JP2015501848A - ギ酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

ギ酸および第三級アミン(I)を含む流の熱分離によるギ酸の取得方法であって、第三級アミン(I)とギ酸源とを水の存在下に合することにより、ギ酸、第三級アミン(I)および水を含む液体流を生成し、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物を除去して、この得られた液体流から蒸留装置においてギ酸を蒸留により除去し、ここで、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物を含む前記分離された流を2つの相に分離し、上部液相を除去して、水を含む下部液相をギ酸源に返送する前記方法。

Description

本願は、参照により2011年12月20日提出の米国仮特許出願第61/577,703を組み込んでいる。
本発明は、ギ酸および第三級アミン(I)を含む流の熱分離によるギ酸の取得方法に関し、この方法では、水の存在下に第三級アミン(I)とギ酸源とを合することにより、ギ酸、第三級アミン(I)および水を含む液体流を、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比0.5〜5で生成し、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物を除去して、得られた前記液体流から、蒸留装置において、100〜300℃の塔底温度および30〜3000hPa(絶対圧)の圧力でギ酸を蒸留により除去する。
ギ酸は、重要かつ広範囲に使用可能な生成物である。ギ酸は、例えば、飼料の製造での酸性化に、保存料として、殺菌剤として、テキスタイル産業および皮革産業における助剤として、航空機および離着陸用滑走路の霜取りのための、ギ酸の塩として、ならびに化学産業での合成成分として使用される。
現在おそらく最も慣用なギ酸の製造方法は、例えば、メタノールおよび一酸化炭素から得ることができるギ酸メチルの加水分解である。加水分解により得られた水性ギ酸は、次に、例えば、抽出助剤、例えばジアルキルホルムアミドの使用下に濃縮される(DE2545658A1)。
その他に、ギ酸と第三級窒素塩基とからの化合物の熱分解によるギ酸の取得も公知である。この化合物は、一般に、第三級窒素塩基の酸性のギ酸アンモニウムであり、ここで、ギ酸は、典型的な塩化の段階を越えて第三級窒素塩基と反応して、安定した、水素結合で架橋された付加化合物になった。ギ酸と第三級窒素塩基とからの付加化合物は、第三級窒素塩基とギ酸源とを合することにより形成することができる。例えば、WO2006/021411は、このような付加化合物の製造であって、一般に(i)第三級窒素塩基とギ酸との直接反応による、(ii)第三級窒素塩基の存在下での、二酸化炭素のギ酸への遷移金属触媒を用いる水素化による、(iii)ギ酸メチルと水との反応、および引き続く、形成されたギ酸の第三級窒素塩基を用いる抽出による、ならびに(iv)第三級窒素塩基の存在下での、ギ酸メチルと水との反応による、前記製造を開示している。
ギ酸を取得するための、ギ酸と第三級窒素塩基とからの付加化合物の使用での一般的な利点は、この付加化合物が、ギ酸を遊離ギ酸として溶媒、例えばギ酸が化学合成によって初めて形成される反応溶媒から、または例えば希釈されたギ酸溶液から除去して、それによりギ酸をその付加化合物の形態で比較的容易に分離できるに足りるほど強くギ酸をまず結合している一方で、他方、ギ酸を濃縮および洗浄して遊離した形態で取得するために、ギ酸を次に前記付加化合物から熱分解により再び分離するに足りるほどに弱いことである。
EP0001432Aは、第三級アミン、特にアルキルイミダゾールの存在下で、ギ酸と第三級アミンとからの付加化合物の形成下に、ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得方法を開示している。得られる加水分解混合物は、未反応のギ酸メチル、水、メタノール、付加化合物および第三級アミンを含んでいて、第一の蒸留塔で易沸物のギ酸メチルおよびメタノールが除去される。第二の塔では、残留する塔底生成物が脱水される。第二の塔の脱水された塔底生成物は、なおも付加化合物および第三級アミンを含んでいて、次に第三の塔に供給され、その中で前記付加化合物は熱によりギ酸と第三級アミンとに分解される。遊離されたギ酸は、塔頂生成物として除去される。前記第三級アミンは、塔底にたまり、加水分解に返送される。
DE3428319Aは、ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得方法を開示している。得られた加水分解混合物は、未反応のギ酸メチル、水、メタノールおよびギ酸を含んでいて、第一の蒸留塔で、易沸物のギ酸メチルおよびメタノールが除去される。塔底で生じる水性ギ酸は、引き続き比較的高沸性のアミン、特に長鎖の疎水性のC6〜C14−トリアルキルアミンによって、さらなる疎水性溶媒、特に脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素または芳香族炭化水素の存在下に抽出されて、ここで、ギ酸とアミンとからの水性の付加化合物に変換される。この付加化合物は、第二の蒸留塔で脱水される。塔底で生じる、脱水された付加化合物は、ここで、DE3428319Aの教示によれば、蒸留塔(図1で「K4」と示されている)の最上床に供給されて、熱分解される。前記疎水性溶媒は、前記塔の塔頂にも塔底にも存在している。気体状の塔頂流は、疎水性溶媒の他に、とりわけ遊離されたギ酸を含んでいる。この流は、凝縮器内で再び液化される。ここで、二つの相、すなわち極性のギ酸相および疎水性の溶媒相が形成する。このギ酸相は、生成物として放出されて、前記溶媒相は、還流として前記塔に返送される。前記疎水性溶媒の存在により、前記付加物の完全な分解が達成され、これは、前記DE公開特許文献の教示によれば、ギ酸の分解なしに行われるとされている。(ほぼ)ギ酸を含んでいない塔底物は、疎水性アミンならびに疎水性溶媒を含んでいる。この塔底物は、抽出段階に返送される。
EP0181078AおよびEP0126524Aは、ギ酸の取得方法であって、遷移金属触媒および第三級アミン、例えば、C1〜C10−トリアルキルアミンの存在下に、ギ酸と第三級アミンとからの付加化合物の形成下での二酸化炭素の水素化、前記触媒と前記易沸物の分離下での水素化流出物の後処理、最初の第三級アミンの分離下、および後続の、新たに形成された付加化合物の蒸留塔における熱分解下での、比較的弱い、より高沸性の第三級アミン、特にアルキルイミダゾールとのアミン塩基の交換、による前記方法を記載している。そのためには、EP0181078Aの図1によれば、ギ酸およびアミンを含む流は、塔「30」の中央部分に供給される。熱分解で遊離されるギ酸は、塔頂生成物として除去される。比較的弱く、より高沸性の第三アミンは、塔底にたまり、塩基交換段階に返送される。
WO2008/116799は、遷移金属触媒、高沸性の極性溶媒、例えば、アルコール、エーテル、スルホラン、ジメチルスルホキシド、またはアミド、および少なくとも1つのヒドロキシ基を有する、極性アミンの存在下に、ギ酸とアミンとからの付加化合物の形成下での、二酸化炭素の水素化によるギ酸の取得方法を開示している。WO2008/116799の教示によれば、水素化流出物は、前記付加化合物の熱分解のために、蒸留装置に直接供給してよい。この蒸留装置は、蒸留塔および、短い滞留時間が所望される場合は、薄膜蒸発器または流下薄膜蒸発器を含んでいてもよい。遊離されたギ酸は、塔頂生成物として除去される。前記極性アミンおよび極性溶媒、ならびに場合により分離されていない触媒は、塔底にたまり、水素化段階に返送されてよい。
WO2006/021411は、ギ酸と第三級アミン(第四級ギ酸アンモニウム)とからの付加化合物の熱分解によるギ酸の取得方法を記載していて、ここで、第三級アミンは、105〜175℃の沸点を有している。好ましい第三級アミンとしてアルキルピリジンが挙げられる。第三級アミンの特別な沸点範囲により、取得したギ酸の色彩安定性(Farbstabilitaet)が高められる。使用される付加化合物は、ここで、一般的に第三級アミンとギ酸源とから取得することができる。有利には、前記付加合成からの流出物は、まず揮発性の成分が除去されて、次に熱分解に供給される。熱分解は、通常の通り、蒸留塔で行われ、ここで、ギ酸およびアミンを含む流は、WO2006/021411の図1によれば、塔(C)の中央部分に供給される。遊離されたギ酸は、塔頂生成物として除去される。場合により、ギ酸の残りをなおも含んでいることがある第三級アミンは、塔底にたまり、ギ酸源に返送されてよい。
EP0563831Aは、ギ酸の取得下での、ギ酸と第三級アミン(第四級ギ酸アンモニウム)とからの付加化合物を熱分解するための改良された方法を記載している。この使用される付加化合物は、ここで一般的に、第三級アミンとギ酸源とから得ることができる。有利には、前記合成の流出物は、まず揮発性成分が除去されて、次に、熱分解のために、蒸留塔の中央に供給される。この改良は、実質的に、取得されたギ酸の色彩安定性を高める第二級ホルムアミドの存在下に前記付加化合物の熱分解を実施する、ということにある。遊離されたギ酸は、塔頂生成物として除去される。第三級アミンならびに第二級ホルムアミドは、塔底にたまり、ギ酸源に返送されてよい。
PCT/EP2011/060770は、ギ酸および第三級アミン(I)を含む流の熱分離によるギ酸の取得方法を教示しており、ここで、第三級アミン(I)とギ酸源とを合することにより、0.5〜5のモル比のギ酸および第三級アミン(I)を含む液体流を生成し、その中に含まれている副成分の10〜100質量%を分離して、得られた前記液体流から蒸留装置において100〜300℃の塔底温度および30〜3000hPa(絶対圧)の圧力でギ酸を蒸留により除去し、ここで、前記蒸留装置の塔底流出物を2つの液相に分離して、そのうち上部液相は第三級アミン(I)が富化されていて、ギ酸源に返送され、下部液相は、ギ酸が富化されていて、副成分の分離のために、および/または蒸留装置に返送される。
本発明の課題は、先行技術と比べて利点を有していて、ギ酸を高い収率および高い濃度で得ることができる、ギ酸および第三級アミンを含む流の熱分離による、ギ酸の取得のための改良された方法を見出すことであった。特に、この改良された方法は、より長い運転時間に及んでも安定して機能し、一定して高い純度のギ酸を製造するものである。前記方法は、当然、できる限り容易に、およびまたできる限りエネルギー効率良く実施できるものである。
驚くべきことに、ギ酸および、1013hPa(絶対圧)の圧力で、ギ酸より少なくとも5℃高い沸点を有する第三級アミン(I)を含む流の熱分離によるギ酸の取得方法が見出され、
(a)第三級アミン(I)とギ酸源とを水の存在下に合することにより、ギ酸、第三級アミン(I)および水を含んでいて、かつギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比を0.5〜5有している液体流を生成し;
(b)工程(a)から得られた液体流から、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物を分離して、ここで、第三級アミン(I)の有機分解生成物は、すでに工程(a)で供給された第三級アミン(I)に含まれていた、および/または前記方法の過程で当該工程(b)までに生じたものであり、ギ酸および第三級アミン(I)を含む、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物が富化されている液体流を得て;そして
(c)工程(b)から得られた、ギ酸および第三級アミン(I)を含む液体流から、蒸留装置において、100〜300℃の塔底温度および30〜3000hPa(絶対圧)の圧力でギ酸を蒸留により除去する;
前記方法において、
(b1)工程(b)で分離された、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物を含む流を2つの液相に分離し;
(b2)第三級アミン(I)の有機分解生成物が富化されている上部液相を除去し;そして
(b3)水を含む下部液相を工程(a)に返送する、
ことを特徴とする。
本発明による方法において工程(a)で使用される第三級アミン(I)は、1013hPa(絶対圧)の圧力で、ギ酸より少なくとも5℃高い沸点を有している。この使用される第三級アミン(I)は、ギ酸より少なくとも10℃、特に好ましくは少なくとも50℃、殊に好ましくは少なくとも100℃高い沸点を有しているのが好ましい。沸点の上限値に関する制約は不必要である、それというのは、本発明による方法の場合、第三級アミン(I)のできる限り低い蒸気力が基本的に利点であるからである。一般に、第三級アミン(I)の沸点は、場合により公知の方法によれば、真空から1013hPa(絶対圧)までに外挿された圧力で、500℃を下回る。
