」という用語は、腫瘍成長が阻害されうる任意の機構をいう。ある種の態様において、腫瘍成長は腫瘍細胞の増殖を緩徐化することにより阻害される。ある種の態様において、腫瘍成長は腫瘍細胞の増殖を停止させることにより阻害される。ある種の態様において、腫瘍成長は腫瘍細胞を死滅化させることにより阻害される。いくつかの態様において、腫瘍成長はがん幹細胞の頻度を低減させることにより阻害される。ある種の態様において、腫瘍成長はがん幹細胞の数を低減させることにより阻害される。ある種の態様において、腫瘍成長は腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することにより阻害される。ある種の態様において、腫瘍成長は腫瘍細胞の分化を誘導することにより阻害される。ある種の態様において、腫瘍成長は腫瘍細胞から栄養素を取り除くことにより阻害される。ある種の態様において、腫瘍成長は腫瘍細胞の遊走を抑止することにより阻害される。ある種の態様において、腫瘍成長は腫瘍細胞の浸潤を抑止することにより阻害される。
「薬学的に許容される」という用語は、ヒトを含めて、動物での使用が、連邦政府もしくは州政府の監督官庁によって承認されたもしくは承認可能な、または米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に記載された、薬剤、化合物、分子などをいう。
「薬学的に許容される賦形剤、担体または補助剤」および「許容される薬学的な担体」という語句は、少なくとも1つの本開示の結合剤(例えば、抗体)とともに、対象に投与でき、かつその薬理学的活性を破壊せず、治療効果を送達するのに十分な用量で投与された場合に無毒である賦形剤、担体または補助剤をいう。
「有効量」および「治療的有効量」および「治療的効果」という用語は、対象または哺乳動物における疾患または障害を「処置する」のに有効な、結合剤、抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、低分子または他の薬物の量をいう。がんの場合、薬物(例えば、抗体)の治療的有効量は、治療的効果を有し、したがってがん細胞の数を減らす; 腫瘍形成性、腫瘍形成頻度もしくは腫瘍形成能を下げる; がん幹細胞の数もしくは頻度を減らす; 腫瘍サイズを減らす; がん細胞集団を減らす; 例えば、軟組織もしくは骨へのがんの拡散を含む末梢臓器へのがん細胞の浸潤を阻むおよび/もしくは止める; 腫瘍もしくはがん細胞転移を阻むおよび止める; 腫瘍もしくはがん細胞成長を阻むおよび/もしくは止める; がんと関連する症状の1つもしくは複数をある程度まで和らげる; 有病率および死亡率を減らす; 生活の質を良くする; またはこのような効果の組み合わせをもたらすことができる。薬剤、例えば抗体が既存のがん細胞の成長を抑止する、かつ/または既存のがん細胞を死滅化する程度まで、それを、細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性ということができる。
「処置する」および「処置」および「処置するため」ならびに「緩和する」および「緩和するため」という用語は、1) 診断された病理学的状態もしくは障害の症状を治癒する、減速する、軽減する、および/または診断された病理学的状態もしくは障害の進行を食い止める治療的手段、ならびに2) 標的化された病理学的状態または障害の発生を阻止するまたは遅延する予防的または防止的手段の両方をいう。したがって、処置を必要とする者には、障害を既に有する者; 障害を有する傾向がある者; および障害が予防されるべき者が含まれる。いくつかの態様において、患者が以下の1つまたは複数を示すなら、対象は本発明の方法によって成功裏に「処置されて」いる: がん細胞の数の低下もしくはがん細胞の完全な非存在; 腫瘍サイズの低下; 軟組織および骨へのがん細胞の拡散を含む末梢臓器へのがん細胞浸潤の阻害もしくは非存在; 腫瘍もしくはがん細胞転移の阻害もしくは非存在; がん成長の阻害もしくは非存在; 特異的ながんと関連する1つもしくは複数の症状の緩和; 有病率および死亡率の低下; 生活の質の改善; 腫瘍形成性の低下; がん幹細胞の数もしくは頻度の低下; またはこのような効果のいくつかの組み合わせ。
本開示および特許請求の範囲において用いられる場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という単数形は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り、複数形を含む。
本明細書において「含んだ」という言い回しで態様が記述された場合はいつでも、「からなる」および/または「から本質的になる」によって記述される他の類似する態様も提供されることが理解されよう。本明細書において「から本質的になる」という言い回しで態様が記述された場合はいつでも、「からなる」によって記述される他の類似する態様も提供されることも理解されよう。
本明細書において「Aおよび/またはB」のような語句において用いられる「および/または」という用語は、AおよびBも; AまたはBも; A (のみ)も; およびB (のみ)も含むことが意図される。同様に、「A、Bおよび/またはC」のような語句において用いられる「および/または」という用語は、以下の態様のそれぞれを含むことが意図される: A、BおよびC; A、BまたはC; AまたはC; AまたはB; BまたはC; AおよびC; AおよびB; BおよびC; A (のみ); B (のみ); ならびにC (のみ)。
II. Wnt経路阻害剤
本発明は、特にMAPK経路阻害剤と組み合わせて、腫瘍成長を阻害する方法で用いるための、またはがんを処置する方法で用いるためのWnt経路阻害剤を提供する。
ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、1種または複数種のヒトfrizzledタンパク質(FZD)を結合する薬剤である。これらの薬剤は、本明細書において「FZD結合剤」と呼ぶ。いくつかの態様において、FZD結合剤は、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、または10種のFZDタンパク質を特異的に結合する。いくつかの態様において、FZD結合剤は、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、およびFZD10からなる群より選択される1種または複数種のFZDタンパク質を結合する。いくつかの態様において、FZD結合剤は、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7および/またはFZD8を含む1種または複数種のFZDタンパク質を結合する。ある種の態様において、FZD結合剤は、FZD7を結合する。ある種の態様において、FZD結合剤は、FZD5および/またはFZD8を結合する。ある種の態様において、FZD結合剤は、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7、およびFZD8を特異的に結合する。FZD結合剤の非限定的な例は、全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,982,013号のなかで見出すことができる。
ある種の態様において、FZD結合剤はFZDアンタゴニストである。ある種の態様において、FZD結合剤はWnt経路アンタゴニストである。ある種の態様において、FZD結合剤はWntシグナル伝達を阻害する。いくつかの態様において、FZD結合剤は標準的Wntシグナル伝達を阻害する。
いくつかの態様において、FZD結合剤は抗体である。いくつかの態様において、FZD結合剤はポリペプチドである。ある種の態様において、FZD結合剤は、抗体または抗原結合部位を含んだポリペプチドである。ある種の態様において、本明細書において記述されるFZD結合抗体またはポリペプチドの抗原結合部位は、1種、2種、3種、4種、5種、またはそれ以上のヒトFZDタンパク質を結合することができる(または結合する)。ある種の態様において、FZD結合抗体またはポリペプチドの抗原結合部位は、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、およびFZD10からなる群より選択される1種、2種、3種、4種、または5種のヒトFZDタンパク質を特異的に結合することができる。いくつかの態様において、FZD結合剤が2種以上のFZDタンパク質を結合する抗体である場合、それは「pan-FZD抗体」と呼ばれることもある。
ある種の態様において、FZD結合剤(例えば、抗体)は、結合する1種または複数種のヒトFZDタンパク質内の細胞外ドメイン(ECD)を特異的に結合する。ある種の態様において、FZD結合剤は、結合するヒトFZDタンパク質のFriドメイン(システインリッチドメイン(CRD)としても公知)内に特異的に結合する。ヒトFZDタンパク質の各々のFriドメインの配列は、当技術分野において公知であり、SEQ ID NO:11 (FZD1)、SEQ ID NO:12 (FZD2)、SEQ ID NO: 3 (FZD3)、SEQ ID NO:14 (FZD4)、SEQ ID NO:15 (FZD5)、SEQ ID NO:16 (FZD6)、SEQ ID NO:17 (FZD7)、SEQ ID NO:18 (FZD)、SEQ ID NO:19 (FZD9)、およびSEQ ID NO:20 (FZD10)として提供される。
ある種の態様において、FZD結合剤は、1種、2種、3種、4種、5種、またはそれ以上のFZDタンパク質を結合する。いくつかの態様において、FZD結合剤は、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7、およびFZD8からなる群より選択される1種、2種、3種、4種、または5種のFZDタンパク質を特異的に結合する。いくつかの態様において、FZD結合剤は、少なくともFZD5およびFZD8を特異的に結合する。
いくつかの態様において、FZD結合剤は、約1μMもしくはそれ以下、約100nMもしくはそれ以下、約40nMもしくはそれ以下、約20nMもしくはそれ以下、約10nMもしくはそれ以下、約1nMもしくはそれ以下または約0.1nMもしくはそれ以下の解離定数(KD)で少なくとも1種のヒトFZDタンパク質を結合する。いくつかの態様において、FZD結合剤は、約1nMまたはそれ以下のKDで少なくとも1種のFZDタンパク質を結合する。いくつかの態様において、FZD結合剤は、約0.1nMまたはそれ以下のKDで少なくとも1種のFZDタンパク質を結合する。ある種の態様において、FZD結合剤は、約40nMまたはそれ以下のKDでFZD1、FZD2、FZD5、FZD7、およびFZD8の1種または複数種(例えば、1種、2種、3種、4種、または5種)の各々を結合する。ある種の態様において、FZD結合剤は、約10nMまたはそれ以下のKDでFZD1、FZD2、FZD5、FZD7、およびFZD8の1種または複数種の各々に結合する。ある種の態様において、FZD結合剤は、約10nMのKDでFZD1、FZD2、FZD5、FZD7、およびFZD8の各々を結合する。いくつかの態様において、FZDタンパク質に対する結合剤(例えば、抗体)のKDは、Biacoreチップ上に固定化されているFZD細胞外ドメインまたはFZD-Friドメインの少なくとも一部分を含んだFZD-Fc融合タンパク質を用いて決定されたKDである。
ある種の態様において、FZD結合剤は、約1μMもしくはそれ以下、約100nMもしくはそれ以下、約40nMもしくはそれ以下、約20nMもしくはそれ以下、約10nMもしくはそれ以下、または約1nMもしくはそれ以下のEC50で1種または複数種(例えば、2種もしくはそれ以上、3種もしくはそれ以上、または4種もしくはそれ以上)のヒトFZDタンパク質を結合する。ある種の態様において、FZD結合剤は、約40nMもしくはそれ以下、約20nMもしくはそれ以下、または約10nMもしくはそれ以下のEC50で2種以上のFZDタンパク質を結合する。ある種の態様において、FZD結合剤は、以下のFZDタンパク質: FZD1、FZD2、FZD5、FZD7、およびFZD8の1種または複数種(例えば、1種、2種、3種、4種、または5種)に対して約20nMまたはそれ以下のEC50を有する。ある種の態様において、FZD結合剤は、以下のFZDタンパク質: FZD1、FZD2、FZD5、FZD7、およびFZD8の1種または複数種(例えば、1種、2種、3種、4種、または5種)に対して約10nMまたはそれ以下のEC50を有する。ある種の態様において、FZD結合剤は、FZD5および/またはFZD8の結合に対して約40nMもしくはそれ以下または20nMもしくはそれ以下のEC50を有する。
ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、抗体であるFZD結合剤である。いくつかの態様において、抗体は組み換え抗体である。いくつかの態様において、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの態様において、抗体はキメラ抗体である。いくつかの態様において、抗体はヒト化抗体である。いくつかの態様において、抗体はヒト抗体である。ある種の態様において、抗体はIgG1抗体である。ある種の態様において、抗体はIgG2抗体である。ある種の態様において、抗体は、抗原結合部位を含む抗体断片である。いくつかの態様において、抗体は一価、単一特異性、二価、二重特異性、または多重特異性である。いくつかの態様において、抗体は細胞傷害性部分に結合される。いくつかの態様において、抗体は単離される。いくつかの態様において、抗体は実質的に純粋である。
本発明のFZD結合剤(例えば、抗体)は、当技術分野において公知の任意の方法により特異的結合についてアッセイすることができる。使用できるイムノアッセイ法には、例えば、Biacore分析、FACS分析、免疫蛍光、免疫細胞化学、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ法、ELISA法、「サンドイッチ」イムノアッセイ法、免疫沈降アッセイ法、沈殿反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ法、凝集アッセイ法、補体固定アッセイ法、免疫放射線測定法、蛍光イムノアッセイ法、およびプロテインAイムノアッセイ法などの技法を用いた、競合的アッセイ系および非競合的アッセイ系が含まれるが、これらに限定されることはない。このようなアッセイ法は日常的なものであり、当技術分野において周知である(例えば、Ausubel et al., Editors, 1994-present, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York, NYを参照のこと)。
例えば、抗体とヒトFZDタンパク質との特異的結合は、ELISA法を用いて決定されうる。ELISAアッセイ法には抗原を調製する段階、96ウェルマイクロタイタープレートのウェルを抗原でコーティングする段階、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)基質などの検出可能な化合物を結合させたFZD結合剤(例えば、抗体)をウェルに添加する段階、一定時間インキュベートする段階、および抗原に結合したFZD結合剤の存在を検出する段階が含まれる。いくつかの態様において、FZD結合抗体またはFZD結合剤に検出可能な化合物を結合させないが、その代わりに、FZD結合抗体またはFZD結合剤を認識する第2の複合(conjugated)抗体がウェルに添加される。いくつかの態様において、ウェルを抗原でコーティングする代わりに、FZD結合抗体またはFZD結合剤をウェルにコーティングしてもよく、コーティングされたウェルに抗原を添加した後に、検出可能な化合物を結合させた第2の抗体を添加してもよい。当業者であれば、検出されたシグナルを増加させるためにパラメータを変えられること、および用いられうるELISAの他の変化形に精通しているであろう。
別の例において、抗体とヒトFZDタンパク質との特異的結合は、FACSを用いて決定されうる。FACSスクリーニングアッセイ法には、融合タンパク質として抗原を発現するcDNA構築体を作出する段階、構築体を細胞に形質移入する段階、細胞の表面に抗原を発現させる段階、FZD結合抗体または他のFZD結合剤と形質移入された細胞とを混合する段階、および一定時間インキュベートする段階が含まれうる。FZD結合抗体または他のFZD結合剤が結合した細胞は、検出可能な化合物を結合させた二次抗体(例えば、PE結合抗Fc抗体)およびフローサイトメーターを用いることによって特定されうる。当業者であれば、検出されたシグナルを最適化するためにパラメータを変えられること、およびスクリーニング(例えば、ブロッキング抗体のスクリーニング)を増強しうるFACSの他の変化形に精通しているであろう。
抗原(例えば、FZDタンパク質)に対する抗体または他の結合剤の結合親和性および抗体抗原相互作用のオフ速度は、競合的結合アッセイ法によって決定することができる。競合的結合アッセイ法の一例は、漸増量の非標識抗原の存在下で、標識された抗原(例えば、3Hもしくは125I)またはその断片もしくは変種と関心対象の抗体とをインキュベーションした後に、標識された抗原に結合した抗体を検出する段階を含む、ラジオイムノアッセイ法である。抗原(例えば、FZDタンパク質)に対する抗体の親和性および結合オフ速度は、スキャッチャードプロット分析によってデータから決定することができる。いくつかの態様において、Biacore動態解析を用いて、抗原(例えば、FZDタンパク質)を結合する抗体または薬剤の結合オンオフ速度を決定する。Biacore動態解析は、その表面に固定化された抗原(例えば、FZDタンパク質)を有するチップからの抗体の結合および解離を解析する段階を含む。
ある種の態様において、本発明は、
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR1、
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR2、および
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR3を含むFZD結合剤(例えば、抗体)であるWnt経路阻害剤を提供する。いくつかの態様において、FZD結合剤は、
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR1、
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR2、および
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR3をさらに含む。いくつかの態様において、FZD結合剤は、
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR1、
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR2、および
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR3を含む。ある種の態様において、FZD結合剤は、(a)
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR1、
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR2、および
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR3、ならびに(b)
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR1、
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR2、および
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR3を含む。
ある種の態様において、本発明は、(a)
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR1、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (b)
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR2、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (c)
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR3、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (d)
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR1、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; (e)
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR2、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種; および(f)
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR3、または1、2、3もしくは4個のアミノ酸置換を含んだその変種を含むFZD結合剤(例えば、抗体)を提供する。ある種の態様において、アミノ酸置換は保存的置換である。
ある種の態様において、本発明は、SEQ ID NO:3と少なくとも約80%の配列同一性を有する重鎖可変領域、および/またはSEQ ID NO:4と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含むFZD結合剤(例えば、抗体)を提供する。ある種の態様において、FZD結合剤は、SEQ ID NO:3と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む。ある種の態様において、FZD結合剤は、SEQ ID NO:4と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、FZD結合剤は、SEQ ID NO:3と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域、および/またはSEQ ID NO:4と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、FZD結合剤は、SEQ ID NO:3を含んだ重鎖可変領域、および/またはSEQ ID NO:4を含んだ軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、FZD結合剤は、SEQ ID NO:3から本質的になる重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:4から本質的になる軽鎖可変領域を含む。
ある種の態様において、本発明は、(a) SEQ ID NO:1 (シグナル配列を有するもしくは有しない)もしくはSEQ ID NO:60と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖; および/または(b) SEQ ID NO:2 (シグナル配列を有するもしくは有しない)もしくはSEQ ID NO:61と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖を含むFZD結合剤(例えば、抗体)を提供する。いくつかの態様において、FZD結合剤は、(a) SEQ ID NO:1 (シグナル配列を有するもしくは有しない)もしくはSEQ ID NO:60と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖; および/または(b) SEQ ID NO:2 (シグナル配列を有するもしくは有しない)もしくはSEQ ID NO:61と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖を含む。いくつかの態様において、FZD結合剤は、SEQ ID NO:1 (シグナル配列を有するもしくは有しない)もしくはSEQ ID NO:60を含んだ重鎖、および/またはSEQ ID NO:2 (シグナル配列を有するもしくは有しない)もしくはSEQ ID NO:61を含んだ軽鎖を含む。いくつかの態様において、FZD結合剤は、SEQ ID NO:1のアミノ酸番号20〜463から本質的になる重鎖、およびSEQ ID NO:2のアミノ酸番号20〜232から本質的になる軽鎖を含む。いくつかの態様において、FZD結合剤は、SEQ ID NO:60から本質的になる重鎖、およびSEQ ID NO:61から本質的になる軽鎖を含む。
ある種の態様において、本発明は、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7および/またはFZD8の少なくとも1つを特異的に結合するFZD結合剤(例えば、抗体)であるWnt経路阻害剤を提供し、このFZD結合剤(例えば、抗体)は、抗体18R5のCDRの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、および/または6つを含む。抗体18R5および他のFZD結合剤は、米国特許第7,982,013号に既述されている。18R5 IgG2抗体の重鎖および軽鎖をコードするDNAは、ブダペスト条約の条件の下、2008年9月29日付でATCCに寄託され、ATCC寄託指定番号PTA-9541を割り当てられた。いくつかの態様において、FZD結合剤は、18R5のCDRの1つもしくはそれ以上、18R5のCDRの2つもしくはそれ以上、18R5のCDRの3つもしくはそれ以上、18R5のCDRの4つもしくはそれ以上、18R5のCDRの5つもしくはそれ以上、または18R5のCDRの6つ全てを含む。
本発明は、Wnt経路阻害剤であるポリペプチドを提供する。ポリペプチドには、ヒトFZDタンパク質を特異的に結合する抗体が含まれるが、これに限定されることはない。いくつかの態様において、ポリペプチドは、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、およびFZD10からなる群より選択される1種または複数種のFZDタンパク質を結合する。いくつかの態様において、ポリペプチドは、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7、および/またはFZD8を結合する。いくつかの態様において、ポリペプチドは、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7、およびFZD8を結合する。
ある種の態様において、ポリペプチドは、抗体18R5のCDRの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、および/または6つを含む。いくつかの態様において、ポリペプチドは、CDRあたり最大4つまで(すなわち、0個、1個、2個、3個、または4個)のアミノ酸置換を有するCDRを含む。ある種の態様において、重鎖CDRは、重鎖可変領域内に含まれる。ある種の態様において、軽鎖CDRは、軽鎖可変領域内に含まれる。
いくつかの態様において、本発明は、1種または複数種のヒトFZDタンパク質を特異的に結合するポリペプチドを提供し、このポリペプチドは、SEQ ID NO:3と少なくとも約80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/またはSEQ ID NO:4と少なくとも約80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある種の態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:3と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある種の態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:4と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある種の態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:3と少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/またはSEQ ID NO:4と少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある種の態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:3を含んだアミノ酸配列、および/またはSEQ ID NO:4を含んだアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、FZD結合剤は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:60およびSEQ ID NO:61からなる群より選択される配列を含んだポリペプチドを含む。
ある種の態様において、FZD結合剤は、18R5抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。ある種の態様において、FZD結合剤は、(リーダー配列を有するまたは有しない) 18R5抗体の重鎖および軽鎖を含む。
ある種の態様において、FZD結合剤は、抗体18R5を含むか、抗体18R5から本質的になるか、または抗体18R5からなる。
ある種の態様において、FZD結合剤(例えば、抗体)は、1種または複数種のヒトFZDタンパク質との特異的結合について、SEQ ID NO:3を含んだ重鎖可変領域およびSEQ ID NO:4を含んだ軽鎖可変領域を含む抗体と競合する。ある種の態様において、FZD結合剤(例えば、抗体)は、1種または複数種のヒトFZDタンパク質との特異的結合について、(シグナル配列を有するまたは有しない) SEQ ID NO:1を含んだ重鎖および(シグナル配列を有するまたは有しない) SEQ ID NO:2を含んだ軽鎖可変領域を含む抗体と競合する。ある種の態様において、FZD結合剤(例えば、抗体)は、1種または複数種のヒトFZDタンパク質との特異的結合について、SEQ ID NO:60を含んだ重鎖およびSEQ ID NO:61を含んだ軽鎖可変領域を含む抗体と競合する。ある種の態様において、FZD結合剤は、1種または複数種のヒトFZDタンパク質との特異的結合について、抗体18R5と競合する。いくつかの態様において、FZD結合剤またはFZD結合抗体は、インビトロ競合的結合アッセイ法において1種または複数種のヒトFZDタンパク質との特異的結合について競合する。
ある種の態様において、FZD結合剤(例えば、抗体)は、本発明の抗体と同じか、または本質的に同じ、1種または複数種のヒトFZDタンパク質上のエピトープを結合する。別の態様において、FZD結合剤は、本発明の抗体が結合するFZDタンパク質上のエピトープと重複する1種または複数種のヒトFZDタンパク質上のエピトープを結合する抗体である。ある種の態様において、FZD結合剤(例えば、抗体)は、抗体18R5と同じか、または本質的に同じ、1種または複数種のFZDタンパク質上のエピトープを結合する。別の態様において、FZD結合剤は、抗体18R5が結合するFZDタンパク質上のエピトープと重複する1種または複数種のヒトFZDタンパク質上のエピトープを結合する抗体である。
ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、1種または複数種のヒトWntタンパク質を結合する薬剤である。これらの薬剤は、本明細書において「Wnt結合剤」と呼ぶ。ある種の態様において、薬剤は、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、またはそれ以上のWntタンパク質を特異的に結合する。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、Wnt1、Wnt2、Wnt2b、Wnt3、Wnt3a、Wnt4、Wnt5a、Wnt5b、Wnt6、Wnt7a、Wnt7b、Wnt8a、Wnt8b、Wnt9a、Wnt9b、Wnt10a、Wn10b、Wnt11、およびWnt16からなる群より選択される1種または複数種のヒトWntタンパク質を結合する。ある種の態様において、Wnt結合剤は、Wnt1、Wnt2、Wnt2b、Wnt3、Wnt3a、Wnt7a、Wnt7b、Wnt8a、Wnt8b、Wnt10a、およびWnt10bからなる群より選択される1種もしくは複数種(または2種もしくはそれ以上の、3種もしくはそれ以上の、4種もしくはそれ以上の、5種もしくはそれ以上など)のWntタンパク質を結合する。ある種の態様において、1種もしくは複数種(または2種もしくはそれ以上の、3種もしくはそれ以上の、4種もしくはそれ以上の、5種もしくはそれ以上など)のWntタンパク質は、Wnt1、Wnt2、Wnt2b、Wnt3、Wnt3a、Wnt8a、Wnt8b、Wnt10a、およびWnt10bからなる群より選択される。
ある種の態様において、Wnt結合剤はWntアンタゴニストである。ある種の態様において、Wnt結合剤はWnt経路アンタゴニストである。ある種の態様において、Wnt結合剤はWntシグナル伝達を阻害する。いくつかの態様において、Wnt結合剤は標準的Wntシグナル伝達を阻害する。
いくつかの態様において、Wnt結合剤は抗体である。いくつかの態様において、Wnt結合剤はポリペプチドである。ある種の態様において、Wnt結合剤は、抗体または抗原結合部位を含んだポリペプチドである。ある種の態様において、本明細書において記述されるWnt結合抗体またはポリペプチドの抗原結合部位は、1種、2種、3種、4種、5種、またはそれ以上のヒトWntタンパク質を結合することができる(または結合する)。ある種の態様において、Wnt結合抗体またはポリペプチドの抗原結合部位は、Wnt1、Wnt2、Wnt2b、Wnt3、Wnt3a、Wnt7a、Wnt7b、Wnt8a、Wnt8b、Wnt10a、およびWnt10bからなる群より選択される1種、2種、3種、4種、または5種のヒトWntタンパク質を特異的に結合することができる。Wnt結合剤の非限定的な例は、全体が参照により本明細書に組み入れられる国際公開WO 2011/088127のなかで見出すことができる。