工程(a)に記載のギ酸源とは、ギ酸を、希釈された形態で、混入された形態で、および/または化学的に結合された形態で含んでいる物質流(Stoffstrom)、またはギ酸を化学反応により生成する前駆体を含んでいる物質流と理解される。最終的に、ギ酸源は、工程(a)において、ギ酸の直接または間接的な供給を保証するものである。化学的に結合された形態での添加は、例えば、錯体の形態で、塩の形態で、またはギ酸と第三級アミン(I)とは別のアミンとの付加化合物の形態で行われてよい。化学反応として、基本的に、ギ酸が生成されるあらゆる化学反応が考慮される。しかし、本願出願の時点では、ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の生成、ならびに二酸化炭素の遷移金属触媒による水素化によるギ酸の生成が、特に技術的に意義がある。前記両方の合成の方策は、当業者に公知であり、種々の別形および実施態様としてすでに記載されている。化学反応によるギ酸の生成のためのさらなる技術的に関連する方法は、例えば、同じく一酸化炭素と水との直接反応である。
ギ酸メチルの加水分解の場合、通常、加水分解により形成されたギ酸を、第三級アミン(I)によって付加化合物の形態で捕捉し、このようにして加水分解平衡から取り除くため、ギ酸メチル、水および第三級アミン(I)を一緒に、または順番に加水分解反応器に入れる。それにより、高い変換率のギ酸メチルが取得可能であり、未反応の水の特に有利な分離は、後続の蒸留により可能である。
二酸化炭素の遷移金属触媒による水素化の場合、一般に、すでに水素化でギ酸および第三級アミン(I)を含む流を形成するため、第三級アミン(I)を水素化反応器に加える。
工程(a)では、ギ酸および第三級アミン(I)を含む流を、水および第三級アミン(I)の存在下に、ギ酸メチルの加水分解により生成することが好ましい。さらに、工程(a)において、ギ酸および第三級アミン(I)を含む流を、希釈されたギ酸から、濃縮により、第三級アミン(I)の存在下に生成することが好ましい。しかし、工程(a)では、ギ酸および第三級アミン(I)を含む流を、水および第三級アミン(I)の存在下に、ギ酸メチルの加水分解により生成することが特に好ましい。
工程(a)で第三級アミン(I)とギ酸源とを合する場合の水の含有量は、工程(a)で生成された液体流が、ギ酸および第三級アミン(I)の他に水も含んでいるように調整されなければならない。つまり、使用する水の量については、ギ酸を化学的に結合された形態で含んでいるギ酸源、またはギ酸を化学反応によって初めて生成する前駆体を含んでいるギ酸源の添加の場合、水もギ酸の遊離に必要になるか、または必要にならないかを考慮すべきである。したがって、例えば一酸化炭素と水とからギ酸を製造する場合、ならびに当然、ギ酸メチルの好ましい加水分解の場合も、そのつど水が、ギ酸の製造のために化学的に消費される。それに応じて、水を添加する場合、化学的に消費される水の量が一緒に考慮されなければならない。
第三級アミン(I)とギ酸源とを合することは、最も多様な方法で行われてよい。ギ酸源が、ギ酸を希釈された形態、混入された形態および/または化学結合された形態で含んでいる物質流である場合、しばしば、第三級アミン(I)との、好ましくは混合下での、単なる接触だけで充分である。これは、例えば、好ましくは好適な混合−構成体を含む管で行うことができる。前記接触は、同じく、別の装置、例えば、撹拌槽で行うこともできる。ギ酸源に段階的に第三級アミン(I)を添加する、またはその反対に第三級アミン(I)に段階的にギ酸源を添加するように段階的に合することも可能であり、場合によりむしろ有利である。ギ酸源が、ギ酸を化学反応によって初めて複数の物質から生成する物質流である場合、一般に、反応器内で個々の成分を一緒にすることによって初めてギ酸源を生成することが有利である。反応塔として、ここで、特に当業者に反応塔の種類として公知の反応塔が考慮される。第三級アミン(I)は、ここで、例えばすでに装入されていてよく、ギ酸源の個々の成分と同時平行に供給されてよく、化学反応の過程で供給されてよく、または化学反応の最後に初めて供給されてよい。これらの個々の工程を複数の反応器に割り振ることも可能である。第三級アミン(I)とギ酸源とを合する発熱反応により、前記装置そのもの、またはそこから得られる流を冷却することが有利でありうる。
第三級アミン(I)とギ酸源とを合するための好適な作業方法は、通常の専門知識を用いて大規模な費用をかけずに求められる。
工程(a)で第三級アミン(I)とギ酸源とを合する際に生成される液体流は、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比を0.5〜5有している。このモル比は、好ましくは1以上ならびに好ましくは3以下である。このモル比は、前記液体流全体が、単相または多相で存在しているかにかかわらず、この液体流全体に対するものである。
ギ酸、第三級アミン(I)および水を含む、工程(a)で生成された液体流は、一般に、第三級アミン(I)を含めたギ酸の濃度を、この流の総量に対して1〜99質量%有している。この流は、第三級アミン(I)を含めたギ酸の濃度を5質量%以上、特に好ましくは15質量%以上、ならびに好ましくは95質量%以下、特に好ましくは90質量%以下有している。前記流の100質量%までの残りの含分は、本願記載のさらなる過程でさらに定義されている通り、水、場合により第三級アミン(I)の有機分解生成物および副成分から構成される。この残りの含分に対して、水の質量による割合は、一般に、1〜100%未満、好ましくは5%以上、特に好ましくは10%以上ならびに好ましくは99%以下、特に好ましくは95%以下である。
工程(a)から得られる、液体で、ギ酸および第三級アミン(I)の他に水も含む流から、ギ酸を濃縮するには、水を分離するのが適切である。驚くべきことに、ここで、本発明の範囲において、前記工程において、水の他に第三級アミン(I)の有機分解生成物も分離することが可能であり、かつ特に有利でもあることが判明した。したがって、本発明による方法において工程(b)では、工程(a)で得られた液体流から水および第三級アミン(I)の有機分解生成物が分離され、ここで、第三級アミン(I)の有機分解生成物は、すでに工程(a)において供給された第三級アミン(I)に含まれていた、および/または前記方法の過程で当該工程(b)までに生じたものであり、それによって水および第三級アミン(I)の有機分解生成物が富化されている、ギ酸および第三級アミン(I)を含む液体流が得られる。
第三級アミン(I)の有機分解生成物の概念とは、ここで、第三級アミン(I)の化学的転移下で、もともと存在している結合の分離下に、窒素−炭素結合の新たな結合下に、または窒素に結合している残基の化学的転移下に生じる化合物と理解される。したがって、本発明の範囲では、第三級アミン(I)は、例えば、ギ酸の存在下に、高められた温度および高められた圧力下で、本発明による方法の個々の段階に存在する通り、相応の、第三級アミン(I)の基でN,N−置換されたホルムアミドと、相応の、第三級アミン(I)の別の基を含むギ酸塩に分解される傾向があることが判明した。3つの同一の基Rを有する第三級アミン(I)、例えばC5〜C8−アルキルの場合、前記分解反応は例えば、以下の通りである:
Figure 2015501848
ここで、相応のジアルキルホルムアミドおよび相応のギ酸アルキルが、第三級アミン(I)の有機分解生成物として生じる。さらに本発明の範囲では、第三級アミン(I)が、例えば、ギ酸および微量の酸素の存在下に、高められた温度下で、本発明による方法の個々の段階で存在しうる通り、相応の、第三級アミン(I)の基でN,N−置換されたホルムアミドと、別な基から生じたアルデヒドとに分解する傾向があることが判明した。3つの同一の基CH2−Rを有する第三級アミン(I)、例えばC5〜C8−アルキルの場合、前記分解反応は、例えば以下の通りである:
Figure 2015501848
ここで、相応のジアルキルホルムアミドおよび相応のアルカナールは、第三級アミン(I)の有機分解生成物として生じる。
本発明による方法で分離される、第三級アミン(I)の有機分解生成物は、すでに工程(a)で供給された第三級アミン(I)に含まれているか、および/または前記方法の過程で当該工程(b)までに初めて形成される。したがって、例えば、工程(a)で供給された第三級アミン(I)は、その製造または前処理のゆえに第三級アミン(I)の種々の有機分解生成物をすでに含んでいることがありうる。これは、一般に、工程(c)でギ酸の蒸留による除去後に得られた第三級アミン(I)を工程(a)に返送する場合である。しかし、第三級アミン(I)の分離される有機分解生成物が、単独で、またはすでに第三級アミン(I)に供給されたものに加えて、相応の条件の場合に、工程(a)で初めて生じる、および/または工程(b)で水を分離する場合に初めて生じる、および/または工程(a)と工程(b)との間の任意の中間工程で生じることもありうる。
本発明による方法での工程(b)において通常分離される第三級アミン(I)の有機分解生成物の量は、前記方法の実施に応じて非常に異なっていてよい。このために重要であるのは、とりわけ使用された第三級アミン(I)の純度、工程(c)で得られた第三級アミン(I)が返送されるか、返送されないかという事実、前記方法におけるさらなる条件(例えば、個々の方法工程における温度、圧力、酸素の存在、濃度比など)である。一般に、本発明による方法での工程(b)において、第三級アミン(I)の有機分解生成物の、工程(b)に供給される流全体の量の5質量ppm〜5質量%に相当する量が分離される。流全体とは、ここで、工程(b)に供給されるすべての、つまり、ギ酸、第三級アミン(I)、水および場合によりさらなる成分も含めた流と理解される。好ましくは、10質量ppm以上、特に好ましくは30質量ppm以上、ならびにさらに好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下が分離される。
第三級アミン(I)の有機分解生成物は、本発明による分離がなければ、前記方法に不都合に影響することがある。したがって、前記有機分解生成物は、例えば種類および濃度に応じて、工程(c)で蒸留により取得されるギ酸の純度に悪影響を及ぼす、または高い純度を保証するために、例えば工程(c)で比較的費用のかかる蒸留装置(比較的多数の理論分離段の必要性)またはむしろ別個の後続蒸留を前提とすることがある。さらに、第三級アミン(I)の有機分解生成物は、工程(c)でギ酸を蒸留により除去した後に得られる第三級アミン(I)を工程(a)に返送する場合、前記方法において蓄積し(aufpegeln)、取得されるギ酸の純度に関して前述の不都合な効果を著しく増大することがある。さらに、本発明の範囲では、驚くべきことに、本願のさらに下方に記載の、工程(c)の蒸留装置からの塔底物が2つの相に分離して、別個に前記方法の別の場所に返送される、さらなる特に好ましい別形の場合、相分離の特質が、第三級アミン(I)の有機分解生成物の含有量の増加とともに伴いそこなわれて、両方の相がますます混合する、もしくは極端な場合、相分離がむしろ全く行われないことが判明した。その結果として、前記両方の返送流中では、比較的高い含有量の、この流中の不所望の成分が運ばれ、前記方法においてこの物質流の一般的な増加がもたらされ、それゆえ最終的に、運転のために比較的大きな装置および電力も、比較的高い所要エネルギーも前提とされる。
さらに、本発明の範囲では、驚くべきことに、工程(b)で分離された、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物を含む流が、2つの液相に分離することが判明した。したがって、本発明の工程(b1)には、工程(b)で分離された水および第三級アミン(I)の有機分解生成物を含む流を、2つの液相に分離することが含まれる。第三級アミン(I)の有機分解生成物が富化されている上部液相は、工程(b2)で除去されて、水を含む下部液相は、工程(b3)において工程(a)に返送される。工程(b2)における、第三級アミン(I)の有機分解生成物が富化されている上部液相の除去は、ここで、例えば、連続または不連続に行われてよい。第三級アミン(I)の有機分解生成物の流出物は、次に、例えば、処理されてよく、ここで、熱利用も考慮される。しかし、場合により、前記流出物を合成のための出発材料または原材料として使用することも可能である。
工程(b)における、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物の、工程(a)で得られた液体流からの分離は、好ましくは蒸留により行われる。このための蒸留装置として、基本的にこのような分離課題に関して当業者に公知の、もしくは当業者の一般的な技能を用いて設計される装置が考慮される。塔底温度は、有利には、100〜300℃、好ましくは120〜290℃、特に好ましくは150〜280℃の範囲にあり、圧力は、有利には、100〜4000hPa(絶対圧)の範囲である。
工程(a)で得られた液体流から、工程(b)では、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物の他に、当然、以下に副生成物と簡略に呼ばれているさらなる成分を分離することもできる。副成分の概念とは、ここで、工程(a)で得られた液体流中に含まれているあらゆる成分と理解され、これらの成分は、ギ酸、第三級アミン(I)、水または第三級アミン(I)の有機分解生成物ではない。例として、例えばメタノール(特にギ酸メチルの加水分解の場合)、加水分解されていないギ酸メチル(特にギ酸メチルの加水分解の場合)、溶解された不活性ガス、均一触媒(特に、二酸化炭素の水素化の場合)、溶解された二酸化炭素もしくは溶解された水素(特に二酸化炭素の水素化の場合)、溶媒、その他の成分が挙げられる。
前記副成分の、場合による分離方法は、本発明による方法には重要ではない。したがって、例えば、液体の物質混合物を分離するための通常および公知の方法を使用してよい。まずは、ここで、蒸留による分離が挙げられる。したがって、例えば、易沸性の副成分、例えば、メタノールまたはギ酸メチルを、蒸留装置の塔頂を介して、または側方排出流として分離することができる。しかし、難沸性の副成分を塔底を介して、ならびにギ酸および第三級アミン(I)を含む混合物を側方流または塔頂生成物として分離することも考えられる。蒸留による分離の他に、膜処理法、吸収法、吸着法、結晶化法、ろ過法、沈降法または抽出法も可能である。
さらに、当然、種々の方法に基づきうる複数の分離工程を組み合わせてもよい。1つもしくは複数の分離工程の設計は、通常の専門知識を用いて行うことができる。
工程(b)における副生成物の可能な分離は、ここで、基本的に、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物の分離の前または後に行われてよい。この順序には、主に実用面、もしくは1つまたは複数の蒸留による工程を使用する場合、相応の物質特性が決定的である。ギ酸源としてのギ酸メチルの使用では、メタノールおよび/または未反応のギ酸メチルを蒸留により分離する場合、この分離は、沸点の位置のゆえに、例えば同じく、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物の蒸留による分離の前に行われる。
工程(b)で分離された水の量は、本発明による方法では、一般に、工程(a)からの流に含まれている水量の10〜100%である。工程(b)において、工程(a)からの流に含まれている水量の20%以上、特に好ましくは30%以上、ならびに好ましくは97%以下、特に好ましくは95%以下が分離されるのが好ましい。
工程(a)および工程(c)の間に、本発明による方法では、工程(b)と同時に、当然、さらなる方法工程を実施してもよい。
工程(b)から得られる液体流から、最終的に蒸留装置において、80〜300℃、好ましくは100〜300℃の塔底温度および30〜3000hPa(絶対圧)の圧力でギ酸が蒸留により除去される。このための蒸留装置として、基本的にこのような分離課題に関して当業者に公知の、もしくは当業者の一般的な技能を用いて設計される装置が考慮される。
通常、前記蒸留装置は、構成体を有する本来の塔体の他に、とりわけ塔頂凝縮器および塔底蒸発器を含んでいる。これに加えて、これらは、当然、さらなる周辺装置または内部構成体を含んでいてもよく、例えば、供給部のフラッシュ容器(Flashbehaelter)(例えば、塔体への供給部でガスと液体とを分離するための)、中間蒸発器(例えば、前記方法の改良された熱統合のための)、またはエアロゾル形成を防止もしくは低下させるための構成体(例えば、温度調節可能な床、デミスター、凝集器または深層拡散フィルター(Tiefbettdiffusionsfilter))を含んでいてよい。前記塔体には、例えば、充填物、不規則充填物または床が備え付けられていてよい。必要な分離段の数は、特に第三級アミン(I)の種類、工程(c)の蒸留装置の供給部でのギ酸および第三級アミン(I)の濃度、ならびにギ酸の所望の濃度もしくは所望の純度に左右され、当業者によって通常の方法で求められる。一般に、必要な分離段の数は、3以上、好ましくは6以上、特に好ましくは7以上である。基本的に上限は定められていない。しかし、実際上の理由から、一般的に70以下、場合により50以下の分離段、またはむしろ30以下の分離段を使用することが通常である。
工程(b)からの、ギ酸および第三級アミン(I)を含む流は、蒸留装置において、例えば側方流として塔体に供給されてよい。
場合により、前記添加に、例えばフラッシュ蒸発器が前接続されていてもよい。前記蒸留装置において、供給された流の熱負荷をできる限り小さく保つため、一般に、この流を前記蒸留装置のどちらかといえば下部に供給するのが有利である。したがって、工程(c)でギ酸および第三級アミン(I)を含む流を、当面の分離段の下四分の一の範囲に、好ましくは下五分の一の範囲に、特に好ましくは下六分の一の範囲に供給することが好ましく、ここで、当然、塔底への直接供給も一緒に含まれる。
しかし、それとは別に、工程(c)において、ギ酸および第三級アミン(I)を含む、工程(b)からの前記流を、前記蒸留装置の塔底蒸発器に供給することも好ましい。
前記蒸留装置は、100〜300℃の塔底温度および30〜3000hPa(絶対圧)の圧力で運転される。この蒸留装置は、塔底温度120℃以上、特に好ましくは140℃以上、ならびに好ましくは220℃以下、特に好ましくは200℃以下で運転されるのが好ましい。圧力は、好ましくは30hPa(絶対圧)以上、特に好ましくは60hPa(絶対圧)以上、ならびに好ましくは1500hPa(絶対圧)以下、特に好ましくは500hPa(絶対圧)である。
ギ酸および第三級アミン(I)を含む、前記蒸留装置への供給流の組成および起源に応じて、ギ酸を塔頂生成物および/または側方生成物として前記蒸留装置から得ることができる。この供給流が、ギ酸よりも易沸性の成分を含んでいるならば、場合により、この成分を塔頂生成物として、ギ酸を側方排出流として蒸留により分離するのが有利である。しかし、前記供給流に可能な限り溶解されたガス(例えば、一酸化炭素または二酸化炭素)の場合、一般に、ギ酸をこのガスと一緒に塔頂生成物として分離することも可能である。前記供給流が、ギ酸よりも高沸性の成分を含んでいるならば、ギ酸は、好ましくは塔頂生成物として、しかし、場合により、塔頂生成物の代わりに、またはさらに第二の流の形態で側方排出流として蒸留により分離される。ギ酸よりも高沸性のこの成分は、この場合、次に、さらなる側方流を介して取り除かれるのが好ましい。副成分を有する側方流は、場合により、この副成分を分離するため、工程(b)に返送されてよい。
このようにして、100質量%までの含有量のギ酸を取得することができる。一般に、75〜99.995質量%のギ酸含有量が、問題なく達成可能である。100質量%に不足している残留物含有量は、主に水であり、ここで、ギ酸および第三級アミン(I)の他に前記蒸留装置に導入される物質に応じて、当然、別の成分、例えば溶媒または考えられる分解生成物も可能である。このようにして、水は、例えば、すでに前記蒸留装置の供給流に含まれていることがあるが、場合により、熱による分離で初めて、ギ酸それ自体の分解により少量生じることもある。
含有量95〜100質量%の濃縮されたギ酸を、塔頂生成物または側方生成物として取得する場合、水は、分離されたギ酸の一部と一緒に側方流として排出される。この側方流のギ酸含有量は、典型的に75〜95質量%である。前記側方流からの水性ギ酸は、場合により、水を分離するために工程(b)に返送されてよい。
しかし、水および前記分離されたギ酸を、合わせて塔頂流または側方流として排出することも可能である。このようにして取得した生成物のギ酸含有量は、この場合、一般に85〜95質量%である。
特に、酸化により生じる第三級アミン(I)の有機分解生成物の形成を充分に抑制するには、とりわけ0.1MPa(絶対圧)を下回る圧力で前記蒸留装置を運転する場合、接続、接続用パイプ(Stutzen)およびフランジの数をできる限り少なくすることにより、設置時に特に慎重にすることにより、特に密なフランジ接続(例えば、カムプロファイルガスケット(Kammprofildichtungen)または溶接リップシール(Schweisslippendichtungen)を有するフランジ接続)を使用することにより、または窒素被覆されたフランジ接続により、酸素の侵入を防ぐ、または少なくとも明らかに低く保つことが特に有利である。好適なフランジ接続は、例えばDE102009046310A1に開示されている。
本発明による方法により得られるギ酸は、低い色数ならびに高い色彩安定性を有している。一般に、20APHA以下、ならびに特にむしろ10APHA以下の色数、場合によりむしろ5APHA以下の色数が問題なく達成できる。数週間の保管でも、色数はほぼ一定である、もしくはわずかに上昇するに過ぎない。
工程(b)における第三級アミン(I)の有機分解生成物の本発明による分離に基づいて、さらに費用をかけずに特に純粋なギ酸を取得することができ、このギ酸中で、前記分解生成物は、一般に70質量ppm以下、好ましくは30質量ppm以下、殊に好ましくは20質量ppm以下である。
いわゆる副成分の含有量もきわめて低く、一般に100質量ppm以下、好ましくは50質量ppm以下、殊に好ましくは25質量ppm以下である。
特に、遊離ギ酸およびアミン(I)を含む塔底生成物の他に、例えば、種々の純度および濃度の随伴物質、反応副生成物、不純物および/またはギ酸分留を含むさらなる分留が取得される場合、それぞれの場合によって、工程(c)で複数の蒸留装置を使用することも有利でありうる。
ギ酸を分離するための前記蒸留装置は、当然、熱的結合された蒸留塔として、または分離壁塔として形が整えられていてもよい。
本発明による方法の好ましい別形では、(i)工程(a)において、ギ酸メチルを含むギ酸源を使用し、かつこのギ酸源から、ギ酸、第三級アミン(I)、水およびメタノールを含む液体流をギ酸メチルの加水分解により得て、(ii)工程(b)において、工程(a)から得られた流から、ギ酸メチルの分解から生じたメタノールを含むさらなる流を分離する。この分離されたメタノールは、次に、例えば、再びギ酸メチルの合成で使用することができる。メタノールが、水よりも明らかに低い沸点を有していて、それゆえ、メタノール、水、ギ酸および第三級アミン(I)を含む相応の混合物から比較的容易に蒸留により分離可能であるため、この別形では、メタノールを同じく別個の流として工程(a)から得られた流から分離するのが有利である。
前記段落に記載の別形で、メタノールが分離される場合、(i)工程(b)において、工程(a)から得られた流から同様に未反応のギ酸メチルを含むさらなる流を分離し、(ii)この分離されたギ酸メチルを工程(a)に返送するのが特に有利である。それによって、使用されたギ酸メチルに対するギ酸の収率を明らかに上げることができる。ギ酸メチルが、メタノールよりも明らかに低い沸点を有していて、それによりさらに比較的容易に、ギ酸メチル、メタノール、水、ギ酸および第三級アミン(I)を含む相応の混合物から蒸留により分離可能であるため、この別形では、ギ酸メチルおよびメタノールを、同じく別個の複数の流として、工程(a)から得られた流から分離することが有利である。これは、例えば2つの別個の蒸留装置で行われてよく、この装置では、第一の塔でギ酸メチルが、第二の塔でメタノールが分離される。しかし、例えば、両方の成分を1つだけの蒸留装置内で別個の複数の流に分離することも可能である。ギ酸メチルは、ここで例えば塔頂生成物として、メタノールは側方流生成物として取得することができる。
工程(a)におけるギ酸メチルの加水分解は、通常、80〜150℃の温度範囲および0.4〜25MPa(絶対圧)の圧力範囲で行われる。工程(a)で加水分解を実施するための装置として、この装置内で流体流の発熱反応が可能なあらゆる装置が根本的に使用されてよい。例として、例えばそれぞれ構成体を有していない、または構成体(例えば、床、不規則充填物、多孔板など)を有している、撹拌槽、管型反応器または管束反応器が挙げられる。前記加水分解は、断熱的にまたは熱導出下に行われるのが好ましい。
本発明による方法の別の好ましい別形では、(i)工程(a)において、メタノールの存在下に、二酸化炭素、水素および均一触媒を含むギ酸源を使用し、このギ酸源から、ギ酸、第三級アミン(I)、水およびメタノールを含む液体流を、二酸化炭素の均一触媒による水素化により得て、(ii)工程(b)において、工程(a)から得られた流から、メタノールを含むさらなる流を分離して、この分離されたメタノールを工程(a)に返送する。メタノールならびに水は、この別形では主に極性溶媒として用いられる。
水およびメタノールの存在下での、二酸化炭素を均一触媒により水素化してギ酸にするための特異的な工程および方法の特徴は、PCT/EP2011/060012に記載されている。
均一触媒として、ここで、周期表第8族、第9族または第10族の1つの元素を含む有機金属の錯体化合物が使用されるのが好ましい。この錯体化合物は、1〜12個の炭素原子を有する、少なくとも1つの非分岐鎖または分岐鎖の、非環式または環式の芳香族基を有する少なくとも1つのホスフィン基を含んでいるのがさらに好ましく、ここで、個々の炭素原子は、>P−で置換されていてもよい。前記水素化は、20〜200℃ならびに0.2〜30MPa(絶対圧)で行われるのが好ましい。水素化段階(a)からの流出物は、2相であるのが好ましい。上相は、第三級アミン(I)および均一触媒を含んでいて、下相は、ギ酸、第三級アミン(I)、水、メタノールならびに同じく均一触媒を含んでいる。両方の相は、別個にされて、第三級アミン(I)および均一触媒を含む上相は、水素化段階(a)に返送される。ギ酸、第三級アミン(I)、水、メタノールならびに均一触媒を含む下相は、この下相中に存在する均一触媒の大部分を抽出して、第三級アミン(I)と一緒に同じく水素化段階(a)に返送するため、第三級アミン(I)により抽出されるのが好ましい。ギ酸、第三級アミン(I)、水およびメタノールを含む前記下相の残りの残留物は、次に、上述の通り、メタノールならびに本発明による水および第三級アミン(I)の有機分解生成物を分離するために、その後工程(b)に供給される。