ある種の態様において、Wnt結合剤は、1種または複数種のヒトWntタンパク質のC末端システインリッチドメインに結合する。ある種の態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:32 (Wnt1)、SEQ ID NO:33 (Wnt2)、SEQ ID NO:34 (Wnt2b)、SEQ ID NO:35 (Wnt3)、SEQ ID NO:36 (Wnt3a)、SEQ ID NO:37 (Wnt7a)、SEQ ID NO:38 (Wnt7b)、SEQ ID NO:39 (Wnt8a)、SEQ ID NO:40 (Wnt8b)、SEQ ID NO:41 (Wnt10a)、およびSEQ ID NO:42 (Wnt10b)からなる群より選択される、薬剤または抗体が結合する1種または複数種のWntタンパク質内のドメインを結合する。
ある種の態様において、Wnt結合剤は、約1μMもしくはそれ以下、約100nMもしくはそれ以下、約40nMもしくはそれ以下、約20nMもしくはそれ以下、または約10nMもしくはそれ以下のKDで1種または複数種(例えば、2種もしくはそれ以上、3種もしくはそれ以上、または4種もしくはそれ以上)のWntタンパク質を結合する。例えば、ある種の態様において、2種以上のWntタンパク質を結合する本明細書において記述されるWnt結合剤は、約100nMもしくはそれ以下、約20nMもしくはそれ以下、または約10nMもしくはそれ以下のKDでWntタンパク質を結合する。ある種の態様において、Wnt結合剤は約40nMまたはそれ以下のKDで、Wnt1、Wnt2、Wnt2b、Wnt3、Wnt3a、Wnt7a、Wnt7b、Wnt8a、Wnt8b、Wnt10a、およびWnt10bからなる群より選択される1種または複数種(例えば、1種、2種、3種、4種、または5種)のWntタンパク質の各々を結合する。いくつかの態様において、Wntタンパク質に対する結合剤(例えば、抗体)のKDは、Biacoreチップ上に固定化されているWnt C末端システインリッチドメインの少なくとも一部分を含んだWnt融合タンパク質を用いて決定されたKDである。
ある種の態様において、Wnt結合剤は、約1μMもしくはそれ以下、約100nMもしくはそれ以下、約40nMもしくはそれ以下、約20nMもしくはそれ以下、約10nMもしくはそれ以下、または約1nMもしくはそれ以下のEC50で1種または複数種(例えば、2種もしくはそれ以上、3種もしくはそれ以上、または4種もしくはそれ以上)のヒトWntタンパク質を結合する。ある種の態様において、Wnt結合剤は、約40nMもしくはそれ以下、約20nMもしくはそれ以下、または約10nMもしくはそれ以下のEC50で2種以上のWntに結合する。ある種の態様において、Wnt結合剤は、Wntタンパク質Wnt1、Wnt2、Wnt2b、Wnt3、Wnt3a、Wnt4、Wnt5a、Wnt5b、Wnt6、Wnt7a、Wnt7b、Wnt8a、Wnt8b、Wnt9a、Wnt9b、Wnt10a、Wnt10b、Wnt11、および/またはWnt16の1種または複数種(例えば、1種、2種、3種、4種、または5種)に対して約20nMまたはそれ以下のEC50を有する。ある種の態様において、Wnt結合剤は、以下のWntタンパク質Wnt1、Wnt2、Wnt2b、Wnt3、Wnt3a、Wnt8a、Wnt8b、Wnt10a、および/またはWnt10bの1種または複数種(例えば、1種、2種、3種、4種、または5種)に対して約10nMまたはそれ以下のEC50を有する。
ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、抗体であるWnt結合剤である。いくつかの態様において、抗体は組み換え抗体である。いくつかの態様において、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの態様において、抗体はキメラ抗体である。いくつかの態様において、抗体はヒト化抗体である。いくつかの態様において、抗体はヒト抗体である。ある種の態様において、抗体はIgG1抗体である。ある種の態様において、抗体はIgG2抗体である。ある種の態様において、抗体は、抗原結合部位を含む抗体断片である。いくつかの態様において、抗体は一価、単一特異性、二価、二重特異性、または多重特異性である。いくつかの態様において、抗体は細胞傷害性部分に結合される。いくつかの態様において、抗体は単離される。いくつかの態様において、抗体は実質的に純粋である。
本発明のWnt結合剤(例えば、抗体)は、当技術分野において公知の任意の方法により特異的結合についてアッセイすることができる。使用できるイムノアッセイ法には、例えば、Biacore分析、FACS分析、免疫蛍光、免疫細胞化学、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ法、ELISA法、「サンドイッチ」イムノアッセイ法、免疫沈降アッセイ法、沈殿反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ法、凝集アッセイ法、補体固定アッセイ法、免疫放射線測定法、蛍光イムノアッセイ法、およびプロテインAイムノアッセイ法などの技法を用いた、競合的アッセイ系および非競合的アッセイ系が含まれるが、これらに限定されることはない。このようなアッセイ法は日常的なものであり、当技術分野において周知である(例えば、Ausubel et al., Editors, 1994-present, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York, NYを参照のこと)。
例えば、抗体とヒトWntタンパク質との特異的結合は、ELISA法を用いて決定されうる。ELISAアッセイ法には抗原を調製する段階、96ウェルマイクロタイタープレートのウェルを抗原でコーティングする段階、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)基質などの検出可能な化合物を結合させたWnt結合剤(例えば、抗体)をウェルに添加する段階、一定時間インキュベートする段階、および抗原に結合したWnt結合剤の存在を検出する段階が含まれる。いくつかの態様において、Wnt結合抗体またはWnt結合剤に検出可能な化合物を結合させないが、その代わりに、Wnt結合抗体またはWnt結合剤を認識する第2の複合抗体がウェルに添加される。いくつかの態様において、ウェルを抗原でコーティングする代わりに、Wnt結合抗体またはWnt結合剤をウェルにコーティングしてもよく、コーティングされたウェルに抗原を添加した後に、検出可能な化合物を結合させた第2の抗体を添加してもよい。当業者であれば、検出されたシグナルを増加させるためにパラメータを変えられること、および用いられうるELISAの他の変化形に精通しているであろう。
別の例において、抗体とヒトWntタンパク質との特異的結合は、FACSを用いて決定されうる。FACSスクリーニングアッセイ法には、融合タンパク質として抗原を発現するcDNA構築体を作出する段階、構築体を細胞に形質移入する段階、細胞の表面に抗原を発現させる段階、Wnt結合抗体と形質移入された細胞とを混合する段階、および一定時間インキュベートする段階が含まれうる。Wnt結合抗体が結合した細胞は、検出可能な化合物を結合させた二次抗体(例えば、PE結合抗Fc抗体)およびフローサイトメーターを用いることによって特定されうる。当業者であれば、検出されたシグナルを最適化するためにパラメータを変えられること、およびスクリーニング(例えば、ブロッキング抗体のスクリーニング)を増強しうるFACSの他の変化形に精通しているであろう。
抗原(例えば、Wntタンパク質)に対するWnt結合剤の結合親和性および抗体抗原相互作用のオフ速度は、FZD結合剤の場合に上述したものなどの競合的結合アッセイ法によって決定することができる。
ある種の態様において、Wnt結合剤は、可溶性受容体である。ある種の態様において、Wnt結合剤は、FZD受容体タンパク質の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、FZDタンパク質のFriドメインを含む。いくつかの態様において、FZD Friドメインを含んだ可溶性受容体は、全FZD ECDを含んだ可溶性受容体と比べて生物学的活性の変化(例えば、タンパク質半減期の増大)を実証しうる。タンパク質半減期は、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリエチレンオキシド(PEO)を用いた共有結合修飾によってさらに増大されうる。ある種の態様において、FZDタンパク質はヒトFZDタンパク質である。ある種の態様において、ヒトFZDタンパク質は、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、またはFZD10である。可溶性FZD受容体の非限定的な例は、米国特許第7,723,477号および同第7,947,277号; ならびに国際公開WO 2011/088123のなかで見出すことができ、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
ヒトFZD1〜10タンパク質の各々に対して予測されるFriドメインは、SEQ ID NO:11〜20として提供されている。ヒトFZD1〜10タンパク質の各々に対して予測される最小のFriドメインは、SEQ ID NO:48〜57として提供されている。当業者は、種々のFriドメインに対応する正確なアミノ酸のその理解が異なりうる。したがって、上記でおよび本明細書において概説されるドメインのN末端および/またはC末端は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、またはさらに10個のアミノ酸だけ伸びることもあり、または短くなることもある。
ある種の態様において、Wnt結合剤は、ヒトFZDタンパク質のFriドメイン、または1種もしくは複数種のヒトWntタンパク質を結合するFriドメインの断片もしくは変種を含む。ある種の態様において、ヒトFZDタンパク質はFZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、またはFZD10である。ある種の態様において、ヒトFZDタンパク質はFZD4である。ある種の態様において、ヒトFZDタンパク質はFZD5である。ある種の態様において、ヒトFZDタンパク質はFZD8である。ある種の態様において、ヒトFZDタンパク質はFZD10である。ある種の態様において、FZDタンパク質はFZD4であり、かつWnt結合剤はSEQ ID NO:14を含む。ある種の態様において、FZDタンパク質はFZD5であり、かつWnt結合剤はSEQ ID NO:15を含む。ある種の態様において、FZDタンパク質はFZD7であり、かつWnt結合剤はSEQ ID NO:17を含む。ある種の態様において、FZDタンパク質はFZD8であり、かつWnt結合剤はSEQ ID NO:18を含む。ある種の態様において、FZDタンパク質はFZD10であり、かつWnt結合剤はSEQ ID NO:20を含む。ある種の態様において、FZDタンパク質はFZD8であり、かつWnt結合剤はSEQ ID NO:58を含む。
いくつかの態様において、Wnt結合剤は、FZD1の最小のFriドメイン(SEQ ID NO:48)、FZD2の最小のFriドメイン(SEQ ID NO:49)、FZD3の最小のFriドメイン(SEQ ID NO:50)、FZD4の最小のFriドメイン(SEQ ID NO:51)、FZD5の最小のFriドメイン(SEQ ID NO:52)、FZD6の最小のFriドメイン(SEQ ID NO:53)、FZD7の最小のFriドメイン(SEQ ID NO:54)、FZD8の最小のFriドメイン(SEQ ID NO:55)、FZD9の最小のFriドメイン(SEQ ID NO:56)、またはFZD10の最小のFriドメイン(SEQ ID NO:57)を含んだFriドメインを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、FZD8の最小のFriドメイン(SEQ ID NO:55)を含んだFriドメインを含む。
いくつかの態様において、Wnt結合剤は、FZD1のFriドメイン、FZD2のFriドメイン、FZD3のFriドメイン、FZD4のFriドメイン、FZD5のFriドメイン、FZD6のFriドメイン、FZD7のFriドメイン、FZD8のFriドメイン、FZD9のFriドメイン、またはFZD10のFriドメインから本質的になるFriドメインを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、FZD8のFriドメインから本質的になるFriドメインを含む。
いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、およびSEQ ID NO:58からなる群より選択される配列を含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:18から本質的になるFriドメインを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:58から本質的になるFriドメインを含む。
ある種の態様において、Wnt結合剤は、1個または複数個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個など)の保存的置換を含み、かつWntタンパク質を結合できる上記のFZD Friドメイン配列のいずれか1つの変種を含む。
ある種の態様において、ヒトFZD受容体のFriドメインを含む薬剤のようなWnt結合剤は、非FZDポリペプチドをさらに含む。いくつかの態様において、FZD可溶性受容体には、ヒトFc領域、タンパク質タグ(例えば、myc、FLAG、GST)、他の内因性タンパク質もしくはタンパク質断片、またはFZD ECDもしくはFriドメインと第2のポリペプチドとの間の任意のリンカー領域を含む任意の他の有用なタンパク質配列を含むが、これらに限定されない、他の非FZD機能タンパク質および構造タンパク質に連結されたFZD ECDまたはFriドメインが含まれうる。ある種の態様において、非FZDポリペプチドはヒトFc領域を含む。Fc領域は、免疫グロブリンのクラスIgG、IgA、IgM、IgDおよびIgEのいずれかより得ることができる。いくつかの態様において、Fc領域はヒトIgG1 Fc領域である。いくつかの態様において、Fc領域はヒトIgG2 Fc領域である。いくつかの態様において、Fc領域は野生型Fc領域である。いくつかの態様において、Fc領域は変異Fc領域である。いくつかの態様において、Fc領域はN末端の位置で、(例えば、ヒンジドメイン中で)、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個のアミノ酸だけトランケートされる。いくつかの態様において、ヒンジドメイン中のアミノ酸を変化させて、望ましくないジスルフィド結合形成を妨げる。いくつかの態様において、システインをセリンに置き換えて、望ましくないジスルフィド結合形成を妨げる。いくつかの態様において、Fc領域はC末端の位置で、1個、2個、3個、またはそれ以上のアミノ酸だけトランケートされる。いくつかの態様において、Fc領域はC末端の位置で、1個のアミノ酸だけトランケートされる。ある種の態様において、非FZDポリペプチドは、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24もしくはSEQ ID NO:59を含むか、またはSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24もしくはSEQ ID NO:59から本質的になる。ある種の態様において、非FZDポリペプチドは、SEQ ID NO:22またはSEQ ID NO:23から本質的になる。
ある種の態様において、Wnt結合剤は、FZD受容体の少なくとも最小のFriドメインおよびFc領域を含んだ融合タンパク質である。本明細書において用いられる場合、「融合タンパク質」は、少なくとも2種の遺伝子のヌクレオチド配列を含んだ核酸分子によって発現されるハイブリッドタンパク質である。いくつかの態様において、第1のポリペプチドのC末端は、免疫グロブリンFc領域のN末端に連結されている。いくつかの態様において、第1のポリペプチド(例えば、FZD Friドメイン)はFc領域に直接(すなわち、介在性ペプチドリンカーなしで)連結されている。いくつかの態様において、第1のポリペプチドはペプチドリンカーを介してFc領域に連結されている。
本明細書において用いられる場合、「リンカー」という用語は、第1のポリペプチド(例えば、FZD成分)と第2のポリペプチド(例えば、Fc領域)の間に挿入されたリンカーをいう。いくつかの態様において、リンカーはペプチドリンカーである。リンカーはポリペプチドの発現、分泌、または生物活性に悪影響を及ぼすべきではない。リンカーは抗原性であるべきでなく、免疫反応を誘発すべきでない。適当なリンカーは当業者に公知であり、グリシン残基およびセリン残基の混合物を含むことが多く、立体的に障害のないアミノ酸を含むことが多い。有用なリンカーに組み入れることができる他のアミノ酸には、スレオニン残基およびアラニン残基が含まれる。リンカーは長さがさまざま、例えば長さが1〜50アミノ酸、長さが1〜22アミノ酸、長さが1〜10アミノ酸、長さが1〜5アミノ酸、または長さが1〜3アミノ酸でありうる。リンカーは、SerGly、GGSG、GSGS、GGGS、nが1〜7であるS(GGS)n、GRA、ポリ(Gly)、ポリ(Ala)、
Figure 2015502958
を含んでよいが、これらに限定されることはない。本明細書において用いられる場合、リンカーは第1のポリペプチド(例えば、FZD Friドメイン)のC末端、または第2のポリペプチド(例えば、Fc領域)のN末端のどちらかに由来するアミノ酸残基を含まない介在性ペプチド配列である。
いくつかの態様において、Wnt結合剤は、FZD Friドメイン、Fc領域、およびFZD FriドメインをFc領域に接続するリンカーを含む。いくつかの態様において、FZD Friドメインは、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:55、またはSEQ ID NO:58を含む。いくつかの態様において、リンカーは
Figure 2015502958
を含む。
いくつかの態様において、Wnt結合剤は、第1のポリペプチドが第2のポリペプチドに直接連結されている、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、またはSEQ ID NO:58を含んだ第1のポリペプチド; およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:18を含んだ第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:18から本質的になる第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:22またはSEQ ID NO:23から本質的になる第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:55を含んだ第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:58を含んだ第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:58から本質的になる第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、またはSEQ ID NO:59から本質的になる第2のポリペプチドを含む。
いくつかの態様において、Wnt結合剤は、第1のポリペプチドがリンカーによって第2のポリペプチドに接続されている、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、またはSEQ ID NO:58を含んだ第1のポリペプチド; およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:18を含んだ第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:18から本質的になる第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:22またはSEQ ID NO:23から本質的になる第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:55を含んだ第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:58を含んだ第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:58から本質的になる第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、またはSEQ ID NO:59から本質的になる第2のポリペプチドを含む。
いくつかの態様において、Wnt結合剤は、第1のポリペプチドが第2のポリペプチドに直接連結されている、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、またはSEQ ID NO:58と少なくとも95%同一である第1のポリペプチド; およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:18と少なくとも95%同一である第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:55と少なくとも95%同一である第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:58と少なくとも95%同一である第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。
いくつかの態様において、Wnt結合剤は、第1のポリペプチドがリンカーによって第2のポリペプチドに接続されている、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、またはSEQ ID NO:58と少なくとも95%同一である第1のポリペプチド; およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:18と少なくとも95%同一である第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:55と少なくとも95%同一である第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:58と少なくとも95%同一である第1のポリペプチド、およびSEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59を含んだ第2のポリペプチドを含む。
FZDタンパク質は、タンパク質の輸送を指令するシグナル配列を含む。シグナル配列(シグナルペプチドまたはリーダー配列とも呼ばれる)は、新生ポリペプチドのN末端に位置する。それらはポリペプチドを小胞体に標的化し、タンパク質はその行き先へ、例えば、オルガネラの内空へ、内膜へ、細胞外膜へ、または分泌を介して細胞外部へ選別される。ほとんどのシグナル配列は、タンパク質が小胞体に輸送された後に、シグナルペプチダーゼによってタンパク質から切断される。ポリペプチドからのシグナル配列の切断は、通常、アミノ酸配列中の特異的な部位で起こり、それはシグナル配列内のアミノ酸残基に依存する。通常、1つの特異的な切断部位が存在するが、シグナルペプチダーゼによって2つ以上の切断部位が認識および/または使用され、その結果、ポリペプチドの非均一N末端をもたらしうる。例えば、シグナル配列内の異なる切断部位の使用は、異なるN末端アミノ酸を有する発現ポリペプチドをもたらしうる。したがって、いくつかの態様において、本明細書において記述されるポリペプチドは、異なるN末端を有するポリペプチドの混合物を含みうる。いくつかの態様において、N末端は長さが1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれ以上のアミノ酸だけ異なる。いくつかの態様において、N末端は長さが1個、2個、3個、4個、または5個のアミノ酸だけ異なる。いくつかの態様において、ポリペプチドは実質的に均一である、すなわち、ポリペプチドは同じN末端を有する。いくつかの態様において、ポリペプチドのシグナル配列は1個または複数個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個など)のアミノ酸置換および/または欠失を含む。いくつかの態様において、ポリペプチドのシグナル配列は、1つの切断部位を優位にさせ、それにより1つのN末端を有する実質的に均一なポリペプチドを生じさせるアミノ酸置換および/または欠失を含む。
いくつかの態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、およびSEQ ID NO:31からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
ある種の態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:25の配列を含む。ある種の態様において、薬剤は、1個または複数個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個など)の保存的置換を含んだ、SEQ ID NO:25の配列を含む。ある種の態様において、薬剤は、SEQ ID NO:25と少なくとも約90%、約95%、または約98%の配列同一性を有する配列を含む。ある種の態様において、SEQ ID NO:25の変種は、1種または複数種のヒトWntタンパク質を結合する能力を維持する。
ある種の態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:26の配列を含む。ある種の態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:26である。ある種の代替的な態様において、薬剤は、1個または複数個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個など)の保存的置換を含んだ、SEQ ID NO:26の配列を含む。ある種の態様において、薬剤は、SEQ ID NO:26と少なくとも約90%、約95%、または約98%の配列同一性を有する配列を含む。ある種の態様において、SEQ ID NO:26の変種は、1種または複数種のヒトWntタンパク質を結合する能力を維持する。
ある種の態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:27の配列を含む。ある種の態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:27である。ある種の代替的な態様において、薬剤は、1個または複数個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個など)の保存的置換を含んだ、SEQ ID NO:27の配列を含む。ある種の態様において、薬剤は、SEQ ID NO:27と少なくとも約90%、約95%、または約98%の配列同一性を有する配列を含む。ある種の態様において、SEQ ID NO:27の変種は、1種または複数種のヒトWntタンパク質を結合する能力を維持する。
ある種の態様において、Wnt結合剤は、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、およびSEQ ID NO:31からなる群より選択されるアミノ酸配列を含んだポリペプチドである。ある種の態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、およびSEQ ID NO:27からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、およびSEQ ID NO:27からなる群より選択されるアミノ酸配列から本質的になる。ある種の態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含む。ある種の態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含む。ある種の態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含む。ある種の態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含む。ある種の態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:30のアミノ酸配列を含む。ある種の態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、およびSEQ ID NO:27からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む実質的に精製されたポリペプチドである。いくつかの態様において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:27を含む実質的に精製されたポリペプチドである。ある種の態様において、実質的に精製されたポリペプチドは、ASAのN末端配列を有するポリペプチドの少なくとも90%からなる。いくつかの態様において、新生ポリペプチドは、1つのN末端配列を有する実質的に均一なポリペプチド産物を生じさせるシグナル配列を含む。
ある種の態様において、Wnt結合剤は免疫グロブリンのFc領域を含む。当業者であれば、本発明の結合剤のいくつかは、天然のまたは変化していない定常領域を含むほぼ同じ免疫原性の融合タンパク質と比較して、望ましい生化学的特徴、例えば、がん細胞局在性の増大、腫瘍浸透性の増大、血清中半減期の低減、または血清中半減期の増大を提供するようにFc領域の少なくとも一部が欠失されている、または他の方法で変えられている融合タンパク質を含むことを理解するであろう。Fc領域への改変は、1つまたは複数のドメイン内の1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失または置換を含んでもよい。本明細書において開示された改変融合タンパク質は、2つの重鎖定常ドメイン(CH2もしくはCH3)の1つもしくは複数へのまたはヒンジ領域への改変または修飾を含んでもよい。他の態様において、CH2ドメイン全体が除去されてもよい(ΔCH2構築体)。いくつかの態様において、除かれた定常領域ドメインは、典型的には、存在しない定常領域ドメインによって付与される、ある程度の分子可撓性をもたらす短いアミノ酸スペーサー(例えば、10アミノ酸残基)により置換される。
いくつかの態様において、改変融合タンパク質は、CH3ドメインをヒンジ領域へ直接連結するように遺伝子操作される。他の態様において、ヒンジ領域と改変されたCH2および/またはCH3ドメインの間にペプチドスペーサーが挿入される。例えば、CH2ドメインが欠失され、かつ残りのCH3ドメイン(改変または未改変)がヒンジ領域に5〜20個のアミノ酸スペーサーを用いて連結された、構築体を発現させることができる。このようなスペーサーを付加して、定常ドメインの調節エレメントを遊離状態でアクセス可能に保つこと、またはヒンジ領域の可撓性を保つことを確実にすることができる。しかしながら、アミノ酸スペーサーは、場合によっては、免疫原性を有することが判明しており、構築体に対する望ましくない免疫反応を誘発しうることに留意すべきである。したがって、ある種の態様において、構築体に付加されるどのスペーサーも、融合タンパク質の望ましい生化学的特質を維持するように、比較的、非免疫原性であろう。
いくつかの態様において、改変融合タンパク質は定常ドメインの部分的欠失または少数のもしくは単一のアミノ酸の置換だけを有することができる。例えば、CH2ドメインの選択域における単一のアミノ酸の変異は、Fc結合を大幅に低減し、それによって腫瘍局在性および/または腫瘍浸透性を増大させるのに十分でありうる。同様に、特定のエフェクタ機能(例えば、補体C1q結合)を制御する1つまたは複数の定常領域ドメインのその部分を単純に欠失させることが望ましい場合がある。定常領域のこのような部分的欠失は、この定常領域ドメインに関連する他の望ましい機能をそのままにしておく一方で、結合剤の選択的特徴(例えば、血清中半減期)を改善しうる。さらに、上にも示唆したように、開示された融合タンパク質の定常領域は、得られる構築体のプロファイルを向上させる、1つまたは複数のアミノ酸の変異または置換によって改変されてもよい。この点で、改変融合タンパク質の構成および免疫原性プロファイルを実質的に維持する一方で、保存された結合部位(例えば、Fc結合活性)によって提供される活性を妨害することが可能な場合がある。ある種の態様において、改変融合タンパク質は、エフェクタ機能の減少もしくは増加などの望ましい特徴を増強するように、またはさらに多くの細胞毒素もしくは糖鎖の付着部位をもたらすように、定常領域への1つまたは複数のアミノ酸の付加を含んでもよい。
定常領域がいくつかのエフェクタ機能を媒介することが当技術分野において公知である。例えば、補体のC1成分と(抗原に結合した) IgGまたはIgM抗体のFc領域が結合すると補体系が活性化される。補体活性化は、細胞病原体のオプソニン化および溶解において重要である。補体活性化はまた炎症反応を刺激し、自己免疫過敏にも関与する場合がある。さらに、免疫グロブリンのFc領域は、Fc受容体(FcR)を発現している細胞に結合することができる。IgG (γ受容体)、IgE (ε受容体)、IgA (α受容体)およびIgM (μ受容体)を含む、異なるクラスの抗体に特異的ないくつかのFc受容体がある。抗体と、細胞表面上のFc受容体が結合すると、貪食および抗体コーティング粒子の破壊、免疫複合体のクリアランス、キラー細胞による抗体コーティング標的細胞の溶解、炎症メディエータの放出、胎盤通過および免疫グロブリン産生の制御を含む、いくつかの重要かつ多様な生物学的反応が誘発される。