さらなる後処理に関しても、PCT/EP2011/060012に記載されている、特異的な工程および方法の特徴を補足的に参照されたい。
本発明による方法の好ましい形態では、工程(a)で使用される第三級アミン(I)、および工程(c)に記載の蒸留装置での分離率を、工程(c)に記載の蒸留装置の塔底流出物中で2つの液相が生じるように選択し、
(d)工程(c)に記載の蒸留装置からの前記塔底流出物を2つの液相に分離し、ここで、上部液相は、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比を0〜0.5、および下部液相は、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比を0.5〜4有していて:
(e)工程(d)からの相分離の上部液相を、工程(a)に返送し;ならびに
(f)工程(d)からの相分離の下部液相を、工程(b)および/または工程(c)に返送する。
2つの液相の形成は、主に、この両方の相の化学的および物理的特性によって決まる。これらは、他方また、使用される第三級アミン(I)の選択、前記蒸留装置での分離率、しかしまた、場合により添加成分、例えば、溶媒の存在およびその濃度の影響を同じく受ける。
分離率とは、ここで、以下の指数
Figure 2015501848
と理解され、「mギ酸(工程(c)への供給流)」は、時間単位あたりに前記蒸留装置に供給されるギ酸の量であり、「mギ酸(塔底流出物)」は、時間単位あたりに塔底流出物を介して導出されるギ酸の量である。一般に、本発明による方法の好ましい形態では、10%以上、好ましくは25%以上、特に好ましくは40%以上、ならびに一般に99.9%以下、好ましくは99.5%以下、特に好ましくは99.0%以下の分離率が選択される。分離率は、例えば、容易に、前記蒸留装置内の温度条件および圧力条件、ならびに前記蒸留装置内の滞留時間の影響を受けうる。分離率は、簡単な試験により、場合により本発明による方法の運転時にも求めることができる。
第三級アミン(I)または場合によりさらに所望の溶媒の適合性は、例えば、簡単な試験で求めることができ、この試験では計画的な条件下に相の数(Phasigkeit)が求められる。
相分離は、例えば、前記蒸留装置に後接続されている、別個の相分離器で行われてよい。しかし、この相分離器を前記蒸留装置の塔底領域に、塔底蒸発器の領域に、または塔底蒸発器循環の領域に統合することも可能である。ここで、例えば、遠心分離機の使用も可能である、もしくは場合によりむしろ有利である。
2つの液相の形成が、この両方の相の化学的および物理的特性の他に、さらに温度の影響も受けるため(一般に、混合性は温度とともに上昇する)、相分離を改善するために、場合により、この相分離をあらかじめ選択された塔底温度よりも低い温度で操作することが有利でありうる。そのために、塔底流出物は、通常、中間に接続された熱交換器において30〜180℃の範囲の温度に冷却される。前記相分離は、50℃以上の温度もしくは160℃以下の温度で、特に好ましくは130℃以下の温度で行われるのが好ましい。
工程(d)の上部液相は、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比を、一般に0〜0.5、好ましくは0.005以上、特に好ましくは0.015以上、ならびに好ましくは0.25以下、特に好ましくは0.125以下有している。工程(d)の下部液相は、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比を、一般に0.5〜4、好ましくは0.75以上、特に好ましくは1以上、ならびに好ましくは3.5以下、特に好ましくは3以下有している。しかし、アミンの選択に応じて、ギ酸を含んでいる相が上相を、およびギ酸のアミンに対するモル比0〜0.5を有するアミン相が下相を形成することも当然可能でありうる。重要なのは、相分離が存在することだけであり、1つの相は、ギ酸の第三級アミンに対するモル比を一般に0〜0.5、第二の相は、ギ酸の第三級アミンに対するモル比を一般に0.5〜4有している。前記上相は、それぞれギ酸の第三級アミンに対するモル比を一般に0〜0.5、前記下相は、それぞれギ酸の第三級アミンに対するモル比を一般に0.5〜4有しているのが好ましい。
さらに、本発明による方法では、工程(c)に記載の蒸留装置での分離率を、塔底流出物中の、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比が0.1〜2.0であるように選択するのが有利である。塔底流出物とは、液体の塔底凝縮物の全体であって、前記蒸留装置を離れて、工程(d)によれば2つの液相に分離されるものと理解される。ここで、この塔底凝縮物が例えば直接、前記蒸留装置の塔底部それ自体に、この塔底蒸発器の塔底部に、または例えば両方に由来するものかどうかは重要ではない。工程(c)に記載の蒸留装置での分離率は、塔底流出物中の、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比が、好ましくは1.5以下であるように選択されるのが好ましい。
工程(e)による、工程(d)からの相分離の上部液相の、工程(a)への好ましい返送により、この上部液相に含まれている第三級アミン(I)は、ギ酸源と合することにより、ギ酸および第三級アミン(I)を含む流のさらなる生成のために使用することができる。一般に、前記上部液相の10〜100%、好ましくは50〜100%、特に好ましくは80〜100%、殊に好ましくは90〜100%、特に95〜100%が工程(a)に返送される。
前記上部液相の返送においては、当然、さらなる方法工程が統合されていてもよい。限定されない例として、例えば、返送される上部液相もしくはその中に含まれている第三級アミン(I)から、不所望の随伴物質、反応副生成物または不純物を洗浄することが上げられる。中間接続された方法工程の種類に関しても、基本的に制限されない。前記上部液相の一部をいわゆる「パージ流」として適切に除去することも可能である。第三級アミン(I)の不足している量もしくは消費される量は、当然、新たに供給される第三級アミン(I)により再び補うことができ、この第三級アミン(I)は、例えば、返送流を介して、または直接工程(a)に供給してもよい。
工程(f)による、工程(d)からの相分離の下部液相の、工程(b)および/または(c)への好ましい返送により、この下部液相に含まれているギ酸は、同じく蒸留分離によるギ酸の取得のために利用されてよい。所望の実施態様に応じて、前記下部液相は、それゆえ(i)工程(b)に、(ii)分割されて工程(b)および工程(c)に、または(iii)工程(c)に返送されてよい。しかし、一般に、工程(c)への返送が好ましい、それというのは、それによりギ酸および第三級アミン(I)を含む下部液相の負荷が、通常最も少なく、前記物質流が、工程(b)において量に関して増えないからであり、これは別の場合には、相応して比較的大きな容量(Dimensionierung)を結果として伴う。一般に、前記下部液相の10〜100%、好ましくは50〜100%、特に好ましくは80〜100%、殊に好ましくは90〜100%、特に95〜100%が工程(b)および/または工程(c)に供給される。
しかし、前記下部液相を工程(b)および/または工程(c)に返送する他に、さらなる部分を工程(a)に返送することも可能である。これは、例えば、二酸化炭素の遷移金属触媒による水素化によりギ酸を生成する場合に有利である、それというのは、この水素化が、通常の場合、同じく下部液相中で富化されていて、それゆえ再び工程(a)に返送することができる極性の溶媒の存在下に行われるからである。
前記下部液相の返送においても、当然さらなる方法工程が統合されていてよい。限定されない例として、ここで、返送される前記下部液相もしくはその中に含まれている第三級アミン(I)および/またはその中に含まれているギ酸から、不所望の随伴物質、反応副生成物またはさらなる不純物を洗浄することも挙げられる。中間接続される方法工程の種類に関しても、基本的に制限されない。前記下部液相の一部をいわゆる「パージ流」として適切に排出して、それによって例えば不所望の随伴物質、反応副生成物またはさらなる不純物を除去することも可能である。
本発明による方法で使用されるのが好ましい第三級アミン(I)は、一般式(Ia)
Figure 2015501848
[式中、R1〜R3の基は、同じまたは異なっていて、互いに独立して、それぞれ1〜16個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する、1つの非分岐鎖もしくは分岐鎖の、非環式もしくは環式の脂肪族基、芳香脂肪族基または芳香族基であり、ここで、個々の炭素原子は、互いに独立して−O−基および>N−基から選択されるヘテロ基で置換されていてもよく、ならびに2つまたは3つの基すべては、少なくともそれぞれ4個の原子を含む鎖の形成下に互いに結合していてもよい]
を有している。
好適なアミンは、例えば以下の通り挙げられる:
・トリ−n−プロピルアミン(Sdp1013hPa=156℃)、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−(3−メチルブチル)アミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ウンデシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン、トリ−n−トリデシルアミン、トリ−n−テトラデシルアミン、トリ−n−ペンタデシルアミン、トリ−n−ヘキサデシルアミン、トリ−(2−エチルヘキシル)アミン、トリ−(2−プロピルヘプチル)アミン。
・ジメチルデシルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルテトラデシルアミン、エチル−ジ−(2−プロピル)アミン(Sdp1013hPa=127℃)、ジ−n−オクチルメチルアミン、ジ−n−ヘキシルメチルアミン、ジ−n−ヘキシル−(2−メチルプロピル)アミン、ジ−n−ヘキシル−(3−メチルブチル)アミン、メチル−ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−n−ヘキシル−(1−メチル−n−ヘキシル)アミン、ジ−2−プロピルデシルアミン。
・トリシクロペンチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリシクロヘプチルアミン、トリシクロオクチルアミン、およびこれらの、1つまたは複数のメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基または2−メチル−2−プロピル基で置換された誘導体。
・ジメチルシクロヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、エチルジシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロペンチルアミン、メチルジシクロペンチルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン。
・トリフェニルアミン、メチルジフェニルアミン、エチルジフェニルアミン、プロピルジフェニルアミン、ブチルジフェニルアミン、2−エチルヘキシルジフェニルアミン、ジメチルフェニルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジプロピルフェニルアミン、ジブチルフェニルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)フェニルアミン、トリベンジルアミン、メチルジベンジルアミン、エチルジベンジルアミン、およびこれらの、1つまたは複数のメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基または2−メチル−2−プロピル基で置換された誘導体。
・1,5−ジ−(1−ピペリジル)ペンタン、N−C1〜C2−アルキルピペリジン、N,N−ジ−C1〜C12−アルキルピペラジン、N−C1〜C12−アルキルピロリジン、N−C1〜C12−アルキルイミダゾール、およびこれらの、1つまたは複数のメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基または2−メチル−2−プロピル基で置換された誘導体。
・1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(「DBU」)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(「Tropan」)、N−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン(「Granatan」)、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン(「Chinuclidin」)、7,15−ジアザテトラシクロ[7.7.1.02,7.010,15]ヘプタデカン(「Spartein」)。
本発明による方法では、当然、種々の第三級アミン(I)の混合物が使用されてもよい。その場合、当然、使用される第三級アミン(I)はすべて、1013hPa(絶対圧)の圧力で、ギ酸より少なくとも5℃高い沸点を有しているのが好ましい。
前述の一般式(Ia)の第三級アミンのうち、R1〜R3の基が、同じまたは異なっていて、および互いに独立して、それぞれ1〜16個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する、1つの非分岐鎖もしくは分岐鎖の、非環式もしくは環式の、脂肪族基、芳香脂肪族基または芳香族基である第三級アミンが同様に好ましく、ここで、個々の炭素原子は、互いに異なって−O−基および>N−基から選択される1つのヘテロ基で置換されていてもよく、ならびに2つまたは3つの基すべてが、少なくともそれぞれ4個の原子を含む、飽和鎖の形成下に、互いに結合されていてもよい。
好ましくは、前記基の少なくとも1つは、α−炭素原子、つまり直接アミン−窒素原子に結合している炭素原子に、2つの水素原子を有している。
本発明による方法で、第三級アミン(I)として一般式(Ia)[式中、R1〜R3の基は、互いに独立して、C1〜C12−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、ベンジルおよびフェニルの群から選択される]のアミンが使用されるのが特に好ましい。
本発明による方法では、第三級アミン(I)として、一般式(Ia)の飽和アミンが使用されるのが殊に好ましい。
本発明による方法では、第三級アミン(I)として一般式(Ia)[式中、R1〜R3の基は、互いに独立して、C5〜C8−アルキル、特にトリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、ジオクチルメチルアミンおよびジメチルデシルアミンの群から選択される]のアミンが特に使用される。
さらなる実施態様では、α−炭素原子(直接アミン−窒素原子に結合された炭素原子)、β−炭素原子(アミン−窒素原子から2つめに結合された炭素原子)、またはγ−炭素原子(アミン−窒素原子から3つめに結合された炭素原子)に1つの分岐を有しているアミンが使用される。ここで、アルキル基、アリール基およびその他の置換基が、根本的に考えられ、アルキル基、例えばメチル基、エチル基または1−プロピル基、2−プロピル基、またはピペリジル基が好ましい。この実施態様では、N−エチルピペリジン、トリ−(3−メチルブチル)アミン、ジ−n−ヘキシル−(2−メチルプロピル)アミン、ジ−n−ヘキシル−(3−メチルブチル)アミン、メチル−ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−n−ヘキシル−(1−メチル−n−ヘキシル)アミン、ジ−2−プロピルデシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、1,5−ジ−(1−ピペリジル)ペンタンが特に好ましい。
本発明による方法で形成される、ギ酸および第三級アミン(I)を含む流は、混合物としての遊離ギ酸および遊離第三級アミン(I)の他に、ギ酸および第三級アミン(I)を様々な別の形態で含んでいてもよい。個々の形態の種類と量は、ここで、当面の条件、例えばギ酸の第三級アミン(I)に対する相対質量比、さらなる成分(例えば、水、溶媒、副生成物、不純物)の存在、およびそれゆえ最終的にまたギ酸および第三級アミン(I)の濃度、温度ならびに圧力によって異なってよい。したがって、例えば、以下の考えられうる形態が言及される:
・ギ酸アンモニウム(ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比1)もしくは第三級アミン(I)を有する、ギ酸に富んだ付加物(ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比1より大)。
・イオン性液体。
本発明による方法を実施する場合、前記個々の形態の種類および量は重要ではない。
工程(b)からの、工程(c)に供給される液体流は、ギ酸および第三級アミン(I)の他に、当然さらなる成分、例えばいわゆる副成分を含んでいてもよいが、水ならびに工程(b)で分離されなかった、または完全に分離されなかった第三級アミン(I)の有機分解生成物も含んでいてもよい。ギ酸および第三級アミン(I)の他に、工程(c)で問題なくギ酸から蒸留により分離することができる、または少なくとも1つの後接続された工程で、例えば、後続の蒸留、抽出、吸収または吸着により、得られたギ酸から容易に分離できる成分だけが工程(c)に供給されるのが好ましい。
工程(c)に供給される液体流中の、ギ酸および第三級アミン(I)の他に考えられうるさらなる成分の濃度、もしくは、前記流中に存在するギ酸および第三級アミン(I)の含有量は、ギ酸が前記流から所望の純度で問題なく分離できるならば、本発明による方法を実施する場合、一般に基本的に重要ではない。ただし、本発明による方法の効率のゆえに、ギ酸および第三級アミン(I)を過度に強く希釈して工程(c)に供給しないことが有利である、それというのは、希釈は、当然、一般的に蒸留装置の大きさおよび設計ならびにそのエネルギー消費にも影響を与えるからである。したがって、一般的に、ギ酸および第三級アミン(I)の総含有量の少なくとも10質量%〜100質量%、好ましくは少なくとも50質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%を有する流を供給することが望ましい。
工程(b)からの、工程(c)に供給される液体流は、任意にいわゆる溶媒を含んでいてもよい。
溶媒が使用される場合、工程(c)に記載の蒸留装置からの塔底流出物中で2つの液体の相が生じる好ましい別形では、特に、この溶媒が、第三級アミン(I)とは混合可能ではない、またはわずかに混合可能であるに過ぎないが、ギ酸を含むアミン相とは充分に混合可能であり、工程(d)において、それゆえ、どちらかといえば前記下部液相中に再び見出されることが有利である。そのために、基準として、25℃に対して好ましくは200・10-30Cm以上の静電係数(EFとも略される)であることが判明した。静電係数EFは、溶媒の相対誘電率εrと双極子モーメントμの積として定義されている(例えば、C.Reichardt,”Solvents and Solvent Effects in Organic Chemistry”,3rd edition,Wiley−VCH Verlag GmbH&Co KGaA,Weinheim 2003,Chapter 3.2,67ページ下〜68ページ上を参照)。この好ましい値は、前記任意の溶媒が、ある程度の最低極性を有していて、工程(d)において下部液相と混合可能であることを保証するものである。
溶媒の使用は、それぞれの系(例えば、第三級アミン(I)の種類、濃度、温度、圧力など)により、例えば前記両方の液相の分離を改善することができる。
任意の溶媒として特に好適である物質クラスとして、特にギ酸エステル、ジオールならびにこれのギ酸エステル、ポリオールならびにこれのギ酸エステル、スルホン、スルホキシド、開鎖または環式アミドならびに前記物質クラスの混合物が考慮される。
好適なジオールおよびポリオールとして、例えばエチレングリコール(EF=290.3・10-30Cm)、ジエチレングリコール(EF=244.0・10-30Cm)、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール(EF=285.6・10-30Cm)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタジオール(EF=262.7・10-30Cm)、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール(EF=212.5・10-30Cm)、1,6−ヘキサンジオールおよびグリセリンが挙げられる。ジオールおよびポリオールは、そのOH基のゆえにギ酸の存在下にエステル化することができる。これは、本発明による方法では、特に工程(c)において、前記蒸留装置でのギ酸および第三級アミン(I)を含む流の熱分離で行われる。生じたギ酸エステルが、極めて類似の相挙動を示すため、これらは、一般に同じく溶媒として好適である。エステル化で生じた水も、熱分離では無害である。本発明による方法の連続運転における水の蓄積(Aufpegelung)は、行われない、それというのは、この少量の水は、前記蒸留装置で側方排出流を介して分離できるからである。
好適なスルホキシドとして、例えばジアルキルスルホキシド、好ましくはC1〜C6−ジアルキルスルホキシド、特にジメチルスルホキシド(EF=627.1・10-30Cm)が挙げられる。
好適な開鎖または環式アミドとして、例えばホルムアミド(EF=1243.2・10-30Cm)、N−メチルホルムアミド(EF=2352.9・10-30Cm)、N,N−ジメチルホルムアミド(EF=396.5・10-30Cm)、N−メチルピロリドン(EF=437.9・10-30Cm)、アセトアミドおよびN−メチルカプロラクタムが挙げられる。
しかし、それぞれの場合によって、25℃に対して、200×10-30Cm未満のどちらかというと非極性の溶媒を使用することも有利でありうる。非極性溶媒は、場合により、前記上部液相中のギ酸の濃度を減少させることがある。
しかし、本発明による方法は、溶媒の添加なしに実施されるのが好ましい。
図1は、本発明による方法の一般的な実施形態の簡略化されたブロック図を示している。この図では、個々の文字は以下の意味を有している:
A=ギ酸、第三級アミン(I)および水を含む流を生成するための装置
B=水、第三級アミン(I)の有機分解生成物、および場合によりいわゆる副生成物を分離するための装置
C=蒸留装置
E=相分離タンク。
流(1)を介して水およびギ酸源が、流(8)を介して第三級アミン(I)が、ギ酸、第三級アミン(I)および水を含む流を生成するための装置Aに供給される。さらに上方ですでに説明した通り、供給されるギ酸源は、例えばギ酸を化学的に結合された形態で、または装置Aでギ酸を化学反応により生成する前駆体として含んでいてよい。ギ酸、第三級アミン(I)および水を含む流(2)は、装置Aから取り除かれて、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物の分離のために装置Bに供給される。この装置は、例えば、蒸留装置であってよい。分離された水および第三級アミン(I)の有機分解生成物は、流(3)を介して取り出されて、相分離タンクEに供給される。このタンク内で、2つの液相が形成する。水を含む下部液相は、流(3x)として装置Aに返送される。第三級アミン(I)の有機分解生成物が富化されている上部液相は、流(3y)として取り出されて、前記方法から排出される。流(4)を介して、ギ酸および第三級アミン(I)が濃縮された流は、蒸留装置Cに供給される。この装置内で、流(5)としてギ酸の蒸留による分離が行われる。蒸留装置Cの塔底物は、流(6)として取り出される。
図2は、本発明による方法の工程(b)において、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物の他に、流(3a/b)を介して、さらなる、いわゆる副生成物が分離される、変化させた実施態様の簡略化されたブロック図を示している。装置A、装置B、装置Cおよび装置Eは、ここで、図1に記載の意味を有する。装置Bは、例えば前後に接続された2つの蒸留装置であってよい。しかし、装置Bを唯一の蒸留装置として仕上げることも同じく可能であり、ここで、例えば、流(3a/b)は、塔頂流として、および流(3c)は側方流として取り出される。
図2とわずかに異なる別形では、装置Bの共通の流(3a/b)に代わって、2つに分けられた流が、流(3a)および流(3b)として取り出される。
図3は、蒸留装置Cからの塔底流出物を別個に返送する好ましい実施態様の簡略化されたブロック図である。装置A、装置B、装置Cおよび装置Eは、ここで、再び図1に記載の意味を有している。
さらに図3は、さらに以下の装置を含んでいる:
D=相分離タンク。
図1の簡略されたブロック図と比べて、図3の場合、蒸留装置Cの塔底物は、流(6)として、相分離タンクDに供給されて、2つの液相に分離される。上相は、流(8)として装置Aに返送される。下相は、流(7)として蒸留装置Cに返送される。
それとは別の実施態様では、相分離タンクDは、蒸留装置Cに統合されていてもよい。
図4は、図3と比べて変化させた実施態様の簡略化されたブロック図を示していて、この実施態様では、本発明による方法の工程(b)において、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物の他に流(3a/b)を介して、さらなる、いわゆる副生成物が分離される。副生成物の分離に関して、図2の説明も参照されたい。