いくつかの態様において、改変融合タンパク質は改変されたエフェクタ機能をもたらし、これが、今度は、投与された薬剤の生物学的プロファイルに影響を与える。例えば、いくつかの態様において、定常領域ドメインの(点突然変異または他の手段を通じた)欠失または不活性化は、血中改変薬剤のFc受容体結合を低減し、それによってがん細胞局在性および/または腫瘍浸透性を増大しうる。他の態様において、定常領域の修飾は薬剤の血清中半減期を増大または低減する。いくつかの態様において、定常領域を修飾して、ジスルフィド結合またはオリゴサッカライド部分を除去する。
ある種の態様において、改変融合タンパク質は、Fc領域に通常関連付けられる1つまたは複数のエフェクタ機能を有しない。いくつかの態様において、薬剤は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を有さず、および/または補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有しない。ある種の態様において、薬剤は、Fc受容体および/または補体因子に結合しない。ある種の態様において、薬剤はエフェクタ機能を有しない。
いくつかの態様において、本明細書において記述されるWnt結合剤(例えば、可溶性受容体)は、免疫原性を低減させるために改変される。一般に、完全に正常なヒトタンパク質に対する免疫反応は、これらのタンパク質が治療用物質として用いられる場合、稀有である。しかしながら、多くの融合タンパク質が、天然において見出される配列と同じものであるポリペプチド配列を含むにも関わらず、いくつかの治療上の融合タンパク質は哺乳動物において免疫原性であることが示されてきた。ある研究において、リンカーを含む融合タンパク質は、リンカーを含まない融合タンパク質よりも免疫原性があることが分かった。したがって、いくつかの態様において、本発明のポリペプチドは、免疫原性を予測するためにコンピュータを用いる方法によって分析される。いくつかの態様において、ポリペプチドは、T細胞および/またはB細胞エピトープの存在について分析される。いずれかのT細胞またはB細胞エピトープが特定され、および/または予測されるなら、これらの領域への修飾(例えば、アミノ酸置換)を作出して、エピトープを撹乱または破壊してもよい。T細胞および/またはB細胞エピトープを予測するために使用できるさまざまなアルゴリズムおよびソフトウェアは、当技術分野において公知である。例えば、ソフトウェアプログラムSYFPEITHI、HLA Bind、PEPVAC、RANKPEP、DiscoTope、ElliPro、およびAntibody Epitope Predictionは、全て公的に入手可能である。
いくつかの態様において、Wnt結合剤(例えば、可溶性受容体)または本明細書において記述されるポリペプチドのいずれかを産生する細胞が提供される。いくつかの態様において、Wnt結合剤(例えば、可溶性受容体)または本明細書において記述されるポリペプチドのいずれかを含む組成物が提供される。いくつかの態様において、組成物は、ポリペプチドの少なくとも80%、90%、95%、97%、98%、または99%がASAのN末端配列を有するポリペプチドを含む。いくつかの態様において、組成物は、ポリペプチドの100%がASAのN末端配列を有するポリペプチドを含む。いくつかの態様において、組成物は、ポリペプチドの少なくとも80%がASAのN末端配列を有するポリペプチドを含む。いくつかの態様において、組成物は、ポリペプチドの少なくとも90%がASAのN末端配列を有するポリペプチドを含む。いくつかの態様において、組成物は、ポリペプチドの少なくとも95%がASAのN末端配列を有するポリペプチドを含む。
本明細書において記述されるポリペプチドは、組み換えポリペプチド、天然ポリペプチド、または合成ポリペプチドでありうる。本発明のあるアミノ酸配列は、タンパク質の構造または機能にほとんど影響を与えることなく変化されうることが当技術分野において認識されるであろう。配列におけるそのような差異が企図されるなら、活性を決定するタンパク質上の重要な領域が存在することを忘れてはならない。したがって、本発明は、実質的な活性を示す、または本明細書において論じられるタンパク質部分のような、FZDタンパク質の領域を含むポリペプチドの変異形をさらに含む。そのような変異体は、欠失、挿入、逆位、繰り返し、およびタイプ置換を含む。
もちろん、当業者が作出するであろうアミノ酸置換の数は、上述したものを含めて、多くの要因に依存する。ある種の態様において、任意の所与の可溶性受容体ポリペプチドに対する置換の数は、50、40、30、25、20、15、10、5または3を超えないであろう。
本発明のポリペプチドの断片または部分は、ペプチド合成によって、対応する全長ポリペプチドを産生するために利用することができる; それゆえ、断片は全長ポリペプチドを産生するための中間体として利用することができる。ポリペプチドのこれらの断片または部分は、「タンパク質断片」または「ポリペプチド断片」ということもできる。
本発明のタンパク質断片は、1種もしくは複数種のヒトWntタンパク質または1種もしくは複数種のヒトFZDタンパク質に結合できるタンパク質の一部または全部である。いくつかの態様において、断片は、1種または複数種のヒトWntタンパク質に対する高い親和性を有する。いくつかの態様において、断片は、1種または複数種のヒトFZDタンパク質に対する高い親和性を有する。本明細書において記述されるWnt結合剤の断片のなかには、免疫グロブリンの定常領域(例えば、Fc領域)の少なくとも一部に連結されたFZDタンパク質の細胞外部分の少なくとも一部を含んだタンパク質断片であるものもある。タンパク質断片の結合親和性は、約10-11〜10-12 Mの範囲内でありうるが、親和性は、異なるサイズの断片ではかなり変化し、10-7〜10-13 Mの範囲でありうる。いくつかの態様において、断片は、長さが約100〜約200アミノ酸であり、免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部に連結された結合ドメインを含む。
いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤はポリクローナル抗体である。ポリクローナル抗体は任意の公知の方法によって調製することができる。いくつかの態様において、ポリクローナル抗体は、関連抗原(例えば、精製されたペプチド断片、完全長組み換えタンパク質または融合タンパク質)の複数回の皮下注射または腹腔内注射により動物(例えば、ウサギ、ラット、マウス、ヤギ、ロバ)を免疫することによって作製される。抗原は任意で、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)または血清アルブミンのような担体に結合されてもよい。抗原(担体タンパク質ありまたはなしの)を滅菌食塩水中に希釈し、通常、アジュバント(例えば、完全フロイントアジュバントまたは不完全フロイントアジュバント)と組み合わせて安定な乳濁液を形成させる。十分な時間の後、免疫した動物の血液および/または腹水からポリクローナル抗体を回収する。ポリクローナル抗体は、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動および透析を含むが、これらに限定されない、当技術分野において標準的な方法にしたがって血清または腹水から精製することができる。
いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤はモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は当業者に公知のハイブリドーマ法を用いて調製することができる(例えば、Kohler and Milstein, 1975, Nature 256:495-497を参照のこと)。いくつかの態様において、ハイブリドーマ法を用いて、マウス、ハムスターまたは他の適切な宿主動物を上述のように免疫してリンパ球から、免疫用の抗原を特異的に結合すると考えられる抗体の産生を誘発させる。いくつかの態様において、リンパ球はインビトロで免疫することができる。いくつかの態様において、免疫用の抗原はヒトタンパク質またはその部分であることができる。いくつかの態様において、免疫用の抗原はマウスタンパク質またはその部分であることができる。
免疫の後、リンパ球を単離し、例えば、ポリエチレングリコールを用い適当な骨髄腫細胞株と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成させ、これを次いで、融合していないリンパ球および骨髄腫細胞から選択分離することができる。選択された抗原に対して特異的に作製されたモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを、免疫沈降法、免疫ブロッティング法およびインビトロ結合アッセイ法(例えば、フローサイトメトリー、FACS、ELISAおよびラジオイムノアッセイ法)を含むが、これらに限定されない、さまざまな技法によって特定することができる。ハイブリドーマは標準的な方法(J.W. Goding, 1996, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 3rd Edition, Academic Press, San Diego, CA)を用いるインビトロの培養で、またはインビボで動物中の腹水腫瘍として増殖することができる。モノクローナル抗体は、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動および透析を含むが、これらに限定されない、当技術分野において標準的な方法にしたがって培地または腹水から精製することができる。
いくつかの態様において、モノクローナル抗体は当業者に公知であるように組み換えDNA技法を用いて作出することができる(例えば、米国特許第4,816,567号参照)。モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドを、成熟B細胞またはハイブリドーマ細胞から、例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子を特異的に増幅するオリゴヌクレオチドプライマーを用いるRT-PCRによって単離し、それらの配列を、標準的な技法を用いて決定する。重鎖および軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを次いで、形質移入されていなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない大腸菌(E. coli)、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または骨髄腫細胞のような宿主細胞へ形質移入された場合にモノクローナル抗体を産生する適当な発現ベクターへクローニングする。他の態様において、組み換えモノクローナル抗体またはその断片をファージディスプレイライブラリから単離することができる(例えば、McCafferty et al., 1990, Nature, 348:552-554; Clackson et al., 1991, Nature, 352:624-628; およびMarks et al., 1991, J. Mol. Biol., 222:581-597を参照のこと)。
モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドをさらに、組み換えDNA技術を用いたいくつかの異なる方法で改変し、代わりの抗体を作製することができる。いくつかの態様において、例えば、マウスモノクローナル抗体の軽鎖および重鎖の定常ドメインを、例えば、ヒト抗体のそれらの領域に置き換えてキメラ抗体を作製することができ、または非免疫グロブリンポリペプチドに置き換えて融合抗体を作製することができる。いくつかの態様において、定常領域を切断または除去してモノクローナル抗体の望ましい抗体断片を作製する。可変領域の部位特異的変異誘発または高密度変異誘発を用いて、モノクローナル抗体の特異性、親和性などを最適化することができる。
いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤はヒト化抗体である。典型的には、ヒト化抗体は、CDR由来の残基が当業者に公知の方法を用いて、所望の特異性、親和性および/または結合能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスターなど)のCDR由来の残基により置き換えられている、ヒト免疫グロブリンである。いくつかの態様において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域残基が、所望の特異性、親和性および/または結合能力を有する非ヒト種由来の抗体における対応残基で置き換えられる。いくつかの態様において、ヒト化抗体を、Fvフレームワーク領域中および/または置き換えられた非ヒト残基内のさらなる残基の置換によりさらに改変して、抗体の特異性、親和性および/または能力を改良および最適化することができる。一般に、ヒト化抗体は、フレームワーク領域の全て、または実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものであるのに対して、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDRの全て、または実質的に全てを含んだ少なくとも1つ、および典型的には2つの可変ドメイン領域の実質的に全てを含む。いくつかの態様において、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部を含むことができる。ある種の態様において、そのようなヒト化抗体は、ヒト対象に投与された時に抗原性およびHAMA (ヒト抗マウス抗体)反応を低減しうるので治療的に用いられる。当業者は、公知の技法にしたがって免疫原性の低下した機能的なヒト化抗体を得ることができるであろう(例えば、米国特許第5,225,539号; 同第5,585,089号; 同第5,693,761号; および同第5,693,762号を参照のこと)。
ある種の態様において、Wnt経路阻害剤はヒト抗体である。ヒト抗体は当技術分野において公知のさまざまな技法を用いて直接調製することができる。いくつかの態様において、標的抗原に対して作製された抗体を産生する、免疫個体から単離されたまたはインビトロで免疫された不死化ヒトBリンパ球を作出することができる(例えば、Cole et al., 1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77; Boemer et al., 1991, J. Immunol., 147:86-95; ならびに米国特許第5,750,373号; 同第5,567,610号; および同第5,229,275号を参照のこと)。いくつかの態様において、ヒト抗体を発現するファージライブラリから、ヒト抗体を選択することができる(Vaughan et al., 1996, Nature Biotechnology, 14:309-314; Sheets et al., 1998, PNAS, 95:6157-6162; Hoogenboom and Winter, 1991, J. Mol. Biol, 227:381; Marks et al., 1991, J. Mol. Biol., 222:581)。あるいは、ファージディスプレイ技術を用いて、非免疫ドナー由来の免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロでヒト抗体および抗体断片を産生してもよい。抗体ファージライブラリの作出および使用のための技法は、米国特許第5,969,108号; 同第6,172,197号; 同第5,885,793号; 同第6,521,404号; 同第6,544,731号; 同第6,555,313号; 同第6,582,915号; 同第6,593,081号; 同第6,300,064号; 同第6,653,068号; 同第6,706,484号; および同第7,264,963号; ならびにRothe et al., 2008, J. Mol. Bio., 376: 1182-1200に記述されている。鎖シャッフリング(Marks et al., 1992, Bio/Technology, 10:779-783)および部位特異的突然変異誘発法を含むが、これらに限定されない、親和性成熟戦略は、当技術分野において公知であり、高親和性ヒト抗体を作出するために利用されうる。
いくつかの態様において、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含む遺伝子導入マウスにおいて作出することができる。これらのマウスは、免疫によって、内因性免疫グロブリンを産生せずに、ヒト抗体の全レパートリーを産生することができる。このアプローチは、米国特許第5,545,807号; 同第5,545,806号; 同第5,569,825号; 同第5,625,126号; 同第5,633,425号; および同第5,661,016号に記述されている。
本発明は、少なくとも1種のヒトFZDタンパク質または少なくとも1種のWntタンパク質を特異的に認識する二重特異性抗体も包含する。二重特異性抗体は、少なくとも2種の異なるエピトープを特異的に認識かつ結合することができる。これら異なるエピトープは、同じ分子内(例えば、ヒトFZD5上の2種の異なるエピトープ)であってよく、または異なる分子上(例えば、FZD5上の1種のエピトープと、また別のタンパク質上の異なるエピトープ)であってよい。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、モノクローナルヒトまたはヒト化抗体である。いくつかの態様において、抗体は、第1の抗原標的を発現する細胞に細胞防御機構を集中させるために第1の抗原標的(例えば、FZDタンパク質)を特異的に認識かつ結合することができるだけでなく、白血球上のエフェクタ分子(例えば、CD2、CD3、CD28、CD80もしくはCD86)またはFc受容体(例えば、CD64、CD32もしくはCD16)のような、第2の抗原標的も特異的に認識かつ結合することができる。いくつかの態様において、抗体を用いて、特定の標的抗原を発現する細胞に細胞傷害剤を向けることができる。これらの抗体は抗原結合アーム、および細胞傷害剤または放射性核種キレート剤、例えばEOTUBE、DPTA、DOTAまたはTETAを結合するアームを保有する。
二重特異性抗体を作出するための技法は当業者によって知られており、例えば、Millstein et al., 1983, Nature, 305:537-539; Brennan et al., 1985, Science, 229:81; Suresh et al., 1986, Methods in Enzymol., 121: 120; Traunecker et al., 1991, EMBO J., 10:3655-3659; Shalaby et al., 1992, J. Exp. Med., 175:217-225; Kostelny et al., 1992, J. Immunol, 148: 1547-1553; Gruber et al., 1994, J. Immunol, 152:5368; 米国特許第5,731,168号; および米国特許出願公開第2011/0123532号を参照されたい。二重特異性抗体は、無傷の抗体または抗体断片であることができる。三価以上の結合価を有する抗体も企図される。例えば、三重特異性抗体を調製することができる(Tutt et al., 1991, J. Immunol., 147:60)。したがって、ある種の態様において、抗体は多重特異性である。
ある種の態様において、本明細書において記述される抗体(または他のポリペプチド)は単一特異性であってよい。例えば、ある種の態様において、抗体が含む1つまたは複数の抗原結合部位のそれぞれが、異なるタンパク質上の相同なエピトープを結合することができる(または結合する)。ある種の態様において、本明細書において記述される単一特異性抗体の抗原結合部位は、例えば、FZD5およびFZD7を結合することができる(または結合する) (すなわち、FZD5タンパク質およびFZD7タンパク質の両方に同じエピトープが見出される)。
ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、抗原結合部位を含む抗体断片である。抗体断片は無傷の抗体とは異なる機能または能力を有することができ; 例えば、抗体断片は増大した腫瘍浸透性を有することができる。無傷の抗体のタンパク質分解消化を含むが、これに限定されない、さまざまな技法が抗体断片の産生で公知である。いくつかの態様において、抗体断片は抗体分子のペプシン消化によって産生されるF(ab')2断片を含む。いくつかの態様において、抗体断片は、F(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することによって作出されたFab断片を含む。他の態様において、抗体断片はパパインおよび還元剤による抗体分子の処理によって作出されたFab断片を含む。ある種の態様において、抗体断片は組み換えにより産生される。いくつかの態様において、抗体断片はFvまたは一本鎖Fv (scFv)断片を含む。Fab、FvおよびscFv抗体断片は大腸菌または他の宿主細胞内で発現させ、大腸菌または他の宿主細胞から分泌させることができ、したがって、これらの断片の大量産生が可能である。いくつかの態様において、抗体断片は、本明細書において論じられるように抗体ファージライブラリから単離される。例えば、Fab発現ライブラリの構築(Huse et al., 1989, Science, 246: 1275-1281)のための方法を用いて、FZDもしくはWntタンパク質、またはその誘導体、断片、類似体もしくは相同体に対する所望の特異性を有するモノクローナルFab断片の迅速かつ有効な特定を可能にすることができる。いくつかの態様において、抗体断片は直鎖状の抗体断片である。ある種の態様において、抗体断片は単一特異性または二重特異性である。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤はscFvである。1種もしくは複数種のヒトFZDタンパク質または1種もしくは複数種のヒトWntタンパク質に特異的な一本鎖抗体の産生のためにさまざまな技法を用いることができる(例えば、米国特許第4,946,778号を参照のこと)。
さらに、とりわけ抗体断片の場合には、その血清中半減期を増加させるために抗体を改変することが望ましい場合がある。これは、例えば、抗体断片中の適切な領域の変異による、抗体断片中へのサルベージ受容体結合エピトープの組み込みにより、またはペプチドタグにエピトープを組み込み、これを次いで抗体断片のいずれかの端にもしくは真ん中に(例えば、DNAもしくはペプチド合成によって)融合することにより行うことができる。いくつかの態様において、抗体は、その血清中半減期を減少させるために改変される。
ヘテロ結合体抗体も本発明の範囲内である。ヘテロ結合体抗体は2種類の共有結合した抗体から構成される。例えば、免疫細胞を不必要な細胞に標的化するために、そのような抗体が提案されている(米国特許第4,676,980号)。ヘテロ結合体抗体は、架橋剤が関与する方法を含む、合成タンパク質化学における公知の方法を用いてインビトロで調製できることも企図される。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いてまたはチオエーテル結合を形成させることによって構築することができる。この目的に適した試薬の例としては、イミノチオレートおよびメチル-4-メルカプトブチリミデートが挙げられる。
本発明の目的のためには、改変抗体が、抗体と標的(すなわち、ヒトFZDタンパク質またはヒトWntタンパク質)との会合を提供する任意のタイプの可変領域を含みうることを理解されたい。この点で、可変領域は、液性反応の開始および所望の腫瘍関連抗原に対する免疫グロブリンの作出を誘導できる、任意のタイプの哺乳動物のものを含んでもまたはそれに由来してもよい。したがって、改変抗体の可変領域は、例えば、ヒト、マウス、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル、マカクなど)またはウサギ由来であってよい。いくつかの態様において、改変された免疫グロブリンの可変領域および定常領域の両方がヒトのものである。他の態様において、結合特性を改善するように、または分子の免疫原性を低減するように、適合性を有する抗体(通常、非ヒト供給源に由来する)の可変領域を遺伝子操作することができ、または特異的に調整することができる。この点に関して、移入アミノ酸配列を含めることにより、本発明において有用な可変領域をヒト化することができ、または他の方法で改変することができる。
ある種の態様において、重鎖および軽鎖の両方の可変ドメインを、1つまたは複数のCDRの少なくとも一部の置き換えによって、必要な場合には、部分的なフレームワーク領域の置き換えならびに配列の変更および/または改変によって改変する。CDRは、フレームワーク領域が得られた抗体と同じクラス、さらには同じサブクラスの抗体に由来しうるが、CDRは、好ましくは異なる種からの抗体に由来することが想定される。ある可変ドメインの抗原結合能を別の可変ドメインに移すためには、CDRの全てを、供与側の可変領域からのCDRの全てで置き換えることは必要でない場合がある。むしろ、抗原結合部位の活性を維持するのに必要な残基を移すことのみが必要な場合がある。
可変領域への変化にもかかわらず、当業者であれば、本発明の改変抗体は、天然のまたは変化していない定常領域を含むほぼ同じ免疫原性の抗体と比較して、望ましい生化学的特徴、例えば、腫瘍局在性の増大および/または血清中半減期の増大を提供するように定常領域ドメインの1つまたは複数の少なくとも一部が欠失されている、または他の方法で変えられている抗体(例えば、完全長抗体またはその免疫反応性断片)を含むことを理解するだろう。いくつかの態様において、改変抗体の定常領域はヒト定常領域を含む。本発明に適合する定常領域への改変は、1つまたは複数のドメイン内の1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失または置換を含む。本明細書において開示された改変抗体は、3つの重鎖定常ドメイン(CH1、CH2もしくはCH3)の1つまたは複数へのおよび/または軽鎖定常ドメイン(CL)への改変または修飾を含んでもよい。いくつかの態様において、1つまたは複数のドメインが改変抗体の定常領域から部分的または全体的に欠失される。いくつかの態様において、改変抗体は、CH2ドメイン全体が除去されているドメイン欠失構築体または変種(ΔCH2構築体)を含む。いくつかの態様において、除かれた定常領域ドメインは、典型的には、存在しない定常領域によって付与される、ある程度の分子可撓性をもたらす短いアミノ酸スペーサー(例えば、10アミノ酸残基)により置換される。
いくつかの態様において、改変抗体は、CH3ドメインを抗体のヒンジ領域へ直接融合するように遺伝子操作される。他の態様において、ヒンジ領域と改変されたCH2および/またはCH3ドメインの間にペプチドスペーサーが挿入される。例えば、CH2ドメインが欠失され、かつ残りのCH3ドメイン(改変または未改変)がヒンジ領域に5〜20個のアミノ酸スペーサーを用いて連結された、構築体を発現させることができる。このようなスペーサーを付加して、定常ドメインの調節エレメントを遊離状態でアクセス可能に保つこと、またはヒンジ領域の可撓性を保つことを確実にすることができる。しかしながら、アミノ酸スペーサーは、場合によっては、免疫原性を有することが判明しており、構築体に対する望ましくない免疫反応を誘発しうることに留意すべきである。したがって、ある種の態様において、構築体に付加されるどのスペーサーも、改変抗体の望ましい生化学的特質を維持するように、比較的、非免疫原性であろう。
いくつかの態様において、改変抗体は定常ドメインの部分的欠失または少数のもしくは単一のアミノ酸の置換だけを有することができる。例えば、CH2ドメインの選択域における単一のアミノ酸の変異は、Fc結合を大幅に低減し、それによって腫瘍局在性および/または腫瘍浸透性を増大させるのに十分でありうる。同様に、特定のエフェクタ機能(例えば、補体C1q結合)を制御する1つまたは複数の定常領域ドメインの部分を単純に欠失させることが望ましい場合がある。定常領域のこのような部分的欠失は、この定常領域ドメインに関連する他の望ましい機能をそのままにしておく一方で、抗体の選択的特徴(血清中半減期)を改善しうる。さらに、上にも示唆したように、開示された抗体の定常領域は、得られる構築体のプロファイルを向上させる、1つまたは複数のアミノ酸の変異または置換によって改変されてもよい。この点で、改変抗体の構成および免疫原性プロファイルを実質的に維持する一方で、保存された結合部位(例えば、Fc結合活性)によって提供される活性を妨害することが可能な場合がある。ある種の態様において、改変抗体は、エフェクタ機能の減少もしくは増加などの望ましい特徴を増強するように、またはさらに多くの細胞毒素もしくは糖鎖の付着部位をもたらすように、定常領域への1つまたは複数のアミノ酸の付加を含んでもよい。
定常領域がいくつかのエフェクタ機能を媒介することが当技術分野において公知である。例えば、補体のC1成分と(抗原に結合した) IgGまたはIgM抗体のFc領域が結合すると補体系が活性化される。補体活性化は、細胞病原体のオプソニン化および溶解において重要である。補体活性化はまた炎症反応を刺激し、自己免疫過敏にも関与する場合がある。さらに、抗体のFc領域は、Fc受容体(FcR)を発現している細胞を結合することができる。IgG (γ受容体)、IgE (ε受容体)、IgA (α受容体)およびIgM (μ受容体)を含む、異なるクラスの抗体に特異的ないくつかのFc受容体がある。抗体と、細胞表面上のFc受容体が結合すると、貪食および抗体コーティング粒子の破壊、免疫複合体のクリアランス、キラー細胞による抗体コーティング標的細胞の溶解、炎症メディエータの放出、胎盤通過および免疫グロブリン産生の制御を含む、いくつかの重要かつ多様な生物学的反応が誘発される。
ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、改変されたエフェクタ機能をもたらす抗体である。これらの改変されたエフェクタ機能は、投与された抗体の生物学的プロファイルに影響を与えうる。例えば、いくつかの態様において、定常領域ドメインの(点突然変異または他の手段を通じた)欠失または不活性化は、血中改変抗体(例えば、抗FZD抗体)のFc受容体結合を低減し、それによってがん細胞局在性および/または腫瘍浸透性を増大しうる。他の態様において、定常領域の修飾は抗体の血清中半減期を増大または低減する。いくつかの態様において、定常領域を修飾して、ジスルフィド結合またはオリゴサッカライド部分を除去する。本発明による定常領域に対する修飾は、十分に当業者の範囲内である周知の生物化学工学または分子工学の技法を用いて容易に作出されうる。
ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、1つまたは複数のエフェクタ機能を有しない抗体である。例えば、いくつかの態様において、抗体は、ADCC活性を有さず、および/またはCDC活性を有しない。ある種の態様において、抗体は、Fc受容体および/または補体因子を結合しない。ある種の態様において、抗体はエフェクタ機能を有しない。
本発明は、本明細書において記載される、キメラ抗体、ヒト化抗体およびヒト抗体、またはその抗体断片に実質的に相同な変種および等価体をさらに包含する。これらは、例えば、保存的置換変異、すなわち、類似のアミノ酸による1つまたは複数のアミノ酸の置換を含みうる。例えば、保存的置換は、例えば、もう1つの酸性アミノ酸との1つの酸性アミノ酸の置換、もう1つの塩基性アミノ酸との1つの塩基性アミノ酸の置換またはもう1つの中性アミノ酸による1つの中性アミノ酸の置換のような、同じ一般的クラス内の別のアミノ酸とのアミノ酸の置換をいう。保存的アミノ酸置換によって意図されているものは、当技術分野において周知であり、本明細書において記述されている。
したがって、本発明は、抗体を産生するための方法を提供する。いくつかの態様において、抗体を産生するための方法は、ハイブリドーマ技法を使用する段階を含む。いくつかの態様において、ヒトFZDタンパク質を結合する抗体を産生するための方法が提供される。いくつかの態様において、ヒトWntタンパク質を結合する抗体を産生するための方法が提供される。いくつかの態様において、抗体を作製する方法は、ヒトファージライブラリをスクリーニングする段階を含む。いくつかの態様において、抗体は、単一の抗原結合部位を含む膜結合ヘテロ二量体分子を用いて特定される。いくつかの非限定的な態様において、抗体は、全体が参照により本明細書に組み入れられる国際公開WO 2011/100566に記述されている方法およびポリペプチドを用いて特定される。
本発明は、少なくとも1種のFZDタンパク質を結合する抗体を特定する方法をさらに提供する。いくつかの態様において、抗体は、FZDタンパク質またはその部分との結合についてFACSによるスクリーニングにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、FZDタンパク質との結合についてELISAを用いたスクリーニングにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、ヒトWntタンパク質とのFZDタンパク質の結合の遮断についてFACSによるスクリーニングにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、Wnt経路シグナル伝達の阻害または遮断についてスクリーニングにより特定される。
本発明は、少なくとも1種のWntタンパク質を結合する抗体を特定する方法をさらに提供する。いくつかの態様において、抗体は、Wntタンパク質またはその部分との結合についてFACSによるスクリーニングにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、Wntタンパク質との結合についてELISAを用いたスクリーニングにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、ヒトFZDタンパク質とのWntタンパク質の結合の遮断についてFACSによるスクリーニングにより特定される。いくつかの態様において、抗体は、Wnt経路シグナル伝達の阻害または遮断についてスクリーニングにより特定される。