蒸留装置Cおよび相分離器Dの領域においては、種々の実施態様が可能である。この実施態様は、相分離が、別のタンクで、または統合されて蒸留塔の塔底部で行われるかどうかだけではなく、ギ酸および第三級アミン(I)を含む流の蒸留装置への添加箇所で、および塔タンクと塔底蒸発器との間の流送(Stromfuehrung)で、ならびに塔底流出物の取出部でも行われるかどうかで区別される。PCT/EP2011/060770の図2〜図7に示された、およびこの文献中に記載された実施態様は、好ましい本発明による方法の範囲においても同じく適用可能である。
以下に、本発明による方法の好ましい適用範囲に対する、2つの好ましい実施態様を記載する。
ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得
ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得のための好ましい実施態様は、図5に簡略化されたブロック図で表されている。
前記図において、個々の文字は以下の意味を有している:
A=ギ酸メチルを加水分解するための、ならびにギ酸、第三級アミン(I)および水を含む流を生成するための装置
B=ギ酸メチル、メタノール、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物を分離するための蒸留装置
C=ギ酸を取得するための蒸留装置
D=相分離タンク
E=相分離タンク。
ギ酸メチル(流(1a)および流(3b))、水(流(1b)および流(3x))ならびに第三級アミン(I)(流(8))は、装置Aに供給される。ギ酸メチルの加水分解により、ギ酸、第三級アミン(I)、メタノール、水およびギ酸メチルを含む流が生じ、この流は、流(2)として装置Aから取り出されて装置Bに供給される。ギ酸メチル変換率ひいては流(2)の組成は、主に、装置Aに対するギ酸メチル、水および第三級アミン(I)の3つの供給流の相対的供給量、使用される第三級アミン(I)の種類、滞留時間および反応温度による。それぞれの反応系に有意義な条件は、当業者によって、例えば予備試験により容易に求められる。流(2)中では、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比が通常0.5〜5、好ましくは0.5〜3であり、ここで、当然、これらの範囲からのずれも可能である。
蒸留装置Bにおいて、流(2)から、未反応のギ酸メチル(流(3b))、前記加水分解で形成されたメタノール(流(3a))ならびに水および第三級アミン(I)の有機分解生成物(流(3c))が分離される。未反応の出発材料であるギ酸メチルを含む流(3b)は、装置Aに返送される。流(3a)を介して分離されたメタノールは、例えば、再びギ酸メチルを製造するために使用することができる。水および第三級アミン(I)の有機分解生成物を含む流(3c)は、相分離タンクEに供給されて、2つの液相に分離される。水を含む下相は、流(3x)として、同じく装置Aに返送される。第三級アミン(I)の分解生成物を含む上相は、前記方法から排出される。ギ酸および第三級アミン(I)は、流(4)を介して取り出される。この流は、さらになおも水の残留量を含んでいる。前記方法の実施態様に応じて、この水の残留量は、流(4)の数質量パーセントまたはむしろ数十質量パーセントの割合を占めることがある。好ましくは、流(4)中の含水率は、20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下、殊に好ましくは5質量%以下である。ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比は、蒸留装置Bにより、変化しない、またはわずかしか変化しないため、前記モル比は、流(4)中でも、通常0.5〜5、好ましくは0.5〜3であり、ここで、当然、これらの範囲からのずれも可能である。
流(4)は、蒸留装置Cに供給される。この蒸留装置において、ギ酸は流(5)を介して塔頂生成物として、流(5a)を介して側方生成物として、および/または流(5b)を介して側方生成物として蒸留により除去される。範囲条件に応じて、つまり、特に蒸留装置Cへの供給流(4)の組成、ならびにギ酸の所望の純度に応じて、本願の実施形態では、ギ酸は流(5)として塔頂を介して、または流(5a)として側方生成物として得ることができる。含水ギ酸は、次に、側方生成物として流(5a)もしくは流(5b)を介して取り出される。個々の場合、むしろ、ギ酸もしくは含水ギ酸を、流(5)を介して塔頂生成物として除去するだけで充分である。それゆえ、具体的な実施態様に応じて、側方流(5b)またはむしろ両方の側方流(5a)および(5b)は省略されてよい。蒸留装置Cは、当然、PCT/EP2011/060770の図2〜図7に開示されている実施態様を有していてもよい。
蒸留装置Cの塔底生成物は、流(6)として相分離タンクDに供給される。それとは別に、相分離器Dは、蒸留装置Cに統合されていてもよい。相分離タンクDにおいて、前記塔底生成物は2つの液相に分離される。蒸留装置Cと相分離タンクDとの間には、任意に、取り出された塔底流を冷却するため、例えば熱交換器が中間に接続されていてもよい。比較的低い相分離温度は、確かに、通常の場合、ギ酸含有量に関して多少より優れた分離をもたらすが、熱交換器を使用するため、追加の費用およびエネルギー消費の原因となる。したがって、利点および欠点は、それぞれ慎重に検討すべきである。相分離タンクDからの上部液相は、流(8)を介して装置Aに返送される。下部液相は、流(7)を介して蒸留装置Cに返送される。
ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得のための、別の、好ましい実施態様では、図6によれば、ギ酸メチル−流(1a)は蒸留装置Bに入れられる。この実施態様は、一般に、流(1a)として提供されるギ酸メチルに、例えば前述の、メタノールの部分転換およびギ酸メチルの不完全な後処理によるギ酸メチル合成段階により、なおもメタノールの残留量が混じっている場合に有利である。それゆえ、流(1a)を蒸留装置Bに直接供給することにより、含まれているメタノールを流(3a)として分離し、例えばギ酸メチル合成段階に返送することができる。この別形により、ギ酸メチル合成段階では、むしろギ酸メチル/メタノール分離を全くしないで済ますことが可能であり、それによって蒸留塔全体ひいては進行中の運転でエネルギーを節約することも可能である。
ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得のための、さらなる好ましい実施態様では、図7によれば、ギ酸メチル−流(1a)も、水−流(1b)も蒸留装置Bに入れられる。水−流(1b)に関しては、この実施態様は、一般に、高温凝縮物(Heisskondensat)または蒸気が、水源として提供される場合に有利である、それというのは、これにより、その中に蓄積された熱エネルギーを蒸留装置Bにおいて利用できるからである。
さらなる実施態様では、当然、ギ酸メチル−流(1a)を装置Aに、しかし、水−流(1b)を蒸留装置Bに入れることも可能であることを、念のためさらに言及する。これは、例えば、低圧・余剰蒸気が提供される場合に有利である。
図5〜図7の別形では、蒸留装置Bの実施態様に関して、1つ、2つまたはむしろ3つの蒸留塔を有する特異的な別形が可能である。図8aは、1つの蒸留塔を有する実施態様を示している。図8b〜図8eは、2つの蒸留塔を有する種々の実施態様を示している。図9a〜図9cは、3つの蒸留塔を有する種々の実施態様を示している。蒸留装置Bの実施態様のためには、1つまたは2つの蒸留塔を有する別形が好ましい。特に、1つまたは2つの蒸留塔を有する実施態様では、熱的結合された塔として、または分離壁塔として形が整えられていてもよいことを、念のためさらに言及する。
二酸化炭素の水素化によるギ酸の取得
二酸化炭素の水素化によるギ酸の取得のための、好ましい実施態様は、図10に簡略化されたブロック図で表されている。
図中の個々の文字は以下の意味を有している:
A=二酸化炭素を水素化するための、ならびにギ酸、第三級アミン(I)および水を含む流を生成するための装置
A1=水素化反応器
A2=相分離タンク
A3=抽出装置
B=メタノール、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物を分離するための蒸留装置
C=ギ酸を取得するための蒸留装置
D=相分離タンク
E=相分離タンク。
二酸化炭素(流(1a))、水素(流(1b))ならびに第三級アミン(I)(流(2d))は、装置Aの水素化反応器A1に供給される。水素化反応器A1では、均一触媒、ならびに溶媒である水およびメタノールの存在下に、ギ酸、第三級アミン(I)、メタノール、水および均一触媒を含む流(2a)の形成下で水素化が行われる。この流は、相分離タンクA2に供給され、このタンク内で、2つの液相が生じる。第三級アミン(I)および均一触媒を含む上部液相は、流(2b)を介して水素化反応器A1に返送される。ギ酸、第三級アミン(I)、水、メタノールならびに同じく均一触媒を含む下部液相は、流(2c)を介して抽出装置A3に通される。この抽出装置では、流(8)として供給された第三級アミン(I)を介して、なおも存在する均一触媒の残留分がほぼ抽出されて、第三級アミン(I)と一緒に流(2d)として水素化反応器A1に返送される。それゆえ、流(2)として、ギ酸、第三級アミン(I)および水を含む流が得られて、蒸留装置Bに供給される。
蒸留装置Bでは、流(2)から、メタノール(流(3b))ならびに水および第三級アミン(I)の有機分解生成物(流(3c))が分離される。メタノールを含む流(3b)は、装置Aの水素化反応器A1に返送される。水および第三級アミン(I)の有機分解生成物を含む流(3c)は、相分離タンクEに供給されて、2つの液相に分離される。水を含む下相は、流(3x)として同じく装置Aの水素化反応器A1に返送される。第三級アミン(I)の有機分解生成物を含む上相は、前記方法から排出される。ギ酸および第三級アミン(I)は、流(4)を介して取り出されて、蒸留装置Cに通される。蒸留装置Cおよび相分離タンクDに関する方法工程に関しては、上述の、ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得についての記載を参照されたい。
本発明による方法は、ギ酸および第三級アミンを含む流の熱分離により、高収率および高濃度でギ酸を取得できるようにするものである。
水および第三級アミン(I)の有機分解生成物の本発明による分離であって、それに続いてこの分離された流を、水を含む液相と第三級アミン(I)の有機分解生成物を含む液相とに相分離する前記分離により、本発明による方法は、比較的長い運転時間にわたっても、極めて安定した運転を、同時に製造されたギ酸の一定した高い純度にて可能にする。取得されるギ酸は、低い色数(Farbzahl)ならびに高い色数安定性(Farbzahlstability)を有している。
前記方法は、容易に、確実におよびまたエネルギー効率よく実施可能であり、とりわけ、第三級アミン(I)の有機分解生成物を水と一緒に分離して、そこから相分離により単離するという驚くべきことに見出された方法により、この好適な相分離装置の準備としてきわめて少ない追加費用を必要とするにすぎないものである。好適な本発明による措置により、妨害する副生成物または分解生成物の、慣用の単離方法および排出方法と比べて、費用の掛かる追加の装置も、さらなる著しいエネルギー量も必要とされない。
本発明による方法は、特に、特に有利に、ギ酸源であるギ酸メチルの加水分解と関連させて使用可能であり、現在大規模工業的に行われている、抽出助剤または2段圧力蒸留を用いる脱水が後続する、ギ酸メチルの加水分解の運転方法と比べて、工業的かつ経済的な利点を有している。
本発明による方法の一般的な実施形態の簡略化されたブロック図 変化させた実施態様の簡略化されたブロック図 蒸留装置Cからの塔底流出物を別個に返送する好ましい実施態様の簡略化されたブロック図 図3と比べて変化させた実施態様の簡略化されたブロック図 ギ酸メチルの加水分解によるギ酸を取得するための好ましい実施態様を示す図 ギ酸メチルの加水分解によるギ酸を取得するための好ましい実施態様を示す図 ギ酸メチルの加水分解によるギ酸を取得するための好ましい実施態様を示す図 蒸留塔を有する種々の実施態様を示す図 蒸留塔を有する種々の実施態様を示す図 二酸化炭素の水素化によるギ酸の取得のための好ましい実施態様を示す図 実験室設備1の簡略化されたブロック図 実験室設備2の簡略化されたブロック図 ジ−n−ヘキシルホルムアミド濃度を示す図

実験室設備1(比較例1の場合)
実験室設備1は、本発明を適用せずに連続的な方法を試験するために用いた。実験室設備1の簡略化されたブロック図は、図11に示されている。この図では、個々の文字は、以下の意味を有している:
A1=撹拌槽(容量0.3L、電気加熱式)
A2、A3、A4=それぞれ管型反応器(内径80mm、長さ1200mm、2mmのガラス球充填、電気加熱式)
X=混合タンク(容量5L)
Y=タンク(容量:5L)
B1=塔体(内径55mm、それぞれ充填物高さ1.3mおよび比表面積750m2/m3を有する、2つの織布充填物が装備されていて、流(2)は、この両方の織布充填物の間に供給される)、オイル加熱された流下薄膜蒸発器、および凝縮器、ならびに塔頂部に調節可能な返送分配器を有する蒸留装置
B2=塔体(内径55mm、回収部にバブルキャップトレイ12個および濃縮部にバルブキャップトレイ10個が装備されていて、流(3d)は、この両方の部分の間に、流(5b)は回収部に供給される)、オイル加熱された流下薄膜蒸発器、および凝縮器、ならびに塔頂部に調節可能な返送分配器を有する蒸留装置
C1=塔体(内径43mm、塔底部の上方に、充填物高さ0.66mおよび比表面積500m2/m3の織布充填物、ならびに充填物高さ1.82mおよび比表面積750m2/m3のさらなる織布充填物が装備されていて、流(5b)の側方排出流は、この両方の織布充填物の間に供給される)、および凝縮器、ならびに塔頂部に調節可能な返送分配器
C2=オイル加熱された流下薄膜蒸発器
D=別個の相分離タンク(容量0.3L、オイル加熱式)。
前記装置および導管は、材料番号2.4610のニッケルベース合金からなっている。質量流量の測定は、コリオリ流量計を使用して行った。実験室設備1は、連続的に運転した。
実験室設備1におけるすべての試験では、ギ酸の含有量をそれぞれ水中の0.5N NaOHによる電位差滴定により、および水の含有量をカールフィッシャー法により測定した。別の有機成分はすべて、それぞれガスクロマトグラフィーにより測定した。
実験室設備2(本発明による例2の場合)
実験室設備2は、流(3c)のための別個の相分離タンクの分だけ拡張された実験室設備1であり、本発明の適用下での連続的な方法を試験するために用いた。実験室設備2の簡略化されたブロック図は、図12に示されている。この図では、補足された文字は以下の意味を有している:
E=別個の相分離タンク(容量25mL、オイル加熱式)
その他の点では、実験室設備1の記載が参照される。
例1
(比較例)
例1を、実験室設備1で実施した。流(1a)を介して供給ポンプでギ酸メチル 1760g/hを、流(1c)を介して水 849g/hを撹拌槽A1に計量供給した。流(1b)を介する真水と、流(3c)を介する蒸留装置B2からの再利用水とから構成される流(1c)を、混合タンクXから取り出した。流(1b)は、流(1b)および流(3c)の合計が所望の流(1c)であるように選択した。撹拌槽A1は、110℃および1.3MPa(絶対圧)で運転した。この流出物を、管型反応器A2に通し、この反応器を、同じく110℃および1.3MPa(絶対圧)で運転した。管型反応器A2の流出物を、管型反応器A3に通した。この反応器に、トリ−n−ヘキシルアミン 1964g/hを流(8a)を介して供給した。管型反応器A3の流出物を管型反応器A4に通した。この反応器に、さらなるトリ−n−ヘキシルアミン 1661g/hを流(8b)を介して供給した。ここで、流(8)を介して返送されたトリ−n−ヘキシルアミンを、前記両方の管型反応器A3およびA4に分配するのに用いられるタンクYから、流(8a)および流(8b)を取り出した。管型反応器A3の運転は、115℃および1.3MPa(絶対圧)で行い、管型反応器A4の運転は、110℃および1.3MPa(絶対圧)で行った。流(2)として、トリ−n−ヘキシルアミン 58.4質量%、ギ酸 16.4質量%、メタノール 12.3質量%、水 7.8質量%、およびギ酸メチル6.9質量%を含む混合生成物が得られた。
流(2)を減圧して、蒸留装置B1の塔体に通した。塔頂圧力0.18MPa(絶対圧)および還流比2.5で、塔頂生成物の流(3ab)として、形成されたメタノールおよび未反応のギ酸メチルを含む混合物を取り出した。塔底生成物としては、流(3d)として、トリ−n−ヘキシルアミン 71.2質量%、水 9.1質量%、ギ酸 20.7質量%、およびメタノール 0.1質量%を含む混合物 5012g/hが得られた。B1の塔底温度は、117℃であった。
流(3d)を、蒸留装置B2の塔体に通した。さらに、流(5b)を介して、蒸留装置C1の塔体からの、ギ酸 79.3質量%および水 16.6質量%を含む側方排出流 277g/hを供給した。蒸留装置B2の塔頂生成物として、塔頂圧力0.10MPa(絶対圧)および還流比0.71で、流(3c) 450g/hを取り除いた。水 98.8質量%およびギ酸 0.3質量%を含む流(3c)を、撹拌槽A1に返送するために混合タンクXに供給した。
流(4)を介して、塔底生成物として、B2の塔底温度160℃で、トリ−n−ヘキシルアミン 75.3質量%、ギ酸 26.0質量%、および水 1.2質量%を含む混合物 4821g/hが得られ、上方から蒸発器C2に通した。蒸発器C2および塔体C1を、真空で運転した。蒸発器C2の下側流出部の温度は、161℃であった。前記蒸発器の気体の流出物を、流(6x)として塔体C1に供給した。この塔体を、塔頂圧力0.015MPa(絶対圧)および還流の留出物に対する還流比4で運転した。C1の塔頂生成物として、流(5)907g/hとして、ギ酸 99.6質量%が得られた。n−ギ酸ヘキシル含有量は、10質量ppm未満であり、n−ヘキサナール含有量は、15質量ppm未満であった。側方排出流として277g/hを流(5b)として取り出して、塔体B2に返送した。塔体C1の液体の流出流(Ablauf)を、流(6a)として上方で蒸発器C2に供給した。
蒸発器C2の液体の流出物を、流(6b)として相分離タンクDに通した。このタンクを、標準圧および80℃の温度で運転した。2つの液相が形成した。上部液相を連続的に3578g/hの流(8)として取り出して、タンクYに供給した。流(8)は、トリ−n−ヘキシルアミン 95.7質量%およびギ酸 1.2質量%を含んでいた。下部液相を、連続的に流(7)として蒸発器C2に通した。残りの流を、上方で蒸発器C2に供給した。
上述の運転状態を保証するため、前記設備をまず7日間慣らし運転した。この期間に、流(8)中のジ−n−ヘキシルホルムアミド濃度は0.26質量%に上昇し、この期間以降も絶えず上昇した。慣らし運転の14日後、前記濃度は、すでに0.75質量%であった。上昇の終了は、認められなかった。前記ジ−n−ヘキシルホルムアミド濃度は、表にして表1に、ならびに図として図13に示されている。
例2
(本発明による例)
実験室設備1を、ここで、別個の相分離タンクEの分だけ拡張して実験室設備2に改造した。この設備を再び慣らし運転して、7日以内に再び安定した運転パラメーターに達成させた。相分離タンクEの周囲の領域を除いて、この運転パラメーターは、例1に記載の値に相当する。
しかし、例1とは異なり、蒸留装置B2の塔頂生成物として取り出された流(3c) 450g/hを相分離タンクEに通し、このタンクを30℃で運転した。流(3x)を、このタンクの下方から取り出して、撹拌槽A1に返送するために混合タンクXに供給した。流(3x)は、水 99.3質量%およびギ酸 0.15質量%を含んでいた。前記設備の慣らし運転の数日後、さらなる上相が徐々に形成した。この相を、その後、毎日、流(3y)として取り除いて集めた。13日後(前記設備の慣らし運転から計算して)、この上相が合計2.4g得られた。この上相は、ジ−n−ヘキシルホルムアミド 75.8質量%、トリ−n−ヘキシルアミン 0.3質量%、水 0.8質量%、ギ酸 1.2質量%、n−ギ酸ヘキシル 1.1質量%、n−ヘキサノール 0.1質量%、およびn−ヘキサナール 0.2質量%を含んでいた。さらに、ガスクロマトグラフィーで、ヘキサナールのC12−アルドール縮合生成物のさらに8.8面積%が検出された。
流(8)中では、ジ−n−ヘキシルホルムアミド濃度は、慣らし運転から8日後に0.27質量%であった。次の10日が経過するうちに、前記濃度はまず連続的にさらに上昇したが、その後、0.42質量%で飽和値に達した。
例1および例2の結果は、表1にまとめられており、時間の目盛は、慣らし運転の第7日を始めとしている。
例1は、第三級アミン(I)の有機分解生成物(本願の例では特にジ−n−ヘキシルホルムアミド)を適切に分離および排出するための本発明による措置を適用しなければ、流(8)中の前記生成物の濃度が連続的に上昇することを証明している。例1は、さらに、ジ−n−ヘキシルホルムアミドが、実際の運転条件下にも生じることの証明でもある。このような方法を長期に運転する場合、重大な問題は避けられない。
それと比べて、例2は、ジ−n−ヘキシルホルムアミドが、使用された第三級アミン(I)の種々の別の分解生成物と同時に、数日間だけの短期の運転期間後にすでに上相として相分離タンクEに沈積して、適切に除去できることを示している。それにより、流(8)中のジ−n−ヘキシルホルムアミド濃度は、低い一定の値に保つことができる。例えば、有価生成物として流(5)として分離されたギ酸のしだいに増加する不純物、ならびに蒸留装置C1/C2からの塔底生成物の相分解の不都合な影響という欠点は、それゆえ確実に回避される。
例3a
(ギ酸および水の存在下でのトリ−n−ヘキシルアミンの分解)
トリ−n−ヘキシルアミン 95.3g(0.35Mol)、ギ酸(98〜100質量%) 16.3g(0.35Mol)および水 6.3g(0.35Mol)を実験室にて氷浴で混合した。引き続き、得られた溶液を室温(約20℃)に加温して、3回の真空引き(2hPa(絶対圧))ならびに純粋な窒素によるガス処理により脱気した。2相の溶液が得られた。この溶液を、次に、いわゆるグローブボックス内で、N2雰囲気下に、オートクレーブ(材料HC)270mLに入れ替えて密閉した。このオートクレーブに、引き続き、窒素を1.0MPa(絶対圧)で押し込み、強く撹拌しながら160℃に加熱した。この温度に達した後、N2を総圧力2.5MPa(絶対圧)で再度押し込んだ。この反応混合物を、ここで、24時間160℃で撹拌した。引き続き、前記オートクレーブを室温に冷却し、標準圧に減圧して、内容物をガラスタンクに移した。前記流出物は、2つの相に分離していた。上相として42.1g、下相として68.4gが得られた。両方の相を、ガスクロマトグラフィーにより、これらのジ−n−ヘキシルホルムアミド含有量について試験した。前記上相は、ジ−n−ヘキシルホルムアミドを0.10質量%、前記下相は、0.46質量%含んでいた。
例3b
(ギ酸および水の存在下でのトリ−n−ヘキシルアミンの分解)
トリ−n−ヘキシルアミン 95.3g(0.35Mol)、ギ酸(98〜100質量%) 16.3g(0.35Mol)、および水 6.3g(0.35Mol)を実験室にて氷浴で混合した。引き続き、得られた溶液を室温(約20℃)に加温して、3回の真空引き(2hPa(絶対圧))ならびに純粋な窒素によるガス処理により脱気した。2相の溶液が得られた。この溶液を、次に、いわゆるグローブボックス内で、N2雰囲気下に、オートクレーブ(材料HC)270mLに入れ替えて密閉した。このオートクレーブに、引き続き、窒素を1.0MPa(絶対圧)で押し込み、強く撹拌しながら160℃に加熱した。この温度に達した後、N2を総圧力2.5MPa(絶対圧)で再度押し込んだ。この反応混合物を、ここで、72時間160℃で撹拌した。引き続き、前記オートクレーブを室温に冷却し、標準圧に減圧して、内容物をガラスタンクに移した。前記流出物は、2つの相に分離していた。上相として48.1g、および下相として57.9gが得られた。両方の相を、ガスクロマトグラフィーにより、それらのジ−n−ヘキシルホルムアミド含有量について試験した。前記上相は、ジ−n−ヘキシルホルムアミドを0.16質量%、前記下相は、0.69質量%含んでいた。
例3aおよび例3bは、トリ−n−ヘキシルアミンが、高められた温度で、および高められた圧力下で、ギ酸および水の存在下に分解されてジ−n−ヘキシルホルムアミドになることを示している。
例4
(酸素の存在下でのトリ−n−ヘキシルアミンの分解)
トリ−n−ヘキシルアミン 134.6g(0.50Mol)およびギ酸(98〜100質量%) 46.5g(1.0Mol)を実験室にて氷浴で、丸底フラスコ内で混合した。得られた溶液を、次に、室温(約20℃)に加温した。前記丸底フラスコに、ここで、還流冷却器を設けて、前記溶液を撹拌しながら110℃に加熱した。ここで、この還流冷却器の上方を開放したままにして、それにより前記溶液は絶えず空気に接触した。これらの条件下に、前記溶液を66時間にわたり撹拌して、引き続き、室温に冷却した。前記流出物を、ガスクロマトグラフィーにより分析した。前記流出物中には、ジ−n−ヘキシルホルムアミド 1.7質量%、およびn−ヘキサナール 0.43質量%が存在した。
例4は、トリ−n−ヘキシルアミンが、ギ酸の溶液中で、大気酸素の存在下に分解して、ジ−n−ヘキシルホルムアミドとn−ヘキサナールとになることを証明している。
例5〜例7
(ジ−n−ヘキシルホルムアミドの、ギ酸とトリ−n−ヘキシルアミンとからの混合物の
相分解への影響)
例5