いくつかの態様において、少なくとも1種のFZDタンパク質に対する抗体を作製する方法は、ヒトFZDタンパク質を結合する抗体について抗体発現ライブラリをスクリーニングする段階を含む。いくつかの態様において、抗体発現ライブラリはファージライブラリである。いくつかの態様において、抗体発現ライブラリは哺乳動物細胞ライブラリである。いくつかの態様において、スクリーニングはパンニングを含む。いくつかの態様において、第1のスクリーニングにおいて特定された抗体を、異なるFZDタンパク質を用いて再びスクリーニングし、それによって第1のFZDタンパク質および第2のFZDタンパク質を結合する抗体を特定する。いくつかの態様において、スクリーニングにおいて特定された抗体は、第1のFZDタンパク質および少なくとも1種の他のFZDタンパク質を結合する。ある種の態様において、少なくとも1種の他のFZDタンパク質は、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、およびFZD10からなる群より選択される。ある種の態様において、スクリーニングにおいて特定された抗体は、FZD1、FZD2、FZD5、FZD7、およびFZD8を結合する。いくつかの態様において、スクリーニングにおいて特定された抗体は、FZDアンタゴニストである。いくつかの態様において、本明細書において記述される方法により特定された抗体は、Wnt経路を阻害する。いくつかの態様において、スクリーニングにおいて特定された抗体は、β-カテニンシグナル伝達を阻害する。
いくつかの態様において、少なくとも1種のヒトWntタンパク質に対する抗体を作製する方法は、ヒトWntタンパク質を結合する抗体について抗体発現ライブラリをスクリーニングする段階を含む。いくつかの態様において、抗体発現ライブラリはファージライブラリである。いくつかの態様において、抗体発現ライブラリは哺乳動物細胞ライブラリである。いくつかの態様において、スクリーニングはパンニングを含む。いくつかの態様において、第1のスクリーニングにおいて特定された抗体を、異なるWntタンパク質を用いて再びスクリーニングし、それによって第1のWntタンパク質および第2のWntタンパク質を結合する抗体を特定する。いくつかの態様において、スクリーニングにおいて特定された抗体は、第1のWntタンパク質および少なくとも1種の他のWntタンパク質を結合する。ある種の態様において、少なくとも1種の他のFZDタンパク質は、Wnt1、Wnt2、Wnt2b、Wnt3、Wnt3a、Wnt7a、Wnt7b、Wnt8a、Wnt8b、Wnt10a、およびWnt10bからなる群より選択される。いくつかの態様において、スクリーニングにおいて特定された抗体は、Wntアンタゴニストである。いくつかの態様において、本明細書において記述される方法により特定された抗体は、Wnt経路を阻害する。いくつかの態様において、スクリーニングにおいて特定された抗体は、β-カテニンシグナル伝達を阻害する。
ある種の態様において、本明細書において記述される抗体は単離される。ある種の態様において、本明細書において記述される抗体は、実質的に純粋である。
本発明のいくつかの態様において、Wnt経路阻害剤はポリペプチドである。ポリペプチドは、少なくとも1種のヒトFZDタンパク質または少なくとも1種のWntタンパク質を結合する、抗体またはその断片を含む組み換えポリペプチド、天然ポリペプチドまたは合成ポリペプチドでありうる。本発明のあるアミノ酸配列は、タンパク質の構造または機能にほとんど影響を与えることなく変化されうることが当技術分野において認識されるであろう。したがって、本発明はヒトFZDタンパク質またはWntタンパク質に対する、実質的な活性を示すまたは抗体もしくはその断片の領域を含む、ポリペプチドの変異形をさらに含む。いくつかの態様において、FZD結合ポリペプチドまたはWnt結合ポリペプチドのアミノ酸配列の変異形は欠失、挿入、逆位、繰り返し、および/または他のタイプの置換を含む。
ポリペプチド、その類似体および変種は、通常、タンパク質の部分にはない、さらなる化学的部分を含有するようにさらに改変することができる。誘導体化部分は、ポリペプチドの溶解度、生物学的半減期および/または吸収を改善することができる。この部分はまた、ポリペプチドおよび変種の任意の望ましくない副作用を低減または除外することもできる。そのような化学的部分の概説は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, 2005, University of the Sciences, Philadelphia, PAにおいて見出すことができる。
本明細書において記述される単離ポリペプチドは、当技術分野において公知の任意の適当な方法によって産生することができる。そのような方法は、直接的なタンパク質合成法から、ポリペプチド配列をコードするDNA配列の構築と、適当な宿主におけるこれらの配列の発現に及ぶ。いくつかの態様において、DNA配列は、組み換え技術を用いて、関心対象の野生型タンパク質をコードするDNA配列を単離または合成することによって構築される。任意で、この配列は、その機能的類似体を得るために、部位特異的変異誘発によって変異誘発されてもよい。例えば、Zoeller et al., 1984, PNAS, 81:5662-5066および米国特許第4,588,585号を参照されたい。
いくつかの態様において、関心対象のポリペプチドをコードするDNA配列は、オリゴヌクレオチド合成機を用いた化学合成によって構築されうる。オリゴヌクレオチドは、望ましいポリペプチドのアミノ酸配列と、関心対象の組み換えポリペプチドが産生される宿主細胞に好ましいコドンを選択することに基づいて設計することができる。標準的な方法を適用して、関心対象の単離ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を合成することができる。例えば、完全なアミノ酸配列を用いて、逆翻訳(back-translate)した遺伝子を構築することができる。さらに、特定の単離ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含有するDNAオリゴマーを合成することができる。例えば、望ましいポリペプチドの一部をコードする、いくつかの小さなオリゴヌクレオチドを合成し、次いで、核酸連結することができる。個々のオリゴヌクレオチドは、典型的には、相補的なアセンブリのための5'または3'突出部を含有する。
アセンブル(合成、部位特異的変異誘発または別の方法によって)されたら、関心対象の特定のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を発現ベクターに挿入し、望ましい宿主におけるタンパク質の発現に適した発現制御配列に機能的に連結することができる。適切なアセンブリは、ヌクレオチド配列決定、制限酵素マッピング、および適当な宿主での生物学的に活性なポリペプチドの発現によって確認することができる。当技術分野において周知のように、宿主における形質移入された遺伝子の高い発現レベルを得るために、遺伝子は、選択された発現宿主において機能する転写発現制御配列および翻訳発現制御配列に機能的に連結されなければならない。
ある種の態様において、ヒトFZDタンパク質またはWntタンパク質に対する、結合剤(例えば、抗体もしくは可溶性受容体)またはその断片をコードするDNAを増幅および発現するために、組み換え発現ベクターが用いられる。例えば、組み換え発現ベクターは、哺乳動物遺伝子、微生物遺伝子、ウイルス遺伝子または昆虫遺伝子に由来する適当な転写調節エレメントおよび/または翻訳調節エレメントに機能的に連結された、FZD結合剤、Wnt結合剤、抗FZD抗体もしくはその断片、抗Wnt抗体もしくはその断片、またはFZD-Fc可溶性受容体のポリペプチド鎖をコードする合成DNA断片またはcDNAに由来するDNA断片を有する複製可能なDNA構築体であることができる。転写単位は、一般的に、(1) 遺伝子発現において調節的な役割を果たす遺伝的エレメント、例えば、転写プロモーターまたはエンハンサー、(2) mRNAに転写され、タンパク質に翻訳される構造配列またはコード配列、ならびに(3) 適切な転写および翻訳の開始配列および終結配列のアセンブリを含む。調節エレメントは、転写を制御するためのオペレーター配列を含むことがある。通常、複製起点によって付与される、宿主において複製する能力、および形質転換体の認識を容易にする選択遺伝子をさらに組み込むことができる。DNA領域は、それらが互いに機能的に関連している場合に、「機能的に連結され」ている。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNAは、ポリペプチド分泌に関与する前駆体としてポリペプチドが発現されるのであれば、ポリペプチドDNAに機能的に連結されており; プロモーターは、コード配列の転写を制御すれば、コード配列に機能的に連結されており; またはリボソーム結合部位は、コード配列が翻訳されるように配置されていれば、コード配列に機能的に連結されている。いくつかの態様において、酵母発現系における使用を目的とした構造エレメントには、宿主細胞により翻訳されるタンパク質の細胞外分泌を可能にするリーダー配列が含まれる。他の態様において、組み換えタンパク質がリーダー配列も輸送配列もなく発現される場合、N末端メチオニン残基を含むことがある。この残基は任意で、最終産物を得るために、発現された組み換えタンパク質から後に切断されてもよい。
発現制御配列および発現ベクターの選択は宿主の選択に依る。多種多様の発現宿主/ベクターの組み合わせを利用することができる。真核生物宿主に有用な発現ベクターには、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルスおよびサイトメガロウイルスに由来する発現制御配列を含んだベクターが含まれる。細菌宿主に有用な発現ベクターには、公知の細菌プラスミド、例えば、pCR1、pBR322、pMB9およびその誘導体を含む大腸菌に由来するプラスミド、さらに広い宿主域のプラスミド、例えば、M13、ならびに他の繊維状一本鎖DNAファージが含まれる。
FZD結合剤もしくはWnt結合剤(または抗原として使用するタンパク質)の発現に適した宿主細胞には、適切なプロモーターの制御下にある、原核生物、酵母細胞、昆虫細胞または高等真核細胞が含まれる。原核生物には、グラム陰性生物またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌または杆菌(Bacillus)が含まれる。高等真核細胞には、下記に記述の哺乳動物に由来する樹立細胞株が含まれる。無細胞翻訳系も利用されうる。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物の細胞宿主で用いるのに適したクローニングおよび発現ベクターは、Pouwelsら(1985, Cloning Vectors: A Laboratory Manual, Elsevier, New York, NY)によって記述されている。抗体産生を含む、タンパク質産生の方法に関するさらなる情報は、例えば、米国特許出願公開第2008/0187954号、米国特許第6,413,746号および同第6,660,501号ならびに国際特許公開番号WO 04/009823において見出すことができる。
組み換えポリペプチドを発現させるために、さまざまな哺乳動物培養系または昆虫細胞培養系が用いられる。哺乳動物細胞における組み換えタンパク質の発現は、このようなタンパク質がおおむね正しく折り畳まれ、適切に修飾され、かつ生物学的に機能するので好ましくありうる。適当な哺乳動物宿主細胞株の例としては、COS-7 (サル腎臓由来)細胞株、L-929 (マウス線維芽細胞由来)細胞株、C127 (マウス乳腺腫瘍由来)細胞株、3T3 (マウス線維芽細胞由来)細胞株、CHO (チャイニーズハムスター卵巣由来)細胞株、HeLa (ヒト子宮頸がん由来)細胞株、BHK (ハムスター腎臓線維芽細胞由来)細胞株、HEK-293 (ヒト胎児腎臓由来)細胞株およびそれらの変種が挙げられる。哺乳動物発現ベクターは、非転写エレメント、例えば、複製起点、発現させようとする遺伝子に連結される適当なプロモーターおよびエンハンサー、ならびに他の5'または3'隣接非転写配列、ならびに5'または3'非翻訳配列、例えば、必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびスプライスアクセプター部位、ならびに転写終結配列を含んでもよい。バキュロウイルスにおける組み換えタンパク質の発現も、正しく折り畳まれ、生物学的に機能的なタンパク質を産生するための確固たる方法を供与する。昆虫細胞において異種タンパク質を産生するためのバキュロウイルス系は、当業者には周知である(例えば、Luckow and Summers, 1988, Bio/Technology, 6:47を参照のこと)。
したがって、本発明は、本明細書において記述されるFZD結合剤またはWnt結合剤を含んだ細胞を提供する。いくつかの態様において、細胞は、本明細書において記述される結合剤(例えば、抗体または可溶性受容体)を産生する。ある種の態様において、細胞は抗体を産生する。ある種の態様において、細胞は抗体18R5を産生する。いくつかの態様において、細胞は可溶性受容体を産生する。いくつかの態様において、細胞はFZD-Fc可溶性受容体を産生する。いくつかの態様において、細胞はFZD8-Fc可溶性受容体を産生する。いくつかの態様において、細胞はFZD8-Fc可溶性受容体54F28を産生する。
形質転換宿主により産生されたタンパク質は、任意の適当な方法にしたがって精製することができる。標準的な方法には、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換カラムクロマトグラフィー、アフィニティーカラムクロマトグラフィー、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、またはタンパク質精製のための他の任意の標準的な技法が含まれる。適切なアフィニティーカラム上での通過による容易な精製を可能にするために、アフィニティータグ、例えば、ヘキサヒスチジン、マルトース結合ドメイン、インフルエンザコート配列およびグルタチオン-S-トランスフェラーゼをタンパク質に付着させることができる。単離されたタンパク質は、タンパク質分解、質量分析(MS)、核磁気共鳴(NMR)、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、およびX線結晶学のような技法を用いて物理的に特徴付けることもできる。
いくつかの態様において、最初に、市販のタンパク質濃縮フィルタ、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを用いて、組み換えタンパク質を培地に分泌する発現系からの上清を濃縮することができる。濃縮段階後に、濃縮物を適当な精製マトリックスに適用することができる。いくつかの態様において、陰イオン交換樹脂、例えば、ペンダントジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリックスまたは基材を利用することができる。マトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロースまたはタンパク質精製において一般に利用される他のタイプでもよい。いくつかの態様において、陽イオン交換段階を利用することができる。適当な陽イオン交換体には、スルホプロピル基またはカルボキシメチル基を含むさまざまな不溶性のマトリックスが含まれる。いくつかの態様において、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)を含むがこれに限定されない、ハイドロキシアパタイト媒体を利用することができる。ある種の態様において、結合剤をさらに精製するために、疎水性RP-HPLC媒体、例えば、ペンダントメチル基または他の脂肪族基を有するシリカゲルを利用した、1つまたは複数の逆相HPLC段階を利用することができる。均一な組み換えタンパク質を得るために、前記の精製段階の一部または全部を、さまざまな組み合わせで、利用することもできる。
いくつかの態様において、細菌培養において産生された組み換えタンパク質は、例えば、最初に、細胞ペレットから抽出し、その後に、1回または複数回の濃縮、塩析、水性イオン交換クロマトグラフィーまたはサイズ排除クロマトグラフィー段階を行うことによって単離することができる。最後の精製段階にはHPLCを利用することができる。組み換えタンパク質の発現において利用される微生物細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊または細胞溶解剤の使用を含む任意の従来法によって破壊することができる。
抗体および他のタンパク質の精製のための当技術分野における公知の方法にはまた、例えば、米国特許出願公開第2008/0312425号、同第2008/0177048号、および同第2009/0187005号に記述の方法が含まれる。
ある種の態様において、結合剤は、抗体ではないポリペプチドである。高親和性で、タンパク質標的に結合する非抗体ポリペプチドを特定および産生するためのさまざまな方法が当技術分野において公知である。例えば、Skerra, 2007, Curr. Opin. Biotechnol., 18:295-304; Hosse et al., 2006, Protein Science, 15: 14-27; Gill et al., 2006, Curr. Opin. Biotechnol, 17:653-658; Nygren, 2008, FEBS J., 275:2668-76; およびSkerra, 2008, FEBS J., 275:2677-83を参照されたい。ある種の態様において、ファージディスプレイ技術を用いて、FZD結合ポリペプチドまたはWnt結合ポリペプチドを産生および/または特定することができる。ある種の態様において、ポリペプチドは、プロテインA、プロテインG、リポカリン、フィブロネクチンドメイン、アンキリンコンセンサス反復ドメインおよびチオレドキシンからなる群より選択されるタイプのタンパク質足場を含む。
ある種の態様において、結合剤は、いくつかの結合型(例えば、免疫結合体もしくは放射性結合体)または非結合型のいずれか1つで用いることができる。ある種の態様において、抗体は、悪性細胞またはがん細胞を排除するために、補体依存性細胞傷害および抗体依存性細胞毒性を含む対象の天然の防御機構を生かすために非結合型で用いることができる。
いくつかの態様において、結合剤は細胞傷害剤に結合される。いくつかの態様において、細胞傷害剤は、メトトレキセート、アドリアマイシン、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他の挿入剤を含むが、これらに限定されない、化学療法剤である。いくつかの態様において、細胞傷害剤は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、エキソトキシンA鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンシンタンパク質、アメリカヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、ニガウリ(Momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(Sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、リストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン(enomycin)、ならびにトリコテセンを含むが、これらに限定されない、細菌、真菌、植物もしくは動物に由来する酵素活性を有する毒素、またはその断片である。いくつかの態様において、細胞傷害剤は、放射線結合体または放射線結合抗体を産生するための放射性同位体である。放射性結合抗体の産生のために、90Y、125I、131I、123I、111In、131In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ho、177Lu、186Re、188Reおよび212Biを含むが、これらに限定されない、さまざまな放射性核種を利用することができる。いくつかの態様において、抗体と1つまたは複数の低分子毒素、例えばカリケアマイシン、メイタンシノイド、トリコテンおよびCC1065、ならびにこれらの毒素の毒素活性を有する誘導体との結合体を産生することができる。ある種の態様において、抗体と細胞傷害剤の結合体は、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジジチオール(pyridyidithiol))プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能基誘導体(例えば、ジメチルアジプイミダートHCL)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベラート)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアネート)、およびビス活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)のような種々の二官能基性タンパク質カップリング剤を用いて作出される。
ある種の態様において、Wnt経路阻害剤(例えば、抗体または可溶性受容体)は、少なくとも1種のWntタンパク質(すなわち、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、または10種のWntタンパク質)のアンタゴニストである。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、それが結合するWntタンパク質の活性を阻害する。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、それが結合するヒトWntタンパク質の活性の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または約100%を阻害する。
ある種の態様において、Wnt経路阻害剤(例えば、抗体または可溶性受容体)は、少なくとも1種のヒトWntと適切な受容体との結合を阻害する。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも1種のヒトWntタンパク質と1種または複数種のヒトFZDタンパク質との結合を阻害する。いくつかの態様において、少なくとも1種のWntタンパク質は、Wnt1、Wnt2、Wnt2b/13、Wnt3、Wnt3a、Wnt4、Wnt5a、Wnt5b、Wnt6、Wnt7a、Wnt7b、Wnt8a、Wnt8b、Wnt9a、Wnt9b、Wnt10a、Wnt10b、Wnt11、およびWnt16からなる群より選択される。いくつかの態様において、1種または複数種のヒトFZDタンパク質は、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、およびFZD10からなる群より選択される。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、1種または複数種のWntタンパク質とFZD1、FZD2、FZD4、FZD5、FZD7、および/またはFZD8との結合を阻害する。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、1種または複数種のWntタンパク質とFZD8との結合を阻害する。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤による特定のWntとFZDタンパク質との結合の阻害は、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%である。ある種の態様において、WntとFZDタンパク質との結合を阻害する薬剤は、Wnt経路シグナル伝達も阻害する。ある種の態様において、ヒトWnt経路シグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、抗体である。ある種の態様において、ヒトWnt経路シグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD-Fc可溶性受容体である。ある種の態様において、ヒトWnt経路シグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD8-Fc可溶性受容体である。ある種の態様において、ヒトWnt経路シグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、可溶性受容体54F28である。
ある種の態様において、本明細書において記述されるWnt経路阻害剤(例えば、抗体または可溶性受容体)は、少なくとも1種のヒトWntタンパク質のアンタゴニストであり、Wnt活性を阻害する。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または約100%だけWnt活性を阻害する。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、1種、2種、3種、4種、5種またはそれ以上のWntタンパク質の活性を阻害する。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、Wnt1、Wnt2、Wnt2b、Wnt3、Wnt3a、Wnt4、Wnt5a、Wnt5b、Wnt6、Wnt7a、Wnt7b、Wnt8a、Wnt8b、Wnt9a、Wnt9b、Wnt10a、Wnt10b、Wnt11、およびWnt16からなる群より選択される少なくとも1種のヒトWntタンパク質の活性を阻害する。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、Wnt1、Wnt2、Wnt2b、Wnt3、Wnt3a、Wnt7a、Wnt7b、Wnt8a、Wnt8b、Wnt10a、およびWnt10bからなる群より選択される少なくとも1種のヒトWntタンパク質を結合する。ある種の態様において、少なくとも1種のWntタンパク質は、Wnt1、Wnt2、Wnt2b、Wnt3、Wnt3a、Wnt8a、Wnt8b、Wnt10a、およびWnt10bからなる群より選択される。ある種の態様において、ヒトWnt活性を阻害するWnt経路阻害剤は、抗体である。ある種の態様において、ヒトWnt活性を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD-Fc可溶性受容体である。ある種の態様において、ヒトWnt活性を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD8-Fc可溶性受容体である。ある種の態様において、ヒトWnt活性を阻害するWnt経路阻害剤は、可溶性受容体54F28である。
ある種の態様において、本明細書において記述されるWnt経路阻害剤は、少なくとも1種のヒトFZDタンパク質のアンタゴニストであり、FZD活性を阻害する。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または約100%だけFZD活性を阻害する。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、1種、2種、3種、4種、5種またはそれ以上のFZDタンパク質の活性を阻害する。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、およびFZD10からなる群より選択される少なくとも1種のヒトFZDタンパク質の活性を阻害する。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、FZD1、FZD2、FZD4、FZD5、FZD7、および/またはFZD8の活性を阻害する。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、FZD8の活性を阻害する。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、抗FZD抗体である。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、抗FZD抗体18R5である。
ある種の態様において、本明細書において記述されるWnt経路阻害剤は、少なくとも1種のヒトWntタンパク質のアンタゴニストであり、Wntシグナル伝達を阻害する。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または約100%だけWntシグナル伝達を阻害する。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、1種、2種、3種、4種、5種またはそれ以上のWntタンパク質によるシグナル伝達を阻害する。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、Wnt1、Wnt2、Wnt2b、Wnt3、Wnt3a、Wnt7a、Wnt7b、Wnt8a、Wnt8b、Wnt10a、およびWnt10bからなる群より選択される少なくとも1種のWntタンパク質のシグナル伝達を阻害する。ある種の態様において、Wntシグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、抗体である。ある種の態様において、Wntシグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、可溶性受容体である。ある種の態様において、Wntシグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD-Fc可溶性受容体である。ある種の態様において、Wntシグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD8-Fc可溶性受容体である。ある種の態様において、Wntシグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、可溶性受容体54F28である。
ある種の態様において、本明細書において記述されるWnt経路阻害剤は、β-カテニンシグナル伝達のアンタゴニストである。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または約100%だけβ-カテニンシグナル伝達を阻害する。ある種の態様において、β-カテニンシグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、抗体である。ある種の態様において、β-カテニンシグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、抗FZD抗体である。ある種の態様において、β-カテニンシグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、抗体18R5である。ある種の態様において、β-カテニンシグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、可溶性受容体である。ある種の態様において、β-カテニンシグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD-Fc可溶性受容体である。ある種の態様において、β-カテニンシグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD8-Fc可溶性受容体である。
ある種の態様において、本明細書において記述されるWnt経路阻害剤は、少なくとも1種のWntタンパク質と受容体との結合を阻害する。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも1種のヒトWntタンパク質と1種または複数種のその受容体との結合を阻害する。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも1種のWntタンパク質と少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を阻害する。いくつかの態様において、Wnt結合剤は、少なくとも1種のWntタンパク質とFZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FDZ5、FDZ6、FDZ7、FDZ8、FDZ9、および/またはFZD10との結合を阻害する。ある種の態様において、少なくとも1種のWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合の阻害は、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%である。ある種の態様において、少なくとも1種のWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を阻害するWnt経路阻害剤は、Wnt経路シグナル伝達および/またはβ-カテニンシグナル伝達をさらに阻害する。ある種の態様において、少なくとも1種のヒトWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を阻害するWnt経路阻害剤は、抗体である。ある種の態様において、少なくとも1種のヒトWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を阻害するWnt経路阻害剤は、抗FZD抗体である。ある種の態様において、少なくとも1種のヒトWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を阻害するWnt経路阻害剤は、抗体18R5である。ある種の態様において、少なくとも1種のヒトWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を阻害するWnt経路阻害剤は、可溶性受容体である。ある種の態様において、少なくとも1種のヒトWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD-Fc可溶性受容体である。ある種の態様において、少なくとも1種のヒトWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD8-Fc可溶性受容体である。ある種の態様において、少なくとも1種のヒトWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD8-Fc可溶性受容体54F28である。