例5では、磁気撹拌機を用いて撹拌されるガラスフラスコ内に、トリ−n−ヘキシルアミン 243.8g(0.9Mol)を装入して、ギ酸(98〜100質量%) 41.8g(0.9Mol)を氷浴冷却下に滴加した。添加終了後、この溶液を室温(約20℃)に加温して、引き続き、80℃に加熱し、30分間、この温度で撹拌した。2つの相が得られた。それぞれの相から、80℃で試料を採取して、ギ酸の含有量について、イソプロパノール中の0.1N NaOHによる滴定により、電位差滴定による終点測定を用いて分析した。トリ−n−ヘキシルアミンの含有量は、それぞれ100%に対する残部と見なした。
Figure 2015501848
例6
例6では、磁気撹拌機を用いて撹拌されるガラスフラスコ内に、トリ−n−ヘキシルアミン 243.8g(0.9Mol)およびジ−n−ヘキシルホルムアミド 17.1gを装入し、その後、ギ酸(98〜100質量%) 17.1g(0.37Mol)を氷浴冷却下に滴加した。添加終了後、この溶液を室温(約20℃)に加温し、引き続き、80℃に加熱して、30分間、前記温度で撹拌した。同じく2つの相が得られた。それぞれの相から80℃で試料を採取して、ギ酸の含有量を、イソプロパノール中の0.1N NaOHによる滴定により、電位差滴定による終点測定を用いて分析した。ジ−n−ヘキシルホルムアミドおよびトリ−n−ヘキシルアミンの含有量は、較正したガスクロマトグラフィーにより求めた。
Figure 2015501848
例7
例7では、磁気撹拌機を用いて撹拌されるガラスフラスコ内に、トリ−n−ヘキシルアミン 243.8g(0.9Mol)およびジ−n−ヘキシルホルムアミド 28.5gを装入し、その次に、ギ酸(98〜100質量%) 41.8g(0.9Mol)を氷浴冷却下に滴加した。添加終了後、この溶液を室温(約20℃)に加温し、引き続き80℃に加熱して、30分間、この温度で撹拌した。例5および例6と比べて、ここで、相が1つだけ得られた。したがって、組成の分析は不要であった。
例5、例6および例7は、相分解が、トリ−n−ヘキシルアミンおよびギ酸の系で、ジ−n−ヘキシルホルムアミドにより悪影響を受けることを証明している。ジ−n−ヘキシルホルムアミドを添加しない例5では、上相は、ギ酸が1.0質量%含まれているにすぎなかった。残りは、トリ−n−ヘキシルアミンであった。例6は、たとえ相分解が、なおも維持され続けたとしても、上相中のギ酸濃度が、例6ではむしろ例5におけるよりも意図的に少ないギ酸を添加したにもかかわらず、ジ−n−ヘキシルホルムアミドの相溶化作用により(例5の値の2倍より大きい)2.9質量%に上昇することを示している。ギ酸−単一塔(Reinkolonne)(実験室設備1の蒸留装置C1/C2参照)の塔底流出物が2つの相に分離されて別個に返送もされる、連続的に運転されるギ酸の製造方法では、比較的悪い相分離は、強制的に循環流を不必要に増加させる。例7に示されている通りに、ジ−n−ヘキシルホルムアミド量をさらに増やすと、相分解は最終的には存在しない。
例8〜例9
(ジ−n−ヘキシルホルムアミドおよび水の相分離)
例8
例8では、磁気撹拌機を用いて撹拌されるガラスフラスコ内で、ジ−n−ヘキシルホルムアミド 6.0gおよび水 6.0gを氷浴冷却下に滴加した。添加終了後、この溶液を室温(約20℃)に加温して、引き続き30分間撹拌した。相分離タンク内で分離して調和している2つの相が得られた。それぞれの相から、25℃で試料を採取した。上相として5.8g、下相として5.5gが沈殿した。両方の相中の含水率は、カールフィッシャー法による滴定により、電位差滴定の終点測定を用いて測定した。ジ−n−ヘキシルホルムアミド含有量は、それぞれ100%に対する残部と見なした。
Figure 2015501848
例9
例9では、磁気撹拌機を用いて撹拌されるガラスフラスコ内で、ジ−n−ヘキシルホルムアミド 18.4gおよび水 18.4gを氷浴冷却下に滴加した。添加終了後、この溶液をまず室温(約20℃)に、引き続き、さらに100℃に加温して、100℃で30分間、還流下に撹拌した。100℃でも2つの相が得られた。両方の相の含水率を、同じくカールフィッシャー法による滴定により、電位差滴定による終点測定を用いて測定した。ジ−n−ヘキシルホルムアミド含有量は、それぞれ100%に対する残部と見なした。
Figure 2015501848
例8および例9は、ジ−n−ヘキシルホルムアミドおよび水の系が、室温でも高められた温度でも、非混和領域(Mischungsluecke)を有していることを証明している。
例10
(ギ酸および水の存在下でのトリ−n−ペンチルアミンの分解)
トリ−n−ペンチルアミン 81.2g(0.35Mol)、ギ酸(98〜100質量%) 16.27g(0.35Mol)、および水 6.31gを、実験室に氷浴で混合した。引き続き、得られた溶液を室温(約20℃)に加温して、3回の真空引き(2hPa(絶対圧))ならびに純粋な窒素によるガス処理により脱気した。2相の溶液が得られた。この溶液を、その次に、いわゆるグローブボックス内でN2雰囲気下に、オートクレーブ(材料HC)270mLに入れ替えて密閉した。このオートクレーブに、引き続き窒素を1.0MPaで押し込んで、強く撹拌しながら160℃に加熱した。この温度に達した後、N2を総圧力2.5MPa(絶対圧)で再度押し込みした。この反応混合物を、ここで、24時間160℃で撹拌した。引き続き、前記オートクレーブを室温に冷却し、標準圧に減圧して、内容物をガラスタンクに移した。この流出物は、2つの相に分離していた。上相として36.8g、下相として59.3gが得られた。両方の相をガスクロマトグラフィーにより、これらのジ−n−ペンチルホルムアミド含有量について試験した。上相は0.15質量%、下相は0.45質量%含んでいた。
例11
(ギ酸および水の存在下でのトリ−n−オクチルアミンの分解)
トリ−n−オクチルアミン 123.6g(0.35Mol)、ギ酸(98〜100質量%) 16.3g(0.35Mol)、および水 6.3gを、実験室にて氷浴で混合した。引き続き、得られた溶液を室温(約20℃)に加温して、3回の真空引き(2hPa(絶対圧))ならびに純粋な窒素でのガス処理により脱気した。2相の溶液が得られた。この溶液を、次に、いわゆるグローブボックス内で、N2雰囲気下に、オートクレーブ(材料HC)270mLに入れ替えて密閉した。このオートクレーブに、引き続き、窒素を1.0MPaで押し込み、強く撹拌しながら160℃に加熱した。この温度に達した後、N2を総圧力2.5MPa(絶対圧)で再度押し込んだ。この反応混合物を、ここで、24時間160℃で撹拌した。引き続き、前記オートクレーブを室温に冷却し、標準圧に減圧して、内容物をガラスタンクに移した。この流出物は、2相に分離していた。有機の上相として138.2g、水性の下相1.3gが得られた。両方の相を、ガスクロマトグラフィーにより、これらのジ−n−オクチルホルムアミド含有量について試験した。上相は0.32質量%、下相は0.1質量%未満含んでいた。

Claims (11)

  1. ギ酸および、1013hPa(絶対圧)の圧力で、ギ酸より少なくとも5℃高い沸点を有する第三級アミン(I)を含む流の熱分離によるギ酸の取得方法であって、
    (a)第三級アミン(I)とギ酸源とを水の存在下に合することにより、ギ酸、第三級アミン(I)および水を含んでいて、かつギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比を0.5〜5有している液体流を生成し;
    (b)工程(a)から得られた液体流から、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物を分離して、ここで、第三級アミン(I)の有機分解生成物は、すでに工程(a)で供給された第三級アミン(I)に含まれていた、および/または前記方法の過程で当該工程(b)までに生じたものであり、ギ酸および第三級アミン(I)を含む、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物が富化されている液体流を得て;そして
    (c)工程(b)から得られた、ギ酸および第三級アミン(I)を含む液体流から、蒸留装置において、100〜300℃の塔底温度および30〜3000hPa(絶対圧)の圧力でギ酸を蒸留により除去する;
    前記方法において、
    (b1)工程(b)で分離された、水および第三級アミン(I)の有機分解生成物を含む流を、2つの液相に分離し;
    (b2)第三級アミン(I)の有機分解生成物が富化されている上部液相を除去し;そして
    (b3)水を含む下部液相を工程(a)に返送する、
    ことを特徴とする前記方法。
  2. 工程(b)における分離を蒸留により実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. (i)工程(a)において、ギ酸メチルを含むギ酸源を使用し、かつ該ギ酸源から、ギ酸、第三級アミン(I)、水およびメタノールを含む液体流をギ酸メチルの加水分解により得て;そして
    (ii)工程(b)において、工程(a)から得られた流から、ギ酸メチルの分解から生じたメタノールを含むさらなる流を分離する、
    ことを特徴とする、請求項1から2までのいずれか1項に記載の方法。
  4. (i)工程(b)において、工程(a)から得られた流から、未反応のギ酸メチルを含むさらなる流を分離し;そして
    (ii)該分離されたギ酸メチルを工程(a)に返送する、
    ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. (i)工程(a)において、メタノールの存在下に、二酸化炭素、水素および均一触媒を含むギ酸源を使用し、かつ該ギ酸源から、ギ酸、第三級アミン(I)、水およびメタノールを含む液体流を、二酸化炭素の均一触媒による水素化により得て;そして
    (ii)工程(b)において、前記工程(a)から得られた流から、メタノールを含むさらなる流を分離して、該分離されたメタノールを工程(a)に返送する、
    ことを特徴とする、請求項1から2までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程(a)で使用される第三級アミン(I)、および工程(c)に記載の蒸留装置での分離率を、工程(c)に記載の蒸留装置の塔底流出物中で2つの液相が生じるように選択し、
    (d)工程(c)に記載の蒸留装置からの前記塔底流出物を2つの液相に分離し、ここで、上部液相は、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比を0〜0.5、および下部液相は、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比を0.5〜4有していて;
    (e)工程(d)からの相分離の上部液相を、工程(a)に返送し;ならびに
    (f)工程(d)からの相分離の下部液相を、工程(b)および/または工程(c)に返送する
    ことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程(a)で生成された液体流が、第三級アミン(I)を含めたギ酸の濃度を、該流の総量に対して1〜99質量%有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
  8. 工程(c)に記載の蒸留装置での分離率を、前記塔底流出物中の、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比が0.1〜2.0であるように選択することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
  9. 第三級アミン(I)として、一般式(Ia)
    Figure 2015501848
    [式中、R1〜R3の基は、同じまたは異なっていて、互いに独立して、それぞれ1〜16個の炭素原子を有する、1つの非分岐鎖もしくは分岐鎖の、非環式もしくは環式の脂肪族基、芳香脂肪族基または芳香族基であり、ここで、個々の炭素原子は、互いに独立して−O−基および>N−基から選択されるヘテロ基で置換されていてもよく、ならびに2つまたは3つの基すべては、少なくともそれぞれ4個の原子を含む鎖の形成下に互いに結合していてもよい]
    のアミンを使用することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
  10. 第三級アミン(I)として、一般式(Ia)[式中、R1〜R3の基は、互いに独立して、C1〜C12−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、ベンジルおよびフェニルの群から選択される]のアミンを使用することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 第三級アミン(I)として、一般式(Ia)[式中、R1〜R3の基は、互いに独立して、C5〜C8−アルキルの群から選択される]のアミンを使用することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
JP2014547867A 2011-12-20 2012-12-14 ギ酸の製造方法 Pending JP2015501848A (ja)

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