ある種の態様において、本明細書において記述されるWnt経路阻害剤は、少なくとも1種のWntと受容体との結合を遮断する。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも1種のヒトWntタンパク質と1種または複数種のその受容体との結合を遮断する。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも1種のWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を遮断する。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも1種のWntタンパク質とFZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FDZ5、FDZ6、FDZ7、FDZ8、FDZ9、および/またはFZD10との結合を遮断する。ある種の態様において、少なくとも1種のWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合の遮断は、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%である。ある種の態様において、少なくとも1種のWntタンパク質と少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を遮断するWnt経路阻害剤は、Wnt経路シグナル伝達および/またはβ-カテニンシグナル伝達をさらに阻害する。ある種の態様において、少なくとも1種のヒトWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を遮断するWnt経路阻害剤は、抗体である。ある種の態様において、少なくとも1種のヒトWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を遮断するWnt経路阻害剤は、抗FZD抗体である。ある種の態様において、少なくとも1種のヒトWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を遮断するWnt経路阻害剤は、抗体18R5である。ある種の態様において、少なくとも1種のヒトWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を遮断するWnt経路阻害剤は、可溶性受容体である。ある種の態様において、少なくとも1種のヒトWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を遮断するWnt経路阻害剤は、FZD-Fc可溶性受容体である。ある種の態様において、少なくとも1種のヒトWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を遮断するWnt経路阻害剤は、FZD8-Fc可溶性受容体である。ある種の態様において、少なくとも1種のヒトWntと少なくとも1種のFZDタンパク質との結合を遮断するWnt経路阻害剤は、可溶性受容体54F28である。
ある種の態様において、本明細書において記述されるWnt経路阻害剤は、Wnt経路シグナル伝達を阻害する。Wnt経路シグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、ある種の態様において、Wntシグナル伝達経路における1種または複数種の受容体によるシグナル伝達を阻害しうるが、しかし全ての受容体によるシグナル伝達を必ずしも阻害する必要はないことが理解されよう。ある種の代替的な態様において、全てのヒト受容体によるWnt経路シグナル伝達が阻害されうる。ある種の態様において、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FDZ5、FDZ6、FDZ7、FDZ8、FDZ9、およびFZD10からなる群より選択される1種または複数種の受容体によるWnt経路シグナル伝達が阻害される。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤によるWnt経路シグナル伝達の阻害は、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のWnt経路シグナル伝達のレベルの低減である。いくつかの態様において、Wnt経路シグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、抗体である。いくつかの態様において、Wnt経路シグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、抗FZD抗体である。いくつかの態様において、Wnt経路シグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、抗体18R5である。いくつかの態様において、Wnt経路シグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路シグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路シグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD8-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路シグナル伝達を阻害するWnt経路阻害剤は、可溶性受容体54F28である。
ある種の態様において、本明細書において記述されるWnt経路阻害剤は、β-カテニンの活性化を阻害する。β-カテニンの活性化を阻害するWnt経路阻害剤は、ある種の態様において、1種または複数種の受容体によるβ-カテニンの活性化を阻害しうるが、しかし全ての受容体によるβ-カテニンの活性化を必ずしも阻害する必要はないことが理解されよう。ある種の代替的な態様において、全てのヒト受容体によるβ-カテニンの活性化が阻害されうる。ある種の態様において、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FDZ5、FDZ6、FDZ7、FDZ8、FDZ9、およびFZD10からなる群より選択される1種または複数種の受容体によるβ-カテニンの活性化が阻害される。ある種の態様において、Wnt結合剤によるβ-カテニンの活性化の阻害は、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のβ-カテニンの活性化のレベルの低減である。いくつかの態様において、β-カテニンの活性化を阻害するWnt経路阻害剤は、抗体である。いくつかの態様において、β-カテニンの活性化を阻害するWnt経路阻害剤は、抗FZD抗体である。いくつかの態様において、β-カテニンの活性化を阻害するWnt経路阻害剤は、抗体18R5である。いくつかの態様において、β-カテニンの活性化を阻害するWnt経路阻害剤は、可溶性受容体である。いくつかの態様において、β-カテニンの活性化を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、β-カテニンの活性化を阻害するWnt経路阻害剤は、FZD8-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、β-カテニンの活性化を阻害するWnt経路阻害剤は、可溶性受容体54F28である。
Wnt経路阻害剤がβ-カテニンシグナル伝達を阻害するかどうかを判定するためのインビボおよびインビトロでのアッセイ法は、当技術分野において公知である。例えば、ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流に複数コピーのTCF結合ドメインを含有するTCF/Lucレポーターベクターを利用した、細胞に基づくルシフェラーゼレポーターアッセイ法を用いて、インビトロでβ-カテニンシグナル伝達レベルを測定することができる(Gazit et al., 1999, Oncogene, 18; 5959-66; TOPflash, Millipore, Billerica MA)。結合剤の存在下において1種または複数種のWntタンパク質(例えば、形質移入細胞により発現されたWntまたはWnt条件培地により提供されたWnt)の存在下でのβ-カテニンシグナル伝達のレベルを、結合剤の非存在下でのシグナル伝達のレベルと比較する。TCF/Lucレポーターアッセイ法に加えて、β-カテニンシグナル伝達に及ぼす結合剤(または候補薬剤)の効果は、c-myc (He et al, 1998, Science, 281: 1509-12)、サイクリンD1 (Tetsu et al., 1999, Nature, 398:422-6)、および/またはフィブロネクチン(Gradl et al. 1999, Mol. Cell Biol., 19:5576-87)のような、β-カテニン調節遺伝子の発現のレベルに及ぼす薬剤の効果を測定することによりインビトロでまたはインビボで測定されうる。ある種の態様において、β-カテニンシグナル伝達に及ぼす結合剤の効果はまた、Dishevelled-1、Dishevelled-2、Dishevelled-3、LRP5、LRP6、および/またはβ-カテニンのリン酸化状態に及ぼす薬剤の効果を測定することにより評価されうる。
ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、腫瘍細胞の増殖を阻害する、腫瘍成長を阻害する、腫瘍内のがん幹細胞の頻度を低減する、腫瘍の腫瘍形成性を低減する、腫瘍内のがん幹細胞の頻度を低減することによって腫瘍の腫瘍形成性を低減する、腫瘍細胞の細胞死を誘発する、腫瘍内の細胞を分化誘導する、腫瘍形成性細胞を非腫瘍形成性状態に分化させる、腫瘍細胞における分化マーカーの発現を誘導する、腫瘍細胞の転移を抑止する、または腫瘍細胞の生存を低下させるという効果の1つまたは複数を有する。
ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、腫瘍成長を阻害することができる。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、インビボで(例えば、異種移植片マウスモデルで、および/またはがんを有するヒトで)腫瘍成長を阻害することができる。いくつかの態様において、腫瘍は、結腸直腸腫瘍、結腸腫瘍、膵臓腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、肝臓腫瘍、***腫瘍、腎臓腫瘍、前立腺腫瘍、胃腸腫瘍、メラノーマ、子宮頚腫瘍、膀胱腫瘍、グリア芽細胞腫および頭頸部腫瘍からなる群より選択される腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍はメラノーマである。ある種の態様において、腫瘍は結腸直腸腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は膵臓腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は***腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍はWnt依存性腫瘍である。いくつかの態様において、腫瘍はMAPK経路の成分における変異を有する。いくつかの態様において、腫瘍は変異Ras遺伝子および/またはタンパク質を有する。いくつかの態様において、腫瘍は変異K-RasまたはN-Ras遺伝子および/またはタンパク質を有する。いくつかの態様において、腫瘍は変異B-Raf遺伝子および/またはタンパク質を有する。
ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、腫瘍の腫瘍形成性を低減することができる。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、マウス異種移植モデルのような、動物モデルにおいてがん幹細胞を含む腫瘍の腫瘍形成性を低減することができる。ある種の態様において、腫瘍内のがん幹細胞の数または頻度は、少なくとも約2倍、約3倍、約5倍、約10倍、約50倍、約100倍、または約1000倍だけ低減される。ある種の態様において、がん幹細胞の数または頻度の低減は、動物モデルを用いた限界希釈アッセイ法によって判定される。腫瘍内のがん幹細胞の数または頻度の低減を判定するために限界希釈アッセイ法を用いることに関するさらなる例および手引きは、例えば、国際公開番号WO 2008/042236、ならびに米国特許出願公開第2008/0064049号、および同第2008/0178305号において見出すことができる。
ある種の態様において、本明細書において記述されるWnt経路阻害剤は、少なくとも1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約5時間、少なくとも約10時間、少なくとも約24時間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約1週間または少なくとも約2週間、インビボで活性である。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約5時間、少なくとも約10時間、少なくとも約24時間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約1週間または少なくとも約2週間、インビボで活性であるIgG (例えば、IgG1またはIgG2)抗体である。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約5時間、少なくとも約10時間、少なくとも約24時間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約1週間または少なくとも約2週間、インビボで活性である融合タンパク質である。
ある種の態様において、本明細書において記述されるWnt経路阻害剤は、少なくとも約5時間、少なくとも約10時間、少なくとも約24時間、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約1週間または少なくとも約2週間の、マウス、カニクイザルまたはヒトでの循環血中半減期を有する。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも約5時間、少なくとも約10時間、少なくとも約24時間、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約1週間または少なくとも約2週間の、マウス、カニクイザルまたはヒトでの循環血中半減期を有するIgG (例えば、IgG1またはIgG2)抗体である。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、少なくとも約5時間、少なくとも約10時間、少なくとも約24時間、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約1週間または少なくとも約2週間の、マウス、カニクイザルまたはヒトでの循環血中半減期を有する融合タンパク質である。ポリペプチドおよび抗体のような薬剤の半減期を増加させる(または減少させる)方法は、当技術分野において公知である。例えば、IgG抗体の循環血中半減期を増加させる公知の方法には、pH 6.0で抗体と新生児型Fc受容体(FcRn)とのpH依存的な結合を増加させるFc領域における変異の導入が含まれる(例えば、米国特許出願公開第2005/0276799号、同第2007/0148164号および同第2007/0122403号を参照のこと)。Fc領域を欠く抗体断片の循環血中半減期を増加させる公知の方法には、PEG化のような技法が含まれる。
III. MAPK経路阻害剤
本発明は、腫瘍成長を阻害するためにおよび/またはがんの処置のためにMAPK経路阻害剤との併用療法で用いるためのWnt経路阻害剤を提供する。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤は低分子である。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤は、MEK阻害剤、Ras阻害剤、Raf阻害剤、およびERK阻害剤からなる群より選択される。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤はMEK阻害剤である。いくつかの態様において、MEK阻害剤は、BAY 86-9766 (RDEA119)、PD0325901、CI-1040 (PD184352)、PD98059、PD318088、GSK1120212 (JTP-74057)、AZD8330 (ARRY-424704)、AZD6244 (ARRY-142886)、ARRY-162、ARRY-300、AS703026、U0126、GDC-0973、GDC-0623、CH4987655、およびTAK-733からなる群より選択される。いくつかの態様において、MEK阻害剤はBAY 86-9766である。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤はRaf阻害剤である。いくつかの態様において、Raf阻害剤は、GDC-0879、PLX-4720、PLX-4032 (ベムラフェニブ)、RAF265、BAY 73-4506、BAY 43-9006 (ソラフェニブ)、SB590885、XL281 (BMS-908662)、およびGSK 2118436436からなる群より選択される。いくつかの態様において、Raf阻害剤はBAY 43-9006である。いくつかの態様において、Raf阻害剤はPLX-4032である。いくつかの態様において、Raf阻害剤はGDC-0879である。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤はRas阻害剤である。いくつかの態様において、Ras阻害剤はファルネシルチオサリチル酸(FTS)である。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤はERK阻害剤である。
IV. 使用方法および薬学的組成物
MAPK経路阻害剤と組み合わせた本発明のWnt経路阻害剤(例えば、Wnt結合剤およびFDZ結合剤)は、がんの処置のような、治療的処置方法を含むが、これに限定されない、さまざまな用途において有用である。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤の組み合わせは、Wntシグナル伝達(例えば、標準的Wntシグナル伝達)を阻害する、MAPKシグナル伝達を阻害する、腫瘍成長を阻害する、分化を誘導する、腫瘍容積を低減する、がん幹細胞の頻度を低減する、および/または腫瘍の腫瘍形成性を低減する方法において有用である。使用の方法は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボでの方法であってよい。
いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤と組み合わせたWnt経路阻害剤(例えば、Wnt結合剤またはFDZ結合剤)は、Wnt経路活性化に関連した疾患を処置する方法において用いられる。いくつかの態様において、疾患は、Wntシグナル伝達に依存する疾患である。特定の態様において、Wntシグナル伝達は標準的Wntシグナル伝達である。
いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤と組み合わせたWnt経路阻害剤(例えば、Wnt結合剤またはFDZ結合剤)は、MAPK経路活性化に関連した疾患を処置する方法において用いられる。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤と組み合わせたWnt経路阻害剤は、MAPK経路の成分の活性化に関連した疾患を処置する方法において用いられる。いくつかの態様において、MAPK経路の成分はRasタンパク質、Rafタンパク質、MEKタンパク質、またはERKタンパク質である。
いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤(例えば、Wnt結合剤またはFDZ結合剤)およびMAPK経路阻害剤の組み合わせで処置される疾患は、がんである。ある種の態様において、がんはWnt依存性腫瘍によって特徴付けられる。ある種の態様において、がんは、1種または複数種のWntタンパク質を発現するまたは過剰発現する腫瘍によって特徴付けられる。ある種の態様において、がんは、1種または複数種のFZDタンパク質を発現するまたは過剰発現する腫瘍によって特徴付けられる。
本発明は、MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。いくつかの態様において、この方法は、本明細書において記述されるWnt結合剤、FZD結合剤、および/またはMAPK経路阻害剤を使用する段階を含む。ある種の態様において、がんは、結腸直腸がん、膵臓がん、肺がん、卵巣がん、肝臓がん、乳がん、腎臓がん、前立腺がん、胃腸がん、メラノーマ、子宮頚がん、膀胱がん、グリア芽細胞腫および頭頸部がんからなる群より選択されるがんである。ある種の態様において、がんはメラノーマである。ある種の態様において、がんは肺がんである。ある種の態様において、がんは膵臓がんである。ある種の態様において、がんは結腸直腸がんである。ある種の態様において、がんは乳がんである。いくつかの態様において、がんはMAPK経路の成分における変異を有する。いくつかの態様において、がんは変異Ras遺伝子および/またはタンパク質を有する。いくつかの態様において、がんは変異K-RasまたはN-Ras遺伝子および/またはタンパク質を有する。いくつかの態様において、がんは変異B-Raf遺伝子および/またはタンパク質を有する。ある種の態様において、対象はヒトである。
本発明は、MAPK経路阻害剤の有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の有効量と腫瘍細胞を接触させる段階を含む、腫瘍成長を阻害するための方法をさらに提供する。いくつかの態様において、この方法は、本明細書において記述されるWnt結合剤、FZD結合剤、および/またはMAPK経路阻害剤を使用する段階を含む。ある種の態様において、腫瘍成長を阻害する方法は、インビトロでWnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤の組み合わせと腫瘍または腫瘍細胞を接触させる段階を含む。例えば、いくつかの態様において、標的化されるWntまたはFZDタンパク質を発現する不死化細胞株またはがん細胞株を、腫瘍細胞成長を阻害するようにMAPK経路阻害剤と組み合わせてWnt/FZD結合剤が添加されている培地中で培養する。いくつかの態様において、腫瘍細胞を、例えば、組織生検、胸水または血液サンプルのような患者サンプルから単離し、腫瘍細胞成長を阻害するようにMAPK経路阻害剤と組み合わせてWnt/FZD結合剤が添加されている培地中で培養する。
いくつかの態様において、腫瘍成長を阻害する方法は、インビボでWnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤の組み合わせと腫瘍または腫瘍細胞を接触させる段階を含む。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤の組み合わせと腫瘍または腫瘍細胞を接触させる段階は、動物モデルにおいて行われる。例えば、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤の組み合わせは、腫瘍の成長を阻害するように異種移植片腫瘍を担持する免疫不全マウス(例えば、NOD/SCIDマウス)に投与されうる。ある種の態様において、がん幹細胞を、例えば、組織生検、胸水または血液サンプルのような患者サンプルから単離し、免疫不全マウスに注射し、次いで、腫瘍細胞成長を阻害するようにこのマウスにWnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤の組み合わせを投与する。いくつかの態様において、腫瘍成長を抑止するように、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤の組み合わせは、動物への細胞の導入と同時に、またはその直後(予防モデル)に投与される。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤の組み合わせは、腫瘍成長を阻害するおよび/または低減するように、細胞が特定サイズの腫瘍に成長した後(治療モデル)に投与される。
本発明は同様に、MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象における腫瘍成長を阻害する方法を提供する。いくつかの態様において、この方法は、本明細書において記述されるWnt結合剤、FZD結合剤、および/またはMAPK経路阻害剤を使用する段階を含む。ある種の態様において、対象はヒトである。ある種の態様において、対象は、腫瘍を有するか、または腫瘍が除去されている。いくつかの態様において、対象は、転移した腫瘍を有する。いくつかの態様において、対象は以前に治療的処置を受けたことがある。いくつかの態様において、対象はMAPK経路阻害剤で処置されている。いくつかの態様において、対象はB-Raf阻害剤で処置されている。
本発明は同様に、MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象における腫瘍の侵襲性を阻害する方法を提供する。いくつかの態様において、この方法は、本明細書において記述されるWnt結合剤、FZD結合剤、および/またはMAPK経路阻害剤を使用する段階を含む。いくつかの態様において、侵襲性の阻害は、E-カドヘリン発現を増加させることを含む。ある種の態様において、対象はヒトである。ある種の態様において、対象は、腫瘍を有するか、または腫瘍が除去されている。
本発明は同様に、MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象における転移を低減または抑止する方法を提供する。いくつかの態様において、この方法は、本明細書において記述されるWnt結合剤、FZD結合剤、および/またはMAPK経路阻害剤を使用する段階を含む。いくつかの態様において、転移の低減または抑止は、腫瘍の侵襲性の阻害を含む。いくつかの態様において、転移の低減または抑止は、E-カドヘリン発現を増加させることによる腫瘍の侵襲性の阻害を含む。ある種の態様において、対象はヒトである。ある種の態様において、対象は、腫瘍を有するか、または腫瘍が除去されている。
ある種の態様において、腫瘍は、Wntシグナル伝達が活性な腫瘍である。ある種の態様において、活性なWntシグナル伝達は、標準的Wntシグナル伝達である。ある種の態様において、腫瘍はWnt依存性腫瘍である。
ある種の態様において、腫瘍は、Wnt結合剤が結合する1種または複数種のヒトWntタンパク質を発現する。ある種の態様において、腫瘍は、1種または複数種のヒトWntタンパク質を過剰発現する。ある種の態様において、腫瘍は、同じ組織型の正常組織におけるWntタンパク質発現と比べて1種または複数種のヒトWntタンパク質を過剰発現する。ある種の態様において、腫瘍は、少なくとも1種の他の腫瘍におけるWntタンパク質発現と比べて1種または複数種のヒトWntタンパク質を過剰発現する。いくつかの態様において、腫瘍は、Wnt3またはWnt3aを過剰発現する。ある種の態様において、腫瘍は、FZD結合剤が結合する1種または複数種のヒトFZDタンパク質を発現する。ある種の態様において、腫瘍は、1種または複数種のヒトFZDタンパク質を過剰発現する。
ある種の態様において、腫瘍は、MAPK経路シグナル伝達が活性な腫瘍である。いくつかの態様において、MAPK経路シグナル伝達は、MAPK経路成分の変異によって活性である。いくつかの態様において、MAPK経路成分はB-Rafである。いくつかの態様において、MAPK経路成分はK-Rasである。いくつかの態様において、MAPK経路成分はN-Rasである。
ある種の態様において、腫瘍は、結腸直腸腫瘍、膵臓腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、肝臓腫瘍、***腫瘍、腎臓腫瘍、前立腺腫瘍、胃腸腫瘍、メラノーマ、子宮頚腫瘍、膀胱腫瘍、グリア芽細胞腫および頭頸部腫瘍からなる群より選択される腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍はメラノーマである。ある種の態様において、腫瘍は肺腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は結腸直腸腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は膵臓腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は***腫瘍である。いくつかの態様において、腫瘍はMAPK経路の成分における変異を有する。いくつかの態様において、腫瘍は変異Ras遺伝子および/またはタンパク質を有する。いくつかの態様において、腫瘍は変異K-RasまたはN-Ras遺伝子および/またはタンパク質を有する。いくつかの態様において、腫瘍は変異B-Raf遺伝子および/またはタンパク質を有する。
本発明は同様に、Wnt経路阻害剤の有効量と細胞を接触させる段階を含む、細胞におけるWntシグナル伝達を阻害する方法を提供する。いくつかの態様において、この方法は、細胞におけるMAPK経路シグナル伝達をさらに阻害し、MAPK経路阻害剤と細胞を接触させる段階を含む。ある種の態様において、細胞は腫瘍細胞である。ある種の態様において、この方法は、阻害剤と細胞を接触させる段階が対象に阻害剤の治療的有効量を投与する段階を含む、インビボの方法である。いくつかの代替的な態様において、この方法はインビトロまたはエクスビボの方法である。ある種の態様において、阻害されるWntシグナル伝達は、標準的Wntシグナル伝達である。ある種の態様において、Wntシグナル伝達は、Wnt1、Wnt2、Wnt3、Wnt3a、Wnt7a、Wnt7b、および/またはWnt10bによるシグナル伝達である。ある種の態様において、Wntシグナル伝達は、Wnt1、Wnt3a、Wnt7b、および/またはWnt10bによるシグナル伝達である。
さらに、本発明は、MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象における腫瘍の腫瘍形成性を低減する方法を提供する。ある種の態様において、腫瘍はがん幹細胞を含む。いくつかの態様において、腫瘍の腫瘍形成性は、腫瘍内のがん幹細胞の頻度を低減することによって低減される。いくつかの態様において、この方法は、本明細書において記述されるWnt結合剤、FZD結合剤、および/またはMAPK経路阻害剤を使用する段階を含む。ある種の態様において、腫瘍内のがん幹細胞の頻度は、Wnt経路阻害剤の投与によって低減される。いくつかの態様において、腫瘍の腫瘍形成性は、腫瘍細胞の分化を誘導することによって低減される。
本発明は同様に、がん幹細胞を含む腫瘍内のがん幹細胞頻度を低減する方法であって、MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む該方法を提供する。いくつかの態様において、この方法は、本明細書において記述されるWnt結合剤、FZD結合剤、および/またはMAPK経路阻害剤を使用する段階を含む。ある種の態様において、MAPK経路阻害剤と組み合わせてWnt経路阻害剤は、マウス異種移植モデルのような、動物モデルにおいてがん幹細胞を含む腫瘍の腫瘍形成性を低減することができる。ある種の態様において、処置腫瘍内のがん幹細胞の数または頻度は、未処置腫瘍におけるがん幹細胞の数または頻度と比べて少なくとも約2倍、約3倍、約5倍、約10倍、約50倍、約100倍、または約1000倍だけ低減される。ある種の態様において、がん幹細胞の数または頻度の低減は、動物モデルを用いた限界希釈アッセイ法によって判定される。
本発明は、(a) 対象がMAPK経路における変異を含んだ腫瘍を有するかどうか判定する段階、および(b) MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象(例えば、処置を必要としている対象)に投与する段階を含む、ヒト対象を処置する方法を提供する。ある種の態様において、対象はがん性腫瘍を有する。ある種の態様において、対象は、腫瘍が除去されている。いくつかの態様において、対象はMAPK経路阻害剤で以前に処置されている。いくつかの態様において、対象はB-Raf阻害剤で以前に処置されている。
本発明は、(a) 野生型B-RafまたはB-Raf変異を含む腫瘍を対象が有することに少なくとも部分的に基づいて、処置に向けて対象を選択する段階、および(b) MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、ヒト対象を処置する方法をさらに提供する。ある種の態様において、対象はがん性腫瘍を有する。ある種の態様において、対象は、腫瘍が除去されている。いくつかの態様において、対象はMAPK経路阻害剤で以前に処置されている。いくつかの態様において、対象はB-Raf阻害剤で以前に処置されている。
本発明は、(a) 野生型N-RasまたはN-Ras変異を含む腫瘍を対象が有することに少なくとも部分的に基づいて、処置に向けて対象を選択する段階、および(b) MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、ヒト対象を処置する方法をさらに提供する。ある種の態様において、対象はがん性腫瘍を有する。ある種の態様において、対象は、腫瘍が除去されている。いくつかの態様において、対象はMAPK経路阻害剤で以前に処置されている。いくつかの態様において、対象はB-Raf阻害剤で以前に処置されている。
本発明は、(a) 野生型K-RasまたはK-Ras変異を含む腫瘍を対象が有することに少なくとも部分的に基づいて、処置に向けて対象を選択する段階、および(b) MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、ヒト対象を処置する方法をさらに提供する。ある種の態様において、対象はがん性腫瘍を有する。ある種の態様において、対象は、腫瘍が除去されている。いくつかの態様において、対象はMAPK経路阻害剤で以前に処置されている。いくつかの態様において、対象はB-Raf阻害剤で以前に処置されている。
本発明は、MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性である腫瘍を有するヒト対象を処置する方法をさらに提供する。ある種の態様において、対象はがん性腫瘍を有する。ある種の態様において、対象は、腫瘍が除去されている。いくつかの態様において、対象はMAPK経路阻害剤で以前に処置されている。いくつかの態様において、対象はB-Raf阻害剤で以前に処置されている。いくつかの態様において、対象は野生型B-Rafを有する。
いくつかの態様において、B-Raf変異を含む腫瘍は、少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性である。いくつかの態様において、腫瘍は、低分子化合物である少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性である。いくつかの態様において、腫瘍は、GDC-0879、PLX-4720、PLX-4032 (ベムラフェニブ; ZELBORAF)、RAF265、BAY 73-4506、BAY 43-9006 (ソラフェニブ)、SB590885、XL281 (BMS-908662)、およびGSK 2118436436からなる群より選択される少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性である。いくつかの態様において、腫瘍はPLX-4032に対して実質的に無反応性である。
本発明は、(a) 少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性である腫瘍を対象が有することに少なくとも部分的に基づいて、処置に向けて対象を選択する段階、および(b) MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、ヒト対象を処置する方法をさらに提供する。いくつかの態様において、腫瘍は少なくとも1種のB-Raf変異を含む。いくつかの態様において、腫瘍は野生型B-Rafを含む。いくつかの態様において、対象はB-Raf阻害剤で以前に処置されている。いくつかの態様において、腫瘍は、低分子化合物である少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性である。いくつかの態様において、腫瘍は、GDC-0879、PLX-4720、PLX-4032 (ベムラフェニブ; ZELBORAF)、RAF265、BAY 73-4506、BAY 43-9006 (ソラフェニブ)、SB590885、XL281 (BMS-908662)、およびGSK 2118436436からなる群より選択される少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性である。いくつかの態様において、腫瘍はPLX-4032に対して実質的に無反応性である。
本発明は、(a) 少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性である腫瘍を有する対象を特定する段階、および(b) MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、ヒト対象を処置する方法をさらに提供する。いくつかの態様において、腫瘍は少なくとも1種のB-Raf変異を含む。いくつかの態様において、腫瘍は野生型B-Rafを含む。いくつかの態様において、対象はB-Raf阻害剤で以前に処置されている。いくつかの態様において、腫瘍は、低分子化合物である少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性である。いくつかの態様において、腫瘍は、GDC-0879、PLX-4720、PLX-4032 (ベムラフェニブ; ZELBORAF)、RAF265、BAY 73-4506、BAY 43-9006 (ソラフェニブ)、SB590885、XL281 (BMS-908662)、およびGSK 2118436436からなる群より選択される少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性である。いくつかの態様において、腫瘍はPLX-4032に対して実質的に無反応性である。
本発明は、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤の組み合わせによる処置に向けてヒト対象を選択する方法をさらに提供する。いくつかの態様において、この方法は、対象が、(a) 野生型B-Rafを含んだ腫瘍もしくはがん、または(b) 少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性である腫瘍もしくはがんを有するかどうか判定する段階を含み、対象が(a)および/または(b)を有するなら、対象は、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤の組み合わせによる処置に向けて選択される。
野生型ヒトB-Rafの配列は当技術分野において公知であり(例えば、アクセッション番号NP_004324.2)、野生型N-Rasの配列は当技術分野において公知であり(例えば、アクセッション番号NM_002524.4)、および野生型K-Rasの配列は当技術分野において公知である(例えば、アクセッション番号NP_004976)。腫瘍がRafもしくはRas変異または野生型RafもしくはRasを含むかどうか判定するための方法は、B-Raf、N-Ras、および/もしくはK-Rasタンパク質をコードするヌクレオチド配列を評価することにより、B-Raf、N-Ras、および/もしくはK-Rasタンパク質のアミノ酸配列を評価することにより、または推定上のB-Raf、N-Ras、および/もしくはK-Ras変異タンパク質の特徴を評価することにより行うことができる。
RafまたはRasヌクレオチド配列における変異を検出するための方法は、当業者によって知られている。これらの方法には、ポリメラーゼ連鎖反応-制限断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ法、ポリメラーゼ連鎖反応-一本鎖高次構造多型(PCR-SSCP)アッセイ法、リアルタイムPCRアッセイ法、PCR配列決定法、変異体対立遺伝子特異的PCR増幅(MASA)アッセイ法、直接配列決定法、NexGen配列決定法、プライマー伸長反応、電気泳動、オリゴヌクレオチド核酸連結アッセイ法、ハイブリダイゼーションアッセイ法、TaqManアッセイ法、SNP遺伝子型決定アッセイ法、高解像度融解アッセイ法およびマイクロアレイ分析が含まれるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、サンプルはリアルタイムPCRによりB-Raf変異について評価されうる。リアルタイムPCR法では、最も一般的な変異に特異的な蛍光プローブが用いられる。変異が存在する場合、プローブが結合し、蛍光が検出される。いくつかの態様において、サンプルはリアルタイムPCRによりN-Rasおよび/またはK-Ras変異について評価されうる。いくつかの態様において、B-Raf変異はB-Raf遺伝子中の特定領域の直接配列決定法を用いて特定されうる。いくつかの態様において、N-Rasおよび/またはK-Ras変異はN-Rasおよび/またはK-Ras遺伝子中の特定領域の直接配列決定法を用いて特定されうる。直接配列決定によって、分析された領域における可能な全ての変異が特定されよう。
B-Raf、N-Ras、および/またはK-Rasタンパク質における変異を検出するための方法は、当業者によって知られている。これらの方法には、変異タンパク質に特異的な結合剤(例えば、抗体)を用いたB-Raf、N-Ras、および/またはK-Ras変異体の検出、タンパク質電気泳動およびウエスタンブロッティング、ならびに直接ペプチド配列決定法が含まれるが、これらに限定されることはない。
腫瘍またはがんがB-Raf、N-Ras、および/またはK-Ras変異を含むかどうか判定するための方法では、種々のサンプルを用いることができる。いくつかの態様において、サンプルは、腫瘍またはがんを有する対象から採取される。いくつかの態様において、サンプルは、少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性であるがんまたは腫瘍を有する対象から採取される。いくつかの態様において、サンプルは新鮮な腫瘍/がんサンプルである。いくつかの態様において、サンプルは凍結された腫瘍/がんサンプルである。いくつかの態様において、サンプルはホルマリン固定パラフィン包埋サンプルである。いくつかの態様において、サンプルは細胞溶解物に加工処理される。いくつかの態様において、サンプルはDNAまたはRNAに加工処理される。
ある種の態様において、腫瘍は、結腸直腸腫瘍、膵臓腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、肝臓腫瘍、***腫瘍、腎臓腫瘍、前立腺腫瘍、胃腸腫瘍、メラノーマ、子宮頚腫瘍、膀胱腫瘍、グリア芽細胞腫および頭頸部腫瘍からなる群より選択される腫瘍である。いくつかの態様において、腫瘍はメラノーマである。ある種の態様において、腫瘍は膵臓腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は結腸直腸腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は***腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は前立腺腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は肺腫瘍である。
本明細書において記述される方法のいずれかのいくつかの態様において、Wnt経路阻害剤はWnt結合剤である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤はFZD結合剤である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は抗体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は抗FZD抗体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は抗体18R5である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤はFZD-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤はFZD8-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤はFZD8-Fc可溶性受容体54F28である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、SEQ ID NO:27のポリペプチドから本質的になる。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤はMEK阻害剤である。いくつかの態様において、MAPK阻害剤はBAY 86-9766である。
本明細書において記述される方法のいずれかのある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、(a)
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR1、
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR2、および
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR3、ならびに(b)
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR1、
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR2、および
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR3を含む抗体であり、MAPK経路阻害剤と組み合わせて投与される。
本明細書において記述される方法のいずれかのある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、(a)
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR1、
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR2、および
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR3、ならびに(b)
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR1、
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR2、および
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR3を含む抗体であり、MEK阻害剤と組み合わせて投与される。
本明細書において記述される方法のいずれかのある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、(a)
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR1、
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR2、および
Figure 2015502958
を含んだ重鎖CDR3、ならびに(b)
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR1、
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR2、および
Figure 2015502958
を含んだ軽鎖CDR3を含む抗体であり、MAPK経路阻害剤BAY 86-9766と組み合わせて投与される。
本明細書において記述される方法のいずれかのある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、MAPK経路阻害剤と組み合わせて投与される、SEQ ID NO:3を含んだ重鎖可変領域およびSEQ ID NO:4を含んだ軽鎖可変領域を含む抗体である。
本明細書において記述される方法のいずれかのある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、MEK阻害剤と組み合わせて投与される、SEQ ID NO:3を含んだ重鎖可変領域およびSEQ ID NO:4を含んだ軽鎖可変領域を含む抗体である。
本明細書において記述される方法のいずれかのある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、MAPK経路阻害剤BAY 86-9766と組み合わせて投与される、SEQ ID NO:3を含んだ重鎖可変領域およびSEQ ID NO:4を含んだ軽鎖可変領域を含む抗体である。
本明細書において記述される方法のいずれかのある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、MAPK経路阻害剤と組み合わせて投与される、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:55、またはSEQ ID NO:58を含んだFZD-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、SEQ ID NO:18を含んだFZD-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、SEQ ID NO:55を含んだFZD-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、SEQ ID NO:58を含んだFZD-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤はMEK阻害剤である。いくつかの態様において、MEK阻害剤はBAY86-9766である。
本明細書において記述される方法のいずれかのある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、MAPK経路阻害剤と組み合わせて投与される、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、またはSEQ ID NO:27を含んだFZD-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤はMEK阻害剤である。いくつかの態様において、MEK阻害剤はBAY86-9766である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、MEK阻害剤と組み合わせて投与される、SEQ ID NO:25を含んだFZD-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、MEK阻害剤BAY86-9766と組み合わせて投与される、SEQ ID NO:25を含んだFZD-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、MEK阻害剤と組み合わせて投与される、SEQ ID NO:26を含んだFZD-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、MEK阻害剤BAY86-9766と組み合わせて投与される、SEQ ID NO:26を含んだFZD-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、MEK阻害剤と組み合わせて投与される、SEQ ID NO:27を含んだFZD-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、MEK阻害剤BAY86-9766と組み合わせて投与される、SEQ ID NO:27を含んだFZD-Fc可溶性受容体である。
本発明は、(例えば、腫瘍形成性細胞を含んだ腫瘍を有する対象またはそのような腫瘍が除去されている対象に薬剤を投与することにより) Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤の組み合わせと腫瘍形成性細胞を接触させる段階を含む、腫瘍形成性細胞を非腫瘍形成性細胞に分化させる方法をさらに提供する。ある種の態様において、腫瘍形成性細胞はメラノーマ細胞である。ある種の態様において、腫瘍形成性細胞は肺腫瘍細胞である。ある種の態様において、腫瘍形成性細胞は膵臓腫瘍細胞である。ある種の態様において、腫瘍形成性細胞は結腸腫瘍細胞である。いくつかの態様において、この方法は、本明細書において記述されるWnt結合剤、FZD結合剤、および/またはMAPK経路阻害剤を使用する段階を含む。ある種の態様において、対象はヒトである。
腫瘍細胞を含むが、これに限定されない、細胞の分化を誘導するために本明細書において記述されるMAPK経路阻害剤と組み合わせてWnt経路阻害剤を用いることも提供される。いくつかの態様において、細胞を分化誘導する方法は、MAPK経路阻害剤の有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤(例えば、Wnt結合剤またはFZD結合剤)の有効量と細胞を接触させる段階を含む。MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、腫瘍内の細胞を分化誘導する方法も提供される。いくつかの態様において、この方法は、本明細書において記述されるWnt結合剤、FZD結合剤、および/またはMAPK経路阻害剤を使用する段階を含む。いくつかの態様において、腫瘍はメラノーマである。ある種の態様において、腫瘍は肺腫瘍である。ある種の態様において、腫瘍は膵臓腫瘍である。ある種の他の態様において、腫瘍は結腸腫瘍である。
本発明は、Wnt経路および/またはMAPK経路を阻害する薬剤を含んだ薬学的組成物をさらに提供する。いくつかの態様において、薬学的組成物は、本明細書において記述されるWnt結合剤およびポリペプチドを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は、本明細書において記述されるFZD結合剤およびポリペプチドを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は、本明細書において記述されるMAPK経路阻害剤を含む。これらの薬学的組成物には、ヒト患者における腫瘍細胞成長の阻害およびがんの処置において用途がある。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤との組み合わせでの、本明細書において記述されるFZD結合剤には、がんの処置のための医薬の製造において用途がある。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤との組み合わせでの、本明細書において記述されるWnt結合剤には、がんの処置のための医薬の製造において用途がある。
無菌の凍結乾燥粉末、水溶液などとして薬学的に許容される担体、賦形剤、および/または安定剤と本発明の精製された薬剤またはアンタゴニストを組み合わせることによって、保管および使用のための処方物が調製される(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, 2005, University of the Sciences, Philadelphia, PA)。適当な担体、賦形剤、または安定剤には、無毒の緩衝液、例えば、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、および他の有機酸緩衝液; 塩、例えば、塩化ナトリウム; アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化物質; 防腐剤(例えば塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム; 塩化ヘキサメトニウム; 塩化ベンザルコニウム; 塩化ベンゼトニウム; フェノール、ブチルアルコールもしくはベンジルアルコール; アルキルパラベン、例えばメチルパラベンもしくはプロピルパラベン; カテコール; レゾルシノール; シクロヘキサノール; 3-ペンタノール; およびm-クレゾール); 低分子量ポリペプチド(例えば約10未満のアミノ酸残基); タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン; 親水性重合体、例えば、ポリビニルピロリドン; アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン; 炭水化物、例えば、単糖、二糖、グルコース、マンノース、もしくはデキストリン; キレート剤、例えば、EDTA; 糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール; 塩を形成する対イオン、例えば、ナトリウム; 金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体); および/または非イオン界面活性剤、例えばTWEENもしくはポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。
治療用処方物は単位剤形でもよい。このような処方物には、経口投与、非経口投与もしくは直腸投与のための、または吸入による投与のための、錠剤、丸剤、カプセル、散剤、顆粒剤、水もしくは非水性媒体に溶解した溶液もしくは懸濁液、または坐剤が含まれる。錠剤などの固形組成物では、主要な有効成分が薬学的担体と混合されている。従来の錠剤化成分には、本発明の化合物またはその無毒な薬学的に許容される塩の均一混合物を含む固体の予備処方組成物を形成するために、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはゴム、および他の希釈剤(例えば、水)が含まれる。次いで、固体予備処方組成物を、上述の型の単位剤形へ細分する。持効性の長所を与える剤形を提供するために、新規の組成物の錠剤、丸剤などをコーティングするか、他の方法で調合することができる。例えば、錠剤または丸剤は、外部成分によって覆われた内部組成物を含むことができる。さらに、崩壊に抵抗するよう働いて、内部成分にそのまま胃を通過させるかまたはその放出を遅らせることができる腸溶層によって、二つの成分を分離することができる。このような腸溶層またはコーティングには、いくつかのポリマー酸、ならびにポリマー酸と、セラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような材料との混合物を含めて、さまざまな材料を用いることができる。
薬学的処方物には、リポソームと複合体化された本発明のWnt経路阻害剤および/またはMAPK経路阻害剤が含まれうる(Epstein et al., 1985, PNAS, 82:3688; Hwang et al., 1980, PNAS, 77:4030; ならびに米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号)。循環時間を向上させたリポソームが米国特許第5,013,556号に開示されている。リポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発によって作出することができる。リポソームを規定の孔径のフィルタに通し押し出して、所望の直径を有するリポソームを得る。
Wnt経路阻害剤および/またはMAPK経路阻害剤をマイクロカプセル中に封入することもできる。このようなマイクロカプセルは、例えば、コアセルベーション技術または界面重合法によって、それぞれ、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルが、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)中に、またはRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, 2005, University of the Sciences, Philadelphia, PAに記述されているマクロエマルジョン中に調製される。
さらに、徐放性調製物を調製することができる。徐放性調製物の適当な例には、結合剤を含む、固体疎水性重合体の半透性マトリックスが含まれ、そのマトリックスは、成形された物品(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)の形をしている。徐放性マトリックスの例には、ポリエステル、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール)などのヒドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸と7エチル-L-グルタメートの共重合体、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標) (乳酸-グリコール酸共重合体および酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフェア)などの分解性乳酸-グリコール酸共重合体、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、およびポリD-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。
Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤は、公知の方法にしたがって、適切な薬学的組成物としてヒト患者に投与される。薬学的組成物は、局所処置または全身処置のための多様な手法で投与することができる。適当な投与方法には、静脈内投与(大量瞬時の投与もしくは一定期間にわたる持続注入による投与)、動脈内投与、筋肉内投与(注射もしくは注入)、腫瘍内投与、腹腔内投与、脳脊髄内投与、皮下投与、関節内投与、滑液嚢内投与、頭蓋内投与(例えば、くも膜下腔内投与もしくは脳室内投与)、または経口投与が含まれるが、これらに限定されることはない。さらに、投与は局所投与(例えば、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、坐剤、スプレイ、液体および粉末)または肺投与(例えば、噴霧器による投与を含む、粉末もしくはエアロゾルの吸入もしくはガス注入による投与; 気管内投与、鼻腔内投与、表皮投与および経皮投与)でもよい。
疾患の処置のために、本発明のMAPK経路阻害剤と組み合わせたWnt経路阻害剤の適切な投与量は、処置されている疾患のタイプ、疾患の重篤度および経過、疾患の反応性、阻害剤が治療目的または予防目的で投与されているかどうか、以前の療法、患者の病歴などに依り、全て、処置を行っている医師の自由裁量で決まる。Wnt経路阻害剤は、一回で投与されてもよく、または数日〜数ヶ月に及ぶ一連の処置として投与されてもよく、あるいは治癒が達成され、または疾患状態の減退が達成される(例えば、腫瘍のサイズが縮小する)まで投与されてもよい。MAPK経路阻害剤は、一回で投与されてもよく、または数日〜数ヶ月に及ぶ一連の処置として投与されてもよく、あるいは治癒が達成され、または疾患状態の減退が達成される(例えば、腫瘍のサイズが縮小する)まで投与されてもよい。各薬剤に最適な投薬計画は、患者の体内の薬物蓄積の測定から計算することができ、個々の薬剤の相対効力に依って変化するであろう。投与を行っている医師は、最適な投与量、投薬方法および反復率を決定することができる。
併用投与は、1種類の薬学的処方物に入れた、もしくは別個の処方物を用いた同時投与を含んでもよく、またはどちらの順番でもよいが、活性剤の全てがその生物学的活性を同時に発揮できるように、一般的にある期間内で行われる、連続投与を含んでもよい。
ある種の態様において、Wnt経路阻害剤の投与量は、約0.01μg〜約100mg/kg体重、約0.1μg〜約100mg/kg体重、約1μg〜約100mg/kg体重、約1mg〜約100mg/kg体重、約1mg〜約80mg/kg体重、約10mg〜約100mg/kg体重、約10mg〜約75mg/kg体重、または約10mg〜約50mg/kg体重である。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤の投与量は、約0.1mg〜約20mg/kg体重である。ある種の態様において、投与量は、1日に、1週間に、1ヶ月にまたは1年に1回または複数回与えることができる。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回または月に1回与えられる。
ある種の態様において、MAPK経路阻害剤の投与量は、約25mg〜約3000mg、約100mg〜約2500mg、約200mg〜約2000mg、約400mg〜約1500mg、約500mg〜約1200mg、約750mg〜約1000mgである。ある種の態様において、MAPK経路阻害剤の投与量は、約200〜約2000mg/kgである。ある種の態様において、投与量は、1日に、1週間に、1ヶ月にまたは1年に1回または複数回与えることができる。ある種の態様において、MAPK経路阻害剤は、1日に2回もしくはそれ以上、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回与えられる。
いくつかの態様において、阻害剤は、初回の、より高い「負荷」用量で投与され、その後に1回または複数回の、より低い用量で投与されうる。いくつかの態様において、投与の頻度は変化してもよい。いくつかの態様において、投薬レジメンは、初回用量の投与、その後に週に1回、2週間に1回、3週間に1回または月に1回のさらなる用量(または「維持」用量)の投与を含みうる。例えば、投薬レジメンは、初回負荷用量の投与、その後に、例えば初回用量の2分の1の、週1回の維持用量の投与を含みうる。あるいは投薬レジメンは、初回負荷用量の投与、その後に、例えば隔週に初回用量の2分の1の、維持用量の投与を含みうる。あるいは投薬レジメンは、3週間3回の初回用量の投与、その後に、例えば隔週に同量の、維持用量の投与を含みうる。
Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤の組み合わせは、任意の順番でまたは時を同じくして投与されうることが理解されよう。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤は、実質的に同時にまたは時を同じくして投与されよう。例えば、対象は、MAPK経路阻害剤も与えられながら、Wnt経路阻害剤を与えられうる。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は、MAPK経路阻害剤に用いられる投薬レジメンとは異なる投薬レジメンを用いて投与される。
当業者には公知であるように、いずれかの治療剤の投与は、副作用および/または毒性をもたらしうる。場合によっては、副作用および/または毒性は、治療的に有効な用量での特定の薬剤の投与を妨げるほど重篤である。場合によっては、薬物治療を中断しなければならず、他の薬剤を試さなければならない。しかしながら、同じ薬効分類内の多くの薬剤は、類似の副作用および/または毒性を示すことが多く、このことは、患者が治療を止めるか、または可能なら、治療剤に関連した不快な副作用に苦しむのを止めるかしなければならないことを意味している。
したがって、本発明は、Wnt経路阻害剤および/またはMAPK経路阻害剤の投与に関連した副作用および/または毒性を低減しうる、薬剤の一方または両方を投与するための間欠投薬戦略を使用する段階を含む、対象においてがんを処置する方法を提供する。いくつかの態様において、ヒト対象においてがんを処置するための方法は、阻害剤の一方または両方が間欠投薬戦略にしたがって投与される、MAPK経路阻害剤の治療的に有効な用量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的に有効な用量を対象に投与する段階を含む。いくつかの態様において、間欠投薬戦略は、対象にWnt経路阻害剤の初回用量を投与する段階、および約2週間に1回、Wnt経路阻害剤の後続用量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、間欠投薬戦略は、対象にWnt経路阻害剤の初回用量を投与する段階、および約3週間に1回、Wnt経路阻害剤の後続用量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、間欠投薬戦略は、対象にWnt経路阻害剤の初回用量を投与する段階、および約4週間に1回、Wnt経路阻害剤の後続用量を投与する段階を含む。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は間欠投薬戦略を用いて投与され、かつMAPK経路阻害剤は毎日投与される。
2種またはそれ以上の治療剤による併用療法では、異なる作用機序によって働く薬剤を用いることが多いが、これは必要とされない。異なる作用機序を有する薬剤を用いた併用療法は、相加効果または相乗効果をもたらしうる。併用療法は単剤療法において用いられるよりも各薬剤の用量を低くすることを可能にし、それによって薬剤の毒性副作用を低減しおよび/または治療指数を増大しうる。併用療法は、耐性がん細胞が発現する可能性を減らしうる。いくつかの態様において、併用療法は、非腫瘍形成性細胞に影響を与える(例えば、阻害または死滅化する)治療剤、および腫瘍形成性CSCに影響を与える(例えば、阻害または死滅化する)治療剤を含む。
いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤の組み合わせは、相加的または相乗的な結果をもたらす。いくつかの態様において、併用療法はWnt経路阻害剤の治療指数の増加をもたらす。いくつかの態様において、併用療法はMAPK経路阻害剤の治療指数の増加をもたらす。いくつかの態様において、併用療法はWnt経路阻害剤の毒性および/または副作用の減少をもたらす。いくつかの態様において、併用療法はMAPK経路阻害剤の毒性および/または副作用の減少をもたらす。
処置を行っている医師は、測定された滞留時間および体液または組織中の薬物濃度に基づいて、投薬のための反復率を評価することができる。治療の経過は、従来の技法およびアッセイ法によってモニターすることができる。
ある種の態様において、MAPK経路阻害剤と組み合わせてWnt経路阻害剤を投与することに加え、処置方法は、Wnt経路阻害剤および/もしくはMAPK経路阻害剤の投与の前に、Wnt経路阻害剤および/もしくはMAPK経路阻害剤の投与と同時に、ならびに/またはWnt経路阻害剤および/もしくはMAPK経路阻害剤の投与の後にさらなる治療剤を投与することをさらに含んでもよい。
ある種の他の態様において、Wnt経路阻害剤、MAPK経路阻害剤およびさらなる治療剤は、実質的に同時にまたは時を同じくして投与される。例えば、対象は、さらなる治療剤(例えば、化学療法)による一連の処置を受けると同時に、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤を与えられうる。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤は、さらなる治療剤による処置の1年以内に投与される。ある種の代替的な態様において、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤は、さらなる治療剤による任意の処置の10ヶ月以内、8ヶ月以内、6ヶ月以内、4ヶ月以内または2ヶ月以内に投与される。ある種の他の態様において、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤は、さらなる治療剤による任意の処置の4週間以内、3週間以内、2週間以内または1週間以内に投与される。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤は、さらなる治療剤による任意の処置の5日以内、4日以内、3日以内、2日以内または1日以内に投与される。さらに、数時間または数分のうちに(すなわち、実質的に同時に)、薬剤または処置を対象に投与できることが理解されよう。
さらなる治療(例えば、抗がん)剤の有用なクラスには、例えば、抗チューブリン剤、アウリスタチン、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、アルキル化剤(例えば、白金錯体、例えば、シスプラチン、モノ(白金)、ビス(白金)およびトリ-核白金錯体、ならびにカルボプラチン)、アントラサイクリン、抗生物質、抗葉酸剤、代謝拮抗物質、化学療法増感剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、実施化合物(performing compound)、プリン代謝拮抗物質、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイドなどが含まれる。ある種の態様において、さらなる治療剤は、代謝拮抗物質、抗有糸***剤、トポイソメラーゼ阻害剤または血管新生阻害剤である。
Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤と組み合わせて投与されうる治療剤には、化学療法剤が含まれる。したがって、いくつかの態様において、本方法または処置は、本発明のWnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤と、化学療法剤または複数の異なる化学療法剤のカクテルとの組み合わせでの投与を伴う。Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤による処置は、化学療法の施行の前に、化学療法の施行と同時に、または化学療法の施行の後に行ってもよい。本発明により企図される化学療法には、ゲムシタビン、イリノテカン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara-C」)、シクロホスファミド、チオテパ、ブスルファン、サイトキシン、パクリタキセル、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、およびカルボプラチンのような、当技術分野において公知であり、かつ市販されている化学物質または薬物が含まれる。併用投与は、1種類の薬学的処方物に入れた、もしくは別個の処方物を用いた同時投与を含んでもよく、またはどちらの順番でもよいが、活性剤の全てがその生物学的活性を同時に発揮できるように、一般的にある期間内で行われる、連続投与を含んでもよい。このような化学療法剤の調製および投薬計画は、製造業者の説明書にしたがって、または当業者により経験的に決定されたように用いることができる。このような化学療法の調製および投薬計画はまた、Chemotherapy Service, 1992, M. C. Perry, Editor, Williams & Wilkins, Baltimore, MDに記述されている。
本発明において有用な化学療法剤にはまた、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド; アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファン; アジリジン、例えば、ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa); アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、およびトリメチローロメラミン(trimethylolomelamime)を含む、エチレンイミンおよびメチルアメラミン(methylamelamine); ナイトロジェンマスタード、例えば、クロランブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベムビシン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード; ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン; 抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ユベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン; 代謝拮抗物質、例えば、メトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU); 葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート; プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン; ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU; アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン; 抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン; 葉酸補充剤、例えば、フォリン酸; アセグラトン; アルドホスファミドグリコシド; アミノレブリン酸; アムサクリン; ベストラブシル; ビサントレン; エダトレキサート(edatraxate); デフォファミン(defofamine); デメコルチン; ジアジクオン; エルフォルミチン(elformithine); 酢酸エリプチニウム; エトグルシド; 硝酸ガリウム; ヒドロキシウレア; レンチナン; ロニダミン; ミトグアゾン; ミトキサントロン; モピダモール; ニトラクリン; ペントスタチン; フェナメット; ピラルビシン; ポドフィリニック酸; 2-エチルヒドラジド; プロカルバジン; PSK.; ラゾキサン; シゾフラン(sizofuran); スピロゲルマニウム; テヌアゾン酸; トリアジクオン; 2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン; ウレタン; ビンデシン; ダカルバジン; マンノムスチン; ミトブロニトール; ミトラクトール; ピポプロマン; ガシトシン(gacytosine); アラビノシド(「Ara-C」); シクロホスファミド; チオテパ; タキソイド、例えば、パクリタキセル(タキソール)およびドセタキセル(タキソテール)、クロランブシル; ゲムシタビン; 6-チオグアニン; メルカプトプリン; メトトレキセート; 白金類似体、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン; ビンブラスチン; 白金; エトポシド(VP-16); イホスファミド; マイトマイシンC; ミトキサントロン; ビンクリスチン; ビノレルビン; ナベルビン; ノバントロン; テニポシド; ダウノマイシン; アミノプテリン; ゼローダ; イバンドロン酸; CPT11; トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000; ジフルオロメチルオルニチン(DMFO); レチノイン酸; エスペラミシン; カペシタビン; および前記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体も含まれるが、これらに限定されることはない。化学療法剤にはまた、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように働く抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン、ならびにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリンなどの抗アンドロゲン、ならびに前記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体も含まれる。
ある種の態様において、化学療法剤は、トポイソメラーゼ阻害剤である。トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼ酵素(例えば、トポイソメラーゼIまたはII)の作用を妨害する化学療法剤である。トポイソメラーゼ阻害剤には、ドキソルビシンHCl、クエン酸ダウノルビシン、ミトキサントロンHCl、アクチノマイシンD、エトポシド、トポテカンHCl、テニポシド(VM-26)およびイリノテカンが含まれるが、これらに限定されることはない。
ある種の態様において、化学療法剤は、代謝拮抗物質である。代謝拮抗物質は、正常な生化学反応に必要な代謝産物に似ているが、細胞の1つまたは複数の正常機能、例えば、細胞***を妨害するのに十分に異なる構造を有する化学物質である。代謝拮抗物質には、ゲムシタビン、フルオロウラシル、カペシタビン、メトトレキセートナトリウム、ラリトレキセド、ペメトレキセド、テガフール、シトシンアラビノシド、チオグアニン、5-アザシチジン、6-メルカプトプリン、アザチオプリン、6-チオグアニン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、およびクラドリビン、ならびにこれらのいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が含まれるが、これらに限定されることはない。
ある種の態様において、化学療法剤は、チューブリンに結合する薬剤を含むが、これに限定されない、有糸***阻害剤である。いくつかの態様において、薬剤はタキサンである。ある種の態様において、薬剤は、パクリタキセルもしくはドセタキセル、またはパクリタキセルもしくはドセタキセルの薬学的に許容される塩、酸もしくは誘導体である。ある種の態様において、薬剤は、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(タキソテール)、アルブミン結合パクリタキセル(アブラキサン)、DHA-パクリタキセル、またはPG-パクリタキセルである。ある種の代替的な態様において、有糸***阻害剤は、ビンカアルカロイド、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、もしくはビンデシン、またはその薬学的に許容される塩、酸もしくは誘導体を含む。いくつかの態様において、有糸***阻害剤は、キネシンEg5の阻害剤または有糸***キナーゼ、例えば、AuroraAもしくはPlk1の阻害剤である。
いくつかの態様において、処置は、1種または複数種のサイトカイン(例えば、リンホカイン、インターロイキン、腫瘍壊死因子および/または成長因子)の投与を含んでもよく、あるいは腫瘍もしくはがん細胞の外科的除去によって、または処置を行っている医師により必要とみなされた他の任意の療法によって達成されてもよい。
ある種の態様において、処置は、放射線療法と組み合わせたWnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤の投与を伴う。Wnt経路阻害剤およびMAPK経路阻害剤による処置は、放射線療法の施行の前に、放射線療法の施行と同時に、または放射線療法の施行の後に行ってもよい。このような放射線療法の任意の投薬計画を、当業者によって判定されるように用いることができる。
本発明は、Wntシグナル伝達の阻害における効力、MAPKシグナル伝達の阻害における効力について、抗腫瘍活性、および/またはがん幹細胞に対する活性について薬剤をスクリーニングする方法をさらに提供する。ある種の態様において、この方法は、薬剤の組み合わせに曝露されている第1の腫瘍(例えば、がん幹細胞を含む腫瘍)における1種もしくは複数種の分化マーカーおよび/または1種もしくは複数種の幹細胞性マーカーのレベルを、薬剤に曝露されていない第2の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカーのレベルと比較する段階を含む。いくつかの態様において、この方法は、(a) 第2の腫瘍ではなく、第1の腫瘍を薬剤に曝露させる段階; (b) 第1および第2の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカーおよび/または1種もしくは複数種の幹細胞性マーカーのレベルを評価する段階; ならびに(c) 第1の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカーのレベルおよび第2の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカーのレベルを比較する段階を含む。ある種の態様において、(a) 第2の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカーのレベルと比べて第1の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカーのレベルの増加は、抗腫瘍(または抗がん幹細胞)活性を示唆し; および(b) 1種もしくは複数種の幹細胞性マーカーのレベルの減少は、抗腫瘍(または抗がん幹細胞)活性を示唆する。ある種の態様において、薬剤はMAPK経路阻害剤と組み合わせたWnt経路阻害剤である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は抗Wnt抗体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は抗FZD抗体である。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤はFZD-Fc可溶性受容体である。いくつかの態様において、MAPK経路阻害剤はMEK阻害剤である。いくつかの態様において、分化マーカーはドパクロムタウトメラーゼ(DCT)、小眼球症関連転写因子(MITF)、および/またはチロシナーゼ関連タンパク質1 (TYRP1)である。
薬剤をスクリーニングするためのさらなる方法には、薬剤の組み合わせに曝露されている第1の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカーのレベルを、薬剤に曝露されていない第2の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカーのレベルと比較する段階を含む方法が含まれるが、これに限定されることはない。ある種の態様において、この方法は、(a) 第2の腫瘍ではなく、第1の腫瘍を薬剤に曝露させる段階; (b) 第1および第2の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカーのレベルを評価する段階; ならびに(c) 第1の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカーのレベルを第2の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカーのレベルと比較する段階を含む。ある種の態様において、薬剤はMAPK経路阻害剤と組み合わせたWnt経路阻害剤である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は抗Wnt抗体である。いくつかの態様において、Wnt経路阻害剤は抗FZD抗体である。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤はFZD-Fc可溶性受容体である。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は標準的Wntシグナル伝達経路の阻害剤である。ある種の態様において、Wnt経路阻害剤は1種もしくは複数種のヒトWntタンパク質と1種もしくは複数種のヒトFZD受容体との結合を阻害する。いくつかの態様において、分化マーカーはDCT、MITF、および/またはTYRP1である。ある種の態様において、第2の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカーのレベルと比べて第1の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカーのレベルの増加は、固形腫瘍幹細胞(CSC)に対する効力を示唆する。ある種の代替的な態様において、第2の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカーのレベルと比べて第1の腫瘍における1種もしくは複数種の分化マーカー(すなわち、分化の陰性マーカー)のレベルの減少は、固形腫瘍幹細胞に対する効力を示唆する。
実施例1 メラノーマ腫瘍の特徴付け
患者のメラノーマ腫瘍に由来する異種移植片のコレクションを樹立した。腫瘍は、インビトロでの細胞培養を介さずにNOD-SCIDマウスでのインビボ継代によって増やされた。Genomic DNA Extraction Kit (Bioneer Inc., Alameda, CA)を製造業者の説明書にしたがって用い原発腫瘍および継代腫瘍からゲノムDNAサンプルを単離した。DNAサンプルを1%アガロースゲルまたは0.8% E-Gel (lnvitrogen Corporation, Carlsbad, CA)上で可視化することにより、単離したDNAの質を調べた。目に見える分解はほとんどまたは全くなく、およそ20 kbのサイズのバンドの存在により、DNAは無傷であることが確認された。精製されたゲノムDNAサンプルを、ヌクレオチド配列分析のため、SeqWright Technologies, (Houston, TX)に送った。ゲノムDNAサンプルをRepli-G Mini Kit (Qiagen, Valencia, CA)で増幅させた後に、PCR増幅および精製によってB-Raf、N-RasおよびK-Ras遺伝子を得た。ABI 3730xL DNA Sequencer (Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて、各腫瘍由来のB-Raf、N-Ras、およびK-Ras遺伝子のヌクレオチド配列を得た。
評価した7例のメラノーマ腫瘍のうち、ヒトB-Raf配列(例えば、アクセッション番号NP_004324.2を参照のこと)と比べて4例が野生型B-Rafを有し(OMP-M3、OMP-M4、OMP-OMP-M7およびOMP-M10)、3例が変異B-Rafを有していた(OMP-M2、OMP-M5およびOMP-M8)。この3例のメラノーマ腫瘍はアミノ酸番号600における変異、つまりバリンからグルタミン酸塩への変異(V600E)を有していた。このB-Rafのバリンからグルタミン酸塩への変異は、既知の活性化変異である。評価した7例のメラノーマ腫瘍のうち、ヒトN-Ras配列(例えばアクセッション番号NM_002524.4を参照のこと)と比べて5例が野生型N-Rasを有し(OMP-M2、OMP-M4、OMP-M5、OMP-M8およびOMP-M10)、2例が変異N-Rasを有していた(OMP-M3およびOMP-M7)。OMP-M3もOMP-M7もともに、アミノ酸番号61における変異を有していたが、OMP-M3はグルタミンからリジンへの変異(Q61K)を有し、OMP-M7はグルタミンからアルギニンへの変異(Q61R)を有していた。ヒトN-Ras遺伝子のアミノ酸番号61での変異は、活性化変異であることが知られている。評価した7例のメラノーマ腫瘍のうち、ヒトK-Ras配列(例えば、アクセッション番号NP_004976を参照のこと)と比べて5例が野生型K-Rasを有し(OMP-M2、OMP-M3、OMP-M4、OMP-M7およびOMP-M8)、2例がK-Rasにおける変異を有していた(OMP-M5およびOMP-M10)。OMP-M10は、活性化変異であることが知られているアミノ酸番号12における変異、つまりグリシンからバリンへの変異(G12V)を有していた。OMP-M5はアミノ酸番号6におけるロイシンからフェニルアラニンへの置換を有していたが、これは、多型であると考えられ、K-Rasにおける活性化変異であるとは知られていない。
Figure 2015502958
実施例2 インビボでのOMP-M3、OMP-M7、およびOMP-M10腫瘍成長の阻害
OMP-M3、OMP-M7およびOMP-M10メラノーマ腫瘍異種移植片の単個細胞懸濁液(細胞20,000個)をMatrigelと1:1の懸濁液で6〜8週齢のNOD/SCIDマウスへ皮下注射した。腫瘍を、200mm3の平均容積に達するまで成長させた。マウス(1群あたりn = 10)を無作為に選び、抗FZD抗体18R5、対照抗体1B7.11、MEK阻害剤BAY 86-9766、または抗体18R5およびBAY 86-9766の組み合わせにより処置した。週1回、対照抗体1B7.11または抗FZD抗体18R5を20mg/kgの用量で腹腔内投与し、マウスを処置した。毎週5日間、毎日15mg/kgの用量でBAY 86-9766を経口投与し、マウスを処置した。併用処置の場合、マウスに週1回抗FZD抗体18R5 (20mg/kg)および毎週5日間、毎日BAY 86-9766 (15mg/kg)を投与した。腫瘍成長をモニターし、示した時点で電子キャリパにより腫瘍容積を測定した。データは平均±S.E.Mとして表されている。
図1に示されるように、週1回20mg/kgでの抗FZD抗体18R5による単剤処置は、対照抗体と比べてOMP-M3、OMP-M7、またはOMP-M10腫瘍の成長にあまり効果を及ぼさなかった(それぞれ、図1A、1Bおよび1C)。毎週5日間、毎日15mg/kgでのMEK阻害剤BAY 86-9766による処置は、対照抗体と比べてOMP-M3 (図1A)およびOMP-M7 (図1B)の両方での腫瘍成長の低減を引き起こした。BAY 86-9766による処置は、OMP-M10での腫瘍成長の最小限の低減を引き起こした(図1C)。驚くべきことに、抗FZD抗体18R5およびBAY 86-9766の組み合わせは、抗FZD抗体18R5が単剤として効果がないまたは最小の効果しかないという事実にもかかわらず、BAY 86-9766だけよりもかなり高い程度まで腫瘍成長を低減させた。これらの結果は、2種以上のシグナル伝達経路を標的化することで抗腫瘍効果が増強され、かつ、併用療法が、そうでなければ有効性のなかった薬剤に対する腫瘍の感受性を増加させうるという仮説を支持している。
実施例1に報告されているように、OMP-M3、OMP-M7、およびOMP-M10腫瘍は全て、野生型B-Raf遺伝子を含むが、しかしMAPKシグナル伝達の増大をもたらしうる変異体Ras遺伝子(それぞれN-RasおよびK-Ras)を獲得していた。これらの結果は、Wnt経路阻害剤およびMEK阻害剤による併用処置が、N-RasおよびK-Ras変異体メラノーマ腫瘍に対して強力な抗腫瘍効果を及ぼし、B-Raf阻害剤による処置が考慮されない患者に対する治療法となりうることを示す。
実施例3 処置腫瘍細胞の腫瘍形成性およびOMP-M8腫瘍インビボ成長の阻害
実施例1に示されるように、OMP-M8メラノーマ腫瘍は変異B-RafV600Eを含む。OMP-M8腫瘍はもともと、B-Raf阻害剤療法に当初は反応したが、その後、B-Raf阻害剤に対する耐性を生じた患者から得られた。OMP-M8メラノーマ腫瘍細胞(細胞20,000個)を6〜8週齢のNOD/SCIDマウスへ皮下注射した。腫瘍を、平均腫瘍サイズがおよそ150mm3になるまで成長させた。動物を無作為に4群に分け(1群あたりn = 10)、5mg/kg、15mg/kg、および45mg/kgの用量のB-Raf阻害剤PLX-4720、ならびにメチルセルロース媒体対照(1%v/v)により処置した。PLX-4720を毎週5日間、経口投与した。腫瘍成長を、処置後の表示日に電子キャリパにより測定した。
図2に示されるように、異種移植片モデルにおけるOMP-M8腫瘍は、試験した全ての用量のB-Raf阻害剤PLX-4720に対して耐性であり、処置患者において獲得される耐性を正確に再現していた。OMP-M8は、姉妹化合物およびFDAに認可されたPLX-4032 (ベムラフェニブ; ZELBORAF)に対して耐性であることも示された。
次に、OMP-M8腫瘍異種移植片の単個細胞懸濁液(細胞20,000個)をMatrigelと1:1の懸濁液で6〜8週齢のNOD/SCIDマウスへ皮下注射した。腫瘍を、およそ150mm3の平均容積に達するまで成長させた。マウス(1群あたりn = 10)を無作為に選び、抗FZD抗体18R5、対照抗体1B7.11、MEK阻害剤BAY 86-9766、または抗FZD抗体18R5およびBAY 86-9766の組み合わせにより処置した。週1回、対照抗体1B7.11または抗FZD抗体18R5を20mg/kgの用量で腹腔内投与し、マウスを処置した。毎週5日間、毎日30mg/kgの用量でBAY 86-9766を経口投与し、マウスを処置した。併用処置の場合、マウスに週1回抗FZD抗体18R5 (20mg/kg)および毎週5日間、毎日BAY 86-9766 (30mg/kg)を投与した。腫瘍成長をモニターし、示した時点で電子キャリパにより腫瘍容積を測定した。
図3Aに示されるように、抗FZD抗体18R5による処置はこの実験でOMP-M8メラノーマ腫瘍の成長に効果を及ぼさなかったが、MEK阻害剤BAY 86-9766はOMP-M8腫瘍の成長を顕著に低減させた。抗FZD抗体18R5およびBAY 86-9766の組み合わせは、BAY 86-9766だけで観察された量を超えて腫瘍成長を低減させた。これらの結果は、B-Raf阻害剤耐性のOMP-M8腫瘍が、MAPK経路における異なる標的に向けられた阻害剤による処置に対して感受性があることを実証していた。さらに、これらの結果は、MAPK経路およびWnt経路を標的化する阻害剤の組み合わせが、MAPK経路を標的化するだけよりも高い効力を与えることを実証している。
上記のOMP-M8腫瘍を処理して、単個細胞懸濁液を得た。ビオチン化抗H2Kd抗体および抗CD45抗体ならびにストレプトアビジン結合磁気ビーズを用いて細胞混合物からマウス細胞を枯渇させた。残りのヒト腫瘍細胞を新しいコホートのマウスへ連続的に移植した。各処置群由来の腫瘍細胞10個または100個をNOD-SCIDマウス(1群あたりマウスn = 10)の側腹部に注射した。腫瘍を処置なしに51日間成長させ、腫瘍容積を電子キャリパで測定した。
図3Bは、各群における個々のマウス由来の腫瘍容積を示す。抗FZD抗体18R5で処置したマウスから単離された細胞は、対照抗体で処置したマウスから単離された細胞と比べて腫瘍形成性を大いに低下させた。処置段階中に抗FZD抗体18R5処置マウスは、腫瘍成長の低減を少しも示さなかったので、これは驚きであった。抗MEK阻害剤BAY 86-9766で処置したマウスから単離された細胞も、対照抗体で処置したマウスから単離された細胞と比べて腫瘍形成性を顕著に低下させた。重要なことには、抗FZD抗体18R5およびBAY 86-9766の組み合わせで処置したマウスから単離された細胞は、どちらかの薬剤だけよりも高い、有意かつ顕著な腫瘍成長の欠如を実証した。これらの結果は、Wnt経路およびMAPK経路の両方を阻害することにより、腫瘍形成性およびがん幹細胞を低減させるうえで明確かつ相加的な効果が及ぼされることを示す。
実施例4 インビボでのOMP-LU33肺腫瘍成長の阻害
OMP-LU33肺腫瘍異種移植片の単個細胞懸濁液(細胞10,000個)をMatrigelと1:1の懸濁液で6〜8週齢のNOD/SCIDマウスへ皮下注射した。腫瘍を、300mm3の平均容積に達するまで成長させた。マウス(1群あたりn = 9)を無作為に選び、抗FZD抗体18R5、対照抗体1B7.11、MEK阻害剤BAY 86-9766、または抗体18R5およびBAY 86-9766の組み合わせにより処置した。週1回、対照抗体1B7.11または抗FZD抗体18R5を25mg/kgの用量で腹腔内投与し、マウスを処置した。毎週5日間、毎日50mg/kgの用量でBAY 86-9766を経口投与し、マウスを処置した。併用処置の場合、マウスに週1回抗FZD抗体18R5 (25mg/kg)および毎週5日間、毎日BAY 86-9766 (50mg/kg)を投与した。腫瘍成長をモニターし、示した時点で電子キャリパにより腫瘍容積を測定した。データは平均±S.E.Mとして表されている。
図4Aに示されるように、週1回25mg/kgでの抗FZD抗体18R5による単剤処置は、対照抗体と比べてOMP-LU33肺腫瘍の成長に最小の効果しか及ぼさなかった。同様に、毎週5日間、毎日50mg/kgでのMEK阻害剤BAY 86-9766による処置は、対照抗体と比べてOMP-LU33の腫瘍成長の最小限の低減しか引き起こさなかった。驚くべきことに、抗FZD抗体18R5およびMEK阻害剤BAY 86-9766の組み合わせは、抗FZD抗体18R5およびBAY 86-9766の両方が単剤として最小の効果しかないという事実にもかかわらず、顕著に腫瘍成長を低減させた。これらの結果は、2種以上のシグナル伝達経路を標的化することで抗腫瘍効果が増強され、かつ、併用療法が、そうでなければ有効性のなかった薬剤に対する腫瘍の感受性を増加させうるという仮説を支持している。重要なことには、肺腫瘍異種移植片によるこれらの結果は、併用処置の有効性がメラノーマ腫瘍だけに限定されなかったことを示す。
OMP-LU33腫瘍は野生型B-Raf、野生型N-Ras、および変異K-Ras (G12V)を含む。Ras変異体OMP-M3、OMP-M7、およびOMP-M10メラノーマ腫瘍において観察された結果と同様に、K-Ras G12V変異体OMP-LU33腫瘍の成長は、抗FZD抗体18R5とMEK阻害剤BAY 86-9766との組み合わせによって顕著に阻害される。それゆえ、これらの結果は、Ras変異体メラノーマおよび肺腫瘍においてWntおよびMAPK経路を同時に標的化することにより、抗腫瘍効力が増強されることを示唆している。
実施例5 OMP-M7およびOMP-M10メラノーマ腫瘍における活性β-カテニンおよび全β-カテニンの低減
OMP-M7またはOMP-M10メラノーマ腫瘍異種移植片の単個細胞懸濁液(細胞20,000個)をMatrigelと1:1の懸濁液で6〜8週齢のNOD/SCIDマウスへ皮下注射した。腫瘍を、200mm3の平均容積に達するまで成長させた。マウスを無作為に選び、抗FZD抗体18R5、対照抗体1B7.11、MEK阻害剤BAY 86-9766、または抗体18R5およびBAY 86-9766の組み合わせにより処置した。週1回、対照抗体1B7.11または抗FZD抗体18R5を20mg/kgの用量で腹腔内投与し、マウスを処置した。毎週5日間、毎日15mg/kgの用量でBAY 86-9766を経口投与し、マウスを処置した。併用処置の場合、マウスに週1回抗FZD抗体18R5 (20mg/kg)および毎週5日間、毎日BAY 86-9766 (15mg/kg)を投与した。
OMP-M7は34日目およびOMP-M10は31日目の後に、Invitrogen Tissue Extraction Reagent 1 (Invitrogen/Life Technologies, Grand Island, NY)を用いて腫瘍を細胞溶解物(OMP-M7 n = 4およびOMP-M10 n = 3)へと処理した。Invitrogen Novex 4-12% Bis-Trisゲルを用いてSDS-PAGEにより、全タンパク質およそ20ugを分離した。Invitrogen iBlotドライブロッティングシステムを用いて、タンパク質をニトロセルロース膜に転写した。全β-カテニン、活性型β-カテニン、全ERK、活性なリン酸化ERK、およびアクチンに対する一次抗体を用いてウエスタンブロット分析を行った。ブロットを、増強化学発光(ECL Plus Western Blotting Detection Reagents, GE Healthcare Life Sciences, Piscataway, NJ)を用いて発色させた。ウエスタンブロットの結果をスキャンし、NIH ImageJソフトウェアを用いた濃度測定によって定量化した。
図5Aおよび5Bに示されるように、MEK阻害剤BAY 86-9766だけで処置されたOMP-M7メラノーマ腫瘍は、全β-カテニンおよび活性β-カテニンの量の減少、ならびにリン酸化ERKの量の減少を示した。さらに、MEK阻害剤BAY 86-9766と抗FZD抗体18R5との組み合わせは、18R5が単剤として効果がないようであったという事実にもかかわらず、MEK阻害剤だけよりも高い程度まで全β-カテニンを低減させた。図5Cおよび5Dに示されるように、MEK阻害剤BAY 86-9766だけで処置されたOMP-M10メラノーマ腫瘍は、全β-カテニンおよび活性β-カテニンに対する効果をほとんどまたは全く示さなかったが、活性なリン酸化ERKの顕著な低減を示した。OMP-M7とは対照的に、MEK阻害剤BAY 86-9766と抗FZD抗体18R5との組み合わせは、活性β-カテニンまたは全β-カテニンを低減させなかった。
実施例6 処置したOMP-M3、OMP-M7およびOMP-M10腫瘍のRNA分析
OMP-M3、OMP-M7またはOMP-M10メラノーマ腫瘍異種移植片の単個細胞懸濁液をMatrigelと1:1の懸濁液で6〜8週齢のNOD/SCIDマウスへ皮下注射した。腫瘍を、200mmの平均容積に達するまで成長させた。マウスを無作為に選び、抗FZD抗体18R5、対照抗体1B7.11、MEK阻害剤BAY 86-9766、または18R5およびBAY 86-9766の組み合わせにより処置した。週1回、対照抗体1B7.11または抗FZD抗体18R5を20mg/kgの用量で腹腔内投与し、マウスを処置した。毎週5日間、毎日15mg/kgの用量でBAY 86-9766を経口投与し、マウスを処置した。併用処置の場合、マウスに週1回抗FZD抗体18R5 (20mg/kg)および毎週5日間、毎日BAY 86-9766 (15mg/kg)を投与した。およそ4週後、RNeasy Isolation Kit (Qiagen, Valencia, CA)を用いてOMP-M3、OMP-M7、およびOMP-M10腫瘍由来の全RNAを単離した。RNAを定量化し、25ngをTaqman遺伝子発現分析(Life Technologies, Grand Island, NY)のために用いた。さらに、各処置群由来のOMP-M3、OMP-M7およびOMP-M10の、ホルマリン固定され、パラフィン包埋された腫瘍切片を、E-カドヘリンに対する抗体(Cell Signaling Technology, Danvers, MA)を用いた免疫組織化学(IHC)により分析した。抗体染色の後、Aperio ScanScope機器(Aperio, Vista, CA)を用いてスライドをスキャンし、Aperioソフトウェアを用い陽性染色についてヒト細胞集団を分析した。
図6Aに示されるように、OMP-M3、OMP-M7、およびOMP-M10腫瘍は全て、抗FZD抗体18R5およびMEK阻害剤BAY 86-9766の組み合わせによる処置の後にメラノサイト系統遺伝子DCT、MITFおよびTYRP1の発現の増加を実証した。これらの結果は、WntおよびMAPK経路の複合阻害がメラノーマ細胞の、低腫瘍形成性状態への分化を増強しうることを示唆している。
IHC分析から、抗FZD抗体18R5およびMEK阻害剤BAY 86-9766の組み合わせによる処置は、18R5またはBAY 86-9766だけのどちらかによる処置と比べてE-カドヘリン染色陽性の細胞の割合を顕著に増加させることが示された(図6B)。多くのがん型において、E-カドヘリン発現の喪失は、浸潤性表現型の獲得および転移性疾患の発症と一致する。正常メラノサイトにおいて、E-カドヘリンはメラノサイトとケラチノサイトとの間の相互作用を媒介し、E-カドヘリン発現の喪失またはその細胞分布の変化は、メラノーマの初期段階に関連している。したがって、これらの結果は、WntおよびMAPK経路の複合阻害がE-カドヘリン発現を増加させ、メラノーマ細胞の浸潤性を減少させうることを示唆している。
実施例7 インビボでのOMP-LU56肺腫瘍成長の阻害
OMP-LU56肺腫瘍異種移植片の単個細胞懸濁液(細胞50,000個)をMatrigelと1:1の懸濁液で6〜8週齢のNOD/SCIDマウスへ皮下注射した。腫瘍を、150mm3の平均容積に達するまで成長させた。マウス(1群あたりn = 9)を無作為に選び、抗FZD抗体18R5、対照抗体1B7.11、MEK阻害剤BAY 86-9766、または抗体18R5およびBAY 86-9766の組み合わせにより処置した。2週間ごと(Q2W)に、対照抗体1B7.11または抗FZD抗体18R5を25mg/kgの用量で腹腔内投与し、マウスを処置した。毎週5日間、毎日30mg/kgの用量でBAY 86-9766を経口投与し、マウスを処置した。併用処置の場合、マウスに週1回抗FZD抗体18R5 (25mg/kg)および毎週5日間、毎日BAY 86-9766 (30mg/kg)を投与した。腫瘍成長をモニターし、示した時点で電子キャリパにより腫瘍容積を測定した。データは平均±S.E.Mとして表されている。
図4Bに示されるように、週1回25mg/kgでの抗FZD抗体18R5による単剤処置は、対照抗体と比べてOMP-LU56肺腫瘍の成長に検出可能な効果を及ぼさなかった。毎週5日間、毎日30mg/kgでのMEK阻害剤BAY 86-9766による処置は、対照抗体と比べてOMP-LU56の腫瘍成長の顕著な低減(56%)を引き起こした。驚くべきことに、抗FZD抗体18R5およびMEK阻害剤BAY 86-9766の組み合わせは、抗FZD抗体18R5が単剤として効果を及ぼさなかったという事実にもかかわらず、BAY 86-9766だけよりも高い程度(78%)まで腫瘍成長を低減させた。OMP-LU33 (実施例4参照)で見られるように、これらの結果は、2種以上のシグナル伝達経路を標的化することで抗腫瘍効果が増強され、かつ、併用療法が、そうでなければ有効性のない薬剤に対する腫瘍の感受性を増加させうるという仮説を支持している。
OMP-LU56腫瘍は野生型B-Raf、野生型N-Ras、および変異K-Ras (G12C)を含む。Ras変異体OMP-M3、OMP-M7およびOMP-M10メラノーマ腫瘍、ならびにOMP-LU33肺腫瘍において観察された結果と同様に、K-Ras G12C変異体OMP-LU56腫瘍の成長は、抗FZD抗体18R5とMEK阻害剤BAY 86-9766との組み合わせによって顕著に阻害される。それゆえ、これらの結果は、Ras変異体メラノーマおよび肺腫瘍においてWntおよびMAPK経路を同時に標的化することにより、抗腫瘍効力が増強されるという示唆をさらに支持している。
本明細書において記述された実施例および態様は例示する目的のためだけのものであると、ならびにそれらを踏まえてさまざまな修正または変更が当業者に示唆されるであろうが、それらは本出願の趣旨および範囲内に含まれるものと理解される。
本明細書において引用された、全ての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、ならびにアクセッション番号/ポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列の両方を含むデータベース配列は、それぞれ個々の刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、またはアクセッション番号/データベース配列が参照により本明細書に組み入れられるように詳細かつ個々に示されるのと同じ程度に、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
配列
SEQ ID NO:1 予測されるシグナル配列に下線を引いた18R5重鎖アミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:2 予測されるシグナル配列に下線を引いた18R5軽鎖アミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:3 18R5重鎖可変領域アミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:4 18R5軽鎖可変領域アミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:5 18R5重鎖CDR1
Figure 2015502958
SEQ ID NO:6 18R5重鎖CDR2
Figure 2015502958
SEQ ID NO:7 18R5重鎖CDR3
Figure 2015502958
SEQ ID NO:8 18R5軽鎖CDR1
Figure 2015502958
SEQ ID NO:9 18R5軽鎖CDR2
Figure 2015502958
SEQ ID NO:10 18R5軽鎖CDR3
Figure 2015502958
SEQ ID NO:11 予測されるシグナル配列を有しないヒトFZD1 Friドメインアミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:12 予測されるシグナル配列を有しないヒトFZD2 Friドメインアミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:13 予測されるシグナル配列を有しないヒトFZD3 Friドメインアミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:14 予測されるシグナル配列を有しないヒトFZD4 Friドメインアミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:15 予測されるシグナル配列を有しないヒトFZD5 Friドメインアミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:16 予測されるシグナル配列を有しないヒトFZD6 Friドメインアミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:17 予測されるシグナル配列を有しないヒトFZD7 Friドメインアミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:18 予測されるシグナル配列を有しないヒトFZD8 Friドメインアミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:19 予測されるシグナル配列を有しないヒトFZD9 Friドメインアミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:20 予測されるシグナル配列を有しないヒトFZD10 Friドメインアミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:21 ヒトIgG1 Fc領域
Figure 2015502958
SEQ ID NO:22 ヒトIgG1 Fc領域
Figure 2015502958
SEQ ID NO:23 ヒトIgG1 Fc領域
Figure 2015502958
SEQ ID NO:24 ヒトIgG2 Fc領域
Figure 2015502958
SEQ ID NO:25 FZD8-Fc変種54F03アミノ酸配列(予測されるシグナル配列を有しない)
Figure 2015502958
SEQ ID NO:26 FZD8-Fc変種54F16、54F17、54F18、54F23、54F25、54F27、54F29、54F31および54F34アミノ酸配列(予測されるシグナル配列を有しない)
Figure 2015502958
SEQ ID NO:27 FZD8-Fc変種54F19、54F20、54F24、54F26、54F28、54F30、54F32、54F34および54F35アミノ酸配列(予測されるシグナル配列を有しない)
Figure 2015502958
SEQ ID NO:28 シグナル配列を有するFZD8-Fc変種54F03アミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:29 シグナル配列を有するFZD8-Fc変種54F16アミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:30 シグナル配列を有するFZD8-Fc変種54F26
Figure 2015502958
SEQ ID NO:31 シグナル配列を有するFZD8-Fc変種54F28
Figure 2015502958
SEQ ID NO:32 ヒトWnt1 C末端システインリッチドメイン(アミノ酸番号288〜370)
Figure 2015502958
SEQ ID NO:33 ヒトWnt2 C末端システインリッチドメイン(アミノ酸番号267〜360)
Figure 2015502958
SEQ ID NO:34 ヒトWnt2b C末端システインリッチドメイン(アミノ酸番号298〜391)
Figure 2015502958
SEQ ID NO:35 ヒトWnt3 C末端システインリッチドメイン(アミノ酸番号273〜355)
Figure 2015502958
SEQ ID NO:36 ヒトWnt3a C末端システインリッチドメイン(アミノ酸番号270〜352)
Figure 2015502958
SEQ ID NO:37 ヒトWnt7a C末端システインリッチドメイン(アミノ酸番号267〜359)
Figure 2015502958
SEQ ID NO:38 ヒトWnt7b C末端システインリッチドメイン(アミノ酸番号267〜349)
Figure 2015502958
SEQ ID NO:39 ヒトWnt8a C末端システインリッチドメイン(アミノ酸番号248〜355)
Figure 2015502958
SEQ ID NO:40 ヒトWnt8b C末端システインリッチドメイン(アミノ酸番号245〜351)
Figure 2015502958
SEQ ID NO:41 ヒトWnt10a C末端システインリッチドメイン(アミノ酸番号335〜417)
Figure 2015502958
SEQ ID NO:42 ヒトWnt10b C末端システインリッチドメイン(アミノ酸番号307〜389)
Figure 2015502958
SEQ ID NO:43 リンカー
Figure 2015502958
SEQ ID NO:44 リンカー
Figure 2015502958
SEQ ID NO:45 リンカー
Figure 2015502958
SEQ ID NO:46 リンカー
Figure 2015502958
SEQ ID NO:47 リンカー
Figure 2015502958
SEQ ID NO:48 ヒトFZD1アミノ酸番号116〜227
Figure 2015502958
SEQ ID NO:49 ヒトFZD2アミノ酸番号39〜150
Figure 2015502958
SEQ ID NO:50 ヒトFZD3アミノ酸番号28〜133
Figure 2015502958
SEQ ID NO:51 ヒトFZD4アミノ酸番号48〜161
Figure 2015502958
SEQ ID NO:52 ヒトFZD5アミノ酸番号33〜147
Figure 2015502958
SEQ ID NO:53 ヒトFZD6アミノ酸番号24〜129
Figure 2015502958
SEQ ID NO:54 ヒトFZD7アミノ酸番号49〜160
Figure 2015502958
SEQ ID NO:55 ヒトFZD8アミノ酸番号35〜148
Figure 2015502958
SEQ ID NO:56 ヒトFZD9アミノ酸番号39〜152
Figure 2015502958
SEQ ID NO:57 ヒトFZD10アミノ酸番号34〜147
Figure 2015502958
SEQ ID NO:58 予測されるシグナル配列を有しないヒトFZD8 Friドメインアミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:59 ヒトIgG1 Fc領域
Figure 2015502958
SEQ ID NO:60 予測されるシグナル配列を有しない18R5重鎖アミノ酸配列
Figure 2015502958
SEQ ID NO:61 予測されるシグナル配列を有しない18R5軽鎖アミノ酸配列
Figure 2015502958

Claims (64)

  1. ***促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象におけるがんを処置する方法。
  2. MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象における腫瘍成長を阻害する方法。
  3. MAPK経路阻害剤の有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の有効量と腫瘍細胞を接触させる段階を含む、腫瘍成長を阻害する方法。
  4. Wnt経路阻害剤が、
    (a) 抗体、
    (b) 少なくとも1種のfrizzled(FZD)タンパク質もしくはその部分を特異的に結合する抗体、または
    (c) 可溶性受容体
    である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. 抗体が、
    (a) FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、およびFZD10からなる群より選択される少なくとも1種のFZDタンパク質、
    (b) FZD1、FZD2、FZD5、FZD7、および/もしくはFZD8、または
    (c) FZD1、FZD2、FZD5、FZD7、およびFZD8
    を特異的に結合する、請求項4記載の方法。
  6. 抗体が、
    (a)
    Figure 2015502958
    を含んだ重鎖CDR1、
    Figure 2015502958
    を含んだ重鎖CDR2、および
    Figure 2015502958
    を含んだ重鎖CDR3、ならびに
    (b)
    Figure 2015502958
    を含んだ軽鎖CDR1、
    Figure 2015502958
    を含んだ軽鎖CDR2、および
    Figure 2015502958
    を含んだ軽鎖CDR3
    を含む、請求項4または請求項5記載の方法。
  7. 抗体が、
    (a) SEQ ID NO:3と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域、および/または
    (b) SEQ ID NO:4と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域
    を含む、請求項4〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 抗体が、
    (a) SEQ ID NO:3を含んだ重鎖可変領域、および/または
    (b) SEQ ID NO:4を含んだ軽鎖可変領域
    を含む、請求項4〜6のいずれか一項記載の方法。
  9. 抗体が、
    (a) SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:60から本質的になる重鎖、および
    (b) SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:61から本質的になる軽鎖
    を含む、請求項4〜6のいずれか一項記載の方法。
  10. 抗体が18R5である、請求項4〜6のいずれか一項記載の方法。
  11. Wnt経路阻害剤がWnt結合剤である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  12. Wnt結合剤が、
    (a) 抗体、
    (b) Wnt1、Wnt2、Wnt2b、Wnt3、Wnt3a、Wnt7a、Wnt7b、Wnt8a、Wnt8b、Wnt10a、およびWnt10bからなる群より選択される少なくとも1種のWntタンパク質を特異的に結合する抗体、または
    (c) 可溶性受容体
    である、請求項11記載の方法。
  13. 抗体が、モノクローナル抗体、組み換え抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗原結合部位を含む抗体断片、二重特異性抗体、IgG1抗体、またはIgG2抗体である、請求項4〜9または12のいずれか一項記載の方法。
  14. 可溶性受容体がヒトFZDタンパク質のFriドメインを含む、請求項4または請求項12記載の方法。
  15. ヒトFZDタンパク質のFriドメインが、FZD1のFriドメイン、FZD2のFriドメイン、FZD3のFriドメイン、FZD4のFriドメイン、FZD5のFriドメイン、FZD6のFriドメイン、FZD7のFriドメイン、FZD8のFriドメイン、FZD9のFriドメイン、またはFZD10のFriドメインを含む、請求項14記載の方法。
  16. ヒトFZDタンパク質のFriドメインがFZD8のFriドメインから本質的になる、請求項15記載の方法。
  17. ヒトFZDタンパク質のFriドメインが、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、およびSEQ ID NO:58からなる群より選択される配列を含む、請求項14記載の方法。
  18. ヒトFZDタンパク質のFriドメインが、SEQ ID NO:18またはSEQ ID NO:58から本質的になる、請求項17記載の方法。
  19. ヒトFZDタンパク質のFriドメインが、非FZDポリペプチドに直接連結されているか、またはリンカーによって非FZDポリペプチドに接続されている、請求項14〜18のいずれか一項記載の方法。
  20. 非FZDポリペプチドがヒトFc領域を含む、請求項19記載の方法。
  21. 非FZDポリペプチドが、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59から本質的になる、請求項19または請求項20記載の方法。
  22. Wnt結合剤が、
    (a) SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、またはSEQ ID NO:58から本質的になる第1のポリペプチド、および
    (b) SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59から本質的になる第2のポリペプチド
    を含み、
    第1のポリペプチドが第2のポリペプチドに直接連結されているか、または第1のポリペプチドがリンカーによって第2のポリペプチドに接続されている、
    請求項11記載の方法。
  23. 第1のポリペプチドがSEQ ID NO:18またはSEQ ID NO:58から本質的になる、請求項22記載の方法。
  24. 第1のポリペプチドがSEQ ID NO:18から本質的になり、かつ第2のポリペプチドがSEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、またはSEQ ID NO:59から本質的になる、請求項22記載の方法。
  25. 第1のポリペプチドがSEQ ID NO:58から本質的になり、かつ第2のポリペプチドがSEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、またはSEQ ID NO:59から本質的になる、請求項22記載の方法。
  26. Wnt結合剤がSEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、またはSEQ ID NO:27を含む、請求項11記載の方法。
  27. Wnt結合剤がSEQ ID NO:27を含む、請求項11記載の方法。
  28. Wnt結合剤が54F28である、請求項11記載の方法。
  29. MAPK経路阻害剤が、MEK阻害剤、Ras阻害剤、Raf阻害剤、およびERK阻害剤からなる群より選択される、請求項1〜28のいずれか一項記載の方法。
  30. MAPK経路阻害剤がMEK阻害剤である、請求項29記載の方法。
  31. MEK阻害剤が、BAY 86-9766 (RDEA119)、PD0325901、CI-1040、PD98059、PD318088、GSK1120212 (JTP-74057)、AZD8330 (ARRY-424704)、AZD6244 (ARRY-142886)、ARRY-162、ARRY-300、AS703026、U0126、CH4987655、およびTAK-733からなる群より選択される、請求項30記載の方法。
  32. MEK阻害剤がBAY 86-9766である、請求項31記載の方法。
  33. MAPK経路阻害剤がRaf阻害剤である、請求項29記載の方法。
  34. Raf阻害剤が、GDC-0879、PLX-4720、PLX-4032 (ベムラフェニブ)、RAF265、BAY 73-4506、BAY 43-9006 (ソラフェニブ)、SB590885、XL281 (BMS-908662)、およびGSK 2118436436からなる群より選択される、請求項33記載の方法。
  35. 腫瘍/がんが、メラノーマ、結腸腫瘍/がん、膵臓腫瘍/がん、肺腫瘍/がん、肝臓腫瘍/がん、および***腫瘍/がんからなる群より選択される、請求項1〜34のいずれか一項記載の方法。
  36. 腫瘍またはがんが、野生型Raf、変異体Raf、野生型Ras、または変異体Rasを発現する、請求項1〜34のいずれか一項記載の方法。
  37. 腫瘍またはがんが野生型B-Rafを含む、請求項1〜35のいずれか一項記載の方法。
  38. 腫瘍またはがんがB-Raf変異を含む、請求項1〜35のいずれか一項記載の方法。
  39. B-Raf変異が、アミノ酸位置番号600でのバリンからグルタミン酸塩への変異(B-RafV600E)である、請求項38記載の方法。
  40. 腫瘍またはがんがN-Ras変異またはK-Ras変異を含む、請求項1〜35のいずれか一項記載の方法。
  41. PCRに基づくアッセイ法またはヌクレオチド配列決定法によりサンプルにおいてRafおよびRas状態が検出される、請求項36〜40のいずれか一項記載の方法。
  42. サンプルが、新鮮サンプル、凍結サンプル、またはホルマリン固定パラフィン包埋サンプルである、請求項41記載の方法。
  43. 腫瘍またはがんが少なくとも1種のB-Rafキナーゼ阻害剤に対して実質的に無反応性である、請求項1〜40のいずれか一項記載の方法。
  44. (a) MAPK経路における変異を含んだ腫瘍またはがんを対象が有するかどうか判定する段階、および
    (b) MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階
    を含む、ヒト対象を処置する方法。
  45. (a) 野生型B-RafまたはB-Raf変異を含む腫瘍またはがんを対象が有することに少なくとも部分的に基づいて、処置に向けて対象を選択する段階、および
    (b) MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階
    を含む、ヒト対象を処置する方法。
  46. MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、野生型B-Rafを含んだ腫瘍またはがんを有するヒト対象を処置する方法。
  47. MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性である腫瘍またはがんを有するヒト対象を処置する方法。
  48. (a) 少なくとも1種のB-Raf阻害剤に対して実質的に無反応性である腫瘍またはがんを対象が有することに少なくとも部分的に基づいて、処置に向けて対象を選択する段階、および
    (b) MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階
    を含む、ヒト対象を処置する方法。
  49. MAPK経路阻害剤の治療的有効量と組み合わせてWnt経路阻害剤の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、B-Raf変異を含んだ腫瘍またはがんを有するヒト対象を処置する方法。
  50. Wnt経路阻害剤が、
    (a)
    Figure 2015502958
    を含んだ重鎖CDR1、
    Figure 2015502958
    を含んだ重鎖CDR2、および
    Figure 2015502958
    を含んだ重鎖CDR3、ならびに
    (b)
    Figure 2015502958
    を含んだ軽鎖CDR1、
    Figure 2015502958
    を含んだ軽鎖CDR2、および
    Figure 2015502958
    を含んだ軽鎖CDR3
    を含む抗体である、請求項44〜49のいずれか一項記載の方法。
  51. Wnt経路阻害剤が、
    (a) SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、またはSEQ ID NO:58から本質的になる第1のポリペプチド、および
    (b) SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、またはSEQ ID NO:59から本質的になる第2のポリペプチド
    を含む可溶性受容体であり、
    第1のポリペプチドが第2のポリペプチドに直接連結されているか、または第1のポリペプチドがリンカーによって第2のポリペプチドに接続されている、
    請求項44〜49のいずれか一項記載の方法。
  52. Wnt経路阻害剤が、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:26、またはSEQ ID NO:25を含む可溶性受容体である、請求項44〜49のいずれか一項記載の方法。
  53. Wnt経路阻害剤が、SEQ ID NO:27を含む可溶性受容体である、請求項44〜49のいずれか一項記載の方法。
  54. Wnt経路阻害剤が可溶性受容体54F28である、請求項44〜49のいずれか一項記載の方法。
  55. MAPK経路阻害剤が、MEK阻害剤、Ras阻害剤、Raf阻害剤、およびERK阻害剤からなる群より選択される、請求項44〜54のいずれか一項記載の方法。
  56. MAPK経路阻害剤がMEK阻害剤である、請求項55記載の方法。
  57. MEK阻害剤が、BAY 86-9766 (RDEA119)、PD0325901、CI-1040、PD98059、PD318088、GSK1120212 (JTP-74057)、AZD8330 (ARRY-424704)、AZD6244 (ARRY-142886)、ARRY-162、ARRY-300、AS703026、U0126、CH4987655、およびTAK-733からなる群より選択される、請求項56記載の方法。
  58. MAPK経路阻害剤がRaf阻害剤である、請求項55記載の方法。
  59. Raf阻害剤が、GDC-0879、PLX-4720、PLX-4032 (ベムラフェニブ)、RAF265、BAY 73-4506、BAY 43-9006 (ソラフェニブ)、SB590885、XL281 (BMS-908662)、およびGSK 2118436436からなる群より選択される、請求項58記載の方法。
  60. MEK阻害剤と組み合わせて抗FZD抗体の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象におけるメラノーマ腫瘍の成長を阻害する方法。
  61. MEK阻害剤BAY 86-9766と組み合わせて抗FZD抗体18R5の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象におけるメラノーマ腫瘍の成長を阻害する方法。
  62. MEK阻害剤と組み合わせてFZD-Fc可溶性受容体の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象におけるメラノーマ腫瘍の成長を阻害する方法。
  63. MEK阻害剤BAY 86-9766と組み合わせてFZD8-Fc可溶性受容体の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象におけるメラノーマ腫瘍の成長を阻害する方法。
  64. さらなる治療剤を投与する段階をさらに含む、請求項1〜63のいずれか一項記載の方法。
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